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特許7467053圧電触覚フィードバックにおけるゼロ電力ウェイクアップ検知回路
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-05
(45)【発行日】2024-04-15
(54)【発明の名称】圧電触覚フィードバックにおけるゼロ電力ウェイクアップ検知回路
(51)【国際特許分類】
   B06B 1/06 20060101AFI20240408BHJP
   G06F 3/041 20060101ALI20240408BHJP
【FI】
B06B1/06 A
G06F3/041 480
【請求項の数】 20
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019169235
(22)【出願日】2019-09-18
(65)【公開番号】P2020044531
(43)【公開日】2020-03-26
【審査請求日】2022-09-16
(31)【優先権主張番号】16/136,347
(32)【優先日】2018-09-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519338245
【氏名又は名称】ボレアス テクノロジーズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シモン シャピュー
(72)【発明者】
【氏名】マルタン ルノー
【審査官】津久井 道夫
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/064007(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/140759(WO,A1)
【文献】特開2004-312509(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0176265(US,A1)
【文献】特開2011-048696(JP,A)
【文献】特開平07-248252(JP,A)
【文献】中国実用新案第202860809(CN,U)
【文献】米国特許出願公開第2014/0230575(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B06B 1/06
G06F 3/041
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧電回路であって、
力の印加に応答して検知信号を生成し、触覚電圧信号に応答して触覚応答を生成するための圧電アクチュエータと、
ウェイクアップ信号に応答して前記触覚電圧信号を生成するためのドライバ回路と、
前記圧電アクチュエータに力が印加されていないとき電力を消費しないウェイクアップ回路であって、
前記圧電アクチュエータに結合されたコンデンサであって、前記ドライバ回路が前記圧電アクチュエータと前記コンデンサとの間に結合されている、前記コンデンサと、
前記検知信号を受信するために、前記コンデンサを介して前記圧電アクチュエータに容量結合された第1の端子、接地と電圧源のうちの一方に接続された第2の端子、および接地と前記電圧源のうちの他方に接続された第3の端子を含み、前記検知信号が有効であるとき導通するトランジスタと、
前記トランジスタが導通したとき、前記ウェイクアップ信号を前記ドライバ回路に提供するために、前記第2の端子に接続された出力と、を
含むウェイクアップ回路と、
前記コンデンサと前記第1の端子との間に接地と前記電圧源のうちの前記他方への経路を提供するスイッチを含むフィードバックループであって、前記トランジスタが導通するとスイッチは閉じられ、触覚電圧信号または前記トランジスタを損傷するのに十分高い任意の電圧信号から前記トランジスタを保護するフィードバックループと、を
備える、圧電回路。
【請求項2】
前記第2の端子は前記電圧源に接続され、前記第3の端子は接地接続され、前記スイッチは接地への経路を提供し、前記圧電回路は更に、
前記出力に接続されたコントローラであって、前記検知信号が有効になるタイミングを決定すること、前記スイッチを閉じて前記コンデンサと前記第1の端子間に接地への経路を提供することにより、前記検知信号が有効であるとき前記圧電アクチュエータと前記第1の端子間の容量結合を無効にすること、および力の印加に対する触覚応答を提供する前記圧電アクチュエータに前記触覚電圧信号を送信するために前記ドライバ回路を作動させることができる前記コントローラを更に備える、
請求項1に記載の圧電回路。
【請求項3】
前記第2の端子は前記電圧源に接続され、前記第3の端子は接地接続され、前記スイッチは接地への経路を提供し、前記フィードバックループは、前記第2の端子と前記第1の端子との間に接続された、請求項1に記載の圧電回路。
【請求項4】
前記第2の端子は前記電圧源に接続され、前記第3の端子は接地接続され、前記スイッチは接地への経路を提供し、前記フィードバックループはまた、前記圧電アクチュエータと前記第1の端子との間の前記容量結合を無効にするために前記スイッチが閉じられる前に所定の時間経過を提供する遅延も含む、請求項1に記載の圧電回路。
【請求項5】
高インピーダンスを提供する一方で前記第1の端子を所定の基準電圧に維持し、所望の上位レベルより上の電圧および所望の下位レベルより下の電圧から前記第1の端子を保護するために、前記コンデンサと前記第1の端子との間に第1および第2の逆並列ダイオードを更に備える、請求項1に記載の圧電回路。
【請求項6】
前記トランジスタの閾値電圧を超えて前記所望の上位レベルを引き上げるために、前記第2の逆並列ダイオードと直列の抵抗器を更に備える、請求項5に記載の圧電回路。
【請求項7】
前記第1および第2のダイオードが基準電圧にバイアスされ、それにより、前記第1の端子を接地よりも高いが前記トランジスタの閾値電圧よりも低い電圧にバイアスする、請求項5に記載の圧電回路。
【請求項8】
前記検知信号は、前記検知信号が前記トランジスタの所定の閾値電圧を超える電圧を含むときに有効である、請求項1に記載の圧電回路。
【請求項9】
前記検知信号は、前記検知信号が所定の電圧変化を超える電圧変化を含むときに有効である、請求項1に記載の圧電回路。
【請求項10】
前記第2の端子は接地接続され、前記第3の端子は前記電圧源に接続され、前記スイッチは前記電圧源への経路を提供し、前記トランジスタが負の閾値電圧を含み、前記圧電アクチュエータからの前記力の印加の除去により前記検知信号が生成される、請求項1に記載の圧電回路。
【請求項11】
前記コンデンサは、最大触覚電圧信号以上の破壊電圧を含む、請求項1に記載の圧電回路。
【請求項12】
圧電回路であって、
力の印加に応答して検知信号を生成し、触覚電圧信号に応答して触覚応答を生成するための圧電アクチュエータと、
前記触覚電圧信号を生成するためのドライバ回路と、
ウェイクアップ回路であって、
前記圧電アクチュエータに結合されたコンデンサであって、前記ドライバ回路が前記圧電アクチュエータと前記コンデンサとの間に結合されている、前記コンデンサと、
前記検知信号を受信するために、前記コンデンサを介して前記圧電アクチュエータに容量結合された第1の端子、接地と電圧源のうちの一方に接続された第2の端子、および接地と前記電圧源のうちの他方に接続された第3の端子を含み、前記検知信号が第1の閾値電圧を超えるとき導通するトランジスタと、
前記第2の端子に接続された出力と、
を含むウェイクアップ回路と、
前記コンデンサと前記第1の端子との間に接地と前記電圧源のうちの前記他方への経路を提供するスイッチを含むフィードバックループと、
前記出力に接続されたコントローラであって、前記第2の端子が前記電圧源に接続され、前記第3の端子は接地接続され、そして前記スイッチが接地への経路を提供する場合、前記検知信号が有効になるタイミングを決定すること、前記トランジスタが導通するとき前記ドライバ回路にウェイクアップ信号を提供すること、前記スイッチを閉じて前記コンデンサと前記第1の端子間に接地への経路を提供することにより、前記圧電アクチュエータと前記第1の端子間の容量結合を無効にすること、および力の印加に対する触覚応答を提供する前記圧電アクチュエータに前記触覚電圧信号を送信するために前記ドライバ回路を作動させることができる前記コントローラと、を
備える、圧電回路。
【請求項13】
前記第2の端子は前記電圧源に接続され、前記第3の端子は接地接続され、前記スイッチは接地への経路を提供し、前記フィードバックループは、前記圧電アクチュエータと前記第1の端子との間の容量結合を無効にするために前記スイッチが閉じられる前に所定の時間経過を提供する遅延も含む、請求項12に記載の圧電回路。
【請求項14】
高インピーダンスを提供する一方で前記第1の端子を所定の基準電圧に維持し、所望の上位レベルより上の電圧および所望の下位レベルより下の電圧から前記第1の端子を保護するために、前記コンデンサと前記第1の端子との間に第1および第2の逆並列ダイオードを更に備える、請求項12に記載の圧電回路。
【請求項15】
前記トランジスタの閾値電圧を超えて前記所望の上位レベルを引き上げるために、前記第2の逆並列ダイオードと直列の抵抗器を更に備える、請求項14に記載の圧電回路。
【請求項16】
前記第1および第2のダイオードが基準電圧にバイアスされ、それにより、前記第1の端子を接地よりも高いが前記トランジスタの閾値電圧よりも低くバイアスする、請求項14に記載の圧電回路。
【請求項17】
前記検知信号は、前記検知信号が前記トランジスタの所定の閾値電圧を超える電圧を含むときに有効である、請求項12に記載の圧電回路。
【請求項18】
圧電回路であって、
力の印加に応答して検知信号を生成し、触覚電圧信号に応答して触覚応答を生成するための圧電アクチュエータと、
前記触覚電圧信号を生成するためのドライバ回路と、
ウェイクアップ回路であって、
前記圧電アクチュエータに結合されたコンデンサであって、前記ドライバ回路が前記圧電アクチュエータと前記コンデンサとの間に結合されている、前記コンデンサと、
前記検知信号を受信するために、前記コンデンサを介して前記圧電アクチュエータに容量結合された第1の端子、接地と電圧源のうちの一方に接続された第2の端子、および接地と前記電圧源のうちの他方に接続された第3の端子を含み、前記検知信号が第1の閾値電圧を超えるとき導通するトランジスタと、
前記トランジスタが導通したときに前記ドライバ回路にウェイクアップ信号を提供するために、前記第2の端子に接続された出力と、
前記第1の端子と基準電圧との間に接続され、前記第1の端子の電圧が所定量を超えるのを防ぐことができるクランプダイオードと、
を含むウェイクアップ回路と、を
備える、圧電回路。
【請求項19】
高インピーダンスを提供する一方で前記第1の端子を所定の基準電圧に維持し、所望の上位レベルを超える電圧、所望の下位レベルより下の電圧から前記第1の端子を保護するために、前記コンデンサと前記第1の端子との間に、第1および第2の逆並列ダイオードを更に備える、請求項18に記載の圧電回路。
【請求項20】
前記所望の上位レベルを前記トランジスタの閾値電圧よりも高くするために、前記第2の逆並列ダイオードと直列の抵抗器を更に備える、請求項19に記載の圧電回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェイクアップ回路に関し、特に、圧電アクチュエータを含む触覚フィードバックシステムで使用するウェイクアップ回路に関する。
【背景技術】
【0002】
圧電効果は可逆プロセスであり、圧電材料に力が印加されると電荷が生成され、圧電材料に電荷が加えられると力が生成される。電荷は電流または電圧として測定でき、材料に印加された機械的歪みを推定するための良い方法を提供する。応用例としては、圧電材料を使用して機械的スイッチを置き換えることである。したがって、ユーザが圧電材料を含むボタンを押すと、電圧/電流が生成され、それにより、この電圧/電流変化を、ユーザがボタンを押したことをシステムに知らせる電子デバイスによって検出できる。
【0003】
逆圧電効果は反対の結果をもたらす。圧電材料に電圧を印加すると、圧電材料に機械的歪みが発生する。歪みは、用途に応じて圧電材料の力および/または変位を生成する。例示的な用途は、触覚アクチュエータであり、そこでは、ユーザに感覚的なフィードバックを提供するための感覚、例えば振動を生成することが望まれる。デバイスは電圧波形を触覚アクチュエータに印加して、所望の感覚を生成する。一般的に、有用な動きや力を得るには、数十から数百ボルトを圧電アクチュエータに印加して、認識可能な感覚を生成する必要がある。
【0004】
検知と作動の両方が必要なシステムにとって、システムは、センサとアクチュエータの両方として機能する単一の素子、すなわち圧電アクチュエータを使用できるため、圧電アクチュエータは魅力的である。二重機能素子により、機械式ボタン交換などのアプリケーションが可能になり、この場合、システムにコマンドを提供するためには検知が必要であり、また、システムに自然なユーザインタフェースを提供するには、触覚フィードバックが必要である。
【0005】
残念ながら、単純なシステムで作動機能と検知機能の両方を組み合わせようとすると問題が発生する。第一に、ユーザがアクチュエータを押すときの入力信号は、たった1桁のボルト、例えば1V~10Vに制限できる一方、良好な触覚感覚を生成するために必要な電圧は、数十から数百ボルトになることがある。それには、1)検知エレクトロニクスは、安全に高電圧信号、例えば100V以上を受け入れることができる必要があること、2)振幅がたった1Vの信号を検出するのに十分な感度があること、という2つの課題がある。したがって、多くの検知フロントエンド電子機器には、電圧をスケールダウンして、例えばADCまたは他の同様の手段を使用して、電圧を読み取ることができる抵抗経路がある。ただし、抵抗経路は、圧電アクチュエータを継続的に放電させ、信号振幅を小さくすることにより、システム感度を低下させる。2番目の問題は、センサを読み取るためにアクティブ回路が必要であり、その回路が動作するには数マイクロアンペアから数ミリアンペアの静的電流および/または動的電流が必要であることである。ボタンが1日に数回使用されるシステムでは、この過電流に対する要件により、かなりの量の電力が無駄になる。
【0006】
本発明の目的は、圧力を印加していないときに電力を消費しないが、圧電アクチュエータに印加された圧力を検出することができ、作動回路に電源投入信号を生成し、低遅延で触覚フィードバックを開始するウェイクアップ回路を提供することにより、従来技術の欠点を克服することである。
【発明の概要】
【0007】
したがって、本発明は、圧電回路であって、
力の印加に応答して検知信号を生成し、触覚電圧信号に応答して触覚応答を生成するための圧電アクチュエータと、
ウェイクアップ信号に応答して触覚電圧信号を生成するためのドライバ回路と、
圧電アクチュエータに力が印加されていないとき電力を消費しないウェイクアップ回路であって、圧電アクチュエータに結合されたコンデンサと、検知信号を受信するために、コンデンサを介して圧電アクチュエータに容量結合された第1の端子、電圧源に接続された第2の端子、および接地に接続された第3の端子を含み、検知信号が有効であるとき導通するトランジスタと、トランジスタが導通したとき、ウェイクアップ信号をアクチュエータ回路に提供するために、第2の端子に接続された出力と、を含むウェイクアップ回路と、
コンデンサと第1の端子との間に接地への経路を提供するスイッチを含むフィードバックであって、トランジスタが導通するとスイッチは閉じられ、触覚電圧信号またはトランジスタを損傷するのに十分高い任意の電圧信号からトランジスタを保護するフィードバックとを備える、圧電回路に関する。
【0008】
本発明の別の態様は、圧電回路であって、
力の印加に応答して検知信号を生成し、触覚電圧信号に応答して触覚応答を生成するための圧電アクチュエータと、
触覚電圧信号を生成するためのドライバ回路と、
ウェイクアップ回路であって、圧電アクチュエータに結合されたコンデンサと、検知信号を受信するために、コンデンサを介して圧電アクチュエータに容量結合された第1の端子、電圧源に接続された第2の端子、および接地に接続された第3の端子を含み、検知信号が第1の閾値電圧を超えるとき導通するトランジスタと、第2の端子に接続された出力と、を含むウェイクアップ回路と、
コンデンサと第1の端子との間に接地への経路を提供するスイッチを含むフィードバックループと、
出力に接続されたコントローラであって、検知信号が有効になるタイミングを決定すること、トランジスタが導通するときアクチュエータ回路にウェイクアップ信号を提供すること、スイッチを閉じてコンデンサと第1の端子間に接地への経路を提供することにより、圧電アクチュエータと第1の端子間の容量結合を無効にすること、および力の印加に対する触覚応答を提供する圧電アクチュエータに触覚電圧信号を送信するためにアクチュエータ回路を作動させることができるコントローラとを備える、圧電回路に関する。
【0009】
本発明の別の特徴は、圧電回路であって、
力の印加に応答して検知信号を生成し、触覚電圧信号に応答して触覚応答を生成するための圧電アクチュエータと、
触覚電圧信号を生成するためのドライバ回路と、
ウェイクアップ回路であって、圧電アクチュエータに結合されたコンデンサと、検知信号を受信するために、コンデンサを介して圧電アクチュエータに容量結合された第1の端子、電圧源に接続された第2の端子、および接地に接続された第3の端子を含み、検知信号が第1の閾値電圧を超えるとき導通するトランジスタと、トランジスタが導通したときにアクチュエータ回路にウェイクアップ信号を提供するために、第2の端子に接続された出力と、第1の端子と基準電圧との間に接続され、第1の端子の電圧が所定量を超えるのを防ぐことができるクランプダイオードとを含むウェイクアップ回路とを備える、圧電回路を提供する。
【0010】
本発明は、その好ましい実施形態を表す添付の図面を参照してより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態による触覚フィードバック回路の概略図である。
図2図1のデバイスのウェイクアップ回路の概略図である。
図3図1のデバイスのウェイクアップ回路の代替実施形態の概略図である。
図4】触覚フィードバック回路用のウェイクアップ回路の代替実施形態の概略図である。
図5】本発明の一実施形態の接触検知信号、ウェイクアップパルス、および触覚フィードバック準備完了パルスを示す時間対電圧のプロットである。
図6】本発明による方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本教示は、様々な実施形態および実施例と併せて説明されるが、本教示がそのような実施形態に限定されることは意図されていない。それどころか、本教示は、当業者によって理解されるように、様々な代替物および同等物を包含する。
【0013】
圧電アクチュエータ回路には、理想的には、1)センサとアクチュエータの両方として機能する単一の圧電素子である、2)圧電アクチュエータに圧力が印加されていないときの電力消費がゼロ、つまり、漏れ電流以外の静的または動的な電力がない場合、ウェイクアップ回路は、印加された圧力に対して圧電アクチュエータを連続的に検知する、3)低遅延、例えば30ms未満、好ましくは10ms未満、より好ましくは1ms未満、電源投入から波形生成準備完了まで回路を作動させる、4)i)抵抗分圧器を介した低周波数(信号振幅と周波数)での感度の向上、およびii)高電圧信号と低電圧電子機器間の安全なインタフェースのための容量性カップリングと高入力インピーダンスを備えたウェイクアップ回路、という特性が含まれる。
【0014】
図1を参照すると、本発明の圧電デバイス1は、圧電材料アクチュエータ2、圧電(ピエゾ)アクチュエータ2を検知および作動できる圧電ドライバ集積回路(IC)3、およびマイクロコントローラユニット(MCU)4を含むことができる。アクチュエータ2内の圧電材料は、例えば、天然に生じる結晶、例えば、クォーツ、合成結晶、例えば、ランガサイトとニオブ酸リチウム、または合成セラミック、例えば、チタン酸バリウム、チタン酸鉛、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)など任意の適切な材料から構成されてもよい。
【0015】
IC3は、所定の閾値を超える圧電アクチュエータ2への圧力を検出するウェイクアップ回路11、有効性チェックのためにウェイクアップ後に圧電信号を正確に検知するアナログデジタルコンバータ(ADC)13、有効な圧力作動に応答して感覚を生成するために、触覚電圧信号を圧電アクチュエータ2に送信するためのドライバ回路12を含む。
【0016】
MCU4は、圧電アクチュエータ2で発生するイベントについて、圧電IC3とMCU4との間に延びる割込みライン14を介して、ウェイクアップ回路11によって通知されてもよい。圧電IC3とMCU4との間に延在するデータ接続16は両方向で使用することができ、MCU4が圧電IC3との間で信号を受信し、命令を送信できるようにする。IC3およびMCU4は、必要に応じて単一の集積回路上に提供されてもよい。
【0017】
図2を参照すると、ウェイクアップ回路11は、適切なトランジスタm1、例えば第1、第2、および第3の端子21、22、および23、例えば、ゲート、ドレイン、ソースを含むNMOSトランジスタを含む共通ソース回路を含むことができる。圧電アクチュエータ2は、高電圧コンデンサc1、理想的には抵抗器のないコンデンサc1のみを介して第1の端子21にAC結合されてもよい。高電圧コンデンサは、2つの端子間で予想される最大信号、例えば、触覚電圧信号以上の破壊電圧を有するコンデンサである。例えば、100V圧電IC 3では、少なくとも定格電圧100Vの高電圧コンデンサが必要になる。圧電IC 3が20V信号用に作られている場合、コンデンサの破壊電圧は少なくとも20Vでなければならない。
【0018】
代替実施形態での抵抗器の代わりに結合コンデンサc1を使用すると、圧電アクチュエータ2を任意のDC電圧にバイアスすることができ、例えば、圧電アクチュエータ2を圧電IC3の供給電圧、例えば、1V~5VのVにバイアスすることができる。また、コンデンサc1は大きなDCインピーダンスを有しているため、圧電アクチュエータ2によって生成された電荷は、作動中に活発に蓄積され、強固な入力信号を築き上げる。約10Hzの一般的な検知信号周波数の場合、コンデンサc1は1:1に近い比率でウェイクアップ電圧信号を通過させ、これにより、1Vのウェイクアップ電圧信号でも、トランジスタm1のトランジスタ閾値電圧を閾値として使用して、ウェイクアップ回路11をトリガするのに十分である。しかし、コンデンサc1は、大きな触覚信号電圧でm1のゲート電圧を上昇させ、トランジスタm1を破壊する可能性がある。したがって、トランジスタm1を高電圧から保護するには、保護回路、例えば、遅延時間フィードバックシステム27を含み、ダイオードd1およびd2および/またはアクティブスイッチ30を備えた保護回路を、トランジスタm1のゲート電圧が許容限度内、すなわち、触覚電圧信号または高すぎる検知電圧信号などトランジスタm1を損傷させる電圧未満に確実に留まるように設けてもよい。フィードバックシステム27は、第2の端子22と第1の端子21との間、またはMCU4と第1の端子21との間に延在してもよい。
【0019】
電圧源V、例えば1V~5Vの間の圧電IC3用の電源は、負荷抵抗器r1または他の適切なプルアップ回路を介して第2の端子22に接続される。割込み14を介してドライバ回路12およびMCU4の一方または両方と接続するために、出力26も第2の端子22に接続される。
【0020】
第1の端子21、例えば、トランジスタm1のゲートは、遅延フィードバックシステム27によって高電圧から保護されており、接触力を通知した後、またはドライバ回路12によって圧電アクチュエータ2に高電圧波形が印加されて触覚感覚を生成したとき、第1の端子21を低く保つ。遅延フィードバックシステム27は、遅延28およびスイッチ30を含んでもよい。
【0021】
遅延28の目的は、十分な時間経過があることを保証することであるので、出力26でのウェイクアップ信号は、保護回路27が作動してウェイクアップ信号を除去する前、すなわち、スイッチ30を介して第1の端子21を接地する前に、MCU4または他の論理回路によって捕捉されるのに十分長い期間を有する。遅延28の値は、ウェイクアップ回路11の特性、例えば、コンデンサc1の静電容量とm1およびダイオードd1およびd2の破壊電圧に基づいて調整することができる。遅延28の値は、1μs~100msの範囲であってもよいが、システムによっては、より短い、例えば、1ηs~1μs、または、より長い、例えば>100msであり、また、例えば、圧電アクチュエータ2およびMCU 4のタイプ、または実装で使用されるカスタムロジックなどのアプリケーション固有の条件による遅延がある。
【0022】
圧力が圧電アクチュエータ2に印加されていないときにトランジスタm1を「オフ」に保ちながら、トランジスタm1の第1の端子21を基準電圧v1にバイアスしてもよい。第1の端子21は、低い基準電圧V1(0~0.5V)、すなわち、トランジスタm1の閾値電圧Vt(0.6~0.7V)未満に維持される一方、圧電アクチュエータ2に力が印加されないときには、トランジスタm1を「オフ」に維持する。
【0023】
最初に、圧電アクチュエータ2に圧力が印加されていないとき、MCU4からスイッチ30へのオプションのイネーブル信号は低く、すなわちスイッチ30は閉じているかオンであり、トランジスタm1の第1の端子21は接地にプルダウンされる。トランジスタm1は「オフ」であり、入力/出力26の出力を高レベル、例えば、Vに設定する。
【0024】
検知回路11はまた、MCU4がイネーブル信号をハイに設定してスイッチ30を開くことにより作動し、これにより、第1の端子21は接地から切断される。ユーザが圧電素子2に圧力を印加すると、圧電素子2によって、通常、200~400msの間で1~5Vの電圧信号が生成される。圧電素子2からの電圧は、コンデンサc1を介してトランジスタm1の第1の端子21に結合される。第1の端子21のノードの高インピーダンスは、トランジスタm1への結合電圧信号を最大化する。結合された電圧信号が所定の閾値電圧Vt、例えば、約0.7Vを超えると、トランジスタm1は「オン」になり、出力26の出力を低レベルに引き下げ、トランジスタm1は負荷抵抗器r1を介して導通する。出力26の低レベル出力電圧は、出力26から直接にまたはMCU 4を介して、ドライバ回路12自体によってウェイクアップ信号として検出される。次に、MCU4は、ADC13を介して圧電素子2によって生成された電圧を正確に検知し、圧電素子2に対する圧力事象が触覚信号応答を誘発する正当な事象であるかどうかを判定する。出力26の出力が低くなると、所定の遅延後、例えば<10ms、遅延28により、トランジスタm1の第1の端子21は、フィードバックループ27および/またはスイッチ30を閉じることによってMCU 4からのイネーブル信号により接地に引き戻され、トランジスタm1がオフになり、導通しなくなると、出力26の出力電圧は高レベルに戻る。遅延中または遅延後、ウェイクアップ回路11および/またはMCU 4の出力26は、触覚フィードバック準備完了信号を圧電IC 3上のドライバ回路12に送信し、圧電アクチュエータ2で高電圧触覚信号を生成し、それにより、ユーザに触覚感覚を提供する。トランジスタm1の第1の端子21を接地に引き下げることにより、コンデンサc1とトランジスタm1との間の容量結合が無効になり、圧電素子2に印加される高電圧触覚信号から低電圧ウェイクアップ回路11が保護される。したがって、コンデンサc1のみが高電圧をサポートする必要がある。
【0025】
コンデンサc1とスイッチ30との間に一対の逆並列ダイオードd1およびd2を設けることができる。逆並列ダイオードd1およびd2は、接地に接続するか、第1の端子21の閾値電圧Vt未満の任意の基準電圧V1に接続することができ、このことは、前述のように、第1の端子21をより高い電圧でバイアスするのに役立つであろう。したがって、ウェイクアップ回路11、すなわちトランジスタm1は、圧電素子2で生じたより小さな電圧(Vt-V1)を検出することができた。コンデンサc1からの電荷がノードを接地または基準より低くする場合、すなわち、負の高電圧(<-1V)をクリップする場合、第1のダイオードd1はまた、第1の端子21を保護する。
【0026】
第2のダイオードd2は、第1の端子21をゆっくり充電し、誤検出を生じさせるコンデンサc1からの漏れ電流を補償する。漏れにより電圧がゆっくりと上昇すると、第2のダイオードd2を流れる電流は、第2のダイオードd2の閾値電圧と第1の端子21の電圧を制限するコンポーネントrd2の抵抗の関数として増加する。コンポーネントrd2を第2のダイオードd2と直列に接続して、電圧制限値を高め、より小さい結合信号を検出することができる。コンポーネントrd2は、任意の適切なコンポーネント、例えば、抵抗器、ダイオード、およびダイオードに接続されたトランジスタを含んでもよい。一般的に、第2のダイオードd2は、ノード21の電圧をほぼその順方向電圧(Vf)、例えば、約0.7Vに制限する。しかしながら、第1および第2のダイオードd1およびd2がGNDに接続され、抵抗器rd2が第2のダイオードd2と直列に接続されている場合、トランジスタm1が圧電信号を検出するために、第1の端子21の電圧制限はVf+Vrd2に増加する可能性がある。しかしながら、抵抗器rd2が第2のダイオードd2と直列に接続されていると、高電圧が圧電素子2に印加されたとき、第2のダイオードd2がトランジスタm1の保護として機能しない場合がある。
【0027】
逆並列ダイオードd1およびd2の選択は、第1の端子21を異なる電圧でバイアスするために使用されてもよい。例えば、従来のシリコンダイオードは、通常、0.6~0.7ボルトの順方向電圧を有し、ショットキーダイオードは、通常、0.15~0.45ボルトの順方向電圧を有する。逆並列ダイオードは、第1の端子21のノードを非常に高いインピーダンス、例えば、1GΩ以上、好ましくは5GΩ以上、より好ましくは10GΩ以上に維持し、圧力が圧電アクチュエータ2に印加されたときに生成される低電圧(1V)および低周波(10Hz)信号を、ウェイクアップ回路11によって結合および検出できるようにする。例えば、コンデンサc1が10pFのコンデンサで構成され、圧電信号が1~10Hzの範囲にある場合、インピーダンスは1.6GΩ~16GΩであり得る。
【0028】
図3は、ウェイクアップ回路11’の代替実施形態を示し、この中でPMOSトランジスタm1が図2のNMOSトランジスタm1の代わりに使用されており、これにより、第3の端子、例えば、ソースは電圧源Vに接続され、第2の端子、例えば、ドレインは接地に接続される。PMOS m1の負の閾値電圧により、圧電素子からの圧電/電流シンクでの負の電圧変化を検出することができ、これにより、圧電アクチュエータ2が長期間保持され、その後解放されるシステムで、または検出されるイベントが負極性の信号を作成するシステムで、例えば、圧電アクチュエータ2が機械的プレロードを必要とする場所に挿入された場合に、圧電回路を使用することができる。プレロードが除去された場合、例えば、ユーザがデバイス装置から手を離すか、機械装置が故障した場合、システムに適切なアクションを実行するように通知してもよい。
【0029】
図4は、ウェイクアップ回路11’’の代替実施形態を示し、ウェイクアップ回路11’’は、適切なトランジスタm1、例えば、NMOSトランジスタを含み、および第1、第2、および第3の端子21、22、および23、例えば、ゲート、ドレイン、ソースを含む共通ソース回路を備えてもよい。圧電アクチュエータ2は、高電圧コンデンサc1を介して第1の端子21にAC結合されてもよい。電圧源V、例えば、1V~5Vの圧電IC3用の電源は、負荷抵抗器r1を介して第2の端子22に接続される。出力26も、割込み14を介してMCU4と接続するために第2の端子22に接続される。
【0030】
フィードバックループ27の代わりに、保護回路は、第1の端子21と基準電圧Vとの間に延びるクランプダイオードd3を含む。クランプダイオードd3は、トランジスタm1を損傷させる可能性のある高すぎる電圧、例えば、触覚電圧信号または高すぎる検知電圧を受けることから第1の端子21を保護する。第1の端子21が基準電圧Vcを超えると、フィードバックダイオードd3は、その値を第1の端子21でVcに近い値、例えば、Vc+Vf(ダイオードd3の順方向電圧)でクランプする。
【0031】
コンデンサc1と第1の端子21との間に第1および第2の逆並列ダイオードd1およびd2を設けることができる。逆並列ダイオードd1およびd2は、接地に接続するか、任意の基準電圧V1に接続してもよく、このことは、第1の端子21を接地よりも高いがトランジスタm1の閾値電圧Vtよりも低い電圧、例えば、Vt-V1にバイアスするのを助ける。次に、ウェイクアップ回路11、すなわちトランジスタm1は、圧電素子2から来るより小さな電圧、すなわちトランジスタm1の典型的な閾値電圧よりも小さい電圧を検出することができる。コンデンサC1からの電荷が第1の端子21を接地または基準よりも低くする場合、すなわち負の(<-1V)高電圧をクリップする場合、第1のダイオードd1はまた、第1の端子21も保護する。
【0032】
第2のダイオードd2は、クランプダイオードd3またはコンデンサc1からの漏れ電流を補償し、第1の端子21をゆっくり充電し、誤検出を生じさせる。漏れにより電圧がゆっくりと増加すると、第2のダイオードd2を流れる電流は、第2のダイオードd2の閾値電圧および第1の端子21の電圧を制限する第2のダイオードd2と直列のコンポーネントrd2の抵抗値の関数として、増加する。
【0033】
コンポーネントrd2を第2のダイオードd2と直列に接続して、電圧制限値を高め、より小さい結合信号を検出することができる。一般的には、第2のダイオードd2は、ノード21の電圧をほぼその順方向電圧(Vf)、例えば、約0.7Vに制限する。しかしながら、第1および第2のダイオードd1およびd2がGNDに接続され、抵抗器rd2が第2のダイオードD2と直列に配置されている場合、トランジスタm1が圧電信号を検出するために、第1の端子21の電圧制限はVf+Vrd2まで増加され得る。しかしながら、第2のダイオードd2と直列に接続されたコンポーネントrd2では、第2のダイオードd2は、圧電素子2に高電圧が印加されたときにトランジスタm1の保護として機能しない場合がある。
【0034】
図5を参照すると、トリガイベント、例えば、力の印加、と触覚フィードバックとの間の遅延が示されており、電圧信号、例えば200ms~400ms間の典型的な1V~5Vは、ユーザが圧電アクチュエータ2に力を印加するときに、圧電アクチュエータ2によって生成される。検知信号が所定の閾値電圧、例えば、約0.7Vを超えると、ウェイクアップパルスが圧電IC 3によって生成され、ドライバ回路12に電源投入される。次に、ドライバ回路12は、ドライバ回路12が高電圧触覚信号を生成する準備ができていることを示す触覚フィードバック準備完了信号をMCU4に送信する。したがって、圧電回路1は、1ms未満で触覚波形を生成し、ウェイクアップ回路11を高電圧触覚信号から保護する準備ができている。
【0035】
図6は、圧電回路1の決定アルゴリズムを示しており、開始100で、電力消費はなく、すべて、つまりトランジスタm1がオフになり、圧電IC 3とMCU 4は電源オフモードになる。圧電アクチュエータ2が102でユーザによる力を検知し、圧電ドライバIC3の内部でMCU4へのトリガ信号を生成すると、圧電ドライバIC3は低電力消費を利用して103で作動する。次に、104で、MCU4は、ADC13によって変換された圧電アクチュエータ2によって生成された電圧を正確に検知する。圧電アクチュエータ2によって生成された電圧パターン105に基づいて、例えば、電圧または電圧変化、すなわち微分が、所定の閾値を超えているかどうかに基づいて、MCU 4は、i)106で触覚フィードバックをトリガし、アウェイク状態のまま108に進む、ii)106で触覚フィードバックをトリガし、101に戻ってスリープ状態になる、または、iii)誤検出、触覚フィードバックなし、次のイベントが検出されるまで101に戻る、のいずれかを決定する。ステップ105および106の間、スイッチ30または他の保護回路を使用して、触覚フィードバック信号からトランジスタm1を保護することができる。
【0036】
本発明の1つ以上の実施形態の前述の説明は、例示および説明の目的のために提示された。網羅的であること、または開示された正確な形態に本発明を限定することは意図されていない。上記の教示に照らして、多くの修正形態および変形形態が可能である。本発明の範囲は、この詳細な説明によってではなく、添付の特許請求の範囲によって制限されることが意図されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6