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特許7467051基板処理装置、基板処理方法、及び、半導体製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-05
(45)【発行日】2024-04-15
(54)【発明の名称】基板処理装置、基板処理方法、及び、半導体製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/306 20060101AFI20240408BHJP
【FI】
H01L21/306 R
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2019166962
(22)【出願日】2019-09-13
(65)【公開番号】P2021044476
(43)【公開日】2021-03-18
【審査請求日】2022-06-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【弁理士】
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】武明 励
(72)【発明者】
【氏名】太田 喬
【審査官】船越 亮
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-066235(JP,A)
【文献】特開2019-091815(JP,A)
【文献】特開2016-072609(JP,A)
【文献】特開2016-192473(JP,A)
【文献】特開平11-333354(JP,A)
【文献】特開2008-130835(JP,A)
【文献】特開平09-251972(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304-21/3063
H01L 21/308
H01L 21/465-21/467
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に処理液を供給して前記処理液によって前記基板を処理する基板処理装置であって、
前記基板を保持して回転する基板保持部と、
回転中の前記基板から飛散した前記処理液が流入する回収配管と、
前記回収配管に接続され、前記回収配管を通して前記処理液を回収する回収槽と、
前記基板への前記処理液の供給が停止された後であって、回転中の前記基板にリンス液が供給されている第1期間において、回転中の前記基板から飛散した前記リンス液が流入する排出配管と、
前記リンス液が前記回収配管に流入することを禁止することの可能な禁止部と、
前記第1期間において、前記回収配管への前記リンス液の流入を禁止するように、前記禁止部を制御する制御部と
を備え、
前記第1期間の一部又は全部において、前記回収配管の流路は開放されており、
前記禁止部は、
前記基板保持部の周方向に沿って配置される第1ガードと、
前記第1ガードと異なる位置において、前記基板保持部の周方向に沿って配置される第2ガードと
を含み、
前記第1ガードは、前記第1期間において、前記基板から飛散した前記リンス液を受け止めて、前記リンス液を前記排出配管に案内し、
前記第2ガードは、前記第1期間よりも前の期間である第2期間において、前記基板から飛散した前記リンス液を受け止めて、前記リンス液を前記回収配管に案内し
記第2期間の一部又は全部において、前記回収配管の流路は開放されており
前記第2期間で前記第2ガードが前記リンス液を受け止める状態から、前記第1期間で前記第1ガードが前記リンス液を受け止める状態への切替時における前記基板の回転数が、前記第1期間における前記基板の回転数よりも小さくなるように、前記制御部は、前記基板保持部の回転数を制御する、基板処理装置。
【請求項2】
基板に処理液を供給して前記処理液によって前記基板を処理する基板処理装置であって、
前記基板を保持して回転する基板保持部と、
回転中の前記基板から飛散した前記処理液が流入する回収配管と、
前記回収配管に接続され、前記回収配管を通して前記処理液を回収する回収槽と、
前記基板への前記処理液の供給が停止された後であって、回転中の前記基板にリンス液が供給されている第1期間において、回転中の前記基板から飛散した前記リンス液が流入する排出配管と、
前記リンス液が前記回収配管に流入することを禁止することの可能な禁止部と、
前記第1期間において、前記回収配管への前記リンス液の流入を禁止するように、前記禁止部を制御する制御部と
を備え、
前記第1期間の一部又は全部において、前記回収配管の流路は開放されており、
前記禁止部は、
前記基板保持部の周方向に沿って配置される第1ガードと、
前記第1ガードと異なる位置において、前記基板保持部の周方向に沿って配置される第2ガードと
を含み、
前記第1ガードは、前記第1期間において、前記基板から飛散した前記リンス液を受け止めて、前記リンス液を前記排出配管に案内しつつ、前記回収配管への前記リンス液の流入を禁止し、
前記第2ガードは、前記第1期間よりも前の期間である第2期間において、前記基板から飛散した前記リンス液を受け止めて、前記リンス液を前記回収配管に案内し、
前記第2期間は、回転中の前記基板に前記処理液が供給された後であって、回転中の前記基板に前記リンス液が供給されている期間を示し、前記第1期間よりも短く、
前記第2期間の一部又は全部において、前記回収配管の流路は開放されており、
前記第2期間で前記第2ガードが前記リンス液を受け止める状態から、前記第1期間で前記第1ガードが前記リンス液を受け止める状態への切替時における前記基板の回転数が、前記第1期間における前記基板の回転数よりも小さくなるように、前記制御部は、前記基板保持部の回転数を制御する、基板処理装置。
【請求項3】
前記回収配管と前記排出配管とは、互いに分離した異なる系列の配管である、請求項1又は請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記第2期間において、前記第1ガードは、前記基板から飛散した前記リンス液を受け止めず、前記回収配管への前記リンス液の流入を禁止せず、
前記第2期間は、前記第1期間に連続し、前記基板への前記リンス液の供給開始時を含む期間である、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記第2期間において、前記禁止部は、前記回収配管への前記リンス液の流入を禁止せず、
前記第2期間は、前記第1期間に連続し、前記基板への前記リンス液の供給開始時を含む期間である、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記処理液は、燐酸液、又は、硫酸過酸化水素水混合液を含む、請求項1から請求項のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項7】
基板に処理液を供給して前記基板を前記処理液によって処理する基板処理装置によって実行される基板処理方法であって、
前記基板処理装置は、回収配管と、前記回収配管に接続される回収槽と、排出配管と、前記基板を保持して回転する基板保持部と、前記基板保持部の周方向に沿って配置される第1ガードと、前記第1ガードと異なる位置において前記基板保持部の周方向に沿って配置される第2ガードとを備え、
前記基板処理方法は、
回転中の前記基板に前記処理液を供給して、前記基板を処理する工程と、
前記基板から飛散した前記処理液を、前記回収配管を通して前記回収槽に回収する工程と、
前記基板に前記処理液が供給された後に、回転中の前記基板にリンス液を供給する工程と、
前記基板に前記リンス液が供給されている第1期間において、前記回収配管への前記リンス液の流入を禁止する工程と、
前記第1期間において、前記排出配管を通して前記リンス液を排出する工程と、
前記第1期間よりも前の期間である第2期間において、前記第2ガードが、前記基板から飛散した前記リンス液を受け止めて、前記リンス液を前記回収配管に供給する工程と
を含み、
前記第1期間の一部又は全部において、前記回収配管の流路は開放されており、
前記リンス液の流入を禁止する前記工程では、
前記第1ガードが、前記第1期間において、前記基板から飛散した前記リンス液を受け止めて、前記リンス液を前記排出配管に供給し、
前記第2期間の一部又は全部において、前記回収配管の流路は開放されており
前記基板処理方法は、
前記第2期間で前記第2ガードが前記リンス液を受け止める状態から、前記第1期間で前記第1ガードが前記リンス液を受け止める状態への切替時における前記基板の回転数が、前記第1期間における前記基板の回転数よりも小さくなるように、前記基板保持部の回転数を制御する工程をさらに含む、基板処理方法。
【請求項8】
基板に処理液を供給して前記基板を前記処理液によって処理する基板処理装置によって実行される基板処理方法であって、
前記基板処理装置は、回収配管と、前記回収配管に接続される回収槽と、排出配管と、前記基板を保持して回転する基板保持部と、前記基板保持部の周方向に沿って配置される第1ガードと、前記第1ガードと異なる位置において前記基板保持部の周方向に沿って配置される第2ガードとを備え、
前記基板処理方法は、
回転中の前記基板に前記処理液を供給して、前記基板を処理する工程と、
前記基板から飛散した前記処理液を、前記回収配管を通して前記回収槽に回収する工程と、
前記基板に前記処理液が供給された後に、回転中の前記基板にリンス液を供給する工程と、
前記基板に前記リンス液が供給されている第1期間において、前記回収配管への前記リンス液の流入を禁止する工程と、
前記第1期間において、前記排出配管を通して前記リンス液を排出する工程と、
前記第1期間よりも前の期間である第2期間において、前記第2ガードが、前記基板から飛散した前記リンス液を受け止めて、前記リンス液を前記回収配管に供給する工程と
を含み、
前記第1期間の一部又は全部において、前記回収配管の流路は開放されており、
前記リンス液の流入を禁止する前記工程では、
前記第1ガードが、前記第1期間において、前記基板から飛散した前記リンス液を受け止めて、前記リンス液を前記排出配管に供給しつつ、前記回収配管への前記リンス液の流入を禁止し、
前記第2期間は、回転中の前記基板に前記処理液が供給された後であって、回転中の前記基板に前記リンス液が供給されている期間を示し、前記第1期間よりも短く、
前記第2期間の一部又は全部において、前記回収配管の流路は開放されており、
前記基板処理方法は、
前記第2期間で前記第2ガードが前記リンス液を受け止める状態から、前記第1期間で前記第1ガードが前記リンス液を受け止める状態への切替時における前記基板の回転数が、前記第1期間における前記基板の回転数よりも小さくなるように、前記基板保持部の回転数を制御する工程をさらに含む、基板処理方法。
【請求項9】
前記回収配管と前記排出配管とは、互いに分離した異なる系列の配管である、請求項7又は請求項8に記載の基板処理方法。
【請求項10】
前記第2期間は、前記第1期間に連続し、前記基板への前記リンス液の供給開始時を含む期間であり、
前記第1ガードは、前記第2期間において、前記基板から飛散した前記リンス液を受け止めず、前記回収配管への前記リンス液の流入を禁止しない、請求項7から請求項9のいずれか1項に記載の基板処理方法。
【請求項11】
前記第2期間において、前記回収配管への前記リンス液の流入を禁止せず、
前記第2期間は、前記第1期間に連続し、前記基板への前記リンス液の供給開始時を含む期間である、請求項7から請求項9のいずれか1項に記載の基板処理方法。
【請求項12】
前記処理液は、燐酸液、又は、硫酸過酸化水素水混合液を含む、請求項から請求項11のいずれか1項に記載の基板処理方法。
【請求項13】
基板処理装置によって半導体基板を処理して、処理後の前記半導体基板である半導体を製造する半導体製造方法であって、
前記基板処理装置は、回収配管と、前記回収配管に接続される回収槽と、排出配管と、前記半導体基板を保持して回転する基板保持部と、前記基板保持部の周方向に沿って配置される第1ガードと、前記第1ガードと異なる位置において前記基板保持部の周方向に沿って配置される第2ガードとを備え、
前記半導体製造方法は、
回転中の前記半導体基板に処理液を供給して、前記半導体基板を処理する工程と、
前記半導体基板から飛散した前記処理液を、前記回収配管を通して前記回収槽に回収する工程と、
前記半導体基板に前記処理液が供給された後に、回転中の前記半導体基板にリンス液を供給する工程と、
前記半導体基板に前記リンス液が供給されている第1期間において、前記回収配管への前記リンス液の流入を禁止する工程と、
前記第1期間において、前記排出配管を通して前記リンス液を排出する工程と、
前記第1期間よりも前の期間である第2期間において、前記第2ガードが、前記半導体基板から飛散した前記リンス液を受け止めて、前記リンス液を前記回収配管に供給する工程と
を含み、
前記第1期間の一部又は全部において、前記回収配管の流路は開放されており、
前記リンス液の流入を禁止する前記工程では、
前記第1ガードが、前記第1期間において、前記半導体基板から飛散した前記リンス液を受け止めて、前記リンス液を前記排出配管に供給し、
前記第2期間の一部又は全部において、前記回収配管の流路は開放されており
前記半導体製造方法は、
前記第2期間で前記第2ガードが前記リンス液を受け止める状態から、前記第1期間で前記第1ガードが前記リンス液を受け止める状態への切替時における前記半導体基板の回転数が、前記第1期間における前記半導体基板の回転数よりも小さくなるように、前記基板保持部の回転数を制御する工程をさらに含む、半導体製造方法。
【請求項14】
基板処理装置によって半導体基板を処理して、処理後の前記半導体基板である半導体を製造する半導体製造方法であって、
前記基板処理装置は、回収配管と、前記回収配管に接続される回収槽と、排出配管と、前記半導体基板を保持して回転する基板保持部と、前記基板保持部の周方向に沿って配置される第1ガードと、前記第1ガードと異なる位置において前記基板保持部の周方向に沿って配置される第2ガードとを備え、
前記半導体製造方法は、
回転中の前記半導体基板に処理液を供給して、前記半導体基板を処理する工程と、
前記半導体基板から飛散した前記処理液を、前記回収配管を通して前記回収槽に回収する工程と、
前記半導体基板に前記処理液が供給された後に、回転中の前記半導体基板にリンス液を供給する工程と、
前記半導体基板に前記リンス液が供給されている第1期間において、前記回収配管への前記リンス液の流入を禁止する工程と、
前記第1期間において、前記排出配管を通して前記リンス液を排出する工程と、
前記第1期間よりも前の期間である第2期間において、前記第2ガードが、前記半導体基板から飛散した前記リンス液を受け止めて、前記リンス液を前記回収配管に供給する工程と
を含み、
前記第1期間の一部又は全部において、前記回収配管の流路は開放されており、
前記リンス液の流入を禁止する前記工程では、
前記第1ガードが、前記第1期間において、前記半導体基板から飛散した前記リンス液を受け止めて、前記リンス液を前記排出配管に供給しつつ、前記回収配管への前記リンス液の流入を禁止し、
前記第2期間は、回転中の前記半導体基板に前記処理液が供給された後であって、回転中の前記半導体基板に前記リンス液が供給されている期間を示し、前記第1期間よりも短く、
前記第2期間の一部又は全部において、前記回収配管の流路は開放されており、
前記半導体製造方法は、
前記第2期間で前記第2ガードが前記リンス液を受け止める状態から、前記第1期間で前記第1ガードが前記リンス液を受け止める状態への切替時における前記半導体基板の回転数が、前記第1期間における前記半導体基板の回転数よりも小さくなるように、前記基板保持部の回転数を制御する工程をさらに含む、半導体製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板処理装置、基板処理方法、及び、半導体製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載されている基板処理装置は、回収システムと、排液システムとを備える。
【0003】
回収システムは、処理カップと、回収配管と、回収バルブとを含む。処理カップは、基板から飛散する燐酸水溶液を受け止める。回収配管は、処理カップによって受け止められた燐酸水溶液を燐酸タンクに案内する。回収バルブは、回収配管を開閉する。排液システムは、排液配管と、排液バルブとを含む。排液配管は、回収バルブの上流で回収配管に接続される。排液バルブは、排液配管を開閉する。
【0004】
具体的には、回収バルブが開かれ、排液バルブが閉じられた回収状態のとき、処理カップによって受け止められた燐酸水溶液は、回収配管によって燐酸タンクに回収される。回収バルブが閉じられ、排液バルブが開かれた排液状態のとき、処理カップによって受け止められた燐酸水溶液は、回収配管を通って排液配管に排出される。
【0005】
また、特許文献1に記載されている基板処理装置では、燐酸供給工程の後に、リンス液供給工程が実行される。従って、基板上の燐酸水溶液は、リンス液によって洗い流される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2018-182228号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載されている基板処理装置において、燐酸水溶液を排出する時に使用する回収配管と排液配管とによって、リンス液が排出される場合には、燐酸水溶液を回収するための十分な時間を確保できない可能性がある。なぜなら、燐酸供給工程の後、直ちにリンス液供給工程が実行されるからである。
【0008】
燐酸水溶液を回収するための十分な時間を確保できないと、燐酸水溶液の回収率が低くなる。従って、燐酸水溶液の回収率を向上することが要望される。
【0009】
特に、例えば、燐酸水溶液及び硫酸過酸化水素水混合液(SPM)のように、粘度の高い処理液では、粘度の低い処理液と比較して、重力による回収(処理液の自重による回収)に時間が掛かる。
【0010】
また、燐酸水溶液の回収率を高めるために、十分な時間を確保してリンス液によって燐酸水溶液を回収すると、燐酸水溶液だけでなく、想定外の量のリンス液が、燐酸タンクに流入する。その結果、燐酸タンク(回収槽)において、燐酸水溶液の濃度の調製が困難になる可能性がある。
【0011】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、回収槽における処理液の濃度の調製を円滑に実行しつつ、処理液の回収率を向上できる基板処理装置、基板処理方法、及び、半導体製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一局面によれば、基板処理装置は、基板に処理液を供給して前記処理液によって前記基板を処理する。基板処理装置は、基板保持部と、回収配管と、回収槽と、排出配管と、禁止部と、制御部とを備える。基板保持部は、前記基板を保持して回転する。回収配管には、回転中の前記基板から飛散した前記処理液が流入する。回収槽は、前記回収配管に接続され、前記回収配管を通して前記処理液を回収する。排出配管には、前記基板への前記処理液の供給が停止された後であって、回転中の前記基板にリンス液が供給されている第1期間において、回転中の前記基板から飛散した前記リンス液が流入する。禁止部は、前記リンス液が前記回収配管に流入することを禁止することが可能である。制御部は、前記第1期間において、前記回収配管への前記リンス液の流入を禁止するように、前記禁止部を制御する。前記第1期間の一部又は全部において、前記回収配管の流路は開放されている。前記禁止部は、第1ガードと、第2ガードとを含む。第1ガードは、前記基板保持部の周方向に沿って配置される。第2ガードは、前記第1ガードと異なる位置において、前記基板保持部の周方向に沿って配置される。前記第1ガードは、前記第1期間において、前記基板から飛散した前記リンス液を受け止めて、前記リンス液を前記排出配管に案内する。前記第2ガードは、前記第1期間よりも前の期間である第2期間において、前記基板から飛散した前記リンス液を受け止めて、前記リンス液を前記回収配管に案内する。前記第2期間の一部又は全部において、前記回収配管の流路は開放されている。前記第2期間で前記第2ガードが前記リンス液を受け止める状態から、前記第1期間で前記第1ガードが前記リンス液を受け止める状態への切替時における前記基板の回転数が、前記第1期間における前記基板の回転数よりも小さくなるように、前記制御部は、前記基板保持部の回転数を制御する。
本発明の他の局面によれば、基板処理装置は、基板に処理液を供給して前記処理液によって前記基板を処理する。基板処理装置は、基板保持部と、回収配管と、回収槽と、排出配管と、禁止部と、制御部とを備える。基板保持部は、前記基板を保持して回転する。回収配管には、回転中の前記基板から飛散した前記処理液が流入する。回収槽は、前記回収配管に接続され、前記回収配管を通して前記処理液を回収する。排出配管には、前記基板への前記処理液の供給が停止された後であって、回転中の前記基板にリンス液が供給されている第1期間において、回転中の前記基板から飛散した前記リンス液が流入する。禁止部は、前記リンス液が前記回収配管に流入することを禁止することが可能である。制御部は、前記第1期間において、前記回収配管への前記リンス液の流入を禁止するように、前記禁止部を制御する。前記第1期間の一部又は全部において、前記回収配管の流路は開放されている。前記禁止部は、第1ガードと、第2ガードとを含む。第1ガードは、前記基板保持部の周方向に沿って配置される。第2ガードは、前記第1ガードと異なる位置において、前記基板保持部の周方向に沿って配置される。前記第1ガードは、前記第1期間において、前記基板から飛散した前記リンス液を受け止めて、前記リンス液を前記排出配管に案内しつつ、前記回収配管への前記リンス液の流入を禁止する。前記第2ガードは、前記第1期間よりも前の期間である第2期間において、前記基板から飛散した前記リンス液を受け止めて、前記リンス液を前記回収配管に案内する。前記第2期間は、回転中の前記基板に前記処理液が供給された後であって、回転中の前記基板に前記リンス液が供給されている期間を示し、前記第1期間よりも短い。前記第2期間の一部又は全部において、前記回収配管の流路は開放されている。前記第2期間で前記第2ガードが前記リンス液を受け止める状態から、前記第1期間で前記第1ガードが前記リンス液を受け止める状態への切替時における前記基板の回転数が、前記第1期間における前記基板の回転数よりも小さくなるように、前記制御部は、前記基板保持部の回転数を制御する。
本発明の基板処理装置において、前記回収配管と前記排出配管とは、互いに分離した異なる系列の配管であることが好ましい。
本発明の基板処理装置において、前記第2期間において、前記第1ガードは、前記基板から飛散した前記リンス液を受け止めず、前記回収配管への前記リンス液の流入を禁止しないことが好ましい。前記第2期間は、前記第1期間に連続し、前記基板への前記リンス液の供給開始時を含む期間であることが好ましい。
本発明の基板処理装置において、前記第2期間において、前記禁止部は、前記回収配管への前記リンス液の流入を禁止しないことが好ましい。前記第2期間は、前記第1期間に連続し、前記基板への前記リンス液の供給開始時を含む期間であることが好ましい。
本発明の基板処理装置において、前記処理液は、燐酸液、又は、硫酸過酸化水素水混合液を含むことが好ましい。
本発明の更に他の局面によれば、基板処理方法は、基板に処理液を供給して前記基板を前記処理液によって処理する基板処理装置によって実行される。前記基板処理装置は、回収配管と、前記回収配管に接続される回収槽と、排出配管と、前記基板を保持して回転する基板保持部と、前記基板保持部の周方向に沿って配置される第1ガードと、前記第1ガードと異なる位置において前記基板保持部の周方向に沿って配置される第2ガードとを備える。前記基板処理方法は、回転中の前記基板に前記処理液を供給して、前記基板を処理する工程と、前記基板から飛散した前記処理液を、前記回収配管を通して前記回収槽に回収する工程と、前記基板に前記処理液が供給された後に、回転中の前記基板にリンス液を供給する工程と、前記基板に前記リンス液が供給されている第1期間において、前記回収配管への前記リンス液の流入を禁止する工程と、前記第1期間において、前記排出配管を通して前記リンス液を排出する工程と、前記第1期間よりも前の期間である第2期間において、前記第2ガードが、前記基板から飛散した前記リンス液を受け止めて、前記リンス液を前記回収配管に供給する工程とを含む。前記第1期間の一部又は全部において、前記回収配管の流路は開放されている。前記リンス液の流入を禁止する前記工程では、前記第1ガードが、前記第1期間において、前記基板から飛散した前記リンス液を受け止めて、前記リンス液を前記排出配管に供給する。前記第2期間の一部又は全部において、前記回収配管の流路は開放されている。前記基板処理方法は、前記第2期間で前記第2ガードが前記リンス液を受け止める状態から、前記第1期間で前記第1ガードが前記リンス液を受け止める状態への切替時における前記基板の回転数が、前記第1期間における前記基板の回転数よりも小さくなるように、前記基板保持部の回転数を制御する工程をさらに含む。
本発明の更に他の局面によれば、基板処理方法は、基板に処理液を供給して前記基板を前記処理液によって処理する基板処理装置によって実行される。前記基板処理装置は、回収配管と、前記回収配管に接続される回収槽と、排出配管と、前記基板を保持して回転する基板保持部と、前記基板保持部の周方向に沿って配置される第1ガードと、前記第1ガードと異なる位置において前記基板保持部の周方向に沿って配置される第2ガードとを備える。前記基板処理方法は、回転中の前記基板に前記処理液を供給して、前記基板を処理する工程と、前記基板から飛散した前記処理液を、前記回収配管を通して前記回収槽に回収する工程と、前記基板に前記処理液が供給された後に、回転中の前記基板にリンス液を供給する工程と、前記基板に前記リンス液が供給されている第1期間において、前記回収配管への前記リンス液の流入を禁止する工程と、前記第1期間において、前記排出配管を通して前記リンス液を排出する工程と、前記第1期間よりも前の期間である第2期間において、前記第2ガードが、前記基板から飛散した前記リンス液を受け止めて、前記リンス液を前記回収配管に供給する工程とを含む。前記第1期間の一部又は全部において、前記回収配管の流路は開放されている。前記リンス液の流入を禁止する前記工程では、前記第1ガードが、前記第1期間において、前記基板から飛散した前記リンス液を受け止めて、前記リンス液を前記排出配管に供給しつつ、前記回収配管への前記リンス液の流入を禁止する。前記第2期間は、回転中の前記基板に前記処理液が供給された後であって、回転中の前記基板に前記リンス液が供給されている期間を示し、前記第1期間よりも短い。前記第2期間の一部又は全部において、前記回収配管の流路は開放されている。前記基板処理方法は、前記第2期間で前記第2ガードが前記リンス液を受け止める状態から、前記第1期間で前記第1ガードが前記リンス液を受け止める状態への切替時における前記基板の回転数が、前記第1期間における前記基板の回転数よりも小さくなるように、前記基板保持部の回転数を制御する工程をさらに含む。
本発明の基板処理方法において、前記回収配管と前記排出配管とは、互いに分離した異なる系列の配管であることが好ましい。
本発明の基板処理方法において、前記第2期間は、前記第1期間に連続し、前記基板への前記リンス液の供給開始時を含む期間であることが好ましい。前記第1ガードは、前記第2期間において、前記基板から飛散した前記リンス液を受け止めず、前記回収配管への前記リンス液の流入を禁止しないことが好ましい。
本発明の基板処理方法において、前記第2期間において、前記回収配管への前記リンス液の流入を禁止しないことが好ましい。前記第2期間は、前記第1期間に連続し、前記基板への前記リンス液の供給開始時を含む期間であることが好ましい。
本発明の基板処理方法において、前記処理液は、燐酸液、又は、硫酸過酸化水素水混合液を含むことが好ましい。
本発明の更に他の局面によれば、半導体製造方法は、基板処理装置によって半導体基板を処理して、処理後の前記半導体基板である半導体を製造する。前記基板処理装置は、回収配管と、前記回収配管に接続される回収槽と、排出配管と、前記半導体基板を保持して回転する基板保持部と、前記基板保持部の周方向に沿って配置される第1ガードと、前記第1ガードと異なる位置において前記基板保持部の周方向に沿って配置される第2ガードとを備える。前記半導体製造方法は、回転中の前記半導体基板に処理液を供給して、前記半導体基板を処理する工程と、前記半導体基板から飛散した前記処理液を、前記回収配管を通して前記回収槽に回収する工程と、前記半導体基板に前記処理液が供給された後に、回転中の前記半導体基板にリンス液を供給する工程と、前記半導体基板に前記リンス液が供給されている第1期間において、前記回収配管への前記リンス液の流入を禁止する工程と、前記第1期間において、前記排出配管を通して前記リンス液を排出する工程と、前記第1期間よりも前の期間である第2期間において、前記第2ガードが、前記半導体基板から飛散した前記リンス液を受け止めて、前記リンス液を前記回収配管に供給する工程とを含む。前記第1期間の一部又は全部において、前記回収配管の流路は開放されている。前記リンス液の流入を禁止する前記工程では、前記第1ガードが、前記第1期間において、前記半導体基板から飛散した前記リンス液を受け止めて、前記リンス液を前記排出配管に供給する。前記第2期間の一部又は全部において、前記回収配管の流路は開放されている。前記半導体製造方法は、前記第2期間で前記第2ガードが前記リンス液を受け止める状態から、前記第1期間で前記第1ガードが前記リンス液を受け止める状態への切替時における前記半導体基板の回転数が、前記第1期間における前記半導体基板の回転数よりも小さくなるように、前記基板保持部の回転数を制御する工程をさらに含む。
本発明の更に他の局面によれば、半導体製造方法は、基板処理装置によって半導体基板を処理して、処理後の前記半導体基板である半導体を製造する。前記基板処理装置は、回収配管と、前記回収配管に接続される回収槽と、排出配管と、前記半導体基板を保持して回転する基板保持部と、前記基板保持部の周方向に沿って配置される第1ガードと、前記第1ガードと異なる位置において前記基板保持部の周方向に沿って配置される第2ガードとを備える。前記半導体製造方法は、回転中の前記半導体基板に処理液を供給して、前記半導体基板を処理する工程と、前記半導体基板から飛散した前記処理液を、前記回収配管を通して前記回収槽に回収する工程と、前記半導体基板に前記処理液が供給された後に、回転中の前記半導体基板にリンス液を供給する工程と、前記半導体基板に前記リンス液が供給されている第1期間において、前記回収配管への前記リンス液の流入を禁止する工程と、前記第1期間において、前記排出配管を通して前記リンス液を排出する工程と、前記第1期間よりも前の期間である第2期間において、前記第2ガードが、前記半導体基板から飛散した前記リンス液を受け止めて、前記リンス液を前記回収配管に供給する工程とを含む。前記第1期間の一部又は全部において、前記回収配管の流路は開放されている。前記リンス液の流入を禁止する前記工程では、前記第1ガードが、前記第1期間において、前記半導体基板から飛散した前記リンス液を受け止めて、前記リンス液を前記排出配管に供給しつつ、前記回収配管への前記リンス液の流入を禁止する。前記第2期間は、回転中の前記半導体基板に前記処理液が供給された後であって、回転中の前記半導体基板に前記リンス液が供給されている期間を示し、前記第1期間よりも短い。前記第2期間の一部又は全部において、前記回収配管の流路は開放されている。前記半導体製造方法は、前記第2期間で前記第2ガードが前記リンス液を受け止める状態から、前記第1期間で前記第1ガードが前記リンス液を受け止める状態への切替時における前記半導体基板の回転数が、前記第1期間における前記半導体基板の回転数よりも小さくなるように、前記基板保持部の回転数を制御する工程をさらに含む。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、回収槽における処理液の濃度の調製を円滑に実行しつつ、処理液の回収率を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明の実施形態1に係る基板処理装置を示す平面図である。
図2】実施形態1に係る基板処理装置における処理装置の内部を示す図である。
図3】実施形態1に係る基板処理装置による処理液の回収動作を示すタイムチャートである。
図4】(a)は、実施形態1に係る基板処理装置において、処理液による処理期間での処理液の回収工程を示す図である。(b)は、実施形態1に係る基板処理装置において、リンス処理のための第1期間での処理液の回収工程を示す図である。
図5】実施形態1に係る基板処理方法を示すフローチャートである。
図6】本発明の実施形態2に係る基板処理装置による処理液の回収動作を示すタイムチャートである。
図7】(a)は、比較例に係る基板処理装置において、処理液による処理期間での処理液の回収工程を示す図である。(b)は、比較例に係る基板処理装置において、処理液の振り切り期間での処理液の回収工程を示す図である。
図8】(a)は、比較例に係る基板処理装置において、リンス処理の初期期間での処理液の回収工程を示す図である。(b)は、比較例に係る基板処理装置において、リンス液の排出工程を示す図である。
図9】(a)は、実施形態2に係る基板処理装置において、処理液による処理期間での処理液の回収工程を示す図である。(b)は、実施形態2に係る基板処理装置において、処理液の振り切り期間での処理液の回収工程を示す図である。
図10】(a)は、実施形態2に係る基板処理装置において、リンス処理のための第2期間での処理液の回収工程を示す図である。(b)は、実施形態2に係る基板処理装置において、リンス処理のための第1期間での処理液の回収工程を示す図である。
図11】実施形態2に係る基板処理装置が実行する基板処理方法の一部を示すフローチャートである。
図12】実施形態2に係る基板処理装置が実行する基板処理方法の他の一部を示すフローチャートである。
図13】実施形態2に係る基板処理装置の好適な構成を示す図である。
図14】(a)~(f)は、実施形態2に係る基板処理装置における処理液の流れの変化を説明するための図である。
図15】実施形態2に係る第1回収槽及び第2回収槽による燐酸液の回収タイミングを示すタイムチャートである。
図16】本発明の実施形態3に係る基板処理装置における処理装置の内部を示す図である。
図17】(a)は、実施形態3に係る基板処理装置において、処理液による処理期間での処理液の回収工程を示す図である。(b)は、実施形態3に係る基板処理装置において、リンス処理のための第1期間での処理液の回収工程を示す図である。
図18】(a)は、本発明の実施形態4に係る基板処理装置において、処理液による処理期間での処理液の回収工程を示す図である。(b)は、実施形態4に係る基板処理装置において、処理液の振り切り期間での処理液の回収工程を示す図である。
図19】(a)は、実施形態4に係る基板処理装置において、リンス処理のための第2期間での処理液の回収工程を示す図である。(b)は、実施形態4に係る基板処理装置において、リンス処理のための第1期間での処理液の回収工程を示す図である。
図20】(a)は、比較例に係る基板処理装置における燐酸液の排液量を示す図である。(b)は、本発明の実施例に係る基板処理装置における燐酸液の排液量を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図中、同一または相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。また、本発明の実施形態において、X軸、Y軸、及びZ軸は互いに直交し、X軸及びY軸は水平方向に平行であり、Z軸は鉛直方向に平行である。
【0032】
(実施形態1)
図1図4を参照して、本発明の実施形態1に係る基板処理装置500を説明する。まず、図1を参照して基板処理装置500を説明する。図1は、基板処理装置500を示す平面図である。基板処理装置500は、基板Wに処理液を供給して処理液によって基板Wを処理する。具体的には、基板処理装置500は、基板Wを1枚ずつ処理する枚葉型である。基板Wは略円板状である。
【0033】
基板Wは、例えば、半導体ウエハ、液晶表示装置用基板、プラズマディスプレイ用基板、電界放出ディスプレイ(Field Emission Display:FED)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、セラミック基板、又は、太陽電池用基板である。
【0034】
図1に示すように、基板処理装置500は、複数のロードポートLPと、インデクサーロボットIRと、センターロボットCRと、複数の処理装置U1と、制御装置U2とを備える。なお、基板処理装置500は、単数の処理装置U1を備えていてもよい。
【0035】
制御装置U2は、ロードポートLP、インデクサーロボットIR、センターロボットCR、及び、複数の処理装置U1を制御する。制御装置U2は、制御部U21と、記憶部U22とを含む。制御部U21は、CPU(Central Processing Unit)のようなプロセッサーを含む。記憶部U22は、記憶装置を含み、データ及びコンピュータープログラムを記憶する。具体的には、記憶部U22は、半導体メモリーのような主記憶装置と、半導体メモリー、ソリッドステートドライブ、及び/又は、ハードディスクドライブのような補助記憶装置とを含む。記憶部U22は、リムーバブルメディアを含んでいてもよい。
【0036】
具体的には、制御装置U2において、制御部U21のプロセッサーは、記憶部U22の記憶装置に記憶されたコンピュータープログラムを実行して、ロードポートLP、インデクサーロボットIR、センターロボットCR、及び、複数の処理装置U1を制御する。
【0037】
ロードポートLPの各々は、複数枚の基板Wを積層して収容する。インデクサーロボットIRは、ロードポートLPとセンターロボットCRとの間で基板Wを搬送する。センターロボットCRは、インデクサーロボットIRと処理装置U1との間で基板Wを搬送する。処理装置U1の各々は、基板Wを回転しながら、基板Wに処理液を供給して、処理液によって基板Wを処理する。
【0038】
具体的には、複数の処理装置U1は、平面視においてセンターロボットCRを取り囲むように配置された複数のタワーTW(実施形態1では4つのタワーTW)を構成している。各タワーTWは、上下に積層された複数の処理装置U1(実施形態1では3つの処理装置U1)を含む。
【0039】
次に、図2を参照して、実施形態1に係る基板処理装置500を説明する。図2は、基板処理装置500における処理装置U1の内部を示す図である。なお、図2では、図面の簡略化のために、1つ処理装置U1を図示している。
【0040】
図2に示すように、処理装置U1は、チャンバー1と、スピンチャック3と、スピン軸5と、スピンモーター7と、ノズル9と、ノズル移動部11と、ノズル13と、禁止部15と、昇降部17と、カップ部19とを備える。また、基板処理装置500は、処理液供給装置U3と、バルブV1と、配管P1と、バルブV2と、配管P2と、排出配管Q1と、排出バルブQ11と、排液槽U4と、回収配管Q2と、回収バルブQ21とをさらに備える。
【0041】
チャンバー1は略箱形状を有する。チャンバー1は、基板W、スピンチャック3、スピン軸5、スピンモーター7、ノズル9、ノズル移動部11、ノズル13、禁止部15、昇降部17、カップ部19、配管P1の一部、配管P2の一部、排出配管Q1の一部、及び、回収配管Q2の一部を収容する。
【0042】
スピンチャック3は、基板Wを保持して回転する。具体的には、スピンチャック3は、チャンバー1内で基板Wを水平に保持しながら、スピンチャック3の回転軸線AXの回りに基板Wを回転させる。スピンチャック3は、「基板保持部」の一例に相当する。
【0043】
スピンチャック3は、複数のチャック部材31と、スピンベース33とを含む。複数のチャック部材31はスピンベース33に設けられる。複数のチャック部材31は基板Wを水平な姿勢で保持する。スピンベース33は、略円板状であり、水平な姿勢で複数のチャック部材31を支持する。
【0044】
スピン軸5は、スピンベース33に固定される。また、スピン軸5は、スピンモーター7の駆動軸に固定される。そして、スピンモーター7は、スピン軸5を回転させることによって、スピンベース33を回転軸線AXの回りに回転させる。その結果、スピンベース33に設けられた複数のチャック部材31に保持された基板Wが回転軸線AXの回りに回転する。
【0045】
ノズル9は、回転中の基板Wに向けて処理液を供給する。実施形態1では、ノズル9は、回転中の基板Wに向けて処理液を吐出する。処理液は、典型的には、薬液である。本明細書において、処理液とは、基板Wを処理する液体のうち、基板Wを処理する目的に直接寄与する液体のことである。従って、処理液は、基板Wを処理する液体のうちのリンス液とは区別される。
【0046】
例えば、処理装置U1が基板Wに対してエッチング処理を実行する場合は、処理液は燐酸液を含む。燐酸液は、燐酸及び水を含有する。エッチング処理を実行する場合は、基板Wは、例えば、シリコン窒化膜及びシリコン酸化膜が形成された半導体ウエハである。エッチング処理とは、半導体ウエハの表面から、シリコン窒化膜を選択的にエッチングする処理のことである。基板Wに燐酸液を供給してエッチング処理を実行するときの燐酸液の温度は、例えば、175℃である。
【0047】
例えば、処理装置U1が基板Wに対してレジスト除去処理を実行する場合は、処理液は硫酸過酸化水素水混合液(sulfuric acid/hydrogen peroxide mixture:SPM)を含む。レジスト除去処理を実行する場合は、基板Wは、例えば、レジストが形成された半導体ウエハである。レジスト除去処理とは、半導体ウエハの表面から、レジストを除去する処理のことである。基板WにSPMを供給してレジスト除去処理を実行するときのSPMの温度は、例えば、200℃である。
【0048】
ノズル移動部11は、処理位置と退避位置との間でノズル9を移動する。処理位置は、基板Wの上方の位置を示す。ノズル9は、処理位置に位置するときに、基板Wに向けて処理液を供給する。退避位置は、基板Wよりも基板Wの径方向外側の位置を示す。
【0049】
具体的には、ノズル移動部11は、アーム111と、回動軸117と、ノズル移動機構115とを含む。アーム111は略水平方向に沿って延びる。アーム111の先端部にはノズル9が取り付けられる。アーム111は回動軸117に結合される。回動軸117は、略鉛直方向に沿って延びる。ノズル移動機構115は、回動軸117を略鉛直方向に沿った回動軸線のまわりに回動させて、アーム111を略水平面に沿って回動させる。その結果、ノズル9が略水平面に沿って移動する。例えば、ノズル移動機構115は、回動軸117を回動軸線のまわりに回動させるアーム揺動モーターを含む。アーム揺動モーターは、例えば、サーボモータである。また、ノズル移動機構115は、回動軸117を略鉛直方向に沿って昇降させて、アーム111を昇降させる。その結果、ノズル9が略鉛直方向に沿って移動する。例えば、ノズル移動機構115は、ボールねじ機構と、ボールねじ機構に駆動力を与えるアーム昇降モーターとを含む。アーム昇降モーターは、例えば、サーボモータである。
【0050】
処理液供給装置U3は、配管P1に処理液を供給する。そして、配管P1はノズル9に処理液を供給する。バルブV1は、配管P1に介挿されて、ノズル9に対する処理液の供給開始と供給停止とを切り替える。
【0051】
具体的には、処理液供給装置U3は供給槽TDを含む。供給槽TDは処理液を貯留する。処理液供給装置U3は、供給槽TDに貯留した処理液を配管P1に供給する。また、処理液供給装置U3は回収槽TRをさらに含む。回収槽TRについては後述する。
【0052】
ノズル13は、処理液によって基板Wが処理された後に、回転中の基板Wに向けてリンス液を供給する。つまり、ノズル13は、リンス液によって、基板Wに付着した処理液を洗い流す。リンス液は、例えば、脱イオン水、炭酸水、電解イオン水、水素水、オゾン水、または、希釈濃度(例えば、10ppm~100ppm程度)の塩酸水である。リンス液の種類は、基板Wをリンスできる限りにおいては、特に限定されない。処理液がSPMを含む場合、リンス液は、例えば、過酸化水素水であってもよい。
【0053】
配管P2はノズル13にリンス液を供給する。バルブV2は、配管P2に介挿されて、ノズル13に対するリンス液の供給開始と供給停止とを切り替える。
【0054】
禁止部15は、第1ガードG1と、第2ガードG2とを含む。第1ガードG1及び第2ガードG2は、回転軸線AXを中心とする同心円状に配置される。
【0055】
第1ガードG1は、回転中の基板Wからリンス液を受け止める。具体的には、第1ガードG1は、スピンチャック3の径方向外側において、スピンチャック3の周方向に沿って配置される。第1ガードG1は、筒部G11と、天井部G12とを含む。筒部G11は略筒形状を有する。天井部G12は、筒部G11の上端部から回転軸線AXに向かって斜め上方に延びる。天井部G12は略円環形状を有する。
【0056】
第2ガードG2は、回転中の基板Wから処理液を受け止める。具体的には、第2ガードG2は、スピンチャック3の径方向外側において、スピンチャック3の周方向に沿って配置される。第2ガードG2は、スピンチャック3の径方向において、第1ガードG1と異なる位置に配置される。第2ガードG2は、筒部G21と、天井部G22とを含む。筒部G21は略筒形状を有する。筒部G21は、第1ガードG1の筒部G11よりも、スピンチャック3の径方向外側に位置する。天井部G22は、筒部G21の上端部から回転軸線AXに向かって斜め上方に延びる。天井部G22は略円環形状を有する。
【0057】
すなわち、禁止部15は、回転中の基板Wから飛散した処理液又はリンス液を受け止める。
【0058】
昇降部17は、禁止部15を上昇又は下降させる。具体的には、昇降部17は、第1昇降機構D1と、第2昇降機構D2とを含む。
【0059】
第1昇降機構D1は、受液位置と退避位置との間で、第1ガードG1を上昇又は下降させる。受液位置は、第1ガードG1が上昇して第1ガードG1の上端が基板Wよりも鉛直方向上側に位置するときの位置を示す。退避位置は、第1ガードG1が下降して第1ガードG1の上端が基板Wよりも鉛直方向下側に位置するときの位置を示す。第1昇降機構D1は、例えば、ボールねじ機構と、ボールねじ機構に駆動力を与えるモーターとを含む。
【0060】
第2昇降機構D2は、受液位置と退避位置との間で、第2ガードG2を上昇又は下降させる。受液位置は、第2ガードG2が上昇して第2ガードG2の上端が基板Wよりも鉛直方向上側に位置するときの位置を示す。退避位置は、第2ガードG2が下降して第2ガードG2の上端が基板Wよりも鉛直方向下側に位置するときの位置を示す。第2昇降機構D2は、例えば、ボールねじ機構と、ボールねじ機構に駆動力を与えるモーターとを含む。
【0061】
カップ部19は、禁止部15によって下方に案内された処理液又はリンス液を受け止める。具体的には、カップ部19は、第1カップC1と、第2カップC2とを含む。
【0062】
第1カップC1は、第1ガードG1によって下方に案内されたリンス液を受け止める。第1カップC1の底部は、第1ガードG1(具体的には筒部G11)の下方に配置される。第1カップC1は、上向きに開いた環状の受液溝を形成している。
【0063】
第2カップC2は、第2ガードG2によって下方に案内された処理液を受け止める。第2カップC2の底部は、第2ガードG2(具体的には筒部G21)の下方に配置される。第2カップC2は、上向きに開いた環状の受液溝を形成している。
【0064】
排出配管Q1には、回転中の基板Wから飛散したリンス液が流入する。具体的には、排出配管Q1は、第1カップC1に接続される。従って、排出配管Q1には、第1ガードG1によって第1カップC1に案内されたリンス液が流入する。つまり、排出配管Q1には、第1ガードG1及び第1カップC1を介してリンス液が流入する。排出配管Q1は、排液槽U4に接続され、排液槽U4にリンス液を排出する。その結果、排液槽U4は、リンス液を貯留する。
【0065】
すなわち、第1ガードG1が受け止めたリンス液は、第1カップC1及び排出配管Q1を介して、排液槽U4に排出される。排出バルブQ11は、排出配管Q1に介挿される。そして、排出バルブQ11が開くと、排出配管Q1の流路が開放される。その結果、リンス液が排出配管Q1を通って排液槽U4へ排出される。一方、排出バルブQ11が閉じると、排出配管Q1の流路が閉塞される。その結果、排液槽U4へのリンス液の排出が停止される。
【0066】
回収配管Q2には、回転中の基板Wから飛散した処理液が流入する。具体的には、回収配管Q2は、第2カップC2に接続される。従って、回収配管Q2には、第2ガードG2によって第2カップC2に案内された処理液が流入する。つまり、回収配管Q2には、第2ガードG2及び第2カップC2を介して処理液が流入する。回収配管Q2は、回収槽TRに接続され、回収槽TRに処理液を案内する。従って、回収槽TRは、回収配管Q2を通して処理液を回収して、処理液を貯留する。処理液供給装置U3は、回収槽TRに貯留された処理液を目標濃度及び目標温度に調製する。そして、処理液供給装置U3は、濃度及び温度が調製された処理液を、回収槽TRから供給槽TDに供給する。
【0067】
すなわち、第2ガードG2が受け止めた処理液は、第2カップC2及び回収配管Q2を介して、回収槽TRに回収される。回収バルブQ21は、回収配管Q2に介挿される。そして、回収バルブQ21が開くと、回収配管Q2の流路が開放される。その結果、処理液が回収配管Q2を通って回収槽TRへ案内される。一方、回収バルブQ21が閉じると、回収配管Q2の流路が閉塞される。その結果、回収槽TRへの処理液の案内が停止される。
【0068】
制御装置U2は、処理装置U1の各構成を制御する。具体的には、制御部U21のプロセッサーは、記憶部U22の記憶装置が記憶しているコンピュータープログラムを実行して、スピンチャック3、スピンモーター7、ノズル移動部11、禁止部15、昇降部17、及び、カップ部19を制御する。また、制御部U21のプロセッサーは、記憶部U22の記憶装置が記憶しているコンピュータープログラムを実行して、バルブV1、処理液供給装置U3、バルブV2、排出バルブQ11、及び、回収バルブQ21を制御する。
【0069】
次に、図2及び図3を参照して、基板処理装置500による処理液の回収動作を説明する。図3は、基板処理装置500による処理液の回収動作を示すタイムチャートである。図3では、横軸は、時間tを示している。
【0070】
図2及び図3に示すように、処理期間Txにおいて、処理装置U1は、処理液によって基板Wを処理する。従って、処理期間Txにおいて、ノズル9は基板Wに処理液を供給する。処理期間Txは、処理液によって基板Wを処理する期間を示す。なお、処理期間Txは、前処理期間及び/又は後処理期間を含んでいてもよい。前処理期間は、処理液を基板Wに供給するための準備期間を示す。後処理期間は、処理液を基板Wに供給した後であって、リンス液を供給する前の期間を示す。後処理期間は、例えば、処理液の振り切り期間を含んでもよい。振り切り期間は、処理液が供給された後に、基板Wの回転によって基板Wから処理液を振り切る期間を示す。振り切り期間では、基板Wから処理液を完全に除去するのではなく、基板Wの表面が露出しない程度に、処理液を基板Wから振り切ることが好ましい。
【0071】
処理期間Txにおいて、回転中の基板Wから飛散した処理液が、第2ガードG2及び第2カップC2に案内されて、回収配管Q2に流入する。一方、処理期間Txにおいて、回収バルブQ21は、回収配管Q2の流路を開放している。従って、処理期間Txにおいて、回転中の基板Wから飛散した処理液は、回収配管Q2によって、回収槽TRに案内される。その結果、回収槽TRは、回収配管Q2を通して処理液を回収する。
【0072】
次に、処理期間Txの後の第1期間T1において、処理装置U1はリンス処理を実行する。つまり、処理装置U1は、リンス液によって基板Wの表面に付着した処理液を洗い流す。従って、第1期間T1において、ノズル13は基板Wにリンス液を供給する。具体的には、第1期間T1は、基板Wへの処理液の供給が停止された後であって、回転中の基板Wにリンス液が供給されている期間を示す。つまり、第1期間T1は、リンス処理を実行する期間を示す。なお、第1期間T1は、リンス前処理期間及び/又はリンス後処理期間を含んでいてもよい。リンス前処理期間は、処理期間Txの後であって、リンス液を基板Wに供給するための準備期間を示す。リンス後処理期間は、リンス液を基板Wに供給した後の期間を示す。リンス後処理期間は、例えば、リンス液の振り切り期間を含んでいてもよい。振り切り期間は、リンス液が供給された後に、基板Wの回転によって基板Wからリンス液を振り切る期間を示す。
【0073】
第1期間T1において、回転中の基板Wから飛散したリンス液が、第1ガードG1及び第1カップC1に案内されて、排出配管Q1に流入する。一方、第1期間T1において、排出バルブQ11は、排出配管Q1の流路を開放している。従って、第1期間T1において、回転中の基板Wから飛散したリンス液は、排出配管Q1によって、排液槽U4に案内される。排出バルブQ11は、第1期間T1の終了後に、開かれたままであってもよいし、閉じられてもよい。
【0074】
ここで、禁止部15は、リンス液が回収配管Q2に流入することを禁止することが可能である。そこで、制御部U21は、第1期間T1において、回収配管Q2へのリンス液の流入を禁止するように、禁止部15を制御する。一方、第1期間T1の一部又は全部において、回収バルブQ21は、回収配管Q2の流路を開放している。つまり、第1期間T1の一部又は全部において、回収配管Q2の流路は開放されている。
【0075】
従って、実施形態1によれば、リンス処理が実行される第1期間T1においても、処理期間Txに引き続き、回収配管Q2を通して処理液を回収できる。その結果、処理液の回収に十分な時間を確保できて、処理液の回収率を向上できる。第1期間T1では、例えば、第2ガードG2に付着した処理液が、重力(処理液の自重)によって、第2カップC2を介して回収配管Q2に流入する。さらに、第1期間T1では、例えば、回収配管Q2に付着した処理液が、重力(処理液の自重)によって、回収配管Q2を回収槽TRに向かって移動する。この場合、回収配管Q2の構造及び配置に応じて、処理液は、回収配管Q2の途中まで移動してもよいし、回収槽TRまで移動してもよい。特に、実施形態1では、第1期間T1では、回収配管Q2へのリンス液の流入が禁止されているため、処理液が回収配管Q2の途中までしか移動しない場合であっても、次のサイクルの処理期間Txにおいて、回収配管Q2に残存する処理液を回収槽TRに回収できる。
【0076】
特に、処理液の粘度が比較的高い場合であっても、処理液の回収に十分な時間を確保できるため、処理液の回収率を向上できる。例えば、処理液が、燐酸液を含む場合、又は、SPMを含む場合でも、処理液の回収率を向上できる。燐酸液又はSPMを含む処理液は、粘度の高い処理液の一例である。燐酸液の温度及び濃度によって異なるが、例えば、燐酸液の粘度は約25℃で約100CP(センチポアズ)である。SPMの濃度及び温度によって異なるが、例えば、SPMの粘度は約25℃で約23CP(センチポアズ)である。なお、リンス処理が実行される第1期間T1では、第2ガードG2及び/又は回収配管Q2に付着した処理液の温度は、基板Wの処理時の温度よりも低下している。従って、第1期間T1における処理液の回収時では、第2ガードG2及び/又は回収配管Q2に付着した処理液の粘度は、処理時の処理液の粘度よりも高い。しかしながら、実施形態1では、第1期間T1においても回収配管Q2を通して処理液を回収できるため、例えば燐酸液及びSPMのような粘度が比較的高い処理液であっても、処理液の回収に十分な時間を確保できて、処理液の回収率を向上できる。
【0077】
加えて、実施形態1では、リンス処理が実行される第1期間T1において、回収配管Q2へのリンス液の流入が禁止されている。従って、第1期間T1において、リンス液が回収槽TRに流入することが抑制される。その結果、回収槽TRにおける処理液の濃度の調製を円滑に実行できる。
【0078】
また、第1期間T1の経過後においても、引き続き、禁止部15は、回収配管Q2へのリンス液の流入を禁止していてもよい。そして、第1期間T1の経過後においても、引き続き、回収バルブQ21は、回収配管Q2の流路を開放していてもよい。この場合、処理液の回収のために更に十分な時間を確保できる。その結果、処理液の回収率を更に向上できる。
【0079】
以上、図2及び図3を参照して説明したように、実施形態1によれば、基板処理装置500は、回収槽TRにおける処理液の濃度の調製を円滑に実行しつつ、処理液の回収率を向上できる。
【0080】
特に、実施形態1では、回収配管Q2と排出配管Q1とは、互いに分離した異なる系列の配管である。従って、リンス処理を実行する第1期間T1において、禁止部15は、リンス液が回収配管Q2に流入することを容易に禁止できる。
【0081】
次に、図4(a)及び図4(b)を参照して、基板処理装置500による処理液の回収動作の詳細を説明する。図4(a)は、処理液による処理期間Txでの処理液の回収工程を示す図である。図4(b)は、リンス処理のための第1期間T1での処理液の回収工程を示す図である。
【0082】
図4(a)に示すように、処理期間Txにおいて、第2ガードG2は、受液位置に位置する。従って、処理期間Txにおいて、第2ガードG2は、回転中の基板Wから飛散した処理液を受け止めて、第2カップC2を介して、処理液を回収配管Q2に案内する。一方、処理期間Txでは、回収バルブQ21は、回収配管Q2の流路を開放している。従って、処理液は、回収配管Q2を通って回収槽TRに回収される。
【0083】
一方、処理期間Txにおいて、第1ガードG1は、退避位置に位置する。従って、処理液は、排出配管Q1に流入しない。処理期間Txにおいて、排出バルブQ11は、排出配管Q1の流路を、開放していてもよいし、閉塞していてもよい。
【0084】
次に、図4(b)に示すように、第1期間T1において、第2ガードG2は、受液位置に位置する。ただし、第1期間T1では、第2ガードG2よりも内側の第1ガードG1が受液位置に位置する。従って、第1ガードG1は、第1期間T1において、基板Wから飛散したリンス液を受け止めて、第1カップC1を介してリンス液を排出配管Q1に案内しつつ、回収配管Q2へのリンス液の流入を禁止する。その結果、実施形態1によれば、リンス液の排出と並行して、回収配管Q2を通して処理液を回収できる。よって、処理液の回収に十分な時間を確保できて、処理液の回収率を向上できる。加えて、リンス液が回収配管Q2に流入しないため、リンス液が回収槽TRに流入することが抑制される。その結果、回収槽TRにおける処理液の濃度の調製を円滑に実行できる。
【0085】
具体的には、第1期間T1において、第1ガードG1によって受け止められたリンス液は、第1カップC1を経由して、排出配管Q1に流入する。加えて、第1期間T1において、排出配管Q1の流路は開放されている。従って、リンス液は、排出配管Q1を通って排液槽U4に排出される。
【0086】
一方、第1期間T1において、第2ガードG2に付着している処理液は、自重によって、第2カップC2を介して回収配管Q2に流入する。加えて、第1期間T1において、回収配管Q2の流路は開放されている。従って、リンス液の排出と並行して、回収配管Q2を通して処理液を回収できる。また、第1期間T1では、第1ガードG1が受液位置に位置しているため、リンス液が回収配管Q2に流入することが禁止される。
【0087】
次に、図2及び図5を参照して、基板処理装置500が実行する基板処理方法を説明する。図5は、実施形態1に係る基板処理方法を示すフローチャートである。図5に示すように、基板処理方法は、工程S1~工程S10を含む。基板処理方法は、1枚の基板Wごとに基板処理装置500によって実行される。
【0088】
図2及び図5に示すように、工程S1において、基板処理装置500の処理装置U1は、基板Wの回転を開始する。具体的には、制御部U21は、スピンチャック3が回転するように、スピンモーター7を制御する。その結果、スピンチャック3が回転して、スピンチャック3に保持された基板Wが回転する。
【0089】
次に、基板処理装置500は、処理期間Tx(図3)において、工程S2と工程S3とを並行して実行する。
【0090】
すなわち、工程S2において、基板処理装置500の処理装置U1は、回転中の基板Wに処理液を供給して、基板Wを処理する。
【0091】
具体的には、制御部U21は、ノズル9が処理液を基板Wに向けて供給するように、バルブV1を制御する。その結果、ノズル9は、処理液を、回転中の基板Wに向けて供給する。よって、処理期間Txにおいて、基板Wが処理液によって処理される。
【0092】
一方、工程S3において、基板処理装置500は、処理液の回収を開始する。従って、基板Wから飛散した処理液は、回収配管Q2を通して回収槽TRに回収される。
【0093】
具体的には、制御部U21は、回収バルブQ21が開くように回収バルブQ21を制御する。その結果、回収バルブQ21が開いて、回収配管Q2の流路が開放される。加えて、制御部U21は、第1ガードG1が退避位置に位置するように、第1昇降機構D1を制御する。その結果、第1ガードG1は、処理期間Txにおいて、退避位置に位置する。加えて、制御部U21は、第2ガードG2が受液位置に位置するように、第2昇降機構D2を制御する。その結果、第2ガードG2は、処理期間Txにおいて、受液位置に位置する。よって、処理期間Txにおいて、第2ガードG2は、処理液を受け止めて、第2カップC2を介して処理液を回収配管Q2に案内する。
【0094】
工程S2の終了後においても、引き続き、基板処理装置500は、処理液の回収を継続する。つまり、工程S2の終了後においても、引き続き、第2ガードG2は、第2ガードG2に残存する処理液を、第2カップC2を介して回収配管Q2に案内する。具体的には、工程S2の終了後においても、引き続き、第2ガードG2に残存する処理液が自重によって第2カップC2を経由して回収配管Q2に流入する。加えて、工程S2の終了後においても、引き続き、回収配管Q2の流路が開放されているため、回収配管Q2に残存する処理液が自重によって回収槽TRに向かって移動する。
【0095】
次に、工程S4において、基板処理装置500の禁止部15は、回収配管Q2へのリンス液の流入を禁止する。
【0096】
具体的には、制御部U21は、第1ガードG1が受液位置に位置するように、第1昇降機構D1を制御する。その結果、第1ガードG1は、受液位置に位置する。よって、第1ガードG1は、回収配管Q2へのリンス液の流入を禁止する。
【0097】
次に、基板処理装置500は、第1期間T1(図3)において、工程S5と工程S6とを並行して実行する。
【0098】
すなわち、工程S5において、基板処理装置500の処理装置U1は、回転中の基板Wにリンス液を供給して、基板Wに付着した処理液を洗い流す。
【0099】
具体的には、制御部U21は、ノズル13がリンス液を基板Wに向けて供給するように、バルブV2を制御する。その結果、ノズル13は、リンス液を、回転中の基板Wに向けて供給する。よって、第1期間T1において、基板Wがリンス液によって洗浄される。つまり、基板Wに処理液が供給された後に、回転中の基板Wにリンス液が供給される。
【0100】
一方、工程S6において、基板処理装置500は、リンス液の排出を開始する。従って、基板Wから飛散したリンス液は、排出配管Q1を通して排液槽U4に回収される。
【0101】
具体的には、制御部U21は、排出バルブQ11が開くように排出バルブQ11を制御する。その結果、排出バルブQ11が開いて、排出配管Q1の流路が開放される。加えて、第1ガードG1は、第1期間T1において、工程S4から継続して受液位置に位置する。従って、第1期間T1において、第1ガードG1は、リンス液を受け止めて、第1カップC1を介してリンス液を排出配管Q1に案内する。その結果、第1期間T1において、排出配管Q1を通してリンス液が排出される。
【0102】
工程S5及び工程S6の前に工程S4が実行されているため、工程S5及び工程S6の実行中において、回収配管Q2へのリンス液の流入が禁止される。つまり、第1期間T1において、回収配管Q2へのリンス液の流入が禁止される。
【0103】
従って、工程S5及び工程S6の実行中においても、引き続き、基板処理装置500は、処理液の回収を継続する。つまり、工程S5及び工程S6の実行中においても、引き続き、第2ガードG2は、第2ガードG2に残存する処理液を、第2カップC2を介して回収配管Q2に案内する。具体的には、工程S5及び工程S6の実行中においても、引き続き、第2ガードG2に残存する処理液が自重によって第2カップC2を経由して回収配管Q2に流入する。加えて、工程S5及び工程S6の実行中においても、引き続き、回収配管Q2の流路が開放されているため、回収配管Q2に残存する処理液が自重によって回収槽TRに向かって移動する。
【0104】
次に、工程S7において、基板処理装置500の処理装置U1は、基板Wを回転させて、基板Wに付着したリンス液を振り切って、基板Wを乾燥させる。
【0105】
次に、工程S8において、処理装置U1は、基板Wの回転を停止する。具体的には、制御部U21は、スピンチャック3が停止するように、スピンモーター7を制御する。その結果、スピンチャック3が停止して、スピンチャック3に保持された基板Wが停止する。
【0106】
次に、工程S9において、基板処理装置500は、リンス液の排出を停止する。具体的には、制御部U21は、排出バルブQ11が閉じるように排出バルブQ11を制御する。その結果、排出バルブQ11が閉じて、排出配管Q1の流路が閉塞される。
【0107】
次に、工程S10において、基板処理装置500は、処理液の回収を停止する。具体的には、制御部U21は、回収バルブQ21が閉じるように回収バルブQ21を制御する。その結果、回収バルブQ21が閉じて、回収配管Q2の流路が閉塞される。工程S10が終了すると、1枚の基板Wに対する一連の処理が終了する。なお、工程S9の後に工程S8が実行されてもよい。
【0108】
以上、図5を参照して説明したように、実施形態1に係る基板処理方法によれば、工程S4を実行することで、工程S5及び工程S6の実行期間である第1期間T1(図3)において、回収配管Q2へのリンス液の流入が禁止される。従って、リンス液の排出と並行して、回収配管Q2を通して処理液を回収できる。その結果、処理液の回収に十分な時間を確保できて、処理液の回収率を向上できる。加えて、第1期間T1においてリンス液が回収配管Q2及び回収槽TRに流入しないため、回収槽TRにおける処理液の濃度の調製を円滑に実行できる。
【0109】
また、実施形態1に係る半導体製造方法では、工程S1~工程S10を含む基板処理方法によって半導体基板Wを処理して、処理後の半導体基板Wである半導体を製造する。つまり、実施形態1に係る半導体製造方法では、基板処理装置500によって半導体基板Wを処理して、処理後の半導体基板Wである半導体を製造する。
【0110】
ここで、基板処理装置500の処理装置U1が複数枚の基板Wを連続して処理する場合には、工程S1~工程S8が繰り返し実行され、複数枚の基板Wのうち最後の基板Wの処理において、工程S9及び工程S10が実行される。また、この場合、複数枚の基板Wのうちの最初の基板Wの処理での工程S3及び工程S6において、回収バルブQ21及び排出バルブQ11を開くことで、2枚目以降の基板Wの処理では、回収バルブQ21及び排出バルブQ11は継続して開いたままである。
【0111】
なお、図1及び図2に示す基板処理装置500において、処理液供給装置U3は、1つの処理装置U1に対して設けられていてもよいし、複数の処理装置U1で共用されていてもよい。また、基板処理装置500は、1つの供給槽TDに対して複数の回収槽TRを備えていてもよい。
【0112】
(実施形態2)
図6図15を参照して、本発明の実施形態2に係る基板処理装置500を説明する。実施形態2に係る基板処理装置500が、リンス液を使用して処理液を回収する点で、実施形態2は実施形態1と主に異なる。以下、実施形態2が実施形態1と異なる点を主に説明する。実施形態2に係る基板処理装置500のハードウェア構成は、実施形態1に係る基板処理装置500のハードウェア構成と同様であるため、実施形態2の説明において、図2を適宜参照する。
【0113】
まず、図2及び図6を参照して、基板処理装置500を説明する。図6は、実施形態2に係る基板処理装置500による処理液の回収動作を示すタイムチャートである。図2及び図6に示すように、処理期間Txにおいて、処理装置U1は、処理液によって基板Wを処理する。また、処理期間Txにおいて、回転中の基板Wから飛散した処理液が、第2ガードG2及び第2カップC2に案内されて、回収配管Q2に流入する。そして、処理液は、回収配管Q2を通って、回収槽TRに回収される。その他、処理期間Txにおける処理液による処理及び処理液の回収動作は、図3に示す実施形態1と同様である。
【0114】
次に、処理期間Txの後の振り切り期間Tyにおいて、処理装置U1は、基板Wへの処理液の供給を停止し、更に、処理期間Txでの基板Wの回転数よりも高い回転数で基板Wを回転して、基板Wに付着した処理液を振り切る。振り切り期間Tyは、処理液が供給された後に、基板Wの回転によって基板Wから処理液を振り切る期間を示す。振り切り期間Tyでの振り切り処理は、図3を参照して説明した振り切り期間での振り切り処理と同様である。
【0115】
振り切り期間Tyにおいて、回転中の基板Wから飛散した処理液が、第2ガードG2及び第2カップC2に案内されて、回収配管Q2に流入する。一方、振り切り期間Tyにおいて、回収バルブQ21は、回収配管Q2の流路を開放している。従って、振り切り期間Tyにおいて、回転中の基板Wから飛散した処理液は、回収配管Q2によって、回収槽TRに案内される。振り切り期間Tyにおいても処理液が回収されるため、処理液の回収率を更に向上できる。
【0116】
次に、振り切り期間Tyの後の第2期間T2と、第2期間T2に後続する第1期間T1とにおいて、処理装置U1はリンス処理を実行する。つまり、処理装置U1は、リンス液によって基板Wの表面に付着した処理液を洗い流す。従って、第2期間T2と第1期間T1とにおいて、ノズル13は、基板Wにリンス液を継続して供給する。第2期間T2及び第1期間T1は、リンス処理を実行する期間を示す。
【0117】
具体的には、第2期間T2は、基板Wへの処理液の供給が停止された後であって、回転中の基板Wにリンス液が供給されている期間を示す。また、第2期間T2は、第1期間T1よりも前の期間であって、第1期間T1に連続し、基板Wへのリンス液の供給開始時を含む期間である。さらに、第2期間T2は、第1期間T1よりも短い。なお、第2期間T2は、図3を参照して説明したリンス前処理期間を含んでいてもよい。
【0118】
また、第2期間T2において、禁止部15は、回収配管Q2へのリンス液の流入を禁止しない。従って、回収配管Q2には、リンス液が流入する。一方、第2期間T2の一部又は全部において、回収バルブQ21は、回収配管Q2の流路を開放している。つまり、第2期間T2の一部又は全部において、回収配管Q2の流路は開放されている。従って、第2ガードG2及び回収配管Q2に付着した処理液が、リンス液によって回収槽TRへ搬送される。その結果、実施形態2によれば、処理液の回収率を更に向上できる。
【0119】
特に、処理液の粘度が比較的高い場合であっても、実施形態2では、リンス液によって、回収配管Q2に付着した処理液を回収槽TRへ搬送できるため、粘度が比較的高い処理液の回収率を更に向上できる。例えば、処理液が、燐酸液を含む場合、又は、SPMを含む場合でも、処理液の回収率を更に向上できる。
【0120】
加えて、第2期間T2に後続する第1期間T1では、図3を参照して説明した実施形態1の第1期間T1と同様に、制御部U21は、リンス液が回収配管Q2に流入することを禁止するように、禁止部15を制御する。従って、第1期間T1よりも短い第2期間T2でだけ、リンス液が回収配管Q2を通って回収槽TRに流入するに過ぎない。その結果、回収槽TRにおける処理液の濃度の調製に対するリンス液の影響を低減できる。つまり、第2期間T2において回収槽TRにリンス液が流入した場合でも、処理液供給装置U3は、限られた期間内で、回収槽TRに貯留された処理液を目標濃度及び目標温度に調製できる。
【0121】
また、第1期間T1において、処理装置U1は、第2期間T2での基板Wの回転数よりも高い回転数で基板Wを回転して、リンス処理を実行する。加えて、第1期間T1において、基板処理装置500は、リンス液を、排出配管Q1を通して排液槽U4に排出する。その他、リンス処理及びリンス液の排出動作は、図3に示す実施形態1と同様である。
【0122】
さらに、実施形態2では、実施形態1と同様に、第1期間T1において回収配管Q2へのリンス液の流入が禁止され、かつ、第1期間T1の一部又は全部において、回収配管Q2の流路は開放されている。
【0123】
従って、実施形態2によれば、リンス処理が実行される第1期間T1においても、第2期間T2に引き続き、回収配管Q2を通して処理液を回収できる。その結果、処理液の回収に十分な時間を確保できて、処理液の回収率を向上できる。その他、第1期間T1での処理液の回収動作は、図3に示す実施形態1と同様である。
【0124】
特に、実施形態2では、実施形態1と同様に、処理液の粘度が比較的高い場合であっても、処理液の回収に十分な時間を確保できるため、処理液の回収率を向上できる。
【0125】
加えて、実施形態2では、実施形態1と同様に、リンス処理が実行される第1期間T1において、回収配管Q2へのリンス液の流入が禁止されている。従って、リンス液が回収槽TRに流入することが抑制されて、回収槽TRにおける処理液の濃度の調製を円滑に実行できる。
【0126】
また、実施形態2でも、実施形態1と同様に、第1期間T1の経過後においても、引き続き、禁止部15は、回収配管Q2へのリンス液の流入を禁止していてもよい。そして、第1期間T1の経過後においても、引き続き、回収配管Q2の流路が開放されていてもよい。この場合、処理液の回収のために更に十分な時間を確保できて、処理液の回収率を更に向上できる。
【0127】
以上、図2及び図6を参照して説明したように、実施形態2によれば、基板処理装置500は、回収槽TRにおける処理液の濃度の調製を円滑に実行しつつ、処理液の回収率を向上できる。その他、実施形態2では、実施形態1と同様の効果を有する。なお、図6の振り切り期間Tyを設けなくてもよい。例えば、処理液がSPMの場合は、振り切り期間Tyを設けなくてもよい。
【0128】
次に、実施形態2における処理液の回収動作の理解を容易にするために、図7(a)~図8(b)を参照して、比較例における処理液の回収動作を説明する。
【0129】
図7(a)は、比較例に係る基板処理装置において、処理液による処理期間(以下、「処理期間Txc」と記載する。)での処理液の回収工程を示す図である。図7(b)は、比較例に係る基板処理装置において、処理液の振り切り期間(以下、「振り切り期間Tyc」と記載する。)での処理液の回収工程を示す図である。図8(a)は、比較例に係る基板処理装置において、リンス処理の初期期間(以下、「リンス初期期間T2c」と記載する。)での処理液の回収工程を示す図である。図8(b)は、比較例に係る基板処理装置において、リンス処理期間Tcに後続するリンス期間(以下、「リンス期間T1c」と記載する。)でのリンス液の排出工程を示す図である。
【0130】
図7(a)~図8(b)の排出バルブQ11、回収バルブQ21、及び、排出バルブQX1において、黒塗りのバルブ(例えば、7(a)の排出バルブQ11)は、バルブが閉じていることを示し、白抜きのバルブ(例えば、図7(a)の回収バルブQ21)は、バルブが開いていることを示す。
【0131】
図7(a)に示すように、比較例では、回収配管Q2から分岐して、排出配管QXが設けられている。そして、排出配管QXに排出バルブQX1が介挿される。また、排出配管QXに排液槽UX2が接続されている。さらに、比較例では、図7(a)~図8(b)に示すように、第1ガードG1は、常に退避位置に位置し、第2ガードG2は、常に受液位置に位置する。
【0132】
まず、図7(a)及び図7(b)に示すように、処理液による処理期間Txc及び処理液の振り切り期間Tycにおいて、回転中の基板Wから飛散した処理液は、第2ガードG2、第2カップC2、及び、回収配管Q2を経由して、回収槽TRに回収される。この場合、処理液が排液槽UX2に流入しないように、排出バルブQX1は閉じている。
【0133】
次に、図8(a)に示すように、リンス初期期間T2cにおいても、回収バルブQ21が開いており、第2ガードG2に付着した処理液、及び、回収配管Q2に付着した処理液が、リンス液によって回収槽TRへ搬送される。この場合、処理液が排液槽UX2に流入しないように、排出バルブQX1は閉じている。
【0134】
次に、図8(b)に示すように、リンス期間T1cでは、回収バルブQ21が閉じており、排出バルブQX1が開いている。従って、回転中の基板Wから飛散したリンス液は、第2ガードG2、第2カップC2、回収配管Q2、及び、排出配管QXを経由して、排液槽UX2に排出される。
【0135】
以上、図7(a)~図8(b)を参照して説明したように、比較例では、リンス液を排液するための排出配管QXが、回収配管Q2の下流において、回収配管Q2に接続されている。つまり、処理液の回収とリンス液の排出とが同じ系列の配管で行われる。そして、処理液の回収率を高めるためにリンス初期期間T2cを長くし、十分な時間を確保してリンス液によって処理液を回収すると、処理液だけでなく、想定外の量のリンス液が、回収槽TRに流入する。その結果、比較例では、回収槽TRにおいて、処理液の濃度の調製が困難になる可能性がある。
【0136】
そこで、実施形態2では、図2に示すように、処理液を回収する回収配管Q2と、リンス液を排出する排出配管Q1とを分離して、禁止部15が、リンス処理を行う第1期間T1(図6)において、リンス液が回収配管Q2に流入することを禁止する。そして、リンス処理と並行して、処理液を回収配管Q2によって回収する。従って、リンス液を使用して処理液を回収する第2期間T2(図6)を、回収槽TRにおける処理液の濃度の調製に対するリンス液の影響を低減できるような短い期間に設定しつつも、処理液を回収するための十分な時間を確保できる。
【0137】
具体的には、図9(a)~図10(b)に示す処理液の回収動作が実行される。図9(a)は、処理液による処理期間Txでの処理液の回収工程を示す図である。図9(b)は、処理液の振り切り期間Tyでの処理液の回収工程を示す図である。図10(a)は、リンス処理のための第2期間T2での処理液の回収工程を示す図である。図10(b)は、リンス処理のための第1期間T1での処理液の回収工程を示す図である。
【0138】
図9(a)に示すように、処理液による処理期間Txにおいて、第2ガードG2は、受液位置に位置する。従って、処理期間Txにおいて、第2ガードG2は、回転中の基板Wから飛散した処理液を受け止めて、第2カップC2を介して、処理液を回収配管Q2に案内する。一方、処理期間Txでは、回収バルブQ21は、回収配管Q2の流路を開放している。従って、処理液は、回収配管Q2を通って回収槽TRに回収される。その他、処理期間Txでの動作は、図4(a)を参照して説明した実施形態1に係る処理期間Txでの動作と同様である。
【0139】
次に、図9(b)に示すように、処理液の振り切り期間Tyでは、第1ガードG1、第2ガードG2、排出バルブQ11、及び、回収バルブQ21の状態は、それぞれ、処理期間Txでの第1ガードG1、第2ガードG2、排出バルブQ11、及び、回収バルブQ21の状態と同じである。従って、振り切り期間Tyでも、処理期間Txと同様に、処理液が回収槽TRに回収される。振り切り期間Tyでの基板Wの回転数は、処理期間Txでの基板Wの回転数よりも高い。
【0140】
次に、図10(a)に示すように、リンス処理のための第2期間T2において、第1ガードG1は、退避位置に位置する。従って、第2期間T2において、第1ガードG1は、基板Wから飛散したリンス液を受け止めず、回収配管Q2へのリンス液の流入を禁止しない。そして、第2期間T2において、第2ガードG2は、受液位置に位置する。従って、第2ガードG2は、第2期間T2において、基板Wから飛散したリンス液を受け止めて、リンス液を回収配管Q2に案内する。一方、第2期間T2では、回収バルブQ21は、回収配管Q2の流路を開放している。従って、第2ガードG2に付着している処理液、及び、回収配管Q2に付着している処理液は、リンス液によって、回収槽TRへ搬送される。第2期間T2での基板Wの回転数は、振り切り期間Tyでの基板Wの回転数よりも低い。
【0141】
次に、図10(b)に示すように、リンス処理のための第1期間T1において、第2ガードG2は、受液位置に位置する。ただし、第1期間T1では、第2ガードG2よりも内側の第1ガードG1が受液位置に位置する。従って、第1ガードG1は、第1期間T1において、基板Wから飛散したリンス液を受け止めて、第1カップC1を介してリンス液を排出配管Q1に案内しつつ、回収配管Q2へのリンス液の流入を禁止する。その結果、実施形態2によれば、リンス液の排出と並行して、回収配管Q2を通して処理液を回収できる。よって、処理液の回収に十分な時間を確保できて、処理液の回収率を向上できる。加えて、リンス液が回収配管Q2に流入しないため、リンス液が回収槽TRに流入することが抑制される。その結果、回収槽TRにおける処理液の濃度の調製を円滑に実行できる。その他、第1期間T1での動作は、図4(b)を参照して説明した実施形態1に係る第1期間T1での動作と同様である。第1期間T1での基板Wの回転数は、第2期間T2での基板Wの回転数よりも高い。
【0142】
以上、図10(a)及び図10(b)を参照して説明したように、実施形態2によれば、第2期間T2に後続する第1期間T1では、第1ガードG1は、リンス液が回収配管Q2に流入することを禁止する。従って、第1期間T1よりも短い第2期間T2でだけ、第2ガードG2によってリンス液が回収配管Q2に案内され、リンス液が回収槽TRに流入するに過ぎない。その結果、回収槽TRにおける処理液の濃度の調製に対するリンス液の影響を低減できる。
【0143】
特に、実施形態2では、図10(b)に示す第1期間T1での基板Wの回転数は、図10(a)に示す第2期間T2での基板Wの回転数よりも高い。そこで、第2期間T2で退避位置に位置する第1ガードG1を受液位置まで上昇させた後に、第1期間T1で基板Wの回転数を高くする。
【0144】
すなわち、実施形態2では、第2期間T2で第2ガードG2がリンス液を受け止める状態から第1期間T1で第1ガードG1がリンス液を受け止める状態への切替時における基板Wの回転数が、第1期間T1における基板Wの回転数よりも小さくなるように、制御部U21は、スピンチャック3の回転数を制御する。
【0145】
従って、実施形態2によれば、第2ガードG2による受液から第1ガードG1による受液への切替時において、第1ガードG1によるリンス液の飛散を抑制できる。
【0146】
次に、図2図11、及び、図12を参照して、実施形態2に係る基板処理装置500が実行する基板処理方法を説明する。図11及び図12は、実施形態2に係る基板処理方法を示すフローチャートである。図11及び図12に示すように、基板処理方法は、工程S21~工程S34を含む。基板処理方法は、1枚の基板Wごとに基板処理装置500によって実行される。
【0147】
図2及び図11に示すように、工程S21において、基板処理装置500の処理装置U1は、基板Wの回転を開始する。その他、工程S21の処理は、図5の工程S1の処理と同様である。
【0148】
次に、基板処理装置500は、処理期間Tx(図6)において、工程S22と工程S23とを並行して実行する。
【0149】
すなわち、工程S2において、基板処理装置500の処理装置U1は、回転中の基板Wに処理液を供給して、基板Wを処理する。
【0150】
一方、工程S3において、基板処理装置500は、処理液の回収を開始する。従って、基板Wから飛散した処理液は、回収配管Q2を通して回収槽TRに回収される。
【0151】
その他、工程S22及び工程S23の処理は、それぞれ、図5の工程S2及び工程S3の処理と同様である。
【0152】
工程S22の終了後においても、引き続き、基板処理装置500は、処理液の回収を継続する。この点は、図5を参照して説明した工程S2の終了後と同様である。
【0153】
次に、工程S24において、基板処理装置500の処理装置U1は、回転中の基板Wへの処理液の供給を停止して、基板Wに付着した処理液を振り切る。工程S24は、振り切り期間Ty(図6)に実行される。
【0154】
具体的には、制御部U21は、ノズル9が基板Wへの処理液の供給を停止するように、バルブV1を制御する。その結果、バルブV1が閉じて、ノズル9からの処理液の供給が停止される。また、振り切り期間Tyでの基板Wの回転数が、処理期間Txでの基板Wの回転数よりも大きくなるように、制御部U21は、スピンモーター7を介してスピンチャック3の回転数を制御する。振り切り期間Tyが終了すると、処理は工程S25に進む。
【0155】
次に、工程S25において、振り切り期間Tyでの基板Wの回転数よりも基板Wの回転数が低くなるように、制御部U21は、スピンモーター7を介してスピンチャック3の回転数を制御する。そして、処理は、図12の工程S26及び工程S27に進む。
【0156】
次に、図12に示すように、基板処理装置500は、工程S26と、工程S27~工程S30とを並行して実行する。
【0157】
すなわち、工程S26において、基板処理装置500の処理装置U1は、回転中の基板Wにリンス液を供給して、基板Wに付着した処理液を洗い流す。その他、工程S26の処理は、図5の工程S5の処理と同様である。工程S26は、第2期間T2(図6)と、第2期間T2に後続する第1期間T1(図6)とにわたって実行される。
【0158】
一方、工程S27において、制御部U21は、第2期間T2が終了したか否かを判定する。
【0159】
工程S27で第2期間T2が終了していないと判定された場合(No)、制御部U21は、第2期間T2が終了するまで待機する。
【0160】
特に、第1ガードG1は、第2期間T2において、基板Wから飛散したリンス液を受け止めず、回収配管Q2へのリンス液の流入を禁止しない。また、第2期間T2において、第2ガードG2は、基板Wから飛散したリンス液を受け止めて、リンス液を回収配管Q2に供給する。さらに、第2期間T2の一部又は全部において、回収配管Q2の流路は開放されている。従って、第2期間T2では、第2ガードG2及び回収配管Q2に付着している処理液は、リンス液によって回収配管Q2から回収槽TRに搬送される。
【0161】
一方、工程S27で第2期間T2が終了したと判定された場合(Yes)、処理は工程S28に進む。
【0162】
次に、工程S28において、基板処理装置500の禁止部15は、回収配管Q2へのリンス液の流入を禁止する。
【0163】
具体的には、制御部U21は、第1ガードG1が受液位置に位置するように、第1昇降機構D1を制御する。その結果、第1ガードG1は、受液位置に位置する。よって、第1ガードG1は、回収配管Q2へのリンス液の流入を禁止する。
【0164】
次に、工程S29において、基板処理装置500は、リンス液の排出を開始する。従って、基板Wから飛散したリンス液は、排出配管Q1を通して排液槽U4に回収される。工程S29は第1期間T1に実行される。その他、工程S29の処理は、図5の工程S6の処理と同様である。
【0165】
次に、工程S30において、第2期間T2での基板Wの回転数よりも基板Wの回転数が高くなるように、制御部U21は、スピンモーター7を介してスピンチャック3の回転数を制御する。工程S30は第1期間T1に実行される。従って、第1期間T1では、第2期間T2での基板Wの回転数よりも高い回転数でリンス処理が実行される。
【0166】
工程S29の前に工程S28が実行されているため、工程S26及び工程S29の実行中において、回収配管Q2へのリンス液の流入が禁止される。つまり、第1期間T1において、回収配管Q2へのリンス液の流入が禁止される。従って、第2期間T2に後続する第1期間T1においても、引き続き、基板処理装置500は、処理液の回収を継続する。
【0167】
次に、工程S31において、基板処理装置500の処理装置U1は、基板Wを回転させて、基板Wに付着したリンス液を振り切って、基板Wを乾燥させる。
【0168】
次に、工程S32において、処理装置U1は、基板Wの回転を停止する。その他、工程S32の処理は、図5の工程S8の処理と同様である。
【0169】
次に、工程S33において、基板処理装置500は、リンス液の排出を停止する。その他、工程S32の処理は、図5の工程S9の処理と同様である。
【0170】
次に、工程S34において、基板処理装置500は、処理液の回収を停止する。その他、工程S34の処理は、図5の工程S10の処理と同様である。工程S34が終了すると、1枚の基板Wに対する一連の処理が終了する。なお、工程S34の後に工程S33が実行されてもよい。
【0171】
以上、図11及び図12を参照して説明したように、実施形態2に係る基板処理方法によれば、リンス処理のための第1期間T1(図6)において、回収配管Q2へのリンス液の流入が禁止される(工程S28)。従って、リンス液の排出と並行して、回収配管Q2を通して処理液を回収できる。その結果、処理液の回収に十分な時間を確保できて、処理液の回収率を向上できる。加えて、第1期間T1においてリンス液が回収配管Q2及び回収槽TRに流入しないため、回収槽TRにおける処理液の濃度の調製を円滑に実行できる。さらに、実施形態2によれば、第2期間T2でだけリンス液による処理液の回収を実行することで(工程S27)、回収槽TRにおける処理液の濃度の調製に対するリンス液の影響を低減できる。
【0172】
また、実施形態2に係る半導体製造方法では、工程S21~工程S34を含む基板処理方法によって半導体基板Wを処理して、処理後の半導体基板Wである半導体を製造する。つまり、実施形態2に係る半導体製造方法では、基板処理装置500によって半導体基板Wを処理して、処理後の半導体基板Wである半導体を製造する。
【0173】
ここで、基板処理装置500の処理装置U1が複数枚の基板Wを連続して処理する場合には、工程S21~工程S32が繰り返し実行され、複数枚の基板Wのうち最後の基板Wの処理において、工程S33及び工程S34が実行される。また、この場合、複数枚の基板Wのうちの最初の基板Wの処理での工程S23及び工程S29において、回収バルブQ21及び排出バルブQ11を開くことで、2枚目以降の基板Wの処理では、回収バルブQ21及び排出バルブQは継続して開いたままである。
【0174】
次に、図13及び図14を参照して、実施形態2の更に好ましい例を説明する。図13及び図14では、処理液が燐酸液の場合を説明する。図13は、実施形態2に係る基板処理装置500の好適な構成を示す図である。図13に示すように、基板処理装置500は、2つの回収槽TRを備えることが好ましい。以下、2つの回収槽TRのうち、一方の回収槽TRを「第1回収槽TR1」と記載し、他方の回収槽TRを「第2回収槽TR2」と記載する場合がある。また、基板処理装置500は、回収配管Q2A及び回収バルブQ21Aを備えることが好ましい。
【0175】
具体的には、基板処理装置500の処理液供給装置U3は、燐酸液を貯留する貯留部102と、新液供給部140とを備える。貯留部102において、燐酸液は調製される。貯留部102は、燐酸液を目標温度および目標濃度に調製する。
【0176】
貯留部102は、第1貯留部110と、第2貯留部120と、第3貯留部130とを含む。第1貯留部110は、処理装置U1に燐酸液を供給する。第2貯留部120と第3貯留部130とは、第1貯留部110に燐酸液を交互に補充する。また、第2貯留部120及び第3貯留部130は、処理装置U1において用いられた燐酸液を交互に回収する。
【0177】
第1貯留部110は、供給槽TDと、第1配管113と、第1計測部114とを含む。供給槽TDは、処理液として燐酸液を貯留する。
【0178】
第1配管113は、配管P1を介して供給槽TDと処理装置U1とを連絡する。また、第1配管113は、途中で供給槽TDに戻る循環配管113aを有する。
【0179】
第1計測部114は、供給槽TDに取り付けられる。第1計測部114は、供給槽TDに貯留された燐酸液の濃度を直接的又は間接的に計測する。
【0180】
第1貯留部110は、ポンプ115a、ヒータ115b、フィルタ115c、バルブ115d、バルブ115eをさらに含む。ポンプ115a、ヒータ115b、フィルタ115c、バルブ115dは、第1配管113に配置されている。バルブ115eは、循環配管113aに配置されている。
【0181】
ポンプ115aは、燐酸液を一旦吸い込んだ後、吸い込んだ燐酸液を下流に向けて押し出す。ポンプ115aにより、燐酸液は、第1配管113内に押し出される。ヒータ115bは、燐酸液を加熱する。
【0182】
フィルタ115cは、燐酸液の浮遊物を濾過する。バルブ115dは、燐酸液の流れを制御する。バルブ115dが開くことにより、燐酸液は、処理装置U1に向かって流れる。バルブ115dが閉じることにより、燐酸液は、処理液供給装置U3から処理装置U1に向かって流れなくなる。
【0183】
また、バルブ115eは、燐酸液の流れを制御する。バルブ115eが開くことにより、燐酸液は、供給槽TDに向かって流れるため、燐酸液を循環できる。バルブ115eが閉じることにより、燐酸液の循環が停止される。
【0184】
例えば、バルブ115dが閉じた状態でバルブ115eが開いていることにより、供給槽TDの燐酸液は、循環配管113aを介して循環する。このとき、ヒータ115bが循環する燐酸液を加熱することにより、供給槽TDの燐酸液を目標温度に設定できる。
【0185】
また、バルブ115dおよびバルブ115eが開いていることにより、供給槽TDの燐酸液は、循環配管113aを介して循環するとともに第1配管113を介して処理装置U1に供給される。このため、処理装置U1は、目標温度及び目標濃度の燐酸液で基板Wを処理できる。
【0186】
また、第1貯留部110は、第1水供給部116aと、第1燐酸供給部116bと、第1ガス供給部116cとをさらに含む。第1水供給部116aは、供給槽TDに水(例えば、脱イオン水)を供給する。第1燐酸供給部116bは、供給槽TDに燐酸液を供給する。第1ガス供給部116cは、供給槽TDにガスを供給する。
【0187】
例えば、供給槽TD内の燐酸液の濃度は、第1計測部114の計測結果に基づいて、第1水供給部116aから供給される水の量および/または第1燐酸供給部116bから供給される燐酸の量を制御することで制御される。その結果、燐酸液の濃度が目標濃度に設定される。
【0188】
供給槽TDは、本体槽112aと、循環槽112bとを有する。本体槽112aは、循環槽112bから溢れる燐酸液が流れ込むように配置される。
【0189】
循環槽112bには、循環配管113aの先端が位置している。循環配管113aを通過した燐酸液は、供給槽TDの循環槽112bに戻り、循環槽112bから溢れて本体槽112aに達し、再び、第1配管113を通過する。
【0190】
第1貯留部110は、液面センサ114aをさらに備えてもよい。液面センサ114aは、供給槽TD内の燐酸液の液面の高さを検知する。
【0191】
第2貯留部120は、第1貯留部110に対応する構成を有している。第2貯留部120は、第1回収槽TR1と、第2配管123と、第2計測部124と、ポンプ125aと、ヒータ125bと、フィルタ125cと、バルブ125dと、バルブ125eと、第2水供給部126aと、第2燐酸供給部126bと、第2ガス供給部126cとを含む。冗長な説明を避けるために第2貯留部120についての重複する記載を省略する。
【0192】
第2貯留部120の第2配管123は、第1回収槽TR1と供給槽TDとを連絡する。また、バルブ125dは、第1回収槽TR1から供給槽TDに向かう燐酸液の流れを制御する。バルブ125dが開くことにより、燐酸液は、供給槽TDに向かって流れる。バルブ125dが閉じることにより、燐酸液は、第1回収槽TR1から供給槽TDに向かって流れなくなる。
【0193】
また、バルブ125eが開くことにより、燐酸液は、第1回収槽TR1に向かって流れるため、燐酸液を循環できる。バルブ125eが閉じることにより、燐酸液の循環が停止される。
【0194】
例えば、バルブ125dが閉じた状態でバルブ125eが開いていることにより、第1回収槽TR1の燐酸液は、循環配管123aを介して循環する。このとき、ヒータ125bが循環する燐酸液を加熱することにより、第1回収槽TR1の燐酸液を目標温度に設定できる。
【0195】
また、バルブ125dおよびバルブ125eが開いていることにより、第1回収槽TR1の燐酸液は、循環配管123aを介して循環するとともに第2配管123を介して供給槽TDに供給される。このため、第1回収槽TR1は、供給槽TDの燐酸液を補充できる。
【0196】
また、第2配管123は、途中で第1回収槽TR1に戻る循環配管123aを有する。さらに、回収配管Q2は、処理装置U1と第1回収槽TR1とを連絡している。回収配管Q2には、処理装置U1において第2ガードG2によって回収された燐酸液が流れる。回収配管Q2を通過する燐酸液は、第1回収槽TR1の本体槽122aに戻る。
【0197】
また、回収配管Q2には、回収バルブQ21が介挿されている。回収バルブQ21は、回収配管Q2内の燐酸液の流れを制御する。回収バルブQ21が開くことにより、燐酸液は、処理装置U1から第1回収槽TR1に向かって流れる。回収バルブQ21が閉じることにより、燐酸液は、第1回収槽TR1に向かって流れなくなる。
【0198】
また、第2水供給部126aは、第1回収槽TR1に水(例えば、脱イオン水)を供給する。第2燐酸供給部126bは、第1回収槽TR1に燐酸液を供給する。第2ガス供給部126cは、第1回収槽TR1にガスを供給する。
【0199】
例えば、第1回収槽TR1内の燐酸液の濃度は、第2計測部124の計測結果に基づいて、第2水供給部126aから供給される水の量および/または第2燐酸供給部126bから供給される燐酸の量を制御することで制御される。その結果、第1回収槽TR1において、燐酸液の濃度が目標濃度に設定される。
【0200】
第3貯留部130は、第1貯留部110および/または第2貯留部120に対応する構成を有している。第3貯留部130は、第2回収槽TR2と、第3配管133と、第3計測部134と、ポンプ135aと、ヒータ135bと、フィルタ135cと、バルブ135dと、バルブ135eと、第3水供給部136aと、第3燐酸供給部136bと、第3ガス供給部136cとを含む。冗長な説明を避けるために第3貯留部130についての重複する記載を省略する。
【0201】
第3貯留部130の第3配管133は、第2回収槽TR2と供給槽TDとを連絡する。また、バルブ135dは、第2回収槽TR2から供給槽TDに向かう燐酸液の流れを制御する。バルブ135dが開くことにより、燐酸液は、供給槽TDに向かって流れる。バルブ135dが閉じることにより、燐酸液は、第2回収槽TR2から供給槽TDに向かって流れなくなる。
【0202】
また、バルブ135eが開くことにより、燐酸液は、第2回収槽TR2に向かって流れるため、燐酸液を循環できる。バルブ135eが閉じることにより、燐酸液の循環が停止される。
【0203】
例えば、バルブ135dが閉じた状態でバルブ135eが開いていることにより、第2回収槽TR2の燐酸液は、循環配管133aを介して循環する。このとき、ヒータ135bが循環する燐酸液を加熱することにより、第2回収槽TR2の燐酸液を目標温度に設定できる。
【0204】
また、バルブ135dおよびバルブ135eが開いていることにより、第2回収槽TR2の燐酸液は、循環配管133aを介して循環するとともに第3配管133を介して供給槽TDに供給される。このため、第2回収槽TR2は、供給槽TDの燐酸液を補充できる。
【0205】
さらに、回収配管Q2Aは、処理装置U1と第2回収槽TR2とを連絡する。具体的には、回収配管Q2Aは、回収配管Q2から分岐して、第2回収槽TR2まで延びている。回収配管Q2Aには、処理装置U1において第2ガードG2によって回収された燐酸液が流れる。回収配管Q2Aを通過する燐酸液は、第2回収槽TR2の本体槽132aに戻る。また、回収配管Q2Aには、回収バルブQ21Aが介挿されている。回収バルブQ21Aは、回収配管Q2A内の燐酸液の流れを制御する。回収バルブQ21Aが開くことにより、燐酸液は、処理装置U1から第2回収槽TR2に向かって流れる。回収バルブQ21Aが閉じることにより、燐酸液は、第2回収槽TR2に向かって流れなくなる。
【0206】
また、第3水供給部136aは、第2回収槽TR2に水(例えば、脱イオン水)を供給する。第3燐酸供給部136bは、第2回収槽TR2に燐酸液を供給する。第3ガス供給部136cは、第2回収槽TR2にガスを供給する。
【0207】
例えば、第2回収槽TR2内の燐酸液の濃度は、第3計測部134の計測結果に基づいて、第3水供給部136aから供給される水の量および/または第3燐酸供給部136bから供給される燐酸の量を制御することで制御される。その結果、第2回収槽TR2において、燐酸液の濃度が目標濃度に設定される。
【0208】
なお、配管P1は、第1貯留部110の第1配管113と、処理装置U1とを接続する。バルブV1は、配管P1内の燐酸液の流れを制御する。バルブV1が開くことにより、燐酸液は、処理装置U1に向かってノズル9を介して基板Wに吐出される。バルブV1が閉じることにより、燐酸液は、処理装置U1に向かって流れなくなる。
【0209】
新液供給部140は、貯留槽142と、配管143と、燐酸供給部146とを有する。貯留槽142には、燐酸が貯留される。燐酸供給部146は、貯留槽142に燐酸液を供給する。配管143は、貯留槽142と、第1回収槽TR1および第2回収槽TR2とを連絡する。新液供給部140は、配管143を介して、貯留槽142から、第1回収槽TR1又は第2回収槽TR2に燐酸液を供給する。
【0210】
なお、図13に示す基板処理装置500の構成が、実施形態1で採用されてもよい。
【0211】
以下、図14を参照して、図13に示した基板処理装置500における燐酸液の流れの変化を説明する。図14(a)~図14(f)は、図13に示した基板処理装置500における燐酸液の流れの変化を説明するための模式図である。なお、図14(a)~図14(f)では、供給槽TD、第1回収槽TR1および第2回収槽TR2内の燐酸液の量の変化を矢印で示している。上向きの矢印は、燐酸液の量が増加することを示し、下向きの矢印は、燐酸液の量が減少することを示す。
【0212】
図14(a)に示すように、供給槽TDは処理装置U1に燐酸液を供給することを開始する。供給槽TDは、処理装置U1に燐酸液を供給するとともに燐酸液を循環する。第1回収槽TR1は、燐酸液を循環する。第2回収槽TR2は、燐酸液を循環する。また、第2回収槽TR2は、処理装置U1において使用された燐酸液を回収する。処理装置U1において使用された燐酸液は、回収配管Q2、Q2Aを通って第2回収槽TR2に到達する。供給槽TD、第1回収槽TR1および第2回収槽TR2の燐酸液は同じ温度に設定される。
【0213】
図14(b)に示すように、供給槽TDは処理装置U1に燐酸液を供給し続ける。供給槽TDは、処理装置U1に燐酸液を供給するとともに燐酸液を循環する。第1回収槽TR1は、供給槽TDに燐酸液を供給するとともに燐酸液を循環する。第2回収槽TR2は、処理装置U1において使用された燐酸液を回収し続ける。また、第2回収槽TR2は、燐酸液を循環する。
【0214】
図14(c)に示すように、供給槽TDは処理装置U1に燐酸液を供給し続ける。供給槽TDは、処理装置U1に燐酸液を供給するとともに燐酸液を循環する。第1回収槽TR1は、燐酸液を循環する。また、第1回収槽TR1は、処理装置U1において使用された燐酸液を回収する。処理装置U1において使用された燐酸液は、回収配管Q2を通って第1回収槽TR1に到達する。第2回収槽TR2は、燐酸液を循環する。また、第2回収槽TR2には、新液供給部140から新たな燐酸液が供給される。
【0215】
図14(d)に示すように、供給槽TDは処理装置U1に燐酸液を供給し続ける。供給槽TDは、処理装置U1に燐酸液を供給するとともに燐酸液を循環する。第1回収槽TR1は、処理装置U1において使用された燐酸液を回収し続ける。また、第1回収槽TR1は、燐酸液を循環する。第2回収槽TR2は、供給槽TDに燐酸液を供給するとともに燐酸液を循環する。
【0216】
図14(e)に示すように、供給槽TDは処理装置U1に燐酸液を供給し続ける。供給槽TDは、処理装置U1に燐酸液を供給するとともに燐酸液を循環する。第1回収槽TR1は、燐酸液を循環する。また、第1回収槽TR1には、新液供給部140から新たな燐酸液が供給される。第2回収槽TR2は、燐酸液を循環する。また、第2回収槽TR2は、処理装置U1において使用された燐酸液を回収する。処理装置U1において使用された燐酸液は、回収配管Q2、Q2Aを通って第2回収槽TR2に到達する。
【0217】
図14(f)に示すように、供給槽TDは処理装置U1に燐酸液を供給し続ける。供給槽TDは、処理装置U1に燐酸液を供給するとともに燐酸液を循環する。第1回収槽TR1は、供給槽TDに燐酸液を供給するとともに燐酸液を循環する。第2回収槽TR2は、処理装置U1において使用された燐酸液を回収し続ける。また、第2回収槽TR2は、燐酸液を循環する。
【0218】
その後、さらに、図14(c)~図14(f)のように燐酸液の流れを切り替えることにより、目標濃度及び目標温度の燐酸液を処理装置U1に連続的に供給できる。以上のように、実施形態2によれば、第1回収槽TR1および第2回収槽TR2は、交互に処理装置U1において使用された燐酸液を回収するとともに、供給槽TDに燐酸液を供給する。
【0219】
次に、図15を参照して、第1回収槽TR1及び第2回収槽TR2による燐酸液の回収タイミングを説明する。図15では、処理液が燐酸液の場合を説明する。図15は、第1回収槽TR1及び第2回収槽TR2による燐酸液の回収タイミングを示すタイムチャートである。図15では、図面の簡略化のために、処理期間Txと振り切り期間Tyとを合わせて、「処理期間Tz」と記載している(図6参照)。
【0220】
図15に示すように、時刻t1~時刻t3において、1枚の基板Wに対する燐酸液による処理とリンス処理とが実行される。時刻t3~時刻t5、時刻t5~時刻t7、時刻t7~時刻t9、時刻t9~時刻t11、及び、時刻t1~時刻t13についても同様である。
【0221】
そして、各処理期間Tzにおいて、供給槽TDからからノズル9に燐酸液が供給される。
【0222】
図15の例では、時刻t1~時刻t5において、第2回収槽TR2によって燐酸液が回収される。従って、回収バルブQ21が閉じており、回収バルブQ21Aが開いている。具体的には、時刻t1~時刻t5において、各処理期間Tz、各第2期間T2、及び、各第1期間T1において、第2回収槽TR2によって燐酸液が回収される。そして、時刻t1~時刻t5における燐酸液の回収期間を含む時刻t1~時刻t7において、第2回収槽TR2に貯留された燐酸液の濃度が目標濃度に調製される。つまり、第2回収槽TR2では、燐酸液を回収しつつ、燐酸液の濃度が調製される。そして、時刻t7~時刻t9において、第2回収槽TR2から供給槽TDへ燐酸液が供給される。以降、第2回収槽TR2は、周期T20で、燐酸液の回収と調製と供給とを繰り返す。
【0223】
一方、第1回収槽TR1は、時刻t3~時刻t5において、供給槽TDへ燐酸液を供給する。つまり、第2回収槽TR2における燐酸液の回収及び濃度調製と並行して、第1回収槽TR1は、供給槽TDへ燐酸液を供給する。
【0224】
そして、第1回収槽TR1から供給槽TDへの燐酸液の供給が終了すると、時刻t5~時刻t9において、第1回収槽TR1によって燐酸液が回収される。従って、回収バルブQ21が開いており、回収バルブQ21Aが閉じている。具体的には、時刻t5~時刻t9において、各処理期間Tz、各第2期間T2、及び、各第1期間T1において、第1回収槽TR1によって燐酸液が回収される。そして、時刻t5~時刻t9における燐酸液の回収期間を含む時刻t5~時刻t11において、第1回収槽TR1に貯留された燐酸液の濃度が目標濃度に調製される。つまり、第1回収槽TR1では、燐酸液を回収しつつ、燐酸液の濃度が調製される。そして、時刻t11~時刻t13において、第1回収槽TR1から供給槽TDへ燐酸液が供給される。以降、第1回収槽TR1は、周期T10で、燐酸液の回収と調製と供給とを繰り返す。周期T10の長さと、周期T20の長さとは、同じである。
【0225】
ここで、図15から理解できるように、第1回収槽TR1の周期T10の一部の期間と、第2回収槽TR2の周期T20の一部の期間とは重複している。従って、第1回収槽TR1の周期T10の開始時(例えば時刻t5)は、第2回収槽TR2の周期T20の途中に存在し、第1回収槽TR1の周期T10の終了時(例えば時刻t13)が、次の第2回収槽TR2の周期T20の途中に存在する。同様に、第2回収槽TR2の周期T20の開始時(例えば時刻t1)は、第1回収槽TR1の周期T10の途中に存在し、第2回収槽TR2の周期T20の終了時(例えば時刻t9)が、次の第1回収槽TR1の周期T10の途中に存在する。
【0226】
周期T10、T20は、例えば、基板処理装置500の仕様及びスループット、並びに、基板Wの処理内容を考慮して予め設定される。従って、周期T10及び周期T20が維持されるように、かつ、周期T10と周期T20との関係が維持されるように、リンス液を使用した燐酸液の回収のための第2期間T2の長さが設定される。第2期間T2が長いと、燐酸液の回収率を向上できるが、第2期間T2が長すぎると、第1回収槽TR1及び第2回収槽TR2に貯留される燐酸液の濃度がリンス液によって低くなる。その結果、濃度調製に時間が掛かってしまい、周期T10及び周期T20を維持できない。そこで、実施形態2では、周期T10及び周期T20を維持でき、かつ、周期T10と周期T20との関係を維持できる範囲内において、最長の時間が第2期間T2として設定される。
【0227】
ここで、処理液供給装置U3は、1つの処理装置U1に対して設けられていてもよいし、複数の処理装置U1で共用されていてもよい。処理液供給装置U3が供給する処理装置U1が少ない程、第2期間T2を長く設定できる。理由は次の通りである。すなわち、処理液供給装置U3が燐酸液を供給する処理装置U1が少ない程、供給槽TDにおける燐酸液の減少量が少ない。従って、周期T10、T20を長く設定できる。その結果、第1回収槽TR1及び第2回収槽TR2に流入するリンス液の量が多くても、十分な濃度調製期間を確保できる。よって、供給槽TDの燐酸液が下限値になる前に、第1回収槽TR1及び第2回収槽TR2の燐酸液を目標濃度に設定できる。
【0228】
第2期間T2は、特に限定されないが、例えば、1秒以上3秒以下である。例えば、処理液供給装置U3が1つの処理装置U1に対して設けられている場合は、第2期間T2は3秒である。例えば、処理液供給装置U3が6つの処理装置U1に共用されている場合は、第2期間T2は1秒である。
【0229】
(実施形態3)
図16図17(b)を参照して、本発明の実施形態3に係る基板処理装置500Aを説明する。実施形態3に係る基板処理装置500Aが、リンス液と処理液とが異なる時間帯に流入する共通配管Q3を備える点で、実施形態3は実施形態1と主に異なる。以下、実施形態3が実施形態1と異なる点を主に説明する。また、実施形態3の説明において、図3を適宜参照する。
【0230】
図16は、実施形態3に係る基板処理装置500Aを示す図である。図16に示すように、基板処理装置500Aは、共通配管Q3と、禁止部15Aとを備える。実施形態3では、第1ガードG1は「禁止部」として機能しない。実施形態3に係る禁止部15Aは、バルブQ31を含む。
【0231】
共通配管Q3は第1カップC1に接続される。また、共通配管Q3には、第1カップC1を介して、処理液とリンス液とが異なる時間帯に流入する。具体的には、処理液による処理期間Tx(図3)では、共通配管Q3に処理液が流入する。また、リンス処理のための第1期間T1(図3)では、共通配管Q3には、リンス液が流入する。共通配管Q3は、回収配管Q2及び排出配管Q1よりも上流に位置し、回収配管Q2及び排出配管Q1に接続される。具体的には、回収配管Q2及び排出配管Q1は、共通配管Q3の下流から分岐している。
【0232】
禁止部15Aは、図1に示す禁止部15と同様に、第1期間T1(図3)において、回収配管Q2へのリンス液の流入を禁止する。従って、実施形態3では、実施形態1と同様に、リンス液の排出と並行して、回収配管Q2を通して処理液を回収できる。その結果、処理液の回収に十分な時間を確保できて、処理液の回収率を向上できる。加えて、第1期間T1においてリンス液が回収配管Q2及び回収槽TRに流入しないため、回収槽TRにおける処理液の濃度の調製を円滑に実行できる。その他、実施形態3では、実施形態1と同様の効果を有する。
【0233】
制御部U21のプロセッサーは、記憶部U22の記憶装置が記憶しているコンピュータープログラムを実行して、スピンチャック3、スピンモーター7、ノズル移動部11、昇降部17、及び、カップ部19を制御する。また、制御部U21のプロセッサーは、記憶部U22の記憶装置が記憶しているコンピュータープログラムを実行して、バルブV1、処理液供給装置U3、バルブV2、排出バルブQ11、回収バルブQ21、及び、禁止部15Aを制御する。
【0234】
次に、図17(a)及び図17(b)を参照して、基板処理装置500Aによる処理液の回収動作の詳細を説明する。図17(a)は、処理液による処理期間Txでの処理液の回収工程を示す図である。図17(b)は、リンス処理のための第1期間T1での処理液の回収工程を示す図である。
【0235】
図17(a)に示すように、処理期間Txにおいて、第1ガードG1は、受液位置に位置する。従って、処理期間Txにおいて、第1ガードG1は、回転中の基板Wから飛散した処理液を受け止めて、第1カップC1を介して、処理液を共通配管Q3に案内する。また、処理期間Txでは、排出バルブQ11は閉じており、回収バルブQ21及びバルブQ31は開いている。従って、処理液は、共通配管Q3から回収配管Q2を通って回収槽TRに回収される。また、処理期間Txでは、処理液は排液槽U4に流入しない。
【0236】
次に、図17(b)に示すように、第1期間T1において、第1ガードG1は、受液位置に位置する。従って、第1期間T1において、第1ガードG1は、回転中の基板Wから飛散したリンス液を受け止めて、第1カップC1を介して、リンス液を共通配管Q3に案内する。また、第1期間T1では、排出バルブQ11及び回収バルブQ21は開いている。さらに、第1期間T1では、バルブQ31は閉じている。つまり、バルブQ31は、第1期間T1において、回収配管Q2へのリンス液の流入を禁止する。従って、実施形態3では、リンス液の排出と並行して、回収配管Q2を通して処理液を回収できる。その結果、処理液の回収に十分な時間を確保できて、処理液の回収率を向上できる。加えて、第1期間T1においてリンス液が回収配管Q2及び回収槽TRに流入しないため、回収槽TRにおける処理液の濃度の調製を円滑に実行できる。
【0237】
具体的には、第1期間T1において、回収配管Q2に残存している処理液が、自重によって、回収槽TRに向かって移動する。
【0238】
なお、実施形態3に係る基板処理方法及び半導体製造方法は、図5を参照して説明した実施形態1に係る基板処理方法及び半導体製造方法と同様である。ただし、実施形態3では、図5の工程S4において、禁止部15Aが、回収配管Q2へのリンス液の流入を禁止する。
【0239】
(実施形態4)
図16及び図18(a)~図19(b)を参照して、本発明の実施形態4に係る基板処理装置500Aを説明する。実施形態4に係る基板処理装置500Aが、リンス液を使用して処理液を回収する点で、実施形態4は実施形態3と主に異なる。また、実施形態4は、リンス液を使用して処理液を回収する点で、実施形態2と共通する。従って、実施形態4の説明において、図6を適宜参照する。以下、実施形態4が実施形態3及び実施形態2と異なる点を主に説明する。
【0240】
図18(a)は、処理液による処理期間Txでの処理液の回収工程を示す図である。図18(b)は、処理液の振り切り期間Tyでの処理液の回収工程を示す図である。図19(a)は、リンス処理のための第2期間T2での処理液の回収工程を示す図である。図19(b)は、リンス処理のための第1期間T1での処理液の回収工程を示す図である。
【0241】
図18(a)に示すように、実施形態4での処理期間Txの動作は、図17(a)を参照して説明した実施形態3での処理期間Txの動作と同様であり、説明を省略する。
【0242】
次に、図18(b)に示すように、処理液の振り切り期間Tyでは、排出バルブQ11、回収バルブQ21、及び、バルブQ31の状態は、それぞれ、処理期間Txでの排出バルブQ11、回収バルブQ21、及び、バルブQ31の状態と同じである。従って、振り切り期間Tyでも、処理期間Txと同様に、処理液が回収槽TRに回収される。なお、振り切り期間Tyを設けなくてもよい。例えば、処理液がSPMの場合は、振り切り期間Tyを設けなくてもよい。
【0243】
次に、図19(a)に示すように、リンス処理のための第2期間T2において、第1ガードG1は、回転中の基板Wから飛散したリンス液を受け止めて、第1カップC1を介して、リンス液を共通配管Q3に案内する。また、第2期間T2では、排出バルブQ11は閉じており、回収バルブQ21及びバルブQ31は開いている。従って、第1ガードG1に付着している処理液、共通配管Q3に付着している処理液、及び、回収配管Q2に付着している処理液は、リンス液によって、回収槽TRへ搬送される。また、第2期間T2では、処理液は排液槽U4に流入しない。
【0244】
次に、図19(b)に示すように、実施形態4での第1期間T1の動作は、図17(b)を参照して説明した実施形態3での第1期間T1の動作と同様であり、説明を省略する。
【0245】
なお、実施形態4に係る基板処理方法及び半導体製造方法は、図11及び図12を参照して説明した実施形態3に係る基板処理方法及び半導体製造方法と同様である。ただし、実施形態4では、図12の工程S28において、禁止部15Aが、回収配管Q2へのリンス液の流入を禁止する。
【0246】
次に、本発明が実施例に基づき具体的に説明されるが、本発明は以下の実施例によって限定されない。
【実施例
【0247】
本発明の実施例では、図2及び図9(a)~図10(b)を参照して説明した実施形態2に係る基板処理装置500を使用した。また、比較例では、図7(a)~図8(b)を参照して説明した基板処理装置を使用した。また、処理液として燐酸液を使用した。そして、本実施例の排出配管Q1及び比較例の排出配管QXへの燐酸液の排液量を検出した。燐酸液の排液量は、本実施例の排出バルブQ11及び比較例の排出バルブQX1の下流で検出された。そして、燐酸液の排液量によって、燐酸液の回収率を評価した。従って、排出配管Q1、QXへの燐酸液の排液量が少ない程、燐酸液の回収率が高いことが示される。
【0248】
図20(a)は、比較例に係る基板処理装置における燐酸液の排液量を示す図である。図20(b)は、本実施例に係る基板処理装置500における燐酸液の排液量を示す図である。
【0249】
図20(a)及び図20(b)に示すように、本実施例及び比較例において、燐酸液の振り切り期間Ty、Tyc(図9(b)、図7(b))は、3秒であった。
【0250】
また、図20(a)に示すように、比較例に係る図8(b)の排出バルブQX1の開時間は、12秒であった。この場合、排出バルブQX1の下流における排出配管QXへの燐酸液の排液量は160ccであった。
【0251】
一方、図20(b)に示すように、本実施例に係る図10(b)の排出バルブQ11の開時間は、12秒であった。この場合、排出バルブQ11の下流における排出配管Q1への燐酸液の排液量は0.09ccであった。
【0252】
従って、本実施例における燐酸液の排液量は、比較例における燐酸液の排液量よりも、大幅に少なかった。よって、本実施例では、比較例に対して、燐酸液の回収率が大幅に向上していることが確認できた。
【0253】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について説明した。ただし、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施できる。また、上記の実施形態に開示される複数の構成要素は適宜改変可能である。例えば、ある実施形態に示される全構成要素のうちのある構成要素を別の実施形態の構成要素に追加してもよく、または、ある実施形態に示される全構成要素のうちのいくつかの構成要素を実施形態から削除してもよい。
【0254】
また、図面は、発明の理解を容易にするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚さ、長さ、個数、間隔等は、図面作成の都合上から実際とは異なる場合もある。また、上記の実施形態で示す各構成要素の構成は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能であることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0255】
本発明は、基板処理装置、基板処理方法、及び、半導体製造方法に関するものであり、産業上の利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0256】
3 スピンチャック(基板保持部)
15、15A 禁止部
500、500A 基板処理装置
G1 第1ガード
G2 第2ガード
Q1 排出配管
Q2、Q2A 回収配管
Q3 共通配管
Q31 バルブ
TR 回収槽
U21 制御部
W 基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20