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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-05
(45)【発行日】2024-04-15
(54)【発明の名称】レーザ切断ノズル
(51)【国際特許分類】
   B23K 26/14 20140101AFI20240408BHJP
   B23K 26/38 20140101ALI20240408BHJP
【FI】
B23K26/14
B23K26/38 A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2023185254
(22)【出願日】2023-10-30
【審査請求日】2024-02-01
(31)【優先権主張番号】P 2023075977
(32)【優先日】2023-05-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000185374
【氏名又は名称】小池酸素工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000718
【氏名又は名称】弁理士法人中川国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上木原 洋丘
【審査官】山内 隆平
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/147410(WO,A1)
【文献】特開平11-789(JP,A)
【文献】特開平11-90672(JP,A)
【文献】中国実用新案第218745525(CN,U)
【文献】米国特許出願公開第2005/0056628(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 26/14
B23K 26/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被切断材に向けてレーザ光とアシストガスを噴射するインナーノズルと、前記インナーノズルを嵌装して該インナーノズルとの間に形成されたシールドガス流路から被切断材に向けてシールドガスを噴射するアウターノズルと、を有して構成され、
前記インナーノズルは、
中心にレーザ光とアシストガスを通す通孔が形成された本体部と、
前記本体部の一方側の端部から所定寸法離隔した位置に形成され前記本体部の外径よりも大きい外径を有する嵌合部と、
前記嵌合部を厚さ方向に貫通して形成された複数の通孔と、
前記本体部から他方側の端部に向けて前記嵌合部から離隔した位置であって複数の通孔と対向する位置に形成されたフランジと、を有して構成され、
前記アウターノズルは、
前記インナーノズルに形成された嵌合部を嵌合する嵌合凹部と、
前記インナーノズルの本体部の外径よりも大きく前記嵌合凹部の内径よりも小さい内径を有し、前記インナーノズルを嵌装したとき該インナーノズルの外周面とによってシールドガス流路を形成する流路面と、を有して構成されていることを特徴としたレーザ切断ノズル。
【請求項2】
前記本体部の該本体部に形成された前記フランジよりもシールドガスの流通方向下流側には、長手方向に沿って複数のスリットが形成されていることを特徴とする請求項1に記載したレーザ切断ノズル。
【請求項3】
前記本体部の該本体部に形成された前記フランジよりもシールドガスの流通方向下流側には、周面に沿って複数の溝又は螺旋状の溝が形成されていることを特徴とする請求項1に記載したレーザ切断ノズル。
【請求項4】
前記本体部の該本体部に形成された前記フランジよりもシールドガスの流通方向下流側には、外周面に複数のスリットが形成されたスリット部材が配置されていることを特徴とする請求項1に記載したレーザ切断ノズル。
【請求項5】
前記インナーノズルから被切断材に向けて照射されるレーザ光は連続発振レーザ光であることを特徴とする請求項1に記載したレーザ切断ノズル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被切断材をレーザ切断する際に、特にインナーノズルの温度上昇を抑えることができるレーザ切断ノズルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
レーザ切断ノズルから被切断材に向けてレーザ光を照射すると共に該レーザ光に添えてアシストガスを噴射し、更にレーザ光とアシストガスを包むようにシールドガスを噴射して切断するレーザ切断法が採用されている。
【0003】
例えば特許文献1に記載されたレーザ切断ノズルは、インナーノズルをアウターノズルに嵌装して構成されている。そして、被切断材が鋼板の場合、インナーノズルの中心に形成された噴射孔からレーザ光を照射すると共に、酸素ガスからなるアシストガスを噴射し、更にインナーノズルとアウターノズルの間に形成された噴射口から酸素純度を適正に調整したシールドガスを噴射している。特に、シールドガスは、アウターノズルの内面側であって軸心に沿って形成された複数の孔を通って前記噴射口から噴射される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-093438号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
被切断材を切断する際には、パルス発振又は連続発振(CW)のビーム制御が利用される。これらのパルス発振または連続発振(CW)は、一台のレーザ発振装置を制御することで発振しており、同一のレーザ切断ノズルを利用している。そして、被切断材の板厚や切断用途に応じて、連続発振とパルス発振を使い分けている。また、被切断材の厚さに対応させてレーザ光を集光するレンズの被切断材からの距離(高さ)を調整することで、被切断材に対する焦点位置を設定している。さらに、焦点位置の設定は集光レンズの上部に位置するコリメータレンズで行う場合もある。
【0006】
CW切断を行う場合は、鋼板表面に照射するビーム径をパルス切断よりも太くするため、レーザ光がインナーノズルの噴射孔に干渉して加熱され、インナーノズルの温度が上昇してしまい、インナーノズルに付随する部品の不良や故障を招いたり、切断性能に悪影響を及ぼすという問題が生じている。
【0007】
本発明の目的は、インナーノズルの温度上昇を抑えることができるレーザ切断ノズルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために本発明に係る代表的なレーザ切断ノズルは、被切断材に向けてレーザ光とアシストガスを噴射するインナーノズルと、前記インナーノズルを嵌装して該インナーノズルとの間に形成されたシールドガス流路から被切断材に向けてシールドガスを噴射するアウターノズルと、を有して構成され、前記インナーノズルは、中心にレーザ光とアシストガスを通す通孔が形成された本体部と、前記本体部の一方側の端部から所定寸法離隔した位置に形成され前記本体部の外径よりも大きい外径を有する嵌合部と、前記嵌合部を厚さ方向に貫通して形成された複数の通孔と、前記本体部から他方側の端部に向けて前記嵌合部から離隔した位置であって複数の通孔と対向する位置に形成されたフランジと、を有して構成され、前記アウターノズルは、前記インナーノズルに形成された嵌合部を嵌合する嵌合凹部と、前記インナーノズルの本体部の外径よりも大きく前記嵌合凹部の内径よりも小さい内径を有し、前記インナーノズルを嵌装したとき該インナーノズルの外周面とによってシールドガス流路を形成する流路面と、を有して構成されているものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係るレーザ切断ノズルでは、インナーノズルの本体部の外周に、複数の通孔を形成した嵌合部を有する。このため、インナーノズルをアウターノズルに嵌装してシールドガスを供給したとき、供給されたシールドガスは嵌合部の通孔を通ってインナーノズルとアウターノズルの間に形成されたシールドガス流路から被切断材に向けて噴射される。従って、シールドガスがインナーノズルの嵌合部を貫通して流れる過程で直接冷却することができる。
【0010】
また、インナーノズルの嵌合部に形成された通孔と対向してフランジが形成されているので、このフランジが熱交換機能を発揮することができる。このため、通孔を通過したシールドガスが直接フランジに衝突することで、インナーノズルを冷却することができる。
【0011】
嵌合部に形成された通孔を通過したシールドガスが切断ノズルから噴射する際に、通孔の延長線部分から噴射するシールドガスと、それ以外の部分から噴射するシールドガスに噴射圧の変動があることは好ましくない。しかし、通孔を通過したシールドガスが該通孔と対向して形成されたフランジに衝突することで噴射圧を平均化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第1実施例に係るレーザ切断ノズルをレーザ切断トーチに取り付けた状態を説明する図である。
図2】第1実施例に係るインナーノズルの構成を説明する外面図である。
図3】第1実施例に係るインナーノズルの構成を説明する断面図である。
図4】アウターノズルの構成を説明する外面図である。
図5】アウターノズルの構成を説明する断面図である。
図6】特許文献1に記載した切断ノズルと第1実施例に係る切断ノズルの上昇温度を比較した図である。
図7】第2実施例に係るインナーノズルの構成を説明する外面図である。
図8】第3実施例に係るインナーノズルの構成を説明する断面図である。
図9】第4実施例に係るインナーノズルの構成を説明する断面図である。
図10】第5実施例に係るインナーノズルの構成を説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明に係るレーザ切断ノズル(以下「切断ノズル」という)は、鋼板に代表される被切断材にレーザ光を照射すると共にアシストガスを噴射し、更にレーザ光とアシストガスを包み込むようにシールドガスを噴射して切断するものである。特に、被切断材を切断する際に、レーザ光が噴射孔に干渉することによるインナーノズルの温度上昇を軽減させるようにしたものである。
【0014】
尚、後述する第1実施例及び第2実施例~第5実施例に係るレーザ切断ノズルは夫々共通のアウターノズルを利用しており、インナーノズルの形状、構造が異なっている。そして、何れも共通のレーザトーチに利用されるものである。
【0015】
第1実施例に係る切断ノズルAはインナーノズル10とアウターノズル20とを有しており、インナーノズル10をアウターノズル20に嵌装することで構成されている。また、切断ノズルAはトーチBに取り付けられることで、図示しない被切断材を切断し得るように構成されている。
【0016】
インナーノズル10の本体部11には、軸方向の中心にレーザ光とアシストガスの流路12が形成されており、この流路12の先端に噴射孔12aが形成されている。また、本体部11の一方の端部であって、噴射孔12aが形成された反対側の端部11aには、トーチB(トーチBに取り付けた絶縁体37)に取り付けるためのねじ13が形成されている。
【0017】
本体部11の外周であって、端部11aに形成されたねじ13から離隔した位置に、アウターノズル20の嵌合凹部21と嵌合する嵌合部14が形成されている。この嵌合部14の本体部11の端部11a側にはねじ14aが形成されており、該ねじ部14aに連続してボス部14bが形成されている。
【0018】
嵌合部14には厚さ方向、即ち本体部11の中心軸と平行な方向に貫通して複数の通孔15が形成されている。この通孔15はシールドガスを流通させるためのものであり、切断ノズルAに供給されたシールドガスの全量が通孔15を通過する。このため、シールドガスが通孔15を通過する過程でインナーノズル10を直接冷却することが可能となり、冷却効率の向上をはかることが可能となる。
【0019】
嵌合部14のボス部14bから離隔した位置にフランジ16が形成されている。このフランジ16は嵌合部14に形成された通孔15と対向して形成されている。
【0020】
フランジ16は広い表面積を有する羽状に形成されており、インナーノズル10とシールドガスとの熱交換を行うことが可能である。このため、外部から供給された冷たいシールドガスが衝突することでインナーノズル10を効率的に冷却することが可能となる。
【0021】
上記の如く、フランジ16には通孔15を通過したシールドガスが衝突する。この衝突により通孔15を通過したシールドガスの流れに乱れが生じ、フランジ16よりも下流側のシールドガスの流れの均一化をはかることが可能である。
【0022】
本体部11は、フランジ16から他方側の端部11bに向かって小さい角度で形成されたテーパ部17a、ストレート部17b、テーパ部17aよりも大きい角度で形成されたテーパ部17cが順に形成されている。特に、テーパ部17cは、シールドガスが切断ノズルAから被切断材に向けて噴射される際の噴射角度を規定するものであるため、噴射されたシールドガスが被切断材の切溝に効率良く導入されるような角度に設定されている。
【0023】
ねじ13と嵌合部14の間に6角形状に面取りされた面取り部18が形成されており、インナーノズル10をアウターノズル20に嵌挿して一体化させる際にスパナ掛けとして用いることが可能である。
【0024】
アウターノズル20はインナーノズル10を嵌装して該インナーノズル10の嵌合部14からテーパ部17cとの間にシールドガス流路30を構成するものである。このため、アウターノズル20の端部20aの内面に嵌合凹部21が形成されている。この嵌合凹部21の端部20a側には、インナーノズル10に形成されたねじ14aと螺合するねじ21aが形成されている。
【0025】
また、アウターノズル20の端部20b側の内面はインナーノズル10のテーパ部17cの角度と対応した角度を有するテーパ部22が形成され、該テーパ部22の先端に開口22aが形成されている。そして、アウターノズル20にインナーノズル10を嵌挿したとき、該インナーノズル10のテーパ部17cとによってリング状のシールドガスの噴射口30aが構成される。
【0026】
アウターノズル20の外周面には、端部20a側にOリング溝23が形成されており、該Oリング溝23にOリング23aを装着してトーチBに取り付けることで、気密を保持し得るように構成されている。
【0027】
また、Oリング溝23よりも端部20b側は6角形状の面取り部24が形成されており、切断ノズルAをトーチBに取り付ける際のスパナ掛けとして利用し得るように構成されている。
【0028】
上記の如く構成されたインナーノズル10をアウターノズル20に差込んで、ねじ14aをねじ21aに締結することで切断ノズルAを構成することが可能である。
【0029】
トーチBの端部側には高さ倣いセンサ35が配置されており、該高さ倣いセンサ35に対し、袋ナット状のノズルヘッドホルダー36によって絶縁体37が取り付けられている。特に、絶縁体37にはシールドガスの流路30に接続される通孔37aが複数形成されている。
【0030】
上記の如く構成されたトーチBに対し、切断ノズルAを取り付ける際の手順について説明する。先ず、インナーノズル10をアウターノズル20に嵌装し、面取り部18にスパナを掛けて締結することで組み立てて切断ノズルAを構成しておく。次いで、切断ノズルAをノズルヘッドホルダー36に差込んでアウターノズル20の面取り部24にスパナを掛けて締結することで、切断ノズルAをトーチBに取り付けることが可能である。
【0031】
次に、上記の如く構成した切断ノズルAと、特許文献1に記載した従来の切断ノズルと、を用いてインナーノズルの温度上昇を測定する実験を行った。
【0032】
この実験は、両切断ノズル共にレンズ位置を8mm~12mmの間で1mm毎に変化させ、出力を12kW、照射時間を60秒、アシストガスを0.065MPa、シールドガス流量を100L/minでレーザビームを照射し、1回毎に、インナーノズルの先端に熱電対を接触させて温度を測定した。その結果を図6に示す。
【0033】
図に明らかなように、従来の切断ノズルに於ける上昇温度と、切断ノズルAの上昇温度では、切断ノズルAが略20℃程度温度上昇を抑えることが可能である。
【0034】
前述したように、本実施例に係るインナーノズル10は、本体部11に該本体部11の径よりも径の大きい嵌合部14が形成されている。このため、特許文献1に記載された切断ノズルのインナーノズルと比較して太い材料を必要とし、材料費が上昇するという問題がある。しかし、図6に示すように、温度上昇を軽減することが可能となり、寿命の向上、切断面の品質の安定化などの点を考慮すると十分な効果を発揮することが可能である。
【0035】
次にインナーノズルの第2実施例について図7により説明する。尚、図に於いて前述の第1実施例と同一の部分及び同一の機能を有する部分には同一の符号を付して説明を省略する(以下同じ)。
【0036】
前述した第1実施例に係るインナーノズル10では、アウターノズル20に嵌装して一体化する際に、面取り部18にスパナを掛けて回転させるようにしている。しかし、面取り部18の厚さ方向の寸法が小さいため、作業がし難いという問題があった。第2実施例に係るインナーノズル10は、この問題を解決するために開発したものである。
【0037】
第2実施例に係るインナーノズル10では、ねじ13と嵌合部14の間に形成された面取り部18に代えて、端部11a側に直径方向に貫通した切欠42が形成されている。この切欠42にはコインやドライバを差し込むことが可能であり、差し込んだコイン或いはドライバを操作することで、インナーノズル10をアウターノズル20に嵌挿して容易に締結し得るように構成されている。
【0038】
次にインナーノズル10の第3実施例について図8により説明する。インナーノズル10の本体部11に形成されたフランジ16よりもシールドガスの流通方向下流側、即ち、ストレート部17bには長手方向に沿って複数のスリット41が形成されている。このため、ストレート部17bの表面積を大きくすることが可能となり、シールドガス流路30を流通するシールドガスとの間の熱交換効率を向上させることが可能である。
【0039】
従って、シールドガスによるインナーノズル10の冷却を促進して温度の上昇を抑えることが可能となる。尚、スリット41の条数や幅、深さなどの数値は特に限定するものではなく、ストレート部17bの外径や長さに対応させて適宜設定することが好ましい。
【0040】
次にインナーノズル10の第4実施例について図9により説明する。インナーノズル10の本体部11に形成されたストレート部17bには、周面に螺旋状の溝が形成されている。特に、本実施例ではねじ43からなる螺旋状の溝が形成されており、このねじ43を形成することによって、ストレート部17bの表面積を大きくしている。そして、前述の第3実施例と同様に、シールドガス流路30を流通するシールドガスとの間の熱交換効率を向上させることが可能である。
【0041】
従って、シールドガスによるインナーノズル10の冷却を促進して温度の上昇を抑えることが可能となる。尚、ねじ43のピッチは限定するものではなく、ストレート部17bの外径や長さに対応させて適宜設定することが好ましい。
【0042】
また、ストレート部17bの周方向に形成する溝は必ずしもねじである必要はなく、周面に互いに独立した溝を複数形成しても良い。
【0043】
次にインナーノズル10の第5実施例について図10により説明する。インナーノズル10の本体部11に形成されたストレート部17bには、外周面に於けるシールドガスの流通方向に沿って複数のスリット46が形成されたスリット部材45が配置されている。
【0044】
スリット部材45は外径がアウターノズル20の内径よりも僅かに小さい寸法を有しており、インナーノズル10をアウターノズル20に嵌装する際の作業に支障をきたすことがないように構成されている。また、スリット46は切断ノズルが必要とするシールドガスの流量を満足することが可能な数と、幅寸法及び深さ寸法を有している。
【0045】
スリット部材45をストレート部17bに取り付ける構造は特に限定するものではない。例えば本実施例では、ストレート部17bに形成されたねじ43に螺合することで配置されている。また、例えば、スリット部材45をストレート部17bに挿通して止め輪によって取り付けて配置することも可能である。更に、インナーノズル10を製作する際に、一体的に形成することで配置することも可能である。
【0046】
上記の如く、スリット部材45をストレート部17bに配置することで、インナーノズル10の熱容量を増加させることが可能であり、インナーノズル10自体の温度上昇を低下させることが可能となる。更に、シールドガスによるインナーノズル10の冷却を促進して温度の上昇を抑えることが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明に係るレーザ切断ノズルは、インナーノズルの温度上昇を抑えることができるため、レーザ切断ノズルの寿命を延ばすことが可能であり、鋼板を切断する際に利用して有利である。
【符号の説明】
【0048】
A 切断ノズル
B トーチ
10 インナーノズル
11 本体部
11a、11b、20a、20b 端部
12 流路
12a 噴射孔
13、14a、21a ねじ
14 嵌合部
14b ボス部
15 通孔
16 フランジ
17a、17c、22 テーパ部
17b ストレート部
18 面取り部
20 アウターノズル
21 嵌合凹部
22a 開口
23 Oリング溝
23a Oリング
24 面取り部
30 シールドガス流路
30a 噴射口
35 高さ倣いセンサ
36 ノズルヘッドホルダー
37 絶縁体
37a 通孔
41、46 スリット
42 切欠
43 ねじ
45 スリット部材
【要約】
【課題】インナーノズルの温度上昇を抑えることができるレーザ切断ノズルを提供する。
【解決手段】インナーノズルと、インナーノズルとの間で形成されたシールドガス流路からシールドガスを噴射するアウターノズルと、を有し、インナーノズルは、レーザ光とアシストガスを通す通孔が形成された本体部と、本体部の一方側の端部から所定寸法離隔した位置に形成され本体部の外径よりも大きい外径を有する嵌合部と、嵌合部を厚さ方向に貫通して形成された複数の通孔と、本体部から他方側の端部に向けて嵌合部から離隔した位置であって複数の通孔と対向する位置に形成されたフランジと、を有し、アウターノズルは、インナーノズルの嵌合部を嵌合する嵌合凹部と、インナーノズルの本体部の外径よりも大きく前記嵌合凹部の内径よりも小さい内径を有し、インナーノズルの外周面とによってシールドガス流路を形成する流路面と、を有している。
【選択図】 図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10