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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-05
(45)【発行日】2024-04-15
(54)【発明の名称】建設車両の障害物検知装置
(51)【国際特許分類】
   G08B 21/24 20060101AFI20240408BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20240408BHJP
   G01S 17/931 20200101ALI20240408BHJP
【FI】
G08B21/24
G08G1/16 C
G01S17/931
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020110120
(22)【出願日】2020-06-26
(65)【公開番号】P2022007261
(43)【公開日】2022-01-13
【審査請求日】2023-04-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000182384
【氏名又は名称】酒井重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 涼平
【審査官】松永 謙一
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-112100(JP,A)
【文献】特開2006-321305(JP,A)
【文献】特開平08-026028(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B 21/24
G08G 1/16
G01S 17/931
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建設車両に搭載される障害物検知装置であって、
通常モードまたは夜間モードを設定する設定部及びセンサからのデータに基づいて障害物の有無を判定する判定部を備えた制御装置と、
前記制御装置からの出力信号に基づいて作業員に注意を喚起する音を出力する音出力部と、を備え、
前記通常モード中に前記障害物があると判定した場合に、前記音出力部から音を出力し、
前記夜間モード中に前記障害物があると判定した場合に、前記通常モードと比較して、前記制御装置が検知範囲に前記障害物があると判定した時から所定時間音の出力を無くすか、または前記所定時間音の出力を抑制することを特徴とする建設車両の障害物検知装置。
【請求項2】
前記判定部が前記障害物を検知した後、所定の条件下で前記建設車両を自動的に緊急停止させるブレーキ手段を有することを特徴とする請求項1に記載の建設車両の障害物検知装置。
【請求項3】
前記建設車両の速度と前記障害物までの距離との関係で構成された注意喚起マップに基づいて前記音出力部の出力を変更するように構成されており、
前記注意喚起マップは、前記緊急停止する直前に音を出力して警告する警告ゾーンと、前記警告前に音を出力して注意を喚起する注意ゾーンとを備え、
前記制御装置は、前記夜間モード中に前記障害物が前記注意ゾーンにあると判定した場合、音の出力を無くすかまたは抑制することを特徴とする請求項2に記載の建設車両の障害物検知装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設車両の障害物検知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、工事を行う作業員の作業環境を向上させる技術開発が盛んに進められている。例えば、特許文献1には、建設車両の進行方向にある障害物が所定条件を満たす場合に、自動的に緊急停止用のブレーキが作用する建設車両の障害物検知装置が開示されている。また、作業員が建設車両に巻き込まれるのを防ぐために、建設車両から周囲の作業員に注意喚起するさまざまな方法が知られている。例えば、建設車両が備えるスピーカから運転者や作業員に対して音を出力する方法や、建設車両が備える照明装置から作業員に対して光を照射する方法などがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-12394号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、例えば、道路工事などは車両交通に配慮して交通量の少ない夜間に行われることが多い。夜間の現場作業は、昼間に比べて音が拡散しやすいため、騒音対策を入念に行う必要がある。工事現場が住宅街又は住宅街に近い場合は、騒音には特に注意しなければならない。
【0005】
夜間の現場作業における騒音対策として、例えば、作業員に注意喚起するための音の出力をオフにすることが考えられる。しかし、このような方法であると、作業員が建設車両に巻き込まれるおそれが高くなるだけでなく、建設車両の運転者が周囲の作業員に気を配りながら慎重に作業を続けなければならないため作業効率が低下するという問題がある。
【0006】
また、他の騒音対策として、建設車両から作業員に注意喚起用の光を照射することが考えられる。光の照射であれば、注意喚起のための音は発生しないため騒音を低減することはできる。しかし、このような方法は、照射した光を作業員が見ていなければ、作業員に注意が伝わらないという問題がある。また、作業員が、光源を見ながら作業することは実質的に不可能である。
【0007】
そこで、本発明は、作業環境および作業効率の向上を図りつつ夜間の現場作業の騒音対策を実現することができる建設車両の障害物検知装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するための手段として、本発明の建設車両の障害物検知装置は、建設車両に搭載される障害物検知装置であって、通常モードまたは夜間モードを設定する設定部及びセンサからのデータに基づいて障害物の有無を判定する判定部を備えた制御装置と、前記制御装置からの出力信号に基づいて作業員に注意を喚起する音を出力する音出力部と、を備え、前記通常モード中に前記障害物があると判定した場合に、前記音出力部から音を出力し、前記夜間モード中に前記障害物があると判定した場合に、通常モードと比較して、前記制御装置が検知範囲に前記障害物があると判定した時から所定時間音の出力を無くすか、または前記所定時間音の出力を抑制することを特徴とする。
【0009】
前記構成によれば、夜間の現場作業の騒音対策を実現することができる。この際、夜間モード中は音の出力を必要最小限にすることで、建設車両の周囲にいる作業員の作業環境を向上させつつ、作業効率も高めることができる。また、主に昼間に使用する通常モードと、主に夜に使用する夜間モードを分けて設けることで状況に応じて音の出力を容易に変更することができる。
【0010】
また、前記判定部が前記障害物を検知した後、所定の条件下で前記建設車両を自動的に緊急停止させるブレーキ手段を有することが好ましい。
【0011】
前記構成によれば、建設車両と人や物などの障害物との衝突を低減することができる。
【0012】
また、前記建設車両の速度と前記障害物までの距離との関係で構成された注意喚起マップに基づいて前記音出力部の出力を変更するように構成されており、前記注意喚起マップは、前記緊急停止する直前に音を出力して警告する警告ゾーンと、前記警告前に音を出力して注意を喚起する注意ゾーンとを備え、前記制御装置は、前記夜間モード中に前記障害物が前記注意ゾーンにあると判定した場合、音の出力を無くすかまたは抑制することが好ましい。
【0013】
前記構成によれば、緊急性が低い注意ゾーンに障害物があるときは、音の出力を無くすか抑制することで騒音対策を実現することができる。また、緊急性が相対的に高い警告ゾーンに障害物があるときは、注意喚起の音の出力を通常通りに行うことで、夜間であっても作業員の作業環境を向上することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、作業環境および作業効率の向上を図りつつ夜間の現場作業の騒音対策を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】タイヤローラに装着した障害物検知装置の検知範囲を示す説明図であり、(a),(b)はそれぞれ平面図、側面図である。
図2】障害物検知装置の構成ブロック図である。
図3】ブレーキ手段を含む走行系の概略油圧回路図である。
図4】注意喚起マップの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1において、本発明の障害物検知装置1は、低速走行しながら作業を行う転圧ローラ等の建設車両に搭載される。図1は、タイヤ11でアスファルト路面等の転圧を行うタイヤローラ10に障害物検知装置1を搭載した場合を示している。図2において、障害物検知装置1は、投射光と反射光との時間差から距離を測定するTOF(Time Of Flight)方式の距離画像センサ(3D距離センサ)2と、距離画像センサ2の測定データに基づいて障害物Gの有無を判定する制御装置3と、を備えている。
【0017】
距離画像センサ2は、赤外線等の投射光を発光する発光部と、投射光が物体に当たった際の反射光を受光する受光部とを備えている。発光部から赤外線を送ってから反射光を受光部で受信するまでの時間を計測することで対象までの距離が測定される。距離画像センサ2からの投射角度は、例えば横方向角度が95°、縦方向角度(図1(b)に示す符号θ1)が32°であり、投射断面が横長矩形状を呈している。画像分解能は、例えば横方向に64ピクセル、縦方向に16ピクセルの計1024ピクセルである。距離画像センサ2は、タイヤローラ10の後部の車幅方向中央部に、投射光が後進方向斜め下に投射されるように取り付けられている。
【0018】
障害物Gの検知範囲に関して、投射光の投射範囲をそのまま検知範囲に設定すると、つまり車幅方向の寸法L1をタイヤローラ10の車幅寸法よりも広く設定すると、衝突のおそれがないにもかかわらず障害物Gがあると認識されて、車両が無駄に停止する事態が生じる。そのため、車幅方向に関する検知範囲(図1に斜線にて示す)4の寸法L1は、タイヤローラ10の車幅寸法と略同じに設定することが好ましい。距離画像センサ2は、障害物Gまでの距離を測定できるため、ピクセル毎の測定データ、具体的には距離画像センサ2と障害物Gとの車幅方向の距離から、車幅寸法に設定された検知範囲4に障害物Gが存在するか否かを制御装置3で判定できる。このように距離画像センサ2を用いることにより、検知範囲4の寸法L1を車両前後方向にわたって一定に確保できる。つまり、検知範囲4を、図1(a)に示すように平面視で、1辺を寸法L1とした略矩形状の範囲に容易に設定することができる。検知範囲4の車両前後方向の寸法L2は、常用される走行速度に応じて適宜に設定され、本実施形態では例えば3メートル程度に設定される。
【0019】
また、距離画像センサ2の投射光が後進方向斜め下に投射されるので、平面視したときの投射光の横方向角度θ2は、95°よりも一層大きな範囲となる。したがって、タイヤローラ10の後部両端と検知範囲4との間に形成される非検知範囲5,5について、その車両前後方向の距離L3を小さく抑えることができる。つまり、車両後部の両脇に形成される非検知の死角を小さくできる。
【0020】
制御装置3は、検知範囲4に障害物Gがあると判定したとき、車両にブレーキをかけるブレーキ手段6を備えている。ブレーキ手段6の一例を説明する。図3において、図示しないエンジンにより駆動する走行用ポンプPと、タイヤ11(図1)を回転させる走行用モータMとは、直列に接続されて油圧の閉回路U1を構成している。走行用ポンプPは、斜板式ポンプからなる。走行用ポンプPには、斜板を作動させるための油路T1と油路T2とが接続されている。油路T1と油路T2との間には、走行用ポンプPと並列に2位置3ポートの電磁バルブV1が介設されている。
【0021】
エンジンがかかっているとき、電磁バルブV1は図3における右位置にあり、油路T1と油路T2とを連通していない状態となる。したがって、エンジンがかかっているときに、運転席周りの前後進レバーを前進位置側に傾けると、斜板作動油が油路T1側から油路T2側に流れて斜板が一方側に傾く。これにより、閉回路U1において圧油が一方向側に流れ、走行用モータMが一方向に回転して車両が前進する。前後進レバーを後進位置側に傾けると、斜板作動油が油路T2側から油路T1側に流れて斜板が他方側に傾く。これにより、閉回路UIにおいて圧油が他方向側に流れ、走行用モータMが他方向に回転して車両が後進する。
【0022】
エンジンがかかっていないとき、電磁バルブV1は図3に図示されるように左位置にあり、油路T1と油路T2とは連通した状態となっている。電磁バルブV1と走行用ポンプPとの間で油圧の閉回路U2が形成され、油路T1と油路T2との間で差圧が生じないことで、斜板はニュートラル位置に位置している。これにより、閉回路U1においてHST(Hydro Static Transmission)ブレーキが作用する。
【0023】
本実施形態のブレーキ手段6は、この電磁バルブV1を利用しており、後進中に障害物が検知されたとき、制御装置3は、ブレーキ信号を出力して電磁バルブV1を右位置から左位置に切り換える。これにより、エンジンがかかった状態でかつ前後進レバーが後進位置側に傾いたままであっても、斜板がニュートラル位置に位置し、閉回路U1においてHSTブレーキが作用して、走行用モータMが停止する。なお、走行用ポンプPに内蔵されたチャージポンプP1と走行用モータMに内蔵されたネガティブブレーキM1との間には、パーキング時にネガティブブレーキM1を作動させるための電磁バルブV2が介設されている。
【0024】
制御装置3が障害物Gがあると判定してからブレーキ信号を出力するまでのタイミング、つまりブレーキ手段6のブレーキの開始タイミングは、車両の走行速度に応じて変化させることが好ましい。制御装置3は、走行速度に応じて予め設定したブレーキ開始距離と、距離画像センサ2で測定した検知範囲4に存在する障害物Gまでの距離とを比較し、障害物Gまでの距離がブレーキ開始距離以下になったとき、電磁バルブV1にブレーキ信号を出力する。
【0025】
ブレーキ開始距離は、例えば車両の実測の限界制動距離よりも若干余裕を持った距離に設定される。車両の走行速度を検出する車速センサ7(図2)としては、タイヤの回転数を検出するロータリエンコーダ等の近接センサが挙げられる。
【0026】
図2に戻って、制御装置3は、スピーカ8と、ライト9と、注意喚起マップ100をさらに備えている。また、制御装置3は、設定部31と、判定部32といった機能部をさらに備えている。
【0027】
スピーカ8は、制御装置3からの出力信号に基づいて作業員に注意を喚起する音を出力する音出力部である。スピーカ8は、例えば、タイヤローラ10の後部や運転席に配置することができるが、配置箇所はこれらに限定されない。スピーカ8が出力する音は、音声を含めることができる。
【0028】
ライト9は、制御装置3からの出力信号に基づいて作業員に注意を喚起する光を出力する光出力部である。ライト9は、例えば、タイヤローラ10の後部に配置することができるが、配置箇所はこれに限定されない。ライト9の光は、スピーカ8の音とは別個に出力するようにしてもよいが、本実施形態ではスピーカ8の出力と同期して光が出力するように設定されている。
【0029】
設定部31は、タイヤローラ10に対して、通常モードまたは夜間モードを設定することができる。通常モードは、例えば、現場作業が昼間のときに設定されるモードである。夜間モードは、例えば、現場作業が夜間または騒音対策を入念に行わなければならないときに設定されるモードである。通常モードと夜間モードは、スピーカ8から出力される音の態様が相違する。通常モードと夜間モードの相違については後記する。
【0030】
設定部31は、例えば、タイヤローラ10の運転者の操作により通常モードまたは夜間モードが選択可能となっている。制御装置3の表示部(例えば、モニタ)に、通常モードを選択しているか、夜間モードを選択しているかを表示することができる。これにより、運転者が作業時にどちらのモードになっているか把握することができる。
【0031】
判定部32は、前記したように距離画像センサ2からのデータに基づいて障害物Gの有無を判定する。距離画像センサ2から送信されるデータには、検知範囲4(図1)のピクセルごとの測定データが含まれている。
【0032】
注意喚起マップ100は、作業員に対する注意喚起レベルを示すとともに音の出力を変化させるタイミングを規定したマップである。図4に示すように、注意喚起マップ100は、タイヤローラ10の速度(作業速度[km/h])と障害物G(対象物)までの距離[m]との関係で構成されたグラフで特定することができる。注意喚起マップ100の領域は、注意喚起の緊急度に応じて不感帯ゾーン101、注意ゾーン102、警告ゾーン103、緊急ブレーキ作動ゾーン104に分けることができる。つまり、注意喚起マップ100は、車両の作業速度および障害物Gまでの距離に基づいて注意喚起の態様、つまり、注意喚起を促す音の出力を変化させるように設定している。
【0033】
注意喚起マップ100の緊急ブレーキ作動ライン105は、前記した緊急ブレーキ(HSTブレーキ)が作動するラインである。なお、注意喚起マップ100は、前記した限界制動距離などの車両の性能や走行テストから得られた複数のデータから適宜生成することができる。
【0034】
不感帯ゾーン101は、スピーカ8から音を出力しない緊急度が極めて低い領域である。つまり、制御装置3は、障害物Gが車両の進行方向にあると判定しているが、音による注意喚起までは要しない領域である。
【0035】
注意ゾーン102および警告ゾーン103は、スピーカ8から注意喚起用の音を出力する領域である。警告ゾーン103は、注意ゾーン102よりも緊急度が高いため、注意ゾーン102よりも注意喚起レベルが大きい態様となっている。例えば、警告ゾーン103では、注意ゾーン102よりも大きな音や、異なる警報音で注意喚起を行う。
【0036】
緊急ブレーキ作動ゾーン104は、ブレーキ手段6による緊急ブレーキを作動させたことを知らせるための音を出力する領域である。車両の状況が緊急ブレーキ作動ライン105に達すると、車両が自動的に停止するため、例えば、警告ゾーン103と同等またはそれよりも大きな音で緊急停止したことを運転者および作業員に知らせる。
【0037】
制御装置3は、通常モードが選択されていて、障害物Gがあると判定された場合、注意喚起マップ100に基づいて、そのゾーンに適した出力信号をスピーカ8に送信する。
一方、制御装置3は、夜間モードが選択されていて、障害物Gがあると判定された場合、警告ゾーン103および緊急ブレーキ作動ゾーン104では通常モードと同じようにスピーカ8に出力信号を送信する。しかし、本実施形態では、制御装置3は、注意ゾーン102ではスピーカ8に出力信号を送信しない。つまり、夜間モードを選択しており、かつ、注意ゾーン102に属するときは音が出力しないように設定されている。
【0038】
(作用)
次に、具体的な作用について説明する。ここでは、通常モードが選択されており、タイヤローラ10が2[km/h]で後進して転圧作業をしている場合について説明する。この場合、障害物G(作業員)とタイヤローラ10との距離が4.0[m]となると、制御装置3は、注意喚起マップ100に従い、注意ゾーン102による音をスピーカ8から出力する。
【0039】
その後、さらに後進し、タイヤローラ10と障害物Gとの距離が1.5[m]となると、制御装置3は、注意喚起マップ100に従い、警告ゾーン103による音をスピーカ8から出力する。
【0040】
さらにその後、障害物Gとタイヤローラ10との距離が0.7[m]となると、制御装置3は、注意喚起マップ100に従い、緊急ブレーキ作動ゾーン104による音をスピーカ8から出力するとともに、ブレーキ手段6を作動させ、タイヤローラ10を停止させる。
【0041】
一方、同じ条件において夜間モードが選択されている場合、タイヤローラ10と障害物Gとの距離が4.0mとなっても、制御装置3は、注意ゾーン102による音を出力しない。その後、さらに後進し、タイヤローラ10と障害物Gとの距離が1.5[m]となった場合、また、同距離が0.7[m]となった場合は通常モードと同じように音を出力する。
【0042】
以上説明した本実施形態によれば、夜間モードを選択した場合においては、通常モードと比較して、所定時間音が出力しないようになっているため、音の発生を必要最低限に留めることができる。具体的には、本実施形態では、障害物Gが注意ゾーン102にある場合でも音を出力しないように設定されているため、夜間の現場作業の騒音を低減することができる。また、夜間モードを選択した場合の警告ゾーン103では、音を出力するため、夜間であっても作業員に注意喚起を行うことができ、作業環境の向上を図ることができる。また、夜間モードを選択した場合の警告ゾーン103では、警告するための音を出力するため、運転者は安心して作業を行うことができ、作業効率を高めることができる。
【0043】
また、本実施形態では、判定部32が障害物Gを検知した後、所定の条件下で建設車両10を自動的に緊急停止させるブレーキ手段6を有するため、タイヤローラ10と人や物などの障害物Gとの衝突を低減することができる。また、主に昼間に使用する通常モードと、主に夜に使用する夜間モードを分けて設けることで、現場の状況に応じて音の出力を容易に変更することができる。
【0044】
<変形例>
本実施形態では、物体検知センサとして投射及び反射を利用して物体までの距離を測定することができるTOF(Time Of Flight)方式の距離画像センサ(3D距離センサ)2を例示したがこれに限定されるものではない。物体検知センサとしては、例えば、所定範囲内における物体を検知可能な超音波方式、マイクロ波式、レーザー光方式、赤外線方式、レーダー方式、ライダー方式、ステレオカメラ方式、単眼カメラ方式等のセンサであってもよい。
【0045】
また、夜間モードにおいて、本実施形態では、通常モードと比較して所定時間音の出力を無くす態様(注意ゾーン102の音を無くす態様)としたが、これに限定されるものではない。例えば、通常モードと比較して、所定時間音の出力を抑制する(例えば、音を小さくする、夜間の現場作業の騒音対策に資するように、音圧レベルを変化させる、周波数を変化させる、指向性を変化させる、音色やメロディーを変化させる)態様であってもよい。
【符号の説明】
【0046】
1 障害物検知装置
2 距離画像センサ
3 制御装置
4 検知範囲
5 非検知範囲
6 ブレーキ手段
7 車速センサ
8 スピーカ
9 ライト
10 タイヤローラ(建設車両)
31 設定部
32 判定部
100 注意喚起マップ
図1
図2
図3
図4