(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-05
(45)【発行日】2024-04-15
(54)【発明の名称】送風機および空気調和機の室内ユニット
(51)【国際特許分類】
F04D 29/28 20060101AFI20240408BHJP
F24F 1/0022 20190101ALI20240408BHJP
【FI】
F04D29/28 R
F24F1/0022
(21)【出願番号】P 2018058639
(22)【出願日】2018-03-26
【審査請求日】2020-07-03
【審判番号】
【審判請求日】2022-08-26
(73)【特許権者】
【識別番号】505461072
【氏名又は名称】東芝キヤリア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田畑 佳輝
(72)【発明者】
【氏名】深澤 佑介
【合議体】
【審判長】柿崎 拓
【審判官】村上 聡
【審判官】伊藤 秀行
(56)【参考文献】
【文献】特開平8-159091(JP,A)
【文献】特開2010-216486(JP,A)
【文献】特開2013-117233(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D29/28
F04D29/30
F24F 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータの回転軸に取り付けられるボス部と、前記ボス部を囲む複数の貫通穴とを備えた主板と、
前記主板と対向して配置されるシュラウドと、
前記主板と前記シュラウドとの間において合成樹脂により前記主板と一体に形成され、内部が前記貫通穴と連通するとともに前記主板側から前記シュラウド側に凹んだ凹部を含む複数のブレードと、を有する羽根車を備え、
前記ブレードは、前記主板に接した部分における前縁部から後縁部に向かう領域と、前記シュラウドに接した部分における前縁部から後縁部に向かう領域とが、前記モータの前記回転軸の軸方向から見て交差するように、前記主板側から前記シュラウド側にかけて、前記回転軸の軸方向に捩れた形状を有し、
前縁部から後縁部にいたる領域の
うち厚みが最大となる最厚部の厚みが、前記主板との境界面における前記前縁部から前記後縁部までの弦長の15%から25%の範囲に設定され、前記凹部の深さが、前記ブレードの全長の80%以上に設定され、
前記凹部の輪郭形状は、前記主板側から前記シュラウド側に向かい前記ブレードに沿って先細り状に肉抜きされ、
前記シュラウドは、複数の前記ブレードを覆うようにリング状に形成され、径方向に沿って傾斜し、
複数の前記ブレードには、それぞれ、前記主板と反対側に突起部が設けられ、
前記突起部は、径方向に沿って傾斜した前記シュラウドに接合されるように径方向に沿って真っ直ぐに傾斜して延在されている送風機。
【請求項2】
前記前縁部から前記最厚部までの距離が、前記弦長の15%から30%の範囲に設定された、請求項1に記載の送風機。
【請求項3】
前記シュラウドと、複数の前記ブレードとが、接合されている、請求項1に記載の送風機。
【請求項4】
箱状の本体と、
前記本体内に収容された熱交換器と、
前記本体内に収容され、前記熱交換器に空気を送風する請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の送風機と、を具備した空気調和機の室内ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、送風機および空気調和機の室内ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
天井裏に吊り下げられる天井埋め込み形の室内ユニットは、熱交換器で熱交換された空気を室内に送風する送風機を搭載している。この種の送風機に用いられる羽根車は、モータの回転軸に連結された主板と、主板と向かい合うリング状のシュラウドと、主板とシュラウドとの間に介在された複数のブレードと、を主要な要素として備えている。
【0003】
従来の羽根車は、主板とブレードとが一体に射出成形されているとともに、羽根車の軽量化を図るために、ブレードが主板に向けて開口された中空状に形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の羽根車は、射出成形時にブレードの表面にヒケが発生した場合、外形形状の寸法公差を満たさない可能性がある。この場合、その羽根車を備えた送風機や、その送風機を備えた空気調和機の室内ユニットは、所期の性能を満たさない虞がある。
【0006】
本発明の目的は、ヒケを抑制した羽根車を備えた送風機を得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態によれば、送風機は、羽根車を備えている。前記羽根車は、モータの回転軸に取り付けられるボス部と前記ボス部を囲む複数の貫通穴とを備えた主板と、前記主板と対向して配置されるシュラウドと、前記主板と前記シュラウドとの間において合成樹脂により前記主板と一体に形成され内部が前記貫通穴と連通するとともに前記主板側から前記シュラウド側に凹んだ凹部を含む複数のブレードと、を有する。
【0008】
前記ブレードは、前記主板に接した部分における前縁部から後縁部に向かう領域と、前記シュラウドに接した部分における前縁部から後縁部に向かう領域とが、前記モータの前記回転軸の軸方向から見て交差するように、前記主板側から前記シュラウド側にかけて、前記回転軸の軸方向に捩れた形状を有し、前縁部から後縁部にいたる領域のうち厚みが最大となる最厚部の厚みが、前記主板との境界面における前記前縁部から前記後縁部までの弦長の15%から25%の範囲に設定され、前記凹部の深さが、前記ブレードの全長の80%以上に設定されている。前記凹部の輪郭形状は、前記主板側から前記シュラウド側に向かい前記ブレードに沿って先細り状に肉抜きされている。前記シュラウドは、複数の前記ブレードを覆うようにリング状に形成され、径方向に沿って傾斜し、複数の前記ブレードには、それぞれ、前記主板と反対側に突起部が設けられ、前記突起部は、径方向に沿って傾斜した前記シュラウドに接合されるように径方向に沿って真っ直ぐに傾斜して延在されている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、空気調和機に用いられる天井埋め込み形の室内ユニットの斜視図である。
【
図2】
図2は、天井埋め込み形の室内ユニットの断面図である。
【
図10A】
図10Aは、実施形態に関して、前縁部から最厚部までの距離が、弦長の15%から30%に設定されているブレードを示す模式図である。
【
図10B】
図10Bは、対比例3に関して、前縁部から最厚部までの距離が、弦長の14%以下に設定されているブレードを示す模式図である。
【
図10C】
図10Cは、対比例4に関して、前縁部から最厚部までの距離が、弦長の31%以上に設定されているブレードを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施形態について図面を参照して説明する。
【0011】
図1は、空気調和機に用いられる天井埋め込み形の室内ユニット1の斜視図、
図2は、室内ユニット1の断面図である。
【0012】
図1および
図2に示すように、室内ユニット1は、天井裏に据え付けられた本体1aと、本体1aの下端に取り付けられた化粧パネル2と、を主要な要素として備えている。本体1aは、天井cに設けられた開口部aに室内側から挿入されるとともに、複数の吊りボルト(図示せず)を介して天井裏の梁から吊り下げられている。
【0013】
本体1aは、下向きに開口された箱型の要素であって、本体1aの内部の中央部に送風機3が配置されている。送風機3は、モータ4によって駆動される羽根車5を備えている。羽根車5としては、軸方向から空気を吸い込んで周方向に吐き出す、いわゆるターボファンを用いている。羽根車5の上端は、本体1aの天板1bで覆われているので、羽根車5の下端が吸込み側となる。
【0014】
羽根車5の吹き出し側となる羽根車5の周囲に熱交換器6が配置されている。熱交換器6の下にドレン水を受けるドレンパン7が配置されている。ドレンパン7の内側にベルマウス8が取り付けられている。ベルマウス8は、羽根車5の吸込み側と向かい合う吸込口9を構成している。
【0015】
化粧パネル2は、本体1aの下端を室内から覆っている。化粧パネル2は、天井cの下面から室内に露出されているとともに、本体1aの外周面と天井cの開口部aとの間の隙間を覆い隠している。
【0016】
図1に示すように、化粧パネル2は、吸込みグリル10とパネル本体11とを備えている。吸込みグリル10は、吸込口9と向かい合うように化粧パネル2の中央部に設けられている。
【0017】
化粧パネル2のパネル本体11は、吸込みグリル10を取り囲む四つの辺を有する四角い枠状に形成され、本体1aの下端に連結されている。さらに、パネル本体11は、四つの吹出口12を有している。吹出口12は、熱交換器6で熱交換された空気を化粧パネル2の四方向に吹き出す要素であって、パネル本体11の四つの辺に夫々設けられている。
【0018】
パネル本体11の吹出口12に夫々空気の吹き出し方向を変化させるフラップ13が設けられている。フラップ13は、パネル本体11に回動可能に支持されている。
【0019】
空気調和機が運転を停止している状態では、吹出口12がフラップ13によって閉じられている。空気調和機が運転を開始すると、フラップ13が吹出口12の内側で所望の角度に回動し、吹出口12が開放される。さらに、送風機3が駆動され、室内の空気が吸込みグリル10から吸込口9を介して羽根車5に吸い込まれる。羽根車5に吸い込まれた空気は、熱交換器6に向けて吐出されるとともに、熱交換器6を通過する過程で冷媒と熱交換される。熱交換された空気は、吹出口12からフラップ13に案内されて室内に吹き出される。
【0020】
羽根車5は、加熱溶融させた合成樹脂材料を金型内に射出注入して冷却固化させることで得られた成形品であって、主板21、シュラウド22、および複数のブレード23を有している。
【0021】
主板21は、
図3から
図6に示すように、円盤状に形成された支持部21aを備えている。支持部21aは、複数のブレード23を同心円上に支持している。支持部21aの中央に、ボス部21bが備えられている。ボス部21bは、モータ4の回転軸4aに取り付けられる。支持部21aの同心円上に、ボス部21bを囲むようにして、複数の貫通穴21cが備えられている。主板21は、複数のブレード23と一体に射出成形されている。
【0022】
シュラウド22は、
図3から
図5に示すように、主板21と対向して配置され、複数のブレード23を覆っている。シュラウド22は、リング状に形成され、径方向に沿って傾斜している。シュラウド22は、複数のブレード23の主板21と反対側に設けられた突起部23gに対して、例えば超音波溶接によって接合されている。
【0023】
ブレード23は、
図3から
図9に示し、熱交換器6によって熱交換された空気を室内に送風する。ブレード23は、
図3から
図5に示すように、主板21とシュラウド22との間に介在されているとともに、羽根車5の周方向に間隔を存して並んでいる。
【0024】
ブレード23は、
図6から
図9に示すように、翼形状からなり、主板21側からシュラウド22側に凹んだ凹部23fを備えている。凹部23fは、主板21の支持部21aに備えられた貫通穴21cと連通している。凹部23fは、射出成形用の金型が挿入された箇所であって、いわゆる肉抜き(肉盗み)に相当する。ブレード23は、後述する構成によって、
図7および
図9に示すように、凹部23fの深さL2を、高さ(全長)L3の80%以上に設定することができる。すなわち、ブレード23は、十分に肉盗みを設けることができる。
【0025】
ブレード23は、
図8に示すように、羽根車5の前縁部23aから後縁部23bにいたる領域Aのうち前縁部23aから厚みL1が最大となる最厚部23cまでの領域Bが、主板21側からシュラウド22側に向かうにしたがって、正圧面23dから負圧面23eに傾斜している。ブレード23の正圧面23dとは、羽根車5の外周側に位置するブレード23の面のことである。ブレード23の負圧面23eとは、羽根車5の内周側に位置するブレード23の面のことである。
【0026】
このような構成によって、ブレード23は、主板21側からシュラウド22側にかけて、モータの4回転軸4aの軸方向に捩れた形状を有している。詳細には、主板21に接した部分における前縁部23aから後縁部23bに向かう領域Cと、シュラウド22に接した部分における前縁部23aから後縁部23bに向かう領域Dとが、モータ4の回転軸4aの軸方向から見て交差している。
【0027】
ここで、ブレード23は、
図8に示すように、最厚部23cの厚みL1maxが、主板21との境界面における前縁部23aから後縁部23bまでの弦長L4の15%から25%の範囲に設定されている。また、ブレード23は、前縁部23aから最厚部23cまでの距離L5が、弦長L4の15%から30%の範囲に設定されている。
【0028】
本実施形態において、主板21と一体に形成されたブレード23は、正圧面23dから負圧面23eに傾斜している。ブレード23は、最厚部23cの厚みL1maxが、主板21との境界面における前縁部23aから後縁部23bまでの弦長L4の15%から25%の範囲に設定されている。
【0029】
このような構成によって、羽根車5を備えた送風機3、および送風機3を備えた空気調和機の室内ユニット1は、所期の性能を満たすことができる。所期の性能とは、モータ4に所定の電力を供給した場合における羽根車5の送風量、モータ4を所定の回転数によって回転させた場合における羽根車5の騒音や振動の上限値、および羽根車5の外観の基準値などに関するものである。具体的に、表1を参照しながら説明する。
【0030】
表1に、ブレードの性能に関する、最厚部の厚みL1maxと、前縁部から後縁部までの弦長L4との割合を表す。性能に関して、最良を◎、良を○、可を△、および不可を×で表している。
【0031】
【0032】
本実施形態のブレード23は、表1に表すように、最厚部23cの厚みL1maxが弦長L4の15%から25%の範囲に設定されていることから、傾斜した形状であっても、凹部23fが正圧面23dや負圧面23eを貫通することがない。この結果、ブレード23は、凹部23fが外部に露出することなく、設計通りの外形形状を満たすことができ、所期の性能を実現することができる。
【0033】
ブレード23は、いわゆる肉抜き(肉盗み)に相当する凹部23fを備えることによって、相対的に肉厚が薄い部分と厚い部分との差を小さく構成していることから、射出成形時の保圧時間を長時間に設定することなくヒケを抑制できる。特に、ブレード23は、主板21と一体に成形することを考慮して十分な厚みを備えているが、十分に肉抜きできる凹部23fを備えることによって、相対的に肉厚が薄い部分と厚い部分との差を小さく構成することができる。これにより、ブレード23は、製造に要するタクトを増大させることなく、すなわち射出成形時の保圧時間を長時間に設定することなく、外形形状の寸法公差を満たすことができる。この結果、ブレード23は、生産性を確保した上で、所期の性能を満たすことができる。
【0034】
特に、ブレード23を有する羽根車5は、いわゆるターボファンであって、比較的風量が多く風圧が高く設定される送風機3に備えられる。したがって、ヒケを抑制したブレード23を用いることが、非常に重要である。
【0035】
さらに、ブレード23は、凹部23fを備えることによって、体積を削減することができる。これにより、羽根車5の成形に必要な合成樹脂材料の量を削減することができ、かつ、羽根車5を備えた送風機3や空気調和機を軽量化することができる。この結果、羽根車5を備えた送風機3、および送風機3を備えた空気調和機の室内ユニット1は、コスト削減によって生産性を高めるとともに、軽量化によって天井のような設置スペースに必要な剛性を緩和することができる。
【0036】
対比例1として、表1に表すように、厚みL1maxが弦長L4の15%未満のブレードを用いた場合、設計上、シュラウド側の前縁部が主板側の前縁部に対してはみ出してしまう。このため、シュラウド側の先端まで凹部を十分に形成することができない。すなわち、十分な肉抜き(肉盗み)を備えることができない。この結果、対比例1のブレードを用いた場合、射出成形時にヒケが発生し易く、所期の性能を満たすことが難しい。なお、対比例1のブレードにおいて、射出成形時にヒケを抑制するためには、射出成形時の保圧時間を長く設定する必要があり、生産性が著しく低下する。
【0037】
対比例2として、表1に表すように、厚みL1maxが弦長L4の25%を超えるブレードを用いた場合、隣り合うブレードの間の空間が狭まる。隣り合うブレードの間は、通風路を構成することから、送風量が減少する。この結果、対比例2のブレードを用いた場合、送風効率が低下する。なお、対比例2のブレードにおいて、送風量を維持するためには、回転数を上げる必要があり、電力消費量が増加するとともに騒音や振動が上昇する。
【0038】
本実施形態において、ブレード23は、前縁部23aから最厚部23cまでの距離L5が、前縁部23aから後縁部23bまでの弦長L4の15%から30%の範囲に設定されている。
【0039】
このような構成によって、羽根車5を備えた送風機3、および送風機3を備えた空気調和機の室内ユニット1は、所期の性能を満たすことができる。具体的に、表2および
図10Aないし
図10Cを参照しながら説明する。
【0040】
表2に、ブレードの性能に関する、前縁部から最厚部までの距離L5と、前縁部から後縁部までの弦長L4との割合を表す。性能に関して、最良を◎、良を○、可を△、および不可を×で表している。
【0041】
【0042】
本実施形態として、表2および
図10Aに示すように、距離L5が弦長L4の15%から30%のブレード23を用いた場合、前縁部23aから流入した空気を速やかに後縁部23bから吹き出させることができる。すなわち、本実施形態のブレード23を用いた場合、正圧面23dに沿った空気の流れR1、および負圧面23eに沿った空気の流れR2において、エネルギーの損失を十分に抑制することができる。したがって、前縁部23aから流入した空気は、送風効率を維持して、騒音を抑えることができる。この結果、本実施形態のブレード23を用いた場合、送風機3、および送風機3を備えた空気調和機の室内ユニット1は、所期の性能を満たすことができる。
【0043】
対比例3として、表2および
図10Bに示すように、主板121と一体形成され距離L5が弦長L4の14%以下のブレード123を用いた場合、前縁部123aから流入した空気が、その前縁部123aに衝突する割合が増大する。すなわち、前縁部123aにおいてエネルギーが大きく損失した後に、正圧面123dに沿った空気の流れR11、および負圧面123eに沿った空気の流れR12が発生する。したがって、前縁部123aから流入した空気は、大幅に減少して、後縁部123bから吹き出される。この結果、対比例3のブレード123を用いた羽根車105は、送風効率が低下する。
【0044】
対比例4として、表2および
図10Cに示すように、主板221と一体形成され距離L5が弦長L4の31%以上のブレード223を用いた場合、前縁部223aから流入した空気は、後縁部223bに到達するまでに大きく分断される。特に、正圧面223dに沿った空気の流れR21と、負圧面223eに沿った空気の流れR22は、最厚部を通過した後に大きく剥離される。したがって、前縁部223aから流入した空気によって、後縁部223bに大きな後流渦が発生する、この結果、対比例4のブレード223を用いた羽根車205は、後流渦によって騒音が増大する。
【0045】
本実施形態において、ブレード23は、主板21に接した部分における前縁部23aから後縁部23bに向かう領域Cと、シュラウド22に接した部分における前縁部23aから後縁部23bに向かう領域Dとが、回転軸4aの軸方向から見て交差している。
【0046】
このように、ブレード23は、領域Cと領域Dとが交差するように比較的大きく捩れていても、最厚部23cの厚みL1maxが弦長L4の15%から25%の範囲に設定されている。このため、ブレード23を製造するときに、凹部23fが正圧面23dおよび負圧面23eを貫通することがない。この結果、ブレード23は、凹部23fが外部に露出することなく、設計通りの外形形状を満たすことができ、所期の性能を実現することができる。
【0047】
本実施形態において、シュラウド22と、複数のブレード23とが、接合されている。
【0048】
したがって、羽根車5を製造するために必要なコストおよび工数を削減することができる。すなわち、二次加工として、2つの部品を接合するだけで、羽根車5を製造することができる。2つの部品とは、シュラウド22と、主板21と一体に成形された複数のブレード23である。この結果、羽根車5を備えた送風機3、および送風機3を備えた空気調和機の室内ユニット1は、その生産性を高めるとともに、廉価に製造することができる。
【0049】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0050】
1…室内ユニット、2…送風機、3…熱交換器、4…モータ、4a…回転軸、5…羽根車、21…主板、21a…支持部、21b…ボス部、21c…貫通穴、22…シュラウド、23…ブレード、23a…前縁部、23b…後縁部、23c…最厚部、23d…正圧面、23e…負圧面、23f…凹部、A,B,C,D…領域、L1…ブレード23の厚み、L1max…ブレード23の最厚部23cの厚み、L2…ブレード23の凹部23fの深さ、L3…ブレード23の高さ(全長)、L4…ブレード23の前縁部23aから後縁部23bまでの弦長、L5…ブレード23の前縁部23aから最厚部23cまでの距離。