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特許7467347筋力で駆動可能な車両用のクラッチ装置および歯車機構ユニット
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-05
(45)【発行日】2024-04-15
(54)【発明の名称】筋力で駆動可能な車両用のクラッチ装置および歯車機構ユニット
(51)【国際特許分類】
   F16D 41/26 20060101AFI20240408BHJP
   F16D 41/30 20060101ALI20240408BHJP
   F16H 3/083 20060101ALI20240408BHJP
【FI】
F16D41/26
F16D41/30
F16H3/083
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2020544619
(86)(22)【出願日】2019-02-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-06-17
(86)【国際出願番号】 EP2019055011
(87)【国際公開番号】W WO2019166563
(87)【国際公開日】2019-09-06
【審査請求日】2021-11-04
(31)【優先権主張番号】102018104692.8
(32)【優先日】2018-03-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】513307542
【氏名又は名称】ピニオン ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】弁理士法人あい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シュミッツ,ミヒャエル
【審査官】藤村 聖子
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-050607(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16D 41/26
F16D 41/30
F16H 3/083
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯車機構ユニット(10)におけるギアチェンジカップリングとして、部材(88,26)を連結するためのカップリング装置(100)であって、
カップリング歯部システム(94)を有する第1部材(88)と、
少なくとも1つのロック体装置(90)がその上に枢動可能に取り付けられている第2部材(26)であって、前記第1部材(88)を第1方向(96)への相対的な移動に対して確実にロックするように前記第2部材(26)に連結するために、前記ロック体装置(90)の駆動部(138)が前記カップリング歯部システム(94)に嵌入する連結位置(KP)まで、前記ロック体装置(90)を枢動させることが可能であり、前記ロック体装置(90)の前記駆動部(138)が前記カップリング歯部システム(94)に嵌入しないリリース位置(FP)に、前記ロック体装置(90)を枢動させることが可能な、前記第2部材(26)と、
を備えており、
前記ロック体装置(90)は、前記第2部材(26)に枢動可能に取り付けられているロック体キャリア(110)を有するとともに、前記ロック体キャリア(110)に枢動可能に取り付けられており、前記駆動部(138)がその上に構成されているロック体部材(116)を有し、
前記連結位置(KP)において、力作用線(158)が、(i)前記連結位置(KP)で前記第2部材(26)と前記ロック体キャリア(110)との間に設定されるロック体キャリア枢動軸(112)と、(ii)前記駆動部(138)が前記カップリング歯部システム(94)に作用する嵌合点(152)と、の間に設定され、
前記連結位置(KP)において前記ロック体部材(116)と前記ロック体キャリア(110)との間に設定されているロック体部材枢動軸(118)が、前記連結位置(KP)で前記力作用線(158)に対して半径方向にずれている、カップリング装置(100)。
【請求項2】
前記第1部材(88)および/または前記第2部材(26)は、回転軸(27)を中心に回転することのできる回転部材であり、前記カップリング装置(100)が、前記第1部材(88)および前記第2部材(26)が一緒に回転するように前記第1部材(88)および前記第2部材(26)を互いに固定して連結する働きをしており、前記第1方向が回転方向(96)である、請求項1に記載のカップリング装置。
【請求項3】
前記連結位置(KP)において、前記ロック体キャリア(110)が、支持部材(104)によって、前記リリース位置(FP)の方向への枢動に対して支持されている、請求項1または請求項2に記載のカップリング装置。
【請求項4】
前記ロック体キャリア(110)を支持する支持位置と、前記支持部材(104)が前記ロック体キャリア(110)の前記リリース位置(FP)への枢動を許す非連結位置との間で前記支持部材(104)を移動させることができる、請求項3に記載のカップリング装置。
【請求項5】
(i)前記連結位置(KP)において、前記力作用線(158)と前記ロック体部材枢動軸(118)との間の間隔(156)が0mmより大きく、かつ5mmより小さい、および/または
(ii)前記連結位置(KP)において、(i)前記力作用線(158)と前記ロック体部材枢動軸(118)との間の間隔(156)と、(ii)前記ロック体部材枢動軸(118)と前記ロック体キャリア枢動軸(112)との間の間隔(R1)との比率が1:4より小さく、かつゼロより大きい、および/または、
(iii)前記連結位置(KP)において、(i)前記力作用線(158)と前記ロック体部材枢動軸(118)との間の間隔(156)と、(ii)前記ロック体部材枢動軸(118)と前記嵌合点(152)との間の空間との比率が1:4より小さく、かつゼロより大きい、
特徴を有する、請求項1~請求項4のいずれか1項に記載のカップリング装置。
【請求項6】
前記ロック体キャリア(110)が前記連結位置(KP)においてロック体キャリア軸(114(KP))に沿った向きにされており、前記ロック体部材(116)が前記連結位置(KP)においてロック体部材軸(120(KP))に沿った向きにされており、前記連結位置(KP)における前記ロック体キャリア軸(114(KP))および前記ロック体部材軸(120(KP))が互いに対して150°以上かつ180°未満の力伝達角度(150)の向きにされている、請求項1~請求項5のいずれか1項に記載のカップリング装置。
【請求項7】
前記連結位置(KP)において、前記ロック体部材(116)をロック体部材連結位置から脱してフリーホイール位置(FLP)まで枢動させることができる、請求項1~請求項6のいずれか1項に記載のカップリング装置。
【請求項8】
前記ロック体部材(116)は、前記ロック体キャリア(110)上でニュートラル位置までプレストレスがかけられて、そこから前記ロック体部材(116)は、前記ニュートラル位置に対して2つの相対する方向に枢動することができる、請求項1~請求項7のいずれか1項に記載のカップリング装置。
【請求項9】
前記第2部材(26)と前記ロック体キャリア(110)との間に第1枢動軸受を形成するために、前記ロック体キャリア(110)が、第1端に、前記第2部材(26)のジョイントソケット(129)に振り当てられているロック体キャリアヘッド(128)を有する、請求項1~請求項8のいずれか1項に記載のカップリング装置。
【請求項10】
前記ロック体キャリア(110)と前記ロック体部材(116)との間に第2枢動軸受を形成するために、前記ロック体キャリア(110)が、第2端に、前記ロック体部材(116)のロック体部材ヘッド(136)に振り当てられているロック体キャリアソケット(132)を有する、請求項1~請求項9のいずれか1項に記載のカップリング装置。
【請求項11】
前記ロック体キャリア(110)が、前記ロック体キャリア(110)に対して前記第1方向に前記ロック体部材(116)を保持するために、前記ロック体部材ヘッド(136)にかぶさるように嵌合する少なくとも1つの保持突起(138)を有する、請求項10に記載のカップリング装置。
【請求項12】
前記第2部材(26)から前記第1部材(88)に駆動力が伝達される場合に、および前記ロック体装置(90)が前記連結位置(KP)に位置付けられているときには、前記駆動部(138)は、前記ロック体装置(90)が前記カップリング歯部システム(94)に押し込まれるように構成されている、請求項1~請求項11のいずれか1項に記載のカップリング装置。
【請求項13】
前記第2部材(26)から前記第1部材(88)に駆動力が伝達される場合に、および前記ロック体装置(90)が前記連結位置(KP)から脱して前記リリース位置(FP)の方向に枢動されるときには、前記駆動部(138)は、前記ロック体装置(90)が前記カップリング歯部システム(94)から押し出されるように構成されている、請求項1~請求項12のいずれか1項に記載のカップリング装置。
【請求項14】
前記ロック体キャリア(110)は、弾性ばね具によってロック体キャリアリリース位置に保持される、請求項1~請求項13のいずれか1項に記載のカップリング装置。
【請求項15】
前記弾性ばね具は、前記第2部材(26)に当接しているピン(142)と、前記ロック体部材(116)との間で作用する圧縮ばね装置(148)を有する、請求項14に記載のカップリング装置。
【請求項16】
筋力で駆動可能な車両用の歯車機構ユニット(10)であって、第1回転部材を形成するとともに、第2回転部材を形成している歯車機構シャフト(26)に回転可能に取り付けられているギアホイール(88)を備え、前記ギアホイール(88)を、請求項1~請求項15のいずれか1項に記載のカップリング装置(100)によって駆動回転方向(96)に前記歯車機構シャフト(26)に接続することが可能である、歯車機構ユニット(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に歯車機構ユニットにおけるギアチェンジカップリングとして、部材を連結するためのカップリング装置に関し、カップリング歯部(カップリング歯部システムともいう)を有する第1部材と、少なくとも1つのロック体装置がその上に枢動可能に取り付けられている第2部材とを備える。第1部材を第1方向の相対移動に対して確実にロックするように第2部材に連結するために、ロック体装置の駆動部がカップリング歯部システムに嵌入する連結位置まで、ロック体装置を枢動させることが可能であり、ロック体装置の駆動部がカップリング歯部システムに嵌入しないリリース位置に、ロック体装置を枢動させることが可能である。
【0002】
さらに、本発明は、特に筋力で駆動可能な車両用の歯車機構ユニットに関し、第1回転部材を形成するとともに、第2回転部材を形成している歯車機構シャフトに回転可能に取り付けられているギアホイールを備える。ギアホイールを、カップリング装置によって駆動回転方向に歯車機構シャフトに連結することが可能である。
【背景技術】
【0003】
前述したタイプのカップリング装置および前述したタイプの歯車機構ユニットは、特許文献1から公知である。
【0004】
前述したタイプの歯車機構ユニットは、筋力を高めるおよび/または下げる働きをし、その結果、車両の駆動を促進する働きをする。多くの場合、車両は自転車であるが、三輪車や、筋力によって駆動される四輪車等とすることも可能である。
【0005】
原則的に、筋力によって駆動される車両には、3種類のギアチェンジシステムが存在し、正確にいうと、変速機(ディレイラ)システム、ハブギアシステムおよび車両中央歯車機構である。
【0006】
変速機システムは、この数十年間、実質的に変化のないままであった。
【0007】
チェーンがペダルクランクからの駆動力を車両の後車軸に伝達し、ピニオンパックが後車軸に取り付けられており、最大12本のピニオンを有し、該ピニオン間で案内されるチェーンを、フレームに締結されている後変速機によってさまざまにシフトすることができる。
【0008】
さらに、ほとんどの自転車には、ペダルクランクのチェーンリングにギアチェンジシステムが追加で装備されている。ここでは、最大3つのチェーンリングがペダルクランクに装着されており、該チェーンリング間で、フレームに締結されている前変速機によってさまざまにシフトを行うことができる。
【0009】
このタイプの変速機システムは、最大30のギアを提供し、多くのギアは、体系的に重複している。斜めのチェーンコースに起因して摩擦損失が高い結果として、いくつかのギアは、使用することができないか、または制限されたようにしか使用することができない。
【0010】
変速機システムの原理の場合、複数の重複するギアおよび摩擦損失に加えて、構成部品が露出していることにより水や汚れなどの環境的な影響を直接受けることが不利である。さらに、変速機システムは、衝撃の結果として容易に損傷および/または位置ずれすることがある。
【0011】
市販されている自転車のギアチェンジシステムの2番目のタイプは、ハブギアシステムである。変速機システムとは対照的に、これは、後車軸のハブハウジングに設置されている歯車機構を意味すると理解される。ハブギアシステムは、通常、外に出ているギアシステムの構成要素をもたないため、衝撃に対する耐性があり、変速機システムほどには環境的な影響を受けない。
【0012】
例えば、特許文献2から公知のハブギアシステムは、現在、最大14のギアを実現することができる。回転質量の重量の増加は不利である。自転車の重心は、後車軸の方に移動し、これが、特にリアホイールサスペンションを備えるマウンテンバイクの場合は、駆動特性に対して好ましくない影響を及ぼす。
【0013】
別のハブギアシステムは、特許文献3から公知であり、その場合、2つの遊星歯車機構が、ハウジングに固定されているハブに対して同軸上に配置されている。入力シャフトは、遊星キャリアに接続することができる。遊星歯車機構の太陽歯車を、さまざまな速度伝達比を設定するために、回転可能なギアチェンジ装置を介して一緒に回転するように、ハウジングに固定されているハブに固定して接続することができる。歯車機構全体が複雑で、実現することのできるギア数の割に高価であり、高重量になることが不利である。
【0014】
自転車のギアチェンジシステムの3番目のタイプは、ペダルクランクのあたりに取り付けられている自転車中央歯車機構またはボトムブラケット歯車機構によって代表される。このタイプの自転車のギアチェンジシステムは、市販されている自転車の場合では現在広く普及している。このタイプの自転車歯車機構は、露出している構成部品がなく、したがって衝撃および環境的な影響に対して保護されているという、従来の変速機システムまたはハブギアシステムをしのぐ利点を有する。自転車の重心は中心に移動し、同時にばね下重量の合計が減少する。
【0015】
特許文献4は、複数の駆動ギアが取り付けられている入力シャフトと、選択することのできる対応する数の従動ギアが取り付けられているカウンターシャフトとを備える自転車歯車機構を開示している。選択することのできるギアは、カウンターシャフトに配置されて軸方向に偏位することのできる複数のフリーホイールとシフトピンとによって選択される。カウンターシャフトは、遊星歯車機構を介して、自転車歯車機構の出力部材としてピニオンに接続されている。ピニオンは、カップリングを介して遊星歯車機構の太陽歯車に接続されており、遊星歯車機構の内歯車は、ボーデンケーブルによって制動することができる。
【0016】
かかる自転車歯車機構によって、14のギアを実現することができる。比較的大きな軸方向の設計と、実現することのできるギア段の数が比較的少ないことが不利である。
【0017】
特許文献5は、縦並びに接続されている2つの歯車機構グループを有する自転車歯車機構を開示しており、その結果実現することのできるギア段の数は、2つの構成要素の歯車機構の個々の歯車の倍数から得られることになる。さらに、コンパクトな設計を実現することができる。中間歯車を選択するために、カムシャフトを軸方向に偏位させる。歯車機構は、軸方向に比較的高い空間を必要とする。
【0018】
特許文献6は、自転車歯車機構のためのギアチェンジ装置を開示している。
【0019】
冒頭に述べた特許文献1は、内装自転車歯車機構のためのギアチェンジ装置を開示しており、該ギアチェンジ装置の場合、複数の中間歯車がシャフトに取り付けられており、シフトロッド(シフトピンともいう)がシャフト内に配置されており、該シフトピンは、回転速度重畳歯車機構により、シャフトと同速回転する。重畳歯車機構の作動によって、シャフトとシフトピンとの間の相対的な回転を実現することができる。回転速度重畳歯車機構は、遊星歯車機構として構成される。シャフトには、選択可能なフリーホイールまたは枢動可能なロック体装置の形態のギアチェンジ手段が取り付けられており、シフトピンの作動部によって作動させることができる。ロック体は、両側レバーとして構成される。作動部は、シフトピンの半径方向凹部によって構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【文献】欧州特許第2 379 402 B2号明細書
【文献】独国特許出願公開第197 20 794 A1号明細書
【文献】欧州特許第0 383 350 B1号明細書
【文献】米国特許第5,924,950 A号明細書
【文献】国際出願公開第 WO 2008/089932 A1号明細書
【文献】欧州特許第1 445 088号明細書
【文献】欧州特許第2 379 402 B1号明細書
【文献】欧州特許第2 512 909 A1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
筋力によって動く車両のための歯車機構ユニットの場合で未だ解決されていない一つの問題が、荷重下でギア段のチェンジを行うことである。自動車のトランスミッションの場合、コンバータ自動トランスミッションで実現されるように、これは、一般的にブレーキまたは遊星歯車セットのカップリングによって可能である。別の概念は、ダブルクラッチトランスミッションであり、その場合ギアチェンジは、摩擦カップリングの重複する作動によって行われる。しかし、筋力によって動かす車両には、これらシステムのすべてが複雑すぎる。
【0022】
しかし、例えば、上り坂でのギアチェンジ操作の場合、牽引力の低下を避けることができるため、筋力によって動かす車両の場合にはまさに、荷重下のギアチェンジは有利であろう。
【0023】
かかる背景に照らし、本発明の目的は、荷重下で切り換えることのできるカップリング装置、および該カップリング装置を装備しており、かつ特に筋力によって駆動する車両に適した歯車機構ユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0024】
冒頭に述べたカップリング装置の場合、上記の目的は、ロック体装置が、第2部材に枢動可能に取り付けられているロック体キャリアを有するとともに、ロック体キャリアに枢動可能に取り付けられており、駆動部がその上に構成されているロック体部材を有することから達成される。
【0025】
前述したタイプの公知のギアチェンジ装置の場合、荷重下でのギアチェンジに関する根本的な問題が、元ギア段、すなわち離脱するべきギア段を確実に離脱することができないということに見られる。荷重下のギアチェンジは、歯車機構の入力シャフトに駆動力が引き続き伝達されていることを意味するため、高いトルクが原因で駆動部のあたりに高い摩擦力が生じ、その高い摩擦力が、ギア段を離脱することを不可能にすることがある。そのため、確実に案内される機構でも、しばしば、ロック体装置のリリース位置への確実な離脱移動をさせることができない。
【0026】
かかる根本的な問題は、2つの部材によって、いわば、互いに「連続して」接続されているロック体装置を形成する、本発明による手段によって解決することができる。なぜなら、まず、2部材の性質上、第2部材からロック体キャリアへの力の伝達、および後者からロック体部材への力の伝達が一般に可能であり、さらにこのロック体部材が次いでその駆動部とともにカップリング歯部システムに嵌入して、このように駆動方向での連結位置を実現するからである。次に、2部材の性質上、比較的単純な方法で、再び該連結位置を解除することが可能である。
【0027】
そのため、ロック体キャリアとロック体部材とによるロック体装置の構成は、「トグルレバー」のように構成または理解することができる。
【0028】
前記実施の形態の場合、チェンジ体キャリアは、ロック体部材の形態で別の(好ましくは片側)レバーを枢動させることのできる、片側レバーである。
【0029】
ロック体キャリアおよびロック体部材の枢動性は、好ましくは、固定されていない回転軸によって起こるが、むしろ、曲げジョイントのように、相対的な角度位置に依存したようにチェンジすることができ、該要素の場合、ジョイントを介して連結されている部材は、実質的に直線状に接触する。
【0030】
ロック体装置を介して大きな力が駆動方向に伝達され、その結果、駆動部とカップリング歯部システムとの間に高い摩擦力がある場合でも、元ギア段は、歯車機構ユニットにおいて、本発明によるタイプのカップリング装置によって単純な方法で離脱することができる。ここで、リリース位置へのロック体装置の枢動は、好ましくは、ロック体部材およびロック体キャリアが互いに対して枢動することによって可能になる。
【0031】
カップリング装置は、例えば、部材を駆動方向に相対移動させる場合に、第1部材を駆動することを可能にし、これは、第1部材を第2部材に固定することを可能にすることを含む。ここで、固定とは、例えば、第2部材が駆動方向に移動するときに第1部材を駆動することを意味すると理解されるべきである。次に、これは、第1部材が駆動方向とは反対の方向に移動するときに第2部材を駆動することも意味することができる。
【0032】
1つの駆動部の代わりに、各ロック体部材は、カップリング歯部システムの複数の歯面に同時に嵌入する複数の駆動部を有することもできる。例えば、ロック体部材は、カップリング歯部システムの異なる(特に、隣接する)歯溝に嵌入する2つの駆動部を有することができる。
【0033】
カップリング歯部システムは、スプラインシャフト歯形、多角形歯形、または鋸歯状の歯部システムなどの、軸方向に延びる歯および歯溝を備える半径方向の歯部システムであることが好ましいが、軸方向の歯部システムとして構成することもできる。カップリング歯部システムという用語は、特に歯部システムの意味において、確実にロックするシャフト/ハブ接続に使用されるものとして広く理解されるべきである。
【0034】
カップリング歯部システムの歯面は、好ましくは、平面として構成される(インボリュート歯部システムとは対照的に)。カップリング歯部システムは、好ましくは、平歯部システムである。
【0035】
リリース位置において、ロック体装置は、好ましくは、第2部材内に完全に入り込んでおり、すなわち、好ましくは第2部材の外径を超えて突出していないため、カップリング歯部システムは、ロック体キャリアおよびロック体部材に接触しない。
【0036】
第1部材および第2部材は、好ましくは、ロック体装置がリリース位置にあるときに、互いに対して2つの方向に移動することができる。連結位置では、相対的な移動性が少なくとも1方向に制限される。
【0037】
したがって、前記目的は完全に達成される。
【0038】
カップリング装置の部材は、どちらも可動に取り付けることができ、または部材の一方をハウジングに固定することができる。部材は、少なくとも1つの線形可動部材を具備することができる。
【0039】
好適な一実施の形態によると、部材の一方は、他方に対して回転することのできる回転部材であり、他方の部材は、ハウジングによって形成されているか、またはハウジングに固定されていることが好ましい。
【0040】
前記実施の形態の場合、例えば、一方の回転部材は、リリース位置で第1部材に対して自由に回転することができ、連結位置で回転方向に他方の部材に固定して保持されている。このタイプの構成は、例えば、歯車機構ユニットにおいて有利であり、その場合、遊星歯車セットの他の部材を介して力を伝達することを可能にするために、遊星歯車部材(例えば、太陽歯車または内歯車)などの回転部材を、自転車歯車機構ハウジングなどのハウジングに対して固定することになる。
【0041】
しかし、第1部材および/または第2部材が回転軸に対して回転することのできる回転部材であり、カップリング装置が、第1および第2の部材が1つの方向に一緒に回転するように第1および第2の部材を互いに固定して接続する働きをし、駆動方向が駆動回転方向であると特に好ましい。
【0042】
2つの部材を回転部材として、特に歯車機構ユニットの歯車機構シャフトで回転することのできる第1部材の形態で中間歯車の形態で構成し、歯車機構シャフトは、歯車機構ユニットのハウジングに対して回転軸を中心に回転することのできる第2回転部材を形成すると特に好ましい。
【0043】
前記実施の形態の場合、連結位置において、中間歯車は、駆動回転方向でシャフトに接続され、特に確実にロックするように接続される。リリース位置では、中間歯車およびシャフトは、その過程で中間歯車を駆動せず、シャフトが駆動回転方向に回転することができるように、互いに接続されていない。
【0044】
第1部材が回転部材である場合、カップリング歯部システムは、回転軸に平行な向きにされている軸方向の歯部システムであることが好ましい。
【0045】
連結位置の設定の場合、駆動力は、第2部材からロック体キャリアに伝達され、駆動力は、ロック体キャリアによってさらにロック体部材に伝達され、さらにこれが力を第1部材に伝達する。ここでは、ロック体装置を、リリース位置の方向に枢動することに対して、支持部材によって連結位置で支持すると好ましい。
【0046】
ロック体キャリアを、リリース位置の方向に枢動することに対して、支持部材によって連結位置で支持すると特に好ましい。
【0047】
前記手段は、2部材のロック体装置が「崩壊」することなく、力の伝達が第2部材から第1部材に起こることができる状況で達成することができる。
【0048】
言い換えると、力の伝達は、ロック体キャリアの軸とロック体部材の軸との間の相対的な角度変化なく、すなわち、特に、ロック体キャリアとロック体部材とが互いに対して枢動することなく起こることができる。
【0049】
支持部材は、好ましくは、ロック体装置内に半径方向に配置されている。
【0050】
ここで、ロック体キャリアおよび/またはロック体装置を支持する支持位置と、支持部材がロック体キャリアおよび/またはロック体装置のリリース位置への枢動を許す非連結位置との間で支持部材を移動させることができると特に好ましい。
【0051】
支持部材は、好ましくは、第2部材に対して回転することができ、その結果、まず、支持位置に移動することができるようになり、その場合、力の伝達は、第2部材から2部材のロック体装置を介して第1部材に起こる。次に、支持部材と第2部材との間に相対位置を設定することができ、該相対位置の場合、このようにリリース位置を設定するために、ロック体装置は、リリース位置に入ることができ、またはそこに留まることができる。
【0052】
支持部材は、例えば、特許文献7に開示されるように、シフトピン上に、または同等の機能を有するカムシャフト上に配置することができる。
【0053】
一般に、ロック体キャリアおよびロック体部材は、連結位置において互いに1軸に向けられており、したがって、ロック体キャリアの軸とロック体部材の軸との間の角度は、連結位置で180°であると考えられる。この場合、ロック体装置をリリース位置に移すために、ロック体装置に一定の駆動力をかけると好ましく、該駆動力によって、角度関数に依存して該角度が180°未満になるように、ロック体キャリアおよびロック体部材を互いに対して枢動させることになる。ここで、この事例では力伝達角度とも呼ばれる角度は、好ましくは、ロック体キャリアの軸およびロック体部材の軸の一辺で測定され、該辺は、支持部材の反対側を向いている。ここで、力伝達角度に対応する対頂角は、枢動に起因して180°よりも大きい。ここで、対頂角は、支持部材の方を向く。
【0054】
しかし、連結位置では、力作用線を、(i)連結位置で第2部材とロック体キャリアとの間に設定されているロック体キャリア枢動軸と、(ii)ロック体部材の駆動部がカップリング歯部システムに作用する嵌合点と、の間に設定し、連結位置においてロック体部材とロック体キャリアとの間に設定されているロック体部材枢動軸が、連結位置で力作用線に対して半径方向にずれて存在しており、好ましくは力作用線内に半径方向に存在すると特に好ましい。
【0055】
前記改良形態の場合、連結位置において、上記説明したように、ロック体装置を、リリース位置の方向の枢動に対して支持部材によって支持すると好ましい。
【0056】
このように、ロック体装置が崩壊することなく、第2部材からロック体キャリアとロック体部材とを介して第1部材まで力の伝達が起こることができる。対して、支持部材を非連結位置に移動するとすぐに、ロック体部材およびロック体キャリアが互いに対して枢動し、ロック体枢動軸が半径方向にずれており、正確にいうと、好ましくは、内部に対して半径方向にずれているように、ロック体装置は、第2部材と第1部材との間で円周方向に圧縮され、その結果、力は、それ以上第2部材と第1部材との間に伝達することができなくなる。
【0057】
前記状態を、ロック体装置全体をリリース位置に移動させるために利用することができる。
【0058】
前記改良形態の場合、
・連結位置において、力作用線とロック体部材枢動軸との間の間隔が0mmより大きく、かつ5mmより小さい、好ましくは1mmより小さい場合、および/または
・連結位置において、(i)力作用線とロック体部材枢動軸との間の空間と、(ii)ロック体部材枢動軸とロック体キャリア枢動軸との間の空間との比率が1:4より小さく、かつ0より大きい、好ましくは1:10より小さい場合、および/または
・連結位置において、(i)力作用線とロック体部材枢動軸との間の空間と、(ii)ロック体部材枢動軸と嵌合点との間の空間との比率が1:4より小さく、かつ0より大きい、好ましくは1:10よりも小さい場合、特に好ましい。
【0059】
前述の3つの手段の各個またはその所望の組み合わせは、大きな力を第1部材から駆動方向に第2部材に伝達できる状況を達成することができるが、力の比率に起因して、この目的のためには、それに対して横切る方向への小さな支持力は、ごく小さなものしか必要ない。
【0060】
したがって、ロック体装置および/またはロック体キャリアと支持部材との摩擦嵌合を低く維持することができる。その結果、比較的小さな力で、支持部材を支持位置から非連結位置まで、正確にいうと、第2部材から第1部材に依然として大きな力が伝達され続けているときに、移動させることが可能である。全体として、カップリング装置の運動学を最適化することができる。
【0061】
全体として、ロック体キャリアが連結位置においてロック体キャリア軸に沿った向きにされており、ロック体部材が連結位置においてロック体部材軸に沿った向きにされており、ロック体キャリア軸およびロック体部材軸が連結位置において互いに150°以上かつ180°未満の力伝達角度の向きにされていると好ましい。
【0062】
連結位置における力伝達角度が160°以上、好ましくは165°以上、特に170°以上であると特に好ましい。
【0063】
前記手段の結果として、ロック体部材枢動軸は、ロック体キャリア枢動軸とカップリング歯部システムの駆動部の嵌合点との間の力作用線の近くに配置することができる。その結果、前記手段は同様に、第2部材から第1部材に駆動方向に、正確にいうと、それに対して横切る方向に支持力が低い場合に、大きな力が伝達することが可能であることに貢献する。
【0064】
さらに、連結位置において、ロック体部材をロック体部材連結位置から脱してフリーホイール位置まで枢動させることができると、全体として有利である。
【0065】
前記実施の形態の場合、ロック体キャリアは、依然としてそのロック体キャリア連結位置に留まっていることができ、すなわち、特に、例えば、支持部材によってロック体キャリア連結位置に保持することができる。それにも関わらず、第1部材は、第2部材を「追い越す」ことができ、ロック体部材によって発生するフリーホイール作用は、ロック体部材がその連結位置から脱して第1部材と第2部材との間の移行エリア内にあるフリーホイール位置まで移動する。ここで、ロック体部材は、カップリング歯部システムの歯によって、いずれの場合も、フリーホイール位置まで枢動することができる。
【0066】
ここで、ロック体キャリアおよびロック体部材は、好ましくは、互いに連結されており、特に、ロック体部材がフリーホイール位置から脱してロック体部材の連結位置に向かって全体的にプレストレスがかけられるように弾力的に連結されている。
【0067】
言い換えると、ロック体キャリアとロック体部材との間の連結作用は、好ましくは、連結位置にあるロック体キャリアに対して、ロック体部材がロック体部材連結位置の方向に押されるようなものである。その結果、ロック体部材は、ここで必ずカップリング歯部システムの歯の隙間に嵌入しようとする。そのため、相対的回転方向が逆の場合、ロック体部材は、駆動方向に部材を相対的に移動する場合に、第1部材を駆動することを可能にするために、カップリング歯部システムに再び嵌入することが好ましい。
【0068】
さらに好適な実施の形態によると、ロック体部材は、ロック体キャリア上でニュートラル位置までプレストレスがかけられ、そこからロック体部材は、ニュートラル位置に対して2つの相対する方向に枢動することができる。
【0069】
そのため、連結位置は、カップリング歯部システムの方への枢動によって設定することができる。反対方向への枢動は、ロック体キャリアがロック体キャリア連結位置に位置付けられたときに、ロック体部材のフリーホイール位置を設定することができることを可能にする。
【0070】
ロック体部材の枢動角は、好ましくはロック体キャリアの保持突起によって、ロック体キャリアに対して少なくとも1方向に制限される(以下を参照)。
【0071】
ロック体キャリア上でロック体部材にニュートラル位置までプレストレスをかけることは、ばね装置によって実現することが好ましい。ばね装置は、好ましくは、ロック体部材、特にロック体部材のロック体ヘッドと、ロック体キャリアに取り付けられているピン装置との間で、駆動方向に偏位することができるように作用する。ここで、ピン装置は、ピン装置の一部がロック体キャリアから脱して第2部材のジョイントソケットの方向に移るように、ロック体キャリア内のばね装置によって当り止めに押し当てられている。
【0072】
前記実施の形態の場合、ばね装置は、好ましくは、ロック体部材にロック体キャリア上のそのニュートラル位置までプレストレスをかける機能をともに有し、次に、ばね装置は、第2部材のジョイントソケット上のロック体キャリアに、好ましくはロック体キャリアのリリース位置に対応する基本位置までプレストレスをかける機能も有する。
【0073】
さらに総じて好適な実施の形態によると、第2部材とロック体キャリアとの間に第1枢動軸受を形成するために、ロック体キャリアは、第1端に、第2部材のジョイントソケットに振り当てられているロック体キャリアヘッドを有する。
【0074】
ここで、ロック体キャリアヘッドは、好ましくは、ロック体キャリア枢動軸が第2回転部材に対して必ずしも固定されないように、曲げジョイントのようにジョイントソケットに受止されている。残りの自由度を利用して、カップリング装置のさまざまな機能を実現することができる。
【0075】
しかし、ロック体キャリアヘッドと第2部材のジョイントソケットとの相互作用は、第2部材に対するロック体キャリアの相対的な枢動位置に関わらず、力が必ず第2部材からロック体キャリアに駆動方向に伝達することができるようにすることが好ましい。
【0076】
さらに、ロック体キャリアとロック体部材との間に第2枢動軸受を形成するために、ロック体キャリアが、第2端に、ロック体部材のロック体部材ヘッドを振り当てられているロック体キャリアソケットを有すると総じて有利である。
【0077】
ロック体キャリアソケットとロック体部材ヘッドとの相互作用も、曲げジョイントが設定されるようになされている。しかし、ロック体キャリアに対するロック体部材の相対的な枢動位置に関わらず、駆動方向に力を伝達できることが好ましい。
【0078】
ここで、ロック体キャリアが、ロック体キャリアに対して駆動方向にロック体部材を保持するために、ロック体部材ヘッドにかぶさるように嵌合する少なくとも1つの保持突起を有すると特に有利である。保持突起は、副次的に、第1部材がカップリング歯部システムによって第2部材を駆動するとき、ロック体部材に対してロック体キャリアを保持する働きもすることができる。
【0079】
ロック体キャリアは、好ましくは、ロック体部材をロック体キャリアに対して駆動方向に保持するために、駆動方向に対して横切る方向に互いに相対して存在して、ロック体部材ヘッドに両側からかぶさるように嵌合する2つの保持突起を有する。
【0080】
ロック体部材にロック体キャリア上でニュートラル位置までプレストレスがかけられると、ロック体部材ヘッドには、好ましくは、ここで保持突起に当ててプレストレスがかけられて、その結果、ロック体部材のニュートラル位置がロック体キャリアに対して設定されることになる。
【0081】
請求項1の前提部と合わせて独立発明を表すさらに好適な実施の形態によると、第2部材から第1部材へ駆動力が伝達される場合に、およびロック体装置が連結位置に位置付けられているときには、駆動部は、ロック体装置がカップリング歯部システムに押し込まれるように構成される。
【0082】
ここで、ロック体装置のロック体部材は、好ましくは、駆動力、特に円周方向の力によって、自動車のトランスミッションのシンクロナイザシフトクラッチ歯部システムの凹歯形のように、ロック体装置がロック体部材とともにカップリング歯部システムに押し込まれるように、連結位置においてロック体キャリアに対するおよび/またはカップリング歯部システムの歯部システムもしくは歯面に対する相対的な位置を取る。
【0083】
前記手段は、ロック体部材がロック体キャリア上でプレストレスをかけられていることとは関係なく、駆動力が第2部材からロック体装置を介して第1部材に伝達する限り、ロック体部材が必ず連結位置に留まることを確実にすることができる。
【0084】
請求項1の前提部と合わせて独立発明を表すさらに好適な実施の形態によると、第2部材から第1部材へ駆動力が伝達される場合に、およびロック体装置が連結位置から脱してリリース位置の方向に枢動されるとき、駆動部は、ロック体装置がカップリング歯部システムから押し出されるように構成される。
【0085】
その結果、ロック体装置が連結位置から脱するとすぐに、正確にいうと、好ましくはその直後に、駆動部とカップリング歯部システムとの相対位置は、駆動部がカップリング歯部システムに押し込まれなくなり、むしろ後者から押し出されるように反転するのが好ましい。
【0086】
その結果、ロック体装置が連結位置から脱してリリース位置まで枢動することが支援される。
【0087】
言い換えると、移行位置では、駆動部およびカップリング歯部システムの相対的な幾何学形状に起因して、駆動力が凸歯形のように利用されて、ロック体装置が連結位置から脱するとすぐに、駆動部をカップリング歯部システムから押し出すようにする。
【0088】
その結果、2部材ロック体装置の場合、ロック体装置が支持部材によって支持されなくなり、その結果、駆動力によって圧縮されるとすぐに(結果として、ロック体キャリア軸とロック体部材軸との間の角度が好ましくは減少し、または対頂角が増加することになる)、ロック体部材は、ロック体キャリア上の当り止めに当てて枢動される。このように、ロック体部材、および、(当り止めによって)ロック体装置全体が駆動力、好ましくは円周方向の力によって、カップリング歯部システムから押し出され、その結果として、関連付けられているギア段の離脱を支援するような、カップリング歯部システムに対する位置を取る。
【0089】
さらに好適な実施の形態によると、ロック体キャリアは、弾性ばね具によってロック体キャリアリリース位置に保持される。
【0090】
ここで、弾性ばね具は、好ましくは、第2回転部材のジョイントソケットに作用し、該ジョイントソケットは、ロック体キャリアがそのリリース位置で弾性ばね具によって保持されるように、外形に関して設計されている。例えば、支持部材が非連結位置に位置付けられているときに、ロック体キャリアは、そのリリース位置になることができる。支持部材が支持位置まで枢動されるとすぐに、ロック体キャリアは、好ましくは、結果として、リリース位置から脱して弾性ばね具の作用とは反対に連結位置の方向に枢動される。
【0091】
ここで、弾性ばね具は、第2部材に当接しているピンと、ロック体部材との間で作用する圧縮ばねを有すると特に好ましい。
【0092】
ここで、該圧縮ばね装置は、1つの圧縮ばね、同時に作用する2つの圧縮ばねまたはそれ以上の圧縮ばねを有することができる。ここで、圧縮ばね装置は、まず、ロック体キャリアに、そのリリース位置まで弾性的にプレストレスをかける効果を有することができる。次に、圧縮ばね装置は、ロック体キャリアに取り付けられているロック要素にニュートラル位置までプレストレスをかける効果を有することができ、そこから、ロック体部材をロック体キャリアに対して2つの相対する方向に枢動させることができる。
【0093】
請求項1記載の前提部と合わせて独立発明を表すさらに総じて好適な実施の形態によると、カップリング装置が、非連結円周部と連結または支持円周部とを有するカムシャフトを有し、ロック体装置が、リリース位置で非連結円周部に作用するとともに連結位置で支持円周部に作用するカムフォロワ部を有する。
【0094】
ここで、カムフォロワ部は、好ましくは、ロック体装置のロック体キャリアに作用する。
【0095】
冒頭に述べたように、ロック体装置は、力を駆動方向に伝達することができるように構成すると好ましく、ロック体装置は、好ましくは、支持部材を介して力の伝達を支持しなければならないように、2部材の性質を有する。この場合、支持部材は、カムシャフトの支持円周部によって形成することができる。ここで、支持円周部は、好ましくは、非連結円周部よりも大きな外径を有する。この事例では回転部材として、好ましくは中空シャフトとして構成されている第2部材に対するカムシャフトの相対的な回転の場合に、非連結円周部から支持円周部への移行がロック体装置のロック体キャリアをそのリリース位置から脱して連結位置まで、正確にいうと、好ましくは弾性ばね具の作用とは反対に、枢動させることができるように、支持円周部および非連結円周部は、互いに隣接することができる。
【0096】
次に、カムフォロワ部が支持円周部に作用しなくなるとすぐに、ロック体キャリアのリリース位置への枢動が許されるが、これは、特に第1部材と第2部材との間の円周方向の駆動力が原因で起こり、該駆動力は、(好ましくは2部材の)ロック体装置の「崩壊」を生じさせ、ロック体キャリアとロック体部材との間の角度が減少する。
【0097】
ここで、カムシャフトが非連結円周部のあたりにカムシャフト外径を有し、第2部材が回転部材外径を有し、回転部材外径に対するカムシャフト外径の比率が0.15から0.5、特に0.4より小さく、好ましくは0.35より小さな範囲にあると特に好ましい。
【0098】
そのため、カムシャフトは、外径に関して第2部材の外径に対して比較的小さく、第2部材は、この事例では回転部材として、特にカムシャフトを内部に配置している中空シャフトとして構成することが好ましい。
【0099】
回転部材外径に対する支持円周部の外径の比率は、0.7未満、好ましくは0.6未満、特に0.5未満の範囲にあることが好ましい。
【0100】
該比率は、大きな力がロック体装置を介して駆動方向に伝達される場合でも、ロック体キャリアと支持部材または支持円周部との間の力が比較的小さいことにも貢献することができる。
【0101】
さらに、ロック体キャリアがカムシャフトの支持円周部にカムフォロワ部によって支持され、カムフォロワ部がロック体キャリア枢動軸から円周方向に少なくとも45°、好ましくは少なくとも60°離間していると特に好ましい。あるいは、または追加で、カムフォロワ部がロック体キャリア枢動軸とロック体部材枢動軸との間に円周方向にあるが、好ましくは、ロック体部材枢動軸からカップリング歯部システムの嵌合点の方向に離間して、これを超えている、すなわち、カップリング歯部システムの嵌合点がロック体キャリア枢動軸から離間しているよりも、ロック体キャリア枢動軸から円周方向にさらに離間していると好ましい。
【0102】
発明による歯車機構ユニットに、歯車機構シャフトに取り付けられているギアホイールの数に応じて、前述のタイプの複数のロック体装置が歯車機構シャフトに配置され、中間歯車として構成されており、いずれの場合もその内周にカップリング歯部システムを有することが好ましく提供される。
【0103】
ここで、歯車機構シャフトのロック体装置は、ロック体装置を均等に受止するために歯車機構シャフトに凹みを分布させるために、好ましくは、中間歯車の配置に応じて、軸方向にずれて、円周方向にもずれて配置されると好ましく、結果として、歯車機構シャフト全体が凹みのために均等に弱くなり、局部的に弱くはならない。
【0104】
歯車機構シャフトは、好ましくは、筋力によって駆動される。この事例では一般的に言うまでもなく、筋力によって駆動される車両は、電動自転車とすることもでき、その場合、筋力は、電気モータの駆動力によってアシストされる。
【0105】
ギア段のチェンジは、歯車機構シャフトに対するカムシャフトの相対的な回転によって起こる。カムシャフトは、それが各ロック体装置のために軸方向にずれて配置されている支持円周部を有するように構成され、結果として、各相対的な回転位置の場合、関連付けられている中間歯車をそれと一緒に回転するように駆動方向に歯車機構シャフトを固定して接続するために、ロック体装置のうちの1つがリリース位置から脱して連結位置まで移動する。
【0106】
ギアチェンジの場合、カムシャフトは、(ターゲットギア段のための)別の中間歯車の支持円周部がターゲット中間歯車のロック体装置の関連付けられているカムフォロワ部をリリース位置から脱して連結位置に移動させるように回転する。
【0107】
しかし、より高いターゲットギア段へのシフトアップおよび/またはより低いターゲットギア段へのシフトダウンの場合、元ギア段(すなわち、離脱しようとしているギア段)のロック体装置は、依然として存在している円周方向の力によって、嵌合したままである(結局のところ、シフトは、荷重下で、すなわち、牽引力の遮断なく、起こることになる)。かかる元ギア段の離脱は、支持円周部が元ギア段または元中間歯車に振り当てられているカムシャフトの支持円周部が、元中間歯車のロック体装置のカムフォロワ部を支持しなくなるように回転することだけで起こる。
【0108】
円周方向の力が依然として駆動方向に作用しているため、これが、元ギア段の自動離脱を生じさせる。まず駆動部が、次いでロック体キャリアヘッドが圧縮することによってロック体部材枢動軸が半径方向内側に偏向することにより、正確にいうと支持がないことにより、2部材のロック体装置が、円周方向の力が原因で「崩壊」するからである。ここで、駆動部およびカップリング歯部システムの適応は、好ましくは、歯車機構シャフトと元ギア段の中間歯車との回転ロック接続が取り消され、依然として歯車機構シャフトにかかっている円周方向の力が、その後、ターゲットギア段に振り当てられている中間歯車のカップリング歯部システムに方向転換するように、ロック体部材がこのときからカップリング歯部システムから押し出されることを支援する。
【0109】
その結果、本発明によるカップリング装置は、本発明による歯車機構で複数回実現される。カップリング装置は、荷重下で、正確にいうと、特にシフトダウン操作の場合、歯車機構ユニットのギアチェンジを可能にする。
【0110】
シフトダウン操作の場合、ターゲットギアホイールは、シャフトに対して、より低い回転速度を有する(フリーホイール)。より高い回転速度を有する元ギアホイールは、嵌合したままである。したがって、先行技術で元ギアホイールに振り当てられている歯止めは、これが原因でリリースされないであろう。しかし、本発明によるカップリング装置によって、元ギアホイールと関連シャフトとの嵌合をリリースすることができる。
【0111】
シフトアップの場合、逆のことがいえる。ターゲットギアホイールは、シャフトよりも高い回転速度を有し、ロック体装置から脱して枢動する場合、そのまま嵌合状態に入る。次に、元ギアホイールは、すぐにフリーホイール状態に入り、元ギアホイールに振り当てられているロック体装置は、荷重から解放されて、その結果、先行技術で比較的単純にリリースすることもできる。
【0112】
言うまでもなく、上記文章で述べた特長および以下の文章でこれから述べる特徴は、それぞれ明記された組み合わせだけでなく、本発明の範囲を逸脱することなく、他の組み合わせでも、または単独でも使用することができる。
【0113】
本発明の例示的な実施の形態を図面に示し、以下の説明でより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0114】
図1】車両の自転車フレームに一体化されている歯車機構ユニットを図示しており、歯車機構ユニットは、多段歯車機構を形成している。
図2図1の歯車機構ユニットで使用することのできるような、2部歯車機構と共通のカウンターシャフトとを備える多段歯車機構の略示的なギアチェンジの模式図を示す。
図3】歯車機構ユニットのギア段をチェンジするためのギアチェンジ装置、正確にいうと、第1部歯車機構用の第1カムシャフトと、第2部歯車機構用の別のカムシャフトと、各重畳歯車機構とを備える略示的なギアチェンジの模式図を示す。
図4】歯車機構ユニットの歯車機構シャフトの斜視図を示しており、複数のロック体装置がその上に配置されて、いずれの場合も、歯車機構シャフトに回転可能に取り付けられている中間歯車に振り当てられており、該ロック体装置のうちの1つを図4に示している。
図5図4のV-Vの線に沿った略断面図を示しており、カウンターシャフトの形態の歯車機構シャフト、それに同心円状に配置されているカムシャフト、歯車機構シャフトの外側に取り付けられているとともにカップリング装置によって駆動方向に歯車機構シャフトに接続することができる中間歯車の図が示されており、カップリング装置は、図5のリリース位置に位置付けられているロック体装置を有する。
図6図5のロック体装置の分解組立図を示す。
図7】連結位置におけるカップリング装置およびロック体装置の図(図5に対応)を示す。
図8】発生する力を示すためにロック体装置の略図を示しており、ロック体装置は、移行位置で示され、その場合、ロック体装置は、図7に示される連結位置からカムシャフトの回転によって脱して、リリース位置に入る。
図9】連結位置におけるカップリング装置の図(図7に対応)を拡大図で示す。
図10】移行位置、正確にいうと、ロック体装置が連結位置から脱してリリース位置の方向へ移行した直後の、ロック体装置の図(図9に対応)を示す。
図11】ロック体装置がフリーホイール位置に位置付けられている図(図9に対応)を示す。
図12図6のばね装置の力の作用を示すための略断面図を示す。
図13】シフトダウン操作の元ギア段およびターゲットギア段のカップリング装置を示す。
図14】シフトダウン操作の元ギア段およびターゲットギア段のカップリング装置を示す。
図15】シフトダウン操作の元ギア段およびターゲットギア段のカップリング装置を示す。
図16】シフトダウン操作の元ギア段およびターゲットギア段のカップリング装置を示す。
図17】カムシャフトと合わせて図4のカウンターシャフトの分解組立図を示す。
図18図17のカムシャフトを分解組立図で示す。
図19】第1位置における図18のカムシャフトのドライバ装置を示す。
図20】第2位置における図19のドライバ装置を示す。
図21】第3位置における図19のドライバ装置を示す。
図22】ハウジングに固定されているとともに遊星歯車セットの太陽歯車がその上に回転可能に取り付けられている歯車機構ハブの略図を示す。
図23】ドライバ装置の代替実施の形態によるカムシャフトの図(図18に対応)を示す。
図24】開放位置における図23のドライバ装置を示す。
図25】閉鎖位置における図23のドライバ装置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0115】
図1において、歯車機構ユニットは、全体が10で表されている。
【0116】
図1は、歯車機構ユニット10が受止されている歯車機構ハウジング14を有する車両フレーム12の側面図を示す。歯車機構ユニット10は、この図において単に略示的に示されているにすぎず、好ましくは歯車機構ケージ(ここでは図示せず)に配置されているコンパクトユニットとして構成される。
【0117】
歯車機構ユニット10は、本明細書において例として自転車の場合の使用について説明するが、筋力によって動かす他の車両での使用も可能である。さらに、歯車機構ユニット10は、電気モータアシスト用に使用される電気機械など、車両を駆動する駆動機械と組み合わせて筋力が用いられる車両に使用することも想定される。歯車機構ユニットは、純粋に電気モータによって、あるいは、内燃機関によって駆動される車両に使用することも想定される。
【0118】
クランク18と合わせて、歯車機構ユニット10および歯車機構ハウジング14は、マルチ歯車機構16を形成し、歯車機構入力シャフトは、駆動ピニオン20に対して同軸上に配置されている。駆動ピニオン20は、例えば、チェーンまたは歯付きベルトなどの牽引機構を駆動する働きをし、ペダルクランク18を介して導入される駆動力を、マルチ歯車機構16を介して漸減式にまたは漸増式にリアホイールにこのように伝達し、このように車両を駆動するために、さらにリアホイールピニオンに接続されている。
【0119】
図2は、マルチ歯車機構16を具備する歯車機構ユニット10のギアチェンジの模式図を略示的に示す。
【0120】
歯車機構ユニット10は、一緒に回転するようにクランク18に固定して接続することのできる入力シャフト24を有し、その結果、クランクシャフトとして構成される。さらに、歯車機構ユニット10は、入力シャフト24に対して平行にずれて配置されているカウンターシャフト26を有し、この状況においては、第2回転部材を形成している。カウンターシャフト26は、回転軸27に対して同心円状に向けられている。
【0121】
歯車機構ユニット10は、第1歯車機構グループ30に振り当てられている複数の第1歯車セット28を有する。第1歯車セット28は、いずれの場合も、一緒に回転するように入力シャフト24に固定して接続されている固定ギアと、カウンターシャフト26に回転可能に取り付けられている中間歯車とを有する。
【0122】
さらに、歯車機構ユニット10は、複数の第2歯車セット34を有する第2歯車機構グループ32を具備する。第2歯車セット34は、いずれの場合も、カウンターシャフト26に回転可能に取り付けられている中間歯車と、一緒に回転するように中空シャフト36に固定して接続されている固定ギアとを有し、該中空シャフト36は、入力シャフト24に対して同心円状に配置されており、歯車機構ユニット10の出力シャフトを形成している。駆動ピニオン20は、一緒に回転するように中空シャフト36に固定して接続されている。
【0123】
入力シャフト24は、軸方向貫通シャフトとして構成されている。駆動ピニオン20は、歯車機構ユニット10の出力部材を形成している。カウンターシャフト26は、第1歯車機構グループ30の出力シャフトおよび第2歯車機構グループ32の入力シャフトを形成している。
【0124】
この実施例では、第1歯車セット28の数は6に等しい。第2歯車セット34の数は3に等しい。
【0125】
2つの歯車機構グループ30,32は、合計18のギア段(6×3)を備えるマルチ歯車機構16が歯車機構ユニット10によって形成されるように、力の流れ方向に縦並びに配置されている。個々の歯車セット28,34の速度伝達比は、18のギア段が低ギア段1から最も高いギア段18まで一定に段を付けることができるように選択することができ、例えば、一定の段間隔が11.5%の場合は、全体の速度伝達比またはギアレシオが636%である。
【0126】
一つの代替的な実施の形態において、第1歯車機構グループ30は5つの歯車セットを有することができ、第2歯車機構グループ32は4つの歯車セットを有することができ、結果として、合計で20のギア段となり、さらに高いギアレシオを実現することができる。
【0127】
2つの変型例の場合、入力シャフト24は、追加の直結ギアを設定するために、ギアチェンジ装置(より詳細には図示せず)によって出力シャフト36に直接接続されている。
【0128】
ギア段を設定するために、マルチ歯車機構16は、2つの歯車機構グループ30,32、正確にいうと、第1歯車機構グループ30の1つの中間歯車および第2歯車機構グループ32の1つの中間歯車によって形成されているため、いずれの場合も、2つの中間歯車がカウンターシャフト26に接続されることになる。
【0129】
各中間歯車のためにカップリング装置を具備するギアチェンジ装置(図2には、より詳細には図示せず)は、中間歯車を一緒に回転するようにカウンターシャフト26に固定して接続する働きをする。一般に、中間歯車は、いずれの場合も半径方向内側カップリング歯部システムを有することが提供される。さらに、ロック体装置が各中間歯車のカウンターシャフト26に取り付けられていることが提供される。各ロック体装置は、カウンターシャフトを各中間歯車に駆動回転方向に接続するための連結位置と、ロック体装置が関連カップリング歯部システムに嵌入しないリリース位置との間で枢動することができ、すなわち、関連中間歯車は、一緒に駆動方向に回転するようにカウンターシャフト26に固定して接続されていない。
【0130】
この実施例では、ここでロック体装置がカウンターシャフト26に枢動可能に取り付けられているロック体キャリアを有するとともに、ロック体キャリアに枢動可能に取り付けられており、連結位置で、関連中間歯車のカップリング歯部システムに嵌入し、リリース位置で、カップリング歯部システムに嵌入しない駆動部が構成されているロック体部材を有する。
【0131】
図3は、構造および操作方法に関して前述のタイプの歯車機構ユニットに対応することができ、ギアチェンジ装置40によってシフトすることのできる歯車機構ユニット10’を略示的に示す。図1および図2において同一の要素には、一致する符号を付している。
【0132】
ギアチェンジ装置40は、カウンターシャフト26’に対して同軸上に第1カムシャフト42および第2カムシャフト44を有する。カウンターシャフト26’は、中空シャフトとして構成される。カムシャフト42,44は、それに対して同軸上に、その中に配置されている。第1カムシャフト42は、第1歯車機構グループ30’に振り当てられている。第2カムシャフト44は、第2歯車機構グループ32’に振り当てられている。
【0133】
歯車機構ユニット10’のギアのチェンジは、一般に以下のように起こる。カムシャフト42,44は、いずれの場合も、原則として、カウンターシャフト26’の速度と同一の回転速度で駆動される。ギアを嵌合および離脱するために、各カムシャフト42,44は、カウンターシャフト26’に対して回転し、その結果、いずれの場合も、歯車機構グループのうち1つの中間歯車だけがカウンターシャフト26’に固定して接続されて、駆動方向に一緒に回転するように、ターゲットギア段の各カップリング装置が連結位置に入るのに対し、他の歯車セットのカップリング装置は、リリース位置に入る。
【0134】
第1重畳歯車機構46および第2重畳歯車機構48は、各カムシャフト42,44とカウンターシャフト26’との間の回転速度の均一性を設定する働きをする。
【0135】
第1および第2の重畳歯車機構46,48は、カウンターシャフト26’に接続されている固定ギアと、該カウンターシャフト26’に対して平行にずれて配置されている補助シャフト52に接続されている別の固定ギアとを具備する共通の補助シャフト歯車セット50を共有する。そのため、補助シャフト52は、必ずカウンターシャフト26’の速度に比例した回転速度で回転する。
【0136】
第1重畳歯車機構46は、第1内歯車56、第1遊星キャリア58および第1太陽歯車60を具備する第1遊星歯車セット54を有する。第1太陽歯車60は、一緒に回転するように補助シャフト52に固定して接続されている。第1内歯車56は、一緒に回転するように第1ギアチェンジシャフト62に固定して接続されており、該第1ギアチェンジシャフト62は、中空シャフトの形態で補助シャフト52に対して同心円状に構成されている。第1トラクションディスク64が、第1ギアチェンジシャフト62に固定されている。第1ギアチェンジシャフト62は、第1重畳シャフト66に回転可能に取り付けられている。第1重畳シャフト66は、まず、一緒に回転するように第1遊星キャリア58に固定して接続されている。次に、第1重畳歯車機構46の第1重畳シャフト66は、第1重畳歯車セット68を介して第1カムシャフト42に接続されている。
【0137】
補助シャフト歯車セット50は、歯車機構ユニット10’の長手方向の範囲に関して実質的に中央に配置されている。第1重畳歯車セット68は、歯車機構ユニット10’の第1軸端に配置されている。第1カムシャフト42は、第1軸端から軸方向にカムシャフト26’まで延びている。第1遊星歯車セット54、および第1トラクションディスク64を備える第1ギアチェンジシャフト62は、補助シャフト歯車セット50と第1重畳歯車セット68との間に軸方向に配置されている。
【0138】
第2重畳歯車機構48は、第1重畳歯車機構46に対して実質的に鏡面対称構成であり、第2遊星歯車セット70を具備する。第2遊星歯車セット70は、第2内歯車72、第2遊星キャリア74および第2太陽歯車76を有する。第2太陽歯車76は、一緒に回転するように補助シャフト52に固定して接続されている。
【0139】
第2内歯車72は、一緒に回転するように第2ギアチェンジシャフト78に固定して接続されており、該第2ギアチェンジシャフト78に第2トラクションディスク80が固定されている。第2ギアチェンジシャフト78は、一緒に回転するように第2遊星キャリア74に固定して接続されている第2重畳シャフト82に対して回転可能に取り付けられている。第2重畳シャフト82は、第2重畳歯車セットによって第2カムシャフト44に接続されている。第2重畳歯車セット84は、歯車機構ユニット10’の反対の第2軸端に配置されている。第2カムシャフト44は、かかる反対の軸端から軸方向にカムシャフト26’まで延びている。
【0140】
トラクションディスク64,80は、例えば、自転車のハンドルバーに配置されている各作動レバーに接続されている。接続は、ボーデンケーブルまたは同様なものによって行うことができる。
【0141】
嵌合しているギア段の場合、トラクションディスク64,80は、いずれの場合も、カムシャフト26’の回転に比例する補助シャフト52の回転が各重畳シャフト66,82の回転に、正確にいうとそれに比例して変換されるように固定して保持されており、その回転が次に各定歯車セット68,84を介して各カムシャフト42,44の回転に比例して変換され、それは、いずれの場合も、カムシャフト26’の回転速度と同一である。一方および/または他方のトラクションディスク64,80が回転すると、関連カムシャフト42,44が前者の回転に比例してカムシャフト26’に対して回転する。これにより、より詳細には表されていないが、歯車機構グループ30’、32’の歯車セット28および34に振り当てられているカップリング装置が力の流れから外され、または力の流れに入ることにつながる。
【0142】
図3に関して上記説明したギアチェンジ装置40は、特許文献1でも詳細に説明されている。この実施例では、かかる文献の開示内容の全範囲を参照する。重畳歯車機構が同軸上に配置されている別のギアチェンジ装置は、特許文献8から公知である。この実施例では、かかる文献の開示内容の全範囲も参照する。
【0143】
図4は、構造および操作方法に関して、前述した歯車機構ユニットに対応することのできる歯車機構ユニット10’’の一部を略示的に示しており、正確にいうと、例示的な中間歯車88が回転可能に取り付けられているカウンターシャフト26’’の斜視図に基づいたギアチェンジ装置40’’である。例えば、中間歯車88は、第1歯車機構グループ30の一部、すなわち、歯車セット28のうちの1つの歯車セットの一部にすることができる。明確にするために、図4には、第1歯車セット28’’の別の歯車セットは図示していない。さらに、第2歯車機構グループ32の第2歯車セット34も図示していない。第1カムシャフト42’’が片側から軸方向にカウンターシャフト26’’まで延びているのが分かる。明確にするために、図4には、他方の第2カムシャフト44’’は図示していない。
【0144】
複数の(この実施例では6つの)ロック体装置90がカウンターシャフト26’’に取り付けられており、該ロック体装置90は、いずれの場合も、第1歯車機構グループ30の中間歯車に振り当てられており、そのうちの4つが図4に図示されている(他のものは、図示されていない裏側にある)。
【0145】
第1歯車機構グループ30のロック体装置90は、互いに対して軸方向にずれて配置されており、カウンターシャフト26’’の片側に配置されている。さらに、複数のロック体装置90aがカウンターシャフト26’’に枢動可能に取り付けられており、該ロック体装置90aは、第2歯車機構グループ32の中間歯車に振り当てられており、この実施例では、3つのロック体装置90a(そのうちの2つが図4に図示されている)である。
【0146】
このように、このタイプの歯車機構によって、6×3=18の複数のギア段を実現することができる。しかし、実際には、カウンターシャフト26’’に配置されているロック体装置90および90aの数は、これより少なくすることも多くすることもでき、結果として、12、16、18、20またはそれ以上のギア段を実現することができる。
【0147】
ロック体装置90は、いずれの場合も、カウンターシャフト26’’の半径方向凹み92に取り付けられており、半径方向凹み92は、半径方向に貫通凹みとして構成される。
【0148】
ロック体装置90,90aは、いずれの場合も、リリース位置(いずれの場合も図4に図示される)から連結位置へと枢動することができる。リリース位置では、各ロック体装置90,90aに振り当てられている中間歯車がカウンターシャフト26’’に対して自由に回転することができるように、ロック体装置90,90aは、いずれの場合も、カウンターシャフト26’’の外周内に半径方向に配置されている。
【0149】
ロック体装置90および/または90aが連結位置へと移動すると、関連中間歯車88のカップリング歯部システム94に該ロック体装置90,90aが嵌入するように、各ロック体装置90,90aは、カウンターシャフト26’’の外周に対して外側に半径方向に移動する。
【0150】
さらに、図4は、通常の駆動回転方向96を示しており、駆動力が、入力シャフト24から、中間歯車88を備える歯車セットを介してカウンターシャフトに伝達されるときにカウンターシャフト26’’が移動し、駆動力は、そこからさらに、第2歯車機構グループの別の中間歯車(図示せず)を介して出力シャフト36へと伝達される。そのため、カウンターシャフト26’’は、第2部歯車機構32の中間歯車(図示せず)を駆動するのに対し、中間歯車88は、第1歯車機構グループのカウンターシャフト26’’を駆動する。
【0151】
各ロック体装置90は、カウンターシャフト26’’またはその関連半径方向凹み92、および関連中間歯車88のカップリング歯部システム94とともにカップリング装置100を形成している。この実施例では、9つのカップリング装置100がカウンターシャフト26’’について設けられており、該カップリング装置100のうちの1つが実質的に完全に図示されている。図5に図示される断面は、該カップリング装置100も貫通して描かれている。
【0152】
図5は、中間歯車88が、軸方向に向いているカップリング歯部システム94を有することを示している。カウンターシャフト26’’は、カップリング歯部システム94内に半径方向に配置されている。カウンターシャフト26’’は、中空シャフトとして構成されている。この実施例では、第1カムシャフト42’’は、カウンターシャフト26’’内に半径方向に見えている。この実施例では、カウンターシャフト26’’は、駆動方向96に中間歯車88によって駆動されることが示されている。しかし、駆動力は、カウンターシャフト26’’から反対方向96’に中間歯車に同様に伝達することができる。
【0153】
第1カムシャフト42’’は、軸方向外歯部システム103が備えられているカムキャリアシャフト102を有する。カムシャフト軸受ディスク105およびカム104は、カムキャリアシャフト102に押しつけられて、該カム104は、カップリング装置100に軸方向に整列されている。カムまたはカムボディは、300°を超えて延びている非連結円周部108と、支持円周部106とを有する。支持円周部106は、非連結円周部108よりも大きな外径を有する。カムシャフト軸受ディスク105は、カウンターシャフト26’’で半径方向にカムキャリアシャフト102を支持する。
【0154】
ロック体装置90は、ロック体キャリア110を有する。ロック体キャリア110は、半径方向凹み92に、正確にいうと、カウンターシャフト26’’の駆動回転方向96’の回転が円周方向の力をロック体キャリア110に伝達することができるように受止されている。ここで、ロック体キャリア110は、回転軸27に平行に延びているロック体キャリア枢動軸112を中心に枢動することができるように、カウンターシャフト26’’に取り付けられている。ロック体キャリア110は、ロック体キャリア110がカウンターシャフト26’’のジョイントソケットに受止されている(すなわち、半径方向凹み92に対応した形状の半径方向壁)軸端から、円周方向に、ロック体部材116が、正確にいうとロック体部材枢動軸118を中心に、枢動可能に取り付けられている第2端まで延びている。ここで、ロック体キャリア110は、この実施例では、ロック体キャリア枢動軸112およびロック体部材枢動軸118を通るロック体キャリア軸114に実質的に沿って延びている。
【0155】
ロック体部材枢動軸118は、ロック体キャリア枢動軸112に対して平行に向いている。
【0156】
ロック体部材116には、弾性デバイス(より詳細には図示していない)によって、ロック体キャリア110に対してニュートラル位置にプレストレスがかけられており、その場合、ロック体部材116は、ロック体キャリア軸114に対してある角度に向いているロック体部材軸120に沿って延びている。
【0157】
上記示される弾性デバイスまたは別の弾性デバイスは、追加的に、図5に図示される位置へとロック体キャリア110にプレストレスをかけ、その場合、ロック体キャリア110は、リリース位置FPに位置付けられており、その場合、そこに枢動可能に取り付けられているロック体部材116は、ニュートラル位置に位置付けられている。半径方向に見る該リリース位置において、ロック体装置90全体がカウンターシャフト26’’の外周内にあり、その結果、カップリング歯部システム94に嵌入しない。しかし、図5では、ロック体キャリア110を図5に図示されるリリース位置から半径方向外側に枢動させることができ、ロック体部材116を、ロック体キャリア上で、図示されるニュートラル位置に対して2方向に枢動させることができることが分かる。
【0158】
ロック体キャリア110は、図示されるリリース位置FPで、カムボディ104の非連結円周部108に当接するカムフォロワ部122を有する。カムフォロワ部122は、このように支持円周部106と相互作用することができる。カウンターシャフト26’’に対する第1カムシャフト42’’の相対的な回転の場合、支持円周部106は、ロック体キャリア110を、図5に図示されるリリース位置から半径方向外側に、正確にいうと後の図面で説明する連結位置へと枢動させる。駆動回転方向96’にカウンターシャフト26’’が回転した場合に中間歯車88を駆動するために、すなわち、中間歯車88に対して回転ロック接続を設定するために、このタイプの枢動は最終的にロック体部材116の端部に達し、該端部は、円周方向においてロック体キャリア110とは反対を向いて、カップリング歯部システム94に嵌入する。
【0159】
対して、図5に図示するリリース位置FPでは、中間歯車88は、カウンターシャフト26’’から回転方向に切り離される。
【0160】
図6は、ロック体装置90を分解組立図で示す。
【0161】
ロック体キャリア110は、その一方の円周端に、半径方向凹み92の半径方向壁によって形成されている略示的に示されるジョイントソケット129に嵌入する、ロック体キャリアヘッド128を有する。図6は、駆動回転方向96’も略示的に示しており、駆動回転方向96’にカウンターシャフト26’’が回転した場合にロック体キャリア110が必然的に同じ回転方向に駆動されることも略示的に示している。
【0162】
半径方向外側に、ロック体キャリア110は、ロック体キャリアディフレクタ面130を有し、それによってロック体キャリア110は、任意でカップリング歯部システム94に当接することができ、後者から、ロック体キャリア110自体がカップリング歯部システム94に嵌入することができないように偏向される。
【0163】
ロック体キャリア110は、円周方向の反対端に、ロック体キャリアソケット132と、半径方向に互いに離間している2つの保持突起134とを有する。ロック体部材116は、一方の円周端に、ロック体キャリアソケット132と保持突起134とによって画定されているジョイント装置に軸方向に導入することができるように形成されている、ロック体部材ヘッド136を有する。その結果、ロック体部材116は、円周方向にリリース不能にロック体キャリア110に連結されている。これで、ロック体部材ヘッド136を、円周方向にロック体キャリアソケット132に支持することができる。ロック体部材116は、円周方向の反対端に、リリース位置FPでは、半径方向にカウンターシャフト26’’の外周内にあり、連結位置では(以下を参照)、中間歯車88を駆動回転方向96に駆動することを可能にするために、カップリング歯部システム94に嵌入する駆動部138を有する。
【0164】
ロック体キャリア110とカウンターシャフト26’’との間、およびロック体部材ヘッド136とロック体キャリアソケット132との間の関節付き接続は、いずれの場合も、各回転軸が必ずしも動かないわけではなく、むしろ相対的な回転に依存するように変えることができるように、曲げジョイントのように構成される。
【0165】
さらに、ロック体装置90は、ロック体キャリア110に軸方向に離間しており、実質的に円周方向に延びている2つのピンホール140を有し、該ピンホール140は、いずれの場合もロック体キャリアソケット132からロック体キャリアヘッド128の方向に延びており、いずれの場合も貫通穴として構成される。
【0166】
さらに、ロック体装置90は、第1径を備える第1ピン端144と第2外径を備える第2ピン端146とを有する2つのピン142と、その間に存在する、より大きな外径を備える肩部とを具備する。ピン142は、ピンホール140に差し込まれる。ピンホール140は、いずれの場合も、ロック体キャリアヘッド128のあたりに肩を有し、結果として、ピン142は、円周方向にピンホール140から押し出すことはできない。しかし、停止位置で、第1ピン端144は、ロックキャリアヘッド128に対して突出し、ジョイントソケット129に当接する。
【0167】
第2ピン端146とロック体部材ヘッド136との間には、いずれの場合も圧縮ばね148が配置されており、該圧縮ばね148は、ピン142の肩部で支持されており、円周方向にロック体部材ヘッド136に押し当てられる。
【0168】
このように示されるばね装置149は、ジョイントソケット129の輪郭とそれに作用するピン端144とによって、ロック体キャリア110にリリース位置FPの方向のプレストレスがかけられることを生じさせる。さらに、ばね装置149は、図5で分かるように、ロック体部材116が円周方向にロック体キャリアソケット132から離れて保持突起134に押し当てられ、ロック体部材116がニュートラル位置に位置付けられることを生じさせる。
【0169】
図7は、図5および図6のカップリング装置100の図を示し、ロック体装置90が連結位置KPに枢動済みである。
【0170】
カムシャフトは、支持円周部106またはカムボディ104がカムフォロワ接点124を介して半径方向外側にカムフォロワ部122を移動するように、ロック体キャリア110全体がロック体キャリア枢動軸112の周りで外側に枢動するように回転されている。ここで、ロック体キャリアディフレクタ面130は、カウンターシャフト26’’の外周あたりにある。
【0171】
さらに、ロック体部材116の駆動部138は、カップリング歯部システム94の歯面154に当接し、そのため後者に嵌入する。駆動部138と歯面154との有効な嵌合点152が、ロック体キャリア枢動軸112とともに、力作用線158に対応する直線接続線を形成し、これに沿ってカウンターシャフト26’’の駆動力がロック体キャリア110とロック体部材116とを介して駆動回転方向96’にカップリング歯部システム94に、ひいては中間歯車88に伝達される。
【0172】
ここで、駆動部138の半径方向外側部は、カップリング歯部システム94の歯底に当接することが好ましい。
【0173】
ここで、ロック体部材116は、図5に図示されるニュートラル位置に対して半径方向外側に連結位置へと、ロック体部材軸120が嵌合点152から力作用線158に対して半径方向にずれている、この実施例では半径方向に力作用線158内にあるロック体部材枢動軸118まで連結位置120(KP)に延びているように、同様に枢動されている。力作用線158からのロック体部材枢動軸118の間隔を、図7では156で示している。この状態で、言い換えると、ロック体キャリア枢動軸112とロック体部材枢動軸118との間のロック体キャリア軸114(KP)、およびロック体部材枢動軸118と嵌合点152との間のロック体部材軸120(KP)が、180°より小さい、好ましくは150°以下の力伝達角度150となる。
【0174】
カウンターシャフト26’’からジョイントソケット129を介してロック体キャリア110まで駆動回転方向96’に沿って導入される力は、ロック体キャリアソケット132と連結位置KPでそれに当接しているロック体部材ヘッド136とを介して、ロック体部材116に、ひいてはカップリング歯部システム94に伝達される。
【0175】
ここで、ロック体装置の2つの部材、すなわち、ロック体キャリア110およびロック体部材116は、互いに対して相対的な位置に位置付けられており、該相対位置の場合、その間の枢動軸118は、力作用線158に対してずれている。したがって、力を円周方向(駆動回転方向96’)にカップリング歯部システム94に伝達するには、カムフォロワ接点124を介してロック体装置90を支持する必要があり、カムフォロワ部122は、支持円周部106で支持されている。
【0176】
ロック体部材枢動軸118が力作用線158のごく近くにあることから、ロック体キャリア110を支持するために必要な半径方向の力は、比較的小さい。該半径方向の力は、追加で、図7にR1およびR2で示すように、枢動軸112と118との間の間隔がロック体キャリア枢動軸112とカムフォロワ接点124との間の間隔よりも小さいためにさらに低減される。
【0177】
図8では、駆動回転方向96’に円周力Fが伝達する場合、この力は、力作用線158で作用し、嵌合点152に存在する反力F(例えば、駆動抵抗または同様なものによって作ることのできる駆動反力による)が同じ力作用線158にあり、そこからロック体部材枢動軸118が半径方向に離間していることが分かる。力作用線158に沿って反対方向に作用する力F,Fは、結果としてロック体部材枢動軸118に合力Fを生みだし、該力Fは、半径方向内側に向けられる。連結位置KPにおいて、この力FRは、カムフォロワ接点124で、支持円周部106に当接しているカムフォロワ部122によって支持される。
【0178】
図8に示されるように、カムシャフト42’’がさらに回転するとすぐに、カムフォロワ部122は、支持円周部106によるその支持を失い、結果として、ロック体部材枢動軸118は、内側に向かって半径方向に自由に押され、その過程で、図8に矢印で示すように、リリース位置の方向にロック体キャリア110を枢動させるように、ロック体キャリア110を駆動する。連結位置KPとリリース位置FPとの間の該位置は、移行位置UPともいう。
【0179】
図8は、ロック体部材枢動軸118が半径方向内側に移動することを示しており、その結果、力伝達角度150(図7を参照)が減少する。
【0180】
図8によると、ロック体部材116は、単一駆動部138を有する。一代替改良形態では、点線で示すように、ロック体部材116Aは、2つ(またはそれ以上)の駆動部138,138Aを有する。この場合、ロック体部材116Aは、カップリング歯部システム94上の、特にカップリング歯部システム94の異なる歯の歯面上の、2つの嵌合点152,152Aで作用する。図8の図と比べて、この場合のカップリング歯部システム94のピッチは小さくなるように選択されがちで、結果として、嵌合点152,152Aは、円周方向に互いにより近くにある。
【0181】
加えて、図8に図示するように、ロック体部材116の駆動部138は、嵌合点152のあたりに輪郭を有し、該輪郭は、連結位置KPからリリース位置FPへの移行の際に、ロック体装置がそれ自体をカップリング歯部システム94からロック体部材116によってリリースすることが補助されるようなものにされる。次に、駆動部138の該輪郭は、連結位置KPで、ロック体部材116がカップリング歯部システム94に押し込まれるように構成される。
【0182】
このことは、図9および図10に基づいて以下の本文で説明する。
【0183】
図9は、連結位置KPにおけるカップリング装置100を示している。連結位置KPにおいて、ロック体キャリア110は、固定されている。ロック体部材116は、ロック体部材枢動軸118を中心に枢動することができる。さらに、連結位置において、駆動部138は、図の平面に対して垂直に延びる嵌合線を実際に画定する嵌合点152で、カップリング歯部システム94の歯面154に作用する。ドライバ部138は、嵌合線を含むとともにドライバ部平面159を画定する、輪郭または面を有する。ドライバ部平面159と、ロック体部材枢動軸118と嵌合点152とによって画定される作用線との間に角度160が形成される。角度160は、凹歯形を形成し、特に90°よりも大きい。このことが、連結位置でロック体部材116、ひいてはロック体装置90全体が半径方向外側にカップリング歯部システム94に押し込まれ、力が力作用線158に沿って伝達される状況を達成する。より詳細には表していない突起は、ロック体部材116の半径方向内側部に構成されており、該突起は、連結位置KPにおいて、関連歯先に当接し、そのため連結位置KPにおいてロック体部材116の画定された位置および画定された力伝達角度150を確保する。
【0184】
図10は、図8と同様な状況を示しており、その場合、カップリング装置100は、連結位置KPからリリース位置FPへの移行部に位置付けられている。ロック体キャリア110は、もはや固定されておらず、支持円周部106による支持がないために、半径方向内側に枢動する。その結果、図10ではより詳細には図示されていない力伝達角度150は、減少する。ロック体部材116は、枢動角制限手段を形成している半径方向外側の保持突起134に当たって枢動し、結果として、ロック体装置90全体が内側に、正確にいうとロック体キャリア枢動軸112を中心に枢動する。その結果、駆動部138は、カップリング歯部システム94の歯面154に、異なる角度で、特に半径方向にさらに内側に、作用する。力作用線158(ロック体キャリア枢動軸112と嵌合点152とによって画定される)と、ドライバ部平面159との間の角度162は、今度は、凸歯形を形成し、特に90°よりも小さい。力作用線158に沿って継続的に力が伝達されることによって、ロック体装置90全体は、矢印164で示すように、カップリング歯部システム94から押し出される。
【0185】
歯面154と接触することになる駆動部138の形状は、前述した効果が起こるように選択される。
【0186】
加えて、図9および図10は、次の直径、すなわち、カムシャフト42の外径を表す直径D1、カウンターシャフト26の外径(および、好ましくは、中間歯車88の内径)を表す直径D2、および(図9を参照)支持円周部106またはカム104の有効径を表す直径D3を示している。
【0187】
D1対D2の比率は、好ましくは、0.5より小さく、特に0.35よりも小さい。D3対D2の比率は、好ましくは、0.6よりも小さく、好ましくは0.5以下である。
【0188】
その結果、カウンターシャフトから中間歯車に力が伝達する場合に発生する円周方向の力は、比較的小さな半径で支持することができ、これで、このタイプの力の伝達中(「荷重下」)にカムシャフト42を回転させるために必要な摩擦力を低減させることができる。
【0189】
図11は、フリーホイール位置FLPにおけるカップリング装置100を示す。
【0190】
ロック体キャリア110は、連結位置に位置付けられている。カムフォロワ部122は、カム104または支持円周部106によって支持されている。カウンターシャフト26’’から中間歯車88に力が伝達する場合、図9の例によって図示されるように、ロック体部材116も同様に連結位置に位置付けられる。図9の状況から始めて、そのあとで中間歯車88が何らかの望ましい理由で突然カウンターシャフト26’’よりも速く回転すると、フリーホイールの状況が発生し、その場合、図11に矢印で示すように、中間歯車88の歯部システム94は、ロック体キャリア110に対して半径方向内側にロック体部材116を枢動させる。ここで、ロック体キャリア110に枢動取り付けされていることにより、ロック体部材116は、ロック体部材116が完全にカウンターシャフト26’’の外周内に配置されるように枢動することができる。その結果、中間歯車88は、大きな支障なくカウンターシャフト26’’よりも速く回転することができ、結果として、フリーホイールが起こる可能性がある。
【0191】
カップリング装置100は、結局のところ、図6に図示するばね装置149を具備することになる。したがって、図11に図示される半径方向内側に枢動位置から始めて、ロック体部材116は、一般に、ばね装置149によって半径方向外側に、正確にいうと、例えば、図5に図示されるように、ロック体キャリア110に対してニュートラル位置へと押される。そのため、フリーホイール位置FLPにおいて、ロック体部材116は、たえず半径方向外側に、正確にいうとカップリング歯部システム94へと、再び枢動しようとする。そのため、166で示されるように、カウンターシャフト26’’に対して中間歯車88が速い状況が終了し、カウンターシャフト26’’が再び中間歯車88よりも速く回転するようになると、ロック体部材116は、例えば、図9に図示するように、再び連結位置KPを設定するために、再び半径方向外側にカップリング歯部システムへと枢動する。
【0192】
図12は、ばね装置149の操作方法を明確にするために、カップリング装置100の断面図を示す。
【0193】
図12の図では、第1ピン端144がジョイントソケット129に、正確にいうと、ロック体キャリアヘッド128もジョイントソケット129に当接する領域で、当接するため、ピン142は、停止位置に対して円周方向に移動する。圧縮ばね148が第2ピン端146によってピン142の中心に置かれて、ロック体部材ヘッド136がロック体キャリアソケット132から離れる円周方向に、正確にいうと、保持突起134に押し当てられるように、ロック体部材ヘッド136に円周方向に押し当てられる。ロック体部材ヘッド136は、圧縮ばね148のばね力によって、ロック体部材116に、ロック体部材116が半径方向外側および半径方向内側のどちらにも枢動することができるニュートラル位置までプレストレスがかけられるように、保持突起134に対して形成されている。
【0194】
図13から図16は、シフトダウン操作のための、正確にいうと、カップリング装置100-Qおよび100-Zにより荷重下で行うことのできるシフトダウン操作のさまざまな段階における元ギア段(例えば、ギア段5)用のカップリング装置100-Qおよびターゲットギア段(例えば、ギア段4)用のカップリング装置100-Zを示している。
【0195】
元ギア段およびターゲットギア段としてのギア段5および4は、純粋に例として選択されている。これらは、ギア段3および2または同様なものとしてもよいであろう。
【0196】
図13は、カップリング装置100-Qが連結位置KPに位置付けられている状態を示しており、結果として、駆動力96を、カップリング装置100-Qを介して伝達することができる(すなわち、例えば、カウンターシャフトから中間歯車、または中間歯車からカウンターシャフト)。図13の同じ状態で、ターゲットギア段のカップリング装置100-Zは、リリース位置FPにある、すなわち嵌合されていない。
【0197】
シフトダウンを実行するために、ターゲットギア段用のカップリング装置100-Zを作動させる(例えば、図3によるトラクションディスク64および/または80の作動により)。ここで、カムシャフトが回転する、正確にいうと、各支持円周部106が延びている角度よりも小さな角度、回転する。このことは、カップリング装置100-Qがまだ連結位置KPにある、すなわち、関連支持円周部によって支持されていることを意味する。
【0198】
図14では、そのため、2つのカップリング装置100-Qおよび100-Zは連結位置KPに位置付けられている。ここで、元ギア段の回転速度がより高いために、元カップリング装置100-Qは、まだ嵌合状態にあり、駆動力96を伝達するのに対し、カップリング装置100-Zは、連結位置KPにあるが荷重を伝達しない。このことは、ロック体部材116のロック体部材ヘッドがロック体キャリア110の関連ジョイントソケットから円周方向に離間していることから分かる。
【0199】
カウンターシャフトに対してカムシャフトを同じ回転方向にさらに回転する場合、元カップリング装置100-Qのカムフォロワ部122は、元カップリング装置100-Qが移行位置UPに入るように、カムの関連支持円周部との嵌合から脱する。その結果、元カップリング装置100-Qは、駆動力をそれ以上伝達することができない。ターゲットカップリング装置100-Zが嵌合に入り、連結位置KPで、図15に図示するように、駆動力96を伝達する。
【0200】
上記説明したように、カップリング装置100-Qの駆動部の特別な構成の結果として、該カップリング装置100-Qは、関連カップリング歯部システムとの嵌合状態からさらに脱して、図16に図示するリリース位置FPに入る。ターゲットカップリング装置100-Zは、連結位置に留まり、駆動力96を伝達し続ける。
【0201】
その結果、全体的なギアチェンジ操作は、矢印96で示される駆動力が元カップリング装置100-Qによって後者がリリースされるときまで伝達され、すでに連結位置KPに位置付けられているターゲットカップリング装置100-Zが駆動力の伝達を引き受けるように進めることができ、そしてさらに低いギア段になる(例えば、GS 4)。
【0202】
図17は、カウンターシャフト26に配置されているカムシャフト42およびカムシャフト44を略示的に示す。カムシャフト42,44によって形成されているカムシャフト装置は、第1カムシャフト42に振り当てられている第1ラッチ装置180と、第2カムシャフト44に振り当てられている第2ラッチ装置182とを具備する。
【0203】
図19から図21を参照して以下の本文で説明するように、カムシャフト42,44は、ドライバ装置184を介して互いに連結されている。
【0204】
図18は、カムシャフト42,44を分解組立図で示す。
【0205】
カムシャフト42,44は、いずれの場合も外歯部システム103,103’を有し、これは、いずれの場合も、軸方向を向いている歯および歯溝を備える半径方向歯部システムとして構成されていることが分かる。カムシャフトを形成するために、カムシャフト軸受ディスク105およびカムまたはカムボディ104がいずれの場合も交互に各カムキャリアシャフト102,102’に押し込まれている。カムシャフト42,44は、いずれの場合も、カムシャフト軸受ディスク105を介して半径方向にシャフト26の内周に支持されている。
【0206】
外歯部システム103,103’の歯のピッチまたは数は、同一にすることができ、好ましくは、ギア段の数の関数である。
【0207】
カムシャフト42,44は、各ラッチ装置180,182を介して各位置にラッチ式に掛止され、この場合、ギア段は嵌合している(すなわち、カムフォロワ部122は、支持円周部106に位置付けられている)。
【0208】
図18に図示するように、ラッチ装置180,182は、いずれの場合も、シャフト26に回転ロックするように接続されているポジショニング軸受186,186’を有する。いずれの場合も、ポジショニング軸受186,186’には、1つのボール188,188’が半径方向に偏位可能に取り付けられている。ボール188,188’は、いずれの場合も、円周方向に開構成のばねリング190,190’によって、外側に向かって半径方向に保持されている。
【0209】
カムシャフト42,44がシャフト26に対して相対的に回転する場合、各ボール188,188’は、外歯部システム103,103’の歯溝から半径方向外側に、正確にいうと、各ばねリングのプレストレスとは反対に押される。ボール188,188’が再び歯溝の上に位置付けられるような程度までカムシャフトが回転するとすぐに、各ばねリング190,190’がボールを再び歯溝に押し込み、結果として、掛止位置がもう一度設定される。
【0210】
カムシャフト42,44は、ドライバ装置184を介して互いに連結されている。
【0211】
ドライバ装置184は、カムシャフト42の外歯部システム103に回転ロックするように差し込まれているドライバディスク192を有する。ドライバディスク192は、カムシャフト44に回転可能に接続されているとともにローラ194が取り付けられている半径方向溝を有する(ローラ194の回転軸は、カムシャフト42の軸に平行である)。
【0212】
半径方向溝が構成されている部分は、ローラ194が内側から作用する制御リング196によって嵌合される。ちょうどボール188,188’と同様に、ローラ194が外歯部システム103の歯底に嵌入することができるように、ローラ194は、外歯部システム103のサイズに適応されている。
【0213】
制御リング196は、より小さな内径を備える円周部198を有し、それによってカムシャフト42と44との間に角度選択的な駆動機能が設定される。円周部198は、カムシャフト42に振り当てられているギア段の数に依存する角度に延びている。この実施例では、円周部198の角度は、ちょうど60°である(360°割る6つのギア段=60°)。
【0214】
ドライバ装置184の機能を、図19から図21に基づいて詳細に説明する。
【0215】
図19は、第1位置のドライバ装置184を示す。ここで、ローラ194は、ドライバディスク192の溝にあり、特に、正確にいうと円周部198の外側のあたりにある、制御リング196の内周に当接されている。その結果、このように、カムシャフト42に振り当てられているギア段(この実施例では、6つのギア段)をチェンジするために、カムシャフト42は、自由に回転することができる。
【0216】
ドライバディスク192が締結されているカムシャフトが、ローラ194が円周部198と嵌合状態に入るまで回転すると(図20)、ローラ194は、半径方向内側に、正確にいうと、カムシャフト42の外歯部システム103に押し込まれる。
【0217】
その結果、カムシャフト42のさらなる回転がドライバディスク192の駆動を生じさせ、該ドライバディスクは、さらに第2カムシャフト44に回転ロックするように接続されている。その結果、第2カムシャフト44は、第1カムシャフト42が回転すると、円周部198を介して回転方向に駆動される。これにより、第2カムシャフト44に振り当てられているギア段も選択されることになる。
【0218】
前記機能は、2つの歯車機構グループをシフトするギアチェンジを行うために使用される。
【0219】
その結果、6つのギア段と3つのギア段とがそれぞれ振り当てられている2つの歯車機構グループを有する歯車機構の場合、ギア段1から6は、第1カムシャフト42の回転によってのみ選択される。ここで、第2カムシャフト44は、静止したままであり、ラッチデバイス182によって回転位置に保持されている。
【0220】
ギア段7を選択する場合、第1カムシャフト42は、再び第1歯車機構グループの第1前ギア段に対応する位置に入り、その過程で駆動される、正確にいうと円周部198によって駆動される第2カムシャフト44は、第2歯車機構グループの次のギア段にシフトされ、結果として、その後ギア段7が嵌合される。その後、第2カムシャフト44を駆動しなくても、ギア段8から12が再び選択される。そして、第2カムシャフト44、ひいては第2歯車機構グループに振り当てられているギア段を選択するために、第2カムシャフト44をもう一度駆動することで、前ギア段13を嵌合する。
【0221】
図22は、構造および操作方向に関して、前述したカップリング装置100に対応するカップリング装置100’’’の別の実施の形態を示しており、同一の要素は、同一の符号で識別しており、該カップリング装置100’’’は、ハウジングに固定されているハブ26’’’の形態の第2部材に必要な太陽歯車88’’’の形態の第1回転部材を連結する働きをする。
【0222】
太陽歯車88’’’は、内歯車172と遊星キャリア174とを有する遊星歯車セット170の一部である。複数の遊星176が遊星キャリア174に回転可能に取り付けられており、該遊星176は、内歯車172の内歯部システムおよび太陽歯車88’’’の外歯部システムに嵌入する。さらに、太陽歯車88’’’は、その内周にカップリング歯部システム94’’’を有する。
【0223】
一般に、太陽歯車88’’’は、ハブ26’’’に対して自由に回転することができる。カムシャフトの回転の結果(図示せず、図4から図12のカップリング装置100の場合のカムシャフト42に対応する)、ハブ26’’’に取り付けられているロック体装置90’’’は、半径方向外側に枢動することができ、結果として、駆動方向に太陽歯車88’’’をハウジングに固定して保持するとともに、反対の回転方向にフリーホイール機能を実現するために、太陽歯車88’’’のカップリング歯部システム94’’’に嵌入する。
【0224】
ここで、カップリング装置100’’’の構造は、図4から図12のカップリング装置100と同一にすることができる。
【0225】
図23から図25は、ドライバ装置184Aの代替実施の形態を示しており、その機能は、上記説明してきたドライバ装置184のものと同一である。
【0226】
図23から図25のドライバ装置184Aは、第1ドライバディスク192Aおよび第2ドライバディスク192Bと、圧縮ばね202と、半径方向に向けられている2つのドライバピン204とを具備する。
【0227】
第1ドライバディスク192Aは、一緒に回転するように、ただし軸方向に偏位可能なように、第1カムキャリアシャフト102に固定して取り付けられている。第2ドライバディスク192Bは、第2カムシャフト44の第2カムキャリアシャフト102’に回転ロックかつ軸方向ロックするように固定されている。
【0228】
第1ドライバディスク192Aは、カムシャフトディスク105に軸方向に支持されている圧縮ばね202によって、第2ドライバディスク192Bに押し当てられている。
【0229】
ドライバピン204は、シャフト26の半径方向軸穴(より詳細には図示していない)に固定して押し込まれており、後者の内周から半径方向内側に延びている。
【0230】
第1ドライバディスク192Aは、開口角206と、軸方向に延びている溝210とを有する。第2ドライバディスク192Bは、軸方向に延びているピン208を有する。
【0231】
図24は、カムシャフト42,44が互いに切り離されているドライバ装置184Aの位置を示しており、結果として、第1カムシャフト42の回転がもっぱら第1歯車機構グループ内のギアチェンジをもたらすが、第2カムシャフト44は同速回転しない。該位置において、第1ドライバディスク192Aは、ドライバピン204に軸方向に支持されており、すなわち、圧縮ばね202によってピン204に軸方向に押し当てられている。ここで、ドライバディスク192A,192Bは、互いに切り離されている。
【0232】
ドライバピン204が開口角206の領域に入るまで第1カムシャフトが回転するとすぐに、圧縮ばね202は、第1ドライバディスク192Aを軸方向に第2ドライバディスク192Bに押し当てることができ、ピン208は、第1ドライバディスク192Aの溝210に押し込まれて、結果として、ドライバディスク192Aと192Bとの間に回転連結が実現する。これを図25に図示する。
【0233】
そのため、第1カムシャフト42のさらなる回転が、同時に第2カムシャフト44の回転を生じさせ、結果として、2つの歯車機構グループをシフトすることができる。その後、ドライバピン204を具備する装置は、開口角206の領域から再び脱する。その結果、第1ドライバディスク192Aは、ドライバピン204の移行ベベルによって、ばね202の力とは反対に、第2ドライバディスク192Bから離れて軸方向に押され、結果として、ドライバディスク192A,192Bは、嵌合から再び脱する。
【0234】
その結果、いずれの場合も、例えば60°の角度にわたる次の回転について、開口角206に再び達するまで、かつ、さらに第2歯車機構グループのギア段もシフトするためには、第1歯車機構グループのギア段のみをシフトすればよい。これは、図17から図21の上記例の場合と同様に、ギア段6から7および12から13のシフトの場合に生じる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25