(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-05
(45)【発行日】2024-04-15
(54)【発明の名称】配管構造
(51)【国際特許分類】
E03F 3/02 20060101AFI20240408BHJP
E03F 5/04 20060101ALI20240408BHJP
【FI】
E03F3/02
E03F5/04 A
(21)【出願番号】P 2020085992
(22)【出願日】2020-05-15
【審査請求日】2023-04-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000201582
【氏名又は名称】前澤化成工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092565
【氏名又は名称】樺澤 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100112449
【氏名又は名称】山田 哲也
(72)【発明者】
【氏名】日岐 博幸
(72)【発明者】
【氏名】田草川 英昇
(72)【発明者】
【氏名】大島 ゆかり
【審査官】彦田 克文
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-227021(JP,A)
【文献】特開2011-256690(JP,A)
【文献】特開平11-241383(JP,A)
【文献】特開平07-216906(JP,A)
【文献】実開昭53-042402(JP,U)
【文献】特開2006-063614(JP,A)
【文献】特開2003-213752(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03F 3/02
E03F 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
宅地に設けられた溝部と、
前記溝部内に設けられ、排水が流れる溝内配管部とを備え
、
前記溝部は、雨水を貯留可能な貯水部として利用可能な溝体によって構成されている
ことを特徴とする配管構造。
【請求項2】
溝体には、当該溝体内に雨水を供給する雨水供給管が接続されている
ことを特徴とする請求項1記載の配管構造。
【請求項3】
溝体には、当該溝体内の雨水を排出するオーバーフロー管が接続されている
ことを特徴とする請求項1又は2記載の配管構造。
【請求項4】
溝体は、当該溝体の下流端側の端板部に形成された雨水流出孔を有する
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一記載の配管構造。
【請求項5】
溝体は、建物の外周に沿って宅地の土中に埋設され、かつ、前記溝体内の内部空間を上方に開放する上面開口を有し、
前記上面開口は、前記宅地の地表面と同一面上に位置する遮光性のある蓋体によって開閉可能に閉鎖されている
ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一記載の配管構造。
【請求項6】
溝内配管部は、
溝体に取り付けられた支持手段と、
前記支持手段によって支持された配管とを有し、
前記支持手段は、
前記溝体に取り付けられた取付体と、
前記取付体に上下位置調整可能に設けられ、前記配管を支持する支持体とを有する
ことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一記載の配管構造。
【請求項7】
溝内配管部は、溝体の挿通孔に挿通された配管を有し、
前記配管と前記挿通孔との間には、緩衝部材が設けられている
ことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか一記載の配管構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、問題箇所を容易に特定できる配管構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば下記の特許文献1に記載された配管構造が知られている。この従来の配管構造は、例えば建物内に設置された便器等の排水設備側からの排水が流れる配管部を備え、この配管部は、建物の宅地の地中に埋設された桝及び配管を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の配管構造では、例えば配管部の桝や配管に問題(破損、接着不良等)が生じたとしても、配管部の桝及び配管は地中(土中)に埋設されているため、当該問題箇所の特定が難しい。
【0005】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、問題箇所を容易に特定できる配管構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る配管構造は、宅地に設けられた溝部と、前記溝部内に設けられ、排水が流れる溝内配管部とを備えるものである。
【0007】
また、本発明に係る配管構造において、前記溝部は、前記宅地に建てられた建物の基礎に対して固定されているものでもよい。
【0008】
さらに、本発明に係る配管構造において、前記溝部の上面開口を開閉する蓋体を備えるものでもよい。
【0009】
また、本発明に係る配管構造において、前記溝部は、貯水部として利用可能であるものでもよい。
【0010】
さらに、本発明に係る配管構造において、前記溝内配管部は、前記溝部に取り付けられた支持手段と、前記支持手段によって支持された配管とを有するものでもよい。
【0011】
また、本発明に係る配管構造において、前記支持手段は、前記溝部に取り付けられた取付体と、前記取付体に上下位置調整可能に設けられ、前記配管を支持する支持体とを有するものでもよい。
【0012】
さらに、本発明に係る配管構造において、前記支持体は、前記配管の外径よりも径大な環状の支持部を有し、前記配管は、前記支持部に挿通されているものでもよい。
【0013】
また、本発明に係る配管構造において、前記溝内配管部は、前記溝部の挿通孔に挿通された配管を有し、前記配管と前記挿通孔との間には緩衝部材が設けられているものでもよい。
【0014】
さらに、本発明に係る配管構造において、前記溝部内には建物側からの雨水が流入し、前記溝部内に位置する溝内配管部内には前記建物側からの汚水が流入するものでもよい。
【0015】
また、本発明に係る配管構造において、前記溝部内に流入した雨水は、道路の側溝に排出されるものでもよい。
【0016】
さらに、本発明に係る配管構造において、前記溝部は、前記宅地の地中に埋設された溝体によって構成されているものでもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、問題箇所を容易に特定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一実施の形態に係る配管構造を示す概略平面図である。
【
図5】同上配管構造の溝内配管部の支持手段を示す側面図である。
【
図6】地震で継手が破損する比較例を示す断面図である。
【
図7】建物の基礎に溝体を固定した変形例を示す断面図である。
【
図9】雨水流出孔を開閉する開閉体を備えた変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の一実施の形態について図面を参照して説明する。
【0020】
図1において、1は排水用の配管構造で、この配管構造1は、例えば宅地2内に建てられた建物3側からの排水を宅地2外の下水道等に排除するための構造である。建物3は、例えば個人住宅、小規模集団住宅等であり、この建物3内には複数の排水設備(便器、風呂場、洗面所、台所等)4が設置されている。
【0021】
配管構造1は、
図1に示すように、住宅等の建物3内の各排水設備4に接続された建物側配管部6と、この各建物側配管部6の下流端部に接続された溝内配管部7と、この溝内配管部7の下流端部に接続された溝外配管部8とを備え、この溝外配管部8の下流端部が道路下の下水道本管9に接続されている。
【0022】
また、配管構造1は、建物3の宅地2に当該建物3の外周に沿って位置するように設けられた長手状の溝部10を備え、当該建物3側からの排水である汚水が流れる溝内配管部7がその溝部10内に設けられている。
【0023】
溝部10は、例えば建物3の宅地2のうち建物3の外周と宅地2の境界との間に位置する部分における地中に埋設された凹溝状の溝体11によって構成されている。この溝体11は、宅地2内において建物3の外周に沿って平面視L字状に配置され、当該建物3の基礎5から所定距離を介して離れて埋設されている。
【0024】
溝体11は、例えばコンクリート製のU字溝からなるもので、底板部13と、この底板部13の側縁部に立設された両側の側板部14と、底板部13の端縁部に立設された両端の端板部15とを有している。
【0025】
また、溝体11は、この溝体11内の内部空間16を上方に開放する上面開口17を有し、この上面開口17は、溝体11に対して脱着可能な蓋体21によって開閉可能となっている(
図3参照)。この蓋体21は、例えば太陽光等の光が溝体11内に入るのを遮断する遮光性を有するもので、宅地2の地表面と同一面上に位置して上面開口17を開閉可能に閉鎖する板状の蓋本体部22と、この蓋本体部22の両側から下方に突出した下方突出部23とを有している。なお、蓋体21は、例えば所定長さに分割された複数の分割蓋によって構成されている。
【0026】
さらに、溝体11の上流端側の端板部15には、建物3の屋根等からの排水である雨水を溝体11内に供給する配管である雨水供給管25の下流端部が接続されている。なお、この雨水供給管25は、上流端側の端板部15ではなく、溝体11の側板部14に接続してもよい。また、溝体11の下流端側の端板部15には、道路の側溝20に下流端部が接続された配管であるオーバーフロー管26の上流端部が接続されている。
【0027】
そして、例えば雨天時等には、建物3側からの雨水が溝体11内を流入して流れてオーバーフロー管26を経て道路の側溝20に排出(排除)される。また、溝体11は、内部空間16に雨水を貯留可能な貯水部(貯水タンク)として利用可能な構成であるから、この溝体11内に貯留された雨水を植物の水やり等に使用したり非常時用の水として使用したりすることができる。なお、当該貯水式の溝体11は、建物3の宅地2の地中に埋設されているため、宅地2の地表面に設置された地上式のタンク等とは異なり、庭の景観を妨げず、意匠・美感への悪影響がない。
【0028】
溝内配管部7は、
図1ないし
図3に示すように、複数の桝31と、この桝31に接続された複数の配管32と、この配管32を当該配管32が所定の下り勾配をもって傾斜するように支持する複数の支持手段33とを有し、これら桝31、配管32及び支持手段33は溝体11内に位置している。なお、複数本の配管32のうち所定の配管は、その一部が溝体11外に延出している。
【0029】
そして、
図2の如く、溝内配管部7の下流端側の配管32(32a)は、溝体11の下流端側の端板部15に形成された挿通孔35に挿通され、これら配管32(32a)と挿通孔35との間には緩衝部材36が介在して設けられている。また同様に、
図3の如く、各建物側配管部6の配管、すなわち建物3の基礎5を貫通した貫通筒37内に挿入された曲がり管38に上流端部が接続されかつ下流端部が桝(溝内の排水桝)31の接続口部31aに継手(エルボ)39を介して接続された配管32(32b)は、屈曲部を有さず水平状に位置する直管からなるもので、溝体11の側板部14に形成された挿通孔35に挿通され、これら配管32(32b)と挿通孔35との間には緩衝部材36が介在して設けられている。
【0030】
緩衝部材36は、例えば緩衝機能及び水密機能を有する弾性変形可能な円環状のパッキン(ゴム輪等)である。また、溝体11の内部空間16の省スペース化のため、桝31への合流方向は、平面視で溝体11の長手方向と一致している。この
図3に図示した例では、桝31の接続口部31aに傾斜を持たせて合流しているが、例えば桝31の接続口部31aを水平状にして平行合流するようにしてもよい。桝31の掃除口部31bには、開閉蓋30が脱着可能に取り付けられている。
【0031】
建物3の基礎5を貫通する部分は、耐震性向上のため、
図3に図示した貫通筒37を用いた構成や、例えば貫通方向にスライド可能な目地材を用いた構成とすることが好ましい。また、例えば地震発生時において縦横の地震動にも追従できるように、建物側配管部6の全体または一部や建物側配管部6と桝31とを接続する配管部の全体または一部を、可撓性を有するフレキシブル管で構成してもよい。なお、建物3の基礎5は、例えば鉄筋コンクリートからなるもので、捨てコンクリート41及び砕石42上に設けられている。
【0032】
ここで、溝体11内において配管32を支持する支持手段33は、
図4及び
図5に示すように、溝体11の底板部13の上面(溝底面)13aにビス等の取付具50により固定して取り付けられた取付体51と、この取付体51に上下位置調整可能に設けられ、配管32を支持する支持体52とを有している。
【0033】
取付体51は、互いに離間対向する対をなす上下方向の棒部材53を有し、これら両棒部材53が連結板54で連結され、この連結板54が取付具50によって溝体11の底板部13の上面13aに固定されている。
【0034】
支持体52は、短円筒状のストッパ56によって取付体51の棒部材53の所望位置に位置決め固定された上下の板部材57からなるもので、円筒状の配管32の外径よりも径大な円環状の支持部58を有している。各板部材57は、支持部58を構成する半円弧状の曲板部分61と、この曲板部分61の両端に連設された平板部分62とを有し、この平板部分62に孔63が形成され、この孔63に棒部材53が嵌挿されている。
【0035】
そして、支持体52の支持部58に配管32が挿通されて下方から支持されている。それゆえ、支持体52の上下位置調整により配管32の勾配調整が容易であるとともに、ビス周りを特殊な形状にすることなく地震動を逃すことができ、地震に基づく溝内配管部7の破損を防止できる。
【0036】
また一方、溝外配管部8は、溝体11内に設置された溝内配管部7側からの排水(例えば汚水のみ)を公共の下水道本管9まで導くもので、例えば
図2に示すように、溝体11外に延出した配管32(32a)の下流端部が接続されたドロップ桝66を有し、このドロップ桝66は、接続管67を介して公共桝68に接続されている。この公共桝68は、取付管69を介して下水道本管9に接続されている。
【0037】
また、
図2に示すように、道路の側溝20は、例えば宅地2内の溝体11と同じくコンクリート製のU字溝(例えばいずれも同じ深さの溝)からなるものであり、これら側溝20と溝体11とが接続管であるオーバーフロー管26によって接続されている。つまり、オーバーフロー管26の上流端部が溝体11の雨水流出孔27に接続され、かつ、オーバーフロー管26の下流端部が側溝20の雨水流入孔28に接続されている。それゆえ、溝体11は、雨水を側溝20に向けて流出させるための雨水流出孔27に対して深さのある溝であるため、泥だめ効果も得られる。
【0038】
次に、配管構造1の作用等を説明する。
【0039】
建物3内の排水設備4からの汚水は、建物側配管部6内、溝内配管部7内、及び溝外配管部8内を順次流れて、道路下の下水道本管9に排出される。また、雨天時における建物3の屋根等からの雨水は、雨水供給管25内、溝体11内、及びオーバーフロー管26内を順次流れて、道路の側溝20に排出される。
【0040】
そして、このような配管構造1によれば、蓋体21を溝体11から取り外してその溝体11の上面開口17を開口させることで、当該溝体11内に位置する溝内配管部7の桝31及び配管32を目視できるため、例えば破損、接着不良等の問題が桝31や配管32に生じたとしても、当該問題箇所を容易に特定できる。
【0041】
つまり、例えば破損等の問題箇所から流れ出た汚水によって溝体11内が濡れている場合には、溝内配管部7のうち当該濡れている箇所に対応する部分を調べることで、溝内配管部7の問題箇所を容易に特定できる。なお、雨水が溝体11内に貯留された状態であっても、破損等の問題箇所から気泡がでるため、溝内配管部7の問題箇所を容易に特定できる。
【0042】
しかも、作業者は、例えば破損した配管32の交換作業や接着不良箇所への接着剤の塗布作業等、当該問題箇所に対する適切な修復作業をした後、蓋体21を溝体11に取り付けてその溝体11の上面開口17を閉鎖すればよい。このように、作業者は修復作業のために宅地2の地表面を掘削する必要もなく、作業者の負担を軽減でき、よって、修復、維持管理等に要するコストの低減を図ることができる。
【0043】
また、例えば地震発生時において、溝体11内の溝内配管部7は、地震動による土圧の影響を直接受けないので、地震に基づく溝内配管部7の破損を防止(抑制)できる。
【0044】
つまり、例えば
図6の如く建物側配管部6の曲がり管38に接続した配管部71を排水桝72や排水管73等とともに宅地2の地中に埋設した構成では、地震発生時に配管部71は地震動(地盤の振動)による土圧の影響を直接受けるため、地盤と建物との変位量の違い等に基づき、当該配管部71の継手74,75等が破損するおそれがあるが、配管構造1では地震に基づく溝内配管部7の破損を防止できる。
【0045】
さらに、この配管構造1では、溝内配管部7の一部の配管32(32a,32b)と挿通孔35との間には緩衝部材36が設けられ、かつ、溝内配管部7の他部の配管32はその外径よりも径大な環状の支持部58に挿通されて支持されているため、溝内配管部7の破損をより一層適切に防止できる。
【0046】
なお、地震発生時における溝内配管部7への負荷をより少なくするために、例えば
図7に示すように、ボルト等の固定手段(図示せず)を用いて、溝体11を建物3の基礎5の外側面に対して固定してもよい。また、例えば
図7に示すように、配線(電線、光ケーブル等)81を溝体11内に設けてもよく、具体的には例えば溝体11の内側面に固定した配線支持体82上に配線81を配置するようにしてもよい。なお図示しないが、例えばコンクリート等によって建物の基礎と溝体とを一体に形成してもよい。
【0047】
また、溝内配管部7の支持手段33は、例えば
図8に示すように、配管32の上部を支持する半円弧状の支持部83を有する1つの板部材(浮力対策用のバンド等)84で構成したものでもよい。そして、この板部材84は、地震動を逃すことができるように、ビス等の取付具85で溝体11の底板部13の上面13aにこの上面13aに沿って移動可能に取り付けられている。
【0048】
さらに、配管構造1は、例えば
図9に示すように、溝体11の雨水流出孔86を開閉する開閉手段である板状の開閉体87を備えた構成でもよい。すなわち、この
図9に示す構成では、宅地2内の溝体11と宅地2外の側溝20とが接続管88で接続され、この接続管88の上流端部が溝体11の雨水流出孔86に接続されかつこの接続管88の下流端部が側溝20の雨水流入孔89に接続されている。雨水流出孔86は溝体11の端板部15の下部に形成され、雨水流入孔89は側溝20の側板部90の下部に形成されている。開閉体87は、溝体11内に昇降可能に設けられ、雨水流出孔86を開口させる開状態と雨水流出孔86を閉鎖する閉状態とに選択的に切換可能となっている。
【0049】
そして、通常時には、開閉体87が開状態とされて雨水流出孔(排水流出口)86が開口しているため、建物3側から溝体11内に流入した雨水は、雨水流出孔86から流出して接続管88内を流れ、雨水流入孔89から側溝20内に流入する。このように溝体11内を経由させた雨水の排出が可能であるが、例えば非常時等において水が必要な場合には、開閉体87を閉状態にして雨水流出孔86を閉鎖することで、雨水等の水を溝体11内に貯留できる。つまり、開閉体87を開状態から閉状態に切り換えることにより、溝体11を貯水部として利用できる。なお、溝体11の雨水流出孔86を開閉する開閉手段は、例えば雨水流出孔86に対して脱着可能な開閉蓋等でもよい。また、例えば溝体の雨水流出孔を開閉する開閉手段と、溝体と道路の側溝とを接続する接続管であるオーバーフロー管との両方を併用した構成等でもよい。
【0050】
また、溝体等の溝部は、貯水部として利用可能なものには限定されず、例えば雨水を地中に浸透させる浸透式のものでもよい。さらに、溝部は建物の宅地の地表面を掘削して設けたものでもよく、また溝部と側溝とを接続しない構成等でもよい。また一方、接続管等を用いることなく溝部と側溝とを直接接続してもよい。
【0051】
さらに、溝内配管部は、その内部を汚水のみが流れるものには限定されず、汚水及び雨水の両方が流れるものや、雨水のみが流れるものでもよい。
【0052】
また、溝内配管部は、汚水が流れる汚水管及び汚水桝等からなる汚水用配管部と、雨水が流れる雨水管及び雨水桝等からなる雨水用配管部とを有するものでもよく、すなわち汚水系流路と雨水系流路を分けて溝部内に設けてもよい。さらに、排水用の溝内配管部のほか、例えば給水管、ガス管、配線等を溝部内に設けてもよい。
【0053】
さらに、溝内配管部の配管として例えば透明管を用いた場合には、蓋体を開けるだけで桝以外の管路部分を容易に点検できる。また、配管が透明であれば、溝内配管部に合流部分である桝(点検口等)を設けなくても、トラブルの際に配管を切断・管内清掃という選択肢が可能となる。さらに、溝内配管部は、内部メンテナンスができるヤリトリ継手、ヤリトリ機能を有したものでもよい。また、建物側配管部と溝内配管部との合流部分(接続部分)は、点検の不要な箇所であれば、桝以外でもよく、例えばT字状やY字状の継手等を用いてもよい。
【0054】
また、蓋体は、遮光性以外にも、藻やボウフラの発生を抑えるために、当該蓋体と溝体との間の隙間を埋めるパッキン等の水密部材を取り付けることが好ましい。この水密部材によって隙間が埋まって水密性が向上することで、遮光性に加え、貯水内での藻の発生やボウフラの発生を適切に抑えることができる。さらに、蓋体は、遮光性を有するものには限定されず、例えばグレーチングでもよく、また防虫網等の網部材をグレーチングに取り付けたもの等でもよい。なお、蓋体は必ずしも必要ではなく、溝部の上面開口が常時開口した構成等でもよい。
【0055】
さらに、排水(下水)用の配管構造は、建物側からの排水(汚水)を下水道まで導くものには限定されず、例えば建物側からの排水を浄化槽等の排水浄化部まで導くもの等でもよい。また、溝部を設ける宅地は、建物の敷地として用いられる土地であり、その建物は例えば住宅以外に、オフィスビル、工場、店舗等でもよく、任意である。
【0056】
なお、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、上述した実施形態及び変形例等を適宜組み合わせることも可能である。
【符号の説明】
【0057】
1 配管構造
2 宅地
3 建物
5 基礎(建物の基礎)
7 溝内配管部
10 溝部
11 溝体
17 上面開口
20 道路の側溝
21 蓋体
32 配管
33 支持手段
35 挿通孔
36 緩衝部材
51 取付体
52 支持体
58 支持部