(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-05
(45)【発行日】2024-04-15
(54)【発明の名称】反射型光センサ、および、近接センサ
(51)【国際特許分類】
H01L 31/12 20060101AFI20240408BHJP
【FI】
H01L31/12 E
(21)【出願番号】P 2020130820
(22)【出願日】2020-07-31
【審査請求日】2023-03-22
(73)【特許権者】
【識別番号】319006047
【氏名又は名称】シャープセミコンダクターイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】金本 守人
(72)【発明者】
【氏名】岡 順治
(72)【発明者】
【氏名】高田 敏幸
(72)【発明者】
【氏名】大西 雅也
【審査官】佐竹 政彦
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/054420(WO,A1)
【文献】特開2000-269544(JP,A)
【文献】特開2005-116670(JP,A)
【文献】特開2020-102600(JP,A)
【文献】特開昭59-056779(JP,A)
【文献】特開2008-028025(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/12-31/173
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
同一の基板上において、同一方向に実装された発光素子および受光素子と、
上記発光素子と、上記受光素子とを覆うパッケージと、
上記パッケージの上記発光素子の発光側に設けられ、上記パッケージを覆うガラスパネルと、
を備え、
上記パッケージの表面は、
上記発光素子の発光側に位置する出射面と、
上記受光素子の受光側に位置する受光面と、
を含み、
上記受光面は、上記基板と平行であり、
上記出射面は、上記受光面に対して
10°~15°の角度で上記受光素子側に傾斜して設けら
れ、
上記発光素子からの出射光は、上記出射面で光軸が曲がって上記ガラスパネルに反射された後、上記発光素子から遠ざかる方向へ進む
ことを特徴とする反射型光センサ。
【請求項2】
上記出射面と、上記受光面とは、トランスファーモールドにより一体成型され、
上記出射面および上記受光面には、磨き加工が行われ、
上記出射面および上記受光面以外の、上記パッケージの表面には、光を散乱減衰させる加工が行われることを特徴とする請求項
1に記載の反射型光センサ。
【請求項3】
上記出射面と、上記受光面との間に、段差スリットをさらに備えることを特徴とする請求項
2に記載の反射型光センサ。
【請求項4】
上記段差スリットの表面には遮光体が施されることを特徴とする請求項
3に記載の反射型光センサ。
【請求項5】
上記発光素子は、面発光レーザVCSEL(Vertical Cavity Surface Emitting LASER)によるものであり、当該発光素子の電流狭窄層がインプラ方式で形成されることを特徴とする請求項1から
4の何れか1項の反射型光センサ。
【請求項6】
請求項1から
5の何れか1項の反射型光センサを用いることを特徴とする近接センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、反射型光センサ、および、近接センサに関する。
【背景技術】
【0002】
スマートフォンにおいて、近接センサ601は
図7のように使用されている。近接センサ601は、基板604上に、発光素子602と、受光素子603とがモールド樹脂605で一体封止されている。近接センサ601は、スマートフォンのガラスパネル606下に配置される。発光素子から出射された光はガラスパネルを通して外部へ照射され、顔、耳などからの反射した光が再びガラスパネルを通して受光素子に戻ることを検知して、タッチパネル画面のオン、オフを制御している。
【0003】
発光素子は、一般的に波長が940nmの赤外光のLEDが使用されるが、最近は指向角が狭く、駆動電流を下げられる面発光レーザのVCSEL(Vertical Cavity Surface Emitting LASER)の使用が増えてきている。VCSELは、垂直共振器面発光レーザと訳される部品であり、微細なレーザ光を基板の垂直方向に射出する。受光素子は、光を電気信号へ変換するフォトダイオード607と、光電変換された信号を増幅演算処理する回路とが同一半導体基板上に形成されたCMOSプロセスで製造される。発光素子と、受光素子とを基板604上にダイアタッチして、Au線(図示せず)による電気接続した上で、トランスファーモールドで樹脂封止することにより、近接センサは製造される。
【0004】
特許文献1には、垂直共振器型面発光レーザーを用いた光変位計における、戻り光励起雑音の発生について開示されている。また、特許文献2の
図9、段落〔0006〕には、近接センサにおける出射光が筐体に反射されることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許4220219号公報
【文献】特許6641469号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図6は、発光素子501から出射された光の振る舞いの概略を示す図である。発光素子501からの出射光502は、スマートフォンのガラスパネルを通して外部へ透過光503として照射される。
【0007】
出射光502は、発光素子501から直上へ基板の垂直方向に出射され、モールド樹脂を透過してモールド樹脂表面からガラスパネル方向へ出射される。出射光502が出射されるモールド樹脂表面を「パッケージ出射面」と呼び、同様に、受光素子が光を検知するフォトダイオードの直上のモールド樹脂表面を「パッケージ受光面」と呼ぶ。パッケージ出射面と、パッケージ受光面とは同一平面で、かつ基板に平行な面になるように、金型で成形される。
【0008】
出射光はパッケージ(パッケージ出射面)と空間(空気)および空間(空気)とガラスパネルの界面にて、屈折率の違いにより一部が反射散乱される。発光素子からの出射光は内部散乱光506、反射散乱光504と反射戻り光505、および、透過光503に大きく分けられる。一般的に、ガラスと、空気との屈折率の差により約5%程度が反射成分になると考えられる。
【0009】
先述したとおり、近年は、発光素子として、LEDよりも、面発光レーザであるVCSELの使用が増えてきている。VCSELを使用した場合には、反射戻り光505により発光特性が変動する問題が生じる。VCSELはレーザ発振する素子のため、ガラスパネルからの反射戻り光がVCSEL出射端に結合することにより、VCSELの発振動作自体が不安定化する「戻り光誘起雑音」が発生する。これにより、
図8に示すように、出射光波形が変動し、センシングにおけるノイズ成分となるため検出精度が低下する不具合が発生する。
【0010】
また、反射散乱光および内部散乱光についても受光素子側へ向かう成分は、検知物からの反射信号光に対してノイズ成分となるため、検出精度が低下する不具合が発生する。
【0011】
本発明の一態様は、反射型光センサにおいて、発光素子の出射光によるノイズを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る反射型光センサは、同一の基板上において、同一方向に実装された発光素子および受光素子と、上記発光素子と、上記受光素子とを覆うパッケージと、を備え、上記パッケージの表面は、上記発光素子の発光側に位置する出射面と、上記受光素子の受光側に位置する受光面と、を含み、上記受光面は、上記基板と平行であり、上記出射面は、上記受光面に対して傾斜して設けられる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の一態様によれば、反射型光センサにおいて、発光素子の出射光によるノイズを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施形態1に係る反射型光センサの概略を示す図である。
【
図2】本発明の実施形態3に係る反射型光センサの概略を示す図である。
【
図3】本発明の実施形態3に係るパッケージ表面加工の実施例を示す図である。
【
図4】本発明の実施形態4に係る反射型光センサの概略を示す図である。
【
図5】本発明の実施形態5に係る反射型光センサの概略を示す図である。
【
図6】従来の反射型光センサの課題を示す図である。
【
図7】従来の反射型光センサの概略を示す図である。
【
図9】本発明の実施形態2に係る、出射面の傾斜角に対する反射戻り光量の光学シミュレーション例を示す図である。
【
図10】本発明の実施形態6に係るVCSEL発光素子の概略構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、赤外光を用いて物体の有無を検知する反射型光センサに関するものである。特に、スマートフォンにおいて通話時にタッチパネルの誤作動を防止するために画面のオン/オフを制御する近接センサとして多く使用されている。
【0016】
〔実施形態1〕
以下、本発明の実施形態1について、詳細に説明する。本実施形態では、発光素子の直上に配置されるパッケージの出射面の構造により、ガラスパネルおよび出射面からの反射光成分を制御する。
【0017】
図1は、本実施形態に係る反射型光センサの概略を示す図である。
図1に示すように、反射型光センサ1は、基板10と、発光素子11と、受光素子12と、パッケージ7とを備えている。発光素子11および受光素子12は、同一の基板10上において、同一方向に向けて実装されている。パッケージ7は、発光素子11と、受光素子12とを覆う。受光素子12は、基板10と平行に配置されるフォトダイオード13を備えている。
【0018】
パッケージ7の表面であるパッケージ表面71は、発光素子11の直上(発光側)に位置するパッケージ出射面(出射面)72と、受光素子12の直上(受光側)に位置するパッケージ受光面(受光面)73と、を含んでいる。
【0019】
パッケージ受光面73は、基板10と平行に設けられる。これにより、パッケージ受光面73は、受光素子12のフォトダイオード13に効率よく光を入射させることができる。
【0020】
パッケージ出射面72は、パッケージ受光面73に対して傾斜して設けられる。これにより、発光素子11からの出射光102は、パッケージ出射面72と、空気との界面において外側(左側)へ光軸が曲げられると同時に、内部散乱光106も反射角が下方向に変化する。
【0021】
上記によれば、反射型光センサ1において、受光素子12の表面へ散乱する成分を抑制することができる。なお、パッケージ界面で光軸が曲がった出射光102はガラスパネルとの界面において反射されるが、その反射戻り光105は反射角により発光素子11から遠ざかる方向へ進む。そのため、発光素子11への戻り光を防止し、発光特性の変動を回避することができる。
【0022】
換言すれば、ガラスパネルから発光素子11への反射戻り光を防止して、発光波形を安定化させると共に、ガラスパネルからの反射散乱光と、パッケージ出射面72からの内部散乱光との影響を抑制することができる。これにより、受光素子12への光ノイズ成分回り込みを抑制し、安定動作する反射型光センサ1を実現することができる。このような反射型光センサ1を用いて、スマートフォン向けに高精度の近接センサを提供することができる。
【0023】
なお、
図1では、パッケージ出射面72が受光素子12側に傾斜している構成を示したが、パッケージ出射面72が外側(受光素子12側と反対側)に傾斜している構成としてもよい。後者の構成によれば、発光素子11からの出射光102のうち、ガラスパネルに反射して、発光素子11に戻る光を防止することにより、発光特性の変動を回避することができる。
【0024】
〔実施形態2〕
本発明の実施形態2について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記の実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0025】
本実施形態では、実施形態1を前提にして、反射型光センサ1において、パッケージ出射面72は、パッケージ受光面73に対して10°~15°の角度で受光素子12側に傾斜して設けられる。
【0026】
図9は、本実施形態に係る、パッケージ出射面72の傾斜角を変化させたときの、発光面への戻り光量を光学シミュレーションした結果を示す図である。
図9に示すように、傾斜角10°以上で戻り光を略ゼロにできるが、傾斜角が大き過ぎるとパッケージ7から出射される光軸も大きく曲がるため、光検出システム全体の光学利得が減少してしまう。すなわち、傾斜角が大きくなると、検知対象物に照射される光量が減少することになり、信号低下により検知特性が低下する。そこで、検知特性への影響を考慮して設計すると、15°が実用的な傾斜角の上限値になる。そのため、実装精度公差も考慮して、傾斜角が10°~15°であることが最適である。
【0027】
図2に示すように、パッケージ出射面72、および、パッケージ受光面73には、開口窓201、202を設けてもよい。開口窓201、202は、発光素子11、受光素子12の直上の、パッケージ表面71の樹脂を薄く整形して、光の透過をよくしたものである。
【0028】
発光の開口窓201を設けた場合、出射光が出射されるモールド樹脂表面は、開口窓201の底面であるので、開口窓201の底面がパッケージ出射面72になる。
【0029】
〔実施形態3〕
本発明の実施形態3について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記の実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0030】
本実施形態では、反射型光センサ1において、パッケージ出射面72の開口窓201と、パッケージ受光面73の開口窓202とは、トランスファーモールドにより一体成型される。パッケージ出射面72およびパッケージ受光面73には、磨き加工が行われる。パッケージ出射面72およびパッケージ受光面73以外の、パッケージ表面71には、光を散乱減衰させる加工が行われる。
【0031】
図2は、本実施形態に係る反射型光センサ1の概略を示す図である。
図2に示すように、トランスファーモールドによって、
図1のパッケージ出射面72に発光の開口窓201を設け、
図1のパッケージ受光面73に受光の開口窓202を設けて、樹脂封止成型される。次に、発光の開口窓201および受光の開口窓202を磨いて、出射光および反射信号光の散乱損失を抑える。それ以外のパッケージ表面71については、光を散乱減衰させる状態に加工する。
【0032】
発光素子11からの出射光の一部がガラスパネルで反射して、反射散乱光204としてパッケージ7へ戻ってくる。その反射散乱光をパッケージ表面にて散乱減衰させることで、内部の受光素子への反射散乱光の影響を抑制することができる。
【0033】
図3は、本実施形態に係るパッケージ成型後の状態例を示す図である。同一モールド樹脂で成型された後で、開口窓201、202を磨く。これにより、開口窓201、202周辺のパッケージ表面71の状態よりも、光の散乱損失を抑制することができる。
【0034】
〔実施形態4〕
本発明の実施形態4について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記の実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0035】
図4は、本実施形態に係る反射型光センサ1の概略を示す図である。本実施形態では、反射型光センサ1は、
図2に対して、パッケージ表面71のうち、パッケージ出射面72と、パッケージ受光面73との間に、段差スリット301をさらに備える。段差スリット301は、モールド金型で成型される。
【0036】
反射散乱光302はパッケージ表面71にて反射散乱されるが、一部はモールド内部へ透過され、受光素子12のフォトダイオード13へ向かうノイズ光成分となる。この光経路に段差スリット301を形成することにより、モールド樹脂と、空気との界面が加わり、この界面でノイズ光成分は反射散乱される。
【0037】
この段差スリット301により、ガラスパネルからの反射散乱光302およびパッケージ7内部の発光素子11からの内部散乱光303の、受光素子12のフォトダイオード13への回り込みを抑制することができる。段差スリット301の位置および深さは、反射散乱光302の入射角、および、内部散乱光303の光路シミュレーションにより設計される。その場合、モールド金型を使用することにより、段差スリット301を高精度に成型することができる。
【0038】
〔実施形態5〕
本発明の実施形態5について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記の実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0039】
本実施形態では、
図4に対して、段差スリット401の表面の全体に遮光体404が施される。なお、段差スリット401の凹部に遮光体404が埋め込まれてもよい。
【0040】
図5は、本実施形態に係る反射型光センサ1の概略を示す図である。
図5に示すように、段差スリット401の中に遮光体404が追加される。これにより、
図4では段差スリット301の空気面を透過して受光素子12のフォトダイオード13へ向かっていた光ノイズ成分を透過させることなく、ブロックすることで、受光素子12のフォトダイオード13への回り込みをさらに抑制できる。遮光体404の追加方法は、段差スリット401に遮光樹脂を塗布して硬化させることで形成できる。さらに、遮光樹脂を用いて2重トランスファーモールドすることにより、精度よく均一に成型することができる。
【0041】
〔実施形態6〕
本発明の実施形態6について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記の実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0042】
本実施形態では、発光素子11は、面発光レーザVCSEL(Vertical Cavity Surface Emitting LASER)によるものであり、発光素子11の電流狭窄層905がインプラ方式で形成される。
【0043】
図10は、本実施形態に係るVCSEL発光素子の断面構造を示す図である。VCSELは、垂直方向にレーザ発振を行い、表面からレーザ光が出射される。活性層903で発光した光を上下の反射ミラーP-DBR904とN-DBR902で増幅を行う。バイアス電流は、上部電極から下部電極へ印加されるが、活性層の発光領域に電流を集中させるため、電流狭窄層905、906が設けられている。
【0044】
電流狭窄層905、906を形成する方法として、上部からプロトン注入によるインプラ方式と、横方向から水蒸気で酸化させる酸化膜方式の2種類がある。発明者らは、VCSEL発光部へ光を戻した場合の戻り光耐量特性として、インプラ方式のVCSELを使用する方が、酸化膜方式よりも、反射戻り光に対して安定動作を確保しやすいことを実験的に確認した。
【0045】
これは、H+イオンを打ち込むことにより電流通路を制限するインプラ方式では、VCSELの戻り光雑音の主要因となるマルチモード競合において、より高次の横マルチモードが受ける光学ロスが大きいことが作用しているためと考えられる。
【0046】
なお、近接センサは、本発明の実施形態1から6の何れかの反射型光センサ1を用いる。これにより、ガラスパネルからの反射戻り光および反射散乱光の影響を抑制できるため、ユーザのガラスパネル実装条件に対して検知特性を安定させることができる。
【0047】
〔まとめ〕
本発明の態様1に係る反射型光センサは、同一の基板上において、同一方向に実装された発光素子および受光素子と、上記発光素子と、上記受光素子とを覆うパッケージと、
を備え、上記パッケージの表面は、上記発光素子の発光側に位置する出射面と、上記受光素子の受光側に位置する受光面と、を含み、上記受光面は、上記基板と平行であり、上記出射面は、上記受光面に対して傾斜して設けられる。
【0048】
上記の構成によれば、受光素子の表面へ散乱する成分を抑制することができる。また、発光素子への戻り光を防止することにより、発光特性の変動を回避することができる。したがって、反射型光センサにおいて、発光素子の出射光によるノイズを抑制することができる。
【0049】
本発明の態様2に係る反射型光センサは、上記態様1において、上記出射面が、上記受光面に対して10°~15°の角度で上記受光素子側に傾斜して設けられることとしてもよい。
【0050】
上記の構成によれば、傾斜角を10°以上にすることにより、戻り光を略ゼロにすることができる。また、傾斜角を15°以下にすることにより、出射光の軸の曲がりを抑えることができる。
【0051】
本発明の態様3に係る反射型光センサは、上記態様1または2において、上記出射面と、上記受光面とが、トランスファーモールドにより一体成型され、上記出射面および上記受光面には、磨き加工が行われ、上記出射面および上記受光面以外の、上記パッケージの表面には、光を散乱減衰させる加工が行われることとしてもよい。
【0052】
上記の構成によれば、出射面および受光面における磨き加工により、出射面および受光面の周辺の表面よりも、散乱損失を抑制することができる。また、出射面および受光面以外の、パッケージの表面における、光を散乱減衰させる加工により、内部の受光素子への反射散乱光の影響を抑制することができる。
【0053】
本発明の態様4に係る反射型光センサは、上記態様3において、上記出射面と、上記受光面との間に、段差スリットをさらに備えることとしてもよい。
【0054】
上記の構成によれば、反射散乱光および内部散乱光の、受光素子への回り込みを抑制することができる。
【0055】
本発明の態様5に係る反射型光センサは、上記態様4において、上記段差スリットの表面には遮光体が施されることとしてもよい。
【0056】
上記の構成によれば、反射散乱光および内部散乱光の、受光素子への回り込みをさらに抑制することができる。
【0057】
本発明の態様6に係る反射型光センサは、上記態様1から5の何れかにおいて、上記発光素子は、面発光レーザVCSEL(Vertical Cavity Surface Emitting LASER)によるものであり、当該発光素子の電流狭窄層がインプラ方式で形成されることとしてもよい。
【0058】
上記の構成によれば、反射戻り光に対して、発光素子を安定して動作させることができる。
【0059】
本発明の態様7に係る近接センサは、上記態様1から6の何れかの反射型光センサを用いる。
【0060】
上記の構成によれば、ユーザのガラスパネル実装条件に対して検知特性を安定させることができる。
【0061】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
【符号の説明】
【0062】
1 反射型光センサ
7 パッケージ
10 基板
11 発光素子
12 受光素子
71 パッケージ表面
72 パッケージ出射面(出射面)
73 パッケージ受光面(受光面)
301、401 段差スリット
404 遮光体
905 電流狭窄層