(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-05
(45)【発行日】2024-04-15
(54)【発明の名称】プラント資材マッチング装置、及び、プラント資材マッチング方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/06 20230101AFI20240408BHJP
G06Q 50/04 20120101ALI20240408BHJP
【FI】
G06Q10/06
G06Q50/04
(21)【出願番号】P 2023575450
(86)(22)【出願日】2022-04-26
(86)【国際出願番号】 JP2022018905
(87)【国際公開番号】W WO2023209811
(87)【国際公開日】2023-11-02
【審査請求日】2023-12-06
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519355493
【氏名又は名称】日揮グローバル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100214248
【氏名又は名称】青山 純
(74)【代理人】
【識別番号】100214260
【氏名又は名称】相羽 昌孝
(72)【発明者】
【氏名】片岡 仁志
(72)【発明者】
【氏名】李 万宇
(72)【発明者】
【氏名】大堀 智広
(72)【発明者】
【氏名】平岡 潤一郎
【審査官】庄司 琴美
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-094756(JP,A)
【文献】特開2002-073832(JP,A)
【文献】特開2017-010320(JP,A)
【文献】特開2003-141392(JP,A)
【文献】特開2010-134750(JP,A)
【文献】特開2010-049378(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラントで使用される必要資材の必須スペックと前記必要資材の詳細スペックとを含むリクエストを受け付けて、1又は複数のプラント事業者が前記プラント事業者に固有の管理規則に基づいて資材情報を管理している余剰資材から、前記リクエストに対する前記余剰資材のマッチングを行うプラント資材マッチング装置であって、
前記リクエストに含まれる前記詳細スペックを記述した記述内容を詳細スペック抽出モデルに入力することで前記必要資材の詳細スペック特徴量を取得する必要資材解析部と、
前記余剰資材の各々に対して、前記資材情報から前記余剰資材の前記必須スペックを取得する必須スペック取得処理と、前記資材情報を前記詳細スペック抽出モデルに入力することで前記余剰資材の前記詳細スペック特徴量を取得する詳細スペック特徴量取得処理とを行う余剰資材解析部と、
前記余剰資材のうち、前記余剰資材の前記必須スペックが前記必要資材の前記必須スペックに合致する前記余剰資材を、候補資材として絞り込む候補資材絞り込み部と、
前記候補資材の各々に対して、前記必要資材の前記詳細スペック特徴量と前記候補資材の前記詳細スペック特徴量とを類似度算出モデルに入力することで前記詳細スペック特徴量の類似度を算出し、その算出した前記類似度に基づいて、前記マッチングを行うマッチング処理部とを備える、
プラント資材マッチング装置。
【請求項2】
前記マッチング処理部は
前記類似度の高い順に、前記候補資材にランキングを付与し、
前記ランキングの付与結果を、前記リクエストの受付元に対するレスポンスとして出力する、
請求項1に記載のプラント資材マッチング装置。
【請求項3】
前記マッチング処理部は
前記類似度と、前記候補資材の在庫数及び調達コストの少なくとも一方とに基づいて、前記候補資材のランキングを付与し、
前記ランキングの付与結果を、前記リクエストの受付元に対するレスポンスとして出力する、
請求項2に記載のプラント資材マッチング装置。
【請求項4】
前記マッチング処理部は
前記レスポンスを前記受付元に出力する前に、前記レスポンスを前記マッチングの管理事業者に出力し、
前記管理事業者から前記候補資材の絞り込み結果、前記類似度の算出結果、及び、前記ランキングの付与結果のいずれかに対する修正指示を受け付けたとき、前記修正指示を反映した前記レスポンスを前記受付元に出力する、
請求項2又は請求項3に記載のプラント資材マッチング装置。
【請求項5】
前記マッチング処理部は
前記レスポンスを前記受付元に出力した後に、
前記候補資材のうち、前記リクエストに対する前記必要資材として選択した選択資材を前記受付元から受け付けたとき、
前記ランキングの付与結果と前記選択資材とに基づいて、前記詳細スペック抽出モデル及び前記類似度算出モデルの少なくとも一方を更新する、
請求項2又は請求項3に記載のプラント資材マッチング装置。
【請求項6】
前記プラント事業者から前記余剰資材に関する在庫情報を収集し、記憶部に登録する在庫情報管理部をさらに備え、
前記余剰資材解析部は、
新たに収集された前記在庫情報に対して、前記必須スペック取得処理及び前記詳細スペック特徴量取得処理を行い、
前記在庫情報管理部は、
前記必須スペック取得処理及び前記詳細スペック特徴量取得処理により取得された前記余剰資材の前記必須スペック及び前記詳細スペック特徴量を、前記在庫情報として前記記憶部に登録し、
前記候補資材絞り込み部は、
前記記憶部に登録された前記在庫情報を参照し、前記在庫情報として登録された前記余剰資材の前記必須スペックに基づいて、前記候補資材を絞り込み、
前記マッチング処理部は、
前記記憶部に登録された前記在庫情報を参照し、前記在庫情報として登録された前記候補資材の前記詳細スペック特徴量に基づいて、前記マッチングを行う、
請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のプラント資材マッチング装置。
【請求項7】
コンピュータ
により実行されて、プラントで使用される必要資材の必須スペックと前記必要資材の詳細スペックとを含むリクエストを受け付けて、1又は複数のプラント事業者が前記プラント事業者に固有の管理規則に基づいて資材情報を管理している余剰資材から、前記リクエストに対する前記余剰資材のマッチングを行うプラント資材マッチング方法であって、
前記リクエストに含まれる前記詳細スペックを記述した記述内容を詳細スペック抽出モデルに入力することで前記必要資材の詳細スペック特徴量を取得する必要資材解析工程と、
前記余剰資材の各々に対して、前記資材情報から前記余剰資材の前記必須スペックを取得する必須スペック取得処理と、前記資材情報を前記詳細スペック抽出モデルに入力することで前記余剰資材の前記詳細スペック特徴量を取得する詳細スペック特徴量取得処理とを行う余剰資材解析工程と、
前記余剰資材のうち、前記余剰資材の前記必須スペックが前記必要資材の前記必須スペックに合致する前記余剰資材を、候補資材として絞り込む候補資材絞り込み工程と、
前記候補資材の各々に対して、前記必要資材の前記詳細スペック特徴量と前記候補資材の前記詳細スペック特徴量とを類似度算出モデルに入力することで前記詳細スペック特徴量の類似度を算出し、その算出した前記類似度に基づいて、前記マッチングを行うマッチング処理工程とを備える、
プラント資材マッチング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラント資材マッチング装置、及び、プラント資材マッチング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プラントには、多数の資材が使用されているため、プラントを管理するプラント事業者は、交換用に事前に調達した資材(予備部品、スペアパーツ等ともいう)や建設時に余った資材を在庫として保有し、その在庫管理を適切に行う必要がある。例えば、特許文献1には、予備部品の在庫管理を行うための情報として、予備部品番号、名称等を用いて、予備部品の在庫数量を管理するプラント設備保全情報管理装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
プラント事業者は、保全作業に備えて、交換用に事前に調達した資材や建設時に余った資材を在庫として、品種が異なる複数の資材(余剰資材)を保有しているが、例えば、突発的な異常や故障の発生、調達資材の納期遅延等の諸事情により、自己の保有する品種の余剰資材だけでは対応できず、緊急で調達が必要となる資材(必要資材)が発生する場合がある。
【0005】
そのような場合に、複数のプラント事業者の間で、互換性を有する資材を融通し合うことができれば、必要資材を適時に調達することができると考えられる。しかしながら、各プラント事業者は、プラント事業者に固有の管理規則をそれぞれ用いて余剰資材の管理を行っている。したがって、プラント事業者が必要とする必要資材に対して互換性を有する余剰資材が他のプラント事業者にて保有されている状況であっても、上記のような管理規則の違いにより、必要資材に対して余剰資材をマッチングさせることが困難であった。
【0006】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、プラント事業者が必要とする必要資材に対して、他のプラント事業者が保有する余剰資材をマッチングさせることを可能とするプラント資材マッチング装置、及び、プラント資材マッチング方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係るプラント資材マッチング装置は、
プラントで使用される必要資材の必須スペックと前記必要資材の詳細スペックとを含むリクエストを受け付けて、1又は複数のプラント事業者が前記プラント事業者に固有の管理規則に基づいて資材情報を管理している前記余剰資材から、前記リクエストに対する前記余剰資材のマッチングを行うプラント資材マッチング装置であって、
前記リクエストに含まれる前記詳細スペックを記述した記述内容を詳細スペック抽出モデルに入力することで前記必要資材の詳細スペック特徴量を取得する必要資材解析部と、
前記余剰資材の各々に対して、前記資材情報から前記余剰資材の前記必須スペックを取得する必須スペック取得処理と、前記資材情報を前記詳細スペック抽出モデルに入力することで前記余剰資材の前記詳細スペック特徴量を取得する詳細スペック特徴量取得処理とを行う余剰資材解析部と、
前記余剰資材のうち、前記余剰資材の前記必須スペックが前記必要資材の前記必須スペックに合致する前記余剰資材を、候補資材として絞り込む候補資材絞り込み部と、
前記候補資材の各々に対して、前記必要資材の前記詳細スペック特徴量と前記候補資材の前記詳細スペック特徴量とを類似度算出モデルに入力することで前記詳細スペック特徴量の類似度を算出し、その算出した前記類似度に基づいて、前記マッチングを行うマッチング処理部とを備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様に係るプラント資材マッチング装置によれば、必要資材の必須スペック及び詳細スペックを含むリクエストをプラント事業者から受け付けると、候補資材絞り込み部が、余剰資材のうち、余剰資材の必須スペックが必要資材の必須スペックに合致する余剰資材を候補資材として絞り込み、マッチング処理部が、必要資材の詳細スペックを記述した記述内容を詳細スペック抽出モデルに入力することで取得された必要資材の詳細スペック特徴量と、候補資材の資材情報を詳細スペック抽出モデルに入力することで取得された候補資材の詳細スペック特徴量とを類似度算出モデルに入力することで詳細スペック特徴量の類似度を算出し、その算出した類似度に基づいて、必要資材のリクエストに対する余剰資材のマッチングを行う。したがって、各プラント事業者が、プラント事業者に固有の管理規則に基づいて余剰資材の管理をそれぞれ行っている場合であっても、プラント事業者が必要とする必要資材に対して、他のプラント事業者が保有する余剰資材をマッチングさせることができる。
【0009】
上記以外の課題、構成及び効果は、後述する発明を実施するための形態にて明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】プラント資材マッチングシステム1及びプラント10の一例を示す全体図である。
【
図2】プラント資材マッチング装置2の一例を示すブロック図である。
【
図3】在庫情報管理部200及び余剰資材解析部201の一例を示す機能説明図である。
【
図4】在庫情報データベース210の一例を示すデータ構成図である。
【
図5】リクエスト受付部202、必要資材解析部203、候補資材絞り込み部204及びマッチング処理部205の一例を示す機能説明図である。
【
図6】各装置を構成するコンピュータ900の一例を示すハードウエア構成図である。
【
図7】プラント資材マッチングシステム1における余剰資材12の在庫情報収集処理の一例を示すフローチャートである。
【
図8】プラント資材マッチングシステム1における、必要資材13に対する余剰資材12のマッチング処理の一例を示すフローチャートである。
【
図9】プラント資材マッチングシステム1における、必要資材13に対する余剰資材12のマッチング処理の一例を示すフローチャート(
図8の続き)である。
【
図10】プラント資材マッチングシステム1における、必要資材13に対する余剰資材12のマッチング処理の一例を示すフローチャート(
図9の続き)である。
【
図11】リクエスト入力画面6の一例を示す図である。
【
図12】マッチング結果画面7の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明を実施するための実施形態について説明する。以下では、本発明の目的を達成するための説明に必要な範囲を模式的に示し、本発明の該当部分の説明に必要な範囲を主に説明することとし、説明を省略する箇所については公知技術によるものとする。
【0012】
(プラント資材マッチングシステム1の構成)
図1は、プラント資材マッチングシステム1及びプラント10の一例を示す全体図である。プラント資材マッチングシステム1は、プラント10で使用される資材11のマッチングを行うことにより、プラント事業者4(A、B、C、…、X)を支援するシステムとして機能する。
【0013】
プラント10は、例えば、天然ガスプラント、原油生産プラント、石油精製プラント、化学プラント、水素プラント、アンモニアプラント、発電プラント、再生可能エネルギープラント、原子力プラント、製鉄プラント等の任意のプラントであり、これらの例に限られない。プラント10は、気体、液体、流動性を有する粉粒体等の任意の流体を処理するための各種の資材11で構成される。プラント10は、プラント事業者4により運転管理、保全作業、改修作業等が行われることで、原材料から製品を製造する製造プロセスを実施する。
【0014】
資材11は、プラント10を構成する部材、設備、機器等に区分されて管理される任意の構成要素である。部材の種類としては、例えば、配管、フランジ、継手、ガスケット、電力線、通信線等が挙げられる。設備の種類としては、例えば、反応塔、蒸留塔、タンク、ボイラ、加熱炉、熱交換器等が挙げられる。機器の種類としては、例えば、配管を流れる流体の流量、圧力、温度、液位、成分等を測定し、その測定結果を示すセンサ信号を出力する計器、制御信号が入力されて、配管を流れる流体の流量、圧力、温度、液位、成分等を制御するバルブ、ポンプ、コンプレッサ等の制御器、計器及び制御器に接続されて、製造プロセスの運転制御、緊急停止等を行う制御コントローラ、プラント10の各部に電源を供給する電源装置等が挙げられる。なお、資材11は、上記の例に限られず、また、資材11の区分方法についても上記の例に限られない。
【0015】
資材11は、資材11の設置場所、用途、機能等に応じて使用される品種が決められており、資材11の品種は、各種のスペック(仕様)がそれぞれ指定されることで特定される。スペックは、例えば、複数のスペック項目に対してスペックパラメータ(数値、項目値等)がそれぞれ指定される。スペック項目としては、資材11の種類、サイズ、形状、材質等が挙げられる。そして、プラント資材マッチングシステム1では、複数のスペック項目のうち、マッチングを行う上でスペックパラメータの合致が必須となるスペック項目を「必須スペック」として扱い、マッチングを行う上で資材11を詳細に比較するためのスペック項目を「詳細スペック」として扱う。
【0016】
資材11は、保全作業や改修作業により交換されたり、異常(予兆でもよい)や故障が発生したときに交換されたりするため、プラント事業者4は、品種が異なる複数の資材11(以下「余剰資材12」という)を予備として保有している。なお、プラント事業者4は、建設時に余った資材11についても余剰資材12として保有していてもよい。そして、プラント事業者4は、それら余剰資材12に対して、プラント事業者4に固有の管理規則に基づいて、余剰資材データベース装置41に登録することで、複数の余剰資材12の在庫情報(例えば、余剰資材12の品種毎の資材情報、在庫数、保管場所等)を管理している。一方、プラント事業者4は、突発的な異常や故障の発生、調達資材の納期遅延等の諸事情により、自己の保有する品種の余剰資材12だけでは対応できず、緊急で調達が必要となる資材11(以下「必要資材13」という)が発生する場合がある。
【0017】
そこで、プラント資材マッチングシステム1は、プラント事業者4(以下「協力事業者」といい、
図1では、協力事業者A~Cが相当)が保有する余剰資材12と、協力事業者A~Cとは異なるプラント事業者4(以下「リクエスト事業者」といい、
図1の例では、リクエスト事業者Xが相当)が必要とする必要資材13とのマッチングを行うシステムとして機能する。なお、複数のプラント事業者4の各々は、状況に応じて協力事業者及びリクエスト事業者のいずれにもなり得るが、協力事業者としてプラント資材マッチングシステム1を利用するだけでもよいし、リクエスト事業者としてプラント資材マッチングシステム1を利用するだけでもよい。
【0018】
プラント資材マッチングシステム1は、その主要な構成要素として、プラント資材マッチング装置2を備える。プラント資材マッチング装置2は、有線又は無線のネットワーク5を介して、プラント資材マッチングシステム1の管理事業者3が使用する管理事業者端末装置30と、複数のプラント事業者4が使用するプラント事業者端末装置40及び余剰資材データベース装置41とに接続される。各装置は、例えば、汎用又は専用のコンピュータ(後述の
図6参照)で構成されるとともに、ネットワーク5を介して各種のデータを相互に送受信可能に構成される。なお、各装置の数やネットワーク5の構成は、
図1の例に限られない。
【0019】
プラント資材マッチング装置2は、例えば、サーバ型コンピュータやクラウド型コンピュータで構成される。プラント資材マッチング装置2は、協力事業者から余剰資材12に関する在庫情報を収集し、在庫情報データベース210に登録する。そして、プラント資材マッチング装置2は、リクエスト事業者から必要資材13のリクエストを受け付けると、在庫情報データベース210に登録された協力事業者の余剰資材12から、リクエストに対する余剰資材12のマッチングを行い、マッチングの処理結果をレスポンスとしてリクエスト事業者に出力する。
【0020】
管理事業者端末装置30は、例えば、据置型コンピュータや携帯型コンピュータで構成され、管理事業者3により使用される。管理事業者端末装置30は、アプリケーションやブラウザ等のプログラムがインストールされて、各種の入力操作を受け付けるとともに、表示画面や音声を介して各種の情報を出力する。管理事業者端末装置30は、例えば、在庫情報データベース210の内容、リクエストの内容、マッチングの処理結果等を表示画面に表示したり、表示画面上で、例えば、在庫情報データベース210に登録済みの在庫情報を確認・修正したり、レスポンスを確認・修正したりする入力操作を受け付けることで、管理事業者3を支援する。
【0021】
プラント事業者端末装置40は、例えば、据置型コンピュータや携帯型コンピュータで構成され、プラント事業者4により使用される。プラント事業者端末装置40は、アプリケーションやブラウザ等のプログラムがインストールされて、各種の入力操作を受け付けるとともに、表示画面や音声を介して各種の情報を出力する。プラント事業者端末装置40は、余剰資材データベース装置41の内容、マッチングの処理結果を表示画面に表示したり、余剰資材データベース装置41に新たな余剰資材12を登録したり、登録済みの余剰資材12を確認・修正したり、必要資材13のリクエストを指示したり、レスポンスを確認したりする入力操作を受け付けることで、プラント事業者4を支援する。
【0022】
余剰資材データベース装置41は、例えば、サーバ型コンピュータやクラウド型コンピュータで構成される。余剰資材データベース装置41は、余剰資材12を管理するためのデータベースを備え、プラント事業者4に固有の管理規則に基づいて自己の保有する複数の余剰資材12の在庫情報を管理する。なお、プラント事業者端末装置40及び余剰資材データベース装置41は、1つの装置で実現されてもよい。
【0023】
ここで、管理規則とは、余剰資材12の管理において使用される資材情報の内容を定める規則であり、各プラント事業者4によりそれぞれ定められる。資材情報は、管理規則に基づいて余剰資材12の各々に付与される情報であり、例えば、資材名称と、スペック項目(余剰資材12の種類、サイズ、形状、材質等)に対するスペックパラメータ(数値、項目値等)とを含む。資材情報は、例えば、所定の長さを有する文字列により記録される。管理規則は、例えば、管理項目と、管理項目の表記順序と、管理項目の表記規則とが定められる。管理項目では、資材名称と、複数のスペック項目のうち管理対象とするスペック項目とが特定され、例えば、「資材名称」、「サイズ」、「形状」、「材質」のように特定される。管理項目の表記順序では、資材名称や管理対象のスペック項目に対するスペックパラメータを文字列として表記する際の順序が特定され、例えば、1番目=「資材名称」、2番目=「材質」、3番目=「サイズ」、4番目=「形状」のように特定される。管理項目の表記規則では、資材名称や管理対象のスペック項目に対するスペックパラメータを表記する際の規則が特定され、例えば、「サイズ」に対して直径を記録するときは、接頭語「DN」を付加してミリ単位のサイズを記録するように特定される。管理規則は、上記のように、プラント事業者4毎に定められるため、例えば、管理対象のスペック項目は、各プラント事業者4により異なる。また、余剰資材12に資材名称を付与する際の表記規則についても各プラント事業者4により異なる。
【0024】
(プラント資材マッチング装置2の構成)
図2は、プラント資材マッチング装置2の一例を示すブロック図である。プラント資材マッチング装置2は、プロセッサ等により構成される制御部20と、HDD、SSD、メモリ等により構成される記憶部21と、ネットワーク5との通信インターフェースである通信部22と、キーボード、マウス等により構成される入力部23と、ディスプレイ等により構成される表示部24とを備える。なお、入力部23及び表示部24は省略されてもよい。
【0025】
記憶部21は、在庫情報データベース210、必須スペック抽出モデル211、詳細スペック抽出モデル212、類似度算出モデル213、及び、プラント資材マッチングプログラム214を記憶するとともに、オペレーティングシステム、他のプログラム、各種のデータ等を記憶する。
【0026】
制御部20は、記憶部21に記憶されたプラント資材マッチングプログラム214を実行することにより、在庫情報管理部200、余剰資材解析部201、リクエスト受付部202、必要資材解析部203、候補資材絞り込み部204、マッチング処理部205、及び、調達支援処理部206として機能する。
【0027】
図3は、在庫情報管理部200及び余剰資材解析部201の一例を示す機能説明図である。
図3には、説明の簡素化のため、プラント事業者4のうち、2つのプラント事業者4(協力事業者A、B)から余剰資材12の在庫情報を収集する例が示されているが、他のプラント事業者4からも同様に、余剰資材12の在庫情報が収集される。
【0028】
在庫情報管理部200は、協力事業者が管理する余剰資材データベース装置41から余剰資材12に関する在庫情報を収集し、記憶部21の在庫情報データベース210に登録する。例えば、在庫情報管理部200は、所定の収集条件が満たされたとき(時間周期が経過したとき、余剰資材データベース装置41が更新されたとき、管理事業者3から収集指示を受け付けたとき等)、余剰資材データベース装置41から最新の在庫情報(前回からの差分でもよい)を取得することで、例えば、余剰資材12の品種毎の資材情報、在庫数、保管場所等を取得する。そして、在庫情報管理部200は、余剰資材12の資材情報から後述の必須スペック取得処理及び詳細スペック特徴量取得処理により取得された余剰資材12の必須スペック及び詳細スペック特徴量を、在庫情報として在庫情報データベース210に登録する。
【0029】
余剰資材解析部201は、資材情報が付与された余剰資材12の各々に対して、資材情報から余剰資材12の必須スペックを取得する必須スペック取得処理と、資材情報を詳細スペック抽出モデル212に入力することで余剰資材12の詳細スペック特徴量を取得する詳細スペック特徴量取得処理とを行う。
【0030】
資材情報は、協力事業者が自己の保有する余剰資材12の品種を管理するために、余剰資材12に付与した資材名称や、スペック項目(余剰資材12の種類、サイズ、形状、材質等)に対するスペックパラメータ(数値、項目値等)を含む。そのため、必須スペック取得処理では、各協力事業者における余剰資材12の資材情報を、協力事業者毎に作成された必須スペック抽出モデル211(
図3の例では、協力事業者A、B向けにそれぞれ作成された必須スペック抽出モデル211A、211B)にそれぞれ入力することで、余剰資材12の必須スペックを取得する。必須スペック抽出モデル211としては、例えば、管理事業者3が各協力事業者の資材情報(管理規則)を分析することで得られた知見を再現するためのルールベースモデルが用いられる。必須スペック抽出モデル211は、例えば、資材情報を構成する文字列から特定の単語を検索したり、文字列全体のうち特定の範囲に位置する文字列の意味を解釈したりするものである。
【0031】
また、詳細スペック取得処理では、各協力事業者における資材情報を、詳細スペック抽出モデル212にそれぞれ入力することで、余剰資材12の詳細スペック特徴量を取得する。詳細スペック抽出モデル212としては、例えば、資材情報を構成する文字列をベクトル化するための機械学習済みの自然言語モデルが用いられる。その場合、詳細スペック抽出モデル212に入力された資材情報は、ベクトルに変換されて、詳細スベック特徴量として出力される。なお、詳細スペック抽出モデル212は、各協力事業者で共通の自然言語モデルを使用することを基本とするが、協力事業者毎に作成された自然言語モデルを使用してもよい。また、詳細スペック抽出モデル212は、例えば、プラント10や資材11で使用される専門用語を用いて機械学習が行われたものでもよい。
【0032】
なお、余剰資材解析部201は、在庫情報管理部200により最新の在庫情報が取得された度に、その新たに収集された最新の在庫情報に対して、必須スペック取得処理及び詳細スペック特徴量取得処理を行うようにすればよい。
【0033】
図4は、在庫情報データベース210の一例を示すデータ構成図である。在庫情報データベース210には、各プラント10がそれぞれ保有している余剰資材12の在庫情報が登録される。在庫情報データベース210は、例えば、余剰資材12の品種を識別するための余剰資材ID毎にレコードを有するとともに、各レコードは、資材情報、保有事業者、在庫数、保管場所、必須スペック、詳細スペック等が登録可能なフィールドを有する。余剰資材IDは、例えば、在庫情報管理部200が新たな余剰資材12の在庫情報を登録する度に在庫情報管理部200により発行されて、その余剰資材12に付与される。なお、在庫情報データベース210は、管理事業者端末装置30から参照可能でもよく、管理事業者端末装置30の表示画面において、各データの追加、削除、修正等の編集操作が管理事業者3により行われるようにしてもよい。
【0034】
在庫情報データベース210のデータ構成は、上記の例に限られず適宜変更してもよく、上記のデータの一部が省略されてもよいし、上記以外のデータが追加されてもよい。また、在庫情報データベース210の一部若しくは全部は、ネットワーク5に接続可能な外部装置(複数でもよい)に記憶されていてもよく、その場合には、制御部20は、通信部22を介して外部装置にアクセスすればよい。
【0035】
図5は、リクエスト受付部202、必要資材解析部203、候補資材絞り込み部204及びマッチング処理部205の一例を示す機能説明図である。
図5では、説明の簡素化のため、プラント事業者4のうち、1つのプラント事業者4(リクエスト事業者X)から必要資材13のリクエストを受け付ける場合について説明するが、他のプラント事業者4からも同様に、必要資材13のリクエストを受け付ける。
【0036】
リクエスト受付部202は、リクエスト事業者が使用するプラント事業者端末装置40から、必要資材13の必須スペック及び詳細スペックを含むリクエストを受け付ける。例えば、リクエスト受付部202は、必須スペック及び詳細スペックを入力し、リクエストの要求指示を受け付けるための表示画面をプラント事業者端末装置40に表示させ、その表示画面を介して、リクエスト事業者による要求指示を受け付けることで、ユーザインターフェースとして機能する。リクエストは、リクエスト事業者による要求指示に基づいて生成される。リクエストには、例えば、必要資材13の必須スペックを指定した指定内容と、必要資材13の詳細スペックを文字列として記述した記述内容とが含まれる。
【0037】
必要資材解析部203は、余剰資材解析部201の詳細スペック取得処理と同様に、リクエストに含まれる詳細スペックを記述した記述内容(文字列)を詳細スペック抽出モデル212に入力することで、必要資材13の詳細スペック特徴量を取得する。なお、リクエストに含まれる必須スペックを指定した指定内容は、必須スペックをそのまま表すものであるため、必要資材解析部203は、リクエストに含まれる必須スペックを解析する必要はないが、必須スペックの指定内容によっては、余剰資材解析部201の必須スペック取得処理と同様に、必須スペックの指定内容を必須スペック抽出モデル211に入力することで、必要資材13の必須スペックを取得するようにしてもよい。
【0038】
候補資材絞り込み部204は、在庫情報データベース210に登録された余剰資材12のうち、余剰資材12の必須スペックが必要資材13の必須スペックに合致する余剰資材12を、候補資材12aとして絞り込む。すなわち、候補資材絞り込み部204は、必須スペックをフィルタとするフィルタ処理を行うものであり、候補資材12aは、少なくとも必要資材13の必須スペックに合致する余剰資材12に絞り込まれた結果に相当する。
【0039】
マッチング処理部205は、候補資材12aの各々に対して、必要資材13の詳細スペック特徴量と候補資材12aの詳細スペック特徴量とを類似度算出モデル213に入力することで詳細スペック特徴量の類似度を算出し、その算出した類似度に基づいて、マッチングを行う。類似度算出モデル213としては、例えば、詳細スペック特徴量としての2つのベクトル間のコサイン類似度を算出するための算出モデルが用いられる。なお、類似度算出モデル213は、2つの詳細スペック特徴量を入力とする算出式で定義されたものでもよいし、2つの詳細スペック特徴量同士の距離関数(例えば、ユークリッド距離、マンハッタン距離等)を算出するものでもよい。
【0040】
上記のように、候補資材絞り込み部204及びマッチング処理部205により2段階でマッチングが行われることにより、必要資材13の必須スペックを満たしつつ、必要資材13の詳細スペック特徴量に類似する候補資材12aが、マッチングの処理結果として出力される。
【0041】
そして、マッチング処理部205は、マッチングの処理結果をレスポンスとして出力する際、その処理結果を示す表示画面を管理事業者端末装置30やプラント事業者端末装置40に表示させ、その表示画面を介して、管理事業者3やリクエスト事業者から各種の指示を受け付けることで、ユーザインターフェースとして機能する。
【0042】
具体的には、マッチング処理部205は、詳細スペック特徴量の類似度の高い順に、候補資材12aにランキングを付与し、そのランキングの付与結果をリクエストの受付元に対するレスポンスとして出力する。リクエストの受付元は、リクエスト受付部202によりリクエストが受け付けられたときに、そのリクエストの要求指示を行ったリクエスト事業者が使用するプラント事業者端末装置40である。レスポンスは、例えば、候補資材12aの絞り込み結果である候補資材12aの一覧と、各候補資材12aの在庫情報(例えば、資材情報、在庫数、保管場所等)と、各候補資材12aに対するランキングとを含むデータである。
【0043】
なお、マッチング処理部205は、詳細スペック特徴量の類似度と、候補資材12aの在庫数及び調達コストの少なくとも一方とに基づいて、候補資材12aのランキングを付与し、そのランキングの付与結果をレスポンスとして出力するようにしてもよい。例えば、マッチング処理部205は、詳細スペック特徴量の類似度に基づくランキングを、候補資材12aの在庫数や調達コストに応じて補正するようにしてもよい。具体的には、マッチング処理部205は、相対的に在庫数が多い候補資材12aのランキングを高く補正してもよいし、相対的に調達コストが低い候補資材12aのランキングを高く補正してもよい。調達コストは、例えば、協力事業者が候補資材12aを調達したときのコストの他に、協力事業者における候補資材12aの保管場所からリクエスト事業者における候補資材12aの使用場所(プラント10)まで輸送したときのコストを考慮して算出されてもよい。
【0044】
また、マッチング処理部205は、ランキングの付与結果として、候補資材12aのうち、所定の順位よりも上位の候補資材12aだけをレスポンスとして出力するようにしてもよいし、詳細スペック特徴量の類似度が所定の基準値よりも高い候補資材12aだけをレスポンスとして出力するようにしてもよい。
【0045】
さらに、マッチング処理部205は、レスポンスをリクエストの受付元に出力する前に、そのレスポンスを管理事業者3に出力し、管理事業者3から候補資材12aの絞り込み結果、類似度の算出結果、及び、ランキングの付与結果のいずれかに対する修正指示を受け付けたとき、その修正指示を反映したレスポンスをリクエストの受付元に出力するようにしてもよい。例えば、マッチング処理部205は、候補資材12aの絞り込み結果から候補資材12aの一部を削除するような修正指示を受け付けた場合には、その修正指示により削除対象の候補資材12aを除外した後の候補資材12aに基づいて、レスポンスを出力する。また、マッチング処理部205は、特定の候補資材12aに対する類似度の算出結果を修正するような修正指示を受け付けた場合には、その修正指示により類似度の算出結果を修正し、その修正後の類似度の算出結果を反映したランキングに基づいて、レスポンスを出力する。さらに、マッチング処理部205は、ランキングの付与結果に対してランキングの一部を入れ替えるような修正指示を受け付けた場合には、その修正指示によりランキングを入れ替えた後のランキングに基づいて、レスポンスを出力する。これにより、管理事業者3による確認・修正が施されたマッチングの処理結果がリクエストの受付元に出力されるので、マッチングの処理結果の妥当性が担保されるとともに、管理事業者3のマッチング基準を必要に応じて反映することができる。
【0046】
また、マッチング処理部205は、レスポンスをリクエストの受付元に出力した後に、候補資材12aのうち、リクエストに対する必要資材13としてリクエスト事業者が選択した選択結果を示す選択資材12bをリクエストの受付元から受け付けたとき、ランキングの付与結果と、選択資材12bとに基づいて、詳細スペック抽出モデル212及び類似度算出モデル213の少なくとも一方を更新するようにしてもよい。例えば、マッチング処理部205は、ランキングの付与結果として下位のランキングが付与された候補資材12aが選択資材12bとして選択された場合には、その下位の候補資材12aの詳細スペック特徴量が必要資材13の詳細スペック特徴量に近くなるように、詳細スペック抽出モデル212を更新してもよいし、その下位の候補資材12aの詳細スペック特徴量と必要資材13の詳細スペック特徴量との類似度が高く算出されるように、類似度算出モデル213を更新してもよい。これにより、リクエスト事業者の選択結果が、詳細スペック抽出モデル212及び類似度算出モデル213の少なくとも一方にフィードバックされるので、マッチング処理部205のマッチング精度を向上させることができる。
【0047】
調達支援処理部206は、リクエスト事業者による選択資材12bの選択指示に基づいて、リクエスト事業者が協力事業者から選択資材12bを調達するための支援処理を行う。例えば、調達支援処理部206は、協力事業者及びリクエスト事業者の間で各種のデータを送受信することで、契約、決済、輸送等の手続を実施することで、リクエスト事業者による選択資材12bの調達を支援する。
【0048】
図6は、各装置を構成するコンピュータ900の一例を示すハードウエア構成図である。
【0049】
プラント資材マッチング装置2、管理事業者端末装置30、プラント事業者端末装置40及び余剰資材データベース装置41の各々は、汎用又は専用のコンピュータ900により構成される。コンピュータ900は、
図6に示すように、その主要な構成要素として、バス910、プロセッサ912、メモリ914、入力デバイス916、出力デバイス917、表示デバイス918、ストレージ装置920、通信I/F(インターフェース)部922、外部機器I/F部924、I/O(入出力)デバイスI/F部926、及び、メディア入出力部928を備える。なお、上記の構成要素は、コンピュータ900が使用される用途に応じて適宜省略されてもよい。
【0050】
プロセッサ912は、1つ又は複数の演算処理装置(CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro-processing unit)、DSP(digital signal processor)、GPU(Graphics Processing Unit)等)で構成され、コンピュータ900全体を統括する制御部として動作する。メモリ914は、各種のデータ及びプログラム930を記憶し、例えば、メインメモリとして機能する揮発性メモリ(DRAM、SRAM等)と、不揮発性メモリ(ROM)、フラッシュメモリ等とで構成される。
【0051】
入力デバイス916は、例えば、キーボード、マウス、テンキー、電子ペン等で構成され、入力部として機能する。出力デバイス917は、例えば、音(音声)出力装置、バイブレーション装置等で構成され、出力部として機能する。表示デバイス918は、例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、電子ペーパー、プロジェクタ等で構成され、出力部として機能する。入力デバイス916及び表示デバイス918は、タッチパネルディスプレイのように、一体的に構成されていてもよい。ストレージ装置920は、例えば、HDD、SSD等で構成され、記憶部として機能する。ストレージ装置920は、オペレーティングシステムやプログラム930の実行に必要な各種のデータを記憶する。
【0052】
通信I/F部922は、インターネットやイントラネット等のネットワーク940(
図1のネットワーク5と同じであってもよい)に有線又は無線により接続され、所定の通信規格に従って他のコンピュータとの間でデータの送受信を行う通信部として機能する。外部機器I/F部924は、カメラ、プリンタ、スキャナ、リーダライタ等の外部機器950に有線又は無線により接続され、所定の通信規格に従って外部機器950との間でデータの送受信を行う通信部として機能する。I/OデバイスI/F部926は、各種のセンサ、アクチュエータ等のI/Oデバイス960に接続され、I/Oデバイス960との間で、例えば、センサによる検出信号やアクチュエータへの制御信号等の各種の信号やデータの送受信を行う通信部として機能する。メディア入出力部928は、例えば、DVD(Digital Versatile Disc)ドライブ、CD(Compact Disc)ドライブ等のドライブ装置、メモリカードスロット、USBコネクタで構成され、DVD、CD、メモリカード、USBメモリ等のメディア(非一時的な記憶媒体)970に対してデータの読み書きを行う。
【0053】
上記構成を有するコンピュータ900において、プロセッサ912は、ストレージ装置920に記憶されたプログラム930をメモリ914に呼び出して実行し、バス910を介してコンピュータ900の各部を制御する。なお、プログラム930は、ストレージ装置920に代えて、メモリ914に記憶されていてもよい。プログラム930は、インストール可能なファイル形式又は実行可能なファイル形式でメディア970に記録され、メディア入出力部928を介してコンピュータ900に提供されてもよい。プログラム930は、通信I/F部922を介してネットワーク940経由でダウンロードすることによりコンピュータ900に提供されてもよい。また、コンピュータ900は、プロセッサ912がプログラム930を実行することで実現する各種の機能を、例えば、FPGA(field-programmable gate array)、ASIC(application specific integrated circuit)等のハードウエアで実現するものでもよい。
【0054】
コンピュータ900は、例えば、据置型コンピュータや携帯型コンピュータで構成され、任意の形態の電子機器である。コンピュータ900は、クライアント型コンピュータでもよいし、サーバ型コンピュータやクラウド型コンピュータでもよい。
【0055】
(プラント資材マッチングシステム1の動作)
以下、プラント資材マッチングシステム1による一連の動作について、
図7乃至
図12を参照して説明する。
【0056】
図7は、本実施形態に係るプラント資材マッチングシステム1における余剰資材12の在庫情報収集処理の一例を示すフローチャートである。ここでは、各協力事業者がそれぞれ管理する余剰資材データベース装置41に対して余剰資材12の在庫情報の収集条件が共通に設定されている場合について説明する。
【0057】
まず、ステップS100にて、プラント資材マッチング装置2の在庫情報管理部200は、余剰資材12の在庫情報を収集する所定の収集条件が満たされたか否かを監視する。その結果、在庫情報管理部200が、収集条件が満たされたと判定すると(ステップS100:「Yes」)、ステップS110にて、各余剰資材データベース装置41に対して在庫情報の取得要求を送信し、その応答として、各余剰資材データベース装置41における最新の在庫情報を取得する。なお、余剰資材データベース装置41に対する収集条件がそれぞれ異なる場合には、収集条件が満たされた余剰資材データベースに対してだけ在庫情報の取得要求を送信すればよい。また、在庫情報の収集条件の監視は、協力事業者側(例えば、プラント事業者端末装置40や余剰資材データベース装置41)でそれぞれ行われてもよい。
【0058】
次に、ステップS120にて、余剰資材解析部201は、ステップS110で取得し、在庫情報データベース210に登録した余剰資材12の在庫情報から処理対象の余剰資材12を順次選択し、必須スペック取得処理(ステップS121)及び詳細スペック特徴量取得処理(ステップS122)を繰り返すループ処理を行うことで、余剰資材12の各々の必須スペック及び詳細スペックを取得する。
【0059】
ステップS121にて、余剰資材解析部201は、処理対象の余剰資材12に付与された資材情報を、その余剰資材12を保有する協力事業者に対応する必須スペック抽出モデル211に入力することで、余剰資材12の必須スペックを取得する。
【0060】
次に、ステップS122にて、余剰資材解析部201は、処理対象の余剰資材12の資材情報を詳細スペック抽出モデル212に入力することで、余剰資材12の詳細スペック特徴量を取得する。
【0061】
そして、ステップS123にて、在庫情報管理部200は、ステップS121、S122により取得された余剰資材12の必須スペック及び詳細スペックを在庫情報データベース210に登録する。その際、在庫情報管理部200は、余剰資材12の必須スペック及び詳細スペックだけでなく、資材情報、在庫数、保管場所等についても在庫情報データベース210に登録する。そして、全ての余剰資材12に対してステップS121~S123の処理が繰り返し行われることで、S120のループ処理を抜ける。
【0062】
上記のようにして、
図7に示す一連の処理が終了すると、ステップS100に戻り、同様の処理が繰り返し行われることで、在庫情報データベース210には、各協力事業者がそれぞれ保管している余剰資材12の在庫情報が蓄積される。なお、上記の一連の処理において、ステップS100~S120、S123が在庫情報管理工程に相当し、ステップS120~S122が余剰資材解析工程に相当する。
【0063】
図8乃至
図10は、本実施形態に係るプラント資材マッチングシステム1における、必要資材13に対する余剰資材12のマッチング処理の一例を示すフローチャートである。ここで、リクエスト事業者が、プラント事業者端末装置40を用いてプラント資材マッチング装置2にアクセスし、プラント事業者端末装置40に表示されたリクエスト入力画面にて必要資材13の要求指示を入力する場合について説明する。
【0064】
まず、
図8に示すステップS200にて、リクエスト事業者によりプラント資材マッチングシステム1へのログイン処理が正常に行われると、プラント事業者端末装置40は、必要資材13のリクエストを入力するためのリクエスト入力画面6を表示する。
【0065】
図11は、リクエスト入力画面6の一例を示す図である。リクエスト入力画面6は、必要資材13の必須スペック入力欄60及び詳細スペック入力欄61と、リクエストの要求指示を行うリクエストボタン62とを備える。必須スペック入力欄60には、例えば、種類、サイズ、材質等のスペック項目に対して、数値を指定したり、項目値(選択肢)を指定したりすることでスペックパラメータが入力される。詳細スペック入力欄61は、例えば、文字列が記述されることで入力される。
【0066】
ステップS201にて、プラント事業者端末装置40は、リクエスト入力画面6にて入力された内容、すなわち、必須スペック入力欄60にて必要資材13の必須スペックを指定した指定内容と、詳細スペック入力欄61にて必要資材13の詳細スペックを文字列として記述した記述内容とをリクエストの要求指示として受け付けると、それらを含むリクエストをプラント資材マッチング装置2に送信する。
【0067】
次に、ステップS210にて、プラント資材マッチング装置2のリクエスト受付部202は、ステップS201で送信されたリクエストを受け付けると、ステップS220にて、必要資材解析部203は、そのリクエストに含まれる詳細スペックを記述した記述内容(文字列)を詳細スペック抽出モデル212に入力することで、必要資材13の詳細スペック特徴量を取得する。
【0068】
次に、ステップS230にて、候補資材絞り込み部204は、在庫情報データベース210を参照し、在庫情報データベース210に登録された余剰資材12のうち、余剰資材12の必須スペックが、ステップS210で受け付けられたリクエストに含まれる必要資材13の必須スペックに合致する余剰資材12を、候補資材12aとして絞り込む。
【0069】
次に、ステップS240にて、マッチング処理部205は、ステップS240で絞り込まれた候補資材12aから処理対象の候補資材12aを順次選択し、詳細スペック特徴量の類似度を算出する処理を繰り返すループ処理を行うことで、候補資材12aの各々に対して、詳細スペック特徴量の類似度を算出する。
【0070】
ステップS241にて、マッチング処理部205は、必要資材13の詳細スペック特徴量と、処理対象の候補資材12aの詳細スペック特徴量とを類似度算出モデル213に入力することで、詳細スペック特徴量の類似度を算出する。
【0071】
そして、
図9に示すステップS250にて、マッチング処理部205は、ステップS240によるループ処理の結果として取得された、必要資材13の詳細スペック特徴量に対する余剰資材12の各々の詳細スペック特徴量の類似度の高い順に、候補資材12aの各々にランキングを付与する。その際、マッチング処理部205は、候補資材12aの在庫数及び調達コストの少なくとも一方をさらに考慮してランキングを付与してもよい。
【0072】
次に、ステップS260にて、マッチング処理部205は、ステップS230での候補資材12aの絞り込み結果と、ステップS241での類似度の算出結果と、ステップS250でのランキングの付与結果とを含むレスポンスを生成し、リクエストの受付元(リクエスト事業者のプラント事業者端末装置40)に送信する前に、そのレスポンスを管理事業者端末装置30に送信する。
【0073】
次に、ステップS261にて、管理事業者端末装置30は、ステップS260で送信されたレスポンスに基づいて、レスポンス確認・修正画面(不図示)を表示し、ステップS262にて、そのレスポンス確認・修正画面にて管理事業者3からレスポンスの確認結果を受け付けると、その確認結果をプラント資材マッチング装置2に送信する。確認結果としては、管理事業者3によるレスポンスの修正内容を示す修正指示、又は、管理事業者3によるレスポンスに対する承認指示を含むものである。
【0074】
そして、ステップS263にて、マッチング処理部205は、ステップS262で送信されたレスポンスの確認結果を受け付けて、ステップS264にて、その確認結果がレスポンスの修正指示を含むか否かを判定する。その結果、マッチング処理部205が、その確認結果がレスポンスの修正指示を含むと判定すると(ステップS264:「Yes」)、ステップS265にて、その修正指示をレスポンスに反映することで、レスポンスを修正する。なお、レスポンスの確認結果がレスポンスの修正指示を含まず、承認指示を含むものである場合には(ステップS264:「No」)、レスポンスは修正されない。
【0075】
次に、ステップS270にて、マッチング処理部205は、ステップS263で修正指示を反映した修正後のレスポンス(レスポンスの確認結果が承認指示の場合には、ステップS260で生成したレスポンスと同一)を、リクエストの受付元(リクエスト事業者のプラント事業者端末装置40)に送信する。
【0076】
そして、
図10に示すステップS271にて、プラント事業者端末装置40は、ステップS270で送信されたレスポンスに基づいて、マッチング結果画面7を表示する。
【0077】
図12は、マッチング結果画面7の一例を示す図である。マッチング結果画面7は、候補資材12aの絞り込み結果と、ランキングの付与結果とをリスト形式にて表示するリスト表示欄70と、リスト表示欄70に表示された候補資材12aから選択資材12bを選択するための選択枠71と、選択資材12bの選択指示を行う選択ボタン72とを備える。
【0078】
ステップS272にて、プラント事業者端末装置40は、マッチング結果画面7にてリクエスト事業者が候補資材12aから選択資材12bを選択した選択指示を受け付けると、その選択指示をプラント資材マッチング装置2に送信する。
【0079】
そして、ステップS273にて、マッチング処理部205は、ステップS272で送信された選択資材12bの選択指示を受け付けると、ステップS274にて、ステップS250でのランキングの付与結果と、その選択資材12bの選択指示とに基づいて、詳細スペック抽出モデル212及び類似度算出モデル213の少なくとも一方を更新する。なお、マッチング処理部205は、詳細スペック抽出モデル212及び類似度算出モデル213を更新するか否かを管理事業者3(管理事業者端末装置30)に問い合わせてもよい。また、選択資材12bの選択指示が所定の選択条件を満たすとき(例えば、ランキングが1位の候補資材12aが選択資材12bとして選択されたとき等)、マッチング処理部205は、詳細スペック抽出モデル212及び類似度算出モデル213のいずれも更新しないようにしてもよい。
【0080】
次に、ステップS280にて、調達支援処理部206は、ステップS273で受け付けられた選択資材12bの選択指示に基づいて、リクエスト事業者がその選択資材12bを保有する協力事業者からその選択資材12bを調達するための各種の手続を支援する。
【0081】
上記のようにして、
図8乃至
図10に示す一連の処理が終了する。なお、上記の一連の処理において、ステップS210がリクエスト受付工程、ステップS220が必要資材解析工程、ステップS230が候補資材絞り込み工程、ステップS240~S274がマッチング処理工程、ステップS280が調達支援処理工程にそれぞれ相当する。
【0082】
以上のように、本実施形態に係るプラント資材マッチング装置2によれば、必要資材13の必須スペック及び詳細スペックを含むリクエストをプラント事業者4(リクエスト事業者)から受け付けたとき、候補資材絞り込み部204が、余剰資材12のうち、余剰資材12の必須スペックが必要資材13の必須スペックに合致する余剰資材12を候補資材12aとして絞り込み、マッチング処理部205が、必要資材13の詳細スペックを記述した記述内容を詳細スペック抽出モデル212に入力することで取得された必要資材13の詳細スペック特徴量と、候補資材12aの資材情報を詳細スペック抽出モデル212に入力することで取得された候補資材12aの詳細スペック特徴量とを類似度算出モデル213に入力することで詳細スペック特徴量の類似度を算出し、その算出した類似度に基づいて、必要資材13のリクエストに対する余剰資材12のマッチングを行う。したがって、各プラント事業者4が、プラント事業者4に固有の管理規則により余剰資材12の資材情報をそれぞれ管理していることで、本来互換性を有する資材11をマッチングさせることが困難な場合であっても、プラント事業者4(リクエスト事業者)が必要とする必要資材13に対して、他のプラント事業者4(協力事業者)が保有する余剰資材12をマッチングさせることができる。
【0083】
(他の実施形態)
本発明は上述した実施形態に制約されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することが可能である。そして、それらはすべて、本発明の技術思想に含まれるものである。
【0084】
上記実施形態では、プラント資材マッチング装置2が備える各部の機能は、1つの装置で実現されるものとして説明したが、各部の機能が複数の装置に分散されることで複数の装置で実現されてもよい。また、管理事業者端末装置30の制御部が、プラント資材マッチングプログラム214を実行することで、プラント資材マッチング装置2として機能するようにしてもよい。
【0085】
上記実施形態では、プラント資材マッチングシステム1が、
図7乃至
図10に示すフローチャートに従って動作する場合について説明したが、各ステップの実行順序を適宜変更してもよいし、一部のステップを省略してもよい。例えば、
図8乃至
図10に示すマッチング処理において、ステップS260~S265を省略してもよいし、ステップS274を省略してもよい。
【符号の説明】
【0086】
1…プラント資材マッチングシステム、2…プラント資材マッチング装置、
3…管理事業者、4…プラント事業者、5…ネットワーク、
6…リクエスト入力画面、7…マッチング結果画面、
10…プラント、11…資材、12…余剰資材、
12a…候補資材、12b…選択資材、13…必要資材、
20…制御部、21…記憶部、22…通信部、23…入力部、24…表示部、
30…管理事業者端末装置、40…プラント事業者端末装置、
41…余剰資材データベース装置、
200…在庫情報管理部、201…余剰資材解析部、202…リクエスト受付部、
203…必要資材解析部、204…候補資材絞り込み部、205…マッチング処理部、
206…調達支援処理部、210…在庫情報データベース、
211、211A、211B…必須スペック抽出モデル、
212…詳細スペック抽出モデル、213…類似度算出モデル
214…プラント資材マッチングプログラム