(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-05
(45)【発行日】2024-04-15
(54)【発明の名称】画像形成システム
(51)【国際特許分類】
G03G 21/16 20060101AFI20240408BHJP
B41J 29/00 20060101ALI20240408BHJP
H05K 5/02 20060101ALI20240408BHJP
【FI】
G03G21/16 104
B41J29/00 T
H05K5/02 B
(21)【出願番号】P 2020045743
(22)【出願日】2020-03-16
【審査請求日】2023-03-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100223941
【氏名又は名称】高橋 佳子
(74)【代理人】
【識別番号】100159695
【氏名又は名称】中辻 七朗
(74)【代理人】
【識別番号】100172476
【氏名又は名称】冨田 一史
(74)【代理人】
【識別番号】100126974
【氏名又は名称】大朋 靖尚
(72)【発明者】
【氏名】澤田 宏久
(72)【発明者】
【氏名】服部 真吾
【審査官】市川 勝
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-062006(JP,A)
【文献】特開平10-091281(JP,A)
【文献】特開2017-007269(JP,A)
【文献】特開2013-228554(JP,A)
【文献】特開2018-173577(JP,A)
【文献】特開2011-175153(JP,A)
【文献】特開2017-198751(JP,A)
【文献】特開2011-141330(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/16
B41J 29/00
H05K 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
天面を有する第1の筐体と、
前記天面上で移動可能に載置され、ユーザによる操作を受け付ける操作部であって、前記第1の筐体とは別体である第2の筐体と、画像形成に関する情報を表示する表示面と、前記第2の筐体を支持し、所定の方向に回動する回動部と、
前記天面に接触する第1の接触部と、前記天面に接触する第2の接触部と、を有する操作部と、
を備え、
前記操作部が前記天面に載置され、前記回動部と前記天面とが第1の角度を成す第1の状態である場合に、前記表示面と前記天面とは第2の角度を成し、
前記操作部が前記天面に載置され、前記回動部が前記第1の状態から前記所定の方向に回動し、前記回動部と前記天面とが第3の角度を成す第2の状態である場合に、前記表示面と前記天面とは前記第2の角度よりも大きい第4の角度を成
し、
前記操作部を鉛直方向に沿って見たときに、前記表示面が表示する情報の上下方向において、前記操作部の重心は前記第1の接触部と前記第2の接触部との間に位置する、
ことを特徴とする画像形成システム。
【請求項2】
前記上下方向において、前記第1の接触部は前記重心に対して下側に設けられ、前記第2の接触部は前記重心よりも上側に設けられていることを特徴とする請求項
1に記載の画像形成システム。
【請求項3】
前記第1の接触部と前記第2の接触部とは前記第2の筐体に設けられることを特徴とする請求項
1に記載の画像形成システム。
【請求項4】
前記第1の接触部は前記第2の筐体に設けられ、前記第2の接触部は前記回動部に設けられる、
ことを特徴とする請求項
1に記載の画像形成システム。
【請求項5】
前
記操作部は前記回動部に設けられる第3の接触部
をさらに有し、
前記第1の状態である場合に、前記第1の接触部と前記第2の接触部とは前記天面に接触し前記第3の接触部は前記天面に接触せず、
前記第2の状態である場合に、前記第1の接触部と前記第3の接触部とは前記天面に接触し前記第2の接触部は前記天面に接触しない、
ことを特徴とする請求項
3に記載の画像形成システム。
【請求項6】
前記回動部は回動軸を中心として前記所定の方向に回動し、
前記回動軸は、前記上下方向において前記重心に対して上側に位置する、
ことを特徴とする請求項
1に記載の画像形成システム。
【請求項7】
前記第1の筐体は前記操作部を制御する制御部を有し、
前記操作部と前記制御部とはケーブルで接続されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項8】
前記ケーブルは、前記操作部を制御する信号を伝送する信号線と、前記操作部に電力を供給する電力線と、を内包する、
ことを特徴とする請求項
7に記載の画像形成システム。
【請求項9】
前記第4の角度は0度以上90度以下であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項10】
前記第2の角度は5度以上45度以下である、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項11】
前記第4の角度は5度以上45度以下である、
ことを特徴とする請求項
10に記載の画像形成システム。
【請求項12】
前記回動部は前記第2の筐体に支持される回動軸を中心に前記所定の方向へ回動し、
前記回動部は前記第2の状態である場合、前記第2の筐体と当接し前記回動部が前記所定の方向へ回動することを規制する当接部を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項13】
前記回動軸の軸線方向における前記回動軸の両端は、前記軸線方向に弾性変形し、
前記軸線方向における前記回動軸の両端が前記軸線方向に弾性変形したことに基づいて前記当接部と前記第2の筐体との当接が解除される、
ことを特徴とする請求項
12に記載の画像形成システム。
【請求項14】
前記当接部は、前記第1の状態である場合に前記第2の筐体と当接しない、
ことを特徴とする請求項
12に記載の画像形成システム。
【請求項15】
前記操作部は前記第1の状態である場合に前記回動部を収容する収容部を有し、
前記回動部は、前記表示面に垂直な垂直方向と、当該垂直な方向と鉛直方向との双方に垂直な方向である前記操作部の幅方向と、の双方に垂直な方向のうち前記天面に対して傾斜した前記表示面の傾斜を登る方向において、前記操作部の重心よりも下流側に設けられた回動軸を回動中心として回動し、一端側に前記天面と接触可能な第1の接触部を有し且つ他端側に前記天面と接触可能な第2の接触部とを有し、前記第2の接触部が前記収容部に収容され前記第1の接触部によって前記操作部を支持する第1姿勢と前記第1姿勢よりも前記回動軸を前記天面から離間させ前記第2の接触部によって前記操作部を支持する第2姿勢とに回動可能であって、
前記第1姿勢のときの前記天面に対する前記表示面の傾斜角度は前記第2姿勢のときの前記天面に対する前記表示面の傾斜角度よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項16】
前記回動部が前記第2姿勢のとき、前記第2の接触部は前記操作部を鉛直方向に沿って見たときに前記回動軸よりも前記表示面の傾斜を登る方向において前記回動軸よりも下流側に位置することを特徴とする請求項
15に記載の画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筐体が備える天面においてフリーに載置可能な操作ユニットを有する画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
複写機等の画像形成装置はユーザが動作の切り換えや各動作における詳細な設定等を操作するための操作ユニットを有する。給紙ユニットや搬送ユニット、後処理ユニットなどのオプション装置を画像形成装置にも連接した系(画像形成システム)においても、ユーザは操作ユニットによって各種オプション装置の設定作業を行う。
【0003】
ところで、上記のように複数のオプション装置を連接し全長が長い大型の画像形成システムの場合、ユーザは、操作ユニットが設けられている画像形成装置から離れた場所でオプション装置に対する作業を行うことがある。オプション装置及び操作ユニットの操作の度にこれらのオプション装置間を行き来することは面倒である。
【0004】
そこで、例えば操作ユニットを画像形成装置のみならず、オプション装置にも設置できるものが提案されている(特許文献1)。特許文献1に記載の操作ユニットは、ユーザに情報を表示するディスプレイと、ディスプレイを支持するアームと、アームを介してディスプレイを支持する支持台と、を有する。支持台からのびたアームによって支えられるディスプレイは、支持台が載置される載置面に対して所定の角度をなしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した特許文献1の画像形成装置が有する操作ユニットのディスプレイは、支持台が載置される載置面に対して約90度の角度をなしており、高い位置の視点からは見辛くなる可能性がある。一方で、ディスプレイを載置面に対して平行とした場合、低い視点から見辛くなる可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、本発明に係る画像形成システムは、天面を有する第1の筐体と、前記天面上で移動可能に載置され、ユーザによる操作を受け付ける操作部であって、前記第1の筐体とは別体である第2の筐体と、画像形成に関する情報を表示する表示面と、前記第2の筐体を支持し、所定の方向に回動する回動部と、前記天面に接触する第1の接触部と、前記天面に接触する第2の接触部と、を有する操作部と、を備え、前記操作部が前記天面に載置され、前記回動部と前記天面とが第1の角度を成す第1の状態である場合に、前記表示面と前記天面とは第2の角度を成し、前記操作部が前記天面に載置され、前記回動部が前記第1の状態から前記所定の方向に回動し、前記回動部と前記天面とが第3の角度を成す第2の状態である場合に、前記表示面と前記天面とは前記第2の角度よりも大きい第4の角度を成し、前記操作部を鉛直方向に沿って見たときに、前記表示面が表示する情報の上下方向において、前記操作部の重心は前記第1の接触部と前記第2の接触部との間に位置する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、操作ユニットが有する表示パネルを、画像形成装置の天面に載置される操作ユニットの載置面に対して5度以上45度以下になるように設けることによって、高い視点からも低い視点からも表示パネルに表示される情報を見やすくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図3】画像形成システムによる操作ユニットの制御構成について説明するための図。
【
図4】画像形成システムが備える筐体の天面のうち読取装置よりも左側に操作ユニットを載置した図。
【
図5】画像形成システムが備える筐体の天面のうち読取装置よりも右側に操作ユニットを載置した図。
【
図8】天面に対する表示面の傾斜角度を変化させた場合における操作ユニットについて説明するための図。
【
図9】異なる高さの視点から操作ユニットの表示面を見たときの視認性について説明するための図。
【
図10】操作ユニットを支持する支持台に設けられたアームについて説明するための図。
【
図11】アームを回動させることにより天面に対する表示面の傾斜角度の調整について説明するための図。
【
図12】回動するアームを説明するための操作ユニットの斜視図。
【
図13】回動するアームを説明するための操作ユニットの断面図。
【
図15】ネジ溝が形成された脚部により天面に対する表示面の傾斜角度を調整する機構について説明するための図。
【
図17】オプション装置である数値入力ユニットについて説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下にて、本発明を実施するための形態について、図面を参照して説明する。なお、以下に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0011】
(画像形成装置)
以下、本発明の実施の形態を、
図1~
図17を参照しながら詳細に説明する。尚、本実施の形態では、
図1に示すように、画像形成装置2に向かって手前側を前方向F、奥側(背側)を後方向B、左側を左方向L、右側を右方向R、上側を上方向U、下側を下方向Dとしている。
【0012】
(画像形成装置)
図1に示すように、本実施の形態の画像形成システム1は、例えばプリンタである画像形成装置2と、画像形成装置2の左方向L側に隣接して配置され、画像形成されたシートSを積載可能な後処理装置103とを備えている。なお、本実施例では、画像形成装置2や後処理装置103などを筐体と定義する。画像形成装置2の上面には、作業スペースとして使用可能な天面109が設けられている。本実施例において、天面109は、この画像形成装置2が画像形成可能なシートSの最大サイズ(例えば、A3サイズ)より広く構成されている。画像形成システム1を使用するユーザはこの天面109で例えば製図図面等を広げて製図等の作業を行う。したがって、天面109は可能な限りフラットな水平面である。ここで、後述する
図4にて符号1010で示す領域が作業スペースの例である。画像形成システム1が水平に設置されていれば、作業スペース1010も水平をなす。また、この領域には特に溝などの凹凸がないように設計されており、可能な限りフラットな面となるよう構成されている。なお、ここで言う水平とは、数学的な厳密の意味での水平ではなく、実用上、水平とみなすことができる程度の水平、すなわち略水平を含む概念である。
【0013】
本実施の形態では、画像形成装置2の一例としてタンデム型のフルカラープリンタについて説明している。但し、本発明はタンデム型の画像形成装置2に限られず、他の方式の画像形成装置であってもよく、また、フルカラーであることにも限られず、モノクロやモノカラーであってもよい。
【0014】
図2に示すように、本実施例において、筐体の一例である画像形成装置2は、画像形成部筐体2aと搬送部筐体2bの2カ所に分けることができる。搬送部筐体2bは画像形成部筐体2a内で画像形成された用紙を不図示の後処理装置103へ向けて搬送する。画像形成部筐体2aおよび搬送部筐体2bそれぞれも筐体の一例である。画像形成部筐体2aは天面109aを有し、搬送部筐体2bは天面109bを有する。画像形成部筐体2aと搬送部筐体2bとは連結させることができ、天面109aと天面109bも連結して1つのフラットな天面109を構成する。このように、画像形成部筐体2aと搬送部筐体2bとは連結・分離することができるため、例えば建物の高層階に搬送する場合などに、それぞれを分離した状態でエレベータに乗せ所定のフロアへ搬送することができる。こうすることで、全長が長く大型の画像形成システム1であっても容易にエレベータ等を用いて建物内の所定のフロアへ搬送することができる。
【0015】
トナー供給ユニット20と、シート給送部30と、画像形成部40と、シート搬送部50と、シート排出部60と、電装ユニット70と、操作ユニット80とを備えている。尚、記録材であるシートSは、トナー像が形成されるものであり、具体例として、普通紙、普通紙の代用品である合成樹脂製のシート、厚紙、オーバーヘッドプロジェクタ用シート等がある。
【0016】
シート給送部30は、画像形成装置2の下部に配置されており、シートSを積載して収容するシートカセット31と、給送ローラ32とを備え、シートSを画像形成部40に給送するようになっている。
【0017】
画像形成部40は、画像形成ユニット41と、トナーボトル42と、露光装置43と、中間転写ユニット44と、2次転写部45と、定着装置46とを備え、画像形成を行うよう。
【0018】
画像形成ユニット41は、イエロー(y)、マゼンタ(m)、シアン(c)、ブラック(k)の4色のトナー画像を形成するための4個の画像形成ユニット41y、41m、41c、41kを備える。これらは、それぞれ画像形成装置2に対してユーザにより着脱可能になっている。例えば、画像形成ユニット41yは、トナー画像を形成する感光体ドラム47yと、帯電ローラ48yと、現像スリーブ49yと、不図示のドラムクリーニングブレードと、トナー等とを備えている。また、画像形成ユニット41yには、トナーが充填されたトナーボトル42yからトナーが供給される。また、他の画像形成ユニット41m、41c、41kについては、いずれもトナーの色が異なる他は画像形成ユニット41yと同様の構造となっているので、詳細な説明は省略する。
【0019】
露光装置43yは、感光体ドラム47yの表面を露光して感光体ドラム47yの表面上に静電潜像を形成する露光手段となっている。
【0020】
中間転写ユニット44は、画像形成ユニット41の下方向Dに配置されている。中間転写ユニット44は、駆動ローラ44aや1次転写ローラ44y、44m、44c、44k等の複数のローラと、これらのローラに巻き掛けられた中間転写ベルト44bとを備えている。1次転写ローラ44y、44m、44c、44kは、感光体ドラム47y、47m、47c、47kにそれぞれ対向して配置され、中間転写ベルト44bに当接するようになっている。中間転写ベルト44bに1次転写ローラ44y、44m、44c、44kによって正極性の転写バイアスを印加することにより、感光体ドラム47y、47m、47c、47k上のそれぞれの負極性を持つトナー像が順次中間転写ベルト44bに多重転写される。これにより、中間転写ベルト44bに、フルカラー画像が形成されるようになっている。
【0021】
2次転写部45は、2次転写内ローラ45aと、2次転写外ローラ45bとを備えている。2次転写外ローラ45bに正極性の2次転写バイアスを印加することによって、中間転写ベルト44bに形成されたフルカラー画像をシートSに転写するようになっている。尚、2次転写内ローラ45aは中間転写ベルト44bの内側で該中間転写ベルト44bを張架しており、2次転写外ローラ45bは中間転写ベルト44bを挟んで2次転写内ローラ45aと対向する位置に設けられている。
【0022】
定着装置46は、定着ローラ46a及び加圧ローラ46bを備えている。定着ローラ46aと加圧ローラ46bとの間をシートSが挟持搬送されることにより、シートSに転写されたトナー像は加圧加熱されてシートSに定着されるようになっている。なお、本実施の形態においては、搬送部筐体2bが定着装置46を有しているが、このような形態に限らない。例えば、画像形成部筐体2aが定着装置46を有し、搬送部筐体2bは定着装置46を備えない構成でも構わない。当然ながら、いずれの筐体それぞれが定着装置を備えていても構わない。
【0023】
シート搬送部50は、シート給送部30から給送されたシートSを画像形成部40からシート排出部60に搬送するようになっており、2次転写前搬送経路51と、定着前搬送経路52と、排出経路53と、再搬送経路54とを備えている。
【0024】
シート排出部60は、排出経路53の下流側に配置された排出ローラ対61と、画像形成装置2の左方向L側の側部に配設された排出口62とを備えている。排出ローラ対61は、排出経路53から搬送されるシートSをニップ部から給送し、排出口62から排出するようになっている。排出口62は、画像形成装置2の左方向L側に配置された後処理装置103にシートSを給送可能になっている。
【0025】
図3に示すように、電装ユニット70は、制御部を含む制御基板である画像コントローラ71と、リムーバブル大容量記憶装置であるハードディスクドライブ(以下、HDDという)72とを内蔵している。画像コントローラ71はコンピュータにより構成され、例えばCPU73と、各部を制御するプログラムを記憶するROM74と、データを一時的に記憶するRAM75と、外部と信号を入出力する入出力回路(I/F)76とを備えている。HDD72は、電子データを保存するためのリムーバブルな大容量記憶装置で、主に画像処理プログラム、デジタル画像データ、デジタル画像データの付帯情報を蓄積することができる。画像形成時には、HDD72から画像データが読み出される。
【0026】
CPU73は、画像形成装置2の制御全体を司るマイクロプロセッサであり、システムコントローラの主体である。CPU73は、入出力回路76を介して、シート給送部30、画像形成部40、シート搬送部50、シート排出部60、HDD72、操作ユニット80に接続され、各部と信号をやり取りすると共に動作を制御するようになっている。また、画像コントローラ71は、画像形成装置2に接続された不図示のコンピュータからの指令や、操作ユニット80の操作等により、ユーザが操作や設定を可能になっている。
【0027】
操作ユニット80は、画像形成装置2に対して別体に設けられ、画像形成装置2の各部を操作可能になっている。操作ユニット80は、ドライバ基板81と、表示パネル82とを備えている。表示パネル82は、画像形成装置2に補給されたシートSの残量やトナーの残量、これらの消耗品がなくなった際の警告メッセージ、消耗品を補給する際の手順の表示等、ユーザが画像形成装置2を操作するために必要な情報を表示するようになっている。また、表示パネル82は、シートSのサイズや坪量、画像の濃度調整、出力枚数の設定等、ユーザの操作入力を受け付けるようになっている。
【0028】
操作ユニット80は、画像形成装置2の電装ユニット70に対してケーブル90により接続されて通電可能になっている。ケーブル90は、信号線90aと電源線90bがまとめられた束線としているが、信号線90aと電源線90bが別々のケーブルであっても良い。信号線90aは、画像コントローラ71の入出力回路76とドライバ基板81とを接続し、電源線90bは、画像形成装置2の電源12とドライバ基板81とを接続している。
【0029】
次に、このように構成された画像形成装置2における画像形成動作について説明する。
【0030】
画像形成動作が開始されると、まず感光体ドラム47y、47m、47c、47kが回転して表面が帯電ローラ48y、48m、48c、48kにより帯電される。そして、露光装置43y、43m、43c、43kにより画像情報に基づいてレーザ光が感光体ドラム47y、47m、47c、47kに対して発光され、感光体ドラム47y、47m、47c、47kの表面上に静電潜像が形成される。この静電潜像にトナーが付着することにより、現像されてトナー画像として可視化され、中間転写ベルト44bに転写される。
【0031】
一方、このようなトナー像の形成動作に並行して給送ローラ32が回転し、シートカセット31の最上位のシートSを分離しながら給送する。そして、中間転写ベルト44bのトナー画像にタイミングを合わせて、2次転写前搬送経路51を介してシートSが2次転写部45に搬送される。更に、中間転写ベルト44bからシートSに画像が転写され、シートSは、定着装置46に搬送され、ここで未定着トナー像が加熱加圧されてシートSの表面に定着され、排出ローラ対61により排出口62から排出されて後処理装置103に供給される。
【0032】
(操作ユニット)
次に、電装ユニット70、操作ユニット80、ケーブル90、カバー101、開口部102の概要について説明する。
【0033】
電装ユニット70は画像形成装置2背面に設けられ、電装ユニット70にケーブル90片端に設けられたコネクタ(不図示)が接続される。ケーブル90は操作ユニット80を制御するための制御信号を伝送ユニット70から操作ユニット80に伝送する。ケーブル90は画像形成装置2と操作ユニット80とを通信可能に接続する役割を果たす。ケーブル90のもう一方の端部はコネクタ(不図示)が設けられ、操作ユニット80へ接続される。このように、操作ユニット80は、ケーブルで画像形成装置2に接続されているものの、天面109に対しては固定されていない。そのため、ユーザはケーブルが延びる範囲内であれば、操作ユニット80を天面109上の任意の位置にフリーに載置することができる。このように、ここで言う「フリー」とは、操作ユニット80は例えばビス等で天面109に固定されていない状態、すなわち天面109上で自由に載置位置を変更できる構成のことである。
【0034】
図4および
図5は天面109上における操作ユニット80の載置可能位置について説明するための図である。例えば、
図4に示されるように画像形成装置2上面109の原稿読取装置115寄りのスペースへの配置が可能であり、また、
図5に示されるように給紙装置105上面106のスペースへの配置も可能である。
図4、
図5に示していない操作ユニット80の配置であっても後処理装置103上面104等、画像形成システム上面への配置が可能である。また、画像形成システム上面以外のスペースであっても画像形成システム近傍へ作業台等を設置し、その上へ操作ユニット80を配置することも可能である(不図示)。
【0035】
図6(a)は操作ユニット80を上方から鉛直方向に沿って見た図、
図6(b)は操作ユニット80の底面を見た図、
図6(c)は操作ユニット80の側面図である。
【0036】
図6(a)に示すように操作ユニット80は液晶タッチパネルである表示パネル82を有する。操作ユニット80の後方からはケーブル90が延びている。また、
図6(b)に示すように、操作ユニット80の底面には弾性部材の一例であるゴム足85(85a、85b1)が設けられている。これらゴム足85は第1の接触部~第4の接触部の一例でもあり、天面109に接触可能である。ゴム足85は操作ユニット80を天面109上に置いた際に天面109に接触する部分である。ゴム足85は表面の摩擦係数が高い弾性部材で構成されており、操作ユニット80が天面109に載置された際には若干撓む構成となっている。そのため、本実施例のように4点で操作ユニット80を支持することが可能となる。実際は3点で平面が決まるが、ゴム足85のいずれかが撓むことによって、4点全てが天面109に接触する。本実施例の操作ユニット80のように、手前側ゴム足85aが手前側2か所、奥側ゴム足85b1が奥側2か所に設けられていることで、ユーザが表示パネル82のいずれを押圧しても操作ユニット80が傾くなどしてぐらついてしまう虞を低減している。
【0037】
また、
図6(b)に示すように、4つのゴム足85は操作ユニット80の重心Gを囲むように配置されている。言い換えれば、重心Gは4つのゴム足85に囲まれる領域内に位置する。このように配置されていることで操作ユニット80は4つのゴム足85によって安定的に支持されるため、ユーザにとっての操作性が向上する。操作ユニット80を上方から鉛直方向に沿って見たとき、後述する表示面820に垂直な垂直方向と鉛直方向との双方に垂直な方向(紙面の表裏方向)と、表示面820に垂直な方向と、の双方に垂直な方向であって表示パネル82の傾斜を登る方向において、ゴム足85aは重心Gよりも上流側、ゴム足85b1は重心Gより下流側に位置する。
【0038】
さらに、2つのゴム足85b1は、一方が操作ユニット80の底面の右側端部に、他方は左側端部に設けられている。なお、ここでは、天面109に載置された操作ユニット80を操作ユニット80の底側から見ていると仮定しているため、紙面の左側を操作ユニット80の右側、紙面の右側を操作ユニット80の左側と定義している。操作ユニット80の左右方向の幅をL1と仮定したとき、一方のゴム足85b1はL1を4等分したときの最も右側(一端側)の領域に、他方のゴム足85b1はL1を4等分したときの最も左側(他端側)の領域に位置することが好ましい。このように、2つのゴム足85b1の間隔を離して配置することによって、天面109に載置された場合における操作ユニット80の安定性を向上させることができる。
【0039】
なお、ここでいう左右方向とは、後述する表示面820に垂直な垂直方向と鉛直方向との双方に垂直な方向のことであり、操作ユニット80の幅方向である。
【0040】
図6(c)は天面109載置した操作ユニット80の側方を見た図である。操作ユニット80を置いた際にゴム足85が天面109に倣うことでできる面をゴム足面と呼び、図中B面として示す。操作ユニット80は剛体のため、ゴム足85が剛体の場合は4か所の足では部品公差上はそのうち3か所で平面が構成されることになるが、4か所の場合には少なくとも2か所以上を弾性体にすることで、支持部としてゴム足85が天面109に倣う。
【0041】
ここで、表示パネル82には装置前後方向の押し範囲がある。ユーザは表示パネル82に垂直の操作するため、装置手前側押し力F1a、装置奥側押し力F1bとし、それぞれをゴム足まで延ばした線、すなわち押し方向の線を装置手前側押し方向線K1a、装置奥側押し方向線K1bとする。手前側ゴム足85aの手前側端部をP(手前側ゴム端部と呼ぶ)と奥側ゴム足85b1の奥側端部をM1(奥側ゴム端部と呼ぶ)とすると、前側押し方向線K1a、装置奥側押し方向線K1bが手前側ゴム端部Pと奥側ゴム端部M1の間になるように、手前側ゴム端部Pと奥側ゴム端部M1の配置を設定する。
【0042】
この条件を満足するためには、後述するように、傾斜角度Aの角度によって、操作ユニット手前ゴム端部Pを基準とした場合、奥側ゴム端部M1の位置は角度が大きくなるにしたがって、奥側ゴム端部M1は奥側に配置する必要があり、操作ユニット80は手前側を基準とすると、奥側に大型化する必要がある。
【0043】
これによって、表示パネル82を押しても、操作ユニット80が手前側ゴム端部Pもしくは、奥側ゴム端部Mを支点として、操作ユニット80が回転して、反対側の、奥側ゴム足85b1もしくは、手前側ゴム足85aが浮いてしまうことがなく、操作性の悪化を防いでいる。操作ユニットした際に回転しないようにするために操作ユニット80の重量をますと、操作ユニット80を移動しにくくなり、操作性が低下する。
【0044】
なお、ゴム足面Bとパネル面Cのなす角Aは30度を想定しており、後述するように操作性が良好な所定の角度に設定されている。ここで、パネル面Cは表示パネル82の表示面820(後述)に沿った平行な仮想平面である。また、ゴム足面Bは天面109と平行な面である。ただし、ここで言う平行とは、数学的な厳密の意味での平行ではなく、実用上、平行とみなすことができる程度の平行、すなわち略平行を含む概念である。
【0045】
ここで、
図6(c)を用いてケーブル90が操作ユニット80の後方から延びていることの利点を説明する。
図6(c)に示すように、ケーブル90は、操作ユニット80を鉛直方向に沿って見たときに、表示パネル82を登る方向に向けて操作ユニット80から延びている。言い換えれば、ケーブル90は、後述する表示面820に垂直な垂直方向と鉛直方向との双方に垂直な方向(紙面の表裏方向)と、表示面820に垂直な方向と、の双方に垂直な方向であって表示パネル82の傾斜を登る方向に向けて操作ユニット80から延びている。
【0046】
このように、ケーブル90が操作ユニット80の奥側から後方へ向けて延びていることで、操作ユニット80を操作するユーザからはケーブル90と操作ユニット80との接続部分が見えない。これにより、操作ユニット80のデザイン性を向上させることができる。
【0047】
(筐体の天面に対する操作ユニットの表示面の傾斜角度)
図7(a)は操作ユニット80の斜視図と表示パネル82の拡大概略図である。図に示すように操作ユニット80はゴム足85を有する支持台821を有する。支持台821が設けられていることで、表示パネル82は天面109に対して所定の角度だけ傾斜する。また、支持台821はゴム足85b1が設けられたアーム822を有する。このアーム822は支持台821に対して回動可能である、アーム822を支持台821に対して回動させることで、天面109に対する表示パネル82の傾斜角度を調整することができる。
【0048】
表示パネル82は、コピースタートのためのボタンや用紙サイズの設定画面、印刷枚数の設定画面、トナー残量の表示画面など、画像形成に関する情報や印刷条件設定のための画面を表示可能な表示面820を有する。本実施例では表示パネル82の端部を除く部分に表示面820が設けられているが、表示パネル82の全面に画像形成に関する情報や印刷設定のための画面を表示しても構わない。ただし、いずれの場合にせよ、天面109に対する表示面820の傾斜角度は、表示パネル82の中央付近(
図7(a)における表示面820にあたる領域)が天面109に対してなす角を意味する。このようにして測定される、天面109に対する表示面820の傾斜角度を5度以上45度以下とすることでユーザにとって良好な視認性を確保することができる。
【0049】
まず、傾斜角度Aの下限となる、「傾斜角度A=5度」に関して説明する。操作ユニット80のように、フリー載置可能な操作ユニット80の場合には、装置前面Fに対して操作ユニット80の前面を、装置前面F側だけでなく、90度や180度回転させた位置にも配置することができる。その場合、傾斜角度Aの下限として角度を平面に近づける、傾斜角度Aが仮に0の場合、ユーザは、装置前面F側に立ったユーザが操作ユニット80の手前側を認識できない。よって90度や180度回転した角度で操作してしまう場合がある。また、操作ユニット80の手前側が画像形成システム1の手前側にくるように操作ユニット80を移動する際に、操作ユニットの前面がどの方向なのか認識しづらい。
【0050】
そこで、傾斜角度Aに多少の角度を設ける。こうすることで、ユーザが多少離れた位置からでも、操作ユニット80の手前側がいずれの側であるかを認識できる。
図8(a)に傾斜角度Aが例えば5度である場合の操作ユニット80の側面図を示す。ここで、5度を下回ると、操作ユニット80を移動させた場合に、いずれの側が本来の手前側であるのかが分からなくなり、操作方向の判別がつきにくくなる虞がある。そのため、5度以上の角度があることが望ましい。
【0051】
傾斜角度が5度の場合でも前述の傾斜角度が30度の例と同様の考え方で、手前側押し力F2a、奥側押し力F2bとする。そして、それぞれをゴム足まで延ばした線、すなわち押し方向の線である手前側押し方向線K2a、奥側押し方向線K2bを定義する。手前側押し方向線K2aと奥側押し方向線K2bそれぞれと天面109との交点が手前側ゴム端部Pと奥側ゴム端部M2の間にくるように、手前側ゴム端部Pと奥側ゴム端部M2を配置する。
【0052】
ここでも、表示パネル82を押しても、操作ユニット80が手前側ゴム端部Pもしくは、奥側ゴム端部M2を支点として、操作ユニット80が回転して、反対側の、奥側ゴム足85b2もしくは、手前側ゴム足85aが浮いてしまうことがなく、操作性の悪化を防いでいる。
【0053】
また、画像形成システム1を設置したフロアの床面から天面109までの高さは一般的に900~1100mmである。ここで、男性の身長の統計において90%以上は1600~1790mmの者が占め、女性の90%以上は1500~1690mmの者が占めるとされる。したがって、例えば床面から1500mmの視点から表示面820を見ることを想定した場合、天面109の高さが1100mmと仮定すると、その差は400mmとなる。このようなユーザは操作ユニット80を比較的低い視点から見ることになるため、天面109に対する傾斜角度が5度以上ない場合、表示面82の視認性が低下してしまう。傾斜角度を5度以上にすることで、比較的負担がかからない姿勢で表示面820を見ることができる。
【0054】
以上により、天面109に対する表示面820の傾斜角度は5度以上にすることが好ましい。
【0055】
次に傾斜角度Aの上限となる傾斜角度が45度に関して
図8(b)を用いて説明する。傾斜角度が45度の場合でも前述の傾斜角度が30度の例と同様の考え方で手前側押し力F3a、奥側押し力F3bとする。そして、それぞれをゴム足まで延ばした線、すなわち押し方向の線である手前側押し方向線K3a、奥側押し方向線K3bを定義する。手前側押し方向線K3aと奥側押し方向線K3bそれぞれと天面109との交点が手前側ゴム端部Pと奥側ゴム端部M3の間にくるように、手前側ゴム端部Pと奥側ゴム端部M3を配置する。
【0056】
これにより、表示パネル82を押しても、操作ユニット80が手前側ゴム端部Pもしくは、奥側ゴム端部M3を支点として、操作ユニット80が回転して、反対側の、奥側ゴム足85b3もしくは、手前側ゴム足85aが浮いてしまうことがなく、操作性の悪化を防いでいる。
【0057】
図8(c)には操作ユニット80の手前側ゴム端部Pを合わせて、傾斜角度5度の例(
図8(a))と、傾斜角度45度の例(
図8(b))に追加して、傾斜角度が45度を超えた例として約60度の図を追加している。
【0058】
傾斜角度60度の場合でも前述の傾斜角度が30度の例と同様の考え方で手前側押し力F4a、奥側押し力F4bとする。そして、それぞれをゴム足まで延ばした線、すなわち押し方向の線である手前側押し方向線K4a、奥側押し方向線K4bを定義する。手前側押し方向線K4aと奥側押し方向線K4bそれぞれと天面109との交点が手前側ゴム端部Pと奥側ゴム端部M4の間にくるように、手前側ゴム端部Pと奥側ゴム端部M4を配置する。
【0059】
ここで、操作ユニット80の奥行き寸法で、5度の操作ユニットの奥行をN2(5度操作ユニット奥行と呼ぶ)、45度の操作ユニットの奥行をN3(45度操作ユニット奥行と呼ぶ)、60度の操作ユニットの奥行をN4(60度操作ユニット奥行と呼ぶ)とする。
【0060】
図から分かるようにPを基準とすると傾斜角度が立つに従って、奥側ゴム端部はM2の位置から、M3を経て、M4位置に配置するため、操作ユニット奥行もN2、N3、N4と大きくなる。特に45度以上になると、操作ユニットの奥行方向Nの拡大比率が大きくなるため、操作ユニット80が大型化して、設定場所が限定されてしまうため、傾斜角度Aの上限は45度が望ましい。
【0061】
また、ユーザの視点を1790mm、床面からの天面109の高さを900mmと仮定した場合、その差は890mmとなる。この場合に、天面109に対する表示面820の傾斜角度が急すぎると、ユーザは屈まなければ表示面820を視認することが難しくなる。そのため、天面109に対する表示面820の傾斜角度を45以下とすることで、比較的高い視点から表示面820を見るユーザであっても容易に表示面820を視認することができる。
【0062】
よって、天面109に対する表示面820の傾斜角度Aを5度以上45度以下に設定することで、良好な視認性および操作性を確保できる。
【0063】
(傾斜角度Aの最適角度)
傾斜角度Aは、上記の上限、下限の範囲で、操作パネルが置かれる高さ及び操作者の身長による視認高さを考慮して、表示パネル82の視認性を鑑みて最適な角度が設定される。本発明の実施例で傾斜角度Aは天面109の上に操作ユニット80を置いた場合に、ユーザが長身長者と低身長者が表示部を視認可能な角度に設定されている。
【0064】
本実施例で
図9を用いて説明する。
図9は操作ユニット80を天面109の作業スペース1010に載置した状態のときの側面図である。本実施例では天面109の床からの高さが約1040mmを想定しており、その上に操作ユニット80を置いた場合に視認可能な角度30度に傾斜角度Aを設定している。
【0065】
ここで、表示パネル82の液晶部はコントラストが一定以上確保される範囲(視野角)をもっている。
図11において、液晶部に直角に引いた線をG、奥側の視野の範囲をI、手前側の視野の範囲をHとし、GとIの角度を奥側視野角θi、GとHの角度を手前側視野角θhとする。本実施例では、視野角θi、θhともに50degの視野角をもった液晶部品を使用している。
【0066】
また、ユーザの目の位置を平均身長を87aの位置、長身長の目の位置を87b、低身長の目の位置を87cとすると、天面109の床からの高さ1040mmで操作ユニットに30度の角度をつけることで、87a、87b、87cからの視認した線が視野角H~Iの間におおむね入るように設定されており、視認性が良好で操作性を確保できる。
【0067】
これによって長身長者から低身長者までの目線から、表示部が良好に視認できるように設定されている。
【0068】
本実施例では、操作ユニット80する天面109の高さを1040mmと限定して操作ユニットの最適角度30度としたが、操作ユニット80を移動する置き場の高さが、1040mmより高かったり、低かったりするケースがあり、それぞれに最適な角度があるが、通常、フロアで使用する複合機の高さであるおおむね900mm~1100mm程度の範囲であれば、操作ユニットの置く場所を前後する等、配置を変えることで傾斜角度が5~45度で視認可能である。
【0069】
(操作ユニット角度Aの調整機構)
操作ユニット80は長身長ユーザから低身長ユーザまで様々な身長のユーザが触れて操作を行う。ここまで、操作ユニット80を置く画像形成装置上面109の床からの高さを1040mmと限定した場合、各身長から算出される操作ユニット角度Aの最適角度は30度と述べてきた。しかし、さらに高い身長の長身長ユーザやさらに低い身長の低身長ユーザが操作ユニット80を操作する場合がある。また、ユーザによっては30度よりさらに小さい操作ユニット角度A、もしくは大きい操作ユニット角度Aを好む場合もある。
【0070】
本項ではそのようなユーザを想定して、操作ユニット角度Aが30度だけではなく操作ユニット角度Aをさらに小さくした一例として15度にも調整可能な操作ユニット80について説明する。
【0071】
以降、操作ユニット角度Aの調整機構(角度調整機構と呼ぶ)について説明する。まず、角度調整機構の構成について説明する。
図10(a)は操作ユニット80の下面側の斜視図、(b)はアーム86の斜視図、(c)はアーム86の背面図、(d)はアーム86を外した状態の操作ユニット80を下面側の斜視図である。
図10(b)、(c)で示すように、アーム86にはゴム足85b1、ゴム足85c、軸86a、突起部86b、突き当て面86c、スリット86dが設けられている。スリット86dがあるため、軸86a、突起部86bが設けられた面である取り付け面86eは右方向Rへ撓むことができる。軸86a、突起部86b、突き当て面86c、スリット86dは対向側(右方向R)にも同様の形状が設けられている(不図示)。また、
図10(c)に示すように、アーム86を取り外した状態の操作ユニット80には軸受88a、突起部88b、突起部88cが設けられている。軸受88a、突起部88b、突起部88cは対向側(右方向R)にも同様の形状が設けられている(不図示)。
【0072】
図10(a)に示す操作ユニット80は、
図10(b)のアーム86の軸86aを
図10(c)の軸受88aに挿入してアーム86が操作ユニット80に組み付いた状態である。軸86aを軸受88aに挿入する際は、
図10(b)に示すアーム86のスリットを利用して軸86aが設けられた取り付け面86eを撓ませることで組み付ける。
【0073】
次に、アーム86の開閉について説明する。
図11(a)はアーム86が閉じた状態の操作ユニット80の側面図(操作ユニット角度Aは15度)、
図11(b)はアーム86が開いた状態の操作ユニット80の側面図(操作ユニット角度Aは30度)、
図12(a)はアーム86が閉じた状態の操作ユニット80の下面側の斜視図、
図12(b)はアーム86が閉じた状態と開いた状態との間の中間状態の操作ユニット80の下面側の斜視図、
図12(c)はアーム86が開いた状態の操作ユニット80の下面側の斜視図である。
図13(a)は
図12(a)におけるA-A断面図、
図13(b)は
図12(b)におけるB-B断面図、
図13(c)は
図12(c)おけるC-C断面図である。
図10で説明した通り、アーム86は軸86c(回動軸の一例)を介して操作ユニット80に取り付いているため、軸86cを回動中心として開閉可能である。また、
図13(a)に示すように、アーム86が閉じているときはゴム足85b1が突起部88bに突き当たり、
図13(c)に示すように、アーム86が開いているときは突き当て面86cが突起部88cに突き当たる。これにより、アーム86の開閉角度が規制されるため、
図11(a)、(b)で示したように操作ユニット角度Aをアーム86が閉じているときの15度(アーム86の第1の状態)と開いているときの30度(アーム86の第2の状態)の2段階に調節できる。第1の状態のときの回動軸と天面109との距離よりも第2の状態のときの回動軸と天面109との距離の方が大きい。
【0074】
図12(c)に示すように、操作ユニット80の底側にはアーム86が収容される収容スペース880が設けられている。この収容スペース880にアーム86が収容される。
【0075】
図13(a)に示した、アーム86が閉じているときにゴム足85b1が突起部88bに突き当たるのは開閉角度の規制だけでなく、突き当て時の消音も兼ねている。本実施例では、アーム86が開いているときの開閉角度規制は突き当て面86cが突起部88cに突き当たることで行ったが、ゴム足85cが突起部88bに当たるような位置に配置することで開閉角度規制を行ってもよい。
【0076】
次に、アーム86における第1の状態と第2の状態の切り替え時の引き込み力について説明する。
図14はアーム86の軸86a近傍を操作ユニット80の下面側から見たときの断面図で、
図14(a)アーム86を閉じるとき(
図13(a)におけるD-D断面)、
図14(b)アーム86が閉じた状態と開いた状態との間の中間状態のとき(
図13(b)におけるE-E断面)、
図14(c)アーム86を開くとき(
図13(c)におけるF-F断面)である。
図14の右上に記載した矢印は、操作ユニット80を画像形成装置上面109に置いた時の向きを示しており、画像形成装置2に向かって手前側を前方向F、奥側(背側)を後方向B、左側を左方向L、右側を右方向Rとしている。
図14に示すように、アーム86の突起部86bはアーム86の開閉状態によって、軸受88aの斜面88a1、水平面88a2、斜面88a3のいずれかに当接するような位置関係になっている。
【0077】
図14(a)に示すように、アーム86を閉じるときは、取り付け面86eが方向Rへ撓んでおり、撓みがない状態、すなわち方向Lへの復元力が作用するため、突起部86bが斜面88a1を押す力である斜面押し力FaLが発生する。斜面押し力FaLは斜面88a1に作用するため、突起部86bは斜面押し力FaLの斜面88a1方向の力である斜面方向の押し力Faに沿って、開閉角度が規制されるまで斜面88a1を滑り続ける。
【0078】
同様に、
図14(c)に示すように、アーム86を開くときも、取り付け面86eが方向Rへ撓んでおり、撓みがない状態、すなわち方向Lへの復元力が作用するため、突起部86bが斜面88a3を押す力である斜面押し力FcLが発生する。斜面押し力FcLは斜面88a3に作用するため、突起部86bは斜面押し力FcLの斜面88a3方向の力である斜面方向の押し力Fcに沿って、開閉角度が規制されるまで斜面88a3を滑り続ける。
【0079】
これにより、突起部86bが斜面を滑る力が軸86aを介してアーム86の開閉力に変換されることで、アーム86の第1の状態と第2の状態の切り替え時に引き込み力が発生する。
【0080】
また、
図14(b)に示すように、アーム86が閉じた状態でも開いた状態でもない中間状態のときも、取り付け面86eが方向Rへ撓んでおり、撓みがない状態、すなわち方向Lへの復元力が作用するため、突起部86bが水平面88a2を押す力である水平面押し力Fbが発生する。水平面押し力Fbは水平面88a2に作用するため、突起部86bに方向Fや方向Bへの滑り力は発生しない。そのため、アーム86の第1の状態と第2の状態の切り替え時の引き込み力は発生しない。
【0081】
本実施例では、画像形成装置上面109の上に操作ユニット80を置いたときに設置するゴム足85(接触部の一例)が4点設けられた構成を例に説明してきたが、ゴム足85同士をつなげて2点にしてもよい。また、アーム86は一体型の構成を例に限定して説明してきたが、2つ以上に分離していてもよい。
【0082】
次に、上述した角度調整機構の変形例を説明する。上述した角度調整機構の場合、操作ユニット80の傾斜角度Aは2段階しか設定できない。そこで、無段階の角度調整機構であるネジ足185aを設けた操作ユニット80について、
図15を用いて説明する。
【0083】
図15(a)はネジ足185aが縮まった状態の操作ユニット80の側面図(操作ユニット角度Aは15度)、(b)はネジ足185aが伸びた状態の操作ユニット80の側面図(操作ユニット角度Aは25度)、
図16(a)はネジ足185aが縮まった状態の操作ユニット80の下面側斜視図、
図16(b)はネジ足185aが伸びた状態の操作ユニット80の下面側斜視図である。
【0084】
図16(b)に示すように、ネジ足185aはネジ部185bを介して操作ユニット80に取り付いている。そのため、
図16(a)、(b)に示すように、ネジ足185aは操作ユニット80に対して伸縮可能となる。
【0085】
これにより、本実施例はネジ足185aを設けることで無段階の角度調整が可能となるため、ユーザは表示部82を視認しやすい操作ユニット角度Aに任意に調整できる。
【0086】
しかしながら、この機構の場合、操作ユニット角度Aをさらに大きくしようとすると、より長いネジ部185bを必要とする。この場合、ネジ足185aを縮めたときのネジ部185bの収容部(不図示)は、ネジ部185aが縮まった状態の操作ユニット80の操作ユニット角度Aでできる空間の中に収める必要がある。
【0087】
図16(c)に、ネジ足185aおよびネジ部185bの概略図を示す。ネジ足185aおよびネジ部185bとを合わせて支持部材と呼ぶ。このように、ネジ部185bにはネジ溝が切られており、操作ユニット80の底部に形成されたネジ孔に螺合する構成になっている。ユーザは、ネジ足185aを持って回転させることで操作ユニット80に対するネジ部185bの突出量を調整し、天面109と操作ユニット80の底面との離間量を調整する。
【0088】
(数値入力ユニット)
次に、数値入力ユニット861について
図17を用いて説明する。数値入力ユニット861はユーザの希望に合わせて取り付け・取り外しが可能なオプションの外付けユニットである。
【0089】
操作ユニット80と同様に天面109に置くハードキーユニットとして、本実施例では数値入力ユニット861を構成した場合の例を
図17で説明する。
図17(a)は上面図、(b)は右側面図、(c)は上面側の斜視図、(d)は下面側の斜視図である。
【0090】
ここで、数値入力ユニット861はテンキー861c(数値キーの一例)、スタートキー861a、ストップキー861b等をもっており、操作ユニット80の表示パネル82を見ながら操作する構成である。数値キー861cは0~9の数値情報を入力するためのハードウェアキーである。これらのハードウェアキーがフレーム871から露出している。また、数値入力ユニット861はゴム足861dで天面109の上に配置され、移動可能な構成になっている。
【0091】
ここで、数値入力ユニット861の操作面Jが操作ユニット80の表示パネル82の略右側に配置されその状態で操作ユニット80の操作面Cと数値入力ユニット861の操作面Jが略同一面になるように構成している。ここで言う操作面Jはそれぞれのテンキー861cの間に位置するフレーム871と平行な面である。これによって、数値入力ユニット861もしくは、表示パネル82をユーザが操作する場合にお互いのキーを押すことが低減され、誤操作が少ない。
【0092】
特に、本実施例の数値入力ユニット861の場合、操作ユニット80の表示を見ながら操作するため、できるだけ操作ユニット80に寄り添っている方が操作性がよい。操作ユニット80と数値入力ユニット861の表面に段差がある場合には誤操作防止のために、操作ユニット80と数値入力ユニット861との間の距離を離す必要があり、操作性が悪化する。
【0093】
本実施例では、操作ユニット80に対して数値入力ユニット861と右側においたが、数値入力ユニット861は左側に配置することも可能であり、左ききのユーザの場合の操作性を良好にすることが可能である。
【0094】
また、数値入力ユニット861のフレーム871が天面109に対してなす傾斜角度を天面109に対する表示面820の傾斜角度よりも若干緩やかにすることでユーザの操作性を向上させることができる。仮に、天面109に対する数値入力ユニット861のフレーム871の傾斜角度が天面109に対する表示面820の傾斜角度よりも急で背が高い場合、操作ユニット80を操作するユーザの隣に立つユーザからは表示面820が数値入力ユニット861に隠れてしまう可能性がある。天面109に対する数値入力ユニット861のフレーム871の傾斜角度を天面109に対する表示面820の傾斜角度よりも緩やかにすることで、このような課題が生じる虞を低減することができる。
【符号の説明】
【0095】
1 画像形成システム
2 画像形成装置
80 操作ユニット
82 表示パネル
85 ゴム足
86 アーム
861 数値入力ユニット