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特許7467052巻取り装置におけるパッケージを旋回させるための方法および装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-05
(45)【発行日】2024-04-15
(54)【発明の名称】巻取り装置におけるパッケージを旋回させるための方法および装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 54/52 20060101AFI20240408BHJP
   B65H 54/553 20060101ALI20240408BHJP
【FI】
B65H54/52 C
B65H54/52 B
B65H54/553 B
【請求項の数】 9
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019168369
(22)【出願日】2019-09-17
(65)【公開番号】P2020045248
(43)【公開日】2020-03-26
【審査請求日】2022-09-14
(31)【優先権主張番号】01112/18
(32)【優先日】2018-09-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CH
(73)【特許権者】
【識別番号】519336872
【氏名又は名称】エス・エス・エム シェーラー シュヴァイター メットラー アー・ゲー
【氏名又は名称原語表記】SSM Schaerer Schweiter Mettler AG
【住所又は居所原語表記】Neugasse 10, 8810 Horgen, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】マーツェル クリステ
【審査官】大山 広人
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-202521(JP,A)
【文献】特開2014-237548(JP,A)
【文献】特開2003-261265(JP,A)
【文献】特開2000-007222(JP,A)
【文献】特開2013-199339(JP,A)
【文献】特開昭51-130349(JP,A)
【文献】特開2013-059652(JP,A)
【文献】特開平04-128354(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 54/00-54/553
B65H 63/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
巻取り過程の中断時に巻取り装置におけるパッケージ(2)を旋回させるための方法であって、前記パッケージ(2)は、支持ローラ(3)に載置されていて、かつ糸(4)が巻き取られる巻管(5)に形成され、かつ前記巻管(5)を、それぞれ1つの収容装置(8,9)を備えた2つの保持アーム(6,7)の間に回転可能に保持し、かつ前記2つの保持アーム(6,7)を、旋回軸線(11)を備えた共通の旋回アーム(10)に保持する、方法において、
力測定装置(12)に基づいて、前記支持ローラ(3)における前記パッケージ(2)の載置または前記パッケージ(2)の自重によって少なくとも1つの保持アーム(6)に作用する力作用を測定し、手による力導入によって、前記保持アーム(6)に力(G,H)をもたらし、前記力測定装置の評価によって、手によってもたらされた前記力(G,H)の方向を確定し、かつ駆動装置(13)によって前記旋回アーム(10)を前記力方向に相応して旋回させる
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記旋回アーム(10)を、前記手による力導入(G,H)が継続している限り旋回させる、
請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記支持ローラ(3)に向かっての旋回運動(14)時に、制御装置が、自動的に前記パッケージ(2)を作動位置にもたらす、
請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記巻取り過程の継続を、前記パッケージ(2)が前記支持ローラ(3)に載置されている場合に許可する、
請求項1または2記載の方法。
【請求項5】
巻管(5)に糸(4)を巻き取るための巻取り装置であって、
- 旋回軸線(11)を備えた旋回アーム(10)、
- 前記旋回アーム(10)に回動不能に配置されていてかつ互いに間隔をおいて平行に延びている2つの保持アーム(6,7)、
- 前記保持アーム(6,7)の、前記旋回アーム(10)とは反対側の端部に回転可能に配置された、前記巻管(5)のためのそれぞれ1つの収容装置(8,9)、および
- 前記巻管(5)を支持するための支持ローラ(3)が設けられている、
巻取り装置において、
- 前記旋回軸線(11)を中心にして前記旋回アーム(10)を移動させるための駆動装置(13)が設けられており、
- 前記保持アーム(6)に作用する力を測定するための力測定装置(12)が設けられており、
- 前記保持アームのうちの少なくとも1つの保持アーム(6)は、手による力導入のための確定された箇所(17)を有しており、かつ
- 制御装置が設けられていて、該制御装置、前記手による力導入の力方向(G,H)に基づいて前記駆動装置(13)による前記旋回アーム(10)の移動を制御して、前記旋回軸線(11)を中心にした前記旋回アーム(10)の運動(14)の方向決定
ことを特徴とする、巻取り装置。
【請求項6】
前記保持アームのうちの少なくとも1つの保持アーム(6)は、2つの部分(15,16)から形成されており、かつ前記2つの部分(15,16)は、前記力測定装置(12)を介して結合されている、
請求項5記載の巻取り装置。
【請求項7】
前記力測定装置(12)は、屈曲ビーム・ロードセルである、
請求項6記載の巻取り装置。
【請求項8】
前記旋回軸線(11)を中心にして前記旋回アーム(10)を移動させるための前記駆動装置(13)は、電動機である、
請求項5から7までのいずれか1項記載の巻取り装置。
【請求項9】
前記確定された箇所(17)は、2部分から成る前記保持アーム(6)の延長部として形成されている、
請求項5から8までのいずれか1項記載の巻取り装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、巻取り過程の中断時に巻取り装置におけるパッケージを旋回させるための方法、および所属の巻取り装置に関する。パッケージは、支持ローラに載置されていて、かつ糸が巻き取られる巻管から形成される。巻管は、それぞれ1つの収容装置を備えた2つの保持アームの間に回転可能に保持され、かつ両保持アームは、旋回軸線を備えた共通の旋回アームに保持される。
【0002】
このような巻取り装置は、種々様々な構造形式の繊維機械、例えば最終紡績機または巻取り機において使用される。このときパッケージ、もしくは巻管は、2つの保持アームの間に回転可能に支持されている。両保持アームはそれ自体、旋回軸線を備えた共通の旋回アームに保持されている。巻取り過程の開始時に巻管は、支持ローラに載置されていて、かつ駆動装置を介して回転させられ、これによって支持ローラと巻管との間に供給された糸が巻管に巻き取られ、かつパッケージが形成される。例えばプラスチックまたは紙のような種々様々な材料から成っていてかつ円筒形または円錐形の形状を有する、種々様々な形式の巻管が使用される。巻管は、サイドフランジを備えて形成されていても、またはサイドフランジを備えずに形成されていてもよい。糸は、巻取り中に綾振り装置を用いて巻管の長手方向軸線に沿って往復動させられ、これによって構造および形状において種々様々な形式の巻成体が形成される。巻管の駆動は、巻管収容装置のうちの少なくとも1つの巻管収容装置を回転させるモータを介して直接行われるか、または巻管に対して平行に配置された摩擦ローラを介して間接的に行われる。このとき摩擦ローラは、同時に支持ローラとして働く。摩擦ローラは、このときいわゆる溝付ドラムとして形成されていてよい。溝付ドラムは、糸ガイドを備えており、この糸ガイドは、スリットにおいて溝付ドラムの回転によって、糸が往復動させるように案内される。巻管の直接的な駆動時には、糸の綾振りは、別体の綾振りユニットと、別体の支持ローラを介した巻管の支持とによって行うことができる。このとき糸は、支持ローラと巻管との間、もしくは既に巻管に存在している糸との間においてクランプされ、かつこれによって巻管に巻き取られる。
【0003】
巻取り過程によって、発生するパッケージの直径は、巻管に巻き取られた糸によって連続的に増大する。その結果、支持ローラと巻管の長手方向軸線との間における間隔が増大し、これは、旋回アームの旋回軸線を中心にした保持アームの運動によって補償される。しかしながら巻取り過程によって、支持ローラまたは摩擦ローラに載置されているパッケージの自重も増大する。これによってパッケージの表面に作用する圧着力が高まる。この圧着力があまり大きくならないようにするために、例えば欧州特許出願公開第1820764号(EP 1820764 A2)に開示された従来技術に基づいて、圧着力をほぼ一定のレベルに保つカウンタウエイトを使用することが公知である。巻取り過程の終了後に、完成したパッケージは、支持ローラまたは摩擦ローラから持ち上げられ、これによってパッケージを保持アームから取り外して、新しい巻管と交換することができる。パッケージのこの持上げは旋回アームの旋回過程によって実現される。この旋回過程は、従来技術によれば、保持アームのうちの少なくとも1つの保持アームに取り付けられたレバーを介して、手によって行われる。手による持上げを促進するために、手による力の負担をカウンタウエイトの使用によって減じることができる装置が公知である。
【0004】
パッケージ取出しのための公知の構成および方法における欠点としては、手による大きな力が使用されねばならない、またはパッケージの持上げのために高価な装置が必要であるということがある。このとき考慮すべきことは、満管のパッケージは、25kgに至るまでの自重を有することがあり、このような自重を持ち上げねばならないということである。
【0005】
ゆえに本発明の課題は、手による大きな力の投入を必要とすることなしに、支持ローラまたは摩擦ローラに対するパッケージの旋回を可能にする、パッケージ取出しのための方法および装置を提供することである。
【0006】
この課題は、独立請求項に記載の特徴を備えた方法および装置によって解決される。
【0007】
巻取り過程の中断時に巻取り装置におけるパッケージを旋回させるための方法であって、このときパッケージは、支持ローラに載置されていて、かつ糸が巻き取られる巻管に形成され、かつ巻管を、パッケージフレームにおいてそれぞれ1つの収容装置を備えた2つの保持アームの間に回転可能に保持し、かつ両保持アームを、旋回軸線を備えた共通の旋回アームに保持する、方法が提案される。力測定装置によって、支持ローラにおけるパッケージの載置またはパッケージの自重によって少なくとも1つの保持アームに作用する力作用が、測定される。手による力導入によって、この保持アームに力がもたらされ、このとき力測定装置の評価によって、手によってもたらされた力の力方向が確定され、かつ駆動装置によって旋回アームが力の方向に相応して旋回させられる。
【0008】
巻取り装置を備えた今日の機械は、駆動ユニットの監視装置を含む制御装置を備えている。駆動装置の調節と測定された力作用とによって、内部にパッケージが存在しているパッケージフレームがいかなる位置にあるかが、制御装置においていつでも分かる。故障に基づいて、またはパッケージが満管であり、かつ交換されねばならないことに基づいて、いまや巻取り過程が中断され、かつ手による力作用が、保持アームのうちの1つの保持アームに、ひいてはパッケージフレームに加えられる場合に、このことは制御装置によって、力測定装置からの力の大きさの変化に基づいて認識される。パッケージが、パッケージが支持ローラに載置されていて、かつ手による作用によって測定された力が変化する状況にある場合には、制御装置は、力変化に基づいて力作用の方向を確認し、かつ確認された力作用方向へのパッケージフレームの旋回運動を発動させる。操作員が手によって、パッケージフレームを持ち上げることによってパッケージフレームに作用する場合、制御装置を始動させるためには既に数グラムの持上げ力で十分であり、これによってパッケージフレームは、かつこれによってパッケージは旋回運動によって支持ローラから持ち上げられる。先行する巻取り過程から制御装置は、パッケージの自重を同様に認識するので、手による力作用が自重の僅かな部分を相殺させる限り、旋回運動を維持することができる。手による力作用が消滅するや否や、その代わりに制御装置が旋回運動を維持するようになり、これによってパッケージフレーム、ひいてはパッケージは得られた位置においてしっかりと保持される。これに対する前提条件が、旋回運動のための駆動装置の相応の構成である。しかしながらこのような構成は、例えば、相応のブレーキまたはセルフロック式の伝動装置を備えて構成された空気力式の駆動装置または電気式の駆動装置のような従来技術に基づいて公知である。満管のパッケージの取出し後、および空の巻管の挿入後に、相応の方向への手による僅かな力作用によって、支持ローラに向かってのパッケージフレームの旋回運動が発動される。
【0009】
好ましくは、手による力導入が続く限り、旋回アームは旋回させられる。これによってパッケージのそれぞれの任意の位置を、相応に所望の運動方向への簡単な軽い押圧によって得ることができる。好ましくは、制御装置はパッケージを自動的に、支持ローラに向かっての旋回運動時に作動位置にもたらす。パッケージまたは巻管が、支持ローラに向かっての旋回運動時に支持ローラに載置されることによって、載置によって条件付けられて力作用はその方向を反転させ、制御装置は、作動位置が得られたことを認識する。このことに基づいて、支持ローラに向かっての旋回運動のためには単に短時間の手による力作用だけを導入することが可能である。それというのは、このことは、巻取り装置の作動位置を自動的に得ることを既に開始するからである。
【0010】
好ましくは、パッケージが支持ローラに載置されている場合に、巻取り過程の継続が行われる。パッケージもしくは巻管が支持ローラに載置されていない限り、制御装置によって巻取り過程の開始は遮断される。これによって、糸がコントロールされずに巻き取られることが、阻止されるようになっている。
【0011】
さらに、巻管に糸を巻き取るための巻取り装置であって、旋回軸線を備えた旋回アーム、旋回アームに回動不能に配置されていてかつ互いに間隔をおいて平行に延びている2つの保持アーム、保持アームの、旋回アームとは反対側の端部に回転可能に配置された、巻管のためのそれぞれ1つの収容装置、および巻管を支持するための支持ローラが設けられている、巻取り装置が提案される。このとき旋回軸線を中心にして旋回アームを移動させるための駆動装置が設けられており、かつ保持アームのうちの少なくとも1つの保持アームが、保持アームに作用する力を測定するための力測定装置を有している。同様に、保持アームのうちの少なくとも1つの保持アームは、手による力導入のための確定された箇所を有しており、かつ制御装置が設けられていて、このとき制御装置によって、手による力導入の力方向に基づいて、旋回軸線を中心にした旋回アームの運動の方向が確定されている。
【0012】
綾振り装置を介して糸は、巻管に巻き取られ、かつパッケージが形成され、これによってパッケージはその直径を増大させる。支持ローラにパッケージが載置されていることによって、パッケージフレームは、自動的に旋回軸線を中心にして支持ローラから離反する方向に旋回させられる。巻取り過程中に糸は、巻管、もしくは巻管に既に巻き取られた糸と、支持ローラとの間においてクランプされるので、巻管においては密に接触している巻成体が生ぜしめられる。このときにもたらされるクランプ力は、巻取り過程中に大きくなるパッケージの自重によって常に増大する。クランプ力Fおよびパッケージフレームの持上げに対する反作用として、保持アームにおいて曲げモーメントが生じる。この曲げモーメントは、力測定装置によって測定される。この測定を本発明は利用する。保持アームにおいて手によって導入される追加的な力作用を介して、制御装置には、旋回アームを、ひいてはパッケージフレームおよびパッケージを旋回させるべきであるという信号が送られる。手による力導入のために、保持アームのうちの1つの保持アームには、好ましくは力測定装置と同じ保持アームには、確定された箇所が設けられている。この箇所は、マーキング、レバー、または人間工学的に成形された凹部の形態で形成されていてよい。キーまたは他の操作エレメントの代わりの確定された箇所の利点は、パッケージフレームを移動させるための命令のための入力箇所との間における配線またはその他の形式の信号接続部を設ける必要がないということに見ることができる。制御装置は、力測定装置を介して、どの方向において手による力導入が行われたかを確認し、かつこれに基づいて旋回運動のための方向を確定する。
【0013】
好ましくは、保持アームのうちの少なくとも1つの保持アームは、2部分から形成されており、かつ両部分は、力測定装置を介して結合されている。力測定装置は、例えばロードセルとして形成されていてよい。ロードセル内には、種々様々な構造形式のいわゆる力ピックアップ(Kraftaufnehmer)を使用することができる。例えば、力を弾性的な弾性体に作用させ、かつこの弾性体を変形させる、力ピックアップの使用が公知である。弾性体の変形は、伸びと共に電気抵抗が変化するストレーンゲージを介して、電圧の変化に変換される。測定増幅器を介して、電圧、ひいては伸びの変化が記録される。伸びの変化は、弾性体の弾性特性に基づいて力測定値に換算することができる。弾性体としては、屈曲ビーム、リングトーションばね、またはその他の構造形態が使用される。ロードセルの別の構造形式では、圧電セラミック素子が使用される。このとき圧電材料の指向性の変形によって、圧電結晶の単位セルの内部において微視的な双極子が形成される。結晶のすべての単位セルにおける、これに関連した電界にわたる合計によって、微視的に測定可能な電圧が発生し、この電圧は、力測定値に換算することができる。ロードセルは、従来技術に基づいて公知であり、かつ力測定および重量測定の分野において今日大きく広まっている。好ましくは、力測定装置は、屈曲ビーム・ロードセルである。この屈曲ビーム・ロードセルには、構造が頑丈かつ単純であるという利点がある。保持アームの両部分は、それぞれ屈曲ビーム・ロードセルに固定されており、これによって屈曲ビーム・ロードセルは、保持アームの一部になる。
【0014】
好ましくは、旋回軸線を中心にして旋回アームを移動させるための駆動装置は、電動機である。このとき電動機には、好ましくはセルフロック式の伝動装置が設けられている。このような構成には、高く旋回させられたパッケージフレームが、駆動装置の作動なしには下降しない、つまり駆動装置の無電流状態においてもその位置に留まるという利点がある。
【0015】
好ましくは、確定された箇所は、2部分から成る保持アームの延長部として形成されている。延長部は、パッケージを持ち上げるために設けられていた、従来技術に基づいて公知のレバーの箇所に代わる。さらに、延長部を相応に特徴付けること、および人間工学的に成形することが可能である。
【0016】
本発明の別の利点については、以下の実施形態において記載する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】巻取り装置の第1実施形態を概略的に示す平面図である。
図2】巻取り装置を図1に示された方向Xから見て概略的に示す側面図である。
図3】巻取り装置の第2実施形態を概略的に示す平面図である。
図4】巻取り装置を図3に示された方向Yから見て概略的に示す側面図である。
【0018】
図1には、巻取り装置の第1実施形態が概略的に平面図で示されており、図2には、巻取り装置の第1実施形態が図1の方向Xから見て概略的に側面図で示されている。巻取り装置は、パッケージフレーム1を含んでおり、このパッケージフレーム1は、旋回軸線11を備えた旋回アーム10と、第1の保持アーム6および第2の保持アーム7とから成っている。保持アーム6,7は、互いに向かい合って位置していて旋回アーム10のそれぞれの端部に回動不能に固定されている。これによって保持アーム6,7は、旋回アーム10の旋回運動14によって該旋回アーム10と一緒に、旋回軸線11を中心にして旋回させられる。パッケージフレーム1の旋回運動14のために駆動装置13が設けられており、図示の実施形態では駆動装置13は、電動機として示されている。旋回アーム10は、相応の支持体24を介して機械フレーム26に保持される。さらに保持アーム6,7の、旋回アーム10とは反対側の端部には、それぞれ軸受ピンを介して、巻管5のための収容装置8,9が互いに向かい合って位置するように回転可能に取り付けられている。このとき第1の収容装置8と第2の収容装置9とは、共通のパッケージ軸線18に配置されている。収容装置8,9の間において巻管5がクランプされる。両収容装置8,9のうちの1つの収容装置、例えば収容装置8は、パッケージ軸線18の方向に沿って保持アーム6内にシフト可能に保持されている。これによって巻管5を収容装置8,9の間に挿入し、次いで収容装置8を収容装置9に向かって押圧し、ひいては巻管5をクランプすることができる。図示の実施形態において収容装置9は、パッケージ軸線18において駆動車19に結合されている。駆動車19は、例えばチェーン伝動装置である駆動エレメント20によって回転させられ、これにより収容装置9との結合によって、巻管5は回転方向23に回転させられる。
【0019】
巻管5のパッケージ軸線18に対して平行に、支持ローラ3が配置されており、この支持ローラ3には巻管5が、旋回軸線11を中心とした旋回アーム10の旋回運動14に基づいて接触する。支持ローラ3は、相応の保持体25によって機械フレーム26に回転可能に取り付けられている。相応の回転方向23における巻管5の回転によって、巻管5に仕掛けられた糸4が、巻管5に巻き取られ、かつパッケージ2が形成される。この巻取り過程中に、綾振り装置21によって糸4は、巻管5のパッケージ軸線18に沿って往復動させられる。綾振り装置21のこの運動方向22によって、巻管5において異なった形式の巻成体もしくはパッケージ2を形成することができる。巻管5における巻成体の形成によって、パッケージ2の直径は増大し、これによって支持ローラ3における接触に基づいて、パッケージフレーム1は旋回軸線11を中心にして支持ローラ3から離反する方向に旋回させられる。巻取り過程中に糸4は、巻管5、もしくは巻管5に既に巻き取られた糸4と、支持ローラ3との間においてクランプされ、これによって密に接触する巻成体が巻管5において形成される。この際に加えられるクランプ力Fは、巻取り過程中に大きくなるパッケージ2の自重によって、常に増大する。一定のクランプ力Fを達成することができるようにするために、駆動装置13によってパッケージフレーム1は、旋回軸線11を中心にして旋回運動14により支持ローラ3から持ち上げられる。しかしながらこの持上げは、パッケージ2と支持ローラ3との間において設定されたクランプ力Fが維持されるようにしか行われない。クランプ力Fおよび駆動装置13によるパッケージフレーム1の持上げに対する反作用として、保持アーム6,7においては曲げモーメントが発生する。この曲げモーメントは、旋回アーム10における保持アーム6の固定部に設けられた力測定装置12によって測定される。
【0020】
保持アーム6には、保持アーム6への手による力導入のための確定された箇所17が設けられている。この確定された箇所17は、保持アーム6の延長部として形成されている。操作員は、いまや軽く(既に数100グラムで十分)この延長部を押圧することができ、かつこれによって力GまたはHを、所望の運動方向に関連して、延長部にもたらすことができる。このとき力Gは、パッケージ2を支持ローラ3から離反する方向に移動させることが望ましい場合に、手によってもたらされ、かつ力Hは、パッケージ2もしくは巻管5を支持ローラ3に向かって移動させることが望ましい場合に、手によってもたらされる。この力導入は、力測定装置によって確認され、これに基づいて制御装置は、駆動装置13を介して旋回アーム10を、ひいてはパッケージフレーム1およびパッケージ2を、相応の方向への旋回運動14によって移動させる。
【0021】
図3には、巻取り装置の第2実施形態が概略的な平面図で示されており、図4には、巻取り装置の第2実施形態が図3の方向Yから見て概略的に側面図で示されている。装置の構造は、力測定装置12を除いて、図1および図2と同一であり、したがって詳細な記載については、図1および図2に対する構成を参照するものとする。図示の構成において力測定装置12は、保持アーム6に組み込まれている。保持アーム6は、2部分から形成されている。保持アーム6の第1の部分15は、旋回アーム10を力測定装置12に結合していて、かつ保持アーム6の第2の部分16は、力測定装置12からパッケージ軸線18を介して、手による力導入のための確定された箇所17に延びている。保持アーム6の両部分15,16は、力測定装置12にねじ結合されており、このとき力測定装置12は、屈曲ビーム・ロードセル(Biegebalken-Waegezelle)として形成されている。
【符号の説明】
【0022】
1 パッケージフレーム
2 パッケージ
3 支持ローラ
4 糸
5 巻管
6 第1の保持アーム
7 第2の保持アーム
8 第1の収容装置
9 第2の収容装置
10 旋回アーム
11 旋回軸線
12 力測定装置
13 駆動装置
14 旋回運動
15 保持アームの第1の部分
16 保持アームの第2の部分
17 手による力導入のための確定された箇所
18 パッケージ軸線
19 駆動車
20 駆動エレメント
21 綾振り装置
22 綾振り装置の運動方向
23 パッケージの回転方向
24 支持体
25 支持ローラの保持体
26 機械フレーム
F クランプ力
G 支持ローラから離反する方向に向けられた、手による力
H 支持ローラの方向に向けられた、手による力
図1
図2
図3
図4