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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-05
(45)【発行日】2024-04-15
(54)【発明の名称】半導体記憶装置
(51)【国際特許分類】
   G11C 16/34 20060101AFI20240408BHJP
   G11C 11/56 20060101ALI20240408BHJP
   G11C 16/10 20060101ALI20240408BHJP
【FI】
G11C16/34 140
G11C11/56 210
G11C16/10 140
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020066685
(22)【出願日】2020-04-02
(65)【公開番号】P2021163509
(43)【公開日】2021-10-11
【審査請求日】2023-03-17
(73)【特許権者】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】酒向 万里生
【審査官】後藤 彰
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0374518(US,A1)
【文献】特開2018-120648(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11C 16/34
G11C 11/56
G11C 16/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビット線と、
前記ビット線に電気的に接続された、メモリセルトランジスタと、
前記ビット線を介して前記メモリセルトランジスタからデータを読み出すセンスアンプと
を具備し、
前記センスアンプは、
前記ビット線に接続可能な第1ノードに一方電極が接続された第1容量素子と、
前記第1ノードに接続されたゲートと、第2ノードに接続された一端と、第3ノードに接続可能に構成された他端と、を有する第1トランジスタと、
前記第3ノードと第4ノードとの間を接続可能な第2トランジスタと、
前記第4ノードに接続されたゲートと、前記第2ノードに接続された一端と、前記第1ノードに接続可能に構成された他端と、を有する第3トランジスタと、
前記第4ノードに一方電極が接続された第2容量素子と、
前記第3ノードに接続された第1ラッチ回路及び第2ラッチ回路と
を含み、
前記センスアンプは、前記メモリセルトランジスタのゲートに第1電圧を印加しつつ第1データ及び第2データを連続して読み出す動作において、
第2電圧に基づいて前記第1データを判定し、
前記第1データを判定した後、前記第2電圧より低い第3電圧に基づいて前記第2データを判定する
ように構成された、
半導体記憶装置。
【請求項2】
前記センスアンプは、前記動作において、
前記第2データを判定する前に、前記判定された第1データを、前記第1トランジスタ及び前記第2トランジスタを介して前記第4ノードに転送する
ように構成された、
請求項記載の半導体記憶装置。
【請求項3】
前記センスアンプは、前記動作において、
前記判定された第1データを前記第4ノードに転送する際に、
前記第3ノードを前記第2電圧より高い第4電圧に設定し、
前記第2トランジスタのゲートに、第5電圧を印加し、
前記第5電圧は、前記第3ノードの電圧が前記第4電圧から前記第2電圧に低下した場合、前記第2トランジスタがオン状態となり、前記第3ノードの電圧が前記第4電圧に維持された場合、前記第2トランジスタをオフ状態とするように設定される、
請求項記載の半導体記憶装置。
【請求項4】
前記センスアンプは、前記動作において、
前記判定された第1データを前記第4ノードに転送した後に、前記判定された第2データを、前記第1トランジスタ及び前記第3ノードを介して前記第1ラッチ回路に転送する
ように構成された、
請求項又は請求項記載の半導体記憶装置。
【請求項5】
前記センスアンプは、前記動作において、
前記第1データを判定する際に、前記第2ノードの電圧を前記第2電圧に設定し、
前記判定された第2データを前記第1ラッチ回路に転送する際に、前記第2ノードの電圧を前記第2電圧から前記第3電圧に設定する
ように構成された、
請求項記載の半導体記憶装置。
【請求項6】
前記センスアンプは、
前記第1トランジスタの他端に接続された一端と、前記第3ノードに接続された他端と、を有する第4トランジスタをさらに含み、
前記動作において、
前記判定された第1データを前記第4ノードに転送する際に、前記第4トランジスタのゲートに第6電圧を印加し、
前記判定された第2データを前記第1ラッチ回路に転送する際に、前記第4トランジスタのゲートに前記第6電圧より低い第7電圧を印加する
ように構成された、
請求項又は請求項記載の半導体記憶装置。
【請求項7】
前記センスアンプは、前記動作において、
前記第2データを前記第1ラッチ回路に転送した後に、前記第4ノードに転送された第1データを、前記第3トランジスタを介して前記第1ノードに転送する
ように構成された、
請求項乃至請求項のいずれか一項記載の半導体記憶装置。
【請求項8】
前記センスアンプは、前記動作において、
前記第1ノードに転送された第1データを、前記第1トランジスタ及び前記第3ノードを介して前記第2ラッチ回路に転送する
ように構成された、
請求項記載の半導体記憶装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施形態は、半導体記憶装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体記憶装置として、NAND型フラッシュメモリが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許出願公開第2016/0141024号明細書
【文献】米国特許出願公開第2015/0262690号明細書
【文献】米国特許出願公開第2016/0055916号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
読出し速度を向上できる半導体記憶装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係る半導体記憶装置は、ビット線と、上記ビット線に電気的に接続された、第1メモリセルトランジスタと、上記ビット線を介して上記第1メモリセルトランジスタからデータを読み出すセンスアンプとを具備する。上記センスアンプは、上記メモリセルトランジスタのゲートに第1電圧を印加しつつ第1データ及び第2データを連続して読み出す動作において、第2電圧に基づいて上記第1データを判定し、上記第1データを判定した後、上記第2電圧より低い第3電圧に基づいて上記第2データを判定するように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】実施形態に係る半導体記憶装置のブロック図である。
図2】実施形態に係る半導体記憶装置の備えるメモリセルアレイの回路図である。
図3】実施形態に係る半導体記憶装置の備えるセンスアンプのブロック図である。
図4】実施形態に係る半導体記憶装置の備えるセンスアンプの回路図である。
図5】実施形態に係る半導体記憶装置の備えるメモリセルトランジスタの閾値電圧分布図である。
図6】実施形態に係る半導体記憶装置を用いた書込み動作におけるプログラム動作の選択を説明するための図である。
図7】実施形態に係る半導体記憶装置を用いたベリファイ動作における第1センス動作及び第2センス動作を説明するための図である。
図8】実施形態に係る半導体記憶装置を用いたベリファイ動作時のセンスアンプ内の各配線、ビット線BL、及びワード線WLの電圧を示すタイミングチャートである。
図9】実施形態に係る半導体記憶装置を用いたプログラム動作時の各配線の電圧を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態につき図面を参照して説明する。この説明に際し、全図にわたり、共通する部分には共通する参照符号を付す。
【0008】
1.実施形態
実施形態に係る半導体記憶装置について説明する。以下では、半導体記憶装置として、NAND型フラッシュメモリを例に挙げて説明する。
【0009】
1.1 構成
1.1.1 全体構成
まず、本実施形態に係る半導体記憶装置の全体構成について、図1を用いて説明する。図1は、本実施形態に係るNAND型フラッシュメモリのブロック図である。
【0010】
図示するようにNAND型フラッシュメモリ1は、メモリセルアレイ2、ロウデコーダ3、センスアンプ4、及び制御回路5を備えている。
【0011】
メモリセルアレイ2は、ロウ及びカラムに対応付けられた不揮発性のメモリセルトランジスタを含む複数のブロックBLK(BLK0、BLK1、BLK2、・・・)を備えている。各々のブロックBLKは、例えば4つのストリングユニットSU(SU0~SU3)を含む。そして各々のストリングユニットSUは、複数のNANDストリング6を含む。メモリセルアレイ2内のブロック数及びブロック内のストリングユニット数は任意である。メモリセルアレイ2の詳細については後述する。
【0012】
ロウデコーダ3は、ロウアドレスをデコードし、このデコード結果に基づき、ブロックBLKのいずれかを選択し、更にいずれかのストリングユニットSUを選択する。そして、必要な電圧をブロックBLKに出力する。ロウアドレスは、例えばNAND型フラッシュメモリ1を制御するメモリコントローラから与えられる。
【0013】
センスアンプ4は、データの読出し動作時には、メモリセルアレイ2内の読出し対象となるメモリセルトランジスタの閾値電圧をセンスする。そして、センス結果を読出しデータとしてメモリコントローラに出力する。データの書込み動作時には、外部のメモリコントローラから受信した書込みデータをメモリセルアレイ2に転送する。
【0014】
制御回路5は、NAND型フラッシュメモリ1全体の動作を制御する。
【0015】
上記構成のNAND型フラッシュメモリ1は、図示せぬ外部のメモリコントローラとNANDインターフェースを介して接続される。メモリコントローラとNAND型フラッシュメモリ1との間で送受信される信号には、チップイネーブル信号/CE、コマンドラッチイネーブル信号CLE、アドレスラッチイネーブル信号ALE、ライトイネーブル信号/WE、リードイネーブル信号/RE、ライトプロテクト信号/WP、レディ/ビジー信号/RB、及び入出力信号I/O<7:0>が含まれる。
【0016】
信号/CEは、NAND型フラッシュメモリ1をイネーブルにするための信号である。信号CLEは、信号CLEが“H(High)”レベルである間にNAND型フラッシュメモリ1に流れる信号I/O<7:0>がコマンドであることをNAND型フラッシュメモリ1に通知する。信号ALEは、信号ALEが“H”レベルである間にNAND型フラッシュメモリ1に流れる信号I/O<7:0>がアドレスであることをNAND型フラッシュメモリ1に通知する。信号/WEは、信号/WEが“L(Low)”レベルである間にNAND型フラッシュメモリ1に流れる信号I/O<7:0>をNAND型フラッシュメモリ1に取り込むことを指示する。信号/REは、NAND型フラッシュメモリ1に信号I/O<7:0>を出力することを指示する。信号/WPは、データ書込み及び消去の禁止をNAND型フラッシュメモリ1に指示する。信号/RBは、NAND型フラッシュメモリ1がレディ状態(外部からの命令を受け付ける状態)であるか、ビジー状態(外部からの命令を受け付けない状態)であるかを示す。信号I/O<7:0>は、例えば8ビットの信号である。信号I/O<7:0>は、メモリコントローラとNAND型フラッシュメモリ1との間で送受信されるデータの実体であり、コマンドCMD、アドレスADD、及びデータDATを含む。データDATは、書込みデータ及び読出しデータを含む。メモリコントローラは、これらの信号を用いてNAND型フラッシュメモリ1を制御する。
【0017】
1.1.2 メモリセルアレイ
次に、メモリセルアレイ2の構成ついて図2を用いて説明する。図2の例は、メモリセルアレイ2内のブロックBLKの1つを示しているが、他のブロックBLKの構成も同じである。前述の通り、ブロックBLKは例えば4つのストリングユニットSUを含み、各々のストリングユニットSUは複数のNANDストリング6を含む。
【0018】
図示するように、NANDストリング6の各々は、例えば48個のメモリセルトランジスタMT(MT0~MT47)及び選択トランジスタST1、ST2を含んでいる。メモリセルトランジスタMTは、制御ゲートと電荷蓄積層とを備え、データを不揮発に保持する。そしてメモリセルトランジスタMTは、選択トランジスタST1のソースと選択トランジスタST2のドレインとの間に直列接続されている。なお、各々のNANDストリング6に備えられるメモリセルトランジスタMTの個数は48個に限られず、8個や16個、32個、64個、96個、128個等であってもよく、その数は限定されるものではない。メモリセルトランジスタMTは、制御ゲートと電荷蓄積層とを含む積層ゲートを備える。各メモリセルトランジスタMTは、選択トランジスタST1及びST2の間に、直列接続される。
【0019】
ストリングユニットSU0~SU3の各々における選択トランジスタST1のゲートは、それぞれセレクトゲート線SGD0~SGD3に接続される。これに対してストリングユニットSU0~SU3の各々における選択トランジスタST2のゲートは、例えばセレクトゲート線SGSに共通接続される。もちろん、ストリングユニット毎に異なるセレクトゲート線SGS0~SGS3に接続されても良い。また、同一のブロックBLK内にあるメモリセルトランジスタMT0~MT47の制御ゲートは、それぞれワード線WL0~WL47に共通接続される。
【0020】
また、ストリングユニットSU内にある各NANDストリング6の選択トランジスタST1のドレインは、それぞれ異なるビット線BL(BL0~BL(m-1)、但しmは2以上の自然数)に接続される。また、ビット線BLは、複数のブロックBLK間で各ストリングユニットSU内にある1つのNANDストリング6を共通に接続する。更に、複数の選択トランジスタST2のソースは、ソース線CELSRCに共通に接続されている。
【0021】
つまりストリングユニットSUは、異なるビット線BLに接続され、且つ同一のセレクトゲート線SGDに接続されたNANDストリング6の集合体である。またブロックBLKは、ワード線WLを共通にする複数のストリングユニットSUの集合体である。そしてメモリセルアレイ2は、ビット線BLを共通にする複数のブロックBLKの集合体である。
【0022】
データの消去は、例えば、同一のブロックBLK内にあるメモリセルトランジスタMTに対して一括して行われる。これに対して、データの読出し及び書込みは、いずれかのブロックBLKのいずれかのストリングユニットSUにおける、いずれかのワード線WLに共通接続された複数のメモリセルトランジスタMTにつき、一括して行われ得る。このような、1つのストリングユニットSU中でワード線WLを共有するメモリセルトランジスタMTの組は、例えば、メモリセルユニットMUと称される。つまり、メモリセルユニットMUは、一括して書込み、又は読出し動作が実行され得るメモリセルトランジスタMTの組である。
【0023】
メモリセルユニットMU内の複数のメモリセルトランジスタMTの各々に保持された1ビットのデータのデータ列の単位が「ページ」として定義される。1つのメモリセルトランジスタMTは、例えば2ビットデータを保持可能である。この2ビットデータを、下位ビットからそれぞれ下位(lower)ビット、及び上位(upper)ビットと呼ぶ。この場合、メモリセルユニットMUには、2ページ分のデータが記憶され、メモリセルユニットMU内の各々のメモリセルトランジスタMTの保持する下位ビットの集合を下位ページと呼び、上位ビットの集合を上位ページと呼ぶ。
【0024】
1.1.3 センスアンプ
次に、センスアンプ4の構成について、図3を用いて説明する。図3は、実施形態に係る半導体記憶装置におけるセンスアンプ4のブロック図である。
【0025】
1.1.3.1 全体構成
図示するようにセンスアンプ4は、複数のセンスアンプユニットSAUと複数のラッチ回路XDLとを含む。
【0026】
センスアンプユニットSAUは、例えばビット線BL毎に設けられ、読出し動作においては対応するビット線BLを介してメモリセルトランジスタMTの閾値電圧をセンスし、当該センス結果を読出しデータとして記憶する。また書込み動作においては対応するビット線BLの電圧を書込みデータに応じて制御する。例えば、16個のセンスアンプユニットSAU0~SAU15が、1つのバスDBUSに共通に接続されている。なお、1つのバスDBUSに接続されるセンスアンプユニットSAUの個数は任意である。
【0027】
ラッチ回路XDLは、センスアンプユニットSAU毎に設けられ、対応するビット線BLに関連するデータを一時的に保持する。センスアンプユニットSAU0~SAU15にそれぞれ対応する16個のラッチ回路XDL<15:0>が、1つのバスDBUSに、共通に接続されている。また、各ラッチ回路XDLは、データ線IOに接続される。ラッチ回路XDLは、バスDBUS及びデータ線IOを介してセンスアンプユニットSAUと外部との間のデータの送受信に使用される。すなわち、例えば外部のメモリコントローラ等から受信したデータは、まずデータ線IOを介してラッチ回路XDLに保持され、その後、バスDBUSを介してセンスアンプユニットSAUに転送される。逆もまた同じである。図3では16個のラッチ回路XDL<15:0>が1つのバスDBUSに共通に接続されている例を示したが、16個のラッチ回路XDL<15:0>の各々が16個のバスDBUSにそれぞれ接続されてもよい。
【0028】
1.1.3.2 センスアンプユニット
次にセンスアンプユニットSAUの構成について、図4を用いて説明する。図4は、実施形態に係る半導体記憶装置におけるセンスアンプユニットSAUの回路図である。
【0029】
図4に示すように、センスアンプユニットSAUは、センス回路SA、及び例えば3個のラッチ回路(SDL、ADL、及びBDL)を含む。
【0030】
センス回路SAは、読出し動作においてビット線BLに流れる電流に基づきメモリセルトランジスタMTの閾値電圧をセンスし、また書込み動作において書込みデータに応じてビット線BLに電圧を印加する。すなわちセンス回路SAは、ビット線BLを直接的に制御するモジュールである。更に、ラッチ回路SDL、ADL、及びBDL内のデータを用いたAND演算またはOR演算を行うモジュールである。
【0031】
次にセンス回路SAの回路の詳細について説明する。以下の説明において、トランジスタのソースまたはドレインの一方を「電流経路の一端」と呼び、ソースまたはドレインの他方を「電流経路の他端」と呼ぶ。
【0032】
センス回路SAは、高耐圧nチャネルMOSトランジスタ30、低耐圧nチャネルMOSトランジスタ31~42、低耐圧pチャネルMOSトランジスタ43、並びに容量素子44及び45を備えている。
【0033】
トランジスタ30は、ゲートに信号BLSが入力され、電流経路の一端が対応するビット線BLに接続され、電流経路の他端がノードBLIに接続される。トランジスタ31は、ゲートに信号BLCが入力され、電流経路の一端がノードBLIに接続され、電流経路の他端がノードSCOMに接続される。トランジスタ31は、対応するビット線BLを、信号BLCに応じた電位にクランプするためのものである。
【0034】
トランジスタ32は、ゲートに信号BLXが入力され、電流経路の一端がノードSCOMに接続され、電流経路の他端がノードSSRCに接続される。トランジスタ33は、ゲートがノードLAT_Sに接続され、電流経路の一端がノードSSRCに接続され、電流経路の他端がノードSRCGNDに接続される。ノードSRCGNDは、例えば接地電圧VSSが印加される。トランジスタ43は、ゲートがノードLAT_Sに接続され、電流経路の一端に電源電圧VDDが印加され、電流経路の他端がノードSSRCに接続される。トランジスタ34は、ゲートに信号XXLが入力され、電流経路の一端がノードSCOMに接続され、電流経路の他端がノードSENに接続される。トランジスタ35は、ゲートに信号HLLが入力され、電流経路の一端に電圧VSENPが印加され、電流経路の他端がノードSENに接続される。
【0035】
容量素子44は、一方の電極がノードSENに接続され、他方の電極にクロックCLKSAが入力される。
【0036】
トランジスタ37は、ゲートがノードSENに接続され、電流経路の一端がトランジスタ38の電流経路の一端に接続され、電流経路の他端がノードLOPに接続される。トランジスタ38は、ゲートに信号STBが入力され、電流経路の他端がバスLBUSに接続される。トランジスタ36は、ゲートに信号BLQが入力され、電流経路の一端がノードSENに接続され、電流経路の他端がバスLBUSに接続される。トランジスタ39は、ゲートがノードTDCに接続され、電流経路の一端がトランジスタ40の電流経路の一端に接続され、電流経路の他端が、トランジスタ37の電流経路の他端とともにノードLOPに接続される。トランジスタ40は、ゲートに信号LSLが入力され、電流経路の他端がノードSENに接続される。
【0037】
ノードLOPには、電源電圧VLOPが印加される。
【0038】
容量素子45は、一方の電極がノードTDCに接続され、他方の電極にクロックCLKTDが入力される。
【0039】
トランジスタ42は、ゲートに信号L2Tが入力され、電流経路の一端がノードTDCに接続され、電流経路の他端がバスLBUSに接続される。
【0040】
トランジスタ41は、ゲートに信号LPCが入力され、電流経路の一端がバスLBUSに接続され、電流経路の他端に電源電圧VDDが印加される。そしてトランジスタ41をオン状態にしてバスLBUSに電圧VDDを転送することで、バスLBUSがプリチャージされる。
【0041】
ラッチ回路SDL、ADL、及びBDLは、データを一時的に保持する。データの書込み動作において、センス回路SAは、ラッチ回路SDLの保持データに応じて、ビット線BLを制御する。その他のラッチ回路ADL及びBDLは、例えば、個々のメモリセルトランジスタが2ビット以上のデータを保持する際に、各ビットのデータを一時的に保持するために使用される。なお、ラッチ回路の個数は任意に設定可能であり、例えばメモリセルトランジスタが保持可能なデータ量(ビット数)に応じて設定される。
【0042】
ラッチ回路SDLは、低耐圧nチャネルMOSトランジスタ62~65及び低耐圧pチャネルMOSトランジスタ66~69を備えている。
【0043】
トランジスタ62は、ゲートに信号STIが入力され、電流経路の一端がバスLBUSに接続され、電流経路の他端がノードINV_Sに接続される。トランジスタ63は、ゲートに信号STLが入力され、電流経路の一端がバスLBUSに接続され、電流経路の他端がノードLAT_Sに接続される。トランジスタ64は、ゲートがノードLAT_Sに接続され、電流経路の一端が接地され、電流経路の他端がノードINV_Sに接続される。トランジスタ65は、ゲートがノードINV_Sに接続され、電流経路の一端が接地され、電流経路の他端がノードLAT_Sに接続される。トランジスタ66は、ゲートがノードLAT_Sに接続され、電流経路の一端がノードINV_Sに接続される。トランジスタ67は、ゲートがノードINV_Sに接続され、電流経路の一端がノードLAT_Sに接続される。トランジスタ68は、ゲートに信号SLIが入力され、電流経路の一端がトランジスタ66の電流経路の他端に接続され、電流経路の他端に電源電圧VDDが印加される。トランジスタ69は、ゲートに信号SLLが入力され、電流経路の一端がトランジスタ67の電流経路の他端に接続され、電流経路の他端に電源電圧VDDが印加される。
【0044】
ラッチ回路SDLでは、トランジスタ65、67で第1インバータが構成され、トランジスタ64、66で第2インバータが構成されている。そして、第1インバータの出力及び第2インバータの入力(ノードLAT_S)が、データ転送用のトランジスタ63を介してバスLBUSに接続され、第1インバータの入力及び第2インバータの出力(ノードINV_S)が、データ転送用のトランジスタ62を介してバスLBUSに接続される。ラッチ回路SDLは、データをノードLAT_Sで保持し、その反転データをノードINV_Sで保持する。
【0045】
ラッチ回路ADL及びBDLは、ラッチ回路SDLと同様の構成を有しているので、説明は省略するが、各トランジスタの参照符号及び信号名は、図4の通りラッチ回路SDLのものとは区別して以下説明する。すなわち、ラッチ回路ADLにおけるトランジスタ46~53、及びラッチ回路BDLにおけるトランジスタ54~61は、ラッチ回路SDLにおけるトランジスタ62~69にそれぞれ対応する。また、信号ATI及びBTI、並びに信号ATL及びBTLは、信号STI及びSTLにそれぞれ対応し、信号ALI及びBLI、並びに信号ALL及びBLLは、信号SLI及びSLLにそれぞれ対応する。そして各センスアンプユニットSAUにおいて、センス回路SA、並びに3個のラッチ回路SDL、ADL、及びBDLは、互いにデータを送受信可能なようにバスLBUSによって接続されている。
【0046】
バスLBUSは、図示せぬバススイッチを介してバスDBUSと接続される。このバススイッチにより、センス回路SAとラッチ回路XDLとが接続される。
【0047】
なお、上記構成のセンスアンプユニットSAUにおける各種信号は、例えば制御回路5によって与えられる。
【0048】
1.1.4 メモリセルトランジスタの閾値電圧分布
次に、本実施形態に係るメモリセルトランジスタMTの取り得る閾値電圧分布について、図5を用いて説明する。以下、本実施形態では、メモリセルトランジスタMTが4値(2ビット)のデータを保持可能な場合について説明するが、保持可能なデータは4値に限定されない。本実施形態においては、メモリセルトランジスタMTが、例えば8値(3ビット)のデータを保持可能であっても良く、2値(1ビット)以上のデータを保持可能であればよい。
【0049】
各々のメモリセルトランジスタMTの閾値電圧は、離散的な例えば4個の分布のいずれかに含まれる値を取る。この4個の分布を閾値電圧の低い順にそれぞれ、“Er”状態、“A”状態、“B”状態、及び“C”状態と呼ぶことにする。
【0050】
“Er”状態は、例えばデータの消去状態に相当する。そして“Er”状態に含まれる閾値電圧は電圧VfyAよりも小さく、正から負の値を有する。
【0051】
“A”~“C”状態は、電荷蓄積層に電荷が注入されてデータが書き込まれた状態に相当し、各分布に含まれる閾値電圧は例えば正の値を有する。“A”状態に含まれる閾値電圧は、電圧VfyA以上であり、且つ電圧VfyB未満である(但し、VfyB>VfyA)。“B”状態に含まれる閾電圧値は、電圧VfyB以上であり、且つ電圧VfyC未満である(但し、VfyC>VfyB)。“C”状態に含まれる閾値電圧は、電圧VfyC以上であり、且つ電圧VREAD及びVPASS未満である(VREAD(VPASS)>VfyC)。なお、VREAD及びVPASSは、それぞれデータの読出し動作時及び書込み動作時に非選択ワード線WLに印加される電圧である。
【0052】
以上のように、各メモリセルトランジスタMTは、4個の閾値電圧分布のいずれかを有することで、4種類の状態を取ることができる。これらの状態を、2進数表記で“00”~“11”に割り当てることで、各メモリセルトランジスタMTは2ビットのデータを保持できる。
【0053】
なお、図5では4個のレベルが離散的に分布する場合を例に説明したが、これは例えばデータが書き込まれた直後の理想的な状態である。従って、現実的には隣接するレベルが重なることが起こり得る。例えばデータが書き込まれた後、ディスターブ等により“Er”状態の上端と“A”状態の下端とが重なる場合がある。このような場合には、例えばECC(Error Checking and Correcting)技術等を用いてデータが訂正される。
【0054】
1.2 書込み動作について
次に、本実施形態に係る書込み動作について、簡単に説明する。
【0055】
書込み動作は、プログラム動作とベリファイ動作とを含む。プログラム動作は、電子を電荷蓄積層に注入することにより閾値電圧を上昇させる(または注入を禁止することで閾値電圧を維持させる)動作のことである。ベリファイ動作は、プログラム動作の後、データを読み出し、メモリセルトランジスタMTの閾値電圧が目標とする電圧(以下、ターゲットレベルとも呼ぶ)に達したか否かを判定する動作である。NAND型フラッシュメモリ1は、プログラム動作とベリファイ動作との組み合わせ(以下、「プログラムループ」と呼ぶ)を繰り返すことで、メモリセルトランジスタMTの閾値電圧をターゲットレベルまで上昇させる。ターゲットレベルは、例えば、図5における電圧VfyA、VfyB、又はVfyCに設定することができる。
【0056】
1.2.1 プログラム動作について
まず、本実施形態におけるプログラム動作の例について説明する。以下では、閾値電圧を上昇させる動作を「“0”プログラム動作」と呼び、閾値電圧を維持させる動作を「“1”プログラム動作」、又は「書込み禁止(インヒビット)動作」と呼ぶ。
【0057】
本実施形態では、“0”プログラム動作において、ターゲットレベルとメモリセルトランジスタMTの閾値電圧との差に応じて、閾値電圧の上昇量が比較的大きい第1プログラム条件、あるいは第1プログラム条件よりも閾値電圧の上昇量が小さい第2プログラム条件のいずれかが適用される。
【0058】
例えば、メモリセルトランジスタMTの閾値電圧がターゲットレベルより十分に低く、次のプログラム動作では目標とするターゲットレベルに達しないことが想定される場合、閾値電圧の上昇量が比較的大きい第1プログラム条件が適用される。また、メモリセルトランジスタMTの閾値電圧が目標とするターゲットレベルに比較的近く、次のプログラム動作で第1プログラム条件を適用すると閾値電圧がターゲットレベルを大きく超えてしまうことが想定される場合、第2プログラム条件が適用される。
【0059】
図6は、プログラム動作の選択を説明するための図である。なお、説明の便宜上、図6の例では、ターゲットレベルが電圧VfyAのメモリセルトランジスタMTが“Er”状態から“A”状態に向けて書き込まれる途中における閾値電圧分布の例が示される。
【0060】
図6に示すように、メモリセルトランジスタMTの閾値電圧が、電圧VH(図6における電圧VfyA)以上である(図6における“A”状態である)場合、当該メモリセルトランジスタMTには“1”プログラム動作が適用され、電圧VH未満の場合、“0”プログラム動作が適用される。
【0061】
“0”プログラム動作のうち、第1プログラム条件及び第2プログラム条件のいずれを適用するかを判断するために、例えば、電圧VHより低い所定の電圧VLが設定され得る。すなわち、メモリセルトランジスタMTの閾値電圧が電圧VL未満である(図6における“Er1”状態である)場合、当該メモリセルトランジスタMTには第1プログラム条件が適用される。メモリセルトランジスタMTの閾値電圧が電圧VL以上電圧VH未満の場合(図6における“Er2”状態の場合)、次のプログラム動作において、当該メモリセルトランジスタMTには第2プログラム条件が適用される。
【0062】
1.2.2 ベリファイ動作について
次に、本実施形態におけるベリファイ動作の例について説明する。
【0063】
1.2.2.1 センス動作について
上述の通り、本実施形態におけるプログラム動作は、メモリセルトランジスタMTの閾値電圧とターゲットレベルとの差に応じて、第1プログラム条件及び第2プログラム条件のいずれかが適用され得る。本実施形態におけるベリファイ動作では、次のプログラム動作において、“0”プログラム動作を適用するか“1”プログラム動作を適用するかについて判定しつつ、第1プログラム条件を適用するか第2プログラム条件を適用するかについても併せて判定する。
【0064】
以下の説明では、ベリファイ動作のうち、次のプログラム動作において、“0”プログラム動作の第1プログラム条件を適用するか否かを判定する動作を第1センス動作と呼ぶ。また、ベリファイ動作のうち、次のプログラム動作において、“0”プログラム動作の第1プログラム条件を適用しないと判定されたメモリセルトランジスタMTに対して“1”プログラム動作を適用するか、“0”プログラム動作の第2プログラム条件を適用するか、を判定する動作を第2センス動作と呼ぶ。
【0065】
すなわち、第1センス動作は、メモリセルトランジスタMTの閾値電圧が、電圧VLに達しているか否かの判定に対応する動作であり、第2センス動作は、閾値電圧が電圧VLに達しているメモリセルトランジスタMTの閾値電圧が、電圧VHに達しているか否かの判定に対応する動作である。
【0066】
図7は、ベリファイ動作における第1センス動作及び第2センス動作を説明するための図である。
【0067】
図7では、“1”プログラム動作の対象となるメモリセルトランジスタMTに対応するノードSENの電圧が実線で示される。また、第1プログラム条件及び第2プログラム条件が適用された“0”プログラム動作の対象となるメモリセルトランジスタMTに対応するノードSENの電圧が、それぞれ破線及び一点鎖線で示される。
【0068】
図7に示すように、本実施形態では、ベリファイ動作において、電圧VHがワード線WLに印加されている間に、ノードSENの電荷が2回の期間に分けてビット線BLに転送される。このうち、1回目の期間(図7における第1センス期間Ts_L)が、第1センス動作に対応し、2回目の期間(図7における第2センス期間Ts_H)が第2センス動作に対応する。
【0069】
センス期間中にノードSENの電荷がビット線BLに転送されると、ノードSENの電圧は低下する。このとき、ノードSENの電圧が低下していく速度は、メモリセルトランジスタMTの閾値電圧Vtに応じて異なる。例えば、閾値電圧Vtが電圧VL未満の場合(Vt<VL)、メモリセルトランジスタMTは強いオン状態となり、ノードSENの電圧(図7中の点線)は急激に低下する。閾値電圧Vtが電圧VL以上電圧VH未満の場合(VL≦Vt<VH)、メモリセルトランジスタMTは弱いオン状態となり、ノードSENの電圧(図7中の一点鎖線)は緩やかに低下する。また、閾値電圧Vtが電圧VH以上の場合(Vt≧VH)、メモリセルトランジスタMTはオフ状態となり、ノードSENの電圧(図7中の実線)はほとんど低下しない。
【0070】
この関係に基づいて、第1センス期間Ts_Lの長さは、電圧VL未満の閾値電圧Vtを有するメモリセルトランジスタMTに対応するノードSENの電圧が所定の判定レベルを下回り、電圧VL以上の閾値電圧Vtを有するメモリセルトランジスタMTに対応するノードSENの電圧が判定レベルを上回るように設定される。第2センス期間Ts_Hの長さは、電圧VH未満の閾値電圧Vtを有するメモリセルトランジスタMTに対応するノードSENの電圧が判定レベルを下回り、電圧VH以上の閾値電圧Vtを有するメモリセルトランジスタMTに対応するノードSENの電圧が判定レベルを上回るように設定される。所定の判定レベルは、例えば、図4に示したトランジスタ37の閾値電圧であり、ノードSENの電圧が判定レベルを上回るか否かは、トランジスタ37がノードSENの電圧に応じてオン状態になるか否か、に対応する。
【0071】
センスアンプ4は、第1センス期間Ts_Lの最後(すなわち、第2センス期間Ts_Hの前)に、ノードSENの電圧が判定レベルを下回るか否かを判定する。これにより、ワード線WLに電圧VHを印加するベリファイ動作において、メモリセルトランジスタMTが閾値電圧VLを下回るか否か(すなわち、第1プログラム条件の“0”プログラム動作を適用するか否か)を判定することができる。また、センスアンプ4は、第2センス期間Ts_Hの最後に、ノードSENの電圧が判定レベルを下回るか否かを再び判定する。これにより、第1センス動作によって閾値電圧VL以上であると判定されたメモリセルトランジスタMTが、閾値電圧VHを下回るか否か(すなわち、第2プログラム条件の“0”プログラム動作を適用するか、“1”プログラム動作を適用するか)を判定することができる。
【0072】
1.2.3 タイミングチャートについて
次に、上述した書込み動作における各配線の電圧について説明する。
【0073】
1.2.3.1 ベリファイ動作時のタイミングチャートについて
ベリファイ動作時の各配線の電圧について、図8を用いて説明する。図8は、ベリファイ動作時のセンスアンプ内の各配線、ビット線BL、及びワード線WLの電圧を示すタイミングチャートである。
【0074】
なお、図8中のノードSEN及びノードTDCの電圧において、実線は“1”プログラム動作の対象となるメモリセルトランジスタMTに対応する電圧を示す。破線は第1プログラム条件が適用された“0”プログラム動作の対象となるメモリセルトランジスタMTに対応する電圧を示す。一点鎖線は第2プログラム条件が適用された“0”プログラム動作の対象となるメモリセルトランジスタMTに対応する電圧を示す。
【0075】
時間t1において、ロウデコーダ3は、選択ワード線WLに電圧VCGRVを印加し、非選択ワード線WLに電圧VREADを印加する。電圧VCGRVは、例えば、電圧VHに対応する。また、ロウデコーダ3は、選択トランジスタST1及びST2をオン状態とする。
【0076】
時間t2において、センスアンプ4は、ビット線BLのBLプリチャージを行い、ビット線BLに電圧VBLRDを印加する。電圧VBLRDはベリファイ動作時にビット線BLに印加される電圧である。また、ソース線CELSRCには、例えばソース線ドライバ(図示せず)を介して、電圧VSRC(>VSS)が印加される。
【0077】
時間t3において、制御回路5は、信号HLLを“H”レベルにして、トランジスタ35をオン状態にする。これにより、センスアンプユニットSAU内においてノードSENに電圧VSENPが印加される。
【0078】
また、制御回路5は、信号LPCを“H”レベルにして、トランジスタ41をオン状態とし、トランジスタ41の電流経路の他端に電源電圧VDDを印加する。さらに、制御回路5は、信号L2Tを“H”レベルにして、トランジスタ42をオン状態にする。これにより、バスLBUS及びノードTDCに電圧VDDが転送され、バスLBUS及びノードTDCがプリチャージされる。
【0079】
時間t4~t10において、ベリファイ動作が実行される。
【0080】
より具体的には、時間t4において、制御回路5は、クロック信号CLKSAに“H”レベルの電圧を印加する。この結果、容量素子44は充電され、ノードSENの電圧は、容量カップリングの影響により電圧VBSTSに上昇する(以下、「クロックアップ」とも呼ぶ)。
【0081】
また、制御回路5は、電源電圧VLOPを電圧VSCOMに設定する。電圧VSCOMは、電圧VSSより高い電圧である。これにより、トランジスタ37及び39のソース電位が電圧VSCOMとなる。
【0082】
また、制御回路5は、クロック信号CLKTDに“H”レベルの電圧を印加する。この結果、容量素子45は充電され、ノードTDCの電圧は、容量カップリングの影響により電圧VBSTTに上昇する(クロックアップする)。電圧VBSTTは、電圧VSCOMよりも高い電圧である。
【0083】
時間t5~t6の期間、制御回路5は、第1センス動作を実行する。より具体的には、時間t5~t6の間、制御回路5は、信号XXLを“L”レベルから“H”レベルにしてトランジスタ34をオン状態にする。この状態において、ベリファイ動作の対象となるメモリセルトランジスタMTの閾値電圧が電圧VH以上の場合、メモリセルトランジスタMTはオフ状態とされ、対応するビット線BLからソース線CELSRCに電流はほとんど流れない。また、メモリセルトランジスタMTの閾値電圧が電圧VL以上電圧VH未満の場合、メモリセルトランジスタMTは弱いオン状態とされるが、対応するビット線BLからソース線CELSRCに電流は少量しか流れない。よって、メモリセルトランジスタMTの閾値電圧が電圧VL以上の場合(図8中のoff-cell(1st))、ノードSEN及び容量素子44に充電された電荷は、ほとんど、放電されず、トランジスタ37をオン状態にする(以下、単に「“H”レベルの」とも言う)電圧を維持する。他方で、ベリファイ動作の対象となるメモリセルトランジスタMTの閾値電圧が電圧VL未満の場合(図8中のon-cell(1st))、メモリセルトランジスタMTは強いオン状態となり、対応するビット線BLからソース線CELSRCに有意に電流が流れる。これにより、ノードSENの電圧は、トランジスタ37をオフ状態にする(以下、単に「“L”レベルの」とも言う)電圧に低下する。
【0084】
時間t6において、制御回路5は、信号XXLを“L”レベルにしてトランジスタ34をオフ状態にする。また、制御回路5は、信号STBに電圧VSTB1を印加してトランジスタ38をオン状態にし、ノードSENの電圧をストローブする。電圧VSTB1は、ノードLOPに電圧VSCOMが印加された状態において、トランジスタ38をオン状態にする電圧である。また、制御回路5は、信号L2Tを入力し、トランジスタ42のゲートに電圧VBLXを印加する。電圧VBLXは、ノードTDCの電圧を電圧VBSTTに上昇させた状態において、バスLBUSに電圧VSCOMが印加された場合にはトランジスタ42をオンさせるが、バスLBUSに電圧VDDの電圧が印加された場合にはトランジスタ42をカットオフさせる電圧である。
【0085】
この状態において、ノードSENの電圧が“H”レベルに維持された(図8における第1判定レベル以上の)場合、トランジスタ37が、オン状態となる。これにより、バスLBUSの電圧は、プリチャージされた後の電圧VDDから電圧VSCOMに低下し、トランジスタ42は、オン状態となる。このため、ノードTDCの電圧は、クロックアップされた後の電圧VBSTTから電圧VSCOM(“L”レベルの電圧)に低下する。
【0086】
他方で、ノードSENの電圧が“L”レベルに低下した(図8における第1判定レベル未満の)場合、トランジスタ37は、オフ状態となる。これにより、バスLBUSの電圧は、プリチャージされた後の電圧VDDに維持され、トランジスタ42は、オフ状態を維持する。このため、ノードTDCの電圧は、クロックアップされた後の電圧VBSTT(“H”レベルの電圧)に維持される。
【0087】
上述のようにして、第1センス動作においてトランジスタ37がオン状態となること(又は、オフ状態となること)により、ノードSENの電圧に基づくデータ(以下、第1データとも呼称する)が“H”レベルである(又は、“L”レベルである)と判定される。ノードSENのデータが“H”レベルの場合には、ノードTDCは“L”レベルになり、ノードSENのデータが“L”レベルの場合には、ノードTDCは“H”レベルに維持される。これにより、第1データがノードTDCに格納される。図8では、第1データが格納されたノードSENをSEN1とし、上述のデータの格納が実行されるタイミングがSEN1→TDCとして示される。
【0088】
時間t7において、制御回路5は、トランジスタ41の電流経路の他端に電源電圧VDDを印加し、バスLBUSをプリチャージする。
【0089】
時間t7~t9の期間、制御回路5は、時間t5~t6における第1センス動作に引き続き、第2センス動作を実行する。ベリファイ動作の対象となるメモリセルトランジスタMTの閾値電圧が電圧VH以上の場合、メモリセルトランジスタMTはオフ状態(図8中のoff-cell(2nd))とされ、ノードSENの電圧は、“H”レベルを維持する。他方で、ベリファイ動作の対象となるメモリセルトランジスタMTの閾値電圧が電圧VH未満の場合、メモリセルトランジスタMTはオン状態(図8中のon-cell(2nd))となり、ノードSENの電圧は“L”レベルに低下する。
【0090】
時間t8において、制御回路5は、信号XXLを“L”レベルにするとともに、ノードSEN及びTDCの電圧をクロックダウンする。また、電源電圧VLOPを電圧VSCOMから電圧VSSに低下させる。これにより、トランジスタ37及び39のソース電位が電圧VSSとなる。
【0091】
ここで、ベリファイ動作の対象となるメモリセルトランジスタMTの閾値電圧が電圧VH以上の場合、クロックダウン後のノードSENの電圧は、トランジスタ37をオン状態にする(すなわち、“H”レベルの)電圧を維持する。一方、メモリセルトランジスタMTの閾値電圧が電圧VH未満の場合、クロックダウン後のノードSENの電圧は、トランジスタ37をオフ状態にする(すなわち、“L”レベルの)電圧を維持する。
【0092】
また、ノードTDCに格納された第1データが“H”レベルの場合、クロックダウン後のノードTDCの電圧は、トランジスタ39をオン状態にする(すなわち、“H”レベルの)電圧を維持する。一方、ノードTDCに格納された第1データが“L”レベルの場合、クロックダウン後のノードTDCの電圧は、トランジスタ39をオフ状態にする(すなわち、“L”レベルの)電圧を維持する。
【0093】
時間t9において、制御回路5は、信号STBに電圧VSTB2を印加し、ノードSENの電圧をストローブする。ノードSENの電圧が“H”レベルである(図8における第2判定レベル以上の)場合、トランジスタ37は、オン状態となる。これにより、バスLBUSは電圧VDDから電圧VSS(“L”レベル)に低下する。他方で、ノードSENの電圧が“L”レベルである(図8における第2判定レベル未満の)第2判定レベルよりも低い場合、対応するセンストランジスタ37は、オフ状態となる。これにより、バスLBUSは電圧VDD(“H”レベル)を維持する。
【0094】
上述のようにして、第2センス動作においてトランジスタ37がオン状態となること(又は、オフ状態となること)により、ノードSENの電圧に基づくデータ(以下、第2データとも呼称する)が“H”レベルである(又は、“L”レベルである)と判定される。ノードSENのデータが“H”レベルの場合には、バスLBUSは“L”レベルとなり、当該“L”レベルがラッチ回路SDLのノードLAT_Sに転送される。ノードSENのデータが“L”レベルの場合には、ノードLBUSは“H”レベルに維持され、当該“H”レベルがラッチ回路SDLのノードLAT_Sに転送される。これにより、第2データがバスLBUSを介してラッチ回路(例えばラッチ回路SDL)に格納される。なお、図8において、第2データが格納されたノードSENをSEN2とし、上述のデータの格納が実行されるタイミングがSEN2→SDLとして示される。
【0095】
時間t10において、制御回路5は、信号HLLを“H”レベルにして、ノードSENに電圧VSENPを印加する。
【0096】
時間t11において、制御回路5は、信号LSLを“L”レベルから“H”レベルにしてトランジスタ40をオン状態にし、ノードTDCの電圧をストローブする。上述の通り、ノードTDCのデータが“H”レベルの場合には、トランジスタ39はオン状態になり、ノードSENの電圧は、電圧VSENPから電圧VSS(“L”レベルの電圧)に低下する。ノードTDCのデータが“L”レベルの場合には、トランジスタ39はオフ状態になり、ノードSENの電圧は電圧VSENP(“H”レベルの電圧)に維持される。これにより、ノードTDCに格納された第1データの反転データが、ノードSENに転送される。なお、図8において、上述のデータの格納が実行されるタイミングがTDC→SEN1として示される。
【0097】
また、制御回路5は、トランジスタ41の電流経路の他端に電源電圧VDDを印加し、バスLBUSをプリチャージする。
【0098】
時間t12において、制御回路5は、信号STBに電圧VSTB2を印加してトランジスタ38をオン状態にし、ノードSENの電圧をストローブする。電圧VSTB2は、ノードLOPに電圧VSSが印加された状態において、トランジスタ38をオン状態にする電圧であり、例えば電圧VSTB1より低い。ノードSENの電圧が“H”レベルである場合、トランジスタ37はオン状態となる。これにより、バスLBUSは電圧VDDから電圧VSS(“L”レベル)に低下する。他方で、ノードSENの電圧が“L”レベルである場合、トランジスタ37はオフ状態となる。これにより、バスLBUSは電圧VDD(“H”レベル)を維持する。
【0099】
上述のようにして、ノードSENのデータが“H”レベルの場合には、バスLBUSは“L”レベルになり、当該“L”レベルがラッチ回路ADLのノードLAT_Aに転送される。ノードSENのデータが“L”レベルの場合には、ノードLBUSは“H”レベルに維持され、当該“H”レベルがラッチ回路ADLのノードLAT_Aに転送される。これにより、第1データがバスLBUSを介してラッチ回路(例えばラッチ回路ADL)に格納される。なお、図8において、上述のデータの格納が実行されるタイミングがSEN1→ADLとして示される。
【0100】
時間t13において、リカバリ処理が行われ、ベリファイ動作が終了する。
【0101】
センスアンプ4は、ラッチ回路ADL及びSDLにそれぞれ格納された第1データ及び第2データに基づき、目標とするターゲットレベルとメモリセルトランジスタMTの閾値電圧との差を判定する。そして、当該判定された結果に応じて、次のプログラム動作において、“0”プログラム動作の第1プログラム条件、“0”プログラム動作の第2プログラム条件、又は“1”プログラム動作のいずれかを適用する。
【0102】
以上により、ベリファイ動作が終了する。
1.2.3.2 プログラム動作時のタイミングチャートについて
次に、プログラム動作時の各配線の電圧について、図9を用いて説明する。図9は、実施形態に係る半導体記憶装置を用いたプログラム動作時の各配線の電圧を示すタイミングチャートである。なお、図9の上段に示すビット線BLの電圧において、実線は“1”プログラム動作の対象となるメモリセルトランジスタMTに対応するビット線BL(以下、ビット線BL(“1”))に対応する。破線は第1プログラム条件が適用された“0”プログラム動作の対象となるメモリセルトランジスタMTに対応するビット線BL(以下、ビット線BL(“0”))に対応する。一点鎖線は第2プログラム条件が適用された“0”プログラム動作の対象となるメモリセルトランジスタMTに対応するビット線BL(以下、ビット線BL(“QPW”))に対応する。
【0103】
図9に示すように、時間t20において、センスアンプ4は、ラッチ回路SDLに格納されたデータに基づいて、BLプリチャージを行う。より具体的には、メモリセルトランジスタMTが“1”プログラム動作の対象となる(すなわち、ノードSEN2が“H”レベルである)場合、対応するラッチ回路SDLのノードLAT_Sは“L”レベルとなるため、トランジスタ43がオン状態となる。この状態において、信号BLS及びBLXが“H”レベルとされて、トランジスタ30及び32がオン状態とされる。そして、信号BLCが“H”レベルとされて、トランジスタ31のゲートに電圧“VBL+Vt31”(Vt31はトランジスタ31の閾値電圧)が印加されると、ビット線BLに電圧VBLが印加される。すなわち、ビット線BL(“1”)には、電圧VBLが印加される。他方で、メモリセルトランジスタMTが“0”プログラム動作の対象となる(すなわち、ノードSEN2が“L”レベルである)である場合、ノードLAT_Sは“H”レベルとなるため、トランジスタ33がオン状態とされる。ノードSRCGNDに電圧VSSが印加されている場合、対応するビット線BLには電圧VSSが印加される。すなわち、ビット線BL(“0”)及びビット線BL(“QPW”)には、電圧VSSが印加される。
【0104】
また、ロウデコーダ3は、いずれかのブロックBLKを選択し、更にいずれかのストリングユニットSUを選択する。そして、ロウデコーダ3は、選択されたストリングユニットSUにおける選択ゲート線SGDに電圧VSD1を印加する。選択トランジスタST1の閾値電圧をVtsgとすると、電圧VSD1は、“VBL+Vtsg”以上の電圧で、選択トランジスタST1をオン状態とさせる電圧である。他方で、ロウデコーダ3は、非選択ストリングユニットSUの選択ゲート線SGDに電圧VSSを印加して、対応する選択トランジスタST1をオフ状態とさせる。また、ロウデコーダ3は、選択ゲート線SGSに電圧VSSを印加して、選択トランジスタST2をオフ状態とさせる。
【0105】
また、ソース線SLには、例えばソース線ドライバ(不図示)を介して、電圧VCELSRC(>VSS)が印加される。
【0106】
これにより、ビット線BL(“1”)に対応する選択NANDストリング6のチャネルには電圧VBLが印加され、ビット線BL(“0”)及びBL(“QPW”)に対応する選択NANDストリング6のチャネルには、電圧VSSが印加される。
【0107】
時間t21において、ロウデコーダ3は、選択ストリングユニットSUの選択ゲート線SGDに印加する電圧を、電圧VSD1から電圧VSD2に低下させる。電圧VSD2は、電圧VSD1及び電圧VBLよりも低い電圧で、ビット線BLに電圧VSSを印加された選択トランジスタST1はオンさせるが、ビット線BLに電圧VBLを印加された選択トランジスタST1はカットオフさせる電圧である。これにより、ビット線BL(“1”)に対応するNANDストリング6のチャネルはフローティング状態となる。また、センスアンプ4は、センスアンプユニットSAU内のトランジスタ31において、信号BLCの“H”レベルの電圧を“VQPW+Vt31”とする。電圧VQPWは、電圧VSSより高く、電圧VBLより低い電圧である(VSS<VQPW<VBL)。これにより、電圧VBLが印加されていたビット線BL(“1”)に対応するセンスアンプユニットSAUにおいては、トランジスタ31がカットオフ状態とされ、ビット線BL(“1”)もフローティング状態となる。
【0108】
時間t22において、センスアンプ4は、ビット線BLに、第1プログラム条件又は第2プログラム条件のいずれかを適用するために、ラッチ回路SDLのデータを更新する。より具体的には、ラッチ回路SDLのノードLAT_Sに記憶されるデータが、ベリファイ動作においてラッチ回路ADLのノードLAT_Aに記憶されたデータ(第1データ)に更新される。ビット線BL(“QPW”)に対応するセンスアンプユニットSAUにおいては、ラッチ回路SDLのノードLAT_Sが“H”レベルから“L”レベルに更新される。従って、センスアンプ4は、ビット線BL(“QPW”)にトランジスタ31でクランプされた電圧VQPWを印加する。
【0109】
上述のようにして、第1プログラム条件に対応するビット線BLには、電圧VSSが印加される。そして、第2プログラム条件に対応するビット線BLには、電圧VSSより高い電圧VQPWが印加される。このように、ビット線BLの電圧を変化させることにより、同一のプログラム動作において、第1プログラム条件の“0”プログラム動作と、第2プログラム条件の“0”プログラム動作と、“1”プログラム動作と、をビット線BL毎に設定することができる。
【0110】
時間t23において、ロウデコーダ3は、選択ブロックBLKにおいていずれかのワード線WLを選択し、選択ワード線に電圧VPGMを印加し、その他の非選択ワード線WLに電圧VPASSを印加する。
【0111】
ビット線BL(“0”)に対応するNANDストリング6では、選択トランジスタST1がオン状態となる。そして、選択ワード線WLに接続されたメモリセルトランジスタMTのチャネル電位はVSSとなる。よって、制御ゲートとチャネルとの間の電位差(VPGM-VSS)が大きくなり、その結果、電子が電荷蓄積層に注入されて、メモリセルトランジスタMTの閾値電圧が上昇される。
【0112】
ビット線BL(“1”)に対応するNANDストリング6では、選択トランジスタST1がカットオフ状態となる。そのため、選択ワード線WLに接続されたメモリセルトランジスタMTのチャネルは電気的にフローティングとなる。すると、ワード線WL等との容量カップリングにより、チャネル電位は上昇する。よって、制御ゲートとチャネルとの間の電位差が小さくなり、その結果、電子は電荷蓄積層にほとんど注入されず、メモリセルトランジスタMTの閾値電圧は維持される(閾値電圧分布レベルがより高い分布に遷移するほどには閾値電圧は変動しない)。
【0113】
ビット線BL(“QPW”)に対応するNANDストリング6では、選択トランジスタST1がオン状態となる。そして、選択ワード線WLに接続されたメモリセルトランジスタMTのチャネル電位はVQPW(>VSS)となる。よって、制御ゲートとチャネルとの間の電位差(VPGM-VQPW)は、チャネル電位がVSSの場合よりも小さくなる。その結果、電荷蓄積層に注入される電子量は、ビット線BL(“0”)に対応するメモリセルトランジスタMTよりも少なくなり、メモリセルトランジスタMTの閾値電圧の上昇量も少なくなる。
【0114】
時間t24において、センスアンプ4は、ビット線BLに電圧VSSを印加する。ロウデコーダ3は、全ワード線WLに電圧VSSを印加する。これにより、電荷蓄積層への電荷の注入は終了する。
【0115】
時間t25において、ロウデコーダ3は、選択ゲート線SGDに電圧VSSを印加する。また、ソース線SLへの電圧VCELSRCの印加が停止され、ソース線SLに電圧VSSが印加される。
【0116】
以上により、プログラム動作は終了する。
【0117】
1.3 本実施形態に係る効果について
本実施形態によれば、半導体記憶装置の読出し速度を向上できる。本実施形態の効果について、以下に説明する。
【0118】
本実施形態では、センスアンプ4は、ワード線WLに電圧VHが印加される間に第1データ及び第2データを連続して読み出す動作において、ノードSENをクロックアップした状態で(クロックダウンさせることなく)、第1データを判定する。これにより、第2センス動作をするために再度クロックアップする必要がない。このため、第2センス動作の前に再度クロックアップする動作を省略し、当該クロックアップに要する時間、及びクロックアップ後のノードSENの電圧が安定するまでの時間を省略することができる。したがって、読出し速度を向上させることができる。
【0119】
また、センスアンプ4は、バスLBUSとノードTDCとの間にトランジスタ42を有することにより、ノードTDCにデータを記憶することができる。これにより、第1データの判定に際し、当該ノードTDCに判定結果を転送することができる。
【0120】
補足すると、トランジスタ42は、第1データのノードTDCへの転送に際し、バスLBUSの電圧が電圧VDDの場合にはオフ状態となり、電圧VSCOMの場合にはオン状態となるように制御される。これにより、トランジスタ37がオン状態となること(又はオフ状態となること)に応じて、トランジスタ42をオン状態(又はオフ状態)にすることができる。このため、トランジスタ37及び42を介したノードTDCへの第1データの転送を可能にすることができる。
【0121】
また、ノードSEN及びTDCがクロックアップされている間、ノードLOPには電圧VSCOMが印加され、ノードSEN及びTDCがクロックダウンされている間、ノードLOPには電圧VSSが印加される。これに伴い、ノードSEN及びTDCがクロックアップされている間に実行される第1データのノードTDCへの転送の際には、トランジスタ38のゲートには、電圧VSTB1が印加される。一方、ノードSEN及びTDCがクロックダウンされている間に実行される第1データのラッチ回路ADLへの転送の際には、トランジスタ38のゲートには、電圧VSTB1より低い電圧VSTB2が印加される。これにより、ノードSENがクロックアップされているかによらず、トランジスタ38に適切な“H”レベルの電圧を印加することができ、いずれの場合にもノードSENの電圧をストローブすることができる。
【0122】
2. その他
上記実施形態における「接続」とは、間に例えばトランジスタあるいは抵抗等、他の何かを介在させて間接的に接続されている状態も含む。
【0123】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0124】
1…NAND型フラッシュメモリ、2…メモリセルアレイ、3…ロウデコーダ、4…センスアンプ、5…制御回路、6…NANDストリング、30~43、46~69…トランジスタ、44、45…容量素子。
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