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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-05
(45)【発行日】2024-04-15
(54)【発明の名称】建設機械
(51)【国際特許分類】
   B60R 1/06 20060101AFI20240408BHJP
   B66C 13/00 20060101ALI20240408BHJP
   B66C 23/36 20060101ALI20240408BHJP
   B66C 23/78 20060101ALI20240408BHJP
【FI】
B60R1/06 Z
B66C13/00 D
B66C23/36 Z
B66C23/78 Z
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020154127
(22)【出願日】2020-09-14
(65)【公開番号】P2022048022
(43)【公開日】2022-03-25
【審査請求日】2023-07-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000140719
【氏名又は名称】株式会社加藤製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】那須 和哉
【審査官】上谷 公治
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-132396(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2014-0040950(KR,A)
【文献】特開2017-165585(JP,A)
【文献】特開2019-075711(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 1/00
B66C 13/00
B66C 23/36
B66C 23/78
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転室を備え、前記運転室は、内部空間に設置される運転席を備える走行車体と、
操作室を備え、鉛直方向に沿う旋回軸を中心として前記走行車体に対して旋回可能に前記走行車体に鉛直上側から連結される旋回体であって、前記運転室に対して前記走行車体の後方側に設置される旋回体と、
前記走行車体の幅方向について前記運転席から遠位側の側部に、前記旋回体の前記旋回軸に対して前記走行車体の前記後方側の位置で前記走行車体に設置されるカメラであって、前記カメラに対して前記走行車体の前記幅方向の外側の領域及び前記カメラに対して前記走行車体の前記後方側の領域を撮影するカメラと、
前記走行車体の前記幅方向について前記カメラとは反対側の側部に、前記旋回体の前記旋回軸に対して前記走行車体の前記後方側の位置で前記走行車体に設置される第1のアウトリガと、
前記走行車体の前記幅方向について前記カメラが位置する側の前記側部に、前記旋回体の前記旋回軸に対して前記走行車体の前記後方側の位置で前記走行車体に設置される第2のアウトリガと、
前記走行車体の前記幅方向について前記カメラが位置する側の前記側部に、前記旋回体の前記旋回軸に対して前記走行車体の前記後方側、かつ、前記カメラに対して鉛直下側の位置で前記走行車体に設置され、駆動されることにより、前記走行車体の前記幅方向の外側へ前記第1のアウトリガを張出すアウトリガシリンダーと、
前記走行車体の前方側、前記走行車体の後方側及び前記走行車体の前記幅方向の外側から前記アウトリガシリンダーを覆い、前記アウトリガシリンダーを内部に収納する収納カバーであって、前記走行車体の前後方向について前記第2のアウトリガに対して隣接し、前記鉛直上側の端に前記カメラが取付けられる収納カバーと、
を具備する、建設機械。
【請求項2】
前記走行車体の前方側、前記走行車体の後方側及び前記走行車体の前記幅方向の外側から前記カメラを覆い、前記カメラを内部空間に収納する収納フレーム部であって、前記収納カバーの鉛直上側に隣接し、前記走行車体の前記幅方向の外側へ前記収納カバーに対して突出する収納フレーム部をさらに具備し、
前記収納フレーム部は、前記収納フレーム部の前記収納カバーからの突出端を形成する突出端壁を備えるとともに、前記カメラが配置される前記内部空間を前記鉛直下側に向かって開口させる窓を前記突出端壁と前記収納カバーとの間に形成し、
前記カメラは、前記走行車体の前記幅方向について前記突出端壁と前記収納カバーとの間に位置するとともに、前記窓を通して撮影する、
請求項1の建設機械。
【請求項3】
前記収納フレーム部では、前記突出端壁を貫通する孔が形成され、
前記収納フレーム部の前記内部空間は、前記突出端壁の前記孔を通して、前記走行車体の前記幅方向の外側へ向かって開口する、
請求項2の建設機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設機械に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、建設機械としてオールテレーンクレーンが開示されている。このような建設機械では、運転室を備える走行車体が設けられ、運転室は、運転席を備える。また、旋回体が、走行車体に対して旋回可能に、走行車体に鉛直上側から連結される。そして、旋回体は、操作室を備えるとともに、運転室に対して走行車体の後方側に設置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-035224号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1のような建設機械は、走行車体の運転室及び旋回体の操作室が設けられるため、大型の建設機械となる。このような大型の建設機械であっても、右折時及び左折時等を含む走行時に、建設機械及びその周囲において運転手が視認できない死角範囲を減少させ、運転手が走行に関する操作を行い易くすることが、求められている。特に、右折時及び左折時等では、走行車体の幅方向について運転席から遠位側の側部における後方側の部位及びその近傍を、運転手が視認可能になることが、求められている。
【0005】
本発明は前記課題を解決するためになされたものであり、走行時において運転手からの死角範囲が減少し、運転手が走行に関する操作を行い易い建設機械を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、本発明のある態様の建設機械は、運転室を備え、前記運転室は、内部空間に設置される運転席を備える走行車体と、操作室を備え、鉛直方向に沿う旋回軸を中心として前記走行車体に対して旋回可能に前記走行車体に鉛直上側から連結される旋回体であって、前記運転室に対して前記走行車体の後方側に設置される旋回体と、前記走行車体の幅方向について前記運転席から遠位側の側部に、前記旋回体の前記旋回軸に対して前記走行車体の前記後方側の位置で前記走行車体に設置されるカメラであって、前記カメラに対して前記走行車体の前記幅方向の外側の領域及び前記カメラに対して前記走行車体の前記後方側の領域を撮影するカメラと、前記走行車体の前記幅方向について前記カメラとは反対側の側部に、前記旋回体の前記旋回軸に対して前記走行車体の前記後方側の位置で前記走行車体に設置される第1のアウトリガと、前記走行車体の前記幅方向について前記カメラが位置する側の前記側部に、前記旋回体の前記旋回軸に対して前記走行車体の前記後方側の位置で前記走行車体に設置される第2のアウトリガと、前記走行車体の前記幅方向について前記カメラが位置する側の前記側部に、前記旋回体の前記旋回軸に対して前記走行車体の前記後方側、かつ、前記カメラに対して鉛直下側の位置で前記走行車体に設置され、駆動されることにより、前記走行車体の前記幅方向の外側へ前記第1のアウトリガを張出すアウトリガシリンダーと、前記走行車体の前方側、前記走行車体の後方側及び前記走行車体の前記幅方向の外側から前記アウトリガシリンダーを覆い、前記アウトリガシリンダーを内部に収納する収納カバーであって、前記走行車体の前後方向について前記第2のアウトリガに対して隣接し、前記鉛直上側の端に前記カメラが取付けられる収納カバーと、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、走行時において運転手からの死角範囲が減少し、運転手が走行に関する操作を行い易い建設機械を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1の実施形態に係るクレーンを示す斜視図である。
図2図2は、第1の実施形態に係るクレーンを、走行車体及び旋回体のそれぞれを幅方向の一方側から視た状態で示す側面図である。
図3図3は、第1の実施形態に係るクレーンの走行車体を示す斜視図である。
図4図4は、第1の実施形態に係るクレーンの走行車体の運転室を示す斜視図である。
図5図5は、第1の実施形態に係るクレーンの走行車体に関して、走行車体の幅方向について運転席から遠位側の側部における後方側の部位を示す斜視図である。
図6図6は、第1の実施形態に係るクレーンの走行車体に関して、走行車体の幅方向について運転席から遠位側の側部における後方側の部位を、走行車体の幅方向の外側から視た状態で示す側面図である。
図7図7は、第1の実施形態に係るクレーンの走行車体に関して、走行車体の幅方向について運転席から遠位側の側部における後方側の部位を、アウトリガシリンダーが配置される空間及びカメラが配置される内部空間が露出し、かつ、鉛直上側から視た状態で示す上面図である。
図8図8は、第1の実施形態に係るクレーンの走行車体に関して、走行車体の幅方向について運転席から遠位側の側部における後方側の部位を、走行車体の後方側から視た状態で示す後面図である。
図9図9は、第1の実施形態に係るクレーンの走行車体において、運転席から遠位側の側部における後方側の部位に設置されるカメラ及びブラケットを示す斜視図である。
図10図10は、第1の実施形態に係るクレーンにおいてカメラの撮影画像を処理する制御系を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態について、図面を参照にして説明する。
【0010】
(第1の実施形態)
図1及び図2は、実施形態に係る建設機械の一例として、第1の実施形態に係るクレーン1を示す。クレーン1は、オールテレーンクレーンである。図1及び図2に示すように、クレーン1は、走行車体2と、走行車体2に鉛直上側(矢印Z1側)から連結される旋回体3と、を備える。旋回体3は、鉛直方向(矢印Z1及び矢印Z2で示す方向)に沿う旋回軸Pを中心として、走行車体2に対して旋回可能である。走行車体2では、鉛直方向に対して交差する(垂直又は略垂直な)前後方向(矢印X1及び矢印X2で示す方向)、及び、鉛直方向及び前後方向の両方に対して交差する(垂直又は略垂直な)幅方向(矢印Y1及び矢印Y2で示す方向)が、規定される。また、旋回体3でも、鉛直方向に対して交差する(垂直又は略垂直な)前後方向、及び、鉛直方向及び前後方向の両方に対して交差する(垂直又は略垂直な)幅方向が規定される。図1及び図2では、走行車体2の前方側(矢印X1側)が旋回体3の前方側と一致又は略一致する状態で、クレーン1を示す。また、図1は、斜視図であり、図2では、走行車体2及び旋回体3のそれぞれを、幅方向の一方側から視た状態で示す。
【0011】
図3は、走行車体2を示す。図1乃至図3に示すように、走行車体2は、運転室5、車体フレーム4及び二対のアウトリガ11A,11B,12A,12Bを備える。運転室5は、走行車体2において前方側の部位に設けられ、走行車体2の前方端を形成する。走行車体2の運転室5では、クレーン1を前進させる操作、及び、クレーン1を後退させる操作等のクレーン1の走行に関する操作が入力される。車体フレーム4は、運転室5から走行車体2の後方側へ延設され、走行車体2の後方端を形成する。一対のアウトリガ(前側アウトリガ)11A,11Bは、走行車体2において前方側の部位に設けられ、走行車体2の前後方向について、運転室5と旋回体3との間に設けられる。また、一対のアウトリガ(後側アウトリガ)12A,12Bは、走行車体2において後方側の部位に設けられ、旋回体3の旋回軸Pに対して走行車体2の後方側に設けられる。クレーン1を用いた作業時においては、アウトリガ11A,11B,12A,12Bのそれぞれを走行車体2の幅方向の外側へ張出すとともに、アウトリガ11A,11B,12A,12Bのそれぞれを地盤に接地させることにより、走行車体2を支える。
【0012】
図1及び図2等に示すように、旋回体3は、操作室(キャブ)7を備える。また、旋回体3には、ブーム8の後端部が連結される。ブーム8は、後端部から前端部まで、長手方向に沿って延設される。ブーム8は、旋回体3への連結位置から旋回体3の前方側へ向かって、延設される。ブーム8は、旋回体3に対して起伏可能である。また、ブーム8は、旋回体3と一緒に、走行車体2に対して旋回可能である。本実施形態では、ブーム8は、長手方向について伸縮可能である。操作室7では、旋回体3を旋回させる操作、及び、ブーム8を起伏させる操作等のクレーン1での作業に関する操作が入力される。
【0013】
また、旋回体3には、ウインチ9が設置される。クレーン1での作業等では、ブーム8は、起きた状態になる。そして、ウインチ9から繰り出されたロープ(図示しない)が、ブーム8の起きる側の外表面に沿って、ブーム8の前端部まで延設される。そして、ウインチ9から繰り出されたロープを介して、ブーム8の前端部からフック(図示しない)が吊下げられる。一方、クレーン1の走行時等のクレーン1での作業が行われていない状態では、旋回体3の前方側を走行車体2の前方側と一致又は略一致する状態にし、ブーム8を伏せた状態にする。なお、図1及び図2では、ブーム8は、伏せた状態で示される。
【0014】
図4は、運転室5を示す。図4に示すように、運転室5の内部には、運転席13及び助手席15が設置される。クレーン1の走行時では、運転手は、運転席13に座った状態で、走行に関する操作を行う。運転席13及び助手席15は、走行車体2の幅方向に並んで配置される。また、走行車体2の幅方向についての中央位置は、運転席13と助手席15との間に位置する。図4等の一例では、運転席13は、走行車体2の幅方向についての中央位置に対して、走行車体2の右方側に配置される。このため、図1乃至図4等の一例では、走行車体2(車体フレーム4)の左方側の側部が、走行車体2の幅方向について運転席13から遠位側の側部となる。そして、走行車体2(車体フレーム4)の右方側の側部が、走行車体2の幅方向について運転席13から近位側の側部となる。また、本実施形態の走行車体2では、走行車体2の幅方向について運転席13から遠位側の側部に、アウトリガ11A,12Aが設置され、走行車体2の幅方向について運転席13から近位側の側部に、アウトリガ11B,12Bが設置される。
【0015】
また、図3等に示すように、走行車体2では、走行車体2の幅方向について運転席13から近位側の側部(右方側の側部)に、収納カバー16が設置される。収納カバー16の内部には、アウトリガシリンダー(図示しない)及びカメラ17が収納される。収納カバー16に収納されたアウトリガシリンダーが駆動されることにより、アウトリガ12Aが走行車体2の幅方向の外側へ張出される。また、収納カバー16に収納されたアウトリガシリンダーが駆動されることにより、張出されたアウトリガ12Aが走行車体2の幅方向の内側へ引込められる。ここで、アウトリガ12Aは、走行車体2の幅方向について運転席13から遠位側の側部(左方側の側部)に、設置される。このため、走行車体2では、アウトリガ12Aを張出し駆動させるアウトリガシリンダーは、走行車体2の幅方向についてアウトリガ12Aとは反対側の側部に、配置される。
【0016】
また、収納カバー16は、走行車体2の前後方向についてアウトリガ12Bに対して隣接する。図3等の一例では、走行車体2の幅方向について運転席13から近位側の側部において、収納カバー16は、走行車体2の前方側からアウトリガ12Bに隣接する。そして、収納カバー16及びカメラ17は、旋回体3の旋回軸Pに対して、走行車体2の後方側に位置する。また、収納カバー16には、窓18が形成され、収納カバー16の内部は、窓18において、走行車体2の幅方向の外側に向かって開口する。カメラ17は、窓18を通して撮影する。カメラ17は、カメラ17に対して走行車体2の幅方向の外側及びカメラ17に対して走行車体2の後方側の領域を、撮影する。このため、走行車体2の幅方向について運転席13から近位側の側部における後方側の部位及びその近傍の状況が、カメラ17によって、撮影される。
【0017】
図5乃至図8は、走行車体2に関して、走行車体2の幅方向について運転席13から遠位側の側部における後方側の部位を示す。図5は、斜視図であり、図6は、走行車体2の幅方向の外側から視た状態を示す。また、図7は、鉛直上側から視た状態を示し、図8は、走行車体2の後方側から視た状態を示す。図1図2及び図5乃至図8等に示すように、走行車体2では、走行車体2の幅方向について運転席13から遠位側の側部(左方側の側部)に、収納カバー21が設置される。収納カバー21の内部には、アウトリガシリンダー22が収納される。収納カバー21は、走行車体2の前方側、走行車体2の後方側及び走行車体2の幅方向の外側から、アウトリガシリンダー22を覆う。
【0018】
収納カバー21に収納されたアウトリガシリンダー22が駆動されることにより、アウトリガ12Bが走行車体2の幅方向の外側へ張出される。また、アウトリガシリンダー22が駆動されることにより、張出されたアウトリガ12Bが走行車体2の幅方向の内側へ引込められる。ここで、アウトリガ12Bは、走行車体2の幅方向について運転席13から近位側の側部(右方側の側部)に、設置される。このため、走行車体2では、アウトリガ12Bを張出し駆動させるアウトリガシリンダー22は、走行車体2の幅方向についてアウトリガ12Bとは反対側の側部に、配置される。また、収納カバー21は、走行車体2の前後方向についてアウトリガ12Aに対して隣接する。図5及び図6等の一例では、走行車体2の幅方向について運転席13から遠位側の側部において、収納カバー21は、走行車体2の後方側からアウトリガ12Aに隣接する。そして、収納カバー21は、旋回体3の旋回軸Pに対して、走行車体2の後方側に位置する。
【0019】
また、収納カバー21には、カメラ23が取付けられる。カメラ23は、ブラケット25を間に介して、収納カバー21に取付けられる。図9は、カメラ23及びブラケット25を示す。図8及び図9等に示すように、ブラケット25は、走行車体2の前後方向から視て、L字状又は略L字状になる。カメラ23が収納カバー21に取付けられるため、走行車体2では、カメラ23は、走行車体2の幅方向について運転席13から遠位側の側部に、設置される。そして、カメラ23は、旋回体3の旋回軸Pに対して、走行車体2の後方側に位置する。前述のようにカメラ23が設けられるため、走行車体2では、収納カバー16及びアウトリガ12Bは、走行車体2の幅方向についてカメラ23とは反対側の側部に、配置される。そして、収納カバー21、アウトリガシリンダー22及びアウトリガ12Aは、走行車体2の幅方向についてカメラ23が位置する側の側部に、配置される。
【0020】
収納カバー21は、走行車体2の幅方向の外側からアウトリガシリンダー22に対向する外壁31を備える。収納カバー21では、外壁31によって、走行車体2の幅方向の外側の端が、形成される。ブラケット25は、収納カバー21の外壁31の鉛直上側の端に、接続される。また、図5乃至図8等の一例では、ブラケット25は、外壁31において走行車体2の後方側の位置に、接続される。カメラ23は、収納カバー21及びアウトリガシリンダー22に対して鉛直上側に位置する状態で、収納カバー21に取付けられる。また、カメラ23は、アウトリガシリンダー22に対して走行車体2の幅方向の外側に位置し、収納カバー21の外壁31に対して走行車体2の幅方向の外側に位置する。
【0021】
また、走行車体2では、走行車体2の幅方向について運転席13から遠位側の側部(左方側の側部)に、収納フレーム部26が設置される。収納フレーム部26は、収納カバー21の鉛直上側に隣接する。このため、収納フレーム部26は、旋回体3の旋回軸Pに対して、走行車体2の後方側に位置する。収納フレーム部26の内部には、カメラ23を収納する内部空間27が形成される。そして、収納フレーム部26は、走行車体2の前方側、走行車体2の後方側、鉛直上側及び走行車体2の幅方向の外側から、カメラ23を覆う。走行車体2の前後方向についての収納フレーム部26の寸法は、走行車体2の前後方向についての収納カバー21の寸法と、同一又は略同一になる。また、走行車体2の前後方向についての収納フレーム部26の寸法、及び、走行車体2の前後方向についての内部空間27の寸法のそれぞれは、走行車体2の前後方向についてのカメラ23の寸法に比べて、遥かに大きい。図5乃至図8等の一例では、カメラ23は、内部空間27において走行車体2の後方側の部位に、配置される。なお、図7では、アウトリガシリンダー22が配置される空間、及び、カメラ23が配置される内部空間27が、露出した状態で示される。
【0022】
また、収納フレーム部26は、走行車体2の幅方向の外側へ、収納カバー21に対して突出する。収納フレーム部26は、収納カバー21からの突出端を形成する突出端壁32を備える。突出端壁32は、走行車体2の幅方向の外側からカメラ23に対向し、走行車体2の幅方向の外側から内部空間27に隣接する。また、突出端壁32は、収納カバー21の外壁31に対して、走行車体2の幅方向の外側に位置する。カメラ23は、走行車体2の幅方向について収納フレーム部26の突出端壁32と収納カバー21の外壁31との間に、配置される。
【0023】
また、収納フレーム部26の突出端壁32と収納カバー21の外壁31との間には、窓33が形成される。窓33は、外壁31の鉛直上側の端から突出端壁32の鉛直下側の端まで、走行車体2の幅方向の外側へ向かって形成される。また、窓33は、走行車体2の前後方向について、カメラ23が配置される内部空間27の全寸法又は略全寸法に渡って、形成される。内部空間27は、窓33において、鉛直下側へ開口する。また、カメラ23は、窓33を通して、撮影する。カメラ23は、カメラ23に対して走行車体2の幅方向の外側及びカメラ23に対して走行車体2の後方側の領域を、撮影する。このため、走行車体2の幅方向について運転席13から遠位側の側部における後方側の部位及びその近傍の状況が、カメラ23によって、撮影される。
【0024】
また、収納フレーム部26では、走行車体2の幅方向に沿って突出端壁32を貫通する孔35が、形成される。図5乃至図8等の一例では、孔35は、走行車体2の前後方向に沿った寸法が大きい長孔状に、形成される。収納フレーム部26の内部空間27は、突出端壁32の孔35を通して、走行車体2の幅方向の外側へ向かって開口する。
【0025】
図10は、クレーン1においてカメラ17,23の撮影画像を処理する制御系を示す。図10に示すように、クレーン1には、制御部41が設けられるとともに、ユーザインタフェースとして操作部材42及び表示部43が設けられる。制御部41は、CPU(Central Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)又はFPGA(Field Programmable Gate Array)等を含むプロセッサ又は集積回路(制御回路)、及び、メモリ等の記憶媒体を備える。制御部41に設けられるプロセッサ又は集積回路は、1つであってもよく、複数であってもよい。制御部41は、記憶媒体等に記憶されるプログラム等を実行することにより、処理を実行する。操作部材42及び表示部43は、運転室5の内部に配置される。操作部材42としては、例えば、ボタン、レバー及びタッチパネル等が挙げられる。また、表示部43としては、例えば、モニタ等が挙げられる。
【0026】
操作部材42では、運転手等によって、表示部43に表示する画像に関する操作指令が入力される。また、制御部41は、操作部材42から操作指令を受信するとともに、カメラ17,23のそれぞれでの撮影画像を取得する。そして、制御部41は、操作指令に基づいて、表示部43の表示状態を制御する。制御部41は、カメラ17の撮影画像が表示部43に表示されている状態とカメラ23の撮影画像が表示部43に表示されている状態との間を切替え可能である。ある一例では、操作部材42がOFF状態であることに基づいて、制御部41は、カメラ17の撮影画像を表示部43に表示させ、操作部材42がON状態であることに基づいて、制御部41は、カメラ23の撮影画像を表示部43に表示させる。この場合、運転手等は、操作部材42のON状態とOFF状態との間を切替えることにより、表示部43に表示される画像を切替え可能になる。
【0027】
本実施形態では、走行車体2にカメラ23が設けられ、カメラ23は、走行車体の幅方向について運転席13から遠位側の側部に、設置される。また、カメラ23は、旋回体3の旋回軸Pに対して走行車体2の後方側に位置し、カメラ23に対して走行車体2の幅方向の外側の領域及びカメラ23に対して走行車体2の後方側の領域を撮影する。このためクレーン1の走行時において、走行車体2の幅方向について運転席から遠位側の側部における後方側の部位及びその近傍の状況が、カメラ23によって撮影される。そして、右折時及び左折時を含む走行時において、運転手は、走行車体2の幅方向について運転席13から遠位側の側部における後方側の部位及びその近傍の状況を、カメラ23の撮影画像から視認可能になる。これにより、走行車体2の運転室5及び旋回体3の操作室7の両方が設けられるクレーン1等の大型の建設機械であっても、建設機械及びその周囲において、運転手が視認できない死角範囲を減少する。これにより、走行時において、運転手が走行に関する操作を行い易くなる。
【0028】
また、本実施形態の走行車体2では、走行車体2の幅方向について運転席13から近位側の側部に、カメラ17が設置される。また、カメラ17は、旋回体3の旋回軸Pに対して走行車体2の後方側に位置し、カメラ17に対して走行車体2の幅方向の外側の領域及びカメラ17に対して走行車体2の後方側の領域を撮影する。このためクレーン1の走行時において、走行車体2の幅方向について運転席から近位側の側部における後方側の部位及びその近傍の状況が、カメラ17によって撮影される。そして、走行時において、運転手は、走行車体2の幅方向について運転席13から近位側の側部における後方側の部位及びその近傍の状況を、カメラ17の撮影画像から視認可能になる。これにより、建設機械(クレーン1)及びその周囲において、運転手からの死角範囲がさらに減少し、運転手が走行に関する操作をさらに行い易くなる。
【0029】
また、カメラ23は、ブラケット25を介して収納カバー21に取付けられる。収納カバー21の内部には、アウトリガ12Bを張出し駆動するアウトリガシリンダー22が収納され、収納カバー21は、アウトリガシリンダー22の収納部材としてクレーン1に設けられる。前述のようにカメラ23が設置されるため、カメラ23を設けても、追加する部材が多くならない。また、走行車体2では、収納フレーム部26が収納カバー21の鉛直上側に隣接し、カメラ23は、収納フレーム部26の内部空間27に配置される。このため、収納フレーム部26等によって、カメラ23への石等の飛来物の衝突が有効に防止され、カメラ23が適切に保護される。
【0030】
また、本実施形態では、窓33が、走行車体2の幅方向について収納フレーム部26の突出端壁32と収納カバー21との間に形成される。そして、カメラ23が配置される内部空間27は、窓33において鉛直下側に向かって開口し、カメラ23は、窓33を通して撮影する。したがって、走行車体2の幅方向について運転席13から遠位側の側部における後方側の部位及びその近傍の状況が、カメラ23によって、適切に撮影される。
【0031】
また、本実施形態では、収納フレーム部26の突出端壁32に、孔35が形成される。窓33及び孔35が形成されることにより、カメラ23が配置される内部空間27において、空気の流れが発生し易くなる。これにより、クレーン1の走行時等において、カメラ23に汚れが付着し難くなる。
【0032】
また、本実施形態では、走行車体2の前後方向についての収納フレーム部26の寸法、及び、走行車体2の前後方向についての内部空間27の寸法のそれぞれは、走行車体2の前後方向についてのカメラ23の寸法に比べて、遥かに大きい。そして、窓33は、走行車体2の前後方向について、カメラ23が配置される内部空間27の全寸法又は略全寸法に渡って、形成される。このため、内部空間27において、走行車体2の前後方向についてのカメラ23の位置を、適宜調整可能になる。
【0033】
また、本実施形態では、制御部41は、運転室5の操作部材42で入力される操作指令に基づいて、表示部43の表示状態を制御し、カメラ17の撮影画像が表示部43に表示されている状態とカメラ23の撮影画像が表示部43に表示されている状態との間を切替える。このため、運転手等は、操作部材42での操作によって、視認することを希望する領域の状況を、表示部43に表示させることが可能になる。すなわち、運転者等の意思に反して表示部43の表示画像が切替わること等が、有効に防止される。
【0034】
(変形例)
なお、前述した実施形態では、走行車体2の幅方向についての中央位置に対して運転席13が右側に位置する場合、すなわち、右ハンドルの場合について説明したが、走行車体2の幅方向についての中央位置に対して運転席13が左側に位置する場合、すなわち、左ハンドルの場合も、前述の収納カバー21、カメラ23及び収納フレーム部26の構成及び配置を適用可能である。ただし、左ハンドルの場合は、走行車体2の右方側の側部が、走行車体2の幅方向について運転席13に対して遠位側の側部となり、収納カバー21、カメラ23及び収納フレーム部26は、走行車体2の右方側の側部に設けられる。
【0035】
なお、本願発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は可能な限り適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適当な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。
【符号の説明】
【0036】
1…クレーン、2…走行車体、3…旋回体、5…運転室、8…ブーム、11A,11B,12A,12B…アウトリガ、13…運転席、21…収納カバー、22…アウトリガシリンダー、23…カメラ、25…ブラケット、26…収納フレーム部、27…内部空間、32…突出端壁、33…窓、35…孔。
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