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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-05
(45)【発行日】2024-04-15
(54)【発明の名称】システム及び方法
(51)【国際特許分類】
   G01S 13/90 20060101AFI20240408BHJP
【FI】
G01S13/90 164
【請求項の数】 26
(21)【出願番号】P 2020167005
(22)【出願日】2020-10-01
(65)【公開番号】P2022059335
(43)【公開日】2022-04-13
【審査請求日】2023-02-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】朱 旭
(72)【発明者】
【氏名】森 浩樹
【審査官】梶田 真也
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/234852(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/035023(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/158009(WO,A1)
【文献】特開2013-054036(JP,A)
【文献】特開2005-331466(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0173161(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/00 - 7/42
G01S 13/00 - 13/95
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1乃至第4送信アンテナと、
複数の受信アンテナと、
測定対象の第1位置を取得し、
前記第1位置が取得された場合に、前記第1送信アンテナと前記第3送信アンテナとにより送信され、前記測定対象により反射され、前記複数の受信アンテナで受信された電波の第1信号を取得し、
前記測定対象の前記第1位置とは異なる第2位置を取得し、
記第2位置が取得された場合に、前記第2送信アンテナと前記第4送信アンテナとにより送信され、前記測定対象により反射され、前記複数の受信アンテナで受信された電波の第2信号を取得する制御部と、
前記第1信号及び前記第2信号を用いて合成開口処理により第1画像を生成する生成部と
を備え、
前記第1乃至第4送信アンテナは、前記第1位置から前記第2位置へ向かう方向に並べて配置されており、
前記複数の受信アンテナは、前記第1位置から前記第2位置へ向かう方向に並べて配置されており、
前記第1送信アンテナ及び前記第3送信アンテナの第1間隔と、前記第2送信アンテナ及び前記第4送信アンテナの第2間隔とは、同一である
システム。
【請求項2】
前記制御部は、
第1期間において前記測定対象の位置が前記第1位置の場合に、前記第1期間において、前記第1送信アンテナと前記第3送信アンテナとから電波を送信させ、
前記第1期間とは異なる第2期間において前記測定対象の位置が前記第2位置の場合に、前記第2期間において、前記第2送信アンテナと前記第4送信アンテナとから電波を送信させる
請求項1記載のシステム。
【請求項3】
前記第1位置から前記第2位置へ向かう方向が第1方向であり、
前記第2送信アンテナは、前記第1送信アンテナの位置よりも前記第1方向に第1距離離れた位置に設置され、
前記第4送信アンテナは、前記第3送信アンテナの位置よりも前記第1方向に前記第1距離離れた位置に設置される
請求項1または2記載のシステム。
【請求項4】
前記制御部は、前記測定対象が移動する距離を更に取得し、
前記電波は、前記取得された距離に基づいて、前記測定対象が予め定められた距離を移動する間に送信される
請求項記載のシステム。
【請求項5】
前記制御部は、前記測定対象が移動する速度を更に取得し、
前記第1送信アンテナと前記第3送信アンテナとから電波が送信される第1期間及び前記第2送信アンテナと前記第4送信アンテナとから電波が送信される第2期間は、前記取得された速度に基づいて決定される
請求項または記載のシステム。
【請求項6】
前記測定対象が第1位置の場合には、前記第2送信アンテナと前記第4送信アンテナとからは前記電波は送信されず、
前記測定対象が第2位置の場合には、前記第1送信アンテナと前記第3送信アンテナとからは前記電波は送信されない
請求項1乃至のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
第1期間において、前記第1送信アンテナと前記第3送信アンテナとにより送信され、前記測定対象により反射され、前記複数の受信アンテナで受信された電波の第1信号と、前記第2送信アンテナと前記第4送信アンテナとにより送信され、前記測定対象により反射され、前記複数の受信アンテナで受信された電波の第2信号とを取得し、当該第1期間において前記測定対象が前記第1位置の場合に、前記第1信号及び前記第2信号の中から前記第1信号を選択し、
前記第1期間とは異なる第2期間において前記第1信号及び前記第2信号を取得し、当該第2期間において前記測定対象が前記第2位置の場合に、前記第1信号及び前記第2信号の中から前記第2信号を選択する選択部を更に具備する
請求項1乃至のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
表示処理部を更に具備し
前記表示処理部は、前記第1画像を表示する
請求項1乃至のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
前記表示処理部は、前記第1画像を、撮像装置によって撮像された前記測定対象を含む第2画像と重畳して表示する請求項記載のシステム。
【請求項10】
前記測定対象が通過する位置に設けられた少なくとも1つのパネルを具備し、
前記第1乃至第4送信アンテナ及び前記複数の受信アンテナは、前記パネルに設置される
請求項1乃至のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項11】
前記第1信号は、前記第1送信アンテナと前記第3送信アンテナとから電波が送信された場合に、当該第1送信アンテナ及び当該第3送信アンテナの各々と前記複数の受信アンテナの各々との中間点に対応する位置で前記測定対象により反射された電波の信号であり、
前記第2信号は、前記第2送信アンテナと前記第4送信アンテナとから前記電波が送信された場合に、当該第2送信アンテナ及び当該第4送信アンテナの各々と前記複数の受信アンテナの各々との中間点に対応する位置で前記測定対象により反射された電波の信号である
請求項1乃至10のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項12】
前記第1画像に基づいて前記測定対象が所持する物体の種別を判別する判別部を更に具備する請求項1乃至11のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項13】
複数の送信アンテナと、
第1乃至第4受信アンテナと、
測定対象の第1位置を取得し、
前記第1位置が取得された場合に、前記複数の送信アンテナにより送信され、前記測定対象により反射され、前記第1受信アンテナと前記第3受信アンテナとで受信された電波の第1信号を取得し、
前記測定対象の前記第1位置とは異なる第2位置を取得し、
記第2位置が取得された場合に、前記複数の送信アンテナにより送信され、前記測定対象により反射され、前記第2受信アンテナと前記第4受信アンテナとで受信された電波の第2信号を取得する制御部と、
前記第1信号及び前記第2信号を用いて合成開口処理により第1画像を生成する生成部と
を備え、
前記複数の送信アンテナは、前記第1位置から前記第2位置へ向かう方向に並べて配置されており、
前記第1乃至第4受信アンテナは、前記第1位置から前記第2位置へ向かう方向に並べて配置されており、
前記第1受信アンテナ及び前記第3受信アンテナの第1間隔と、前記第2受信アンテナ及び前記第4受信アンテナの第2間隔とは、同一である
システム。
【請求項14】
前記制御部は、
第1期間において前記測定対象の位置が前記第1位置の場合に、前記第1期間において、前記第1受信アンテナと前記第3受信アンテナとに電波を受信させ、
前記第1期間とは異なる第2期間において前記測定対象の位置が前記第2位置の場合に、前記第2期間において、前記第2受信アンテナと前記第4受信アンテナとに電波を受信させる
請求項13記載のシステム。
【請求項15】
前記第1位置から前記第2位置へ向かう方向が第1方向であり、
前記第2受信アンテナは、前記第1受信アンテナの位置よりも前記第1方向に第1距離離れた位置に設置され、
前記第4受信アンテナは、前記第3受信アンテナの位置よりも前記第1方向に前記第1距離離れた位置に設置される
請求項13または14記載のシステム。
【請求項16】
前記制御部は、前記測定対象が移動する距離を更に取得し、
前記電波は、前記取得された距離に基づいて、前記測定対象が予め定められた距離を移動する間に送信される
請求項13記載のシステム。
【請求項17】
前記制御部は、前記測定対象が移動する速度を更に取得し、
前記第1受信アンテナと前記第3受信アンテナとに電波を受信させる第1期間及び前記第2受信アンテナと前記第4受信アンテナとに電波を受信させる第2期間は、前記取得された速度に基づいて決定される
請求項13または16記載のシステム。
【請求項18】
前記測定対象が第1位置の場合には、前記第2受信アンテナと前記第4受信アンテナとは前記電波を受信せず、
前記測定対象が第2位置の場合には、前記第1受信アンテナと前記第3受信アンテナとは前記電波を受信しない
請求項13乃至17のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項19】
第1期間において、前記複数の送信アンテナにより送信され、前記測定対象により反射され、前記第1受信アンテナと前記第3受信アンテナとで受信された電波の第1信号と、前記複数の送信アンテナにより送信され、前記測定対象により反射され、前記第2受信アンテナと前記第4受信アンテナとで受信された電波の第2信号とを取得し、当該第1期間において前記測定対象が前記第1位置の場合に、前記第1信号及び前記第2信号の中から前記第1信号を選択し、
前記第1期間とは異なる第2期間において前記第1信号及び前記第2信号を取得し、当該第2期間において前記測定対象が前記第2位置の場合に、前記第1信号及び前記第2信号の中から前記第2信号を選択する選択部を更に具備する
請求項13乃至17のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項20】
表示処理部を更に具備し
前記表示処理部は、前記第1画像を表示する
請求項13乃至19のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項21】
前記表示処理部は、前記第1画像を、撮像装置によって撮像された前記測定対象を含む第2画像と重畳して表示する請求項20記載のシステム。
【請求項22】
前記測定対象が通過する位置に設けられた少なくとも1つのパネルを具備し、
前記複数の送信アンテナ及び前記第1乃至第4受信アンテナは、前記パネルに設置される
請求項13乃至21のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項23】
前記第1信号は、前記複数の送信アンテナから電波が送信された場合に、当該複数の送信アンテナの各々と前記第1受信アンテナ及び前記第3受信アンテナの各々との中間点に対応する位置で前記測定対象により反射された電波の信号であり、
前記第2信号は、前記複数の送信アンテナから電波が送信された場合に、当該複数の送信アンテナの各々と前記第2受信アンテナ及び前記第4受信アンテナの各々との中間点に対応する位置で前記測定対象により反射された電波の信号である
請求項13乃至22のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項24】
前記第1画像に基づいて前記測定対象が所持する物体の種別を判別する判別部を更に具備する請求項13乃至23のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項25】
第1乃至第4送信アンテナと、複数の受信アンテナと備えるシステムが実行する方法において、
測定対象の第1位置を取得するステップと、
前記第1位置が取得された場合に、前記第1送信アンテナと前記第3送信アンテナとにより送信され、前記測定対象により反射され、前記複数の受信アンテナで受信された電波の第1信号を取得するステップと、
前記測定対象の前記第1位置とは異なる第2位置を取得するステップと、
記第2位置が取得された場合に、前記第2送信アンテナと前記第4送信アンテナとにより送信され、前記測定対象により反射され、前記複数の受信アンテナで受信された電波の第2信号を取得するステップと、
前記第1信号及び前記第2信号を用いて合成開口処理により第1画像を生成するステップと
を具備し、
前記第1乃至第4送信アンテナは、前記第1位置から前記第2位置へ向かう方向に並べて配置されており、
前記複数の受信アンテナは、前記第1位置から前記第2位置へ向かう方向に並べて配置されており、
前記第1送信アンテナ及び前記第3送信アンテナの第1間隔と、前記第2送信アンテナ及び前記第4送信アンテナの第2間隔とは、同一である
方法。
【請求項26】
複数の送信アンテナと、第1乃至第4受信アンテナとを備えるシステムが実行する方法であって、
測定対象の第1位置を取得するステップと、
前記第1位置が取得された場合に、前記複数の送信アンテナにより送信され、前記測定対象により反射され、前記第1受信アンテナと前記第3受信アンテナとで受信された電波の第1信号を取得するステップと、
前記測定対象の前記第1位置とは異なる第2位置を取得するステップと、
記第2位置が取得された場合に、前記複数の送信アンテナにより送信され、前記測定対象により反射され、前記第2受信アンテナと前記第4受信アンテナとで受信された電波の第2信号を取得するステップと、
前記第1信号及び前記第2信号を用いて合成開口処理により第1画像を生成するステップと
を具備し、
前記複数の送信アンテナは、前記第1位置から前記第2位置へ向かう方向に並べて配置されており、
前記第1乃至第4受信アンテナは、前記第1位置から前記第2位置へ向かう方向に並べて配置されており、
前記第1受信アンテナ及び前記第3受信アンテナの第1間隔と、前記第2受信アンテナ及び前記第4受信アンテナの第2間隔とは、同一である
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、例えばミリ波のような電波を用いてセキュリティ検査を行うシステムが開発されている。このようなシステムは複数のアンテナ素子からなるアンテナアレイを備え、当該アンテナアレイから人物等の測定対象に向けて放射された電波は、当該測定対象で反射波され、当該アンテナアレイで受信される。上記したシステムは、このようにアンテナアレイで受信された電波の信号から測定対象の情報を得る(例えば、画像等を生成する)ことができる。
【0003】
ここで、ISAR(inverse synthetic aperture radar)と称される技術を用いたシステムが知られている。このISARによれば、アンテナ素子の数を減らすことにより、システムの低コスト化及び小型化を実現することができる。また、ISARを用いたシステムは測定対象の移動(例えば、人物の歩行)を利用して当該測定対象の情報を得るように構成されているため、例えばアンテナアレイを備えるパネルの前を測定対象が通過するのみでセキュリティ検査を完了することができる。
【0004】
しかしながら、ISARを用いたシステムにおいては移動する測定対象に向けて放射された電波を受信するため、高い精度の情報を得ることが困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】米国特許出願公開第2018/0173161号明細書
【文献】国際公開第2019/234852号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、精度の高い測定対象の情報を得ることが可能なシステム及び方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態に係るシステムは、第1乃至第4送信アンテナと、複数の受信アンテナと、測定対象の第1位置を取得し、前記第1位置が取得された場合に、前記第1送信アンテナと前記第3送信アンテナとにより送信され、前記測定対象により反射され、前記複数の受信アンテナで受信された電波の第1信号を取得し、前記測定対象の前記第1位置とは異なる第2位置を取得し、記第2位置が取得された場合に、前記第2送信アンテナと前記第4送信アンテナとにより送信され、前記測定対象により反射され、前記複数の受信アンテナで受信された電波の第2信号を取得する制御部と、前記第1信号及び前記第2信号を用いて合成開口処理により第1画像を生成する生成部とを備える。前記第1乃至第4送信アンテナは、前記第1位置から前記第2位置へ向かう方向に並べて配置されている。前記複数の受信アンテナは、前記第1位置から前記第2位置へ向かう方向に並べて配置されている。前記第1送信アンテナ及び前記第3送信アンテナの第1間隔と、前記第2送信アンテナ及び前記第4送信アンテナの第2間隔とは、同一である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態に係るシステムの使用態様について説明するための図。
図2】システムの機能構成の一例を示す図ブロック図。
図3】電子機器のハードウェア構成の一例を示す図。
図4】本実施形態の比較例に係るシステムにおいて生成される検査画像について概念的に説明するための図。
図5】反射波を受信する送受信アンテナの位置を概念的に説明するための図。
図6】反射波を受信する送受信アンテナの位置を概念的に説明するための図。
図7】本実施形態の比較例に係るシステムにおいて生成される検査画像の概要を示す図。
図8】本実施形態に係るシステムに備えられるパネルの構成の一例を示す図。
図9】パネルにおいて取得される反射波信号について具体的に説明するための図。
図10】電波を送信する送信アンテナに応じて実現される仮想アンテナアレイを概念的に示す図。
図11】パネルの前を通過する人物の位置の変化例を示す図。
図12】システムに備えられる電子機器の処理手順の一例を示すフローチャート。
図13】パネルの構成の他の例を示す図。
図14】第2実施形態に係るシステムの機能構成の一例を示すブロック図。
図15】システムに備えられる電子機器の処理手順の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、各実施形態について説明する。
(第1実施形態)
まず、図1を参照して、第1実施形態に係るシステムの使用態様について説明する。本実施形態に係るシステム1は、例えばパネル2を備え、当該パネル2の前を通過する人物(測定対象)10に対するセキュリティ検査を行うためのイメージングシステム(ウォークスルーイメージングシステム)として用いられる。このシステム1は、例えば空港や駅等の公共の施設等で用いられるが、他の場所で用いられてもよい。なお、図1においてはシステム1が2つのパネル2を備える例が示されているが、当該パネル2は1つ以上であればよい。
【0010】
詳細については後述するが、本実施形態に係るシステム1が備えるパネル2はレーダとして作動するものであり、当該パネル2には複数のアンテナ素子から構成されるアンテナアレイ(図示せず)が設置される。これにより、本実施形態に係るシステム1は、アンテナアレイから送信され、パネル2の前を通過する人物10により反射され、当該アンテナアレイで受信された電波の信号を用いて、当該人物10の情報を取得する。
【0011】
なお、本実施形態において、アンテナ(素子)とは、アンテナ自体だけでなく、アンテナモジュールの概念をも含む。また、システム1によって取得される人物10の情報には当該人物10を含む画像が含まれる。
【0012】
ここで、本実施形態においては測定対象(検査対象)として人物(歩行者)10を想定しているが、本実施形態においてアンテナアレイから送信される電波の一例はミリ波(EHF:Extra High Frequency)であり、当該ミリ波は、衣服等の非金属物質を透過しやすいという特性を有している。この場合、システム1を用いてパネル2の前をX方向に通過(移動)する人物10を含む画像を取得することにより、当該人物10が所持する物体(衣服の下に隠し持っている危険物等)を検査することができる。
【0013】
なお、本実施形態における測定対象は人物10以外であってもよく、例えばパネル2の前を通過する箱形の筐体等の内部に保持されている物体を検査するためにシステム1が用いられてもよい。
【0014】
また、本実施形態に係るシステム1は、パネル2の前を通過する人物10のリアルタイムな動作に関する情報(以下、人物10の動作情報と表記)を取得するためのセンサ(モーションセンサ)3を更に備える。センサ3は、例えばカメラ(イメージセンサ)を含むが、人物10の動作情報を取得することが可能であれば他のセンサであってもよい。なお、センサ3は、パネル2内に組み込まれていてもよいし、当該パネル2の外部に配置されていてもよい。
【0015】
図2は、本実施形態に係るシステム1の機能構成の一例を示すブロック図である。図2に示すように、システム1は、図1に示すパネル2及びセンサ3に加えて、電子機器4を備える。電子機器4は、パネル2及びセンサ3と通信可能に接続されており、上記した人物10の画像(測定対象の情報)を生成するためのサーバ装置等として動作する。なお、電子機器4は、例えばパネル2に組み込まれていてもよい。ここでは、電子機器4の機能構成について主に説明する。
【0016】
電子機器4は、パネル制御部41、信号受信部42、画像生成部43、判別部44及び表示処理部45を含む。
【0017】
ここで、上記したセンサ3がカメラ(イメージセンサ)であるものとすると、パネル制御部41は、当該カメラによって撮像された人物10を含む画像をセンサデータとして当該センサ3から受信する。パネル制御部41は、取得されたセンサデータに基づいて、人物10の動作情報を取得(推定)する。なお、この人物10の動作情報には、例えば当該人物10の位置等が含まれる。本実施形態における人物10の位置は、当該人物10に関する特定の物体等(対象物)の位置であってもよいし、当該対象物のうち測定する領域の位置等であってもよい。
【0018】
パネル制御部41は、取得された人物10の動作情報に基づいて、パネル2を制御する。具体的には、パネル制御部41は、パネル2に設置されているアンテナアレイの動作を制御する。
【0019】
この場合、パネル2に設置されているアンテナアレイは、パネル制御部41の制御に基づいて、パネル2の前を通過する人物10に対して電波(例えば、ミリ波)を送信(放射)する。アンテナアレイによって送信された電波は、人物10により反射し、当該アンテナアレイによって受信される。アンテナアレイによって受信された電波(反射波)は、電気信号(以下、反射波信号と表記)に変換される。これにより、パネル2は、反射波信号を取得することができる。このようにパネル2において取得された反射波信号は、当該パネル2から電子機器4に送信される。
【0020】
信号受信部42は、パネル2から送信された反射波信号(人物10により反射された電波の信号)を受信する。
【0021】
画像生成部43は、信号受信部42によって受信された反射波信号に基づいて、人物10の画像を生成する。なお、アンテナアレイを構成する複数のアンテナ素子が図1に示すZ方向に並んで設置されている場合、当該アンテナ素子からY方向に電波が放射された電波の信号(つまり、信号受信部42によって受信される反射波信号)は、当該電波の放射方向に延びるY-Z平面内の2次元画像を生成可能な信号に相当する。
【0022】
ここで、本実施形態において、パネル制御部41は、人物10がパネル2の前を通過する間、複数回(例えば、定期的に)電波を送信するようにパネル2(アンテナアレイ)を制御する。
【0023】
これによれば、信号受信部42はアンテナアレイから送信される電波毎に反射波信号を複数回受信することができ、画像生成部43は、このように複数回受信された反射波信号に対して合成開口処理を実行することにより、例えば人物10の3次元画像を生成(再構成)することができる。
【0024】
判別部44は、画像生成部43によって生成された人物10の画像(以下、検査画像と表記)に基づいて、当該人物10が所持する物体の種別を判別する。
【0025】
表示処理部45は、上記した画像生成部43によって生成された検査画像及び判別部44による判別結果のうちの少なくとも一方を表示する。
【0026】
図3は、図2に示す電子機器4のハードウェア構成の一例を示す。図3に示すように、電子機器4は、CPU401、不揮発性メモリ402、主メモリ403及び通信デバイス404等を備える。
【0027】
CPU401は、電子機器4内の様々なコンポーネントの動作を制御するハードウェアプロセッサである。CPU401は、ストレージデバイスである不揮発性メモリ402から主メモリ403にロードされる様々なプログラムを実行する。CPU401によって実行されるプログラムには、オペレーティングシステム(OS)及び上記したセキュリティ検査を行うためのプログラム(以下、検査プログラムと表記)等が含まれる。
【0028】
なお、図2に示すパネル制御部41、信号受信部42、画像生成部43、判別部44及び表示処理部45の一部または全ては、CPU401(つまり、電子機器4のコンピュータ)が上記した検査プログラムを実行すること、すなわち、ソフトウェアによって実現されるものとする。この検査プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に格納して頒布されてもよいし、またはネットワークを通じて電子機器4にダウンロードされてもよい。
【0029】
ここではパネル制御部41、信号受信部42、画像生成部43、判別部44及び表示処理部45の一部または全てがソフトウェアによって実現されるものとして説明したが、これらの各部41~45の一部または全ては、例えばIC(Integrated Circuit)等のハードウェアによって実現されてもよいし、ソフトウェア及びハードウェアの組み合わせ構成として実現されてもよい。
【0030】
通信デバイス404は、例えば有線または無線による通信を実行するように構成されたデバイスである。この通信デバイス404により、電子機器4は、センサ3及びパネル2と通信可能に接続される。
【0031】
ここでは、電子機器4がCPU401、不揮発性メモリ402、主メモリ403及び通信デバイス404を備えるものとして説明したが、電子機器4は、例えば入力デバイス(キーボード及びマウス等)及び表示デバイス(ディスプレイ等)やその他のデバイスを更に備えていてもよい。
【0032】
以下、本実施形態に係るシステム1の動作原理について説明する。まず、図4を参照して、本実施形態の比較例に係るシステムにおいて生成される検査画像について概念的に説明する。本実施形態の比較例としては、ISARと称される技術が適用されたシステムを想定している。
【0033】
図4に示すように、本実施形態の比較例に係るシステムは例えばパネル2´を備え、当該パネル2´には、例えばZ方向に配列される複数の送受信アンテナ(送受信アンテナアレイ)20´が設置(固定)されている。図4においては便宜的に1枚のパネル2´のみが示されているが、本実施形態の比較例に係るシステムは、上記した図1に示すパネルと同様に、2つのパネル2´を備えていてもよい。
【0034】
なお、上記したパネル2´に設置されている複数の送受信アンテナ20´は、パネル2´の前をX方向に通過する人物10に電波を送信するとともに、当該人物10において反射した電波(つまり、反射波)を受信することができる。
【0035】
このような本実施形態の比較例に係るシステムにおいて、例えば時刻t1~t4の間に人物10がパネル2´の前をX方向に通過する場合を想定する。
【0036】
この場合、パネル2´に設置されている複数の送受信アンテナ20´の各々は、当該パネル2´の前を通過する人物10に対して時刻t1に電波を送信し、当該人物10からの反射波を受信する。パネル2においてはこのように受信された反射波から反射波信号が取得される(つまり、反射波が電気信号に変換される)が、この反射波信号は、時刻t1における人物10のY-Z平面内の2次元画像を生成することが可能な信号に相当する。
【0037】
ここでは、時刻t1について説明したが、時刻t2~t4においても同様の処理が繰り返される。これによれば、時刻t1~t4の各々において取得された反射波信号に対して合成開口処理が実行されることによって、検査画像100を得ることができる。なお、図4においては、便宜的に、検査画像100をX方向から見た人物10の2次元画像(Y-Z平面内の画像)として示しているが、上記したように検査画像100は3次元画像であってもよい。
【0038】
このような検査画像100によれば、例えば人物10が危険物101を所持していることを検知することができる。なお、図4においては、銃の形状を模したものを危険物101として示しているが、危険物101は他のものであってもよい。
【0039】
ここで、精度の高い検査画像を生成するためには理論的に互いに遠くになりすぎることがないように複数の送受信アンテナ20´の各々を配置することが好ましいが、当該送受信アンテナ20´の間隔が狭い場合には、当該送受信アンテナ20´によって受信される電波(反射波)が干渉し、反射波信号に基づいて生成される検査画像の精度に影響を与える場合がある。このため、一般的なアンテナアレイにおいて、複数の送受信アンテナ20´は、例えば略半波長の間隔で配置される。
【0040】
ところで、上記した時刻t1~t4の各々において取得される反射波信号はそれぞれY-Z平面内の2次元画像を生成することが可能な信号に相当するが、パネル2´の前を通過する人物10(が所持する危険物101)の位置が変化しないものとすると、当該危険物101からの反射波は、図5に示すように、時刻t1~t4において同一の送受信アンテナ20´によって受信される。この場合、時刻t1~t4の各々において取得される反射波信号に基づいて生成されるY-Z平面内の2次元画像上の危険物101(つまり、X方向から見た危険物101)の位置にずれは生じず、合成開口処理が実行された場合に図4に示すような精度の高い検査画像100を生成することができる。
【0041】
しかしながら、実際に人物10がパネル2´の前を通過する(歩行する)場合、当該人物10の横方向(Y方向)位置の変化は小さく無視できるものの、当該人物10の高さ方向の位置は当該人物10の脚部の動きに応じて比較的大きく変化する(上下する)場合が多い。この場合、人物10が所持する危険物101からの反射波は、例えば図6に示すように、時刻t1~t4において異なる位置の送受信アンテナ20´によって受信される。これによれば、時刻t1~t4の各々において取得される反射波信号に基づいて生成されるY-Z平面内の2次元画像上の危険物101(つまり、X方向から見た危険物101)の位置は図7に示すように少なくとも人物10の高さ方向(Z方向)にずれ、合成開口処理が実行された場合に精度の高い検査画像100が生成することができない。
【0042】
上記したように本実施形態の比較例に係るシステムに備えられるパネル2´に設置された複数の送受信アンテナ20´では、当該パネル2´の前を通過する人物10の高さ方向の位置の変化に対応することができず、当該人物10(危険物101)の検査画像の精度が低い場合がある。
【0043】
そこで、本実施形態においては、上記したようにパネル2の前を通過する人物10の位置の変化の影響を受けず、精度の高い検査画像を得ることが可能な構成を有する。
【0044】
図8は、本実施形態に係るシステム1に備えられるパネル2の構成の一例を示す。図8に示すように、パネル2には、第1送信アンテナアレイ21a、第2送信アンテナアレイ21b及び受信アンテナアレイ22が設置されている。
【0045】
第1送信アンテナアレイ21a及び第2送信アンテナアレイ21bの各々は、電波を送信可能な複数(例えば、4つ)の送信アンテナ201から構成されている。第1送信アンテナアレイ21aを構成する4つの送信アンテナ201及び第2送信アンテナアレイ21bを構成する4つの送信アンテナ201は、Z方向に延びる同一の直線上に位置するように配置(配列)されている。また、このようなパネル2において複数の送信アンテナ201は、第1送信アンテナアレイ21aを構成する4つの送信アンテナ201の各々の間隔(距離)と第2送信アンテナアレイ21bを構成する4つの送信アンテナ201の各々の間隔(距離)とが同一となるように配置されている。
【0046】
受信アンテナアレイ22は、電波を受信可能な複数(例えば、5つ)の受信アンテナ202から構成されている。受信アンテナアレイ22において、5つの受信アンテナ202は、上記した複数の送信アンテナ201が配置される直線とは異なるZ方向に延びる同一の直線上に位置するように配置(配列)されている。また、このようなパネル2において受信アンテナ202の各々は、等間隔となるように配置されている。
【0047】
このようなパネル2によれば、複数の送信アンテナ201から電波を送信し、人物10で反射した電波を複数の受信アンテナ202で受信することによって反射波信号(つまり、複数の送信アンテナ201から送信された電波に基づく反射波信号)を取得することができる。
【0048】
ここで、図9を参照して、図8に示すパネル2において取得される反射波信号について具体的に説明する。
【0049】
ここでは、図8において説明したように第1送信アンテナアレイ21aが4つの送信アンテナ201から構成されており、当該第1送信アンテナアレイ21aを構成する4つの送信アンテナ201のうちの人物10の高さ方向において一番下に位置する送信アンテナ201(以下、第1送信アンテナアレイ21aの第1送信アンテナ201と表記)から電波が送信されるものとする。
【0050】
この場合、第1送信アンテナアレイ21aの第1送信アンテナ201から送信された電波は、人物10によって反射され、受信アンテナアレイ22を構成する複数の受信アンテナ202の各々によって受信される。
【0051】
具体的には、第1送信アンテナアレイ21aの第1送信アンテナ201から電波が送信された場合、受信アンテナアレイ22を構成する複数の受信アンテナ202のうちの人物10の高さ方向において一番下に位置する受信アンテナ202(以下、第1受信アンテナ202と表記)は、当該第1送信アンテナ201と当該第1受信アンテナ202との中間点に対応する位置(高さ)231で人物10により反射された電波を受信することになる。
【0052】
同様に、第1送信アンテナアレイ21aの第1送信アンテナ201から電波が送信された場合、受信アンテナアレイ22を構成する複数の受信アンテナ202のうちの人物10の高さ方向において下から2番目に位置する受信アンテナ202(以下、第2受信アンテナ202と表記)は、当該第1送信アンテナ201と当該第2受信アンテナ202との中間点に対応する位置(高さ)232で人物10により反射された電波を受信することになる。
【0053】
更に、第1送信アンテナアレイ21aの第1送信アンテナ201から電波が送信された場合、受信アンテナアレイ22を構成する複数の受信アンテナ202のうちの人物10の高さ方向において下から3番目に位置する受信アンテナ202(以下、第3受信アンテナ202と表記)は、当該第1送信アンテナ201と当該第3受信アンテナ202との中間点に対応する位置(高さ)233で人物10により反射された電波を受信することになる。
【0054】
また、第1送信アンテナアレイ21aの第1送信アンテナ201から電波が送信された場合、受信アンテナアレイ22を構成する複数の受信アンテナ202のうちの人物10の高さ方向において下から4番目に位置する受信アンテナ202(以下、第4受信アンテナ202と表記)は、当該第1送信アンテナ201と当該第4受信アンテナ202との中間点に対応する位置(高さ)234で人物10により反射された電波を受信することになる。
【0055】
同様に、第1送信アンテナアレイ21aの第1送信アンテナ201から電波が送信された場合、受信アンテナアレイ22を構成する複数の受信アンテナ202のうちの人物10の高さ方向において下から5番目(つまり、一番上)に位置する受信アンテナ202(以下、第5受信アンテナ202と表記)は、当該第1送信アンテナ201と当該第5受信アンテナ202との中間点に対応する位置(高さ)235で人物10により反射された電波を受信することになる。
【0056】
すなわち、第1送信アンテナアレイ21aの第1送信アンテナ201から電波が送信された場合には、図9に示すように、上記した本実施形態の比較例におけるパネル2´の位置231~235の各々に送受信アンテナ20´が設置されていることによって取得することができる信号と同等の反射波信号を取得することができる。換言すれば、第1送信アンテナアレイ21aの第1送信アンテナ201と受信アンテナアレイ22を構成する受信アンテナ202の各々とのペアがそれぞれ位置231~235の各々に設置された送受信アンテナ20´と同様に作用する。
【0057】
ここでは第1送信アンテナアレイ21aの第1送信アンテナ201から電波が送信される場合について説明したが、例えば第2送信アンテナアレイ21bが4つの送信アンテナ201から構成されており、当該第2送信アンテナアレイ21bを構成する4つの送信アンテナ201のうちの人物10の高さ方向において一番下に位置する送信アンテナ201(以下、第2送信アンテナアレイ21bの第1送信アンテナ201と表記)から電波が送信される場合についても同様である。
【0058】
すなわち、第2送信アンテナアレイ21bの第1送信アンテナ201から電波が送信された場合には、図9に示すように、上記した本実施形態の比較例におけるパネル2´の位置235~239の各々に送受信アンテナ20´が設置されていることによって取得することができる信号と同等の反射波信号を取得することができる。換言すれば、第2送信アンテナアレイ21bの第1送信アンテナ201と受信アンテナアレイ22を構成する受信アンテナ202の各々とのペアがそれぞれ位置235~239の各々に設置された送受信アンテナ20´と同様に作用する。
【0059】
上記した第1送信アンテナアレイ21a、第2送信アンテナアレイ21b及び受信アンテナアレイ22が設置されたパネル2によれば、上記した第1送信アンテナアレイ21a及び第2送信アンテナアレイ21bの各々の第1送信アンテナ201から電波を送信し、人物10からの反射波を受信アンテナアレイ22(複数の受信アンテナ202)において受信することにより、本実施形態の比較例におけるパネル2´に設置されている複数の送受信アンテナ20´に相当する仮想アンテナアレイ20を実現することができる。
【0060】
なお、アンテナアレイの送受信方法としては、本実施形態の比較例のように送信と受信とを同一のアンテナ素子で行うモノスタティック法と、本実施形態のように送信と受信とを別々のアンテナ素子で行うマルチスタティック法(バイスタティック法)があるが、本実施形態は、マルチスタティック法を応用することによって仮想的に実現されるモノスタティック法を利用する。
【0061】
図9においては第1送信アンテナアレイ21aの第1送信アンテナ201と第2送信アンテナアレイ21bの第1送信アンテナ201とから電波が送信される場合について説明してしたが、他の送信アンテナ201から電波が送信される場合についても同様に仮想アンテナアレイ20を実現することができる。
【0062】
図10は、電波を送信する送信アンテナ201に応じて実現される仮想アンテナアレイ20を概念的に示している。
【0063】
図10に示す枠501内においては、図9において説明したように第1送信アンテナアレイ21aの第1送信アンテナ201と第2送信アンテナアレイ21bの第1送信アンテナ201とから電波が送信され、人物10からの反射波が受信アンテナアレイ22において受信される場合に実現される仮想アンテナアレイ20を示している。
【0064】
図10に示す枠502内においては、第1送信アンテナアレイ21aの第2送信アンテナ201と第2送信アンテナアレイ21bの第2送信アンテナ201とから電波が送信され、人物10からの反射波が受信アンテナアレイ22において受信される場合において実現される仮想アンテナアレイ20を示している。なお、第1送信アンテナアレイ21aの第2送信アンテナ201とは、第1送信アンテナアレイ21aを構成する4つの送信アンテナ201のうちの人物10の高さ方向において下から2番目に位置する送信アンテナ201である。また、第2送信アンテナアレイ21bの第2送信アンテナ201とは、第2送信アンテナアレイ21bを構成する4つの送信アンテナ201のうちの人物10高さ方向において下から2番目に位置する送信アンテナ201である。
【0065】
図10に示す枠503内においては、第1送信アンテナアレイ21aの第3送信アンテナ201と第2送信アンテナアレイ21bの第3送信アンテナ201とから電波が送信され、人物10からの反射波が受信アンテナアレイ22において受信される場合において実現される仮想アンテナアレイ20を示している。なお、第1送信アンテナアレイ21aの第3送信アンテナ201とは、第1送信アンテナアレイ21aを構成する4つの送信アンテナ201のうちの人物10の高さ方向において下から3番目に位置する送信アンテナ201である。また、第2送信アンテナアレイ21bの第3送信アンテナ201とは、第2送信アンテナアレイ21bを構成する4つの送信アンテナ201のうちの人物10の高さ方向において下から3番目に位置する送信アンテナ201である。
【0066】
図10に示す枠504内においては、第1送信アンテナアレイ21aの第4送信アンテナ201と第2送信アンテナアレイ21bの第4送信アンテナ201とから電波が送信され、人物10からの反射波が受信アンテナアレイ22において受信される場合において実現される仮想アンテナアレイ20を示している。なお、第1送信アンテナアレイ21aの第4送信アンテナ201は、第1送信アンテナアレイ21aを構成する4つの送信アンテナ201のうちの人物10の高さ方向において下から4番目(つまり、一番上)に位置する送信アンテナ201である。また、第2送信アンテナアレイ21bの第4送信アンテナ201は、第2送信アンテナアレイ21bを構成する4つの送信アンテナ201のうちの人物10の高さ方向において下から4番目(つまり、一番上)に位置する送信アンテナ201である。
【0067】
図10によれば、第1送信アンテナ201、第2送信アンテナ201、第3送信アンテナ201及び第4送信アンテナ201の順に、当該送信アンテナ201に応じて実現される仮想アンテナアレイ20の位置を高くすることができることが示されている。
【0068】
すなわち、本実施形態においては、第1送信アンテナアレイ21a及び第2送信アンテナアレイ21bの各々を構成する複数の送信アンテナ201のうちの電波を送信する送信アンテナ201を切り替えることで、仮想アンテナアレイ20の位置(高さ)を変化させることができる。
【0069】
上記した本実施形態の比較例においては、複数の送受信アンテナ20´が固定されているため、パネル2´の前を通過する人物10の高さ方向の位置の変化に対応することができないが、本実施形態においては、上記したように仮想アンテナアレイ20の位置を変化させることで、パネル2の前を通過する当該人物10の高さ方向の位置の変化に対応することができる。
【0070】
具体的には、例えば上記したように時刻t1~t4の間にパネル2の前を通過する人物10の位置(高さ)が図11に示すように変化する場合を想定する。この場合、例えば時刻t1を含む所定の期間においては人物10の位置が低いため、当該期間においては、第1送信アンテナアレイ21a及び第2送信アンテナアレイ21bの各々の第1送信アンテナ201から電波を送信させる。次に、時刻t2を含む所定の期間においては人物10の位置が時刻t1のときよりも高くなっているため、当該期間においては、第1送信アンテナアレイ21a及び第2送信アンテナアレイ21bの各々の第2送信アンテナ201から電波を送信させる。
【0071】
すなわち、本実施形態においては、例えば人物10の位置が時刻t1のときの位置から時刻t2のときの位置に(つまり、上方向に)変化した場合、電波を送信する送信アンテナ201は、第1送信アンテナ201から、当該第1送信アンテナ201の位置よりも上方向に所定の距離離れた位置に設置されている第2送信アンテナ201に切り替えられる。
【0072】
また、時刻t3を含む所定の期間においては人物10の位置が時刻t2のときよりも更に高くなっているため、当該期間においては、第1送信アンテナアレイ21a及び第2送信アンテナアレイ21bの各々の第3送信アンテナ201から電波を送信させる。更に、時刻t4を含む所定の期間においては人物10の位置が時刻t3のときよりも更に高くなっているため、当該期間においては、第1送信アンテナアレイ21a及び第2送信アンテナアレイ21bの各々の第4送信アンテナ201から電波を送信させる。
【0073】
これによれば、パネル2の前を通過する人物10の位置(高さ)が変化した場合であっても、時刻t1~t4の各々において、当該人物10が所持する危険物により反射された電波を仮想アンテナアレイ20内の同程度の位置で受信したような反射波信号を取得することができる。
【0074】
したがって、本実施形態においては、本実施形態の比較例において説明したように危険物の位置が時刻t1~t4の各時点で高さ方向にずれることにより検査画像の精度が低下することを防止することができる。
【0075】
ここでは、第1送信アンテナアレイ21a及び第2送信アンテナアレイ21bにおいて、第1~第4送信アンテナ201の順に電波が送信される例について説明したが、当該電波を送信する送信アンテナ201の順番は人物10の位置に応じて変更されるものとする。なお、上記した人物10の位置(高さ)は、システム1が備えるセンサ3を用いることによって取得可能である。
【0076】
また、本実施形態の比較例においては複数の送受信アンテナ20´が例えば略半波長の間隔で配置されるものとして説明したが、本実施形態における第1送信アンテナアレイ21a(を構成する複数の送信アンテナ201)、第2送信アンテナアレイ21b(を構成する複数の送信アンテナ201)及び受信アンテナアレイ22(を構成する複数の受信アンテナ202)が設置される位置は、上記した仮想アンテナアレイ20として仮想的に実現される複数の送受信アンテナ20´の各々の間隔が略半波長となるように決定されているものとする。この場合、本実施形態によれば、複数の受信アンテナ202の各々は、互いの間隔が例えば半波長の2倍程度となるように配置することができる。
【0077】
また、図8においては本実施形態における第1送信アンテナアレイ21a、第2送信アンテナアレイ21b及び受信アンテナアレイ22の設置例を示しているが、本実施形態における第1送信アンテナアレイ21a、第2送信アンテナアレイ21b及び受信アンテナアレイ22は、パネル2の設計要件を満たすのであれば、他の位置に設置されていてもよい。
【0078】
具体的には、第1送信アンテナアレイ21a及び第2送信アンテナアレイ21bが図8に示す受信アンテナアレイ22が設置されている直線上に設置され、受信アンテナアレイ22が図8に示す第1送信アンテナアレイ21a及び第2送信アンテナアレイ21bが設置されている直線上に設置されてもよい。
【0079】
また、第1送信アンテナアレイ21a及び第2送信アンテナアレイ21b(複数の送信アンテナ201)と受信アンテナアレイ22(複数の受信アンテナ202)とは同一の直線上に設置されていてもよい。
【0080】
更に、複数の送信アンテナ201の一部と複数の受信アンテナ202の一部とは、同一の位置に設置される(つまり、送受信アンテナとして構成される)ようにしてもよい。
【0081】
また、図8においては、第1送信アンテナアレイ21a及び第2送信アンテナアレイ21bがそれぞれ4つの送信アンテナ201から構成されるものとして説明したが、第1送信アンテナアレイ21a及び第2送信アンテナアレイ21bの各々は、少なくとも2つの送信アンテナ201から構成されていればよい。また、図8においては、受信アンテナアレイ22が5つの受信アンテナ202から構成されるものとして説明したが、当該受信アンテナアレイ22は、1つの受信アンテナ202から構成されていてもよいし、複数の受信アンテナ202から構成されていてもよい。
【0082】
また、図1に示すようにシステム1が2つのパネル2を備える構成である場合、当該2つのパネル2には送信アンテナアレイ及び受信アンテナアレイが同様に設置されていればよいが、当該2つのパネル2において送信アンテナアレイ及び受信アンテナアレイが異なる位置に設置されていてもよい。
【0083】
次に、図12のフローチャートを参照して、本実施形態に係るシステム1に備えられる電子機器4の処理手順の一例について説明する。
【0084】
まず、人物(測定対象)10に対するセキュリティ検査を行う場合、パネル制御部41は、センサ3からセンサデータを受信する(ステップS1)。なお、上記したようにセンサ3は例えばカメラであり、当該センサ3から受信されるセンサデータには、当該カメラによって撮像された画像が含まれる。また、ステップS1においては所定の期間に撮像された複数の画像がセンサデータとして受信されても構わない。
【0085】
次に、パネル制御部41は、ステップS1において受信されたセンサデータに基づいてパネル2の近傍に人物10が存在する(つまり、パネル2の前を人物10が通過する)か否かを判定する(ステップS2)。ステップS2においては、センサデータとして受信された画像中に人物10が含まれている場合には、パネル2の近傍に人物10が存在すると判定される。一方、センサデータとして受信された画像中に人物10が含まれていない場合には、パネル2の近傍に人物10が存在しないと判定される。
【0086】
なお、図12に示す例では、ステップS1においてセンサ3から受信されるセンサデータに基づいてステップS2の処理が実行されるものとして説明したが、人物10に対してセキュリティ検査を行うタイミングを判別可能であれば、センサデータ以外に基づいてステップS2の処理が実行されてもよい。
【0087】
パネル2の近傍に人物10が存在しないと判定された場合(ステップS2のNO)、ステップS1に戻って処理が繰り返される。
【0088】
一方、パネル2の近傍に人物10が存在すると判定された場合(ステップS2のYES)、上記したステップS1の処理に相当するステップS3の処理が実行される。
【0089】
パネル制御部41は、ステップS3において受信されたセンサデータに基づいて、人物10の動作情報を取得する(ステップS4)。上記したようにセンサデータが人物10を含む画像である場合、パネル制御部41は、当該センサデータに対して画像解析処理を実行することにより、少なくとも人物10の位置を含む動作情報を取得する。
【0090】
なお、上記した人物(測定対象)10の位置とは、例えば当該人物10の特定の部位(胴体の中心等)の高さ方向の位置をいうが、静止している人物10の一部の領域(測定領域)の位置等であってもよい。
【0091】
また、上記したステップS3において取得される人物10の動作情報には、センサデータ(例えば、複数の画像)に基づいて計算される当該人物10が移動する距離及び速度等が含まれていてもよい。
【0092】
ここでは、ステップS3において受信されたセンサデータに基づいて人物10の動作情報が取得されるものとして説明したが、例えばステップS3の処理を省略し、ステップS1において受信されたセンサデータに基づいて人物10の動作情報が取得されても構わない。
【0093】
次に、パネル制御部41は、パネル2(レーダ)を作動させ、ステップS4において取得された人物10の動作情報(当該人物10の位置)に基づいて当該パネル2を制御する(ステップS5)。
【0094】
ステップS5において、パネル制御部41は、パネル2に設置されている複数の送信アンテナ201の中から人物10の位置に応じた送信アンテナ201(第1送信アンテナアレイ21a及び第2送信アンテナアレイ21bの各々の送信アンテナ201)を決定し、当該決定された送信アンテナ201から電波が送信されるようにパネル2を制御する。この場合、パネル制御部41によって決定された送信アンテナ201以外の送信アンテナ201からは電波は送信されない。一方、受信アンテナアレイ22については、当該受信アンテナアレイ22を構成する複数の受信アンテナ202の全てが電波を受信可能な状態となるように制御される。
【0095】
ここで、例えば第1送信アンテナアレイ21aの第1送信アンテナ201及び第2送信アンテナアレイ21bの第1送信アンテナ201が電波を送信する送信アンテナ201として決定された場合を想定する。この場合、受信アンテナアレイ22を構成する複数の受信アンテナ202の各々は、第1送信アンテナアレイ21aの第1送信アンテナ201から送信された電波(人物10により反射された電波)と、第2送信アンテナアレイ21bの第1送信アンテナ201から送信された電波(人物10により反射された電波)とを同時に受信することはできない。したがって、パネル制御部41は、第1送信アンテナアレイ21aの第1送信アンテナ201から電波を送信させた後に、第2送信アンテナアレイ21bの第1送信アンテナ201から電波を送信させるようにパネル2を制御する。
【0096】
ステップS5の処理が実行されると、パネル2は、複数の受信アンテナ202の各々によって受信された人物10からの反射波の信号(反射波信号)を電子機器4に送信する。このようにパネル2から電子機器4に対して送信された反射波信号は、信号受信部42によって受信される(ステップS6)。
【0097】
次に、パネル制御部41は、合成開口処理を実行することによって検査画像を生成することが可能であるか否かを判定する(ステップS7)。このステップS7においては、例えば合成開口処理を実行して検査画像を生成することができる程度の反射波信号が受信されている場合に、検査画像を生成することが可能であると判定される。
【0098】
検査画像を生成することが可能でないと判定された場合(ステップS6のNO)、ステップS3に戻って処理が繰り返される。このように処理が繰り返されることにより、人物10がパネル2の前を通過する間に、繰り返し(例えば時刻t1~t4の各々において)パネル2から反射波信号を受信ことができる。
【0099】
ここで、上記したステップS7の処理は上記したステップS4において取得される人物10の動作情報に基づいて実行されてもよい。
【0100】
具体的には、例えば人物10の動作情報に当該人物10が移動する距離が含まれている場合には、当該距離が予め定められた値を超えた(つまり、人物10がパネル2の前を通過した)際に、ステップS7において検査画像を生成することが可能であると判定されてもよい。すなわち、本実施形態においては、人物10が予め定められた距離を移動する間に送信アンテナ201から電波が送信される構成とすることができる。
【0101】
また、上記したようにパネル2の制御(第1送信アンテナアレイ21a及び第2送信アンテナアレイ21bの各々の送信アンテナ201からの電波の送信)はパネル2の前を人物10が通過する間に繰り返し実行されるが、当該パネル2が制御される間隔(つまり、第1送信アンテナアレイ21aと第2送信アンテナアレイ21bとから電波が送信される期間)は、人物10の動作情報に基づいて決定されてもよい。具体的には、例えば人物10の動作情報に当該人物10が移動する速度が含まれている場合には、当該人物10の速度が比較的早いときにパネル2が制御される間隔を短くし、当該速度が比較的遅いときにパネル2が制御される間隔を長くするようにしてもよい。
【0102】
一方、検査画像を生成することが可能であると判定された場合(ステップS7のNO)、画像生成部43は、繰り返し実行されたステップS6において受信された反射波信号に基づいて合成開口処理を実行し、人物10(が所持する物体)の検査画像を生成する(ステップS8)。
【0103】
ステップS8の処理が実行されると、判別部44は、当該ステップS8において生成された検査画像に基づいて、人物10が所持する物体の種別を判別する処理(以下、危険物判別処理と表記)を実行する(ステップS9)。この危険物判別処理においては、例えば予め用意されている銃または刃物のような危険物の形状等(テンプレート)を用いて人物10が所持している物体の種別を判別することができるが、当該物体の種別を判別する(つまり、人物10が危険物を所持しているか否かを検知する)ことができるのであれば他の処理が実行されても構わない。
【0104】
次に、表示処理部45は、ステップS8において生成された検査画像及びステップS9における判別結果(つまり、人物10が危険物を所持しているか否かの検知結果)を表示する(ステップS10)。ステップS8において生成された検査画像及びステップS9における判別結果は、電子機器4に備えられる表示デバイス等に表示されてもよいし、当該電子機器4とは異なる外部の機器に表示されてもよい。
【0105】
なお、人物10が危険物を所持しているか否かをセキュリティ検査の検査員が検査画像を目視して判断するような場合には、ステップS10において検査画像のみが表示され、ステップS9の処理は省略されてもよい。また、検査画像は、2次元画像として表示されてもよいし、3次元画像として表示されてもよい。更に、上記したセンサ3がカメラであるような場合、検査画像は、例えば当該カメラによって撮像された人物10を含む画像と重畳して表示されるようにしてもよい。
【0106】
また、図12においてはシステム1に備えられるパネル2が1つであるものとして主に説明したが、当該システム1が2つのパネル2を備える場合には、ステップS3以降の処理は当該パネル2毎に実行される(つまり、パネル毎に検査画像が生成される)ものとする。なお、システム1が2つのパネル2を備える場合、当該パネル2の各々から送信された反射波信号に基づいて1つの検査画像が生成されるようにしてもよい。
【0107】
ここで、説明の便宜のために第1送信アンテナアレイ21aが2つの送信アンテナ(第1及び第2送信アンテナ)から構成され、第2送信アンテナアレイ21bが2つの送信アンテナ(第3及び第4送信アンテナ)から構成される(つまり、システム1が第1~第4送信アンテナを備える)ものとすると、上記した本実施形態においては、測定対象が第1位置(比較的低い位置)の場合に、第1送信アンテナと第3送信アンテナとにより送信され、当該測定対象により反射され、複数の受信アンテナで受信された電波の第1信号(反射波信号)が取得される。また、本実施形態においては、測定対象が第2位置(比較的高い位置)の場合に、第2送信アンテナと第4送信アンテナとにより送信され、当該測定対象により反射され、複数の受信アンテナで受信された電波の第2信号(反射波信号)が取得される。具体的には、例えば第1期間において測定対象の位置が第1位置の場合には、当該第1期間において、第1送信アンテナと第3送信アンテナとから電波が送信される。一方、例えば第2期間において測定対象の位置が第2位置の場合には、当該第2期間において、第2送信アンテナと第4送信アンテナとから電波が送信される。
【0108】
本実施形態においては、上記したように取得された第1信号及び第2信号を用いて測定対象の情報として検査画像が生成される。
【0109】
また、上記した第1送信アンテナ及び第3送信アンテナの間隔(第1間隔)と、第2送信アンテナ及び第4送信アンテナの間隔(第2間隔)とは同一である。
【0110】
なお、例えば第1位置から第2位置へ向かう方向が第1方向(例えば、上方向)である場合には、第2送信アンテナは第1送信アンテナの位置よりも第1方向に第1距離離れた位置に設置されており、第4送信アンテナは第3送信アンテナの位置よりも第1方向に第1距離離れた位置に設置されている。
【0111】
本実施形態においては、上記した構成により、測定対象(例えば、人物10)の位置の変化に応じた反射波信号に基づいて精度の高い検査画像を生成する(測定対象の情報を得る)ことが可能となる。
【0112】
具体的には、上記した第1信号は、第1送信アンテナと第3送信アンテナとから電波が送信された場合に、当該第1送信アンテナ及び第3送信アンテナの各々と複数の受信アンテナの各々との中間点に対応する位置で測定対象により反射された電波の信号(反射波信号)である。また、上記した第2信号は、第2送信アンテナと第4送信アンテナとから電波が送信された場合に、当該第2送信アンテナ及び第4送信アンテナの各々と複数の受信アンテナの各々との中間点に対応する位置で測定対象により反射された電波の信号(反射波信号)である。
【0113】
このように本実施形態においては、電波が送信される送信アンテナと受信アンテナとのペア(つまり、電波を送信する送信アンテナを切り替えること)により、上記した仮想アンテナアレイの高さを変化させる(調整する)ことができるため、パネル2の前を通過する測定対象の上下方向の変化に応じた反射波信号を取得し、精度の高い検査画像を生成することができる。
【0114】
また、本実施形態においては、測定対象がパネル2の前を通過するのみでセキュリティ検査を行うことができるため、例えば歩行する複数の人物10に対して順次セキュリティ検査を実施するようなことが可能である。更に、本実施形態においては、まばらに配置される疎な送信アンテナ及び受信アンテナを用いるため、SARと称される技術と比較してアンテナの数を削減し、小型化を実現することができる。また、本実施形態においては、複数の受信アンテナの各々の間隔を例えば半波長の2倍程度にすることが可能であるため、当該受信アンテナの各々を半波長の間隔で配置する場合と比較して、電波の干渉等の影響を軽減することができる。
【0115】
また、本実施形態に係るシステム1はセンサ3を備え、当該センサ3からセンサデータを受信することによって、当該センサデータに基づいて測定対象の位置(第1位置及び第2位置)を測定対象の動作情報として取得することができる。本実施形態においては、このような構成により、測定対象の位置に応じた適切な送信アンテナから電波を送信させ、精度の高い検査画像を生成するための反射波信号を得ることができる。
【0116】
なお、本実施形態においてはセンサ3がカメラであるものとして主に説明したが、当該センサ3は、測定対象の動作情報を取得するために用いられるものであれば、例えばライダー(レーザー光を用いたレーダ)または赤外線カメラ等の他のセンサであってもよい。
【0117】
また、本実施形態においては、測定対象が移動する距離を当該測定対象の動作情報として取得し、当該距離に基づいて測定対象が予め定められた距離を移動する間に送信アンテナから電波が送信されるようにパネル2を制御する構成としてもよい。更に、本実施形態においては、測定対象が移動する速度を当該測定対象の動作情報として取得し、第1送信アンテナと第3送信アンテナとから電波が送信される第1期間及び第2送信アンテナと第4送信アンテナとから電波が送信される第2期間を当該速度に基づいて決定する構成としてもよい。このような構成によれば、測定対象がパネル2の前を通過する際に適切に送信アンテナから電波を送信させることができる。
【0118】
また、本実施形態においては、測定対象が第1位置の場合には第2送信アンテナと第4送信アンテナとからは電波は送信されず、測定対象が第2位置の場合には第1送信アンテナと第3送信アンテナとからは電波は送信されない。本実施形態においては、このような構成により、パネル2と電子機器4との間の通信量を削減することができるとともに、パネル2から受信される反射波信号に対する処理負荷を低減することができる。
【0119】
また、本実施形態においては検査画像が表示されるが、当該検査画像は、例えばカメラ(撮像装置)によって撮像された測定対象を含む画像と重畳して表示されてもよい。このような構成によれば、検査画像における測定対象に対する視認性を向上させることができる。
【0120】
また、本実施形態においては、検査画像に基づいて測定対象(例えば、人物10)が所持する物体の種別を判別する構成としてもよい。このような構成によれば、例えばセキュリティ検査の検査員に対して、人物10が危険物を所持していることを通知すること等が可能となる。
【0121】
本実施形態においては測定対象の情報として検査画像が生成されるものとして主に説明したが、当該測定対象の情報は、例えば当該測定対象を検査するために有用なものであれば画像以外であっても構わない。
【0122】
なお、本実施形態に係るシステム1は測定対象が通過する位置に設けられた少なくとも1つのパネル2を備え、上記した第1送信アンテナアレイ21a、第2送信アンテナアレイ21b及び受信アンテナアレイ22が図8に示すように当該パネル2に設置されるものとして説明したが、当該送信アンテナアレイ及び当該受信アンテナアレイは入れ替えられても構わない。
【0123】
具体的には、パネル2には、図13に示すように送信アンテナアレイ21、第1受信アンテナアレイ22a及び第2受信アンテナアレイ22bが設置されていてもよい。
【0124】
この場合、送信アンテナアレイ21は、電波を送信可能な複数(例えば、5つ)の送信アンテナ201から構成されている。送信アンテナアレイ21において、5つの送信アンテナ201は、Z方向に延びる同一の直線上に位置するように配置(配列)されている。また、このようなパネル2において送信アンテナ201の各々は、等間隔となるように配置されている。
【0125】
また、第1受信アンテナアレイ22a及び第2受信アンテナアレイ22bの各々は、電波を受信可能な複数(例えば、4つ)の受信アンテナ202から構成されている。第1受信アンテナアレイ22aを構成する4つの受信アンテナ202及び第2受信アンテナアレイ22bを構成する4つの受信アンテナ202は、上記した複数の送信アンテナ201が配置されている直線とは異なるZ方向に延びる同一の直線上に位置するように配置(配列)されている。また、このようなパネル2において複数の受信アンテナ202は、第1受信アンテナアレイ22aを構成する4つの受信アンテナ202の各々の間隔(距離)と第2受信アンテナアレイ22bを構成する4つの受信アンテナ202の各々の間隔(距離)とが同一となるように配置されている。
【0126】
なお、図13に示すパネル2の構成は、図8に示す第1送信アンテナアレイ21a及び第2送信アンテナアレイ21bの代わりに第1受信アンテナアレイ22a及び第2受信アンテナアレイ22bが設置され、受信アンテナアレイ22の代わりに送信アンテナアレイ21が設置されている点以外は、図8において説明したパネル2と同様である。
【0127】
ここで、図8に示すパネル2においては、受信アンテナアレイ22を構成する複数の受信アンテナ202が電波を受信可能な状態とし、第1送信アンテナアレイ21a及び第2送信アンテナアレイ21bの各々において電波を送信する送信アンテナ201を切り替えることで、仮想アンテナアレイ20の位置(高さ)を変化させる。
【0128】
一方、図13に示すパネル2においては、第1受信アンテナアレイ22を構成する複数の受信アンテナ202のうちの1つと第2受信アンテナアレイ22bを構成する複数の受信アンテナ202のうちの1つとを電波を受信可能な状態とし、送信アンテナアレイ21を構成する複数の送信アンテナ201の各々が電波を順次送信するように動作する。このような構成によれば、第1受信アンテナアレイ22a及び第2受信アンテナアレイ22bにおいて電波(反射波)を受信する受信アンテナ202を切り替えることによって、上記した仮想アンテナアレイ20と同様に、位置(高さ)の異なる仮想アンテナアレイを実現することができる。
【0129】
詳細な説明については省略するが、例えば第1受信アンテナアレイ22aを構成する4つの受信アンテナ202のうちの一番下の受信アンテナ202と第2受信アンテナアレイ22bを構成する4つの受信アンテナ202のうちの一番下の受信アンテナ202とが電波を受信可能な状態である場合、送信アンテナアレイ21を構成する5つの送信アンテナ201の各々から電波が順次送信されることによって、図10に示す枠501内に示す仮想アンテナアレイ20と同様の仮想アンテナアレイが実現される。
【0130】
また、例えば第1受信アンテナアレイ22aを構成する4つの受信アンテナ202のうちの下から2番目の受信アンテナ202と第2受信アンテナアレイ22bを構成する4つの受信アンテナ202のうちの下から2番目の受信アンテナ202とが電波を受信可能な状態である場合、送信アンテナアレイ21を構成する5つの送信アンテナ201の各々から電波が順次送信されることによって、図10に示す枠502内に示す仮想アンテナアレイ20と同様の仮想アンテナアレイが実現される。
【0131】
更に、例えば第1受信アンテナアレイ22aを構成する4つの受信アンテナ202のうちの下から3番目の受信アンテナ202と第2受信アンテナアレイ22bを構成する4つの受信アンテナ202のうちの下から3番目の受信アンテナ202とが電波を受信可能な状態である場合、送信アンテナアレイ21を構成する5つの送信アンテナ201の各々から電波が順次送信されることによって、図10に示す枠503内に示す仮想アンテナアレイ20と同様の仮想アンテナアレイが実現される。
【0132】
また、例えば第1受信アンテナアレイ22aを構成する4つの受信アンテナ202のうちの下から4番目(つまり、一番上)の受信アンテナ202と第2受信アンテナアレイ22bを構成する4つの受信アンテナ202のうちの下から4番目(つまり、一番上)の受信アンテナ202とが電波を受信可能な状態である場合、送信アンテナアレイ21を構成する5つの送信アンテナ201の各々から電波が順次送信されることによって、図10に示す枠504内に示す仮想アンテナアレイ20と同様の仮想アンテナアレイが実現される。
【0133】
ここでは、第1受信アンテナアレイ22a及び第2受信アンテナアレイ22bがそれぞれ4つの受信アンテナ202から構成されるものとして説明したが、第1受信アンテナアレイ22a及び第2受信アンテナアレイ22bの各々は、少なくとも2つの受信アンテナ202から構成されていればよい。また、ここでは送信アンテナアレイ21が5つの送信アンテナ201から構成されるものとして説明したが、当該送信アンテナアレイ21は、1つの送信アンテナ201から構成されていてもよいし、複数の送信アンテナ201から構成されていてもよい。
【0134】
このように本実施形態においては、送信アンテナアレイ21(複数の送信アンテナ)、第1受信アンテナアレイ22a及び第2受信アンテナアレイ22b(例えば、第1乃至第4受信アンテナ)がパネル2に設置される場合であっても、上記した本実施形態において説明した効果を実現することが可能となる。
【0135】
また、本実施形態において、パネル2は移動可能な機構を備えるように構成されていてもよい。なお、システム1が2つのパネル2を備える場合、当該パネル2は、図1に示すように互いに向かい合う位置に備えられていてもよいし、互いに異なる位置に備えられていてもよい。
【0136】
更に、上記したようにシステム1が2つのパネル2を備える場合、当該2つのパネルは、同様の構成であってもよいし、異なる構成であってもよい。
【0137】
2つのパネル2が異なる構成である場合には、当該2つのパネル2のうちの一方が図8に示すように構成されており、他方が図13に示すように構成されていてもよい。また、2つのパネルのうちの一方に複数の送信アンテナ(例えば、図8に示す第1送信アンテナアレイ21a及び第2送信アンテナアレイ21b)が設置されており、他方に複数の受信アンテナ(図8に示す受信アンテナアレイ22)が設置されるような構成であってもよい。
【0138】
このような構成によれば、一方のパネル2に設置されている送信アンテナから送信された電波は、当該2つのパネル2の間を通過する測定対象(例えば、人物10)を透過し、他方のパネル2に設置されている受信アンテナによって受信される。この場合には、電子機器4は、受信アンテナによって受信された電波(透過波)の信号に基づいて検査画像を生成することができる。
【0139】
本実施形態においては、このような構成であっても、電波を送信する送信アンテナを切り替えることによって、測定対象の測定対象(例えば、人物10)の高さ方向の変化に応じた反射波信号を取得することができる。
【0140】
なお、一方のパネル2に図13に示す送信アンテナアレイ21が設置され、他方のパネル2に図13に示す第1受信アンテナアレイ22a及び第2受信アンテナアレイ22bが設置されるようにしてもよい。
【0141】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。図14は、第2実施形態に係るシステムの機能構成の一例を示すブロック図である。ここでは、本実施形態に係るシステムに備えられる電子機器の機能構成について主に説明するが、前述した図2と同様の部分には同一参照符号を付してその詳しい説明を省略し、図2と異なる部分について主に述べる。
【0142】
なお、本実施形態に係るシステム1の使用態様及び当該システム1に備えられるパネル2の構成等については前述した第1実施形態と同様であるため、適宜、図1及び図8等を用いて説明する。
【0143】
図2に示すように、電子機器4は、前述した第1実施形態において説明した信号受信部42、画像生成部43、判別部44及び表示処理部45に加えて、動作情報取得部46及び信号選択部47を含む。
【0144】
ここで、前述した第1実施形態においては人物10の動作情報に基づいてパネル制御部41がパネル2を制御する(つまり、電波を送信する送信アンテナ201を切り替える)ものとして説明したが、本実施形態においては、パネル2に設置されている全ての送信アンテナ201が所定の期間において電波を順次送信する点が前述した第1実施形態とは異なる。
【0145】
この場合、信号受信部42は、パネル2に設置されている送信アンテナ201の各々から送信された電波に基づく反射波信号(受信アンテナ202において受信された人物10からの反射波の信号)を、当該パネル2から受信する。
【0146】
換言すれば、前述した第1実施形態においては人物10の動作情報(位置)に基づいて例えば第1送信アンテナアレイ21a及び第2送信アンテナアレイ22bの各々の第1送信アンテナ201から電波を送信させるようにパネル2を制御して反射波信号を受信しているが、本実施形態においては、第1送信アンテナアレイ21a及び第2送信アンテナアレイ21bを構成する全ての送信アンテナ(第1~第4送信アンテナ)201の各々から送信された電波に基づく反射波信号を受信する。
【0147】
一方、動作情報取得部46は、例えば上記したセンサ3からセンサデータを受信し、当該センサデータに基づいて人物10の動作情報を取得する。
【0148】
上記したように信号受信部42によって受信された反射波信号には、第1送信アンテナアレイ21a及び第2送信アンテナアレイ21bを構成する全ての送信アンテナ201から送信された電波に基づく反射波信号が含まれているが、このような反射波信号の中には例えば前述した第1実施形態の比較例において説明したように検査画像において人物10の高さ方向にずれを生じさせる(つまり、検査画像の精度を低下させる)反射波信号も含まれる。
【0149】
このため、信号選択部47は、信号受信部42によって受信された反射波信号の中から動作情報取得部46によって取得された人物10の動作情報(位置)に基づいて適切な反射波信号を選択する。このように信号選択部47によって選択された反射波信号は、合成開口処理(つまり、検査画像の生成)に用いられる。
【0150】
次に、図15のフローチャートを参照して、本実施形態に係るシステム1に備えられる電子機器4の処理手順の一例について説明する。
【0151】
まず、前述した図12に示すステップS1~S4の処理に相当するステップS21~S24の処理が実行される。
【0152】
ここで、本実施形態において、センサ3及びパネル2は同期するように動作するものとする。このため、信号受信部42は、センサ3からのセンサデータの受信と同様のタイミングで、パネル2から送信される反射波信号を受信する(ステップS25)。換言すれば、本実施形態においてステップS23(及びS24)の処理とステップS25の処理とは並列に実行される。
【0153】
なお、本実施形態におけるパネル2に設置されている複数の送信アンテナ201は電波を順次送信するように動作する。
【0154】
ここで、前述した図8に示すように第1送信アンテナアレイ21a及び第2送信アンテナアレイ21bの各々が第1~第4送信アンテナ201から構成されているものとすると、まず、第1送信アンテナアレイ21a及び第2送信アンテナアレイ21bの各々の第1送信アンテナ201から電波が順次送信されることにより、信号受信部42は、当該第1送信アンテナ201から送信される電波に基づく反射波信号(以下、第1反射波信号と表記)を受信する。
【0155】
次に、第1送信アンテナアレイ21a及び第2送信アンテナアレイ21bの各々の第2送信アンテナ201から電波が順次送信されることにより、信号受信部42は、当該第2送信アンテナ201から送信される電波に基づく反射波信号(以下、第2反射波信号と表記)を受信する。
【0156】
更に、第1送信アンテナアレイ21a及び第2送信アンテナアレイ21bの各々の第3送信アンテナ201から電波が順次送信されることにより、信号受信部42は、当該第3送信アンテナ201から送信される電波に基づく反射波信号(以下、第3反射波信号と表記)を受信する。
【0157】
また、第1送信アンテナアレイ21a及び第2送信アンテナアレイ21bの各々の第4送信アンテナ201から電波が順次送信されることにより、信号受信部42は、当該第4送信アンテナ201から送信される電波に基づく反射波信号(以下、第4反射波信号と表記)を受信する。
【0158】
すなわち、前述した第1実施形態においては例えば時刻t1~t4のような各タイミングで第1送信アンテナアレイ21a及び第2送信アンテナアレイ21bの各々を構成する複数の送信アンテナ201のうちの1つ(例えば、第1送信アンテナ201等)から送信される電波に基づく反射波信号のみが受信されていたが、本実施形態においては、当該タイミングで第1送信アンテナアレイ21a及び第2送信アンテナアレイ21bの各々を構成する全ての送信アンテナ201から送信される電波に基づく反射波信号が受信される。
【0159】
上記したステップS24及びS25が実行された場合、当該ステップS24において取得された動作情報及び当該ステップS25において受信された反射波信号(第1~第4反射波信号)は対応づけて信号選択部47において管理(保持)される。
【0160】
次に、前述した図12に示すステップS7の処理に相当するステップS26の処理が実行される。
【0161】
ステップS26において検査画像を生成することが可能でないと判定された場合(ステップS26のNO)、ステップS23(及びS25)に戻って処理が繰り返される。
【0162】
一方、ステップS26において検査画像を生成することが可能であると判定された場合(ステップS26のYES)、信号選択部47は、上記したように対応づけて管理されている人物10の動作情報及び反射波信号に基づいて、検査画像を生成するために適切な反射波信号を選択する(ステップS27)。
【0163】
具体的には、ステップS25において受信された反射波信号に上記した第1~第4反射波信号が含まれており、当該反射波信号に対応づけられている人物10の動作情報に含まれる人物10の位置(高さ)が前述した図11に示す時刻t1における位置である場合には、信号選択部47は、第1~第4反射波信号のうちの第1反射波信号を選択する。ここでは第1反射波信号が選択される場合について説明したが、ステップS27においては、人物の10の位置に基づいて反射波信号が選択されればよい。
【0164】
また、上記したようにステップS23~S25の処理は繰り返し実行されるが、ステップS27の処理は、繰り返し実行されるステップS24において取得される人物10の動作情報及びステップS25において受信される反射波信号(の組み合わせ)毎に実行される。
【0165】
なお、ステップS27の処理(適切な反射波信号の選択)は、ステップS24及びS25の処理が実行された後(つまり、ステップS26の処理が実行される前)に実行されても構わない。
【0166】
ステップS27の処理が実行されると、前述した図12に示すステップS8~S10の処理に相当するステップS28~S30の処理が実行される。なお、ステップS28においては、ステップS27において選択された反射波信号に基づいて合成開口処理が実行されればよい。
【0167】
ここで、説明の便宜のために第1送信アンテナアレイ21aが2つの送信アンテナ(第1及び第2送信アンテナ)から構成され、第2送信アンテナアレイ21bが2つの送信アンテナ(第3及び第4送信アンテナ)から構成される(つまり、システム1が第1~第4送信アンテナを備える)ものとすると、上記した本実施形態においては、第1期間において第1送信アンテナ及び第3送信アンテナから送信される電波に基づく第1信号と第2送信アンテナ及び第4送信アンテナから送信される電波に基づく第2信号とを取得し、当該第1期間において測定対象が第1位置の場合、第1信号及び第2信号の中から第1信号が選択される。また、第2期間において第1送信アンテナ及び第3送信アンテナから送信される電波に基づく第1信号と第2送信アンテナ及び第4送信アンテナから送信される電波に基づく第2信号とを取得し、当該第2期間において測定対象が第2位置の場合、第1信号及び第2信号の中から第2信号が選択される。
【0168】
本実施形態においては、上記した構成により、測定対象(例えば、人物10)の位置の変化に応じた反射波信号に基づいて精度の高い検査画像を生成する(測定対象の情報を得る)ことが可能となる。
【0169】
なお、前述した第1実施形態においては測定対象の位置の変化に応じた反射波信号を受信することができるようにパネル2(送信アンテナ及び受信アンテナ)を制御するのに対し、本実施形態は、全ての送信アンテナから送信された電波に基づく反射波信号を受信(収集)し、検査画像を生成する際に当該反射波信号の中から適切な反射波信号(つまり、測定対象の位置の変化に応じた反射波信号)を選択する点で異なる。
【0170】
このため、前述した第1実施形態においてはパネル2と電子機器4との間の通信量を削減することができると説明したが、本実施形態においては、当該第1実施形態と比較すると、パネル2と電子機器4との間の通信量は多くなる。しかしながら、本実施形態においては、人物10の動作情報に基づくパネル2の制御が不要であるため、パネル2側の処理(電波を送信する送信アンテナの切り替え等)の負荷を低減することができる。
【0171】
なお、本実施形態は、上記した点以外において前述した第1実施形態と同様であり、当該第1実施形態と同様の効果を達成することができる。
【0172】
また、前述した第1実施形態においてはパネル2が例えば図13に示す構成であってもよいと説明したが、本実施形態におけるパネル2を図13に示す構成としてもよい。詳しい説明については省略するが、本実施形態においてパネル2が図13に示す構成である場合には、第1受信アンテナアレイ22a及び第2受信アンテナアレイ22bの各々において電波を受信する受信アンテナ202を順次切り替えながら、全ての受信アンテナ202で受信された電波(反射波)の信号を電子機器(信号受信部42)で受信し、当該信号(反射波信号)の中から適切な信号を選択して検査画像を生成すればよい。
【0173】
以上述べた少なくとも1つの実施形態によれば、精度の高い測定対象の情報を得ることが可能なシステム及び方法を提供することができる。
【0174】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0175】
1…システム、2…パネル、3…センサ、4…電子機器、10…人物(測定対象)、20…仮想アンテナアレイ、21…送信アンテナアレイ、21a…第1送信アンテナアレイ、21b…第2送信アンテナアレイ、22…受信アンテナアレイ、22a…第1受信アンテナアレイ、22b…第2受信アンテナアレイ、41…パネル制御部、42…信号受信部、43…画像生成部、44…判別部、45…表示処理部、46…動作情報取得部、47…信号選択部、201…送信アンテナ、202…受信アンテナ、401…CPU、402…不揮発性メモリ、403…主メモリ、404…通信デバイス。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15