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特許7467375現金取扱装置、現金取扱システム、現金取扱装置の識別ファームウェア登録方法および現金取扱装置の識別ファームウェア登録プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-05
(45)【発行日】2024-04-15
(54)【発明の名称】現金取扱装置、現金取扱システム、現金取扱装置の識別ファームウェア登録方法および現金取扱装置の識別ファームウェア登録プログラム
(51)【国際特許分類】
   G07D 11/28 20190101AFI20240408BHJP
   G07D 3/00 20060101ALI20240408BHJP
   G07D 5/00 20060101ALI20240408BHJP
   G06F 8/30 20180101ALI20240408BHJP
【FI】
G07D11/28
G07D3/00 C
G07D5/00
G06F8/30
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021042681
(22)【出願日】2021-03-16
(65)【公開番号】P2022142494
(43)【公開日】2022-09-30
【審査請求日】2023-03-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000237639
【氏名又は名称】富士通フロンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002918
【氏名又は名称】弁理士法人扶桑国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡部 英一
(72)【発明者】
【氏名】永嶋 正治
(72)【発明者】
【氏名】松世 栄寿
(72)【発明者】
【氏名】山口 透
【審査官】小島 哲次
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-074476(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07D 1/00-13/00
G07F 19/00
G06Q 40/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬貨識別部が読み取った改鋳された硬貨または記念貨の読取データを取得する読取データ取得部と、
前記読取データ取得部が取得した前記読取データから識別ファームウェアを生成する識別ファームウェア生成部と、
前記識別ファームウェア生成部が生成した前記識別ファームウェアを前記硬貨識別部で使用される識別ファームウェア格納部へ適用する識別ファームウェア適用部と、
を備えた、現金取扱装置。
【請求項2】
現金を取り扱う複数の現金取扱装置がネットワークを介して接続された現金取扱システムにおいて、
前記現金取扱装置は、
硬貨識別部が読み取った改鋳された硬貨または記念貨の読取データを取得する読取データ取得部と、
前記読取データ取得部が取得した前記読取データから識別ファームウェアを生成する識別ファームウェア生成部と、
前記識別ファームウェア生成部が生成した前記識別ファームウェアを前記硬貨識別部で使用される識別ファームウェア格納部へ適用する識別ファームウェア適用部と、
前記識別ファームウェアを前記ネットワークを介して他の前記現金取扱装置に送信してすべての前記現金取扱装置で共有する通信部と、
を有する、現金取扱システム。
【請求項3】
現金を取り扱う複数の現金取扱装置と、前記現金取扱装置にネットワークを介してそれぞれ接続された端末と、前記現金取扱装置および前記端末に前記ネットワークを介して接続された上位制御装置とを備えた現金取扱システムにおいて、
前記現金取扱装置は、
硬貨識別部が読み取った硬貨の読取データを取得する読取データ取得部と、
前記読取データ取得部が取得した前記読取データから識別ファームウェアを生成する識別ファームウェア生成部と、
前記識別ファームウェア生成部が生成した前記識別ファームウェアを前記上位制御装置に送信するとともに前記端末から前記上位制御装置で再構築された再構築識別ファームウェアを受信する通信部と、
前記通信部が受信した前記再構築識別ファームウェアを前記硬貨識別部で使用される識別ファームウェア格納部へ適用する識別ファームウェア適用部と、
を有し、
前記上位制御装置は、
複数の前記現金取扱装置で生成された前記識別ファームウェアを集約する識別ファームウェア集約部と、
前記識別ファームウェア集約部で集約した複数の前記識別ファームウェアを再構築して1つの前記再構築識別ファームウェアにする識別ファームウェア再構築部と、
前記再構築識別ファームウェアをすべての前記端末に配信する再構築識別ファームウェア配信部と、
を有し、
前記端末は、
前記上位制御装置から配信された前記再構築識別ファームウェアを格納する再構築識別ファームウェア格納部を有している、
現金取扱システム。
【請求項4】
現金取扱装置の制御部が、前記現金取扱装置の硬貨識別部が読み取った改鋳された硬貨または記念貨の読取データを取得し、
前記制御部が、前記読取データから識別ファームウェアを生成し、
前記制御部が、生成した前記識別ファームウェアを前記硬貨識別部で使用される識別ファームウェア格納部へ適用する、
現金取扱装置の識別ファームウェア登録方法。
【請求項5】
コンピュータを、
硬貨識別部が読み取った改鋳された硬貨または記念貨の読取データを取得する読取データ取得部、
前記読取データ取得部が取得した前記読取データから識別ファームウェアを生成する識別ファームウェア生成部、
前記識別ファームウェア生成部が生成した前記識別ファームウェアを前記硬貨識別部で使用される識別ファームウェア格納部へ適用する識別ファームウェア適用部、
として機能させる、現金取扱装置の識別ファームウェア登録プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現金取扱装置、現金取扱システム、現金取扱装置の識別ファームウェア登録方法および現金取扱装置の識別ファームウェア登録プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
金融機関の窓口には、オペレータが使用する装置として現金取扱装置、金融端末、通帳プリンタなどが設けられている。現金取扱装置は、紙幣および硬貨の両方を扱うことができ、紙幣および硬貨の種類、汚れなどを識別し、真贋を判定する機能を有している。
【0003】
硬貨の改鋳または紙幣の改刷の際には、改鋳または改刷の都度、現金取扱装置の識別部で使用される識別ファームウェアを更新するべく識別ファームウェアの開発が必要になる。また、既に市場に展開された現金取扱装置に対して、新たに開発した識別ファームウェアを適用するための調整が必要になる(たとえば、特許文献1,2参照)。
【0004】
識別ファームウェアの現金取扱装置への適用は、一般に、あらかじめ準備された識別ファームウェアを金融端末に一旦格納し、現金取扱装置が金融端末から識別ファームウェアをダウンロードして、紙幣または硬貨の識別部へ適用する。
【0005】
ところで、硬貨の場合、現金取扱装置は、現在流通している6種類の硬貨しか受け付けないため、記念貨については、リジェクトの扱いになっているが、記念貨も貨幣として受け付けるため、手元管理として別に管理する必要があり、管理の負担となっている。
【0006】
一方、新たに発行される新硬貨については、同じ種類の硬貨であれば、現行の硬貨とほとんど形状が変わらない傾向があるので、この場合、ハードウェアを変更することなく、識別ファームウェアの変更で対応することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2000-242822号公報
【文献】特開2019-185321号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
新しい貨幣が発行されるときには、現金取扱装置のベンダーは、新貨を識別するための識別ファームウェアを事前に開発することになる。また、その新貨を取り扱うことになる現金取扱装置が設置されている現地では、開発された識別ファームウェアを現金取扱装置に適用する作業が発生する。
【0009】
識別ファームウェアは、ファイル容量が大きいために、開発された識別ファームウェアは、サーバなどの上位の制御装置からネットワークを介して配下の金融端末に配信され、さらに、金融端末から現金取扱装置に送られて適用される。この適用方法は、ネットワーク環境によっては、ネットワーク負荷が掛かるため、敬遠される場合がある。このような場合、現地で保守員が現金取扱装置に直接適用することになるので、作業費用が発生するという費用面での課題がある。
【0010】
また、改鋳された硬貨については、識別ファームウェアを改版で対応するが、その識別ファームウェアは、流通前に作成するために、流通後にも改版が必要になるという開発面での課題がある。改版の適用については、再度、現地で適用作業が発生することにもなってしまう。
【0011】
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、費用面および開発面の課題を解決した、現金取扱装置、現金取扱システム、現金取扱装置の識別ファームウェア登録方法および現金取扱装置の識別ファームウェア登録プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明では、上記の課題を解決するために、1つの案では、硬貨識別部が読み取った改鋳された硬貨または記念貨の読取データを取得する読取データ取得部と、読取データ取得部が取得した読取データから識別ファームウェアを生成する識別ファームウェア生成部と、識別ファームウェア生成部が生成した識別ファームウェアを硬貨識別部で使用される識別ファームウェア格納部へ適用する識別ファームウェア適用部と、を備えた、現金取扱装置が提供される。
【0013】
本発明の別の案では、現金を取り扱う複数の現金取扱装置がネットワークを介して接続された現金取扱システムが提供される。この現金取扱システムの現金取扱装置は、硬貨識別部が読み取った改鋳された硬貨または記念貨の読取データを取得する読取データ取得部と、読取データ取得部が取得した読取データから識別ファームウェアを生成する識別ファームウェア生成部と、識別ファームウェア生成部が生成した識別ファームウェアを硬貨識別部で使用される識別ファームウェア格納部へ適用する識別ファームウェア適用部と、識別ファームウェアをネットワークを介して他の現金取扱装置に送信してすべての現金取扱装置で共有する通信部と、を有する。
【0014】
本発明の別の案では、現金を取り扱う複数の現金取扱装置と、現金取扱装置にネットワークを介してそれぞれ接続された端末と、現金取扱装置および端末にネットワークを介して接続された上位制御装置とを備えた現金取扱システムが提供される。現金取扱システムの現金取扱装置は、硬貨識別部が読み取った硬貨の読取データを取得する読取データ取得部と、読取データ取得部が取得した読取データから識別ファームウェアを生成する識別ファームウェア生成部と、識別ファームウェア生成部が生成した識別ファームウェアを上位制御装置に送信するとともに端末から上位制御装置で再構築された再構築識別ファームウェアを受信する通信部と、通信部が受信した再構築識別ファームウェアを硬貨識別部で使用される識別ファームウェア格納部へ適用する識別ファームウェア適用部と、を有している。現金取扱システムの上位制御装置は、複数の現金取扱装置で生成された識別ファームウェアを集約する識別ファームウェア集約部と、識別ファームウェア集約部で集約した複数の識別ファームウェアを再構築して1つの再構築識別ファームウェアにする識別ファームウェア再構築部と、再構築識別ファームウェアをすべての端末に配信する再構築識別ファームウェア配信部と、を有している。現金取扱システムの端末は、上位制御装置から配信された再構築識別ファームウェアを格納する再構築識別ファームウェア格納部を有している。
【0015】
本発明の別の案では、現金取扱装置の制御部が、現金取扱装置の硬貨識別部が読み取った改鋳された硬貨または記念貨の読取データを取得し、制御部が、読取データから識別ファームウェアを生成し、制御部が、生成した識別ファームウェアを硬貨識別部で使用される識別ファームウェア格納部へ適用する、現金取扱装置の識別ファームウェア登録方法が提供される。
【0016】
本発明の別の案では、コンピュータを、硬貨識別部が読み取った改鋳された硬貨または記念貨の読取データを取得する読取データ取得部、読取データ取得部が取得した読取データから識別ファームウェアを生成する識別ファームウェア生成部、識別ファームウェア生成部が生成した識別ファームウェアを硬貨識別部で使用される識別ファームウェア格納部へ適用する識別ファームウェア適用部、として機能させる、現金取扱装置の識別ファームウェア登録プログラムが提供される。
【発明の効果】
【0017】
上記構成の現金取扱装置、現金取扱システム、現金取扱装置の識別ファームウェア登録方法および現金取扱装置の識別ファームウェア登録プログラムは、硬貨の改鋳があったときなどに、現金取扱装置のベンダーによる識別ファームウェアの開発を待つことなく、識別ファームウェアの新規登録が可能になるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】第1の実施の形態に係る現金取扱装置を示す機能ブロック図である。
図2】第2の実施の形態に係る現金取扱装置の使用例を示す図である。
図3】現金取扱装置の外観を示す図である。
図4】現金取扱装置の機能を示す図である。
図5】現金取扱装置の硬貨部を示す平面図である。
図6】現金取扱装置のハードウェア構成例を示すブロック図である。
図7】識別ファームウェアを登録・更新を行うときの表示操作部の表示例を示す図であって、(A)はメニュー画面、(B)は管理モード画面、(C)は識別登録モード画面、(D)は硬貨識別登録画面、(E)は登録金種選択画面、(F)は新規登録開始画面、(G)は更新金種選択画面、(H)は更新登録開始画面を示している。
図8】硬貨処理ユニットによる識別ファームウェアの登録処理の流れを示すフローチャートである。
図9】識別ファームウェアのデータ構築の例を示す図であって、(A)は1枚目の読取データを示し、(B)は2枚目の読取データを示し、(C)は3枚目の読取データを示している。
図10】第3の実施の形態に係る現金取扱システムの機能を示す図である。
図11】第3の実施の形態に係る現金取扱システムのシステム構成を示す図である。
図12】第4の実施の形態に係る現金取扱システムの機能を示す図である。
図13】第4の実施の形態に係る現金取扱システムのシステム構成を示す図である。
図14】金融端末のハードウェア構成例を示すブロック図である。
図15】サーバによる識別ファームウェアの再構築処理の流れを示すフローチャートである。
図16】第5の実施の形態に係る現金取扱システムのシステム構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面を参照しながら、本発明を実施するための形態を詳細に説明する。なお、図中、同一の符号で示される部分は、同一の構成要素を示している。また、各実施の形態は、矛盾のない範囲で複数の実施の形態を部分的に組み合わせて実施することができる。
【0020】
図1は第1の実施の形態に係る現金取扱装置を示す機能ブロック図である。
第1の実施の形態に係る現金取扱装置10は、硬貨識別部11と、識別ファームウェア格納部12と、読取データ取得部13と、識別ファームウェア生成部14と、識別ファームウェア適用部15とを備えている。
【0021】
硬貨識別部11および識別ファームウェア格納部12は、硬貨を識別するために現金取扱装置10が本来備えている機能である。硬貨識別部11は、各種センサが読み取った硬貨の固有データを識別ファームウェア格納部12に格納されている識別ファームウェアによってデータ処理することで、硬貨の種類(金種)を識別し、真贋判定をする。
【0022】
読取データ取得部13、識別ファームウェア生成部14および識別ファームウェア適用部15は、改鋳された硬貨または記念貨のための識別ファームウェアを新規に登録するために本発明において新たに備えられた機能である。
【0023】
読取データ取得部13は、硬貨識別部11で読み取った登録対象の硬貨の読取データを取得する。硬貨の読み取りは、複数枚の硬貨に対して実施される。識別ファームウェア生成部14は、読取データ取得部13が取得した複数の読取データを入力して登録対象の硬貨のための識別ファームウェアを生成する。識別ファームウェア適用部15は、識別ファームウェア生成部14が生成した識別ファームウェアを硬貨識別部11で使用される識別ファームウェア格納部12へ適用することによって登録する。
【0024】
これにより、現金取扱装置10は、改鋳された硬貨の識別ファームウェアを生成してアップデートするまでの作業を自身で行うことができるので、費用面および開発面での課題を同時に解決することができる。記念貨についても、現金取扱装置10が新たに識別ファームウェアを生成して登録できるので、記念貨の管理上の負担を軽減することができる。さらに、流通することによる硬貨の汚れに起因する識別エラーに対処するため、現金取扱装置10は、使用済みの硬貨の読取データを用いて識別ファームウェアを生成し、識別ファームウェアを更新するために利用することもできる。
【0025】
図2は第2の実施の形態に係る現金取扱装置の使用例を示す図、図3は現金取扱装置の外観を示す図、図4は現金取扱装置の機能を示す図、図5は現金取扱装置の硬貨部を示す平面図、図6は現金取扱装置のハードウェア構成例を示すブロック図である。
【0026】
金融機関の窓口には、図2に示したように、オペレータが使用する装置として現金取扱装置20、金融端末40、通帳プリンタ50などが備えられている。現金取扱装置20および金融端末40は、LAN(Local Area Network)51によって接続され、通帳プリンタ50は、USB(Universal Serial Bus)ケーブル52によって金融端末40に接続されている。
【0027】
現金取扱装置20は、紙幣および硬貨の入出金を行うもので、図3に示したように、上部に表示操作部21および硬貨入金口22を備え、正面には、紙幣入金口23、異物受皿部24、紙幣出金口25および硬貨出金ボックス26a,26bを備えている。
【0028】
現金取扱装置20は、図4に示したように、硬貨部27および紙幣部28を備えている。紙幣部28は、表裏反転部29、紙幣識別部30、紙幣スタッカ31および紙幣カセット32を備えている。紙幣スタッカ31は、紙幣の金種別に用意された一時保留部およびスタッカを有し、紙幣カセット32は、紙幣スタッカ31で過不足があった紙幣のために用意された一時保留部およびカセットを有している。
【0029】
表裏反転部29および紙幣識別部30は、ループ状の搬送部33に配置されている。表裏反転部29は、紙幣入金口23に投入された紙幣を受け入れ、紙幣識別部30に渡す。紙幣識別部30は、紙幣の一方の面の読み取りを行い、搬送部33によって、再度、その紙幣を表裏反転部29に渡す。表裏反転部29は、渡された紙幣の表裏を反転して紙幣識別部30に渡す。紙幣識別部30は、紙幣の他方の面の読み取りを行い、紙幣の識別を行う。
【0030】
紙幣識別部30で識別された紙幣は、搬送部33によって搬送される途中の紙幣スタッカ31にて、対応する金種のスタッカに取り込まれて収容される。紙幣識別部30で識別できなかった紙幣は、異物受皿部24へ搬送される。
【0031】
紙幣を出金するときは、紙幣スタッカ31から、必要金種の紙幣を必要枚数だけ取り出し、紙幣識別部30で識別した後、紙幣出金口25まで搬送される。
紙幣カセット32は、紙幣スタッカ31が満杯で収容できなかった入金紙幣を収容したり、紙幣スタッカ31で不足した出金紙幣を補給したりする機能を有し、紙幣は金種混合で収容される。
【0032】
硬貨部27は、硬貨識別部35、一時保留部36、金種別に用意されたスタッカ37a,37b,37c,37d,37e,37f、搬送部38および硬貨カセット39を有している。
【0033】
この硬貨部27は、硬貨入金口22に硬貨が投入されると、その硬貨は、搬送部38によって硬貨識別部35へ搬送され、ここで、硬貨が識別される。硬貨識別部35で識別された硬貨は、識別結果に応じて対応する金種のスタッカ37a,37b,37c,37d,37e,37fに振り分けられて収容される。硬貨識別部35で識別できなかった硬貨は、硬貨出金ボックス26a,26bへ搬送される。
【0034】
硬貨を出金するときは、スタッカ37a,37b,37c,37d,37e,37fから、必要金種の硬貨を必要枚数だけ取り出し、硬貨識別部35で識別した後、搬送部38によって硬貨出金ボックス26a,26bへ搬送される。硬貨識別部35で識別できなかった硬貨は、硬貨カセット39に収容される。
【0035】
現金取扱装置20は、図6に示すようなハードウェア構成を有し、硬貨識別部35が読み取った読取データを基に硬貨の識別ファームウェアを生成する機能を有するコンピュータである。現金取扱装置20は、制御部20aを備え、この制御部20aによって現金取扱装置20の全体が制御される。制御部20aは、たとえばCPU(Central Processing Unit)である。制御部20aは、バス20fを介して記憶部20bと複数の周辺機器とが接続されている。
【0036】
記憶部20bは、主記憶装置として使用されるRAM(Random Access Memory)と補助記憶装置として使用されるハードディスクとを有し、さらに、識別ファームウェアを格納する不揮発性メモリを有している。
【0037】
RAMには、制御部20aに実行させるOS(Operating System)のプログラム、読取データ取得処理、識別ファームウェア生成処理および識別ファームウェア適用処理を実行するためのアプリケーションプログラムの少なくとも一部が一時的に格納される。また、RAMには、制御部20aによる処理に必要な各種データが格納される。ハードディスクには、OSのプログラム、読取データ取得処理と識別ファームウェア生成処理と識別ファームウェア適用処理とを実行するためのアプリケーションプログラム、および各種データが格納される。
【0038】
現金取扱装置20は、また、複数の周辺機器として表示操作部21、硬貨処理ユニット20c、紙幣処理ユニット20dおよび通信インタフェース20eを有し、それぞれバス20fを介して制御部20aに接続されている。
【0039】
表示操作部21は、画面表示を行うディスプレイと入力操作を行うタッチパネルとを有している。硬貨処理ユニット20cは、搬送部38、入金部20c1、出金部20c2、スタッカ37、硬貨カセット39および硬貨識別部35を有している。通信インタフェース20eは、LAN51によって、金融端末40に接続されている。
【0040】
表示操作部21は、制御部20aからの命令に従って、識別ファームウェア登録処理に関する所定のGUI(Graphical User Interface)をディスプレイの画面に表示させる。タッチパネルは、識別ファームウェア登録操作を行うときに入力された操作指示を制御部20aに通知する。
【0041】
硬貨処理ユニット20cでは、識別ファームウェア登録処理は、制御部20aからの命令に従って、入金部20c1が登録対処の硬貨を受け付け、硬貨識別部35が受け付けた硬貨を識別し、識別済みの硬貨を出金部20c2が出金する。
【0042】
以上のようなハードウェア構成によって、本実施の形態の処理機能を実現することができる。
図7は識別ファームウェアを登録・更新を行うときの表示操作部の表示例を示す図であって、(A)はメニュー画面、(B)は管理モード画面、(C)は識別登録モード画面、(D)は硬貨識別登録画面、(E)は登録金種選択画面、(F)は新規登録開始画面、(G)は更新金種選択画面、(H)は更新登録開始画面を示している。
【0043】
現金取扱装置20は、識別ファームウェアの登録を表示操作部21の画面表示に従って行われる。
まず、表示操作部21に表示されている図7(A)のメニュー画面21aから、「管理モード」のボタンを押下する。これにより、表示操作部21は、図7(B)に示す管理モード画面21bに遷移する。次に、この管理モード画面21bにて、「識別登録モード」のボタンを押下すると、表示操作部21は、図7(C)に示す識別登録モード画面21cに遷移する。識別登録モード画面21cでは、識別ファームウェアの登録を紙幣であるか硬貨であるかを指定する。この識別登録モード画面21cにおいて、「硬貨識別登録」のボタンを押下すると、表示操作部21は、図7(D)に示す硬貨識別登録画面21dに遷移する。
【0044】
硬貨識別登録画面21dにおいて、硬貨の新規登録の場合、「登録」のボタンを押下する。これにより、表示操作部21は、図7(E)に示す登録金種選択画面21eに遷移する。登録金種選択画面21eにおいて、登録する金種が「500円」硬貨の場合、「500円」のボタンを押下する。これにより、表示操作部21は、図7(F)に示す新規登録開始画面21fに遷移し、ここで、「開始」のボタンが押下されると、硬貨処理ユニット20cによる識別ファームウェアの新規登録処理が開始される。
【0045】
硬貨識別登録画面21dにおいて、硬貨の更新登録の場合、「更新」のボタンを押下する。これにより、表示操作部21は、図7(G)に示す更新金種選択画面21gに遷移する。更新金種選択画面21gにおいて、更新する金種が「500円」硬貨の場合、「500円」のボタンを押下する。これにより、表示操作部21は、図7(H)に示す更新登録開始画面21hに遷移する。ここで、選択された金種で登録されている硬貨のボタンを押下した後、「開始」のボタンが押下されると、硬貨処理ユニット20cによる識別ファームウェアの更新登録処理が開始される。
【0046】
図8は硬貨処理ユニットによる識別ファームウェアの登録処理の流れを示すフローチャートである。
[ステップS1]制御部20aは、識別ファームウェアの登録処理が硬貨の場合、硬貨識別登録を選択する。
【0047】
[ステップS2]制御部20aは、入金部20c1に投入され、搬送部38によって搬送された登録用硬貨を硬貨識別部35で読み取り、読取データを取得する。
[ステップS3]制御部20aは、硬貨識別部35で読み取った読取データを基に識別ファームウェアを生成する。
【0048】
[ステップS4]制御部20aは、生成された識別ファームウェアを記憶部20bの識別ファームウェア格納部に適用する。識別ファームウェア格納部では、生成された識別ファームウェアが新規登録の硬貨の場合、生成された識別ファームウェアが新規に登録され、登録済みの硬貨の場合、登録されている識別ファームウェアは、生成された識別ファームウェアによって更新される。
【0049】
図9は識別ファームウェアのデータ構築の例を示す図であって、(A)は1枚目の読取データを示し、(B)は2枚目の読取データを示し、(C)は3枚目の読取データを示している。なお、図9において、読取データは、説明の都合上、解像度を極端に落として示し、かつ、画素は、白または黒の二値データで示している。
【0050】
硬貨識別部35の画像センサが読み取った1枚目の硬貨の読取データが、たとえば図9(A)のように、ドットD1,D2,D3の位置の画素が黒色となるドットパターンを有していたとする。
【0051】
次に読み取った2枚目の硬貨の読取データが、たとえば図9(B)のようなドットパターンを有していたとする。ここで、1枚目の硬貨のドットパターンと2枚目の硬貨のドットパターンとを比較しながら、2枚目の硬貨のドットパターンを回転していく。
【0052】
2枚目の硬貨のドットパターンが1枚目の硬貨のドットパターンに一番近いドットパターンまで回転すると、そのときに得られた2枚目の硬貨の読取データを学習する。すなわち、2枚目の硬貨のドットパターンが1枚目の硬貨のドットパターンに一番近いドットパターンかどうかは、互いに対応する位置のドットの色が一致するかどうかで判断される。ドットパターンのたとえば90%のドットデータが一致した場合、硬貨の一方の面を表したドットパターンであるとして、そのドットパターンの読取データが採用され、学習される。
【0053】
2枚目の硬貨は、図示の例では、2枚目の硬貨のドットパターンを90度反時計回りに回転すると、1枚目の硬貨のドットパターンと一致するので、その回転位置でのドットパターンが学習されることになる。
【0054】
3枚目以降の硬貨についても、読み取った読取データに対して同じような処理をすることで、90%のドットデータが一致した場合、硬貨の一方の面を表したドットパターンとして、そのドットパターンの読取データが学習される。
【0055】
3枚目の硬貨は、図9(C)に示した例では、3枚目の硬貨のドットパターンを270度反時計回りに回転すると、ドットD1,D2が1枚目の硬貨の対応する位置のドットD1,D2と一致するが、ドットD3は、1枚目の硬貨の対応する位置のドットD3に一致しない。この時の読取データは、硬貨の他方の面を表したドットパターンとして、学習される。
【0056】
以上のようにして複数の読取データが得られると、その読取データから硬貨の一方の面の識別ファームウェアと硬貨の他方の面の識別ファームウェアとが生成され、その識別ファームウェアは、識別ファームウェア格納部に適用される。
【0057】
図10は第3の実施の形態に係る現金取扱システムの機能を示す図、図11は第3の実施の形態に係る現金取扱システムのシステム構成を示す図である。
第3の実施の形態は、たとえば、金融機関の支店内において、図10および図11に示したように、窓口業務のための金融端末40A-40Nおよび現金取扱装置20A-20Nが複数組設置されている場合に適用される。金融端末40A-40Nおよび現金取扱装置20A-20Nは、LAN51によって相互に接続されている。
【0058】
現金取扱装置20A-20Nは、それぞれ同じ構成を有している。たとえば、A号機の現金取扱装置20Aは、硬貨識別部21Aと、識別ファームウェア格納部22Aと、読取データ取得部23Aと、識別ファームウェア生成部24Aと、識別ファームウェア適用部25Aと、通信部26Aを備えている。N号機の現金取扱装置20Nは、硬貨識別部21Nと、識別ファームウェア格納部22Nと、読取データ取得部23Nと、識別ファームウェア生成部24Nと、識別ファームウェア適用部25Nと、通信部26Nを備えている。現金取扱装置20Aの通信部26Aおよび現金取扱装置20Nの通信部26Nは、現金取扱装置20Aの通信部26A,20Nが金融端末40A,40Nと通信を行うために本来備えている機能である。
【0059】
第3の実施の形態では、たとえば、A号機の現金取扱装置20Aが硬貨の識別ファームウェアを登録または更新したときに、A号機の識別ファームウェアを他号機の現金取扱装置20B-20Nに送信して、すべての現金取扱装置20A-20Nで共有する。複数金種の硬貨の識別ファームウェアを登録または更新しようとするときに、複数金種の識別ファームウェアの生成を複数の現金取扱装置で分担すれば、識別ファームウェアの登録または更新を短時間で実施することができる。
【0060】
図12は第4の実施の形態に係る現金取扱システムの機能を示す図、図13は第4の実施の形態に係る現金取扱システムのシステム構成を示す図、図14は金融端末のハードウェア構成例を示すブロック図、図15はサーバによる識別ファームウェアの再構築処理の流れを示すフローチャートである。
【0061】
第4の実施の形態は、たとえば、金融機関の支店間において、図12および図13に示したように、窓口業務のための金融端末40A-40N、現金取扱装置20A-20Nおよび上位制御装置とするサーバ60が設置されている場合に適用される。金融端末40A-40N、現金取扱装置20A-20Nおよびサーバ60は、LAN51によって相互に接続されている。
【0062】
現金取扱装置20A-20Nは、それぞれ同じ構成を有している。たとえば、A号機の現金取扱装置20Aは、硬貨識別部21Aと、識別ファームウェア格納部22Aと、読取データ取得部23Aと、識別ファームウェア生成部24Aと、識別ファームウェア適用部25Aと、通信部26Aを備えている。
【0063】
サーバ60は、通信部61、識別ファームウェア集約部62、識別ファームウェア再構築部63および再構築識別ファームウェア配信部64を備えている。サーバ60では、通信部61が現金取扱装置20A-20Nでそれぞれ生成された識別ファームウェアを受信し、識別ファームウェア集約部62が複数の識別ファームウェアを集約し、識別ファームウェア再構築部63が1つの識別ファームウェアに再構築する。再構築された識別ファームウェアは、再構築識別ファームウェア配信部64によって金融端末40A-40Nに配信する。
【0064】
金融端末40A-40Nは、それぞれ同じ構成を有している。たとえば、A号機のための金融端末40Aは、通信部40A1および再構成識別ファームウェア格納部40A2を備えている。サーバ60から配信された再構成識別ファームウェアは、再構成識別ファームウェア格納部40A2に格納される。金融端末40A-40Nは、再構成識別ファームウェア格納部40A2に格納された再構成識別ファームウェアを現金取扱装置20A-20Nにそれぞれ送信する。現金取扱装置20A-20Nでは、再構成識別ファームウェアを識別ファームウェア適用部25Aが識別ファームウェア格納部22Aに適用する。
【0065】
金融端末40A-40Nは、図14に示すようなハードウェア構成を有し、サーバ60から配信された再構築識別ファームウェアを一旦保持し、その保持された再構築識別ファームウェアを現金取扱装置20A-20Nに送信する機能を有するコンピュータである。たとえば、A号機のための金融端末40Aは、制御部41を備え、この制御部41によって金融端末40Aの全体が制御される。制御部41は、たとえばCPUである。制御部41は、バス45を介して記憶部42と複数の周辺機器とが接続されている。
【0066】
記憶部42は、主記憶装置として使用されるRAMと補助記憶装置として使用されるハードディスクとを有している。RAMには、制御部41に実行させるOSのプログラム、再構築識別ファームウェアの中継処理を実行するためのアプリケーションプログラムの少なくとも一部が一時的に格納される。また、RAMには、再構築識別ファームウェア、制御部41による処理に必要な各種データが格納される。ハードディスクには、OSのプログラム、再構築識別ファームウェアの中継処理を実行するためのアプリケーションプログラム、および各種データが格納される。
【0067】
金融端末40Aは、また、複数の周辺機器として入出力インタフェース43および通信インタフェース20eを有し、それぞれバス45を介して制御部41に接続されている。入出力インタフェース43は、表示装置46、入力装置47、イメージ読取装置53および通帳プリンタ50に接続されている。表示装置46は、画面表示を行うディスプレイであり、入出力インタフェース43を介し、制御部41からの命令に従って、画面表示を行う。入力装置47は、キーボード、マウスなどの情報入力装置であり、入力された情報は、入出力インタフェース43を介して制御部41に通知される。イメージ読取装置53は、帳票を読み取るのに使用され、読み取られた画像データは、入出力インタフェース43を介して制御部41に通知される。通帳プリンタ50は、入出力インタフェース43を介し、制御部41からの命令を受けて、通帳に印刷を行う。
【0068】
通信インタフェース44は、LAN51によって、現金取扱装置20Aおよびサーバ60に接続されている。
以上のようなハードウェア構成によって、金融端末40A-40Nの処理機能を実現することができる。
【0069】
サーバ60は、図示を省略するが、金融端末40A-40Nと同様のハードウェア構成を有し、記憶部に格納された識別ファームウェア再構築のアプリケーションプログラムによって、図15に示すような識別ファームウェア再構築処理が実行される。
【0070】
[ステップS11]サーバ60は、識別ファームウェアを生成した配下の現金取扱装置20A-20Nから順次識別ファームウェアを読み込んで集約する。
[ステップS12]サーバ60は、集約された複数の識別ファームウェアから1つの識別ファームウェアに再構築する。この識別ファームウェアの再構築は、たとえば、ドットパターンの対応する座標のドットデータを平均化するなどの手法によって1つの識別ファームウェアに再構築する。
【0071】
[ステップS13]サーバ60は、再構築された再構築識別ファームウェアを順次配下のすべての現金取扱装置20A-20Nに配信する。
図16は第5の実施の形態に係る現金取扱システムのシステム構成を示す図である。
【0072】
第5の実施の形態は、たとえば、金融機関の本支店間において、図16に示したような構成を有するシステムに適用される。すなわち、この現金取扱システムは、たとえば、支店に配置された金融端末40A-40N、現金取扱装置20A-20Nおよびサーバ60がLAN51によって相互に接続され、このLAN51がWAN(Wide Area Network)54に接続されている。WAN54は、他の支店のLAN51aや本店のLAN51bに接続され、LAN51bには、システム全体を統括する最上位のコンピュータであるホスト70が接続されている。
【0073】
この現金取扱システムでは、第4の実施の形態において、サーバ60が担当していた識別ファームウェアの再構築処理をホスト70が行うようにしている。すなわち、ホスト70は、現金取扱装置から識別ファームウェアを直接集約し、識別ファームウェアの再構築を実施し、再構築された識別ファームウェアを直接すべての現金取扱装置へ配信する。
【0074】
なお、識別ファームウェアの集約処理および再構築識別ファームウェアの配信処理をサーバが行い、ホスト70は、識別ファームウェアの再構築処理だけを実施するようにしてもよい。
【0075】
上記については単に本発明の原理を示すものである。さらに、多数の変形、変更が当業者にとって可能であり、本発明は上記に示し、説明した正確な構成および応用例に限定されるものではない。たとえば、第4の実施の形態では、識別ファームウェアの再構築処理をサーバで実施しているが、現金取扱装置20A-20Nの一つが識別ファームウェアの集約、再構築および配信処理を行うようにしてもよい。
【0076】
また、上記の実施の形態では、硬貨の改鋳があったとき、または、記念貨の取り扱いに対応させるためとして説明したが、改刷された紙幣または外国紙幣に対しても、同様の方法にて現金取扱装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0077】
10 現金取扱装置
11 硬貨識別部
12 識別ファームウェア格納部
13 読取データ取得部
14 識別ファームウェア生成部
15 識別ファームウェア適用部
20 現金取扱装置
20A-20N 現金取扱装置
20a 制御部
20b 記憶部
20c 硬貨処理ユニット
20c1 入金部
20c2 出金部
20d 紙幣処理ユニット
20e 通信インタフェース
20f バス
21 表示操作部
21A-21N 硬貨識別部
21a メニュー画面
21b 管理モード画面
21c 識別登録モード画面
21d 硬貨識別登録画面
21e 登録金種選択画面
21f 新規登録開始画面
21g 更新金種選択画面
21h 更新登録開始画面
22 硬貨入金口
22A-22N 識別ファームウェア格納部
23 紙幣入金口
23A-23N 読取データ取得部
24 異物受皿部
24A-24N 識別ファームウェア生成部
25 紙幣出金口
25A-25N 識別ファームウェア適用部
26A-26N 通信部
26a,26b 硬貨出金ボックス
27 硬貨部
28 紙幣部
29 表裏反転部
30 紙幣識別部
31 紙幣スタッカ
32 紙幣カセット
33 搬送部
35 硬貨識別部
36 一時保留部
37,37a,37b,37c,37d,37e,37f スタッカ
38 搬送部
39 硬貨カセット
40,40A-40N 金融端末
40A1 通信部
40A2 再構成識別ファームウェア格納部
41 制御部
42 記憶部
43 入出力インタフェース
44 通信インタフェース
45 バス
46 表示装置
47 入力装置
50 通帳プリンタ
51,51a,51b LAN
52 USBケーブル
53 イメージ読取装置
60 サーバ
61 通信部
62 識別ファームウェア集約部
63 識別ファームウェア再構築部
64 再構築識別ファームウェア配信部
70 ホスト
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16