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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-05
(45)【発行日】2024-04-15
(54)【発明の名称】洗浄剤組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/36 20060101AFI20240408BHJP
   A61K 8/44 20060101ALI20240408BHJP
   A61K 8/46 20060101ALI20240408BHJP
   A61K 8/60 20060101ALI20240408BHJP
   A61Q 19/10 20060101ALI20240408BHJP
【FI】
A61K8/36
A61K8/44
A61K8/46
A61K8/60
A61Q19/10
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019232226
(22)【出願日】2019-12-24
(65)【公開番号】P2021098677
(43)【公開日】2021-07-01
【審査請求日】2022-10-06
(73)【特許権者】
【識別番号】306018376
【氏名又は名称】クラシエ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】鬼塚 恵育
【審査官】片山 真紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-241904(JP,A)
【文献】特開2010-241909(JP,A)
【文献】国際公開第2005/032509(WO,A1)
【文献】特開2017-095451(JP,A)
【文献】特開2017-078037(JP,A)
【文献】Cosmetic-Info.jp[ONLINE],2017年09月13日,https://www.cosmetic-info.jp/prod/detail.php?id=54524[retrieved on 2023-09-22]
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K8/00-8/99
A61Q1/00-90/00
C11D1/00-19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ミリスチン酸塩、パルミチン酸塩およびステアリン酸塩、
(B)N-アシルアスパラギン酸塩
(C)N-アシルメチルタウリンナトリウム又はN-アシルメチルタウリンマグネシウム、
水、
を含有し、
洗浄剤組成物全質量に対して、ミリスチン酸塩の配合量が1.5~12質量%であり、パルミチン酸塩の配合量が0.5~1質量%であり、ステアリン酸塩の配合量が0.1~1質量%であり、N-アシルアスパラギン酸塩の配合量が0.5~7質量%であり、N-アシルメチルタウリンナトリウム又はN-アシルメチルタウリンマグネシウムの配合量が0.5~7質量%であり、
炭素数12以下の脂肪酸塩を含有しないことを特徴とする洗浄剤組成物。
【請求項2】
更に(D)両性界面活性剤を含有する請求項1記載の洗浄剤組成物。
【請求項3】
更に(E)アルキルポリグルコシドを含有する請求項1又は2記載の洗浄剤組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄剤組成物に関し、詳しくは、泡立ちと泡質(弾力性)が良好で、且つ洗浄後の肌がきしまず、しっとりとした感触を有する洗浄剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自分が敏感肌であると認識する消費者が増加しており、洗浄剤組成物においても洗浄機能だけでなく、皮膚に対する刺激緩和性、保湿力などの付加価値的機能を備えることが求められてきている。また、一方で泡立ちの良さや洗浄力などの、洗浄剤としての基本性能も求められている機能の一つである。
【0003】
その観点から、皮膚に近いpH領域での応用が可能であり、皮膚に対する刺激性の低いアミノ酸系界面活性剤が注目されている中、アミノ酸系界面活性剤、ベタイン系両性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤を組み合わせて、低刺激であり、高粘度で調製可能な洗浄剤組成物(例えば特許文献1)や、高級脂肪酸塩、アシルグリシン塩、アシルアスパラギン酸塩、アシルメチルタウリン塩を組み合わせて、洗浄性、バイオフィルム除去性、皮膚低刺激性を有した洗浄剤組成物(例えば特許文献2)、N-アシルグルタミン酸塩、及びN-アシルアスパラギン酸塩を組み合わせることで、皮膚に対して柔和で、きめが細かく、泡の肌への密着性が良い洗浄剤組成物(例えば特許文献3)、アシルアスパラギン酸塩とアシルメチルタウリンMg塩を組み合わせることで、皮膚に対する刺激が緩和で、豊かな泡立ちを有する洗浄剤組成物(例えば特許文献4)などが開発されている。
【文献】特開2016-74905号公報
【文献】特開2015-105262号公報
【文献】特開2014-5230号公報
【文献】特開2018-131542号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、これらの洗浄剤組成物はアミノ酸系界面活性剤の皮膚に対する緩和性といった特長は活かしているものの、消費者が洗顔やボディソープといった洗浄料を使用する上で不可欠要素である泡立ちと泡質(弾力性)の観点で不十分であった。
【0005】
このような背景から、泡立ちと泡質(弾力性)が良好で、且つ洗浄後の肌がきしまず、しっとりとした感触を有する洗浄剤組成物が求められている。
【0006】
本発明は上記課題を鑑みてなされたものであり、その目的は、泡立ちと泡質(弾力性)が良好で、且つ洗浄後の肌がきしまず、しっとりとした感触を有する洗浄剤組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者等は、本発明の目的を達成するために鋭意研究した結果、所定の脂肪酸塩とN-アシルアスパラギン塩とN-アシルメチルタウリン塩を組み合わせることにより、泡立ちと泡質(弾力性)が良好で、且つ洗浄後の肌がきしまず、しっとりとした感触を有する洗浄剤組成物が得られることを見出し、本発明を完成した。
【0008】
第一の発明は、
(A)ミリスチン酸塩を含みラウリン酸塩を含まない脂肪酸塩
(B)N-アシルアスパラギン酸塩
(C)N-アシルメチルタウリン塩
を含有することを特徴とする洗浄剤組成物である。
【0009】
第二の発明は、更に(D)両性界面活性剤を含有する、第一の発明に記載の洗浄剤組成物である。
【0010】
第三の発明は、更に(E)アルキルポリグルコシドを含有する、第一又は第二の発明に記載の洗浄剤組成物である。
【0011】
第四の発明は、前記成分(A)が、ミリスチン酸塩を3~12質量%含有する、第一乃至第三の発明のいずれかに記載の洗浄剤組成物である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、泡立ちと泡質(弾力性)が良好で、且つ洗浄後の肌がきしまず、しっとりとした感触を有する洗浄剤組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の洗浄剤組成物について詳細に説明する。
【0014】
<成分(A) ミリスチン酸塩を含みラウリン酸塩を含まない脂肪酸塩>
本発明の洗浄剤組成物で用いられる成分(A)はミリスチン酸塩を含みラウリン酸塩を含まない脂肪酸塩である。成分(A)を配合することにより、泡立ちと泡質(弾力性)を向上させることができる。脂肪酸塩を構成する脂肪酸は、泡立ちと泡質(弾力性)の観点から、炭素数14の飽和脂肪酸を含有することが好ましい。また皮膚に対する刺激の観点から、炭素数12以下の脂肪酸塩を含有しないことが好ましい。例えばミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸などの単一の脂肪酸や、ヤシ油脂肪酸、牛脂脂肪酸、ヒマシ油脂肪酸、オリーブ油脂肪酸、パーム油脂肪酸などから誘導される脂肪酸、又はそれらの混合物が挙げられる。脂肪酸塩を構成する塩としては、例えばナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、低級アルカノールアミン塩などが挙げられるが、好ましくは、ナトリウム塩、カリウム塩であり、安定性の観点からは特にカリウム塩が好ましい。
【0015】
また、皮膚への刺激緩和の観点から、本発明における脂肪酸塩は、ラウリン酸以外の脂肪酸の塩である。ラウリン酸塩は角層内に入り込み、細胞間脂質を乱すことから皮膚への刺激が高く好ましくない。ラウリン酸は、洗浄力、泡立ち(起泡性)、泡持続性に優れる成分であることが知られているが、本発明ではラウリン酸塩を含まなくても、ラウリン酸以外の脂肪酸の塩と所定の他の必須成分と組み合わせることにより、皮膚への刺激を緩和しながら、泡立ちと泡質(弾力性)が良好である点において優れている。
【0016】
本発明の洗浄剤組成物で用いられる成分(A)を具体的に例示すれば、ミリスチン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、イソステアリン酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ミリスチン酸カリウム、パルミチン酸カリウム、ステアリン酸カリウム、イソステアリン酸カリウム、オレイン酸カリウム、ミリスチン酸トリエタノ―ルアミン、パルミチン酸トリエタノ―ルアミン、ステアリン酸トリエタノ―ルアミン、イソステアリン酸トリエタノ―ルアミン、オレイン酸トリエタノ―ルアミン、牛脂脂肪酸ナトリウム、ヒマシ油脂肪酸ナトリウム、オリーブ油脂肪酸ナトリウム、パーム油脂肪酸ナトリウム、牛脂脂肪酸カリウム、ヒマシ油脂肪酸カリウム、オリーブ油脂肪酸カリウム、パーム油脂肪酸カリウム、牛脂脂肪酸トリエタノ―ルアミン、ヒマシ油脂肪酸トリエタノ―ルアミン、オリーブ油脂肪酸トリエタノ―ルアミン、パーム油脂肪酸トリエタノ―ルアミン等が挙げられる。本発明の洗浄剤組成物には、これら高級脂肪酸塩を1種単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0017】
本発明の洗浄剤組成物において、成分(A)の配合量は、好ましくは3~15質量%であり、より好ましくは5~10質量%である。3質量%以上では、良好な泡量、泡質(弾力性)が得られ、15質量%以下では、洗浄後の肌きしみが強くなく、しっとりとした感触が得られる。なお、2種以上を組み合わせて用いる場合には、それらを合計したものである。
【0018】
また、本発明の成分(A)は、洗浄剤組成物全質量に対してミリスチン酸塩を3~12質量%含有することが好ましい。ミリスチン酸塩を上記含有量で含有することにより泡膜への吸着が早く強固な泡膜を作りやすいことから、泡立ちと泡質が良好になるため好ましい。また、以下に詳述する成分(B)及び(C)と組合せることにより、相乗的に泡立ちと泡質が良くなることからも好ましい。
【0019】
<成分(B) N-アシルアスパラギン酸塩>
本発明の洗浄剤組成物で用いられる成分(B)はN-アシルアスパラギン酸塩である。成分(B)を配合することにより、洗浄後の肌のきしみを抑え、しっとりとした肌感触を付与することができる。かかるアシル基は炭素原子数8~22の脂肪酸残基が好ましく、例えばラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸などの単一のアシル基や、ヤシ油脂肪酸、牛脂脂肪酸、ヒマシ油脂肪酸、オリーブ油脂肪酸、パーム油脂肪酸などから誘導されるアシル基、又はそれらの混合物が挙げられる。アミノ酸系界面活性剤の塩としては、例えばナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、低級アルカノールアミン塩などが挙げられるが、好ましくは、ナトリウム塩、カリウム塩である。
【0020】
本発明の洗浄剤組成物で用いられる成分(B)N-アシルアスパラギン酸塩を具体的に例示すれば、ラウロイルアスパラギン酸Na、ミリストイルアスパラギン酸Na、オレイルアスパラギン酸Na等が挙げられる。本発明の洗浄剤組成物には、これらN-アシルアスパラギン酸Naを1種単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0021】
本発明の洗浄剤組成物において、成分(B)N-アシルアスパラギン酸塩の配合量は、好ましくは0.5~7質量%であり、より好ましくは1.5~4質量%である。0.5質量%以上では洗浄後の肌がしっとりとした感触になり7%以下では泡質がきめ細かくなるため好ましい。なお、2種以上を組み合わせて用いる場合には、それらを合計したものである。
【0022】
<成分(C) N-アシルメチルタウリン塩>
本発明の洗浄剤組成物で用いられる成分(C)はN-アシルメチルタウリン塩である。成分(C)を配合することにより、より泡質がきめ細かくなる。かかるアシル基は炭素原子数8~22の脂肪酸残基が好ましく、例えばラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸などの単一のアシル基や、ヤシ油脂肪酸、牛脂脂肪酸、ヒマシ油脂肪酸、オリーブ油脂肪酸、パーム油脂肪酸などから誘導されるアシル基、又はそれらの混合物が挙げられる。
【0023】
本発明の洗浄剤組成物で用いられる成分(C)N-アシルメチルタウリン塩を具体的に例示すれば、ラウロイルメチルタウリンNa、ミリストイルメチルタウリンNa、ラウロイルメチルタウリンMg等が挙げられる。本発明の洗浄剤組成物には、これらN-アシルメチルタウリン塩を1種単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0024】
本発明の洗浄剤組成物において、成分(C)N-アシルメチルタウリン塩の配合量は、好ましくは0.5~7質量%であり、より好ましくは1.5~4質量%である。0.5質量
%以上では、泡がきめ細かくなり7%以下では経時安定性が良好である。なお、2種以上を組み合わせて用いる場合には、それらを合計したものである。
【0025】
<成分(D) 両性界面活性剤>
本発明の洗浄剤組成物で用いられる成分(D)は、両性界面活性剤である。成分(D)を配合することにより、洗浄後の肌のきしみ感をより軽減することができる。両性界面活性剤としては、特に限定されるものではないが、例えばラウリン酸アミドプロピルベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、2-アルキル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウリルアミノジ酢酸ナトリウム、β-アミノプロピオン酸ナトリウム、N-ラウロイル-N’-カルボキシメチル-N’-ヒドロキシエチルエチレンジアミンナトリウム等が挙げられ、適宜1種又は2種以上選択して用いればよい。
【0026】
本発明の洗浄剤組成物において、成分(D)両性界面活性剤の配合量は、好ましくは2~10質量%であり、より好ましくは3~7質量%である。2%以上では洗浄後の肌にきしみを感じず、10%以下では、洗浄後の肌にべたつきを感じることなくしっとりとした感触となるため好ましい。なお、2種以上を組み合わせて用いる場合には、それらを合計したものである。
【0027】
<成分(E) アルキルポリグルコシド>
本発明の洗浄剤組成物で使用される成分(E)はアルキルポリグルコシドである。成分(E)を配合することにより、洗浄後の肌にしっとりとした感触をより付与することができる。具体的に例示すれば、デシルグルコシド、ラウリルグルコシド、ミリスチルグルコシド、ココイルグルコシド等が挙げられる。これらアルキルポリグルコシドは市販品を使用することができ、具体的に例示すれば、マイドール10、マイドール12(いずれも花王社製)、プランタケア2000UP、プランタケア1200UP、プランタケア818UP、プランタケア800UP等のプランタケアシリーズ(いずれもBASF社製)等が挙げられる。本発明の洗浄剤組成物には、これらアルキルポリグルコシドを1種単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0028】
本発明の洗浄剤組成物において、成分(E)アルキルポリグルコシドの配合量は、1~7%が好ましい。1%以上では、洗浄後の肌のしっとりとした感触が得られ、7%以下ではアルキルポリグルコシド特有のべたつき感が残らず、感触上好ましい。
【0029】
<その他の成分>
本発明の洗浄剤組成物は、上述した成分の他に、本発明の目的を損なわない範囲で他の成分、例えば、アニオン界面活性剤(上記成分(C)を除く)、ノニオン界面活性剤、粉体(顔料、色素、樹脂等)、生理活性成分、酸化防止剤、金属イオン封鎖剤、防腐剤、紫外線吸収剤、香料、保湿剤、塩類、溶媒、パール化剤、中和剤、昆虫忌避剤、酵素等の成分を適宜配合することができる。
【0030】
上記アニオン界面活性剤としては、特に限定されるものではなく、例えばラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸アミドエーテル硫酸カリウム、ラウリルリン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル酢酸ナトリウム等が挙げられ、適宜1種又は2種以上選択して用いればよい。
【0031】
上記ノニオン界面活性剤としては、特に限定されるものではないが、例えばポリオキシエチレンセチルエーテル、モノステアリン酸ソルビタン、トリイソステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンモノイソス
テアレート、ポリオキシエチレンジオレイン酸グリセリル、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸N-メチルエタノールアミド、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、モノラウリン酸ポリエチレングリコール等が挙げられ、適宜1種又は2種以上選択して用いればよい。
【0032】
また、上記粉体としては、例えば赤色201号、黄色4号、青色1号、黒色401号等の色素、黄色4号Alレーキ、黄色203号Baレーキ等のレーキ色素、ナイロンパウダー、シルクパウダー、シリコーンパウダー、セルロースパウダー、シリコーンエラストマー球状粉体、ポリエチレン末等の高分子、黄酸化鉄、赤色酸化鉄、酸化クロム、カーボンブラック、群青、紺青等の有色顔料、酸化亜鉛、酸化チタン等の白色顔料、タルク、マイカ、セリサイト、カオリン等の体質顔料、雲母チタン等のパール顔料、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、珪酸マグネシウム等の金属塩、シリカ、アルミナ等の無機粉体、ベントナイト、スメクタイト、窒化ホウ素等が挙げられる。これらの粉体の形状(球状、棒状、針状、板状、不定形状、燐片状、紡錘状など)に特に制限はない。
【0033】
上記生理活性成分としては、皮膚に塗布した場合に皮膚に何らかの生理活性を与える物質が挙げられる。例えば、抗炎症剤、老化防止剤、紫外線防御剤、ひきしめ剤、抗酸化剤、保湿剤、血行促進剤、抗菌剤、殺菌剤、乾燥剤、冷感剤、温感剤、ビタミン類、アミノ酸、創傷治癒促進剤、刺激緩和剤、鎮痛剤、細胞賦活剤、酵素成分等が挙げられる。上記生理活性成分は、天然系の植物抽出成分、海藻抽出成分、生薬成分や、化合物等が挙げられるが、これらの中でも、特に天然系の植物抽出成分、海藻抽出成分、生薬成分が安全性の点で好ましい。
【0034】
上記天然系の植物抽出成分、海藻抽出成分、生薬成分の例としては、例えばアシタバエキス、アマチャエキス、アルテアエキス、アロエエキス、アンズエキス、イチョウエキス、ウイキョウエキス、ウーロン茶エキス、エイジツエキス、オウゴンエキス、オウバクエキス、オトギリソウエキス、オランダカラシエキス、オレンジエキス、海水乾燥物、海藻エキス、加水分解コムギ末、加水分解シルク、カモミラエキス、カロットエキス、カワラヨモギエキス、甘草エキス、カキョクエキス、キウイエキス、キューカンバーエキス、クチナシエキス、クマザサエキス、クララエキス、クルミエキス、グレープフルーツエキス、クロレラエキス、クワエキス、紅茶エキス、酵母エキス、コラーゲン、サルビアエキス、サボンソウエキス、サンザシエキス、ジオウエキス、シコンエキス、シソエキス、シナノキエキス、シャクヤクエキス、シラカバエキス、スギナエキス、セイヨウキズタエキス、セイヨウサンザシエキス、セイヨウニワトコエキス、セイヨウノコギリソウエキス、セイヨウハッカエキス、セージエキス、センキュウエキス、センブリエキス、ダイズエキス、タイソウエキス、タイムエキス、茶エキス、チョウジエキス、チンピエキス、トウキエキス、トウニンエキス、ドクダミエキス、トマトエキス、納豆エキス、ニンジンエキス、ニンニクエキス、ノバラエキス、蜂蜜、ハマメリスエキス、ヒキオコシエキス、ビサボロール、ビワエキス、ブクリョウエキス、プロポリス、ヘチマエキス、ペパーミントエキス、ボダイジュエキス、ホップエキス、マドンナリリー花エキス、マロニエエキス、ムクロジエキス、メリッサエキス、モモエキス、ユキノシタエキス、ユズエキス、ヨモギエキス、ラベンダーエキス、レモンエキス、レンゲソウエキス、ローズマリーエキス、ローヤルゼリーエキス等を挙げることができる。
【0035】
また、上記天然系の植物抽出成分、海藻抽出成分、生薬成分以外の成分としては、例えばデオキシリボ核酸、コラーゲン、エラスチン、キチン、キトサン、加水分解卵殻膜などの生体高分子、アミノ酸、乳酸ナトリウム、尿素、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、ベタイン、ホエイなどの保湿成分、スフィンゴ脂質、セラミド、コレステロール、コレステロール誘導体、リン脂質などの油性成分、ε-アミノカプロン酸、グリチルリチン酸、β-グリチルレチン酸、塩化リゾチーム、グアイアズレン、ヒドロコルチゾン等の抗炎症剤、
ビタミン類(A、B2、B6、C、D、E)、パントテン酸カルシウム、ビオチン、ニコチン酸アミド、ビタミンCエステル等のビタミン類、アラントイン、ジイソプロピルアミンジクロロアセテート、4-アミノメチルシクロヘキサンカルボン酸等の活性成分、トコフェロール、カロチノイド、フラボノイド、タンニン、リグナン、サポニン等の抗酸化剤、α-ヒドロキシ酸、β-ヒドロキシ酸などの細胞賦活剤、γ-オリザノール、ビタミンE誘導体などの血行促進剤、イソプロピルメチルフェノール、トリクロサン、ヒノキチオール、塩化ベンザルコニウム等の殺菌剤、l-メントール、ハッカ油等の冷感剤、レチノール、レチノール誘導体等の創傷治癒剤等が挙げられる。
【0036】
本発明の洗浄剤組成物は、洗顔、クレンジング、ボディシャンプー、ハンドソープ、シェービング料、マッサージ料等の皮膚用洗浄剤として好適に使用できる。またそれぞれ、粘性液体、クリーム状等の形態として用いることができ、特に洗顔フォーム、液状ボディシャンプーとして好適に用いられる。
【0037】
次に本発明について実施例をもって詳細に説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。実施例に先立ち、各実施例で採用した試験法、評価法を説明する。
【0038】
a)泡立ち、泡質(弾力性)、洗浄後の肌のしっとりとした感触についての試験法
10名の専門パネルにより、実施例及び比較例のボディシャンプーを使用し、使用時の泡立ち、泡質(弾力性)、洗浄後の肌のきしみのなさ、洗浄後の肌のしっとりとした感触の各項目について官能評価した。尚、評価基準は以下の通りである。
[使用時の泡立ち]
◎:極めて良好 泡立ちが良いと答えた被験者の数が8人以上
○:良好 泡立ちが良いと答えた被験者の数が6人以上、8人未満
△:やや悪い 泡立ちが良いと答えた被験者の数が4人以上、6人未満
×:悪い 泡立ちが良いと答えた被験者の数が4人未満
[使用時の泡質(弾力性)]
◎:極めて良好 泡質(弾力性)が良いと答えた被験者の数が8人以上
○:良好 泡質(弾力性)が良いと答えた被験者の数が6人以上、8人未満
△:やや悪い 泡質(弾力性)が良いと答えた被験者の数が4人以上、6人未満
×:悪い 泡質(弾力性)が良いと答えた被験者の数が4人未満
[洗浄後の肌のきしみのなさ]
◎:極めて良好 肌のきしみがないと答えた被験者の数が8人以上
○:良好 肌のきしみがないと答えた被験者の数が6人以上、8人未満
△:やや悪い 肌のきしみがないと答えた被験者の数が4人以上、6人未満
×:悪い 肌のきしみがないと答えた被験者の数が4人未満
[洗浄後の肌のしっとりとした感触]
◎:極めて良好 しっとりとした感触があると答えた被験者の数が8人以上
○:良好 しっとりとした感触があると答えた被験者の数が6人以上、8人未満
△:やや悪い しっとりとした感触があると答えた被験者の数が4人以上、6人未満
×:悪い しっとりとした感触があると答えた被験者の数が4人未満
【0039】
実施例1~10、比較例1~7
表1に示す組成のボディウォッシュを調整し、これらを使用した時の泡立ちと泡質(弾力性)、洗浄後の肌のきしみのなさ、洗浄後の肌のしっとりとした感触について調べた。結果を併せて表1に示す。
【0040】
【表1】
【0041】
表1より明らかなように、本発明の成分を用いた実施例1~10のボディシャンプー組成物は比較例1~7の組成物に比べていずれも優れた性能を見出した。
【0042】
以下、本発明の洗顔料組成物のその他の処方例を挙げる。なお、この処方例の洗顔料組成物についても、泡立ち、泡質(弾力性)、洗浄後の肌のきしみのなさ、洗浄後の肌のしっとりとした感触について調べた。
【0043】
処方例 洗顔フォーム
(1)ミリスチン酸K 12.0
(2)パルミチン酸K 2.0
(3)ステアリン酸K 1.0
(4)ミリストイルアスパラギン酸Na 10. 0

(5)ココイルメチルタウリンMg 10.0
(6)ラウリルグルコシド 2.5
(7)コカミドプロピルベタイン 3.0
(8)ココアンホ酢酸Na 2.0

(9)塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体 0.5

(10)ヒドロキシプロピルメチルセルロース 0.5
(11)ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル) 0.5

(12)セラミド2 0.1
(13)セラミド5 0.1
(14)グリコシルトレハロース 1.5
(15)エデト酸二ナトリウム 0.2
(16)フェノキシエタノール 0.5
(17)DPG 2.0
(18)グリセリン 5.0
(19)香料 0.2
(20)精製水 残余
【0044】
常法により上記組成の洗顔フォームを調製し、泡立ち、泡質(弾力性)、洗浄後の肌のきしみのなさ、洗浄後の肌のしっとりとした感触を評価したところ、実施例と同様に、いずれの特性も優れており良好な結果を得た。