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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-05
(45)【発行日】2024-04-15
(54)【発明の名称】苗移植機
(51)【国際特許分類】
   A01C 11/02 20060101AFI20240408BHJP
【FI】
A01C11/02 350M
A01C11/02 362A
A01C11/02 365A
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020158765
(22)【出願日】2020-09-23
(62)【分割の表示】P 2017069309の分割
【原出願日】2017-03-30
(65)【公開番号】P2021000126
(43)【公開日】2021-01-07
【審査請求日】2020-09-24
【審判番号】
【審判請求日】2022-12-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000006781
【氏名又は名称】ヤンマーパワーテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【弁理士】
【氏名又は名称】種村 一幸
(72)【発明者】
【氏名】金谷 一輝
(72)【発明者】
【氏名】土井 邦夫
【合議体】
【審判長】前川 慎喜
【審判官】有家 秀郎
【審判官】西田 秀彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-125178(JP,A)
【文献】実公昭54-20348(JP,Y2)
【文献】特開2007-275073(JP,A)
【文献】特開2010-110267(JP,A)
【文献】特許第5434409(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01C11/00-11/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
苗載台に載置される苗マットから植付爪によって苗を掻き取って圃場に植え付け、前記植付爪による苗マットの取量を変更可能に構成される苗移植機であって、
少なくともオペレータにより入力される苗マット数に基づいて算出可能な基準縦取量及び苗マットの横送り量から算出される苗の縦横比が設定範囲外か判定する苗取量算出部を備える
ことを特徴とする苗移植機。
【請求項2】
植付作業中において、植付作業が行われた実作業面積及び実作業面積に対して使用された苗マット使用数に基づいて算出される実績縦取量と、残作業面積及び残苗マット数に基づいて算出される目標縦取量と、から基準縦取量を補正する
請求項1に記載の苗移植機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、苗移植機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、苗載台に載置される苗マットを下端側へ間欠的に搬送する縦送り機構と、苗載台の左右方向への横送り機構と、を備えた田植機が開示されている。横送り機構によって、苗載台は左右方向へ往復動され、苗載台が左右の往復移動端に達したときに、縦送り機構を構成する縦送りベルトが作動され、苗マットを所定間隔だけ苗載台の下端側へ搬送することで、苗載台の苗マットを植付爪に安定して供給している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-213638号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
苗載台を昇降させることで、苗マットに対する植付爪の位置を多段階に変更可能な苗取量調節レバーが設けられ、苗取量調節レバーをオペレータが操作することで、植付爪が掻き取る苗マットの縦取量を調節可能としている。
【0005】
稲の苗の水田への植付を行う際に、予め圃場面積当たりの収量を見越して、圃場面積当たりの株数及び必要苗マット数等を設定している。しかし、圃場面積当たりの株数及び必要苗マット数の設定は、苗載台の横送り回数、植付爪の縦取量、植付間隔、圃場の状態等の種々の条件を考慮にいれなければならないため、困難であった。 そこで、本発明は、所望の圃場に対して所望の苗マット数で植付を行うことができる苗移植機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の苗移植機は、苗載台に載置される苗マットから植付爪によって苗を掻き取って圃場に植え付け、前記植付爪による苗マットの取量を変更可能に構成される苗移植機であって、圃場面積及び該圃場面積に使用する苗マット数及び苗の植付間隔及び前記苗載台の横送り回数に基づいて基準縦取量を算出可能な苗取量算出部が設けられ、前記横送り回数から算出される苗マットの横送り量及び前記基準縦取量から算出される苗の縦横比が設定範囲内になるように前記基準縦取量を制限する。
【0007】
前記苗取量算出部は、植付作業中において、植付作業が行われた実作業面積及び実作業面積に対して使用される苗マット使用数に基づいて算出される実績縦取量と、残作業面積及び残苗マット数に基づいて算出される目標縦取量と、から前記基準縦取量を補正し、前記苗マットの横送り量及び前記補正後の基準縦取量から算出される苗の縦横比が設定内になるように前記補正後の基準縦取量を制限する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、所望の圃場に対して所望の苗マット数で植付作業を行うことができるように植付爪による苗マットの基準縦取量を制限する。
【0009】
さらに、植付作業中において、基準縦取量を補正するときも、所望の圃場に対して所望の苗マット数で植付作業を行うことができるように植付爪による苗マットの補正後の基準縦取量を制限する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】田植機の側面図。
図2】田植機の平面図。
図3】植付部の一側面図。
図4】植付部の他側面図。
図5】ダッシュボードを示す図。
図6】縦取量制御を示すブロック図。
図7】苗取量算出部の制御ブロック図。
図8】後輪の圃場への沈下量とスリップ率との相関を示すグラフ。
図9】(a)後輪の圃場への沈下量を示す側面図(b)後輪の接地面からフロート底面までの高さを示す側面図。
図10】後輪の接地面から田面までの高さを示す側面図。
図11】(a)上流側回転体及び下流側回転体が設けられる苗載台の条毎の載置面の背面図及び側面図(b)上流側回転体及び下流側回転体が設けられる苗載台の条毎の載置面の背面図及び側面図。
図12】苗マットの苗継回数の検出を示す図。
図13】苗マットの苗継回数の補正を示す図。
図14】推定される苗マットの残量の補正を示す図。
図15】(a)下流側回転体の側面図(b)載置面側からみた下流側回転体を示す図(c)載置面の裏側からみた下流側回転体を示す図。
図16】下流側回転体の回転数検出構造の別実施形態を示す図。
図17】(a)苗押さえ棒及び上流側回転体及び下流側回転体の位置関係を示す苗載台の後面図(b)苗押さえ棒及び上流側回転体及び下流側回転体の位置関係の第二実施形態を示す苗載台の後面図(c)苗押さえ棒及び上流側回転体及び下流側回転体の位置関係の第三実施形態を示す苗載台の後面図(d)苗押さえ棒及び上流側回転体及び下流側回転体の位置関係の第四実施形態を示す苗載台の後面図。
図18】縦取量の制御態様を表すフローチャート図。
図19】縦取量の制御態様を表すフローチャート図。
図20】情報端末に表示される項目を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図1及び図2を参照して、苗移植機の一実施形態である田植機1の全体構成について説明する。田植機1は、走行機体2と、その後部に装着される植付作業機3とを備え、走行機体2によって走行しつつ植付作業機3によって植付作業を行う。
【0012】
走行機体2は、エンジン4、エンジン4からの動力を変速するトランスミッション5、エンジン4及びトランスミッション5を支持する機体フレーム6、エンジン4及びトランスミッション5から伝達される動力によって駆動される前輪7及び後輪8等を備える。
【0013】
エンジン4及びトランスミッション5からの動力は、それぞれフロントアクスルケース9、リアアクスルケース10に伝達される。フロントアクスルケース9は、機体フレーム6の前部に支持されるとともに、その左右両端部に前輪7が支承される。同様に、リアアクスルケース10は、機体フレーム6の後部に支持されるとともに、その左右両端部に後輪8が支承される。機体フレーム6の上部は、ステップ11によって被覆されており、オペレータは、ステップ11上を移動可能である。
【0014】
また、エンジン4及びトランスミッション5からの動力は、株間変速装置(図示しない)を経て植付作業機3に伝達される。株間変速装置は、走行機体2の進行方向に沿って植え付けられる苗の植付間隔を変更可能に構成される。後述の苗取量算出部70は、苗の植付間隔を無段階に設定する株間設定器9(図7参照)と接続され、苗の植付間隔を取得可能に構成される。
【0015】
走行機体2の前後中途部に運転席12が配置され、その前方に操向ハンドル13、操作ペダル14、及び、ダッシュボード15等が設けられる。ダッシュボード15には、操向ハンドル13に加えて各種操作用の操作具、表示装置が配置されている。
【0016】
植付作業機3は、走行機体2に対して、昇降リンク機構20を介して連結されている。昇降リンク機構20は、左右一対の上リンク21及び下リンク22、昇降シリンダ等を備える。昇降シリンダによって下リンク22、上リンク21を回動させて植付作業機3を昇降させる。
【0017】
植付作業機3は、植付アーム31、植付爪32、苗載台33、フロート34等を備える。植付爪32は、植付アーム31に取り付けられている。植付作業機3は、トランスミッション5から後方に向けて延出されるPTO軸16によって駆動される。より詳細には、PTO軸16から植付センターケース35を介して植付作業機3に設けられる植付伝動ケース36に動力が伝達されて、植付伝動ケース36から植付アーム31、植付爪32に動力が分配される。植付センターケース35には、植付クラッチが設けられ、植付クラッチはエンジン4から植付作業機3への動力の伝達を断接するように構成される。
【0018】
植付アーム31は、植付伝動ケース36から伝達される動力によって回転する。植付爪32には、苗載台33から苗が供給される。植付アーム31の回転運動に伴って、植付爪32が圃場内に挿入され、所定の植え付け深さとなるように苗が植え付けられる。なお、本実施形態では、ロータリ式の植付爪を採用しているが、クランク式のものを用いても良い。
【0019】
苗載台33は、板状の部材によって構成され、機体側面視において前高後低状に傾斜するように配設される。苗載台33の後面には、苗マットを載置する載置面が植付アームの数(田植機の条数)に応じて機体幅方向に並べて配置される。本実施形態の田植機1は、6条植えの田植機であるため、載置面が6つ形成される。載置面には、苗マットが傾斜した状態で置かれる。
【0020】
フロート34は、植付フレーム37に取り付けられる。具体的には、フロート34の前端は植付フレーム15に対して上下方向に揺動可能に支持され、フロート34の後端は植付フレーム15に設けられる回動支軸38にリンク機構39を介して昇降可能に取り付けられる(図9(b)参照)。
【0021】
フロート34において、植付部4の植付位置直前方には、圃場表面(田面)を検出するセンサ40(図10参照)が設けられる。センサ40は、前方から後方に向けて延出される。センサ40は、植付フレーム37にピッチング方向に揺動自在に支持され、その揺動支点を中心として重力によって垂れ下がるため、先端部が圃場表面に接触した状態が維持される。つまり、センサ40の先端部が常に圃場表面を追従するように田植機1が進行する。
【0022】
図3を用いて、苗載台33を機体幅方向に往復動させる横送り機構について説明する。 図3に示すように、植付センターケース35から機体幅方向一側に向けて送りネジ41が延出される。送りネジ41の外周面には、軸芯方向に沿って交差状の溝が形成される。送りネジ41には、該溝に沿って摺動可能な滑り子42及び滑り子42を支持する滑り子受け43が設けられる。滑り子受け43は略T字状に形成される。滑り子受け43には、送りネジ41が貫設されるとともに、送りネジ41の溝に沿って摺動可能に滑り子42が収容される。
【0023】
苗載台33の前面(載置面の裏面)の下部には、下部レール44が取付けられる。下部レール44は、機体幅方向を長手方向として配置される。下部レール44には、支持アーム45を介して滑り子受け43が固定される。
【0024】
下部レール44の下方には、下部レール44を機体幅方向に摺動可能に支持するガイドレール46が設けられる。ガイドレール46は、機体幅方向を長手方向として配置される。ガイドレール46は、下部レール44に係合する係合部46aと、係合部46aから苗載台33の底部の形状に沿って延出される延出部46bによって構成される。下部レール44がガイドレール46の係合部46aと係合することで、下部レール44はガイドレール46に沿って機体幅方向に摺動可能に構成される。ガイドレール46には、下部レール44がガイドレール46から外れることを阻止するためのストッパー47がボルトによって着脱可能に取り付けられる。
【0025】
植付センターケース35の送りネジ41が延出される側面には、苗載台33の横送り量を調節する横送り切替レバー48が設けられている。オペレータは、横送り切替レバー48を操作することで、苗載台33の横送り量を調節し、苗載台33の横送り回数を変更することができる。横送り切替レバー48には、横送り切替レバーの位置を検出
することで、苗載台33の横送り回数を検出する横送り回数検出センサ48a(図7参照)が設けられる。苗取量算出部70は、横送り回数検出センサ48aと接続され、苗載台33の横送り回数を検出可能に構成される。
【0026】
図4を用いて、苗載台33に置かれる苗マットを下方に送る縦送り機構について説明する。 図4に示すように、植付センターケース35から機体幅方向他側に向けて、縦送りカム51が固定される縦送りカム軸52が延出される。縦送りカム軸52は、送りネジ41と連結されており、ストローク端に到達すると、従動カム53と当接される。従動カム53は、苗載台33下部で搬送ベルト54を駆動する搬送ベルト駆動軸55上に設けられている。縦送りカム軸52の回動に伴って、縦送りカム51と従動カム53とが当接されると、従動カム53は回動する。従動カム53の回動に伴って、搬送ベルト駆動軸55が回動されることで、搬送ベルト54が循環されて搬送ベルト54上に載置される苗マットを所定の距離だけ搬送する。
【0027】
各植付伝動ケース36の前上部に苗台レール支持軸56が左右方向に回動自在に支持される。苗台レール支持軸56からは適宜間隔をあけて複数の支持フレーム57が後上方に突設され、該支持フレーム57にガイドレール46が左右水平方向に支持される。また、苗台レール支持軸56から前上方にアーム58が取付けられる。アーム58の他端には、苗台レール支持軸56の回転角度を検出する回転角度検出センサ59が設けられる。回転角度検出センサ59は、植付フレーム37に取り付けられる。苗台レール支持軸56には、アクチュエータ56a(図7参照)が設けられている。苗取量算出部70は、回転角度検出センサ59と接続され、苗マットからの縦取量を検出することができる。
【0028】
アクチュエータ56aが駆動制御されることで、苗台レール支持軸56は回転可能に構成される。したがって、苗台レール支持軸56の回転に伴って支持フレーム57が回動されることで、ガイドレール46(苗載台36)が上下に移動(昇降可能に構成)され、植付爪32を支持する植付伝動ケース36と苗載台33との距離を変更することができる。ゆえに、植付爪32による苗マットからの縦取量を変更することができる。ここでの、縦取量とは、苗マットを平面視で走行機体2の進行方向に掻き取る量を指す。縦取量が調節されることで、植付爪32による苗マットの取量を変更可能に構成される。
【0029】
また、苗台レール支持軸56は、連動ワイヤ60を介して従動カム53と接続されている。苗台レール支持軸56の回転に伴って、連動ワイヤ60に係る張力によって従動カム53を所定の角度だけ回転させることにより、苗マットからの縦取量に応じて搬送ベルト54による送り量を調節している。
【0030】
以上の構成において、エンジン4からの動力が植付センターケース35を介して送りネジ41に動力が伝達されることで、送りネジ41の溝に対して滑り子42が摺動し、これとともに滑り子受け43が機体幅方向に摺動する。滑り子受け43が摺動されることで、支持アーム45を介して下部レール44がガイドレール46に沿って摺動し、これとともに苗載台33が機体幅方向に摺動する。そして、苗載台33が機体幅方向のストローク端に到達すると、縦送りカム51が従動カム53と当接して搬送ベルト駆動軸55が回動することで、搬送ベルト54が循環される。
【0031】
送りネジ41の溝に沿って滑り子42が往復動することで、苗載台33はガイドレール46に沿って往復動する。横送り機構によって、苗載台33がガイドレール46に沿って往復動することで、苗載台33に載置される苗マットの一側から他側又は他側から一側に向けて植付爪32が苗を掻き取って、移植することを可能としている。縦送り機構によって、植付爪32が苗マットの一側又は他側にある苗を掻き取ると、搬送ベルト54が作動して苗マットを載置面の下端部(後端部)に向けて搬送することを可能としている。以上のように、苗マットが機体幅方向に往復動されて、適宜下方に搬送されることで、苗載台33に載置される苗マットから苗を掻き取り可能としている。
【0032】
図5を用いて、ダッシュボード15について説明する。 ダッシュボード15の左右中央部には、操向ハンドル13が配置され、操向ハンドル13の左方には、主変速レバー61が設けられ、操向ハンドル13の右方には、植付昇降レバー62が設けられる。操向ハンドル13の下方には、所定の条毎の植付爪32の駆動を停止する条止めスイッチ63、最高速度を設定する速度設定ボリューム64、フロート34の油圧感度を設定する感度設定ボリューム65、植深さ及び苗マットからの縦取量等を設定するセレクトダイヤル66等が設けられる。操向ハンドル13の前方には、セレクトダイヤル66等の設定、走行機体2の速度等を表示するモニタ67が設けられる。
【0033】
セレクトダイヤル66は、各種の項目(植深さ、縦取量等)を設定可能なダイヤルである。オペレータは、セレクトダイヤル66を左右に回転させて各種の項目から設定したい項目を選択し、セレクトダイヤル66を押すことで決定する。例えば、縦取量を設定したい場合、セレクトダイヤル66を左右に回転させて縦取量の項目を選択し、セレクトダイヤル66を押すことで該項目に決定して、セレクトダイヤル66を左右に回転させて縦取量の調節量を選択し、セレクトダイヤル66を押すことで該調節量に縦取量を設定する。セレクトダイヤル66は、苗取量算出部70(図7参照)と接続される。
【0034】
図6及び図7を用いて、植付爪32の基準縦取量について説明する。 基準縦取量とは、所定数の苗マットを使用して所定の圃場に植付作業を行う際に基準となる縦取量のことを指す。オペレータは、圃場において苗の植付作業を行う前に、セレクトダイヤル66を用いて、使用する苗マット数及び圃場面積を苗取量算出部70に入力する。つまり、セレクトダイヤル66は、圃場面積入力手段及び苗マット数設定手段として設けられる。苗取量算出部70は、入力される苗マット数及び圃場面積に基づいて基準縦取量を算出して、アクチュエータ56aを駆動制御する。苗取量算出部70は、株間設定器9の検出値より、株数(オペレータが設定する植付間隔から算出される所定面積当たりの株数)を検出可能に構成される。そして、苗取量算出部70は、後述のスリップ率を考慮した株数を算出可能に構成される。ここでの、スリップ率は、作業開始地点における後輪8の圃場への沈下量又は、所定の基準値から設定される。
【0035】
苗取量算出部70は、圃場面積及び苗マット数から目標マット数(所定面積当たりの苗マット数)を算出する。そして、苗取量算出部70は、目標マット数及び苗載台33の横送り回数及び株数(スリップ率を考慮した株数でもよい)から基準縦取量を算出する。
【0036】
以上の構成において、基準縦取量となるようにアクチュエータ56aを駆動制御することで、オペレータの経験や勘に頼ることなく、所望の苗マット数で所望の圃場に対して植付作業を行う際に必要な縦取量を設定することができる。
【0037】
苗取量算出部70は、植付作業が開始されると、実際の植付作業が行われた実作業面積及び実際の植付作業に使用された苗マット使用数に基づいて基準縦取量を随時補正する。具体的には、苗取量算出部70は、実作業面積及び苗マット使用数に基づいて実績縦取量を算出する。そして、苗取量算出部70は、作業面積から実作業面積を減算することで算出される残作業面積と、苗マット数から苗マット使用数を減算することで算出される残苗マット数と、に基づいて目標縦取量を算出する。苗取量算出部70は、目標縦取量から実績縦取量を減算した値を補正量として、基準縦取量に加算することで基準縦取量を補正している。
【0038】
図8及び図9を用いて、実作業面積の算出について説明する。 実作業面積は、スリップ率を考慮した走行機体2の車速と、植付作業が行われる条数から設定される作業幅と、から算出される。走行機体2の車速は、走行輪の回転数を用いて算出される。本実施形態では、後輪8の回転数を用いて算出する。後輪8の回転軸には、その回転数を検出する後輪回転数検出センサ8aが設けられる。苗取量算出部70は、後輪回転数検出センサ8aと接続され、後輪8の回転数を検出可能に構成される。
【0039】
図8に示すように、スリップ率と、走行輪(本実施形態では、後輪8)の圃場への沈下量とは、一次関数的な相関関係を有している。後輪8の圃場への沈下量とは、後輪8の圃場への接地面から田面(圃場表面)までの高さを指す。後輪8の圃場への沈下量が増加するにつれて、スリップ率は一次関数的に増加する。
【0040】
図9を用いて、後輪8の圃場への沈下量について説明する。 後輪8の圃場への沈下量は、昇降リンク機構20に設けられるポテンショセンサ等の適宜のセンサからなる植付作業機位置検出センサ71及びフロート34のリンク機構39又は回動支軸38に設けられるポテンショセンサ等の適宜のセンサからなる植深さ検出センサ39a(図7参照)から算出される。植付作業機位置検出センサ71は、左右一対の上リンク21及び下リンク22の後端部がそれぞれ取り付けられる昇降リンクフレーム72に設けられる。苗取量算出部70は、植付作業機位置検出センサ71と接続され、走行機体2に対する植付作業機3、具体的には、植付爪32の最下点の高さ(距離)を検出可能に構成される。苗取量算出部70は、植深さ検出センサ39aと接続され、植付作業機3のフロート34の底面からの高さを検出可能に構成される。植深さ検出センサ39aにより、植付爪32の爪出量h1(植付爪32の先端部とフロート底面との距離)を検出可能に構成される。
【0041】
苗取量算出部70は、植付作業機位置検出センサ71及び植深さセンサ39aより走行機体2に対するフロート34の底面までの長さを検出する。苗取量算出部70は、走行機体2に対する後輪8の最下点(接地面)の長さから走行機体2に対するフロート34の底面までの長さを減算することで、後輪8の圃場への沈下量h0を算出している。また、後輪8の圃場への沈下量は、フロート34の圃場への沈下量d(図10参照)を考慮して算出してもよい。
【0042】
図10に示すように、センサ40をさらに用いてフロート34の圃場への沈下量dを考慮した後輪8の圃場への沈下量h2を算出することができる。センサ40の揺動角度θを計測することによって、苗を植え付ける圃場表面高さを検出することができる。このように、センサ40によって圃場表面高さを検出することによって、フロート34の沈下量dを計測できる。苗取量算出部70は、センサ40の回動支点に設けられるポテンショセンサ等の適宜の圃場表面検出センサ40a(図7参照)と接続され、圃場表面高さを検出可能に構成される。以上のように、圃場表面を追従するように設けられるセンサ40を用いることで、フロート34の圃場への沈下量dを考慮した後輪8の圃場への沈下量を正確に算出することができる。
【0043】
作業幅は、田植機1の機体幅方向の植付間隔及び植付作業が行われる条数から設定される機体幅方向の長さを指す。植付作業が行われる条数は、条毎の植付アーム31への動力の伝達を断接するユニットクラッチの断接状態により検出される。苗取量算出部70は、ユニットクラッチの断接を検出するユニットクラッチセンサ63a(図7参照)と接続され、植付作業が行われる条数を検出可能に構成される。
【0044】
以上の構成において、後輪8の圃場への沈下量から算出されるスリップ率及び後輪8の回転数から、スリップ率を考慮した後輪8の走行距離を算出することができる。そして、スリップ率を考慮した後輪8の走行距離及び植付作業が行われる条数に応じて設定される作業幅から実作業面積は算出される。
【0045】
図11から図12を用いて、苗マットの使用数の検出について説明する。 図11に示すように、苗載台33の条毎の苗マットが置かれる載置面において、苗マットの苗継回数の検出手段として回転体が設けられる。回転体として、載置面に
おいて下流側(苗マットの送り方向の下流側)に設けられる下流側回転体81と、下流側回転体81よりも上流側(苗マットの送り方向の上流側)に設けられる上流側回転体85と、が設けられている。苗取量算出部70は、下流側回転体81及び上流側回転体85の回転状態に基づいて苗マットの継足した回数(苗継回数)を検出している。
【0046】
下流側回転体81は、載置面の裏面側から載置面(表面)より上方に突出するように設けられる。下流側回転体81は、下流側回転体81上に苗マットが置かれる状態において、搬送ベルト54による苗マットの縦送りに連動して回転するように設けられる。
【0047】
下流側回転体81は、載置面において、下端から上方側に苗マットを一枚置いたときに、該苗マットの縦送りに連動して回転可能な位置に設けられる。下流側回転体81は、苗マットの上端から下方側に、苗マットの一回分の縦送り量F1分の間隔を空けた位置を上限として配置される。また、下流側回転体81は、苗マットの下端から上方側に所定の間隔F2を空けた位置を下限として配置される。所定の間隔とは、後述の一の条において圧縮率が算出されてから基準縦取量の補正制御を行うまでのタイムラグを考慮した間隔を指す。下流側回転体81は、苗マットの縦送りに連動した回転に基づいて苗マットの送り量を検出するため、載置面の下端寄りに配置されるのが好ましく、本実施形態では、下限に配置される。
【0048】
また、下流側回転体81が設けられる下限として、苗マットの上端が下流側回転体81よりも下方側に送られてから新たな苗マットの継足しをする場合に、新たな苗マットが継足されるまでに残っている苗マットを消費しきらない程度の間隔を空けた位置に設定してもよい。
【0049】
苗取量算出部70は、下流側回転体81が回転していない状態から、苗マットの縦送りに連動して回転する状態に遷移したときに、苗マットの苗継回数を一つ加算する。下流側回転体81が回転していない状態から、苗マットの縦送りに連動して回転する状態に遷移したときとは、下流側回転体81が非回転状態から苗マットの縦送りに連動した回転を検出したときを指す。苗取量算出部70は、所定時間当たりの回転数から搬送ベルト54による苗マットの縦送りに連動した回転であるか否かを判別している。
【0050】
苗取量算出部70は、苗マットの縦送りに連動した下流側回転体81の回転を検出すると、回転後から所定時間内に苗マットの縦送りに連動した下流側回転体81の回転があるか否かを判別することで下流側回転体81が苗マットの縦送りに連動して回転する状態にあるか否かを検出している。ここでの所定時間は、苗載台33の縦送りが行われる間隔に応じて設定される。
【0051】
上流側回転体85は、載置面の裏面側から載置面(表面)より上方に突出するように設けられる。上流側回転体85は、上流側回転体85上に苗マットが置かれている状態において、搬送ベルト54による苗マットの縦送りに連動して回転するように設けられる。
【0052】
上流側回転体85は、載置面において、下端から上方側に少なくとも苗マット一枚の上下長さよりも大きい間隔を空けた位置、かつ、下流側回転体81から上方側に苗マットを一枚置いたときに、該苗マットの縦送りに連動して回転可能な位置に設けられる。上流側回転体85は、苗マットの上端から下方側に、苗マットの一回分の縦送り量F1だけ間隔をあけた位置を上限として配置される。本実施形態では、上流側回転体85は、下端から上方側に苗マット一枚の上下長さの間隔を空けた位置近傍に配置される。
【0053】
苗取量算出部70は、下流側回転体81が苗マットの縦送りに連動して回転する状態において、上流側回転体85が回転していない状態から、苗マットの縦送りに連動して回転する状態に遷移したときに、苗マットの苗継回数を一つ加算する。上流側回転体85が回転していない状態から、苗マットの縦送りに連動して回転する状態に遷移したときとは、上流側回転体85が非回転状態から苗マットの縦送りに連動した回転を検出したときを指す。苗取量算出部70は、所定時間当たりの回転数から搬送ベルト54による苗マットの縦送りに連動した回転であるか否かを判別している。
【0054】
苗取量算出部70は、苗マットの縦送りに連動した上流側回転体85の回転を検出すると、回転後から所定時間内に苗マットの縦送りに連動した上流側回転体85の回転があるか否かを判別することで上流側回転体85が苗マットの縦送りに連動して回転する状態にあるか否かを検出している。ここでの所定時間は、苗載台33の縦送りが行われる間隔に応じて設定される。
【0055】
苗取量算出部70は、上流側回転体85の苗マットの縦送りに連動して回転する状態から、回転していない状態に遷移したときに、苗マットの圧縮率を算定する。圧縮率は、苗載台33に載置される苗マットの送り方向の長さ(予め計測される載置面の下端から上流側回転体85までの長さ)と、下流側回転体51の回転数から算出される苗マットの送り量と、を加算したものを、苗継回数分の苗マットの長さで除することで算定される。
【0056】
図12を用いて、植付作業中における苗継回数の検出について説明する。ここでは、苗取量算出部70は、苗継回数を記憶可能に構成される。また、苗取量算出部70は、植付クラッチが作動すると、下流側回転体81及び上流側回転体85の回転状態の検出及び回転数の検出を行うように構成される。
【0057】
本実施形態では、苗載台33の載置面に苗マットが二枚置かれた状態であり、ここから植付クラッチを作動して植付作業を開始している。搬送ベルト54によって下端側に位置する苗マットが縦送りされると、下流側回転体81が回転する。苗取量算出部70は、搬送ベルト54による苗マットの縦送りに連動した下流側回転体81の回転を検出すると、苗継回数を一つ加算する(一枚目の苗マットを検出する)。
【0058】
そして、一枚目の苗マットが縦送りされることに伴って、一枚目の苗マットの上方側の苗マットが下端側へ縦送りされることで、上流側回転体85が回転される。苗取量算出部70は、苗マットの縦送りに連動した上流側回転体85の回転を検出すると、苗継回数を一つ加算する(二枚目の苗マットを検出する)。
【0059】
上流側回転体85の下方側に二枚目の苗マットが縦送りされると、上流側回転体85が苗マットの縦送りに連動して回転する状態から、回転していない状態に遷移される。苗取量算出部70は、上流側回転体85が回転していない状態を検出すると、苗マットの圧縮率を算定する。苗取量算出部70は、苗載台33に載置される苗マットの送り方向の長さと、下流側回転体81の回転数から算出される苗マットの送り量と、を加算したものを、苗継回数分の苗マットの長さで除することで圧縮率を算定する。
【0060】
そして、二枚目の苗マットの上端が下流側回転体81よりも上方側で、かつ、上流側回転体85よりも下方側に配置されている状態において、苗マットが継足しされた場合、苗取量算出部70は、苗マットの縦送りに連動した上流側回転体85の回転を検出することで、苗継回数を一つ加算する(三枚目の苗マットを検出する)。
【0061】
同様に、上流側回転体85の下方側に三枚目の苗マットが縦送りされると、上流側回転体85が苗マットの縦送りに連動して回転する状態から、回転していない状態に遷移される。苗取量算出部70は、上流側回転体85が回転していない状態を検出すると、苗マットの圧縮率を算定する。
【0062】
以上のように、下流側回転体81は、載置面において、下端から上方側に苗マットを一枚置いたときに、該苗マットの縦送りに連動して回転可能な位置に設けられることで、載置面に置かれる一枚目の苗マットを検出することができる。
【0063】
上流側回転体85は、載置面において、下端から上方側に少なくとも苗マット一枚の上下長さよりも大きい間隔を空けた位置、かつ、下流側回転体81から上方側に苗マットを一枚置いたときに、該苗マットの縦送りに連動して回転可能な位置に設けられることで、下流側回転体81上に苗マットが置かれている状態(下流側回転体81が苗マットの縦送りに連動して回転している状態)において、新たに苗マットを継足ししたときに、該苗マットを検出することができる。
【0064】
また、下流側回転体81が苗マットの縦送りに連動して回転するように構成されることで、下流側回転体81の回転数に基づいて苗マットの送り量を算出することができる。つまり、下流側回転体81は、苗マットの送り量検出手段として用いられる。また、載置面の下端から上流側回転体85までの長さを予め計測しておき、上流側回転体85の苗マットの縦送りに連動して回転する状態から、回転していない状態に遷移したことを検出することで、圧縮率を算定することができる。
【0065】
以上の構成において、苗取量算出部70は、圧縮率を用いて、下流側回転体81の回転数から算出される苗マットの送り量から圧縮前の苗マットの長さを基準とした苗マット使用数を算出することができる。
【0066】
図13を用いて、苗マットの苗継回数の補正について説明する。 苗取量算出部70は、下流側回転体81及び上流側回転体85の回転状態に基づいて検出される苗マットの苗継回数と、下流側回転体81の回転数から算出される苗マットの送り量と、から載置面に置かれた苗マットの残量を随時推定している。苗取量算出部70は、苗マットの残量と、下流側回転体81及び上流側回転体85の回転状態と、に基づいて苗マットの苗継回数を補正する。
【0067】
図13に示す実施形態では、苗載台33の載置面に苗マットが一枚置かれた状態であり、ここから植付クラッチを作動して植付作業を開始している。搬送ベルト54によって下端側に位置する苗マットが縦送りされると、下流側回転体81が回転される。苗取量算出部70は、搬送ベルト54による苗マットの縦送りに連動した下流側回転体81の回転を検出すると、苗継回数を一つ加算する(一枚目の苗マットを検出する)。苗取量算出部70は、下流側回転体81の回転数に基づいて苗マットの送り量を算出し、苗マット一枚分の長さから苗マットの送り量を減算することで苗マットの残量を推定する。
【0068】
そして、苗マットが下流側回転体81上に置かれている状態において、新たに苗マットが同時に二枚継足された場合、上流側回転体85の苗マットの縦送りに連動した回転を検出することで、苗継回数を一つ加算する(二枚目の苗マットを検出する)。下流側回転体81の回転数から苗マットの送り量を算出し、苗マット二枚分の長さから苗マットの送り量を減算することで苗マットの残量を推定する。
【0069】
苗取量算出部70は、推定される苗マットの残量が上流側回転体85よりも下方側となった場合に、上流側回転体85が苗マットの縦送りに連動して回転しているか否かを検出する。上流側回転体85の苗マットの縦送りに連動した回転を検出した場合、苗マットの残量に反して上流側回転体85上に苗マットが置かれている、つまり、推定される苗マットの残量よりも実際の苗マットの残量の方が大きいため、苗継回数を補正、具体的には、苗マットの苗継回数を一つ加算する(二枚から三枚に補正する)。仮に、上記の状況で、上流側回転体85が苗マットの縦送りに連動して回転する状態から、回転していない状態に遷移されたことを検出した場合、推定される苗マットの残量と実際の苗マットの残量が一致していると判断し、苗継回数の補正は行われない。
【0070】
そして、上流側回転体85の下方側に三枚目の苗マットが送られてくると、上流側回転体85が苗マットの縦送りに連動して回転する状態から、回転していない状態に遷移される。苗取量算出部70は、上流側回転体85が回転していない状態を検出すると、苗マットの圧縮率を算定する。
【0071】
以上のように、苗マットの残量を推定するとともに、推定された苗マットの残量と、下流側回転体81及び上流側回転体85の回転状態と、に基づいて苗継回数を補正することで、例えば、苗マットを二枚同時に苗継した場合や下流側回転体81から上流
側回転体85にわたって一枚の苗マットが配置される場合であっても、正確に苗継回数を検出することができる。また、苗マットの残量を推定するときに、圧縮率が算定されているならば、圧縮率を考慮してもよい。
【0072】
図14を用いて、苗マットの残量の補正について説明する。 図14に示す実施形態では、推定される苗マットの残量が下流側回転体81よりも下方側になった状況であり、下流側回転体81が回転していない状態へと遷移した場合を想定している。苗取量算出部70は、下流側回転体81が回転していない状態へと遷移したことを検出すると、苗マットの継足によって回転される下流側回転体81の回転数に基づいて推定される苗マットの残量を補正する。
【0073】
下流側回転体81の苗マットの縦送りに連動して回転する状態から、回転していない状態に遷移したことを検出したのち、苗マットの継足しが行われると、継足しされる苗マットが下流側回転体81に接触して下流側回転体81は回転される。そして、継足される苗マットの下端が残っている苗マットの上端と接触するまで下流側回転体81は回転される。そのため、推定される苗マットの残量と、実際の苗マットの残量とに差異がある場合、実際の苗マットの残量位置まで継足される苗マットは送られる。ゆえに、苗取量算出部70は、下流側回転体81の回転数に基づいて算出される苗マットの送り量を、推定される苗マットの残量から減算することで推定される苗マットの残量が実際の苗マットの残量となるように補正している。
【0074】
以上のように、下流側回転体81が回転していない状態へと遷移したことを検出した場合、新たに苗マットが継足しされることによって生じる下流側回転体81の回転数に基づいて推定される苗マットの残量を補正することで、正確に苗マットの残量を算出することができ、苗継回数を正確に算出することができる。
【0075】
以上の構成において、苗継回数検出手段として、下流側回転体81及び上流側回転体85を設けているが、これに限定されない。例えば、下流側回転体81のみを用いて、苗マットの残量を推定しながら、苗継回数を検出してもよい。
【0076】
図15(a)及び図15(b)及び図15(c)を用いて、下流側回転体81の構成について説明する。上流側回転体85は、下流側回転体81と同様の構造のため、説明は省略する。図15(a)では、下流側回転体81の構成を側面視にて表しており、図15(b)では、下流側回転体81の構成を背面視(載置面側からみた)にて表しており、図15(c)では、下流側回転体81の構成を正面視(載置面の裏面側からみた)にて表している。
【0077】
下流側回転体81の外周部には、回転中心を基準として放射状に配置される複数の突起81aを備える。下流側回転体81は、載置面の裏面側から貫通孔33aを介して突起81aが載置面より上方に突出するように設けられる。下流側回転体81は、突起81aが載置面において縦送りされる苗マットの底面に食い込み(係合し)ながら、苗マットの縦送りに連動して回転するように構成される。突起81aの苗マットとの当接側の面は、下流側回転体81の回転方向の上流側に反った形状によって構成される。苗載台33と下流側回転体81との関係性から述べると、突起81aの苗マットとの当接側の面は、苗マットの送り元に向けて反った形状によって構成される。本実施形態では、突起81aは、側面視において、基端部から先端部にかけて下流側回転体81の回転方向の上流側に湾曲して形成される。
【0078】
以上のように、下流側回転体81の突起81aの苗マットとの当接側の面が回転方向の上流側に反った形状によって構成されることで、下流側回転体81の上方側近傍の載置面に苗マットが送られてきた時に、突起81aに苗マットが当接されやすい(引っ掛かりやすい)。そのため、下流側回転体81の滑りを防止でき、苗マットの縦送りに連動して下流側回転体81を回転させることができる。
【0079】
また、突起81aは、側面視において、基端部から先端部にかけて回転方向の上流側に湾曲することなく、スターホイルとして形成してもよいし、側面視において、基端部から先端部にかけて回転方向の上流側に傾斜して形成され、先端部を尖形状に形成してもよい。突起81aは、先端部を尖形状に形成することで、苗マットの下流側面又は底面に引っ掛けやすくなる。そのため、下流側回転体81の滑りを防止でき、苗マットの縦送りに連動して下流側回転体81を回転させることができる。
【0080】
下流側回転体81は、ステー82を介して苗載台33の裏面にピッチ軸周りに回転可能に取り付けられる。下流側回転体81の回転中心には、ボス部81bが設けられる。ボス部81bには、回転方向90度毎にビス83が設けられており、該ビス83をステー82の一端側に設けられる近接センサ84によって検出することで、下流側回転体81の回転数を検出可能としている。
【0081】
また、苗マットの苗継回数の検出手段として下流側回転体81及び上流側回転体85を用いることで、苗継回数だけでなく、苗マットの送り量を検出することができる。そのため、例えば、上流側回転体85上に苗マットが載置されている状態において、下流側回転体81の回転に応じた上流側回転体85の回転を検出しない場合、苗送り不良を検出することができる。
【0082】
以上の構成において、下流側回転体81の風等の外力による回転による誤検出を防ぐために、下流側回転体81を弾性部材によって苗載台33の裏側に付勢して下流側回転体81を係止してもよい。この場合、弾性部材の付勢力は、下流側回転体81上に苗マットが載置されている場合、苗マットの自重によって下流側回転体81が苗載台33の裏側に押されることで、苗載台33の裏側への係止が解除され、下流側回転体81が回転可能となるように設定される。上流側回転体85も同様に構成してもよい。
【0083】
また、下流側回転体81のボス部81bに設けられるビス83を近接センサ84によって検出することで、下流側回転体81の回転数を検出しているが、これに限定されない。
【0084】
図16に示すように、下流側回転体81には、下流側回転体81とともに回転する楕円形状のカム86と、カム86の回転に伴ってオンオフを繰り返すマイクロスイッチ87と、が設けられる。マイクロスイッチ87は、カム86の短径端とアーム87aが当接している状態ではオンとなり、カム86の長径端とアーム87aが当接している状態ではオフとなるように配置される。以上の構成において、90度毎にマイクロスイッチ87がオンとオフとを繰り返すことで下流側回転体81の回転数を検出することができる。
【0085】
また、以上の構成の他にも、下流側回転体81の回転軸にロータリエンコーダを取り付けて、下流側回転体81の回転数(回転角度)を算出してもよいし、下流側回転体81の回転軸にポテンショセンサを取り付けて、下流側回転体81の回転数(回転角度)を算出してもよい。
【0086】
また、苗マットの送り量検出手段として回転体が用いられているが、これに限定されない。接触式の測定方法では、静電容量式のゲージ、ロードセル等が考えられる。静電容量式のゲージは、例えば、載置面全域に設置されることで、苗載台33の苗マットの送り量及び残量を正確に測定することができる。また、ロードセルは、例えば、苗載台33の支持部材に取り付けられることで、載置面に載置される苗マットの荷重に基づいて苗マットの送り量を検出することができる。
【0087】
また、非接触式の測定方法では、レーザ距離計、カメラの撮影画像の画像処理、光学式センサ、明度センサ等が考えられる。レーザ距離計は、例えば、載置面の上方側から載置される苗マットの上端面までの距離を計測することができるように設けられることで、苗マットの送り量を検出することができる。また、カメラは、例えば、載置面に載置される苗マットを撮影可能に設けられることで、撮影した画像を画像処理することによって、苗マットの送り量を検出することができる。光学センサは、例えば、発光部と、発光部からの光線が苗マットによって遮断されたことを検出する受光部と、から構成されることで、苗マットの送り量を検出することができる。
【0088】
図17を用いて、下流側回転体81及び上流側回転体85の機体幅方向の位置について説明する。
【0089】
苗押さえ棒は、各載置面の苗マットを上方から押さえて円滑な搬送を行う役割を有しており、苗載台33の苗マットの送り方向を長手方向として棒状に形成される。図17(a)に示す実施形態では、長径の苗押さえ棒88aが載置面の中央を基準として左右対称に設けられ、短径の苗押さえ棒88bが載置面の中央に設けられる。
【0090】
上流側回転体85は載置面の中央に設けられる。下流側回転体81は、短径の苗押さえ棒88bの下方(苗マットを押さえつける方向)に配置される。
【0091】
以上のように、下流側回転体81は、短径の苗押さえ棒88bの下方に配置されることで、苗マットと下流側回転体81との間に空隙を生ずることなく、苗マットに下流側回転体81を食い込ませることができる。そのため、下流側回転体81の滑りを防止することができ、下流側回転体81の回転数から苗マットの送り量を正確に算出することができる。
【0092】
図17(b)に示す実施形態では、上流側回転体85は、右側に位置する長径の苗押さえ棒88aの下方(苗マットを押さえつける方向)に配置される。そのため、同様に、上流側回転体85の滑りを防止することができ、上流側回転体85の回転数から苗マットの送り量を正確に算出することができる。
【0093】
図17(c)に示す実施形態では、長径の苗押さえ棒88aが載置面の中央を基準として左右対称に三本並べて配置される。上流側回転体85及び下流側回転体81は、中央に配置される長径の苗押さえ棒88aの下方(苗を押さえつける方向)に配置される。そのため、同様の効果を奏する。
【0094】
図17(d)に示す実施形態では、長径の苗押さえ棒88aが載置面の中央を基準として左右対称に二本並べて配置される。上流側回転体85は、右側に位置する長径の苗押さえ棒88aの下方(苗マットを押さえつける方向)に配置される。そのため、同様の効果を奏する。
【0095】
以上のように、苗押さえ棒の下方(苗マットを押さえつける方向)に上流側回転体85及び下流側回転体81を配置することで、上流側回転体85及び下流側回転体81の滑りを防止でき、回転数から苗マットの送り量を正確に算出することができる。また、上流側回転体85及び下流側回転体81は、それぞれ同高さに複数並べて配置してもよい。
【0096】
以上の構成において、苗取量算出部70は、実作業面積及び全条の苗マット使用数に基づいて実績縦取量を算出する。苗取量算出部70は、条毎の苗マット使用数を全て加算した苗マット使用数及び実作業面積から実績マット数(所定面積当たりの苗マット使用数)を算出する。そして、苗取量算出部70は、実績マット数及び苗載台33の横送り回数及びスリップ率を考慮した株数から実績縦取量を算出する。
【0097】
苗取量算出部70は、圃場面積から実作業面積を減算することで算出される残作業面積と、苗マット数から苗マット使用数を減算することで算出される残苗マット数と、に基づいて目標縦取量を算出する。苗取量算出部70は、残作業面積及び残苗マット数から目標マット数(所定面積当たりの苗マット数)を算出する。そして、苗取量算出部70は、目標マット数及び苗載台33の横送り回数及びスリップ率を考慮した株数から目標縦取量を算出する。
【0098】
苗取量算出部70は、実績縦取量及び目標縦取量を算出すると、目標縦取量から実績縦取量を減算した値を補正量として、基準縦取量に加算することで、基準縦取量を補正し、アクチュエータ56aを駆動制御している。
【0099】
以上の構成において、全条分の実作業面積及び苗マット使用数から実績縦取量を算出し、全条分の残作業面積及び残苗マット数から目標縦取量を算出し、実績縦取量及び目標縦取量から全条分の補正量を算出してい
るが、これに限定されず、条毎に補正量を算出し、該条毎の補正量に基づいて全条分の補正量を算出してもよい。
【0100】
苗取量算出部70は、条毎の実作業面積及び条毎の苗マット使用数から条毎の実績マット数を算出し、該条毎の実績マット数及び苗載台33の横送り回数及びスリップ率を考慮した株数から条毎の実績縦取量を算出する。そして、苗取量算出部70は、条毎の残作業面積及び条毎の残苗マット数から条毎の目標マット数を算出し、該条毎の目標マット数及び苗載台33の横送り回数及びスリップ率を考慮した株数から条毎の目標縦取量を算出する。苗取量算出部70は、条毎に算出される実績縦取量から目標縦取量を減算することで条毎の補正量を算出し、該条毎に算出される補正量に基づいて全条分の補正量を算出してもよい。
【0101】
以上の構成において、基準縦取量の補正制御は、植付作業が行われる条数全ての苗マット使用数が算出された後に行われるため、一の条が圧縮率を算出してから補正制御を行うまでにタイムラグが発生する。そのため、タイムラグを考慮して、下流側回転体81は、苗載台33の条毎の載置面において、下端部から上方へ少なくとも所定の間隔を空けて配置される。
【0102】
以上のように、植付作業中において、実際の植付作業が行われた実作業面積及び実際の植付作業に使用された苗マット使用数を算出可能とすることで、基準縦取量を補正することができる。そのため、所望の圃場に対して所望の苗マット数で植付作業を行うことができる。ゆえに、苗マットの消費効率を向上することができる。
【0103】
以下では、植付爪32の縦取量制御における植付不良の検出について説明する。 ここでの、植付不良とは、苗載台33、植付爪32等の植付作業機3の状態が良好でないため、発生する軽微な植付不良から、植付作業機3の故障により発生する植付不良まで含まれる。また、植付爪32の縦取量制御において設定される基準縦取量(補正後の基準縦取量を含む)では、苗マットから掻き取られる苗の縦横比が良好でないため、発生する植付不良を含む。
【0104】
苗取量算出部70は、苗マット使用数が条毎に算出されると、予め設定される所定の範囲と比較して植付不良を検出する。ここでの、植付不良とは、苗載台33、植付爪32等の植付作業機3の状態が良好でないため、発生する植付不良を指す。所定の範囲とは、基準縦取量を基準として設定される範囲を指す。
【0105】
以上の構成において、苗取量算出部70は、条毎に算出される苗マット使用数が、所定の範囲から外れている場合に植付不良として検出する。苗取量算出部70は、植付不良を検出すると、植付不良をオペレータに報知するとともに、例えば、植付作業機3を構成する苗載台33の苗押さえ棒が所定の位置において、苗マットを支持しているか、植付作業機3を構成する植付爪32の取付設定が適切であるか、等のオペレータへの植付不良を修正するガイダンスをモニタ22に表示する。
【0106】
また、苗取量算出部70は、苗マット使用数を予め設定される所定の範囲と比較して植付不良を検出しているが、これに限定されない。例えば、条毎に算出される苗マット使用数同士を比較して、植付不良を検出してもよい。この場合、苗マット使用数同士の差分数が予め設定される閾値よりも大きい場合に、植付不良として検出する。
【0107】
苗取量算出部70は、実作業面積の増加面積に対する条毎の苗マット使用数の増加数を算出しており、増加面積に対する増加数が予め設定される所定の閾値よりも小さくなった場合に、植付不良としてオペレータに報知する。ここでの植付不良とは、欠株を指す。また、苗取量算出部70は、どの植付条が欠株をおこしているかをオペレータに報知する。
【0108】
以上のように、欠株を報知することで、オペレータは度々田植機1を止めて後ろを確認することなく、欠株を確認することができる。以上の構成において、実作業面積の増加面積に対する条毎の苗マット使用数の増加数を算出することで、欠株を検出しているが、これに限定されない。例えば、実作業面積の増加面積に対する条毎の苗マットの送り量の増加量を算出することで、欠株を検出してもよい。この場合、苗マットの送り量はリアルタイムで検出されるため、より早期に欠株を発見することができる。
【0109】
苗取量算出部70は、基準縦取量(又補正後の基準縦取量)が算出されると、苗載台33の横送り回数から算出される苗マットの横送り量及び縦取量から苗マットから掻き取られる苗の縦横比を算出する。該苗の縦横比が所定の比率範囲から外れた場合に、植付不良としてオペレータに報知する。ここでの、植付不良とは、苗マットから掻き取られる苗の縦横比が良好でないため、発生する植付不良を指す。また、所定の比率範囲とは、目標値1対1を基準として設定される範囲を指す。
【0110】
苗取量算出部70は、植付不良を検出すると、植付不良をオペレータに報知するとともに、縦横比を目標値に近づけるために横送り量又は縦取量の変更を促すガイダンスをモニタ22に表示する。具体的には、苗取量算出部70は、縦横比が3対1の場合、横送り回数を減らして横送り量を増やすか、縦取量を減らすように株数を変更する又は苗マット数を変更するガイダンスをモニタ22に表示するとともに、オペレータに報知する。
【0111】
以上のように、苗マットから掻き取られる苗の縦横比が所定の比率範囲から外れる場合に、オペレータに植付不良を報知することで、苗マットから掻き取られる苗が縦長になったり、横長になったりすることで、苗がばらけやすくなっている状態であることを作業者は認識することができる。そのため、オペレータが設定を変更することで、苗がばらけて崩れやすい状態での植付作業を回避することができる。
【0112】
図18及び図19を用いて、植付爪32の縦取量制御について説明する。以下では、植付クラッチが接続され、植付作業機3は作動しているものとする。縦取量制御が開始されると、スリップ率を考慮した後輪8の走行距離及び作業幅から実作業面積は随時算出されている。また、苗マットの縦送りに連動して下流側回転体81及び上流側回転体85は、適宜回転され、下流側回転体81及び上流側回転体85の回転状態から苗継回数が検出されるとともに、下流側回転体81の回転数から苗マットの送り量が随時算出されている。
【0113】
ステップS110において、苗取量算出部70は、圃場面積及び苗マット数がセレクトダイヤル66を用いて入力されたか否かを判定する。圃場面積及び苗マット数が入力された場合、ステップS120に移行させる。
【0114】
ステップS120において、苗取量算出部70は、圃場面積及び苗マット数に基づいて算出される基準縦取量となるように、アクチュエータ56aを駆動制御して、ステップS130に移行させる。
【0115】
ステップS130において、苗取量算出部70は、基準縦取量に基づいて算出される苗の縦横比が所定の範囲内か否かを判定する。苗の縦横比が所定の範囲内の場合、ステップS150に移行させる。苗の縦横比が所定の範囲内でない場合、ステップS140に移行させる。
【0116】
ステップS140において、苗取量算出部70は、植付不良として検出して、オペレータに報知してステップS150に移行させる。
【0117】
ステップS150において、苗取量算出部70は、上流側回転体85の苗マットの縦送りに連動して回転する状態から、回転していない状態に遷移したか否かを判定する。上流側回転体85の回転していない状態を検出すると、ステップS160に移行させる。
【0118】
ステップS160において、苗取量算出部70は、条毎の苗マットの送り量と苗マットの苗継回数とに基づいて算出される圧縮率から条毎の苗マット使用数を算出し、ステップS170に移行させる。
【0119】
ステップS170において、苗取量算出部70は、条毎の苗マット使用数が所定の範囲内であるか否かを判定する。苗マット使用数が所定の範囲内である場合、ステップS190に移行させる。苗マット使用数が所定の範囲内でない場合、ステップS180に移行させる。
【0120】
ステップS180において、苗取量算出部70は、植付不良として検出して、オペレータに報知してステップS190に移行させる。
【0121】
ステップS190において、苗取量算出部70は、実作業面積の増加面積に対する条毎の苗マット使用数の増加数の比率が所定の閾値よりも小さくないかを判定する。比率が所定の閾値よりも小さくない場合、ステップS210に移行させる。比率が所定の閾値よりも小さい場合、ステップS200に移行させる。
【0122】
ステップS200において、苗取量算出部70は、植付不良として検出して、オペレータに報知してステップS210に移行させる。
【0123】
ステップS210において、苗取量算出部70は、実作業面積及び苗マット使用数に基づいて実績縦取量を算出して、ステップS220に移行させる。
【0124】
ステップS220において、苗取量算出部70は、残作業面積及び残苗マット数に基づいて目標縦取量を算出して、ステップS230に移行させる。
【0125】
ステップS230において、苗取量算出部70は、実績縦取量及び目標縦取量に基づいて基準縦取量を補正し、補正後の基準縦取量となるようにアクチュエータ59を駆動制御して、ステップS240に移行させる。
【0126】
ステップS240において、苗取量算出部70は、補正後の基準縦取量に基づいて算出される苗の縦横比が所定の範囲内か否かを判定する。苗の縦横比が所定の範囲内の場合、ステップS260に移行させる。苗の縦横比が所定の範囲内でない場合、ステップS250に移行させる。
【0127】
ステップS250において、苗取量算出部70は、植付不良として検出して、オペレータに報知してステップS260に移行させる。
【0128】
ステップS260において、苗取量算出部70は、実作業面積が圃場面積であるか否かを判定する。実作業面積が作業面積である場合、終了となる。実作業面積が圃場面積でない場合、ステップS150に移行させる。
【0129】
図20を用いて、情報端末91による植付作業の把握及び計画について説明する。 田植機1の通信部は、インターネット等の広域通信網を介して各種のデータを送受信するもので、広域通信網を介して接続される外部の情報端末91との間においてデータ通信を行うことができるように構成されている。
【0130】
図20(a)に示すように、情報端末91は、ある圃場での植付作業中において検出される、経過時間、株数、横送り回数、後輪の沈下量、スリップ率、一株当たりの茎数、所定面積当たりの茎数、残作業面積、残苗マット数等のデータを受信して表示する。各種のデータは、植付作業中においてリアルタイムに表示してもよいし、植付作業終了時点において表示させてもよい。
【0131】
以上のように、情報端末91に各種の詳細なデータを受信可能とすることで、複数の圃場を管理している管理者等が情報端末91を用いて、各圃場毎の作業状況等を把握することができる。
【0132】
図20(b)に示すように、所定面積当たりの茎数及び収量の関係や、株数及び収量の関係、を表示させてもよい。この場合、収量の内訳を整粒とくず米との比率を示すことで、次期の計画に役立てることができる。
【0133】
また、予め圃場の所定面積当たりの収量を見越して、所定面積当たりの株数及び苗マット数を設定する際に、各種の情報を情報端末91に入力して、必要マット数及び株数等のシミュレーションを行うことができる。そのため、管理者は、苗の移植段階、もしくは、苗マットの育成段階から計画を立てることができ、必要マット数及び株数等を適切に設定することができる。
【符号の説明】
【0134】
1:田植機、2:走行機体、3:植付作業機、8:後輪、20:昇降リンク機構、32:植付爪、33:苗載台、56:苗台レール支持軸、59:アクチュエータ、60:連動ワイヤ、63:条止めスイッチ、66:セレクトダイヤル、70:苗取量算出部、71:植付作業機位置検出センサ、81:下流側回転体、84:近接センサ
、85:上流側回転体、88a・88b:苗押さえ棒
図1
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