(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-05
(45)【発行日】2024-04-15
(54)【発明の名称】アナログ時計、時間表示方法、および、時間表示プログラム
(51)【国際特許分類】
G04B 19/00 20060101AFI20240408BHJP
【FI】
G04B19/00 A
(21)【出願番号】P 2023207309
(22)【出願日】2023-12-07
【審査請求日】2023-12-08
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】396006860
【氏名又は名称】柿見 富雄
(74)【代理人】
【識別番号】100191189
【氏名又は名称】浅野 哲平
(72)【発明者】
【氏名】柿見 富雄
【審査官】細見 斉子
(56)【参考文献】
【文献】実開平07-034394(JP,U)
【文献】実開昭56-058482(JP,U)
【文献】特開2014-032129(JP,A)
【文献】実開昭62-088992(JP,U)
【文献】特開2002-236186(JP,A)
【文献】特開昭52-088062(JP,A)
【文献】特開2009-019987(JP,A)
【文献】特開2014-235094(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0324404(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04G 9/00
G04C 3/00
G04B 19/00,45/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
時刻の秒を表示する秒表示部が時間の経過に応じて文字盤の奥行方向に円弧内を往復するような動作をする
アナログ時計であって、
前記秒表示部は蝶の画像であり、当該蝶が羽ばたく動作をすることを特徴とする、アナログ時計。
【請求項2】
時刻の秒を表示する秒表示部が時間の経過に応じて文字盤の奥行方向に円弧内を往復するような動作をさせる
時間表示方法であって、
前記秒表示部は蝶の画像であり、当該蝶が羽ばたく動作をさせることを特徴とする、時間表示方法。
【請求項3】
コンピュータのディスプレイに時間の経過を表示する時間表示プログラムであって、
前記コンピュータに、
請求項2に記載の時間表示方法を実行させる、時間表示プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アナログ時計、時間表示方法、および、時間表示プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
時計で時刻を表示する方式は、「デジタル式」と「アナログ式」に大別される。時、分、秒といった時刻要素を数字で表示するデジタル式は、現在の時刻が一意に表示される。一方、それぞれの時刻要素に対応した指針(時針、分針および秒針)が時間の経過に応じて回転するアナログ式は、現在の時刻のみならず、時間(時の流れの2点間)を表示するのにも適している。
【0003】
一般的なアナログ時計は、時針、分針および秒針がすべて右回り(時計回り)方向へ回転するようになっている。また、特許文献1には、秒針が時針、分針とは逆向きの左回り(反時計回り)方向へ回転する時計が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、アナログ時計において新たな感覚の時間表示方式を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係るアナログ時計および時間表示方法は、秒針が円弧内を往復移動することを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係るアナログ時計および時間表示方法は、時刻の秒を表示する秒表示部が時間の経過に応じて円弧内を往復することを特徴とする。
【0008】
さらに、本発明に係るアナログ時計および時間表示方法は、時刻の秒を表示する秒表示部が時間の経過に応じて文字盤の奥行方向に円弧内を往復するように動作することを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、コンピュータのディスプレイに時刻を表示する時間表示プログラムであって、前記コンピュータに、上記した構成のいずれかを有する時間表示方法を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、アナログ時計において、時刻を表示するための要素である秒針や秒表示部を円弧の範囲内で往復させることにより、秒針や秒表示部が1周する前に動く方向が定期的に反転するという、従来の単調な表示方式とは異なる新たな感覚の時間表示方式を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】第1実施形態に係るアナログ時計の概略構成を示す図である。
【
図2】第2実施形態に係るアナログ時計の概略構成を示す図である。
【
図3】第3実施形態に係るアナログ時計の秒表示部を示す部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る、アナログ時計、時間表示方法、および、時間表示プログラムの実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0013】
<第1実施形態>
第1実施形態に係るアナログ時計10(以下、単に「時計10」という。)は、コンピュータの一種であるスマートフォンが備えるディスプレイに表示されるものである。
【0014】
本実施形態で使用されるスマートフォンには、広く一般に普及している種々の既製品デバイスを採用することができる。このスマートフォンは、CPU、メモリやストレージなどの記憶部、外部機器と通信を行う通信モジュール、バッテリーのほか、ディスプレイおよびタッチパネルといった基本的な構成要素を備えている。
【0015】
スマートフォンには、通常、時計機能が標準装備されている。この時計機能は、携帯電話の通信回線を利用できる場合には、NITZ(Network Identity and Time Zone)と呼ばれる規格に基づいて正確な時刻情報に自動補正される。また、携帯電話の通信回線が利用できない環境であっても、インターネット回線などの通信環境下では、NTP(Network Time Protocol)を使用して時刻情報を正確に自動補正できるように構成されている。そこで、本実施形態では、この時計機能に基づく時刻情報の表示態様に工夫を凝らしている。
【0016】
図1に示すように、時計10は、時刻を表示する時刻表示面12を備える。本実施形態では、時計10が表示されるスマートフォンのディスプレイが時刻表示面12を構成している。なお、本例では、
図1の紙面をスマートフォンのディスプレイに見立てて時刻表示面12を表示しているが、ディスプレイには、時刻要素以外の他の要素(例えば、カレンダーのような日付要素やアプリのアイコンなど)が時刻表示面12に表示されていても構わない。
【0017】
時計10の時刻表示面12は、公知のアナログ時計と同じ基本構成を有する。すなわち、円形をした文字盤14の周縁に沿って1から12までの数字が等ピッチで順に配置され、時間の経過に応じて回転する時針16、分針18および秒針20によって時刻が表示される。時針16、分針18および秒針20は、それぞれ、時、分、秒に対応する時刻要素に対応する指針である。
【0018】
円形をした文字盤14の内側には、その円の中心点から放射状に30°間隔の等ピッチで延出する仮想放射線上に、一般的な時計における5分間隔を示す目印線が表示されている。さらに、上記した円の中心点から放射状に6°間隔の等ピッチで延出する仮想放射線上に、一般的な時計における1分間隔を示す目印線が、文字盤14の周縁から中心点に向かって短く表示されている。
【0019】
時針16は、一般的な時計と同様、右回り(時計回り)方向へ12時間で1回転する。分針18も、一般的な時計と同様、右回り(時計回り)方向へ60分で1回転する。
【0020】
一方、秒針20は、一般的な時計とは全く異なる構成となっている。秒針20は、その長手方向の中点を回転中心とし、円弧内で往復移動するように構成されている。本例では、秒針20の一端側が、従来の表示方式でいうところの10秒(数字の「2」)を指し示す位置と20秒(数字の「4」)を指し示す位置との間の円弧22の範囲内を一定周期で往復移動する。このとき、秒針20の他端側は、従来の表示方式でいうところの40秒(数字の「8」)を指し示す位置と50秒(数字の「10」)を指し示す位置との間の円弧24の範囲内を一定周期で往復移動する。すなわち、秒針20は、円弧22,24の範囲内において、シーソーのような動きで右回り(時計回り)方向と左回り(反時計回り)方向への往復移動を一定周期で繰り返すのである。なお、本例では、秒針20が円弧22,24の範囲内を30秒で一往復するように設定されているものとするが、秒針20の移動周期は任意に設定変更できるようにしても構わない。
【0021】
上記したとおり、本実施形態では、時針16、分針18および秒針20が時間の経過に応じて回転しながら時刻を表示する表示部として機能する。より詳しくは、時、分、秒の時刻要素のうち、時針16が時刻の「時」を表示する時表示部を、分針18が時刻の「分」を表示する分表示部を、秒針20が時刻の「秒」を表示する秒表示部をそれぞれ構成している。
【0022】
上記構成を有する時計10の動作、すなわち、第1実施形態に係る時間表示方法は、スマートフォンのCPUがメモリに記憶されている時間表示プログラムを実行することにより実現される。具体的には、上記した構成のうち、時針16、分針18および秒針20を除く、文字盤14を主とする要素を基本画面として、スマートフォンのディスプレイに表示する。また、スマートフォンに組み込まれている時計機能を利用して時刻情報を取得する。そして、取得した時刻情報に基づいて、時針16、分針18をそれぞれ時間経過に対応する回転角度で表示する。また、秒針20については、取得した時刻情報に基づいて、時間経過に応じてユーザが設定した周期で円弧22,24の範囲内を往復移動(本例では30秒で一往復)するように表示する。こうして、スマートフォンを、時計10の時刻表示面12を表示する時刻表示手段として機能させることにより、本実施形態に係る時間表示方法を実行させるのである。
【0023】
このように、本実施形態のような時間表示方式によれば、アナログ時計10において、時刻を表示するための要素である秒針20を円弧22,24の範囲内で往復移動させることにより、秒針20が1周する前に動く方向が定期的に反転するという、従来の単調な表示方式とは異なる新たな感覚の時間表示方式を提供することが可能となっている。また、時針16と分針18は従来の時計と同じ動きをするため、時刻を正確に表示するという点においても特に不具合はない。さらに、上記した秒針20の一定周期の動きにより、時計10が止まっていないことを即座に認識できるだけでなく、心地よいリズムの動きでユーザにある種の安心感を与えることも可能となっている。
【0024】
<第2実施形態>
上記した第1実施形態では、秒針20が円弧22,24の範囲内を往復移動するものであったが、第2実施形態に係る時計30は、
図2に示すように、秒針20に替えて秒表示部32により時刻の「秒」を表示する構成となっている。時計30は、秒表示部32以外の基本的な構成は第1実施形態に係る時計10と同じである。よって、
図2では、
図1に示した時計10と同じ構成には同じ符号を付して、その説明および図示は適宜省略することとし、異なる部分を中心に説明する。
【0025】
秒表示部32は、時間の経過に応じて回りながら時刻の秒を表示する画像であり、時針16と分針18の回転中心Oの下方にある円形の表示領域において画像の姿勢(角度)を変化させながら円弧34の範囲内を往復するように構成されている。本例では、秒表示部32として、写真や絵画、キャラクターあるいはブランドロゴといった種々の画像がユーザの選択により表示できるようになっている。
【0026】
時計30の動作、すなわち、第2実施形態に係る時間表示方法は、上記した時計10と同様、スマートフォンのCPUがメモリに記憶されている時間表示プログラムを実行することにより実現される。なお、第2実施形態に係る時間表示方法についても、その基本構成と同じく、秒表示部32に関する表示方法以外は第1実施形態に係る時間表示方法と同じであるため、異なる部分を中心に説明する。
【0027】
第2実施形態に係る時間表示方法では、秒表示部32として表示させる画像を予め設定しておくか、あるいは、ユーザが任意に選択する。そして、取得した時刻情報に基づいて、時間経過に応じてユーザが設定した周期で円弧34の範囲内を往復(本例では10秒で一往復)するように秒表示部32を表示する。こうして、スマートフォンを、時計30の時刻表示面12を表示する時刻表示手段として機能させることにより、本実施形態に係る時間表示方法を実行させるのである。
【0028】
第2実施形態に係る時計30によれば、ユーザが時刻を確認する際に秒表示部32の動きを注視することとなるため、例えば、ブランドロゴやイメージキャラクターなどを広告的に表示するための媒体として利用することができる。また、秒表示部32に表示させる画像を予め設定したり、ユーザが任意に選択したりする仕様も実現できるので、例えば、ユーザ独自のアナログ時計を創作できる時計アプリとして実施することも可能となる。
【0029】
<第3実施形態>
上記した第2実施形態では、時刻の「秒」を表示する秒表示部32が時間の経過に応じて回りながら円弧34の範囲内を往復するものであったが、第3実施形態に係る時計50は、秒表示部52が上記した時計30の秒表示部32とは異なる動作をするような構成となっている。時計50は、秒表示部52以外の基本的な構成は第2実施形態に係る時計30と同じである。よって、
図3では、
図2に示した時計30とは異なる構成である秒表示部52を部分的に拡大して図示することとし、その他の構成に関する説明および図示は省略することとする。
【0030】
秒表示部52は、時間の経過に応じて文字盤の奥行方向に円弧の範囲内を往復するような動作をすることにより時刻の「秒」を表示するように構成されている。本例では、円形の表示領域に表示された蝶の画像が時間の経過に応じて一定周期で羽ばたく動作をする。このとき、蝶が羽を閉じた状態(
図3(a))から羽を広げた状態(
図3(b))になる動作は、実質的には、文字盤の奥行方向に左右の羽が円弧の範囲内を往復するような動作となっている。なお、本例では、秒表示部52の動作が縦軸回りの往復動作となっているが、秒表示部52が往復動作するときの軸の向きは特に限定されるものではなく、横軸回りや斜め方向の軸回りに往復するような動作をさせても構わない。
【0031】
時計50の動作、すなわち、第3実施形態に係る時間表示方法は、上記した時計30と同様、スマートフォンのCPUがメモリに記憶されている時間表示プログラムを実行することにより実現される。なお、第3実施形態に係る時間表示方法についても、その基本構成と同じく、秒表示部52に関する表示方法以外は第2実施形態に係る時間表示方法と同じであるため、異なる部分を中心に説明する。
【0032】
第3実施形態に係る時間表示方法では、秒表示部52として表示させる画像を予め設定しておくか、あるいは、ユーザが任意に選択する。そして、取得した時刻情報に基づいて、時間経過に応じてユーザが設定した周期で文字盤の奥行方向に円弧の範囲内を往復(本例では3~5秒で一往復)するような動作をするように秒表示部52を表示する。こうして、スマートフォンを、時計50の時刻表示面12を表示する時刻表示手段として機能させることにより、本実施形態に係る時間表示方法を実行させるのである。
【0033】
以上、本発明に係るアナログ時計、時間表示方法、および、時間表示プログラムを実施形態に基づいて説明したが、本発明は、上記した形態に限らないことは勿論であり、例えば、以下のように変形した形態で実施しても構わない。
【0034】
<変形例>
(1)上記第1実施形態および第2実施形態では、秒針20(秒表示部32)が円弧22,24(34)の範囲内を一定周期で往復したが、円弧の態様(中心角の大きさや位置)については特に限定されるものではない。文字盤14の領域内であれば、任意の位置および範囲に設定することが可能である。また、第3実施形態においても、秒表示部52の位置や大きさは、文字盤14の領域内であれば任意に設定を変更することが可能である。
【0035】
(2)上記第1実施形態では、秒針20がその長手方向の中点を回転中心としていたが、秒針は一般的な時計と同じもの、すなわち、回転中心が一方の端部側にある仕様であっても構わない。また、上記第2実施形態では、秒表示部32は円形の表示領域内に表示されていたが、その形状や大きさについても適宜変更することが可能である。例えば、イメージキャラクターを表示させるのであれば、そのキャラクターの輪郭形状をそのまま表示させても構わない。さらに、時間の経過に応じて円弧形状の軌跡を表示させるような形態の秒表示部を採用してもよい。この場合、所定の中心角を有する円弧が一端側から他端側まで表示されるとその表示を一旦リセットして、今度は他端側から一端側へ円弧を表示させる。このように、所定の中心角を有する円弧の範囲内を一端側と他端側の間でその長さを変化させながら往復する動作を繰り返すようにする。あるいは、秒針の動きに連動して秒針の先端部分に円弧の軌跡を表示させるような態様であっても構わない。
【0036】
(3)上記第1実施形態では、秒針20が1つであったが、秒針は複数であっても構わない。例えば、ある基点から2つの秒針を同時に逆方向へ回転させ、2つの秒針が出会うタイミングでそれぞれの回転方向を反転させるといった形態で実施することとしても構わない。この場合においても、文字盤の領域内であれば秒針の位置や長さは任意に設定を変更することが可能である。
【0037】
(4)上記した各実施形態および変形例では、スマートフォンのディスプレイに表示される時計を例示したが、これに限らず、スマートウォッチ、タブレット、ノートパソコンなどの携帯情報端末、あるいは、デスクトップ型のパソコンやテレビ、デジタルサイネージなどの電子機器に表示される時計にも適用することができる。また、当然ながら、腕時計、掛け時計、置き時計などの各種時計への適用も可能である。
【0038】
(5)上記した各実施形態および変形例は、携帯情報端末、各種電子機器、時計などに時刻表示プログラムが標準的に組み込まれた態様のものを前提として説明してきたが、インターネット経由でユーザに提供されるアプリケーションプログラムとしての実施であっても同様の効果が得られることは言うまでもない。
【0039】
(6)上記実施形態および変形例は、電子機器の表示画面に表示される時計を例示しているが、機械式やクォーツ式の時計に適用することとしても勿論構わない。
【0040】
本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で当業者の知識に基づいて種々なる改良、修正、又は変形を加えた態様でも実施できる。また、同一の作用又は効果が生じる範囲内で、何れかの発明特定事項を他の技術に置換した形態で実施しても良い。
【符号の説明】
【0041】
10、30、50: 時計
16: 時針
18: 分針
20: 秒針
32、52: 秒表示部
【要約】
【課題】アナログ時計において新たな感覚の時間表示方式を提供すること。
【解決手段】秒針20を円弧22、24の範囲内で往復移動させる。または、時刻の秒を表示する秒表示部32を時間の経過に応じて円弧34の範囲内で往復させる。このように、時刻を表示するための要素である秒針20または秒表示部32が1周する前に移動する方向を定期的に反転させることで、従来の単調な表示方式とは異なる新たな感覚の時間表示方式を提供することが可能となる。
【選択図】
図1