(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-05
(45)【発行日】2024-04-15
(54)【発明の名称】車両用の前照灯
(51)【国際特許分類】
F21S 43/239 20180101AFI20240408BHJP
B62J 6/026 20200101ALI20240408BHJP
F21S 41/265 20180101ALI20240408BHJP
F21S 41/143 20180101ALI20240408BHJP
F21S 41/26 20180101ALI20240408BHJP
F21S 41/663 20180101ALI20240408BHJP
F21S 41/275 20180101ALI20240408BHJP
F21S 43/14 20180101ALI20240408BHJP
F21S 43/245 20180101ALI20240408BHJP
F21S 43/241 20180101ALI20240408BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20240408BHJP
F21V 8/00 20060101ALI20240408BHJP
F21W 102/13 20180101ALN20240408BHJP
F21W 103/10 20180101ALN20240408BHJP
F21W 105/00 20180101ALN20240408BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20240408BHJP
【FI】
F21S43/239
B62J6/026
F21S41/265
F21S41/143
F21S41/26
F21S41/663
F21S41/275
F21S43/14
F21S43/245
F21S43/241
F21S2/00 412
F21V8/00 310
F21V8/00 340
F21W102:13
F21W103:10
F21W105:00
F21Y115:10
(21)【出願番号】P 2019156700
(22)【出願日】2019-08-29
【審査請求日】2022-07-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100143764
【氏名又は名称】森村 靖男
(72)【発明者】
【氏名】海藤 祐樹
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 真司
【審査官】河村 勝也
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-086306(JP,A)
【文献】特開2015-133219(JP,A)
【文献】特開2014-127329(JP,A)
【文献】特開2017-224533(JP,A)
【文献】特開2013-120671(JP,A)
【文献】特開2015-088375(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 43/00
F21S 41/00
B62J 6/026
F21S 2/00
F21V 8/00
F21W 102/13
F21W 103/10
F21W 105/00
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロービームを出射するロービーム用光源と、
前記ロービーム用光源の前方に配置され、前記ロービームが透過するロービーム用投影レンズと、
クリアランスランプ用光源と、
前記ロービーム用投影レンズと一体であり、前記クリアランスランプ用光源から出射される光の少なくとも一部が入射し、入射する当該光の少なくも一部を前記ロービームを照射する方向に導光する導光部材と、
ハイビームを出射するハイビーム用光源と、
前記ハイビーム用光源の前方に配置され、前記ハイビームが透過するハイビーム用投影レンズと、
を備え、
前記ハイビーム用投影レンズは、前記ロービーム用投影レンズと一体であり、
前記導光部材は、前記導光部材に入射する前記光の一部を前記ロービーム用投影レンズの上端縁面及び下端縁面に導光し、
前記ロービーム用投影レンズの前記上端縁面及び前記下端縁面は、前記光を拡散した状態で外部に出射するシボ面であり、
前記ハイビーム用投影レンズの上端縁面及び下端縁面は、前記ロービーム用投影レンズの前記上端縁面及び前記下端縁面に沿って進行してきた前記光を拡散した状態で外部に出射するシボ面である
ことを特徴とする車両用の前照灯。
【請求項2】
前記ロービーム用光源及び前記クリアランスランプ用光源は、同じ基板に搭載される
ことを特徴とする請求項1に記載の前照灯。
【請求項3】
前記クリアランスランプ用光源は、前記ロービーム用投影レンズの後方に配置され、
前記クリアランスランプ用光源から出射される前記光の一部は、前記ロービーム用投影レンズを透過する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の前照灯。
【請求項4】
前記導光部材は、前記クリアランスランプ用光源から出射されて前記導光部材に入射する前記光の一部を前記前照灯の側方に導光する
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の前照灯。
【請求項5】
前記導光部材の長手方向は前記ロービーム用投影レンズの長手方向に対して傾斜し、前記導光部材は前記クリアランスランプ用光源の側方にまで延在される
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の前照灯。
【請求項6】
前記導光部材は、
前記ロービーム用投影レンズと一体の本体部と、
前記本体部と一体で、前記クリアランスランプ用光源に向かって延在する延在部と、
を有し、
前記延在部は、前記クリアランスランプ用光源に対向する入射面を有し、
前記入射面には、前記クリアランスランプ用光源から出射される前記光の少なくとも一部が入射する
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の前照灯。
【請求項7】
ロービームを出射するロービーム用光源と、
前記ロービーム用光源の前方に配置され、前記ロービームが透過するロービーム用投影レンズと、
クリアランスランプ用光源と、
前記ロービーム用投影レンズと一体であり、前記クリアランスランプ用光源から出射される光の少なくとも一部が入射し、入射する当該光の少なくも一部を前記ロービームを照射する方向に導光する導光部材と、
を備え、
前記導光部材の長手方向は、前記ロービーム用投影レンズの長手方向に対して傾斜し、
前記導光部材は、
前記ロービーム用投影レンズと一体となっている一端と、
前記一端とは逆側に配置される他端と、
を有し、
前記他端は、前記クリアランスランプ用光源に対向する入射面を有し、
前記入射面には、前記クリアランスランプ用光源から出射される前記光が入射し、
前記入射面は、前記導光部材の外側面が前記導光部材の内側面よりも後方に延びるように、傾斜する
ることを特徴とする車両用の前照灯。
【請求項8】
前記導光部材の長手方向は、前記ロービーム用投影レンズの長手方向に対して傾斜し、
前記導光部材は、前記クリアランスランプ用光源に対向して前記導光部材の内側面に配置される入射面を有し、
前記入射面には、前記クリアランスランプ用光源から出射される前記光が入射する
ことを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の前照灯。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用の前照灯に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、車両用の前照灯は、自車の存在を対向車等に知らせるために発光するクリアランスランプを備える。このような前照灯は、例えば、特許文献1に開示されており、ロービームランプと、ハイビームランプと、クリアランスランプと、これら3つのランプを収容するハウジングとを備える。
【0003】
ロービームランプは、クリアランスランプに対して、前照灯を前方からみて上方に配置される。また、ハイビームランプは、クリアランスランプに対して、前方からみて下方に配置される。ロービームランプ及びハイビームランプから出射される光は、ハウジングに取り付けられるアウターレンズを透過して、車両の前方を照射する。
【0004】
クリアランスランプのクリアランスランプ用光源から出射される光は、アウターレンズを透過して、自車の存在を対向車等に知らせる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1では、クリアランスランプは、ロービームランプと別体であり、ロービームランプとの間にシェードが配置される。ロービームを出射しているロービームランプ及び光を出射しているクリアランスランプを正面から視る場合、ロービームランプの外周縁とクリアランスランプの外周縁との繋ぎ目における発光がシェードによって目立ち、ロービームとクリアランスランプ用光源から出射される光との境界が目立ってしまう懸念がある。従って、前照灯の光り方の見栄えが悪くなる懸念がある。このため、発光している前照灯を正面から視る場合、前照灯の光り方の見栄えをよくすることが求められている。
【0007】
そこで、本発明は、前照灯の光り方の見栄えを良くすることができる車両用の前照灯を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明の車両用の前照灯は、ロービームを出射するロービーム用光源と、前記ロービーム用光源の前方に配置され、前記ロービームが透過するロービーム用投影レンズと、クリアランスランプ用光源と、前記ロービーム用投影レンズと一体であり、前記クリアランスランプ用光源から出射される光の少なくとも一部が入射し、入射する当該光の少なくも一部を前記ロービームを照射する方向に導光する導光部材と、を備えることを特徴とする。
【0009】
一般的な車両用の前照灯において、ロービーム用光源とクリアランスランプ用光源とは同時に発光する。この場合、ロービームはロービーム用投影レンズを透過し、クリアランスランプ用光源から出射される光の少なくとも一部はロービームを照射する方向に導光部材によって導光される。この状態で前照灯を正面から視る場合、導光部材がロービーム用投影レンズと一体であるため、導光部材とロービーム用投影レンズとの繋ぎ目における発光が目立ち難くなり、ロービームとクリアランスランプ用光源から出射される光との境界が目立ち難くなり、前照灯の光り方は違和感のない自然な見栄えとなり得る。従って、この前照灯によれば、前照灯の光り方の見栄えを良くすることができる。
【0010】
また、導光部材は、ロービーム用投影レンズと一体である。従って、この前照灯によれば、前照灯の部品点数を削減することができる。
【0011】
また、前記ロービーム用光源及び前記クリアランスランプ用光源は、同じ基板に搭載されることが好ましい。
【0012】
この場合、ロービーム用光源及びクリアランスランプ用光源それぞれに基板を用意する必要がない。従って、この前照灯によれば、前照灯の部品点数を削減することができる。
【0013】
また、前記前照灯は、ハイビームを出射するハイビーム用光源と、前記ハイビーム用光源の前方に配置され、前記ハイビームが透過するハイビーム用投影レンズと、を備え、前記ハイビーム用投影レンズは、前記ロービーム用投影レンズと一体であることが好ましい。
【0014】
この前照灯によれば、前照灯の部品点数を削減することができる。
【0015】
また、前記導光部材は、前記導光部材に入射する前記光の一部を前記ロービーム用投影レンズの上端縁面及び下端縁面に導光し、前記ロービーム用投影レンズの前記上端縁面及び前記下端縁面は、前記光を拡散した状態で外部に出射するシボ面であることが好ましい。
【0016】
この前照灯によれば、光はロービーム用投影レンズのシボ面によって拡散された状態で外部に出射し得るため、前照灯を正面から視る場合、前照灯の外周縁の一部がクリアランスランプ用光源からの光を出射しているように視える。従って、この前照灯によれば、前照灯の光り方の見栄えをより良くすることができる。
【0017】
また、前記ハイビーム用投影レンズの上端縁面及び下端縁面は、前記ロービーム用投影レンズの前記上端縁面及び前記下端縁面に沿って進行してきた前記光を拡散した状態で外部に出射するシボ面であることが好ましい。
【0018】
この前照灯によれば、光はハイビーム用投影レンズのシボ面によって拡散された状態で外部に出射し得るため、前照灯を正面から視る場合、前照灯の外周縁の一部がクリアランスランプ用光源からの光を出射しているように視える。従って、この前照灯によれば、前照灯の光り方の見栄えをより良くすることができる。
【0019】
また、前記クリアランスランプ用光源は、前記ロービーム用投影レンズの後方に配置され、前記クリアランスランプ用光源から出射される前記光の一部は、前記ロービーム用投影レンズを透過することが好ましい。
【0020】
この前照灯によれば、ロービームとクリアランスランプ用光源から出射される光の一部とは、ロービーム用投影レンズを透過し得る。このため、ロービームとクリアランスランプ用光源から出射される光との境界がより目立ち難くなり、前照灯の光り方は違和感のない自然な見栄えとなり得る。従って、この前照灯によれば、前照灯の光り方の見栄えをより良くすることができる。
【0021】
また、前記導光部材は、前記クリアランスランプ用光源から出射されて前記導光部材に入射する前記光の一部を前記前照灯の側方に導光することが好ましい。
【0022】
この前照灯によれば、クリアランスランプ用光源から出射される光によって、自車の存在を自車の側方に位置する対向車等に知らせることができる。
【0023】
また、前記導光部材の長手方向は前記ロービーム用投影レンズの長手方向に対して傾斜し、前記導光部材は前記クリアランスランプ用光源の側方にまで延在されることが好ましい。
【0024】
この前照灯によれば、クリアランスランプ用光源から出射される光の一部は、導光部材の内側面から導光部材に入射し得る。従って、この前照灯によれば、導光部材がロービーム用光源の側方にまで延在していない場合に比べて、クリアランスランプ用光源から出射される光を無駄なく導光部材に入射させることができる。
【0025】
また、前記導光部材は、前記ロービーム用投影レンズと一体の本体部と、前記本体部と一体で、前記クリアランスランプ用光源に向かって延在する延在部と、を有し、前記延在部は、前記クリアランスランプ用光源に対向する入射面を有し、前記入射面には、前記クリアランスランプ用光源から出射される前記光の少なくとも一部が入射することが好ましい。
【0026】
この場合、クリアランスランプ用光源から出射される光の少なくとも一部は、入射面から延在部に入射し、延在部と本体部とを介してロービームを照射する方向に導光され得る。従って、この前照灯によれば、入射面が配置されていない場合に比べて、クリアランスランプ用光源から出射される光を無駄なく導光部材に入射させることができる。
【0027】
また、前記導光部材の長手方向は、前記ロービーム用投影レンズの長手方向に対して傾斜し、前記導光部材は、前記ロービーム用投影レンズと一体となっている一端と、前記一端とは逆側に配置される他端と、を有し、前記他端は、前記クリアランスランプ用光源に対向する入射面を有し、前記入射面には、前記クリアランスランプ用光源から出射される前記光が入射することが好ましい。
【0028】
この場合、クリアランスランプ用光源から出射される光は、入射面から導光部材に入射し得る。このため、入射面が配置されていない場合に比べて、クリアランスランプ用光源から出射される光を無駄なく導光部材に入射させることができる。また、入射面から導光部材に入射した光は、導光部材の他端から導光部材の一端まで導光部材を全長に渡って導光され、ロービームを照射する方向及び前照灯の側方に導光され得る。従って、この前照灯によれば、自車の存在を自車の前方及び自車の側方に位置する対向車等に知らせることができる。
【0029】
また、前記入射面は、前記導光部材の外側面が前記導光部材の内側面よりも後方に延びるように、傾斜することが好ましい。
【0030】
この場合、クリアランスランプ用光源は導光部材よりも車両の内側に配置され得る。したがって、クリアランスランプ用光源が導光部材よりも車両の外側に配置される場合に比べて、前照灯の大きさを小さくすることができる。
【0031】
また、前記導光部材の長手方向は、前記ロービーム用投影レンズの長手方向に対して傾斜し、前記導光部材は、前記クリアランスランプ用光源に対向して前記導光部材の内側面に配置される入射面を有し、前記入射面には、前記クリアランスランプ用光源から出射される前記光が入射することが好ましい。
【0032】
この場合、入射面がクリアランスランプ用光源に対向していない場合に比べて、クリアランスランプ用光源から出射される光を無駄なく導光部材に入射させることができる。
【発明の効果】
【0033】
以上のように、本発明によれば、前照灯の光り方の見栄えを良くすることができる車両用の前照灯を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】
図1は、本発明の第1実施形態における車両用の前照灯の構成を概略的に示す図である。
【
図2】
図2は、前照灯において一体となっているハイビーム用投影レンズとロービーム用投影レンズと導光部材との概略的な斜視図である。
【
図3】
図3は、第2実施形態における前照灯の構成を概略的に示す図である。
【
図4】
図4は、第3実施形態における前照灯の構成を概略的に示す図である。
【
図5】
図5は、第4実施形態における前照灯の構成を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明に係る車両用の前照灯の好適な実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。以下に例示する実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良することができる。また、本発明は、以下に例示する各実施形態における構成要素を適宜組み合わせてもよい。なお、理解の容易のため、それぞれの図において一部が誇張して記載される場合等がある。
【0036】
(第1実施形態)
図1は、本発明にかかる車両用の前照灯10の構成を概略的に示す図であり、前照灯10の水平方向における断面図である。
図2は、前照灯10において一体となっているハイビーム用投影レンズ75とロービーム用投影レンズ45と導光部材61との概略的な斜視図である。前照灯10は、例えば、自動二輪車の前照灯として用いられる。前照灯10は自動二輪車の前方の左右方向のそれぞれに備えられ、左右の前照灯10は左右方向に概ね対称の構成とされる。本実施形態の前照灯10は、自動二輪車を前方から視た場合において右側の前照灯として説明する。また、本実施形態の前照灯10は、ロービーム用光源43から出射されるロービーム及びハイビーム用光源73から出射されるハイビームを、投影レンズ45,75を介して直接前方に出射する直射型の灯具である。
【0037】
図1に示すように、前照灯10は、支持部材30と、ロービーム用基板41と、ロービーム用光源43と、ロービーム用投影レンズ45と、クリアランスランプ用光源53と、導光部材61と、ハイビーム用基板71と、ハイビーム用光源73と、ハイビーム用投影レンズ75とを主な構成として備える。支持部材30と、ロービーム用基板41と、ロービーム用光源43と、ロービーム用投影レンズ45と、クリアランスランプ用光源53と、導光部材61と、ハイビーム用基板71と、ハイビーム用光源73と、ハイビーム用投影レンズ75とは、前照灯10の不図示の筐体に収容される。
【0038】
支持部材30は、筐体の内部空間において固定される。支持部材30は、例えば、アルミニウムといった金属の板材である。
【0039】
支持部材30は、第1板状部31と、第2板状部33と、第1板状部31と第2板状部33との間に配置される第3板状部35とを有する。第3板状部35の一端は、アール状に折れ曲がっており、第1板状部31と連続している。また、第3板状部35の他端は、第3板状部35の一端の折れ曲がりとは逆向きにアール状に折れ曲がっており、第2板状部33と連続している。第1板状部31は、ロービーム及びハイビームの進行方向において第2板状部33よりも後方に配置される。また、自動二輪車を前方から視た場合において、第1板状部31は、前照灯10の長手方向において第2板状部33よりも前照灯10の外側に配置される。
【0040】
ロービーム用基板41は、第1板状部31に配置される。ロービーム用基板41には、ロービーム用光源43が配置される。
【0041】
ロービーム用光源43は、ロービーム用基板41に配置される不図示の配線に電気的に接続される。ロービーム用光源43は、不図示の電源からロービーム用基板41と不図示の配線とを介して電力を供給されて、ロービームを出射する。例えば、ロービーム用光源43は、LEDである。
【0042】
ロービーム用投影レンズ45は、ロービームの進行方向においてロービーム用光源43の前方に配置される。ロービーム用投影レンズ45は、第1板状部31を覆うように配置されており、前照灯10の長手方向において横長のレンズとされる。前照灯10の長手方向において、ロービーム用投影レンズ45の一端は前照灯10の外側に配置され、ロービーム用投影レンズ45の他端は前照灯10の内側に配置される。また、ロービーム用投影レンズ45は、前照灯10の長手方向において前照灯10の内側から外側に向かうに従ってロービームの進行方向において第1板状部31に近づいて配置される。従って、ロービーム用投影レンズ45の長手方向は、第1板状部31の長手方向に対して傾斜している。ロービーム用投影レンズ45は、例えば、非球面平凸レンズである。ロービーム用投影レンズ45は、ロービーム用光源43から出射されるロービームが入射する側の面であり、ロービーム用光源43に向かって膨らむ凸面状の入射面と、ロービームが出射する側の面である平面状の出射面とを有する。ロービームは、入射面からロービーム用投影レンズ45に入射した後にロービーム用投影レンズ45を透過する。当該ロービームは、出射面から出射されて、自動二輪車の前方を照射する。例えば、ロービーム用投影レンズ45は、透明の樹脂である。
【0043】
ハイビーム用基板71は、第2板状部33に配置される。ハイビーム用基板71は、ロービーム用基板41とは別部材である。ハイビーム用基板71には、ハイビーム用光源73が配置される。
【0044】
ハイビーム用光源73は、ハイビーム用基板71に配置される不図示の配線に電気的に接続される。ハイビーム用光源73は、不図示の電源からハイビーム用基板71と不図示の配線とを介して電力を供給されて、ハイビームを出射する。例えば、ハイビーム用光源73は、LEDである。
【0045】
ハイビーム用投影レンズ75は、ハイビームの進行方向においてハイビーム用光源73の前方に配置される。ハイビーム用投影レンズ75は、第2板状部33を覆うように配置されており、前照灯10の長手方向において横長のレンズとされる。前照灯10の長手方向において、ハイビーム用投影レンズ75の一端は前照灯10の外側に配置され、ハイビーム用投影レンズ75の他端は前照灯10の内側に配置される。また、ハイビーム用投影レンズ75は、前照灯10の長手方向において前照灯10の内側から外側に向かうに従ってハイビームの進行方向において第2板状部33に近づいて配置される。従って、ハイビーム用投影レンズ75の長手方向は、第2板状部33の長手方向に対して傾斜している。ハイビーム用投影レンズ75は、例えば、非球面平凸レンズである。ハイビーム用投影レンズ75は、ハイビーム用光源73から出射されるハイビームが入射する側の面であり、ハイビーム用光源73に向かって膨らむ凸面状の入射面と、ハイビームが出射する側の面である平面状の出射面とを有する。ハイビームは、入射面からハイビーム用投影レンズ75に入射した後にハイビーム用投影レンズ75を透過する。当該ハイビームは、出射面から出射されて、自動二輪車の前方を照射する。例えば、ハイビーム用投影レンズ75は、ロービーム用投影レンズ45と同じ透明の樹脂である。ハイビーム用投影レンズ75は、ロービーム用投影レンズ45の他端と一体となっている。
【0046】
クリアランスランプ用光源53は、ロービーム用光源43と同じ基板に、つまりロービーム用基板41に配置される。クリアランスランプ用光源53は、ロービーム用光源43の隣であって、前照灯10の長手方向においてロービーム用光源43よりも前照灯10の外側に配置される。例えば、クリアランスランプ用光源53は、ロービーム用基板41の端に配置される。クリアランスランプ用光源53は、ロービーム用投影レンズ45の後方に配置されており、ロービーム用投影レンズ45によって覆われるように配置される。クリアランスランプ用光源53は、ロービーム用基板41の不図示の配線に電気的に接続される。クリアランスランプ用光源53は、不図示の電源からロービーム用基板41と不図示の配線とを介して電力を供給されて、光を出射する。自動二輪車では、この光は、ロービームと同じタイミングで出射され、ロービームの出射時は常時出射される。この光の明るさは、ロービームよりも暗い。また、この光の少なくとも一部は、導光部材61の内側面から導光部材61に入射する光である。本実施形態では、光の一部は導光部材61の内側面から導光部材61に入射し、光の残りの一部はロービーム用投影レンズ45の上記した入射面からロービーム用投影レンズ45に入射するものとして説明する。
【0047】
導光部材61は、ロービーム用投影レンズ45の一端と一体となっている。導光部材61の長手方向は、ロービーム用投影レンズ45の長手方向に対して傾斜している。導光部材61は、クリアランスランプ用光源53の側方にまで延在され、クリアランスランプ用光源53よりも後方にまでさらに延在される。例えば、導光部材61は、ロービーム用投影レンズ45と同じ透明の樹脂である。
【0048】
図2に示すように、導光部材61は、導光部材61の外側面に配置される複数の凸部61aを有する。凸部61aは、導光部材61の長手方向に沿って配置される。また、凸部61a同士は、導光部材61の長手方向に直交する方向において、互いに等間隔離れて配置される。
【0049】
本実施形態では、上記したように、ロービーム用投影レンズ45の一端は導光部材61と一体となっており、ロービーム用投影レンズ45の他端はハイビーム用投影レンズ75と一体となっている。従って、本実施形態では、1つの横長のレンズがロービーム用光源43とクリアランスランプ用光源53とハイビーム用光源73とに共通のレンズ81である。この横長の共通のレンズ81の一部分はロービーム用投影レンズ45であり、横長の共通のレンズ81の一部分に隣り合う共通のレンズ81の別の一部分は導光部材61であり、横長の共通のレンズ81の一部分に隣り合う共通のレンズ81の残りの部分はハイビーム用投影レンズ75である。別言すると、ロービーム及びハイビーム用のモノフォーカスレンズに、導光部材61が組み合わされている。
【0050】
共通のレンズ81において、ロービーム用投影レンズ45はハイビーム用投影レンズ75と導光部材61とに挟まれるレンズであり、導光部材61は共通のレンズ81の長手方向においてハイビーム用投影レンズ75とは逆側の位置にてロービーム用投影レンズ45と一体となっている。
【0051】
また、共通のレンズ81において、ロービーム用投影レンズ45の平面状の上端縁面はハイビーム用投影レンズ75の平面状の上端縁面と連続しており、ロービーム用投影レンズ45の平面状の下端縁面はハイビーム用投影レンズ75の平面状の下端縁面と連続している。ロービーム用投影レンズ45及びハイビーム用投影レンズ75それぞれの上端縁面及び下端縁面は、前照灯10が自動二輪車に搭載される場合に外部に露出するシボ面83である。シボ面83は、例えば、微小な突起である。
【0052】
本実施形態では、導光部材61は、クリアランスランプ用光源53から出射されて導光部材61の内側面から導光部材61に入射する光の少なくとも一部をロービームを照射する方向に導光する。ロービームを照射する方向は、例えば、自動二輪車の前方である。本実施形態では、導光部材61は、光の一部を自動二輪車の前方に導光し、光の別の一部を自動二輪車の側方に導光し、光の別の一部をロービーム用投影レンズ45のシボ面83に導光するものとして説明する。
【0053】
導光部材61が光を自動二輪車の前方及び側方に導光する場合、導光部材61の内部を進行する光は、凸部61aにおいて乱反射し、導光部材61の長手方向に沿って進行する。光は、導光部材61の端部から自動二輪車の前方に出射される。自動二輪車の前方に出射される光は、自車の存在を自車の前方に位置する対向車等に知らせるための光である。また、光は、導光部材61の外側面及び凸部61aから自動二輪車の側方に出射される。この場合の光の一部は、凸部61aによって拡散された状態で出射される。自動二輪車の側方に出射される光は、自車の存在を自車の側方に位置する対向車等に知らせる光である。
【0054】
また、導光部材61が光をロービーム用投影レンズ45のシボ面83に導光する場合、光は、ロービーム用投影レンズ45のシボ面83よって拡散された状態で外部に出射される。また、光は、ハイビーム用投影レンズ75のシボ面83に進行し、ハイビーム用投影レンズ75のシボ面83よって拡散された状態で外部に出射される。拡散された状態で外部に出射される光は、自車の存在を自車の前方に位置する対向車等に知らせる光である。拡散された状態の光を出射する前照灯10を正面から視る場合、前照灯10の外周縁の一部は、クリアランスランプ用光源53からの光を出射しているように視える。
【0055】
前照灯10は、支持部材30と共通のレンズ81との間に配置される不図示のエクステンション部材を有する。エクステンション部材は、前照灯10の上記した不図示の筐体の内部の構造を外部から見えないように遮蔽する目隠し用の部材である。エクステンション部材は、例えば、不透明な樹脂である。
【0056】
エクステンション部材は、2つの開口部を有する。ロービーム用基板41が一方の開口部内に配置され、ハイビーム用基板71が他方の開口部内に配置されるように、エクステンション部材は前照灯10の上記した不図示の筐体に固定される。
【0057】
エクステンション部材は、ハイビーム用光源73から出射されてロービーム用投影レンズ45に直接進行しようとするハイビームを遮光する不図示の壁部を有する。また、この壁部は、ロービーム用光源43から出射されてハイビーム用投影レンズ75に直接進行しようとするロービームと、クリアランスランプ用光源53から出射されてハイビーム用投影レンズ75に直接進行しようとする光とを遮光する。このように、本実施形態では、壁部は、本来進行すべき投影レンズに隣り合う別の投影レンズへ進行しようと光を遮光する。
【0058】
次に、前照灯10における光の出射について説明する。
【0059】
不図示の電源は、ロービーム用基板41と不図示の配線とを介して電力をロービーム用光源43及びクリアランスランプ用光源53に供給する。ロービーム用光源43はロービームを出射し、クリアランスランプ用光源53は自車の存在を対向車等に知らせる光を出射する。
【0060】
ロービームは、ロービーム用投影レンズ45の入射面からロービーム用投影レンズ45に入射し、ロービーム用投影レンズ45を透過する。この場合、ロービームの発散角は、ロービーム用投影レンズ45によって調整される。発散角を調整されたロービームは、ロービーム用投影レンズ45の出射面から自動二輪車の前方に向かって出射され、自動二輪車の前方を照射する。
【0061】
クリアランスランプ用光源53から出射される光の一部は、導光部材61の内側面から導光部材61に入射する。
【0062】
導光部材61に入射した当該光の一部は、導光部材61の内部を前方に向かって進行し、ロービーム用投影レンズ45の一端と一体化している導光部材61の端部から自動二輪車の前方に向かって出射される。そして、出射された光は、自車の存在を自車の前方に位置する対向車等に知らせる。
【0063】
また、導光部材61に入射した当該光の別の一部は、導光部材61の内部を後方に向かって進行する。この場合、光は、凸部61aにおいて乱反射し、導光部材61の長手方向において後方に進行する。この光は、後方に進行する過程において、導光部材61の外側面及び凸部61aから自動二輪車の側方に向かって出射される。そして、出射された光は、自車の存在を自車の側方に位置する対向車等に知らせる。
【0064】
また、導光部材61に入射した当該光の別の一部は、導光部材61からロービーム用投影レンズ45のシボ面83に進行する。この場合、光は、ロービーム用投影レンズ45のシボ面83よって拡散された状態で外部に出射される。また、ロービーム用投影レンズ45のシボ面83に進行した光は、ロービーム用投影レンズ45のシボ面83からハイビーム用投影レンズ75のシボ面83に進行し、ハイビーム用投影レンズ75のシボ面83よって拡散された状態で外部に出射される。投影レンズ45,75のシボ面83から拡散された状態で外部に出射される光は、自車の存在を自車の前方に位置する対向車等に知らせる。
【0065】
また、クリアランスランプ用光源53から出射される光の別の一部は、ロービーム用投影レンズ45の入射面からロービーム用投影レンズ45に直接入射し、ロービーム用投影レンズ45を透過する。この場合、当該光の発散角は、ロービーム用投影レンズ45によって調整される。発散角を調整された当該光は、ロービーム用投影レンズ45の出射面から自動二輪車の前方に向かって出射される。そして、当該光は、自車の存在を自車の前方に位置する対向車等に知らせる。
【0066】
次に、ロービームの出射がハイビームの出射に切り替わると、不図示の電源は、ロービーム用光源43及びクリアランスランプ用光源53への電力の供給を続けたまま、ハイビーム用基板71と不図示の配線とを介して電力をハイビーム用光源73に供給する。これにより、ロービーム用光源43及びクリアランスランプ用光源53が点灯した状態で、ハイビーム用光源73はハイビームを出射する。なお、ロービームの出射がハイビームの出射に切り替わると、不図示の電源は、ロービーム用光源43及びクリアランスランプ用光源53との少なくとも一方に電力を供給し、ハイビーム用光源73に電力を供給してもよい。この場合、ロービーム用光源43及びクリアランスランプ用光源53との少なくも一方が点灯した状態で、ハイビーム用光源73はハイビームを出射する。
【0067】
ハイビームは、ハイビーム用投影レンズ75の入射面からハイビーム用投影レンズ75に入射し、ハイビーム用投影レンズ75を透過する。この場合、ハイビームの発散角は、ハイビーム用投影レンズ75によって調整される。発散角を調整されたハイビームは、ハイビーム用投影レンズ75の出射面から自動二輪車の前方に向かって出射され、自動二輪車の前方を照射する。
【0068】
以上のように、本実施形態の自動二輪車用の前照灯10は、ロービームを出射するロービーム用光源43と、ロービーム用光源43の前方に配置され、ロービームが透過するロービーム用投影レンズ45と、クリアランスランプ用光源53と、ロービーム用投影レンズ45と一体であり、クリアランスランプ用光源53から出射される光の少なくとも一部が入射し、入射する当該光の少なくも一部をロービームを照射する方向に導光する導光部材61とを備える。
【0069】
一般的な自動二輪車の前照灯10において、ロービーム用光源43とクリアランスランプ用光源53とは同時に発光する。この場合、本実施形態では、ロービームはロービーム用投影レンズ45を透過し、クリアランスランプ用光源53から出射される光の少なくとも一部は導光部材61によってロービームを照射する方向に導光される。この状態で前照灯10を正面から視る場合、導光部材61がロービーム用投影レンズ45と一体であるため、導光部材61とロービーム用投影レンズ45との繋ぎ目における発光が目立ち難くなり、ロービームとクリアランスランプ用光源53から出射される光との境界が目立ち難くなり、前照灯10の光り方は違和感のない自然な見栄えとなり得る。従って、この前照灯10によれば、前照灯10の光り方の見栄えを良くすることができる。
【0070】
また、導光部材61は、ロービーム用投影レンズ45と一体である。従って、この前照灯10によれば、前照灯10の部品点数を削減することができる。
【0071】
また、ロービーム用光源43及びクリアランスランプ用光源53は、同じ基板に搭載される。
【0072】
この場合、ロービーム用光源43及びクリアランスランプ用光源53それぞれに基板を用意する必要がない。従って、この前照灯10によれば、前照灯10の部品点数を削減することができる。
【0073】
また、前照灯10は、ハイビームを出射するハイビーム用光源73と、ハイビーム用光源73の前方に配置され、ハイビームが透過するハイビーム用投影レンズ75と、を備え、ハイビーム用投影レンズ75は、ロービーム用投影レンズ45と一体である。
【0074】
この前照灯10によれば、前照灯10の部品点数を削減することができる。
【0075】
また、導光部材61は、導光部材61に入射する光の一部をロービーム用投影レンズ45の上端縁面及び下端縁面に導光し、ロービーム用投影レンズ45の上端縁面及び下端縁面は、光を拡散した状態で外部に出射するシボ面83である。
【0076】
この前照灯10によれば、光はロービーム用投影レンズ45のシボ面83によって拡散された状態で外部に出射し得るため、前照灯10を正面から視る場合、前照灯10の外周縁の一部がクリアランスランプ用光源53からの光を出射しているように視える。従って、この前照灯10によれば、前照灯10の光り方の見栄えをより良くすることができる。
【0077】
また、ハイビーム用投影レンズ75の上端縁面及び下端縁面は、ロービーム用投影レンズ45の上端縁面及び下端縁面に沿って進行してきた光を拡散した状態で外部に出射するシボ面83である。
【0078】
この前照灯10によれば、光はハイビーム用投影レンズ75のシボ面83によって拡散された状態で外部に出射し得るため、前照灯10を正面から視る場合、前照灯10の外周縁の一部がクリアランスランプ用光源53からの光を出射しているように視える。従って、この前照灯10によれば、前照灯10の光り方の見栄えをより良くすることができる。
【0079】
また、クリアランスランプ用光源53は、ロービーム用投影レンズ45の後方に配置され、クリアランスランプ用光源53から出射される光の一部は、ロービーム用投影レンズ45を透過する。
【0080】
この前照灯10によれば、ロービームとクリアランスランプ用光源53から出射される光の一部とは、ロービーム用投影レンズ45を透過し得る。このため、ロービームとクリアランスランプ用光源53から出射される光との境界がより目立ち難くなり、前照灯10の光り方は違和感のない自然な見栄えとなり得る。従って、この前照灯10によれば、前照灯10の光り方の見栄えをより良くすることができる。
【0081】
また、この場合、クリアランスランプ用光源53から出射されてロービーム用投影レンズ45を透過する光の一部は、ロービーム用投影レンズ45を透過するロービームの一部と重なりあい、補完し得る。このため、ロービームとクリアランスランプ用光源53から出射される光との境界がより目立ち難くなり、前照灯10の光り方は違和感のない自然な見栄えとなり得る。従って、この前照灯10によれば、前照灯10の光り方の見栄えをより良くすることができる。
【0082】
また、導光部材61は、クリアランスランプ用光源53から出射されて導光部材61に入射する光の一部を前照灯10の側方に導光する。
【0083】
この前照灯10によれば、クリアランスランプ用光源53から出射される光によって、自車の存在を自車の側方に位置する対向車等に知らせることができる。
【0084】
また、導光部材61の長手方向はロービーム用投影レンズ45の長手方向に対して傾斜し、導光部材61はクリアランスランプ用光源53の側方にまで延在される。
【0085】
この前照灯10によれば、クリアランスランプ用光源53から出射される光の一部は、導光部材61の内側面から導光部材61に入射し得る。従って、この前照灯10によれば、導光部材61がロービーム用光源43の側方にまで延在していない場合に比べて、クリアランスランプ用光源53から出射される光を無駄なく導光部材61に入射させることができる。
【0086】
また、導光部材61はクリアランスランプ用光源53の後方にまでさらに延在される。この場合、導光部材61がクリアランスランプ用光源53の後方にまでさらに延在していない場合に比べて、クリアランスランプ用光源53から出射される光を自車の側方の広い範囲に導光することができる。
【0087】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について
図3を参照して詳細に説明する。なお、第1実施形態と同一又は同等の構成要素については、特に説明する場合を除き、同一の参照符号を付して重複する説明は省略する。
【0088】
図3は、本実施形態にかかる前照灯10の構成を概略的に示す図であり、前照灯10の水平方向における断面図である。本実施形態では、導光部材61の構成が第1実施形態のそれとは異なる。
【0089】
導光部材61は、ロービーム用投影レンズ45と一体の本体部63と、本体部63と一体で、クリアランスランプ用光源53に向かって延在する延在部65とを有する。延在部65は、クリアランスランプ用光源53に対向する入射面67を有する。入射面67には、クリアランスランプ用光源53から出射される光の少なくとも一部が入射する。
【0090】
本実施形態では、クリアランスランプ用光源53から出射される光の少なくとも一部は、入射面67から延在部65に入射し、延在部65と本体部63とを介してロービームを照射する方向に導光され得る。この前照灯10によれば、入射面67が配置されていない場合に比べて、クリアランスランプ用光源53から出射される光を無駄なく導光部材61に入射させることができる。
【0091】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について
図4を参照して詳細に説明する。なお、第1実施形態及び第2実施形態と同一又は同等の構成要素については、特に説明する場合を除き、同一の参照符号を付して重複する説明は省略する。
【0092】
図4は、本実施形態にかかる前照灯10の構成を概略的に示す図であり、前照灯10の水平方向における断面図である。本実施形態では、導光部材61の構成とクリアランスランプ用光源53の位置とが第1実施形態のそれとは異なる。
【0093】
本実施形態の導光部材61は、ロービーム用投影レンズ45と一体となっている一端61bと、一端61bとは逆側に配置される他端61cとを有する。他端61cは、クリアランスランプ用光源53に対向する入射面67を有する。この入射面67には、クリアランスランプ用光源53から出射される光が入射する。入射面67は、導光部材61の外側面が導光部材61の内側面よりも後方に延びるように、傾斜している。
【0094】
本実施形態のクリアランスランプ用光源53は、クリアランスランプ用基板51に配置される。クリアランスランプ用基板51は、ロービーム用基板41とは別の基板であり、ロービーム用基板41よりも後方に配置される。クリアランスランプ用光源53は、クリアランスランプ用基板51の不図示の配線に電気的に接続される。クリアランスランプ用光源53は、不図示の電源からクリアランスランプ用基板51と不図示の配線とを介して電力を供給されて、光を出射する。クリアランスランプ用基板51は、支持部材30の第4板状部37に配置される。第4板状部37は、折れ曲がっており、第1板状部31と連続している。
【0095】
本実施形態では、クリアランスランプ用光源53から出射される光は、入射面67から導光部材61に入射し得る。このため、入射面67が配置されていない場合に比べて、クリアランスランプ用光源53から出射される光を無駄なく導光部材61に入射させることができる。また、入射面67から導光部材61に入射した光は、導光部材61の他端61cから導光部材61の一端61bまで導光部材61を全長に渡って導光され、ロービームを照射する方向及び前照灯10の側方に導光され得る。従って、この前照灯10によれば、自車の存在を自車の前方及び自車の側方に位置する対向車等に知らせることができる。
【0096】
また、入射面67は傾斜している。この場合、クリアランスランプ用光源53は導光部材61よりも自動二輪車の内側に配置され得る。したがって、クリアランスランプ用光源53が導光部材61よりも自動二輪車の外側に配置される場合に比べて、前照灯10の大きさを小さくすることができる。
【0097】
また本実施形態では、クリアランスランプ用光源53は、ロービーム用基板41とは異なるクリアランスランプ用基板51に配置される。このため本実施形態では、設計の自由度を向上させることができる。
【0098】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態について
図5を参照して詳細に説明する。なお、第3実施形態と同一又は同等の構成要素については、特に説明する場合を除き、同一の参照符号を付して重複する説明は省略する。
【0099】
図6は、本実施形態にかかる前照灯10の構成を概略的に示す図であり、前照灯10の水平方向における断面図である。本実施形態では、導光部材61の構成が第3実施形態のそれとは異なる。
【0100】
導光部材61は、クリアランスランプ用光源53に対向する入射面67を有する。入射面67は、導光部材61の内側面に配置される。入射面67は、導光部材61の他端61cが二股にわかれるように導光部材61の長手方向に対して傾斜している。入射面67には、クリアランスランプ用光源53から出射される光が入射する。
【0101】
この場合、入射面67がクリアランスランプ用光源53に対向していない場合に比べて、クリアランスランプ用光源53から出射される光を無駄なく導光部材61に入射させることができる。
【0102】
以上、本発明について、上記各実施形態を例に説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、適宜変更することが可能である。
【0103】
例えば、ロービーム用光源43とクリアランスランプ用光源53とハイビーム用光源73とは、LDであってもよい。
【0104】
導光部材61は、クリアランスランプ用光源53から出射されて導光部材61に入射した光の一部をロービーム用投影レンズ45に導光してもよい。また、クリアランスランプ用光源53から出射される光は、導光部材61に入射して、導光部材61からロービーム用投影レンズ45を介してハイビーム用投影レンズ75に進行し、ハイビーム用投影レンズ75から出射されてもよい。ロービームは、ロービーム用投影レンズ45に入射して、ロービーム用投影レンズ45からハイビーム用投影レンズ75に進行し、ハイビーム用投影レンズ75から出射されてもよい。また、ハイビームは、ハイビーム用投影レンズ75に入射して、ハイビーム用投影レンズ75からロービーム用投影レンズ45に進行し、ハイビーム用投影レンズ75から出射されてもよい。
【0105】
また、クリアランスランプ用光源53から出射された光がロービーム用投影レンズ45及びハイビーム用投影レンズ75のシボ面83よって拡散された状態で外部に出射される場合、光は、ハイビーム用投影レンズ75の他端の側端縁面にまで進行してもよい。この状態で前照灯10を正面から視る場合、前照灯10の外周縁面全周は、クリアランスランプ用光源53からの光を出射しているように視える。ハイビーム用投影レンズ75の他端の側端縁面は、シボ面83であってもよい。
【0106】
例えば、第3,4実施形態それぞれにおけるクリアランスランプ用光源53と導光部材61の入射面67とは、他の実施形態に組み合わされてもよい。
【0107】
ロービーム用投影レンズ45と導光部材61とハイビーム用投影レンズ75とシボ面83とは、カバーガラスによって覆われてもよい。カバーガラスが配置されず、ロービーム用投影レンズ45と導光部材61とハイビーム用投影レンズ75とシボ面83とが外部の直接露出してもよい。この場合、ロービーム用投影レンズ45と導光部材61とハイビーム用投影レンズ75とシボ面83とのそれぞれの露出面には、防水用のコーティングが施されてもよい。
【0108】
前照灯10は、例えば、車両の外部に文字や図形等を表示する描画ランプとされてもよい。前照灯10は、自動二輪車だけではなく、三輪車及び四輪車等に用いられてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0109】
本発明によれば、前照灯10の光り方の見栄えを良くすることができる車両用の前照灯10が提供され、車両用の前照灯の分野において利用可能である。
【符号の説明】
【0110】
10・・・前照灯
41・・・ロービーム用基板
43・・・ロービーム用光源
45・・・ロービーム用投影レンズ
53・・・クリアランスランプ用光源
61・・・導光部材
71・・・ハイビーム用基板
73・・・ハイビーム用光源
75・・・ハイビーム用投影レンズ
81・・・共通のレンズ