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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-05
(45)【発行日】2024-04-15
(54)【発明の名称】コネクタ組立体
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/6583 20110101AFI20240408BHJP
   H01R 12/71 20110101ALI20240408BHJP
【FI】
H01R13/6583
H01R12/71
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2020155230
(22)【出願日】2020-09-16
(65)【公開番号】P2022049162
(43)【公開日】2022-03-29
【審査請求日】2023-05-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000231073
【氏名又は名称】日本航空電子工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121706
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128705
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 幸雄
(74)【代理人】
【識別番号】100147773
【弁理士】
【氏名又は名称】義村 宗洋
(72)【発明者】
【氏名】大坂 純士
【審査官】松原 陽介
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-102462(JP,A)
【文献】特開2006-059596(JP,A)
【文献】特開2014-038768(JP,A)
【文献】特開2017-208165(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 12/00,12/50-12/91
H01R 24/00-24/86
H01R 13/56-13/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1端子及び第2端子と、前記第1端子と前記第2端子の間に位置する遮蔽部を備えたグランド端子と、枠状をなす導電性のシェルとを有するコネクタと、前記第1端子及び前記第2端子とそれぞれ接続される相手側第1端子及び相手側第2端子と、前記相手側第1端子と前記相手側第2端子の間に位置する相手側遮蔽部を備えた相手側グランド端子と、枠状をなす導電性の相手側シェルとを有する相手側コネクタとが嵌合されてなるコネクタ組立体であって、
前記グランド端子と前記シェルは金属板の曲げ加工により一体形成されており、
前記遮蔽部は前記コネクタと前記相手側コネクタとの嵌合方向と平行な板面をもつ板部で構成されており、
前記相手側遮蔽部は前記嵌合方向と平行な相手側板面をもつ相手側板部で構成されており、
前記板部は隣接する一対のコ字状部よりなり、
前記相手側板部は互いの間に凹部を構成する一対の突出部を有する形状とされており、
前記板面と前記相手側板面は相互に平行とされて、前記板部と前記相手側板部の一方の厚みは他方の厚みが位置する範囲内に位置しており、
前記一対の突出部は前記一対のコ字状部のコ字内にそれぞれ挿入されて位置しており、
前記一対のコ字状部の互いに隣接するコ字の脚部は前記凹部にそれぞれ挿入されて位置しており、
前記隣接するコ字の脚部の先端側に互いに外向きに突出形成されている突部が前記一対の突出部とそれぞれ弾性接触しており、
前記グランド端子と前記相手側グランド端子は前記遮蔽部と前記相手側遮蔽部の前記弾性接触によって相互に接続されているコネクタ組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はコネクタと相手側コネクタとが対向されて嵌合されてなるコネクタ組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
図15及び16は互いに嵌合されてコネクタ組立体を構成するコネクタ及び相手側コネクタの従来例として特許文献1に記載されているコネクタ(特許文献1ではレセプタクルと称している)10及び相手側コネクタ(特許文献1ではプラグと称している)20をそれぞれ示したものである。
【0003】
コネクタ10はコネクタハウジング11に信号端子12,13,14及びグランド端子15,16が装着され、さらにシェル状導体17が装着された構成となっている。シェル状導体17はコネクタハウジング11の外周側で周方向に連続する略長方形の環状をなし、コネクタハウジング11の上面外周及び側面上部を取り囲んでいる。
【0004】
信号端子12~14はグランド端子15,16を間に挟んで配置されており、グランド端子15,16によって信号端子12~14は相互に離間されている。グランド端子15,16は板材の打ち抜き加工によって形成され、図15Bに示すような形状を有している。
【0005】
コネクタハウジング11は中央に嵌合部挿入孔11aを有し、信号端子12~14及びグランド端子15,16は嵌合部挿入孔11aに露出されている。図15中、12a~16aはそれぞれ信号端子12~14及びグランド端子15,16の実装基板への接続端部を示す。
【0006】
相手側コネクタ20はコネクタハウジング21に信号端子22,23,24が装着され、さらにシェル状導体25が装着された構成となっている。信号端子22~24はコネクタハウジング21のインサート成形樹脂部26の中央部に整列配置された突出部26a~26cに保持されている。シェル状導体25はコネクタハウジング21の周壁部27に沿う形状を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2019-121439号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述したように、従来のコネクタ10及び相手側コネクタ20はそれぞれ外部シールドとしてのシェル状導体17及び25を備え、さらにコネクタ10は信号端子12~14間を遮蔽する内部シールドをなすグランド端子15,16を備えるものとなっており、これによりEMC対策及び信号端子間のクロストーク対策が施された構成となっている。
【0009】
しかるに、コネクタ10においては外部シールドをなすシェル状導体17と内部シールドをなすグランド端子15,16は別体(別部品)であり、かつグランド端子15と16も別体となっているため、その分、部品点数が多く、組立工数もかかるものとなっていた。
【0010】
この発明の目的はこの問題に鑑み、コネクタ組立体を構成するコネクタ及び相手側コネクタの双方が外部シールド及び内部シールドを具備する構成において、従来よりも部品点数を削減することができるようにしたコネクタ組立体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のコネクタ組立体は、第1端子及び第2端子と、第1端子と第2端子の間に位置する遮蔽部を備えたグランド端子と、枠状をなす導電性のシェルとを有するコネクタと、第1端子及び第2端子とそれぞれ接続される相手側第1端子及び相手側第2端子と、相手側第1端子と相手側第2端子の間に位置する相手側遮蔽部を備えた相手側グランド端子と、枠状をなす導電性の相手側シェルとを有する相手側コネクタとが嵌合されてなるコネクタ組立体であって、グランド端子とシェルは金属板の曲げ加工により一体形成されており遮蔽部はコネクタと相手側コネクタとの嵌合方向と平行な板面をもつ板部で構成されており、相手側遮蔽部は嵌合方向と平行な相手側板面をもつ相手側板部で構成されており、板部は隣接する一対のコ字状部よりなり、相手側板部は互いの間に凹部を構成する一対の突出部を有する形状とされており、板面と相手側板面は相互に平行とされて、板部と相手側板部の一方の厚みは他方の厚みが位置する範囲内に位置しており、一対の突出部は一対のコ字状部のコ字内にそれぞれ挿入されて位置しており、一対のコ字状部の互いに隣接するコ字の脚部は前記凹部にそれぞれ挿入されて位置しており、隣接するコ字の脚部の先端側に互いに外向きに突出形成されている突部が一対の突出部とそれぞれ弾性接触しており、グランド端子と相手側グランド端子は遮蔽部と相手側遮蔽部弾性接触によって相互に接続されている。
【発明の効果】
【0014】
この発明によれば、コネクタと相手側コネクタとが嵌合されてなるコネクタ組立体において、コネクタにおいては外部シールドをなすシェルと異種端子間を電磁的に遮蔽する内部シールドをなす遮蔽部を備えたグランド端子とが金属板の曲げ加工によって一体形成されているため、その分、部品点数及び組立工数を削減することができ、よって安価に構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】Aはこの発明によるコネクタ組立体の実施例1を構成する一方のコネクタを示す上方から見た斜視図、BはAに示したコネクタを下方から見た斜視図。
図2】Aは図1Aに示したコネクタの正面図、BはAにおけるC-C線断面図。
図3図1Aにおけるシェルと一体のグランド端子を示す斜視図。
図4図1Aにおけるインシュレータ及びインシュレータに保持された端子を示す斜視図。
図5】Aはこの発明によるコネクタ組立体の実施例1を構成する相手側コネクタを示す上方から見た斜視図、BはAに示した相手側コネクタを下方から見た斜視図。
図6】Aは図5Aに示した相手側コネクタの正面図、BはAにおけるC-C線断面図。
図7図5Aにおける相手側シェルの斜視図。
図8図5Aにおける相手側インシュレータ及び相手側インシュレータに保持された相手側端子を示す斜視図。
図9】Aはこの発明によるコネクタ組立体の実施例1を示す平面図、Bはその正面図、CはBにおけるE-E線断面図、DはBにおけるF-F線断面図。
図10】Aはこの発明によるコネクタ組立体の実施例2を構成する一方のコネクタを示す上方から見た斜視図、BはAに示したコネクタを下方から見た斜視図。
図11図10Aにおけるシェルと一体のグランド端子を示す斜視図。
図12】Aはこの発明によるコネクタ組立体の実施例2を構成する相手側コネクタを上方から見た斜視図、BはAに示した相手側コネクタを下方から見た斜視図。
図13】Aは図12Aに示した相手側コネクタの正面図、BはAにおけるC-C線断面図。
図14】Aはこの発明によるコネクタ組立体の実施例2を示す平面図、BはAにおけるC-C線断面図。
図15】Aは従来のコネクタ組立体を構成するコネクタを示す斜視図、BはAに示したコネクタの断面図。
図16】従来のコネクタ組立体を構成する相手側コネクタを示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
この発明の実施形態を図面を参照して実施例により説明する。
【実施例1】
【0017】
図1及び2はこの発明によるコネクタ組立体の実施例1を構成する一方のコネクタ100を示したものであり、コネクタ100は第1端子41と第2端子42とグランド端子40とシェル50とインシュレータ60とによって構成されている。グランド端子40はこの例ではコネクタ100の外郭を構成するシェル50と一体形成されている。図3は一体形成されているグランド端子40及びシェル50の詳細を示したものであり、図4はインシュレータ60及びインシュレータ60に保持されている第1端子41、第2端子42を示したものである。
【0018】
インシュレータ60は樹脂製とされ、全体として略直方体形状をなす。インシュレータ60の長手方向両端部にはそれぞれ第1端子41が取り付けられており、インシュレータ60の中央部には第2端子42が2列各2本、計4本取り付けられている。
【0019】
第1端子41は互いに対向する一対の接触片41aを有し、第2端子42も互いに対向する一対の接触片42aを有している。これら第1端子41及び第2端子42の基板との接続部41b,42bはインシュレータ60の底面側に位置している。2本の第1端子41はこの例では高周波信号用(高速伝送用)とされ、4本の第2端子42は低周波信号用(低速伝送用)とされている。
【0020】
導電性のシェル50は金属板の折り曲げ加工によって形成されており、コ字形状の外壁を有する2体によって方形の枠体構造が構成されている。方形の長辺をなす対向二辺にそれぞれ位置する外壁部51及び方形の短辺をなす対向二辺にそれぞれ位置する外壁部52の各上端には枠の内側にわずかに突出するように湾曲された湾曲部51a,52aがそれぞれ形成されている。
【0021】
シェル50と一体のグランド端子40はシェル50の枠内に2つ形成されており、グランド端子40は対向する外壁部51に両端が連結支持されている。グランド端子40はシェル50の長手方向2箇所に設けられている。
【0022】
グランド端子40は上方に開口するコ字形状をなす一対のコ字状部43が隣接して同一平面上に位置してなる板部44を中央に有し、一対のコ字状部43の互いに隣接するコ字の脚部43aの先端側には突部43bが互いに外向きに突出して形成されている。
【0023】
グランド端子40は上述した板部44と、対向する外壁部51の下端から枠の内側にそれぞれ折り曲げ延長された形状をなす連結部45と、各連結部45から折り曲げられて立ち上げられた被保持部46と、各被保持部46の上端から延長されて一対のコ字状部43の互いに外側に位置する脚部43cの先端にそれぞれ至る延長部47とよりなる。なお、各被保持部46にはそれぞれ一対の突起46aが幅方向に突出して形成されている。
【0024】
各外壁部51の下端における2つの連結部45に挟まれた部分にはわずかな大きさの切欠き53が2つ形成されている。これら切欠き53はインシュレータ60に保持されてインシュレータ60の底面側に露出している第2端子42の接続部42bの位置と対応して設けられている。
【0025】
上記のようにグランド端子40が一体形成されたシェル50は第1端子41及び第2端子42を保持したインシュレータ60に取り付けられる。取付けはインシュレータ60の上からシェル50を被せて押し込むことによって行われる。この際、2つのグランド端子40の、突起46aを備えた各一対の被保持部46がインシュレータ60の4箇所の凹部61にそれぞれ圧入されて固定保持される。また、2つのグランド端子40の、各一対のコ字状部43よりなる板部44はそれぞれインシュレータ60のスリット62に挿入されて第1端子41と第2端子42の間にそれぞれ位置して遮蔽部をなし、これにより図1及び2に示したコネクタ100が完成する。
【0026】
次に、上述したコネクタ100と嵌合されてコネクタ組立体を構成する相手側コネクタ200について説明する。
【0027】
図5及び6は相手側コネクタ200を示したものであり、相手側コネクタ200は相手側第1端子71と相手側第2端子72と相手側グランド端子70と相手側シェル80と相手側インシュレータ90とによって構成されている。図7は相手側シェル80の詳細を示したものであり、図8は相手側コネクタ200から相手側シェル80を取り除いた状態を示したものである。
【0028】
相手側インシュレータ90は樹脂製とされ、底板部91と、底板部91の4つの角部にそれぞれ設けられた側壁92とを有する。底板部91の長手方向両端部にはそれぞれ相手側第1端子71が取り付けられており、底板部91の中央部には相手側第2端子72が2列各2本、計4本取り付けられている。また、2本の相手側第1端子71と4本の相手側第2端子72との各間には相手側グランド端子70がそれぞれ取り付けられている。
【0029】
相手側第1端子71は柱状をなし、下端には基板との接続部71aを備えている。相手側第2端子72は板状をなし、下端には基板との接続部72aを備えている。2本の相手側第1端子71は高周波信号用とされ、4本の相手側第2端子72は低周波信号用とされている。
【0030】
相手側グランド端子70は図6Bに示したように、伸長方向中央に相手側板部73を有し、相手側板部73は互いの間に上方に開口する凹部74を構成する一対の突出部75を有する形状とされている。一対の突出部75は相手側インシュレータ90の底板部91上に突出している。相手側板部73において、一対の突出部75の下端を連結している連結部76は相手側インシュレータ90の底面側に位置して露出されている。相手側グランド端子70は上記のような構成を有する相手側板部73と、相手側板部73の連結部76の両端からそれぞれ延長された延長部77とよりなる。2つの相手側グランド端子70の相手側板部73は相手側第1端子71と相手側第2端子72の間にそれぞれ位置して相手側遮蔽部をなす。
【0031】
方形の枠状をなす導電性の相手側シェル80は金属板の折り曲げ加工によって形成され、図7に示したように方形の長辺をなす対向二辺にそれぞれ位置する外壁部81と、方形の短辺をなす対向二辺にそれぞれ位置する外壁部82と、外壁部81と82の上端を連結する一対の連結部83とを備える。一対の連結部83は方形の枠の長辺方向両端をそれぞれやや塞ぐような板面を有する。
【0032】
一対の外壁部81の互いの外側面にはそれぞれ細長い凸部81aが辺方向に延伸されて形成されており、一対の外壁部82の互いの外側面にもそれぞれ細長い凸部82aが辺方向に延伸して形成されている。なお、一対の外壁部81の辺方向両端には外壁部82に向かって折り曲げ延長された延長部81bが形成されている。
【0033】
各外壁部81の下端には切欠き84が2つ形成され、さらにこれら2つの切欠き84の辺方向における両側に切欠き85がそれぞれ形成されている。切欠き84は相手側インシュレータ90に保持されて相手側インシュレータ90の底面側に露出している相手側第2端子72の接続部72aの位置と対応して設けられており、切欠き85は相手側インシュレータ90に保持されて相手側インシュレータ90の底面側に露出している相手側グランド端子70の延長部77の位置と対応して設けられている。各外壁部82の辺方向両端には突起82bが互いに外向きに突出して形成されている。
【0034】
上記のような構成を有する相手側シェル80は相手側第1端子71、相手側第2端子72及び相手側グランド端子70を保持した相手側インシュレータ90に取り付けられる。相手側シェル80の取付けは相手側インシュレータ90の上から相手側80を被せて押し込むことによって行われ、突起82bを備えた両外壁部82が相手側インシュレータ90の2つの側壁92にまたがって側壁92の外側に構成されている凹部93にそれぞれ圧入されて、図5及び6に示した相手側コネクタ200が完成する。
【0035】
上述したコネクタ100及び相手側コネクタ200は互いに対向される基板の互いの対向面にそれぞれ実装されて互いに嵌合、接続される基板対基板コネクタをなすもので、コネクタ100においては第1端子41及び第2端子42の各接続部41b,42b、グランド端子40の板部44の、インシュレータ60の底面に露出している部分(一対のコ字状部43のコ字の各中間部分)及びシェル50が基板の対応するパッドやパターンに半田付けされて接続される。
【0036】
一方、相手側コネクタ200においては相手側第1端子71及び相手側第2端子72の各接続部71a,72a、相手側グランド端子70の相手側板部73の連結部76及び延長部77さらには相手側シェル80が基板の対応するパッドやパターンに半田付けされて接続される。
【0037】
図9はコネクタ100と相手側コネクタ200が嵌合された、この発明によるコネクタ組立体を示したものであり、基板の図示は省略している。
【0038】
コネクタ100への相手側コネクタ200の嵌合により、第1端子41と相手側第1端子71、第2端子42と相手側第2端子72がそれぞれ嵌合、接続される。また、相手側シェル80に設けられている凸部81a,82aがシェル50の湾曲部51a,52aを乗り越えて嵌まり込むことによってシェル50の内側に相手側シェル80が嵌合される。
【0039】
一方、グランド端子40の板部44と相手側グランド端子70の相手側板部73は互いに平行かつコネクタ100と相手側コネクタ200の嵌合方向と平行な板面を有するものとなっており、図9Dに示したように相手側板部73の一対の突出部75は板部44の一対のコ字状部43のコ字内にそれぞれ挿入されて位置し、一対のコ字状部43の互いに隣接するコ字の脚部43aは相手側板部73の凹部74にそれぞれ挿入されて位置する。隣接するコ字の脚部43aは凹部74への挿入の際、互いに近づく方向に弾性変形し、脚部43aの先端側に設けられている突部43bは脚部43aの弾性復元力によってそれぞれ一対の突出部75の互いの内側面に弾性的に接触する。これにより、第1端子41と第2端子42間の遮蔽部をなす板部44と相手側第1端子71と相手側第2端子72間の相手側遮蔽部をなす相手側板部73は互いに導通される。
【0040】
このように、この例では板部44と相手側板部73とが組み合わされて、高周波信号用の第1端子41及び相手側第1端子71と低周波信号用の第2端子42及び相手側第2端子72との間にシールドが構成される。図9D中、点線で囲んだ部分aはこのシールドが構成されている部分を示し、このシールドによって端子間(高周波信号用の端子と低周波信号用の端子間及び両高周波信号用の端子間)の電磁干渉が遮蔽される。
【0041】
板部44と相手側板部73はこの例では同じ厚み(板厚)を有するものとなっており、板部44と相手側板部73は厚みが位置する範囲が一致されて、つまり一枚の板をなすように組み合わされている。板部44と相手側板部73間の間隙及び相手側板部73の凹部74に挿入されて位置する板部44の隣接するコ字の脚部43a間の間隙は、これら板部44及び相手側板部73の厚みよりも小とされており、これによりこの例では良好なシールド性能が確保されている。
【0042】
なお、板部44の厚みと相手側板部73の厚みは必ずしも同じでなくてもよく、厚みが異なる場合、板部44と相手側板部73はそれらの一方の厚みが位置する範囲内に他方の厚みが位置する範囲が位置するように組み合わされる。このように板部44の厚みと相手側板部73の厚みが異なる場合には板部44と相手側板部73間の間隙及び凹部74に位置するコ字の脚部43a間の間隙は板部44と相手側板部73のいずれか厚みが小さい方の厚みよりも小とされる。
【実施例2】
【0043】
上述した実施例1では、コネクタ100の第1端子41と第2端子42の間に位置するグランド端子40の遮蔽部は一対のコ字状部43よりなる板部44とされ、また相手側コネクタ200の相手側第1端子71と相手側第2端子72の間に位置する相手側グランド端子70の相手側遮蔽部は互いの間に凹部74を構成する一対の突出部75を有する形状とされた相手側板部73とされているが、これら遮蔽部は他の構成を採用してもよい。
【0044】
実施例2はこのようにコネクタ及び相手側コネクタにおいてグランド端子及び相手側グランド端子が備える遮蔽部を他の構成としたものであり、図10は実施例2におけるコネクタ100’を示し、図11はコネクタ100’におけるシェル50と一体のグランド端子40’を示す。また、図12及び13は相手方コネクタ200’を示し、図14はコネクタ100’と相手側コネクタ200’が嵌合された状態を示す。これら図10~14において、図1~9に示した実施例1の構成と対応する部分には同一符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0045】
この例では相手側グランド端子70’が備える相手側遮蔽部は図13Bに示したように、略方形状をなす平板部78で構成され、相手側グランド端子70’はこの平板部78と、平板部78の下辺両端からそれぞれ延長された延長部77とよりなる。平板部78は相手側インシュレータ90の底板部91上に突出して相手側第1端子71と相手側第2端子72の間に位置しており、平板部78の下辺及び延長部77は相手側インシュレータ90の底面側に位置して露出されている。
【0046】
一方、グランド端子40’が備える遮蔽部は図11に示したように、隣接する一対のコ字状部48よりなる。一対のコ字状部48の互いに隣接するコ字の脚部部分はコ字状部48の板面48aと垂直な接触方向に弾性変位する接触部49とされ、接触部49はくの字状に曲げられた形状を有する。グランド端子40’は実施例1におけるグランド端子40と同様、連結部45、被保持部46及び延長部47を有し、一対のコ字状部48の互いに外側に位置する脚部48bはそれぞれ延長部47から延長されて形成されている。
【0047】
2つのグランド端子40’の、各一対のコ字状部48はそれぞれインシュレータ60のスリット62に挿入されて第1端子41と第2端子42の間にそれぞれ位置される。
【0048】
コネクタ100’と相手側コネクタ200’とが嵌合、接続されたコネクタ組立体においては、この例では図14Bに示したように、嵌合方向と平行な板面(相手側板面)を有する平板部78の板面78aに、嵌合方向と垂直な接触方向に弾性変位可能とされている接触部49が、接触方向が板面78aと垂直とされて弾性接触する。これにより、グランド端子40’の遮蔽部をなす一対のコ字状部48と相手側グランド端子70’の相手側遮蔽部をなす平板部78は互いに導通され、組み合わされて、第1端子41及び相手側第1端子71と第2端子42及び相手側第2端子72との間に、端子間の電磁干渉を遮蔽するシールドが実施例1と同様に構成される。
【符号の説明】
【0049】
10 コネクタ 11 コネクタハウジング
11a 嵌合部挿入孔 12~14 信号端子
12a~14a 接続端部 15,16 グランド端子
15a,16a 接続端部 17 シェル状導体
20 相手側コネクタ 21 コネクタハウジング
22~24 信号端子 25 シェル状導体
26 インサート成形樹脂部 26a~26c 突出部
27 周壁部 40,40’ グランド端子
41 第1端子 41a 接触片
41b 接続部 42 第2端子
42a 接触片 42b 接続部
43 コ字状部 43a 脚部
43b 突部 43c 脚部
44 板部 45 連結部
46 被保持部 46a 突起
47 延長部 48 コ字状部
48a 板面 48b 脚部
49 接触部 50 シェル
51,52 外壁部 51a,52a 湾曲部
53 切欠き 60 インシュレータ
61 凹部 62 スリット
70,70’ 相手側グランド端子 71 相手側第1端子
71a 接続部 72 相手側第2端子
72a 接続部 73 相手側板部
74 凹部 75 突出部
76 連結部 77 延長部
78 平板部 78a 板面
80 相手側シェル 81,82 外壁部
81a,82a 凸部 81b 延長部
82b 突起 83 連結部
84,85 切欠き 90 相手側インシュレータ
91 底板部 92 側壁
93 凹部 100,100’ コネクタ
200,200’ 相手側コネクタ
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