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特許7467074画像処理装置、画像処理方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-05
(45)【発行日】2024-04-15
(54)【発明の名称】画像処理装置、画像処理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06T 19/00 20110101AFI20240408BHJP
   H04N 23/60 20230101ALI20240408BHJP
   H04N 23/63 20230101ALI20240408BHJP
【FI】
G06T19/00 A
H04N23/60
H04N23/63
【請求項の数】 22
(21)【出願番号】P 2019200857
(22)【出願日】2019-11-05
(65)【公開番号】P2021076923
(43)【公開日】2021-05-20
【審査請求日】2022-11-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中本 尚志
【審査官】▲高▼橋 真之
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-180655(JP,A)
【文献】特開2006-211531(JP,A)
【文献】国際公開第2019/181153(WO,A1)
【文献】特開2018-049591(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 19/00
H04N 23/60 -23/698
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の撮像装置による複数の異なる方向からの撮像によって得られた複数の撮像画像に基づいて生成された仮想視点画像を取得する第1の取得手段と、
記仮想視点画像に含まれる、前記撮像装置によって撮像されたコンテンツが変化するタイミングを示す情報を取得する第2の取得手段と、
前記撮像画像に含まれていない仮想のコンテンツである仮想コンテンツが挿入された前記仮想視点画像を表示部に表示させるよう制御する制御手段と、を有し、
前記制御手段は、前記第2の取得手段によって取得された情報に基づいて、前記仮想視点画像における前記仮想コンテンツの表示を制御し、
前記撮像装置によって撮像されたコンテンツおよび前記仮想コンテンツとして表示されるコンテンツは、広告に関するコンテンツである
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
複数の撮像装置による複数の異なる方向からの撮像によって得られた複数の撮像画像に基づいて生成された仮想視点画像を取得する第1の取得手段と、
前記仮想視点画像に含まれる、前記撮像装置によって撮像されたコンテンツが変化するタイミングを示す情報を取得する第2の取得手段と、
前記撮像画像に含まれていない仮想のコンテンツである仮想コンテンツが挿入された前記仮想視点画像を表示部に表示させるよう制御する制御手段と、を有し、
前記第2の取得手段によって取得された情報には、前記撮像装置によって撮像されたコンテンツと、該コンテンツの表示順と、周期時刻と、開始時刻と、が少なくとも含まれ、
前記制御手段は、前記第2の取得手段によって取得された情報に基づいて前記仮想視点画像における前記仮想コンテンツの表示を制御し、前記第2の取得手段によって取得された情報に基づいて前記撮像装置によって撮像されたコンテンツが変化する時刻を導出する
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項3】
複数の撮像装置による複数の異なる方向からの撮像によって得られた複数の撮像画像に基づいて生成された仮想視点画像を取得する第1の取得手段と、
前記仮想視点画像に含まれる、前記撮像装置によって撮像された表示機器に表示されるコンテンツが変化するタイミングを示す情報を取得する第2の取得手段と、
前記撮像画像に含まれていない仮想のコンテンツである仮想コンテンツが挿入された前記仮想視点画像を表示部に表示させるよう制御する制御手段と、を有し、
前記第2の取得手段によって取得された情報には、前記表示機器に表示されるコンテンツの情報が含まれ、
前記制御手段は、前記第2の取得手段によって取得された情報に基づいて、前記表示機器に表示されるコンテンツと同じ内容の前記仮想コンテンツを、前記表示機器に前記コンテンツが表示されるタイミングと同じタイミングで表示させる
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項4】
複数の撮像装置による複数の異なる方向からの撮像によって得られた複数の撮像画像に基づいて生成された仮想視点画像を取得する第1の取得手段と、
前記仮想視点画像に含まれる、前記撮像装置によって撮像されたコンテンツが変化するタイミングを示す情報を取得する第2の取得手段と、
前記撮像画像に含まれていない仮想のコンテンツである仮想コンテンツが挿入された前記仮想視点画像を表示部に表示させるよう制御する制御手段と、を有し、
前記撮像装置によって撮像されたコンテンツは所定の時間間隔で変わり、
前記制御手段は、前記第2の取得手段によって取得された情報に基づいて、前記所定の時間間隔で内容が変化する前記仮想コンテンツが表示されるように制御する
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項5】
複数の撮像装置による複数の異なる方向からの撮像によって得られた複数の撮像画像に基づいて生成された仮想視点画像を取得する第1の取得手段と、
前記仮想視点画像に含まれる、前記撮像装置によって撮像されたコンテンツが変化するタイミングを示す情報を取得する第2の取得手段と、
前記撮像画像に含まれていない仮想のコンテンツである仮想コンテンツが挿入された前記仮想視点画像を表示部に表示させるよう制御する制御手段と、を有し、
前記制御手段は、前記第2の取得手段によって取得された情報に基づいて、前記仮想コンテンツが挿入される領域からの距離が所定の範囲内にある表示機器に表示されるコンテンツと同期して、前記仮想コンテンツが表示されるように制御する
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項6】
複数の撮像装置による複数の異なる方向からの撮像によって得られた複数の撮像画像に基づいて生成された仮想視点画像を取得する第1の取得手段と、
前記仮想視点画像に含まれる、前記撮像装置によって撮像されたコンテンツが変化するタイミングを示す情報を取得する第2の取得手段と、
前記撮像画像に含まれていない仮想のコンテンツである仮想コンテンツが挿入された前記仮想視点画像を表示部に表示させるよう制御する制御手段と、
前記複数の撮像装置による撮像領域における音量を含む音量データを取得する第3の取得手段と、を有し、
前記制御手段は、前記第2の取得手段によって取得された情報に基づいて、前記仮想視点画像が生成されるために用いられる撮像画像が撮像された時間における前記音量が閾値より小さい場合は前記撮像装置によって撮像されたコンテンツと同期して前記仮想コンテンツが表示されるように制御する
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項7】
前記制御手段は、前記仮想視点画像が生成されるために用いられる撮像画像が撮像された時間における前記音量が前記閾値以上の場合、前記撮像装置によって撮像されたコンテンツと同期しないで前記仮想コンテンツが表示されるように制御する
ことを特徴とする請求項に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記制御手段は、前記撮像装置によって撮像されたコンテンツと同期して前記仮想コンテンツが表示されるように制御する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記制御手段は、前記撮像装置によって撮像されたコンテンツが変化するタイミングと同じタイミングで内容が変化する前記仮想コンテンツを表示させる
ことを特徴とする請求項に記載の画像処理装置。
【請求項10】
前記制御手段は、
前記第2の取得手段によって取得された情報に基づき、前記撮像装置によって撮像されたコンテンツと同期する前記仮想コンテンツを生成し、前記仮想視点画像の所定の領域に成された前記仮想コンテンツを配置する
ことを特徴とする請求項3から9のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項11】
前記仮想コンテンツは、前記撮像装置によって撮像されたコンテンツと異なる
ことを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項12】
前記仮想視点画像における前記撮像装置によって撮像されたコンテンツの照度を取得する第4の取得手段をさらに有し、
前記制御手段は、前記コンテンツの照度に基づき、前記仮想コンテンツの明るさを制御する
ことを特徴とする請求項1から11のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項13】
前記制御手段は、前記仮想視点画像における前記撮像装置によって撮像されたコンテンツの輝度と、前記仮想コンテンツの輝度との差が所定の範囲内になるように、前記仮想コンテンツの輝度を調整する
ことを特徴とする請求項12に記載の画像処理装置。
【請求項14】
前記仮想視点画像の仮想視点の視点情報を取得する第5の取得手段と、
前記視点情報に応じて、前記仮想コンテンツが挿入される領域を決定する決定手段と、をさらに有する
ことを特徴とする請求項1から13のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項15】
前記制御手段は、前記仮想視点画像の所定の領域に、前記制御手段によって制御される前記仮想コンテンツが表示される前記仮想視点画像のデータを、表示部に出力する
ことを特徴とする請求項1から14のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項16】
複数の撮像装置による複数の異なる方向からの撮像によって得られた複数の撮像画像に基づいて生成された仮想視点画像を取得する第1の取得ステップと、
記仮想視点画像に含まれる、前記撮像装置によって撮像されたコンテンツが変化するタイミングを示す情報を取得する第2の取得ステップと、
前記撮像画像に含まれていない仮想のコンテンツである仮想コンテンツが挿入された前記仮想視点画像を表示部に表示させるよう制御する制御ステップと、を有し、
前記制御ステップでは、前記第2の取得ステップによって取得された情報に基づいて、前記仮想視点画像における前記仮想コンテンツの表示を制御し、
前記撮像装置によって撮像されたコンテンツおよび前記仮想コンテンツとして表示されるコンテンツは、広告に関するコンテンツである
ことを特徴とする画像処理方法。
【請求項17】
複数の撮像装置による複数の異なる方向からの撮像によって得られた複数の撮像画像に基づいて生成された仮想視点画像を取得する第1の取得ステップと、
前記仮想視点画像に含まれる、前記撮像装置によって撮像されたコンテンツが変化するタイミングを示す情報を取得する第2の取得ステップと、
前記撮像画像に含まれていない仮想のコンテンツである仮想コンテンツが挿入された前記仮想視点画像を表示部に表示させるよう制御する制御ステップと、を有し、
前記第2の取得ステップによって取得された情報には、前記撮像装置によって撮像されたコンテンツと、該コンテンツの表示順と、周期時刻と、開始時刻と、が少なくとも含まれ、
前記制御ステップでは、前記第2の取得ステップによって取得された情報に基づいて前記仮想視点画像における前記仮想コンテンツの表示を制御し、前記第2の取得ステップによって取得された情報に基づいて前記撮像装置によって撮像されたコンテンツが変化する時刻を導出する
ことを特徴とする画像処理方法。
【請求項18】
複数の撮像装置による複数の異なる方向からの撮像によって得られた複数の撮像画像に基づいて生成された仮想視点画像を取得する第1の取得ステップと、
前記仮想視点画像に含まれる、前記撮像装置によって撮像された表示機器に表示されるコンテンツが変化するタイミングを示す情報を取得する第2の取得ステップと、
前記撮像画像に含まれていない仮想のコンテンツである仮想コンテンツが挿入された前記仮想視点画像を表示部に表示させるよう制御する制御ステップと、を有し、
前記第2の取得ステップによって取得された情報には、前記表示機器に表示されるコンテンツの情報が含まれ、
前記制御ステップでは、前記第2の取得ステップによって取得された情報に基づいて、前記表示機器に表示されるコンテンツと同じ内容の前記仮想コンテンツを、前記表示機器に前記コンテンツが表示されるタイミングと同じタイミングで表示させる
ことを特徴とする画像処理方法。
【請求項19】
複数の撮像装置による複数の異なる方向からの撮像によって得られた複数の撮像画像に基づいて生成された仮想視点画像を取得する第1の取得ステップと、
前記仮想視点画像に含まれる、前記撮像装置によって撮像されたコンテンツが変化するタイミングを示す情報を取得する第2の取得ステップと、
前記撮像画像に含まれていない仮想のコンテンツである仮想コンテンツが挿入された前記仮想視点画像を表示部に表示させるよう制御する制御ステップと、を有し、
前記撮像装置によって撮像されたコンテンツは所定の時間間隔で変わり、
前記制御ステップでは、前記第2の取得ステップによって取得された情報に基づいて、前記所定の時間間隔で内容が変化する前記仮想コンテンツが表示されるように制御する
ことを特徴とする画像処理方法。
【請求項20】
複数の撮像装置による複数の異なる方向からの撮像によって得られた複数の撮像画像に基づいて生成された仮想視点画像を取得する第1の取得ステップと、
前記仮想視点画像に含まれる、前記撮像装置によって撮像されたコンテンツが変化するタイミングを示す情報を取得する第2の取得ステップと、
前記撮像画像に含まれていない仮想のコンテンツである仮想コンテンツが挿入された前記仮想視点画像を表示部に表示させるよう制御する制御ステップと、を有し、
前記制御ステップでは、前記第2の取得ステップによって取得された情報に基づいて、前記仮想コンテンツが挿入される領域からの距離が所定の範囲内にある表示機器に表示されるコンテンツと同期して、前記仮想コンテンツが表示されるように制御する
ことを特徴とする画像処理方法。
【請求項21】
複数の撮像装置による複数の異なる方向からの撮像によって得られた複数の撮像画像に基づいて生成された仮想視点画像を取得する第1の取得ステップと、
前記仮想視点画像に含まれる、前記撮像装置によって撮像されたコンテンツが変化するタイミングを示す情報を取得する第2の取得ステップと、
前記撮像画像に含まれていない仮想のコンテンツである仮想コンテンツが挿入された前記仮想視点画像を表示部に表示させるよう制御する制御ステップと、
前記複数の撮像装置による撮像領域における音量を含む音量データを取得する第3の取得ステップと、を有し、
前記制御ステップでは、前記第2の取得ステップによって取得された情報に基づいて、前記仮想視点画像が生成されるために用いられる撮像画像が撮像された時間における前記音量が閾値より小さい場合は前記撮像装置によって撮像されたコンテンツと同期して前記仮想コンテンツが表示されるように制御する
ことを特徴とする画像処理方法。
【請求項22】
コンピュータを、請求項1から15のいずれか1項に記載の画像処理装置の各手段として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、複数の撮像画像に基づいて生成される仮想視点画像に関する。
【背景技術】
【0002】
複数視点の撮像画像に基づき仮想視点画像を生成する技術がある。仮想視点画像の生成は、複数の撮像装置が撮像することによって得られた撮像画像をサーバなどの画像処理部に集約し、画像処理部にて、三次元形状データの生成、レンダリングなどの処理を行うことで実現される。また、生成された仮想視点画像にコンピュータグラフィクス等で作成された広告等の仮想コンテンツを合成して表示する場合がある。
【0003】
特許文献1には、仮想コンテンツである広告を自由視点画像内に表示させるための広告枠を、視点情報を用いて視聴者が認識しやすい位置に決定する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2016/194441号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
表示するコンテンツが経時的に変わるような表示機器が含まれる撮像領域が撮像された撮像画像に基づき仮想視点画像が生成されることがある。例えばサッカーやラグビーのフィールドを撮影対象として仮想視点画像を生成する場合に、フィールド周辺の電子看板が仮想視点画像内に含まれることがある。一方、時間経過に伴って内容が変わる仮想コンテンツを仮想視点画像に挿入して表示させることがある。このような表示機器と仮想コンテンツの両方が含まれる仮想視点画像において、表示機器の表示と仮想コンテンツが独立して変化すると、視聴者にとって仮想視点画像が見づらくなる虞がある。例えば、仮想コンテンツの内容が変わるタイミングが表示機器のコンテンツが変わるタイミングと異なると、それらの変化が視聴者の注意を引き付けてしまい、視聴者が撮影対象の競技に集中できなくなることがある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の画像処理装置は、複数の撮像装置による複数の異なる方向からの撮像によって得られた複数の撮像画像に基づいて生成された仮想視点画像を取得する第1の取得手段と、前記仮想視点画像に含まれる、前記撮像装置によって撮像されたコンテンツが変化するタイミングを示す情報を取得する第2の取得手段と、前記撮像画像に含まれていない仮想のコンテンツである仮想コンテンツが挿入された前記仮想視点画像を表示部に表示させるよう制御する制御手段と、を有し、前記制御手段は、前記第2の取得手段によって取得された情報に基づいて、前記仮想視点画像における前記仮想コンテンツの表示を制御し、前記撮像装置によって撮像されたコンテンツおよび前記仮想コンテンツとして表示されるコンテンツは、広告に関するコンテンツであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本開示の技術によれば、仮想視点画像に含まれる仮想コンテンツの変化が仮想視点画像を見づらくすることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】画像処理システムの概略構成を示す図。
図2】画像処理装置のハードウェア構成を示す図。
図3】電子看板および仮想広告を説明するための図。
図4】画像処理装置の機能構成を示すブロック図。
図5】電子看板情報を説明するための図。
図6】仮想広告を仮想視点画像に合成する処理を示すフローチャート。
図7】仮想広告が電子看板と同期して制御される場合のシーケンス図。
図8】電子看板および仮想広告を説明するための図。
図9】電子看板および仮想広告を説明するための図。
図10】画像処理装置の機能構成を示すブロック図。
図11】仮想広告を仮想視点画像に合成する処理を示すフローチャート。
図12】画像処理装置の機能構成を示すブロック図。
図13】仮想広告を仮想視点画像に合成する処理を示すフローチャート。
図14】電子看板および仮想広告を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本実施形態を実施するための形態について図面などを参照して説明する。なお、以下の実施形態は、本開示の技術を限定するものではなく、また、以下の実施形態で説明されている全ての構成が課題を解決するための手段に必須であるとは限らない。
【0010】
<実施形態1>
はじめに、仮想視点画像の概要を簡単に説明する。複数のカメラを異なる位置に設置して複数視点で同期撮像し、その撮像により得られた複数視点画像を用いて、カメラの視点によらない仮想視点から見た仮想視点画像を生成する技術がある。この技術によれば、例えば、サッカーの試合のハイライトシーンを様々な角度から視聴閲覧することが出来るため、通常の画像と比較してユーザに高臨場感を与えることができる。本実施形態における仮想視点画像は、自由視点画像とも呼ばれるものであるが、ユーザが指定した視点に対応する画像に限定されず、例えば複数の候補からユーザが選択した視点に対応する画像なども仮想視点画像に含まれる。なお、仮想視点画像は、動画であっても、静止画であってもよい。以下の実施形態では、仮想視点画像は動画(仮想視点映像ともよぶ)であるものとして説明を行う。
【0011】
[システム構成について]
図1は、本実施形態の仮想視点画像を生成するための画像処理システムの構成を示す図である。画像処理システム100は、複数の撮像装置101、画像処理装置102、視点入力装置103、設備管理装置104、環境音量測定装置105、および表示装置106を有する。画像処理システム100は、複数の撮像装置による撮像に基づく複数の撮像画像と、指定された仮想視点とに基づいて、指定された仮想視点からの見えを表す仮想視点画像を生成するためのシステムである。複数の撮像装置による撮像領域は、例えばラグビーやサッカーなどの競技が行われる競技場(スタジアム)、コンサートまたは演劇が行われる舞台などである。
【0012】
複数の撮像装置101は、スタジアム等の撮像領域を取り囲むようにそれぞれ異なる位置に設置され、複数の撮像装置が時刻同期してその撮像領域を撮像する。複数の撮像装置101は撮像領域の全周にわたって設置されていなくてもよく、撮像装置の設置場所に制限がある場合、撮像装置は撮像領域の一部の方向にのみ設置されていてもよい。また、撮像装置の数は図1に示す例に限定されず、例えば、撮像領域をサッカーのスタジアムとする場合、スタジアムの周囲に30台程度の撮像装置が設置されるのが好ましい。また、望遠カメラと広角カメラとの組み合わせのように機能が異なる撮像装置が設置されていてもよい。
【0013】
撮像装置101は、例えば、シリアルデジタルインターフェイス(SDI)に代表される映像信号インターフェイスを備えたデジタルビデオ撮像装置により実現される。撮像装置101は出力する映像信号にタイムコードに代表される時刻情報を付加して、画像処理装置102に送信する。
【0014】
画像処理装置102は、撮像装置101が撮像して得られた撮像画像に基づき仮想視点画像を作成する。画像処理装置102はネットワークケーブル等を介し撮像装置101から撮像画像の画像データを取得する。画像処理装置102は、取得した画像データに基づき、オブジェクトの三次元形状データの生成、レンダリングなどの処理を行い、仮想視点画像を生成する。さらに、画像処理装置102は、生成された仮想視点画像に仮想コンテンツが表示されるための処理を行う。画像処理装置102の機能の詳細は後述する。
【0015】
視点入力装置103は、ジョイスティック等のコントローラを有する入力装置であり、ユーザが仮想視点の視点情報を入力する装置である。視点入力装置103で入力された視点情報は画像処理装置102に送信される。
【0016】
視点情報を示すデータには、例えば、三次元座標での仮想視点の位置を示すX,Y,Z軸のパラメータと、仮想視点の向きを表すパン、チルト、ロール方向のパラメータと、視野の大きさ(画角)と、解像度と、が含まれる。視点情報の内容は上記に限定されない。視点情報は公知のカメラキャリブレーションの手順で算出されて記憶される。例えば、複数の撮像装置101の撮像に基づく複数の撮像画像中の点を対応付けて幾何計算によって視点情報が算出される。視点情報は複数のパラメータセットを有していてもよい。例えば、視点情報は、動画を構成する複数のフレームにそれぞれ対応する複数のパラメータセットを有し、複数の時点それぞれにおける仮想視点の位置及び方向を示す情報であってもよい。
【0017】
表示装置106は、仮想コンテンツを含む仮想視点画像を表示する表示部であり、画像処理装置102から仮想視点画像の画像データを取得して、仮想視点画像を表示する。表示装置106は、例えば、液晶ディスプレイやLED等で実現される。
【0018】
設備管理装置104は、撮像装置101の撮像領域であるスタジアム等に設置されたディスプレイ(表示機器)である電子看板を制御する装置である。本実施形態では電子看板に表示されるコンテンツは広告の画像または動画であり、設備管理装置104は、所定の周期で表示される広告が変わるように電子看板を制御する。
【0019】
環境音量測定装置105は撮像装置101の撮像領域の音量を測定する装置である。例えば、撮像領域がスタジアムである場合はスタジアムの観客席側に設置され、サッカー、ラグビーなどの試合中の音量を計測する。計測された音量を示す値を含む音量データは画像処理装置102に送信される。環境音量測定装置105はスタジアムの観客の音量の計測精度が上がるように複数個設置してもよいし、スタジアムの中央部に単一で設置してもよい。なお、環境音量測定装置105は、後述する実施形態2において使用される。このため、本実施形態の画像処理システム100の構成としては無くてもよい。
【0020】
[ハードウェア構成]
図2は画像処理装置102のハードウェア構成を示す図である。画像処理装置102は、CPU211、ROM212、RAM213、補助記憶装置214、表示部215、操作部216、通信I/F217、及びバス218を有する。CPU211は、ROM212またはRAM213に格納されているコンピュータプログラムおよびデータを用いて画像処理装置102の全体を制御することで、画像処理装置102の各機能を実現する。なお、画像処理装置102は、CPUとは異なる専用の1又は複数のハードウェアあるいはGPU(Graphics Processing Unit)を有していてもよい。そして、CPUによる処理の少なくとも一部をGPUあるいは専用のハードウェアが行うようにしても良い。専用のハードウェアの例としては、ASIC(特定用途向け集積回路)、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)、およびDSP(デジタルシグナルプロセッサ)などがある。
【0021】
ROM212は、変更を必要としないプログラムなどを格納する。RAM213は、補助記憶装置214から供給されるプログラムやデータ、及び通信I/F217を介して外部から供給されるデータなどを一時記憶する。補助記憶装置214は、例えばハードディスクドライブ等で構成され、画像データや音量データなどの種々のデータを記憶する。
【0022】
表示部215は、例えば液晶ディスプレイやLED等で構成され、ユーザが画像処理装置102を操作するためのGUI(Graphical User Interface)などを表示する。操作部216は、例えばキーボードやマウス、ジョイスティック、タッチパネル等で構成され、ユーザによる操作を受けて各種の指示をCPU211に入力する。CPU211は、表示部215を制御する表示制御部、及び操作部216を制御する操作制御部として動作する。通信I/F217は、画像処理装置102の外部の装置との通信に用いられる。
【0023】
例えば、画像処理装置102が外部の装置と有線で接続される場合には、通信用のケーブルが通信I/F217に接続される。画像処理装置102が外部の装置と無線通信する機能を有する場合には、通信I/F217はアンテナを備える。バス218は、画像処理装置102の各部をつないで情報を伝達する。本実施形態では表示部215と操作部216が画像処理装置102の内部に存在するものとするが、表示部215と操作部216との少なくとも一方が画像処理装置102の外部に別の装置として存在していてもよい。
【0024】
[電子看板と仮想コンテンツについて]
図3は、表示装置106に表示される仮想視点画像を示す図である。図3の仮想視点画像は、サッカーの試合が行われているスタジアムに配置された複数の撮像装置が同期して撮像することによって得られた撮像画像に基づき生成された仮想視点画像である。図3の仮想視点画像には、電子看板311~314と仮想コンテンツである仮想広告301~304とが含まれる。
【0025】
電子看板311~314は、撮像領域であるスタジアムに実際に設置されている所定のコンテンツを表示するディスプレイ等の表示機器である。本実施形態では、電子看板は広告を表示する表示機器であり、また、電子看板311~314に表示される広告は、時間に応じて広告が変わるように制御されているものとして説明する。
【0026】
一方、仮想コンテンツは、撮像領域のスタジアムには実際に存在していない、つまり撮像画像には含まれない仮想のコンテンツである。仮想コンテンツは、仮想視点画像が処理されることによって仮想視点画像と共に表示され、仮想視点画像において視聴者が見ることが可能となる動画または画像などのコンテンツである。以下の実施形態では、広告のコンテンツが仮想コンテンツとして表示されるものとして説明する。広告の仮想コンテンツを仮想広告とよぶ。本実施形態の仮想広告は、広告効果を上げるために時間に応じて広告の内容が変わるように表示される。
【0027】
図3の仮想視点画像では、フィールド300の脇に広告表示用ディスプレイが電子看板311~314として設置されている。また、スタジアムの二階には仮想コンテンツを表示させる仮想コンテンツ領域があり、仮想広告301~304が表示されている。このように仮想視点画像内に電子看板と仮想広告との両方が含まれて表示されることがある。
【0028】
前述したとおり、電子看板および仮想広告は、時間に応じて広告内容が変わるように表示される。このため、仮想視点画像において電子看板の表示する広告と仮想広告とがそれぞれ異なるタイミングで変わると、頻繁に発生する広告変化に視聴者の注意が引き付けられ、視聴者が仮想視点画像の広告以外の領域の視聴に集中しづらくなる虞がある。そこで本実施形態では、仮想広告の表示を電子看板の表示と同期するように制御することで、広告が目障りとなることを抑制する方法について説明する。
【0029】
[機能構成について]
図4は、画像処理装置102の機能構成を示すブロック図である。画像処理装置102は、画像取得部401、前景背景分離部402、記憶部403、仮想視点画像生成部404、電子看板情報取得部405、視点情報取得部407、および制御部406を有する。
【0030】
画像取得部401は、撮像装置101が撮像することによって得られた撮像画像の画像データを取得する。
【0031】
前景背景分離部402は、撮像装置の夫々の撮像画像から、選手や審判などの特定のオブジェクトを抽出する。前景背景分離部402は、抽出した特定のオブジェクトの画像を特定オブジェクト画像として記憶させる。
【0032】
撮像画像から特定オブジェクトを抽出する方法は限定しない。例えば、特定オブジェクトの抽出方法として背景差分法がある。背景差分法は、撮像画像と撮像画像に対応する背景画像との画素値を比較して特定オブジェクトを抽出する方法である。背景画像は、特定オブジェクトが存在しない状態の撮像領域の画像である。背景画像の取得方法は、例えば、撮像領域がスタジアムである場合、特定オブジェクトが存在しない競技の開始前などの状態のスタジアムを撮像することによって得られた画像が使用される。
【0033】
前景背景分離部402は、背景画像と特定オブジェクト画像とを、撮像装置の撮像位置(三次元位置)を示す撮像位置情報と共に記憶させる。三次元位置は、撮像空間における高さ、幅、奥行きに対応する各方向における位置によって規定される。世界座標系に対する撮像位置情報は、例えば、事前に設置したマーカ等を撮像し、マーカの三次元画像計測等を行うことにより得られる。
【0034】
視点情報取得部407は、視点入力装置103から、ユーザの入力に基づき出力された伝送信号を取得する。視点情報取得部407は、取得した伝送信号に基づいて視点情報を生成する。視点情報とは、仮想視点の位置を示す位置情報(x、y、z)と、仮想視点の向きを示す方向情報(rx、ry、rz)とからなる情報である。視点情報は、例えばスタジアムの中央を原点とし、ユーザ操作情報に含まれる変化量を変化前の視点情報に加算又は減算した情報である。
【0035】
仮想視点画像生成部404は、特定オブジェクト画像に基づいて、特定オブジェクトの三次元形状データを生成する。三次元形状データの生成方法については特に限定しない。例えば、視体積交差法により三次元形状データを生成する。また、撮像空間における特定オブジェクトの位置及び大きさを特定する。仮想視点画像生成部404は、特定オブジェクトの位置及び大きさを反映し、仮想視点からの仮想視点画像を生成する。仮想視点画像は、特定オブジェクトの3次元形状データを用いて、設定された仮想視点から見た画像をコンピュータグラフィクスの技術を用いることで生成することができる。この生成処理には公知の技術を適宜適用すればよい。
【0036】
なお、本実施形態では仮想視点画像の生成は、画像処理装置102における、画像取得部401、前景背景分離部402、視点情報取得部407、仮想視点画像生成部404によって行われるものとして説明する。他にも、画像取得部401、前景背景分離部402、視点情報取得部407、仮想視点画像生成部404と同様の機能が含まれる他の1つまたは複数の画像処理装置によって仮想視点画像の生成が行われてもよい。その場合、画像処理装置102は、他の装置から生成された仮想視点画像のデータを取得する。
【0037】
仮想視点画像は、ユーザ等により指定された仮想視点の位置及び向き等に応じた仮想視点画像を表示させるものとして説明するが、予め定められた仮想視点の移動経路に従って生成された仮想視点画像でもよい。
【0038】
設備管理装置104は、撮像装置101の撮像領域内に設置されている電子看板に表示させる広告の内容、広告の表示順、周期時刻、実行日、開始時刻、終了時刻、スポンサー情報など、電子看板の制御内容を示す情報(電子看板情報)を記憶している。電子看板情報取得部405は設備管理装置104から電子看板情報を取得する。
【0039】
図5は、電子看板情報500を説明するための図である。本実施形態の電子看板情報500は、夫々の電子看板で表示させる動画等の広告コンテンツおよびその広告コンテンツの表示順等を管理するテーブルである。本実施形態の電子看板情報500は、列501~504ごとに夫々の電子看板311~314の情報が保持されている。電子看板情報500に保持されている電子看板の情報は、表示内容505、表示順506、周期時刻507、実行日508、開始時刻509、終了時刻510、およびスポンサー情報511である。
【0040】
表示内容505は、電子看板の表示に使用する動画等の広告コンテンツのファイル名を保持している。例えば、A社.mp4は、スポンサーA社の広告動画のファイル名である。広告動画は、例えば、企業名ロゴ、商品ロゴ、商品イメージ等を含む動画である。他にも、広告コンテンツは静止画の画像データであってもよい。
【0041】
表示順506は、表示内容505に保持されている広告を表示する順番を示している。例えば、電子看板311ではA社、B社、C社、D社の順番で、広告コンテンツを表示して、この4つの広告を1ループとして表示することを示す。
【0042】
周期時刻507は、表示順506に保持されている1ループの広告を表示するための所要時間を示している。例えば、列501における電子看板311の場合、周期時刻507は60秒として保持されている。表示順506で示すとおり1ループで4つの広告コンテンツを表示する。このため、電子看板311では、開始時刻においてA社の広告が15秒表示された後に、B社の広告が15秒表示され、さらにその後にC社の広告が15秒され、次にD社の広告が15秒表示される。D社の広告が表示された後は、ループの最初に戻り、A社の広告が15秒表示されるように表示制御されることを示す。
【0043】
実行日508は、電子看板311を表示する日時を示す。開始時刻509、終了時刻510は電子看板311を表示する開始時刻と終了時刻とを示す。例えば、電子看板311~314がスタジアムに設置されている広告表示用のディスプレイだとすると、実行日は、スタジアムにおいてサッカー等の試合等が開催される日が保持される。また、試合開示時刻が開始時刻として、試合終了時刻が終了時刻として保持されることになる。スポンサー情報511は、電子看板の広告のスポンサー名を保持する。
【0044】
なお、電子看板情報取得部405が取得する電子看板の情報は、電子看板情報500の形式に限られない。電子看板に表示されるコンテンツが変わるタイミングが導出できる情報であればよい。図4に戻り、画像処理装置102の機能の説明を続ける。
【0045】
制御部406は、仮想視点画像のデータを取得し、仮想視点画像の3次元空間内において仮想コンテンツを表示する領域である仮想コンテンツ領域の位置を決定する。また、制御部406は、電子看板情報500に基づき仮想広告の表示のタイミング等を制御する。例えば、制御部406は、電子看板311~314と同期して広告コンテンツが表示されるように仮想広告の表示を制御する。詳細は後述する。
【0046】
制御部406は、生成した仮想視点画像の画像データと時刻情報とを表示装置106に出力して、表示装置106に仮想視点画像を表示させる制御をする。出力されるデータは、三次元形状データ情報とレンダリングに必要なテクスチャ情報であってもよいし、仮想視点が決定された仮想視点画像のデータでもよい。
【0047】
上記図4の各部の機能は、画像処理装置102のCPUがROMまたは外部記憶装置に記憶されているプログラムコードをRAMに展開し実行することにより実現される。または、上記の各部の一部または全部の機能をASICや電子回路等のハードウェアで実現してもよい。
【0048】
記憶部403は、背景画像及び特定オブジェクト画像を記憶する記憶部である。記憶部403には、仮想広告として表示するための画像等のコンテンツデータも記憶される。例えば、企業名ロゴ、商品ロゴ、商品イメージ等を含む画像データまたは動画データであるが、これらに限定されるものではない。
【0049】
[フローチャート]
図6は、画像処理装置102における仮想広告の表示制御処理の一例を示すフローチャートである。図6のフローチャートで示される一連の処理は、画像処理装置102のCPUがROMに記憶されているプログラムコードをRAMに展開し実行することにより行われる。また、図6におけるステップの一部または全部の機能をASICまたは電子回路等のハードウェアで実現してもよい。なお、各処理の説明における記号「S」は、当該フローチャートにおけるステップであることを意味し、以後のフローチャートにおいても同様とする。
【0050】
なお、本フローチャートが始まる前に、または本フローチャートの処理と並行して、画像取得部401、前景背景分離部402、および仮想視点画像生成部404によって仮想視点画像が生成される。
【0051】
S601において電子看板情報取得部405は、撮像装置101の撮像領域に設置されている電子看板に表示されるコンテンツが変わるタイミングを示す情報を取得する。本実施形態では、電子看板情報取得部405は、電子看板情報500を取得する。
【0052】
S602において制御部406は、仮想広告が表示する仮想視点画像と、仮想視点画像の時刻情報とのそれぞれのデータを取得する。仮想視点画像の時刻情報とは、例えば、仮想視点画像の生成に用いられた撮像画像に付加された撮像時刻を示す時刻情報である。
【0053】
S603において制御部406は、記憶部403から、仮想視点画像に仮想広告として表示させるための広告コンテンツのデータを記憶部403から取得する。S604において制御部406は、仮想視点画像の3次元空間において仮想広告を配置する仮想コンテンツ領域の位置を決定する。
【0054】
S605において制御部406は、電子看板情報取得部405が取得した電子看板情報500に基づき、電子看板に表示される広告(広告コンテンツ)が変わる時刻を導出する。制御部406は、仮想広告が電子看板の広告と同期して仮想コンテンツ領域に表示されるように処理を行う。
【0055】
ここで、同期とは、コンテンツが変わるタイミングを電子看板と合わせるように制御すること(タイミング同期とよぶ)、または、コンテンツが変わるタイミングおよび表示するコンテンツを電子看板と合わせるように制御すること(内容同期とよぶ)、をいう。
【0056】
図7は、電子看板の広告と内容同期して表示される仮想広告を説明するシーケンス図である。電子看板311は、図5の列501に示す看板情報によって表示制御される電子看板であり、電子看板311は、開始時刻である18:00から、15秒ごとにA社、B社、C社、D社の順番で対応する広告(広告コンテンツ)を表示する様子を示している。
【0057】
仮想コンテンツ領域701は、電子看板311に表示される広告および広告の切り替えのタイミングが同じになるように、電子看板311と内容同期して仮想広告が表示されるように制御部406によって制御される仮想コンテンツ領域である。図5の電子看板情報500に基づき電子看板311における広告が変わる時刻が制御部406によって導出され、仮想コンテンツ領域701では、電子看板311と同じ表示内容505、表示順506、周期時刻507で仮想広告が表示される。このため、図7に示すように、仮想コンテンツ領域701では、電子看板311で表示される広告と同じ表示順で同じスポンサーの広告が仮想広告として表示される。ただし、内容同期する場合でも、表示内容505に示すコンテンツとは異なる仮想広告用のコンテンツを仮想広告として表示させてもよい。
【0058】
仮想コンテンツ領域701では、電子看板311の電子看板情報に基づき電子看板に内容同期して仮想広告が表示されるので、開始時刻である18:00から15秒ごとにA社、B社、C社、D社の順番でそれぞれの広告が仮想広告として表示される。このようにコンテンツが変わるタイミングが同じになるので、仮想広告が目障りとなることを抑制させることができる。
【0059】
図8は、電子看板と内容同期するように仮想広告が表示された仮想視点画像を示す図である。図8の例では、それぞれの仮想コンテンツ領域からの距離が一番近い電子看板と内容同期するように仮想コンテンツ領域において仮想広告が表示されている。例えば、仮想コンテンツ領域701では電子看板311の広告と内容同期して仮想広告801が表示されている。このように、異なる制御によって広告が表示される電子看板311~314が複数ある場合、仮想コンテンツ領域からの距離が一番近いまたは所定の範囲内にある電子看板の広告と同期するように仮想広告が表示されるのが好ましい。このように制御されることで、仮想広告が目障りとなることを抑制させる効果を高めることができる。
【0060】
なお、図8の仮想広告805は、選手、審判のようなオブジェクトの位置に基づいて決定された仮想コンテンツ領域に表示されている広告である。このように仮想コンテンツ領域は、例えば、視聴者に視聴されやすくするために選手、審判のオブジェクトと重ならないように決められてもよい。また、仮想広告805は、所定の間隔で広告が切り替わらないように制御されている、このように仮想視点画像には、電子看板と同期しないで、1つの広告を表示する仮想広告が含まれてもよい。
【0061】
仮想広告を電子看板の広告と同期して表示する方法は限定しない。例えば、制御部406は、スポンサーのごとの広告コンテンツのデータを取得し電子看板311~314の広告と同じタイミングで切り替わるような仮想広告用のコンテンツを生成する。そして制御部406は、その生成したコンテンツを仮想広告として仮想コンテンツ領域に配置してもよい。制御部406は、電子看板311~314の広告と同じタイミングで切り替わるように生成された広告コンテンツをそれぞれ記憶部から取得して、その取得したコンテンツを仮想広告として仮想コンテンツ領域に配置してもよい。
【0062】
または、制御部406は、複数の広告コンテンツがループするように生成されたコンテンツを取得する。そして、電子看板の広告と同じ時間間隔で広告が変わるようにそのコンテンツの開始時刻および周期時刻を設定し、設定されたコンテンツを仮想コンテンツ領域に合成することによって、仮想広告と電子看板の広告とが同期するように制御してもよい。
【0063】
または、制御部406は、電子看板と仮想コンテンツ領域とが仮想視点の画角内にある場合は、その電子看板で表示される広告と同じスポンサーの広告コンテンツを記憶部403から取得する。制御部406は、仮想広告として表示する広告コンテンツを表示装置106に出力し、仮想コンテンツ領域に仮想広告を重畳させて表示されるように制御する方法でもよい。電子看板情報取得部405が、電子看板情報500の代わりに同期信号を設備管理装置104から取得し、制御部406はその同期信号に基づき仮想広告の表示が電子看板と同期するように制御する方法でもよい。
【0064】
前述したように、制御部406は、仮想広告として表示される広告が変わるタイミングが電子看板の広告が変わるタイミングと同じになるように制御するタイミング同期によって仮想広告の表示を制御してもよい。
【0065】
図9の仮想広告901~904は、電子看板311~314の広告とは異なるスポンサーの広告を表示している仮想視点画像を示す図である。W社、X社、Y社、Z社の仮想広告901~904が表示される仮想コンテンツ領域では、電子看板311~314に表示される広告とは異なるスポンサーの広告を表示するが、電子看板とタイミング同期して仮想広告が表示されている。仮想広告と電子看板311~314に表示される広告とが違う広告であっても、仮想広告の変わるタイミングを電子看板311~314とで同じにするようにタイミング同期して制御することで、仮想広告が視聴者の目障りとなることを抑制させることができる。
【0066】
S606において制御部406は、仮想広告が挿入された仮想視点画像を表示装置106に出力する。
【0067】
以上説明したように本実施形態によれば、電子看板に基づき仮想広告の表示を制御して、電子看板と同期させて仮想広告を表示させる。このため、仮想広告のような仮想コンテンツが視聴者の目障りとなることを抑制させることができる。
【0068】
なお、仮想コンテンツは仮想広告に限られない。他にも例えば、他試合の結果、選手の情報などを仮想コンテンツとして表示させてもよい。このような場合でも、表示される仮想コンテンツの切り替えのタイミングを電子看板の表示の切り替えのタイミングと同じにすることによって、仮想コンテンツの切り替わりが視聴者にとって目障りとなることを抑制させることができる。
【0069】
また本実施形態では、サッカー等の試合が行われるスタジアムの仮想視点画像を例にあげて説明したが、本実施形態は他の仮想視点画像についても適用可能である。例えば、電子看板が設置されている街の仮想視点画像に仮想コンテンツを表示させる場合も、本実施形態の方法を用いて電子看板に同期させて仮想コンテンツを表示させてもよい。
【0070】
また、本実施形態では仮想コンテンツが同期するコンテンツは撮像領域の電子看板に表示されるコンテンツであるものとして説明したが、他にも、撮像領域における時間に応じて表示が変わる他の表示機器等の看板と同期させるようにしてもよい。例えば、所定の時間で表示が変わるように制御されている反転フラップ式の看板の表示の切り替わるタイミングで仮想コンテンツが変わるように制御されてもよい。
【0071】
<実施形態2>
実施形態1では、仮想広告が視聴者の視聴を妨げになることを抑制させるため、仮想広告を電子看板と同期させる方法について説明した。しかしながら、サッカーの試合におけるゴールシーンなど、広告効果をより高めたいシーンがあり、このようなシーンの仮想視点画像では仮想広告を目立つように表示させる方が好ましい。
【0072】
このため本実施形態については、スタジアム等の撮像領域における音声情報に基づき、仮想広告の表示方法を切り替える方法について説明する。本実施形態では、実施形態1からの差分を中心に説明する。特に明記しない部分については実施形態1と同じ構成および処理である。
【0073】
図10は、本実施形態における画像処理装置102の機能構成を示すブロック図である。実施形態1と同一の処理ブロックについては同じ番号を付して説明を省略する。本実施形態の画像処理装置102は、音声情報取得部1001をさらに有する。
【0074】
音声情報取得部1001は、環境音量測定装置105から音声情報を取得する。環境音量測定装置105は画像処理システムの撮像装置101が設置されているスタジアムの音量を測定する。環境音量測定装置105は一般的に使用される騒音計でよい。本実施形態の環境音量測定装置105は、dB単位の音量を示す音量データを音声情報として出力する装置であるものとして説明する。音声情報取得部1001はネットワークを介して環境音量測定装置105から出力された音声情報を取得する。
【0075】
図11は、本実施形態の画像処理装置102で行われる仮想広告の表示に関する処理を説明するためのフローチャートの一例を示す図である。なお、本フローチャートが始まる前に、画像取得部401、前景背景分離部402、および仮想視点画像生成部404によって仮想視点画像が生成されている。または本フローの処理と並行して仮想視点画像の生成処理がされていてもよい。
【0076】
S1101において音声情報取得部1001は、画像処理システム100の撮像装置101の撮像領域において設置されている環境音量測定装置105から撮像領域の音声情報を取得する。
【0077】
S1102~S1105については、S601~S604と同様であるため説明を省略する。
【0078】
S1106において制御部406は、環境音量測定装置105の音声情報と、時刻情報と、に基づき、生成された仮想視点画像の時間における音声状態が、静音状態か騒音状態かを判定する。制御部406は、仮想視点画像を生成するために用いられた撮像画像の撮像時刻に基づき仮想視点画像の時間(時刻)を決定する。静音状態か騒音状態かの判定方法は例えば閾値に基づき判定する。閾値は、環境音量測定装置105の設置場所がサッカー等の試合が行われているスタジアムである場合、音量が20~80dBであれば静音状態であり、音量が80dB以上であれば騒音状態と考えられる。このため、例えば、閾値を80dBと決定し、取得された音量データが示す音量が閾値未満であれば静音状態と判定し、音量データが示す音量が閾値以上であれば騒音状態と判定する。
【0079】
音声情報が静音状態を示す場合(S1106がYES)、S1107において制御部406は、電子看板情報取得部405が取得した電子看板情報500に基づき、電子看板に表示される広告が変わる時刻を導出する。そして、制御部406は、仮想広告が電子看板の広告と同期して表示するための制御をする。同期の方法については、S605において説明した方法と同様の方法を用いればよい。
【0080】
音声情報が騒音状態を示す場合(S1106がNO)、S1108において制御部406は、仮想広告の表示タイミングを電子看板の広告の表示と同期しないように(非同期になるように)に設定する。例えば、制御部406は、仮想コンテンツ領域に表示される仮想広告が、電子看板の広告が切り替わるタイミングと異なるタイミングで別の仮想広告に切り替わるように制御する。
【0081】
このように、本実施形態では撮像領域の音声状態が静音状態である場合、仮想広告が視聴者の視聴の妨げにならないように、制御部406は電子看板の広告と同期して表示するように仮想広告の設定を行う。一方、撮像領域の音声状態が騒音状態の場合、ゴールシーンなどのハイライトシーンであると考えられるため、広告効果を高めることが好ましい。このため、騒音状態の場合、電子看板の広告と仮想広告とが同期して表示されないように制御することで、仮想広告および電子看板の双方が視聴者の目を引くようにすることができる。
【0082】
S1109において、画像処理装置102は、仮想広告が挿入された仮想視点画像を表示装置106に出力する。
【0083】
なお、生成された仮想視点画像において静音状態である時間帯と騒音状態の時間帯の両方が含まれている場合は、時間帯に応じて仮想広告の設定を変更してもよい。例えば、静音状態の時間帯では、仮想広告を電子看板の広告と同期して表示するように設定して、騒音状態の時間帯では仮想広告を電子看板の広告とは同期しないで表示するように設定してもよい。
【0084】
以上説明したように本実施形態によれば、撮像領域の音声状態に応じて仮想広告の表示方法を切り替えることにより、仮想視点画像が示すシーンに応じた仮想コンテンツの表示を行うことができる。
【0085】
<実施形態3>
仮想広告を電子看板と同期させるようして変化させると、仮想広告の変化が電子看板の広告の変化よりも目立つことがある。仮想広告と電子看板の広告とのどちらか一方が目立つと、公平に広告表示することが難しくなる虞がある。よって、本実施形態では、仮想広告の照度を制御することにより、仮想広告と電子看板の広告がどちらか一方が目立つことを抑制させる方法を説明する。本実施形態では、実施形態2からの差分を中心に説明する。特に明記しない部分については実施形態2と同じ構成および処理である。
【0086】
図12は、本実施形態における画像処理装置102の機能構成を示すブロック図である。実施形態2と同一の処理ブロックについては同じ番号を付して説明を省略する。本実施形態の画像処理装置102は、照度情報取得部1201をさらに有する。
【0087】
照度情報取得部1201は、電子看板の照度と仮想広告の照度とを明るさを示す情報として取得する。照度情報取得部1201は、他の装置によって算出された電子看板の照度と仮想広告の照度とを取得してもよいし、照度情報取得部1201が電子看板の照度と仮想広告の照度をそれぞれ導出してもよい。電子看板の照度の導出については、例えば、前景背景分離部402によって背景として分離された画像上から、電子看板の輝度を計算することによって導出する。
【0088】
図13は、本実施形態の画像処理装置102で行われる仮想広告の表示に関する処理を説明するためのフローチャートの一例を示す図である。なお、本フローチャートが始まる前に、画像取得部、前景背景分離部、および仮想視点画像生成部によって仮想視点画像が生成されている。または本フローの処理と並行して仮想視点画像の生成処理がされていてもよい。S1301~S1305はS1101~S1105と同様の処理であるため説明を省略する。
【0089】
S1306において照度情報取得部1201は、仮想視点画像内の電子看板の照度を取得する。また、仮想視点画像に合成される仮想広告の照度を取得する。
【0090】
S1307において制御部406は、仮想広告の照度が電子看板の照度より高いか判定する。仮想広告の照度が電子看板の照度より高い場合(S1307がYES)、S1308において制御部406は、仮想広告の照度を低くするように調整する。仮想広告の照度が電子看板の照度より低い場合(S1307がNO)、S1309において制御部406は、仮想広告の照度を高くするように調整する。
【0091】
制御部406は、仮想広告と電子看板との照度の差の適正範囲情報を持っており、S1308およびS1309において、仮想広告と電子看板との照度の差の適正範囲内になるように仮想広告の照度を調整する。調整の方法として、例えば、制御部406は仮想広告と電子看板の画面上の輝度差がなくなる、または仮想広告と電子看板の画面上の輝度差が所定の範囲内になるように仮想広告の輝度値を調整する。
【0092】
図14は、表示装置106に表示される仮想広告と電子看板が含まれる仮想視点画像を示す図である。仮想広告1401は電子看板1411と、仮想広告1402は電子看板1412と、仮想広告1403は電子看板1413と、仮想広告1404は電子看板1414と、それぞれ同期をして表示されている。図14の例では、仮想広告1401~1404が電子看板1411~1414の広告より目立たないように、仮想広告1401~1404の照度(輝度)が制御部406で制御された仮想視点画像を示している。
【0093】
S1310~S1313については、S1106~S1109と同様であるため説明を省略する。なお、音量が静音状態でなはなく騒音状態である場合は、仮想広告の輝度値を上げて照度が上がるように制御して、仮想広告を目立たせるように制御してもよい。
【0094】
なお、本実施形態では、実施形態2と同様に、音声情報取得部1001が取得した音声情報に基づき、仮想広告を電子看板の広告に合わせて同期または非同期にして表示制御するものとして説明したが、音声情報取得部1001がない形態でもよい。例えば、図13のフローチャートにおいてS1310~S1312のステップがない形態でもよい。
【0095】
以上説明したように本実施形態によれば、仮想コンテンツと電子看板に表示されるコンテンツとのどちらか一方が目立つことを抑制することができる。このため、仮想コンテンツと電子看板のコンテンツとを公平に表示させる必要がある場合でも、公平にそれぞれのコンテンツを表示させることができる。
【0096】
<その他の実施形態>
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【符号の説明】
【0097】
404 仮想視点画像生成部
405 電子看板情報取得部
406 制御部
102 画像処理装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14