(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-05
(45)【発行日】2024-04-15
(54)【発明の名称】レンズ装置および撮像装置
(51)【国際特許分類】
G02B 7/04 20210101AFI20240408BHJP
G02B 7/08 20210101ALI20240408BHJP
【FI】
G02B7/04 D
G02B7/08 Z
(21)【出願番号】P 2019236837
(22)【出願日】2019-12-26
【審査請求日】2022-11-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100223941
【氏名又は名称】高橋 佳子
(74)【代理人】
【識別番号】100159695
【氏名又は名称】中辻 七朗
(74)【代理人】
【識別番号】100172476
【氏名又は名称】冨田 一史
(74)【代理人】
【識別番号】100126974
【氏名又は名称】大朋 靖尚
(72)【発明者】
【氏名】柴▲崎▼ 豪
【審査官】藏田 敦之
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-028599(JP,A)
【文献】特開2012-220713(JP,A)
【文献】特開2006-145783(JP,A)
【文献】特開平11-109209(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 7/02 - 7/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学素子と、
第1固定筒と、
前記第1固定筒に連結された第2固定筒と、
前記第1固定筒に嵌合し、前記第1固定筒の軸としての第1軸の周りに回動することによって前記光学素子を前記
第1軸に沿って駆動す
る変換機構と、
前記第2固定筒の外周に嵌合し、前記第2固定筒の軸としての第2軸の周りに回
動可能な操作部材とを有するレンズ装置であって、
前記第1軸に直交する第1方向において並進可能に前記変換機構によって支持され
、前記第2軸に直交
し前記第1方向とは異なる第2方向において並進可能に前記操作部材によって支持され、前記操作部材から前記変換機構へ回動を伝達する伝達環を有することを特徴とするレンズ装置。
【請求項2】
前記変換機構は、前記第1固定筒の外周に嵌合していることを特徴とする請求項1に記載のレンズ装置。
【請求項3】
前記伝達環と前記変換機構とのうち一方
は第1部材を有し、前記伝達環と前記変換機構とのうち他方
には前記第1部材が係合
する第1開口が形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のレンズ装置。
【請求項4】
前記第1部材は
前記第1方向に沿って延びたピンを含み、前記第1開口は
前記第1方向に沿って延びた穴
であることを特徴とする請求項3に記載のレンズ装置。
【請求項5】
前記第1部材は、
前記伝達環と前記変換機構とのうち一方の端部において
二つの板状部材の間に配置される前記第1軸に沿って延びた凸部を含み、前記第1開口は、前記
二つの板状部材の間に形成されていることを特徴とする請求項3に記載のレンズ装置。
【請求項6】
前記第1部材は、前記第1軸に沿って延びた板状部材を含み、前記第1開口は、
前記伝達環と前記変換機構とのうち一方の端部において前記第1軸に沿って形成されていることを特徴とする請求項3に記載のレンズ装置。
【請求項7】
前記伝達環と前記操作部材とのうち一方
は第2部材を有し、前記伝達環と前記操作部材とのうち他方
には前記第2部材が係合
する第2開口が形成されていることを特徴とする請求項1ないし3のうちいずれか
一項に記載のレンズ装置。
【請求項8】
前記第2部材は
前記第2方向に沿って延びたピンを含み、前記第2開口は
前記第2方向に沿って延びた穴
であることを特徴とする請求項7に記載のレンズ装置。
【請求項9】
前記第2部材は、
前記伝達環と前記操作部材とのうち一方の端部において
二つの板状部材の間に配置される前記第2軸に沿って延びた凸部を含み、前記第2開口は、前記
二つの板状部材の間に形成されていることを特徴とする請求項7に記載のレンズ装置。
【請求項10】
前記第2部材は、前記第2軸に沿って延びた板状部材を含み、前記第2開口は、
前記伝達環と前記操作部材とのうち一方の端部において前記第2軸に沿って形成されていることを特徴とする請求項7に記載のレンズ装置。
【請求項11】
前記伝達環と前記操作部材とのうち一方は、前記第2軸の周りの周方向における前記伝達環に対する前記操作部材の配置を変更可能
なように、
前記伝達環と前記操作部材とを互いに連結するための連結部材を有することを特徴とする請求項
1ないし3のうちいずれか
一項に記載のレンズ装置。
【請求項12】
前記連結部材
には前記周方向に延びた長穴が形成され、
該長穴には前記周方向において前記操作部材を前記伝達環に対して位置決めするためのビス
が挿入されていることを特徴とする請求項11に記載のレンズ装置。
【請求項13】
前記伝達環と前記変換機構とのうち一方は、前記第1軸の周りの周方向における前記伝達環に対する前記変換機構の配置を変更可能
なように、
前記伝達環と前記変換機構とを互いに連結するための連結部材を有することを特徴とする請求項
1ないし3のうちいずれか
一項に記載のレンズ装置。
【請求項14】
前記連結部材
には前記周方向に延びた長穴が形成され、
該長穴には前記周方向において前記変換機構を前記伝達環に対して位置決めするためのビス
が挿入されていることを特徴とする請求項13に記載のレンズ装置。
【請求項15】
前記伝達環の外周を覆う環状部材を有することを特徴とする請求項1ないし14のうちいずれか
一項に記載のレンズ装置。
【請求項16】
前記光学素子は、レン
ズを含むことを特徴とする請求項1ないし15のうちいずれか
一項に記載のレンズ装置。
【請求項17】
請求項1ないし16のうちいずれか
一項に記載のレンズ装置と
、該レンズ装置により形成された像を撮る撮像素子
とを有することを特徴とする撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンズ装置および撮像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
光軸の周りに回動可能な環状の操作部材と、光軸の周りに回動することによって光学素子を光軸に沿って直動させる回動直動変換機構とを連結部材で連結し、該操作部材を回動させることによって合焦や変倍を行うレンズ装置が知られている。特許文献1は、固定環の外周に嵌合し、光学素子を直動させるためのカムやリードねじを備えた駆動環(回動直動変換機構)と、固定環の外周において回動操作可能な操作環とを、カラーとビスとにより強固に連結したレンズ装置を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されたレンズ装置では、回動直動変換機構と操作部材とは、互いに一体となって回転するものの、部品の製造ばらつきや組立てばらつきにより、互いの軸ずれが発生しうる。このため、回動直動変換機構と操作部材とをそれぞれ固定筒に嵌合させても、操作部材の回動に要するトルクが均一とならず、操作感のムラが発生しうる。当該操作感のムラは、回動直動変換機構が嵌合する固定筒の部品と操作部材が嵌合する固定筒の部品とが互いに異なる場合には、より顕著となりうる。
【0005】
操作トルクの均一化のために操作部材と固定筒との間の嵌合ガタ(ラジアルガタ)を大きくすると、操作トルクによる操作感のムラは解消されるものの、ラジアルガタにより操作性が損なわれる。また、回動直動変換機構と固定筒との間の嵌合ガタを大きくすると、駆動される光学素子の平行偏心や傾き偏心の発生により、レンズ装置の光学性能が低下しうる。
【0006】
本発明は、例えば、操作部材の操作性および光学性能の点で有利なレンズ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一つの側面は、光学素子と、第1固定筒と、前記第1固定筒に連結された第2固定筒と、前記第1固定筒に嵌合し、前記第1固定筒の軸としての第1軸の周りに回動することによって前記光学素子を前記第1軸に沿って駆動する変換機構と、前記第2固定筒の外周に嵌合し、前記第2固定筒の軸としての第2軸の周りに回動可能な操作部材とを有するレンズ装置であって、前記第1軸に直交する第1方向において並進可能に前記変換機構によって支持され、前記第2軸に直交し前記第1方向とは異なる第2方向において並進可能に前記操作部材によって支持され、前記操作部材から前記変換機構へ回動を伝達する伝達環を有することを特徴とするレンズ装置である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、例えば、操作部材の操作性および光学性能の点で有利なレンズ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態1に係るレンズ装置の構成例を示す断面図
【
図2】レンズ装置の構成例を示す断面図(
図1の断面とは90度をなす断面)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を説明する。なお、実施形態を説明するための全図を通して、原則として(断りのない限り)、同一の部材等には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0011】
〔実施形態1〕
図1は、実施形態1に係るレンズ装置の構成例を示す断面図である。また、
図2は、当該レンズ装置の構成例を示す断面図(
図1の断面とは90度をなす断面におけるもの)である。これらの図に向かって、左側は、物体側であり、右側は、像面側である。これらの図において、固定筒9(筒状の部材)は、駆動されない部材であり、レンズ装置1が装着される撮像装置(後述の
図5における200)との連結部(マウント部)に接続されている。本実施形態に係るレンズ装置1は、焦点調節用のレンズ群(フォーカスレンズ群)としての光学素子2を含む。当該光学素子2は、固定筒9の軸または光軸に沿って(図中の左右方向に)移動することにより、レンズ装置の焦点位置(被写体距離)を連続的に変更することができる。なお、「レンズ群」なる用語は、単一のレンズまたは接合レンズからなる光学素子を含むものとする。また、「筒」や「環」なる用語は、少なくとも一部において、筒状や環状の部分を含む部材を意味するものとする。
【0012】
光学素子2は、移動鏡筒3に保持され、移動鏡筒3は、移動筒4にビスで固定されている。移動筒4の外周部には、光軸に直交する方向に延びる3つのカムピン5(カムフォロワともいう)が光軸の周りにおいて120°間隔で固定されている。3つのカムピン5は、固定筒6(第1固定筒)において光軸(固定筒6の軸;第1軸)に沿って形成された3対の直線溝6aと、固定筒6の外周に嵌合するカム環7において形成されたカム溝7aとに、それぞれ円滑に摺動可能に係合している。カム環7は、固定筒6に嵌合して円滑に回動(回転)可能であり、固定筒6に螺合するカム環押え16によって光軸に沿った移動が規制されている。移動筒4は、固定筒6に形成された直線溝6aとカムピン5との係合により、光軸の周りの回動が規制されている。カム環7が光軸の周りに回動すると、カム環7のカム溝7aにカムピン5が案内されて移動筒4が光軸に沿って移動する。ここで、カム環7は、以上のように回動から直動への変換の機能を担っていることから、回動直動変換機構(回動から直動への変換機構)ともいう。なお、回動直動変換機構は、ヘリコイドネジが形成された、(光)軸の周りに回動可能な筒状部材としうる。その場合、移動筒4は、当該ヘリコイドネジに螺合するヘリコイドネジが形成されているものとしうる。
【0013】
固定筒6(第1固定筒)は、固定筒8を介して固定筒9(第2固定筒)にビスで連結(固定)されている。操作環10(操作部材ともいう)は、内周部(内面)で固定筒9の外周部(外面)と嵌合している。操作環10は、外周部10aにおいて、被写体距離を示す指標(フォーカス指標ともいう)が彫刻等により備えられている。操作環10は、光軸(固定筒9の軸;第2軸)の周りに円滑に回動操作可能であり、固定筒8の摺動面8aと固定筒9の摺動面9aとに挟持されることにより、光軸方向における移動が規制されている。操作環10の一部は、カム環7の外側を覆っている。ここで、操作環10の内面10bとカム環7の外面とは、操作環10とカム環7とがそれぞれ固定筒9と固定筒6とに対して回動しても互いに接触しないように、それらの間に十分な隙間が設けられている。
【0014】
操作環10の被写体側には、操作環10の筒部10bと同じくカム環7の外面に対して十分な隙間を備えた伝達環11が配置されている。伝達環11には、その軸または光軸を介して対向する2箇所に貫通穴11a(
第1開口)が形成されている。カム環7の外面上には、カム環7の軸または光軸を介して対向する2箇所に連結ピン12
(第1部材)が配され、2箇所の連結ピン12は、2箇所の貫通穴11aにそれぞれ係合している。連結ピン12は、金属製の軸部12aと、それに圧入された樹脂部12bとから構成されうる。樹脂部12bは、貫通穴11aにガタなく係合しているのが好ましい。なお、貫通穴および連結ピンは、一方がカム環7に、他方が伝達環11に、それぞれ形成または配備されていればよい。貫通穴11aおよび連結ピン12は、ともに対向して1対設けられているため、伝達環11は、連結ピン12が固定されているカム環7に対して、貫通穴11aの軸に沿って移動可能(並進可能)となっている。当該軸を軸Aとする。
図3は、
図1におけるC-C断面での断面図である。ここで、光軸に直交し且つ軸Aにも直交する軸を軸Bとする。なお、軸Aと軸Bとは、互いに平行ではない(互いに方向が異なる)ことを要するものの、互いに直交している必要はない。伝達環11の外周部の軸Bを挟む部位には、板状の連結コマ13(板状部材または板状の連結部材ともいう)が操作環10における被写体側の先端の凸部10c
(第2部材)を挟み込むように配されている。凸部10cは、
図4に示すように、操作環10の先端部に凹部10d(切り欠き部)を形成してなるものであり、その両側面は、軸Bとは平行になるように形成されている。凸部10cは、操作環10の先端部に、その軸または光軸を介して対向して2箇所に配されている。同様に、伝達環11の外周部にも、凸部10cを挟む一対の連結コマ13が、伝達環11の軸または光軸を介して対向して2箇所に配されている。一対の連結コマ13は、凸部10cに対応する領域に開口
(第2開口)を形成している。連結コマ13は、連結コマ13に形成された長穴13aに挿入された2本のビス14によって、伝達環11に固定されている。凸部10cを挟む1対の連結コマ13は、それぞれ凸部10cの側面に対してガタなく突き当たった状態となるように固定されている。なお、凸部および1対の連結コマは、一方が操作環10に、他方が伝達環11に、それぞれ形成または配備されていればよい。凸部10cおよび1対の連結コマ13は、ともに上述のように対向する2箇所に配されているため、伝達環11は、凸部10cを備えた操作環10に対して軸Bに沿った方向にのみ移動可能(並進可能)となっている。伝達環11は、以上のように、回動直動変換機構および操作部材によって支持されている。
【0015】
以上のように構成された伝達環11の作用について以下に説明する。伝達環11は、カム環7に対しては、軸Aに沿った方向(第1方向)において(沿って)のみ移動可能となっている。したがって、貫通穴11aと連結ピン12との係合による規制では、伝達環11の位置は、軸Aに沿った方向においてのみ定まらないが、その他の方向においては定まる。また、伝達環11は、操作環10に対しては、軸Bに沿った方向(第2方向)において(沿って)のみ移動可能となっている。したがって、凸部10cと連結コマ13との係合(接触)による規制では、伝達環11の位置は、軸Bに沿った方向においてのみ定まらないが、その他の方向においては定まる。以上のことから、貫通穴11aと連結ピン12との間の係合および凸部10cと連結コマ13との間の係合により、カム環7の位置と操作環10の位置とが定まっている場合には、それに従って伝達環11の位置が定まることになる。すなわち、伝達環11は、操作環10の回動に従って回動しつつ、カム環7の位置と操作環10の位置とに従った特定の位置に移動することができる。換言すると、伝達環11は、当該移動により、カム環7と操作環10との間の軸ずれが生じていても、当該ずれによる操作トルクのムラや光学素子の偏心(平行偏心や傾き偏心)を低減することができる。
【0016】
なお、レンズ装置1の最も外側には、伝達環11、ならびに操作環10の先端部における凸部10cおよび切欠き部10bを覆う形状を有する化粧環15(環状部材)が配されている。このため、レンズ装置1の使用者(操作者)やレンズ装置1以外の物が伝達環11に直接触れることはない。それゆえ、伝達環11は、外乱の影響を受け難く、カム環7の位置と操作環10の位置とに従った特定の位置へ従動することができるようになっている。
【0017】
以上のような構成を有する本実施形態に係るレンズ装置1により得られる効果を以下に説明する。レンズ装置1の焦点調節(フォーカス操作)を行う場合、使用者は、操作環10を光軸の周りに回動させる。ここで、本実施形態における操作環10と固定筒9との間の嵌合は、伝達環11がない場合に比してガタを低減できるため、操作環の操作性や操作感を改善することができる。また、操作環10と固定筒9との間の嵌合部と、カム環7と固定筒6との間の嵌合部との間には、部品の製造のバラツキや部品の組み立てのバラツキにより、互いに軸ずれが生じうる。この軸ずれは、上述したように、伝達環11の移動によって許容される。よって、当該軸ずれに起因した過剰な負荷(抵抗)が軽減でき、また、カム環7に伝達される、操作環10の回転力とは異なる、光学素子を偏心させるような力を低減することができる。よって、本実施形態によれば、操作トルクの均一性の点で有利なレンズ装置を提供することができる。
【0018】
操作環10の回転力(回動)が伝達されてカム環7が回動することにより、カム溝7aとカムピン5との係合の作用により、移動筒4および光学素子2が光軸に沿って移動し、その結果として、レンズ装置1の焦点位置(被写体距離)を調節することができる。ここで、本実施形態におけるカム環7と固定筒6との間の嵌合は、伝達環11がない場合に比してガタを低減できるため、光学素子2の平行偏心や傾き偏心を低減することができる。よって、本実施形態によれば、光学性能の点で有利なレンズ装置を提供することができる。
【0019】
また、連結コマ13は、ビス14が挿入されている穴13aが長穴となっている。そのため、操作環10と伝達環11との連結は、第2軸の周りの周方向における互いの相対的な配置(回転角)を調節(位置決め)して、且つ当該配置(位置決め)を変更可能に行うことができる。具体的には、例えば、まず、被写体距離が無限遠となる光学素子2の位置となるようにカム環7の回転角を調整する。そのうえで、操作環10に設けられた無限遠を示す指標と固定筒9に設けられた指標線とを合致させる。その状態で、操作環10と伝達環11とを回動に関して互いに連結コマ13で連結する。こうすることにより、フォーカス指標の示す被写体距離の正確さの点で有利なレンズ装置を提供することができる。
【0020】
なお、本実施形態では、操作環の被写体側に伝達環が配されているものとしたが、両者が光軸に沿う方向において互いに重なり合うように操作環の一部が伝達環の外側を覆うように配されていてもよい。また、本実施形態では、カム環と伝達環との連結が連結ピンでなされ、伝達環と操作環との連結が板状の連結コマでなされているものとしたが、それらを連結する構造が互いに入れ替わっていてもよい。また、当該連結構造は、軸Aの方向と軸Bの方向とで互いに異なっているものには限られず、軸Aの方向と軸Bの方向とで互いに同じになっていてもよい。ここで、カム環と伝達環との連結を板状の連結コマで行う場合は、当該連結は、第1軸の周りの周方向における互いの相対的な配置(回転角)を調節(位置決め)して、且つ当該配置(位置決め)を変更可能に行うことができる。具体的には、例えば、まず、被写体距離が無限遠となる光学素子2の位置となるようにカム環7の回転角を調整する。そのうえで、操作環10に設けられた無限遠を示す指標と固定筒9に設けられた指標線とを合致させる。その状態で、カム環7と伝達環11とを回動に関して互いに連結コマで連結する。こうすることによっても、フォーカス指標の示す被写体距離の正確さの点で有利なレンズ装置を提供することができる。また、カム環と伝達環との連結は、それらのうち一方において第1軸に沿って延びた板状部材(第1部材)と、それらのうち他方の端部において第1軸に沿って形成されている開口(第1開口)とによってなされていてもよい。同様に、操作環と伝達環との連結は、それらのうち一方において第2軸に沿って延びた板状部材(第2部材)と、それらのうち他方の端部において第2軸に沿って形成されている開口(第2開口)とによってなされていてもよい。また、本実施形態では、カム環と操作環との間の軸ずれを許容する連結構造は、フォーカスレンズ群の駆動系に適用したが、それには限られず、ズームレンズ群や開口絞り等の他の光学素子の駆動系に適用してもよい。
【0021】
〔撮像装置に係る実施形態〕
図5は、撮像装置の構成例を示す図である。当該撮像装置は、以上に例示したレンズ装置1と、当該レンズ装置によって形成された像を撮る撮像素子200a(を含むカメラ装置(撮像装置本体)200)とを有する撮像装置としうる。その場合、レンズ装置1は、カメラ装置200に対して交換可能に装着されるものであってもよいし、そうでないものであってもよい。
【0022】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されないことはいうまでもなく、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【符号の説明】
【0023】
1 レンズ装置
2 光学素子
6 第1固定筒
7 変換機構
9 第2固定筒
10 操作部材
11 伝達環