(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-05
(45)【発行日】2024-04-15
(54)【発明の名称】バスバーモジュール、電池モジュール、及び、リユース電池モジュール製造方法
(51)【国際特許分類】
H01M 50/507 20210101AFI20240408BHJP
H01M 50/503 20210101ALI20240408BHJP
H01M 50/516 20210101ALI20240408BHJP
H01M 50/569 20210101ALI20240408BHJP
H01M 50/597 20210101ALI20240408BHJP
【FI】
H01M50/507
H01M50/503
H01M50/516
H01M50/569
H01M50/597
(21)【出願番号】P 2021122107
(22)【出願日】2021-07-27
【審査請求日】2022-12-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】雄鹿 達也
(72)【発明者】
【氏名】向笠 博貴
(72)【発明者】
【氏名】中川 真理子
(72)【発明者】
【氏名】土屋 和彦
【審査官】松嶋 秀忠
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第202395111(CN,U)
【文献】特開2013-051175(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第112310562(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第112297847(CN,A)
【文献】特開2013-175432(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/50-598
H01M 10/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電池セルがそれぞれ有する電極端子を電気的に接続するバスバーと、
前記バスバーに電気的に接続される検出導体とを備え、
前記バスバーは、
それぞれ異なる前記電極端子に接合される一対の電極接合部、前記一対の電極接合部を相互に連結しかつ
前記電池セルをリユースする際に当該一対の電極接合部がそれぞれ前記電極端子に接合された状態で当該一対の電極接合部の間で切断
される部分である連結部、及び、前記一対の電極接合部からそれぞれ延在
し前記電池セルをリユースする際に接合される部分である一対の再接合可能部を含み、前記一対の電極接合部と前記連結部とが、前記異なる電極端子に渡って設けられ当該異なる電極端子同士を電気的に接続する1次使用時導通接続部を構成
し、
前記一対の電極接合部、前記連結部、及び、前記一対の再接合可能部は、一体で形成され、
前記連結部は、前記検出導体が電気的に接続される部分である接続タブ部、及び、前記接続タブ部を挟んで両側にそれぞれ設けられ前記連結部を切断する際に前記連結部において切断可能な部位の目印となる切り込み部を含む、
バスバーモジュール。
【請求項2】
前記電極接合部、又は、当該電極接合部から延在する前記再接合可能部は、当該電極接合部が接合される前記電極端子の極性を表す極性記号部を有する
請求項
1に記載のバスバーモジュール。
【請求項3】
複数の電池セルがそれぞれ有する電極端子を電気的に接続するバスバーと、
前記バスバーに電気的に接続される検出導体とを備え、
前記バスバーは、
それぞれ異なる前記電極端子に接合されかつ相互に分断されている一対の電極接合部、前記一対の電極接合部からそれぞれ延在
し前記電池セルをリユースする際に接合される部分である一対の再接合可能部
、前記一対の再接合可能部に渡って接合される接合部材
、及び、前記検出導体が電気的に接続される部分である接続タブ部を含み、前記一対の電極接合部と前記一対の再接合可能部と前記接合部材とが、前記異なる電極端子に渡って設けられ当該異なる電極端子同士を電気的に接続する2次使用時導通接続部を構成
し、
前記一対の電極接合部及び前記一対の再接合可能部のうち、
第1の前記電極接合部と第1の前記再接合可能部とは、前記接続タブ部と共に一体で形成され、
第2の前記電極接合部と第2の前記再接合可能部とは、一体で形成され、
前記接合部材は、第1の前記電極接合部、第1の前記再接合可能部と第2の前記電極接合部、第2の前記再接合可能部とが相互に分断されている状態で、第1の前記再接合可能部と第2の前記再接合可能部とに渡って接合する、
バスバーモジュール。
【請求項4】
複数の電池セルと、
前記電池セルと電気的に接続されるバスバーモジュールとを備え、
前記バスバーモジュールは、
前記複数の電池セルがそれぞれ有する電極端子を電気的に接続するバスバーと、
前記バスバーに電気的に接続される検出導体とを備え、
前記バスバーは、
それぞれ異なる前記電極端子に接合される一対の電極接合部、前記一対の電極接合部を相互に連結しかつ
前記電池セルをリユースする際に当該一対の電極接合部がそれぞれ前記電極端子に接合された状態で当該一対の電極接合部の間で切断
される部分である連結部、及び、前記一対の電極接合部からそれぞれ延在
し前記電池セルをリユースする際に接合される部分である一対の再接合可能部を含み、前記一対の電極接合部と前記連結部とが、前記異なる電極端子に渡って設けられ当該異なる電極端子同士を電気的に接続する1次使用時導通接続部を構成
し、
前記一対の電極接合部、前記連結部、及び、前記一対の再接合可能部は、一体で形成され、
前記連結部は、前記検出導体が電気的に接続される部分である接続タブ部、及び、前記接続タブ部を挟んで両側にそれぞれ設けられ前記連結部を切断する際に前記連結部において切断可能な部位の目印となる切り込み部を含む、
電池モジュール。
【請求項5】
複数の電池セルと、
前記電池セルと電気的に接続されるバスバーモジュールとを備え、
前記バスバーモジュールは、
前記複数の電池セルがそれぞれ有する電極端子を電気的に接続するバスバーと、
前記バスバーに電気的に接続される検出導体とを備え、
前記バスバーは、
それぞれ異なる前記電極端子に接合されかつ相互に分断されている一対の電極接合部、前記一対の電極接合部からそれぞれ延在
し前記電池セルをリユースする際に接合される部分である一対の再接合可能部
、前記一対の再接合可能部に渡って接合される接合部材
、及び、前記検出導体が電気的に接続される部分である接続タブ部を含み、前記一対の電極接合部と前記一対の再接合可能部と前記接合部材とが、前記異なる電極端子に渡って設けられ当該異なる電極端子同士を電気的に接続する2次使用時導通接続部を構成
し、
前記一対の電極接合部及び前記一対の再接合可能部のうち、
第1の前記電極接合部と第1の前記再接合可能部とは、前記接続タブ部と共に一体で形成され、
第2の前記電極接合部と第2の前記再接合可能部とは、一体で形成され、
前記接合部材は、第1の前記電極接合部、第1の前記再接合可能部と第2の前記電極接合部、第2の前記再接合可能部とが相互に分断されている状態で、第1の前記再接合可能部と第2の前記再接合可能部とに渡って接合する、
電池モジュール。
【請求項6】
複数の電池セルがそれぞれ有する電極端子を電気的に接続するバスバーと、前記バスバーに電気的に接続される検出導体とを備え、前記バスバーが、それぞれ異なる前記電極端子に接合される一対の電極接合部、前記一対の電極接合部を相互に連結する連結部、及び、前記一対の電極接合部からそれぞれ延在
し前記電池セルをリユースする際に接合される部分である一対の再接合可能部を含むバスバーモジュールの、前記一対の電極接合部をそれぞれ前記異なる電極端子に接合し、前記一対の電極接合部と前記連結部とによって、前記異なる電極端子に渡って設けられ当該異なる電極端子同士を電気的に接続する1次使用時導通接続部を構成し、前記複数の電池セルによって電池モジュールを構成する1次使用時接続工程と、
前記一対の電極接合部がそれぞれ前記電極端子に接合された状態で当該一対の電極接合部の間で前記連結部を切断して前記一対の電極接合部を相互に分断し、前記電池モジュールを構成する前記複数の電池セルを相互に分離可能な状態とする切断工程と、
前記分離可能な状態とされた前記複数の電池セルのうち入れ替えを要する前記電池セルを入れ替えると共に、当該入れ替えられた前記電池セルを含む2つの前記電池セルにそれぞれ設けられた前記再接合可能部に渡って接合部材を接合し、前記一対の電極接合部と前記一対の再接合可能部と前記接合部材とによって、前記異なる電極端子に渡って設けられ当該異なる電極端子同士を電気的に接続する2次使用時導通接続部を構成し、少なくとも入れ替えられた前記電池セルを含むリユース電池モジュールを構成する2次使用時接続工程とを含
み、
前記連結部は、前記電池セルをリユースする際に前記一対の電極接合部がそれぞれ前記電極端子に接合された状態で当該一対の電極接合部の間で切断される部分であり、前記検出導体が電気的に接続される部分である接続タブ部、及び、前記接続タブ部を挟んで両側にそれぞれ設けられ前記連結部を切断する際に前記連結部において切断可能な部位の目印となる切り込み部を含む、
リユース電池モジュール製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バスバーモジュール、電池モジュール、及び、リユース電池モジュール製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、互いに離間して形成された複数の溶接部を有すると共に、前記複数の溶接部の間に破断可能な破断部が設けられたバスバーが開示されている。このバスバーは、溶接不良が生じた場合に1モジュール分の材料を廃棄することなく、溶接をやり直すことができるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、HEV(Hybrid Electric Vehicle)やEV(Electric Vehicle)等の電動車両は、近年、多くの電池を搭載するようになっている。このような電動車両に搭載された電池は、近年の電動車両の増加に伴って、今後、廃車を迎える車両の電池廃棄処理の増加が予想されている。このため、このような電池は、リユース(再利用)等によって廃棄量を減らすことが望まれているが、例えば、上述の特許文献1に記載されたようなバスバーも、これに応じてリユースし易い構成が望まれている。
【0005】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、適正にリユースすることができるバスバーモジュール、電池モジュール、及び、リユース電池モジュール製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係るバスバーモジュールは、複数の電池セルがそれぞれ有する電極端子を電気的に接続するバスバーと、前記バスバーに電気的に接続される検出導体とを備え、前記バスバーは、それぞれ異なる前記電極端子に接合される一対の電極接合部、前記一対の電極接合部を相互に連結しかつ当該一対の電極接合部がそれぞれ前記電極端子に接合された状態で当該一対の電極接合部の間で切断可能である連結部、及び、前記一対の電極接合部からそれぞれ延在する一対の再接合可能部を含み、前記一対の電極接合部と前記連結部とが、前記異なる電極端子に渡って設けられ当該異なる電極端子同士を電気的に接続する1次使用時導通接続部を構成する。
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係るバスバーモジュールは、複数の電池セルがそれぞれ有する電極端子を電気的に接続するバスバーと、前記バスバーに電気的に接続される検出導体とを備え、前記バスバーは、それぞれ異なる前記電極端子に接合されかつ相互に分断されている一対の電極接合部、前記一対の電極接合部からそれぞれ延在する一対の再接合可能部、及び、前記一対の再接合可能部に渡って接合される接合部材を含み、前記一対の電極接合部と前記一対の再接合可能部と前記接合部材とが、前記異なる電極端子に渡って設けられ当該異なる電極端子同士を電気的に接続する2次使用時導通接続部を構成する。
【0008】
上記目的を達成するために、本発明に係る電池モジュールは、複数の電池セルと、前記電池セルと電気的に接続されるバスバーモジュールとを備え、前記バスバーモジュールは、前記複数の電池セルがそれぞれ有する電極端子を電気的に接続するバスバーと、前記バスバーに電気的に接続される検出導体とを備え、前記バスバーは、それぞれ異なる前記電極端子に接合される一対の電極接合部、前記一対の電極接合部を相互に連結しかつ当該一対の電極接合部がそれぞれ前記電極端子に接合された状態で当該一対の電極接合部の間で切断可能である連結部、及び、前記一対の電極接合部からそれぞれ延在する一対の再接合可能部を含み、前記一対の電極接合部と前記連結部とが、前記異なる電極端子に渡って設けられ当該異なる電極端子同士を電気的に接続する1次使用時導通接続部を構成する。
【0009】
上記目的を達成するために、本発明に係る電池モジュールは、複数の電池セルと、前記電池セルと電気的に接続されるバスバーモジュールとを備え、前記バスバーモジュールは、前記複数の電池セルがそれぞれ有する電極端子を電気的に接続するバスバーと、前記バスバーに電気的に接続される検出導体とを備え、前記バスバーは、それぞれ異なる前記電極端子に接合されかつ相互に分断されている一対の電極接合部、前記一対の電極接合部からそれぞれ延在する一対の再接合可能部、及び、前記一対の再接合可能部に渡って接合される接合部材を含み、前記一対の電極接合部と前記一対の再接合可能部と前記接合部材とが、前記異なる電極端子に渡って設けられ当該異なる電極端子同士を電気的に接続する2次使用時導通接続部を構成する。
【0010】
上記目的を達成するために、本発明に係るリユース電池モジュール製造方法は、複数の電池セルがそれぞれ有する電極端子を電気的に接続するバスバーと、前記バスバーに電気的に接続される検出導体とを備え、前記バスバーが、それぞれ異なる前記電極端子に接合される一対の電極接合部、前記一対の電極接合部を相互に連結する連結部、及び、前記一対の電極接合部からそれぞれ延在する一対の再接合可能部を含むバスバーモジュールの、前記一対の電極接合部をそれぞれ前記異なる電極端子に接合し、前記一対の電極接合部と前記連結部とによって、前記異なる電極端子に渡って設けられ当該異なる電極端子同士を電気的に接続する1次使用時導通接続部を構成し、前記複数の電池セルによって電池モジュールを構成する1次使用時接続工程と、前記一対の電極接合部がそれぞれ前記電極端子に接合された状態で当該一対の電極接合部の間で前記連結部を切断して前記一対の電極接合部を相互に分断し、前記電池モジュールを構成する前記複数の電池セルを相互に分離可能な状態とする切断工程と、前記分離可能な状態とされた前記複数の電池セルのうち入れ替えを要する前記電池セルを入れ替えると共に、当該入れ替えられた前記電池セルを含む2つの前記電池セルにそれぞれ設けられた前記再接合可能部に渡って接合部材を接合し、前記一対の電極接合部と前記一対の再接合可能部と前記接合部材とによって、前記異なる電極端子に渡って設けられ当該異なる電極端子同士を電気的に接続する2次使用時導通接続部を構成し、少なくとも入れ替えられた前記電池セルを含むリユース電池モジュールを構成する2次使用時接続工程とを含む。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係るバスバーモジュール、電池モジュール、及び、リユース電池モジュール製造方法は、適正にリユースすることができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、実施形態に係る電池パックのリユース前の概略構成を表す斜視図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る電池パックのリユース前の概略構成を表す分解斜視図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る電池パックが備えるリユース前のバスバーの概略構成を表す部分斜視図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る電池パックのリユース後の概略構成を表す斜視図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る電池パックが備えるリユース後のバスバーの概略構成を表す部分斜視図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係るリユース電池モジュール製造方法を表すフローチャートである。
【
図7】
図7は、変形例に係る電池パックが備えるバスバーの概略構成を表す部分斜視図である。
【
図8】
図8は、変形例に係る電池パックが備えるバスバーの概略構成を表す部分斜視図である。
【
図9】
図9は、変形例に係る電池パックが備えるバスバーの概略構成を表す部分斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0014】
なお、以下の説明では、互いに交差する第1方向、第2方向、及び、第3方向のうち、第1方向を「配列方向X」といい、第2方向を「幅方向Y」といい、第3方向を「高さ方向Z」という。ここでは、第1方向としての配列方向Xと第2方向としての幅方向Yと第3方向としての高さ方向Zとは、相互に直交する。以下の説明で用いる各方向は、特に断りの無い限り、各部が相互に組み付けられた状態での方向として説明する。
【0015】
[実施形態]
図1、
図2に示す本実施形態に係るバスバーモジュール1は、車両に搭載される電池パック100に適用される。電池パック100は、例えば、モータ等の電動機を駆動源として備える車両(電気自動車やハイブリッド車等)に搭載されるものであり、当該電動機に対する給電等に供されるものである。電池パック100は、電池モジュール110と、監視装置120とを備える。電池モジュール110は、組電池111と、バスバーモジュール1とを備える。
【0016】
組電池111は、配列方向Xに沿って配列された複数の電池セル(単電池)112によって構成される。バスバーモジュール1は、組電池111を構成する複数の電池セル112と電気的に接続される。監視装置120は、各電池セル112の状態(電圧、電流、温度等)を監視する電池監視ユニットを構成する演算装置であり、例えば、ECU(Electronic Control Unit)・マイコン等である。バスバーモジュール1は、各電池セル112とこの監視装置120とを電気的に接続するものである。監視装置120は、バスバーモジュール1を介して得られる電池セル112の状態を表す情報(電圧情報、電流情報、温度情報等)に基づいて各電池セル112の状態を監視し充放電制御等の各種制御に利用する。
【0017】
ここではまず、
図1、
図2等を参照して、バスバーモジュール1の接続対象である各電池セル112について説明しておく。各電池セル112は、それぞれ、セル本体113と、2つの電極端子114とを有する。セル本体113は、電池セル112を構成する主たる部分である。ここでは、セル本体113は、略直方体板状に形成され、内部に各部が収容される。2つの電極端子114は、セル本体113のいずれかの場所に外方に露出させた状態で各々設けられる。2つの電極端子114は、一方が正極となり、他方が負極となる。電極端子114は、例えば、セル本体113の外壁面に設けた板状のものでもよいし、セル本体113の外壁面から突出させた柱状の極柱であってもよい。ここでは、電極端子114は、略矩形板状に形成された電極であるものとして説明する。組電池111は、それぞれの電池セル112のいずれか一方の電極端子114を一列に並べ、かつ、他方の電極端子114も一列に並べた状態で、それぞれの電池セル112を連ねて配列している。このため、この電池モジュール110では、一列に並べられた電極端子114からなる電極端子群115が2箇所に設けられている。ここでは、電池セル112は、各セル本体113が略直方体板状に形成されており、その6つの外壁面のうちの1つに正負それぞれの電極端子114を設けている。このため、電池モジュール110は、配列方向Xに沿って配列された電池セル112によって全体として略直方体状に形成され、複数の電池セル112からなる集合体として6つの壁面を有している。そして、この電池モジュール110は、集合体の6つの壁面のうちの1つにそれぞれの電極端子群115が設けられている。バスバーモジュール1は、このような構成の電池モジュール110に対して、それぞれの電極端子群115のうちの少なくとも一方に電気的に接続される。ここでは、バスバーモジュール1は、2つの電極端子群115の双方に電気的に接続される。
【0018】
このような構成にあって、本実施形態のバスバーモジュール1は、電池セル112の電極端子114に電気的に接続されるバスバー10に再接合可能部13が付加されていることで、適正にリユースすることができる構成を実現している。
図1、
図2、
図3は、リユース前の1次使用時におけるバスバーモジュール1、電池モジュール110を表している。一方、
図4、
図5は、リユース後の2次使用時におけるバスバーモジュール1、電池モジュール110を表している。以下、各図を参照してバスバーモジュール1の構成について詳細に説明する。
【0019】
以下では、まず、
図1、
図2、
図3を参照してリユース前のバスバーモジュール1、電池モジュール110について説明した後、
図4、
図5を参照してリユース後のバスバーモジュール1、電池モジュール110について説明する。なお、以下の説明では、
図4、
図5に示すリユース後の電池モジュール110を特に「リユース電池モジュール110R」という場合がある。同様に、リユース後のバスバーモジュール1を特に「リユースバスバーモジュール1R」という場合があり、リユース後のバスバー10を特に「リユースバスバー10R」という場合があり、リユース後の電池セル112を特に「リユース電池セル112R」という場合がある。
【0020】
具体的には、
図1、
図2、
図3に示すリユース前のバスバーモジュール1は、バスバー10と、ケース20と、検出導体30とを備える。バスバー10は、複数の電池セル112がそれぞれ有する電極端子114を電気的に接続する接続端子である。ケース20は、バスバー10を収容、保持する筐体である。検出導体30は、バスバー10に電気的に接続され、各バスバー10と上記監視装置120とを電気的に接続する検出線である。バスバーモジュール1は、この他、サーミスタや各種センサ等を備えていてもよい。
【0021】
バスバー10は、配列された複数の電池セル112のうちの少なくとも1つを接続対象とし、その接続対象となる電池セル112が有する2つの電極端子114のうちの1つに対して電気的に接続される。より具体的には、バスバー10は、配列方向Xに沿って隣接する電池セル112がそれぞれ有する2つの電極端子114の一方同士を電気的に接続する電極接続バスバーを構成する。バスバー10は、電池モジュール110において要求される複数の電池セル112の接続方式に応じて、隣接する電池セル112の電極端子114同士を相互に電気的に接続する。バスバー10は、電池モジュール110において複数の電池セル112を直列接続する場合には、隣接する一方の電池セル112において正極を構成する電極端子114と、他方の電池セル112において負極を構成する電極端子114とを接続する。この場合、電池モジュール110は、それぞれの電極端子群115において、正極の電極端子114と負極の電極端子114とが交互に配置されている。バスバー10は、電池モジュール110において複数の電池セル112を並列接続する場合には、隣接する電池セル112の正極を構成する電極端子114同士、又は、負極を構成する電極端子114同士を接続する。この場合、電池モジュール110は、それぞれの電極端子群115において、同極のものが並べて配置されている。
【0022】
なお、電池モジュール110は、バスバー10で連結されない電極端子114が2つ存在しており、その内の一方が総正極となり、その内の他方が総負極となる。ここでの各図は、電池モジュール110において複数の電池セル112が直列接続された場合、すなわち、それぞれの電極端子群115において、正極と負極の電極端子114が交互に配置されている場合を例示しており、一方の電極端子群115に、総正極、及び、総負極の双方が位置している。そして、電池モジュール110は、これら総正極、総負極となる電極端子114に対してそれぞれ総正極バスバー116、総負極バスバー117が電気的に接続されている。これら総正極バスバー116、総負極バスバー117も、バスバー10と同様に、後述するようなリユース可能とする構造を備えていてもよい。
【0023】
本実施形態のバスバー10は、リユース前のバスバーモジュール1において、一対の電極接合部11、連結部12、及び、一対の再接合可能部13を含んで構成され、これらが導電性を有する金属材料によって一体で形成される。バスバー10は、一対の電極接合部11、連結部12、及び、一対の再接合可能部13によって、全体として略コの字型形板状に形成される。
【0024】
一対の電極接合部11は、それぞれ異なる電極端子114に接合される部分である。各電極接合部11は、それぞれ異なる電極端子114に対して接合されることで、当該電極端子114に電気的に接続される。すなわち、一対の電極接合部11のうち第1の電極接合部11は、第1の電池セル112に設けられた第1の電極端子114に接合される。一方、一対の電極接合部11のうち第2の電極接合部11は、第1の電池セル112に隣接して位置する第2の電池セル112に設けられた第2の電極端子114に接合される。本実施形態の電極接合部11と電極端子114との接合の形式は、溶接接合である。つまりここでは、一対の電極接合部11は、それぞれ略矩形状の溶接領域として形成される。そして、各電極接合部11は、電極端子114に対して溶接(例えば、レーザ溶接等)されることで、当該電極端子114に電気的に接続される。なお、電極接合部11と電極端子114との接合の形式は、溶接接合に限らず、例えば、溶接接合にかえてボルト接合等が採用されることも許容される。
【0025】
連結部12は、一対の電極接合部11を相互に連結する部分である。連結部12は、複数の電池セル112の配列方向Xに沿って一対の電極接合部11の間に渡って延在し、当該一対の電極接合部11と一体で形成される。つまり、一対の電極接合部11は、配列方向Xに対して当該連結部12を介在させて一連なりとなっている。
【0026】
ここでは、連結部12は、接続タブ部12aを含んで構成される。接続タブ部12aは、検出導体30が電気的に接続される部分である。接続タブ部12aは、連結部12において配列方向Xの中央部分から幅方向Yに沿って一方側に突出して板状に形成される。
【0027】
そして、本実施形態の連結部12は、一対の電極接合部11がそれぞれ電極端子114に接合(溶接)された状態で当該一対の電極接合部11の間で切断可能である。連結部12は、一対の電極接合部11の間で切断されることで、一方の電極接合部11と他方の電極接合部11とを分断可能である。
【0028】
ここでは、連結部12は、切断可能な部位に形成された切り込み部12bを有する。切り込み部12bは、連結部12において切断可能な部位の目印となる部分である。ここでは、切り込み部12bは、幅方向Yに沿って凹部状に切り込まれた部位として形成されている。切り込み部12bは、連結部12において、接続タブ部12aの配列方向Xの両側にそれぞれ設けられる。また、各切り込み部12bは、幅方向Yに対して連結部12の両側に対向して一対で設けられる。つまりここでは、切り込み部12bは、幅方向Yに対して対向した一対を1組とし、接続タブ部12aの配列方向Xの両側にそれぞれ1組ずつ、合計2組が設けられる。
【0029】
一対の再接合可能部13は、一対の電極接合部11からそれぞれ延在する部分である。一対の再接合可能部13は、一対の電極接合部11からそれぞれ幅方向Yに沿って延在し、当該各電極接合部11と一体で形成される。すなわち、一対の再接合可能部13のうち第1の再接合可能部13は、第1の電極接合部11に連接して設けられ、当該第1の電極接合部11から幅方向Yに沿って延在する。一方、一対の再接合可能部13のうち第2の再接合可能部13は、第2の電極接合部11に連接して設けられ、当該第2の電極接合部11から幅方向Yに沿って延在する。言い換えれば、第1の電極接合部11と第1の再接合可能部13とは、一体で形成され、配列方向Xに対して連結部12を基準として一方側に位置する。第2の電極接合部11と第2の再接合可能部13とは、一体で形成され、配列方向Xに対して連結部12を基準として他方側に位置する。そして、一対の再接合可能部13は、配列方向Xに対して上述の切り込み部12b等やスリット形状を介在させて相互に分断されている。一対の再接合可能部13は、後述するようにバスバーモジュール1、電池モジュール110のリユース時に、接合部材15Rによって相互に接合されて2次使用時導通接続部16Rを構成する部分である(
図4、
図5参照)。ここでは、一対の再接合可能部13は、それぞれ略矩形状の溶接領域として形成される。
【0030】
上記のように構成される一対の電極接合部11と連結部12とは、リユース前の状態において、異なる電極端子114に渡って設けられ当該異なる電極端子114同士を電気的に接続する1次使用時導通接続部14を構成する。1次使用時導通接続部14は、リユース前のバスバーモジュール1において、隣接する一方の電池セル112の電極端子114と、他方の電池セル112の電極端子114とを導通接続する部分である。1次使用時導通接続部14は、配列方向Xに沿って隣接する一方の電池セル112の電極端子114と、他方の電池セル112の電極端子114とに渡って延在し、各電極接合部11がそれぞれ異なる電極端子114に接合(溶接)されている。
【0031】
ケース20は、上記のように構成されるバスバー10を配列方向Xに沿って複数並べて収容、保持する。ケース20は、バスバー10を収容する収容室が配列方向Xに沿って複数並んで配列され、当該各収容室がヒンジ等の変位吸収構造を介して相互に連結されることで構成されている。ケース20は、各収容室にそれぞれ1つずつバスバー10を収容し、各電極接合部11を電極端子114に接続可能な姿勢で保持する。ケース20は、電極端子群115ごとに1つずつ、合計2つが設けられており、それぞれ電極端子群115を構成する電極端子114の数に応じた数の収容室を有している。ここでは、一方のケース20は、上述した総正極バスバー116、総負極バスバー117を収容、保持する収容室も含んで構成されている。
【0032】
検出導体30は、上記のように構成される複数のバスバー10とそれぞれ電気的に接続され、各バスバー10と上記監視装置120とを電気的に接続する。検出導体30は、例えば、フレキシブルプリント基板(FPC:Flexible Printed Circuits)によって構成することができる。すなわちこの場合、検出導体30は、フレキシブルプリント基板を構成する回路体(導体層)によって構成される。検出導体30は、バスバー10の接続タブ部12aに対して溶接、あるいは、締結されることで、各バスバー10とそれぞれ電気的に接続される。検出導体30は、例えば、中継バスバー等を介して接続タブ部12aに電気的に接続されてもよい。また、検出導体30は、フレキシブルプリント基板に限らず、絶縁電線等によって構成されてもよい。
【0033】
上記のように構成されるバスバーモジュール1は、複数のバスバー10、ケース20、検出導体30がモジュール化された状態で、組電池111に組み付けられ、各電極接合部11が各電極端子114に対して接合されることで電池モジュール110を構成する。
【0034】
この構成により、バスバーモジュール1は、リユース前の1次使用時において、各バスバー10の1次使用時導通接続部14を介して、隣接する電池セル112の電極端子114同士を導通接続する。そして、バスバーモジュール1は、検出導体30を介して各バスバー10と監視装置120とを電気的に接続することで、各電池セル112とこの監視装置120とを電気的に接続することができる。
【0035】
次に、
図4、
図5を参照してリユース後のバスバーモジュール1(リユースバスバーモジュール1R)、電池モジュール110(リユース電池モジュール110R)について説明する。
図4、
図5に示すリユースバスバーモジュール1Rは、リユース電池モジュール110Rに適用されたバスバーモジュール1であり、リユース前のバスバー10に対して所定のリユース加工が施されたリユースバスバー10Rを備える。
【0036】
具体的には、リユースバスバー10Rは、リユース前のバスバー10において、一対の電極接合部11がそれぞれ電極端子114に接合(溶接)された状態で当該一対の電極接合部11の間で連結部12を切断して一対の電極接合部11を相互に分断することで形成される。つまり、リユース前のバスバー10において、1次使用時導通接続部14を構成していた連結部12は、電極端子114に接合された状態の一対の電極接合部11を相互に切断(分断)するための切断(分断)部位として機能する。言い換えれば、リユース前のバスバー10の1次使用時導通接続部14は、リユースのため、連結部12において一対の電極接合部11に分断される。連結部12の切断は、例えば、絶縁カッター等の切断工具を用いて行われる。連結部12の切断端面にはこのときに生じた切断痕が形成されている。これにより、電池モジュール110において、1次使用時導通接続部14によって相互に接続されていたリユース前の複数の電池セル112は、相互に分離可能な状態となる。典型的には、バスバーモジュール1は、入れ替えを要する電池セル112に接続されているバスバー10の各連結部12が切断される。
【0037】
なおこのとき、連結部12は、接続タブ部12aの脇に設けられたいずれかの切り込み部12bを目安にして切断されることで、接続タブ部12aと検出導体30との導通接続を維持して切断し易くすることができる。またここでは、ケース20は、バスバー10と共には切断されないものとして図示しているがこれに限らず、連結部12の切断に際し、当該ケース20の一部も切断されるものであってもよい。
【0038】
そして、リユースバスバー10Rは、上記ように分離可能な状態となった電池セル112のうちリユース電池セル112Rとして使用可能なものの電極端子114を他の電池セル112の電極端子114に接続する形態として構成される。
【0039】
より具体的には、リユース電池モジュール110Rは、少なくとも1つのリユース電池セル112Rを含んで構成される電池モジュール110である。リユース電池モジュール110Rは、上記のように連結部12が切断されることで分離可能な状態とされた複数の電池セル112のうちの2つの電池セル(少なくとも一方がリユース電池セル112R)にそれぞれ設けられた再接合可能部13に渡って接合部材15Rが接合されることで構成される。
【0040】
この場合において、リユースバスバー10Rは、相互に分断された一対の電極接合部11と一対の再接合可能部13と接合部材15Rとによって、異なる電極端子114に渡って設けられ当該異なる電極端子114同士を電気的に接続する2次使用時導通接続部16Rを構成する。
【0041】
つまりこの場合、リユースバスバー10Rは、それぞれ異なる電極端子114に接合(溶接)されかつ相互に分断されている一対の電極接合部11、一対の電極接合部11からそれぞれ延在する一対の再接合可能部13、及び、一対の再接合可能部13に渡って接合される接合部材15Rを含む。ここでは、一対の再接合可能部13は、典型的には、それぞれ溶接跡等がない新生面の溶接領域として機能する。そして、本実施形態の接合部材15Rは、例えば、当該一対の再接合可能部13に対して溶接(例えば、レーザ溶接等)されることで、当該一対の再接合可能部13に渡って電気的に接続される。
【0042】
上記のように構成される一対の電極接合部11と一対の再接合可能部13と接合部材15Rとは、リユース後の状態において、異なる電極端子114に渡って設けられ当該異なる電極端子114同士を電気的に接続する2次使用時導通接続部16Rを構成する。2次使用時導通接続部16Rは、リユース後のリユースバスバーモジュール1Rにおいて、リユース電池セル112Rの電極端子114と、これと隣接する電池セル112(こちらもリユース電池セル112Rであってもよい。)の電極端子114とを導通接続する部分である。2次使用時導通接続部16Rは、配列方向Xに沿って隣接する一方の電池セル112の電極端子114と、他方の電池セル112の電極端子114とに渡って接合部材15Rを介して延在し、各電極接合部11がそれぞれ異なる電極端子114に接合された状態で維持されている。
【0043】
上記のように構成されるリユースバスバーモジュール1Rは、リユース後の2次使用時において、リユースバスバー10Rの2次使用時導通接続部16Rを介して、リユース電池セル112Rを含む隣接する電池セル112の電極端子114同士を導通接続する。そして、リユースバスバーモジュール1Rは、検出導体30を介してリユースバスバー10Rを含む各バスバー10と監視装置120とを電気的に接続することで、リユース電池セル112Rを含む各電池セル112とこの監視装置120とを電気的に接続することができる。
【0044】
なおここでは、リユース電池モジュール110Rは、複数の電池セル112のうちの1つがリユース電池セル112Rとして入れ替えられたものとして図示しているが、これに限らず、すべての電池セル112がリユース電池セル112Rに入れ替えられたものであってもよい。この場合、リユースバスバーモジュール1Rは、すべてのバスバー10がリユースバスバー10Rを構成することとなる。
【0045】
次に、
図6を参照して、上記のように構成されるリユース電池モジュール110Rの製造方法(リユース電池モジュール製造方法)について説明する。以下の説明では、
図6のフローチャートを基に説明しつつ、適宜他図を参照する。以下で説明するリユース電池モジュール110Rの製造方法は、作業員が種々の装置、機器、治具等を用いて手作業で行ってもよいし、種々の製造装置によって自動で行われるものであってもよい。
【0046】
本実施形態のリユース電池モジュール110Rの製造方法は、1次使用時接続工程(ステップS1)と、切断工程(ステップS2)と、2次使用時接続工程(ステップS3)とを含む。1次使用時接続工程(ステップS1)は、電池モジュール110を1次使用可能な状態とする工程である。切断工程(ステップS2)は、1次使用した電池モジュール110において、少なくとも一部の電池セル112を入れ替えるためにバスバー10の連結部12を切断する工程である。2次使用時接続工程(ステップS3)は、1次使用した電池モジュール110を構成する複数の電池セル112の少なくとも1つをリユース電池セル112Rとして用いたリユース電池モジュール110Rを2次使用可能な状態とする工程である。ここでは、このリユース電池モジュール110Rの製造方法は、作業員によって手作業で行われるものとして説明する。
【0047】
まず、作業員は、1次使用時接続工程として、複数のバスバー10、ケース20、検出導体30がモジュール化された状態のバスバーモジュール1を組電池111に組み付ける。作業員は、バスバーモジュール1の各バスバー10の一対の電極接合部11をそれぞれ異なる電極端子114に接合(ここでは、溶接)し、一対の電極接合部11と連結部12とによって1次使用時導通接続部14を構成し、複数の電池セル112によって電池モジュール110を構成する(ステップS1)。これにより、バスバーモジュール1は、1次使用時において、各バスバー10の1次使用時導通接続部14を介して、隣接する電池セル112の電極端子114同士を導通接続する。そして、作業員は、検出導体30を介して各バスバー10と監視装置120とを電気的に接続することで、各電池セル112とこの監視装置120とを電気的に接続する。
【0048】
次に、作業員は、1次使用された電池モジュール110において、切断工程として、一対の電極接合部11がそれぞれ電極端子114に接合された状態で当該一対の電極接合部11の間で連結部12を切断して一対の電極接合部11を相互に分断し、電池モジュール110を構成する複数の電池セル112を相互に分離可能な状態とする(ステップS2)。この場合、作業員は、複数の電池セル112のうち入れ替えを要する電池セル112に接続されているバスバー10の各連結部12を切断してもよいし、すべてのバスバー10の各連結部12を一旦切断してもよい。
【0049】
次に、作業員は、2次使用時接続工程として、分離可能な状態とされた複数の電池セル112のうち入れ替えを要する電池セル112をリユース電池セル112Rに入れ替えると共に、当該入れ替えられたリユース電池セル112Rを含む2つの電池セル112にそれぞれ設けられた再接合可能部13に渡って接合部材15Rを接合する。ここでは、作業員は、一対の再接合可能部13に対して接合部材15Rを溶接(例えば、レーザ溶接等)することで、当該一対の再接合可能部13に渡って接合部材15Rを電気的に接続する。これにより、作業員は、一対の電極接合部11と一対の再接合可能部13と接合部材15Rとによって、2次使用時導通接続部16Rを構成し、少なくとも入れ替えられたリユース電池セル112Rを含むリユース電池モジュール110Rを構成し(ステップS3)、このリユース電池モジュール110Rの製造方法を終了する。
【0050】
以上で説明したリユース電池モジュール製造方法は、1次使用時接続工程(ステップS1)と、切断工程(ステップS2)と、2次使用時接続工程(ステップS3)とを含む。1次使用時のバスバーモジュール1、電池モジュール110は、バスバー10において、一対の電極接合部11がそれぞれ電極端子114に接合された状態で当該一対の電極接合部11の間で切断可能である連結部12と共に一対の再接合可能部13を含み、一対の電極接合部11と連結部12とが1次使用時導通接続部14を構成する。一方、2次使用時のリユースバスバーモジュール1R、リユース電池モジュール110Rは、リユースバスバー10Rにおいて、一対の電極接合部がそれぞれ異なる電極端子114に接合されかつ相互に分断された状態で、一対の電極接合部11と一対の再接合可能部13と接合部材15Rとが2次使用時導通接続部16Rを構成する。この場合、各再接合可能部13は、電極接合部11とは別に用意され、溶接跡等がない新生面の領域として用いることができるので、接合部材15Rを再接合可能部13に適切に接触させ接合することができ、適正に導通接続された状態を確保することができる。
【0051】
つまり、バスバーモジュール1、電池モジュール110、リユース電池モジュール製造方法は、上記のようにバスバー10に再接合可能部13が付加されると共に、リユースの際にバスバー10の連結部12に切断加工が施され、再接合可能部13に接合部材15Rが接合されることで適正に電池セル112をリユースすることができる。
【0052】
例えば、電池セル112間がバスバー10を介して溶接等で接続されている電池モジュール110は、再利用可能な電池セル112を取り出す際、電池セル112とバスバー10を引きはがして再度接合する事が難しい傾向にある。これに対して、本実施形態のバスバーモジュール1、電池モジュール110は、上記のように連結部12を切断した上で電池セル112を入れ替えて、使用可能な電池セル112同士を、再接合可能部13、接合部材15Rを介して再接続することが可能な構成であるので、未だ使用可能な電池セル112を適正にリサイクルしてリユースすることができる。
【0053】
この結果、バスバーモジュール1、電池モジュール110、リユース電池モジュール製造方法は、適正にリユースし易い構成を実現することができ、電池廃棄処理の増加を抑制し廃棄量を低減することができる。
【0054】
また、以上で説明したリユース電池モジュール製造方法、バスバーモジュール1、電池モジュール110は、連結部12において切断可能な部位に形成された切り込み部12bを有するので、連結部12を切断する際に当該切り込み部12bを目安にして適切な位置で切断することができる。ここでは、連結部12は、接続タブ部12aの脇に設けられたいずれかの切り込み部12bを目安にして切断されることで、接続タブ部12aと検出導体30との導通接続を維持して切断することができる。この結果、リユース電池モジュール製造方法、バスバーモジュール1、電池モジュール110は、リユース電池モジュール110Rを製造する際の作業性を向上することができる。
【0055】
なお、上述した本発明の実施形態に係るバスバーモジュール、電池モジュール、及び、リユース電池モジュール製造方法は、上述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲で種々の変更が可能である。
【0056】
以上の説明では、切り込み部12bは、幅方向Yに沿って凹部状に切り込まれた部位として形成されているものとして説明したがこの形状に限らない。また、連結部12は、切り込み部12bを有するものとして説明したがこれに限らず、切り込み部12bを有さない構成であってもよい。
【0057】
以上の説明では、再接合可能部13は、略矩形状の溶接領域として形成されるものとして説明したがこれに限らず、再接合可能部13と接合部材15Rとの接合の形式は、溶接接合に限らない。
【0058】
図7、
図8に示す変形例に係るバスバー210(リユースバスバー210R)は、再接合可能部13にかえて再接合可能部213を含んで構成される点で上述したバスバー10と異なる。これに加え、本変形例に係るリユースバスバー210Rは、接合部材15Rにかえて接合部材215Rを含んで構成される点で上述したリユースバスバー10Rと異なる。バスバー210、リユースバスバー210Rのその他の構成は、上述のバスバー10、リユースバスバー10Rと略同様の構成である。
【0059】
本変形例に係る再接合可能部213と接合部材215Rとの接合の形式は、溶接接合にかえてボルト接合が採用されている。
【0060】
具体的には、一対の再接合可能部213は、再接合可能部13と同様に、一対の電極接合部11からそれぞれ延在する部分である。ここでは、一対の再接合可能部213は、一対の電極接合部11からそれぞれ高さ方向Zに沿って一方側に屈曲して延在し、当該各電極接合部11と一体で形成される。すなわち、一対の再接合可能部213のうち第1の再接合可能部213は、第1の電極接合部11に連接して設けられ、当該第1の電極接合部11から高さ方向Zに沿って屈曲して延在する。一方、一対の再接合可能部213のうち第2の再接合可能部213は、第2の電極接合部11に連接して設けられ、当該第2の電極接合部11から高さ方向Zに沿って延在する。そしてここでは、一対の再接合可能部213は、それぞれ略矩形状のボルト接合領域として形成されており、中央部に幅方向Yに沿って貫通するボルト挿通孔213aを有している。一対の再接合可能部213は、典型的には、それぞれ溶接跡等がない新生面のボルト接合領域として機能する。
【0061】
そして、本変形例の接合部材215Rは、ボルト、ナット等の締結部材215Raを介して一対の再接合可能部213に渡って接合される。上述した2次使用時接続工程(ステップS3)においては、作業員は、一対の再接合可能部213に対して接合部材215Rを、締結部材215Raを介してボルト接合することで、当該一対の再接合可能部213に渡って接合部材215Rを電気的に接続する。この結果、リユースバスバー210Rは、相互に分断された一対の電極接合部11と一対の再接合可能部213と接合部材215Rとによって、異なる電極端子114に渡って設けられ当該異なる電極端子114同士を電気的に接続する2次使用時導通接続部216Rを構成する。
【0062】
この場合であっても、バスバーモジュール1、電池モジュール110、リユース電池モジュール製造方法は、上記のようにバスバー210に再接合可能部213が付加されると共に、リユースの際にバスバー210の連結部12に切断加工が施され、再接合可能部213に接合部材215Rが接合されることで適正に電池セル112をリユースすることができる。
【0063】
また、以上で説明したバスバーモジュール1は、
図9に例示したような極性記号部317を有していてもよい。
【0064】
図9に示す変形例に係るバスバー310(リユースバスバー310R)において、電極接合部11、又は、当該電極接合部11から延在する再接合可能部13は、極性記号部317を有している。極性記号部317は、当該電極接合部11が接合(溶接)される電極端子114の極性を表す部分である。ここでは、極性記号部317は、電極接合部11に設けられているものとして図示しているが、再接合可能部13に設けられていてもよい。極性記号部317は、例えば、電極接合部11において凹凸形状の記号として形成される。極性記号部317は、正極を構成する電極端子114に接合されている電極接合部11においては、例えば、正極を表す「+(プラス)」の記号によって構成される。一方、極性記号部317は、負極を構成する電極端子114に接合されている電極接合部11においては、例えば、負極を表す「-(プラス)」の記号によって構成される。
【0065】
この場合、バスバーモジュール1、電池モジュール110、リユース電池モジュール製造方法は、連結部12が切断され一対の電極接合部11が相互に分断された状態、すなわち、電池モジュール110を構成する複数の電池セル112を相互に分離可能な状態で、作業員に対して、電極接合部11が接合されている電極端子114の極性を目視にて容易に把握させることができる。この結果、バスバーモジュール1、電池モジュール110、リユース電池モジュール製造方法は、電極端子114の極性を間違えることなく、リユース電池モジュール110Rを製造することができる。
【0066】
本実施形態に係るバスバーモジュール、電池モジュール、及び、リユース電池モジュール製造方法は、以上で説明した実施形態、変形例の構成要素を適宜組み合わせることで構成してもよい。
【符号の説明】
【0067】
1 バスバーモジュール
1R リユースバスバーモジュール
10、210、310 バスバー
10R、210R、310R リユースバスバー
11 電極接合部
12 連結部
12a 接続タブ部
12b 切り込み部
13、213 再接合可能部
14 1次使用時導通接続部
15R、215R 接合部材
16R、216R 2次使用時導通接続部
20 ケース
30 検出導体
100 電池パック
110 電池モジュール
110R リユース電池モジュール
111 組電池
112 電池セル
112R リユース電池セル
113 セル本体
114 電極端子
115 電極端子群
116 総正極バスバー
117 総負極バスバー
120 監視装置
213a ボルト挿通孔
215Ra 締結部材
317 極性記号部
X 配列方向
Y 幅方向
Z 高さ方向