(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-05
(45)【発行日】2024-04-15
(54)【発明の名称】亜鉛電池用の負極及び亜鉛電池
(51)【国際特許分類】
H01M 4/24 20060101AFI20240408BHJP
H01M 4/62 20060101ALI20240408BHJP
H01M 10/30 20060101ALI20240408BHJP
【FI】
H01M4/24 H
H01M4/62 C
H01M10/30 Z
(21)【出願番号】P 2020075605
(22)【出願日】2020-04-21
【審査請求日】2023-04-18
(73)【特許権者】
【識別番号】322013937
【氏名又は名称】エナジーウィズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100169454
【氏名又は名称】平野 裕之
(74)【代理人】
【識別番号】100211018
【氏名又は名称】財部 俊正
(72)【発明者】
【氏名】阿部 美枝
(72)【発明者】
【氏名】櫛部 有広
【審査官】結城 佐織
(56)【参考文献】
【文献】特開昭56-028469(JP,A)
【文献】特開昭57-170454(JP,A)
【文献】特開昭58-166650(JP,A)
【文献】特表2004-527085(JP,A)
【文献】特開2020-061222(JP,A)
【文献】特開2003-297347(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 4/24
H01M 4/62
H01M 4/42
H01M 10/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
負極集電体と、前記負極集電体に支持された負極材と、を備え、
前記負極材は、亜鉛を含む負極活物質と、セルロース系化合物と、を含有し、
前記セルロース系化合物の重量平均分子量は、3.1×10
6~5.0×10
6である、亜鉛電池用の負極。
【請求項2】
前記セルロース系化合物の含有量は、前記負極材の全質量を基準として、0.20~0.45質量%である、請求項1に記載の負極。
【請求項3】
前記セルロース系化合物が、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース及びカルボキシエチルセルロースからなる群より選択される少なくとも一種を含む、請求項1又は2に記載の負極。
【請求項4】
前記セルロース系化合物が、ヒドロキシエチルセルロースを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の負極。
【請求項5】
前記ヒドロキシエチルセルロースのグルコース単位当たりに導入されたエチレンオキシドの平均付加モル数は、1.5~2.5である、請求項4に記載の負極。
【請求項6】
厚さが0.3~0.5mmである、請求項1~4のいずれか一項に記載の負極。
【請求項7】
ニッケル亜鉛電池用である、請求項1~5のいずれか一項に記載の負極。
【請求項8】
正極と、請求項1~6のいずれか一項に記載の負極と、を備える、亜鉛電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、亜鉛電池用の負極及び亜鉛電池に関する。
【背景技術】
【0002】
亜鉛負極を用いる亜鉛電池としては、ニッケル亜鉛電池、空気亜鉛電池、銀亜鉛電池等が知られている。例えば、ニッケル亜鉛電池は、水酸化カリウム水溶液等の水系電解液を用いる水系電池であることから、高い安全性を有すると共に、亜鉛電極とニッケル電極との組み合わせにより、水系電池としては高い起電力を有することが知られている。さらに、ニッケル亜鉛電池は、優れた入出力性能に加えて、低コストであることから、産業用途(例えば、バックアップ電源等の用途)及び自動車用途(例えば、ハイブリッド自動車等の用途)への適用可能性が検討されている。
【0003】
亜鉛電池用の負極を構成する負極材には、負極材層の形成性の観点から、亜鉛を含む負極活物質に加えて、水溶性高分子材料としてカルボキシメチルセルロース等のセルロース系化合物が用いられる場合がある(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、本発明者らの検討の結果、上記セルロース系化合物を亜鉛電池用の負極に用いる場合、充分な高率放電性能が得られ難いことが明らかになった。
【0006】
そこで、本発明は、負極材がセルロース系化合物を含有しながらも、優れた高率放電性能が得られる、亜鉛電池用負極及びこれを用いた亜鉛電池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面は、負極集電体と、負極集電体に支持された負極材と、を備え、負極材が、亜鉛を含む負極活物質と、セルロース系化合物と、を含有し、セルロース系化合物の重量平均分子量が、3.1×106~5.0×106である、亜鉛電池用の負極に関する。この負極によれば、高率放電性能に優れる亜鉛電池が得られる。
【0008】
上記セルロース系化合物の含有量は、負極材の全質量を基準として、好ましくは0.20~0.45質量%である。
【0009】
上記セルロース系化合物は、好ましくは、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース及びカルボキシエチルセルロースからなる群より選択される少なくとも一種を含み、より好ましくはヒドロキシエチルセルロースを含む。セルロース系化合物がヒドロキシエチルセルロースを含む場合、ヒドロキシエチルセルロースのグルコース単位当たりに導入されたエチレンオキシドの平均付加モル数は、好ましくは1.5~2.5である。
【0010】
上記側面の負極の厚さは、好ましくは0.3~0.5mmである。
【0011】
上記側面の負極は、好ましくはニッケル亜鉛電池用の負極である。
【0012】
本発明の他の一側面は、正極と、上記負極と、を備える、亜鉛電池に関する。この亜鉛電池は、上記負極を備えるため、優れた高率放電性能を有する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、負極材がセルロース系化合物を含有しながらも、優れた高率放電性能が得られる、亜鉛電池用負極及びこれを用いた亜鉛電池を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本明細書において、「~」を用いて示された数値範囲は、「~」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。本明細書に段階的に記載されている数値範囲において、ある段階の数値範囲の上限値又は下限値は、他の段階の数値範囲の上限値又は下限値と任意に組み合わせることができる。本明細書に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。「A又はB」とは、A及びBのどちらか一方を含んでいればよく、両方とも含んでいてもよい。本明細書に例示する材料は、特に断らない限り、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。本明細書において、組成物中の各成分の使用量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。また、本明細書において「膜」又は「層」との語は、平面図として観察したときに、全面に形成されている形状の構造に加え、一部に形成されている形状の構造も包含される。また、本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の作用が達成されれば、本用語に含まれる。
【0015】
以下、本発明の好適な実施形態について説明する。ただし、本発明は下記実施形態に何ら限定されるものではない。
【0016】
一実施形態の負極は、亜鉛電池(例えば亜鉛二次電池)用の負極であり、負極集電体と、負極集電体に支持された負極材と、を備え、負極材は、亜鉛を含む負極活物質と、セルロース系化合物と、を含有し、セルロース系化合物の重量平均分子量は、3.1×106~5.0×106である。このような構成を備える負極によれば、高率放電性能に優れる亜鉛電池が得られる。亜鉛電池としては、正極がニッケル電極であるニッケル亜鉛電池(例えばニッケル亜鉛二次電池);正極が空気極である空気亜鉛電池(例えば空気亜鉛二次電池);正極が酸化銀極である銀亜鉛電池(例えば銀亜鉛二次電池)等が挙げられる。
【0017】
以下、ニッケル亜鉛電池及びニッケル亜鉛電池用の負極を例に挙げて、一実施形態の亜鉛電池及び亜鉛電池用の負極の詳細を説明する。
【0018】
一実施形態の亜鉛電池は、少なくとも、正極と、負極(亜鉛電極)と、を備える。亜鉛電池は、例えば、電槽と、電解液と、正極及び負極を備える電極群(例えば極板群)と、を備えている。電解液及び電極群は、電槽内に収容されている。亜鉛電池は、化成前及び化成後のいずれであってもよい。
【0019】
電解液は、例えば、溶媒及び電解質を含有している。溶媒としては、水(例えばイオン交換水)等が挙げられる。電解質としては、塩基性化合物等が挙げられる。すなわち、電解液は、アルカリ水溶液(アルカリ性の水溶液)からなるアルカリ電解液であってよい。アルカリ電解液を用いた亜鉛電池は、アルカリ亜鉛電池と呼ばれる。本実施形態の亜鉛電池は、アルカリ亜鉛電池であってよい。塩基性化合物としては、水酸化カリウム(KOH)、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化リチウム(LiOH)等のアルカリ金属水酸化物などが挙げられる。
【0020】
電解液は、例えば、リン酸カリウム、フッ化カリウム、炭酸カリウム、リン酸ナトリウム、フッ化ナトリウム、酸化亜鉛、酸化アンチモン、二酸化チタン等を含有してもよい。
【0021】
電極群は、例えば、正極(例えば正極板)と、負極(例えば負極板)と、セパレータと、を備える。正極と負極とは、一又は複数のセパレータを介して隣り合っている。すなわち、隣り合う正極と負極との間には、一又は複数のセパレータが設けられている。電極群は、複数の正極、複数の負極及び複数のセパレータを備えていてよい。電極群が複数の正極及び/又は複数の負極を備える場合、正極と負極は、セパレータを介して交互に積層されてよい。複数の正極同士及び複数の負極同士は、例えば、ストラップで連結されていてよい。
【0022】
正極は、正極集電体と、正極集電体に支持された正極材と、を備える。
【0023】
正極集電体は、正極材からの電流の導電路を構成する。正極集電体は、例えば、平板状、シート状等の形状を有している。正極集電体は、発泡金属、エキスパンドメタル、パンチングメタル、金属繊維のフェルト状物等によって構成された三次元網目構造の集電体などであってもよい。正極集電体は、導電性及び耐アルカリ性を有する材料で構成されている。このような材料としては、例えば、正極の反応電位でも安定である材料(正極の反応電位よりも貴な酸化還元電位を有する材料、アルカリ水溶液中で基材表面に酸化被膜等の保護被膜を形成して安定化する材料など)を用いることができる。また、正極においては、副反応として電解液の分解反応が進行し酸素ガスが発生するが、酸素過電圧の高い材料はこのような副反応の進行を抑制できる点で好ましい。正極集電体を構成する材料の具体例としては、白金;ニッケル;ニッケル等の金属メッキを施した金属材料(銅、真鍮、鋼等)などが挙げられる。
【0024】
正極材は、層状(正極材層)であってもよい。例えば、正極集電体上に正極材層が形成されていてもよく、正極集電体が三次元網目構造を有する場合には、正極集電体の網目の間に正極材が充填されていてもよい。
【0025】
正極材は、正極活物質を含有する。正極活物質としては、オキシ水酸化ニッケル(NiOOH)、水酸化ニッケル等が挙げられる。正極材は、例えば、満充電状態ではオキシ水酸化ニッケルを含有し、放電末状態では水酸化ニッケルを含有する。正極活物質の含有量は、例えば、正極材の全質量を基準として50~95質量%であってもよい。
【0026】
正極材は、添加剤を含有することができる。添加剤としては、結着剤、導電剤、膨張抑制剤等が挙げられる。結着剤としては、親水性又は疎水性のポリマー等が挙げられ、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリアクリル酸ナトリウム(SPA)、フッ素系ポリマー(ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等)などが挙げられる。結着剤の含有量は、例えば、正極活物質100質量部に対して0.01~5質量部であってもよい。導電剤としては、コバルト化合物(金属コバルト、酸化コバルト、水酸化コバルト等)などが挙げられる。導電剤の含有量は、例えば、正極活物質100質量部に対して1~20質量部であってもよい。膨張抑制剤としては、酸化亜鉛等が挙げられる。膨張抑制剤の含有量は、例えば、正極活物質100質量部に対して0.01~5質量部であってもよい。
【0027】
負極は、負極集電体と、負極集電体に支持された負極材とを備える。
【0028】
負極集電体は、負極材からの電流の導電路を構成する。負極集電体は、例えば、平板状、シート状等の形状を有している。負極集電体は、発泡金属、エキスパンドメタル、パンチングメタル、金属繊維のフェルト状物等によって構成された三次元網目構造の集電体などであってもよい。負極集電体は、導電性及び耐アルカリ性を有する材料で構成されている。このような材料としては、例えば、負極の反応電位でも安定である材料(負極の反応電位よりも貴な酸化還元電位を有する材料、アルカリ水溶液中で基材表面に酸化被膜等の保護被膜を形成して安定化する材料など)を用いることができる。また、負極においては、副反応として電解液の分解反応が進行し水素ガスが発生するが、水素過電圧の高い材料はこのような副反応の進行を抑制できる点で好ましい。負極集電体を構成する材料の具体例としては、亜鉛;鉛;スズ;スズ等の金属メッキを施した金属材料(銅、真鍮、鋼、ニッケル等)などが挙げられる。
【0029】
負極材は、層状(負極材層)であってもよい。例えば、負極集電体上に負極材層が形成されていてもよく、負極集電体が三次元網目構造を有する場合には、負極集電体の網目の間に負極材が充填されていてもよい。
【0030】
負極材は、亜鉛を含む負極活物質と、セルロース系化合物と、を含有する。負極材がセルロース系化合物を含むことで、負極材の集電体に対する充分な結着性が得られる。また、負極材がセルロース系化合物を含むことで、優れたサイクル寿命性能が得られる傾向がある。
【0031】
亜鉛を含む負極活物質としては、金属亜鉛、酸化亜鉛、水酸化亜鉛等が挙げられる。負極材は、例えば、満充電状態では金属亜鉛を含有し、放電末状態では酸化亜鉛及び水酸化亜鉛を含有する。
【0032】
負極活物質の含有量は、負極材の全質量を基準として下記の範囲が好ましい。負極活物質の含有量は、優れたサイクル寿命性能と優れた高率放電性能とを両立しやすい観点から、50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、75質量%以上が更に好ましい。負極活物質の含有量は、優れたサイクル寿命性能と優れた高率放電性能とを両立しやすい観点から、95質量%以下が好ましく、90質量%以下がより好ましく、85質量%以下が更に好ましい。これらの観点から、負極活物質の含有量は、50~95質量%が好ましい。
【0033】
セルロース系化合物は、セルロース及びセルロースのヒドロキシ基の一部又は全部がアルキル基等の置換基によって置換された化合物(セルロース誘導体とも呼ばれる)である。セルロース系化合物は、例えば、下記式で表されるグルコース単位を含む。
【化1】
[式(1)中、Rは、水素原子又は有機基を示し、*は結合手を示す。複数のRは、互いに同一であっても異なっていてもよい。]
【0034】
有機基としては、例えば、アルキル基、アシル基、ヒドロキシアルキル基、末端に水素原子を有するポリオキシアルキル基、カルボキシアルキル基等が挙げられる。
【0035】
アルキル基は、例えば、直鎖状であっても分岐状であってもよい。アルキル基の炭素数は、1以上であり、6以下であってよい。アルキル基の炭素数は、より優れた高率放電性能が得られる観点から、好ましくは1~3である。アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられる。
【0036】
アシル基は、-C(O)OR1で表される基であり、R1はアルキル基を示す。R1で表されるアルキル基の詳細は、上述したRで表されるアルキル基と同じである。アシル基としては、例えば、アセチル基、プロピオニル基等が挙げられる。
【0037】
ヒドロキシアルキル基は、-R2OHで表される基であり、R2はアルキレン基を示す。アルキレン基は、例えば、直鎖状であっても分岐状であってもよい。アルキレン基の炭素数は、1以上であり、6以下であってよい。アルキレン基の炭素数は、より優れた高率放電性能が得られる観点から、好ましくは1~3である。アルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基等が挙げられる。ヒドロキシアルキル基において、ヒドロキシ基(-OH)の位置は特に限定されない。例えば、R2が炭素数3のプロピレン基である場合、ヒドロキシアルキル基(ヒドロキシプロピル基)は、-CH2-CH(OH)-CH3であっても、-CH2-CH2-CH2OHであってもよい。ヒドロキシアルキル基としては、例えば、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基等が挙げられる。
【0038】
末端に水素原子を有するポリオキシアルキル基は、-(R3O)nHで表される基であり、R3はアルキレン基を示す。R3で表されるアルキレン基の詳細は、上述したR2で表されるアルキレン基と同じである。複数のR3は互いに同一であっても異なっていてもよい。nは、2以上の整数であり、例えば、2~3である。末端に水素原子を有するポリオキシアルキル基としては、例えば、-(CH2CH2O)nHで表される基、-(CH2CH2O)nHで表される基、-(CH2CH2CH2O)nHで表される基、-(CH(CH3)CH2O)nHで表される基等が挙げられる。
【0039】
カルボキシアルキル基は、-R4C(O)OHで表される基であり、R4はアルキレン基を示す。R4で表されるアルキレン基の詳細は、上述したR2で表されるアルキレン基と同じである。カルボキシアルキル基において、ヒドロキシ基(-OH)の位置は特に限定されない。カルボキシアルキル基としては、例えば、カルボキシメチル基、カルボキシエチル基、カルボキシプロピル基等が挙げられる。
【0040】
セルロース系化合物としては、より優れた高率放電性能が得られる観点から、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)及びカルボキシエチルセルロース(CMC)からなる群より選択される少なくとも一種を用いることが好ましく、ヒドロキシエチルセルロースを用いることがより好ましい。この場合、グルコース単位当たりに導入されたエチレンオキシドの平均付加モル数(Moles of Substitution, MS)は、水への溶解性とより優れた高率放電性能が得られる観点から、好ましくは1.5以上であり、より好ましくは1.7以上であり、更に好ましくは1.9以上である。また、上記平均付加モル数は、水への溶解性とより優れた高率放電性能が得られる観点から、好ましくは2.5以下であり、より好ましくは2.4以下であり、更に好ましくは2.3以下である。
【0041】
セルロース系化合物の重量平均分子量は、3.1×106~5.0×106である。セルロース系化合物の重量平均分子量は、より優れた高率放電性能及びより優れたサイクル寿命性能が得られる観点から、好ましくは3.2×106以上であり、より好ましくは3.3×106以上であり、更に好ましくは3.4×106以上である。セルロース系化合物の重量平均分子量は、より優れた高率放電性能が得られる観点から、好ましくは4.5×106以下であり、より好ましくは4.0×106以下であり、更に好ましくは3.7×106以下である。これらの観点から、セルロース系化合物の重量平均分子量は、好ましくは3.1×106~5.0×106であり、より好ましくは3.2×106~4.5×106であり、更に好ましくは3.3×106~4.0×106であり、特に好ましくは3.4×106~3.7×106である。セルロース系化合物の重量平均分子量は、ポリエチレンオキシドを標準物質として、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーによって測定される値である。
【0042】
セルロース系化合物の含有量は、より優れたサイクル寿命性能が得られる観点及び負極材の集電体に対する充分な結着性が得られやすくなる観点から、負極材の全質量を基準として、好ましくは0.20質量%以上であり、より好ましくは0.22質量%以上であり、更に好ましくは0.23質量%以上である。セルロース系化合物の含有量は、より優れた高率放電性能が得られる観点から、負極材の全質量を基準として、好ましくは0.45質量%以下であり、より好ましくは0.40質量%以下であり、更に好ましくは0.35質量%以下であり、特に好ましくは0.30質量%以下である。これらの観点から、セルロース系化合物の含有量は、負極材の全質量を基準として、好ましくは0.20~0.45質量%であり、より好ましくは0.22~0.40質量%であり、更に好ましくは0.23~0.35質量%であり、特に好ましくは0.23~0.30質量%である。なお、上記セルロース化合物の含有量は、化成後の負極材中の含有量であり、例えば、化成後の亜鉛電池から負極を取り出し、乾燥させた後、負極材中のセルロース系化合物の含有量を測定することにより確認することができる。
【0043】
負極材は、セルロース系化合物以外の添加剤を更に含有することができる。添加剤としては、結着剤、導電剤、分散剤等が挙げられる。結着剤としては、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレンオキシド、ポリエチレン、ポリプロピレン等が挙げられる。結着剤の含有量は、例えば、負極活物質100質量部に対して0.5~10質量部であってよい。導電剤としては、インジウム化合物(酸化インジウム等)などが挙げられる。導電剤の含有量は、例えば、負極活物質100質量部に対して1~20質量部であってよい。分散剤としては、ポリカルボン酸(カルボン酸系共重合体)、ポリアクリル酸、ポリエーテル、ポリメチルシロキサン等が挙げられる。分散剤の含有量は、例えば、負極活物質100質量部に対して0.1~1.0質量部であってよい。
【0044】
負極材には、酸化亜鉛の溶解度を低減し、負極の形態変化を抑制しやすくする観点から、フッ化カリウム等の金属ハロゲン化物、水酸化リチウム等のアルカリ金属水酸化物、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム等の炭酸塩を更に含有してもよい。金属ハロゲン化物の含有量は、例えば、負極活物質100質量部に対して0.1~1.0質量部であってよい。
【0045】
負極材には、より優れた高率放電性能が得られやすくなる観点及び塗工性の観点から、アルミナファイバ等の金属繊維を含有させないことが好ましい。金属繊維の含有量は、例えば、負極活物質100質量部に対して0.1質量部以下であり、好ましくは0.05質量部以下であり、より好ましくは0.01質量部以下である。
【0046】
負極の厚さは、優れたサイクル寿命性能と優れた高率放電性能とを両立しやすい観点から、好ましくは0.3~0.5mmである。ここで、負極の厚さとは、負極の全厚(集電体の厚さと負極材の厚さ(例えば負極材層の厚さ)の合計)を意味する。
【0047】
セパレータは、例えば、平板状、シート状等の形状を有するセパレータであってもよい。セパレータとしては、ポリオレフィン系微多孔膜、ナイロン系微多孔膜、耐酸化性のイオン交換樹脂膜、セロハン系再生樹脂膜、無機-有機セパレータ、ポリオレフィン系不織布等が挙げられる。セパレータは、正極及び/又は負極を収容可能なように、袋状に加工されていてもよい。この場合、正極及び/又は負極はセパレータに収容されていてよい。セパレータは一種を単独で又は二種以上を組み合わせて用いてよい。
【0048】
以上説明したニッケル亜鉛電池は、例えば、電極(正極及び負極)を得る電極製造工程と、電極を含む構成部材を組み立ててニッケル亜鉛電池を得る組立工程と、を備える。
【0049】
電極製造工程では、正極及び負極を製造する。例えば、電極材(正極材及び負極材)の原料に対して溶媒(例えば水)を加えて混練することによりペースト状の電極材(電極材ペースト)を得た後、電極材ペーストを用いて電極材層を形成する。
【0050】
正極材の原料としては、正極活物質の原料(例えば水酸化ニッケル)、上記添加剤等が挙げられる。負極材の原料としては、負極活物質の原料(例えば金属亜鉛、酸化亜鉛及び水酸化亜鉛)、上記セルロース系化合物、上記添加剤等が挙げられる。
【0051】
電極材層を形成する方法としては、例えば、電極材ペーストを集電体に塗布又は充填した後に乾燥することで電極材層を得る方法が挙げられる。電極材層は、必要に応じて、プレス等によって密度を高めてもよい。電極材層の形成後、電極材層を焼成してもよいが、焼成によってセルロース系化合物の量が減少するため、負極の製造時には負極材層の焼成を行わないことが好ましい。
【0052】
セルロース系化合物を用いた従来の方法では、セルロース化合物の配合量を低減すると負極材ペーストの塗工性が低下し塗工が困難となる場合があり、また、乾燥後に集電体に対する充分な結着性が得られない場合がある。一方、本実施形態では、重量平均分子量が3.1×106~5.0×106であるセルロース系化合物を用いるため、セルロース化合物の配合量を従来よりも少なくしたとしても、充分な塗工性及び結着性が得られやすい。より充分な塗工性が得られやすくなる観点では、負極材ペーストの水分量を、負極材ペーストの全質量を基準として、15~30質量%とすることが好ましくは、17~26質量%とすることがより好ましく、18~24質量%とすることが更に好ましい。水分量は、赤外線水分計を用いて測定した値である。
【0053】
負極材ペーストの密度は、例えば、2.3~3.5g/mLであってよく、2.4~3.3g/mLであってよく、2.6~3.0g/mLであってよい。密度は、所定の容器を用い、からの容器、ペーストを満たした容器の重量を測定し、(ペースト密度)=((ペーストを満たした容器重量)-(容器のから重量))÷(容器の容積)から算出できる。
【0054】
組立工程では、例えば、まず、電極製造工程で得られた正極及び負極を、セパレータを介して交互に積層し、正極同士及び負極同士をストラップで連結させて電極群を作製する。次いで、この電極群を電槽内に配置した後、電槽の上面に蓋体を接着して未化成のニッケル亜鉛電池を得る。
【0055】
次いで、電解液を未化成のニッケル亜鉛電池の電槽内に注入した後、一定時間放置する。次いで、所定の条件にて充電を行うことで化成することによりニッケル亜鉛電池を得る。化成条件は、電極活物質(正極活物質及び負極活物質)の性状に応じて調整することができる。
【0056】
以上、正極がニッケル電極であるニッケル亜鉛電池(例えばニッケル亜鉛二次電池)の例を説明したが、亜鉛電池は、正極が空気極である空気亜鉛電池(例えば空気亜鉛二次電池)であってもよく、正極が酸化銀極である銀亜鉛電池(例えば銀亜鉛二次電池)であってもよい。
【0057】
空気亜鉛電池の空気極としては、空気亜鉛電池に使用される公知の空気極を用いることができる。空気極は、例えば、空気極触媒、電子伝導性材料等を含む。空気極触媒としては、電子伝導性材料としても機能する空気極触媒を用いることができる。
【0058】
空気極触媒としては、空気亜鉛電池における正極として機能するものを用いることが可能であり、酸素を正極活物質として利用可能な種々の空気極触媒が使用できる。空気極触媒としては、酸化還元触媒機能を有するカーボン系材料(黒鉛等)、酸化還元触媒機能を有する金属材料(白金、ニッケル等)、酸化還元触媒機能を有する無機酸化物材料(ペロブスカイト型酸化物、二酸化マンガン、酸化ニッケル、酸化コバルト、スピネル酸化物等)などが挙げられる。空気極触媒の形状は、特に限定されないが、例えば粒子状であってもよい。空気極における空気極触媒の使用量は、空気極の合計量に対して、5~70体積%であってもよく、5~60体積%であってもよく、5~50体積%であってもよい。
【0059】
電子伝導性材料としては、導電性を有し、かつ、空気極触媒とセパレータとの間の電子伝導を可能とするものを用いることができる。電子伝導性材料としては、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラック等のカーボンブラック類;鱗片状黒鉛のような天然黒鉛、人造黒鉛、膨張黒鉛等のグラファイト類;炭素繊維、金属繊維等の導電性繊維類;銅、銀、ニッケル、アルミニウム等の金属粉末類;ポリフェニレン誘導体等の有機電子伝導性材料;これらの任意の混合物などが挙げられる。電子伝導性材料の形状は、粒子状であってもよく、その他の形状であってもよい。電子伝導性材料は、空気極において厚さ方向に連続した相をもたらす形態で用いられることが好ましい。例えば、電子伝導性材料は、多孔質材料であってもよい。また、電子伝導性材料は、空気極触媒との混合物又は複合体の形態であってもよく、前述したように、電子伝導性材料としても機能する空気極触媒であってもよい。空気極における電子伝導性材料の使用量は、空気極の合計量に対して、10~80体積%であってもよく、15~80体積%であってもよく、20~80体積%であってもよい。
【0060】
銀亜鉛電池の酸化銀極としては、銀亜鉛電池に使用される公知の酸化銀極を用いることができる。酸化銀極は、例えば酸化銀(I)を含む。
【実施例】
【0061】
以下、本発明の内容を実施例及び比較例を用いてより詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0062】
<セルロース系化合物の準備>
以下に示すセルロース系化合物1~3を用意した。
・セルロース系化合物1(ヒドロキシエチルセルロース、重量平均分子量Mw:3.3×106、グルコース単位当たりに導入されたエチレンオキシドの平均付加モル数:2.0)
・セルロース系化合物2(ヒドロキシエチルセルロース、重量平均分子量Mw:3.9×106、グルコース単位当たりに導入されたエチレンオキシドの平均付加モル数:1.9)
・セルロース系化合物3(ヒドロキシエチルセルロース、重量平均分子量Mw:3.0×106、グルコース単位当たりに導入されたエチレンオキシドの平均付加モル数:2.2)
【0063】
<実施例1>
[正極の作製]
多孔度96%、厚さ1.4mmのスポンジ状ニッケル金属多孔体をロールプレスにより厚さ0.8mmまで加圧成形した。次に、平均粒径が20μmのコバルト被覆水酸化ニッケル粉末74質量部と添加剤(コバルト粉末7質量部、酸化亜鉛2.5質量部、水酸化カルシウム0.3質量部、カルボキシメチルセルロースの1.5質量%水溶液16質量部)及び、PTFEを60質量%含有するPTFEディスパージョン(三井・デュポンフロロケミカル株式会社製、商品名:テフロン31-JR)0.2質量部とを混合して正極材ペーストを得た。この正極材ペーストを上述のニッケル金属多孔体に充填した後、80℃で60分乾燥した。そして、ロールプレスにより厚さ(全厚)0.41mmまで加圧成形してニッケル電極(正極)を作製した。
【0064】
[負極の作製及び負極材ペーストの塗工性能評価]
酸化亜鉛粉末60質量部、亜鉛粉末12質量部、酸化インジウム1質量部、フッ化カリウム0.5質量部、ポリアクリル酸ナトリウム共重合体0.5質量部を混合し、セルロース系化合物1の含有量が1.6質量%となるように調整した水溶液Aを20質量部添加して混合し、更にPTFEを60質量%含有するPTFEディスパージョン(三井・デュポンフロロケミカル株式会社製、商品名:テフロン31-JR)を6質量部添加して混合することで負極材ペーストを得た。負極材ペースト中の水分量は、負極材ペーストの全質量を基準として、21質量%であり、負極材ペーストの密度は、2.8g/mLであった。
【0065】
得られた負極材ペーストを用いて、以下の方法で、塗工性能を評価した。
まず、負極材ペーストを投入した容器に集電体(厚さ0.1mmスズメッキ銅製のパンチングメタル)を入れて両面に負極材ペーストを塗布し、ギャップを0.8mmに調整して容器上部に設置した摺り切りを通すことで余分に塗布されたペーストを落とした。集電体からペーストが垂れずに維持できている場合を塗工性能Aとし、集電体からペーストが垂れて面方向での塗工ムラが生じている場合を塗工性能Bとした。
【0066】
次いで、上記のペーストを塗布した集電体を110℃で15分乾燥し、ロールプレスにより厚さ(全厚)0.38mmまで加圧成形して亜鉛電極(負極)を作製した。
【0067】
[ニッケル亜鉛電池の作製]
上述のニッケル電極11枚及び亜鉛電極12枚のそれぞれを微多孔膜(平均細孔径:87nm、透気度:600~700sec/100cc、厚さ40μm、構成材料:ポリプロピレン、非イオン性界面活性剤で親水化処理したもの)で包んだ。微多孔膜に包まれたニッケル電極及び亜鉛電極を、不織布(平均細孔径:6μm、透気度:0.5sec/100cc、厚さ:100μm、構成材料:セルロース)を介して交互に積層した後、同極性の極板同士をスポット溶接で連結させて極板群を作製した。この極板群を電槽内に配置して未化成のニッケル亜鉛電池を得た。水酸化リチウム1質量%を含む水酸化カリウム30質量%水溶液を電解液として未化成のニッケル亜鉛電池に注入した。その後、25℃の環境下において、電流値0.8Aで8Ahの充電を行った後、電流値4Aで1.0Vまで放電した。続いて電流値1.6Aで8.4Ahの充電を行った後、電流値5.6Aで1.3Vまで放電した。更に、電流値1.6Aで9.6Ahの充電を行った後、電流値5.6Aで1.3Vまで放電した。また、充電時の過充電を防止するため、上限電圧を2.2Vに設定している。このようにして設計容量8Ahのニッケル亜鉛電池を作製した。
【0068】
(実施例2~4)
セルロース系化合物1の含有量が、表1に示す量となるように、各成分の配合量を調整したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2~4のニッケル亜鉛電池を作製した。実施例2~4の負極材ペースト中の水分量は、それぞれ、負極材ペーストの全質量を基準として、22質量%、22質量%、23質量%であった。また、実施例2~4の負極材ペーストの密度は、それぞれ、2.8%、2.7%、2.7%であった。なお、表1に示す含有量は、化成後の負極材の全質量を基準とした含有量である。
【0069】
(実施例5~7)
セルロース系化合物1に代えてセルロース系化合物2を用いたこと、及び、セルロース系化合物2の含有量が、表1に示す量となるように、各成分の配合量を調整したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例5~7のニッケル亜鉛電池を作製した。実施例5~7の負極材ペースト中の水分量は、それぞれ、負極材ペーストの全質量を基準として、23質量%、23質量%、23質量%であった。また、実施例5~7の負極材ペーストの密度は、それぞれ、2.8g/mL、2.8g/mL、2.7g/mLであった。
【0070】
(比較例1)
セルロース系化合物1に代えてセルロース系化合物3を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、比較例1のニッケル亜鉛電池を作製した。比較例1の負極材ペースト中の水分量は、負極材ペーストの全質量を基準として、21質量%であり、負極材ペーストの密度は、2.8g/mLであった。
【0071】
(比較例2)
セルロース系化合物3の含有量が、表2に示す量となるように、各成分の配合量を調整したこと以外は、比較例1と同様にして、比較例2のニッケル亜鉛電池の作製を試みた。この際、比較例2の負極材ペースト中の水分量は、負極材ペーストの全質量を基準として、21質量%であり、負極材ペーストの密度は、2.7g/mLであった。しかしながら、比較例2の負極材ペーストは塗工性能評価の結果がBであり、亜鉛電池を作製することができなかった。
【0072】
<電池性能評価>
実施例1~7及び比較例1のニッケル亜鉛電池を用いて、ニッケル亜鉛電池の高率放電性能及びサイクル寿命性能の評価を行った。具体的な評価方法を以下に示し、結果を表1及び表2に示す。
【0073】
(高率放電性能)
25℃の環境下において、電流値8A(1C)で1.9Vまで定電流充電した後、電流値が0.4A(0.05C)に到達するまで定電圧充電することによりニッケル亜鉛電池の充電を行い、さらに、電池電圧が1.1Vに到達するまで0.4A(0.05C)又は80A(10C)の定電流でニッケル亜鉛電池の放電を行った。これにより、0.05C放電容量及び10C放電容量を測定した。0.05C放電容量に対する10C放電容量の比率(%)を比較することにより高率放電性能を評価した。比率が90%以上の場合をAとし、89%以上90%未満の場合をBとし、89%未満の場合をCとした。なお、電流値に関する前記「C」とは、満充電状態から定格容量を定電流放電するときの電流の大きさを相対的に表したものである。前記「C」は、“放電電流値(A)/電池容量(Ah)”を意味する。例えば、定格容量を1時間で放電させることができる電流を「1C」、5時間で放電させることができる電流を「0.2C」と表現する。
【0074】
(サイクル寿命性能1)
25℃の環境下において、電流値8A(1C)で1.9Vまで定電流充電した後、電流値が0.4A(0.05C)に到達するまで定電圧充電することによりニッケル亜鉛電池の充電を行い、さらに、電池電圧が1.1Vに到達するまで2A(0.25C)の定電流でニッケル亜鉛電池の放電を行うことを1サイクルとする0.25C放電サイクル試験を行った。放電容量が1サイクル目の放電容量に対して60%を下回った場合に試験を終了し、試験終了までに行ったサイクル数によってサイクル寿命性能を評価した。サイクル数が400回以上をAとし、350回以上400回未満をBとし、350回未満をCとした。
【0075】
(サイクル寿命性能2)
25℃の環境下において、電流値8A(1C)で1.9Vまで定電流充電した後、電流値が0.4A(0.05C)に到達するまで定電圧充電することによりニッケル亜鉛電池の充電を行い、さらに、電池電圧が1.1Vに到達するまで32A(4C)の定電流でニッケル亜鉛電池の放電を行うことを1サイクルとする4C放電サイクル試験を行った。放電容量が1サイクル目の放電容量に対して80%を下回った場合に試験を終了し、試験終了までに行ったサイクル数によってサイクル寿命性能を評価した。サイクル数が100回以上をAとし、65回以上100回未満をBとし、65回未満をCとした。
【0076】
【0077】