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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-05
(45)【発行日】2024-04-15
(54)【発明の名称】情報処理装置及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/0226 20230101AFI20240408BHJP
   G06Q 30/0601 20230101ALI20240408BHJP
【FI】
G06Q30/0226
G06Q30/0601
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2022126922
(22)【出願日】2022-08-09
(65)【公開番号】P2024024241
(43)【公開日】2024-02-22
【審査請求日】2022-09-28
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004222
【氏名又は名称】弁理士法人創光国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】下平 正人
(72)【発明者】
【氏名】江田 哲平
(72)【発明者】
【氏名】辻 恭平
【審査官】田上 隆一
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-135785(JP,A)
【文献】特開2021-064403(JP,A)
【文献】特開2004-258969(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
購入要求者から、面積又は体積を有する仮想空間を分割することによって生成された面積又は体積を有する仮想的な領域を示す所定の座標に位置する仮想的な店舗において商品を購入するための購入要求を受け付ける受付部と、
前記受付部が前記購入要求を受け付けたことを条件として、前記商品を前記購入要求者に提供するための第1指示を前記仮想的な店舗に関連付けられた装置に送信し、前記商品の代金を前記購入要求者から前記仮想的な店舗に支払うための第2指示を前記代金の移転をする装置に通知し、前記仮想空間の一部である面積又は体積を有する領域であって前記所定の座標が示す領域内に位置する複数の店舗における決済に利用可能な暗号資産又はポイントを前記購入要求者に付与するための第3指示を前記暗号資産又は前記ポイントの移転をする装置に通知する出力部と、
を有する、情報処理装置。
【請求項2】
前記出力部は、前記商品と、前記商品の代金と、前記商品の購入日時と、前記仮想的な店舗と、のうち少なくとも1つに基づいて、前記第3指示を出力する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記出力部は、前記購入要求者が前記商品を購入する際に所定のクーポンを利用したことを条件として、前記第3指示を出力する、
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記出力部は、前記購入要求者が、前記所定の座標に関連付けられている実空間上の地域又は前記仮想的な店舗に関連付けられた前記地域内の店舗と所定の関係にあることを条件として、前記第3指示を出力する、
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記出力部は、前記購入要求者が前記仮想的な店舗において前記商品を購入したことに対する対価を、前記仮想的な店舗から前記所定の座標が示す領域の運営者に支払うための指示をさらに出力する、
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記暗号資産又は前記ポイントの原資は、前記所定の座標に関連付けられている実空間上の地域を管轄する自治体又は前記地域内の事業者によって提供される、
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記暗号資産又は前記ポイントの原資は、前記所定の座標が示す領域を運営する自治体又は事業者によって提供される、
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記出力部は、前記所定の座標に関連付けられている実空間上の地域内の店舗において前記購入要求者が商品を購入したことを条件として、前記暗号資産又は前記ポイントを前記購入要求者に付与するための指示をさらに出力する、
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記暗号資産又は前記ポイントを利用した決済は、前記仮想空間上の前記所定の座標に位置する店舗において実行可能であり、前記仮想空間上の前記所定の座標に位置しない店舗において実行不可能である、
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記第2指示は、前記商品の代金に対応する前記暗号資産を、前記購入要求者の口座から前記仮想的な店舗の口座に移転するための指示である、
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記受付部は、前記購入要求者が情報端末に表示された前記仮想空間上で前記購入要求者に対応する画像を操作することに応じて前記情報端末から送信された前記購入要求を受け付ける、
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記第2指示が示す前記代金を前記購入要求者に関連付けられた口座から前記仮想的な店舗に関連付けられた口座に支払うとともに、前記第3指示が示す前記暗号資産又は前記ポイントを前記購入要求者に関連付けられた口座に付与する資産処理部をさらに有する、
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項13】
プロセッサが実行する、
購入要求者から、面積又は体積を有する仮想空間を分割することによって生成された面積又は体積を有する仮想的な領域を示す所定の座標に位置する仮想的な店舗において商品を購入するための購入要求を受け付けるステップと、
前記受け付けるステップにおいて前記購入要求を受け付けたことを条件として、前記商品を前記購入要求者に提供するための第1指示を前記仮想的な店舗に関連付けられた装置に送信するステップと、
前記受け付けるステップにおいて前記購入要求を受け付けたことを条件として、前記商品の代金を前記購入要求者から前記仮想的な店舗に支払うための第2指示を前記代金の移転をする装置に通知するステップと、
前記受け付けるステップにおいて前記購入要求を受け付けたことを条件として、前記仮想空間の一部である面積又は体積を有する領域であって前記所定の座標が示す領域内に位置する複数の店舗における決済に利用可能な暗号資産又はポイントを前記購入要求者に付与するための第3指示を前記暗号資産又は前記ポイントの移転をする装置に通知するステップと、
を有する、情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仮想空間上の商品購入に関する情報を処理するための情報処理装置及び情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、仮想空間上に商品を陳列し、ユーザが仮想空間上で商品を選択する操作を行うことによって、選択された商品をユーザに販売するシステムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-139842号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
仮想空間上には、多数の店舗が存在し得る。ユーザは、仮想空間上の特定の店舗において買い物をしたとしても、多数の店舗のうち当該店舗で再び買い物をするとは限らない。ユーザが仮想空間上の特定の店舗において商品を購入したことを契機として、さらに当該店舗に関連する経済圏の経済を活性化させることが求められている。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、ユーザが商品を購入した仮想空間上の店舗に関連する経済圏における経済を活性化できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様の情報処理装置は、購入要求者から、仮想空間上の領域内の仮想的な店舗である仮想店舗において商品を購入するための購入要求を受け付ける受付部と、前記受付部が前記購入要求を受け付けたことを条件として、前記商品を前記購入要求者に提供するための第1指示と、前記商品の代金を前記購入要求者から前記仮想店舗に支払うための第2指示と、前記領域又は前記領域に関連付けられている実空間上の地域のうち少なくとも一方での決済に利用可能な暗号資産又はポイントを前記購入要求者に付与するための第3指示と、を出力する出力部と、を有する。
【0007】
前記出力部は、前記商品と、前記商品の代金と、前記商品の購入日時と、前記仮想店舗と、のうち少なくとも1つに基づいて、前記第3指示を出力してもよい。
【0008】
前記出力部は、前記購入要求者が前記商品を購入する際に所定のクーポンを利用したことを条件として、前記第3指示を出力してもよい。
【0009】
前記出力部は、前記購入要求者が、前記地域又は前記仮想店舗に関連付けられた前記地域内の店舗と所定の関係にあることを条件として、前記第3指示を出力してもよい。
【0010】
前記出力部は、前記購入要求者が前記仮想店舗において前記商品を購入したことに対する対価を、前記仮想店舗から前記領域の運営者に支払うための指示をさらに出力してもよい。
【0011】
前記情報処理装置は、前記領域が前記地域を管轄する自治体又は前記地域内の事業者によって運営されていることを条件として、前記地域が前記領域に関連付けられていると特定する特定部をさらに有してもよい。
【0012】
前記情報処理装置は、前記仮想店舗を運営する事業者と前記地域内の店舗を運営する事業者とが同一であること又は所定の関係にあることを条件として、前記地域が前記領域に関連付けられていると特定する特定部をさらに有してもよい。
【0013】
前記仮想店舗における前記購入要求者による決済と、前記実空間上の店舗における前記購入要求者による決済と、は前記購入要求者を識別するための共通の又は互いに関連付けられたユーザ識別情報を用いて実行されてもよい。
【0014】
前記暗号資産又は前記ポイントの原資は、前記地域を管轄する自治体又は前記地域内の事業者によって提供されてもよい。
【0015】
前記暗号資産又は前記ポイントの原資は、前記領域を運営する自治体又は事業者によって提供されてもよい。
【0016】
前記出力部は、前記地域内の店舗において前記購入要求者が商品を購入したことを条件として、前記暗号資産又は前記ポイントを前記購入要求者に付与するための指示をさらに出力してもよい。
【0017】
前記暗号資産又は前記ポイントを利用した決済は、前記実空間上の前記地域内の店舗において実行可能であり、前記実空間上の前記地域外の店舗において実行不可能であってもよい。
【0018】
前記暗号資産又は前記ポイントを利用した決済は、前記仮想空間上の前記領域内の店舗において実行可能であり、前記仮想空間上の前記領域外の店舗において実行不可能であってもよい。
【0019】
前記第2指示は、前記商品の代金に対応する前記暗号資産を、前記購入要求者の口座から前記仮想店舗の口座に移転するための指示であってもよい。
【0020】
本発明の第2の態様の情報処理方法は、プロセッサが実行する、購入要求者から、仮想空間上の領域内の仮想的な店舗である仮想店舗において商品を購入するための購入要求を受け付けるステップと、前記受け付けるステップにおいて前記購入要求を受け付けたことを条件として、前記商品を前記購入要求者に提供するための第1指示と、前記商品の代金を前記購入要求者から前記仮想店舗に支払うための第2指示と、前記領域又は前記領域に関連付けられている実空間上の地域のうち少なくとも一方での決済に利用可能な暗号資産又はポイントを前記購入要求者に付与するための第3指示と、を出力するステップと、を有する。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、ユーザが商品を購入した仮想空間上の店舗に関連する経済圏における経済を活性化できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】実施形態に係る情報処理システムの模式図である。
図2】実施形態に係る情報処理システムのブロック図である。
図3】情報処理システムが暗号資産及びポイントを管理する方法を説明するための模式図である。
図4】関連付け情報を説明するための模式図である。
図5】仮想空間を表示しているユーザ端末の模式図である。
図6】購入要求者、仮想店舗及び運営者の関係を説明するための模式図である。
図7】実施形態に係る情報処理システムが実行する例示的な情報処理方法のシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
[情報処理システムSの概要]
図1は、本実施形態に係る情報処理システムSの模式図である。情報処理システムSは、管理サーバ1と、ユーザ端末2と、を含む。情報処理システムSは、その他のサーバ、端末等の機器を含んでもよい。
【0024】
管理サーバ1(情報処理装置)は、仮想空間に関する情報を管理するとともに、決済に利用可能な暗号資産及びポイントに関する情報を管理するコンピュータである。管理サーバ1は、ネットワークを介してユーザ端末2と通信可能である。
【0025】
仮想空間は、コンピュータ上に形成された仮想的な空間である。仮想空間は、ユーザ端末2において面積又は体積を有する領域として表示される。仮想空間は、例えば、一又は複数の仮想的な領域である仮想領域に分割されている。各仮想領域は、所定の自治体や事業者等の運営者に関連付けられており、当該運営者によって運営される。各仮想領域内には、仮想的な店舗である一又は複数の仮想店舗が配置される。
【0026】
一方、ユーザが生活する実際の空間を実空間といい、実空間上の地域(例えば、都道府県又は市区町村)に配置された店舗を実店舗という。仮想領域は、所定の地域に関連付けられていてもよい。この場合に、仮想領域は、例えば、地域を管轄する自治体又は地域内の事業者によって運営されている。
【0027】
ユーザは、ユーザ端末2を用いて、インターネット等のネットワークを介して、仮想空間にアクセスし、仮想店舗において暗号資産、ポイント又はその他の支払手段を利用して商品を購入することができる。仮想店舗において売買される商品は、例えば、デジタルデータ、サービス、物品等である。ユーザが仮想店舗において物品を購入した場合に、仮想店舗は当該物品を実空間においてユーザの住所に送付してもよい。2人のユーザ間で商品の売がなされる場合に、商品を販売するユーザ個人を店舗として扱ってもよい。
【0028】
暗号資産及びポイントは、商品の代金の決済等に利用可能な電子的な資産である。暗号資産及びポイントは、法定通貨(日本円や米国ドル等)とは異なる電子的な資産である。暗号資産及びポイントは、例えば、記憶装置において当該暗号資産及びポイントを保有するユーザに関連付けられており、決済に利用される際にあるユーザから別のユーザに移転される。暗号資産及びポイントは、例えば、所定の自治体又は事業者によってユーザに対して発行される。暗号資産は、法定通貨を裏付けとした電子的な資産、例えば法定通貨と同等の価値及び保証を有する電子的な資産であってもよい。暗号資産は、例えば、ステーブルコインやデジタル通貨を含む。ポイントは、例えば、所定の自治体が発行する自治体ポイントや、所定の事業者が発行する事業者ポイントを含む。
【0029】
暗号資産及びポイントは、例えば、ブロックチェーンによって管理される電子的な資産である。また、暗号資産及びポイントは、ブロックチェーンに限られず、データベース等によって管理される電子的な資産であってもよい。暗号資産及びポイントは、決済に利用される所定の単位(例えば、流通する単位)である資産単位で管理される。以下、暗号資産の資産単位をコインと呼び、ポイントの資産単位をポイントと呼ぶが、その他の名称であってもよい。
【0030】
ユーザ端末2は、購入要求者であるユーザが利用する情報端末である。購入要求者は、例えば、仮想店舗において商品の購入を希望するユーザである。ユーザ端末2は、例えば、スマートフォン、タブレット端末又はパーソナルコンピュータである。ユーザ端末2は、操作を受け付けるためのタッチパネルやキーボード等の操作部と、情報を表示するための液晶ディスプレイ等の表示部と、を有する。ユーザ端末2は、ネットワークを介して管理サーバ1と通信可能である。
【0031】
本実施形態に係る情報処理システムSが実行する処理の概要を以下に説明する。管理サーバ1は、仮想空間内の仮想店舗に関する情報を表示するための表示情報をユーザ端末2に送信する(1)。表示情報は、各仮想領域内の一又は複数の仮想店舗の店舗情報を含む。ユーザ端末2は、表示部において、仮想空間上の仮想領域内に仮想店舗の店舗情報を表示する。
【0032】
購入要求者は、ユーザ端末2を用いて、仮想店舗において購入を希望する商品を指定する。管理サーバ1は、購入要求者が利用しているユーザ端末2から、仮想店舗において商品を購入するための購入要求を受け付ける(2)。
【0033】
管理サーバ1は、ユーザ端末2から購入要求を受け付けたことを条件として、商品を購入要求者に提供するための提供指示と(3)、商品の代金を購入要求者から仮想店舗に支払うための代金支払指示と(4)、仮想店舗に関連する経済圏での決済に利用可能な暗号資産又はポイントを購入要求者に付与するための付与指示と(5)、を出力する。仮想店舗に関連する経済圏は、例えば、仮想店舗が位置する仮想領域と、当該仮想領域に関連付けられている実空間上の地域と、のうち少なくとも一方である。仮想店舗は、提供指示に従って商品を購入要求者に提供する。ユーザは、付与された暗号資産又はポイントを利用して、仮想店舗に関連する経済圏において商品を購入することができる。
【0034】
このように、情報処理システムSは、購入要求者が仮想空間上の仮想店舗において商品を購入したことに応じて、当該仮想店舗が位置する仮想領域と、当該仮想領域に関連付けられている実空間上の地域と、のうち少なくとも一方での決済に利用可能な暗号資産又はポイントを、当該購入要求者に付与する。これにより、情報処理システムSは、購入要求者が商品を購入した仮想店舗に関連する経済圏で当該購入要求者が再び商品を購入することを促進し、当該経済圏における経済を活性化できる。
【0035】
[情報処理システムSの構成]
図2は、本実施形態に係る情報処理システムSのブロック図である。図2において、矢印は主なデータの流れを示しており、図2に示したもの以外のデータの流れがあってもよい。図2において、各ブロックはハードウェア(装置)単位の構成ではなく、機能単位の構成を示している。そのため、図2に示すブロックは単一の装置内に実装されてもよく、あるいは複数の装置内に分かれて実装されてもよい。ブロック間のデータの授受は、データバス、ネットワーク、可搬記憶媒体等、任意の手段を介して行われてもよい。
【0036】
管理サーバ1は、通信部11と、記憶部12と、制御部13と、を有する。管理サーバ1は、2つ以上の物理的に分離した装置が有線又は無線で接続されることにより構成されてもよい。また、管理サーバ1は、コンピュータ資源の集合であるクラウドによって構成されてもよい。
【0037】
通信部11は、ネットワークを介してユーザ端末2との間でデータを送受信するための通信コントローラを有する。通信部11は、ユーザ端末2からネットワークを介して受信したデータを制御部13に通知する。また、通信部11は、ネットワークを介して、制御部13から出力されたデータをユーザ端末2に送信する。
【0038】
記憶部12は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ハードディスクドライブ等を含む記憶媒体である。記憶部12は、制御部13が実行するプログラムを予め記憶している。また、記憶部12は、仮想空間における各仮想領域内の一又は複数の仮想店舗の店舗情報を記憶している。また、記憶部12は、仮想空間上の仮想領域と実空間上の地域とを関連付けた関連付け情報を予め記憶している。また、記憶部12は、仮想空間上の複数の仮想領域及び実空間上の複数の地域それぞれにおいて利用可能な暗号資産又はポイントを示す利用可能情報を予め記憶している。記憶部12は、管理サーバ1の外部に設けられてもよく、その場合にネットワークを介して制御部13との間でデータの授受を行ってもよい。
【0039】
制御部13は、表示制御部131と、受付部132と、取得部133と、特定部134と、出力部135と、資産処理部136と、を有する。制御部13は、例えばCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサであり、記憶部12に記憶されたプログラムを実行することにより、表示制御部131、受付部132、取得部133、特定部134、出力部135及び資産処理部136として機能する。表示制御部131、受付部132、取得部133、特定部134、出力部135及び資産処理部136それぞれが行う処理については後述する。
【0040】
[口座の説明]
まず、情報処理システムSが暗号資産及びポイントを管理する方法を説明する。図3は、情報処理システムSが暗号資産及びポイントを管理する方法を説明するための模式図である。管理サーバ1は、複数のユーザそれぞれが保有する暗号資産を、暗号資産口座において管理する。複数のユーザそれぞれの暗号資産口座は、当該ユーザを識別するためのユーザ識別情報(ユーザID(Identification))に関連付けられている。管理サーバ1は、暗号資産の管理として、暗号資産口座に対して暗号資産を入金及び出金し、又は複数の暗号資産口座間で暗号資産を移転する。
【0041】
管理サーバ1は、例えば、ブロックチェーンを用いて、コインを資産単位として暗号資産を管理する。管理サーバ1は、例えば、ユーザのユーザIDと、当該ユーザの暗号資産口座における取引の内容と、を関連付けたデータ(ブロック)を、ネットワーク上の一又は複数の記憶装置上にブロックチェーンとして記憶する。各ブロックは、ユーザの暗号資産口座間で暗号資産が移転されたことを示す一又は複数のトランザクションを含む。ブロックチェーン内の各ブロックには所定の規則で生成されたハッシュ値が含まれており、ブロック間のハッシュ値の整合性を確認することによりブロックチェーン全体の正しさが担保される。
【0042】
管理サーバ1は、ブロックチェーンに限られず、例えば、ユーザのユーザIDと、当該ユーザの暗号資産口座において管理されている暗号資産と、を関連付けたデータを、管理サーバ1が有する記憶部12上にデータベースとして記憶してもよい。
【0043】
管理サーバ1は、複数のユーザそれぞれが保有するポイントを、ポイント口座において管理する。複数のユーザそれぞれのポイント口座は、当該ユーザのIDに関連付けられている。管理サーバ1は、ポイントの管理として、ポイント口座に対してポイントを追加及び削減し、又は複数のポイント口座間でポイントを移転する。
【0044】
管理サーバ1は、例えば、ユーザのIDと、当該ユーザのポイント口座における一又は複数の取引の内容と、を関連付けたデータを、管理サーバ1が有する記憶部12上にデータベースとして記憶する。
【0045】
暗号資産又はポイントを利用した決済は、実空間上の所定の地域内の実店舗において実行可能であり、実空間上の当該地域外の実店舗において実行不可能であってもよい。また、暗号資産又はポイントを利用した決済は、仮想空間上の所定の仮想領域内の店舗において実行可能であり、仮想空間上の当該仮想地域外の店舗において実行不可能であってもよい。これにより、情報処理システムSは、ユーザに対して付与する暗号資産又はポイントの用途を制限できる。
【0046】
[関連付け情報の説明]
次に、記憶部12が記憶する関連付け情報を説明する。図4は、関連付け情報を説明するための模式図である。関連付け情報は、仮想空間上の仮想領域と実空間上の地域とが関連付けられていることを示す情報である。
【0047】
図4の例では、仮想空間における仮想領域と実空間における地域とが関連付けられている。関連付け情報は、例えば、仮想領域が実空間における地域を管轄する自治体によって運営されていること、又は仮想領域が実空間における地域内の事業者によって運営されていることを示すことにより、仮想領域と地域とが関連付けられていることを示す。この場合に、地域を管轄する自治体又は地域内の事業者は、例えば、暗号資産又はポイントの原資を提供する主体である。
【0048】
仮想領域を運営することは、例えば、仮想領域の権利を保有していること、仮想領域の権利を保有している者から営業権が付与されていること、仮想領域に配置されている全ての店舗を運営する事業者であること等を含む。関連付け情報は、NFT(Non-Fungible Token)としてブロックチェーン上に記録されてもよい。1つの仮想領域は、複数の地域に関連付けられていてもよい。また、複数の仮想領域は、1つの地域に関連付けられていてもよい。
【0049】
また、関連付け情報は、例えば、仮想領域内の仮想店舗を運営する事業者と、地域内の実店舗を運営する事業者とが同一であること又は所定の関係(提携関係、支配関係等)にあることを示すことにより、当該仮想領域と当該地域とが関連付けられていることを示してもよい。
【0050】
関連付け情報は、上述の具体的な関係に限られず、仮想領域と地域とが所定の関係により関連付けられていることを示せばよい。関連付け情報は、例えば、仮想空間が実空間を模擬することによって仮想空間と実空間とが予め関連付けられている場合に、仮想領域(座標等)と地域(市区町村等)とが所定の位置関係にあることにより、仮想領域と地域とが関連付けられていることを示してもよい。
【0051】
[購入処理の説明]
情報処理システムSが購入要求者に仮想店舗から商品を購入させる処理を実行するための構成を以下に説明する。管理サーバ1において、表示制御部131は、記憶部12に予め記憶された、仮想領域における各仮想領域内の一又は複数の仮想店舗の店舗情報を取得する。店舗情報は、例えば、仮想店舗が位置する仮想空間上の座標と、仮想店舗が販売する商品の内容及び価格等の情報と、を含む。例えば、仮想店舗が位置する仮想空間上の座標が特定の仮想領域に含まれている場合に、当該仮想店舗は当該仮想領域内に配置される。
【0052】
表示制御部131は、取得した店舗情報を含む表示情報をユーザ端末2に送信することにより、ユーザ端末2において仮想領域内に仮想店舗の店舗情報を表示させる。ユーザ端末2は、管理サーバ1から受信した表示情報に従って、表示部において、仮想空間上の仮想領域内に仮想店舗の店舗情報を表示する。
【0053】
図5は、仮想空間を表示しているユーザ端末2の模式図である。購入要求者は、操作部を用いて仮想空間上で購入要求者に対応する画像(アバタ、アイコン等)を操作することによって、仮想店舗を指定する。ユーザ端末2は、管理サーバ1から受信した表示情報が含む店舗情報に基づいて、購入要求者が指定した仮想店舗が販売する商品の内容及び価格を表示する。
【0054】
ユーザ端末2は、購入者が指定した仮想店舗において、購入要求者が購入を希望する商品と、商品の購入に利用する支払手段(暗号資産、ポイント、法定通貨等)と、の指定を受け付ける。ユーザ端末2は、購入要求者によって所定の操作が行われたことに応じて、指定された仮想店舗において指定された商品を購入するための購入要求を管理サーバ1に送信する。購入要求は、例えば、購入要求者のユーザIDと、仮想店舗を識別するための店舗識別情報(店舗ID)と、購入要求者によって指定された商品と、購入要求者によって指定された支払手段と、を示す情報である。
【0055】
管理サーバ1において、受付部132は、ユーザ端末2から購入要求を受け付ける。取得部133は、記憶部12に予め記憶された関連付け情報及び利用可能情報を取得する。関連付け情報は、図4に例示した、仮想空間上の仮想領域と実空間上の地域とが関連付けられていることを示す情報である。利用可能情報は、仮想空間上の複数の仮想領域及び実空間上の複数の地域それぞれにおいて利用可能な暗号資産又はポイントを示す情報である。
【0056】
特定部134は、取得部133が取得した関連付け情報及び利用可能情報に基づいて、後述の出力部135が購入要求者に付与する暗号資産又はポイントであって、仮想店舗に関連する経済圏での決済に利用可能な暗号資産又はポイントを特定する。仮想店舗に関連する経済圏は、例えば、購入要求が示す仮想店舗が配置されている仮想領域又は当該仮想領域に関連付けられている実空間上の地域のうち少なくとも一方である。特定部134は、仮想領域又は地域の一方のみでの決済に利用可能な暗号資産又はポイントを特定してもよい。
【0057】
特定部134は、例えば、利用可能情報において、購入要求が示す仮想店舗が配置されている仮想領域での決済に利用可能な暗号資産又はポイントを特定する。
【0058】
また、特定部134は、例えば、購入要求が示す仮想店舗が配置されている仮想領域が、所定の地域を管轄する自治体又は所定の地域内の事業者によって運営されていると関連付け情報が示す場合に、当該地域が当該仮想領域に関連付けられていると特定する。また、特定部134は、例えば、購入要求が示す仮想領域内の仮想店舗を運営する事業者と、所定の地域内の実店舗を運営する事業者と、が同一であること又は所定の関係にあると関連付け情報が示す場合に、当該地域が当該仮想領域に関連付けられていると特定する。
【0059】
特定部134は、ここに示した具体的な基準に限られず、その他の基準で仮想空間上の仮想領域が実空間上の地域に関連付けられているか否かを判定してもよい。特定部134は、例えば、利用可能情報において、購入要求が示す仮想店舗が配置されている仮想領域に関連付けられた実空間上の地域での決済に利用可能な暗号資産又はポイントを特定する。
【0060】
出力部135は、受付部132がユーザ端末2から購入要求を受け付けたことを条件として、商品を購入要求者に提供するための提供指示(第1指示)と、商品の代金を購入要求者から仮想店舗に支払うための代金支払指示(第2指示)と、仮想店舗に関連する経済圏での決済に利用可能な暗号資産又はポイントを購入要求者に付与するための付与指示(第3指示)と、を出力する。また、出力部135は、提供指示、代金支払指示及び付与指示に加えて、購入要求者が仮想店舗において商品を購入したことに対する対価を、仮想店舗から仮想領域の運営者に支払うための対価支払指示(第4指示)を出力してもよい。
【0061】
図6は、購入要求者、仮想店舗及び運営者の関係を説明するための模式図である。提供指示は、例えば、購入要求者が指定した商品と、購入要求者のユーザIDと、を示す情報である。商品が物品である場合に、提供指示は、ユーザ端末2において入力された、購入要求者に対して商品を送付するための情報(住所等)を示してもよい。出力部135は、例えば、提供指示を、仮想店舗に関連付けられた情報端末に送信する。仮想店舗は、出力部135が出力した提供指示に従って、デジタルデータである商品を購入要求者に送信し、サービスである商品を購入要求者に提供し、又は物品である商品を購入要求者に送付する。
【0062】
代金支払指示は、例えば、購入要求者が指定した商品の代金に対応する、購入要求者が指定した支払手段の金額と、購入要求者のユーザIDと、仮想店舗(仮想店舗を運営する事業者)のユーザIDと、を示す情報である。出力部135は、例えば、代金支払指示を、資産処理部136に通知する。資産処理部136は、出力部135が出力した代金支払指示に従って、購入要求者が指定した支払手段の資産(暗号資産、ポイント、法定通貨等)を購入要求者の口座から仮想店舗の口座に移転する。
【0063】
購入要求者が指定した支払手段が暗号資産である場合に、資産処理部136は、例えば、ブロックチェーンに対して、商品の代金に対応する一又は複数のコインを購入要求者の暗号資産口座から仮想店舗の暗号資産口座に移転することを示すトランザクションを追加する。
【0064】
付与指示は、例えば、特定部134が特定した仮想店舗に関連する経済圏での決済に利用可能な暗号資産又はポイントと、当該暗号資産又はポイントの金額と、購入要求者のユーザIDと、を示す情報である。出力部135は、例えば、所定の算出式を用いて購入要求者が指定した商品の代金から購入要求者に付与する暗号資産又はポイントの金額を算出し、算出した暗号資産又はポイントの金額を示す付与指示を出力する。出力部135は、例えば、商品の代金が高いほど、購入要求者に付与する暗号資産又はポイントの金額を高くする。
【0065】
出力部135は、購入要求者が指定した商品と、当該商品の代金と、当該商品の購入日時と、購入要求者が指定した仮想店舗と、のうち少なくとも1つに基づいて、付与指示を出力してもよい。出力部135は、例えば、購入要求者が指定した商品が、暗号資産又はポイントの付与対象として予め設定された所定の商品であることを条件として、付与指示を出力する。また、出力部135は、例えば、購入要求者が指定した商品の代金が、暗号資産又はポイントの付与対象として予め設定された所定の範囲内(所定値以上等)であることを条件として、付与指示を出力する。
【0066】
また、出力部135は、例えば、購入要求者が指定した商品の購入日時が、暗号資産又はポイントの付与対象として予め設定された所定の期間内(キャンペーン期間内等)であることを条件として、付与指示を出力する。購入日時は、ユーザ端末2が送信する購入要求に含まれていてもよく、受付部132が購入要求を受け付けた日時であってもよい。また、出力部135は、例えば、購入要求者が指定した仮想店舗が、暗号資産又はポイントの付与対象として予め設定された所定の店舗であることを条件として、付与指示を出力する。これにより、管理サーバ1は、暗号資産又はポイントを購入要求者に付与する条件をフレキシブルに調整できる。
【0067】
出力部135は、購入要求者が商品を購入する際に所定のクーポンを利用したことを条件として、付与指示を出力してもよい。クーポンは、例えば、暗号資産又はポイントの付与を受けるためのクーポンであり、所定の条件(例えば、所定の契約をしていること、所定の店舗で過去に決済をしたこと、所定の商品を過去に購入したこと等)を満たした購入要求者に予め付与されている。クーポンには、使用可能回数が定められていてもよい。購入要求者は、商品を購入する際に、ユーザ端末2上でクーポンを利用するか否かを指定する。これにより、管理サーバ1は、暗号資産又はポイントを購入要求者に付与するか否かを、購入要求者の意向に応じて切り替えることができる。
【0068】
出力部135は、購入要求者が、購入要求が示す仮想店舗が配置されている仮想領域に関連付けられている地域、又は当該仮想店舗に関連付けられた実店舗と所定の関係にあることを条件として、付与指示を出力してもよい。出力部135は、例えば、購入要求者が、購入要求が示す仮想店舗が配置されている仮想領域に関連付けられている地域の住民であることを条件として、付与指示を出力する。この場合に、出力部135は、例えば、購入要求者のユーザIDに予め関連付けられた住所が地域内であるか否かに基づいて、購入要求者が地域の住民であるか否かを判定する。これにより、管理サーバ1は、購入要求者と仮想領域に関連付けられている地域との関係に応じて、暗号資産又はポイントを購入要求者に付与するか否かを切り替えることができる。
【0069】
また、出力部135は、例えば、購入要求者が、購入要求が示す仮想店舗に予め関連付けられた実店舗において会員登録をしたこと又は当該実店舗において過去に決済を行ったことを条件として、付与指示を出力する。この場合に、出力部135は、例えば、購入要求者のユーザIDに関連付けられた会員登録情報又は決済情報に基づいて、購入要求者が実店舗において会員登録をしたか否か、又は実店舗において過去に決済を行ったか否かを判定する。これにより、管理サーバ1は、購入要求者と仮想店舗に関連付けられている実店舗との関係に応じて、暗号資産又はポイントを購入要求者に付与するか否かを切り替えることができる。
【0070】
出力部135は、例えば、付与指示を資産処理部136に通知する。購入要求者に暗号資産を付与する場合に、資産処理部136は、出力部135が出力した付与指示に従って、暗号資産を暗号資産の原資が格納されている所定の原資口座から購入要求者の暗号資産口座に移転する。資産処理部136は、例えば、ブロックチェーンに対して、購入要求者に付与する金額に対応する一又は複数のコインを原資口座から購入要求者の暗号資産口座に移転することを示すトランザクションを追加する。
【0071】
購入要求者にポイントを付与する場合に、資産処理部136は、出力部135が出力した付与指示に従って、ポイントをポイントの原資が格納されている所定の原資口座から購入要求者のポイント口座に移転する。資産処理部136は、例えば、データベースに対して、購入要求者に付与する金額に対応する一又は複数のポイントを原資口座から購入要求者のポイント口座に移転することを示すデータを追加する。
【0072】
原資口座に格納されている暗号資産又はポイントの原資は、例えば、購入要求が示す仮想店舗が配置されている仮想領域を運営する自治体又は事業者によって提供される。また、原資口座に格納されている暗号資産又はポイントの原資は、例えば、購入要求が示す仮想店舗が配置されている仮想領域に関連付けられた地域を管轄する自治体又は当該地域内の事業者によって提供されてもよい。
【0073】
これにより、管理サーバ1は、購入要求者が商品を購入した仮想店舗に関連する経済圏での決済に利用可能な暗号資産又はポイントを当該購入要求者に付与し、当該購入要求者が当該経済圏で商品を再び購入することを促進できる。
【0074】
また、出力部135は、仮想領域に関連付けられた地域内の実店舗において購入要求者が商品を購入したことを条件として、当該仮想領域又は当該地域のうち少なくとも一方での決済に利用可能な暗号資産又はポイントを購入要求者に付与するための付与指示をさらに出力してもよい。これにより、管理サーバ1は、購入要求者が仮想領域に関連付けられた実空間上の地域において商品を購入した場合にも、当該仮想領域内の仮想店舗に関連する経済圏での決済に利用可能な暗号資産又はポイントを当該購入要求者に付与し、当該購入要求者が当該経済圏で商品を再び購入することを促進できる。
【0075】
対価支払指示は、例えば、仮想店舗が仮想領域の運営者に支払う対価と、仮想店舗のユーザIDと、仮想領域の運営者のユーザIDと、を示す情報である。対価は、例えば、所定の暗号資産、又は日本円等の法定通貨である。出力部135は、例えば、所定の算出式を用いて購入要求者が指定した商品の代金から対価を算出し、算出した対価を示す対価支払指示を出力する。出力部135は、例えば、商品の代金が高いほど、仮想店舗が仮想領域の運営者に支払う対価を高くする。
【0076】
対価が暗号資産である場合に、出力部135は、例えば、対価支払指示を、資産処理部136に通知する。資産処理部136は、出力部135が出力した対価支払指示に従って、暗号資産を仮想店舗の暗号資産口座から仮想領域の運営者の暗号資産口座に移転する。資産処理部136は、例えば、ブロックチェーンに対して、対価に対応する一又は複数のコインを仮想店舗の暗号資産口座から仮想領域の運営者の暗号資産口座に移転することを示すトランザクションを追加する。
【0077】
対価が法定通貨である場合に、出力部135は、例えば、対価支払指示を、法定通貨を取り扱う銀行の銀行サーバに通知する。銀行サーバは、出力部135が出力した対価支払指示に従って、対価を仮想店舗の銀行口座から仮想領域の運営者の銀行口座に送金する。
【0078】
これにより、管理サーバ1は、購入要求者が仮想店舗で商品を購入したことに応じて仮想領域の運営者に対して対価を付与し、運営者が仮想領域を運営することに対するモチベーションを向上させることができる。
【0079】
仮想店舗における購入要求者による決済と、実店舗における購入要求者による決済と、は購入要求者を識別するための共通の又は互いに関連付けられたユーザIDを用いて実行されることが望ましい。この場合に、仮想店舗における決済に用いられるユーザID又は当該ユーザIDに関連付けられたユーザIDによって実店舗における決済が実行され、実店舗における決済に用いられるユーザID又は当該ユーザIDに関連付けられたユーザIDによって仮想店舗における決済が実行される。すなわち、購入要求者は、仮想空間においてユーザIDを用いて仮想店舗で商品を購入できるとともに、実空間において当該ユーザIDを用いて実店舗で商品を購入できる。これにより、購入要求者は、仮想空間と実空間とでユーザIDを別々に管理することなく、容易に商品を購入できる。
【0080】
[情報処理方法のシーケンス]
図7は、本実施形態に係る情報処理システムSが実行する例示的な情報処理方法のシーケンス図である。ユーザ端末2は、仮想空間上で購入要求者によって所定の操作が行われたことに応じて、指定された仮想店舗において指定された商品を購入するための購入要求を管理サーバ1に送信する(S11)。
【0081】
管理サーバ1において、受付部132は、ユーザ端末2から購入要求を受け付ける。取得部133は、記憶部12に予め記憶された関連付け情報及び利用可能情報を取得する(S12)。
【0082】
特定部134は、取得部133が取得した関連付け情報及び利用可能情報に基づいて、出力部135が購入要求者に付与する暗号資産又はポイントであって、仮想店舗に関連する経済圏での決済に利用可能な暗号資産又はポイントを特定する(S13)。仮想店舗に関連する経済圏は、例えば、購入要求が示す仮想店舗が配置されている仮想領域又は当該仮想領域に関連付けられている実空間上の地域のうち少なくとも一方である。特定部134は、仮想領域又は地域の一方のみでの決済に利用可能な暗号資産又はポイントを特定してもよい。
【0083】
出力部135は、受付部132がユーザ端末2から購入要求を受け付けたことを条件として、商品を購入要求者に提供するための提供指示を出力する(S14)。出力部135は、例えば、提供指示を、仮想店舗に関連付けられた情報端末に送信する。仮想店舗は、出力部135が出力した提供指示に従って、デジタルデータである商品を購入要求者に送信し、サービスである商品を購入要求者に提供し、又は物品である商品を購入要求者に送付する。
【0084】
また、出力部135は、商品の代金を購入要求者から仮想店舗に支払うための代金支払指示を出力する(S15)。出力部135は、例えば、代金支払指示を、資産処理部136に通知する。資産処理部136は、出力部135が出力した代金支払指示に従って、購入要求者が指定した支払手段の資産を購入要求者の口座から仮想店舗の口座に移転する。
【0085】
また、出力部135は、仮想店舗に関連する経済圏での決済に利用可能な暗号資産又はポイントを購入要求者に付与するための付与指示を出力する(S16)。出力部135は、例えば、付与指示を資産処理部136に通知する。購入要求者に暗号資産を付与する場合に、資産処理部136は、出力部135が出力した付与指示に従って、暗号資産を暗号資産の原資が格納されている所定の原資口座から購入要求者の暗号資産口座に移転する。購入要求者にポイントを付与する場合に、資産処理部136は、出力部135が出力した付与指示に従って、ポイントをポイントの原資が格納されている所定の原資口座から購入要求者のポイント口座に移転する。
【0086】
また、出力部135は、購入要求者が仮想店舗において商品を購入したことに対する対価を、仮想店舗から仮想領域の運営者に支払うための対価支払指示を出力する(S17)。対価が暗号資産である場合に、出力部135は、例えば、対価支払指示を、資産処理部136に通知する。資産処理部136は、出力部135が出力した対価支払指示に従って、暗号資産を仮想店舗の暗号資産口座から仮想領域の運営者の暗号資産口座に移転する。対価が法定通貨である場合に、出力部135は、例えば、対価支払指示を、法定通貨を取り扱う銀行の銀行サーバに通知する。銀行サーバは、出力部135が出力した対価支払指示に従って、対価を仮想店舗の銀行口座から仮想領域の運営者の銀行口座に送金する。
【0087】
[実施形態の効果]
本実施形態に係る情報処理システムSによれば、管理サーバ1は、購入要求者が仮想空間上の仮想店舗において商品を購入したことに応じて、当該仮想店舗が位置する仮想領域と、当該仮想領域に関連付けられている実空間上の地域と、のうち少なくとも一方での決済に利用可能な暗号資産又はポイントを、当該購入要求者に付与する。これにより、情報処理システムSは、購入要求者が商品を購入した仮想店舗に関連する経済圏で当該購入要求者が再び商品を購入することを促進し、当該経済圏における経済を活性化できる。
【0088】
なお、本発明により、国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」に貢献することが可能となる。
【0089】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0090】
S 情報処理システム
1 管理サーバ
11 通信部
12 記憶部
13 制御部
131 表示制御部
132 受付部
133 取得部
134 特定部
135 出力部
136 資産処理部
2 ユーザ端末

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7