(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-05
(45)【発行日】2024-04-15
(54)【発明の名称】送信回路及び超音波診断装置
(51)【国際特許分類】
A61B 8/00 20060101AFI20240408BHJP
【FI】
A61B8/00
(21)【出願番号】P 2020052578
(22)【出願日】2020-03-24
【審査請求日】2023-01-19
(73)【特許権者】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩間 信行
【審査官】冨永 昌彦
(56)【参考文献】
【文献】特表2007-503242(JP,A)
【文献】国際公開第2010/101104(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2006/0264747(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0092954(US,A1)
【文献】特開平08-106075(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0331703(US,A1)
【文献】特開2011-004998(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00 - 8/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
単一の電源に接続された電源ライン及び特定の電位を有する電位点に対して並列に接続された複数の定電流回路と、
前記電源ライン及び前記複数の定電流回路に接続された第1のトランジスタであって
、制御端子と流出端子とが接続された第1のトランジスタ
、及び、前記電源ライン及び振動子に接続された第2のトランジスタであって
、前記第1のトランジスタとは異なる第2のトランジスタ
を含むカレントミラー回路と、
それぞれ、前記複数の定電流回路のそれぞれ及び前記第1のトランジスタに接続される複数の
第1のスイッチング素子と、
前記振動子と前記第2のトランジスタとの間に設けられる第2のスイッチング素子と、
前記振動子から出力される超音波の波形を示す波形信号に基づいて、前記複数の
第1のスイッチング素子
及び前記第2のスイッチング素子を制御する制御回路と、
を備える、送信回路。
【請求項2】
前記複数の
第1のスイッチング素子のそれぞれは、前記複数の定電流回路のそれぞれと前記第1のトランジスタとの電気的な接続の状態を、前記複数の定電流回路のそれぞれと前記第1のトランジスタとを電気的に接続させる第1の状態、及び、前記複数の定電流回路のそれぞれと前記第1のトランジスタとの接続を電気的に遮断させる第2の状態のいずれかに設定し、
前記制御回路は、前記波形信号に基づいて、前記複数の
第1のスイッチング素子のそれぞれ毎に、前記接続の状態を前記第1の状態又は前記第2の状態のいずれかの状態に設定させる、請求項
1に記載の送信回路。
【請求項3】
前記制御回路は、前記波形信号が示す波形の周期内で、前記波形信号が示す波形を有する超音波が前記振動子から送信されるように、前記接続の状態を前記第1の状態又は前記第2の状態のいずれかの状態に設定させる、請求項
2に記載の送信回路。
【請求項4】
前記複数の定電流回路から出力される複数の定電流の値のうち、少なくとも1つの値が他の値と異なる、請求項1~
3のいずれか1つに記載の送信回路。
【請求項5】
前記複数の定電流回路の数は、前記振動子から前記波形信号が示す波形が出力されることが可能な前記複数の定電流回路の数のうち、最小の数である、請求項
4に記載の送信回路。
【請求項6】
前記複数の定電流回路のうち、一部の定電流回路は、正極の電源に接続された電源ラインに対して並列に接続されるとともに、他の定電流回路は、負極の電源に接続された電源ラインに対して並列に接続される、請求項1~5のいずれか1つに記載の送信回路。
【請求項7】
請求項1~
6のいずれか1つに記載の送信回路を備える、超音波診断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書及び図面に開示の実施形態は、送信回路及び超音波診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
高調波イメージングや送信ウェイティング制御等のために、任意の波形の信号(駆動信号)を出力することができるリニアアンプが、ハイエンドクラス(高級)の超音波診断装置で用いられている。例えば、100V以上の高電圧のパルスを出力するために、リニアアンプが備える増幅回路に大きなバイアス電流を流す必要がある。このため、消費電力が大きくなる。
【0003】
また、リニアアンプで扱われる信号がアナログ形式の信号(アナログ信号)であるため、リニアアンプの前段に、デジタル形式の波形信号をアナログ形式の波形信号に変換するDAC(Digital to Analog Converter)回路が設けられている。DAC回路は、サイズ(回路規模)が大きく、コスト(費用)が高い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2008-194290号公報
【文献】特開2018-110713号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題の一つは、消費電力を抑制することである。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態により解決しようとする課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を他の課題として位置づけることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実実施形態の送信回路は、複数の定電流回路と、複数のスイッチング素子と、制御回路とを備える。複数の定電流回路は、単一の電源に接続された電源ライン及び振動子に並列に接続されている。複数のスイッチング素子のそれぞれは、複数の定電流回路のそれぞれ及び振動子に接続されている。制御回路は、振動子から出力される超音波の波形を示す波形信号に基づいて、複数のスイッチング素子を制御する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、実施形態に係る超音波診断装置の構成例を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、第1の実施形態に係る送信回路の1つのチャネルに対応する構成の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、第1の実施形態に係る送信回路の動作の一例を説明するための図である。
【
図4】
図4は、第1の実施形態に係る送信回路の動作の一例を示すタイミングチャートである。
【
図5】
図5は、第2の実施形態に係る送信回路の1つのチャネルに対応する構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら、実施形態に係る送信回路及び超音波診断装置を説明する。なお、一つの実施形態又は変形例に記載した内容は、他の実施形態又は他の変形例にも同様に適用されてもよい。
【0009】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る超音波診断装置1の構成例を示すブロック図である。
図1に例示するように、第1の実施形態に係る超音波診断装置1は、装置本体100と、超音波プローブ101と、入力インターフェース102と、ディスプレイ103とを有する。
【0010】
超音波プローブ101は、例えば、圧電振動子等の複数の振動子を有する。これら複数の振動子は、装置本体100が有する送受信回路110の送信回路110aから供給される駆動信号に基づき超音波を発生する。また、超音波プローブ101は、被検体Pからの反射波を受信して電気信号である反射波信号に変換し、反射波信号を装置本体100に出力する。また、超音波プローブ101は、例えば、振動子に設けられる整合層と、振動子から後方への超音波の伝播を防止するバッキング材等を有する。なお、超音波プローブ101は、装置本体100と着脱自在に接続される。
【0011】
超音波プローブ101から被検体Pに超音波が送信されると、送信された超音波は、被検体Pの体内組織における音響インピーダンスの不連続面で次々と反射され、反射波として超音波プローブ101が有する複数の振動子にて受信される。受信される反射波の振幅は、超音波が反射される不連続面における音響インピーダンスの差に依存する。なお、送信された超音波パルスが、移動している血流や心臓壁等の表面で反射された場合の反射波は、ドプラ効果により、移動体の超音波送信方向に対する速度成分に依存して、周波数偏移を受ける。そして、超音波プローブ101は、反射波信号を後述する送受信回路110の受信回路110bに出力する。
【0012】
超音波プローブ101は、装置本体100と着脱可能に設けられる。被検体P内の2次元領域の走査(2次元走査)を行なう場合、ユーザは、例えば、複数の振動子が一列で配置された1Dアレイプローブを超音波プローブ101として装置本体100に接続する。1Dアレイプローブの種類としては、リニア型超音波プローブ、コンベックス型超音波プローブ、セクタ型超音波プローブ等が挙げられる。また、被検体P内の3次元領域の走査(3次元走査)を行なう場合、ユーザは、例えば、メカニカル4Dプローブや2Dアレイプローブを超音波プローブ101として装置本体100と接続する。メカニカル4Dプローブは、1Dアレイプローブのように一列で配列された複数の振動子を用いて2次元走査が可能であるとともに、複数の振動子を所定の角度(揺動角度)で揺動させることで3次元走査が可能である。また、2Dアレイプローブは、マトリックス状に配置された複数の振動子により3次元走査が可能であるとともに、超音波を集束して送信することで2次元走査が可能である。
【0013】
入力インターフェース102は、例えば、マウス、キーボード、ボタン、パネルスイッチ、タッチコマンドスクリーン、フットスイッチ、トラックボール、ジョイスティック等の入力手段により実現される。入力インターフェース102は、超音波診断装置1のユーザからの各種設定要求を受け付け、受け付けた各種設定要求を装置本体100に転送する。
【0014】
ディスプレイ103は、例えば、超音波診断装置1のユーザが入力インターフェース102を用いて各種設定要求を入力するためのGUI(Graphical User Interface)を表示したり、装置本体100において生成された超音波画像データに基づく超音波画像等を表示したりする。ディスプレイ103は、液晶モニタやCRT(Cathode Ray Tube)モニタ等によって実現される。
【0015】
装置本体100は、超音波プローブ101から送信された反射波信号に基づいて超音波画像データを生成する。なお、超音波画像データは、画像データの一例である。装置本体100は、超音波プローブ101から送信された被検体Pの2次元領域に対応する反射波信号に基づいて2次元の超音波画像データを生成可能である。また、装置本体100は、超音波プローブ101から送信された被検体Pの3次元領域に対応する反射波信号に基づいて3次元の超音波画像データを生成可能である。
図1に示すように、装置本体100は、送受信回路110と、バッファメモリ120と、信号処理回路130と、画像生成回路140と、メモリ150と、制御回路160とを有する。
【0016】
送受信回路110は、制御回路160による制御を受けて、超音波プローブ101から超音波を送信させるとともに、超音波プローブ101に超音波(超音波の反射波)を受信させる。すなわち、送受信回路110は、超音波プローブ101を介して走査を実行する。なお、走査は、スキャン、超音波スキャン又は超音波走査とも称される。送受信回路110は、送受信部の一例である。送受信回路110は、送信回路110aと受信回路110bとを有する。
【0017】
送信回路110aは、制御回路160による制御を受けて、超音波プローブ101から超音波を送信させる。送信回路110aは、超音波プローブ101に駆動信号(駆動信号の送信パルス)を供給する。送信回路110aは、被検体P内の2次元領域を走査する場合、超音波プローブ101から2次元領域を走査するための超音波ビームを送信させる。また、送信回路110aは、被検体P内の3次元領域を走査する場合、超音波プローブ101から3次元領域を走査するための超音波ビームを送信させる。送信回路110aについては後述する。
【0018】
送信回路110aは、駆動信号に対して所定の遅延処理を実行し、所定の遅延処理が実行された駆動信号を振動子に供給する機能を有する。本実施形態では、例えば、1つの振動子に対して1つのチャネルが割り当てられ、チャネルごとに、駆動信号に対して所定の遅延処理が実行される。これにより、送信回路110aは、例えば、振動子から発生される超音波をビーム状に集束して、超音波の送信指向性を制御する。
【0019】
超音波プローブ101により送信された超音波の反射波は、超音波プローブ101内部の振動子まで到達した後、振動子において、機械的振動から電気的信号(反射波信号)に変換され、受信回路110bに入力される。受信回路110bは、プリアンプと、A/D(Analog to Digital)変換器と、受信遅延回路と、加算器等を有し、超音波プローブ101から送信された反射波信号に対して各種処理を行なって反射波データを生成する。そして、受信回路110bは、生成した反射波データをバッファメモリ120に格納する。
【0020】
プリアンプは、反射波信号をチャネルごとに増幅してゲイン調整(ゲイン補正)を行なう。A/D変換器は、ゲイン補正された反射波信号をA/D変換することでゲイン補正された反射波信号をデジタル信号に変換する。受信遅延回路は、デジタル信号に変換された反射波信号に対して、受信指向性を決定するために必要な遅延時間を与える。
【0021】
加算器は、受信遅延回路によって処理された反射波信号の加算処理を行って反射波データ(RF(Radio Frequency)信号)を生成する。そして、加算器は、反射波データをバッファメモリ120に格納する。このように、本実施形態では、受信遅延回路及び加算器によって整相加算処理が行われる。本実施形態では、例えば、1つの振動子に対して1つのチャネルが割り当てられる。そして、受信遅延回路は、各チャネルの反射波信号に対して遅延時間を与え、加算器は、受信遅延回路によって遅延時間が与えられた複数の反射波信号を加算する加算処理を行う。
【0022】
受信回路110bは、超音波プローブ101から送信された2次元の反射波信号から2次元の反射波データを生成する。また、受信回路110bは、超音波プローブ101から送信された3次元の反射波信号から3次元の反射波データを生成する。
【0023】
バッファメモリ120は、送受信回路110により生成された反射波データを一時的に記憶するメモリである。例えば、バッファメモリ120は、受信回路110bの制御により、1フレーム分の反射波データを所定数、記憶することが可能なように構成されている。そして、バッファメモリ120は、1フレーム分の反射波データを所定数記憶している状態で、新たに1フレーム分の反射波データが受信回路110bにより生成された場合、受信回路110bによる制御を受けて、生成された時間が最も古い1フレーム分の反射波データを破棄し、新たに生成された1フレーム分の反射波データを記憶する。例えば、バッファメモリ120は、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子によって実現される。
【0024】
信号処理回路130は、バッファメモリ120から反射波データを読み出し、読み出した反射波データに対して各種の信号処理を施し、各種の信号処理が施された反射波データをBモードデータ又はドプラデータとして画像生成回路140に出力する。信号処理回路130は、例えば、プロセッサにより実現される。信号処理回路130は、信号処理部の一例である。
【0025】
例えば、信号処理回路130は、バッファメモリ120から読み出した反射波データに対して、直交検波し、対数増幅及び包絡線検波処理等を施して、サンプル点ごとの信号強度(振幅強度)が輝度の明るさで表現されるBモードデータを生成する。例えば、信号処理回路130は、生成したBモードデータを画像生成回路140に出力する。
【0026】
また、信号処理回路130は、高調波成分を映像化するハーモニックイメージングを行うための信号処理を実行する。ハーモニックイメージングとしては、コントラストハーモニックイメージング(CHI:Contrast Harmonic Imaging)や組織ハーモニックイメージング(THI:Tissue Harmonic Imaging)が挙げられる。また、コントラストハーモニックイメージングや組織ハーモニックイメージングでは、スキャン方式として、以下の方式が知られている。例えば、かかるスキャン方式として、振幅変調(AM:Amplitude Modulation)、パルスサブトラクション法(Pulse Subtraction法)又はパルスインバージョン法(Pulse Inversion法)と呼ばれる位相変調(PM:Phase Modulation)、及び、AMとPMとを組み合わせることで、AMの効果及びPMの効果の双方が得られるAMPM等が知られている。
【0027】
信号処理回路130は、バッファメモリ120から読み出した反射波データを周波数解析することで、ドプラ効果に基づく移動体(血流や組織、造影剤エコー成分等)の運動情報を反射波データから抽出し、抽出した運動情報を示すドプラデータを生成する。例えば、信号処理回路130は、移動体の運動情報として、平均速度、平均分散値及び平均パワー値等を多点に渡り抽出し、抽出した移動体の運動情報を示すドプラデータを生成する。信号処理回路130は、生成したドプラデータを画像生成回路140に出力する。
【0028】
上記の信号処理回路130の機能を用いて、実施形態に係る超音波診断装置1は、カラーフローマッピング(CFM:Color Flow Mapping)法とも呼ばれるカラードプラ法を実行可能である。カラーフローマッピング法では、超音波の送受信が複数の走査線上で複数回行なわれる。そして、カラーフローマッピング法では、同一位置のデータ列に対してMTI(Moving Target Indicator)フィルタを掛けることで、同一位置のデータ列から、静止している組織、或いは、動きの遅い組織に由来する信号(クラッタ信号)を抑制して、血流に由来する信号(血流信号)を抽出する。そして、カラーフローマッピング法では、この血流信号から血流の速度、血流の分散、血流のパワー等の血流情報を推定する。信号処理回路130は、カラーフローマッピング法により推定された血流情報を示すドプラデータを画像生成回路140に出力する。
【0029】
信号処理回路130は、2次元の反射波データ及び3次元の反射波データの両方の反射波データを処理可能である。
【0030】
画像生成回路140は、信号処理回路130から出力されたBモードデータ及びドプラデータから超音波画像データを生成する。例えば、画像生成回路140は、信号処理回路130が生成した2次元のBモードデータから反射波の強度を輝度で表した2次元Bモード画像データを生成する。また、画像生成回路140は、信号処理回路130が生成した2次元のドプラデータから運動情報又は血流情報が映像化された2次元ドプラ画像データを生成する。2次元ドプラ画像データは、速度画像データ、分散画像データ、パワー画像データ、又は、これらを組み合わせた画像データである。画像生成回路140は、プロセッサにより実現される。
【0031】
ここで、画像生成回路140は、一般的には、超音波走査の走査線信号列を、テレビ等に代表されるビデオフォーマットの走査線信号列に変換(走査コンバート)し、表示用の超音波画像データを生成する。例えば、画像生成回路140は、信号処理回路130から出力されたデータに対して、超音波プローブ101による超音波の走査形態に応じて座標変換を行なうことで、表示用の超音波画像データを生成する。また、画像生成回路140は、走査コンバート以外に種々の画像処理として、例えば、走査コンバート後の複数の画像フレームを用いて、輝度の平均値画像を再生成する画像処理(平滑化処理)や、画像内で微分フィルタを用いる画像処理(エッジ強調処理)等を行なう。また、画像生成回路140は、超音波画像データに、種々のパラメータの文字情報、目盛り、ボディーマーク等を合成する。
【0032】
更に、画像生成回路140は、信号処理回路130により生成された3次元のBモードデータに対して座標変換を行なうことで、3次元Bモード画像データを生成する。また、画像生成回路140は、信号処理回路130により生成された3次元のドプラデータに対して座標変換を行なうことで、3次元ドプラ画像データを生成する。すなわち、画像生成回路140は、「3次元のBモード画像データ及び3次元ドプラ画像データ」を「3次元超音波画像データ(ボリュームデータ)」として生成する。そして、画像生成回路140は、ボリュームデータをディスプレイ103にて表示するための各種の2次元画像データを生成するために、ボリュームデータに対して様々なレンダリング処理を行なう。
【0033】
画像生成回路140が行なうレンダリング処理としては、例えば、断面再構成法(MPR:Multi Planer Reconstruction)を用いてボリュームデータからMPR画像データを生成する処理がある。また、画像生成回路140が行なうレンダリング処理としては、例えば、3次元の情報を反映した2次元画像データを生成するボリュームレンダリング(VR:Volume Rendering)処理がある。画像生成回路140は、画像生成部の一例である。
【0034】
Bモードデータ及びドプラデータは、走査コンバート処理前の超音波画像データであり、画像生成回路140が生成するデータは、走査コンバート処理後の表示用の超音波画像データである。なお、Bモードデータ及びドプラデータは、生データ(Raw Data)とも呼ばれる。
【0035】
メモリ150は、画像生成回路140により生成された各種の画像データを記憶するメモリである。また、メモリ150は、信号処理回路130により生成されたデータも記憶する。メモリ150が記憶するBモードデータやドプラデータは、例えば、診断の後にユーザが呼び出すことが可能となっており、画像生成回路140を経由して表示用の超音波画像データとなる。
【0036】
また、メモリ150は、走査(超音波の送受信)、画像処理及び表示処理を行なうための制御プログラムや、診断情報(例えば、患者ID、医師の所見等)や、診断プロトコルや各種ボディーマーク等の各種データも記憶する。例えば、メモリ150は、RAM、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、ハードディスク又は光ディスクによって実現される。
【0037】
制御回路160は、超音波診断装置1の処理全体を制御する。具体的には、制御回路160は、入力インターフェース102を介してユーザから入力された各種設定要求や、メモリ150から読込んだ各種制御プログラム及び各種データに基づき、送受信回路110、信号処理回路130及び画像生成回路140の処理を制御する。また、制御回路160は、メモリ150に記憶された表示用の超音波画像データに基づく超音波画像を表示するようにディスプレイ103を制御する。制御回路160は、例えば、プロセッサにより実現される。超音波画像は、画像の一例である。
【0038】
また、制御回路160は、送受信回路110を介して超音波プローブ101を制御することで、超音波走査の制御を行なう。
【0039】
以上、実施形態に係る超音波診断装置1の全体構成について説明した。ここで、比較例に係る超音波診断装置について説明する。
【0040】
例えば、送信電源と出力をスイッチで切り替えて矩形波パルスを有する駆動信号を送信する送信回路を有する超音波診断装置がある。これに対して、比較例に係る超音波診断装置は、映像化手法として2次高調波を低減させるために、任意の波形の駆動信号を出力することができるリニアアンプを有する送信回路を備える。例えば、比較例に係る超音波診断装置は、ハイエンドクラスの超音波診断装置である。
【0041】
例えば、比較例に係る超音波診断装置は、送信回路が、ガウス波の波形を示す駆動信号を生成し出力する。これにより、比較例に係る超音波診断装置は、送信の2次高調波成分を抑え、分解能の良い高調波イメージングを実現することができる。また、比較例に係る超音波診断装置では、例えば、送信回路が、2つの周波数帯域の波形データを混ぜた波形データを送信し、その高調波や和差成分周波数を検出して広帯域な受信帯域で映像化するなど様々な映像化を行う。
【0042】
しかしながら、比較例では、100V以上の高電圧のパルスを出力するために、リニアアンプが備える増幅回路に大きなバイアス電流を流す必要がある。このため、消費電力が大きくなる。
【0043】
また、リニアアンプで扱われる信号がアナログ形式の信号(アナログ信号)であるため、リニアアンプの前段に、デジタル形式の駆動信号をアナログ形式の駆動信号に変換するDAC(Digital to Analog Converter)回路が設けられている。DAC回路は、サイズが大きく、コストが高い。ここで、比較例に係る超音波診断装置では、振動子を駆動するために、多数のチャネル(例えば、128チャネルや192チャネル)に対応する数の送信回路が実装される。これらの結果、超音波診断装置のサイズが大きくなり、コストも高くなる。
【0044】
以上のことから、比較例に係る超音波診断装置では、消費電力が大きく、サイズが大きく、コストが高い。そこで、以下に説明するように、第1の実施形態に係る超音波診断装置1は、消費電力、サイズ及びコストを抑制することができるように構成されている。
【0045】
図2は、第1の実施形態に係る送信回路110aの1つのチャネルに対応する構成の一例を示す図である。したがって、送信回路110aには、複数のチャネルの数に対応する分の
図2に示す構成を有する。
【0046】
図2に示すように、送信回路110aは、1つのチャネルごとに、インターフェース回路11、波形信号メモリ12、DDS(Direct Digital Synthesizer)回路13、アポダイゼーション(apodization)レジスタ14、ゲインレジスタ15、遅延レジスタ16、波形信号生成回路17、制御回路18,19、電源ライン(電源線)20,24、定電流回路群21,25、スイッチング素子群22,26、スイッチング素子23,27を備える。また、
図2に示すように、送信回路110aの1つのチャネルの構成は、1つの振動子30に接続されている。
【0047】
インターフェース回路11は、制御回路160との通信を行う。例えば、インターフェース回路11は、制御回路160から送信された各種の情報及び各種のデータを受信する。
【0048】
例えば、インターフェース回路11は、制御回路160から送信された波形信号を受信する。波形信号は、超音波プローブ101の振動子30から送信される超音波の送信波形の信号(送信波形を示す信号)である。波形信号は、入力インターフェース102を介してユーザにより装置本体10に入力される。そして、制御回路160は、入力された波形信号をインターフェース回路11に送信する。そして、インターフェース回路11は、受信した波形信号を波形信号メモリ12に記憶させる。なお、制御回路160から送信される波形信号は、デジタル形式の信号である。
【0049】
また、インターフェース回路11は、制御回路160から送信された生成指示を受信する。生成指示は、所定の波形信号をDDS回路13に生成させるための指示である。生成指示は、入力インターフェース102を介してユーザにより装置本体10に入力される。そして、制御回路160は、入力された生成指示をインターフェース回路11に送信する。そして、インターフェース回路11は、受信した生成指示をDDS回路13に送信する。
【0050】
また、インターフェース回路11は、制御回路160から送信されたアポダイゼーション関数を受信する。アポダイゼーション関数は、開口関数又は送信開口関数とも称される。アポダイゼーション関数は、振動子30の位置ごとに重みが設定された関数である。例えば、制御回路160は、入力インターフェース102を介して入力されたユーザからの指示に基づいて、アポダイゼーション関数を生成する。そして、制御回路160は、インターフェース回路11にアポダイゼーション関数を送信する。インターフェース回路11は、受信したアポダイゼーション関数をアポダイゼーションレジスタ14に記憶させる。
【0051】
また、インターフェース回路11は、制御回路160から送信された最大振幅(フルスケール)を受信する。最大振幅は、全チャネルで共通の最大振幅であり、波形信号を増幅する際に用いられる。例えば、制御回路160は、装置本体100に接続された超音波プローブ101の種類に応じた最大振幅をインターフェース回路11に送信する。インターフェース回路11は、受信した最大振幅をゲインレジスタ15に記憶させる。
【0052】
また、インターフェース回路11は、制御回路160から送信された送信遅延時間(送信遅延量)を受信する。この送信遅延時間は、1つのチャネルごと、例えば、1つの振動子30ごとの遅延時間である。例えば、制御回路160は、インターフェース回路11に送信遅延時間を送信する。インターフェース回路11は、受信した送信遅延時間を遅延レジスタ16に記憶させる。
【0053】
DDS回路13は、生成指示を受信すると、受信した生成指示にしたがって、所定の波形信号を生成する。この波形信号は、デジタル形式の信号である。そして、DDS回路13は、生成した波形信号を波形信号生成回路17に送信する。
【0054】
波形信号生成回路17は、任意の波形の波形信号を生成する。例えば、波形信号生成回路17は、波形信号メモリ12に記憶された波形信号に基づいて、任意の波形の波形信号を生成する。また、波形信号生成回路17は、DDS回路13により自動的に生成された波形信号に基づいて、任意の波形の波形信号を生成する。
【0055】
波形信号生成回路17が、波形信号メモリ12に記憶された波形信号、又は、DDS回路13により生成された波形信号に基づいて波形信号を生成する処理の一例について説明する。例えば、波形信号生成回路17は、波形信号メモリ12に記憶された波形信号の中から、入力インターフェース102を介してユーザによって入力された撮影モードや超音波プローブ101の種類等に応じた波形信号を取得する。または、波形信号生成回路17は、DDS回路13から送信された波形信号を取得する。そして、波形信号生成回路17は、アポダイゼーションレジスタ14に記憶されたアポダイゼーション関数を取得する。そして、波形信号生成回路17は、ゲインレジスタ15に記憶された最大振幅を取得する。そして、波形信号生成回路17は、遅延レジスタ16に記憶された送信遅延時間を取得する。
【0056】
そして、波形信号生成回路17は、アポダイゼーション関数を用いて振動子30に対応する重みを波形信号に掛ける。例えば、波形信号生成回路17は、超音波プローブ101の送信開口の複数の振動子のうち、波形信号生成回路17に対応するチャネルの振動子30へ送信する波形信号に対して、アポダイゼーション関数が示す振動子30に対応する重みを掛ける。
【0057】
そして、波形信号生成回路17は、重みが掛けられた波形信号の最大の振幅が取得済みの最大振幅となるように、重みが掛けられた波形信号を増幅することにより、新たに波形信号を生成する。
【0058】
そして、波形信号生成回路17は、新たに生成された波形信号に対して、送信遅延時間を与える。例えば、波形信号生成回路17は、制御回路160から送信される送信トリガのパルスの立ち上がり又は立ち下がりのタイミングから送信遅延時間だけ遅延させて、新たに生成された波形信号を制御回路18,19に送信する。このため、制御回路18,19は、同一の波形信号を受信する。具体的には、波形信号生成回路17は、制御回路18の後述するデコーダ18a及びスイッチング素子制御回路18c、並びに、制御回路19の後述するデコーダ19a及びスイッチング素子制御回路19cに、新たに生成された波形信号を送信する。
【0059】
ここで、波形信号生成回路17により新たに生成された波形信号は、振動子30から出力される超音波の波形を示す。
【0060】
制御回路18は、波形信号を受信すると、受信した波形信号に基づき、振動子30から送信される超音波の波形(送信波形)が波形信号が示す波形となるように、後述する複数のスイッチング素子22a及びスイッチング素子23を制御する。同様に、制御回路19は、波形信号を受信すると、受信した波形信号に基づき、振動子30から送信される超音波の送信波形が波形信号が示す波形となるように、後述する複数のスイッチング素子26a及びスイッチング素子27を制御する。
【0061】
制御回路18は、デコーダ18a、スイッチング素子制御回路18b及びスイッチング素子制御回路18cを備える。デコーダ18aは、スイッチング素子制御回路18bに接続されている。制御回路19は、デコーダ19a、スイッチング素子制御回路19b及びスイッチング素子制御回路19cを備える。デコーダ19aは、スイッチング素子制御回路19bに接続されている。制御回路18,19は、プロセッサにより実現される。制御回路18,19については後述する。
【0062】
電源ライン20は、正極の電源HVPに接続された配線である。電源ライン20には、定電流回路群21が接続されている。電源HVPは、単一の電源である。
【0063】
定電流回路群21は、n(2以上の整数)個(複数)の定電流回路21aを含む。例えば、n個の定電流回路21aは、同一の定電流回路である。n個の定電流回路21aは、電気的に電源ライン20と振動子30との間に設けられている。n個の定電流回路21aは、電源ライン20に並列に接続されている。また、n個の定電流回路21aは、スイッチング素子群22及びスイッチング素子23を介して振動子30に並列に接続されている。定電流回路群21には、スイッチング素子群22が接続されている。
【0064】
本実施形態では、例えば、振動子30に最大1000mAの電流が流れるようにする場合、送信回路110aは、チャネルごとに、10mAの定電流を流すための定電流回路21aを100個備える。また、例えば、振動子30に最大2048mAの電流が流れるようにする場合、送信回路110aは、チャネルごとに、16mAの定電流を流すための定電流回路21aを128個備える。なお、送信回路110aがチャネルごとに備える定電流回路21aの数、及び、定電流回路21aにより流れる定電流の電流値はこれに限られない。
【0065】
スイッチング素子群22は、n個のスイッチング素子22aを含む。スイッチング素子22aは、例えば、Pチャネル型のMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field Effect Transistor)により実現される。なお、スイッチング素子22aは、これに限定されず、Nチャネル型のMOSFET、バイポーラトランジスタ又は絶縁ゲートバイポーラトランジスタ等の他のスイッチング素子により実現されてもよい。ただし、以下の説明では、スイッチング素子22aがPチャネル型のMOSFETにより実現される場合について説明する。
【0066】
図2に示すように、n個のスイッチング素子22aのそれぞれは、電気的にn個の定電流回路21aのそれぞれと振動子30との間に設けられる。n個のスイッチング素子22aのそれぞれのソースは、n個の定電流回路21aのそれぞれに接続されている。また、n個のスイッチング素子22aのそれぞれのドレインは、スイッチング素子23を介して振動子30に接続されている。具体的には、n個のスイッチング素子22aのドレインは、スイッチング素子23を介して、一本の配線(ライン)28により振動子30に接続されている。また、n個のスイッチング素子22aのそれぞれのゲートには、制御回路18のスイッチング素子制御回路18bが接続されている。
【0067】
スイッチング素子22aは、スイッチング素子制御回路18bによる制御を受けて、スイッチング素子22aに接続されている定電流回路21aと振動子30との電気的な接続の状態を、第1の状態及び第2の状態のいずれかに設定する。定電流回路21aと振動子30との電気的な接続の状態は、単に、接続状態とも称される。第1の状態は、定電流回路21aと振動子30とを電気的に接続させる状態である。第2の状態は、定電流回路21aと振動子30との接続を電気的に遮断させる状態である。
【0068】
例えば、ゲートに印加される電圧が、ソースに対してマイナス(負)の電圧である場合、スイッチング素子22aが導通状態となる。この場合、スイッチング素子22aは、接続状態を第1の状態に設定する。また、スイッチング素子22aは、ゲートに印加される電圧が、ソースに対してプラス(正)の電圧である場合、スイッチング素子22aが非導通状態となる。この場合、スイッチング素子22aは、接続状態を第2の状態に設定する。
【0069】
したがって、n個のスイッチング素子22aのうち、導通状態であるスイッチング素子22a、すなわち、接続状態を第1の状態に設定したスイッチング素子22aを流れる定電流の合計の電流がスイッチング素子23を介して振動子30に流れることになる。
【0070】
スイッチング素子23のソースは、n個のスイッチング素子22aのそれぞれのドレインに接続されている。また、スイッチング素子23のゲートは、スイッチング素子制御回路18cに接続されている。
【0071】
また、スイッチング素子23のドレインは、配線28を介して振動子30に接続されている。具体的には、振動子30が備える第1の電極30a及び第2の電極30bのうち第1の電極30aに接続されている。なお、第2の電極30bは、接地されている。
【0072】
スイッチング素子23は、例えば、Pチャネル型のMOSFETにより実現される。
【0073】
スイッチング素子23は、スイッチング素子制御回路18cによる制御を受けて、導通状態又は非導通状態のいずれかの状態に切り替える。例えば、ゲートに印加される電圧が、ソースに対してマイナスの電圧である場合、スイッチング素子23が導通状態となる。また、ゲートに印加される電圧が、ソースに対してプラスの電圧である場合、スイッチング素子23が非導通状態となる。
【0074】
したがって、スイッチング素子23が導通状態である場合、接続状態を第1の状態に設定したスイッチング素子22aを流れる定電流の合計の電流がスイッチング素子23を介して振動子30に流れることになる。
【0075】
一方、スイッチング素子23が非導通状態である場合、定電流回路21aからの電流が振動子30に流れないことになる。したがって、スイッチング素子23が非導通状態である場合、定電流回路21aからの漏れ電流が抑えられる。
【0076】
電源ライン24は、負極の電源HVNに接続された配線である。電源ライン24には、定電流回路群25が接続されている。電源HVNは、単一の電源である。
【0077】
定電流回路群25は、n個の定電流回路25aを含む。なお、定電流回路25aの数は、n個以外の複数であってもよい。例えば、n個の定電流回路25aは、同一の定電流回路である。n個の定電流回路25aは、電気的に電源ライン24と振動子30との間に設けられている。n個の定電流回路25aは、電源ライン24に並列に接続されている。また、n個の定電流回路25aは、スイッチング素子群26及びスイッチング素子27を介して振動子30に並列に接続されている。定電流回路群25には、スイッチング素子群26が接続されている。
【0078】
本実施形態では、例えば、振動子30に最小-1000mAの電流が流れるようにする場合、送信回路110aは、チャネルごとに、-10mAの定電流を流すための定電流回路25aを100個備える。また、例えば、振動子30に最小-2048mAの電流が流れるようにする場合、送信回路110aは、チャネルごとに、-16mAの定電流を流すための定電流回路25aを128個備える。なお、送信回路110aがチャネルごとに備える定電流回路25aの数、及び、定電流回路25aにより流れる定電流の電流値はこれに限られない。
【0079】
スイッチング素子群26は、n個のスイッチング素子26aを含む。スイッチング素子26aは、例えば、Nチャネル型のMOSFETにより実現される。また、スイッチング素子26aは、これに限定されず、Pチャネル型のMOSFET、バイポーラトランジスタ又は絶縁ゲートバイポーラトランジスタ等の他のスイッチング素子により実現されてもよい。ただし、以下の説明では、スイッチング素子26aがNチャネル型のMOSFETにより実現される場合について説明する。
【0080】
図2に示すように、n個のスイッチング素子26aのそれぞれは、電気的にn個の定電流回路25aのそれぞれと振動子30との間に設けられる。n個のスイッチング素子26aのそれぞれのソースは、n個の定電流回路25aのそれぞれに接続されている。また、n個のスイッチング素子26aのそれぞれのドレインは、スイッチング素子27を介して振動子30に接続されている。具体的には、n個のスイッチング素子26aのドレインは、スイッチング素子27を介して、一本の配線28により振動子30に接続されている。また、n個のスイッチング素子26aのそれぞれのゲートには、制御回路19のスイッチング素子制御回路19bが接続されている。
【0081】
スイッチング素子26aは、スイッチング素子制御回路19bによる制御を受けて、スイッチング素子26aに接続されている定電流回路25aと振動子30との電気的な接続の状態を、第1の状態及び第2の状態のいずれかに設定する。定電流回路25aと振動子30との電気的な接続の状態は、定電流回路21aと振動子30との電気的な接続の状態と同様に、単に、接続状態とも称される。ここでいう第1の状態は、定電流回路25aと振動子30とを電気的に接続させる状態である。また、第2の状態は、定電流回路25aと振動子30との接続を電気的に遮断させる状態である。
【0082】
例えば、ゲートに印加される電圧が、ソースに対してプラス(正)の電圧である場合、スイッチング素子26aが導通状態となる。この場合、スイッチング素子26aは、接続状態を第1の状態に設定する。また、スイッチング素子26aは、ゲートに印加される電圧が、ソースに対してマイナス(負)の電圧である場合、スイッチング素子26aが非導通状態となる。この場合、スイッチング素子26aは、接続状態を第2の状態に設定する。
【0083】
したがって、n個のスイッチング素子26aのうち、導通状態であるスイッチング素子26a、すなわち、接続状態を第1の状態に設定したスイッチング素子26aを流れる定電流の合計の電流がスイッチング素子27を介して振動子30に流れることになる。
【0084】
スイッチング素子27のソースは、n個のスイッチング素子26aのそれぞれのドレインに接続されている。また、スイッチング素子27のゲートは、スイッチング素子制御回路19cに接続されている。
【0085】
また、スイッチング素子27のドレインは、配線28を介して振動子30に接続されている。具体的には、スイッチング素子27のドレインは、振動子30が備える第1の電極30aに接続されている。
【0086】
スイッチング素子27は、例えば、Nチャネル型のMOSFETにより実現される。
【0087】
スイッチング素子27は、スイッチング素子制御回路19cによる制御を受けて、導通状態又は非導通状態のいずれかの状態に切り替える。例えば、ゲートに印加される電圧が、ソースに対してプラス(正)の電圧である場合、スイッチング素子27が導通状態となる。また、ゲートに印加される電圧が、ソースに対してマイナス(負)の電圧である場合、スイッチング素子27が非導通状態となる。
【0088】
したがって、スイッチング素子27が導通状態である場合、接続状態を第1の状態に設定したスイッチング素子26aを流れる定電流の合計の電流が振動子30に流れることになる。
【0089】
一方、スイッチング素子27が非導通状態である場合、接続状態を第1の状態に設定したスイッチング素子26aを流れる定電流の合計の電流が振動子30に流れないことになる。
【0090】
次に、送信回路110aの動作の一例について説明する。
図3は、第1の実施形態に係る送信回路110aの動作の一例を説明するための図である。上述したように、制御回路18が受信する波形信号と、制御回路19が受信する波形信号は、同一の波形信号である。以下、制御回路18,19が、
図3に示す同一の波形信号31を用いて処理を行う場合について説明する。例えば、制御回路18,19が、
図3に示す送信波形の波形信号31に基づいて、n個のスイッチング素子22a、スイッチング素子23、n個のスイッチング素子26a及びスイッチング素子27を制御する場合について説明する。
【0091】
具体的には、制御回路18は、波形信号31に基づいて、n個のスイッチング素子22aのそれぞれ毎に、n個の定電流回路21aのそれぞれと振動子30との接続の状態を第1の状態又は第2の状態のいずれかの状態に設定させる。例えば、制御回路18は、波形信号31が示す波形の周期内で、波形信号31が示す波形を有する超音波が振動子30から送信されるように、n個の定電流回路21aのそれぞれと振動子30との接続の状態を第1の状態又は第2の状態のいずれかの状態に設定させる。
【0092】
同様に、制御回路19は、波形信号31に基づいて、n個のスイッチング素子26aのそれぞれ毎に、n個の定電流回路25aのそれぞれと振動子30との接続の状態を第1の状態又は第2の状態のいずれかの状態に設定させる。例えば、制御回路19は、波形信号31が示す波形の周期内で、波形信号31が示す波形を有する超音波が振動子30から送信されるように、n個の定電流回路25aのそれぞれと振動子30との接続の状態を第1の状態又は第2の状態のいずれかの状態に設定させる。以下、制御回路18,19が実行する処理の具体例を説明する。
【0093】
図3に示す送信波形は、横軸を時間とし、縦軸を振幅とするグラフにより示される。デコーダ18a,19a及びスイッチング素子制御回路18c,19cは、超音波診断装置1のシステムクロックが示す1周期ごとに、波形信号31が示す振幅(振幅の値)が、正の値、負の値、及び、正の値でも負の値でもない「0」の値のうちのいずれの値であるかを判定する。
【0094】
例えば、デコーダ18a,19a及びスイッチング素子制御回路18c,19cは、
図3に示す時間t0~t14の各時間のタイミングで、波形信号31が示す振幅が、正の値、負の値及び「0」の値のうちのいずれの値であるかを判定する。なお、時間t0~t14の各時間のタイミングは、システムクロックが示す1周期ごとのタイミングである。
【0095】
デコーダ18aは、波形信号31が示す振幅が正の値であると判定した場合、次の処理を行う。例えば、デコーダ18aは、波形信号31が示す振幅に対応する電流値の電流が振動子30に流れる場合における、導通状態となるスイッチング素子22aの数を特定する。すなわち、デコーダ18aは、接続状態を第1の状態に設定するスイッチング素子22aの数を特定する。そして、デコーダ18aは、特定したスイッチング素子22aの数を示す波形コードをスイッチング素子制御回路18bに出力する。
【0096】
例えば、
図3に示すように、時間t2のタイミングにおいて、デコーダ18aは、波形信号31が示す振幅「a2」が正の値であると判定する。このように判定すると、デコーダ18aは、振幅「a2」に対応する電流値の電流が振動子30に流れる場合の、導通状態となるスイッチング素子22aの数を特定する。例えば、デコーダ18aは、複数の振幅値のそれぞれに対応付けて振動子30に流れる電流の電流値が登録されたテーブルが記憶されたメモリを備える。そして、デコーダ18aは、テーブルを参照し、振幅「a2」に対応する電流値を取得する。そして、デコーダ18aは、取得した電流値、1つの定電流回路21aが流す定電流の電流値、各定電流回路21aから振動子30までの間の抵抗値等に基づいて、導通状態となるスイッチング素子22aの数を計算する。このようにして、デコーダ18aは、導通状態となるスイッチング素子22aの数を特定する。
【0097】
なお、導通状態となるスイッチング素子22aの数を特定する方法は、上記の方法に限られない。例えば、デコーダ18aは、複数の振幅値のそれぞれに対応付けて導通状態となるスイッチング素子22aの数が登録されたテーブルが記憶されたメモリを備えてもよい。そして、デコーダ18aは、テーブルを参照し、振幅「a2」に対応する、導通状態となるスイッチング素子22aの数を特定してもよい。そして、デコーダ18aは、特定した数を示す波形コードをスイッチング素子制御回路18bに出力する。また、以下の説明では、特定した数を「m(0以上の整数)」とする。
【0098】
図4は、第1の実施形態に係る送信回路110aの動作の一例を示すタイミングチャートである。なお、
図4は、「n」が「3」である場合の一例を示す。また、
図4は、時間t2~t3の間において、「m」が「2」である場合の一例を示す。また、
図4では、n個(3個)のスイッチング素子22aの一つ一つを区別するために、n個のスイッチング素子22aのそれぞれに対して、符号「22a_1」~「22a_3」のそれぞれが付与されている。また、同様の理由で、n個のスイッチング素子26aの一つ一つを区別するために、n個のスイッチング素子26aのそれぞれに対して、符号「26a_1」~「26a_3」のそれぞれが付与されている。
【0099】
そして、スイッチング素子制御回路18bは、波形コードを受信すると、受信した波形コードに基づいて、n個のスイッチング素子22a_1~22a_3を制御する。例えば、スイッチング素子制御回路18bは、
図4に示すように、時間t2~t3の間、波形コードが示すm個(2個)のスイッチング素子22a_1,22a_2のゲートに、ソースに対してマイナスの電圧を印加する。また、スイッチング素子制御回路18bは、
図4に示すように、時間t2~t3の間、(n-m)個(1個)のスイッチング素子22a_3のゲートに、ソースに対してプラスの電圧を印加する。
【0100】
また、スイッチング素子制御回路18cは、波形信号31が示す振幅が正の値であると判定した場合には、スイッチング素子23のゲートに、ソースに対してマイナスの電圧を印加する。すなわち、スイッチング素子制御回路18cは、波形信号31が示す振幅が正の値となる間、スイッチング素子23のゲートに、ソースに対してマイナスの電圧を印加し続ける。そのため、
図4に示すように、時間t2~t3の間、スイッチング素子23のゲートには、ソースに対してマイナスの電圧が印加される。
【0101】
ここで、デコーダ19aは、波形信号31が示す振幅が正の値であると判定した場合には、接続状態を第1の状態に設定するスイッチング素子26aの数として「0」を特定する。そして、デコーダ19aは、特定した数「0」を示す波形コードをスイッチング素子制御回路19bに出力する。そして、スイッチング素子制御回路19bは、(n-0(0は波形コードが示す値))個のスイッチング素子26a_1~26a_3のゲートに、ソースに対してマイナスの電圧を印加する。すなわち、スイッチング素子制御回路19bは、波形信号31が示す振幅が正の値となる間、n個のスイッチング素子26a_1~26a_3のゲートに、ソースに対してマイナスの電圧を印加し続ける。そのため、
図4に示すように、時間t2~t3の間、n個のスイッチング素子26a_1~26a_3のゲートに、ソースに対してマイナスの電圧が印加される。
【0102】
また、スイッチング素子制御回路19cは、波形信号31が示す振幅が正の値であると判定した場合には、スイッチング素子27のゲートに、ソースに対してマイナスの電圧を印加する。すなわち、スイッチング素子制御回路19cは、波形信号31が示す振幅が正の値となる間、スイッチング素子27のゲートに、ソースに対してマイナスの電圧を印加し続ける。そのため、
図4に示すように、時間t2~t3の間、スイッチング素子27のゲートに、ソースに対してマイナスの電圧が印加される。
【0103】
これにより、時間t2~t3の間、振動子30には、2つの定電流回路21aから流れる定電流の合計の電流が流れる。そして、
図4に示す振動子30から送信される超音波の時間t2~t3の間の波形32が、
図3に示す波形信号31の時間t2~t3の間の波形と略同様の波形になる。
【0104】
また、デコーダ18aは、波形信号31が示す振幅が「0」の値であると判定した場合には、接続状態を第1の状態に設定するスイッチング素子22aの数として「0」を特定する。そして、デコーダ18aは、特定した数「0」を示す波形コードをスイッチング素子制御回路18bに出力する。スイッチング素子制御回路18bは、数「0」を示す波形コードを受信すると、波形コードに基づいて(n-0(0は波形コードが示す値))個のスイッチング素子22a_1~22a_3のゲートに、ソースに対してプラスの電圧を印加する。
【0105】
また、スイッチング素子制御回路18cは、波形信号31が示す振幅が「0」の値であると判定した場合には、スイッチング素子23のゲートに、ソースに対してプラスの電圧を印加する。
【0106】
同様に、デコーダ19aは、波形信号31が示す振幅が「0」の値であると判定した場合には、接続状態を第1の状態に設定するスイッチング素子26aの数として「0」を特定する。そして、デコーダ19aは、特定した数「0」を示す波形コードをスイッチング素子制御回路19bに出力する。スイッチング素子制御回路19bは、数「0」を示す波形コードを受信すると、波形コードに基づいて(n-0(0は波形コードが示す値))個のスイッチング素子26a_1~26a_3のゲートに、ソースに対してマイナスの電圧を印加する。
【0107】
また、スイッチング素子制御回路19cは、波形信号31が示す振幅が「0」の値であると判定した場合には、スイッチング素子27のゲートに、ソースに対してマイナスの電圧を印加する。
【0108】
また、デコーダ19aは、波形信号31が示す振幅が負の値であると判定した場合、次の処理を行う。例えば、デコーダ19aは、波形信号31が示す振幅に対応する電流値の電流が振動子30に流れる場合における、導通状態となるスイッチング素子26aの数を特定する。すなわち、デコーダ19aは、接続状態を第1の状態に設定するスイッチング素子26aの数を特定する。
【0109】
そして、デコーダ19aは、特定したスイッチング素子26aの数を示す波形コードをスイッチング素子制御回路19bに出力する。例えば、デコーダ18aが導通状態となるスイッチング素子22aの数を特定した方法と同様の方法を用いて、デコーダ19aは、導通状態となるスイッチング素子26aの数を特定する。
【0110】
例えば、
図3に示すように、時間t8のタイミングにおいて、デコーダ19aは、波形信号31が示す振幅「a8」が負の値であると判定する。このように判定すると、デコーダ19aは、振幅「a8」に対応する電流値の電流が振動子30に流れる場合の、導通状態となるスイッチング素子26aの数を特定する。以下の説明では、特定した数を「q(0以上の整数)」とする。
【0111】
ここで、先の
図4は、時間t8~t9の間において、「q」が「2」である場合の一例を示す。そして、スイッチング素子制御回路19bは、波形コードを受信すると、受信した波形コードに基づいて、n個のスイッチング素子26a_1~26a_3を制御する。例えば、スイッチング素子制御回路19bは、
図4に示すように、時間t8~t9の間、波形コードが示すq個(2個)のスイッチング素子26a_1,26a_2のゲートに、ソースに対してプラスの電圧を印加する。また、スイッチング素子制御回路19bは、
図4に示すように、時間t8~t9の間、(n-q)個(1個)のスイッチング素子26a_3のゲートに、ソースに対してマイナスの電圧を印加する。
【0112】
また、スイッチング素子制御回路19cは、波形信号31が示す振幅が負の値であると判定した場合には、スイッチング素子27のゲートに、ソースに対してプラスの電圧を印加する。すなわち、スイッチング素子制御回路19cは、波形信号31が示す振幅が負の値となる間、スイッチング素子27のゲートに、ソースに対してプラスの電圧を印加し続ける。そのため、
図4に示すように、時間t8~t9の間、スイッチング素子27のゲートには、ソースに対してプラスの電圧が印加される。
【0113】
ここで、デコーダ18aは、波形信号31が示す振幅が負の値であると判定した場合には、接続状態を第1の状態に設定するスイッチング素子22aの数として「0」を特定する。そして、デコーダ18aは、特定した数「0」を示す波形コードをスイッチング素子制御回路18bに出力する。そして、スイッチング素子制御回路18bは、(n-0(0は波形コードが示す値))個のスイッチング素子22a_1~22a_3のゲートに、ソースに対してプラスの電圧を印加する。すなわち、スイッチング素子制御回路18bは、波形信号31が示す振幅が負の値となる間、n個のスイッチング素子22a_1~22a_3のゲートに、ソースに対してプラスの電圧を印加し続ける。そのため、
図4に示すように、時間t8~t9の間、n個のスイッチング素子22a_1~22a_3のゲートに、ソースに対してプラスの電圧が印加される。
【0114】
また、スイッチング素子制御回路18cは、波形信号31が示す振幅が負の値であると判定した場合には、スイッチング素子23のゲートに、ソースに対してプラスの電圧を印加する。すなわち、スイッチング素子制御回路18cは、波形信号31が示す振幅が負の値となる間、スイッチング素子23のゲートに、ソースに対してプラスの電圧を印加し続ける。そのため、
図4に示すように、時間t8~t9の間、スイッチング素子23のゲートに、ソースに対してプラスの電圧が印加される。
【0115】
これにより、時間t8~t9の間、振動子30には、2つの定電流回路25aから流れる定電流の合計の電流が流れる。そして、
図4に示すように、時間t8~t9の間の波形33が、
図3に示す波形信号31の時間t8~t9の間の波形と略同様の波形になる。
【0116】
第1の実施形態に係る超音波診断装置1は、上述した動作(処理)を、システムクロックの1周期ごとに実行することで、振動子30から送信される超音波の波形を、波形信号31が示す波形と同様の波形にすることができる。
【0117】
以上、第1の実施形態に係る超音波診断装置1及び送信回路110aについて説明した。第1の実施形態では、送信回路110aは、比較例に係る超音波診断装置が備えるような消費電力が大きいリニアアンプを用いずに、任意の波形の超音波を振動子30に送信させる。したがって、第1の実施形態に係る超音波診断装置1及び送信回路110aによれば、消費電力を抑制することができる。また、第1の実施形態に係る送信回路110aによれば、消費電力を抑制しつつ任意の波形の超音波を振動子30に送信させることができる。また、第1の実施形態に係る超音波診断装置1によれば、消費電力を抑制しつつ任意の波形の超音波を送信することができる。
【0118】
また、第1の実施形態に係る送信回路110aでは、比較例に係る超音波診断装置が備えるようなリニアアンプが用いられていない。それゆえ、送信回路110aでは、比較例のようなDAC回路も用いられていない。すなわち、送信回路110aは、サイズが大きくコストが高いDAC回路を用いずに、任意の波形の超音波を振動子30に送信させる。したがって、第1の実施形態に係る超音波診断装置1及び送信回路110aによれば、サイズ及びコストを抑制することができる。また、第1の実施形態に係る送信回路110aによれば、サイズ及びコストを抑制しつつ任意の波形の超音波を振動子30に送信させることができる。また、第1の実施形態に係る超音波診断装置1によれば、サイズ及びコストを抑制しつつ任意の波形の超音波を送信することができる。
【0119】
また、送信回路110aのサイズ及びコストが抑制されることで、ハイエンドクラスの超音波診断装置だけではなく、ミドルエンドクラス(中級)の超音波診断装置にも送信回路110aを適用することができる。このため、ミドルエンドクラスの超音波診断装置も任意の波形の超音波を送信することが可能となる。よって、ミドルエンドクラスの超音波診断装置の性能も向上させることができる。
【0120】
(第2の実施形態)
次に第2の実施形態に係る超音波診断装置1について説明する。第2の実施形態では、第1の実施形態に係る定電流回路21a,25aよりも低い定電流を流す定電流回路を用いることにより、第1の実施形態よりも送信回路のサイズ及びコストを抑制することができる。なお、第2の実施形態の説明では、主に、第1の実施形態と異なる点について説明し、第1の実施形態と同様の構成の説明については省略する場合がある。例えば、第2の実施形態の説明では、第1の実施形態と同様の構成については同一の符号を付して、その説明を省略する場合がある。
【0121】
図5は、第2の実施形態に係る送信回路110cの1つのチャネルに対応する構成の一例を示す図である。第2の実施形態に係る超音波診断装置2は、送信回路110aに代えて
図5に示す送信回路110cを備える点が、第1の実施形態に係る超音波診断装置1と異なる。また、送信回路110cは、定電流回路群21,25に代えて、定電流回路群37,40を備える点が、第1の実施形態に係る送信回路110aと異なる。また、送信回路110cは、カレントミラー回路36,39及び配線38,41を備える点が、送信回路110aと異なる。
【0122】
図5に示すように、電源ライン20に、カレントミラー回路36が接続されている。カレントミラー回路36は、2つのトランジスタ36a,36bを含む。
【0123】
2つのトランジスタ36a,36bは、例えば、Pチャネル型のMOSFETにより実現される。なお、トランジスタ36a,36bは、これに限定されず、Nチャネル型のMOSFET、バイポーラトランジスタ又は絶縁ゲートバイポーラトランジスタ等の他のトランジスタにより実現されてもよい。ただし、以下の説明では、トランジスタ36a,36bがPチャネル型のMOSFETにより実現される場合について説明する。なお、トランジスタ36a,36bのドレインは、流出端子の一例である。また、トランジスタ36a,36bのゲートは、制御端子の一例である。また、トランジスタ36a,36bのソースは、流入端子の一例である。
【0124】
トランジスタ36aのソース及びトランジスタ36bのソースが、電源ライン20に接続されている。また、トランジスタ36aのゲートとトランジスタ36bのゲートとが接続されている。また、トランジスタ36aのドレインは、n個のスイッチング素子22aのそれぞれに接続されている。また、トランジスタ36aのドレインは、n個のスイッチング素子22aのそれぞれを介して、後述するn個の定電流回路37aのそれぞれに接続されている。すなわち、
図5に示すように、トランジスタ36aは、電気的に電源ライン20とn個の定電流回路37aとの間に設けられている。また、トランジスタ36aのゲートとドレインとが接続されている。トランジスタ36aは、第1のトランジスタの一例である。
【0125】
トランジスタ36bのドレインは、スイッチング素子23のソースに接続されている。また、
図5に示すように、トランジスタ36bのドレインは、スイッチング素子23及び配線28を介して、振動子30に接続されている。すなわち、
図5に示すように、トランジスタ36bは、電気的に電源ライン20と振動子30との間に設けられている。トランジスタ36bは、第2のトランジスタの一例である。
【0126】
第2の実施形態では、カレントミラー回路36において、トランジスタ36aに電流(参照電流)が流れると、この参照電流の電流値と同一の電流値の電流(出力電流)がトランジスタ36bに流れる。すなわち、出力電流が、スイッチング素子23を介して振動子30に流れる。
【0127】
n個のスイッチング素子22aのそれぞれのソースは、上述したトランジスタ36aのドレインに接続されている。また、n個のスイッチング素子22aのそれぞれのドレインは、後述するn個の定電流回路37aのそれぞれに接続されている。
図5に示すように、n個のスイッチング素子22aのそれぞれは、電気的にn個の定電流回路37aのそれぞれとトランジスタ36aとの間に設けられている。
【0128】
第2の実施形態では、スイッチング素子22aは、スイッチング素子制御回路18bによる制御を受けて、スイッチング素子22aに接続されている定電流回路37aとトランジスタ36aとの電気的な接続の状態を、第1の状態及び第2の状態のいずれかに設定する。定電流回路37aとトランジスタ36aとの電気的な接続の状態は、単に、接続状態とも称される。第2の実施形態では、第1の状態は、定電流回路37aとトランジスタ36aとを電気的に接続させる状態である。第2の状態は、定電流回路37aとトランジスタ36aとの接続を電気的に遮断させる状態である。
【0129】
定電流回路群37は、スイッチング素子群22に接続されている。具体的には、定電流回路群37は、n個の定電流回路37aを備える。例えば、n個の定電流回路37aは、同一の定電流回路である。n個の定電流回路37aは、一本の配線38を介して接地されている。すなわち、n個の定電流回路37aは、配線38上の特定の電位を有する電位点P1に接続されている。
【0130】
図5に示すように、n個の定電流回路37aは、電気的に電源ライン20及び電位点P1との間に設けられている。そして、n個の定電流回路37aは、スイッチング素子群22及びトランジスタ36aを介して、電源ライン20に対して並列に接続されている。また、n個の定電流回路37aは、電位点P1に対しても並列に接続されている。
【0131】
第2の実施形態では、例えば、カレントミラー回路36のトランジスタ36a,36bの電流増幅率を「1」より大きくすることで、第1の実施形態よりも定電流回路のサイズ及びコストを抑制することができる。以下、振動子30に最大1000mAの電流が流れるようにする場合に、第1の実施形態と第2の実施形態とを比較して説明する。例えば、第1の実施形態では、送信回路110aは、チャネルごとに、10mAの定電流を流すための定電流回路21aを100個備える必要がある。一方、第2の実施形態では、トランジスタ36a,36bの電流増幅率が「10」である場合、送信回路110cは、チャネルごとに、1mAの定電流を流すための定電流回路37aを100個、又は、10mAの定電流を流すための定電流回路37aを10個備えればよい。
【0132】
ここで、送信回路110cが、チャネルごとに、1mAの定電流を流すための定電流回路37aを100個備える場合について説明する。定電流の値が小さくなるほど、定電流回路のサイズが小さくなるとともにコストが低くなる。このため、1mAの定電流を流すための定電流回路37aのサイズは、10mAの定電流を流す定電流回路21aのサイズよりも小さい。また、1mAの定電流を流すための定電流回路37aのコストは、10mAの定電流を流すための定電流回路21aのコストよりも低い。したがって、送信回路110aのサイズ及びコストと比較して、送信回路110cのサイズ及びコストを抑制することができる。
【0133】
また、送信回路110cが、チャネルごとに、10mAの定電流を流すための定電流回路37aを10個備える場合について説明する。この場合、送信回路110aが備える1つの定電流回路21aのサイズ及びコストと、送信回路110cが備える1つの定電流回路37aのサイズ及びコストとは、略同一である。しかしながら、送信回路110aが100個の定電流回路21aを備えるのに対して、送信回路110cは10個の定電流回路37aを備えるだけで済む。したがって、送信回路110aのサイズ及びコストと比較して、送信回路110cのサイズ及びコストを抑制することができる。
【0134】
第2の実施形態に係る制御回路18について説明する。第1の実施形態では、制御回路18が、波形信号に基づいて、n個のスイッチング素子22aのそれぞれ毎に、第1の状態又は第2の状態のいずれかの状態に設定させる場合について説明した。第2の実施形態においても、第1の実施形態と同様に、制御回路18は、波形信号に基づいて、n個のスイッチング素子22aのそれぞれ毎に、第1の状態又は第2の状態のいずれかの状態に設定させる。また、第2の実施形態においても、第1の実施形態と同様に、制御回路18は、波形信号に基づいて、スイッチング素子23を制御する。
【0135】
また、
図5に示すように、電源ライン24に、カレントミラー回路39が接続されている。カレントミラー回路39は、2つのトランジスタ39a,39bを含む。
【0136】
2つのトランジスタ39a,39bは、例えば、Nチャネル型のMOSFETにより実現される。なお、トランジスタ39a,39bは、これに限定されず、Pチャネル型のMOSFET、バイポーラトランジスタ又は絶縁ゲートバイポーラトランジスタ等の他のトランジスタにより実現されてもよい。ただし、以下の説明では、トランジスタ39a,39bがNチャネル型のMOSFETにより実現される場合について説明する。なお、トランジスタ39a,39bのドレインは、流出端子の一例である。また、トランジスタ39a,39bのゲートは、制御端子の一例である。また、トランジスタ39a,39bのソースは、流入端子の一例である。
【0137】
トランジスタ39aのソース及びトランジスタ39bのソースが、電源ライン24に接続されている。また、トランジスタ39aのゲートとトランジスタ39bのゲートとが接続されている。また、トランジスタ39aのドレインは、n個のスイッチング素子26aのそれぞれに接続されている。また、トランジスタ39aのドレインは、n個のスイッチング素子26aのそれぞれを介して、後述するn個の定電流回路40aのそれぞれに接続されている。すなわち、
図5に示すように、トランジスタ39aは、電気的に電源ライン24とn個の定電流回路40aとの間に設けられている。また、トランジスタ39aのゲートとドレインとが接続されている。トランジスタ39aは、第1のトランジスタの一例である。
【0138】
トランジスタ39bのドレインは、スイッチング素子27のソースに接続されている。また、
図5に示すように、トランジスタ39bのドレインは、スイッチング素子27及び配線28を介して、振動子30に接続されている。すなわち、
図5に示すように、トランジスタ39bは、電気的に電源ライン24と振動子30との間に設けられている。トランジスタ39bは、第2のトランジスタの一例である。
【0139】
第2の実施形態では、カレントミラー回路39において、トランジスタ39aに電流(参照電流)が流れると、この参照電流の電流値と同一の電流値の電流(出力電流)がトランジスタ39bに流れる。すなわち、出力電流が振動子30に流れる。
【0140】
n個のスイッチング素子26aのそれぞれのソースは、上述したトランジスタ39aのドレインに接続されている。また、n個のスイッチング素子26aのそれぞれのドレインは、後述するn個の定電流回路40aのそれぞれに接続されている。
図5に示すように、n個のスイッチング素子26aのそれぞれは、電気的にn個の定電流回路40aのそれぞれとトランジスタ39aとの間に設けられている。
【0141】
第2の実施形態では、スイッチング素子26aは、スイッチング素子制御回路19bによる制御を受けて、スイッチング素子26aに接続されている定電流回路40aとトランジスタ39aとの電気的な接続の状態を、第1の状態及び第2の状態のいずれかに設定する。定電流回路40aとトランジスタ39aとの電気的な接続の状態は、単に、接続状態とも称される。第2の実施形態では、第1の状態は、定電流回路40aとトランジスタ39aとを電気的に接続させる状態である。第2の状態は、定電流回路40aとトランジスタ39aとの接続を電気的に遮断させる状態である。
【0142】
定電流回路群40は、スイッチング素子群26に接続されている。定電流回路群40は、n個の定電流回路40aを備える。例えば、n個の定電流回路40aは、同一の定電流回路である。n個の定電流回路40aは、一本の配線41を介して接地されている。すなわち、n個の定電流回路40aは、配線41上の特定の電位を有する電位点P2に接続されている。
【0143】
図5に示すように、n個の定電流回路40aは、電気的に電源ライン24及び電位点P2との間に設けられている。そして、n個の定電流回路40aは、スイッチング素子群26及びトランジスタ39aを介して、電源ライン24に対して並列に接続されている。また、n個の定電流回路40aは、電位点P2に対しても並列に接続されている。
【0144】
第2の実施形態では、例えば、カレントミラー回路39のトランジスタ39a,39bの電流増幅率を「1」より大きくすることで、第1の実施形態よりも定電流回路のサイズ及びコストを抑制することができる。以下、振動子30に最小-1000mAの電流が流れるようにする場合に、第1の実施形態と第2の実施形態とを比較して説明する。例えば、第1の実施形態では、送信回路110aは、チャネルごとに、-10mAの定電流を流すための定電流回路25aを100個備える必要がある。一方、第2の実施形態では、トランジスタ39a,39bの電流増幅率が「10」である場合、送信回路110cは、チャネルごとに、-10mAの定電流を流すための定電流回路40aを10個、又は、-1mAの定電流を流すための定電流回路40aを100個備えればよい。
【0145】
したがって、送信回路110aのサイズ及びコストと比較して、送信回路110cのサイズ及びコストを抑制することができる。
【0146】
第2の実施形態に係る制御回路19について説明する。第1の実施形態では、制御回路19が、波形信号に基づいて、n個のスイッチング素子26aのそれぞれ毎に、第1の状態又は第2の状態のいずれかの状態に設定させる場合について説明した。第2の実施形態においても、第1の実施形態と同様に、制御回路19は、波形信号に基づいて、n個のスイッチング素子26aのそれぞれ毎に、第1の状態又は第2の状態のいずれかの状態に設定させる。また、第2の実施形態においても、第1の実施形態と同様に、制御回路19は、波形信号に基づいて、スイッチング素子27を制御する。
【0147】
以上、第2の実施形態に係る超音波診断装置2について説明した。超音波診断装置2によれば、超音波診断装置1と同様に、消費電力を抑制することができる。
【0148】
また、第2の実施形態によれば、第1の実施形態と比較して、更に、送信回路のサイズ及びコストを抑制することができる。ひいては、第2の実施形態によれば、第1の実施形態と比較して、更に、超音波診断装置のサイズ及びコストを抑制することができる。
【0149】
(変形例)
以下、各種の変形例について説明する。例えば、第1の実施形態では、n個の定電流回路21aは、同一の定電流回路であり、n個の定電流回路25aは、同一の定電流回路である。同様に、第2の実施形態では、n個の定電流回路37aは、同一の定電流回路であり、n個の定電流回路40aは、同一の定電流回路である。しかしながら、n個の定電流回路21aの中に、他の定電流回路と異なる定電流回路が少なくとも1つ含まれていても良い。すなわち、複数の定電流回路21aから出力される複数の定電流の値のうち、少なくとも1つの値が他の値と異なってもよい。n個の定電流回路25a、n個の定電流回路37a、及び、n個の定電流回路40aについても同様である。
【0150】
例えば、第1の実施形態において、振動子30に流す電流の値として「10mA」、「20mA」及び「30mA」の3種類の電流値が定められている場合を例に挙げて説明する。この場合、送信回路110aは、10mAの定電流を流す定電流回路21aを3個備えるのではなく、10mAの定電流を流す定電流回路21a及び20mAの定電流を流す定電流回路21aを1個ずつ備える。すなわち、送信回路110aは、定められた複数の電流値の電流を振動子30に流すことが可能な複数の定電流回路21aの組合せのうち、送信回路110aのサイズ及びコストが最小となる組合せが示す複数の定電流回路21aを備える。例えば、送信回路110aが備える定電流回路21aの数は、振動子30から波形信号31が示す波形が出力されることが可能な定電流回路21aの数のうち、最小の数である。
【0151】
このような場合、第1の実施形態又は第2の実施形態において、制御回路18,19は、導通状態となるスイッチング素子の数を特定するのではなく、導通状態となるスイッチング素子を特定する。
【0152】
また、第1の実施形態及び第2の実施形態では、装置本体100が送信回路110aを備える場合について説明した。しかしながら、超音波プローブ101が、送信回路110aを備えても良い。また、超音波プローブ101が、送信回路110aの一部の機能を有する回路を備えても良い。例えば、超音波プローブ101が2Dアレイプローブである場合や、超音波診断装置1,2がタブレット型の超音波診断装置である場合等に、超音波プローブ101が、送信回路110a又は送信回路110aの一部の機能を有する回路を備えても良い。
【0153】
また、第1の実施形態では、n個の定電流回路21aが、電源ライン20及び振動子30に並列に接続されている場合について説明した。また、n個の定電流回路25aが、電源ライン24及び振動子30に並列に接続されている場合について説明した。しかしながら、n個の定電流回路21aに代えて、互いに異なる抵抗値を有するn個の抵抗が、電源ライン20及び振動子30に並列に接続されていてもよい。すなわち、n個の抵抗のそれぞれが、n個のスイッチング素子22aのそれぞれに接続されてもよい。そして、制御回路18が、波形信号に応じて、n個のスイッチング素子22aのそれぞれの状態を導通状態又は非導通状態に設定することで、抵抗値を制御してもよい。
【0154】
同様に、n個の定電流回路25aに代えて、互いに異なる抵抗値を有するn個の抵抗が、電源ライン24及び振動子30に並列に接続されていてもよい。すなわち、n個の抵抗のそれぞれが、n個のスイッチング素子26aのそれぞれに接続されてもよい。そして、制御回路19が、波形信号に応じて、n個のスイッチング素子26aのそれぞれの状態を導通状態又は非導通状態に設定することで、抵抗値を制御してもよい。
【0155】
変形例に係る超音波診断装置は、このようにして抵抗値を制御することで、振動子30から出力される超音波の波形を、波形信号が示す波形と略同一にすることができる。
【0156】
さらに、定電流回路21a,25aの電流値を可変にすることで送信波形の分解能、精度を向上させることができる。例えば、通常のBモード映像法の場合、定電流回路21a,25aを10mAの定電流回路に設定することで、100個で最大1000mAの電流が流れるように設定する。一方、マイクロバブルが壊れない程度の低いパワーで送信するコントラスト造影モードの時には定電流回路21a,25aを1mAの定電流回路に設定することで、最大100mAの電流が流れるように波形精度を向上することができる。
【0157】
また、スイッチング素子制御回路18cは、超音波の送信期間中(すなわち、時間t0~t14の間)、導通状態となるようにスイッチング素子23を制御してもよい。そして、スイッチング素子制御回路18cは、超音波の送信期間以外の期間では、非導通状態となるようにスイッチング素子23を制御してもよい。例えば、スイッチング素子制御回路18cは、時間t0よりも微小時間Δtだけ前のタイミングから、時間t14よりも微小時間Δtだけ後のタイミングまでの間、スイッチング素子23のゲートに、ソースに対してマイナスの電圧を印加し続けてもよい。
【0158】
同様に、スイッチング素子制御回路19cは、超音波の送信期間中、導通状態となるようにスイッチング素子27を制御してもよい。そして、スイッチング素子制御回路19cは、超音波の送信期間以外の期間では、非導通状態となるようにスイッチング素子27を制御してもよい。例えば、スイッチング素子制御回路19cは、時間t0よりも微小時間Δtだけ前のタイミングから、時間t14よりも微小時間Δtだけ後のタイミングまでの間、スイッチング素子27のゲートに、ソースに対してプラスの電圧を印加し続けてもよい。
【0159】
上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、若しくは、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、又は、フィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサは、メモリ150に保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、メモリ150にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成しても構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。更に、
図1における複数の回路(例えば、信号処理回路130、画像生成回路140及び制御回路160)を1つのプロセッサへ統合してその機能を実現するようにしてもよい。すなわち、信号処理回路130、画像生成回路140及び制御回路160は、プロセッサにより実現される1つの処理回路に統合されてもよい。また、制御回路18及び制御回路19は、プロセッサにより実現される1つの制御回路により実現されてもよい。
【0160】
以上述べた少なくとも1つの実施形態又は変形例によれば、消費電力を抑制することができる。
【0161】
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、実施形態同士の組み合わせを行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0162】
1 超音波診断装置
18,19 制御回路
21a,25a 定電流回路
22a,26a スイッチング素子
30 振動子
110a 送信回路