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特許7467104端末機器、電源供給制御方法、並びにプログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-05
(45)【発行日】2024-04-15
(54)【発明の名称】端末機器、電源供給制御方法、並びにプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 23/65 20230101AFI20240408BHJP
   G03B 17/02 20210101ALI20240408BHJP
【FI】
H04N23/65 100
G03B17/02
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019230646
(22)【出願日】2019-12-20
(65)【公開番号】P2021100175
(43)【公開日】2021-07-01
【審査請求日】2022-12-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125254
【弁理士】
【氏名又は名称】別役 重尚
(72)【発明者】
【氏名】榊 紘輝
【審査官】藏田 敦之
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-156610(JP,A)
【文献】特開2007-017613(JP,A)
【文献】特開2007-128266(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 23/65
G03B 17/02
G06F 1/3231
G06F 1/3296
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの手により振り下げ動作を行うことが可能な端末機器であって、
前記端末機器の3軸の夫々の方向の動きを検知し、前記3軸の加速度出力値を出力する動き検知手段と、
前記動き検知手段の出力結果に基づき、前記振り下げ動作が前記端末機器の使用終了時に行われたか使用中に行われたかを判断する判断手段と、
前記判断手段により前記振り下げ動作が前記端末機器の使用終了時に行われたと判断された場合には、前記端末機器を節電モードに遷移させる節電手段とを備えることを特徴とする端末機器。
【請求項2】
前記3軸の加速度出力値の二乗和平方根を演算する演算手段と、
前記演算手段より第1の動きを示す演算結果が出力された場合に前記3軸の加速度出力値の蓄積を開始するよう第1の記憶部を制御し、その後、前記演算手段より第2の動きを示す演算結果が出力された場合に前記3軸の加速度出力値の蓄積を終了するよう前記第1の記憶部を制御する制御手段と、
前記振り下げ動作が前記端末機器の使用終了時に行われた場合の前記3軸の加速度出力値の時系列変化を示す第1のモデルデータと、前記振り下げ動作が前記端末機器の使用中に行われた場合の前記3軸の加速度出力値の時系列変化を示す第2のモデルデータを第2の記憶部から取得する取得手段とを更に備え、
前記判断手段は、前記制御手段の制御により前記第1の記憶部への前記3軸の加速度出力値の蓄積が終了すると、前記第1の記憶部に蓄積された前記3軸の加速度出力値の時系列変化が、前記第1及び第2のモデルデータのいずれと類似するかのパターンマッチングを行い、そのパターンマッチングの結果に基づき、前記振り下げ動作が前記端末機器の使用終了時に行われたか使用中に行われたかを判断し、
前記節電手段は、前記判断手段が前記振り下げ動作が前記端末機器の使用終了時に行われたと判断した場合、前記端末機器を節電モードに遷移させることを特徴とする請求項1に記載の端末機器。
【請求項3】
前記パターンマッチングは、ルールベースで行われることを特徴とする請求項2記載の端末機器。
【請求項4】
前記制御手段の制御により前記第1の記憶部への前記3軸の加速度出力値の蓄積が終了すると、前記第1の記憶部に蓄積された前記3軸の加速度出力値の時系列変化を入力データとし、当該入力データに対して使用終了及び使用中の一方の結果を出力する学習モデルを構築する学習手段を更に備え、
前記学習手段は、
前記パターンマッチングが行われてから所定時間以内に前記端末機器への操作がない場合に、前記入力データに対して使用終了という結果を出力するよう追加学習し、前記学習モデルを更新する更新手段とを備えることを特徴とする請求項2又は3記載の端末機器。
【請求項5】
前記3軸の加速度出力値の二乗和平方根を演算する演算手段と、
前記演算手段より第1の動きを示す演算結果が出力された場合に前記3軸の加速度出力値の蓄積を開始するよう第1の記憶部を制御し、その後、前記演算手段より第2の動きを示す演算結果が出力された場合に前記3軸の加速度出力値の蓄積を終了するよう前記第1の記憶部を制御する制御手段と、
入力データに対して使用終了及び使用中の一方の結果を出力する学習モデルを第2の記憶部から取得する取得手段と、
を更に備え、
前記判断手段は、前記制御手段の制御により前記第1の記憶部への前記3軸の加速度出力値の蓄積が終了すると、第1の記憶部に蓄積された前記3軸の加速度出力値の時系列変化を前記入力データとし、前記学習モデルの出力結果に基づき、前記振り下げ動作が前記端末機器の使用終了時に行われたか使用中に行われたかを判断し、
前記節電手段は、前記判断手段が前記振り下げ動作が前記端末機器の使用終了時に行われたと判断した場合、前記端末機器を節電モードに遷移させることを特徴とする請求項1に記載の端末機器。
【請求項6】
前記学習モデルを構築する学習手段を更に備え、
前記学習手段は、前記判断手段による判断が行われてから所定時間以内に前記端末機器への操作がない場合に前記入力データに対して、使用終了という結果を出力するよう追加学習し、前記学習モデルを更新することを特徴とする請求項5記載の端末機器。
【請求項7】
前記判断手段が前記振り下げ動作が前記端末機器の使用終了時に行われたと判断した場合であって、前記所定時間以内に前記端末機器への操作がなかった場合、前記所定時間として設定される時間を短くすることを特徴とする請求項6記載の端末機器。
【請求項8】
前記判断手段が前記振り下げ動作が前記端末機器の使用中に行われたと判断した場合であって、前記所定時間以内に前記端末機器への操作があった場合、前記所定時間として設定される時間を短くすることを特徴とする請求項6記載の端末機器。
【請求項9】
ユーザの手により振り下げ動作を行うことが可能な端末機器の電源制御方法であって、
前記端末機器の3軸の夫々の方向の動きを検知し、前記3軸の加速度出力値を出力する動き検知ステップと、
前記動き検知ステップの出力結果に基づき、前記振り下げ動作が前記端末機器の使用終了時に行われたか使用中に行われたかを判断する判断ステップと、
前記判断ステップにて、前記振り下げ動作が前記端末機器の使用終了時に行われたと判断された場合には、前記端末機器を節電モードに遷移させる節電ステップとを有することを特徴とする電源供給制御方法。
【請求項10】
請求項9に記載の電源供給制御方法を実行することを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端末機器、電源供給制御方法、並びにプログラムに関し、特に、ユーザ動作を検知して節電する端末機器、電源供給制御方法、並びにプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、一定期間ユーザによる操作がない場合に節電モードに移行する機能が搭載されているカメラが知られている。
【0003】
例えば、被写体を探しているときなど、ユーザによる操作がなくてもカメラの電源がONの状態となっている場合がある。このような場合、かかる機能により節電モードに移行することでカメラの電力の消費を抑え、バッテリー持ちが向上する。
【0004】
一方、この機能ではユーザの使用終了タイミングを確実に計れないため、不用意に節電モードに移行してしまう、もしくは節電モードに移行するまでに時間がかかるといった問題が生じている。
【0005】
かかる問題を解決する技術として、特許文献1では姿勢情報をバッファに蓄積し、蓄積された情報をもとに撮像装置の動きの有無を判断し、その判断結果に応じて節電モードへの遷移を行う技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2012-165243号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に開示の技術では、姿勢情報を逐次バッファに蓄積し続けるため電力の消費が大きい。また、特許文献1のように撮像装置の動きの有無のみに基づき節電モードへの遷移を行うと、ユーザによる撮像装置の使用中に節電モードへ遷移してしまうという問題も生じ得る。かかる問題は、人の手によってその動き(姿勢)が変化する端末機器全般に対して該当する問題である。
【0008】
そこで、本発明の目的は、節電効率を向上させ、かつ使用中に誤って節電モードに遷移することを防止することができる端末機器、電源供給制御方法、並びにプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の請求項1に係る端末機器は、ユーザの手により振り下げ動作を行うことが可能な端末機器であって、前記端末機器の3軸の夫々の方向の動きを検知し、前記3軸の加速度出力値を出力する動き検知手段と、前記動き検知手段の出力結果に基づき、前記振り下げ動作が前記端末機器の使用終了時に行われたか使用中に行われたかを判断する判断手段と、前記判断手段により前記振り下げ動作が前記端末機器の使用終了時に行われたと判断された場合には、前記端末機器を節電モードに遷移させる節電手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、撮像装置の節電効率を向上させ、かつその使用中に誤って節電モードに遷移することを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第1の実施形態に係る端末機器としての撮像装置の構成を示すブロック図である。
図2A図1におけるシステム制御部、システムメモリ、及びメモリの詳細な構成を示すブロック図である。
図2B図2Aの変形例の構成を示すブロック図である。
図3A図1における3軸加速度センサのX、Y、Z軸を表わした図である。
図3B】ユーザが撮像装置を使用終了時および使用中に振り下げたときの3軸加速度センサのX軸、Y軸、Z軸の加速度出力値の時系列変化の例を示す図である。
図3C図3Bに示す3軸加速度センサのX軸、Y軸、Z軸の加速度出力値の二乗和平方根の時系列変化の値を示す図である。
図4A】第1の実施形態に係る電源供給制御処理のフローチャートである。
図4B図4Aの続きである。
図5】第2の実施形態に係る図2Bにおける学習部で構築された学習モデルの入出力データを説明するための図である。
図6図5の学習モデルを利用した、第2の実施形態に係る電源供給制御処理の概要を示す図である。
図7A】第2の実施形態に係る電源供給制御処理のフローチャートである。
図7B図7Aの続きである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を詳しく説明する。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る本発明を限定するものでなく、また本実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが本発明の解決手段に必須のものとは限らない。
【0013】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る端末機器としてのレンズユニット交換式撮像装置(以下、単に「撮像装置」という。)1の構成を示すブロック図である。
【0014】
図1において、撮像装置1は、カメラ本体100と、カメラ本体100と着脱可能に構成されるレンズユニット200とで構成される。すなわち、レンズユニット200により、入射光がカメラ本体100の撮像素子105に導かれる。
【0015】
まずカメラ本体100の構成について説明する。
【0016】
カメラ本体100は、コネクタ101、レンズマウント102、シャッター103、シャッター制御部104、撮像素子105、画像処理部106、記録回路107、表示部111、及び通信部121を備える。また、カメラ本体100は、システムタイマー122、システムメモリ123、操作部124、電源スイッチ125、シャッターボタン126、第1シャッタースイッチ127、第2シャッタースイッチ128、及び3軸加速度センサ130を備える。更に、カメラ本体100は、メモリ140、システム制御部150、電源制御部160、及び電源部170を備える。
【0017】
シャッター制御部104は、画像処理部106からの露出情報に基づいて、後述するレンズユニット200の絞り203を制御するレンズ制御部204と連携しながら、シャッター103を制御する。
【0018】
撮像素子105では、後述するレンズユニット200においてレンズ205、絞り203、レンズマウント202を通過し、更にカメラ本体100においてレンズマウント102、シャッター103を通過した入射光が被写体の光学像として結像される。撮像素子105は、その結像した被写体の光学像を電気信号(映像信号)に変換し、画像処理部106に出力する。
【0019】
画像処理部106は、撮像素子105より出力された映像信号に対して所定の演算を行い、その演算結果に基づいて、画素補間処理、色変換処理やホワイトバランス処理等の画像処理を映像信号に施し、撮像画像やスルー画像として表示部111に出力する。また、画像処理部106は、映像信号をJPEG等の画像データに圧縮する機能も有する。
【0020】
記録回路107は、画像データの記録や読み出しが可能な半導体メモリ等の不図示の記録媒体と着脱可能な回路であって、装着された記録媒体に対して画像データの読み書きを行う。
【0021】
通信部121は、無線または有線ケーブルによって外部機器と接続し、映像信号や音声信号の送受信を行う。通信部121は無線LAN(Local Area Network)やインターネットとも接続可能である。通信部121は撮像画像(又はスルー画像)のデータや、記録回路107を介して記録媒体に記録された画像データを送信可能であり、また、外部機器から画像データやその他の各種情報を受信することができる。
【0022】
操作部124は、ユーザがシステム制御部150に各種所定の動作指示を入力するための操作手段である。具体的には操作部124は、スイッチやダイヤル、タッチパネル、視線検知によるポインティング、音声認識装置等のいずれか一つ又はそれらの組み合わせにより構成される。
【0023】
システムタイマー122は、各種制御に用いる時間や、内蔵された時計の時間を計測する。
【0024】
システムメモリ123は、RAMが用いられる。システムメモリ123には、システム制御部150の動作用の定数、変数、メモリ140から読み出したプログラム等を展開する。また、3軸加速度センサ130の各軸の加速度出力値を時系列で蓄積する機能も担う。
【0025】
電源スイッチ125は、カメラ本体100の電源ON、電源OFFの各モードをユーザ操作に応じて切り替え設定する。
【0026】
シャッターボタン126は、ユーザがカメラ本体100に対して撮影指示を行うための操作部である。
【0027】
第1シャッタースイッチ127は、ユーザによるシャッターボタン126の操作途中の状態、いわゆる半押し(撮影準備指示)の操作があるとONとなり、第1シャッタースイッチ信号SW1を発生する。システム制御部150は、第1シャッタースイッチ信号SW1により、オートフォーカス処理、自動露出処理、オートホワイトバランス処理、フラッシュプリ発光処理等の動作が開始する。
【0028】
第2シャッタースイッチ128は、ユーザによるシャッターボタン126の操作完了の状態、いわゆる全押し(撮影指示)の操作があるとONとなり、第2シャッタースイッチ信号SW2を発生する。システム制御部150は、第2シャッタースイッチ信号SW2により、撮像素子105からの信号読み出しから記録回路107を介した不図示の記録媒体への画像データの書き込みまでの一連の撮影処理の動作を開始する。
【0029】
3軸加速度センサ130は、撮像装置1の姿勢変化を3軸(後述する図3AのX軸、Y軸、Z軸)における加速度出力値として検知する。
【0030】
メモリ140は、電気的に消去・記憶可能な不揮発性メモリも含まれ、ROMが用いられる。システム制御部150の動作用の定数、プログラム等が記憶される。ここでいう、プログラムとは、本実施形態にて後述する各種フローチャートを実行するためのプログラムのことである。また、メモリ140は、3軸加速度センサ130で検知される各軸の加速度出力値の時系列変化のモデルデータを記憶する機能も担う。ここで、モデルデータには、少なくとも2種類のデータが含まれる。1つは、ユーザによる撮像装置1の振り下げ動作が使用終了時に行われた場合の各軸の加速度出力値の時系列変化を示すデータである。もう一つは、ユーザによる撮像装置1の振り下げ動作が使用中に行われた場合の各軸の加速度出力値の時系列変化を示すデータである。尚、ここでいう使用終了時とは、ユーザが撮像装置1の使用(撮影、再生、ライブビュー表示等)を一定期間以上行わなくなったタイミングを指す。一方、使用中とは、ユーザが撮像装置1の使用を継続しているタイミングを指す。
【0031】
システム制御部150は、少なくとも一つのプロセッサーを有する制御部であり、カメラ本体100全体の動作を制御する。
【0032】
電源制御部160は、電池検出回路、保護回路、DCDCコンバータ、LDOレギュレータ等から構成されている。電池装着の有無や電池種類、残量検出や過電流を検出した際には電源を遮断することにより電源制御部160に接続された負荷回路を保護する機能を有する。電源制御部160は、システム制御部150の指示に基づき、電源部170を制御し、所望の電源電圧を所望の期間、カメラ本体100の各部に供給する。
【0033】
電源部170は、アルカリ電池やリチウム電池等の一次電池やNiCd電池やNiMH電池、Li電池等の二次電池、ACアダプター等からなる。
【0034】
レンズマウント102は、カメラ本体100をレンズユニット200と接続するためのインターフェースである。
【0035】
コネクタ101は、カメラ本体100をレンズユニット200と電気的に接続するコネクタであり、システム制御部150により制御される。
【0036】
次にレンズユニット200の構成について説明する。
【0037】
レンズユニット200は、コネクタ201、レンズマウント202、絞り203、レンズ制御部204、及びレンズ205を備える。
【0038】
レンズ制御部204は、レンズユニット200全体を制御するレンズ制御部である。レンズ制御部204は、動作用の定数、変数、プログラム等を記憶するメモリを備える。またレンズ制御部204は、レンズユニット200固有の番号等の識別情報、管理情報、絞り203の開放絞り値や最小絞り値、焦点距離等の機能情報、現在や過去の各設定値等を保持する不揮発メモリも備える。レンズ制御部204は、画像処理部106より測定された画像の合焦状態に応じて、レンズ205のフォーカシングを制御し、撮像素子105に入射する被写体の光学像の結像位置を変更することでAF動作を行うことが可能である。また、レンズ制御部204は絞り203の制御や、レンズ205のズーミングを制御する機能も兼ね備える。
【0039】
レンズマウント202は、レンズユニット200をカメラ本体100と接続するためのインターフェースである。
【0040】
コネクタ201は、レンズユニット200をカメラ本体100と電気的に接続するコネクタであり、レンズ制御部204により制御される。
【0041】
次に、第1の実施形態に係る電源供給制御処理の概要について、図2Aに基づいて説明する。
【0042】
図2Aは、システム制御部150、システムメモリ123、及びメモリ140の詳細な構成を示すブロック図である。
【0043】
システム制御部150は、演算部151、制御部152、及び判断部153を備える。
【0044】
システムメモリ123は、有限バッファなどで構成される蓄積領域141を備える。
【0045】
メモリ140は、ユーザによる撮像装置1の使用終了時において3軸加速度センサ130から出力される3軸の加速度出力値の時系列変化のモデルデータとそれに準ずるルールベースを記憶する記憶領域142(第2の記憶部)を備える。これらのモデルデータやルールベースは、判断部153によって後述する信号のパターンマッチングを行う際に参照される。
【0046】
演算部151は、3軸加速度センサ130から出力された3軸の加速度出力値の二乗和平方根を演算し、制御部152へ出力する。
【0047】
制御部152は、システムメモリ123の蓄積領域141(第1の記憶部)に3軸加速度センサ130から出力された3軸の加速度出力値を時系列で蓄積させる制御を行う。尚、この制御は、演算部151から出力された二乗和平方根の時系列変化が、後述する図3Cに示すような立下りの後に立上りが続く時系列変化となっている場合のみ実行される。
【0048】
判断部153は、蓄積領域141に蓄積された3軸加速度センサ130から出力された3軸の加速度出力値の時系列変化と、記憶領域142に記憶されたモデルデータのパターンマッチングを、記憶領域142に記憶されるルールベースに基づいて行う。このパターンマッチングの結果に応じて、判断部153は、蓄積領域141に蓄積された3軸の加速度出力値の時系列変化を、使用終了または使用中に分類する。判断部153は、分類結果が使用終了である場合、節電モードへ遷移させるための制御信号を電源制御部160に出力し、電源制御部160によりカメラ本体100を節電モードに遷移させる。ここで、節電モードとは、電源制御部160が電源部170を制御し、カメラ本体100の一部への電源供給を中断するモードを指す。
【0049】
また、図2Bに示す様に、システム制御部150は更に学習部154を有していてもよい。但し、システム制御部150に学習部154がなくても、第1の実施形態に係る電源供給制御処理は実行することが可能である。
【0050】
判断部153は、上記パターンマッチングによる分類後にその結果の正誤判断を行う。学習部154は、蓄積領域141に蓄積されている3軸の加速度出力値の時系列変化を、その正誤判断の結果に応じた正しい分類結果のデータとして用いて追加学習を行う(学習フェーズ)。また、この追加学習により更新された学習モデルの学習済パラメータは記憶領域142に記憶される。尚、上記分類結果の正誤判断は、上記分類が行われてから所定時間内にユーザのボタン/タッチ操作があったかどうかに基づき行う。学習部154により構築される学習モデルの詳細については、図5において後述する。
【0051】
次に3軸加速度センサ130からの3軸の加速度出力値および演算部151により算出される値に関して図3A図3B図3C用いて説明する。
【0052】
図3Aは、3軸加速度センサ130のX軸、Y軸、Z軸を表わした図である。
【0053】
図3Bは、ユーザが撮像装置1を使用終了時および使用中に振り下げたときの3軸加速度センサ130のX軸、Y軸、Z軸の加速度出力値の時系列変化の例を示す図である。
【0054】
図3Bにおいて、縦軸は3軸加速度センサ130のX軸、Y軸、Z軸の加速度出力値、横軸は3軸加速度センサ130による検知時刻を示している。
【0055】
図3Bに示されるように、使用終了時においてはユーザが撮像装置1を固定せずに振り下げるため、振り下げ方向であるY軸だけでなく、X軸、Z軸も加速度変化が生じている。これに対して、使用中においてはユーザが撮像装置1を固定して振り下げるため、振り下げ方向であるY軸でない軸、特にX軸はほとんど加速度変化が生じていない。よって、第1の実施形態では、これら3軸の加速度変化の組み合わせの差を特徴点としてパターンマッチングを行う。
【0056】
図3Cは、図3Bに示す3軸加速度センサ130のX軸、Y軸、Z軸の加速度出力値の二乗和平方根の値の時系列変化を示す図である。上述の通り、この二乗和平方根の値は演算部151によって演算される。
【0057】
図3Cにおいて、縦軸は二乗和平方根の値、横軸は3軸加速度センサ130による検知時刻を示している。
【0058】
図3Bに示すように、撮像装置1が静止している状態では、3軸加速度センサ130のX軸、Z軸方向の加速度出力値は0であるのに対し、Y軸方向の加速度出力値は―1である。よって、図3Cにおいて、3軸加速度センサ130のX軸、Y軸、Z軸の加速度出力値から演算される二乗和平方根の値が1である場合とは、撮像装置1に重力加速度のみがかかっている、つまり、撮像装置1の静止状態を示す。よって、演算される二乗和平方根の基準値を1とする。図3Cに示されるように、ユーザによる撮像装置1の振り下げ動作が行われると二乗和平方根の値は基準値より小さくなり、その後大きくなる。振り下げ動作が終了すると再び基準値となる。このような特徴的な変化を検知して、振り下げ動作が行われたかどうかを制御部152で判断する。
【0059】
以下、図4A図4Bのフローチャートを参照して、第1の実施形態に係る電源供給制御処理のフローチャートについて説明する。
【0060】
尚、本処理は、システム制御部150が、メモリ140からプログラムを読み出し、システムメモリ123内に展開することにより実行する。
【0061】
ステップS400で、ユーザが電源スイッチ125をONにすると、システム制御部150はカメラ本体100を起動する。
【0062】
ステップS401で、システム制御部150は3軸加速度センサ130を起動し、3軸加速度センサ130から所定のサンプリングレートでの3軸の加速度出力値の取得を開始する。
【0063】
ステップS402で、演算部151は、3軸加速度センサ130からの3軸の加速度出力値の二乗和平方根の演算を開始する。具体的には、上記所定のサンプリングレートで3軸の加速度出力値を取得する毎に、その二乗和平方根を演算し、その演算値と3軸加速度センサ130による検知時刻と紐付けたものを演算結果として制御部152に出力する。また、制御部152は、演算部151からの演算結果の蓄積を開始する。
【0064】
この演算結果に基づき、制御部152は、後述のステップS403,S405,S409の判別を行い、ユーザが撮像装置1の振り下げ動作を行ったかを判別する。具体的には、制御部152は、ステップS402で演算された二乗和平方根の時系列変化が図3Cに示す時系列変化となっている場合、ユーザが撮像装置1の振り下げ動作を行ったと判別する。
【0065】
すなわち、まず、ステップS403で、制御部152は、振り下げ動作の前半に生じる立下りの動き(第1の動き)をステップS402での演算結果に閾値を設けることで検知する。ここで立下りを検知した場合には、システムタイマー122による計時を開始した後、ステップS404に移行する。一方、立下りを検知していない場合には、再びステップS403を繰り返す。
【0066】
ステップS404で、制御部152は、3軸加速度センサ130で検知している3軸の加速度出力値の3軸加速度センサ130による検知時刻と紐付けた状態での蓄積をシステムメモリ123の蓄積領域141において開始する。
【0067】
ステップS405で、制御部152は、振り下げ動作の後半に生じる立上りの動きを検知する。具体的には、ステップS402での演算結果のうち、上記立下りが検知された検知時刻以降の検知時刻に紐付けられた演算結果に別の閾値を設けることでこの検知を実行する。ここで立上りを検知した場合には、ステップS406に移行する。一方、立上りを検知していない場合には、ステップS407に移行する。
【0068】
ステップS406で、制御部152は、3軸加速度センサ130で検知している3軸の加速度出力値の蓄積をシステムメモリ123の蓄積領域141において継続する。
【0069】
ステップS407で、制御部152は、システムタイマー122による計時時間を確認し、ステップS403で立下りを検出してから所定時間が経過したかの判定を行う。所定時間が経過したと判定された場合には、ステップS408に移行する。一方、所定時間が経過していないと判定された場合には、再びステップS405を繰り返す。
【0070】
ステップS408で、制御部152は、システムメモリ123の蓄積領域141に蓄積された、3軸加速度センサ130で検知された3軸の加速度出力値を消去する。また、制御部152は、ステップS402で蓄積を開始した演算部151からの演算結果を消去する。
【0071】
ステップS409で、制御部152は、振り下げ動作の終了時に生じる撮像装置1の静止状態を、ステップS402での演算結果のうち、上記立上がりが検知された検知時刻以降の検知時刻に紐付けられた演算結果が基準値となったか否かで検知する。ここで撮像装置1の静止状態を検知した場合、振り下げ動作の後半の立下りの後、その終了時に基準値となる動き(第2の動き)があったと判断し、ステップS410に移行する。一方、撮像装置1の静止状態を検知していない場合には、再びステップS409を繰り返す。
【0072】
ステップS410で、制御部152は、3軸加速度センサ130の3軸の加速度出力値のシステムメモリ123の蓄積領域141への蓄積を終了する。また、制御部152は、ステップS402で蓄積を開始した演算部151からの演算結果を消去する。
【0073】
ステップS411で、判断部153は、システムメモリ123の蓄積領域141に蓄積された3軸の加速度出力値及びその3軸加速度センサ130による検知時刻からなるデータ(蓄積された3軸の加速度出力値の時系列変化)を入力データとして取得する。
【0074】
ステップS412で、判断部153はメモリ140の記憶領域142に記憶されているモデルデータを取得する。
【0075】
ステップS413で、判断部153は、まず、ステップS411で取得した入力データがどのモデルデータと類似するかのパターンマッチングをルールベースに基づいて行う。このパターンマッチングにより、入力データを使用終了か使用中かに分類する。例えば、パターンマッチングの結果、全ての軸で加速度変化が生じているモデルデータに入力データが類似すると判定された場合、入力データは使用終了に分類される。
【0076】
ステップS414で、判断部153はステップS413のパターンマッチングの結果、入力データが使用終了に分類されたかの判定を行う。ここで使用終了に分類されたと判定した場合には、ステップS415に移行する。一方、使用終了に分類されていないと判定した場合には、ステップS417に移行する。
【0077】
ステップS415で、システムメモリ123の蓄積領域141に蓄積された3軸の加速度出力値を消去する。
【0078】
ステップS416で、システムメモリ123の制御部152は、電源制御部160に対し節電モードに遷移する旨の制御信号を送信し、電源制御部160に電源部170を制御し、カメラ本体100を節電モードに遷移させた後、本処理を終了する。
【0079】
ステップS417で、システムメモリ123の蓄積領域141に蓄積された3軸の加速度出力値を消去し、本処理を終了する。
【0080】
以上、第1の実施形態では、ユーザによる撮像装置1の振り下げ動作が使用終了時に行われたか使用中に行われたかの判断を、入力データのルールベースでのパターンマッチング結果に基づき行う。この結果、ユーザによる撮像装置1の振り下げ動作が使用終了時に行われたと判断された場合に節電モードへ遷移を行う。これにより、撮像装置1の節電効率を向上させ、かつその使用中に誤って節電モードに遷移することを防止することができる。
【0081】
また、図2Bのような構成をカメラ本体100が有する場合、学習部154による上述の追加学習を継続していくと、入力データを使用終了か使用中かに分類する精度は、パターンマッチングに基づいて行う場合より、学習モデルを用いた場合の方が高くなる。このような状態となった時点で、判断部153は、図4のステップS412,S413の処理の代わりに、学習部154で構築された学習モデルを用いて入力データを使用終了か使用中かに分類するようにする。これにより、ユーザによる撮像装置1の使用時間が長くなるにつれて、撮像装置1の節電効率をより向上させ、かつその使用中に誤って節電モードに遷移することをより確実に防止することができる。
【0082】
(第2の実施形態)
以下、本発明の第2の実施形態にについて説明する。
【0083】
第1の実施形態では、判断部153は、ユーザによる撮像装置1の振り下げ動作が使用終了時に行われたか使用中に行われたかの判断を、入力データのルールベースでのパターンマッチング結果に基づき行った。これに対し、第2の実施形態では、判断部153はかかる判断を、図2Bにおける学習部154で構築された後述する図5の学習モデル503からの出力結果に基づき行う。
【0084】
また、第2の実施形態に係るハードウェア構成は、第1の実施形態と同様である。よって、第2の実施形態においては、第1の実施形態と同様の構成について同一の符号を付し、重複した説明は省略する。
【0085】
図5は、第2の実施形態に係る学習部154で構築された学習モデル503の入出力データを説明するための図である。
【0086】
学習モデル503は、図2Bを用いて上述したように、学習フェーズにおいて学習部154により構築される学習モデルである。推論フェーズにおいてはこの構築された学習モデルを利用した判断部153が入力データ501の入力に応じて出力データ502を出力する。
【0087】
入力データ501は、図4AのステップS404から図4BのステップS410までの処理の間にシステムメモリ123の蓄積領域141に蓄積された3軸加速度センサ130の3軸の加速度出力値である。
【0088】
出力データ502は、学習モデル503による推論の結果、入力データ501が使用終了及び使用中のいずれに分類されたかを示すデータである。図3Bを用いて上述した通り、ユーザは、使用終了時において撮像装置1を固定せずに振り下げるため、振り下げ方向であるY軸以外の、X軸、Z軸も加速度変化が生じている。これ対して、ユーザは、使用中においては撮像装置1を固定して振り下げるため、振り下げ方向であるY軸でない軸、特にX軸はほとんど加速度変化が生じていない。よって、学習フェーズにおいては、これら3軸の加速度変化の組み合わせの差を特徴点として学習モデル503を構築する。
【0089】
学習モデル503は、あらかじめニューラルネットワークを利用した深層学習(ディープラーニング)により学習部154において構築される。ここでは、例えば振り下げ方向であるY軸以外の、X軸、Z軸も加速度変化が生じている場合の3軸加速度センサ130の3軸の加速度出力値からなる入力データに、使用終了を示すラベル(例えば1という値)を付した教師データを用いて予め学習されている。さらに、振り下げ方向であるY軸でない軸、特にX軸はほとんど加速度変化が生じていない場合の3軸加速度センサ130の3軸の加速度出力値からなる入力データに、使用中を示すラベル(例えば0という値)を付した教師データを用いて予め学習されている。なお、学習モデル503は、機械学習により構築されればよく、そのアルゴリズムは特に限定されない。例えば、学習モデル503のアルゴリズムとしては、最近傍法、ナイーブベイズ法、決定木、サポートベクターマシンなどを用いてもよい。
【0090】
また、学習部154は、図2Bにおいて不図示の、誤差検出部及び更新部を更に備える。
【0091】
誤差検出部は、学習モデル503の入力層に入力される入力データ501に応じて学習モデル503の出力層から出力される出力データ502と、教師データとの誤差検出を行う。尚、誤差検出部は、損失関数を用いて、学習モデル503からの出力データ502と教師データとの誤差を計算するようにしてもよい。
【0092】
更新部は、誤差検出部で得られた誤差に基づいて、その誤差が小さくなるように、学習モデル503を構成するニューラルネットワークのノード間の結合重み付け係数等の学習済パラメータを更新する(以下、単に「学習モデル503を更新する)という)。この更新部は、例えば、誤差逆伝播法を用いて学習モデル503の学習済パラメータを更新する。誤差逆伝播法は、上記の誤差が小さくなるように、学習モデル503の学習済パラメータを調整する手法である。
【0093】
以下、図6、及び図7A図7Bのフローチャートを参照して、第2の実施形態に係る電源供給制御処理について説明する。本処理では、ユーザによる撮像装置1の振り下げ動作が使用終了時に行われたか使用中に行われたかの判断を学習モデル503の出力結果に基づき行い、その判断結果に応じて節電モードへ遷移を行う。更に本処理では、かかる分類が行われてから所定時間内にユーザ操作があったかどうかに基づき上記分類結果の正誤判断を行う。この判断の結果、その分類結果が誤っている場合は学習部154の誤差検出部により上記誤差検出を行い、誤差が生じた場合は学習部154の更新部によりその誤差に基づき学習モデル503を更新する。
【0094】
尚、本処理は、システム制御部150が、メモリ140からプログラムを読み出し、システムメモリ123内に展開することにより実行する。
【0095】
まず、ステップS400~S410の処理を実行する。これにより、ユーザによる撮像装置1の振り下げ動作の開始から終了までの間の3軸加速度センサ130で検知された3軸の加速度出力値の時系列変化がシステムメモリ123の蓄積領域141に蓄積された後(図6の(1)~(4))、ステップS700に進む。
【0096】
ステップS700で、判断部153はシステムメモリ123の蓄積領域141に蓄積された3軸加速度センサ130の3軸の加速度出力値を入力データ501として取得する(図6の(5))。
【0097】
ステップS701で、判断部153はメモリ140の記憶領域142に記憶された学習モデル503を取得する(図6の(6)、(7))。
【0098】
ステップS702で、判断部153は入力データ501を学習モデル503に入力し、出力データ502を得る(図6の(8))。
【0099】
ステップS703で、判断部153はステップS702で得た出力データ502が使用終了かどうかの判定を行う。ここで使用終了に分類されたと判定した場合には、システムタイマー122による計時を開始すると共にステップS704に移行する。一方、使用終了に分類されていない、すなわち使用中に分類されたと判定した場合には、同じくシステムタイマー122による計時を開始すると共にステップS711に移行する。
【0100】
ステップS704で、判断部153はユーザのボタン/タッチ操作があったかどうかを操作部124からの信号により判定する。ここでボタン/タッチ操作があったと判定した場合には、ステップS705に移行する。ボタン/タッチ操作があった場合とはすなわち使用終了ではなく使用中の場合である。つまり現在の学習モデル503の出力結果は誤りである。そのため、ステップS705に進み、再学習(追加学習)する。
【0101】
ステップS705では、学習部154において誤差検出部が学習モデル503の出力層から出力される出力データ502と、使用中を示すラベルが付された教師データとの誤差検出を行い、誤差を得る。その後、学習部154において更新部がその得られた誤差に基づいて追加学習を行い、学習モデル503を更新する。
【0102】
ステップS706で、システムメモリ123の蓄積領域141に蓄積された、3軸加速度センサ130の3軸の加速度出力値を消去し、本処理を終了する。
【0103】
一方、ボタン/タッチ操作がないと判定した場合には、ステップS707に移行する。ボタン/タッチ操作がないと判定した場合とはすなわち使用終了の場合である。つまり、現在の学習モデル503の出力結果は正しかったことになる。
【0104】
ステップS707で、判断部153は、システムタイマー122による計時時間を確認し、ステップS703で使用終了に分類されたと判定してから所定時間が経過したかの判定を行う。所定時間が経過したと判定した場合には、ステップS708に移行する。一方、所定時間が経過していないと判定した場合には、再びステップS704を繰り返す。すなわち、入力データが使用終了と分類された場合(ステップS703でYES)、所定時間以内にユーザのボタン/タッチ操作がなかった場合は(ステップS707でNO、ステップS704でYES)、ステップS705に進む。
【0105】
ステップS708で、システムメモリ123の蓄積領域141に蓄積された、3軸加速度センサ130の3軸の加速度出力値を消去する。この際、ステップS705と同様の処理を行なうようにしてもよい。すなわち、学習部154において誤差検出部が学習モデル503の出力層から出力される出力データ502と、使用終了を示すラベルが付された教師データとの誤差検出を行い、誤差を得る。その後、学習部154において更新部がその得られた誤差に基づいて追加学習を行い、学習モデル503を更新する。すなわち、この場合は、現在の学習モデル503により使用終了であると正しく判断できた入力データに対して、使用終了を示すラベルが付された教師データを用いた再学習を行うことになる。
【0106】
ステップS709で、ステップS704,S707で実行される、ボタン/タッチ操作があったか否かの判定に用いる所定時間に設定された時間を短くする。
【0107】
ステップS710で、システムメモリ123の制御部152は、電源制御部160に対し節電モードに遷移する旨の制御信号を送信し、電源制御部160に電源部170を制御し、カメラ本体100を節電モードに遷移させる(図6の(9)、(10))。その後、本処理を終了する。
【0108】
ステップS711で、判断部153はユーザのボタン/タッチ操作があったかどうかを操作部124からの信号により判定する。ここでボタン/タッチ操作があったと判定した場合には、ステップS712に移行する。ボタン/タッチ操作があった場合とはすなわち使用終了ではなく使用中の場合である。つまり現在の学習モデル503の出力結果は正しい。一方、ボタン/タッチ操作がないと判定した場合には、ステップS714に移行する。ボタン/タッチ操作がないと判定した場合とはすなわち使用終了の場合である。つまり現在の学習モデル503の出力結果は誤りである。そのため、ステップS714に進み、再学習(追加学習)する。
【0109】
ステップS712で、システムメモリ123の蓄積領域141に蓄積された、3軸加速度センサ130の3軸の加速度出力値を消去する。この際、後述するステップS715と同様の処理を行なうようにしてもよい。すなわち、学習部154において誤差検出部が学習モデル503の出力層から出力される出力データ502と、使用中を示すラベルが付された教師データとの誤差検出を行い、誤差を得る。その後、学習部154において更新部がその得られた誤差に基づいて追加学習を行い、学習モデル503を更新する。すなわち、この場合は、現在の学習モデル503で使用中であると正しく判断できた入力データに対して、使用中を示すラベルが付された教師データを用いた再学習を行うことになる。
【0110】
ステップS713で、ステップS711及び後述するステップS714で実行される、ボタン/タッチ操作があったか否かの判定に用いる所定時間に設定された時間を短くし、本処理を終了する。
【0111】
ステップS714で、判断部153は、システムタイマー122による計時時間を確認し、ステップS703で使用終了に分類されていないと判定してから所定時間が経過したかの判定を行う。所定時間が経過したと判定した場合には、ステップS715に移行する。一方、所定時間が経過していないと判定した場合には、再びステップS711を繰り返す。すなわち、入力データが使用終了でない(使用中である)と分類された場合(ステップS703でNO)、所定時間以内にユーザのボタン/タッチ操作がない場合は(ステップS711でYES、ステップS714でYES)、ステップS715に進む。ボタン/タッチ操作がないと判定した場合とはすなわち使用終了の場合である。つまり、現在の学習モデル503の出力結果は誤りである。そのため、ステップS715に進み、再学習(追加学習)する。
【0112】
ステップS715で、学習部154において誤差検出部が学習モデル503の出力層から出力される出力データ502と、使用終了を示すラベルが付された教師データとの誤差検出を行い、誤差を得る。その後、学習部154において更新部がその得られた誤差に基づいて追加学習を行い、学習モデル503を更新する。
【0113】
ステップS716で、システムメモリ123の蓄積領域141に蓄積された、3軸加速度センサ130の3軸の加速度出力値を消去する。
【0114】
ステップS717で、システムメモリ123の制御部152は、電源制御部160に対し節電モードに遷移する旨の制御信号を送信し、電源制御部160に電源部170を制御し、カメラ本体100を節電モードに遷移させた後、本処理を終了する。
【0115】
ステップS709,S713で、ユーザのボタン/タッチ操作があったか否かの判定に用いる所定時間として設定される時間を短くできるのは、学習モデル503が正しい分類結果を出力データ502として出力したときのみである。すなわち、学習モデル503によるパターンマッチングの精度が上がるにつれて、撮像装置1は、ユーザが使用終了時において振り下げ動作をしたと検知した後、素早く節電モードに移行することが可能となる。
【0116】
以上、第2の実施形態では、ユーザによる撮像装置1の振り下げ動作が使用終了時に行われたか使用中に行われたかの分類を学習モデル503を用いて行い、使用終了時と分類された場合に節電モードへ遷移する。これにより、撮像装置1の節電効率を向上させ、かつその使用中に誤って節電モードに遷移することを防止することができる。
【0117】
更に、学習部154に追加学習を行わせることにより、ユーザ個々のクセにも対応した分類が可能となるため、撮像装置1を使用していくにつれてその分類精度が向上し、誤検知なく素早く節電モードへの遷移ができるようになる。
【0118】
尚、本実施形態では、撮像装置1を例に説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。ユーザの手により振り下げ動作を行うことが可能な端末機器であれば、その形態によらず適用することが可能である。
【0119】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【0120】
[その他の実施形態]
本発明の目的は、前述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体を、装置に供給することによっても、達成されることは言うまでもない。このとき、供給された装置の制御部を含むコンピュータ(またはCPUやMPU)は、記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出し実行する。
【0121】
この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施形態の機能を実現することになり、プログラムコード自体及びそのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
【0122】
プログラムコードを供給するための記憶媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、CD-R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM等を用いることができる。
【0123】
また、上述のプログラムコードの指示に基づき、装置上で稼動しているOS(基本システムやオペレーティングシステム)などが処理の一部又は全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0124】
更に、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、装置に挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書込まれ、前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。このとき、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPU等が実際の処理の一部又は全部を行う。
【符号の説明】
【0125】
1 撮像装置
130 3軸加速度センサ
141 蓄積領域
142 記憶領域
151 演算部
152 制御部
153 判断部
154 学習部
160 電源制御部
503 学習モデル
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図5
図6
図7A
図7B