(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-05
(45)【発行日】2024-04-15
(54)【発明の名称】3D部品の強度を増加させるためのクロス層繊維の交絡
(51)【国際特許分類】
D04H 18/02 20120101AFI20240408BHJP
D04H 5/10 20120101ALI20240408BHJP
B29C 64/147 20170101ALI20240408BHJP
B29C 64/223 20170101ALI20240408BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20240408BHJP
B33Y 30/00 20150101ALI20240408BHJP
B65H 37/04 20060101ALI20240408BHJP
【FI】
D04H18/02
D04H5/10
B29C64/147
B29C64/223
B33Y10/00
B33Y30/00
B65H37/04 Z
(21)【出願番号】P 2020041425
(22)【出願日】2020-03-11
【審査請求日】2023-03-03
(32)【優先日】2019-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】596170170
【氏名又は名称】ゼロックス コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100167911
【氏名又は名称】豊島 匠二
(72)【発明者】
【氏名】ポール・エム・フロム
【審査官】印出 亮太
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-158225(JP,A)
【文献】特開2008-223216(JP,A)
【文献】特表平07-505682(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0264725(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0082657(US,A1)
【文献】特開2020-163846(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D04H 1/00 - 18/00
B29C 64/00
B33Y 30/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
付加製造システムからの積み重ねられた印刷繊維状シートを交絡するための印刷シート繊維交絡装置であって、
印刷繊維状シートの積み重ねを支えるように構成されたベッドプレートであって、各印刷繊維状シートは、所望の3D物体のスライスのためのパターンが形成され、位置決め開口を含み、前記印刷繊維状シートのうちの少なくとも1つは、その中に繊維を有する、ベッドプレートと、
前記ベッドプレートと位置合わせされ、前記位置決め開口を通って延在して、前記積み重ねの前記印刷繊維状シートを前記ベッドプレート上に整列させて維持する位置決めピンと、
前記ベッドプレートと位置合わせされたガイドプレートであって、前記ガイドプレートは、前記ガイドプレートを通って垂直に延在する開口のアレイを有し、前記ガイドプレートは、前記ベッドプレートに向かって、印刷繊維状シートの前記積み重ねに接する第1の位置と、前記ベッドプレートから離れて、追加の印刷繊維状シートを前記積み重ね上に載置することを可能にする第2の位置と、の間を往復するように構成された、ガイドプレートと、
前記ベッドプレートの反対側の前記ガイドプレートに隣接する針ボードと、
前記針ボードによって保持され、前記ベッドプレートに向かって延在するフェルト針のアレイと、を備え、前記フェルト針のアレイが前記ガイドプレートの開口のアレイと位置合わせされており、前記フェルト針が、前記ガイドプレートが前記第1の位置にあるときに前記開口のアレイを通る挿入を介して前記ガイドプレートに隣接する複数の前記印刷繊維状シートを通る往復のために、及び更に前記ガイドプレートに隣接する前記複数の前記印刷繊維状シートを通る挿入のために配設されており、前記フェルト針が、その外周面に、前記積み重ねの前記複数の印刷繊維状シートのうちの1つからの繊維を、前記印刷繊維状シート上の印刷マーキング材料を通って、前記積み重ねの隣接する印刷繊維状シートの繊維と絡み合わせるように構成された返し棘を有している、装置。
【請求項2】
前記返し棘が、前記繊維を引っ張るように構成された上向きの返し棘である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記フェルト針のうちの1つの前記返し棘は、前記繊維を引っ張るように構成された上向きの返し棘であり、前記フェルト針のうちの前記1つに隣接する前記フェルト針のうちの第2の1つの前記返し棘は、前記繊維を押すように構成された下向きの返し棘である、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
基部と、前記ベッドプレートと、前記基部に取り付けられ、前記ベッドプレートを通って前記ガイドプレートに向かって延在する前記位置決めピンとを含む、前記ベッドプレート及び前記基部の動作の位置合わせを維持するための積み重ねデバイスを更に備える、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記ガイドプレートの開口のアレイの前記開口が、前記ベッドプレートの表面平面を横切る細長いスロット形状を有し、前記針ボードが、前記複数の印刷繊維状シートを通る後続の挿入のために、前記フェルト針のアレイの前記印刷繊維状シートの積み重ねからの引き抜きの後に、前記ガイドプレートに対して横方向に並進するように構成された、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記ガイドプレート及び前記針ボードの両方が、前記複数の印刷繊維状シートを通る後続の挿入のために、前記印刷繊維状シートの積み重ねからの前記フェルト針のアレイの引き抜きの後で、前記印刷繊維状シートの積み重ねに対して横方向に並進するように構成された、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記繊維が
、ナイロン繊維、
又は、ポリエステル繊
維である、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記少なくとも1つの印刷繊維状シートが、炭素繊維と
ナイロン繊維を有するハイブリッド繊維シート、
又は、炭素繊維とポリエステル繊維を有するハイブリッド繊維シートである、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
付加製造システムからの積み重ねられた印刷繊維状シートを交絡させるための方法であって、
印刷繊維状シートを別の印刷繊維状シートの上に載置して、ベッドプレート上に印刷繊維状シートの積み重ねを形成することであって、各印刷繊維状シートは、所望の3D物体のスライスのためのパターンが形成され、位置決め開口を含み、前記印刷繊維状シートのうちの少なくとも1つが、その中に繊維を有し、前記印刷繊維状シートを前記載置することが、前記印刷繊維状シートを、前記ベッドプレートと位置合わせされ、前記印刷繊維状シートの前記位置決め開口を通って延在する位置決めピンを介して、前記別の印刷繊維状シートと位置合わせすることを含む、印刷繊維状シートを載置することと、
前記印刷繊維状シートの積み重ねに押し付けられた第1の位置で前記印刷繊維状シートの積み重ねにガイドプレートで圧力を加えることであって、前記ガイドプレートが、前記ガイドプレートを通って垂直に延在する開口のアレイを有する、加えることと、
針ボードによって保持され、前記ガイドプレートの開口のアレイ及び前記ガイドプレートに隣接する複数の前記印刷繊維状シートを通って前記ベッドプレートに向かって延在するフェルト針のアレイを、往復させることであって、前記往復させることが、前記ガイドプレートが前記第1の位置にあるときに前記フェルト針を前記開口のアレイに挿入することと、前記ガイドプレートに隣接する複数の前記印刷繊維状シートを通して前記フェルト針を更に挿入することと、を含み、前記往復させることが、前記フェルト針を前記印刷繊維状シートの積み重ねから引き抜くことを更に含み、前記フェルト針が、前記往復させる間に、前記積み重ねの前記複数の印刷繊維状シートのうちの1つからの繊維を前記印刷繊維状シート上の印刷されたマーキング材料を通って前記積み重ねの隣接する印刷繊維状シートの繊維と絡み合わせるように構成された返し棘を有する、往復させることと、を含む、方法。
【請求項10】
前記返し棘が、前記積み重ねの前記複数の印刷繊維状シートのうちの前記1つからの前記繊維を前記ガイドプレートにより近い前記積み重ねの前記隣接する印刷繊維状シート内に引き込む上向きの返し棘であることを更に含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記フェルト針のアレイを往復させることが、前記フェルト針のうちの1つの前記返し棘が、前記積み重ねの前記複数の印刷繊維状シートのうちの前記1つからの繊維を、前記返し棘で前記ベッドプレートにより近い前記積み重ねの前記隣接する印刷繊維状シート内に押し込む下向きの返し棘であることと、前記フェルト針のうちの別の1つの別の返し棘が、前記積み重ねの前記複数の印刷繊維状シートのうちの前記1つからの繊維を、前記ガイドプレートにより近い前記積み重ねの別の隣接する印刷繊維状シート内に引き込む上向きの返し棘であることと、を更に含む、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記位置決めピンを積み重ねデバイスの基部から前記ベッドプレートを通って前記ガイドプレートに向かって延在させて、前記ベッドプレート及び前記基部の動作の位置合わせを維持することを更に含む、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記ガイドプレートの開口のアレイの前記開口が、前記ベッドプレートの表面平面を横切る細長いスロット形状を有し、前記複数の印刷繊維状シートを通る後続の挿入のために、前記印刷繊維状シートの積み重ねからの前記フェルト針のアレイの引き抜きの後に、前記ガイドプレートに対して前記針ボードを横方向に並進させることを更に含む、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記複数の印刷繊維状シートを通る後続の挿入のために、前記印刷繊維状シートの積み重ねからの前記フェルト針のアレイの引き抜きの後に、前記ガイドプレート及び前記針ボードの両方を前記印刷繊維状シートの積み重ねに対して横方向に並進させることを更に含む、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
付加製造システムのスタッカサブシステムであって、
ダイホルダと位置合わせされたパンチホルダであって、前記パンチホルダが、前記パンチホルダと前記ダイホルダとの間に供給される印刷基材ウェブの送達経路を横断する方向に、前記ダイホルダに向かって、かつ前記ダイホルダから離れて往復するように構成されており、前記パンチホルダが、前記ダイホルダに隣接するキャビティ孔を有するキャビティを前記パンチホルダ内に有し、前記ダイホルダが、前記パンチホルダの前記キャビティに対応する、前記ダイホルダ内を通るチャネルを有し、前記パンチホルダ及び前記ダイホルダが前記パンチホルダと前記ダイホルダとの間に前記印刷基材ウェブを受け入れるように構成されており、前記印刷基材ウェブが、複数の印刷繊維状シートを含み、各印刷繊維状シートは、所望の3D物体のスライスのためのパターンが形成され、位置決め開口を含み、前記印刷繊維状シートのうちの少なくとも1つは、その中に繊維を有する、パンチホルダと、
外周に離間した関係で前記キャビティ内に摺動自在に受け入れられるパンチプレートであって、前記パンチプレートが、前記印刷基材ウェブの前記送達経路を横断する方向に、前記パンチホルダ内の凹位置と、前記ダイホルダの前記チャネル内に延在する切断位置との間を往復して、前記印刷基材ウェブから基材シートを切断するように構成され、前記切断された基材シートは、前記複数の印刷繊維状シートのうちの1つであり、前記パンチプレートは、開口を画定している内周壁を有する、パンチプレートと、
請求項1に記載の印刷シート繊維交絡装置と、を備えるスタッカサブシステム。
【請求項16】
前記返し棘が、前記繊維を引っ張るように構成された上向きの返し棘である、請求項15に記載のスタッカサブシステム。
【請求項17】
前記フェルト針のうちの1つの前記返し棘が、前記繊維を引っ張るように構成された上向きの返し棘であり、前記フェルト針のうちの前記1つに隣接する前記フェルト針のうちの第2の1つの前記返し棘は、前記繊維を押すように構成された下向きの返し棘である、請求項15に記載のスタッカサブシステム。
【請求項18】
基部と、前記ベッドプレートと、前記基部に取り付けられ、前記ベッドプレートを通って前記ガイドプレートに向かって延在する前記位置決めピンとを含む、前記ベッドプレート及び前記基部の動作の位置合わせを維持するための、積み重ねデバイスを更に備える、請求項15に記載のスタッカサブシステム。
【請求項19】
前記ガイドプレートの開口のアレイの前記開口が、前記ベッドプレートの表面平面を横切る細長いスロット形状を有し、前記針ボードが、前記複数の印刷繊維状シートを通る後続の挿入のために、前記印刷繊維状シートの積み重ねからの前記フェルト針のアレイの引き抜きの後で、前記ガイドプレートに対して横方向に並進するように構成された、請求項15に記載のスタッカサブシステム。
【請求項20】
前記ガイドプレート及び前記針ボードの両方が、前記複数の印刷繊維状シートを通る後続の挿入のために、前記印刷繊維状シートの積み重ねからの前記フェルト針のアレイの引き抜きの後で、前記印刷繊維状シートの積み重ねに対して横方向に並進するように構成された、請求項15に記載のスタッカサブシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、複合材ベースの付加製造のためのシステム及び方法に関し、より具体的には、個々のラミネート層を三次元の物体、部品、及び構成要素(3D物体)を形成及び/又は製造するように構築されるようにするプロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、出力製品の成形又は機械加工の様々な形態を含んでいた従来の物体、部品、及び構成要素の製造プロセスは、「付加製造」又はAM技術と地球規模で呼ばれる新しい種類の技術の商業的実装を含むように拡張されている。これらのAM技術は、一般に、特別の材料堆積及び硬化スキームに従う製造過程の3D物体上に未完成の状態で時には有毒か、そうでなければ危険である付加材料の層が、連続的に堆積される「固体自由形形状製作(SFF)」、又は「3D印刷」とどちらかで呼ばれるプロセスを伴う。3D物体成形プロセスで各層が追加されるにつれて、新たな材料層が追加され、既に存在する1つ以上の層に付着される。次いで、各AM層は、少なくとも部分的に、3D物体構築プロセスでの任意の次のAM層の堆積前に、個々に硬化することができる。3D作業エンベロープ全体を通したこの連続層材料の追加/接合は、様々なレベルの精巧化の自動制御下で実行される。
【0003】
AM製造技術としては、限定するものではないが、3D印刷物体を製造するために使用可能な「3D印刷」技術と広く呼ばれるようになった技術が挙げられる。3D印刷技術は、画像受信媒体基材上に2次元(2D)印刷画像を形成するための周知のプロセスから適応された、及びそれにいくつかの点で類似しているように見える、1つ以上のプロセスを採用する。3D印刷技術によって製作される出力構造の有意な差は、一般的に、(1)3Dプリンタから出力された3D印刷物体を形成するために使用される堆積材料の組成、及び/又は(2)比較的多数の連続する(及び非常に薄い)層を堆積させて層を出力された3D印刷物体の形態に構築する際に「印刷」ヘッドによってなされるパスの数、に基づく。
【0004】
いくつかの粉末ベースのAM技術が商業化されてきた。これらは、選択的レーザ焼結(SLS)、並びに3D印刷のためのトナーベースの2D印刷技術の特定の適合を含む。当業者であれば、これらの実装態様のうちの特定のものでは、特定の複雑な形状の生成を支えるために、別個の支持構造が通常必要とされないことを認識する。これらのプロセスのうちの特定のものでは、粉末材料は、余剰な粉末が手動で除去されて3D物体に選択的に固化される。SLSプロセスでは、例えば、粉末の薄層がワークスペース容器内に堆積され、次いで、粉末が、所望の断面形状をトレースするレーザビームを使用して融合される。このプロセスは、粉末の層を堆積させることによって繰り返され、このようにして、3D物体が1層ずつ構築される。典型的なトナーベースの3D印刷プロセスでは、バインダ材料は、各粉末層上の3D物体の断面の形状にバインダを一般的に印刷するのに使用される印刷技術で層に堆積された粉末を選択的に結び付ける。
【0005】
ここで、拡大する数のAM又は3D印刷プロセス及び技術が利用可能である。これら多数のAM又は3D印刷プロセス間を区別する主な特性は、層が堆積されて出力3D物体を作製する方法、及び出力3D物体を形成するために使用される材料にある。
【0006】
AM技術(この用語は、本開示の残りの部分全体を通して3D印刷を含む様々な3D物体の積層及び構築技術を指すために使用される)のあるものは、例えば、選択的レーザ溶融又は加えられた熱を介した入力材料の焼結などの技術を使用して材料を溶融又は軟化させて構築層を製作する。AM製造技術の他のものは、噴射された(インク)材料の「印刷」技術などの液体材料の堆積技術を使用して液体材料を堆積及び硬化させる。
【0007】
いくつかの3Dプリンタは、炭素繊維などの繊維シート上に部分断面の像にプラスチックを印刷し、次いで、多くのシートを積み重ねて、プラスチック及び圧縮された積み重ねを溶融又は硬化させるために積み重ねが加熱された後で3D部品になる積み重ねを形成するプロセスを使用する。接着されていない余剰な繊維状シートは、サンドブラスト又は他の方法によって除去される。部品強度は、繊維の強度によって支配される。層間強度は、プラスチックバインダの強度によって支配される。3D部品の層強度を増加させることは有益であるはずである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示で具体化された前述の及び/又は他の態様及びユーティリティは、付加製造システムからの積み重ね印刷繊維状シートを交絡させるための印刷シート繊維交絡装置を提供することによって達成することができ、当該印刷シート繊維交絡装置は、ベッドプレート、位置決めピン、ガイドプレート、針ボード、及びフェルト針のアレイを有する。ベッドプレートは、印刷繊維状シートの積み重ねを支えることができ、各印刷繊維状シートは、所望の3D物体のスライスのためのパターンが形成され、位置決め開口を含む。位置決めピンはベッドプレートと位置合わせされ、位置決め開口を通って延在して、積み重ねの印刷繊維状シートをベッドプレート上に整列させて維持する。ガイドプレートはベッドプレートと位置合わせされ、ガイドプレートを通って垂直に延在する開口のアレイを有する。ガイドプレートは、ベッドプレートに向かう、印刷繊維状シート積み重ねに対する第1の位置と、ベッドプレートから離れた、追加の印刷繊維状シートを積み重ね上に載置することを可能にする第2の位置との間を、往復することができる。針ボードは、ベッドプレートの反対側のガイドプレートに隣接している。フェルト針のアレイは、針ボードによって保持され、ベッドプレートに向かって延在し、フェルト針のアレイはガイドプレートの開口のアレイと位置合わせされている。フェルト針は、ガイドプレートが第1の位置にあるときに開口のアレイを通って挿入されるように、更に、ガイドプレートに隣接する複数の印刷繊維状シートを通って挿入されるように配設される。フェルト針は、その周囲表面に、積み重ねの複数の印刷繊維状シートのうちの1つから、積み重ねの隣接する印刷繊維状シートに繊維を移動させるように構成された返し棘を有する。
【0009】
本明細書に例示される態様によれば、印刷繊維状シートを繊維交絡させて印刷繊維状シートの積み重ねを接着するための例示的な方法が記載される。本方法は、印刷繊維状シートを別の印刷繊維状シートの上に載置して、ベッドプレート上に印刷繊維状シートの積み重ねを形成することを含むことができ、各印刷繊維状シートは、所望の3D物体のスライスのためのパターンが形成され、位置決め開口を含み、印刷シートの一方が内部に繊維を含む。印刷繊維状シートを載置することは、印刷繊維状シートを、ベッドプレートと位置合わせされ印刷繊維状シートの位置決め開口を通って延在する位置決めピンを介して、印刷繊維状シートと位置合わせさせることを含む。本方法は、印刷繊維状シートの積み重ねに押し付けられた第1の位置にガイドプレートであって、当該ガイドプレートを通って垂直に延在する開口のアレイを有したガイドプレートで印刷繊維状シートの積み重ねに圧力を加えることと、針ボードによって保持され、ガイドプレートの開口のアレイ及びガイドプレートに隣接する複数の印刷繊維状シートを通ってベッドプレートに向かって延在するフェルト針のアレイを往復させることと、を更に含んでもよい。往復させることは、ガイドプレートが第1の位置にあるときに、開口のアレイを通してフェルト針を挿入することと、ガイドプレートに隣接する複数の印刷繊維状シートを通してフェルト針を更に挿入することとを含む。往復させることは、印刷繊維状シートの積み重ねからフェルト針を引き抜くことを更に含み、当該フェルト針は、往復させる間に積み重ねの複数の印刷繊維状シートのうちの1つから繊維を積み重ねの隣接する印刷繊維状シートの繊維と絡み合わせるように構成された返し棘を有する。
【0010】
本明細書に記載される態様によれば、付加製造システムのスタッカサブシステムは、パンチホルダと、ダイホルダと、パンチプレートと、ベッドプレートと、位置決めピンと、ガイドプレートと、針ボードと、フェルト針のアレイと、を備える。パンチホルダは、ダイホルダに整列され、パンチホルダは、パンチホルダとダイホルダとの間に供給される印刷基材ウェブの送達経路を横断する方向で、ダイホルダに向かう方向及びそれから離れる方向に往復するように構成されている。パンチホルダは、ダイホルダに隣接したキャビティ孔を有したキャビティを内部に有する。ダイホルダは、そこを通るパンチホルダのキャビティに対応するチャネルを有し、パンチホルダ及びダイホルダは、その間に印刷された基材ウェブを受け入れるように構成される。印刷された基材ウェブは、複数の印刷繊維状シートを有し、各印刷繊維状シートは、所望の3D物体のスライスのためのパターンが形成され、位置決め開口を含む。パンチプレートは、キャビティ内に、周辺が間隔を置かれた関係で、摺動して受け入れられ、パンチプレートは、印刷基材ウェブの送達経路を横断する方向で、パンチホルダ内の凹位置と、ダイホルダのチャネル内に延在された、基材シートを印刷基材ウェブから切断するための切断位置との間を往復するように構成される。パンチプレートは、開口を画定する内周壁を有する。ベッドプレートは、切断された印刷繊維状シートの積み重ねを支えるように構成される。位置決めピンはベッドプレートと位置合わせされ、位置決め開口を通って延在して、積み重ねの切断印刷繊維状シートをベッドプレート上に整列させて維持する。ガイドプレートは、ベッドプレートに位置合わせされ、ガイドプレートを通って垂直に延在する開口のアレイを有する。ガイドプレートは、ベッドプレートに向かって、切断印刷繊維状シートを切断印刷繊維状シートの積み重ねに対して付勢する第1の位置と、ベッドプレートから離れて、追加の切断印刷繊維状シートを積み重ね上に載置することを可能にする第2の位置との間を往復するように構成される。針ボードは、ベッドプレートの反対側のガイドプレートに隣接している。フェルト針のアレイは、ニードルボードによって保持され、ベッドプレートに向かって延在し、フェルト針のアレイはガイドプレートの開口のアレイと位置合わせされている。フェルト針は、ガイドプレートが第1の位置にあるときに開口のアレイを通って挿入されるように、また、ガイドプレートに隣接する複数の切断印刷繊維状シートを通って挿入されるように配設される。フェルト針は、積み重ねの複数の切断された印刷繊維状シートのうちの1つから、積み重ねの隣接する切断された印刷繊維状シートに繊維を移動させるように構成された返し棘を周囲表面に有する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施形態の一実施例による3D物体を印刷するための付加製造システムの側面図。
【
図2】印刷シート繊維交絡装置を有する例示的なスタッカサブシステムの側面図。
【
図3】
図2の印刷されたシート繊維交絡装置の針ボード、フェルト針のアレイ、及びガイドプレートの側面図。
【
図4】一実施例による、フェルト針引き抜き後の繊維状シートの積み重ねの断面を示す側面分解図。
【
図5】付加製造及び印刷シート繊維交絡スキームを実装するための例示的な制御システムのブロック図。
【
図6】印刷繊維状シートを繊維交絡させて印刷繊維状シートの積み重ねを接着するための例示的な方法の動作を描写するフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書に開示されるデバイス、システム、及び方法の例示的な実施例が以下に提供される。デバイス、システム、及び方法の一実施形態は、以下に記載される実施例のうちの任意の1つ以上、及び任意の組み合わせを含むことができる。しかしながら、本発明は、多くの異なる形態で具体化されてもよく、以下で説明される実施形態に限定されるものとして解釈されるべきではない。むしろ、これらの例示的な実施形態は、本開示が完全かつ完璧になり、本発明の範囲を当業者に十分に伝えるように提供されている。したがって、例示的な実施形態は、本明細書に記載されるような装置、機構、及び方法の趣旨及び範囲内に含まれ得るような全ての代替物、修正物、及び等価物を網羅することが意図される。
【0013】
我々は、本開示の詳細を不必要に不明瞭にしないように、周知の出発材料、処理技術、構成要素、機器、及び他の周知の詳細の説明を単に要約するか、又は省略してもよいことを最初に指摘している。したがって、我々は、詳細が他の方法で周知である場合、本開示の出願を、それらの詳細に関する選択肢を提案又は指示するままにしておく。図面は、基材ウェブに印刷しAM製造用のウェブの個々のシートを自動的に積み重ねるための例示的な方法、装置、及びシステムの実施形態に関連する様々な実施例を描写する。
【0014】
本明細書における任意の数値範囲を指すとき、このような範囲は、規定の範囲の最小値と最大値との間のそれぞれ及び全ての数及び/又は分数を含むと理解される。例えば、0.5~6%の範囲は、端点0.5%及び6%に加えて、0.6%、0.7%、及び0.9%から5.95%、5.97%、及び5.99%までの全ての中間値(5.95%、5.97%、及び5.99%を含む)を明示的に含む。同じことは、文脈がそうでないことを明確に指示しない限り、本明細書に説明される数値特性及び/又は要素範囲にも互いに当てはまる。
【0015】
量に関連して使用される修飾語「約」は、記述された値を含み、文脈によって規定される意味を有する(例えば、それは、少なくとも特定の量の測定に関連する誤差の程度を含む)。特定の値と共に使用される場合、それはその値を開示しているとも見なされるべきである。例えば、用語「約2」はまた、値「2」及び「約2~約4」の範囲も開示し、また、「2~4」の範囲も開示する。
【0016】
用語「媒体」、「ウェブ」、「ウェブ基材」、「印刷基材」、及び「基材シート」という用語は、一般に、予め切断されているか又はウェブが供給されているか否かにかかわらず、通常は可撓性の紙、ポリマー、マイラー材料、プラスチック、又は他の好適な物理的印刷媒体基材、シート、ウェブなどを指す。列挙された用語「媒体」、「印刷媒体」、「印刷基材」、及び「印刷シート」はまた、当業者に容易に理解されるように、織布、不織布、金属フィルム、炭素繊維強化材料及び箔を含んでもよい。
【0017】
本明細書で使用するとき、用語「マーキング材料」は、画像形成デバイスによってウェブ基材に堆積されて、基材上に画像を形成する印刷物を指すことができる。列挙された用語「マーキング材料」は、インク、トナー、金属粒子、プラスチック、顔料、粉末、溶融材料、ポリアミド、ナイロン、ガラス充填ポリアミド、エポキシ樹脂、バイオベース樹脂、ワックス、グラファイト、グラフェン、炭素繊維、光重合体、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリ乳酸(PLA)、ポリビニルアルコール(PVA)、ABSフィラメント、高密度ポリエチレン(HDPE)、高衝撃ポリスチレン(HIPS)、ポリエチレンテレフタレート(PETT)、セラミック、導電性フィラメント、及び他のインクジェット材料を含むことができる。
【0018】
本明細書で使用するとき、用語「画像形成デバイス」、「印刷デバイス」又は「プリンタ」は、デジタル複写機、スキャナ、画像印刷機、電子写真デバイス、デジタル製造プレス、文書処理システム、画像再生機、ブック製造機、ファクシミリ機、多機能マシン等、などの任意の目的のために印刷出力機能を実行する任意の装置を包含し、いくつかのマーキングエンジン、供給機構、走査アセンブリ、並びに、ペーパーフィーダ、フィニッシャなどの他の印刷媒体処理ユニットなどを含むことができる。画像形成デバイスは、シート、ウェブ、マーキング材料などを扱うことができる。画像形成デバイスは、任意の表面等にマークを置くことができ、入力シート上のマークを読み取る任意の機械であり、又はこのような機械の任意の組み合わせである。3Dプリンタは、3D物体等を作製することができる。図に示される構造体は、簡略化のために描かれていない追加の特徴を含み得るが、描写された構造は除去又は修正されてもよいことは理解されるであろう。
【0019】
用語「制御器」は、本明細書では、一般に、プロセス又は機械を指示又は調節する1つ以上のデバイスの動作に関する様々な装置を説明するために使用される。制御器は、本明細書で論じられる様々な機能を実行するための多数の方法(例えば、専用ハードウェアなど)で実装することができる。「プロセッサ」は、本明細書で論じる様々な機能を実行するためのソフトウェア(例えば、マイクロコード)を使用してプログラムされ得る1つ以上のマイクロプロセッサを採用する制御器の一例である。制御器は、プロセッサを採用して又は採用せずに実装されてもよく、また、いくつかの機能を実行するための専用ハードウェアと他の機能を実行するためのプロセッサ(例えば、1つ以上のプログラムされたマイクロプロセッサ及び関連する回路)の組み合わせとして実装されてもよい。本開示の様々な実施形態で採用され得る制御器構成要素の例としては、従来のマイクロプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0020】
実施例は、計算デバイス上で実行されるときに、本明細書に開示されるような方法を実装又は実行するための、複数の命令を含む、少なくとも1つの機械可読媒体を更に含む。このようなコンピュータ可読媒体は、汎用又は専用コンピュータによってアクセスすることができる任意の利用可能な媒体であり得る。例としてであって、限定するものではないが、このようなコンピュータ可読媒体は、RAM、ROM、EEPROM、CD-ROM又は他の光ディスク記憶デバイス、磁気ディスク記憶デバイス又は他の磁気記憶デバイス、あるいは、コンピュータ実行可能命令又はデータ構造の形態の所望のプログラムコード手段を搬送又は格納するために使用することができる任意の他の媒体を含むことができる。情報がネットワーク又は別の通信接続(有線、無線、又はそれらの組み合わせのいずれか)を介してコンピュータに情報が転送又は提供されると、コンピュータは、コンピュータ可読媒体としての接続を適切に見る。したがって、任意のそのような接続は、適正にコンピュータ可読媒体と呼ばれる。上記の組み合わせも、コンピュータ可読媒体の範囲内に含まれるべきである。
【0021】
コンピュータ実行可能命令としては、例えば、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、又は専用処理デバイスに特定の機能又は機能群を実行させる命令及びデータが挙げられる。コンピュータ実行可能命令はまた、スタンドアロン環境又はネットワーク環境でコンピュータによって実行されるプログラムモジュールも含む。一般に、プログラムモジュールは、特定のタスクを実行するか、又は特定の抽象データ型を実装するルーティン、プログラム、オブジェクト、構成要素、及びデータ構造などを含む。コンピュータ実行可能命令、関連するデータ構造、及びプログラムモジュールは、本明細書に開示される方法のステップを実行するためのプログラムコード手段の実施例を表す。このような実行可能命令又は関連するデータ構造の特定のシーケンスは、そこに記載される機能を実装するための対応する行為の実施例を表す。
【0022】
本明細書で使用するとき、別段の定めがない限り、用語「物体」はまた、部品、要素、部片、又は構成要素を意味することもできる。本明細書で使用するとき、物体は、3D印刷システム(プリンタ)によって個別に構築されるか、又は実際に構築される3D物体を指す。本明細書で言及されるような物体は、一体型部品を形成するように層を連続的に追加することによって構築される。いくつかのプリンタは、同じ印刷ジョブの一部として、複数の独立した3D物体を含む3Dモデルから複数の独立した部片を構築可能である。物体は、物体本体に埋め込まれた空隙を含むことができる。
【0023】
本発明の実施形態はこの点に関して限定されるものではないが、例えば、「処理」、「コンピューティング」、「計算する」、「決定する」、「使用する」、「確立する」、「分析する」、「チェックする」などの用語を利用する議論は、コンピュータのレジスタ及び/又はメモリ内の物理的な(例えば、電子な)量として表されるデータを、動作及び/又はプロセスを実行するための命令を格納することができる、コンピュータのレジスタ及び/又はメモリ又は他の情報記憶媒体内の物理量として同様に表わされる他のデータに操作及び/又は変換する、コンピュータ、コンピューティングプラットフォーム、コンピューティングシステム、又は他の電子コンピューティングデバイスの動作及び/又はプロセスを指すことができる。
【0024】
図1は、3D物体を印刷するための例示的なAMシステム100のブロック図である。AMシステム100は、材料供給器102、画像形成デバイス104、粉末サブシステム106、定着器108、センサ110、カッタ112、移送サブシステム114、スタッカサブシステム116、及び様々な構成要素を接続及び制御する他のフィーチャなどの構成要素を備えることができる。例示的な構成要素が
図1に示されているが、様々な代替の及び任意選択の構成要素もまた、システム100と共に使用するのに好適である。
【0025】
例示的な実装形態では、三次元(3D)物体は、コンピュータ支援設計(CAD)プログラムによって作製された、物体のコンピュータ3Dモデルに従って印刷される。例えば、CADプログラムは、自由形態非一様有理Bスプライン(NURBS)プログラムであってもよく、又はCADプログラムは、ソリッドワークス(Solid Works)(登録商標)であってもよい。AMシステム100では、マーキング材料148(例えば、粉末)(
図4)は、粉末サブシステム106によって、画像形成デバイス104によって規定されるような3D物体の薄いスライス又は層の「陽画像」に対応する基材材料118(又はその基材シート)上の物理的パターンに選択的に堆積される。3D物体の各スライスにつき、3D物体が存在するスライス内の位置に対応するパターンに粉末が取り付けられ、3D物体が存在しないスライス内の位置では、粉末は基材に取り付けられない。3D CADモデルの薄いスライスは、例えば、STLファイル形式の3Dモデルから開始し、netfabb(登録商標)スタジオソフトウェアのスライスコマンダフィーチャ(Slice Commander feature)(netfabb GmbH,Parsberg,Germanyから入手可能)を使用して、薄いスライスを作製することによって作製することができる。指定された3D部品又は物体を作製するために必要な数だけの追加の基材シートにつき繰り返される基材シートを選択的にパターン形成するこのサイクル、各シートは通常3D部品又は物体の層を表す。
【0026】
材料供給器102は、基材材料118(例えば、炭素繊維、紙)をロール又はシート形態(ここでは例えばロール形態で示す)に保持し、画像形成デバイス104への移送のために基材材料を適正な位置に載置する。基材材料118は、移送サブシステム114を介して画像形成デバイス104に移送することができ、このデバイスは、AMシステム100を通って供給される基材材料の長さにより画定されるウェブを保持及び前進させるために使用される送りローラ122と共に、張力調整機構120を備えることができる。張力調整機構120は、基材材料118がAMシステムの構成要素を供給されたときに教えられた基材材料118を保持するように据えられた1つ以上のローラ124を備えることができる。基材材料118のウェブは、画像形成デバイス104、粉末サブシステム106、定着器108、センサ110を含む、AMシステムの全ての構成要素を通って延在することができ、次いで、以下でより詳細に議論するように、積み重ねる前にカッタ112によって単一のシートに切断することができる。
【0027】
次いで、画像形成デバイス104は、基材材料118上の正確な位置に画像様方式で接着剤(例えば、流体126)のパターンを堆積させることができる。流体126は、材料のいくつかの部分が3D物体のスライスの陽画像として液体で覆われ、材料のいくつかの部分は覆われないように、基材材料118上に選択的に堆積される。流体126のパターンは、様々な手法を介して堆積することができる。例えば、画像形成デバイス104は、流体を分注するための熱インクジェットヘッド又は圧電インクジェットヘッドを備えることができる。実施例では、画像形成デバイス104は、流体126を分注するために空気圧を加えることができる。画像形成デバイス104はまた、空気圧が空気の放出又は流体の分注を制御するために使用される場合は、電磁弁を備えてもよい。
【0028】
いくつかの場合では、選択的に堆積される流体は、水の蒸発を遅らせる材料を含む水又は水溶液であってもよい。例えば、水溶液は2-ピロリジノンを含んでもよい。他の場合では、アルコールなどの異なる流体を選択的に堆積させることができる。例えば、基材材料118が水感受性のもの(例えば、ポリビニルアルコール、PVOH)である場合は、次いで、水が基材材料を変形させるか又は溶解することができる。その場合、アルコールが、選択的に堆積される流体として使用されてもよい。いくつかの場合では、選択的に堆積される液体流体が基材に拡散するか、又は過剰に吸収されるのを防止するために、液体流体を選択的に堆積させる前に、表面エネルギー調整剤又は撥水剤を基材に塗布することが有用である。
【0029】
次いで、材料供給器102は、基材材料118を、別個の構成要素として又は単一の構成要素に一体化されるものとして提供することができる粉末塗布器128及び粉末除去器130を備える粉末サブシステム106に移送する。いずれの配置でも、粉末塗布器128は、3D物体の粉末(例えば、熱可塑性粉末)を基材材料上に堆積させるように構成される。粉末は、画像形成デバイス104によって湿潤された基材の領域、即ち層画像、に付着するように構成される。換言すれば、粉末塗布器128は、パターン形成された層形状がちょうど印刷された基材材料118の表面に、限定するものではないが、熱可塑性粉末などの粉末を堆積させる。粉末は、基材材料又はそのシート上の印刷された(湿潤)領域に付着するが、流体で覆われていない基材の部分には付着しない。
【0030】
典型的な用途では、粉末塗布器128は、粉末を収容するトラフを備えることができる。トラフは、その下側にスリット状孔を有することができ、粉末サブシステムの電気機械的振動器に接続される。振動器は、作動時に、粉末を、それがトラフの下で移動する間に、スリット状孔を通ってトラフからトラフの外、基材上へと下方に流れるようにする。振動器は、下の基材上のパターン形成された流体の存在を感知するセンサ回路を備えることができる制御器150によって作動される。パターン形成された流体が完全に通過すると、振動器は停止して、トラフからの粉末の流れを止めることができる。
【0031】
粉末は、他の手法によって選択的に堆積させてもよい。例えば、粉末は、基材の層の片側を粉末であふれさせ、次いで、基材の反対側を、熱印刷ヘッドなどの適切なデバイスで選択的に加熱することによって選択的に堆積させてもよい。この手法では、熱印刷ヘッドは、選択的にオン又はオフにすることができる、加熱素子の高解像度アレイを備える。加熱される領域では、粉末は溶融して、基板に付着する。付着されていない余剰な粉末は、例えば、粉末除去器130により余剰な粉末を吸引することによって除去されるか、又は余剰な粉末が重力を介して基材から落ちるように基材をひっくり返すことによって除去される。
【0032】
代替的に、粉末は、電子写真印刷で用いられるものと同様の選択的堆積技術を使用して堆積されてもよい。この手法では、粉末粒子に電荷が付与され、この粉末粒子は、基材118に向けられ、次いで基材のいくつかの部分に選択的に付着するが、静電引力又は斥力により他の部分には付着しない。粉末粒子は、反対の電荷を有する基材の部分、又はそのような電荷を有する基材表面に隣接している部分に付着し、同じ電荷を有する基材の部分、又はそのような電荷を有する基材表面に隣接している部分から弾かれる。
【0033】
代替的に、粉末は、磁気印刷で用いられるものと同様の選択的堆積技術を使用して堆積されてもよい。この手法では、粉末は、粉末と基材表面又は基材表面に隣接する基材層との間の静磁気相互作用に起因して、基材層のいくつかの部分に選択的に付着するが、他の部分には付着しない。例えば、粉末は、単一成分の磁性トナー、コロイド懸濁液(例えば、強磁性流体)、又は二成分トナーであってもよい。この手法では、マグネタイト又は酸化第二鉄(FeO)などの様々な磁気顔料を、この手法でのトナー粉末に使用することができる。
【0034】
上記の実施例の全てで、粉末を選択的に堆積させるステップは、固体粉末を非選択的に基材118方向に向けるサブステップを含むことができる。例えば、このサブステップは、基材の表面全体を粉末であふれさせることを含んでもよい。あるいは、例えば、電子写真又は磁気写真の例では、このサブステップは、基材層全体に向けて帯電又は磁化された粉末を送ることを含んでもよい。
【0035】
更に
図1を参照すると、次いで、粉末除去器130は、基材に付着しないどんな粉末も除去する。粉末は、例えば、余剰な粉末が粉末除去器に隣接して移動するときにそれを吸引することによって、基材から除去することができる。典型的な用途では、粉末除去器130は、サイクロン(後述する)に結合された真空モータを有する掃除機を備えることができる。動作中、掃除機は、基材に付着しない粉末を引き寄せる一方、印刷領域に塗布された粉末は残る。サイクロンは、当業者によく理解されているように、再利用のために、吸引された粉末を粉末塗布器128に再循環させることができる。ある状況では、いくらかの望まない粉末が依然として基材材料上に存在し得るため、掃除機からの粉末除去量は不十分であり得る。この理由で、粉末除去器130は、基材からどんな残留余剰粉末も除去するために掃除機の後にエアナイフを備えることができる。除去された余剰な粉末はまた、再使用のためにサイクロンによって粉末塗布器に再循環させることもできる。
【0036】
粉末システム106は、基材材料118が画像形成デバイス104を通過すると、基材が自動的に粉末システム106を通って移動するように、連続的に稼働するために設定することができる。代替的に、転送サブシステム114、画像形成デバイス、及び粉末システム106と通信する制御器150は、粉末塗布器128及び粉末除去器130又はそのサブシステムに、適切な時間でオン及びオフをするように命令することができる。
【0037】
基材118が粉末塗布され、余剰な粉末が除去された後、残りの粉末は、粉末が基材の印刷領域に更に永久的に付着してその後の処理ステップの間に変位、破壊、又は脱落から保護されるように基材上に溶融させることができる。この目的のために、任意選択の定着器108が、粉末システム106の後に配設されてもよい。定着器108は、粉末除去器130から出る基材の上方、下方、又はそれに隣接して配設されてもよい。定着器108は、限定するものではないが、例えば、パターン形成された粉末を溶融させて基材に固定するのに十分な放射加熱、IR加熱、又は他の加熱の手法であってもよい。基材118が粉末システム106から出て移動すると、定着器108からの熱が基材表面上の粉末を溶融させて、それを基材に固定させる。
【0038】
AMシステム100は、任意選択で、システムが故障していないこと、適切な量の粉末が堆積されたこと、基材材料が所望どおりに移動していること、個々の基板シートが所望どおりに移動していること、及びプロセスの他の品質保証態様を保証するためにセンサ110(例えば、カメラなどの撮像デバイス)を有してもよい。センサは、例えば、制御器150からの入力に基づいて、又は印刷材料の縁部又は基材シートの検出時に自動的に動作することができる。
【0039】
例示的なAMシステム100で上述したように、基材材料118のロール102は、画像形成デバイス104の前に搭載され、据えられる。特定の定説に限定されるものではないが、基材材料118のウェブは、画像形成デバイス104、粉末サブシステム106、定着器108、センサ110を含むAMシステムの全ての構成要素を通って延在することができ、次いで、積み重ねの前にカッタ112によって、3D物体の層に対応する単一のシート132に切断することができる。実施例では、基材材料118のウェブは、カッタ112によって、プロセスの任意の先の点で単一のシート132に切断されてもよい。例えば、ウェブは、得られる基材シートを画像形成デバイス104に進める前に、単一のシートに変形されてもよい。同様に、ウェブは、画像形成デバイス104の後及び粉末サブシステム106の前で、又は粉末サブシステムの後及び定着器108の前で、又は定着器の後及びセンサ110の前で、単一のシートに変形されてもよい。実施例では、ウェブは、個々のシートに予め切断されて、シートがAMシステムによる個々の処理のために材料供給器によって保持されたシートの積み重ねとして配置されてもよい。カッタ112は、当業者によく理解されているように、機械的器具(例えば、刃、押抜き具)又は他の手法(例えば、レーザ)でシートを切断することができる。
【0040】
実施例では、AMシステム100はまた、所望の位置に基材材料118又は基材シート132内に位置決め開口を載置するための穿孔デバイス134を備えてもよい。位置決め開口は、シート上に印刷されたパターン形成マーキング材料画像の正確な位置合わせのために、基材シートの位置に対して予め画定された位置に正確に載置される。これは、又は当該技術分野において周知の他の位置合わせ機構を使用して、移送サブシステム114によって移動される基材材料118に近接して穿孔デバイス134を、例えば、画像形成デバイス104及び粉末サブシステム106が載置される同じフレーム上に、搭載することによって、あるいは、当該技術分野で周知の他の位置合わせ機構を使用して達成することができる。穿孔デバイス134は、基材材料から位置決め開口を突き出し形成する硬質器具、又は基材材料から位置決め開口を切り取るレーザカッタを備えることができる。
【0041】
3D物体を形成するAMプロセスを完了するために、粉末印刷基材シート132は、基材シートをそれらの位置決め開口を介して位置合わせして積み重ねられ、かつ、積み重ね基材シートを接着して結合された物体にするために一緒に融合され得る。次いで、コーティングされていない基材材料は、例えば、研磨剤ブラスト、化学的除去、又は溶解によって、結合された物体から除去することができる。スタッカサブシステム116は、前述の位置決め開口に基づいて、切断された印刷基材シート132を積み重ねるように構成される。
図1に見られるように、スタッカサブシステム116は、印刷基材シート132を受け入れ、位置決め開口がスタッカサブアセンブリの位置決めピン136の周りに位置合わせされて、印刷シートのスタック138を形成する。
【0042】
印刷シートを積み重ねた後、シートにパターン形成された粉末を結合して3D物体に硬化させることができる。
図1は、圧縮されても基材シート132上の圧力を維持するための、1つ以上の弾性構成要素(例えば、ばね142)を含む圧縮デバイス140を備える、スタッカサブシステム116を示す。多数の基材シート(層)が、ベッドプレート144上に順に重ねて、スタッカサブシステム116内に載置された後で、挿入された基材シートは、ばね142と共に圧縮されて、上部プレート146に底部ベッドプレートに向かってプレッサをかける。
【0043】
圧縮された積み重ね138は、例えば、オーブン(図示せず)内で加熱することができる。オーブンからの熱は、熱可塑性粉末を溶融させる。溶融された材料は、基材層をコーティングする。次いで、基板スタック138を内部に有する圧縮デバイス140がオーブンから取り出されて、基材層を冷却することが可能になる。次いで、溶融された材料が固化する。これにより、固化材料が、基材シート132を一緒に結び付け(融合す)る。次いで、余分な基材(固化した材料によって覆われていない)は、例えば、研磨剤吹付処理、化学的除去又は溶解によって、3D印刷された物体をもたらす。次いで、余分な基材(固化した材料によって覆われていない)は、上記のように、例えば、研磨剤ブラスト、化学的除去、又は溶解によって、取り除かれて、3D印刷物体をもたらす。
【0044】
AMシステム100によって実行されるプロセスは、1つ以上の制御器150を使用して配列されかつ監視されてもよい。制御器150は、印刷される物体の3Dモデルに基づいて、外部コンピュータ(図示せず)によって生成されたビルド命令を読み取り、実行することができる。例えば、材料供給器102、画像形成デバイス104、粉末サブシステム106、定着器108、センサ110、カッタ112、移送サブシステム114、穿孔デバイス134及びスタッカサブシステム116は、制御器からの入力に基づいて、本明細書で論じられるように動作することができる。したがって、制御器150は、画像形成デバイス104と通信して示されているが、制御器はAMシステムの任意の構成要素と通信することができることが理解される。
【0045】
図2は、印刷基材材料118を印刷繊維状基材シート132内に切断するように構成されたカッタ202の下でシート位置合わせされた、印刷シート繊維交絡装置200を有する例示的なスタッカサブシステムを示す。例示的な繊維状シートは、剛性繊維(例えば、炭素)、弾性繊維(例えば、ケブラー、ナイロン、ポリエステル)、又はこれらの任意の組み合わせを含むことができる。交絡装置200は、隣接する印刷基材シート132からの繊維を互いに交絡させて3D印刷物体を作製する、スタッカサブシステム116のタイプ又は一部であってもよい。以下でより詳細に論じられるように、印刷シートの積み重ね138が構築されると、針のアレイが、積み重ね内に突き刺さされ、繊維を、印刷マーキング材料148(例えば、粉末、溶融粉末)(
図4)を通って隣接するシートの針孔内へと向け直す。特定の定説に限定されるものではないが、例示的な交絡装置200は、ベッドプレート144、1つ以上の位置決めピン136、ガイドプレート204、針ボード206、及びフェルト針のアレイ208を備えることができる。
【0046】
カッタ202は、パンチホルダ210、ダイホルダ212、及びパンチホルダとダイホルダの動作の位置合わせを維持するように構成されたガイドポスト214を有して
図2に示されている。ガイドポスト214は、ダイホルダ212の対応する開口216に固定され、その上に垂直に立つことができる。パンチホルダ210は、ガイドポストをチャネルに嵌合させることによってパンチホルダとダイホルダ212の動作の垂直整合が保持されて、ガイドポスト214の上端部分220を受け入れるチャネル218を含むことができる。パンチホルダ210は、チャネル218とガイドポスト214との間にガイドブッシングを設けることができる。例示的なカッタ202は、ガイドポスト214がダイホルダ212の開口216内に固定され、パンチホルダ210のチャネル218内に摺動可能に係合されて示されているが、実施例はこの構成に限定されないことが理解される。なぜなら、ガイドポストは、開口及びチャネルのうちの少なくとも1つの内部に摺動可能に係合されてもよく、それによって、パンチホルダが、構成パンチホルダとダイホルダとの間に印刷基材材料118が供給される送達経路(例えば、水平な)に対して横断する方向(例えば、垂直に)でダイホルダとの間を往復するように構成されるからである。
【0047】
パンチホルダ210は、パンチホルダ内に中心がある垂直なパンチキャビティを画定する内周側を有する下向きの周辺ストリッパ壁222を含む。ダイホルダ212は、下向きの周辺ストリッパ壁222に対向して、パンチホルダ210の垂直なパンチキャビティに対応する垂直なダイチャネルを画定する内周側を有する上向きのダイプレート224を含む。特定の定説に限定されるものではないが、ダイチャネルは、基材材料がそこを通過するのを可能にするために、積み重ねサブシステムの印刷シート繊維交絡装置200上に載置するために、少なくとも、印刷基材材料118のウェブの切断された印刷基材シート132の寸法を有することができる。分離されると、パンチホルダ210及びダイホルダ212は、印刷基材材料118を受け入れるための間隙をそれらの間に画定し、この材料は、例えばAMシステム100によって、方向矢印Aにより示される印刷基材材料の送達経路(例えば、水平な)に沿った間隙を通って転送され得る。
【0048】
パンチプレート226は、パンチホルダのパンチキャビティ内に挿入されることによって、パンチホルダ210に固設され得る。
図2に見られるように、パンチプレート226は、整列したパンチキャビティ及びダイチャネル内で周辺に離間した関係に摺動可能に配置された切断部材である。このようにして、パンチプレート226は、印刷基材材料118の送達経路(例えば、水平な)を横断する方向(例えば、垂直な)で、パンチホルダ210内の凹位置と、印刷基材材料から印刷基材シート132を切断するための、ダイホルダ212のダイチャネル40内に延在する切断位置(
図2)との間を、往復するように構成される。パンチプレート226は、一般に、直方体として成形することができる。印刷シート繊維交絡装置200との一体化を可能にするために、直方体は、開口を画定する内周側を有する中空直方体であってもよい。
【0049】
上述したように、繊維交絡装置200は、ベッドプレート144、1つ又は2つ以上の位置決めピン136、ガイドプレート204、針ボード206、及びフェルト針のアレイ208を備えることができる。ベッドプレート144は、切断された印刷基材シート132の積み重ねを支えるように構成される。基材シート132は、印刷繊維状シートが所望の3D物体のスライスのためのパターンが形成された、印刷繊維状シート、例えば、炭素繊維シートであってもよい。繊維状シートは、シート上に印刷されパターン形成されたマーキング材料画像の正確な位置合わせのために、シートに対して正確に所定の位置に載置された位置決め開口を含んでもよい。位置決め開口は、
図1に例として示されるような上記の、移送サブシステム114によって移動される基材材料118に近接する穿孔デバイス134を介して形成されてもよい。位置決めピン136は、ベッドプレート144から延在し、切断された印刷基材シート132の位置決め開口を通って延在して、積み重ね構成でシートをベッドプレート上に整列させて保持して示されている。
【0050】
図2は、印刷基材材料118を印刷繊維状基材シート132内に切断するように構成されたカッタ202の下でシート位置合わせされた、印刷シート繊維交絡装置200を有する例示的なスタッカサブシステムを示す。例示的な繊維状シートは、剛性繊維(例えば、炭素)、弾性繊維(例えば、ケブラー
(登録商標)、ナイロン、ポリエステル)、又はこれらの任意の組み合わせを含むことができる。交絡装置200は、隣接する印刷基材シート132からの繊維を互いに交絡させて3D印刷物体を作製する、スタッカサブシステム116のタイプ又は一部であってもよい。以下でより詳細に論じられるように、印刷シートの積み重ね138が構築されると、針のアレイが、積み重ね内に突き刺さされ、繊維を、印刷マーキング材料148(例えば、粉末、溶融粉末)(
図4)を通って隣接するシートの針孔内へと向け直す。特定の定説に限定されるものではないが、例示的な交絡装置200は、ベッドプレート144、1つ以上の位置決めピン136、ガイドプレート204、針ボード206、及びフェルト針のアレイ208を備えることができる。
【0051】
当事者に容易に理解されるように、ガイドプレート204は、ベッドプレート144上で位置合わせされ得、ベッドプレートに向かう、印刷繊維状シートの積み重ねに対する第1の位置と、ベッドプレートから離れた、追加の印刷繊維状シート132を積み重ね上に載置することを可能にする第2の位置との間を往復するように構成される。ガイドプレート204は、そこを通って垂直に延在する針開口230のアレイを備える。針開口は、ガイドプレート204の表面平面にわたって概ね円形であってもよい。実施例では、針開口は、ガイドプレート表面平面にわたって楕円形又は細長いスロット形状などの他の形状を有してもよい。
【0052】
フェルト針のアレイ208は、既知の方法で、針ボード206中の積み重ねられた繊維状基材シート132の上に搭載される。針ボード206のセグメントもまた、ガイドプレート204を通過する拡大図の針を示すために、
図3に示されている。針ボード及びしたがってアレイ208のフェルト針232は、これも図示されていない従来の手法による往復によって、
図2で例として示されるような切断された印刷基材シート132の積み重ね138を、少なくとも部分的に貫通して突き出るように配設される。
図3及び
図4に見ることができるように、フェルト針232は、シャンク234、シャンクの周辺表面上の返し棘236、及び針先238を備えることができる。特定の配置に限定されるものではないが、返し棘236は、上向きの返し棘240又は下向きに返し棘242であってもよく、上向きの返し棘は針ボード206に向いているか又は面しており、下向きの返し棘は針先238に向いているか又は面している。
【0053】
針ボード206によって保持されたフェルト針のアレイ208は、ベッドプレート144に向かって突き出し、フェルト針のアレイはガイドプレート204の針開口230と位置合わせされている(
図3)。往復するフェルト針233は、ガイドプレート204が印刷繊維状シート132の積み重ね138に対して位置決めされたときに針開口230を通って挿入されるように、更に、ガイドプレートに近接する印刷繊維状シートの少なくとも一部を通って挿入されるように、配設されてもよい。フェルト針230の印刷繊維状シート132の内外往復動作の間、返し棘236は、積み重ね138のシートから繊維244を掴み、隣接する積み重ねのシートに移動させることができる。繊維244は、繊維状シート132に対して実質的に垂直に移動するフェルト針230の返し棘236に引っ掛けられ、連続した針の移動で印刷された粉末を通って隣接するシート内に染み込む。
図4は、フェルト針230の引き抜き後の繊維状シート132の積み重ね138の断面を示し、繊維244が、隣接するシートからの繊維との互いの交絡のために、針によって作製された孔及び繊維状シート状の印刷マーキング材料148を通って、積み重ねの隣接するシートまで移動している。
【0054】
例示的な繊維交絡は、ガイドプレート204を備えていてもよく、又は、備えていなくてもよく、フェルト針232が、多くの場合、積み重ねの形成中に、積み重ねられたシートの全てでなくてもほとんどにわたって、隣接するシート間で繊維244を交絡させるのに十分に、繊維状シートの積み重ね138に突き刺さっていることが理解されよう。例えば、ガイドプレート204と共に使用される場合、印刷シート132の積み重ね138が構築される(例えば、積み重ね厚の約0.5~3mmの増加、積み重ね厚の1~10mmの増加、積み重ね厚の1~25mm)につれて、ガイドプレート204を、時折、積み重ねの最上部シートに積むことができる。別の選択肢として、全てのシート132がベッドプレート144の上に位置位置付けられると、ガイドプレートは、位置決めピン136の上でシートを下方に移動させることができ、次いで、フェルト針232を積み重ねに突き刺すことができる。動作中、針232が積み重ね138に押し込まれるか、又はそこから引き出されると、返し棘236は、積み重ね内のシート132から、繊維244を、繊維が積み重ね全体にわたって絡み合わされるように、隣接するシートの針形成孔に押し込むか又は引き込む。例えば、フェルト針232が積み重ね138の中及び外に往復するとき、下向きの返し棘242は、繊維を、積み重ね内のより高いシートからより低いシートに押し込み、上向きの返し棘240は、繊維244を、積み重ね内のより低いシートからより高いシートに引っ張る。したがって、積み重ね全体を通して隣接するシートにわたった繊維232の絡み合いのおかげで、より強い3D物体が得られる。
【0055】
針のアレイ208は、ガイドプレート204内の針開口230を通って、返し棘236が積み重ねに少なくとも数mm貫通して、積み重ね138に突き刺されてもよい。当然ながら、このような貫通の深さは、針の設計(例えば、返し棘から針先238までの距離)、切断された印刷基材シート132の積み重ねの底部までの針232の近さ、及び繊維を隣接するシートに下方に押し込むことができる距離によって影響され得る。ニードリング深さは、積み重ねの厚さ又は高さ全体にわたって繊維の絡み合いを保証するために、最後のニードリング以降の積み重ね厚の増加よりも大きくなることができる。例えば、ニードリング深さは、少なくとも、最後のニードリング以降の積み重ね厚の増加の分の2倍に針先238から針先に最も近い針の返し棘235までの長さを加えたものであってもよい。
【0056】
典型的なニードリングは、針がフェルトの厚さでフェルトを何回も通過して生じる。特定の定説に限定されるものではないが、針232の積み重ね138内への貫通は、積み重ね全体を通過することなく止まることができる。積み重ね全体を貫通する針の貫通は、針先238又は針先との間の当接によって引き起こされるベッドプレート144への損傷を引き起こし得る。更に、ベッドプレート244に最も近い印刷された基材シートのいくつかは、印刷された基材シート132の積み重ねを針が貫通することなく、隣接するシートと交絡した繊維244を有さない場合がある。この状況を回避するために、3D物体の一部を形成するマーキング材料で印刷されていない初期の切断シート又はいくつかの他のバッファ層を、ベッドプレート144に隣接する積み重ね138の底部に載置することができる。積み重ねがほんのいくつかの基材シート132を有して薄い場合などに、積み重ね全体にわたる針の貫入を可能にするために、ベッドプレート144はまた、フェルト針232が、返し棘236がベッドプレートに近接した底部の印刷基材シートと繊維244を交絡させるのに十分深く少なくとも部分的にベッドプレート144に貫入することを可能にするフェルト針のアレイ208と位置合わせされた針開口のアレイ(図示せず)を有してもよい。
【0057】
ガイドプレート204及びフェルト針のアレイ208はまた、後続のシートについての異なる位置に、積み重ね138に対して移動又はシフトされて、それぞれのスラストを積み重ね内に有した新しい針穴をシート内に形成してもよい。換言すれば、当業者に理解されるように、ガイドプレート204及び針アレイ208は、スラスト間でわずかに並進することができるはずであり、そのため、ニードリングの次のスラストは、わずかに新しい位置で生じ得る。ガイドプレートの針開口230がガイドプレート204の表面平面にわたって細長いスロット形状を有することができる実施例では、ボードは、後続のわずかに新しい位置での積み重ねへの挿入のために、フェルト針のアレイ208が印刷繊維状シート138の積み重ねからの引き抜きの後で、ガイドプレートに対して横方向に並進することができる。これにより、3D物体の全体にわたってより大きな繊維交絡の利益を提供することができる。
【0058】
クロス層繊維の絡み合いは、印刷された3D断面の縮れた境界を低減することができる。これが懸念される場合、針アレイ208のフェルト針232は、断面の境界を避けるために選択的に係合させることができる。すなわち、3D物体の中実の印刷された部分内にニードリングが使用される一方で、3D物体の境界上の針は、針を積み重ね138に突き刺す針ボード206と係合しない。フェルト針232は、当業者に既知の従来の方法で針ボードと係合し、かつ、針ボードから係合解除することができる。制御器150は、形成される3D物体の形状、ニードリングされる3D物体の区域、針侵入及び交絡の深さなどの因子に基づいて、どのフェルト針が係合されるべきか又は係合解除されるべきかを判断することができる。
【0059】
図5は、
図1~
図4に示されるAMシステム100及び印刷シート交絡装置200での例示的なデバイスを自動的に制御する命令を実行するための制御器150のブロック図を示す。例示的な制御器150は、
図1~
図4に示され、以下の
図6でより詳細に説明するようなシステムでAM 3D物体形成プロセスを実行するための制御器への入力を提供することができ、又はその構成要素であってもよい。
【0060】
例示的な制御システム150は、それによってユーザが例示的な制御システム150と通信することができる動作インターフェース510を備えることができる。動作インターフェース510は、AM 3D物体形成システム100と関連したローカルにアクセス可能なユーザインタフェースであってもよい。動作インターフェース510は、ユーザが例示的な制御システム150に情報を入力することを許容することができる制御デバイス及び/又は計算デバイスに共通する1つ以上の従来の機構として構成されてもよい。動作インターフェース510は、例えば、従来のキーボード、「ソフト」ボタン又は互換性のあるタッチペンと共に使用するための様々な構成要素を有するタッチスクリーン、ユーザが使用して、例示的な制御システム150に音声認識プログラムによって「翻訳」される口頭の命令を提供することができるマイクロフォン、又は、ユーザが使用して、特定の動作命令を例示的な制御システム150に通信することができる他の同様のデバイスを備えることができる。動作インターフェース510は、例示的な制御システム150が関連したAMシステムに搭載され、一体化され、又は関連したグラフィカルユーザインターフェース(GUI)の一部又は機能であってもよい。
【0061】
例示的な制御システム150は、例示的な制御システム150を個別に動作させ、AM 3D物体形成のための効果制御及び動作機能を実行するための1つ以上のローカルプロセッサ520、具体的には、複合材ベースの層形成スキーム、及び層(例えば、シート132)を結び付けて3D物体にするための印刷シート繊維の交絡を実装するための1つ以上のローカルプロセッサ520を備えてもよい。プロセッサ520は、例示的な制御システム150の特定の機能を指示するための命令、並びにAM 3D物体形成プロセス及び/又は印刷シート繊維の交絡プロセスの例示的な制御システム150での制御を解釈し実行する、少なくとも1つの従来のプロセッサ又はマイクロプロセッサを備えてもよい。
【0062】
例示的な制御システム150は、1つ以上のデータ記憶デバイス530を備えてもよい。このようなデータ記憶デバイス530は、例示的な制御システム150、具体的にはプロセッサ520によって使用されるデータ又は動作プログラムを記憶するために使用することができる。データ記憶デバイス530は、例えば、例示的な制御システム150が関連しているAMシステム内で3D物体を生成するための1つ以上の3D物体モデルに関する情報を記憶するために使用されてもよい。記憶された3D物体モデル情報は、上述の方法で3D物体を形成するための一連の2Dスライスの層の印刷のためのデータに移譲することができる。
【0063】
データ記憶デバイス530は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、又は、例えば、プロセッサ520によってシステム動作を実行するための命令を別々に記憶するための、更新可能なデータベース情報を記憶することが可能な別のタイプの動的記憶デバイスを備えてもよい。データ記憶デバイス530はまた、従来のROMデバイス、又はプロセッサ520のための静的情報及び命令を記憶する別のタイプの静的記憶デバイスを備えてもよい。更に、データ記憶デバイス530は、例示的な制御システム150と一体であってもよいか、又はクラウドベースのデータ記憶構成要素として提供されることを含む、例示的な制御システム150の外部に提供され、有線又は無線通信してもよい。
【0064】
例示的な制御システム150は、限定されるものではないが、例示的なAMシステム100のGUI上の表示画面、及び/又は、制御システム150と関連する印刷シート繊維交絡装置200を備え、ユーザに情報を出力する1つ以上の従来の機構として構成することができる少なくとも1つのデータ出力/表示デバイス540を備えることができる。データ出力/表示デバイス540は、デバイス内の複数の別個の処理ステーション又はサブシステムのうちの1つ以上での1つ以上の個別に制御された構成要素の動作を含む、例示的な制御システム150が関連することができるAMシステムによってもたらされる3D物体形成動作の状態をユーザに示すために使用することができる。
【0065】
例示的な制御システム150は、1つ以上の別個の外部通信インターフェース550を備えることができ、このインターフェースによって例示的な制御システム150が、印刷シート繊維交絡装置200などの例示的な制御システムの外部に存在することができる構成要素と通信することができる。外部通信インターフェース550のうちの少なくとも1つは、3D物体形成動作における制御機能の実行のためのモデリング情報を記憶する外部CAD/CAMデバイスを接続することを支援する入力ポートとして構成されてもよい。例示的な制御システム150と外部の及び/又は関連する構成要素との間に有線又は無線通信を提供する任意の好適なデータ接続は、図示の外部通信インターフェース550によってもたらされることが企図される。
【0066】
例示的な制御システム150は、分離された3D物体モデリング情報に従う製造過程の3D物体についての一連の2Dスライス(例えば、印刷された基材シート132)を生成する、基材材料118上の画像形成プロセス(例えば、画像形成デバイス104、粉末サブシステム106、定着器108)を制御するために使用することができる画像形成制御デバイス560を備えることができる。基材材料118は、画像形成デバイス104、粉末サブシステム106及び定着器108を通して供給されて、画像形成制御デバイス560の制御下で、基材材料上に形成されたマーキング材料画像を有することができる。基材材料は、印刷された基材ウェブとして粉末サブシステム106を出て、物体を形成するための印刷されたシート138の積み重ねを構成するために、AMシステム100の出力側で切断され、自動的に積み重ねられ得る。画像形成制御560は、データ記憶デバイス530のうちの1つ以上に結合されたプロセッサ520の一部又は機能として動作してもよく、又は例示的な制御システム150内の別個の独立型構成要素デバイスモジュール又は回路として動作してもよい。プロセッサ520又は画像形成制御デバイス560のいずれかは、入力3D物体モデル情報を解析して、AMシステム100内の基材材料118上の層ごとの2Dスライス材料層印刷スキームを決定し、実行することができる。
【0067】
例示的な制御システム150は、データ記憶デバイス530のうちの1つ以上に結合された、又は例示的な制御システム150内の別個の独立型構成要素モジュール又は回路として結合された、ファイバ絡合積み重ね制御デバイス570を備えることができる。繊維交絡積み重ね制御デバイス570は、印刷シート積み重ねプロセス及び印刷シート繊維交絡プロセスのうちの1つ以上の機能を制御して、個々の印刷シートを互いに接合し、3D物体を形成することが可能であり得る。印刷基材ウェブが印刷基材シート繊維交絡積み重ねプロセスで使用される例では、同じ例示的な制御システム150が、カッタ202及び印刷シート繊維交絡装置200を通した、繊維交絡積み重ねプロセスを制御するために使用可能であり得る。このような例では、カッタ202及びスタッカサブシステム116は、印刷基材ウェブが供給されたときに印刷基材シート132を印刷基材ウェブから隠し、後で使用するために印刷基材シートを精密な位置合わせで別々に積み重ねるのに使用可能であり得る。更に、印刷シート繊維交絡装置200は、隣接する積み重ねられた印刷シートの繊維を絡み合わせることによって、別個の印刷シートを一緒に接着することができる。積み重ね138の加熱及び更なる押圧は、繊維交絡プロセスを減速させないために、必要に応じてオフラインで提供されてもよい。繊維交絡積み重ね制御デバイス570は、例えば、1つ以上のデータ記憶デバイス530に結合されたプロセッサ520の一部又は機能として、あるいは、例示的な制御システム150内の1つ以上の別個の独立型構成要素モジュール又は回路として動作してもよい。
【0068】
例示的な制御システム150は、層になった支持構成要素構造体を除去し、3D物体を表面仕上げすることができる減法機械加工プロセスで、最終3D物体整形スキームを実行するための3D物体仕上げ器制御デバイス(図示せず)を備えることができる。上記で列挙された他の別個の制御デバイスと同様に、3D物体仕上げ器制御デバイスは、仕上げデバイスの動作を実行するための1つ以上のデータ記憶デバイス530に結合されたプロセッサ520の一部又は機能として動作してもよく、あるいは例示的な制御システム150内の別個の独立型構成要素モジュール又は回路として動作してもよい。
【0069】
図5に示されるような例示的な制御システム150の様々な構成要素の全ては、1つ以上のデータ/制御バス580によって、内部に、並びに1つ以上のAM物体形成デバイス及び/又はその構成要素に接続されてもよい。これらのデータ/制御バス580は、それらの構成要素の全てが、一体的に収容されているか、さもなくば、外部に収容されているかにかかわらず、例示的な制御システム150の様々な構成要素間に有線又は無線通信を提供することができ、かつ、例示的な制御システム150が関連付けられ得るAMシステム100に接続され得る。
【0070】
図5に一体型ユニットとして示されているが、例示的な制御システム150の様々な開示された要素は、単一ユニットに一体化されて、又は単一ユニットの外部に、そして、例示的な制御システムの単一ユニットと有線又は無線で通信して、個々の構成要素又は構成要素の組み合わせとしてサブシステムの任意の組み合わせに配置されてもよいことは理解されるべきである。換言すれば、一体型ユニットとして、又は支持ユニットとしての特定の構成は、
図5の描写によって示されるべきでない。更に、本開示で提供される詳細を理解しやすくするために、例示的な制御システム150に関して個々のユニットとして示されているが、個々に示された構成要素のうちのいずれかの記載された機能、具体的には、図示された制御デバイスのそれぞれは、例えば、1つ以上のデータ記憶デバイス530に接続され、それと通信する1つ以上のプロセッサ520によって実行されてもよいことは、理解されるべきである。
【0071】
開示される実施形態は、印刷繊維状シートの積み重ねを3D物体に接着するための、印刷繊維状シートの繊維交絡用の例示的な方法を含むことができる。
図6は、このような例示的な方法のフローチャートを示す。
図6に示すように、本方法の動作はステップS600で開始され、ステップS610に進む。
【0072】
ステップS610では、繊維を中に有する切断された繊維状シート132が、他の印刷繊維状シートの上に載置されて、
図1の例によって見ることができるように、ベッドプレート144上に印刷繊維状シート138の積み重ねを形成する。各印刷繊維状シート132は、所望の3D物体のスライスとしてパターン形成することができ、少なくとも1つの位置決め開口を含むことができる。ステップS610で印刷繊維状シート132を載置することは、印刷繊維状シートを、印刷繊維状シートの位置決め開口を通って延在するベッドプレート144と位置合わせされた位置決めピン136を介して位置合わせさせることを含んでもよい。
【0073】
AM方法の動作はステップS620に進み、ここで、ガイドプレート204が、印刷繊維状シートの積み重ねに押し付けられた第1の位置で、ガイドプレートで印刷繊維状シートの積み重ねに圧力を加え、ガイドプレートは、そこを通って垂直に延在する開口230のアレイを有する。本方法の動作は、ステップS630に進む。
【0074】
ステップS630及びS640で、針ボード206によって保持されたフェルト針のアレイ208は、ガイドプレートの針開口のアレイ230を通って、及びガイドプレートに隣接する印刷繊維状シート132を通って往復される。具体的には、ステップS630で、ガイドプレート204がスタック138に押し付けられた第1の位置にあるときに、フェルト針232が開口のアレイ230を通って挿入される。フェルト針は、ガイドプレートに隣接する積み重ね内の印刷繊維状シート132を通って更に挿入される。次いで、ステップS640で、往復は、針ボード206が、フェルト針を印刷繊維状シートの積み重ねから引き抜かれて継続する。
【0075】
上述のように、フェルト針は、往復することの間に、積み重ねの複数の印刷繊維状シートのうちの1つからの繊維を積み重ねの隣接する印刷繊維状シートの繊維と絡み合わせるように構成された返し棘236を有する。ステップS630及びステップS640の組み合わせでは、フェルト針232のアレイ208は、切断された印刷基材シート132の細長い平面に対して実質的に横断する方向で、パンチホルダ内の凹位置と印刷基材シートの積み重ね138内に延在する貫通位置との間を、往復するように設計されており、往復によって、フェルト針の返し棘236に、積み重ねられた印刷繊維シートからの繊維を隣接する印刷繊維シートに押し込ませ、かつ/又は引き込ませることにより、シート間の絡み合った繊維の交絡を介して接着が形成される。例えば、返し棘236のいずれかは、積み重ねの複数の印刷繊維状シートのうちの1つからの繊維を、ガイドプレートにより近い積み重ねの隣接する印刷繊維状シート内に引き込む上向きの返し棘であってもよい。更に、返し部236のうちのいずれかは、積み重ねの複数の印刷繊維状シートのうちの1つからの繊維を、返し棘でガイドプレートにより近い積み重ねの隣接する印刷繊維状シート内に押し込む下向きの返し棘であってもよい。
【0076】
図6に示す本方法の動作は、ステップS650に進み、ここで、フェルト針のアレイ208及びガイドプレート204は、印刷シートの積み重ね138から取り除かれる。一旦フェルト針が積み重ね138から除去されると、次いで、ステップS660で動作が停止されて、例えば、上記で説明したように、積み重ねを加熱し押圧すること、又は積み重ねから余剰な基材を除去することなどの繊維交絡シートの積み重ねの更なる処理を可能にすることができる。動作は、代替的に、ステップS610を繰り返し、次いで、ステップS630及びS640を介して積み重ねに接着される追加の繊維状シートで積み重ねを増加させてもよい。
【0077】
実施可能な方法ステップの例示的な描写されたシーケンスは、ステップに記載される機能を実装するための動作の対応するシーケンスの一実施例を表す。個々の方法ステップは、順番に、又は、平行して同時又はほぼ同時のタイミングで実施することができる。本方法の開示されたステップの特定の順序は、任意の特定の方法ステップが任意の他の方法ステップの実施に対する必要な前条件であると合理的に考慮される場合を除き、必ずしも
図6の描写及び付随する記述によって示されない。個々の方法ステップは、同時タイミング又は同時タイミングの同時又は同時タイミングで実行されてもよい。追加的に、描写され記述された方法ステップの全てが、本開示による任意の特定のスキームに含まれる必要はない。
【0078】
当業者であれば、開示される主題の他の実施形態は、多くの異なる構成で、3Dのインク塗布システムに共通する多くの種類の画像形成要素を用いて実施され得ることを理解するであろう。例えば、単一パスのマーキング材料の堆積が議論された実施形態に示されているが、実施例は、3D物体形成システム及び方法を含むマルチパスのシステム及び方法に適用することができる。また、片面印刷が、議論された実施形態で示されているが、実施例は、多面印刷に適用することができる。これらは、開示されたスキームに従って行われ得る変形形態の非限定的な実施例であることは理解されるべきである。換言すれば、特定の限定的な構成が、上記の説明及び付随する図面から示されるべきではない。
【0079】
様々な上記で開示された及び他の特徴及び機能、又はこれらの代替物が、他の異なるシステム又は用途に組み合わされ得ることが理解されるであろう。また、現在予想又は予測されてないそこでの様々な代替物、修正物、変形物、又は改善物は、その後に当業者によって行われてもよい。