(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-05
(45)【発行日】2024-04-15
(54)【発明の名称】経口/経腸栄養組成物及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
A23L 33/00 20160101AFI20240408BHJP
A23L 33/185 20160101ALI20240408BHJP
A23L 33/17 20160101ALI20240408BHJP
A23L 33/125 20160101ALI20240408BHJP
A23L 33/15 20160101ALI20240408BHJP
A23L 33/16 20160101ALI20240408BHJP
A23L 33/21 20160101ALI20240408BHJP
A23L 33/175 20160101ALI20240408BHJP
A23L 33/18 20160101ALI20240408BHJP
A23L 33/155 20160101ALI20240408BHJP
A23L 33/195 20160101ALI20240408BHJP
A61K 38/02 20060101ALI20240408BHJP
A61K 31/70 20060101ALI20240408BHJP
A61P 3/02 20060101ALI20240408BHJP
A61K 31/07 20060101ALI20240408BHJP
A61K 31/59 20060101ALI20240408BHJP
A61K 31/355 20060101ALI20240408BHJP
A61K 31/4415 20060101ALI20240408BHJP
A61K 33/00 20060101ALI20240408BHJP
A61K 9/14 20060101ALI20240408BHJP
A61K 31/519 20060101ALI20240408BHJP
A61K 31/375 20060101ALI20240408BHJP
【FI】
A23L33/00
A23L33/185
A23L33/17
A23L33/125
A23L33/15
A23L33/16
A23L33/21
A23L33/175
A23L33/18
A23L33/155
A23L33/195
A61K38/02
A61K31/70
A61P3/02
A61K31/07
A61K31/59
A61K31/355
A61K31/4415
A61K33/00
A61K9/14
A61K31/519
A61K31/375
(21)【出願番号】P 2020542237
(86)(22)【出願日】2019-02-20
(86)【国際出願番号】 VN2019000002
(87)【国際公開番号】W WO2019246637
(87)【国際公開日】2019-12-26
【審査請求日】2022-02-15
(31)【優先権主張番号】1-2018-02610
(32)【優先日】2018-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】VN
(73)【特許権者】
【識別番号】520284492
【氏名又は名称】オーガライフ ニュートリショナル サイエンス カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100128668
【氏名又は名称】齋藤 正巳
(74)【代理人】
【氏名又は名称】臼井 伸一
(74)【代理人】
【識別番号】100217825
【氏名又は名称】福井 博喜
(72)【発明者】
【氏名】ファム,ティエン ズァット
【審査官】厚田 一拓
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/102258(WO,A1)
【文献】国際公開第2006/033349(WO,A1)
【文献】特開昭62-061559(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第1321431(CN,A)
【文献】特表2012-504971(JP,A)
【文献】特開2017-139974(JP,A)
【文献】特表2004-534838(JP,A)
【文献】特開昭63-309162(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 2/00 - 35/00
A61K 6/00 -135/00
A61P 1/00 - 43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タンパク質肉群と、タンパク質植物群と、炭水化物群と、繊維群と、酵素群と、ミネラル及びビタミン群と、を含む経管栄養食品であって、
前記経管栄養食品が、
(a)第1の所定の重量パーセント(%)が、2%~15%である前記タンパク質肉群と、第2の所定の重量パーセント(%)が、2%~10%である前記タンパク質植物群と、第3の所定の重量パーセント(%)が、10%~18%である前記炭水化物群と、第4の所定の重量パーセント(%)が、1%~5%である前記繊維群とを含む食品組成物を調製する工程と、
(b)前記工程(a)で得られた食品組成物を篩にかける工程と、
(c)工程(c)で得られる食品組成物に対して、第5の所定の重量パーセント(%)が50%~90%である水を、前記工程(b)で得られた食品組成物に添加する工程と、
(d)前記工程(c)で得られた食品組成物を予備調理し、粉砕して液化する工程と、
(e)工程(e)で得られる食品組成物に対して、第6の所定の重量パーセント(%)の重量が0.01%~5%である前記酵素群を、前記工程(d)で得られた食品組成物に添加して酵素加水分解する工程と、
(f)工程(f)で得られる食品組成物に対して、第7の所定の重量パーセント(%)が0.01%~3%である前記ミネラル及びビタミンのサプリメントを、前記工程(e)の酵素加水分解工程の後に前記工程(e)で得られた食品組成物に添加する工程と、
(g)前記工程(f)で得られた食品組成物を濾過及び均質化する工程と、
(h)前記工程(g)で得られた食品組成物を殺菌する工程と、
(i)前記工程(h)で得られた食品組成物を包装する工程と、
を含む方法によって生産される、経管栄養食品。
【請求項2】
前記(i)の包装する工程前に、前記工程(h)で得られた食品組成物を乾燥する工程を含む方法によって生産される、請求項1に記載の経管栄養食品。
【請求項3】
前記経管栄養食品が、カロリー密度1kcal/ml;10kDa未満のペプチド;ロイシン、アスパラギン酸、アラニン、チロシン、スレオニン、バリン、リシン、セリン、イソロイシン、ヒスチジン、グルタミン酸、メチオニン、システイン、プロリン、トリプトファン、フェニルアラニン、グリシン、及びアルギニンを含む複数のアミノ酸を提供することができるように酵素加水分解されている、請求項1に記載の経管栄養食品。
【請求項4】
前記ミネラル及びビタミン群が、ビタミンA、ビタミンD
3、ビタミンE、ビタミンB
1、ビタミンB
2、ビタミンB
3、ビタミンB
6、ビタミンB
12、ビタミンB
5、ビタミンC、ビオチン、葉酸、カリウム、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、鉄、亜鉛、リン酸塩、及びヨウ素の少なくとも一つを含む、請求項3に記載の経管栄養食品。
【請求項5】
前記タンパク質肉群が、家畜、海産物、家禽、及び昆虫の少なくとも一つを含む、請求項1に記載の経管栄養食品。
【請求項6】
前記タンパク質植物群が、果物、野菜、ナッツ、海藻、ハーブ、薬用植物、及び菌類の少なくとも一つを含む、請求項5に記載の経管栄養食品。
【請求項7】
前記果物がニンジン、カボチャ、マンゴー、バナナ、リンゴ、及びブドウを全て含み、
前記ナッツがマカダミア、クルミ、及びアーモンドの少なくとも一つを更に含み、
前記ハーブがモリンガ、及びチョウセンニンジンの少なくとも一つを含む、請求項
6に記載の経管栄養食品。
【請求項8】
前記酵素加水分解プロセスが、セルラーゼ酵素、アミラーゼ酵素、及びプロテアーゼ酵素を含む酵素の少なくとも一つを加えることを更に含む、請求項6に記載の経管栄養食品。
【請求項9】
経口及び経腸経管栄養食品パッケージを製造する方法であって、
(a)第1の所定の重量パーセント(%)が、2%~15%であるタンパク質肉群と、第2の所定の重量パーセント(%)が、1%~5%であるタンパク質植物群と、第3の所定の重量パーセント(%)が、10%~18%である炭水化物群と、第4の所定の重量パーセント(%)が、1%~5%である繊維群とを含む食品組成物を調製することと、
(b)前記工程(a)で得られた食品組成物を篩にかけることと、
(c)工程(c)で得られる食品組成物に対して、第5の所定の重量パーセント(%)が50%~90%である水を、前記工程(b)で得られた食品組成物に添加する工程と、
(d)前記工程(c)で得られた食品組成物を予備調理し、粉砕して液化することと、
(e)工程(e)で得られる食品組成物に対して、第6の所定の重量パーセント(%)が0.01%~5%でるセルラーゼ酵素、アミラーゼ酵素、及びプロテアーゼ酵素を含む酵素を前記工程(d)で得られた食品組成物に添加することによって酵素加水分解することと、
(f)工程(f)で得られる食品組成物に対して、第7の所定の重量パーセント(%)が0.01%~3%であるミネラル及びビタミンのサプリメントを、前記工程(e)の酵素加水分解工程の後に前記工程(e)で得られた食品組成物に添加することと、
(g)前記工程(f)で得られた食品組成物を濾過及び均質化することと、
(h)前記工程(g)で得られた食品組成物を殺菌することと、
(i)前記工程(h)で得られた食品組成物を包装することと、
を含む、方法。
【請求項10】
前記(i)の包装する工程前に、前記工程(h)で得られた食品組成物を乾燥することを含む請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記経管栄養食品が、カロリー密度1kcal/ml;粘度100cP未満;10kDa未満のペプチド;ロイシン、アスパラギン酸、アラニン、チロシン、スレオニン、バリン、リシン、セリン、イソロイシン、ヒスチジン、グルタミン酸、メチオニン、システイン、プロリン、トリプトファン、フェニルアラニン、グリシン、及びアルギニンを含む複数のアミノ酸を提供することができるまで、前記酵素加水分解工程の後、ダイズ油及び塩、中鎖トリグリセリド(MCT)を食品組成物に添加して混合する、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記タンパク質肉群が、家畜、海産物、家禽、及び昆虫の少なくとも一つを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記タンパク質植物群が、果物、ナッツ、穀物、海藻、ハーブ、及び菌類の少なくとも一つを含み、
前記果物がジャガイモ、ニンジン、穀物、カボチャ、及びダイズの少なくとも一つを更に含み、
前記ナッツがマカダミア、クルミ、及びアーモンドの少なくとも一つを更に含み、
前記ハーブがモリンガ及びチョウセンニンジンの少なくとも一つを含み、
前記菌類がレンティヌラ・エドデス、ヴォルヴァリエラ・ボルバセア、及びプレウロトゥス・エリンギの少なくとも一つを更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記ミネラル及びビタミン群が、ビタミンA、ビタミンD
3、ビタミンE、ビタミンB
1、ビタミンB
2、ビタミンB
3、ビタミンB
6、ビタミンB
12、ビタミンB
5、ビタミンC、ビオチン、葉酸、カリウム、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、鉄、亜鉛、リン酸塩、及びヨウ素の少なくとも一つを更に含む、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
前記食品組成物の前記調理及び粉砕が、
前記食品組成物を10分間~15分間の摂氏85度の加熱に供することと、
前記食品組成物のpH、温度、及び粘度を観察することと、
を更に含む、請求項9に記載の方法。
【請求項16】
前記タンパク質肉群、前記タンパク質植物群、前記炭水化物群、及び前記繊維群が、それぞれが粉末形態である、請求項9に記載の方法。
【請求項17】
前記タンパク質肉群、前記タンパク質植物群、前記炭水化物群、及び前記繊維群が、生鮮製品である、請求項9に記載の方法。
【請求項18】
経口及び経腸経管栄養の菜食主義者食品パッケージを製造する方法であって、
(a)第1の所定の重量パーセント(%)が、1%~8%であるタンパク質植物食品原料、第2の所定の重量パーセント(%)が、10%~18%である炭水化物、及び第3の所定の重量パーセント(%)が、1%~5%である繊維を含む食品組成物を調製することと、
(b)前記工程(a)で得られた食品組成物を篩にかけることと、
(c)工程(c)で得られる食品組成物に対して、第4の所定の重量パーセント(%)が50%~90%である水を、前記工程(b)で得られた食品組成物に添加する工程と、
(d)前記工程(c)で得られた食品組成物を予備調理し、粉砕して液化することと、
(e)工程(e)で得られる食品組成物に対して、第5の所定の重量パーセント(%)が0.01%~5%であるセルラーゼ酵素、アミラーゼ酵素、及びプロテアーゼ酵素を含む酵素を前記工程(d)で得られた食品組成物に添加して酵素加水分解することと、
(f)工程(f)で得られる食品組成物に対して、第6の所定の重量パーセント(%)が0.01%~3%であるミネラル及びビタミンのサプリメントを前記工程(e)で得られた食品組成物に添加することと、
(g)前記工程(f)で得られた食品組成物を濾過及び均質化することと、
(h)前記工程(g)で得られた食品組成物を殺菌することと、
(i)前記工程(h)で得られた食品組成物を包装することと、
を含む、方法。
【請求項19】
前記(i)の包装する工程前に、前記工程(h)で得られた食品組成物を乾燥することを含む請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記経管栄養食品が、カロリー密度1kcal/ml;10kDa未満のペプチド;粘度100cP未満;ロイシン、アスパラギン酸、アラニン、チロシン、スレオニン、バリン、リシン、セリン、イソロイシン、ヒスチジン、グルタミン酸、メチオニン、システイン、プロリン、トリプトファン、フェニルアラニン、グリシン、及びアルギニンを含む複数のアミノ酸;並びにビタミンA、ビタミンD
3、ビタミンE、ビタミンB
1、ビタミンB
2、ビタミンB
3、ビタミンB
6、ビタミンB
12、ビタミンB
5、ビタミンC、ビオチン、葉酸、カリウム、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、鉄、亜鉛、リン酸塩、及びヨウ素を含むビタミン群を提供することができるまで、前記酵素加水分解工程の後、ダイズ油、塩、中鎖トリグリセリド(MCT)を食品組成物に添加し、それらと混合する、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記タンパク質植物粉末が、果物、ナッツ、穀物、海藻、ハーブ、及び菌類の少なくとも一つを含み、
前記果物が、ジャガイモ、ニンジン、穀物、カボチャ、及びダイズの少なくとも一つを更に含み、
前記ナッツがマカダミア、クルミ、及びアーモンドの少なくとも一つを含み、
前記ハーブが、モリンガ及びチョウセンニンジンの少なくとも一つを含み、
前記菌類が、レンティヌラ・エドデス、ヴォルヴァリエラ・ボルバセア、及びプレウロトゥス・エリンギの少なくとも一つを更に含む、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
前記ミネラル及びビタミン群が、ビタミンA、ビタミンD
3、ビタミンE、ビタミンB
1、ビタミンB
2、ビタミンB
3、ビタミンB
6、ビタミンB
12、ビタミンB
5、ビタミンC、ビオチン、葉酸、カリウム、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、鉄、亜鉛、リン酸塩、及びヨウ素の少なくとも一つを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項23】
前記包装が、液体形態の前記食品組成物を包装することと、可溶性粉末形態の前記食品組成物を乾燥することとを含む、請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して食品栄養の分野に関する。より具体的には、本発明は、患者用の経口栄養、重病患者用の経腸経管(ETF:enteral tube feeding)栄養、及び標準食で栄養要件を満たせない人に対する経口サプリメントに関する。
【背景技術】
【0002】
食品の経腸経管栄養(ETF)は、自力で食べることができない重病患者に対して栄養を提供するように設計されている。かかる重病患者としては、脳卒中、昏睡状態、脳傷害等に罹患している患者が挙げられる。カロリー摂取、健康、消化管の機能的及び構造的完全性の維持、感染性合併症の減少、入院期間の短縮、及び死亡率の低下を含む重病患者におけるETF栄養の利点は、よく知られている。多くの場合、経管栄養患者は、胃内残留量(GRV:gastric residual volume)の上昇、便秘、嘔吐、下痢、逆流、誤嚥、腹部膨満、又は疝痛を何日も経験する。
【0003】
患者の状態のために、経腸経管栄養(EFT)食品は液体形態で作られ、患者の健康状態及び病気に対する抵抗性を維持するのに十分なカロリー摂取量を提供する。世界の医療食品市場は、これらの目的にかなう食品製剤を提供しているが、食品製剤の大部分は、グルコース、マルトデキストリン、フルクトース、既製の炭水化物、亜硝酸カゼイネート又はカゼインカルシウム、アミノ酸、タンパク質、及びその他の乳製品等の良く知られている化学成分に基づく組成物である。これらの予め加工された食品原料は高価であり、食品に含まれる天然栄養素を欠く。さらに、幾つかの予め加工された複合食品製剤は、下痢及び脱水症状の長期化を引き起こす可能性のある高い吸収圧を有する。さらに、乳食品又は乳中に見られる乳糖が豊富な製品の消費は、乳糖不耐症の人に重度の消化不良及び下痢を起こす可能性がある。
【0004】
上記の従来市販の経管栄養食品が世界市場で入手可能になる以前、家族、愛する人、看護師、及び病院の栄養部門では、重病患者に様々な種類のピューレスープを用意することが多かった。これらのピューレスープは、現在でも世界の多くの地域の病院で使用されている。しかしながら、これらのピューレスープは、異なる病院、異なる家族によって異なる処方及び調理スタイルで調製されるため、同じ病気の患者に対する標準規格がない。さらに、これらのピューレスープは、厳格な品質管理の対象ではない。したがって、ピューレスープは栄養品質が異なり、腐敗までの時間が短い。市販の食品加工機、ブレンダー、ジューサー等は、食品原料を細かい小片に粉砕することができる。しかしながら、加水分解処理に供されなければ、これらの食品は低均質化及び高粘度等の問題に悩まされる。その結果、これらの食品は栄養管を通過することができず、患者を窒息させ、また消化能力を低下させる。これらの問題は、消化器系が機能不全であり、消化酵素が不足している重症の虚弱患者では特に深刻である。
【0005】
ベトナムのような多くの発展途上国では、医療及び栄養の標準規格を満たす天然原料から製造された経管栄養食品は開発されていない。患者用経管栄養食品を製造する企業も少しは存在する。しかしながら、これらの食品に含まれるタンパク質は、各種輸入材料を混合した野菜から作られている。したがって、それらの食品は高価であり、同じ病気に罹患している同じタイプの患者に対する何らの栄養基準もない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、必要とされるのは、食物耐性(food tolerance)を達成し、栄養要求を満たし、安価であって、腹部膨満、胃食道逆流、下痢等の重大な副作用を回避する、経管栄養医療食品及びその製造方法である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
したがって、本発明の目的は、カロリー密度1kcal/ml、粘度100cP未満、及び10kDa未満の鎖ペプチド、ロイシン、アスパラギン酸、アラニン、チロシン、スレオニン、バリン、リシン、セリン、イソロイシン、ヒスチジン、グルタミン酸、メチオニン、システイン、プロリン、トリプトファン、フェニルアラニン、グリシン、及びアルギニン等のアミノ酸を達成するため、いずれも酵素加水分解されている、第1の所定のパーセント(%)重量を有する高タンパク質肉群と、第2の所定のパーセント(%)重量を有する高タンパク質植物群と、第3の所定のパーセント(%)重量を有する炭水化物と、第4の所定のパーセント(%)重量を有する繊維と、第5の所定のパーセント(%)重量を有する水と、第6のパーセント(%)重量を有する酵素と、第7のパーセント(%)重量を有するビタミン及びミネラルのサプリメントとを含む、経口及び経腸食品を提供することである。ミネラル及びビタミン群は、ビタミンA、ビタミンD3、ビタミンE、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB3、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンB5、ビタミンC、ビオチン、葉酸、カリウム、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、鉄、亜鉛、リン酸塩、及びヨウ素を含む。
【0008】
本発明の別の目的は、豚肉、牛肉、その他の家畜(cattle)等;魚介類、鶏肉、アヒル、コオロギ等の昆虫を含むが、これらに限定されない、第1の所定のパーセント(%)重量を有する高タンパク質粉末肉群を調製することと、ジャガイモ、ニンジン、穀物、カボチャ、ダイズ、ナッツ、及びマカダミア、クルミ、アーモンド等のその他の野菜、海藻、及びモリンガ、チョウセンニンジン等のハーブ;並びにレンティヌラ・エドデス(lentinula edodes)、ヴォルヴァリエラ・ボルバセア(volvariella volvacea)、プレウロトゥス・エリンギ(pleurotus eryngii)等の菌類を含むが、これらに限定されない、第2の所定のパーセント(%)重量を有する粉末高タンパク質植物群を調製することと、コメ、ジャガイモ、その他の野菜、その他の穀物、マカダミア、クルミ、アーモンド等のナッツ、マンゴー、バナナ、リンゴ、ブドウ等の果物を含むが、これらに限定されない、第3の所定のパーセント(%)重量を有する粉末炭水化物群を調製することと、ニンジン、カボチャ、その他の野菜、穀物、マカダミア、クルミ、アーモンド等のナッツ;マンゴー、バナナ、リンゴ、ブドウ等の果物;モリンガ、チョウセンニンジン等のハーブを含むが、これらに限定されない、第4の所定のパーセント(%)重量を有する粉末繊維を調製することと、第5の所定のパーセント(%)重量を有する水を添加することと、第6のパーセント(%)重量を有する酵素を添加することと、第7のパーセント(%)重量を有するビタミン及びミネラルのサプリメントを添加することとを含み、いずれも、経管栄養食品が食物耐性1kcal/1ml、粘度100cP未満、及び10kDa未満の鎖ペプチド、並びにロイシン、アスパラギン酸、アラニン、チロシン、スレオニン、バリン、リシン、セリン、イソロイシン、ヒスチジン、グルタミン酸、メチオニン、システイン、プロリン、トリプトファン、フェニルアラニン、グリシン、及びアルギニン等のアミノ酸を達成するまで、酵素加水分解、調理及び粉砕、超濾過、均質化、殺菌等のプロセスを通じて導入される、粉末原料から経管栄養食品を製造する方法を提供することである。ミネラル及びビタミン群は、ビタミンA、ビタミンD3、ビタミンE、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB3、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンB5、ビタミンC、ビオチン、葉酸、カリウム、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、鉄、亜鉛、リン酸塩、及びヨウ素を含む。
【0009】
本発明の更に別の目的は、豚肉、牛肉、及び仔ヒツジ、ヤギ等のその他の家畜;魚介類;鶏肉、アヒル、又は七面鳥等の他の家禽;コオロギ及びバッタ等の昆虫を含むが、これらに限定されない、第1の所定のパーセント(%)重量を有する高タンパク質の新鮮な肉群を調製することと、ジャガイモ、ニンジン、穀物、カボチャ、ダイズ、その他の野菜、マカダミア、クルミ、アーモンド等のナッツ;海藻、及びモリンガ、チョウセンニンジン等のハーブ;レンティヌラ・エドデス、ヴォルヴァリエラ・ボルバセア、プレウロトゥス・エリンギ等の菌類を含むが、これらに限定されない、第2の所定のパーセント(%)重量を有する新鮮な高タンパク質植物群を調製することと、コメ、ジャガイモ、その他の野菜、穀物、マカダミア、クルミ、アーモンド等のナッツ;マンゴー、バナナ、リンゴ、ブドウ等の果物を含むが、これらに限定されない、第3の所定のパーセント(%)重量を有する新鮮な炭水化物群を調製することと、ニンジン、カボチャ、穀物、マカダミア、クルミ、アーモンド等のナッツ、マンゴー、バナナ、リンゴ、ブドウ等の果物;モリンガ、チョウセンニンジン等のハーブを含むが、これらに限定されない、第4の所定のパーセント(%)重量を有する新鮮な繊維を調製することと、第5の所定のパーセント(%)重量を有する水を添加することと、第6のパーセンテート(%)重量を有する酵素を添加することと、第7のパーセント(%)の重量を有するビタミン及びミネラルのサプリメントを添加することと、を含み、いずれも、経管栄養食品が食物耐性1kcal/1ml、粘度100cP未満、及び10kDa未満の鎖ペプチド、並びにロイシン、アスパラギン酸、アラニン、チロシン、スレオニン、バリン、リシン、セリン、イソロイシン、ヒスチジン、グルタミン酸、メチオニン、システイン、プロリン、トリプトファン、フェニルアラニン、グリシン、及びアルギニン等のアミノ酸を達成するまで、酵素加水分解、調理及び粉砕、超濾過、均質化、殺菌等のプロセスを通じて導入される、新鮮な原料から経管栄養食品を製造する方法を提供することである。製品は、ビタミンA、ビタミンD3、ビタミンE、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB3、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンB5、ビタミンC、ビオチン、葉酸、カリウム、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、鉄、亜鉛、リン酸塩、及びヨウ素を含むミネラル及びビタミンの群を提供する。
【0010】
本発明の別の目的は、重病患者、リハビリテーションを行っている患者、高齢者、又はサプリメント及び/又は日々の食事に代わる(菜食主義者に適した)ものを必要とする健康な人に使用することができる医学的及び栄養的に規格化された食品を提供することである。
【0011】
本発明の別の目的は、経口及び/又は経腸のいずれかの方法でユーザーに導入することができる医学的及び栄養的に規格化された食品を提供することである。
【0012】
本発明のこれら及び他の利点は、間違いなく、様々な図で説明される好ましい実施の形態の以下の詳細な説明を読むことで当業者に明らかとなろう。
【0013】
本明細書に組み込まれ、その一部をなす添付の図面は、本発明の実施の形態を図説し、明細書の記載と共に本発明の原則を説明する役割を果たす。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施形態による方法から作製された経口/経腸高栄養価食品を示すフローチャートである。
【
図2】粉末原料から本発明の経口/経腸食品を製造する方法を示すフローチャートである。
【
図3】新鮮な原料から本発明の経口/経腸食品を製造する方法を示すフローチャートである。
【
図4】本発明の例示的な実施形態による、菜食主義者用の経口/経腸食品を製造する方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
ここで、本発明の好ましい実施形態に対して詳細な参照がなされ、その例を添付の図面にて説明する。本発明は、好ましい実施形態と併せて記載されるが、本発明をこれらの実施形態に限定することを意図したものではないことが理解される。それどころか、本発明は代替形態、変更形態及び等価形態を包含することを意図するものであり、これらは添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の趣旨及び範囲内に含まれ得る。さらに、以下の本発明の詳細な説明では、本発明の徹底的な理解を提供するため、具体的な詳細を多数記載している。しかしながら、本発明は、これらの具体的な詳細がなくても実施可能であることが当業者に明らかであろう。その他の例では、本発明の態様が不必要に不明瞭にならないように、よく知られている方法、手順、構成要素、及び回路については詳しく記載しなかった。
【0016】
以下、
図1を参照して本発明の一実施形態を記載する。
図1は、本発明の例示的な実施形態に従って方法100から作られた経口/経腸食品製品を説明する。
【0017】
工程101では、第1の所定の重量を有する高タンパク質植物群を用意する。例示的な一実施形態では、高タンパク質植物群としては、ジャガイモ;ニンジン;ダイズ;コメ;穀物;カボチャ;その他の野菜;マカダミア、クルミ、アーモンド、v.v.等のナッツ;海藻;及びモリンガ、チョウセンニンジン等のハーブ;レンティヌラ・エドデス、ヴォルヴァリエラ・ボルバセア、プレウロトゥス・エリンギ等の菌類が挙げられ、総重量の2%~7%を占める。高タンパク質植物群の幾つかの例の一覧を下記表1に従って慎重に選択し、用意する。
【0018】
【0019】
表1のガイドラインに従って上記の高タンパク質植物群を慎重に選択した後、上記の表1に挙げたその他の群を慎重に選択して集めた。その後、植物群を清潔にし、洗浄し、小片に細かく刻み、粉砕して液体にする。ダイズを水に浸漬して皮を洗い流し、粉砕して液体にする。最後に、コメを水に浸漬して汚れを洗い流し、粉砕して液体にする。
【0020】
次に、工程102では、第2の所定のパーセント(%)重量を有する高タンパク質の肉を用意する。例示的な一実施形態では、高タンパク質の肉としては、限定されないが、新鮮な赤身の豚肉、牛肉、ヒツジ、仔ヒツジ、ヤギ等のその他の家畜等、魚、エビ等の海産物;鶏肉、アヒル、その他の家禽、及びコオロギ、幼虫、バッタ、甲虫、及びハエ等の食用昆虫が挙げられ、総重量の2%~15%を占める。高タンパク質肉群の幾つかの例を、以下の表2に従って選択し、用意する。ほとんどの実施態様では、高タンパク質の肉を清潔にし、十分に洗浄して、小さな塊に切断し、水で粉砕して粉砕された肉及び水の組成物とする。
【0021】
【0022】
工程102を継続して、例示的な一実施形態では、組成物のタンパク質、脂肪、及びアミノ酸の含量の決定をFolch法によって行う。肉群のタンパク質含量は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)法によって抽出される。Folch法では、高タンパク質肉群をクロロホルム/メタノールで均質化して最終容量とする。分散後、組成物全体を室温にてオービタルシェーカーで15分間~20分間攪拌する。次いで、ホモジネートに濾過又は遠心分離のいずれかを行って液相を回収する。溶媒を水又はNaCl溶液で洗浄する。数秒間ボルテックスをした後、食品組成物を低速で遠心分離し、2つの相を分離する。吸引により上相を取り出し、ガングリオシド又は小さな有機極性分子を分析するために上相を保持する。標識された分子を除去した後、分離物全体を混合せずに、メタノール/水で界面を1回又は2回濯ぐ。上相の遠心分離及び吸引の後、脂質を含むクロロホルム下相を真空下にてロータリエバポレーターにおいて又は窒素流下で蒸発させる。
【0023】
工程102の幾つかの実施態様では、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)法を使用することができる。HPLCは、食品組成物中の各成分の分離、同定及び定量に使用される分析化学の手法である。サンプル組成物を含む加圧液体溶媒を、ポンプにより固体吸着材料で満したカラムに通す。サンプル中の各成分はわずかに異なって吸着材料と相互作用し、成分ごとに異なる流速となって、成分がカラムから流れ出す際に分離される。HPLCは、吸着を伴う質量移動プロセスとして説明され得る。HPLCは、ポンプにより加圧液及び食品組成物を吸着材で満たしたカラムに通し、サンプル成分を分離する。カラムの活性成分である吸着材は、通常、固体粒子(シリカ、ポリマー等)で製造される粒状材料であり、サイズは2μm~50μmである。食品組成物の成分は、吸着材粒子との相互作用の程度が異なるために互いに分離される。加圧液は、一般的には溶媒(例えば、水、アセトニトリル及び/又はメタノール)の組成物であり、「移動相」と呼ばれる。移動相の組成及び温度は、サンプル成分と吸着材の間に生じる相互作用に影響を与えることによって、分離プロセスにおいて大きな役割を果たす。これらの相互作用は、疎水性(分散性)、双極子-双極子、及びイオン性等、本質的に物理的であり、ほとんどの場合、組み合わせである。Folch法及びHPLC法はいずれも、当該技術分野でよく知られており、本明細書で詳細に論じる必要はない。
【0024】
工程103では、炭水化物に富む組成物が、第3の所定のパーセント重量を有する第3の原料である。一実施態様では、炭水化物には、10重量%~18重量%のコメ、ジャガイモ、穀物、マカダミア、クルミ等のナッツ、マンゴー、バナナ、リンゴ、ブドウ等の果物;マンゴー等の果物が含まれる。炭水化物は、表1の手引きに従って選択される。
【0025】
次に、工程104では、第4の重量パーセント(%)の繊維を添加する。幾つかの実施態様では、繊維には、1重量%~5重量%のニンジン、アカカボチャ、及びその他の果実、並びに穀物、マカダミア、クルミ及びアーモンド等のナッツ;マンゴー、バナナ、ブドウ、及びリンゴ等のその他の果実;モリンガ、チョウセンニンジン等のハーブが含まれる。繊維は、表1の指示に従って慎重に選択される。
【0026】
工程105では、高タンパク質植物群、高タンパク質の肉、高炭水化物材料、高繊維材料を一緒に混合して組成物とする。次いで、組成物を摂氏85度で約10分間~15分間調理し、組成物中のあらゆる微生物を死滅させる及び/又は抑制する。同時に、工程105を継続し、組成物を更に粉砕して液体にする。調理プロセス中、食品組成物のpHと並んで粘度を常に観察する。
【0027】
工程106では、工程105中に水(H2O)を組成物に添加する。65%~90%の所定の重量を有する水を組成物に継続的に添加する。
【0028】
次に、工程107では、第3の所定の重量を有する触媒酵素を調理及び粉砕済みの組成物に添加する。例示的な一実施態様では、酵素は、Alcalase(商標)2,4L、Flavourzyme(商標)Protamex;Termamyl SC、Pectinex Ultra SP-L;トリプシン、ペプシン、α-キモトリプシン、プロテアーゼA「アミノ」2SD、クライスターゼE5CC、v.v.の群を含む。これらの酵素の標準規格を下記表3に示す。例示的な一実施形態では、総重量の0.1%~3%の重量を有する酵素、ダイズ油、並びにビタミンA、ビタミンD3、ビタミンE、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB3、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンB5、ビタミンC、ビオチン、葉酸、カリウム、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、鉄、亜鉛、リン酸塩、及びヨウ素等のプレミックスビタミンを使用する。
【0029】
【0030】
工程108では、工程107の酵素添加組成物を加水分解プロセスに供する。加水分解プロセスは、上記の原料内に含有されるアミノ酸を生成するように設計されているため、組成物の栄養価及びユーザーの吸収能力を向上させる。
【0031】
工程109では、ダイズ油、塩、及び中鎖トリグリセリド(MCT)を組成物に溶解させる。工程109の目的は、食品の価値を高め、組成物の味及び食感を改善することである。
【0032】
工程110では、更に粉末繊維を補充し、それらを食品組成物に溶解して、消費者にとって食品製品中の繊維原料が十分であることを保証する。
【0033】
最後に、工程111では、酵素加水分解プロセスの後、包装に先立って、組成物は濾過、均質化、及び殺菌のプロセスを経る。濾過の間、食品組成物をMillipore膜及びAmicon遠心フィルターユニットに通し、組成物が液体形態であることを保証する。Millipore膜及びAmicon遠心フィルターユニットは、当該技術分野で良く知られており、本明細書で論じる必要はない。工程111の例示的な実施態様では、均質化は、流体組成物の安定性を高め、全ての重病患者と並んで、消費者の要求に対して規格化された経管栄養食品を作るためにある。均質化の後、組成物を摂氏135度~142度の超熱処理(UHT:ultra-heat treatment)装置に4秒間~10秒間の短期間で通過させ、原料が食品中に保たれるように組成物中の残留微生物を全て死滅させる。
【0034】
上記に開示されるプロセス100は、以下の目的を達成した。
【0035】
食物耐性1kcal/1mlを達成する経管栄養食品又は経口栄養食品の規格化された製剤に対する原材料の処方を開発した。
【0036】
食品加工に適した酵素を選択した。
【0037】
原材料の加水分解に影響を与える全ての要因を最適化し、粘度が100cP未満であり、10kDa未満の短鎖ペプチド、並びにロイシン、アスパラギン酸、アラニン、チロシン、スレオニン、バリン、リシン、セリン、イソロイシン、ヒスチジン、グルタミン酸、メチオニン、システイン、プロリン、トリプトファン、フェニルアラニン、グリシン、及びアルギニン等のアミノ酸の割合が適切な経管栄養食品を達成した。
【0038】
本発明の多くの態様による上記の栄養食品は、ビタミンA、ビタミンD3、ビタミンE、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB3、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンB5、ビタミンC、ビオチン、葉酸、カリウム、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、鉄、亜鉛、リン酸塩、及びヨウ素を含む。
【0039】
食品加工は、新鮮材料及び粉末材料を含む天然原料から、経口及び経腸の経管栄養法によって決定される。
【0040】
in vitroでの消化率の評価を実施した。
【0041】
動物モデルにおける製品のタンパク質消化率を評価した。
【0042】
天然原料から生産された経管栄養食品の効果(栄養状態)及び忍容性を評価するため、入院患者において対照臨床試験を実施した。
【0043】
総合的に考えると、これらの結果は、非常に有望なことに、本発明者らが、地域の天然原料からの経口及び経腸投与法による食品サプリメントの生産プロセスを開発するのに十分な能力及び技術を持っていることを示した。さらに、この製品の有効性及び忍容性が臨床試験において示されたことから、入院中に栄養サポートを必要とする重症患者だけでなく、退院した外来患者にもより安価であるが信頼性の高い製品にアプローチする機会を提供する。この製品の幅広い生産は、世界中で検討され、実施されるべきである。
【0044】
次に、
図2を参照すると、様々な粉末原料からインスタント食品製剤又は新鮮な高栄養価食品組成物の形態の経口/経腸食品を製造するプロセス200が示されている。幾つかの実施態様では、プロセス200を使用して、包装されたインスタントの経口又は経腸食品製剤のいずれかを生産する。幾つかの他の実施態様では、プロセス200を使用して、包装された高栄養価の経口又は経腸食品組成物を生産する。この例では、食品は経口投与又は経腸投与のいずれかによってすぐに使用される。
【0045】
工程201では、第1の所定の重量パーセント(%)を有する高タンパク質肉粉末を調製する。一実施態様では、肉粉末は一般的には、2重量%~15重量%の家禽、家畜、ニワトリ等の家禽、豚肉、ウシ、ヤギ、ヒツジ等の畜産動物;魚、エビを含む海産物;及びコオロギ、幼虫、バッタ、甲虫、ハエ等の他の食用昆虫から選択される。
【0046】
工程202では、第2の所定の重量パーセントを有する高タンパク質植物粉末を提供する。工程202の実施態様において、植物粉末は、1重量%~5重量%のダイズ、ニンジン、カボチャ、アズキ、インゲン、他の野菜、ジャーマンカモミール、オトギリソウ、マウンテン・アルニカ、ナツシロギク、カノコソウ、ショウガ、ニンニク、バジル、ムラサキバレンギク、ナツシロギク、サンシキスミレ、ラベンダー、ペパーミント、レモンバーム、マリーゴールド、パセリ、ローズマリー、セージ、タイム、セントジョーンズワート、モリンガ等のハーブ及び薬用植物;マカダミア、クルミ、アーモンド等のナッツ;マンゴー、バナナ、リンゴ、ブドウ等の果物;レンティヌラ・エドデス、ヴォルヴァリエラ・ボルバセア、プレウロトゥス・エリンギ等の菌類を含む。
【0047】
工程203では、第3の所定の重量パーセント(%)を有する高炭水化物粉末を提供する。一実施態様では、炭水化物粉末は、10重量%~18重量%のコメ、ジャガイモ、ニンジン、カボチャ、他の野菜、及び穀物、マカダミア、クルミ、アーモンド等のナッツ;マンゴー、バナナ、リンゴ、ブドウ等の果物を含む。
【0048】
工程204では、第4の所定の重量パーセント(%)を有する繊維粉末を提供する。幾つかの実施態様では、繊維粉末は、1重量%~5重量%のカボチャ、ニンジン、及び他の野菜;穀物;マカダミア、クルミ、アーモンド等のナッツ;マンゴー、バナナ、リンゴ、ブドウ等の果物;モリンガ、チョウセンニンジン等のハーブを含む。
【0049】
工程205では、上記の粉末形態の原料を全て一緒に篩分け又は焼結し、不要な不純物を排除する。工程205の一実施態様では、開口サイズが細かいステンレス鋼の篩パン(sieve pan)又は真鍮製篩パンのいずれかを使用することができる。
【0050】
工程206では、食品組成物を微細化して、正確に調整されたナノスケール食品組成物とする。本発明の工程206の多くの実施態様では、超臨界溶体急速膨張(RESS:Rapid Expansion of Supercritical Solutions)、超臨界貧溶媒(SAS:Supercritical Anti-Solvent)、又はガス飽和懸濁溶液法(PGSS:Particles from Gas Saturated Solutions)等の近代的な微細化技術を使用して、食品組成物を1nm~100nmのナノスケール寸法まで粉砕することができる。これらの微細化技術は、食品製品をナノスケール食品に減少させる技術分野でよく知られているため、本明細書では詳細を論じることはしない。工程206の他の実施態様では、製粉、バッシング(bashing)、及び粉砕の技術も使用され得る。
【0051】
工程207では、第5の所定の重量パーセント(%)を有する水を、篩にかけた食品組成物に添加する。例示的な一実施態様では、食品組成物に添加される水の量は65重量%~90重量%である。
【0052】
工程208では、水及び粉末食品組成物を一緒に混合し、食品組成物が液相になるまで予備調理する。
【0053】
工程209では、工程208からの液体組成物に第6の所定の重量パーセント(%)を有する酵素群を添加する。工程209の一実施態様では、酵素群は、0.01重量%~2重量%のセルラーゼ酵素、アミラーゼ酵素、リパーゼ酵素、及びプロテアーゼ酵素を含む。
【0054】
工程210では、酵素と混合した液体食品組成物を加水分解プロセスに供し、その間、pHレベル、粘度、温度を測定し、プロセスが終了するまで15分間隔で定期的に確認する。
【0055】
工程211aでは、加水分解プロセスが終了した後、ダイズ油、塩、及び中鎖トリグリセリド(MCT)を組成物に溶解させる。工程211aの目的は、食品価値を高め、食品組成物の味及び食感を改善することである。
【0056】
工程211bでは、上記の原料を添加した後、可溶性繊維サプリメント粉末を添加して、消費者に対して食品製品の繊維含量を保証する。
【0057】
次に、工程212では、食品組成物は濾過及び均質化のプロセスを経る。一実施態様では、食品組成物を均質化して均一な製品を作り、次いで、Millipore膜及びAmicon遠心フィルターユニットを通過させることで食品組成物を濾過し、組成物が均一な液体形態であることを保証する。Millipore膜及びAmicon遠心フィルターユニットは、当該技術分野で良く知られており、本明細書で論じる必要はない。
【0058】
工程213では、第7の所定の重量パーセント(%)を有するミネラル、ビタミン、及びアミノ酸で構成されるサプリメントを食物組成物に添加する。本発明の一実施態様では、ミネラル及びビタミンは、ビタミンA、ビタミンD3、ビタミンE、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB3、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンB5、ビタミンC、ビオチン、葉酸、カリウム、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、鉄、亜鉛、リン酸塩、及びヨウ素を含む。
【0059】
工程214では、食品組成物を殺菌して全ての形態の細菌を排除する。工程214の幾つかの実施態様では、超熱処理(UHT)プロセスを使用して、摂氏135度~142度で食品組成物を殺菌する。
【0060】
工程215では、工程214の殺菌プロセス中に減少しないように、同じビタミン、ミネラル、及びアミノ酸を食品組成物に再び添加する。
【0061】
ここから、食品組成物は、インスタント食品又は新鮮な食品のいずれかに変換される。工程216から工程219にかけて、食品組成物は包装されたインスタント食品となる。一方、工程220から工程221にかけて、食品組成物は包装された新鮮な食品として維持される。本発明の幾つかの態様では、インスタント食品は可溶性粉末であるが、これに限定されない。
【0062】
工程216では、インスタント食品製剤に安全な食品添加物を添加する。工程216の幾つかの実施態様では、イヌリン、レシチン、セルロース、リボフラビン、ナタマイシン、及びパルミチン酸アスコルビル、並びにマルトデキストリンの例を含むがこれらに限定されない安全な食品添加物を使用する。
【0063】
ここで工程217を参照すると、殺菌した液体食品組成物を乾燥させてインスタント食品製剤に変換する。幾つかの実施態様では、工程217は、凍結乾燥プロセスによって、凍結乾燥、低温乾燥、及び高温乾燥等を含むが、これらに限定されない乾燥プロセスによって実現される。他の実施態様では、超高速遠心乾燥プロセスが採用される。凍結乾燥プロセス、低温乾燥、高温乾燥、及び超高速遠心乾燥プロセスは、当該技術分野で良く知られており、詳細に論じることはしない。
【0064】
工程218では、インスタント食品製剤を包装する。食品包装のプロセスは当該技術分野でよく知られているため、本明細書では論じない。
【0065】
工程219では、カロリー密度1kcal/ml、粘度100cP未満、10kDa未満のペプチド、並びにロイシン、アスパラギン酸、アラニン、チロシン、スレオニン、バリン、リシン、セリン、イソロイシン、ヒスチジン、グルタミン酸、メチオニン、システイン、プロリン、トリプトファン、フェニルアラニン、グリシン、及びアルギニン等のアミノ酸を有する、上記の工程201~工程218に記載される本発明の最終インスタント食品製剤が得られる。幾つかの実施態様では、ビタミン群、例えばビタミンは、ビタミンA、ビタミンD3、ビタミンE、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB3、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンB5、ビタミンC、ビオチン、葉酸、カリウム、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム(ビタミンD)、鉄、亜鉛、リン酸塩の群を含み、インスタント食品製剤にはヨウ素も加えられる。本発明によるインスタント食品製剤は、口から又は経腸栄養管のいずれかにより投与され得る。本発明のインスタント経口/経腸食品製剤は、すぐに食べられる食品である。経口投与方法では、ユーザーは、包装を開け、ボウルに溶解性粉末形態の食品製剤を注ぎ入れ、その中に温かい湯を注ぎ、5分間~10分間待つだけで、液体形態の食品を提供する準備が整う。経腸投与法では、食品製剤を温かい湯と5分間~10分間混合した後、液体食品製剤を経管栄養法によって患者に投与することができる。
【0066】
工程220及び工程221では、新鮮な食品を包装して、カロリー密度1kcal/ml、粘度100cP未満、10kDa未満の鎖ペプチド、並びにロイシン、アスパラギン酸、アラニン、チロシン、スレオニン、バリン、リシン、セリン、イソロイシン、ヒスチジン、グルタミン酸、メチオニン、システイン、プロリン、トリプトファン、フェニルアラニン、グリシン、及びアルギニンを含む複数のアミノ酸を有する、本発明の最終経口/経腸食品が達成される。他の幾つかの実施態様では、ビタミン群はビタミンA、ビタミンD3、ビタミンE、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB3、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンB5、ビタミンC、ビオチン、葉酸、カリウム、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム(ビタミンD)、鉄、亜鉛、リン酸塩を含み、新鮮な食品のパッケージにはヨウ素も加えられる。
【0067】
次に、
図3を参照すると、様々な新鮮な原料からインスタント食品製剤又は新鮮な高栄養価食品組成物の形態の経口/経腸食品を製造するプロセス300が示されている。幾つかの実施態様では、プロセス300を使用して、包装されたインスタント経口又は経腸のいずれかの食品製剤を生産する。他の幾つかの実施態様では、プロセス300を使用して、包装された高栄養価の経口又は経腸食品組成物を生産する。この例では、食品組成物は、経口又は経腸のいずれかの投与方法によってすぐに使用される。
【0068】
工程301では、第1の所定の重量パーセント(%)を有する高タンパク質の新鮮な肉群を調製する。一実施態様では、新鮮な肉群には、一般的に、合計で8重量%~15重量%の豚肉、牛肉、ヤギ、及び仔ヒツジ等の畜産動物、並びにその他の家畜;ニワトリ、アヒル、及び七面鳥等のその他の家禽;エビ及び各種の魚等の海産物;並びにコオロギ、幼虫、バッタ、甲虫、ハエ等の食用昆虫が含まれる。幾つかの実施態様では、上記表1で検討される新鮮な豚肉を選択する標準規格を使用する。
【0069】
工程302では、第2の所定の重量パーセントを有する高タンパク質の新鮮な植物群が提供される。この工程の例示的な一実施態様では、新鮮な植物食品群は、合計で2重量%~7重量%のジャガイモ、ダイズ、ニンジン、カボチャ、アズキ、インゲン、他の野菜;穀物、及び/又は他の野菜;マカダミア、クルミ、アーモンド等のナッツ;海藻、ジャーマンカモミール、オトギリソウ、マウンテン・アルニカ、ナツシロギク、カノコソウ、ショウガ、ニンニク、バジル、ムラサキバレンギク、ナツシロギク、サンシキスミレ、ラベンダー、ペパーミント、レモンバーム、マリーゴールド、パセリ、ローズマリー、セージ、タイム、セントジョーンズワート、モリンガ、チョウセンニンジン等のハーブ及び薬用植物;レンティヌラ・エドデス、ヴォルヴァリエラ・ボルバセア、プレウロトゥス・エリンギ等の菌類を含む。幾つかの実施態様では、上記表1で検討される新鮮な植物群を選択する標準規格を使用する。
【0070】
工程303では、第3の所定の重量パーセント(%)を有する新鮮な炭水化物食品群が提供される。例示的な一実施形態では、炭水化物食品群は、10重量%~18重量%のコメ、ジャガイモ、ニンジン、カボチャ、他の野菜、他の穀物、マカダミア、クルミ、アーモンド等のナッツ;マンゴー、バナナ、リンゴ、ブドウ等の果物を含む。
【0071】
工程304では、第4の所定の重量パーセント(%)を有する新鮮な繊維食品群が提供される。幾つかの実施態様では、繊維食品群は、食品組成物の1重量%~5重量%のカボチャ、ニンジン、他の野菜;穀物;マカダミア、クルミ、アーモンド等のナッツ;マンゴー、バナナ、リンゴ、ブドウ等の果物;モリンガ、チョウセンニンジン等のハーブを含む。
【0072】
工程305では、上記の新鮮な食品群を用意する。工程305の一実施態様では、表1及び表2に示される標準規格を使用して、新鮮な食品群を用意する。
【0073】
工程306では、食品組成物を微細化して、正確に調整されたナノスケール食品組成物とする。本発明の工程306の多くの実施態様では、超臨界溶体急速膨張(RESS)、超臨界貧溶媒(SAS)、又はガス飽和懸濁溶液法(PGSS))等の近代的な微細化技術を使用することができる。これらの微細化技術は、食品製品をナノスケール食品に減少させる技術分野でよく知られているため、本明細書では詳細を論じることはしない。工程306の他の実施態様では、製粉、バッシング、及び粉砕の技術も使用され得る。
【0074】
工程307では、第5の所定の重量パーセント(%)を有する水を、篩にかけた食品組成物に添加する。幾つかの実施態様では、添加される水の量は50重量%~80重量%である。
【0075】
工程308では、水及び新鮮な食品組成物を一緒に混合し、予備調理する。
【0076】
工程309では、上記第6の所定の重量パーセント(%)を有する酵素群を工程308から液体組成物に添加する。工程309の一実施態様では、酵素群は、0.01%~3%の重量のセルラーゼ酵素、アミラーゼ酵素、リパーゼ酵素、及びプロテアーゼ酵素を含む。幾つかの実施態様では、上記表3による酵素を使用する。
【0077】
工程310では、酵素と混合した食品組成物を加水分解プロセスに供し、その間、pHレベル、粘度、温度を定期的に測定し、プロセスが終了するまで15分間隔で確認する。
【0078】
工程311aでは、加水分解プロセスが終了した後、ダイズ油、塩、及び中鎖トリグリセリド(MCT)を組成物に溶解させる。工程311aの目的は、食品価値を高め、組成物の味及び食感を改善することである。
【0079】
工程311bでは、上記の原料を添加した後、可溶性繊維粉末を添加して、食品製品の繊維含量が消費者に対して満たされることを保証する。
【0080】
次に、工程312では、食品組成物は濾過及び均質化のプロセスを経る。一実施態様では、食品組成物を均質化して均一な製品を作り、次いで、Millipore膜及びAmicon遠心フィルターユニットを通過させることで食品組成物を濾過し、組成物が均一な液体形態であることを保証する。Millipore膜及びAmicon遠心フィルターユニットは、当該技術分野で良く知られており、本明細書で論じる必要はない。
【0081】
工程313では、第7の所定の重量パーセント(%)を有するミネラル、ビタミン、及びアミノ酸で構成されるサプリメントを食物組成物に添加する。本発明の一実施態様では、ミネラル及びビタミンは、ビタミンA、ビタミンD3、ビタミンE、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB3、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンB5、ビタミンC、ビオチン、葉酸、カリウム、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、鉄、亜鉛、リン酸塩、及びヨウ素を含む。
【0082】
工程314では、食品組成物を殺菌して全ての形態の細菌を排除する。工程314の幾つかの実施態様では、超熱処理(UHT)プロセスを使用して、摂氏135度~142度で食品組成物を殺菌して、安全な食品製品を生産する。
【0083】
工程315では、工程314の殺菌プロセス中に減少しないように、同じビタミン及びミネラルを食品組成物に再び添加する。
【0084】
ここから、食品組成物は、インスタント食品又は新鮮な食品のいずれかに変換される。工程316から工程319にかけて、食品組成物は包装されたインスタント食品となる。一方、工程320から工程321にかけて、食品組成物は包装された新鮮な食品として維持される。
【0085】
工程316では、インスタント食品製剤に安全な食品添加物を添加する。幾つかの実施態様では、以下の例の安全な食品添加物には、イヌリン、レシチン、セルロース、リボフラビン、ナタマイシン、及びパルミチン酸アスコルビル、マルトデキストリンが使用される。
【0086】
ここで工程317を参照すると、殺菌した液体食品組成物を乾燥させてインスタント食品製剤に変換する。幾つかの実施態様では、凍結乾燥プロセス、低温乾燥プロセス、及び高温乾燥プロセス等で工程317を実現する。他の実施態様では、超高速遠心乾燥プロセスが採用される。凍結乾燥プロセス、低温乾燥プロセス、高温乾燥プロセス、及び超高速遠心乾燥プロセスは、当該技術分野で良く知られており、詳細に論じることはしない。
【0087】
工程318では、インスタント食品製剤を包装する。食品包装のプロセスは当該技術分野でよく知られているため、本明細書では論じない。
【0088】
最後に、工程319では、カロリー密度1kcal/ml、粘度100cP未満、及び10kDa未満の鎖ペプチド、ロイシン、アスパラギン酸、アラニン、チロシン、スレオニン、バリン、リシン、セリン、イソロイシン、ヒスチジン、グルタミン酸、メチオニン、システイン、プロリン、トリプトファン、フェニルアラニン、グリシン、及びアルギニニンを含む複数のアミノ酸、並びにビタミンA、ビタミンD3、ビタミンE、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB3、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンB5、ビタミンC、ビオチン、葉酸、カリウム、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、鉄、亜鉛、リン酸塩、及びヨウ素を含むビタミンの群を有する、インスタント食品製剤が得られる。本発明による可溶性粉末形態のインスタント食品製剤は、口から又は経腸のいずれかによって投与され得る。本発明のインスタント経口/経腸食品製剤は、すぐに食べられる食品である。
【0089】
工程320及び工程321では、新鮮な食品を包装し、カロリー密度1kcal/ml、粘度100cP未満、10kDa未満のペプチド、並びにロイシン、アスパラギン酸、アラニン、チロシン、スレオニン、バリン、リシン、セリン、イソロイシン、ヒスチジン、グルタミン酸、メチオニン、システイン、プロリン、トリプトファン、フェニルアラニン、グリシン、及びアルギニンを含む複数のアミノ酸;ビタミンA、ビタミンD3、ビタミンE、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB3、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンB5、ビタミンC、ビオチン、葉酸、カリウム、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、鉄、亜鉛、リン酸塩、及びヨウ素を含むビタミンの群を有する本発明の最終経口/経腸食品が達成される。
【0090】
次に、
図4を参照すると、菜食主義者用の経口/経腸食品を製造するプロセス400が示されている。幾つかの実施態様では、プロセス400を使用して、包装されたインスタント経口又は経腸のいずれかの食品製剤を生産する。他の幾つかの実施態様では、プロセス400を使用して、包装された高栄養価の経口又は経腸食品組成物を生産する。この例では、食品は、経口又は経腸のいずれかの投与方法によってすぐに使用される。
【0091】
工程401では、第2の所定の重量パーセントを有する高タンパク質の新鮮な植物群が提供される。この工程の例示的な一実施態様では、新鮮な植物食品群は、合計で2重量%~15重量%のジャガイモ、ダイズ、ニンジン、カボチャ、アズキ、インゲン、他の野菜;他の穀物;マカダミア、クルミ、アーモンド等のナッツ;海藻;ジャーマンカモミール、オトギリソウ、マウンテン・アルニカ、ナツシロギク、カノコソウ、ショウガ、ニンニク、バジル、ムラサキバレンギク、ナツシロギク、サンシキスミレ、ラベンダー、ペパーミント、レモンバーム、マリーゴールド、パセリ、ローズマリー、セージ、タイム、セントジョーンズワート、モリンガ、チョウセンニンジン等のハーブ及び薬用植物;レンティヌラ・エドデス、ヴォルヴァリエラ・ボルバセア、プレウロトゥス・エリンギ等の菌類を含む。幾つかの実施態様では、上記表1で検討される新鮮な植物群を選択する標準規格を使用する。
【0092】
工程402では、第3の所定の重量パーセント(%)を有する新鮮な炭水化物食品群が提供される。例示的な一実施態様では、炭水化物食品群は、10重量%~18重量%のコメ、ジャガイモ、ニンジン、カボチャ、他の野菜;穀物;マカダミア、クルミ、アーモンド等のナッツ;マンゴー、バナナ、リンゴ、ブドウ等の果物を含む。
【0093】
工程403では、第4の所定の重量パーセント(%)を有する新鮮な繊維食品群が提供される。幾つかの実施態様では、繊維食品群は、1重量%~5重量%のニンジン、カボチャ、他の野菜、穀物、マカダミア、クルミ、アーモンド等のナッツ;マンゴー、バナナ、リンゴ、ブドウ等の果物;モリンガ、チョウセンニンジン等のハーブを含む。
【0094】
工程404では、上記の新鮮な食品群を調製する。工程404の一実施態様では、表1に示された標準規格を使用して、新鮮な食品群を調製する。
【0095】
工程405では、食品組成物を微細化して、正確に調整されたナノスケール食品組成物とする。本発明の工程405の多くの実施態様では、超臨界溶体急速膨張(RESS)、超臨界貧溶媒(SAS)、又はガス飽和懸濁溶液法(PGSS)等の近代的な微細化技術を使用することができる。これらの微細化技術は、食品製品をナノスケール食品に減少させる技術分野でよく知られているため、本明細書では詳細を論じることはしない。工程405の他の実施態様では、製粉、バッシング、及び粉砕の技術も使用され得る。
【0096】
工程406では、第5の所定の重量パーセント(%)を有する水を篩にかけた食品組成物に添加する。幾つかの実施形態では、水の量は50重量%~80重量%である。
【0097】
工程407では、水及び新鮮な食品組成物を一緒に混合し、予備調理する。
【0098】
工程408では、上記第6の所定の重量パーセント(%)を有する酵素群を、工程407からの液体組成物に添加する。工程408の一実施態様では、酵素群は、0.01重量%~3重量%のセルラーゼ酵素、アミラーゼ酵素、リパーゼ酵素、及びプロテアーゼ酵素を含む。幾つかの実施態様では、上記表3による酵素を使用する。
【0099】
工程409では、酵素と混合した食品組成物を加水分解プロセスに供し、その間、pHレベル、粘度及び温度を定期的に測定し、このプロセスが完了するまで15分間隔で確認する。
【0100】
工程410aでは、加水分解プロセスが終了した後、ダイズ油、塩、及び中鎖トリグリセリド(MCT)を組成物に溶解させる。工程410aの目的は、食品価値を高め、組成物の味及び食感を改善することである。
【0101】
工程410bでは、上記の原料を添加した後、可溶性繊維を添加して、消費者に対して食品製品の繊維含量を保証する。
【0102】
次に、工程411では、食品組成物は濾過及び均質化のプロセスを経る。一実施態様では、食品組成物を均質化して均一な製品を作り、次いで、Millipore膜及びAmicon遠心フィルターユニットを通過させることで食品組成物を濾過し、組成物が均一な液体形態であることを保証する。Millipore膜及びAmicon遠心フィルターユニットは、当該技術分野で良く知られており、本明細書で論じる必要はない。
【0103】
工程412では、第7の所定の重量パーセント(%)を有するミネラル、ビタミン、及びアミノ酸で構成されるサプリメントを食物組成物に添加する。本発明の一実施態様では、ミネラル及びビタミンは、ビタミンA、ビタミンD3、ビタミンE、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB3、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンB5、ビタミンC、ビオチン、葉酸、カリウム、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、鉄、亜鉛、リン酸塩、及びヨウ素を含む。
【0104】
工程413では、食品組成物を殺菌して全ての形態の細菌を排除する。工程413の幾つかの実施態様では、超熱処理(UHT)プロセスを使用して、摂氏135度~142度で食品組成物を殺菌する。
【0105】
工程414では、工程413の殺菌プロセス中に減少しないように、同じビタミン及びミネラルを食品組成物に再び添加する。
【0106】
ここから、食品組成物は、インスタント食品又は新鮮な食品のいずれかに変換される。工程415から工程418にかけて、食品組成物は包装されたインスタント食品となる。一方、工程419から工程420にかけて、食品組成物は包装された新鮮な食品として維持される。
【0107】
工程415では、インスタント食品製剤に安全な食品添加物を添加する。幾つかの実施態様では、以下の例の安全な食品添加物には、イヌリン、レシチン、セルロース、リボフラビン、ナタマイシン、パルミチン酸アスコルビル、及びマルトデキストリンが使用される。
【0108】
ここで工程416を参照すると、殺菌した液体食品組成物を乾燥させてインスタント食品製剤に変換する。幾つかの実施態様では、工程416は、凍結乾燥プロセス、高温乾燥プロセス、又は低温乾燥プロセス等によって実現される。他の実施態様では、超高速遠心乾燥プロセスが採用される。凍結乾燥プロセス、低温乾燥プロセス、高温乾燥プロセス、及び超高速遠心乾燥プロセスは当該技術分野でよく知られており、詳細に論じることはしない。
【0109】
工程417では、菜食主義者用のインスタント食品製剤を包装する。食品包装のプロセスは当該技術分野でよく知られているため、本明細書では論じない。
【0110】
工程418では、カロリー密度1kcal/ml、粘度100cP未満、及び10kDa未満のペプチド、ロイシン、アスパラギン酸、アラニン、チロシン、スレオニン、バリン、リシン、セリン、イソロイシン、ヒスチジン、グルタミン酸、メチオニン、システイン、プロリン、トリプトファン、フェニルアラニン、グリシン、及びアルギニンを含む複数のアミノ酸を有する、菜食主義者用のインスタント食品製剤が得られる。他の幾つかの実施態様では、ビタミンA、ビタミンD3、ビタミンE、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB3、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンB5、ビタミンC、ビオチン、葉酸、カリウム、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、鉄、亜鉛、リン酸塩、及びヨウ素を含むビタミンも、インスタント食品の形態に加えられる。本発明による可溶性粉末形態のインスタント食品製剤は、経口又は経腸のいずれかによって投与され得る。本発明のインスタント経口/経腸食品製剤は、すぐに食べられる食品である。
【0111】
工程419及び工程420では、菜食主義者用の新鮮な食品を包装して、カロリー密度1kcal/ml、粘度100cP未満、10kDa未満のペプチド、並びにロイシン、アスパラギン酸、アラニン、チロシン、スレオニン、バリン、リシン、セリン、イソロイシン、ヒスチジン、グルタミン酸、メチオニン、システイン、プロリン、トリプトファン、フェニルアラニン、グリシン、及びアルギニンを含む複数のアミノ酸を有する、本発明の最終経口/経腸食品が達成される。他の実施態様では、ビタミンはビタミンA、ビタミンD3、ビタミンE、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB3、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンB5、ビタミンC、ビオチン、葉酸、カリウム、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、鉄、亜鉛、リン酸塩を含み、最終経口/経腸食品にはヨウ素も加えられる。
【0112】
以上の記載は、本発明の或る特定の実施形態を詳述する。しかしながら、上記が本文にどれほど詳細に表れていたとしても、本発明は多くの方法で実施可能であることが理解されよう。上述したように、本発明の或る特定の特徴又は態様を記述する際に特定の用語を使用することは、本明細書において用語が再定義されることを意味するものではなく、その用語が関連付けられている本発明の特徴又は態様の任意の具体的な性質を含むことに限定されるものであってはならないことに留意すべきである。したがって、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲及びその任意の等価物に従って解釈されるべきである。