(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-05
(45)【発行日】2024-04-15
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 21/18 20060101AFI20240408BHJP
G03G 21/16 20060101ALI20240408BHJP
【FI】
G03G21/18 167
G03G21/16 152
G03G21/16 176
(21)【出願番号】P 2019189220
(22)【出願日】2019-10-16
【審査請求日】2022-09-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100168217
【氏名又は名称】大村 和史
(72)【発明者】
【氏名】木村 聡志
【審査官】内藤 万紀子
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-120351(JP,A)
【文献】特開2008-292769(JP,A)
【文献】特開2001-034144(JP,A)
【文献】特開平08-101619(JP,A)
【文献】特開2000-132052(JP,A)
【文献】米国特許第05940116(US,A)
【文献】特開2011-053410(JP,A)
【文献】特開2008-257124(JP,A)
【文献】特開2018-155780(JP,A)
【文献】特開2016-048348(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0183058(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/18
G03G 21/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体に対して着脱可能な着脱ユニットを備える画像形成装置であって、
前記着脱ユニットに設けられるユニット側端子、
前記装置本体に設けられ、前記着脱ユニットが当該装置本体に装着されたときに、前記ユニット側端子と接触する本体側端子、
前記装置本体に設けられ、前記本体側端子を保持する端子保持部材、
前記着脱ユニットに設けられるユニット側嵌合部、および
前記端子保持部材に設けられ、前記着脱ユニットの装着動作に伴って前記ユニット側嵌合部と嵌め合わされる本体側嵌合部を備え、
前記端子保持部材は、前記着脱ユニットの装着方向と交差する所定方向に移動可能に設けられており、
前記本体側端子は、前記所定方向に弾性変形可能であって、かつ前記端子保持部材から突出するように設けられており、
前記ユニット側嵌合部および前記本体側嵌合部は、互いに嵌め合わされることによって、前記端子保持部材を前記所定方向であってかつ前記着脱ユニットに近づく方向に移動させて前記ユニット側端子と前記本体側端子とを前記所定方向に所定圧で接触させ、前記ユニット側端子と前記本体側端子とが前記所定方向に前記所定圧で接触した状態で前記端子保持部材を前記着脱ユニットに対して少なくとも前記所定方向に位置決め固定
し、
前記ユニット側嵌合部は、前記着脱ユニットの装着方向に延びる突起部であり、
前記本体側嵌合部は、前記着脱ユニットの装着方向に開口し、前記突起部が嵌め入れられる開口部であり、
前記突起部は、
前記着脱ユニットの装着方向における奥側部分に形成され、前記開口部に対して摺動することで前記端子保持部材を前記着脱ユニットに近づく方向に導く案内傾斜部と、
前記案内傾斜部よりも前記着脱ユニットの装着方向における手前側部分に形成され、前記開口部と当接することで前記端子保持部材を前記着脱ユニットに対して少なくとも前記所定方向に位置決め固定する規制部とを有し、
前記開口部は、板状の壁部を前記着脱ユニットの装着方向に貫通するように前記壁部に形成されており、
前記開口部の前記着脱ユニットの装着方向の長さは、前記突起部の前記着脱ユニットの装着方向の長さよりも小さい、画像形成装置。
【請求項2】
前記ユニット側嵌合部および前記本体側嵌合部は、前記ユニット側端子と前記本体側端子とが接触した状態で前記端子保持部材を前記着脱ユニットに対して前記所定方向と直交する方向にも位置決め固定する、請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記着脱ユニットに対する前記端子保持部材の回動を規制する回り止め部を備える、請求項1
または2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記装置本体に設けられ、前記端子保持部材を前記所定方向であってかつ前記着脱ユニットから離れる方向に付勢する付勢部材を備える、請求項1から
3のいずれかに記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は画像形成装置に関し、特にたとえば、装置本体に対して着脱可能な着脱ユニットを備え、着脱ユニットが装置本体に装着されたときにユニット側端子と本体側端子とが接触して電気的に接続される、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の画像形成装置の一例が特許文献1に開示される。特許文献1の画像形成装置は、装置本体に対して着脱可能な着脱可能装置(着脱ユニット)を備える。着脱可能装置には、情報記憶装置を保持した保持部が設置されている。情報記憶装置には、情報格納部と複数の端子とが保持されると共に、装置本体に設置された位置決め用の突起部に係合して複数の端子の位置を定めるための位置決め用の切欠部が形成された基板が設けられている。さらに、保持部は、装置本体に対する着脱可能装置の着脱方向に対して交差する仮想平面上を移動できるように情報記憶装置を保持する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術では、着脱ユニットの移動方向と同じ方向にユニット側端子と本体側端子とが接触するが、着脱ユニットの移動方向における位置決めは不完全になり易く、ユニット側端子と本体側端子とに接触不良が発生してしまうことがある。
【0005】
それゆえに、この発明の主たる目的は、新規な、画像形成装置を提供することである。
【0006】
また、この発明の他の目的は、ユニット側端子と本体側端子との接触不良を防止できる、画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、装置本体に対して着脱可能な着脱ユニットを備える画像形成装置であって、着脱ユニットに設けられるユニット側端子、装置本体に設けられ、着脱ユニットが当該装置本体に装着されたときに、ユニット側端子と接触する本体側端子、装置本体に設けられ、本体側端子を保持する端子保持部材、着脱ユニットに設けられるユニット側嵌合部、および端子保持部材に設けられ、着脱ユニットの装着動作に伴ってユニット側嵌合部と嵌め合わされる本体側嵌合部を備え、端子保持部材は、着脱ユニットの装着方向と交差する所定方向に移動可能に設けられており、本体側端子は、所定方向に弾性変形可能であって、かつ端子保持部材から突出するように設けられており、ユニット側嵌合部および本体側嵌合部は、互いに嵌め合わされることによって、端子保持部材を所定方向であってかつ着脱ユニットに近づく方向に移動させてユニット側端子と本体側端子とを所定方向に所定圧で接触させ、ユニット側端子と本体側端子とが所定方向に所定圧で接触した状態で端子保持部材を着脱ユニットに対して少なくとも所定方向に位置決め固定し、ユニット側嵌合部は、着脱ユニットの装着方向に延びる突起部であり、本体側嵌合部は、着脱ユニットの装着方向に開口し、突起部が嵌め入れられる開口部であり、突起部は、着脱ユニットの装着方向における奥側部分に形成され、開口部に対して摺動することで端子保持部材を着脱ユニットに近づく方向に導く案内傾斜部と、案内傾斜部よりも着脱ユニットの装着方向における手前側部分に形成され、開口部と当接することで端子保持部材を着脱ユニットに対して少なくとも所定方向に位置決め固定する規制部とを有し、開口部は、板状の壁部を着脱ユニットの装着方向に貫通するように壁部に形成されており、開口部の着脱ユニットの装着方向の長さは、突起部の着脱ユニットの装着方向の長さよりも小さい、画像形成装置である。
【0008】
第1の発明では、画像形成装置は、装置本体に対して着脱可能な現像ユニットなどの着脱ユニットを備える。これら着脱ユニットおよび装置本体には、着脱ユニットが装置本体に装着されたときに、互いに接触するユニット側端子および本体側端子がそれぞれ設けられる。また、本体側端子を保持する端子保持部材は、装置本体には固定されておらず、着脱ユニットの装着方向と交差する所定方向に移動可能に装置本体に設けられる。また、現像ユニットおよび端子保持部材には、現像ユニットの装着動作に伴って互いに嵌合されるユニット側嵌合部および本体側嵌合部がそれぞれ設けられる。さらに、本体側端子は、着脱ユニットの装着方向と交差する所定方向に弾性変形可能であって、かつ端子保持部材から突出するように設けられている。ユニット側嵌合部および本体側嵌合部は、互いに嵌め合わされることで、端子保持部材および本体側端子を着脱ユニットの装着方向と交差する所定方向であってかつ着脱ユニットに近づく方向に移動させて、ユニット側端子と本体側端子とを所定圧で接触させる。つまり、本体側端子とユニット側端子とは、着脱ユニットの装着方向と交差する所定方向に所定圧で接触する。そして、ユニット側嵌合部および本体側嵌合部は、ユニット側端子と本体側端子とが所定方向に所定圧で接触した状態で、端子保持部材および本体側端子を着脱ユニットに対して少なくとも着脱ユニットの着脱方向と交差する所定方向、つまりユニット側端子と本体側端子との接触方向に位置決め固定する。また、ユニット側嵌合部は、着脱ユニットの装着方向に延びる突起部である。一方、本体側嵌合部は、着脱ユニットの装着方向に開口し、突起部が嵌め入れられる開口部である。ユニット側嵌合部である突起部は、着脱ユニットの装着方向における奥側部分に形成され、開口部に対して摺動することで端子保持部材を着脱ユニットに近づく方向に導く案内傾斜部と、案内傾斜部よりも着脱ユニットの装着方向における手前側部分に形成され、開口部と当接することで端子保持部材を着脱ユニットに対して少なくとも所定方向に位置決め固定する規制部とを有する。一方、本体側嵌合部である開口部は、板状の壁部を着脱ユニットの装着方向に貫通するように壁部に形成されている。そして、開口部の着脱ユニットの装着方向の長さは、突起部の着脱ユニットの装着方向の長さよりも小さい大きさに設定される。
【0009】
第1の発明によれば、不安定になり易いユニット側端子と本体側端子との接触方向における位置決めをユニット側嵌合部と本体側嵌合部との嵌合によって確実に行うことができるので、ユニット側端子と本体側端子との接触不良を防止できる。
【0010】
第2の発明は、第1の発明に従属し、ユニット側嵌合部および本体側嵌合部は、ユニット側端子と本体側端子とが接触した状態で端子保持部材を着脱ユニットに対して所定方向と直交する方向にも位置決め固定する。
【0014】
第3の発明は、第1または第2の発明に従属し、着脱ユニットに対する端子保持部材の回動を規制する回り止め部を備える。
【0015】
第4の発明は、第1から第3のいずれかの発明に従属し、装置本体に設けられ、端子保持部材を所定方向であってかつ着脱ユニットから離れる方向に付勢する付勢部材を備える。
【発明の効果】
【0016】
この発明によれば、不安定になり易いユニット側端子と本体側端子との接触方向における位置決めをユニット側嵌合部と本体側嵌合部との嵌合によって確実に行うことができるので、ユニット側端子と本体側端子との接触不良を防止できる。
【0017】
この発明の上述の目的、その他の目的、特徴および利点は、図面を参照して行う後述の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】この発明の第1実施例の画像形成装置の内部構造を示す概略断面図である。
【
図2】画像形成装置が備える現像ユニットを示す斜視図である。
【
図3】斜め下方から見た現像ユニットの後端部を示す斜視図である。
【
図4】現像ユニットを装着する前の端子保持部材の状態を示す断面図である。
【
図5】画像形成装置が備える端子保持部材を示す斜視図である。
【
図7】現像ユニットの後端部を拡大して示す斜視図である。
【
図8】現像ユニットを装着するときの様子を示す斜視図である。
【
図9】現像ユニットの装着完了時の状態を示す斜視図である。
【
図10】現像ユニットの装着完了時の状態を示す断面図である。
【
図11】この発明の第2実施例の画像形成装置が備える現像ユニットおよび端子保持部材を示す斜視図である。
【
図12】この発明の第3実施例の画像形成装置が備える現像ユニットおよび端子保持部材を示す斜視図である。
【
図13】第3実施例の端子保持部材の前面側を示す斜視図である。
【
図14】この発明の第4実施例の画像形成装置が備える現像ユニットおよび端子保持部材を示す斜視図である。
【
図15】第4実施例における現像ユニットの装着完了時の状態を示す斜視図である。
【
図16】この発明の第5実施例の画像形成装置が備える現像ユニットおよび端子保持部材を示す斜視図である。
【
図17】第5実施例における現像ユニットの装着完了時の状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[第1実施例]
図1を参照して、この発明の一実施例である画像形成装置10は、複写機能、プリンタ機能、スキャナ機能およびファクシミリ機能などを有する複合機(MFP:Multifunction Peripheral)であって、電子写真方式によって用紙(記録媒体)に多色または単色の画像を形成する。詳細は後述するように、画像形成装置10は、着脱ユニットの一例である現像ユニット34を備える。現像ユニット34は、画像形成装置10の装置本体12に対してその長手方向に着脱可能(挿抜可能)とされ、現像ユニット34が装置本体12に装着されると、ユニット側端子70と本体側端子108とが現像ユニット34の装着方向と交差する方向に接触する。
【0020】
先ず、画像形成装置10の基本構成について概略的に説明する。なお、この第1実施例では、画像形成装置10を操作するユーザの立ち位置に対向する面、つまり操作パネルが設けられる側の面を前面(正面)として画像形成装置10およびその構成部材の前後方向(奥行方向)を規定する。また、画像形成装置10およびその構成部材の左右方向(横方向)は、ユーザから画像形成装置10を見た状態を基準として規定する。
【0021】
図1に示すように、画像形成装置10は、画像形成部30等を備える装置本体12、およびその上方に配置される画像読取装置14を含む。
【0022】
画像読取装置14は、透明材によって形成される原稿載置台16を備える。原稿載置台16の上方には、ヒンジ等を介して原稿押えカバー18が開閉自在に取り付けられる。この原稿押えカバー18には、原稿載置トレイ20に載置された原稿を画像読取位置22に対して1枚ずつ自動的に給紙するADF(自動原稿送り装置)24が設けられる。また、図示は省略するが、原稿載置台16の前面側には、ユーザによる印刷指示等の入力操作を受け付けるタッチパネルおよび操作ボタン等の操作部が設けられる。
【0023】
また、画像読取装置14には、光源、複数のミラー、結像レンズおよびラインセンサ等を備える画像読取部26が内蔵される。画像読取部26は、原稿表面を光源によって露光し、原稿表面から反射した反射光を複数のミラーによって結像レンズに導く。そして、結像レンズによって反射光をラインセンサの受光素子に結像させる。ラインセンサでは、受光素子に結像した反射光の輝度や色度が検出され、原稿表面の画像に基づく画像データが生成される。ラインセンサとしては、CCD(Charge Coupled Device)やCIS(Contact Image Sensor)等が用いられる。
【0024】
装置本体12には、CPUやメモリ等を含む制御部(図示せず)および画像形成部30等が内蔵される。制御部は、タッチパネル等の操作部への入力操作などに応じて、画像形成装置10の各部位に制御信号を送信し、画像形成装置10に種々の動作を実行させる。
【0025】
画像形成部30は、露光ユニット32、現像ユニット34、感光体ドラム36、クリーナユニット38、帯電器40、中間転写ベルトユニット42、転写ローラ44および定着ユニット46等を備え、給紙トレイ48等から搬送される用紙上に画像を形成し、画像形成済みの用紙を排紙トレイ50に排出する。用紙上に画像を形成するための画像データとしては、画像読取部26で読み取った画像データまたは外部コンピュータから送信された画像データ等が利用される。
【0026】
なお、画像形成装置10において扱われる画像データは、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)およびイエロー(Y)の4色のカラー画像に応じたものである。このため、現像ユニット34、感光体ドラム36、クリーナユニット38および帯電器40のそれぞれは、各色に応じた4種類の潜像を形成するように4個ずつ設けられ、これらによって4つの画像ステーションが構成される。4つの画像ステーションは、中間転写ベルト52の表面の走行方向に沿って水平方向に1列に並んで配置される。また、感光体ドラム36、クリーナユニット38および帯電器40は、ユニット化されており、これらによって感光体ユニットが構成される。現像ユニット34および感光体ユニットのそれぞれは、装置本体12の前面側から個別に着脱可能とされる。ただし、現像ユニット34および感光体ユニットは、一体化された状態で装置本体12に着脱されてもよい。
【0027】
感光体ドラム36は、導電性を有する円筒状の基体の表面に感光層が形成された静電潜像担持体であり、図示しない駆動部によって軸線回りに回転可能とされる。帯電器40は、この感光体ドラム36の表面を所定の電位に帯電させる部材である。また、露光ユニット32は、レーザ出射部および反射ミラー等を備えたレーザスキャニングユニット(LSU)として構成され、帯電された感光体ドラム36の表面を露光することによって、画像データに応じた静電潜像を感光体ドラム36の表面に形成する。クリーナユニット38は、中間転写ベルト52へのトナー像の転写後において、感光体ドラム36の表面に残留したトナーを除去して回収する。
【0028】
現像ユニット34は、感光体ドラム36の表面に形成された静電潜像を4色(YMCK)のトナーによって顕像化する(トナー像を形成する)ものであって、感光体ドラム36にトナーを供給する現像ローラ66等を備える。また、現像ユニット34の現像ハウジング60内には、トナーおよびキャリアから成る現像剤(二成分現像剤)が収容され、この現像剤に含まれるトナーが、現像ローラ66を介して感光体ドラム36に供給される。現像ユニット34の具体的構成については、後述する。
【0029】
中間転写ベルトユニット42は、中間転写ベルト52、駆動ローラ、従動ローラおよび4つの中間転写ローラ54等を備え、感光体ドラム36の上方に配置される。中間転写ベルト52は、各感光体ドラム36に接触するように設けられており、中間転写ローラ54を用いて、各感光体ドラム36に形成された各色のトナー像を中間転写ベルト52に順次重ねて転写することによって、中間転写ベルト52上に多色のトナー像が形成される。また、駆動ローラの近傍には、転写ローラ44が配置されており、中間転写ベルト52と転写ローラ44との間のニップ域を用紙が通過することによって、中間転写ベルト52に形成されたトナー像が用紙に転写される。
【0030】
定着ユニット46は、ヒートローラおよび加圧ローラを備え、転写ローラ44の上方に配置される。ヒートローラは、所定の定着温度となるように設定されており、ヒートローラと加圧ローラとの間のニップ域を用紙が通過することによって、用紙に転写されたトナー像が溶融、混合および圧接されて、用紙に対してトナー像が熱定着される。
【0031】
また、装置本体12内には、給紙トレイ48等からの用紙をレジストローラ56、転写ローラ44および定着ユニット46を経由させて排紙トレイ50に送るための第1用紙搬送路L1が形成される。また、用紙に対して両面印刷を行う際に、片面印刷が終了して定着ユニット46を通過した後の用紙を、転写ローラ44の用紙搬送方向の上流側において第1用紙搬送路L1に戻すための第2用紙搬送路L2が形成される。この第1用紙搬送路L1および第2用紙搬送路L2には、用紙に補助的に推進力を与えるための複数の搬送ローラ58が適宜設けられる。
【0032】
次に、
図1と共に
図2および
図3を参照して、現像ユニット34の構成について説明する。
図1~
図3に示すように、現像ユニット34は、第1搬送部材62、第2搬送部材64、現像ローラ66および図示しないドクターブレード等を備え、これらは現像ハウジング60によって所定の配置態様で一体的に保持される。
【0033】
具体的には、現像ハウジング60の内部には、各々の回転軸が並行するように、第1搬送部材62および第2搬送部材64が設けられると共に、トナーとキャリアとを混合した現像剤が収容される。第1搬送部材62および第2搬送部材64は、円柱状の回転軸(スクリュー軸)の外周面に螺旋羽根が形成されたオーガスクリューである。第1搬送部材62および第2搬送部材64は、現像剤を撹拌しながら搬送することによって、現像ハウジング60内において現像剤を所定方向に循環させる。
【0034】
また、現像ハウジング60には、第2搬送部材64の上方に現像ローラ66が配置される。現像ローラ66は、現像剤担持体として機能するマグネットローラであって、感光体ドラム36に対して水平方向に近い位置において、互いの回転軸が平行に並び、かつ互いの外周面同士が近接するように配置される。現像ローラ66は、現像ハウジング60内の現像剤を表面に担持して、担持した現像剤に含まれるトナーを感光体ドラム36の表面に供給する。これによって、感光体ドラム36の表面に形成された静電潜像が顕像化される。
【0035】
さらに、現像ハウジング60には、現像ローラ66の表面に対して所定の間隙を有するように、ドクターブレードが設けられる。ドクターブレードは、現像ローラ66の軸線方向に延びる板状の部材である。このドクターブレードによって、現像ローラ66に担持される現像剤の量が所定量に規制される。
【0036】
さらにまた、現像ハウジング60の下面には、現像ユニット34の装着方向における奥側端部に、矩形板状の基板68が設けられる。基板68は、現像ユニット34の装着方向と平行(この第1実施例では水平)に配置される。この基板68には、情報を記憶するためのメモリ(図示せず)が実装されると共に、基板68の下面(延いては現像ユニット34の下面)には、複数のユニット側端子70が外部に露出するように設けられている。ユニット側端子70は、現像ユニット34を装置本体12に装着したときに、後述する本体側端子108と接触して電気的に接続される部位であり、ユニット側端子70と本体側端子108とが電気的に接続されることで、現像ユニット34の基板68と装置本体12の制御部との間で情報のやりとり(通信)が可能となる。この第1実施例では、ユニット側端子70のそれぞれは、現像ユニット34の着脱方向(前後方向)に延びる矩形板状に形成され、現像ユニット34の幅方向(左右方向)に所定間隔で並ぶように配置される。
【0037】
また、現像ハウジング60には、現像ハウジング60内のトナー濃度を検出するためのトナー濃度センサ(図示せず)が設けられる。このトナー濃度センサは、基板68に接続されている。トナー濃度センサで検出された情報は、基板68のメモリに一時記憶された後、ユニット側端子70および本体側端子108を介して、装置本体12の制御部に送信される。装置本体12の制御部は、トナー濃度センサで検出された情報に基づいて、トナーカートリッジから現像ハウジング60内への現像剤の補給を制御する。
【0038】
このような現像ユニット34は、装置本体12に設けられた現像ユニット収容部100(
図4参照)に対して、装置本体12の前面側から着脱可能に装着される。
【0039】
ここで、現像ユニット34の現像ハウジング60および装置本体12の現像ユニット収容部100には、挿入ガイド72が設けられる。この挿入ガイド72は、スライド可能に嵌合されるガイド溝およびガイド突起などを含み、現像ユニット34の装着動作(挿入動作)に伴って、現像ユニット34を画像形成位置まで案内する。この第1実施例では、現像ユニット34は、挿入ガイド72によって、現像ユニット収容部100への装着開始から装着完了直前までは、正規の姿勢(位置)から傾いた状態でかつ下方にずれた位置を移動するようにガイドされる。そして、装着完了直前から装着完了までの間に、その装着動作に伴って持ち上げられつつ回動されて感光体ドラム36に近づけられ、現像ローラ66の外周面が感光体ドラム36の外周面と近接する正規の姿勢となるように位置決めされる。
【0040】
つまり、現像ユニット34は、現像ユニット収容部100に装着する操作のみで画像形成位置に位置決めされ、装着動作が完了する直前の動作においては、回動しながら装着方向に移動する。このような挿入ガイドの具体例は、この出願人による特開2017-58485号公報に記載されているので、参照されたい。
【0041】
一方、
図4に示すように、装置本体12には、現像ユニット34が収容される現像ユニット収容部100が形成される。この現像ユニット収容部100の底部には、現像ユニット34の装着方向における奥側端部(つまり装置本体12の後部)に、複数の本体側端子108が露出するように設けられる。本体側端子108は、現像ユニット34を装置本体12に装着したときに、ユニット側端子70と接触して電気的に接続される部位である。この第1実施例では、本体側端子108のそれぞれは、弾性変形可能な板バネ状に形成され、現像ユニット34の着脱方向に延び、かつ現像ユニット34の幅方向に所定間隔で並ぶように配置される。この本体側端子108に対して上方から荷重が加えられると、本体側端子108は押し下げられるように弾性変形し、上方からの荷重が解除されると、本体側端子108は弾性復元力によって元の状態に戻る。
【0042】
ここで、ユニット側端子70と本体側端子108とは、現像ユニット34を装置本体12に装着したときに確実に接触することが求められる。しかし、従来技術では、ユニット側端子と本体側端子との接触方向における位置決めが不安定になり易く、接触不良が生じる恐れがあった。
【0043】
そこで、この第1実施例では、現像ユニット34の装着動作に伴って、本体側端子108が下方からユニット側端子70に近づいて接触し、この接触状態で現像ユニット34に対して本体側端子108が位置決め固定される構成を採用することで、ユニット側端子70と本体側端子108とが確実に接触されるようにした。以下、ユニット側端子70と本体側端子108とを接触させる端子接触構造について具体的に説明する。
【0044】
図4と共に
図5および
図6を参照して、装置本体12には、現像ユニット収容部100の後端部下側に、現像ユニット収容部100と連通する保持部材収容部102が形成される。保持部材収容部102には、箱状の端子保持部材104が上下方向(現像ユニット34の装着方向と交差する所定方向の一例)に移動可能に設けられる。すなわち、端子保持部材104は、装置本体12には固定されておらず、保持部材収容部102に対して僅かなガタ(たとえば0.5~1.0mm)を持って摺動する。ただし、現像ユニット34の装着方向である前後方向のガタは、なるべく小さくしておくことが好ましい。
【0045】
端子保持部材104には、本体側端子108を有する接点基板106が位置決めされた状態で保持される。つまり、本体側端子108は、端子保持部材104に位置決めされた状態で保持され、端子保持部材104の上下動(移動)に伴い上下動する。具体的には、接点基板106は、端子保持部材104の前面側に上下方向に延びるように配置され、端子保持部材104に形成された突起部110および爪部112等の係止部によって位置決め固定される。また、本体側端子108は、先端部を自由端として基端部が接点基板106に固定され、上下方向に弾性変形可能に、端子保持部材104の上面から突出するように設けられる。
【0046】
また、端子保持部材104には、背面側に付勢部材取付部114が設けられる。この付勢部材取付部114の上面には、装置本体12との間に付勢部材の一例である圧縮コイルばね116が上下方向に延びるように設けられる。端子保持部材104は、この圧縮コイルばね116によって下方(現像ユニット34の装着方向と交差する所定方向であって、かつ現像ユニット34から離れる方向)に付勢された状態で、保持部材収容部102内に保持される。すなわち、端子保持部材104は、現像ユニット34が現像ユニット収容部100に装着される前は、圧縮コイルばね116によって保持部材収容部102の底面に押し付けられた状態で、保持部材収容部102に保持される。これにより、現像ユニット34の装着前における端子保持部材104の位置が安定する。
【0047】
そして、この第1実施例では、端子保持部材104は、その上面後端部に上方に突出する矩形板状の壁部118を有し、この壁部118に本体側嵌合部の一例である開口部120が形成される。開口部120は、現像ユニット34の装着動作に伴って後述する突起部74と嵌め合わされる矩形状の孔であり、現像ユニット34の装着方向に開口する。
【0048】
一方、現像ユニット34には、
図2および
図7に示すように、ユニット側嵌合部の一例である突起部74が形成される。この第1実施例では、突起部74は、現像ハウジング60の後端面の下部に、後方(現像ユニット34の装着方向)に突出するように形成される。突起部74は、その先端部76(現像ユニット34の装着方向における奥側部分)に案内傾斜部76aを有し、その基端部78(現像ユニット34の装着方向における手前側部分)に規制部78a,78bを有する。
【0049】
具体的には、突起部74は、その基端部78が直方体状に形成され、その先端部76は、後方に向かって徐々に細くなる先細り形状(テーパ状)となっている。すなわち、突起部74の先端部76の上面は、後方に向かって下り勾配となる傾斜面となっており、そこに案内傾斜部76aが形成される。この案内傾斜部76aは、突起部74と開口部120とが嵌合する途中に、開口部120の上縁部に対して摺動することで端子保持部材104を現像ユニット34に近づく方向に導く部分である。また、突起部74の先端部76の右面および左面は、後方に向かうに従い互いに近づく方向に傾斜する傾斜面となっている。これにより、開口部120に対して突起部74を嵌め入れ易くなる。
【0050】
また、突起部74の基端部78の上面は、水平方向に延びる平面となっており、そこに第1規制部78aが形成される。この第1規制部78aは、突起部74と開口部120とが嵌合されたとき、開口部120の上縁部と当接することで端子保持部材104を現像ユニット34に対して上下方向(ユニット側端子70と本体側端子108との接触方向)に位置決め固定する部分である。突起部74の基端部78の右面および左面は、鉛直方向に延びる平面となっており、そこに第2規制部78bが形成される。この第2規制部78bは、突起部74と開口部120とが嵌合されたとき、開口部120の右側縁部および左側縁部のそれぞれと当接することで、端子保持部材104を現像ユニット34に対して左右方向に位置決め固定する部分である。
【0051】
さらに、突起部74の基端部78は、直方体状に形成されるので、矩形状の開口部120と嵌め合わされることで、現像ユニット34に対する端子保持部材104の回動を規制する回り止め部としても機能する。
【0052】
続いて、
図4および
図8~
図10を参照して、装置本体12の現像ユニット収容部100に現像ユニット34を装着するときの動作について説明する。
【0053】
図4および
図8に示すように、端子保持部材104は、現像ユニット収容部100に現像ユニット34を装着する前は、圧縮コイルばね116によって下方に付勢されて、保持部材収容部102の底面に載置された状態となっている。また、現像ユニット収容部100への現像ユニット34の装着動作を開始し、装着完了直前となるまでは、端子保持部材104は、保持部材収容部102の底面に載置される状態を保つ。
【0054】
図8に示す状態からさらに装着動作が進み、現像ユニット34の装着動作が完了直前になると、突起部74と開口部120とが嵌合し始める。つまり、突起部74と開口部120とは、現像ユニット34の装着動作に伴って嵌め合わされていく。突起部74と開口部120との嵌合動作が始まると、開口部120の上縁部に突起部74の案内傾斜部76aが当接し、嵌合動作が進むに従い、開口部120の上縁部が案内傾斜部76aに乗り上げるように移動していく。これに伴い、端子保持部材104および本体側端子108は、上方に引き寄せられ、つまり現像ユニット34に近づく方向に移動していき、ユニット側端子70と本体側端子108とが接触する。つまり、ユニット側端子70と本体側端子108とは、現像ユニット34の装着方向と交差する方向である上下方向に接触する。
【0055】
そして、
図9および
図10に示すように、現像ユニット34の装着動作が完了したときには、突起部74の基端部78が開口部120と嵌合する。これにより、ユニット側端子70と本体側端子108とが所定圧で接触した状態で、端子保持部材104および本体側端子108が現像ユニット34に対して位置決め固定される。
【0056】
具体的には、突起部74の第1規制部78aと開口部120の上縁部とが当接することで、端子保持部材104および本体側端子108が現像ユニット34に対して上下方向に位置決め固定される。つまり、ユニット側端子70と本体側端子108との接触方向における位置決めは、突起部74と開口部120との嵌合によって規定される。また、突起部74の第2規制部78bが開口部120の右側縁部および左側縁部のそれぞれと当接することで、端子保持部材104および本体側端子108が現像ユニット34に対して左右方向に位置決め固定される。このように、現像ユニット34に対する端子保持部材104の位置を面で決めることで、現像ユニット34に対して端子保持部材104を強固に保持することができる。
【0057】
なお、現像ユニット収容部100から現像ユニット34を取り外す(離脱させる)ときには、この離脱動作に伴って突起部74と開口部120との嵌合が解除される。すると、端子保持部材104は、自重および圧縮コイルばね116からの付勢力によって、保持部材収容部102の底面に載置された元の状態に戻る。
【0058】
以上のように、この第1実施例によれば、不安定になり易いユニット側端子70と本体側端子108との接触方向における位置決めを、突起部74と開口部120との嵌合によって確実に行うことができるので、ユニット側端子70と本体側端子108との接触不良を適切に防止できる。
【0059】
特に、装着動作が完了する直前の動作において持ち上げられつつ回動する、つまりユニット側端子70と本体側端子108とが接触する直前の動作において本体側端子108から離れる方向に移動する現像ユニット34においても、ユニット側端子70と本体側端子108とを確実に接触させることができる。
【0060】
また、現像ユニット34を装着する操作を行うだけで、ユニット側端子70と本体側端子108とが接触するので、ユーザの操作負担が増えることもない。さらに、ドロワコネクタを用いる場合と比較して、安価に製造できる。
【0061】
さらにまた、本体側端子108が現像ユニット34に位置決め固定されるので、使用時などに現像ユニット34が振動しても、ユニット側端子70と本体側端子108とが同じように振動し、端子間での擦れが生じない。したがって、端子の摩耗が防止されると共に、端子間の接触不良を適切に防止できる。
【0062】
[第2実施例]
次に、この発明の第2実施例である画像形成装置10について説明する。この第2実施例では、ユニット側嵌合部および本体側嵌合部の構成が、上述の第1実施例と異なる。その他の部分については同様であるので、上述の第1実施例と共通する部分については、同じ参照番号を付し、重複する説明は省略または簡略化する。重複する説明を省略または簡略化するのは、後述する第3~第5実施例においても同様である。
【0063】
図11に示すように、第2実施例では、本体側嵌合部の一例である開口部120は、円形状の孔であり、現像ユニット34の装着方向に開口する。一方、ユニット側嵌合部の一例である突起部74は、基端部78が円柱状に形成される。この基端部78は、突起部74と開口部120とが嵌合されたとき、開口部120と当接することで端子保持部材104を現像ユニット34に対して上下方向および左右方向に位置決め固定する規制部として用いられる。また、突起部74の先端部76は、後方に向かって徐々に細くなる先細り形状となっており、その上面に形成される傾斜面が、開口部120の上縁部に対して摺動することで端子保持部材104を現像ユニット34に近づく方向に導く案内傾斜部として用いられる。
【0064】
また、第2実施例では、現像ユニット34に対する端子保持部材104の回動を規制する回り止め部が設けられる。具体的には、現像ハウジング60の後端面の下部には、突起部74と並んで、後方に突出する第2の突起部80が設けられる。この第2の突起部80は、突起部74と同様に、基端部84が円柱状に形成され、先端部82が後方に向かって徐々に細くなる先細り形状となっている。一方、端子保持部材104の壁部118には、第2の突起部80と対応する位置に、第2の開口部122が形成される。第2の開口部122は、左右方向に長い長孔状に形成される。このような第2の突起部80および第2の開口部122は、現像ユニット34の装着動作に伴って嵌め合わされ、互いに嵌め合わされることで回り止め部として機能する。
【0065】
この第2実施例においても、第1実施例と同様の作用効果を奏し、不安定になり易いユニット側端子70と本体側端子108との接触方向における位置決めを、突起部74と開口部120との嵌合によって確実に行うことができるので、ユニット側端子70と本体側端子108との接触不良を適切に防止できる。また、現像ユニット34に対する端子保持部材104の位置を丸形状同士で決めることで、高い位置精度を出すことができる。
【0066】
[第3実施例]
続いて、この発明の第3実施例である画像形成装置10について説明する。この第3実施例では、ユニット側嵌合部および本体側嵌合部の構成が、上述の第1実施例と異なる。
【0067】
図12および
図13に示すように、第3実施例では、ユニット側嵌合部の一例である突起部74は、直方体状に形成される。一方、本体側嵌合部の一例である開口部120は、現像ユニット34の装着方向における手前側部分130に案内傾斜部130aを有し、その奥側部分132に規制部132a,132bを有する。
【0068】
具体的には、開口部120は、その奥側部分132が矩形状の開口であり、その手前側部分130は、後方に向かって徐々に小さくなるテーパ状の開口となっている。すなわち、開口部120の手前側部分130の上縁部(天面)は、後方に向かうに従い下縁部側に近づく傾斜面となっており、そこに案内傾斜部130aが形成される。この案内傾斜部76aは、突起部74の上面に対して摺動することで端子保持部材104を現像ユニット34に近づく方向に導く部分である。また、開口部120の手前側部分130の右側縁部および左側縁部は、後方に向かうに従い互いに近づく方向に傾斜する傾斜面となっている。これにより、開口部120に対して突起部74を嵌め入れ易くなる。
【0069】
また、開口部120の奥側部分132の上縁部は、水平方向に延びる平面となっており、そこに第1規制部132aが形成される。この第1規制部132aは、突起部74の上面と当接することで端子保持部材104を現像ユニット34に対して上下方向に位置決め固定する部分である。また、開口部120の奥側部分132の右側縁部および左側縁部は、鉛直方向に延びる平面となっており、そこに第2規制部132bが形成される。この第2規制部132bは、突起部74の右面および左面のそれぞれと当接することで端子保持部材104を現像ユニット34に対して左右方向に位置決め固定する部分である。
【0070】
この第3実施例においても、第1実施例と同様の作用効果を奏し、不安定になり易いユニット側端子70と本体側端子108との接触方向における位置決めを、突起部74と開口部120との嵌合によって確実に行うことができるので、ユニット側端子70と本体側端子108との接触不良を適切に防止できる。また、端子保持部材104の開口部120に案内傾斜部130a等の傾斜面を形成することで、傾斜面を大きくすることが可能となり、現像ユニット34を装着する際の位置ばらつきに対するマージンを持つことができる。
【0071】
[第4実施例]
続いて、この発明の第4実施例である画像形成装置10について説明する。第1実施例では、現像ユニット34の装着方向における外側面のうち、下面にユニット側端子70を配置したが、この第4実施例では、現像ユニット34の右側面にユニット側端子70を配置し、端子保持部材104を右方から現像ユニット34に近付ける点が、上述の第1実施例と異なる。
【0072】
図14および
図15に示すように、第4実施例では、基板68は、現像ハウジング60の右側面に設けられ、ユニット側端子70は、基板68の右側面(延いては現像ユニット34の右側面)に露出するように設けられる。一方、保持部材収容部102は、現像ユニット収容部100の後端部右側に形成され、この保持部材収容部102には、端子保持部材104が左右方向(現像ユニット34の装着方向と交差する所定方向の一例)に移動可能に設けられる。また、本体側端子108は、端子保持部材104の左側面から突出するように設けられ、端子保持部材104に位置決めされた状態で保持される。
【0073】
また、端子保持部材104は、その左側面後端部に左方に突出する矩形板状の壁部118を有し、この壁部118に本体側嵌合部の一例である矩形状の開口部120が形成される。
【0074】
一方、現像ユニット34には、ユニット側嵌合部の一例である突起部74が形成される。この第4実施例では、突起部74は、現像ハウジング60の後端面の右側部に、後方に突出するように形成される。突起部74は、その先端部76に案内傾斜部76aを有し、その基端部78に規制部78a,78bを有する。すなわち、突起部74の先端部76の左側面は、後方に向かって右側面に近づく傾斜面となっており、そこに案内傾斜部76aが形成される。この案内傾斜部76aは、開口部120の左側縁部に対して摺動することで端子保持部材104を左方向、つまり現像ユニット34に近づく方向に導く。
【0075】
また、突起部74の基端部78の左側面は、鉛直方向に延びる平面となっており、そこに第1規制部78aが形成される。この第1規制部78aは、突起部74と開口部120とが嵌合されたとき、開口部120の上縁部と当接することで端子保持部材104を現像ユニット34に対して左右方向(ユニット側端子70と本体側端子108との接触方向)に位置決め固定する。また、突起部74の基端部78の上面および下面は、水平方向に延びる平面となっており、そこに第2規制部78bが形成される。この第2規制部78bは、開口部120の上縁部および下縁部のそれぞれと当接することで、端子保持部材104を現像ユニット34に対して上下方向に位置決め固定する。
【0076】
この第4実施例では、突起部74と開口部120との嵌合動作に伴い、端子保持部材104および本体側端子108は、左方に引き寄せられる、つまり現像ユニット34に近づく方向に移動していく。そして、突起部74の基端部78が開口部120と嵌合することで、ユニット側端子70と本体側端子108とが所定圧で接触した状態で、端子保持部材104および本体側端子108が現像ユニット34に対して左右方向および上下方向に位置決め固定される。
【0077】
この第4実施例においても、第1実施例と同様の作用効果を奏し、不安定になり易いユニット側端子70と本体側端子108との接触方向における位置決めを、突起部74と開口部120との嵌合によって確実に行うことができるので、ユニット側端子70と本体側端子108との接触不良を適切に防止できる。
【0078】
また、この第4実施例によれば、本体側端子108を横向きに設置したので、上方からの汚れ(埃および現像剤など)が付着し難くなり、ユニット側端子70と本体側端子108との接触不良をより確実に防止できる。
【0079】
[第5実施例]
続いて、この発明の第5実施例である画像形成装置10について説明する。この第5実施例では、現像ユニット34の上面にユニット側端子70を配置し、端子保持部材104を上方から現像ユニット34に近付ける点が、上述の第1実施例と異なる。その他の部分については同様であるので、上述の第1実施例と重複する説明は、省略または簡略化する。
【0080】
図16および
図17に示すように、第5実施例では、基板68は、現像ハウジング60の上面に設けられ、ユニット側端子70は、基板68の上面(延いては現像ユニット34の上面)に露出するように設けられる。一方、保持部材収容部102は、現像ユニット収容部100の後端部上側(天面側)に形成され、この保持部材収容部102には、端子保持部材104が上下方向(現像ユニット34の装着方向と交差する所定方向の一例)に移動可能に設けられる。また、本体側端子108は、端子保持部材104の下面から突出するように設けられ、端子保持部材104に位置決めされた状態で保持される。
【0081】
また、端子保持部材104は、その下面後端部に下方に突出する矩形板状の壁部118を有し、この壁部118に本体側嵌合部の一例である矩形状の開口部120が形成される。
【0082】
一方、現像ユニット34には、ユニット側嵌合部の一例である突起部74が形成される。この第5実施例では、突起部74は、現像ハウジング60の後端面の上端部に、後方に突出するように形成される。突起部74は、その先端部76に案内傾斜部76aを有し、その基端部78に規制部78a,78bを有する。すなわち、突起部74の先端部76の下面は、後方に向かうに従い上面に近づく傾斜面となっており、そこに案内傾斜部76aが形成される。この案内傾斜部76aは、開口部120の下縁部(底面)に対して摺動することで端子保持部材104を下方向、つまり現像ユニット34に近づく方向に導く。
【0083】
また、突起部74の基端部78の下面は、水平方向に延びる平面となっており、そこに第1規制部78aが形成される。この第1規制部78aは、突起部74と開口部120とが嵌合されたとき、開口部120の下縁部と当接することで端子保持部材104を現像ユニット34に対して上下方向(ユニット側端子70と本体側端子108との接触方向)に位置決め固定する。また、突起部74の基端部78の右面および左面は、鉛直方向に延びる平面となっており、そこに第2規制部78bが形成される。この第2規制部78bは、開口部120の右側縁部および左側縁部のそれぞれと当接することで、端子保持部材104を現像ユニット34に対して左右方向に位置決め固定する。
【0084】
このような第5実施例では、突起部74と開口部120との嵌合動作に伴い、端子保持部材104および本体側端子108は、下方に引き寄せられる、つまり現像ユニット34に近づく方向に移動していく。そして、突起部74の基端部78が開口部120と嵌合することで、ユニット側端子70と本体側端子108とが所定圧で接触した状態で、端子保持部材104および本体側端子108が現像ユニット34に対して左右方向および上下方向に位置決め固定される。
【0085】
この第5実施例においても、第1実施例と同様の作用効果を奏し、不安定になり易いユニット側端子70と本体側端子108との接触方向における位置決めを、突起部74と開口部120との嵌合によって確実に行うことができるので、ユニット側端子70と本体側端子108との接触不良を適切に防止できる。
【0086】
また、この第5実施例によれば、本体側端子108を下向きに設置したので、上方からの汚れがより付着し難くなり、ユニット側端子70と本体側端子108との接触不良をより確実に防止できる。また、現像ユニット収容部100の天面側に本体側端子108を配置したので、本体側端子108がユーザから見え難くなる。したがって、本体側端子108をユーザに不用意に触られることが防止され、本体側端子108への油脂の付着が防止されると共に、端子間の接触不良を適切に防止できる。
【0087】
なお、上述の各実施例では、画像形成装置10として、複写機、ファクシミリおよびプリンタ等を組み合わせた複合機を例示したが、画像形成装置10は、複写機、ファクシミリおよびプリンタ等のいずれか、またはこれらの少なくとも2つを組み合わせた複合機であってもよい。また、画像形成装置10は、電子写真方式によるものに限られず、インクジェット方式によるものであってもよい。
【0088】
また、上述の各実施例では、着脱ユニットとして現像ユニット34を例示したが、着脱ユニットは、感光体ユニットまたはトナーカートリッジ等であってもよい。
【0089】
さらに、上述の各実施例では、ユニット側嵌合部を突起部74とし、本体側嵌合部を開口部120としたが、本体側嵌合部を突起部とし、ユニット側嵌合部を開口部としてもよい。
【0090】
なお、上で挙げた具体的な数値および部品形状などは、いずれも単なる一例であり、製品の仕様などの必要に応じて適宜変更可能である。また、各実施例において記載している技術的特徴のそれぞれは、互いに組み合わせて同時に採用してもよい。たとえば、第4実施例または第5実施例に対して、第2実施例または第3実施例の嵌合部構造を採用することもできる。
【符号の説明】
【0091】
10 …画像形成装置
12 …装置本体
14 …画像読取装置
26 …画像読取部
30 …画像形成部
34 …現像ユニット
36 …感光体ドラム
66 …現像ローラ
70 …ユニット側端子
74 …突起部(ユニット側嵌合部)
76 …突起部の先端部
76a …案内傾斜部
78 …突起部の基端部(規制部)
100 …現像ユニット収容部
102 …保持部材収容部
104 …端子保持部材
108 …本体側端子
120 …開口部(本体側嵌合部)