(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-05
(45)【発行日】2024-04-15
(54)【発明の名称】ICソケット
(51)【国際特許分類】
G01R 31/26 20200101AFI20240408BHJP
G01R 1/073 20060101ALI20240408BHJP
H01R 33/76 20060101ALI20240408BHJP
【FI】
G01R31/26 J
G01R1/073 B
H01R33/76 503A
G01R1/073 D
(21)【出願番号】P 2019236591
(22)【出願日】2019-12-26
【審査請求日】2022-11-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000208765
【氏名又は名称】株式会社エンプラス
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大島 久男
(72)【発明者】
【氏名】小林 慶紀
(72)【発明者】
【氏名】吉田 七施
【審査官】島▲崎▼ 純一
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-162270(JP,A)
【文献】特開2019-124566(JP,A)
【文献】特開2012-117845(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0204061(US,A1)
【文献】特開2007-271631(JP,A)
【文献】特開2010-060290(JP,A)
【文献】実開平06-045268(JP,U)
【文献】特開2004-085281(JP,A)
【文献】特開平05-174928(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0091984(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 31/26
G01R 1/073
H01R 33/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に取り付けられるソケット本体と、前記ソケット本体のプローブ収容穴に収容された一対のプローブと、を有し、
電子部品が前記ソケット本体上に搬入されると、前記一対のプローブが前記電子部品の端子と前記基板の電極とを電気的に接続するようになっており、
前記一対のプローブが前記基板の前記電極上に直立するように配置されて使用されると仮定した場合に、前記一対のプローブの一方が前記電子部品の側端で前記端子に接触するようになっているICソケットにおいて、
前記電子部品は、前記ソケット本体と対向する下面に前記端子が配置されており、
前記一対のプローブは、前記ソケット本体における前記電子部品の搬入中心に対して近いプローブを内側プローブとし、前記電子部品の搬入中心に対して遠いプローブを外側プローブとすると、
前記外側プローブは、前記電子部品が前記ソケット本体上に傾いた姿勢で搬入されたとしても、先端が前記電子部品の前記端子に接触するように、前記電極と前記端子とを前記電極上に直立する方向に対して傾いた姿勢で接続し、
前記内側プローブは、前記外側プローブと同様に、前記電極と前記端子とを前記電極上に直立する方向に対して傾いた姿勢で接続するようになって
おり、
前記電子部品は、平面視した形状が四角形状の板状体であり、前記電子部品の搬入中心から側面までの最短距離をL1とし、厚みをtとし、前記ソケット本体上に傾いた姿勢で搬入された場合における基板の上面に対する傾斜角をθとし、
前記外側プローブは、前記基板の上面と平行の仮想平面をX-Y平面とし、前記電子部品の搬入中心を通り且つ前記X-Y平面上をX方向に沿って延びる仮想線を第1中心線とし、前記電子部品の搬入中心を通り且つ前記X-Y平面上をY方向に沿って延びる仮想線を第2中心線とし、前記第1中心線又は前記第2中心線から前記先端までの前記X-Y平面に沿った最短距離をL2とすると、
L2<L1・cosθ-t・sinθ
となるように前記ソケット本体に収容された、
ことを特徴とするICソケット。
【請求項2】
基板上に取り付けられるソケット本体と、前記ソケット本体のプローブ収容穴に収容された一対のプローブと、を有し、
電子部品が前記ソケット本体上に搬入されると、前記一対のプローブが前記電子部品の端子と前記基板の電極とを電気的に接続するようになっており、
前記一対のプローブが前記基板の前記電極上に直立して配置される場合に、前記一対のプローブの一方が前記電子部品の側端で前記端子に接触するようになっているICソケットにおいて、
前記電子部品は、前記ソケット本体と対向する下面に前記端子が配置されており、
前記一対のプローブは、前記ソケット本体における前記電子部品の搬入中心に対して近いプローブを内側プローブとし、前記電子部品の搬入中心に対して遠いプローブを外側プローブとすると、
前記外側プローブは、前記電子部品が前記ソケット本体上に傾いた姿勢で搬入された場合に、先端が前記電子部品の側面に接触しないように、前記先端が前記内側プローブの先端よりも低く配置され、
前記内側プローブの先端と前記外側プローブの先端は、前記電子部品が電気的テストを実施する前記ソケット本体上の所定位置まで搬入されると、前記電子部品の前記端子に接触
し、
前記電子部品が前記ソケット本体上に傾いた姿勢で搬入された場合における前記基板の上面に対する前記電子部品の傾斜角をθとし、前記内側プローブの先端と前記外側プローブの先端の前記基板の上面に沿った方向の寸法をWとし、前記内側プローブの先端が前記ソケット本体の上面から突出する高さ寸法をh1とし、前記内側プローブの先端と前記外側プローブの先端との高さ方向の寸法差をh2とし、前記電子部品の端子と前記内側プローブの先端の当接位置から更に前記電子部品が押し下げられる寸法をdとすると、
W・tanθ<h2≦h1/3<d
となるように、前記内側プローブの先端と前記外側プローブの先端との高さ方向の寸法差h2を決定する、
ことを特徴とするICソケット。
【請求項3】
前記一対のプローブは、前記電子部品の前記端子に接触する先端側に第1の回り止め部が形成されると共に、長手方向の中間部分に第2の回り止め部が形成され、
前記第1回り止め部は、前記プローブ収容穴の一部を構成するプランジャガイド孔にスライド移動可能に係合されるようにプランジャに形成され、前記プランジャガイド孔の平面と摺接する第1側面を有し、
前記第1側面は、前記プランジャの先端側から前記プランジャの基端部に向かって前記プローブの中心軸と平行に延びる平面であり、前記プランジャガイド孔の平面に当接することにより、前記プローブと前記ソケット本体との相対回動を阻止し、
前記第2回り止め部は、前記プランジャの基端部を収容するチューブの外周側に張り出すリング状突起であり、
前記リング状突起は、前記プローブの中心軸と平行に延びる第2側面を有し、
前記第2側面は、前記プローブ収容穴の平面と摺接できるように形成されており、前記プローブ収容穴の平面に当接することにより、前記プローブと前記ソケット本体の相対回動を阻止する、
ことを特徴とする請求項1
または2に記載のICソケット。
【請求項4】
前記一対のプローブは、前記電子部品の前記端子に接触するプランジャと、このプランジャの基端部を前記プローブの中心軸に沿った一端側に収容して固定する筒状のチューブと、このチューブの前記中心軸に沿った他端側にスライド移動可能に収容された電極接触部材と、前記チューブ内に収容されて前記プランジャと前記電極接触部材とを前記チューブの前記中心軸に沿った外方へ向けて付勢するばね部材と、を有し、
前記チューブの前記中心軸に沿った中間部分には、前記チューブの外周側に張り出すようにリング状突起が形成され、
前記リング状突起は、前記プローブ収容穴の一部を構成するリング状突起収容穴にスライド移動可能に係合され、前記リング状突起収容穴の底部に前記ばね部材によって押し付けられることにより、前記プランジャを前記ソケット本体に対して位置決めする、
ことを特徴とする請求項1から
3のいずれかに記載のICソケット。
【請求項5】
前記ソケット本体の上面側の前記プローブ収容
穴の開口端部には、前記プローブ収容穴を前記ソケット本体の上面に向かうに従って拡開する形状の切り欠きが形成されている、
ことを特徴とする請求項1から
4のいずれかに記載のICソケット。
【請求項6】
基板上に取り付けられるソケット本体と、前記ソケット本体上に搬入される電子部品の複数の端子に対応して、前記ソケット本体の複数のプローブ収容穴に収容されて配置された複数のプローブと、を有し、
前記複数のプローブのうち、前記電子部品の外縁に沿って全周に亘って並んで配置されたプローブ群は、隣り合って配置された内側プローブ及び外側プローブからそれぞれなる複数対のプローブを含み、前記内側プローブは前記ソケット本体における前記電子部品の搬入中心に対して近く、前記外側プローブは前記搬入中心に対して遠く、
前記複数対のプローブにおける前記内側プローブ及び前記外側プローブはいずれも、前記基板上に直立する方向に対して、各プローブ先端が前記搬入中心に近づく側に傾いた姿勢で、前記電子部品と前記基板とを電気的に接続する、
ICソケット。
【請求項7】
基板上に取り付けられるソケット本体と、前記ソケット本体上に搬入される電子部品の複数の端子に対応して、前記ソケット本体の複数のプローブ収容穴に収容されて配置された複数のプローブと、を有し、
前記複数のプローブのうち、前記電子部品の外縁に沿って全周に亘って並んで配置されたプローブ群は、隣り合って配置された内側プローブ及び外側プローブからそれぞれなる複数対のプローブを含み、前記内側プローブは前記ソケット本体における前記電子部品の搬入中心に対して近く、前記外側プローブは前記搬入中心に対して遠く、
前記複数対のプローブにおける前記内側プローブ及び前記外側プローブはいずれも、前記外側プローブの先端が前記内側プローブの先端よりも低く配置され、
前記内側プローブの先端及び前記外側プローブの先端はいずれも、前記電子部品が電気的テストを実施する前記ソケット本体上の所定位置まで搬入されると、前記電子部品における対応する端子に接触する、
ICソケット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電子部品の電気的テストに使用されるICソケットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、
図7に示すように、電子部品(半導体パッケージ)100の一種であるQFN(Quad Flat Non-leaded package)は、平面視した形状が四角形状のものが多く、下面側の四辺に沿って複数の端子101が配置されている。
【0003】
図8は、このような電子部品100の電気的テストに使用される従来のケルビン検査用のICソケット102を示す図である。なお、
図8(a)は、従来のICソケット102の平面図である。また、
図8(b)は、従来のICソケット102の側面図である。また、
図8(c)は、
図8(a)のA13-A13線に沿って切断して示す従来のICソケット102の断面図である。
【0004】
この
図8に示すように、ICソケット102は、電子部品100の端子101に接触する一対のプローブ103a,103bが端子101の数に対応して配置され、各プローブ103a,103bが絶縁性樹脂材料製のソケット本体104に形成したプローブ収容孔105,105内にそれぞれ収容されるようになっている。一対のプローブ103a,103bは、一方が電流を供給するためのフォースコンタクトプローブであり、他方が電圧を監視するためのセンスコンタクトプローブである。そして、これら一対のプローブ103a,103bは、一端が内蔵した図示しないコイルスプリングのばね力で電子部品100の端子101に接触し、他端が内蔵した図示しないコイルスプリングのばね力で基板106上の電極107に接触している(特許文献1参照)。
なお、
図8に示すように、一対のプローブ103a,103bは、電子部品100の搬入中心位置Pに対して近いプローブ103aを内側プローブ103aとし、電子部品100の搬入中心位置Pに対して遠いプローブ103bを外側プローブ103bとする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図8に示すように、ICソケット102は、基板106の電極107上に直立するように配置された一対のプローブ103a,103bのうちの外側プローブ103bの先端が電子部品100の側端で端子101と接触するように使用される場合がある。このような場合において、
図9(a)に示すように、ICソケット102は、電子部品100が図示しないハンドリング装置によって傾いた状態でソケット本体104上に搬入されると、傾いた電子部品100の下方側の側端が外側プローブ103bから外れることがある。そして、
図9(b)に示すように、ICソケット102は、電子部品100が図示しないハンドリング装置によって所定位置(電気的テストを実施するためのICソケット102上の位置)まで搬入されると共に、電子部品100が図示しないハンドリング装置によって基板106の上面106aと平行な姿勢に保持されると(傾いた姿勢が基板106の上面106aと平行な姿勢に矯正された状態で保持されると)、外側プローブ103bが電子部品100の側面108(端子101の側面)によって内側プローブ103aから遠ざけられる方向に変形させられ、外側プローブ103bが破損するという問題を生じることがあった。
【0007】
そこで、本発明は、電子部品がソケット本体上に傾いた状態で搬入された場合でも、電子部品によるプローブの破損を防止できるICソケットの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るICソケットの一態様は、
基板上に取り付けられるソケット本体と、前記ソケット本体のプローブ収容穴に収容された一対のプローブと、を有し、
電子部品が前記ソケット本体上に搬入されると、前記一対のプローブが前記電子部品の端子と前記基板の電極とを電気的に接続するようになっており、
前記一対のプローブが前記基板の前記電極上に直立するように配置されて使用されると仮定した場合に、前記一対のプローブの一方が前記電子部品の側端で前記端子に接触するようになっているICソケットにおいて、
前記電子部品は、前記ソケット本体と対向する下面に前記端子が配置されており、
前記一対のプローブは、前記ソケット本体における前記電子部品の搬入中心に対して近いプローブを内側プローブとし、前記電子部品の搬入中心に対して遠いプローブを外側プローブとすると、
前記外側プローブは、前記電子部品が前記ソケット本体上に傾いた姿勢で搬入されたとしても、先端が前記電子部品の前記端子に接触するように、前記電極と前記端子とを前記電極上に直立する方向に対して傾いた姿勢で接続し、
前記内側プローブは、前記外側プローブと同様に、前記電極と前記端子とを前記電極上に直立する方向に対して傾いた姿勢で接続するようになっており、
前記電子部品は、平面視した形状が四角形状の板状体であり、前記電子部品の搬入中心から側面までの最短距離をL1とし、厚みをtとし、前記ソケット本体上に傾いた姿勢で搬入された場合における基板の上面に対する傾斜角をθとし、
前記外側プローブは、前記基板の上面と平行の仮想平面をX-Y平面とし、前記電子部品の搬入中心を通り且つ前記X-Y平面上をX方向に沿って延びる仮想線を第1中心線とし、前記電子部品の搬入中心を通り且つ前記X-Y平面上をY方向に沿って延びる仮想線を第2中心線とし、前記第1中心線又は前記第2中心線から前記先端までの前記X-Y平面に沿った最短距離をL2とすると、
L2<L1・cosθ-t・sinθ
となるように前記ソケット本体に収容された、
ICソケットである。
【0009】
また、本発明に係るICソケットの他の態様は、
基板上に取り付けられるソケット本体と、前記ソケット本体のプローブ収容穴に収容された一対のプローブと、を有し、
電子部品が前記ソケット本体上に搬入されると、前記一対のプローブが前記電子部品の端子と前記基板の電極とを電気的に接続するようになっており、
前記一対のプローブが前記基板の前記電極上に直立して配置される場合に、前記一対のプローブの一方が前記電子部品の側端で前記端子に接触するようになっているICソケットにおいて、
前記電子部品は、前記ソケット本体と対向する下面に前記端子が配置されており、
前記一対のプローブは、前記ソケット本体における前記電子部品の搬入中心に対して近いプローブを内側プローブとし、前記電子部品の搬入中心に対して遠いプローブを外側プローブとすると、
前記外側プローブは、前記電子部品が前記ソケット本体上に傾いた姿勢で搬入された場合に、先端が前記電子部品の側面に接触しないように、前記先端が前記内側プローブの先端よりも低く配置され、
前記内側プローブの先端と前記外側プローブの先端は、前記電子部品が電気的テストを実施する前記ソケット本体上の所定位置まで搬入されると、前記電子部品の前記端子に接触し、
前記電子部品が前記ソケット本体上に傾いた姿勢で搬入された場合における前記基板の上面に対する前記電子部品の傾斜角をθとし、前記内側プローブの先端と前記外側プローブの先端の前記基板の上面に沿った方向の寸法をWとし、前記内側プローブの先端が前記ソケット本体の上面から突出する高さ寸法をh1とし、前記内側プローブの先端と前記外側プローブの先端との高さ方向の寸法差をh2とし、前記電子部品の端子と前記内側プローブの先端の当接位置から更に前記電子部品が押し下げられる寸法をdとすると、
W・tanθ<h2≦h1/3<d
となるように、前記内側プローブの先端と前記外側プローブの先端との高さ方向の寸法差h2を決定する、
ICソケットである。
また、本発明に係るICソケットのさらに他の態様は、
基板上に取り付けられるソケット本体と、前記ソケット本体上に搬入される電子部品の複数の端子に対応して、前記ソケット本体の複数のプローブ収容穴に収容されて配置された複数のプローブと、を有し、
前記複数のプローブのうち、前記電子部品の外縁に沿って全周に亘って並んで配置されたプローブ群は、隣り合って配置された内側プローブ及び外側プローブからそれぞれなる複数対のプローブを含み、前記内側プローブは前記ソケット本体における前記電子部品の搬入中心に対して近く、前記外側プローブは前記搬入中心に対して遠く、
前記複数対のプローブにおける前記内側プローブ及び前記外側プローブはいずれも、前記基板上に直立する方向に対して、各プローブ先端が前記搬入中心に近づく側に傾いた姿勢で、前記電子部品と前記基板とを電気的に接続する、
ICソケットである。
また、本発明に係るICソケットのさらに他の態様は、
基板上に取り付けられるソケット本体と、前記ソケット本体上に搬入される電子部品の複数の端子に対応して、前記ソケット本体の複数のプローブ収容穴に収容されて配置された複数のプローブと、を有し、
前記複数のプローブのうち、前記電子部品の外縁に沿って全周に亘って並んで配置されたプローブ群は、隣り合って配置された内側プローブ及び外側プローブからそれぞれなる複数対のプローブを含み、前記内側プローブは前記ソケット本体における前記電子部品の搬入中心に対して近く、前記外側プローブは前記搬入中心に対して遠く、
前記複数対のプローブにおける前記内側プローブ及び前記外側プローブはいずれも、前記外側プローブの先端が前記内側プローブの先端よりも低く配置され、
前記内側プローブの先端及び前記外側プローブの先端はいずれも、前記電子部品が電気的テストを実施する前記ソケット本体上の所定位置まで搬入されると、前記電子部品における対応する端子に接触する、
ICソケットである。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るICソケットは、電子部品がソケット本体上に傾いた状態で搬入された場合でも、電子部品によるプローブの破損を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の第1実施形態に係るICソケットを示す図であり、
図1(a)はICソケットの平面図、
図1(b)は
図1(a)のA1-A1線に沿って切断して示すICソケットの断面図である。
【
図2】本発明の第2実施形態に係るICソケットを示す図であり、
図2(a)はICソケットの平面図、
図2(b)は
図2(a)のA2-A2線に沿って切断して示すICソケットの断面図である。
【
図3】本発明の第1及び第2実施形態に係るICソケットに適用可能なプローブの回り止め構造を示す図であり、
図3(a)はICソケットの一部を示す平面図、
図3(b)は
図3(a)のA3-A3線に沿って切断して示すICソケットの断面図、
図3(c)は
図3(a)のA4-A4線に沿って切断して示すICソケットの断面図、
図3(d)は
図3(c)のA5-A5線に沿って切断して示すICソケットの断面図である。
【
図4】本発明の第1及び第2実施形態に係るICソケットに適用可能なプローブの位置決め構造を示す図であり、
図4(a)はICソケットの一部を示す平面図、
図4(b)は
図4(a)のA6-A6線に沿って切断して示すICソケットの断面図、
図4(c)は
図4(a)のA7-A7線に沿って切断して示すICソケットの断面図、
図4(d)は
図4(c)のA8-A8線に沿って切断して示すICソケットの断面図である。
【
図5】本発明の第1及び第2実施形態に係るICソケットに適用可能なプローブの変形例を示す図であり、
図5(a)はICソケットの一部を示す平面図、
図5(b)は
図5(a)のA9-A9線に沿って切断して示すICソケットの断面図、
図5(c)は
図5(a)のA10-A10線に沿って切断して示すICソケットの断面図、
図5(d)は
図5(c)のA11-A11線に沿って切断して示すICソケットの断面図である。
【
図6】
図1乃至
図4に示したICソケットのソケット本体の変形例を示す図であり、
図6(a)はICソケットの一部平面図、
図6(b)は
図6(a)のA12-A12線に沿って切断して示すICソケットの一部断面図、
図6(c)は
図6(b)のB1部の拡大図である。
【
図7】電子部品を示す図であり、
図7(a)は電子部品の平面図、
図7(b)は電子部品の側面図、
図7(c)は電子部品の裏面図である。
【
図8】従来のケルビン検査用のICソケットを示す図であり、
図8(a)は従来のICソケットの平面図、
図8(b)は従来のICソケットの側面図、
図8(c)は
図8(a)のA13-A13線に沿って切断して示す従来のICソケットの断面図である。
【
図9】
図9(a)は従来のICソケットの第1作動状態図であり、
図9(b)は従来のICソケットの第2作動状態図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態に係るICソケットを図面に基づき詳述する。
【0013】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係るICソケット1を示す図である。この
図1に示すICソケット1は、ケルビン検査用として使用される。なお、
図1(a)は、ICソケット1の平面図である。また、
図1(b)は、
図1(a)のA1-A1線に沿って切断して示すICソケット1の断面図である。また、
図1は、ICソケット1と電子部品100との関係を明らかにするため、電子部品100を2点鎖線で示している。
【0014】
図1に示すように、ICソケット1は、基板106上に取り付けられるソケット本体2と、電子部品100の端子101に対応してソケット本体2に配置される一対のプローブ3a,3bと、を有している。このICソケット1は、一対のプローブ3a,3bが基板106の電極107上に直立するように配置されて使用されると仮定した場合、外側プローブ3bが電子部品100の側端で端子101に接触するサイズに形成されている。そして、このICソケット1は、ソケット本体2の電子部品搬入中心Pに電子部品100の中心P1が一致するように、電子部品100が図示しないハンドリング装置によってソケット本体2上に搬入されると、一対のプローブ3a,3bの先端が電子部品100の下面(裏面)の端子101に接触し、一対のプローブ3a,3bが電子部品100の端子101と基板106の電極107とを電気的に接続するようになっている。ソケット本体2は、第1ブロック2aと、第1ブロック2aの下面に配置される第2ブロック2bと、を有している。なお、ソケット本体2は、製作上の都合に応じて、第1ブロック2aを複数のブロックに分割してもよい。
【0015】
一対のプローブ3a,3bは、電子部品100の各端子101毎に配置され、各プローブ3a,3b毎に形成されたソケット本体2のプローブ収容穴4にそれぞれ収容されている。これら一対のプローブ3a,3bは、四角形状の電子部品100の外縁(四辺のうちの1辺)に直交する方向に沿って並んでおり、三角状に尖った先端が背中合わせで位置している。そして、これら一対のプローブ3a,3bは、電子部品100が傾いた状態でソケット本体2上に搬入されたとしても、外側プローブ3bの先端(一端)5が電子部品100の下面の端子101に接触できるように(電子部品100の下面の端子101から外れないように)、外側プローブ3bの先端5が外側プローブ3bの下端(他端)6よりも内側に位置している。すなわち、
図1(b)に示すように、ソケット本体2の対向する辺に向かい合って配置され一対の外側プローブ3b,3b同士は、下端(他端)6,6間の寸法よりも先端(一端)5,5間の寸法の方が小さくなるように(基板106に直交する方向に対して角度Δだけ内側(電子部品搬入中心Pに近づく側)に傾くように)、ソケット本体2のプローブ収容穴4に収容されている。そして、一対のプローブ3a,3bは、傾いた姿勢で電子部品100の下面の端子101と基板106の電極107とを電気的に接続する。なお、一対のプローブ3a,3bは、電子部品搬入中心Pに対して近いプローブを内側プローブ3aとし、電子部品搬入中心Pに対して遠いプローブを外側プローブ3bとする。
【0016】
電子部品100は、平面視した形状が四角形状の板状体であり(
図7参照)、ソケット本体2の電子部品搬入中心Pに電子部品100の中心P1が一致するように、図示しないハンドリング装置によってソケット本体2上に搬入されると、正常姿勢(基板106の上面106aと平行の姿勢)でソケット本体2上に搬入された場合はもちろんのこと、傾いた姿勢でソケット本体2上に搬入された場合でも、図外のハンドリング装置によって各一対のプローブ3a,3bに押し当てられると、下面の各端子101がソケット本体2に収容された一対のプローブ3a,3bの先端に接触する。したがって、電子部品100は、ソケット本体2上に傾いた姿勢で搬入されたとしても、側面108で外側プローブ3bを内側プローブ3aから遠ざける方向に変形させることがなく、外側プローブ3bを破損させることがない。
【0017】
図1において、電子部品100の中心P1から側面108までの最短距離をL1とし、電子部品100の厚みをtとし、ソケット本体2上に傾いた姿勢で搬入された場合における基板106の上面106a(
図1(b)のX方向)に対する電子部品100の傾斜角をθとする。また、
図1において、基板106の上面106aと平行の仮想平面をX-Y平面とし、電子部品搬入中心Pを通り且つX-Y平面上をX方向に沿って延びる仮想線を第1中心線7とし、電子部品搬入中心Pを通り且つX-Y平面上をY方向に沿って延びる仮想線を第2中心線8とし、第2中心線8から外側プローブ3bの先端5までのX-Y平面に沿った最短距離をL2とすると、
L2<L1・cosθ-t・sinθ・・・数式1
となるように、外側プローブ3bの先端5の位置が決定される。なお、数式1は、第1中心線7に対向する位置にある外側プローブ3bにも適用できる。
【0018】
以上のように、本実施形態に係るICソケット1は、電子部品100がソケット本体2上に傾いた状態で搬入された場合でも、外側プローブ3bの先端5が電子部品100の下面の端子101に接触できるようになっており、外側プローブ3bの先端5が電子部品100の側面108で内側プローブ3aから遠ざけられる方向に変形させられることがなく、電子部品100によって外側プローブ3bが破損させられることを防止できる。したがって、このような本実施形態に係るICソケット1によれば、耐久性が向上し、電子部品100の電気的テストを確実に且つ長期間実施することが可能になる。
【0019】
[第2実施形態]
図2は、本発明の第2実施形態に係るICソケット1を示す図である。この
図2に示すICソケット1は、第1実施形態に係るICソケット1と同様に、ケルビン検査用として使用される。なお、
図2(a)は、ICソケット1の平面図である。また、
図2(b)は、
図2(a)のA2-A2線に沿って切断して示すICソケット1の断面図である。また、
図2は、ICソケット1と電子部品100との関係を明らかにするため、電子部品100を2点鎖線で示している。
【0020】
本実施形態に係るICソケット1は、一対のプローブ3a,3bの収容構造が第1実施形態に係るICソケット1と相違するが、他の構造が第1実施形態に係るICソケット1と共通するため、第1実施形態に係るICソケット1の説明と重複する説明を適宜省略する。
【0021】
図2に示すように、本実施形態に係るICソケット1は、一対のプローブ3a,3bが基板106の電極107上に直立するように配置され、且つ、一対のプローブ3a,3bのうちの外側プローブ3bの先端5が内側プローブ3aの先端5よりも低い位置に配置されている。このような本実施形態に係るICソケット1は、電子部品100が傾いた姿勢でソケット本体2上に搬入された場合、内側プローブ3aの先端5が電子部品100の下面の端子101に接触し、外側プローブ3bの先端5が電子部品100(端子101及び側面108)に接触しない。
【0022】
図2(b)において、ソケット本体2上に傾いた姿勢で搬入された場合における基板106の上面106a(
図2(b)のX方向)に対する電子部品100の傾斜角をθとし、一対のプローブ3a,3bの内側プローブ3aの先端5と外側プローブ3bの先端5のX方向に沿った寸法をWとし、内側プローブ3aの先端5がソケット本体2の上面2cから突出する高さ寸法をh1とし、内側プローブ3aの先端5と外側プローブ3bの先端5との高さ方向(Z方向)の寸法差をh2とし、電子部品100の端子101と内側プローブ3aの先端5との当接位置から更に電子部品100が押し下げられる寸法をdとすると、
W・tanθ<h2≦h1/3<d・・・数式2
となるように、内側プローブ3aの先端5と外側プローブ3bの先端5との高さ方向(Z方向)の寸法差(h2)を決定する。なお、電子部品100の端子101と内側プローブ3aの先端5との当接位置から更に電子部品100が押し下げられる位置は、電子部品100の電気的テストを実施するソケット本体2上の所定位置と一致する。
【0023】
以上のように構成されたICソケット1は、電子部品100がソケット本体2上に傾いた姿勢で搬入された場合、電子部品100の斜め下方側に位置する端子101が内側プローブ3aに接触し、電子部品100の斜め下方側の最下端に位置する端子101が外側プローブ3bに接触しないようになっている。そして、ICソケット1は、電子部品100の斜め下方側の最下端に位置する端子101が内側プローブ3aに接触した後、電子部品100が更に下方へ向けて(電気的テストを実施するソケット本体2上の所定位置に向けて)押し下げられる過程において、電子部品100が内側プローブ3aからの反力(内側プローブ3aに内蔵されたコイルスプリングのばね力)を受け、電子部品100が傾いた姿勢から正常姿勢へと徐々に姿勢矯正されて、電子部品100が電気的テストを実施するソケット本体2上の所定位置に到達する前に、ソケット本体2に収容された一対のプローブ(内側プローブ3aと外側プローブ3b)の全ての先端5が電子部品100の端子101と接触できるようになっている。その結果、本実施形態に係るICソケット1は、電子部品100の電気的テストを実施するソケット本体2上の所定位置で、電子部品100の端子101と基板106の電極107とを一対のプローブ3a,3bで電気的に接続することが可能になる。
【0024】
以上のように、本実施形態に係るICソケット1は、電子部品100がソケット本体2上に傾いた状態で搬入された場合、内側プローブ3aの先端5が電子部品100の端子101に当接した状態で、外側プローブ3bの先端5が電子部品100に接触せず、電子部品100が電気的テストを実施するソケット本体2上の所定位置まで搬入されると、内側プローブ3aと外側プローブ3bとが電子部品100の端子101に接触するようになっているため、外側プローブ3bの先端5が電子部品100の側面108で内側プローブ3aから遠ざけられる方向に変形させられることがなく、電子部品100によって外側プローブ3bが破損させられることを防止できる。したがって、このような本実施形態に係るICソケット1によれば、耐久性が向上し、電子部品100の電気的テストを確実に且つ長期間実施することが可能になる。
【0025】
[プローブの回り止め構造]
図3は、本発明の第1及び第2実施形態に係るICソケット1に適用可能なプローブ3(3a,3b)の回り止め構造を示す図である。なお、
図3(a)は、ICソケット1の一部(プローブ3の先端)を示す平面図である。また、
図3(b)は、
図3(a)のA3-A3線に沿って切断して示すICソケット1の断面図である。また、
図3(c)は、
図3(a)のA4-A4線に沿って切断して示すICソケット1の断面図である。また、
図3(d)は、
図3(c)のA5-A5線に沿って切断して示すICソケット1の断面図である。
【0026】
図3に示すように、ICソケットは、一対のプローブのそれぞれが絶縁性樹脂材料製のソケット本体2に形成されたプローブ収容孔4内に収容されている。プローブ3は、導電性金属材料製の円筒状のチューブ10と、このチューブ10内の一端側(上端側)に基端部11が組み付けられた導電性金属材料製のプランジャ12と、このプランジャ12及びチューブ10を常時上方(電子部品の端子側)へ向けて付勢するコイルスプリング(ばね部材)13と、このコイルスプリング13のばね力で基板上の電極に押し付けられる導電性金属材料製の電極接触部材14と、を有している。
【0027】
プランジャ12は、基端部11がプローブ収容孔4内にスライド移動可能に係合されたチューブ10の一端側にかしめ固定されている。そして、このプランジャ12は、ソケット本体2に形成されたプランジャガイド孔15(プローブ収容孔4の一部を構成する孔)に回り止めされた状態でスライド可能に係合される第1回り止め部16が形成されている。この第1回り止め部16は、丸棒材を径方向一端側からプローブ3の中心軸17側に向けて切除すると共に、丸棒材を径方向他端側から中心軸17側に向けて切除することによって、プローブ3の中心軸17に直交する断面形状(
図3(a)に示す形状であり、プローブ3の先端側をプローブ3の中心軸17に直交する仮想平面に投影した形状)が略矩形形状になるように形成されると共に、プランジャ12の先端5側からプローブ3の中心軸17に沿って延びる一対の第1側面18,18が形成されている。このプランジャ12の第1回り止め部16は、この第1回り止め部16の断面形状(プローブ3の中心軸17に直交する断面形状)と同一孔形状のプランジャガイド孔15にスライド移動可能に係合される。そして、第1回り止め部16の一対の第1側面18,18は、プランジャ12の先端5側から基端部11に向かってプローブ3の中心軸17と平行に延びる平面であり、且つ、プランジャガイド孔15の平面15aと摺接できるように形成されており、プランジャガイド孔15の平面15aに当接することにより、プローブ3とソケット本体2との相対回動を阻止するようになっている。なお、第1回り止め部16は、平行な一対の第1側面18,18と、これら平行な一対の第1側面18,18同士を接続する一対の曲面20,20(丸棒材の一部外表面)とで構成されている。また、プランジャ12は、基端部11の端面21がプローブ収容孔4の位置決め段部22(プランジャガイド孔15の下端側に位置する段部)にコイルスプリング13のばね力で押し付けられることにより、プランジャ12の先端(上端)5の位置が決められる。
【0028】
チューブ10は、プローブ3の中心軸17に沿った中間部分に第2回り止め部として機能するリング状突起23が形成されている。このリング状突起23は、チューブ10の外周側に張り出すように形成されており、プローブ3の中心軸17の周りに2回対称となる第2側面24,24が一対形成され、プローブ収容孔4の一部を構成するリング状突起収容孔25にスライド移動できるように係合されている。リング状突起23の第2側面24は、プローブ3の中心軸17に沿って延びる平面であり、リング状突起収容孔25の平面25aと摺接できるように形成されている。そして、このリング状突起23の第2側面24は、リング状突起収容孔25の平面25aに当接することにより、プローブ3とソケット本体2との相対回動を阻止する。リング状突起収容孔25は、チューブ10のリング状突起23が形成された部分をプローブ3の中心軸17に直交する仮想平面で切断した断面形状と同一形状の孔形状になっている。なお、
図3(c)に示すように、リング状突起収容孔25は、ソケット本体2の第1ブロック2a下面に開口し、ソケット本体2のZ方向に沿った中間部分まで形成されている。
【0029】
以上のような回り止め構造を適用したICソケット1は、プローブ3に中心軸17周りの回転力が作用しても、第1回り止め部16と第2回り止め部(リング状突起23)の2箇所でプローブ3とソケット本体2との相対回動を阻止できるので、プローブ3と接触するソケット本体2に生じる応力を低減でき、プローブ3と接触するソケット本体2の損傷を防止できる。
【0030】
[プローブの位置決め構造]
図4は、本発明の第1及び第2実施形態に係るICソケット1に適用可能なプローブ3の位置決め構造を示す図であり、
図3に示したプローブ3の位置決め構造の変更例を示す図である。なお、
図4(a)は、ICソケット1の一部(プローブ3の先端)を示す平面図である。また、
図4(b)は、
図4(a)のA6-A6線に沿って切断して示すICソケット1の断面図である。また、
図4(c)は、
図4(a)のA7-A7線に沿って切断して示すICソケット1の断面図である。また、
図4(d)は、
図4(c)のA8-A8線に沿って切断して示すICソケット1の断面図である。
【0031】
図4に示すICソケット1は、チューブ10に形成されたリング状突起23をプローブ3に内蔵されたコイルスプリング13のばね力でリング状突起収容孔25の底部25bに押し付けることにより、プランジャ12の先端5の位置をソケット本体2に対して位置決めし、プランジャ12の基端部11の端面11aとプローブ収容孔4の位置決め段部22(プランジャガイド孔15の下端側に位置する段部)との間に隙間26が設けられる構造になっている。なお、
図4に示すICソケット1は、
図3に示したICソケット1と共通する構成部分に同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0032】
この
図4に示すICソケット1は、
図3に示したICソケット1(プランジャ12の基端部11の端面26がプローブ収容孔4の位置決め段部22にコイルスプリング13のばね力で押し付けられる構造)と比較し、ソケット本体2におけるコイルスプリング13のばね力を受ける部分のZ方向の寸法(プローブ3の中心軸17に沿った方向の寸法)が大きく、ソケット本体2におけるコイルスプリング13のばね力を受ける部分の強度が高いため、ソケット本体2の耐久性が向上する。
【0033】
[プローブの変形例]
図5は、本発明の第1及び第2実施形態に係るICソケット1に適用可能なプローブ3の変形例を示す図であり、
図4に示したプローブ3の変更例を示す図である。なお、
図5(a)は、ICソケット1の一部(プローブ3の先端)を示す平面図である。また、
図5(b)は、
図5(a)のA9-A9線に沿って切断して示すICソケット1の断面図である。また、
図5(c)は、
図5(a)のA10-A10線に沿って切断して示すICソケット1の断面図である。また、
図5(d)は、
図5(c)のA11-A11線に沿って切断して示すICソケット1の断面図である。
【0034】
図5に示すICソケット1のプローブ3は、プランジャ12の端子接触部分27(電子部品の端子に接触する部分)が丸棒状に形成されており、ソケット本体2に対する回り止めが不要な構造になっている。そして、このプローブ3は、チューブ10の外周側に張り出すように形成されたリング状突起23がチューブ10の外周と同心の円形状であり、リング状突起23をスライド移動可能に収容するリング状突起収容孔25の断面形状(プローブ3の中心軸17と直交する断面の形状)がリング状突起23と同一の円形状になっている。なお、
図5に示すICソケット1は、
図4に示したICソケット1と共通する構成部分に同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0035】
図5に示したICソケット1は、
図4に示したICソケット1と同様に、
図3に示したICソケット1と比較し、ソケット本体2の耐久性が向上する。
【0036】
[ソケット本体の変形例]
図6は、ソケット本体の変形例を示す図であり、
図1乃至
図4に示したICソケット1のソケット本体2の変形例を示す図である。なお、
図6(a)は、ICソケット1の一部平面図である。また、
図6(b)は、
図6(a)のA12-A12線に沿って切断して示すICソケット1の一部断面図である。また、
図6(c)は、
図6(b)のB1部の拡大図である。
【0037】
図6に示すように、ICソケット1は、ソケット本体2の上面2c側のプランジャガイド孔15(プローブ収容孔4)の開口端部に切り欠き28が形成されている。この切り欠き28は、プランジャ12の先端5(プローブ3の先端5)が電子部品の端子にコイルスプリングのばね力で押圧されることによって生じるプローブ3の倒れ又は回動に起因するプランジャガイド孔15の開口縁の損傷を防止するために形成されている。プランジャ12は、先端形状が三角形状であり、丸棒材の外周縁に三角形状の頂点(先端5)が位置するように形成されている。そして、一対のプランジャ12,12は、頂点(先端5,5)同士が最も近づいた状態で隣り合うように配置されている。
【0038】
このようなプランジャ12を備えたプローブ3は、電子部品のソケット本体上への搬入姿勢や電子部品の端子の形状によってR1方向又はR2方向に倒れを生じるか、又はプローブ収容孔4内で回動を生じることが考えられるため、ソケット本体2の上面2c側に位置するプランジャガイド孔15の開口端部の内周に沿って(全周にわたって)切り欠き28が設けられている。この切り欠き28は、プローブ3の倒れ角度を考慮し、倒れを生じたプローブ3と接触するソケット本体に生じる応力を軽減できる角度αにするか、又はプローブ3が倒れを生じてもプランジャガイド孔15の開口縁に接触しない角度αに形成されており、プランジャガイド孔15(プローブ収容孔4)をソケット本体2の上面2cに向かうに従って拡開するように形成されている。なお、切り欠き28は、
図6(c)に示すような階段状に形成する場合に限定されず、
図6(c)の断面形状が直線状又は曲線状になる場合でもよい。また、切り欠き28は、プローブ3の倒れ方向又は回動方向が限定される場合、プローブと当接する可能性のあるプランジャガイド孔15の開口端部の一部(例えば、一対の曲面部分30,30のうちの一方)に形成してもよい。
【0039】
このような構造のICソケット1は、ソケット本体2のプランジャガイド孔15の開口縁(ソケット本体2の上面2c側の開口縁)がプランジャ12(プローブ3)との接触で損傷するのが防止され、耐久性が向上する。
【0040】
[その他の実施形態]
図1乃至
図4に示すICソケット1は、プランジャ12の先端5側に一対の第1側面18,18を形成する構造になっているが、これに限られず、プローブ3のソケット本体2に対する回り止めができる限り、一対の第1側面18,18のうちの少なくとも一方が形成される構造にしてもよい。
【0041】
また、
図1乃至
図4に示すICソケット1は、チューブ10のリング状突起23に一対の第2側面24,24を形成する構造になっているが、これに限られず、プローブ3のソケット本体2に対する回り止めができる限り、一対の第2側面24,24のうちの少なくとも一方が形成される構造にしてもよい。
【0042】
また、本発明のICソケット1は、QFNの電気的テストに限定されるものでなく、QFP(Quad Flat Package)の電気的テストに使用することを可能である。
【符号の説明】
【0043】
1……ICソケット、2……ソケット本体、3……プローブ、3a……内側プローブ、3b……外側プローブ、4……プローブ収容孔、5……先端、100……電子部品、101……端子、106……基板、107……電極、108……側面、P……電子部品搬入中心、P1……電子部品の中心