(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-05
(45)【発行日】2024-04-15
(54)【発明の名称】列車運転システム
(51)【国際特許分類】
B61L 27/16 20220101AFI20240408BHJP
B61L 23/00 20060101ALI20240408BHJP
B61L 23/14 20060101ALI20240408BHJP
B60L 15/40 20060101ALI20240408BHJP
B61C 17/12 20060101ALI20240408BHJP
【FI】
B61L27/16
B61L23/00 Z
B61L23/14 Z
B60L15/40 J
B61C17/12 Z
(21)【出願番号】P 2020099006
(22)【出願日】2020-06-08
【審査請求日】2023-03-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000221616
【氏名又は名称】東日本旅客鉄道株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉原 健爾
(72)【発明者】
【氏名】横山 啓之
【審査官】清水 康
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-233988(JP,A)
【文献】特開2008-189180(JP,A)
【文献】特開昭53-057607(JP,A)
【文献】国際公開第2016/084197(WO,A1)
【文献】特開2019-182180(JP,A)
【文献】特開平09-076913(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61L 1/00 - 99/00
B60L 1/00 - 3/12
B60L 7/00 - 13/00
B60L 15/00 - 58/40
B61C 17/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行する列車の位置を把握し列車の走行に関する制御情報を前記列車へ送信する機能を有する列車群制御装置
と、予め設定された規定停車時間または前記列車群制御装置から送信されて来る停止時間情報に応じた時間だけ少なくとも駅に停止した後に発車する複数の列車と、を有する列車運転システムにおいて、
走行する列車の車両ごとの乗車率に関する情報を取得する乗車情報取得手段と、
前記列車が停止する駅のホームの混雑に関する情報を取得する混雑情報取得手段と、
前記乗車率に関する情報と駅ホームの混雑情報とから次停車駅における停車時間の予測値を算出する予測停車時間算出手段と、
各列車の位置情報と前記停車時間の予測値とに基づいて、列車間隔が最も長くなると予測される2台の列車をワーストペアとして抽出するワーストペア抽出手段と、
所定のアルゴリズムに従った群制御を開始するか否か判定する群制御開始判定手段と、
前記ワーストペアの列車間隔に基づいて予測停車時間の規定停車時間に対する超過時間を算出する超過時間算出手段と、
前記群制御開始判定手段が、群制御を開始すると判定した場合に、前記超過時間を
先行の列車と後続の列車のうち基準となる列車に近い列車ほど配分量が多くなるように設定された傾斜配分係数で分配し、前記ワーストペアのうち後ろの列車を基準としてそれよりも先行の列車と後続の列車へ、
前記規定
停車時間に前記分配された時間を加算した停止時間情報を生成する停止時間情報生成手段と、
前記停止時間情報生成手段により生成された情報を、対応する先行の列車
および後続の列車
のそれぞれへ送信する情報送信手段と、
を備えていることを特徴とする
列車運転システム。
【請求項2】
前記駅のホームの混雑に関する情報は、前記ホームを列車の車両長さに応じて長手方向に分割したエリアごとの混雑を表わすスポット情報として提供されることを特徴とする請求項1に記載の
列車運転システム。
【請求項3】
前記群制御開始判定手段が、群制御を開始すると判定した場合に、前記停止時間情報生成手段が生成した停止時間情報に応じて、後続の列車へ通常時の走行速度よりも遅い速度で走行することを指示するコマンドを生成するコマンド生成手段を備え、
前記情報送信手段は、前記停止時間情報生成手段により生成された情報と、前記コマンド生成手段により生成されたコマンドを、対応する後続の列車へ送信するように構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の
列車運転システム。
【請求項4】
前記群制御開始判定手段は、前記ワーストペア抽出手段により抽出されたワーストペアの列車間隔が所定のしきい値を超えた場合に群制御を開始することを決定するように構成されていることを特徴とする請求項1~
3のいずれかに記載の
列車運転システム。
【請求項5】
前記複数の列車は、各々所定の走行パターンに従って走行駆動装置およびブレーキ装置を制御する運転制御手段および車両ごとの乗客数に関連する情報を検出する乗客数関連情報検出手段を有す
る自動運転列車
であり、
前記自動運転列車が利用者の乗降のために停止する駅に対応して設けられ、対応する駅のホームの混雑状況に関する情報を提供する駅情報管理装置
をさらに備えていることを特徴とする
請求項1~4のいずれかに記載の列車運転システム。
【請求項6】
前記駅情報管理装置は、
駅のホームに設置された撮像装置からの画像情報を画像処理して利用者を識別可能な画像処理手段と、
駅の改札口に設置された改札機から入場者情報を取得する改札機情報取得手段と、
を備え、前記画像処理手段により識別された利用者情報と前記改札機情報取得手段によって取得した入場者情報とに基づいて、ホームを長手方向に分割したエリアごとの混雑を表わすスポット情報を生成するように構成されていることを特徴とする請求項
5に記載の
列車運転システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、列車群制御装置および列車自動運転システムに関し、特に列車間隔の乱れを自動的に解消するのに利用して有用な列車群の制御技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、鉄道車両の車上装置と地上装置との間で無線通信を行なって列車を運行させるようにした自動運転システムには、計画ダイヤと各列車の位置、走行パターン(荷重に応じた速度パターンや到着予想時分等)を中央装置で管理できるように構成した列車自動運転システムにおいて、複数の列車間に進路競合が予測される場合に時間調整量を修正し路線上での不所望な抑止を回避するようにした発明や、乗車率が高い際の加速不良やATCによる先行列車との間隔制御などで遅れが生じた場合に到着時間の余裕に応じて省エネパターンを自動選択するようにした発明が提案されている(特許文献1、2参照)。
また、列車重量に応じた走行パターンを地上のチェックポイントの通過速度を予測し、線区を走行中の全列車の走行パターンを運行管理装置で監視することで遅れが予測される列車の出発合図を調整するようにした発明が提案されている(特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平5-131931号公報
【文献】特許第6047827号公報
【文献】特許第6275599号公報
【文献】特許第6393531号公報
【文献】特開平6-56036号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1~3のいずれの先行発明も、計画ダイヤを基準として列車の在線位置に応じた遅れ時間の検出をトリガーに定時運行(回復)に向けた制御を開始する仕組みであり、遅れ事象の起点である駅の混雑や乗降時間の変動に応じた動的な制御はできていない。このため、走行パターン制御の最も大きな外乱である乗降時間の変動影響は、予め設定した計画ダイヤ上の余裕時分のみで吸収する形となり、特に首都圏線区のように、一部の駅で生じた乗降時間の超過が運転間隔の不均衡や、これによる後続列車に遅れが伝搬する事象を解消するには、ベテラン乗務員や指令員による経験的な運行調整に頼る以外なく、システムを活用した制御ができていないという課題がある。
【0005】
なお、特許文献4には、各駅の統計的実績情報に基づく降車率と各列車の実混雑率(乗車率)とから、各駅における対象列車の混雑率を予測し、予測混雑率情報と列車間隔情報を生成する技術が開示されている。
しかし、特許文献4に記載されている発明は、予測混雑率情報と列車間隔情報を旅客が乗車列車を選択するのを支援するために提供することを目的としており、予測混雑率情報と列車間隔情報に基づいて列車の次駅停車時間や走行速度を制御することについては記載されていない。
【0006】
また、特許文献5には、列車ダイヤ、列車速度・位置情報を読み込み、各列車の目標速度を算出して第1の速度指令を得、列車速度・位置情報と共に出力する進路制御装置と、進路制御装置からの第1の速度指令、列車速度・位置情報を読み込み、運行の列車ダイヤと比較して列車遅れを回復するようにまた前後の列車間隔がほぼ等間隔となるように各列車の目標速度を算出して第2の速度指令を得、かつこの第2の速度指令が第1の速度指令と異なる場合は当該第2の速度指令を進路制御装置に出力する列車群制御装置とを有し、列車遅れを回復するとともに前後の列車間隔がほぼ等間隔となるように各列車の速度を制御する列車運行管理システムに関する発明が開示されている。
【0007】
しかし、特許文献5には、列車の各車両の乗車率と駅のホームの混雑率に基づいて次停車駅での乗降時間(停車時間)を予測することや、予測した停車時間に基づいて後続列車や先行列車の次駅停車時間や走行速度を制御することについては記載されていない。
本発明は上記のような課題に着目してなされたもので、列車間隔の乱れおよびそれに伴う遅延の拡大が予想される場合に、列車間隔の乱れを解消し遅延の拡大を防止することができる列車群制御装置および列車自動運転システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本出願に係る発明は、
走行する列車の位置を把握し列車の走行に関する制御情報を前記列車へ送信する機能を有する列車群制御装置と、予め設定された規定停車時間または前記列車群制御装置から送信されて来る停止時間情報に応じた時間だけ少なくとも駅に停止した後に発車する複数の列車と、を有する列車運転システムにおいて、
走行する列車の車両ごとの乗車率に関する情報を取得する乗車情報取得手段と、
前記列車が停止する駅のホームの混雑に関する情報を取得する混雑情報取得手段と、
前記乗車率に関する情報と駅ホームの混雑情報とから次停車駅における停車時間の予測値を算出する予測停車時間算出手段と、
各列車の位置情報と前記停車時間の予測値とに基づいて、列車間隔が最も長くなると予測される2台の列車をワーストペアとして抽出するワーストペア抽出手段と、
所定のアルゴリズムに従った群制御を開始するか否か判定する群制御開始判定手段と、
前記ワーストペアの列車間隔に基づいて予測停車時間の規定停車時間に対する超過時間を算出する超過時間算出手段と、
前記群制御開始判定手段が、群制御を開始すると判定した場合に、前記超過時間を先行の列車と後続の列車のうち基準となる列車に近い列車ほど配分量が多くなるように設定された傾斜配分係数で分配し、前記ワーストペアのうち後ろの列車を基準としてそれよりも先行の列車と後続の列車へ、前記規定停車時間に前記分配された時間を加算した停止時間情報を生成する停止時間情報生成手段と、
前記停止時間情報生成手段により生成された情報を、対応する先行の列車および後続の列車のそれぞれへ送信する情報送信手段と、を備えているように構成したものである。
【0009】
上記のように構成された列車群制御装置によれば、車両ごとの乗車率および駅のホームの混雑状況に基づいて次停車駅における停車時間が予測されるため、車両の乗車率または駅ホームの混雑率のいずれかに基づいて停車時間を予測する方式に比べて精度の高い予測を行うことができる。また、規定停止時間に分配された時間を加算した停止時間情報を先行の列車と後続の列車へ送信するため、列車間隔の乱れおよびそれに伴う遅延の拡大が予想される場合に、列車間隔の乱れを解消し遅延の拡大を防止することができる。
また、超過時間を、前記先行の列車と後続の列車のうち基準となる列車に近い列車ほど配分量が多くなるように設定された傾斜配分係数に従って分配するため、超過時間を等分して先行列車や後続列車に分配する場合に比べて、精度の高い群制御を行うことができ、短時間に列車間隔の乱れを解消し遅延の拡大を防止することができる。
【0010】
ここで、望ましくは、前記駅のホームの混雑に関する情報は、前記ホームを列車の車両長さに応じて長手方向に分割したエリアごとの混雑を表わすスポット情報として提供されるようにする。
かかる構成によれば、車両の乗車率と駅ホームのスポットごとの混雑率を対応させて総合的に判断することができるため、より精度の高い次駅停止時間の予測を行うことができる。
【0011】
また、望ましくは、前記群制御開始判定手段が、群制御を開始すると判定した場合に、前記停止時間情報生成手段が生成した停止時間情報に応じて、後続の列車へ通常時の走行速度よりも遅い速度で走行することを指示するコマンドを生成するコマンド生成手段を備え、
前記情報送信手段は、前記停止時間情報生成手段により生成された情報と、前記コマンド生成手段により生成されたコマンドを、対応する後続の列車へ送信するように構成する。
【0012】
上記のような構成によれば、列車間隔の最も長いワースト列車の後続の列車へ、通常時の走行速度よりも遅い速度で走行することを指示するコマンドが送信されるため、例えばワースト列車の次駅での実停車時間が予測した停車時間よりも伸びたような場合に、ワースト列車の後続の列車が駅間で停止する事態が生じるのを回避することができる。
【0014】
また、望ましくは、前記群制御開始判定手段は、前記ワーストペア抽出手段により抽出されたワーストペアの列車間隔が所定のしきい値を超えた場合に群制御を開始することを決定するように構成する。
かかる構成によれば、ワースト以外のペアの列車間隔に基づいて群制御を開始する場合に比べて、より短時間に列車間隔の乱れを解消し遅延の拡大を防止することができる。
【0015】
また、本出願に係る他の発明は、前記複数の列車は、各々所定の走行パターンに従って走行駆動装置およびブレーキ装置を制御する運転制御手段および車両ごとの乗客数に関連する情報を検出する乗客数関連情報検出手段を有する自動運転列車であり、
前記自動運転列車が利用者の乗降のために停止する駅に対応して設けられ、対応する駅のホームの混雑状況に関する情報を提供する駅情報管理装置をさらに備えているように構成したものである。
【0016】
上記のような構成の列車自動運転システムによれば、自動運転の列車が走行する路線において、列車間隔の乱れおよびそれに伴う遅延の拡大が予想される場合に、列車間隔の乱れを自動的に解消し遅延の拡大を防止することができる。
【0017】
また、望ましくは、前記駅情報管理装置は、
駅のホームに設置された撮像装置からの画像情報を画像処理して利用者を識別可能な画像処理手段と、
駅の改札口に設置された改札機から入場者情報を取得する改札機情報取得手段と、
を備え、前記画像処理手段により識別された利用者情報と前記改札機情報取得手段によって取得した入場者情報とに基づいて、ホームを長手方向に分割したエリアごとの混雑を表わすスポット情報を生成するように構成する。
かかる構成によれば、駅のホームの所定時間後の混雑率を精度よく予測することができ、それによって着目する列車の次駅での停車時間の予測精度を高めることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る列車群制御装置および列車自動運転システムによれば、列車間隔の乱れおよびそれに伴う遅延の拡大が予想される場合に、列車間隔の乱れを解消し遅延の拡大を防止することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明に係る列車自動運転システムの一実施形態を示すシステム構成図である。
【
図2】列車および駅の混雑状況の把握の仕方を示す模式図で、(A)は予測処理を実行する時点での着目する列車および次駅の混雑率、(B)は当該列車が次駅に到着する時点での列車および次駅の混雑率を示す。
【
図3】本発明を適用して有効な環状線の構成例と運転状況の例を示す説明図である。
【
図4】列車自動運転システムの構成する列車群制御装置により実行される制御処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【
図5】本発明の変形例で使用する乗客数を縦軸、運行間隔を横軸にとった制御判定マップの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら本発明に係る列車群制御装置および列車自動運転システムの一実施形態について説明する。
図1は本発明に係る列車自動運転システム全体の構成例を示すブロック図である。
図1に示すように、本実施形態に係る列車自動運転システムは、列車10に搭載された自動運転制御機能を有する車上システム20と、列車の位置や進路を把握しダイヤに従って走行しているか監視して図示しない信号保安システムへ進路情報を出力するとともに走行中の列車へ各種制御情報を送信する列車運行システム30と、各駅に設けられプラットホーム(以下、ホームと略す)の混雑情報等を列車運行システム30へ送信する駅情報管理装置41によって構成されている。
【0021】
このうち、車上システム20は、信号保安システムのATC(自動列車停止制御)地上装置からの停止位置情報に基づいてブレーキ装置を制御するATC車上装置21と、列車運行システム30からの次駅停車時刻等の情報に基づいて走行パターン(ATOパターン)を生成し駆動装置(モータ)およびブレーキ装置を制御して走行パターンに従って走行させるATO車上装置22、ATO車上装置22と外部装置との間の信号のやり取りを行う車両インタフェース(車両I/F)23、車両ID(識別コード)やATCパターンを記憶した記憶装置24などを備える。
【0022】
また、各列車10には、車両ごとに重量を検出するためのセンサが搭載されており、ATO車上装置22は重量センサからの情報に基づいて車両ごとの乗車率(混雑率)を算出して、乗車率を車両IDとともに列車運行システム30へ送信する機能を有する。さらに、各列車10には、走行速度および走行距離を算出するために車輪の回転数を検出する速度発電機が搭載されており、ATC車上装置21およびATO車上装置22は速度発電機からの信号に基づいて列車の走行速度を算出と走行制御に利用するとともに、ATO車上装置22は速度発電機からの信号に基づいて列車の走行距離を算出し、走行距離と始点位置とから在線位置を算出して列車運行システム30へ送信する機能を有する。なお、ATO車上装置22は、各車両の車内に設置されたカメラが撮影した画像を画像処理することによって、乗客数を把握し、乗車率を算出して列車運行システム30へ送信するように構成しても良い。
【0023】
列車運行システム30は、列車番号毎に「各駅出発時刻と次駅到着時刻、次駅到着時刻と予定時刻からの遅延時間に関する情報を含む実施ダイヤ情報」を格納したデータベースを備え、列車在線位置の情報に基づいてデータベース内の実施ダイヤ情報を参照して列車番号ごとに在線位置と時刻に応じた進路を設定するダイヤ管理装置31と、列車在線位置の情報とダイヤ管理装置31内の実施ダイヤ情報に基づいて管轄内の全列車の位置を列車番号と紐づけて把握するとともに各列車のATO車上装置22に対して制御情報を送信する機能を有する列車制御装置としてのATO中央装置32を備える。ダイヤ管理装置31とATO中央装置32と駅情報管理装置41は、通信ネットワーク33を介して互いにデータ送受信可能に接続されている。
【0024】
また、通信ネットワーク33には、ATO車上装置22との間でデータ送受信を行う送受信部34が接続されている。ATO車上装置22と送受信部34との間の通信は無線通信であり、軌道の所定位置に設けられた地上子11を介して情報を送受信する形態のものでも良いし、軌道回路の電流に乗せた信号で情報を送受信する形態のものでも良い。また、既存の路線で採用されているデジタル列車無線を使用するものであっても良い。
上記ATO中央装置32は、マイクロプロセッサ(MPU)と、MPUが実行するプログラムを記憶するROMのような不揮発性記憶装置とRAMのような読み出し書き込み可能な記憶装置と、ネットワーク通信手段などから構成される。
【0025】
また、ATO中央装置32は、ダイヤ管理装置31から実施ダイヤ情報を、また管理下の全列車のATO車上装置22から車両IDや列車位置および運転方向、運転モードなどの情報を取得して列車運行状況を把握して、ATO車上装置22へ送信する適切な制御コマンドや次駅停止時間情報等を生成する機能を有するように構成されている。
一方、ATO車上装置22は、車両に搭載されている記憶装置24に予め記憶されている駅間ごとに作成された走行パターン(ATOパターン)を読み出して、あるいはATO中央装置32からの次駅停車時刻等の情報に基づいて走行パターンを生成して、その走行パターンとそのときの列車の位置や走行速度に基づいて必要なノッチ指令を力行/制動制御部へ出力し、走行駆動装置(モータ)およびブレーキ装置(制動装置)を制御して走行パターンに従って走行させる機能を有する。
【0026】
駅情報管理装置41は、監視対象となる路線の各駅の時間帯ごとに各ホームのスポット混雑率を実績データに基づく統計処理等によって算定したデータを記憶するデータベースを備えており、ATO中央装置32からの要求に応じてスポット混雑率の情報を送信する機能を有する。なお、統計データを使用する代わりに、各ホームにカメラ42を設置し、カメラ42により撮影した画像を処理することによってスポット混雑率を取得するようにしても良い。また、駅情報管理装置41は、駅の改札機からの情報や乗換駅の場合には他路線の駅到着時刻と混雑情報(降車乗客数情報)をリアルタイムで取得して、ホーム構造情報(例えば階段位置)とからスポット混雑率を算出するようにしても良い。各車両の乗車率やスポット混雑率には車椅子利用者等の人数を含ませて、それらの情報に基づいて予測駅停車時間を補正するようにしても良い。
【0027】
本実施形態の列車自動運転システムにおいては、局所的な混雑の発生など何らかの原因でいずれかの列車において自動回復が不能な遅延が発生し、列車間隔の乱れおよびそれに伴う遅延の拡大が予想される場合に、ATO中央装置32が各列車のATO車上装置22へ適切な次駅停車時間情報等を送信することにより、列車間隔の乱れを解消し遅延の拡大を防止する機能を備えるように構成されている。
さらに、通信ネットワーク33には、ATO中央装置32におけるATO車上装置22から収集した情報や駅情報管理装置41から収集した情報、制御モード等の状態監視情報を表示装置に表示させる機能を有する指令端末35が接続されている。この指令端末35は、ATO中央装置32に対して、個別制御モードまたは群制御モードの自動選択機能の有効/無効を設定したり、例えば豪雨や強風、事故等の発生時に、指定した区間で速度を抑えて運転する臨時速度制限のような指令(コマンド)をATO中央装置32に対して与えたりすることが可能に構成されている。
【0028】
次に、本実施形態の列車自動運転システムの概要について、
図2~
図4を用いて説明する。なお、以下の実施例では、環状線を走行する列車の制御を例にとって説明する。
図2は、ATO中央装置32における列車および駅の混雑状況の把握の仕方を示す模式図である。このうち(A)は予測処理を実行する時点での着目する列車および次駅混の雑率、(B)は当該列車が次駅に到着する時点での列車および次駅の混雑率を表わしている。
【0029】
図2(a)には、列車が5両編成である場合における混雑状況を、車両ごとの乗車率で表わしたものが示されている。各車両の乗車率は、各車両に設けられている重量センサからの信号に基づいて算出した計測重量から予め分かっている車両重量を引いたものを、予め設定されている定員数の乗客の総体重で除した値を百分率で表わしたものである。なお、各列車には列車IDが付与されており、ATO中央装置32は列車IDと車両番号とから各車両の乗車率を把握することができる。
【0030】
図2(b)は、駅の混雑状況を、ホームのうち列車が停車する範囲を長手方向に沿って車両の長さに相当する長さごとに分割した各スポットエリア(図では5箇所)の混雑状況を表わしたものであり、ここでは各スポットエリアSA1~SA5で列車待ちをしている利用者の数を待機可能な最大利用者数で除した値を百分率で表わしている。なお、各駅には駅IDとプラットホーム番号が付与されており、ATO中央装置32は駅IDとプラットホーム番号とスポットエリアSA1~SA5の番号から各車両の乗車率を把握することができる。
【0031】
各スポットエリアの混雑率は、上記のようにホームを基準とする代わりに、列車待ちをしている利用者が到着した列車の車両に乗車した場合に増加すると予想される増加乗車率に換算して把握するようにしても良い。
後述の次駅停止時間の算出においては、最も乗車率の高い車両と最も混雑率の高いスポットに依存して停止時間が決定される。従って、最も乗車率の高い車両と最も混雑率の高いスポットが合致した場合に、その位置で想定される乗降時間が最も長くなる。
【0032】
本実施形態の列車自動運転システムにおいては、ATO中央装置32は、着目する列車から無線通信で取得した各車両の乗車率と、当該列車が次に停車する駅の駅情報管理装置41から取得した停車するホームの各スポットの混雑率と、予め統計処理によって算出しデータベースに記憶されている各車両の降車率(車両の乗客のうち降車すると予想される利用者の割合)に基づいて利用者が乗降に要する時間を予測する。
具体的には、各車両のうち最も乗車率の高い車両の乗車率と、次停車駅のホームのうち最も混雑率の高いスポットの混雑率と、予め統計処理により設定されデータベースに記憶されている情報(到着までに増加する混雑率、混雑率に対応した乗降所要時間)に基づいて利用者が乗降に要する時間を予測する。また、各車両の乗車率と次駅の各スポットの混雑率とから車両ごとに乗降所要時間を算出して、最も長いものを予測乗降時間として決定するように構成しても良い。
【0033】
そして、予測した乗降時間が予め設定されている停車時間を超えるとATO中央装置32が判断した場合には、予測乗降時間に余裕時間を加算して停車時間情報を生成し、対応する列車のATO車上装置22へ送信する処理を実行可能に構成されている。また、ATO中央装置32は、上記のようにして走行している各列車の乗車率および駅の混雑率をリアルタイムで把握して、ある列車の次駅停車時間が、遅延回復運転で回復可能な所定時間を超過すると判断した場合に、後続の列車や先行する列車に対して、次駅停車時間を延長したり速度を通常よりも抑えた運転を実行したりするように指示する制御情報を送信可能に構成されている。
【0034】
図3は時計回り方向に列車が周回する線路と半側に時計回り方向に列車が周回する線路を備えた環状線のうち一方の線路の構成例と運転状況の例を示す。
図3において、丸印は環状に敷設された鉄道線路12上を走行する列車、線路12に沿って所定の間隔をおいて設けられている矩形枠は駅であり、実線は実績停車時間のある駅、破線は停車時間予測対象の駅である。また、列車A,Bは最も列車間隔が開いた前後2台の列車である。なお、
図3において、鉄道線路12上の各列車A,Bは半時計回り方向に走行するものとする。
【0035】
図3のうち、(A)は列車遅延のない平常時の運転状況を、(B)はあるひとつの列車(Tb)が規定された停車時間を超過した場合の運転状況を示す。ひとつの列車が規定停車時間を超過すると、(B)に示すように、超過を起こした列車Bが遅延して先行の列車Aとの間隔が長くなり、後続の列車Cとの間隔が短くなる。
そして、このような状況を放置しておくと、
図3(C)に示すように、列車Bと先行の列車Aとの間隔がさらに長くなるとともに、後続の列車Cとの間隔がどんどん短くなって、複数の列車が団子状態で走行する状況が発生して輸送力が低下し、ますます遅延が増大することが知られている。
【0036】
本実施形態においては、
図3(B)に示すような状況が発生した場合には、停車時間の超過を起こした列車とその前後の複数の列車に対して、ATO中央装置32が群制御を実施することによって、列車間隔を平常に戻して輸送力を回復させることができるように構成されている。以下、ATO中央装置32による群制御の内容について説明する。
群制御は、先行列車間隔拡大の抑制制御と後続列車間隔縮小の抑制制御とに分けられる。このうち、先行列車間隔拡大の抑制制御は、列車間隔が予め定めたしきい値(距離)を超過した場合に、列車群の中で最も列車間隔の拡大した2列車のうち後続側列車(以降、基準車と称する)から数えてn本先、n-1本先、n-2本先、……1本先の先行列車群に対して、基準車の直近の駅停車時間(超過見込み時間)に相当する間隔調整用停車時間を、傾斜配分係数を乗じて分担させるという制御である。
【0037】
具体的には、例えば間隔調整用停車時間が5分(300秒)で、nが「4」である場合、4本先の先行列車に対しては予定停車時間に30秒の分担時間を加算し、3本先の先行列車に対しては予定停車時間に60秒の分担時間を加算し、2本先の先行列車に対しては予定停車時間に90秒の分担時間を加算し、1本先の先行列車に対しては予定停車時間に120秒の分担時間を加算して、それぞれ調整停車時間情報を生成して対応する先行列車へ送信する。上記の場合、分配係数の比は1:2:3:4であるが、分配係数はこれに限定されるものでなく、例えば駅間距離の比に対応させるなど、走行環境や走行パターンを考慮して決定するようにしても良い。
【0038】
一方、後続列車間隔縮小の抑制制御は、基準車の1本後ろの後続列車に対し、運転モードをスロー運転に切り替える指令を送信するとともに、基準車から数えてm本後ろ、m-1本、m-2本、……1本後ろの各後続列車群に対して、基準車の直近の駅停車時間(超過見込み時間)に相当する間隔調整用停車時間を、傾斜配分係数を乗じて分担させるという制御である。具体的な分担のさせ方は、先行列車間隔拡大の抑制制御の場合と同様で良い。
なお、上記制御におけるnやmの数は、間隔調整用停車時間の長さや走行環境(駅間距離の大小、カーブ区間の有無等)に応じて動的に変化させるようにする。また、先行列車に対しても運転モードをスロー運転に切り替える指令を送信するようにしても良い。
【0039】
次に、
図4を用いて、本実施形態の列車自動運転システムにおける列車間隔の乱れを解消するための群制御の具体的な手順の一例について説明する。
なお、群制御が開始される直前の初期状態においては、各列車は、個別制御モードすなわち各列車のATO車上装置22がATO中央装置32からの指令を受けることなく自己の判断で、自身の実施ダイヤ情報に基づいて決定したATOパターンに従って運転制御を実行して走行している(ステップS1)。また、各列車は、個別制御モードにおいて、運転中に遅延が生じた場合には遅延を回復するための制御(遅延回復運転)を実行可能に構成されている。これにより、ある程度の遅延は回復することができる。
【0040】
上記のように各列車が個別制御モードで運転している状態において、ATO中央装置32は、各列車のATO車上装置22から列車IDと各車両(号車)の乗車率と列車在線位置の情報を取得する(ステップS2)。また、各駅に設けられている駅情報管理装置41からホームIDとスポットごとの混雑率を取得する(ステップS3)。続いて、ATO中央装置32は、取得した情報に基づいて、走行している列車ごとに停車中の駅または次停車での規定停車時間からの超過時間を算出(予測を含む)し、超過時間が予め設定した時間(例えば遅延回復運転で回復可能な時間)よりも長い遅延列車(複数の場合もある)を絞り込む(ステップS4)。
【0041】
次に、ATO中央装置32は、ステップS4で絞り込んだ列車を基準列車とし、その基準列車と先行列車との集合の中から列車間隔(距離)が最も大きなワーストペアを抽出し、群制御対象のペア列車A,Bとして記憶する(ステップS5)。続いて、ワーストペアの列車間隔が予め設定された群制御開始条件となるしきい値距離よりも大きいか否か判定する(ステップS6)。
そして、ステップS6で、「YES」すなわちワーストペアの列車間隔がしきい値距離よりも大きいと判定した場合は、ステップS7へ進み、最初のYES判定であるか否か判定する。ここで、最初のYES判定の場合にはステップS8へ進み、2回目以降のYES判定の場合にはステップS8をスキップしてステップS9へ移行する。
そして、ステップS8では、初期状態の個別制御モードをリセットして全列車の運転モードを、ATO中央装置32からの制御情報を受け付けて運転制御に反映する平常モードに戻し、群制御モードフラグをセットする。
【0042】
続いて、ATO中央装置32は、n本の先行列車に対する列車間隔の拡大を抑制するコマンド(次駅停車時間を傾斜配分に従って決定した延長時間を含む指令)を生成し送信する(ステップS9)。また、m本の後続列車に対する列車間隔の拡大を抑制するコマンド(スロー運転を指示する指令と次駅停車時間を傾斜配分に従って決定した延長時間を含む指令)を生成し送信する(ステップS10)。その後、ステップS12へ進み、先行列車Bが次駅に到着したか否か判定し、到着したと判定した場合にはステップS4へ戻って、既に設定した群制御対象の列車に関して再演算を実行する。なお、このとき、ATO中央装置32は、ATO車上装置22と駅情報管理装置41から取得した最新の列車在線位置情報、車両の乗車率、ホームのスポット混雑率の情報に基づいて演算を実行する。
【0043】
一方、ステップS6で「NO」すなわちしきい値距離よりも小さいと判定すると、ステップS11へ移行してリセット処理を実行する。このリセット処理では、上記ステップS5で抽出し記憶したワーストペアの情報をリセットする。また、2回目以降のループのステップS6で「NO」と判定した場合には、ワーストペア情報のリセットとステップS8でセットした群制御モードフラグのリセットを実行し、先行列車と後続列車に対して設定したコマンドを解除する。その後、ステップS2へ戻って、情報の取得と演算を実行する。
【0044】
上記のような手順に従った処理によれば、列車間隔の乱れを解消し遅延が拡大するのを防止することができる。
さらに、上記実施形態の列車自動運転システムにおいては、汎用のマルチエージェントシミュレータ(一定のルール化で自律して移動する複数の座標を制御モデルとした模擬社会環境)を活用し、列車走行線区と駅停車、混雑や乗降時間等の列車運行モデルを構築した上で、上記実施形態の制御アルゴリズムを適用するように構成することができ、それによって、導入時のシステムの性能評価や運用後の制御調整を、上記シミュレーションを活用して実施することができる。なお、ステップS7では、ステップS6で「YES」と判定した回数を計数し、その回数を指令端末35へ送信して、指令端末35において予め設定された群制御許容時間の超過の判定を行い、超過した場合に表示装置に超過を表示して指令担当者に通知するようにしても良い。
【0045】
(変形例)
次に、上記実施形態の列車運行システムの変形例について説明する。
列車やバスなどの群制御に関しては、以下のような乗客数と運転間隔のモデル式
m’=(1-β)*m+γ*s
s’=s+b*(β*m+γ*s)-c
を使って、乗客数mを縦軸、乗降時間に応じて増減する運行間隔sを横軸にとった
図5に示すような制御判定マップを作成し、交通機関の利用者の待ち時間を減らす制御技術が知られている。なお、上記モデル式において、m’およびs’は着目する列車が次駅を発車する時の乗客数および先行列車との間隔(時間)、γは駅の乗客増加率、βは次駅の乗客の降車率、b,cは係数である。また、Aは不動点でありその座標は、m=c/2bβ、s=c/2brで与えられる。
【0046】
図5に示す制御判定マップにおいて、不動点Aを通る右下がりの直線Dの右上の領域と左下の領域とでは、(m,s)の動きが全く異なり、直線Dの左下領域E1のある点からスタートすると列車の間隔は縮まり乗客の数も減って行くのに対し、右上の領域E2のある点からスタートすると曲線に沿って列車の間隔は延びいずれ斜め右上の方向へ出て行ってしまうことになる。
平常時の列車の間隔と乗客数は、不動点Aの少し左下にあり、放っておけば列車の間隔はだんだん狭くなるが、通常はそうはならないように各駅で少しずつ発車時刻を遅らせて調整することが実施されている。
【0047】
一方、何かの原因で(m ,s) がこの斜めの直線の右上に出てしまった場合には、放っておくと、前の列車との間隔はどんどん開き、後続の列車との間隔が詰まって来る。すると後続の列車も遅れるので、その後ろの列車との間隔も縮まることとなり、環状線では走っている列車はいくつかのダンゴ状態に固まってしまい、ダンゴ状態の列車群のスピードは先頭の列車のスピードで抑えられるため、単位時間に運べる客の数が減少し、輸送能力が低下することになる。
【0048】
そこで、本変形例においては、前記実施形態の
図4のフローチャートのステップS6で行なっている群制御を開始するか否かの判定を、
図5のマップを使用して行うようにするものである。具体的には、ワースト列車ペアの抽出後に、当該列車の乗客数と先行車との運行間隔をマップに当てはめて判定する。そのため、
図5のマップをテーブルデータ化して、ATO中央装置32のデータベースに記憶しておき、乗客数と運行間隔を算出し、テーブルデータを用いて
図5のマップのどのゾーンにいるか判断して群制御を開始するか否か判定するようにする。
上記のような判定方式とすれば、前記実施形態におけるホーム混雑率等のリアルタイム情報を使った予測値を使う方式に加え、より定量的に制御モード切換指標を管理することができる。なお、各駅間が等距離である場合には、
図5のマップ(テーブルデータ)は一つで良いこともあるが、実際の環状線は駅間距離がそれぞれ異なるので、駅ごとあるいは駅間ごとにマップ(テーブルデータ)を用意しておくようにするのが望ましい。
【0049】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変形や変更が可能である。例えば、上記実施形態では、ATO中央装置32が各駅に設置されている駅情報管理装置41からホームの混雑率の情報を取得しているが、各駅の駅情報管理装置41から混雑率情報を収集するデータ収集装置を設けて、ATO中央装置32はデータ収集装置から各駅のホームの混雑率情報を取得するように構成しても良い。また、ダイヤ管理装置31の代わりまたはダイヤ管理装置31と共に、複数の路線の列車の運行状況を監視する列車運行管理装置を設け、列車運行管理装置から実施ダイヤ情報を取得するようにしても良い。
また、上記実施形態では、駅のホームの混雑状況に関する情報を、ホームを列車の車両長さに応じて長手方向に分割したエリアごとの混雑を表わすスポット情報として提供しているが、ホームの長手方向に沿って連続した混雑分布を示す情報として提供するようにしても良い。
【0050】
さらに、上記実施形態では、本発明を環状線に適用した場合について説明したが、始発駅と終着駅が固定され、各列車が所定時間ごとに折返し運転するような路線に対しても適用することができる。また、上記実施形態では、本発明を列車自動運転システムに適用した場合について説明したが、列車自動運転システムに限定されず、運転士がノッチを操作して加速、減速、停止などの制御を行う列車が走行する路線において列車間隔の乱れが発生した場合に適用して、次駅停止時間情報を各列車に送信して表示装置に表示させ、その情報に基づいて運転士がノッチ操作を行うことによって列車間隔の乱れを解消する場合にも利用することができる。
【符号の説明】
【0051】
10 列車(車両)
11 地上子
12 鉄道線路
20 車上システム
21 ATC車上装置
22 ATO車上装置
23 車両インタフェース
24 記憶装置
30 列車運行システム
31 ダイヤ管理装置
32 ATO中央装置(列車制御装置)
33 通信ネットワーク
41 駅情報管理装置