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特許7467099ベルトと、ベルトに付加された2つの締め付け突起とを備える締め付け装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-05
(45)【発行日】2024-04-15
(54)【発明の名称】ベルトと、ベルトに付加された2つの締め付け突起とを備える締め付け装置
(51)【国際特許分類】
   F16B 2/08 20060101AFI20240408BHJP
   F16L 33/04 20060101ALI20240408BHJP
   F16B 5/08 20060101ALI20240408BHJP
   F16B 4/00 20060101ALI20240408BHJP
【FI】
F16B2/08 H
F16L33/04
F16B5/08 A
F16B4/00 G
【請求項の数】 13
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019226919
(22)【出願日】2019-12-17
(65)【公開番号】P2020115038
(43)【公開日】2020-07-30
【審査請求日】2022-11-07
(31)【優先権主張番号】1873093
(32)【優先日】2018-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】519155583
【氏名又は名称】カイロウ
【氏名又は名称原語表記】CAILLAU
【住所又は居所原語表記】28,rue Ernest Renan, 92130 ISSY‐LES‐MOULINEAUX,France
(74)【代理人】
【識別番号】100141586
【弁理士】
【氏名又は名称】沖中 仁
(72)【発明者】
【氏名】リゴレー,ニコラ
(72)【発明者】
【氏名】クレール,ディラン
【審査官】田村 佳孝
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-206270(JP,A)
【文献】特開2003-283151(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0127162(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16B 2/08
F16L 33/04
F16B 5/08
F16B 4/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一端および第二端(10A、10B)を有するベルト(10)と、前記ベルトに支持された第一締め付け突起および第二締め付け突起(14A、14B)とを備え、前記第一締め付け突起および第二締め付け突起(14A、14B)は、それぞれ前記第一端および第二端(10A、10B)の近傍で前記ベルト(10)の外側の面に締め付けられた第一帯部および第二帯部(12A、12B)にそれぞれ形成され、少なくとも前記第一帯部(12A)は、少なくとも第一締め付けエリア(18A;118A;218A;318A)を介して、および第二締め付けエリア(19A;29A;39A;119A;129A;139A;219A;319A)を介して前記ベルトに締め付けられ、前記第一締め付けエリア(18A;118A;218A;318A)は、前記第一帯部(12A)の内向きに突出するボス(18’A;218’A)および前記ベルト(10)の外向きに突出するボス(118’A;318’A)のうちの少なくとも1つに形成される、締め付け装置であって、前記第一締め付けエリア(18A;118A;218A;318A)が形成された前記ボス(18’A;118’A;218’A;318’A)の回りに、間隙(E)が前記第一帯部(12A)の内側の面と前記ベルト(10)の外側の面との間に配置されることを特徴とする、締め付け装置。
【請求項2】
前記第一締め付けエリア(18A;118A)は、溶接によって形成される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第一締め付けエリアおよび第二締め付けエリア(18A、118A、218A、318A;19A、29A、39A、119A、129A、139A、219A、319A)は、ベルトの周方向に一直線に並ぶ、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記ベルト(10)の表面に沿って測定される、前記第二締め付けエリア(19A;29A;39A;119A;129A;139A;219A;319A)の面積は、前記第一締め付けエリア(18A;118A;218A;318A)の面積に近似する、請求項1~3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
前記第一締め付けエリア(18A;118A;218A;318A)の面積は、15~80mmある、請求項1~4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記第一締め付けエリア(18A;118A;218A;318A)は、前記ベルトの幅(L)の25~60%である直径を有する、実質的に円盤形状の表面である、請求項1~5のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
前記第二締め付けエリア(19A;29A;119A;129A)は、前記第一帯部(12A)の内向きに突出するボス(19’A;29’A)、および前記ベルト(10)の外向きに突出するボス(119’A;129’A)のうちの少なくとも1つに形成される、請求項1~6のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
前記第二締め付けエリア(29A;129A)の前記ボス(29’A;129’A)は、前記第一帯部(12A)および前記ベルト(10)を備える要素のうちの1つに形成され、押し込みリム(29’’A;129’’A)を規定し、前記第一帯部および前記ベルトを備える要素の他方は、開口部(10’A;110’A)を有し、前記第二締め付けエリアの前記ボスは、前記開口部に収容され、押し込まれる、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記第二締め付けエリア(39A;139A;219A;319A)は、クリンチングによって形成される、請求項1~6のいずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
前記第二締め付けエリア(19A;119A)は、溶接によって形成される、請求項1~6のいずれか1項に記載の装置。
【請求項11】
前記第一締め付けエリアおよび第二締め付けエリア(18A、118A、19A、29A、39A、119A、129A、139A)のうち、前記第一締め付けエリアだけが溶接によって形成され、この第一締め付けエリアは、前記第二締め付けエリアの後方にある、請求項1~9のいずれか1項に記載の装置。
【請求項12】
前記第一帯部および第二帯部(12A、12B)は、同じ方法で前記ベルト(10)に締め付けられる、請求項1~10のいずれか1項に記載の装置。
【請求項13】
前記第一帯部および第二帯部(12A、12B)のそれぞれに、ちょうど2つの締め付けエリア(18A、118A、218A、318A、19A、29A、39A、119A、129A、139A、219A、319A)が提供される、請求項1~12のいずれか1項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ホースクランプ型の締め付け装置に関する。この締め付け装置は、第一端および第二端を有するベルトと、ベルトに支持された第一締め付け突起および第二締め付け突起とを備え、第一締め付け突起および第二締め付け突起は、それぞれ第一端および第二端の近傍においてベルトの外側の面に締め付けられた第一帯部および第二帯部に形成される。
【背景技術】
【0002】
このタイプの締め付け装置は、公知である(例えば、特許文献1)。従来、突起が形成された帯部は、ベルトの曲率に適合する曲率を有し、このベルトの外側の面に対して押し付けられ、複数の締め付け箇所において、例えば溶接によって、ベルトに締め付けられる。
【0003】
これらの公知の装置は、いくつかの欠点を有する。一方では、ベルトの直径ごとに、帯部をこの直径に適合させる必要がある、すなわち、帯部は、ベルトの曲率に一致する曲率を有する必要がある。このため、異なる直径を有する装置群に対応可能にするための、製造や供給は複雑になる。さらに、ベルトを対象物に締め付けた場合、このベルトの直径は、小さくなるので、対象物をその全周にわたって適切に締め付けるためには、その曲率は、均一に大きくなる(すなわち、その曲率半径が小さくなる)ことができなければならない。しかし、ベルトに押し付けられた第一帯部および第二帯部は、ベルトを局所的に硬化させるので、この均一性に影響を与え得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許出願公開第2003/0015872号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は、上記欠点を少なくとも実質的に克服することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
したがって、本開示は、第一端および第二端を有するベルトと、ベルトに支持された第一締め付け突起および第二締め付け突起とを備え、第一締め付け突起および第二締め付け突起は、それぞれ第一端および第二端の近傍でベルトの外側の面に締め付けられた第一帯部および第二帯部にそれぞれ形成され、少なくとも第一帯部は、少なくとも第一締め付けエリアを介して、および第二締め付けエリアを介してベルトに締め付けられ、第一締め付けエリアは、第一帯部の内向きに突出するボスおよび/またはベルトの外向きに突出するボスに形成される、締め付け装置であって、第一締め付けエリアが形成されたボスの回りに、間隙が第一帯部の内側の面とベルトの外側の面との間に配置される、締め付け装置に関する。
【0007】
したがって、本開示の装置によると、締め付けエリアが形成されたボスは、関与の帯部とベルトとの間にある種の傾斜点を形成し得る。言い換えると、帯部をベルトに締め付けたい場合、ボスは、ベルト10の外側の面上の適切な位置に配置され、そしてこの第一締め付けエリアにおいて締め付けが行われる。したがって、帯部の内側の面とベルト10の外側の面との間に連続した接触を有する必要がない。特に、第一帯部の内側の面とベルト10の外側の面との間に配置された間隙によって、第一帯部とベルトとの間のわずかな変位が可能となる。これにより、異なる直径を有するベルトに同じ第一帯部を使用することができる。
【0008】
第二締め付けエリアを作成するには、ボスとベルト10の外側の面との間の接触を維持しながら、帯部の別のエリアがベルトと接触するまで、帯部をベルトに対して傾けて、この第二接触エリアにおいて第二締め付けを行うことで足りる。
【0009】
このように異なる直径を有するベルトに同じ範囲の突起付き帯部を使用することが可能であることが理解される。さらに、第一締め付けエリアがボスに生成される限り、帯部およびベルトの変形は、ある程度、締め付け時に互いに影響を及ぼさないようにして(非相関にして)、ベルトの直径が均一に小さくなることを帯部の締め付けが妨害しないようにし得る。
【0010】
第一締め付けエリアは、溶接によって形成されてもよい。
【0011】
第一締め付けエリアおよび第二締め付けエリアは、ベルトの周方向に一直線に並んでもよい。
【0012】
ベルトの表面に沿って測定される、前記第二締め付けエリアの寸法は、第一締め付けエリアの寸法に近似してもよい。
【0013】
第一締め付けエリアの寸法は、15~80mmであってもよく、好ましくは25~60mmであってもよい。
【0014】
第一締め付けエリアは、ベルトの幅の25~60%である直径を有する、実質的に円盤形状の表面であってもよい。
【0015】
第一締め付けエリアおよび第二締め付けエリアは、ベルトの周方向に一直線に並んでもよい。
【0016】
第二締め付けエリアは、第一帯部の内向きに突出するボスおよび/またはベルトの外向きに突出するボスのうちの少なくとも1つに形成されてもよい。
【0017】
第二締め付けエリアのボスは、第一帯部およびベルトを備える要素のうちの1つに形成され、押し込みリムを規定し、第一帯部およびベルトを備える要素の他方は、開口部を有し、第二締め付けエリアのボスは、開口部に収容され、押し込まれてもよい。
【0018】
第二締め付けエリアは、クリンチングによって形成されてもよい。
【0019】
第二締め付けエリアは、溶接によって形成されてもよい。
【0020】
第一締め付けエリアおよび第二締め付けエリアのうち、第一締め付けエリアだけが溶接によって形成され、この第一締め付けエリアは、必要に応じて第二締め付けエリアの後方にあってもよい。
【0021】
第一帯部および第二帯部は、同じ方法でベルトに締め付けられてもよい。
【0022】
第一帯部および第二帯部のそれぞれに、ちょうど2つの締め付けエリアが提供されてもよい。
【0023】
第一締め付けエリアは、寸法の小さい、ほぼ点状の締め付けを構成する。同じことは、この点状の締め付けが第二締め付けエリアに存在する場合にも当てはまる。第二締め付けエリアはまたボスに形成されて、帯部の変形とベルトの変形との非相関をさらに大きくし得る。2つの締め付けエリアにおける締め付けを溶接によって行うか、または第一締め付けエリアおよび第二締め付けエリアの一方または両方について、例えばクリンチング(持続する変形を利用)または溶接などによって別の締め付け行うかを選択することができる。
【0024】
添付の図面に例示された実施形態の以下の詳細な説明を読むことによって、本開示は、理解され、その利点がより明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1は、本開示に係る、第一の実施形態に係る締め付け装置の斜視図である。
図2図2は、図1のII-II面における断面図である。
図3図3は、図1と同様の、別の実施形態の図である。
図4図4は、図3のIV-IV面における断面図である。
図5図5は、図4に対応する、さらに別の実施形態の図である。
図6図6は、図4に対応する、さらに別の実施形態の図である。
図7図7は、図4に対応する、さらに別の実施形態の図である。
図8図8は、図4と同様の図であり、一変形例を示す図である。
図9図9は、図4と同様の図であり、一変形例を示す図である。
図10図10は、図4と同様の図であり、一変形例を示す図である。
図11図11は、図4と同様の図であり、一変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1は、第一端10Aおよび第二端10Bを有するベルト10を備える締め付け装置を示す。このベルトは、軸Aの回りにそれ自体に巻かれた金属バンドから構成される。この例において、ベルトは、軸Aに平行な断面において、内側凹部10Cを規定する断面を有するような形状にされる。例えば、ベルトは、それぞれ支持表面を有するチューブの2つの端を締め付けるために使用され、チューブが接続された場合、これらの表面は、上記内側凹部10C内に収容される。例えば、この凹部は、U字形またはV字形を有し得る。
【0027】
装置は、第一帯部12Aおよび第二帯部12Bを備える。第一帯部12Aおよび第二帯部12Bは、ベルト10の外側の面に、それぞれベルトの第一端10Aおよび第二端10Bの近傍において、締め付けられる。
【0028】
従来、本開示の意味において、ある要素の外側の面は、軸Aから最も遠い面である。したがって、上記凹部10Cは、ベルトの内側の面に形成される。さらに、前方向および後方向は、締め付け時にクランプの端が移動する方向に対して伸びる方向である。したがって、締め付け時に、クランプの端10Aは、端10Bに向かって(すなわち、前方へ)移動する。言い換えると、端10Aまたは端10Aに支持された要素に関して、前方向とは、端10Bに向かう方向である。同様に、端10Bまたは端10Bに支持された要素に関して、前方向とは、端10Aに向かう方向である。
【0029】
締め付け突起14Aおよび14Bは、それぞれ帯部12Aおよび12Bに形成される。これらの突起は、実質的に半径方向にまっすぐ伸びるようにされる。これにより、装置を締め付け対象物(例えば、接続されるチューブの端)に締め付けることによって、突起は、ベルト10の直径を小さくするように互いに対して移動するように操作され得る。
【0030】
この例において、各突起14A、14Bは、それを支持する帯部12A、12Bと一体的に形成される。突起は、単純な折り曲げによって形成され得る。または、突起は、本例のように、まっすぐに伸ばされた部分およびスタンピングされた部分によって形成されて、各突起がその硬さを確保することに寄与する側面部13を有するようにし得る。
【0031】
この例において、締め付け突起は、締め付けロッド16と協働する。締め付けロッド16は、互いに対して移動して締め付けを行うように操作され得る。この例において、このロッドは、ネジであり、突起14Aおよび14Bのうちの一方の後方に保持されたネジ頭またはナット16Aを有し、他方の突起の後方にあるナット16Bがこのネジと協働する。突起14Aおよび14Bは、ネジ16の軸が通る穴を有する。
【0032】
帯部12Aおよび12Bは、それぞれベルト10に対して略平行な、ベルト10に締め付けられるフランジ12’Aおよび12’Bと、突起によって形成されたまっすぐに伸ばされた部分14Aおよび14Bを備える。ここで、「略平行」は、ベルトと概して同じ方向に伸びることを意味し、必ずしもベルトと同じ曲率を有さない。帯部12Aおよび12Bは、それぞれフランジ12’A、12’Bによってベルトの外側の面に締め付けられる。
【0033】
図2において、帯部12Aのベルト10に対する締め付けがより良く分かり得る。この締め付けは、ベルト10の周方向に並んだ第一締め付けエリア18Aおよび第二締め付けエリア19Aを含む。この例において、これらの締め付けエリア18Aおよび19Aは、ベルトの周方向に一直線に並ぶ。同様に、図1は、第二帯部12Bが第一締め付けエリア18Bおよび第二締め付けエリア19Bにおいてベルトに締め付けられる様子を示す。
【0034】
この例において、第一帯部および第二帯部のベルトへの締め付けは、同一である。第一締め付けエリア18Aは、内向きに(すなわち、軸Aに向かって)突き出る、第一帯部12Aのボス18’Aに形成されることが分かる。第一締め付けエリア18Aにおいて、締め付けは、ボス18’Aとベルト10の外側の面との間の接触面を介して生じる。そして、このボスの両側で、帯部12Aの内側の面がベルト10の外側の面から若干の距離を開けられている。このように構成された間隙Eは、第一帯部12Aとベルト10との間で若干の変位を可能にし、これにより、異なる直径のベルトに対して同じ第一帯部を使用することが可能になる。これは、帯部12Bの第一締め付けエリア18Bについても同じである。このように、フランジ12’Aおよび12’Bは、ベルトに対して略平行(すなわち、ベルトと同様の向きを有する)であるが、ベルトと異なる曲率を有し得る。
【0035】
この例において、第一締め付けエリア18Aは、溶接による締め付けによって形成され得る。
【0036】
この例において、第二締め付けエリア19Aは、第一締め付けエリア18Aと同様である。したがって、第二締め付けエリア19Aは、ベルトおよび第一帯部の隣接する表面の間に間隙を構成するボス19’Aを有し、溶接によって得られる。この例において、第一締め付けエリア18A、18Bおよび第二締め付けエリア19A、19Bの寸法は、同様である。これは、これらの締め付けエリアの溶接部によって占められる表面は、同じであるが、30%以下、またはさらに10%以下のオーダーの変動幅で互いに対して若干変動し得る。
【0037】
直前に記載の実施形態において、第一締め付けエリアおよび第二締め付けエリアは、溶接によって形成される。ここで、第二エリアは、第一エリアと同様にボスに形成される。しかし、異なる直径に対する適合性を維持しつつ、帯部およびベルトの非変形エリア(すなわち、ボスのないエリア)に第二エリアを形成することが可能であり得る。
【0038】
ここで、図3および4を参照して第二の実施形態を説明する。これらの図において、図1および2から変更のない要素は、同じ参照符号で示す。
【0039】
この第二の実施形態において、第一締め付けエリア18Aおよび18Bは、第一の実施形態と同一である。しかし、ここで、第二締め付けエリア29Aおよび29Bは、第一の実施形態と異なる。第二締め付けエリア29Aを説明する(第二締め付けエリア29Bは、第二締め付けエリア29Aと同一である)。この第二締め付けエリア29Aは、スタッド(stud)の形状を有した、押し込みリム29’’Aを規定するボス29’Aを備える。特に、この押し込みリム29’’Aは、円柱表面部の形状を有し、その軸は、ベルト10の半径方向を向く。その部分に対するベルト10は、ボス29’Aを収容する開口部10’Aを有する。この開口部は、例えば、円形穴の形状を有し、その軸は、押し込みリム29’’Aによって形成される円柱表面と同じである。また、この開口部のエッジは、押し込みリム29’’Aに対する押し込みエッジを形成し、開口部の直径は、押し込みリム29’’Aと等しいか、またはそれよりも若干大きいことが理解される。押し込みリム29’’Aの高さHは、最大で実質的にベルト10の厚みEc(すなわち、開口部10’Aのエッジの高さ)に一致する。例えば、高さHは、厚みEcの50~80%のオーダーである。このように、実際に、ボス29’Aは、ベルト10の内側の面から突出することなく、この開口部に収容される。
【0040】
当然ながら、押し込みリム29’’Aおよび開口部10’Aのエッジが円形底面を有する円柱表面を形成することは、一例示の実施形態に過ぎない。重要なのは、これらの表面が互いに適合し、概してベルトの同じ半径方向に向くことである。
【0041】
例えば、帯部12Aをベルト10に締め付けるために、まずボス29’Aが開口部10’Aに挿入されて、第二締め付けエリア29Aを形成し、そしてボス18’Aがベルト10の外側の面に溶接されて、第一締め付けエリア18Aを形成する。なお、この作業において、帯部12Aのフランジ12’Aは、ベルト10に適合するように傾けられ得る。このフランジの曲率は、必ずしも元からベルトの曲率に適合されていない。このように、ボス29’Aは、帯部12Aをベルト上に正確に位置合わせし、そして第一締め付けエリアを作成するためのマーカーとして使用される。ベルトを締め付ける前の自由状態において、ボス29’Aが開口部10’Aから若干離れる可能性がある。しかし、締め付けを続けると、ボス29’Aの押し込みリム29’’Aと開口部10’Aの押し込みエッジとが自然に協働する。なぜなら、締め付け力の効果により、帯部12Aのフランジ12’Aがベルト10の外側の面に押し付けられるからである。
【0042】
ここで、別の実施形態を示す図5を説明する。この図においても、変更のない要素は、同じ参照符号で示す。この実施形態もまた、第二締め付けエリア39Aの形状が上記実施形態と異なる。この例において、この第二締め付けエリアは、クリンチング(clinching)39’’Aによって作成される。これは、このエリアにおいて、帯部12Aのフランジ12’Aおよびベルト10が、非貫通接合スタンピングによって、互いに押し付けられ、ともに変形することを意味する。この例において、この変形は、ベルトの内側に向かって行われる。第二締め付けエリア、フランジ12’Aおよびベルトの材料は、密に機械的に協働し、帯部12Aがベルトに対して完璧に押し込まれる。上記の実施形態と同様に、帯部12Aをベルトに締め付けるために、まず第二締め付けエリア39Aを作成し、そしてボス18’Aをベルト10の外側の面に溶接して、第一締め付けエリア18Aを作成することが可能である。当然ながら、第二帯部12Bは、第一帯部12Aと同じ方法で締め付けられ得る。
【0043】
上記のように、帯部のフランジとベルトとの間に間隙を作成するために、第一締め付けエリアが形成されたボス18’Aは、帯部12Aに作成される際に、内向きに突出する。したがって、ベルトの内側の面から外向きに変形させることによって第二締め付けエリアを作成しつつ、第一締め付けエリアを作成できる。これを図6に示す。図6は、第一締め付けエリア18Aのボス18’Aを示す。他方、この図において、第二締め付けエリア119A(この例において、やはり溶接によって形成される)は、ベルトの外向きに突出するボス119’Aに生成される。このように、このボスは、帯部12Aのフランジ12’Aの内側の面と、このフランジが平坦であり得る接触エリアにおいて協働する。
【0044】
同様に、図7は、図4の実施形態の一変形例を示す。ここで、第一締め付けエリア18Aに変更はないが、第二締め付けエリア129Aは、ベルト10に形成された、外向きに突出するボス129’Aを備える。その部分に対して、帯部12Aのフランジ12’Aは、開口部110’Aを有する。開口部110’Aは、ボス129’Aの側面によって形成された押し込みリム129’’Aに対する押し込みエッジを規定する。このボスは、スタッドの形状を有し得る。押し込みリムは、ベルトの半径に実質的に平行な表面であり得る。
【0045】
図8は、図5の実施形態の一変形例である。ここで、第一締め付けエリア18Aに変更はないが、第二締め付け面139Aが外向きのクリンチング139’’Aによって形成される。ベルト10およびバンド12Aの一部のフランジ12’Aの接合変形は、外向きに生成される。したがって、第二締め付けエリアは、ベルト10の内側の面から突出しない。
【0046】
ここで、図9を説明する。図9は、一実施形態の一変形例を示す。ここでの第一締め付けエリア118Aは、ベルト10の外向きに突出するボスであるボス118Aを備える。このボスは、帯部12Aのフランジ12’Aの内側の面(平坦であり得る)と協働し、そしてしたがって、このフランジ12’Aおよびベルト10の対向面の間に間隙Eを配置する。この例において、第二締め付けエリア119Aは、図6のように示される。当然ながら、この第二締め付けエリアは、上記の図を参照して説明した構成のいずれか1つを有し得る。
【0047】
図10は、第一実施形態の別の変形例を示す。ここで、第一締め付けエリア218Aは、クリンチング218’’Aによって形成される。この例において、クリンチングは、内側に向かって突出する。実際に、この例において帯部12Aに形成されるボス218’Aの底部は、ベルト10の隣接部分とともに内側に向かって変形する。したがって、この場合、第一締め付けエリアは、溶接を必要としない。当然ながら、図9のように、ボスをベルトに形成することも可能である。さらに、図11に示すように、ボスを一方の方向に形成し、クリンチングを他方の方向に形成することも可能である。このように、図11において、第一締め付けエリア318Aは、帯部12Aのボス318’A(内側に向かって突出する)と、ボスの底部の材料およびベルトの隣接部分の材料の外向きの接合変形によって形成されるクリンチング318’’Aとを備える。
【0048】
図10および11において、第一締め付けエリアは、溶接を必要としない。この例において、第二締め付けエリアについても同じである。例として、図10は、内向きのクリンチング219’’Aによって形成される第二締め付けエリア219Aを示す。図11は、外向きのクリンチング319’’Aによって形成される第二締め付けエリア319Aを示す。
【0049】
なお、図10および11の例において、第二締め付けエリアは、ボスを用いずに形成される。実際に、帯部12Aの内側の面とベルト10の外側の面との間の間隙が第一締め付けエリアの領域に、このエリアのボスによって、与えられる限り、帯部がベルトの曲率に適合するのにこの間隙が十分であると考えられるならば、第二締め付けエリアは、ボスを含まなくてもよい。当然ながら、これは、締め付けエリアが溶接によって形成される場合についても当てはまる。
【0050】
第一締め付けエリアは、有利な程度に小さい寸法を有する。したがって、第一締め付けエリアは、15~80mmのオーダーの表面を有し得、好ましくは25~60mmのオーダーの表面を有し得る。この表面は、ベルト部12Aをベルトに第一締め付けエリアで締め付けることに寄与する接触面として理解される。この表面は、ベルトの幅Lの25~60%の直径を有する円盤の表面に一致し得る。ベルトの断面を取ると、この幅Lは、ベルトの軸Aに平行に測定した、ベルトの2つのエッジ間の長さとして理解される。しかし、ベルトは、他の形状をとり得ることも明らかである。例えば、平坦なバンドの形状をとり得る。この場合、エッジ間距離は、この平坦なバンドのエッジ間距離であり得る。
【0051】
上記のように、そして特に第二締め付けエリアがベルトの開口部に押し込まれたスタッド形状のボス、またはクリンチングによって形成される場合、第二締め付けエリアは、まずベルトに対して帯部を位置合わせし、そして例えば溶接によって第一締め付けエリアを作成するに使用されるように実施され得る。
【0052】
ボス18’Aの高さhは、概して帯部12Aの厚みeと同じオーダーであり得る(図4)。一般に、この高さは、この厚みeの約10~100%であり得る。第一締め付けエリアにおける締め付けが溶接によって行われる場合、その溶接は、ボスを平坦にする傾向があり、第一締め付けエリアに直に隣接するエリアにおける間隙Eの高さに一致するボスの残りの高さは、低減され、例えば厚みeの5~20%のオーダーにされ得る。例えば、帯部12Aおよび12Bならびにベルトは、同じまたは実質的に同じ厚みを有する金属バンドで作成される。
【0053】
本実施形態において、第一帯部および第二帯部のそれぞれに、ちょうど2つの締め付けエリアが提供される。一方では、締め付けエリアの数がこのように少ないことにより、必ずしも各帯部の曲率を最初にベルトの曲率と同じにすることなく、曲率の各帯部をベルトに適合させることが可能となる。他方では、各帯部に対して1つではなく、2つの締め付けエリアを有することによって、帯部をベルトの周方向に一直線に並べ、軸Aの方向に沿ったずれによる角方向のずれが生じるおそれを回避できる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11