(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-05
(45)【発行日】2024-04-15
(54)【発明の名称】画像処理装置、画像処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
B41J 2/01 20060101AFI20240408BHJP
【FI】
B41J2/01 201
B41J2/01 451
B41J2/01 401
B41J2/01 209
(21)【出願番号】P 2020044446
(22)【出願日】2020-03-13
【審査請求日】2023-03-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100223941
【氏名又は名称】高橋 佳子
(74)【代理人】
【識別番号】100159695
【氏名又は名称】中辻 七朗
(74)【代理人】
【識別番号】100172476
【氏名又は名称】冨田 一史
(74)【代理人】
【識別番号】100126974
【氏名又は名称】大朋 靖尚
(72)【発明者】
【氏名】森部 将英
【審査官】小宮山 文男
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-234115(JP,A)
【文献】特開2021-104584(JP,A)
【文献】特開2008-172522(JP,A)
【文献】特開2009-226802(JP,A)
【文献】特開2006-305954(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクを吐出する記録素子の濃度特性を特定するために、前記記録素子を用いて形成された第1画像を測定して得られる測定値を補正する画像処理装置であって、
前記第1画像を測定して得られる、測定値を各画素に有する第2画像を取得する第1取得手段と、
前記第2画像において互いに測定値の特性が異なる領域間の境界を特定する情報を取得する第2取得手段と、
前記境界を特定する情報に基づいて、前記第2画像の測定値を補正する第1補正手段と、
を有
し、
前記第1画像を測定するスキャナは、複数の測定モジュールを含み、
前記情報は、前記第2画像において、前記複数の測定モジュールそれぞれが対応する領域間の境界を特定する情報であることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記記録素子を含む記録ヘッドは、複数のヘッドモジュールを含み、
前記情報は、前記第2画像において、前記複数のヘッドモジュールそれぞれが対応する領域間の境界を特定する情報であることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記第1画像を測定するスキャナは、画像を測定する際に用いる複数の光源を含み、
前記情報は、前記第2画像において、前記複数の光源が光を照射する範囲に応じた領域間の境界を特定する情報であることを特徴とする請求項1
又は請求項
2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記第1補正手段は、フィルタ処理により前記測定値を補正することを特徴とする請求項1乃至請求項
3のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記第1補正手段は、互いに測定値の特性が異なる領域ごとに前記測定値に対して前記フィルタ処理を行うことを特徴とする請求項
4に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記境界を特定する情報に基づいて、前記第2画像を分割する分割手段をさらに有し、
前記第1補正手段は、前記分割された領域ごとに前記測定値に対して前記フィルタ処理を行うことを特徴とする請求項
4又は請求項
5に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記第1補正手段は、周波数変換を用いたノイズ低減処理によって、前記測定値を補正することを特徴とする請求項1乃至請求項
3のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記第1補正手段は、複数種類のインクを有する画像形成装置に対して、インクの色毎に前記測定値を補正することを特徴とする請求項1乃至請求項
7のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記第1補正手段は、複数種類のインクを有する画像形成装置に対して、インクの色の組み合わせ毎に前記測定値を補正することを特徴とする請求項1乃至請求項
7のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項10】
記録媒体上に形成する画像を表す画像データを取得する第3取得手段と、
前記補正された測定値に基づいて、前記画像データが有する信号値を補正する第2補正手段と、
をさらに有することを特徴とする請求項1乃至請求項
9のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項11】
前記記録素子の目標の濃度特性を表す目標特性データを取得する第4取得手段をさらに有し、
前記第2補正手段は、前記補正された測定値が特定する前記記録素子の濃度特性と、前記目標の濃度特性と、に基づいて、前記画像データが有する信号値を補正することを特徴とする請求項
10に記載の画像処理装置。
【請求項12】
前記第2補正手段は、前記補正された測定値に対する補間演算により生成される曲線を、前記記録素子の濃度特性として用いることを特徴とする請求項
11に記載の画像処理装置。
【請求項13】
コンピュータを請求項1乃至請求項
12のいずれか一項に記載の画像処理装置の各手段として機能させるためのプログラム。
【請求項14】
インクを吐出する記録素子の濃度特性を特定するために、前記記録素子を用いて形成された第1画像を測定して得られる測定値を補正する画像処理方法であって、
前記第1画像を測定して得られる、測定値を各画素に有する第2画像を取得する第1取得ステップと、
前記第2画像において互いに測定値の特性が異なる領域間の境界を特定する情報を取得する第2取得ステップと、
前記境界を特定する情報に基づいて、前記第2画像の測定値を補正する補正ステップと、
を有
し、
前記第1画像を測定するスキャナは、複数の測定モジュールを含み、
前記情報は、前記第2画像において、前記複数の測定モジュールそれぞれが対応する領域間の境界を特定する情報であることを特徴とする画像処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクを吐出して画像を形成する際に生じる濃度ムラやスジを低減するための、記録素子の濃度特性を取得する画像処理技術に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット方式のプリンタで用いられる記録ヘッドは、製造の際の誤差などによって複数の記録素子(ノズル)間でインクの吐出量にばらつきが生じることがある。インクの吐出量にばらつきがある場合、形成される画像に濃度ムラが生じ易くなる。従来、濃度ムラを低減する技術として、HS(Head Shading)技術が知られている。HSにおいては、各記録素子のインクの吐出量に関する情報(記録素子の濃度特性)に応じて、画像データを補正する。この補正により、吐出されるインクドットの数を増加又は減少させ、形成される画像の濃度を調整することができる。
【0003】
記録素子の特性を取得する際には、パッチ(例えば、階調毎の均一画像など)を紙面上に印刷し、スキャナを用いてパッチを測定する方法が用いられる。この際に、スキャン画像にスキャナの特性に起因するムラが生じ、記録素子の濃度特性の取得精度が低下することがある。特許文献1は、印刷した画像をスキャナを用いて読み取り、読取データに対して人間の視覚を考慮したローパスフィルタを適用する技術を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1においては、全ての測定値に対して一様なフィルタを適用している。しかしながら、プリンタやスキャナの装置構成によっては、読み取ったデータにおける領域間で測定値の特性が異なる場合がある。これを考慮せずに測定値に対してフィルタを適用すると、領域間の境界近傍で補正精度が低下してしまう。
【0006】
そこで、本発明は、読み取ったデータにおける領域間で測定値の特性が異なる場合であっても、高精度に記録素子の濃度特性を取得するための画像処理を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係る画像処理装置は、インクを吐出する記録素子の濃度特性を特定するために、前記記録素子を用いて形成された第1画像を測定して得られる測定値を補正する画像処理装置であって、前記第1画像を測定して得られる、測定値を各画素に有する第2画像を取得する第1取得手段と、前記第2画像において互いに測定値の特性が異なる領域間の境界を特定する情報を取得する第2取得手段と、前記境界を特定する情報に基づいて、前記第2画像の測定値を補正する第1補正手段と、を有し、前記第1画像を測定するスキャナは、複数の測定モジュールを含み、前記情報は、前記第2画像において、前記複数の測定モジュールそれぞれが対応する領域間の境界を特定する情報であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、読み取ったデータにおける領域間で測定値の特性が異なる場合であっても、高精度に記録素子の濃度特性を取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図7】記録ヘッドの構成と測定用画像を測定して得られる測定値の例とを示す図
【
図11】画像形成システムが実行する処理を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本実施形態について、図面を参照して説明する。尚、以下の実施形態は本発明を必ずしも限定するものではない。また、本実施形態において説明されている特徴の組み合わせの全てが本発明の解決手段に必須のものとは限らない。
【0011】
[第1実施形態]
本実施形態においては、記録媒体に画像を形成する画像形成装置と、画像形成装置を制御するホスト装置と、を有する画像形成システムにおいて、画像形成装置の記録素子の濃度特性を取得する方法について説明する。画像形成システムにおいては、ホスト装置の制御に基づいて記録素子の濃度特性を取得する。尚、画像形成装置としてはインクジェットプリンタの例を示し、ホスト装置としてはパーソナルコンピュータ(PC)の例を示す。
【0012】
<画像形成装置の構成>
図1は、本実施形態における画像形成装置の構成を模式的に示す図である。本実施形態における画像形成装置は、インクジェットプリンタである。
図1に示すように、画像形成装置100は、記録ヘッド101、102、103、104を備える。記録ヘッド101~104はそれぞれ、記録用紙106の幅に対応した範囲に所定方向に沿って配列した、インクを吐出するための複数のノズルを有する。つまり本実施形態における記録ヘッド101~104は、フルラインタイプの記録ヘッドである。記録ヘッド101はブラック(K)のインクを吐出するための記録ヘッドであり、記録ヘッド102はシアン(C)のインクを吐出するための記録ヘッドである。記録ヘッド103はマゼンタ(M)のインクを吐出するための記録ヘッドであり、記録ヘッド104はイエロー(Y)のインクを吐出するための記録ヘッドである。ノズル間の間隔は解像度が1200dpiとなるように設定されている。
【0013】
記録媒体としての記録用紙106は、搬送ローラ105(及び他の不図示のローラ)がモータ(不図示)の駆動力によって回転することにより、
図1の矢印方向に搬送される。記録用紙106が搬送される間に、記録ヘッド101~104それぞれの複数のノズルから記録データに応じてインクが吐出される。これにより、各記録ヘッドのノズル列に対応した1ラスタ分の画像が順次形成される。また、y方向における記録ヘッド101~104よりも下流の位置には、記録ヘッド101~104と並列する状態で所定のピッチで配列されている読み取り素子を有するスキャナ107が配備されている。スキャナ107は、記録ヘッド101~104を用いて形成した画像を読み取り、色信号値を有する多値データとして出力することができる。上述したような、搬送される記録用紙に対する各記録ヘッドからのインク吐出動作を繰り返すことにより、例えば、一頁分の画像を形成することができる。
【0014】
尚、本実施形態における画像形成装置はフルラインタイプの画像形成装置であるが、記録ヘッドを記録用紙の搬送方向と交差する方向に走査して記録を行う、いわゆるシリアルタイプの画像形成装置に本実施形態を適用してもよい。
【0015】
<画像形成システムの構成>
図2は、本実施形態における画像形成システムの構成を示すブロック図である。
図2に示すように、本実施形態における画像形成システムは、
図1に示した画像形成装置100と、そのホスト装置としてのPC200と、を有している。
【0016】
PC200は、CPU201と、RAM202と、HDD203と、データ転送I/F(インターフェース)204と、キーボード・マウスI/F205と、ディスプレイI/F206と、を有する。CPU201は、HDD203やRAM202に保持されているプログラムに従い、各種処理を実行する。特にCPU201は、プログラムを実行させて、後述する実施形態における画像処理装置300の処理を実行する。RAM202は、揮発性のストレージであり、プログラムやデータを一時的に保持する。また、HDD203は、不揮発性のストレージであり、後述する各実施形態の処理により生成されるテーブルデータやプログラムを保持することができる。データ転送I/F204は、画像形成装置100との間におけるデータの送受信を制御する。データ送受信の接続方式としては、USB、IEEE1394、LAN等を用いることができる。キーボード・マウスI/F205は、キーボードやマウス等のHID(Human Interface Device)を制御するI/Fである。ユーザはキーボード・マウスI/F205を介して入力を行う。ディスプレイI/F206は、ディスプレイ(不図示)における表示を制御する。
【0017】
画像形成装置100は、CPU211と、RAM212と、ROM213と、データ転送I/F214と、ヘッドコントローラ215と、画像処理アクセラレータ216と、スキャナコントローラ217と、を有する。CPU211は、ROM213やRAM212に保持されているプログラムに従った処理を実行する。RAM212は、揮発性のストレージであり、プログラムやデータを一時的に保持する。また、ROM213は、不揮発性のストレージであり、データやプログラムを保持する。データ転送I/F214は、PC200との間におけるデータの送受信を制御する。ヘッドコントローラ215は、
図1に示した記録ヘッド101~104に対して記録データを供給するとともに、記録ヘッドの吐出動作を制御する。具体的には、ヘッドコントローラ215は、RAM212の所定のアドレスから制御パラメータと記録データとを読み込む構成とすることができる。CPU211が、制御パラメータと記録データとをRAM212の該所定のアドレスに書き込むと、ヘッドコントローラ215により処理が起動され、記録ヘッドからのインク吐出が行われる。CPU211は、後述する測定用画像を形成するための形成制御部としても機能する。画像処理アクセラレータ216は、CPU211よりも高速に画像処理を実行するものである。具体的には、画像処理アクセラレータ216は、RAM212の所定のアドレスから画像処理に必要なパラメータとデータとを読み込む構成とすることができる。CPU211が該パラメータ及びデータをRAM212の該所定のアドレスに書き込むと、画像処理アクセラレータ216が起動され、所定の画像処理が行われる。尚、画像処理アクセラレータ216は必ずしも必要な要素ではなく、画像形成装置の仕様などに応じて、CPU211のみで処理を実行してもよい。スキャナコントローラ217は、
図1に示したスキャナ107の各読み取り素子を制御しつつ、読み取りにより得られたデータをCPU211に出力する。
【0018】
<画像処理装置の機能構成>
図3(a)は、PC200に含まれる画像処理装置300の機能構成を示すブロック図である。画像処理装置300は、入力部301と、画像処理部302と、出力部308と、を有する。
【0019】
図3(a)に示すように、入力部301は、画像データを入力し、画像処理部302へ出力する。画像処理部302は、入力色変換処理部303と、インク色変換処理部304と、HS処理部305と、を有する。さらに、画像処理部302は、TRC(Tone Reproduction Curve)処理部306と、量子化処理部307と、を有する。
【0020】
入力色変換処理部303は、入力部301から取得した入力画像データを、プリンタの色再現域に対応した画像データに変換する。本実施形態における入力画像データは、ディスプレイに対応する色空間であるsRGB色空間における座標(R,G,B)を示すデータである。sRGB色空間は、R,G,Bそれぞれを軸とした空間であり、各座標が8ビットで表現される。そのため、入力画像データは、R,G,Bそれぞれの値が8ビットで表現された画像データである。入力色変換処理部303は、入力画像データのR,G,B毎の入力色信号値を、プリンタの色再現域に対応するR’,G’,B’毎のプリンタ色信号値に変換する。尚、以下において、R,G,B毎の色信号値を、色信号値(R,G,B)のように表記することとする。変換には、マトリクス演算処理や三次元ルックアップテーブル(LUT)を用いた処理等の公知の手法を用いる。本実施形態においては、三次元LUTと補間演算とにより変換処理を行う。尚、画像処理部302において扱われる8ビットの画像データの解像度は1200dpiである。
【0021】
インク色変換処理部304は、入力色変換処理部303によって変換された画像データの色信号値を、複数種類のインクに対応した色信号値に変換する変換処理を行う。画像形成装置100はブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)のインクを用いるため、プリンタ色信号値(R’,G’,B’)は、インク色信号値(K,C,M,Y)に変換される。K,C,M,Yの値もR,G,Bの値と同様に各8ビットで表現される。インク色変換処理部304も、入力色変換処理部303と同様に、三次元LUTと補間演算とにより変換処理を行う。
【0022】
HS処理部305は、インク色信号値(K,C,M,Y)を有する画像データに対して、記録ヘッドを構成する各ノズルの濃度特性に応じた補正を行う。
図12は、HS処理部305の詳細な機能構成を示す図である。HS処理部305は、画像データ取得部1201と、測定値取得部1202と、測定値補正部1203と、目標取得部1207と、色信号値補正部1208と、を有する。測定値補正部1203は、境界位置取得部1204と、領域分割部1205と、フィルタ処理部1206と、を有する。本実施形態におけるHS処理部305は、測定用画像を読み取って得られるデータを用いて各ノズルの濃度特性を算出し、算出した各ノズルの濃度特性を用いて、画像データに対する補正処理を実行する。HS処理部305が行うHS処理の詳細については後述する。
【0023】
TRC処理部306は、HS処理により得られるHS色信号値(K’,C’,M’,Y’)を有する画像データに対して、インク色毎に、画像形成装置100により記録されるインクドットの数を調整する。具体的には、記録媒体上に記録されるドットの数と、その数のドットによって実現される明度との関係が線形になるように、画像データを補正する。この補正により、記録媒体に記録されるドットの数が調整される。
【0024】
量子化処理部307は、TRC処理により得られるTRC色信号値(K’’,C’’,M’’,Y’’)を有する画像データに対して、量子化処理(ハーフトーン処理)を行い、各画素値が1ビットで表現された2値データを生成する。記録データとしての2値データは、吐出されるインクドットの配置を示す。本実施形態においては、量子化処理の方法として公知のディザ法を用いるが、公知の誤差拡散法などを用いてもよい。
【0025】
出力部308は、量子化処理によって得られた2値データを画像形成装置100に出力する。画像形成装置100は、入力された2値データに基づいて記録ヘッドを駆動し、記録媒体に各色のインクを吐出して画像を形成する。
【0026】
<画像処理装置が実行する処理>
図11(a)は、画像処理装置300が実行する処理を示すフローチャートである。以下、
図11(a)を参照して、画像処理装置300の処理の詳細を説明する。以下、各ステップ(工程)は符号の前にSをつけて表す。
【0027】
S1101において、入力部301は、入力画像データを入力し、画像処理部302へ出力する。S1102において、入力色変換処理部303は、入力画像データの入力色信号値(R,G,B)を、プリンタの色再現域に対応するプリンタ色信号値(R’,G’,B’)に変換する。S1103において、インク色変換処理部304は、プリンタ色信号値(R’,G’,B’)を、複数種類のインクに対応したインク色信号値(K,C,M,Y)に変換する。S1104において、HS処理部305は、インク色信号値(K,C,M,Y)を有する画像データに対して、HS処理を行う。S1105において、TRC処理部306は、HS処理により得られるHS色信号値(K’,C’,M’,Y’)を有する画像データに対して、TRC処理を行う。S1106において、量子化処理部307は、TRC処理により得られるTRC色信号値(K’’,C’’,M’’,Y’’)を有する画像データに対して、量子化処理を行う。S1107において、出力部308は、量子化処理により生成された2値データを画像形成装置100に出力する。
【0028】
<HS処理>
図4は、HS処理部305におけるHS処理を示すフローチャートである。以下、
図4を参照して、HS処理の詳細を説明する。
【0029】
S401において、画像データ取得部1201は、インク色変換処理部304が出力したインク色信号値(K,C,M,Y)を有する画像データを取得する。S402において、測定値取得部1202は、各ノズルの濃度特性を特定するための測定値を取得する。測定値は測定用画像をスキャナ107を用いて予め測定しておくことによって画像データとして取得しておき、HDD203などに保持させておく。
【0030】
以下において、測定値を有する画像データの生成方法を説明する。まず、ノズル毎の濃度特性を取得するために測定用画像を記録用紙106上に形成する。
図5は、測定用画像の例である。記録用紙106上に、パッチ501、502、503、504、505、506、507、508、509の9階調のパッチが形成されている。各パッチは単一の色のインクのみで形成されている。以下においては、記録ヘッド101(Kインク)のみを用いてパッチが形成されている例を説明する。尚、本実施形態において、測定用画像を形成する際の処理は、単一の色のインクのみを用いるため、
図3(a)に破線で示すバイパス経路309を経由する。これにより、入力色変換処理部303、インク色変換処理部304、HS処理部305を経ずに、入力画像データをTRC処理部306に直接入力することができる。
【0031】
次に、測定用画像をスキャナ107を用いて読み取り、読み取りによりスキャン画像を取得する。スキャン画像の各画素値は(R,G,B)の3チャンネルで取得される。次に、スキャン画像を、スキャナの色特性に合わせて事前に用意された色変換テーブルにより、1チャンネルの画素値を各画素に有するスキャン画像に変換する。本実施形態においては、CIEXYZ色空間のYに対して線形な、16ビットで表現される値に変換される。尚、色変換後のスキャン画像の画素値を表現する色空間は任意であり、CIEL*a*b*のL*や、濃度でもよい。また、測定用画像がC,M,Y等のカラーインクを用いて形成されている場合には、明るさに相当する値ではなく彩度に相当する値を用いることもできる。例えば、C,M,Yそれぞれの補色に対応する値として、R,G,Bの値を用いてもよい。尚、本実施形態におけるスキャン画像の解像度は1200dpiである。上述した処理により、スキャン画像の各画素値を測定値として有する画像データを生成することができ、S402においては該画像データが取得される。
【0032】
S403において、測定値補正部1203は、S402において取得された測定値を補正する。測定値を補正する処理の詳細については後述する。S404において、目標取得部1207は、補正された測定値により生成される測定曲線に応じた目標特性を表す目標特性データを取得する。ここで目標特性は、各ノズルの測定曲線に応じて予め定められた目標の濃度特性である。
図6(a)に示すように、横軸が階調であり、縦軸が輝度である。
図6(a)において、階調に対して線形となる直線を目標特性604とする。点線601は横軸の上限値を示し、本実施形態における上限値は、入力信号値が8ビットであるため255である。測定曲線602は、各階調501~509のスキャン画像が有する測定値をプロットし、補間演算することにより生成される曲線である。本実施形態における補間演算には公知の区分線形補間を用いる。尚、測定曲線には公知のスプライン曲線などを用いてもよい。測定曲線602は、画素位置xに対応するノズルの濃度特性を表しており、測定用画像を形成する際に用いたノズルの数と同じ数の曲線が得られる。ノズルの濃度特性ごとに異なる測定曲線が得られ、例えばインク吐出量の小さいノズルでは曲線が上方向に(明るい方向に)シフトする。尚、各階調において、パッチのy方向の幅の分、測定値が得られる。このため、各階調におけるy方向の測定値の平均値を、9つの測定値として測定曲線の生成に用いる。
【0033】
S405において、色信号値補正部1208は、S403において算出された測定値に基づいて、S401において取得した画像データが有するインク色信号値(K,C,M,Y)を補正し、HS色信号値(K’,C’,M’,Y’)を取得する。
図6(b)を用いて、HS色信号値(K’,C’,M’,Y’)の取得について説明する。
図6(b)において、入力値605は、インク色信号値(K,C,M,Y)を示す。色信号値補正部1208は、入力値605に対応する目標特性604の値を取得し、目標値606とする。さらに、目標値606に対応する測定曲線603の信号値607を、補正後のHS色信号値(K’,C’,M’,Y’)として取得する。ここで用いられる測定曲線603は、S403において補正された測定値に対する区分線形補間により得られる測定曲線である。
【0034】
<測定値を補正する処理>
以下、測定値を補正する処理の詳細について説明する。
図7(a)は、記録ヘッド101の構成を示す模式図である。記録ヘッド101は、3つのヘッドモジュール、つまりヘッドモジュール101a、ヘッドモジュール101b、ヘッドモジュール101cを組み合わせた構成である。
【0035】
図7(b)は、
図5に示す測定用画像の測定値の例である。
図7(b)に示すグラフの横軸はノズル番号であり、記録ヘッド101が備えるノズルの数に対応する。また、グラフの縦軸はスキャン画像の信号値である。測定値701、702、703、704、705、706、707、708、709は、
図5のパッチ501~509にそれぞれ対応した測定値である。上述したように、各階調において、パッチのy方向の幅の分、測定値が得られるが、ここでは各階調内におけるy方向の測定値の平均値を示す。また、境界710は、ヘッドモジュール101aとヘッドモジュール101bとの境界の位置を示す。境界711は、ヘッドモジュール101bとヘッドモジュール101cとの境界の位置を示す。
【0036】
図7(b)に示すように、境界710及び境界711において、測定値にステップ状の不連続点が生じていることがわかる。この不連続点は、ヘッドモジュール間で互いにインクの吐出量が大きく異なることにより生じる。
図7(b)の例において、ヘッドモジュール101bは、他のヘッドモジュールに比べてインクの吐出量が多く、測定値が小さく(暗く)なっている。
【0037】
そこで、本実施形態におけるHS処理部305は、記録ヘッド101の構成における境界部を特定し、測定値に対して境界部に応じたフィルタ処理を行う。
【0038】
図8は、HS処理部305における測定値を補正する処理を示すフローチャートである。S801において、境界位置取得部1204は、ヘッドモジュールの境界位置に対応するスキャン画像における位置を表す境界位置情報を取得する。S802において、領域分割部1205は、スキャン画像を、境界位置情報が表す境界位置で分割する。本実施形態における領域分割部1205は、境界710と境界711とでスキャン画像を分割することにより、3つのヘッドモジュールそれぞれに対応する3つの領域の測定値が得られる。
【0039】
S803において、フィルタ処理部1206は、分割領域ごとに測定値を補正する。具体的には、フィルタ処理部1206は、分割領域ごとにローパスフィルタによるノイズ低減処理を行う。本実施形態において用いるフィルタは、x方向にサイズが可変な1次元の平均値フィルタである。例えば、フィルタサイズが3であれば、注目画素及び注目画素のx方向に隣接する2つの画素に対応する測定値の平均値を注目画素の測定値とするフィルタである。分割領域ごとのフィルタ処理は、測定値701~709それぞれに対して行われる。フィルタ処理が適用される、測定値701~709は、各階調内におけるy方向の測定値の平均値である。尚、フィルタ処理部1206は、各領域の端部においては、フィルタが領域外となる部分は除き、領域内のフィルタの係数の合計値が1となるように正規化処理を施す。
【0040】
<第1実施形態の効果>
以上説明したように、本実施形態における画像処理装置は、インクを吐出する記録素子の濃度特性を特定するために、記録素子を用いて形成された測定用画像を測定して得られる測定値を補正する画像処理装置である。画像処理装置は、測定用画像を測定して得られる、測定値を各画素に有するスキャン画像を取得する。スキャン画像において互いに測定値の特性が異なる領域間の境界を特定する情報を取得する。取得した境界を特定する情報に基づいて、スキャン画像の測定値を補正する。これにより、読み取ったデータ(スキャン画像)における領域間で測定値の特性が異なる場合であっても、記録素子の濃度特性を特定するための測定値に含まれるノイズを高精度に低減することができる。よって、記録素子の濃度特性を高精度に取得することができる。また、この記録素子の濃度特性を用いたHS処理により、記録媒体上に形成される画像の濃度ムラやスジを低減することができる。
【0041】
<変形例>
上述した実施形態のS803においては、測定値に対して平均値フィルタを用いたフィルタ処理を行ったが、分割領域ごとにフィルタ処理が行うことができれば他の処理を用いてもよい。例えば、ガウシアンフィルタやメディアンフィルタを用いた公知のフィルタ処理、フーリエ変換やウェーブレット変換などの周波数変換を用いた公知のノイズ低減処理であってもよい。
【0042】
また、上述した実施形態において、測定用画像のスキャン解像度を記録ヘッドのノズル配置の解像度と同一の1200dpiとしたが、スキャン解像度は記録ヘッドのノズル配置の解像度よりも高くても低くてもよい。スキャン解像度を高くすれば、ノズル毎の濃度をより正確に得ることができる。一方、スキャン解像度を低くすると、高周波なムラを検出しにくくなるが、読み取るデータの量が少なくなるため、システムのコストを削減できる。また、測定曲線は測定値の複数ノズル単位での平均値を用いて生成してもよい。これにより、測定曲線の情報を保持するために必要な記憶容量を削減することができる。
【0043】
また、上述した実施形態においては、記録媒体上に画像を形成する度にフィルタ処理による測定値の補正を行う例を示したが、予め分割領域ごとにフィルタを用いて測定値を補正しておいてもよい。この場合、測定値取得部1202及び測定値補正部1203によるS402及びS403の処理を予め行っておき、補正された測定値をHDD203などに保持させておく。これにより、画像データが入力される度に補正処理を行う必要がないため、処理コストを低減しつつ、画像の濃度ムラを低減することができる。
【0044】
また、上述した実施形態においては、測定値の不連続点が生じる要因を記録ヘッドの構成として説明したが、不連続点が生じる要因はこれに限られない。例えば、スキャナ107が複数の測定モジュールの組み合わせにより構成されている場合にも、測定モジュール間で互いに特性が異なることにより、測定値に不連続点が生じることがある。また、スキャナ107がスキャンの際に用いる光源を複数備える場合にも、光源が光を照射する範囲毎に特性が異なることにより、測定値に不連続点が生じることがある。いずれの場合においても、上述した、装置構成の境界部に応じたフィルタ処理を測定値に適用することができる。
【0045】
また、上述した実施形態においては、S803における分割領域ごとのフィルタ処理において、フィルタの係数の合計値を正規化したが、公知の端部処理を適用することも可能である。例えば、領域外を所定値で埋めるパディングや、端部で測定値を折り返すミラーリング等の処理を行ってもよい。
【0046】
[第2実施形態]
上述した実施形態においては、測定用画像の各パッチを単一の色のインクのみで形成し、インクの色毎にHS処理を行った。しかしながら、インクの色毎にHS技術を行っても、2種類以上のインクを重ねて多次色を表現しようとする場合に、色ムラが生じることがある。このような色ムラに対し、MCS(Multi Color Shading)処理と呼ばれる技術が知られている。そこで、本実施形態においては、MCS処理において用いる測定値がステップ状の不連続点を有する場合においても、画像の濃度ムラやスジを高精度に低減できる処理について説明する。
【0047】
<画像処理装置の機能構成>
図3(b)は、本実施形態における画像処理装置300の機能構成を示すブロック図である。入力色変換処理部303から出力された画像データは、MCS処理部310に入力される。MCS処理部310は、入力された画像データのプリンタ色信号値(R’,G’,B’)に対して、記録ヘッドを構成するノズルの濃度特性に応じた補正を行う。MCS処理の詳細は後述する。補正されたMCS色信号値(R’’,G’’,B’’)を有する画像データは、インク色変換処理部304へ出力される。MCS処理部310は、HS処理部305と同様に、予めパッチを測定して得られる測定値を取得する。尚、MCS処理部310は、
図12に示すHS処理部305の機能構成と同様の機能構成であるとする。
【0048】
MCS処理のための測定用画像は、入力信号値のR,G,Bをそれぞれ独立に変化させた複数のパッチを含んでいる。本実施形態においては、R,G,Bそれぞれについて0,64,128,192,255の5階調とし、5
3(=125)通りの多次色パッチを形成する。尚、パッチの組み合わせはこの一例に限定されない。本実施形態において、MCS処理のための測定用画像を形成する際の処理は、
図3(b)に破線で示すバイパス経路311を経由する。これにより、測定用画像を、HS処理部305により補正が行われた後の画像とすることができる。測定用画像は、スキャナ107によってスキャンされ、スキャン画像が得られる。第1実施形態とは異なり、スキャン画像の画素値は1チャンネルの値に変換されず、(R,G,B)の3チャンネルの画素値を有する画像としてHDD203に保持される。
【0049】
<画像処理装置が実行する処理>
図11(b)は、画像処理装置300が実行する処理を示すフローチャートである。以下、
図11(b)を参照して、画像処理装置300の処理の詳細を説明する。
【0050】
S1111において、入力部301は、入力画像データを入力し、画像処理部302へ出力する。S1112において、入力色変換処理部303は、入力画像データの入力色信号値(R,G,B)を、プリンタの色再現域に対応するプリンタ色信号値(R’,G’,B’)に変換する。S1113において、MCS処理部310は、プリンタ色信号値(R’,G’,B’)を有する画像データに対して、MCS処理を行う。S1114において、インク色変換処理部304は、MCS色信号値(R’’,G’’,B’’)を、複数種類のインクに対応したインク色信号値(K,C,M,Y)に変換する。S1115において、HS処理部305は、インク色信号値(K,C,M,Y)を有する画像データに対して、HS処理を行う。S1116において、TRC処理部306は、HS処理により得られるHS色信号値(K’,C’,M’,Y’)を有する画像データに対して、TRC処理を行う。S1117において、量子化処理部307は、TRC処理により得られるTRC色信号値(K’’,C’’,M’’,Y’’)を有する画像データに対して、量子化処理を行う。S1118において、出力部308は、量子化処理により生成された2値データを画像形成装置100に出力する。
【0051】
<MCS処理>
以下において、
図9のフローチャートを用いて、MCS処理について説明する。HS処理との主な違いは、
図5に示す測定用画像が多次色であることと、測定値が(R,G,B)の3チャンネルであることである。
【0052】
S901において、MCS処理部313は、入力色変換処理部303が出力したプリンタ色信号値(R’,G’,B’)を有する画像データを取得する。S902において、MCS処理部313は、スキャン画像から、注目画素に対応したノズル位置の測定値を取得する。本実施形態においては、125パッチの測定値として、125個の色信号値(R,G,B)が取得される。測定値は測定用画像をスキャナ107を用いて予め測定しておくことによって画像データとして取得しておき、HDD203などに保持させておく。
【0053】
S903において、MCS処理部313は、測定値を補正する。補正処理は第1実施形態と同様に、
図8に示す処理により行う。第1実施形態との違いは、(R,G,B)3チャンネルそれぞれに対して、分割領域ごとのフィルタ処理を施すことである。S904において、MCS処理部313は、目標値(R,G,B)を取得する。本実施形態においては、S901において取得した画像データのプリンタ色信号値(R’,G’,B’)とスキャン画像の目標値(R,G,B)との対応関係を保持した不図示のLUTを参照することにより、目標値(R,G,B)を取得する。
【0054】
S905において、補正された測定値に基づいて、S901において取得した画像データが有するプリンタ色信号値(R’,G’,B’)を補正し、MCS色信号値(R’’,G’’,B’’)を取得する。具体的な補正処理の方法について、
図10を用いて説明する。スキャン画像の色信号値(R,G,B)をそれぞれ軸とする3次元の色空間を
図10に示す。目標値1001はS904において取得した目標値を示す。また、値1002、1003、1004、1005は、S903において取得した125個の補正後測定値のうち、目標値1001を内包する最小の四面体を構成するように選択された4点の補正後測定値である。目標値1001と4点の補正後測定値1002~1005それぞれとの距離を算出し、距離の比率に応じて4点の補正後測定値を用いた補間演算を行う。補間演算により得られる値を注目画素のMCS色信号値(R’’,G’’,B’’)として取得する。
【0055】
<第2実施形態の効果>
以上説明したように、本実施形態の画像処理装置は、分割領域ごとの補正を測定値に対して行い、補正された測定値を用いたMCS処理により画像の色信号値を補正した。これにより、読み取ったデータ(スキャン画像)における領域間で測定値の特性が異なる場合であっても、記録素子の濃度特性を特定するための測定値に含まれるノイズを低減することができる。よって、記録素子の濃度特性を高精度に取得することができる。また、この記録素子の濃度特性を用いたMCS処理により、記録媒体上に形成される画像の色ムラを低減することができる。
【0056】
[その他の実施形態]
上述した実施形態においては、PC200にインストールしたソフトウェアにより、PC200が画像処理装置300として機能する場合を例に説明したが、画像形成装置100が画像処理装置300を含んでいてもよい。画像形成装置100の内部に画像処理装置300を搭載する場合、画像処理装置300の各機能構成を実現できる専用の画像処理回路として実現してもよい。また、画像処理装置300の機能を、画像形成装置100と通信可能なサーバで実行するように構成してもよい。また、画像処理装置300の一部がPC200において構成され、その他の部分が画像形成装置100において構成されてもよい。
【0057】
上述した実施形態においては、測定用画像の信号値を表現する色空間をRGB色空間としたが、色空間は任意である。例えば、CIEXYZ色空間やCIEL*a*b*色空間を用いてもよい。
【0058】
また、上述した実施形態においては、K、C、M、Yの4色のインクを用いて画像を形成したが、他の種類のインクを用いて画像を形成してもよい。例えば、淡シアン、淡マゼンタ、グレイなどの低濃度インクや、レッド、グリーン、ブルー、オレンジ、バイオレットなどの特色インクを用いて画像を形成する画像形成装置にも上述した実施形態を適用できる。また、印刷物の光沢を制御するための透明インクや、記録媒体への定着性を改善するための反応性インクを用いる画像形成装置にも上述した実施形態を適用できる。尚、透明インクや反応性インクを吐出する記録ヘッドの構成がKCMYインクを吐出する記録ヘッドの構成と異なる場合がある。この場合、KCMYインクを吐出する記録ヘッドとは別に、透明インクや反応性インクを吐出する記録ヘッドに対応する境界部の位置も取得することが望ましい。
【0059】
また、上述した実施形態においては、三原色の色信号値であるRGB形式で入力された画像データに対し画像処理部302による処理を施す例について説明したが、画像処理部302に直接KCMY形式の画像データを入力する構成であってもよい。この場合、画像処理部302において、入力色変換処理部303の処理とインク色変換処理部304の処理とが不要となる。
【0060】
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【符号の説明】
【0061】
300 画像処理装置
305 HS処理部
310 MCS処理部