(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-05
(45)【発行日】2024-04-15
(54)【発明の名称】高ストレッチ織物
(51)【国際特許分類】
D03D 11/00 20060101AFI20240408BHJP
A41D 31/00 20190101ALI20240408BHJP
A41D 31/18 20190101ALI20240408BHJP
D03D 15/56 20210101ALI20240408BHJP
【FI】
D03D11/00 Z
A41D31/00 502B
A41D31/18
D03D15/56
(21)【出願番号】P 2020201810
(22)【出願日】2020-12-04
【審査請求日】2022-09-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000163006
【氏名又は名称】興和株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 克敏
(72)【発明者】
【氏名】隈部 哲史
【審査官】川口 裕美子
(56)【参考文献】
【文献】実公昭47-041996(JP,Y1)
【文献】文部省,織物組織 改訂版,日本,1969年02月25日,87-88ページ
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D03D 11/00
A41D 31/00
A41D 31/18
D03D 15/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多重織組織を有するストレッチ織物であって、
前記多重織組織は、経二重織であって経方向に畝模様を有するトリコ織組織と、緯裏付け組織と、を経糸を共通にして両組織の緯糸が一定の配列で交互に配置されるように複合させた織組織からなり、
前記経糸に対する、前記緯裏付け組織を構成する緯糸の浮き数が3以上であ
り、
緯糸が弾性糸であり、
前記トリコ織組織が、表側の経糸と裏側の経糸が一定の配列で交互に配置され、かつ表裏組織の境界位置で経糸の浮き沈みが逆になるように配置されている経二重織である、ストレッチ織物。
【請求項2】
前記緯裏付け組織は破れ斜文織または朱子織である、請求項1に記載のストレッチ織物。
【請求項3】
前記緯裏付け組織を構成する緯糸の浮き数が15以下である、請求項1又は2に記載のストレッチ織物。
【請求項4】
伸縮率が35%以上である請求項1~
3のいずれか一項に記載のストレッチ織物。
【請求項5】
請求項1~
4のいずれか一項に記載のストレッチ織物を含む衣料品。
【請求項6】
請求項1~
4のいずれか一項に記載のストレッチ織物を含む衛生材料。
【請求項7】
請求項1~
4のいずれか一項に記載のストレッチ織物を含む生活資材。
【請求項8】
請求項1~
4のいずれか一項に記載のストレッチ織物を含む産業資材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、嵩高感(膨らみ感)及び柔軟性を有し、緯方向及びバイアス方向への高い伸長率及び伸長回復率を有するストレッチ織物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、衣類に使用されるストレッチ織物は、薄地及び/又は厚地織物に使用されているが、その伸縮性は弾性繊維任せで、生地に嵩高感を持たせようとすると生地の伸縮性が犠牲になり、高伸長率(高ストレッチ性)を求めようとすると、生地の膨らみ感が犠牲となっており、嵩高感と伸縮性を両立させた衣料用生地には、さらなる改善が求められている。
【0003】
特許文献1には経糸に固い糸、緯糸に固い糸と弾性糸を交互に配置し、緯糸の固い糸は経糸を6~24本をまたぐようにし、弾性糸にテンションをかけた状態で製織し、その後通常のテンションに戻す際に弾性糸の収縮に伴って固い糸がたわんでループを形成させることにより、織物のような外観を有するストレッチ織物が開示されているが、生地厚は薄く、伸縮性も形成されたループ部の糸の長さに限定されるため十分なものではなかった。
【0004】
特許文献2には、経糸を表裏二重にし、緯糸を一重、かつ弾性繊維フィラメントを使用した、経二重織としたストレッチ性を有する経二重織デニムが開示されている。しかし、経二重織とすることで嵩高感は得られるものの、表裏組織が綾織りまたは朱子織の組織となっており、伸長率が十分なものではなかった。
【0005】
特許文献3には、経緯に弾性糸を有し、平織部分と二重織部分とが交互に繰り返されている競泳水着用の織物が開示されている。この織物は、平織部分が凹、二重織部分が凸となり、この凹凸部を水中での体の進行方向と平行にストライプ状に配置させることで水流との摩擦係数を軽減させることができ、高い伸縮性も得られる。しかし、平織の部分で生地は薄くなり、二重織の部分で厚くなる織物は、生地全体として嵩高感を出すことは難しく、一般的な衣料品に汎用可能な織物とは言い難い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許6033087号
【文献】特許3863749号
【文献】特許6018337号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、柔軟性を有し、緯方向およびバイアス方向に高い伸長率及び伸長回復率を有する織物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、鋭意検討の結果、経二重織組織であって、表側の経糸と裏側の経糸が一定の配列で交互に配置され、表裏組織の境界位置で経糸の浮き沈みが逆になるように配置された経二重織組織、即ち経方向に畝模様を有するトリコ織組織に、さらに、一定の経糸配列で緯方向に3本以上の浮き沈みを持つように緯糸が裏付けされている組織を有する織物とすることで、伸長時の柔軟性を有し、緯方向およびバイアス方向に高い伸長率および伸長回復率を有する織物が得られることを見出し、本発明を完成した。
【0009】
本発明は、以下のものを含み得る。
[1]多重織組織を有するストレッチ織物であって、前記多重織組織は、経二重織であって経方向に畝模様を有するトリコ織組織と、緯裏付け組織と、を経糸を共通にして両組織の緯糸が一定の配列で交互に配置されるように複合させた織組織からなり、前記経糸に対する、前記緯裏付け組織を構成する緯糸の浮き数が3以上である、ストレッチ織物。
[2]前記緯裏付け組織は破れ斜文織または朱子織である、[1]に記載のストレッチ織物。
[3]前記緯裏付け組織を構成する緯糸の浮き数が15以下である、[1]又は[2]に記載のストレッチ織物。
[4]緯糸が弾性糸である[1]~[3]のいずれかに記載のストレッチ織物。
[5]伸縮率が35%以上である[1]~[4]のいずれかに記載のストレッチ織物。
[6][1]~[5]のいずれかに記載のストレッチ織物を含む衣料品。
[7][1]~[5]のいずれかに記載のストレッチ織物を含む衛生材料。
[8][1]~[5]のいずれかに記載のストレッチ織物を含む生活資材。
[9][1]~[5]のいずれかに記載のストレッチ織物を含む産業資材。
【発明の効果】
【0010】
本発明の織物は、柔軟性を有し、緯方向およびバイアス方向に高い伸長率及び伸長回復率を有するため、ニットのような風合いを有する織物を提供することができる。また、好ましい形態では、嵩高感(膨らみ感)を織物に付与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本発明を詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されず、本発明の範囲内で自由に変更することができるものである。
【0013】
本発明の一形態は、多重織組織を有するストレッチ織物であって、前記多重織組織は、経二重織であって経方向に畝模様を有するトリコ織組織と、緯裏付け組織と、を経糸を共通にして両組織の緯糸が一定の配列で交互に配置されるように複合させた織組織からなり、前記経糸に対する、前記緯裏付け組織を構成する緯糸の浮き数が3以上である、ストレッチ織物である。
【0014】
(本形態の織物に使用可能な材料)
本形態に使用する経糸の素材は、特に制限はなく、天然繊維や化学繊維を使用することができる。天然繊維としては、綿、麻、カポックなどの植物性繊維、及び絹、羊毛、山羊毛、ラマ毛、ラクダ毛、兎毛、馬毛、牛毛などの動物性繊維を使用することができる。化学繊維としては、レーヨン、キュプラ、ポリノジックなどの再生繊維、アセテート、トリアセテート、プロミックスなどの半合成繊維、及びポリエステル、ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリウレタンなどの合成繊維、金属繊維、炭素繊維、ガラス繊維、和紙などのその他の繊維を使用することができる。また、天然ゴムや合成ゴムも素材として使用することができる。衣料品としたときの風合いの観点から、天然繊維を使用することが好ましく、綿や麻などの植物性繊維を使用することが特に好ましい。
経糸の太さは、適宜所望の太さの糸を使用することができるが、経糸径としては綿番手
換算で1~300番手のものを使用することができ、10~120番手が好ましく、20~80番手のものがより好ましい。
【0015】
本形態に使用する緯糸の素材は、特に制限はなく、天然繊維や化学繊維を使用することができる。天然繊維としては、綿、麻、カポックなどの植物性繊維、及び絹、羊毛、山羊毛、ラマ毛、ラクダ毛、兎毛、馬毛、牛毛などの動物性繊維を使用することができる。化学繊維としては、レーヨン、キュプラ、ポリノジックなどの再生繊維、アセテート、トリアセテート、プロミックスなどの半合成繊維、及びポリエステル、ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリウレタンなどの合成繊維を使用することができる。また、天然ゴムや合成ゴムも素材として使用することができる。
緯糸の太さは、適宜所望の太さの糸を使用することができるが、緯糸径としては綿番手換算で1~300番手のものを使用することができ、10~120番手が好ましく、20~80番手のものがより好ましい。
【0016】
本形態に使用する緯糸及び/又は経糸は、高いストレッチ性を持たせる為に、ストレッチ性を有する弾性繊維又は捲縮加工糸を含有する弾性糸であることが好ましい。具体的な弾性繊維としては、ポリウレタン繊維、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)繊維、ポリトリブチレンテレフタレート(PBT)繊維、天然ゴム、合成ゴムなどが挙げられる。これら弾性繊維は、素材をそのままフィラメントや紡績糸として使用することでも、非弾性繊維素材とを複合させた加工糸として使用することでもよい。加工糸としては、弾性繊維フィラメントをコア(芯)にし、周辺に短繊維を配置したコアスパンヤーン(CSY)、弾性繊維フィラメントと合成繊維を交絡或いは撚糸させたエアカバードヤーン(ACY)やフィラメントツイステッドヤーン(FTY)、シングルカバードヤーン(SCY)、ダブルカバードヤーン(DCY)などが挙げられ、いずれも好適に使用できる。また、具体的な捲縮加工糸としては、ナイロンフィラメント、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)フィラメント、ポリトリブチレンテレフタレート(PBT)フィラメント、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィラメント等の素材に対し、ウーリー加工やブレリア加工、イタリー加工、ニットデニット加工、押込加工、複合仮撚加工、タスラン加工、交絡加工を施したものや、2種のポリマーをサイドバイサイド型に複合した複合繊維としたものが挙げられ、それらのいずれも好適に使用できる。
【0017】
(本形態の織組織)
本形態の織物は多重織組織である。多重織とは、2枚以上の織物を重ねた織物であり、本形態では、経二重織であって経方向に畝模様を有するトリコ織組織と、緯裏付け組織と、を経糸を共通にして両組織の緯糸が一定の配列で交互に配置されるように複合させた織組織からなる。
トリコ織は、経二重織と緯二重織とがあり、本形態では表側の経糸と裏側の経糸が一定の配列で交互に配置され、かつ表裏組織の境界位置で経糸の浮き沈みが逆になるように配置された経二重織組織である。表組織と裏組織の経糸は1~3本毎に交互に配置されていてよく、表用の経糸1本に対して裏用の経糸1本を交互に配置させた組織、または表用の経糸2本に対して裏用の経糸2本を交互に配置させた組織であることが好ましい。
緯裏付け組織は、上記トリコ織組織に緯糸を裏付けする組織であり、一定の経糸配列で緯方向に3本以上の浮き沈みを持つように緯糸が裏付けされる。本形態では、このようにトリコ織組織を構成する経糸に対する、裏付け組織を構成する緯糸の浮き数が3以上であることで、経二重織組織であるトリコ織組織の構成由来の伸縮に加え、裏付け組織を構成する緯糸が、トリコ織組織を構成する経糸配列に対して浮き数を3以上とすることによる伸縮性と相まって、高いストレッチ性及び柔軟性を有する織物となる。経糸配列に対する緯糸の浮き数の上限は特に限定されないが、通常15以下であり、11以下であってよく、7以下であってよく、5以下であってもよい。
【0018】
裏付け組織を構成する緯糸が、トリコ織組織を構成する経糸配列に対して浮き数が3以上となる限り、緯裏付け組織は特に限定されないが、良好なストレッチ性の観点から、破れ斜文織又は朱子織であることが好ましい。
破れ斜文織としては、4枚破れ斜文織が挙げられ、3/1破れ斜文織であることが好ましい。
朱子織としては、5枚朱子織~16枚朱子織またはそれらの破れ組織が挙げられ、5枚朱子織~12枚朱子織またはそれらの破れ組織であることが好ましい。
本発明のストレッチ織物は、緯付組織とトリコ織組織が共通の経糸を使用するため、複合する際の緯付組織とトリコ織組織の経糸本数は同一であることが好ましい。
また、本発明のストレッチ織物は、経糸を共通にしてトリコ織組織を構成する緯糸と緯裏付け組織を構成する緯糸を一定の配列で交互に配置されるように複合させた組織であるが、経トリコ織組織を構成する緯糸と緯裏付け組織を構成する緯糸が、1:1、1:2、2:1、又は2:2の配列で交互に複合させた織組織であることが好ましい。
【0019】
(本形態の織物の製造方法)
使用可能な織り機の説明:
本形態のストレッチ織物組織を織ることが可能であれば、織り機は特に限定されないが、レピア織機、エアージェット織機、ウォータージェット織機、スルザー織機等の枠枚数16枚付ドビー機又はジャガード機を使用し、常法に従い製造することができる。
【0020】
適用可能な後加工:
本形態のストレッチ織物組織は、必要に応じ各種の仕上げ加工を行ってもよい。仕上げ加工としては、染め、起毛、剪毛、シルケット加工、バフ加工、漂白、ヒートセット、プリーツ加工などを行うことができる。
【0021】
(織物特性の測定方法)
本形態のストレッチ織物は、緯方向およびバイアス方向に高い伸長率及び伸長回復率を有する。具体的には、緯方向及び/又はバイアス方向に、35%以上の伸長率を有することが好ましく、40%以上であることがより好ましく、50%以上であることが更に好ましい。上限は特に限定されず、通常100%以下であり、90%以下であってよい。
また、緯方向及び/又はバイアス方向に、70%以上の伸長回復率を有することが好ましく、75%以上であることがより好ましく、80%以上であることが更に好ましい。上限は特に限定されず、通常100%以下であり、95%以下であってよい。
伸長率はJIS-L1096B法(定荷重法)に準じて測定することができ、伸長回復率はJIS-L1096B-1法(定荷重法)に準じて測定することができる。
【0022】
本形態のストレッチ織物の目付は特に限定されないが、嵩高感の観点から50g/m2以上であることが好ましく、200g/m2以上であることがより好ましい。上限は特に限定されないが、通常1000g/m2以下であってよく、600g/m2以下であってよい。
【0023】
本形態のストレッチ織物の厚みは、織物の利用シーンに応じて適宜設定することができる。通常0.5mm以上であり、好ましくは0.6mm以上であり、また通常3mm以下であり、好ましくは2mm以下である。なお、ストレッチ織物の厚みは、厚さ測定器(ダイアルシックネスゲージ)を用いて測定するが、測定の際はJIS-L1096A法(JIS法)に準じて測定することができる。
【0024】
本形態のストレッチ織物は、柔軟性を有し、緯方向およびバイアス方向に高い伸長率及び伸長回復率を有することから、様々な衣料品、衛生材料、生活資材または産業資材に適
用することができる。衣料品としての好適な適用例としては、ジーンズ、スラックス、スカート等のパンツ・ボトムス衣料、ジャケット、ブルゾン、カバーオール、コート等のアウター衣料、Tシャツ、シャツ、ブラウスなどのインナー衣料、ワンピース、オーバーオール、サロペットなどが挙げられる。衛生材料としての好適な適用例としては、テーピングテープ、湿布、包帯、マスク、サポーターなどが挙げられる。生活資材としての好適な適用例としては、ソファーカバー、クッションカバー等のインテリア製品、ベッドシーツ、布団カバー、枕カバー等の寝装品などが挙げられる、産業資材としての好適な適用例としては、自動車のカーシートなどが挙げられる。
【実施例】
【0025】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明の範囲が実施例により限定されるものではない。
(実施例1)
経糸に綿番手20の綿糸(コーマ糸)を使用し、緯糸に、芯糸40デニールのポリウレタンフィラメントを使用した綿番手30のコアスパンヤーンと芯糸40デニールのポリウレタンフィラメントを使用した綿番手40のコアスパンヤーンとを交互に1:1の配列で使用し、
図1に記載の織組織で、経糸を1インチ当たり82本、緯糸を1インチ当たり50+50本となるようにエアージェット織機で製織し、幅71インチの高伸縮性織物(混率C:PU=95:5)の生機を得た。
得られた生機について、反応染料による連続染色のレギュラー仕上げを行い、高伸縮織物1を得た。
【0026】
(実施例2)
経糸に綿番手20の綿糸(コーマ糸)を使用し、緯糸に、芯糸40デニールのポリウレタンフィラメントを使用した綿番手30のコアスパンヤーンと芯糸40デニールのポリウレタンフィラメントを使用した綿番手40のコアスパンヤーンとを交互に1:1の配列で使用し、
図2に記載の織組織で、経糸を1インチ当たり82本、緯糸を1インチ当たり50+50本となるようにエアージェット織機で製織し、幅71インチの高伸縮性織物(混率C:PU=95:5)の生機を得た。
得られた生機について、反応染料による連続染色のレギュラー仕上げを行い、高伸縮織物2を得た。
【0027】
(実施例3)
経糸に綿番手20の綿糸(コーマ糸)を使用し、緯糸に芯糸40デニールのポリウレタンフィラメントを使用した綿番手40のコアスパンヤーンを使用し、
図3に記載の織組織で、経糸を1インチ当たり82本、緯糸を1インチ当たり100本となるようにエアージェット織機で製織し、幅71インチの高伸縮性織物(混率C:PU=95:5)の生機を得た。
得られた生機について、反応染料による連続染色のレギュラー仕上げを行い、高伸縮織物3を得た。
【0028】
(実施例4)
経糸に綿番手60の綿糸(コンパクト糸)を使用し、緯糸に、芯糸40デニールのポリウレタンフィラメントを使用した綿番手40のコアスパンヤーン使用し、
図4に記載の織組織で、経糸を1インチ当たり160本、緯糸を1インチ当たり100本となるようにエアージェット織機で製織し、幅71インチの高伸縮性織物(混率C:PU=95:5)の生機を得た。
得られた生機について、反応染料による連続染色のレギュラー仕上げを行い、高伸縮織物4を得た。
【0029】
(比較例1)
経糸に綿番手20の綿糸(カード糸)を使用し、緯糸に芯糸117デニールのポリウレタンフィラメントを使用した綿番手20のコアスパンヤーンを使用し、左上がりの3/1綾織(3/1L)で、経糸を1インチあたり100本、緯糸を1インチあたり65本、織物全体の幅が71インチとなるようにエアージェット織機で製織され、その後反応染料による連続染色のレギュラー仕上げおよび液体アンモニアでシルケット加工がなされた伸縮織物5(混率C:PU=96:4)を入手した。
【0030】
(比較例2)
経糸に綿番手30の綿糸(コンパクト糸)を使用し、緯糸に芯糸117デニールのポリウレタンフィラメントを使用した綿番手16のコアスパンヤーンを使用し、織組織3/2//変則ドビー織で、経糸を1インチあたり124本、緯糸を1インチあたり74本、織物全体の幅が68インチとなるようにエアージェット織機で製織され、その後反応染料による連続染色のレギュラー仕上げが行われた伸縮織物6(混率C:PU=97:3)を入手した。
【0031】
(試験例)
実施例1~3で得られた高伸縮織物1~3、および比較例1~2で得られた伸縮織物5~6について、それぞれ伸長率(%)、伸長回復率(%)、柔軟性および生地厚(mm)を測定し、結果を表1にまとめた。
なお、柔軟性の基準は以下のとおりとした。
〇:少ない力でもよく伸びる。
△:伸ばす時にやや硬さがある。
×:伸ばす時に硬さがある。
【0032】
【0033】
表1より、実施例1~3の組織はいずれも伸長率が40%を超え、伸長回復率も80%を超える織物が得られ、所謂ハイパワーストレッチと謳われる比較例1~2の組織よりも優れた伸縮性を有し、かつ少ない力で良く伸びる柔軟性にも優れていた。また、実施例1~4の織物は二重織の生地となっており、嵩高感があり高級感を伴いながらニットの風合いを有する衣料品用の生地として好適に使用できるものであった。