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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-05
(45)【発行日】2024-04-15
(54)【発明の名称】洗浄装置及び洗浄方法
(51)【国際特許分類】
   B08B 3/08 20060101AFI20240408BHJP
【FI】
B08B3/08 Z
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2020048890
(22)【出願日】2020-03-19
(65)【公開番号】P2021146281
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2023-03-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000187149
【氏名又は名称】株式会社レゾナック・ガスプロダクツ
(74)【代理人】
【識別番号】100080838
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 光康
(74)【代理人】
【識別番号】100194261
【弁理士】
【氏名又は名称】栢原 崇行
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 正之
(72)【発明者】
【氏名】森 亮太
【審査官】粟倉 裕二
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-094503(JP,A)
【文献】特開2012-045528(JP,A)
【文献】国際公開第2016/088731(WO,A1)
【文献】特開2014-076425(JP,A)
【文献】特開2013-166143(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B08B 3/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
微細気泡発生装置に洗浄液を供給する洗浄液供給ラインと、前記微細気泡発生装置にガスを供給するガス供給ラインと、前記洗浄液供給ラインから供給された前記洗浄液に前記ガス供給ラインから供給されたガスを微細気泡として含有させ、微細気泡含有洗浄液を生成する前記微細気泡発生装置と、洗浄対象物に前記微細気泡含有洗浄液を供給する微細気泡含有洗浄液供給ラインとで構成され、
前記微細気泡発生装置は、前記ガス供給ラインから供給された前記ガスと前記洗浄液供給ラインから供給された前記洗浄液を混合する混合器と、前記混合器で混合された混合流体を複数個のノズル部に供給する混合流体供給ラインと、少なくとも前記洗浄液供給ラインから供給された前記洗浄液又は前記混合器で混合された前記混合流体のいずれかを昇圧する昇圧ポンプと、前記洗浄液を一定量貯めることができるバッファー部と、前記混合流体供給ラインに接続されるとともに、前記バッファー部の前記洗浄液内に略対向状態で設けられ、昇圧された前記混合流体を噴射し、せん断することで微細気泡を発生させる前記複数個のノズル部とで構成され、
前記ノズル部は、略対向するノズル部のなす噴射方向が0°乃至40°の角度となるように傾斜可能に設けられている洗浄装置。
【請求項2】
前記微細気泡発生装置を介して又は前記微細気泡発生装置を介さずに前記洗浄対象物にすすぎ液を供給するすすぎ液供給ラインを更に備えることを特徴とする請求項1に記載の洗浄装置。
【請求項3】
前記ガス供給ラインから供給されるガスは、空気、窒素ガス又は炭酸ガスのいずれかであることを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の洗浄装置。
【請求項4】
前記微細気泡は、個数を基準とした粒子径分布における最頻粒子径が500nm以下であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の洗浄装置。
【請求項5】
前記微細気泡含有洗浄液に含有される前記微細気泡の濃度が1億個/mL以上であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の洗浄装置。
【請求項6】
前記微細気泡は、負電荷を帯びていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の洗浄装置。
【請求項7】
前記微細気泡発生装置には前記微細気泡発生装置内の前記微細気泡含有洗浄液が循環する循環ラインが設けられ、前記循環ラインは、循環管路と、前記循環管路の中途に設けられた循環ポンプとを備えることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の洗浄装置。
【請求項8】
前記洗浄対象物は、飲料の製造装置であることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の洗浄装置。
【請求項9】
洗浄液を微細気泡発生装置に供給する洗浄液供給工程と、ガスを前記微細気泡発生装置に供給するガス供給工程と、前記洗浄液供給工程で供給された洗浄液内に前記ガス供給工程で供給されたガスを微細気泡発生装置を用いて微細気泡として含有させる微細気泡含有洗浄液生成工程と、前記微細気泡含有洗浄液生成工程で生成された微細気泡含有洗浄液を洗浄対象物に供給し、前記洗浄対象物を洗浄する洗浄工程とで構成され、
前記微細気泡発生装置は、ガス供給ラインから供給された前記ガスと洗浄液供給ラインから供給された前記洗浄液を混合する混合器と、前記混合器で混合された混合流体を複数個のノズル部に供給する混合流体供給ラインと、少なくとも前記洗浄液供給ラインから供給された前記洗浄液又は前記混合器で混合された前記混合流体のいずれかを昇圧する昇圧ポンプと、前記洗浄液を一定量貯めることができるバッファー部と、前記混合流体供給ラインに接続されるとともに、前記バッファー部の前記洗浄液内に略対向状態で設けられ、昇圧された前記混合流体を噴射し、せん断することで微細気泡を発生させる前記複数個のノズル部とで構成され、前記ノズル部は、略対向するノズル部のなす噴射方向が0°乃至40°の角度となるように傾斜可能に設けられている洗浄方法。
【請求項10】
前記洗浄工程後、前記洗浄対象物にすすぎ液を供給して前記洗浄対象物をすすぐすすぎ工程を更に行うことを特徴とする請求項9に記載の洗浄方法。
【請求項11】
前記ガス供給工程で供給されるガスは、空気、窒素ガス又は炭酸ガスのいずれかであることを特徴とする請求項9又は請求項10のいずれかに記載の洗浄方法。
【請求項12】
前記微細気泡は、個数を基準とした粒子径分布における最頻粒子径が500nm以下であることを特徴とする請求項9乃至請求項11のいずれかに記載の洗浄方法。
【請求項13】
前記微細気泡含有洗浄液に含有される前記微細気泡の濃度が1億個/mL以上であることを特徴とする請求項9乃至請求項12のいずれかに記載の洗浄方法。
【請求項14】
前記微細気泡は、負電荷を帯びていることを特徴とする請求項9乃至請求項13のいずれかに記載の洗浄方法。
【請求項15】
前記微細気泡含有洗浄液生成工程では、前記微細気泡発生装置内の液体を循環させ、前記微細気泡含有洗浄液の濃度を向上させる循環工程を行うことを特徴とする請求項9乃至請求項14のいずれかに記載の洗浄方法。
【請求項16】
前記洗浄対象物は、飲料の製造装置であることを特徴とする請求項9乃至請求項15のいずれかに記載の洗浄方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウルトラファインバブルを用いて洗浄を行う洗浄装置及び洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、主に飲料等の製造ラインを洗浄する洗浄装置や洗浄方法としては、「飲料等の製造ラインに常温水あるいは温水等のすすぎ洗浄水を通過させてすすぎ洗浄するすすぎ洗浄工程と、このすすぎ洗浄工程後に前記飲料等の製造ラインにアルカリ洗浄水を通過させてアルカリ洗浄するアルカリ洗浄工程と、このアルカリ洗浄工程後に前記飲料等の製造ラインに炭酸洗浄水あるいは炭酸ガスが入れられた炭酸ガス洗浄水を通過させて仕上げすすぎ洗浄する仕上げすすぎ洗浄工程とを含むことを特徴とする飲料等の製造ラインの洗浄方法」が知られている(特許文献1)。
【0003】
しかしながら、このような洗浄方法においては、炭酸ガスを含有するすすぎ液等が用いられているものの、単に洗浄液を中和する目的で用いられているものであり、様々なガスをウルトラファインバブルの状態で含有させ洗浄効率を向上させるものではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2000-153245号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は以上のような従来の欠点に鑑み、洗浄効率を向上させることができ、洗浄水や洗剤を削減できる洗浄装置及び洗浄方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に記載の洗浄装置は、微細気泡発生装置に洗浄液を供給する洗浄液供給ラインと、前記微細気泡発生装置にガスを供給するガス供給ラインと、前記洗浄液供給ラインから供給された前記洗浄液に前記ガス供給ラインから供給されたガスを微細気泡として含有させ、微細気泡含有洗浄液を生成する前記微細気泡発生装置と、洗浄対象物に前記微細気泡含有洗浄液を供給する微細気泡含有洗浄液供給ラインとで構成され、前記微細気泡発生装置は、前記ガス供給ラインから供給された前記ガスと前記洗浄液供給ラインから供給された前記洗浄液を混合する混合器と、前記混合器で混合された混合流体を複数個のノズル部に供給する混合流体供給ラインと、少なくとも前記洗浄液供給ラインから供給された前記洗浄液又は前記混合器で混合された前記混合流体のいずれかを昇圧する昇圧ポンプと、前記洗浄液を一定量貯めることができるバッファー部と、前記混合流体供給ラインに接続されるとともに、前記バッファー部の前記洗浄液内に略対向状態で設けられ、昇圧された前記混合流体を噴射し、せん断することで微細気泡を発生させる前記複数個のノズル部とで構成され、前記ノズル部は、略対向するノズル部のなす噴射方向が0°乃至40°の角度となるように設けられていることを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の洗浄装置は、前記微細気泡発生装置を介して又は前記微細気泡発生装置を介さずに前記洗浄対象物にすすぎ液を供給するすすぎ液供給ラインを更に備えることを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の洗浄装置の前記ガス供給ラインから供給されるガスは、空気、窒素ガス又は炭酸ガスのいずれかであることを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の洗浄装置の前記微細気泡は、個数を基準とした粒子径分布における最頻粒子径が500nm以下であることを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載の洗浄装置の前記微細気泡含有洗浄液に含有される前記微細気泡の濃度が1億個/mL以上であることを特徴とする。
【0011】
請求項6に記載の洗浄装置の前記微細気泡は、負電荷を帯びていることを特徴とする。
請求項7に記載の洗浄装置の前記微細気泡発生装置には前記微細気泡発生装置内の前記微細気泡含有洗浄液が循環する循環ラインが設けられ、前記循環ラインは、循環管路と、前記循環管路の中途に設けられた循環ポンプとを備えることを特徴とする。
【0012】
【0013】
請求項8に記載の洗浄装置の前記洗浄対象物は、飲料の製造装置であることを特徴とする。
請求項9に記載の洗浄方法は、洗浄液を微細気泡発生装置に供給する洗浄液供給工程と、ガスを前記微細気泡発生装置に供給するガス供給工程と、前記洗浄液供給工程で供給された洗浄液内に前記ガス供給工程で供給されたガスを微細気泡発生装置を用いて微細気泡として含有させる微細気泡含有洗浄液生成工程と、前記微細気泡含有洗浄液生成工程で生成された微細気泡含有洗浄液を洗浄対象物に供給し、前記洗浄対象物を洗浄する洗浄工程とで構成され、前記微細気泡発生装置は、ガス供給ラインから供給された前記ガスと洗浄液供給ラインから供給された前記洗浄液を混合する混合器と、前記混合器で混合された混合流体を複数個のノズル部に供給する混合流体供給ラインと、少なくとも前記洗浄液供給ラインから供給された前記洗浄液又は前記混合器で混合された前記混合流体のいずれかを昇圧する昇圧ポンプと、前記洗浄液を一定量貯めることができるバッファー部と、前記混合流体供給ラインに接続されるとともに、前記バッファー部の前記洗浄液内に略対向状態で設けられ、昇圧された前記混合流体を噴射し、せん断することで微細気泡を発生させる前記複数個のノズル部とで構成され、前記ノズル部は、略対向するノズル部のなす噴射方向が0°乃至40°の角度となるように設けられていることを特徴とする。
【0014】
請求項10に記載の洗浄方法は、前記洗浄工程後、前記洗浄対象物にすすぎ液を供給して前記洗浄対象物をすすぐすすぎ工程を更に行うことを特徴とする。
請求項11に記載の洗浄方法の前記ガス供給工程で供給されるガスは、空気、窒素ガス又は炭酸ガスのいずれかであることを特徴とする。
【0015】
請求項12に記載の洗浄方法の前記微細気泡は、個数を基準とした粒子径分布における最頻粒子径が500nm以下であることを特徴とする。
請求項13に記載の洗浄方法の前記微細気泡含有洗浄液に含有される前記微細気泡の濃度が1億個/mL以上であることを特徴とする。
【0016】
請求項14に記載の洗浄方法の前記微細気泡は、負電荷を帯びていることを特徴とする。
請求項15に記載の洗浄方法の前記微細気泡含有洗浄液生成工程では、前記微細気泡発生装置内の液体を循環させ、前記微細気泡含有洗浄液の濃度を向上させる循環工程を行うことを特徴とする。
請求項16に記載の洗浄方法の前記洗浄対象物は、飲料の製造装置であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
以上の説明から明らかなように、本発明にあっては次に列挙する効果が得られる。
(1)請求項1、請求項3、請求項9及び請求項11に記載の各発明においては、微細気泡を用いることによって、微細気泡表面に洗剤の界面活性剤を局在化させることができる。
したがって、凹凸ある汚れ面に効率よく界面活性剤が局在化した微細気泡を浸透させることができるため、洗浄効果を高めることができ、洗浄水や洗剤を削減することができる。
(2)請求項2及び請求項10に記載の各発明も前記(1)と同様な効果が得られるとともに、効率よくすすぎを行うことができる。
(3)請求項4及び請求項12に記載の各発明も前記(1)~(2)と同様な効果が得られるとともに、粒子径を小さくすることにより、より少ない量のガスで洗浄できる。
(4)請求項5及び請求項13に記載の発明も前記(1)~(3)と同様な効果が得られるとともに、微細気泡含有洗浄液一定体積当たりの気体の体積比率が高くすることにより、汚れが汚れ面から剥離するまでの時間を短くすることができる。
(5)請求項6及び請求項14に記載の発明も前記(1)~(4)と同様な効果が得られるとともに、微細気泡に負電荷を帯びさせることにより、通常プラスに帯電している油汚れ等の汚れに対して電気的な要因で洗浄液をより効率よく供給することができ、洗浄性を向上させることができる。
(6)請求項7及び請求項15に記載の各発明も前記(1)~(5)と同様な効果が得られるとともに、微細気泡の濃度を向上させることができ、より効率よく洗浄を行うことができる。
(7)請求項8及び請求項16に記載の各発明も前記(1)~(6)と同様な効果が得られるとともに、飲料の製造装置に対して効率よくCIP洗浄を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1乃至図5は本発明の第1の実施形態を示す説明図である。
図6及び図7は本発明の第2の実施形態を示す説明図である。
図8及び図9は本発明の第3の実施形態を示す説明図である。
図1】第1の実施形態の洗浄装置の概略説明図。
図2】微細気泡発生装置の説明図。
図3】ノズル部の傾きを示す参考説明図。(a)対向するノズル部のいずれも傾きが0°の場合の説明図。(b)対向するノズル部の一方のノズル部の傾きが40°の場合の説明図。(c)対向するノズル部が異なる向きに20°傾き、対向するノズル部から噴射される流体が40°の傾きで衝突する場合の説明図。
図4】ノズル部の配置状態を示す参考説明図。(a)対向するノズル部の中心軸が同軸となるように配置された場合(0mm離間)の説明図。(b)対向するノズル部の中心軸が100mm離間するように配置された場合(100mm離間)の説明図。
図5】第1の実施形態の洗浄方法の工程図。
図6】第2の実施形態の洗浄装置の概略説明図。
図7】第2の実施形態の洗浄方法の工程図。
図8】第3の実施形態の洗浄装置の概略説明図。
図9】第3の実施形態の洗浄方法の工程図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面に示す本発明を実施するための形態により、本発明を詳細に説明する。
図1乃至図5に示す本発明を実施するための第1の形態において、1は本発明の微細気泡、いわゆるウルトラファインバブルを含有する洗浄液を用いて被洗浄物を洗浄する洗浄装置である。
【0020】
この洗浄装置1は、図1に示すように、微細気泡発生装置2に洗浄液を供給する洗浄液供給ライン3と、前記微細気泡発生装置2にガスを供給するガス供給ライン4と、前記洗浄液供給ライン3から供給された前記洗浄液に前記ガス供給ライン4から供給されたガスを微細気泡として含有させ、微細気泡含有洗浄液を生成する前記微細気泡発生装置2と、洗浄対象物5に前記微細気泡含有洗浄液を供給する微細気泡含有洗浄液供給ライン6とで構成されている。
【0021】
洗浄液供給ライン3は、洗浄液供給源7から供給される洗浄液を微細気泡発生装置2へ送るラインである。
【0022】
この洗浄液供給源7は、ガスを微細気泡状で含有させる洗浄液を供給するもので、この洗浄液は、水や界面活性剤を含有するアルカリ性洗浄液、酸性洗浄液及び中性洗浄液等が考えられる。本実施形態においては、アルカリ性洗浄液を洗浄液として用いている。
この洗浄液供給源7は、洗浄液が収納されたタンク等が想定されるが、例えば洗浄液として水を用いる場合には水道管等を洗浄液供給源7としてもよい。
ガス供給ライン4は、ガス供給源8から供給される空気、窒素、炭酸ガス等のガスを微細気泡発生装置2へ送るラインである。
【0023】
ガス供給源8としては、タンク、ボンベ等が考えられ、空気の場合にはコンプレッサー等が考えられる。
なお、空気においては、PSA等でガス組成比を変化させたガスも使用することができる。
【0024】
微細気泡発生装置2は、洗浄液供給ライン3及びガス供給ライン4に接続されており、供給されたガスを前記液体に微細気泡で含有するように混合して微細気泡含有溶媒を生成し、微細気泡含有洗浄液供給ライン6(二次側)へ送る装置である。
【0025】
実施形態では、この微細気泡発生装置2は、例えば図2に示すように、前記洗浄液供給ライン3から供給された洗浄液と前記ガス供給ライン4から供給された前記ガスを混合する混合器9と、前記混合器9で混合された混合流体を複数個のノズル部10に供給する混合流体供給ライン11と、少なくとも前記洗浄液供給ライン3から供給された洗浄液又は前記混合器9で混合された前記混合流体のいずれかを昇圧する昇圧ポンプ12と、前記洗浄液を一定量貯めることができるバッファー部13と、前記混合流体供給ライン11に接続されるとともに、前記バッファー部13の前記洗浄液内に併設状態で設けられ、昇圧された前記混合流体を噴射し、せん断することで微細気泡を発生させる前記複数個のノズル部10とで構成され、好ましくは、前記洗浄液供給ライン3は、図1で示すように循環ライン14の一部を構成している。
【0026】
更に付言すると、混合器9は、洗浄液供給ライン3及びガス供給ライン4にと接続されており、供給されたガスと液体を混合器9で混合して2次側(バッファー部13側)へ送る。
【0027】
また、混合器9で混合された混合流体は、前記洗浄液供給ラインから供給された洗浄液に取り込んだガスの気泡を含有する状態となっている。
混合流体供給ライン11は、混合器9の二次側と複数個のノズル部10を接続するラインであり、本実施形態では、この混合流体供給ライン11に昇圧ポンプ12が設けられている。
【0028】
昇圧ポンプ12は、本実施形態においては混合器9の二次側、すなわち、混合流体供給ライン11の混合器9とバッファー部13との間に設けられており、前記混合流体を少なくとも0.3MPa以上に昇圧するものである。
【0029】
使用される昇圧ポンプ12は、液体を昇圧し、圧送できるものであればどのようなものでもよく、公知の液体用昇圧ポンプを用いることができる。
【0030】
なお、昇圧ポンプ12を用いて昇圧した後の液体又は混合流体の圧力としては、前述したように0.3MPa以上となることが望ましいが、0.3MPa未満であってもウルトラファインバブルを発生させることはできる。
バッファー部13は、本実施形態では容器状の部材で、内部に洗浄液等の液体を保持できるものである。
【0031】
このバッファー部13は、送管の一部をバッファー部13としてもよく、送管にさらに送液ポンプ(図示せず)を付帯してもよい。
【0032】
ノズル部10は、図3及び図4に示すようにノズル部10から噴射された混合流体がせん断されるような併設状態で設けられており、好ましくは略対向状態に配設されている。
ここで、併設状態とは、略対向状態を含むものであり、略対向状態とは、ノズル部10の中心軸が同一線上に位置する状態で向かい合った状態や中心軸が離間した状態で向かい合って配置される状態を含むものである。
【0033】
本実施形態では、略対向状態で設けられており、混合流体供給ライン11より供給された所定の圧力に昇圧された混合流体をこのノズル部10から噴射することにより、混合流体がせん断状態となり、バッファー部13内の液体中にウルトラファインバブル(直径1μm以下の大きさの気泡)が発生する。
【0034】
具体的には、ノズル部10は一直線上を含んで略向かい合って配置されており、図3に示すように噴射方向が0°乃至40°の角度に傾斜させることができる。ここで、0°とは、一方のノズル部10の中心軸と、このノズルに対向する他方のノズル部10の中心軸が同軸又は平行になる角度で、この0°に対してプラス・マイナス方向(図面上では上下方向)に最大40°傾斜可能に設けられている。
【0035】
この角度は、対向するノズル部10同士のなす角度が最大40°になるように調整することが望ましく、例えば、一方のノズル部10の傾きが0°の場合には、他方のノズル部10の角度を最大で40°(上下方向に40°)となるように調整し、一方のノズル部10の傾きが20°の場合には、他方のノズル部10の角度を一方のノズル部10と逆方向の傾きで最大で20°となるように調整することが望ましい。
すなわち、対向するノズル部10から噴射される混合流体が最大で40°の傾きで衝突するように対向するノズル部10の角度を設定する。
【0036】
また、対向する複数個のノズル部10は、図4に示すように、それぞれその中心軸に対して0mm乃至100mmに離間させて設置することができる。すなわち、ノズル部10はその中心軸の一直線上から0mm以上で100mm以下の範囲ずれて向かい合って配置されている。
【0037】
このように配置することにより、ノズル部10から噴射された混合流体同士が衝突又は近接し、効率よくせん断されることにより、ウルトラファインバブルを効率よく発生させることができる。
【0038】
ところで、このときの混合流体が前記ノズル部10を通過する際の最大流速は10m/sec乃至200m/secであることが望ましく、より好ましくは50m/sec乃至150m/secであることが望ましい。
【0039】
この微細気泡発生装置2には前記微細気泡発生装置2内の前記微細気泡含有洗浄液が循環する循環ライン14が設けられており、前記循環ライン14は、バッファー部13又は微細気泡含有洗浄液供給ライン6と洗浄液供給ライン3を接続する循環管路15と、前記循環管路15の中途に設けられた循環ポンプ16とで構成されている。
【0040】
この循環ライン14を設けることにより、バッファー部13の液体(微細気泡含有洗浄液)を洗浄液供給ライン3へ戻して循環させることができ、微細気泡の濃度を効率よく向上させることができる。
【0041】
この微細気泡含有洗浄液は、汚れ面と汚れの間に微細気泡が入り込み、微細気泡同士が結合することで大きな泡となり、その時の物理的な刺激によって汚れが汚れ面から剥離する。そのため微細気泡含有洗浄液一定体積当たりの気体の体積比率が高い(濃度が高い)方が汚れが剥離するまでの時間を短くすることができ、微細気泡発生装置2で生成した微細気泡含有洗浄液に含有される微細気泡の含有量は、微細気泡が前記洗浄液1mL当たり1000万個以上存在することが好ましく、1億個以上あることがさらに好ましい。
【0042】
また、微細気泡表面に洗剤の界面活性剤が局在化するため、微細気泡の粒子径が十分に小さい方が凹凸ある汚れ面に効率よく界面活性剤が局在化した微細気泡を浸透させることができる。すなわち、界面活性剤を効率よく汚れへと運ぶためには微細気泡の粒子径が小さい方が好ましく、個数を基準とした粒子度分布における最頻粒子径が1000nmより小さいことが好ましく、500nmより小さいことがより好ましい。
【0043】
さらに、本実施形態における微細気泡は、負電荷を帯びている。微細気泡に負電荷を帯びさせることにより、通常プラスに帯電している油汚れ等の汚れに対して電気的な要因で洗浄液をより効率よく供給することができ、洗浄性を向上させることができる。
【0044】
このような洗浄液を供給する洗浄対象物5は、本実施形態においては飲料の製造装置5が想定されており、主に飲料の製造装置5を分解することなく、その内部を洗浄するCIP洗浄に用いられる。
【0045】
飲料の製造装置のCIP洗浄を行うに当たり、界面活性剤を用いた微細気泡含有洗浄液等、水以外の液体を洗浄液とした場合、洗浄後に前記すすぎ液供給ラインからすすぎ液を供給し、微細気泡含有洗浄液が飲料の製造装置5の内部に残留しないように飲料の製造装置5の内部をすすぐ。
【0046】
このようなすすぎ作業を行うために、本実施形態においては、洗浄対象物にすすぎ液を供給するすすぎ液供給ライン17を更に備えている。このすすぎ液供給ライン17は前記微細気泡発生装置2を介して又は前記微細気泡発生装置2を介さずに洗浄対象物にすすぎ液を供給するもので、本実施形態においては、微細気泡発生装置2を介してすすぎ液を供給している。
【0047】
すすぎ液供給ライン17は、すすぎ液供給源18を有し、微細気泡発生装置2にすすぎ液を供給するすすぎ液供給路19と、微細気泡発生装置2において微細気泡を含有したすすぎ液を洗浄対象物5に供給するすすぎ液吐出路20とで構成されている。
【0048】
本実施形態においては、すすぎ液供給路19は、洗浄液供給ライン3に仕切弁21を介して接続されており、すすぎ液吐出路20は、微細気泡含有洗浄液供給ライン6が兼ねている。
【0049】
また、本実施形態においては、微細気泡発生装置2を介さずにすすぎ液を洗浄対象物5に供給する場合に用いるすすぎ液供給路19aも有しており、すすぎ液供給路19、19aに設けられた仕切弁21をそれぞれ開閉して微細気泡発生装置2を介すか否かを選択できるようになっている。
【0050】
このすすぎ液供給路19aはすすぎ液供給源18に一端部が接続され仕切弁21を介してすすぎ液吐出路20としての微細気泡含有洗浄液供給ライン6に他端部が接続され、微細気泡を含有しないすすぎ液を洗浄対象物5に供給することができる。
【0051】
また、洗浄液とすすぎ液が同じ液体である場合、洗浄液供給ライン3がすすぎ液供給ライン17を兼ねるものであってもよい。
なお、仕切弁21は、微細気泡含有洗浄液供給ライン6、循環ライン14等にも適宜設けられている。
【0052】
本実施形態においては、微細気泡含有洗浄液を生成する微細気泡発生装置2を介してすすぎ液を供給しているが、この微細気泡発生装置2とは別個に設けた微細気泡発生装置2を介して微細気泡含有すすぎ液を生成し、すすぎ液吐出路20から洗浄対象物5にすすぎ液を供給してもよい。
【0053】
本発明の洗浄方法22は、図5に示すように、洗浄液を微細気泡発生装置2に供給する洗浄液供給工程23と、ガスを前記微細気泡発生装置2に供給するガス供給工程24と、前記洗浄液供給工程23で供給された洗浄液内に前記ガス供給工程24で供給されたガスを微細気泡として含有させる微細気泡含有洗浄液生成工程25と、前記微細気泡含有洗浄液生成工程25で生成された微細気泡含有洗浄液を洗浄対象物5に供給し、前記洗浄対象物5を洗浄する洗浄工程26と、前記洗浄工程後、前記洗浄対象物5にすすぎ液を供給して前記洗浄対象物をすすぐすすぎ工程27とで構成されている。
なお、すすぎの必要がない場合には、すすぎ工程27行わなくてもよい。
【0054】
洗浄液供給工程23は、洗浄液供給源7から供給される洗浄液を洗浄液供給ライン3を介して微細気泡発生装置2に供給する工程である。洗浄液としては前述のように、水や界面活性剤を含有するアルカリ性洗浄液、酸性洗浄液、中性洗浄液等が用いられる。
ガス供給工程24では、ガス供給源8から供給されるガスをガス供給ライン4を介して微細気泡発生装置2に供給する工程である。供給されるガスとしては、前述のように空気、窒素、炭酸ガス等が用いられる。
なお、洗浄液供給工程23とガス供給工程24は略同時に行われるが、いずれか一方の工程が先に行われてもよい。
【0055】
微細気泡含有洗浄液生成工程25では、微細気泡発生装置2を用いて洗浄液にガスを微細気泡状態で含有させ、微細気泡含有洗浄液を生成する。
【0056】
本実施形態においては、前記微細気泡含有洗浄液生成工程25において、微細気泡発生装置2内の液体を循環ライン14により循環させ、前記微細気泡含有洗浄液の濃度を向上させる循環工程28を行う。
【0057】
洗浄工程26では、洗浄対象物5、主に飲料の製造装置5に対して洗浄液を供給し、洗浄を行う。飲料の製造装置5について洗浄を行う場合、CIP洗浄が行われる。
すすぎ工程27では、本実施形態においては、すすぎ液を微細気泡発生装置2を用いて微細気泡含有すすぎ液にするとともに、この微細気泡含有すすぎ液を洗浄対象物5に供給し、洗浄工程26で用いた洗浄液を洗い流す。
【0058】
このすすぎ液には主に水に窒素ガス等を微細気泡状態で含有させたものが用いられるが、例えば洗浄液にアルカリ性の洗浄液が用いられた場合、水に炭酸ガスを微細気泡状態で含有させたものを用い、洗浄液を洗い流すだけでなく、中和させてもよい。また、微細気泡発生装置2を介さずにすすぎ液を洗浄対象物5に供給してもよく、このような場合、別途生成した微細気泡含有すすぎ液をすすぎ液供給源18から供給してもよいし、微細気泡を含有しない水や炭酸水等の液体をすすぎ液供給源18から供給してもよい。
【0059】
[発明を実施するための異なる形態]
次に、図6乃至図9に示す本発明を実施するための異なる形態について説明する。なお、これらの本発明を実施するための異なる形態の説明に当って、前記本発明を実施するための第1の形態と同一構成部分には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0060】
図6及び図7に示す本発明を実施するための第2の形態において、前記本発明を実施するための第1の形態と主に異なる点は、循環ライン14及びすすぎ液供給ライン17を有さない洗浄装置1Aにするとともに、循環工程28を行わない微細気泡含有洗浄液生成工程25A及びすすぎ工程27を行わない洗浄方法22Aにした点で、このような洗浄装置1A及び洗浄方法22Aにしてもすすぎ作業が不要な場合には前記本発明を実施するための第1の形態と同様な作用効果が得られる。
【0061】
図8及び図9に示す本発明を実施するための第2の形態において、前記本発明を実施するための第1の形態と主に異なる点は、循環ライン14を有さない洗浄装置1Bにするとともに、循環工程28を行わない微細気泡含有洗浄液生成工程25Aを含む洗浄方法22Bにした点で、このような洗浄装置1B及び洗浄方法22Bにしても前記本発明を実施するための第1の形態と同様な作用効果が得られる。
【0062】
なお、本発明の実施形態においては、混合器及びバッファー部を有し、バッファー部に併設状態で設けられ、昇圧された前記混合流体を噴射し、せん断することで微細気泡を発生させる前記複数個のノズル部を有する微細気泡発生装置を用いるものについて説明したが、本発明はこのような微細気泡発生装置に限られず、その他公知の微細気泡発生装置を用いることができる。
【0063】
また、すすぎ液供給ラインから供給される微細気泡含有すすぎ液は微細気泡含有洗浄液を生成する微細気泡発生装置を用いて生成するものについて説明したが、この微細気泡発生装置とは別個の微細気泡発生装置(すすぎ液専用の微細気泡発生装置)を用いて、微細気泡含有すすぎ液を生成し、洗浄対象物に微細気泡含有すすぎ液を供給してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明は微細気泡を含有させた洗浄液を用いて洗浄対象物を洗浄する産業に利用される。
【符号の説明】
【0065】
1、1A、1B:洗浄装置、 2、2A:微細気泡発生装置、
3:洗浄液供給ライン、 4:ガス供給ライン、
5:洗浄対象物、 6:微細気泡含有洗浄液供給ライン、
7:洗浄液供給源、 8:ガス供給源、
9:混合器、 10:ノズル部、
11:混合流体供給ライン、 12:昇圧ポンプ、
13:バッファー部、 14:循環ライン、
15:循環管路、 16:循環ポンプ、
17:すすぎ液供給ライン、 18:すすぎ液供給源、
19:すすぎ液供給路、 20:すすぎ液吐出路、
21:仕切弁、 22、22A、22B:洗浄方法、
23:洗浄液供給工程、 24:ガス供給工程、
25、25A:微細気泡含有洗浄液生成工程、
26:洗浄工程、 27:すすぎ工程、
28:循環工程。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9