(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-05
(45)【発行日】2024-04-15
(54)【発明の名称】車両のプラットフォームを能動的に制動させるためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
G01M 17/007 20060101AFI20240408BHJP
B60L 15/20 20060101ALI20240408BHJP
B60L 3/00 20190101ALI20240408BHJP
G01M 17/08 20060101ALI20240408BHJP
【FI】
G01M17/007 H
B60L15/20 S
B60L3/00 N
G01M17/08
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021148903
(22)【出願日】2021-09-13
【審査請求日】2022-11-29
(32)【優先日】2020-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-09-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519447732
【氏名又は名称】トランスポーテーション アイピー ホールディングス,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110003797
【氏名又は名称】弁理士法人清原国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クマル,アジス クッタンナイア
(72)【発明者】
【氏名】ダス,サブハス チャンドラ
【審査官】岡村 典子
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-008672(JP,A)
【文献】特開2012-071792(JP,A)
【文献】特開2003-219514(JP,A)
【文献】特開2017-073914(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 17/00-17/10
B60L 1/00-3/12,7/00-13/00
B60L 15/00-58/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の車両プラットフォームと前記車両プラットフォームに取り付けられた推進ユニットとの間の異相状態を検出すること
であって、前記異相状態は、前記車両プラットフォームの前方および後方が、第1の振動態様で垂直方向に変位されることにより検出され、前記車両プラットフォームの前記前方の振動が前記車両プラットフォームの前記後方の振動と異なる位相である、異相状態を検出することと、
前記車両プラットフォームと前記車両プラットフォームに取り付けられた前記推進ユニットとの間の同相状態を検出すること
であって、前記同相状態は、前記車両プラットフォームの前記前方および前記後方が、第2の振動態様で垂直方向に変位されることにより検出され、前記車両プラットフォームの前記前方の振動が前記車両プラットフォームの前記後方の振動と同じ位相であるが、同時に異なる方向である、同相状態を検出することと、
前記推進ユニットの第1の推進ユニットからの第1の速度を第2の速度と比較すること
であって、前記第1の推進ユニットからの前記第1の速度が、第1の推進ユニットの第1の車軸速度または前記第1の推進ユニットの平均速度であり、前記第2の速度が、第2の推進ユニットの第2の車軸速度、前記第2の推進ユニットの平均速度、または前記車両の移動速度である、比較することと、
前記第1の速度と前記第2の速度との間の差が閾値より大きいことに応答して、前記推進ユニットのうちの1つ以上のトルクを制御することによって、前記異相状態または前記同相状態のうちの1つ以上を減少させること
であって、前記トルクを制御することは、前記第1の速度と前記第2の速度との間の差によって引き起こされる前記車両プラットフォームの前記前方または前記後方の1つ以上に印加されるモーメントを低減することによって、前記異相状態または前記同相状態のうちの1つ以上を低減させることと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記第1の速度および前記第2の速度が、前記
車両プラットフォームおよび前
記推進ユニットの共振周波数で比較され、前記方法が、
前記共振周波数の範囲内にない前記第1の速度および前記第2の速度の比較を除外することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の推進ユニットが前記車両の前方にあり、第2の推進ユニットが前記車両の後方にあり、前記異相状態を検出することが、第1のモータの平均速度フィードバックに関して、前記車両の移動速度に関して、または前記第1の推進ユニットの平均速度に関して、前記第1の推進ユニットの第1のモータ速度振動フィードバックを検出することと、第2のモータの平均速度フィードバックに関して、前記車両の前記移動速度に関して、または前記第2の推進ユニットの平均速度に関して、第2の推進ユニットの
前記第2のモータの第2のモータ速度振動フィードバックを検出することとを含む、請求項
1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の推進ユニットが前記車両の前方にあり、
前記第2の推進ユニットが前記車両の後方にあり、前記同相状態を検出することが、第1のモータの平均速度フィードバックに関して、または前記車両の移動速度に関して、または前記第1の推進ユニットの平均速度に関して、前記第1の推進ユニットの第1のモータ速度振動フィードバックを検出することと、第2のモータの平均速度フィードバックに関して、または前記車両の前記移動速度に関して、または前記第2の推進ユニットの平均速度に関して、
前記第2の推進ユニットの第2のモータの第2のモータ速度振動フィードバックを検出することとを含む、請求項
1に記載の方法。
【請求項5】
車両の車両プラットフォームと、前記車両プラットフォームに取り付けられた2つ以上の推進ユニットとの間の公称位相からの位相変化を検出することと、
前記2つ以上の推進ユニットの第1の推進ユニットの第1の車
軸の第1の車軸速度
と前記2つ以上の推進ユニットの第2の推進ユニットの第2の車
軸の第2の車軸速度
との比較、または前記第1の推進ユニットの第1のモータの第1のトルクおよび前記第2の推進ユニットの第2のモータの第2のトルクの比較、のうちの1つ以上を行うことと、
前記第1の車軸速度と前記第2の車軸速度との間の第1の差が第1の閾値差よりも大きい、または前記第1のトルクと前記第2のトルクとの間の第2の差が第2の閾値差よりも大きい、のうちの1つ以上であるとき、前記車両プラットフォームと前記2つ以上の推進ユニットとの間に接続された1つ以上のダンパーが劣化していると判定することと、
前記2つ以上の推進ユニットの1つ以上の車軸に1つ以上のモータによる制動トルクを印加して、異相状態または同相状態のうちの1つ以上を減少させることであって、前記異相状態は、前記車両プラットフォームの前方および後方が、第1の振動態様で垂直方向に変位されることにより検出され、前記車両プラットフォームの前記前方の振動が前記車両プラットフォームの前記後方の振動と異なる位相であり、前記同相状態は、前記車両プラットフォームの前記前方および前記後方が、第2の振動態様で垂直方向に変位されることにより検出され、前記車両プラットフォームの前記前方の振動が前記車両プラットフォームの前記後方の振動と同じ位相であるが、同時に異なる方向である、ことと、
を含む、方法。
【請求項6】
前記第1の推進ユニットの前記第1の車軸速度
または前記第2の推進ユニッ
トの前記第2の車軸速度の、前記
車両プラットフォームおよび前記
車両プラットフォームに取り付けられた
前記2つ以上の推進ユニットの共振周波数での比較、または前記第1の推進ユニットの前記第1のモータの前記第1のトルクおよび前記第2の推進ユニットの前記第2のモータの前記第2のトルクの、前記
車両プラットフォームおよび前
記2つ以上の推進ユニットの前記共振周波数での比較のうちの1つ以上が行われる、請求項
5に記載の方法。
【請求項7】
前記共振周波数の範囲内にない前記第1の車軸速度および前記第2の車軸速度の比較を除外すること、および/または前記共振周波数の
前記範囲内にない前記第1のトルクおよび前記第2のトルクの比較を除外することをさらに含む、請求項
6に記載の方法。
【請求項8】
前記制動トルクが閾値制動トルクを超える場合、前記ダンパーのうちの1つ以上が劣化していると判定することをさらに含む、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
前記位相変化を検出することが、第1のモータの平均速度フィードバックに関して、前記第1の推進ユニットの第1のモータ速度振動フィードバックを検出することと、第2のモータの平均速度フィードバックに関して、第2の推進ユニットの第2のモータの第2のモータ速度振動フィードバックを検出することとを含み、前記第1の推進ユニットが前記車両の前方にあり、前記第2の推進ユニットが前記車両の後方にある、請求項
5に記載の方法。
【請求項10】
プラットフォームと、
前記プラットフォームに取り付けられた2つ以上の推進ユニットと、
プロセッサであって、
前記2つ以上の推進ユニットのうちの第1の推進ユニットからの第1の速度を第2の速度と比較
することであって、前記第1の推進ユニットからの前記第1の速度が、第1の推進ユニットの第1の車軸速度または前記第1の推進ユニットの平均速度であり、前記第2の速度が、第2の推進ユニットの第2の車軸速度または前記第2の推進ユニットの平均速度または前記車両の速度である、比較し、
前記第1の速度および前記第2の速度の前記比較から、前記プラットフォームと前記プラットフォームに取り付けられた前記2つ以上の推進ユニットとの間の異相状態を検出
することであって、
前記異相状態は、前記車両プラットフォームの前方および後方が、第1の振動態様で垂直方向に変位されることにより検出され、前記車両プラットフォームの前記前方の振動が前記車両プラットフォームの前記後方の振動と異なる位相である、異相状態を検出することであり、
前記第1の速度と前記第2の速度との前記比較から、前記プラットフォームと前記プラットフォームに取り付けられた前記2つ以上の推進ユニットとの間の同相状態を検出
することであって、
前記同相状態は、前記車両プラットフォームの前記前方および前記後方が、第2の振動態様で垂直方向に変位されることにより検出され、前記車両プラットフォームの前記前方の振動が前記車両プラットフォームの前記後方の振動と同じ位相であるが、同時に異なる方向である、同相状態を検出することであり、
前記第1の速度と前記第2の速度との間の差が閾値より大きいことに応答して、前記2つ以上の推進ユニットの少なくとも1つ以上のトルクを制御することによって、前記異相状態または前記同相状態のうちの1つ以上を減少させるように構成されたプロセッサと、
を備える、車両システム。
【請求項11】
前記プロセッサが、
前記第1の速度と前記第2の速度との間の差が閾値差よりも大きいときに、前記異相状態または前記同相状態のうちの1つ以上を減少させるように、前記2つ以上の推進ユニットのうちの1つ以上のモータのトルクを制御するようにさらに構成されている、請求項
10に記載の車両システム。
【請求項12】
前記第1の速度および前記第2の速度が、前記プラットフォームおよび前
記2つ以上の推進ユニットの共振周波数で比較され、前記プロセッサが、前記共振周波数の範囲内にない前記第1の車軸速度および前記第2の車軸速度の比較を除外するようにさらに構成されている、請求項
10に記載の車両システム。
【請求項13】
前記異相状態または前記同相状態のうちの1つ以上を検出することが、第1のモータの平均速度フィードバックに関して前記第1の推進ユニットの第1のモータ速度振動フィードバックを検出することと、第2のモータの平均速度フィードバックに関して第2の推進ユニットの第2のモータ速度振動フィードバックを検出することとを含み、前記第1の推進ユニットが前記車両の前方にあり、前記第2の推進ユニットが前記車両
システムの後方にある、請求項
10に記載の車両システム。
【請求項14】
前記プロセッサが、
前記第1の推進ユニットの第1の車
軸の第1の車軸速度および前記第2の推進ユニットの第2の車
軸の第2の車軸速度の比較、または前記第1の推進ユニットの第1のモータの第1のトルクおよび前記第2の推進ユニットの第2のモータの第2のトルクの比較、のうちの1つ以上を行い、
前記第1の車軸速度と前記第2の車軸速度との間の第1の差が第1の閾値差より大きい、または前記第1のトルクと前記第2のトルクとの間の第2の差が第2の閾値差より大きい、のうちの1つ以上であるとき、前記プラットフォームと前記2つ以上の推進ユニットとの間に接続された1つ以上のダンパーが劣化していると判定するようにさらに構成されている、請求項
10に記載の車両システム。
【請求項15】
前記第1の推進ユニットの前記第1の車軸速度と前記第2の推進ユニットの前記第2の車軸速度の、前記プラットフォームと前
記2つ以上の推進ユニットの共振周波数での比較、または前記第1の推進ユニットの前記第1のモータの前記第1のトルクおよび前記第2の推進ユニットの前記第2のモータの前記第2のトルクの、前記プラットフォームと前
記2つ以上の推進ユニットの前記共振周波数での比較、のうちの1つ以上が行われ、前記プロセッサが、前記共振周波数の範囲内にない前記第1の車軸速度および前記第2の車軸速度の比較の除外、または前記共振周波数の範囲内にない前記第1のトルクおよび前記第2のトルクの比較の除外のうちの1つ以上を行うようにさらに構成されている、請求項
14に記載の車両システム。
【請求項16】
前記プロセッサが、
前記2つ以上の推進ユニットのうちの1つ以上の車軸に1つ以上のモータによる制動トルクを印加して、前記異相状態または前記同相状態のうちの1つ以上を減少させることをさらに行うように構成されている、請求項
15に記載の車両システム。
【請求項17】
前記プロセッサが、
閾値制動トルクを超える前記制動トルクに応答して、前記ダンパーのうちの1つ以上が劣化していると判定するようにさらに構成されている、請求項
16に記載の車両システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年9月14日に出願された米国仮特許出願第63/077,944号の優先権を主張し、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
技術分野
本明細書に記載の開示された主題は、車両の動きを能動的に制動させるためのシステムおよび方法に関する。
【0003】
技術分野の考察
1つ以上の推進システムを含む車両は、車両が特定の重量未満であるとき、および/または車両のサスペンションシステムのばね定数および/または制動が不十分または不適当である間、過渡モードを経験し得る。過渡モードは、特に過渡モードが持続的な共振モードを含む場合、車両構成要素を損傷する可能性のある長手方向、横方向、垂直方向、および/または角運動を引き起こす可能性がある。
【0004】
車両プラットフォーム(例えば、車両プラットフォームまたはシャーシ)の過渡モードは、車両構成要素の横方向、垂直方向、および/または長手方向運動をもたらし得、これは、車両軸の振動的な運動(例えば、平均速度に関する角速度の振動)をもたらし得る。各車軸運動は、速度センサフィードバックの振動を引き起こし得る。これにより、車両の制御システムが是正措置を講じる可能性がある。これらの措置は、次いで、モータトルク変動を引き起こし得る。モータトルク変動は、車軸運動を増幅し得るプラットフォーム共振周波数の近い周波数範囲で励起力として働くことができる。
【0005】
したがって、車両システムのプラットフォームとプラットフォームに接続された1つ以上の推進ユニットとの間の過渡モードを減少または排除するためのシステムおよび方法の必要性が存在する。
【0006】
簡単な説明
一実施形態によれば、方法は、車両の車両プラットフォームと、車両プラットフォームに取り付けられた推進ユニットとの間の異相状態を検出することと、車両プラットフォームと、車両プラットフォームに取り付けられた推進ユニットとの間の同相状態を検出することとを含む。本方法は、推進ユニットの第1の推進ユニットからの第1の速度を第2の速度と比較することと、第1の速度と第2の速度との間の差が閾値より大きいことに応答して推進ユニットのうちの1つ以上のトルクを制御することによって、異相状態または同相状態のうちの1つ以上を減少させることとをさらに含む。
【0007】
一実施形態によれば、方法は、車両の車両プラットフォームと、車両プラットフォームに取り付けられた2つ以上の推進ユニットとの間の公称位相からの位相変化を検出することと、第1の推進ユニットの第1の車軸からの第1の車軸速度および第2の推進ユニットの第2の車軸からの第2の車軸速度の比較、または第1の推進ユニットの第1のモータの第1のトルクおよび第2の推進ユニットの第2のモータの第2のトルクの比較、のうちの1つ以上を行うこととを含む。本方法は、第1の車軸速度と第2の車軸速度との間の第1の差が第1の閾値差よりも大きい、または第1のトルクと第2のトルクとの間の第2の差が第2の閾値差よりも大きい、のうちの1つ以上であるときに、車両プラットフォームと2つ以上の推進ユニットとの間に接続された1つ以上のダンパーが劣化していると判定することをさらに含む。
【0008】
一実施形態によれば、車両システムは、プラットフォームと、プラットフォームに取り付けられた2つ以上の推進ユニットと、を含む。車両システムは、プロセッサをさらに含む。プロセッサは、2つ以上の推進ユニットの第1の推進ユニットからの第1の速度を第2の速度と比較し、第1の速度と第2の速度との比較から、プラットフォームと車両プラットフォームに取り付けられた2つ以上の推進ユニットとの間の異相状態を検出する。プロセッサはさらに、第1の速度と第2の速度との比較から、プラットフォームと車両プラットフォームに取り付けられた2つ以上の推進ユニットとの間の同相状態を検出する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本発明の主題は、以下の添付の図面を参照して、非限定的な実施形態の以下の説明を読むことから理解され得る。
【0010】
【
図1】第1のモードにおける一実施形態による車両システムを概略的に示す。
【
図2】第1のモードによる
図1の車両システムのプラットフォームおよび推進ユニットの運動を概略的に示す。
【
図3】第1のモードによる
図1の車両システムの推進ユニットのトラクションモータの対応するトラクションモータ速度およびトルク振動を概略的に示す。
【
図4】第2のモードにおける一実施形態による車両システムを概略的に示す。
【
図5】第2のモードによる
図4の車両システムのプラットフォームおよび推進ユニットの運動を概略的に示す。
【
図6】第2のモードによる
図4の車両システムの推進ユニットのトラクションモータの対応するトラクションモータ速度およびトルク振動を概略的に示す。
【
図7】一実施形態による車両システムの複数の運動モードを概略的に示す。
【
図8】一実施形態による車両システムの過渡モードを能動的に制動させるためのシステムを概略的に示す。
【
図9】一実施形態による車両システムの過渡モードを能動的に制動させるためのシステムを概略的に示す。
【
図10】一実施形態による車両システムのプラットフォームと推進ユニットとの間の垂直方向および横方向のダンパーを含む車両システムを概略的に示す。
【
図11】一実施形態による車両システムのサスペンションシステムの劣化を検出するシステムを概略的に示す。
【
図12】一実施形態による車両システムのサスペンションシステムの劣化を検出するシステムを概略的に示す。
【
図13】一実施形態による車両システムのサスペンションシステムの劣化を検出するシステムを概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書に記載の主題の実施形態は、車両プラットフォームの過渡モードを減少させるための車両システムおよびシステムならびに方法に関する。これらの過渡モードは、例えば、軽量のプラットフォームもしくは不適切なばね定数、または低制動によって引き起こされ得る。過渡モードは、車両システムのプラットフォームが過渡モードにあるとき、例えば、プラットフォームの共振周波数またはその付近にあり、過渡モードが維持されるときに、機器の損傷または不快な乗り心地をもたらし得る。システムおよび方法は、例えば、車両システムの推進ユニットの速度を比較することによって(車両が複数の推進ユニットを含む実施形態では)、および/または推進ユニットの1つ以上の速度を車両システムの速度と比較することによって、プラットフォームが過渡モードにあるときを検出し得る。システムおよび方法は、プラットフォームの異相状態および/または同相状態を減少させるために車両システムの推進ユニットに印加されるトルクを制御することによって、プラットフォームの過渡モードを減少させることができる。
【0012】
本明細書に記載の主題の実施形態はまた、プラットフォームと推進ユニットとの間の車両システムの機械的ダンパーの健全性を判定するためのシステムおよび方法に関する。システムおよび方法は、プラットフォームの異相状態を減少させるために機械的ダンパーのみに依存する車両システムにおいて、または推進ユニットのうちの1つ以上へのトルクの制御を通じて機械的ダンパーおよび能動的な制動の両方を使用する車両システムにおいて使用され得る。システムおよび方法は、異相状態を示す速度差から、または1つ以上のダンパーにトルクを噴射することによって1つ以上のダンパーを励起して、速度フィードバック信号の大きさおよび周波数の抽出値が所定の値または閾値を超えるかどうかを判定することによって、劣化した機械的ダンパーを検出し得る。
【0013】
図1を参照すると、一実施形態によれば、車両システム1は、単一の車両2を含む。車両は、前方推進ユニット4と、後方推進ユニット6とを含む。代替的に、車両は、単一の推進ユニットを含んでもよいし、推進ユニットを含まなくてもよい。好適な単一の車両は、単一の自動車、鉄道車両、高速道路外の車両、船舶、飛行機などであり得る。他の実施形態では、車両は、車両システムの一部であり得、2つ以上の車両を含み得る。好適な複数の車両システムは、鉄道車両組織、列車、複数の自動車または路上トラックの車列、自律車両および半自律車両の無人機および群など(まとめて車両システムまたは車両グループ)を含み得る。複数の車両を含む車両システムでは、車両システム内の車両は、機械的および/または通信可能に結合され得る。任意選択で、車両システムは、互いに機械的に結合されていないが、車両が車両システムとして一緒に走行する車両の運動を調整するために互いにまたは別のシステムと通信する複数の車両を有し得る。通信可能に結合された車両は、メッシュまたは他のネットワークの一部であり得る。車両は、車両システム、路傍機器、通信システム(例えば、携帯電話基地局または衛星)、およびバックオフィスシステム内の他の車両と通信し得る。車両と車両との通信は、ホッパーまたはブースターの有無にかかわらず直接的に、または通信システムを介して間接的に行われてもよい。
【0014】
一実施形態によれば、前方推進ユニットおよび/または後方推進ユニットは、車軸14に動作可能に結合されて車軸を回転させる1つ以上のトラクションモータ10を含んでもよい。車軸は、車両の反対側の車輪12を接続し得る。前方推進ユニットおよび後方推進ユニットの各々は、3つの車軸をそれぞれ含んで示されているが、車両は、3つ以上の推進ユニットを含んでもよく、これらは、それぞれ異なる数の車軸、例えば、推進ユニットごとに4つの車軸を含んでもよい。あるいは、トラクションモータは、車輪と結合されてよく、車両は、トラクションモータによって回転される任意の車軸を含まなくてもよい。車輪は、経路に沿って車両を推進する。一実施形態によれば、経路は、1つ以上のレールを含むトラックであってもよい。他の実施形態によれば、経路は、車両システムが走行する路面またはオフロード路面であり得る。
【0015】
他の実施形態によれば、車両システムは、単一の車両または複数の車両を含んでもよい。単一の車両または複数の車両のうちの1つ以上は、車両のプラットフォームに接続された1つ以上の推進ユニットを含んでもよい。1つ以上の推進ユニットは、1つ以上の電気モータを含んでもよい。1つ以上の推進ユニットは、内燃機関などの1つ以上のエンジンを含んでもよい。1つ以上の推進ユニットは、1つ以上の電動モータおよび1つ以上のエンジンの組み合わせを含み得る。
【0016】
前方推進ユニットおよび後方推進ユニットは、車両のプラットフォーム8に取り付けられている。プラットフォームは、車両のシャーシであり得る。プラットフォームは、推進ユニットおよび車両の他のシステムを支持する構造であってもよい。軽量および/または低制動プラットフォームでは、過渡モードは、不快な乗り心地および/または車両への損傷を引き起こす可能性のある推進ユニットの垂直方向および/または角運動を引き起こす可能性がある。プラットフォームが、持続的な期間にわたってプラットフォームの共振周波数に近いかまたは共振周波数にある場合、過渡モードおよび引き起こされる損傷が増加する可能性がある。プラットフォームの過渡モードはまた、推進ユニットの横方向、垂直方向、および/または長手方向運動をもたらし得、これは、車軸の振動運動、例えば、平均速度に関する角速度の振動をもたらす。各車軸運動は、速度センサフィードバックの振動を引き起こす可能性があり、これは、車両の制御システムに、モータトルク変動を引き起こす是正措置を取らせる可能性がある。プラットフォーム共振周波数に近い周波数範囲で車軸に印加されるモータトルクは、車軸運動を増幅させ得る。
【0017】
図1を引き続き参照すると、車両は前方推進ユニットおよび後方推進ユニットによって推進され、経路に沿って走行する。車両はまた、車両システムの1つ以上の他の車両に結合されてもよい。推進ユニットは、それぞれ、推進ユニットの車軸および/または車輪の毎分回転数(rpm)によって決定される速度を有し得る。しかしながら、車両速度は、例えば、車輪と経路との間の滑りに起因して、前方推進ユニットおよび/または後方推進ユニットの速度とは異なる場合がある。前方推進ユニットおよび/または後方推進ユニットの速度はまた、車両システムの1つ以上の他の車両の速度が前方推進ユニットおよび/または後方推進ユニットの速度と異なる場合、車両速度と異なる場合もある。車両システムの速度34に対する前方推進ユニットの相対速度18が、車両システムの速度に対する後方推進ユニットの相対速度20と反対である場合、前方モーメント22が車両の前方に適用され得、後方モーメント24が車両の後方に適用され得る。前方モーメントと後方モーメントは、プラットフォームの第1の過渡モードを生成するように作用する。この第1の過渡モードは、推進ユニットのうちの1つ以上またはプラットフォームの他の部分が経路に対して垂直および/または長手方向に移動するように、プラットフォームを曲げ得るか、またはさもなければプラットフォームの形状を変化させ得る。
【0018】
図2を参照すると、第1の過渡モードにおけるプラットフォームの変位Yは、プラットフォームの後方の変位26および/またはプラットフォームの前方の変位28を含むことができる。一実施形態によれば、第1の過渡モードでは、後方プラットフォーム変位および前方プラットフォーム変位は、同じ周波数、同じ大きさ、および/または同じ期間を有してもよい。
図2にさらに示されるように、第1の過渡モードの後方推進ユニット変位30は、概して、前方推進ユニット変位32(同じまたは異なる大きさであってもよい)とは反対である。一実施形態によれば、後方推進ユニット変位および前方推進ユニット変位は、反対方向にあってもよい(例えば、一方は、車両システムの経路に下向きかまたは経路の方に向き、一方は、経路から上向きかまたは遠ざかる)。
【0019】
図3を参照すると、第1の過渡モードにおけるプラットフォームの垂直方向および/または長手方向運動によって引き起こされる前方推進ユニットおよび後方推進ユニットの車軸の振動運動は、推進ユニットによってもたらされる速度(rpm)およびトルクの変動を引き起こす。速度およびトルクの変動は、速度センサ信号38を前方推進ユニットのモータの平均速度36に対して振動させ、速度センサ信号42を後方推進ユニットのモータの平均速度40に対して振動させる。前方推進ユニットおよび後方推進ユニットの車軸の振動運動はまた、前方推進ユニットのモータのトルク46を前方推進ユニットのモータの平均トルク44に対して振動させ、後方推進ユニットのモータのトルク50を後方推進ユニットのモータの平均トルク48に対して振動させる。モータのトルク変動はさらに、推進ユニットの車軸の振動を増幅し、および/または車軸の持続的な振動を引き起こし得る。
【0020】
図4を参照すると、前方推進ユニットの速度78および後方推進ユニットの速度80が(矢印で示されるように)車両速度未満である場合、車両の前方にモーメント82が生成され、車両の背面にモーメント84が生成される。モーメントは、例えばシーソーと類似の様式で、車両の前方および後方を反対方向に移動させる。車両速度に対する前方推進ユニットの相対速度は、車両速度に対する後方推進ユニットの相対速度と同じであり得るか、または異なる場合があることを理解されたい。また、前方モーメントは後方モーメントと同じであり得るか、または異なる場合があることも理解されたい。
【0021】
公称位相モードでは、車両プラットフォームの前方および後方は、同じ速度で同じ位相での振動様式で垂直に変位する。異相モードでは、車両プラットフォームの前方および後方は、車両プラットフォームの前方の振動がプラットフォームの後方の振動とは異なる位相にある振動様式で垂直に変位する。同相モードでは、車両プラットフォームの前方および後方は、車両プラットフォームの前方の振動がプラットフォームの後方の振動と同じ位相にあるが、同時に異なる方向にある振動様式で垂直に変位する。プラットフォームの前方は、プラットフォームの後方の変位86と異相である変位88を経験し得る。
【0022】
図5を参照すると、車両プラットフォームは、前方推進ユニットの速度および後方推進ユニットの速度が車両速度に対して低いときに過渡モードを経験し得る。前方推進ユニットは、後方推進ユニットの変位92と同相である変位90を有してもよい。前方推進ユニット変位および後方推進ユニット変位は等しい振幅を有するように示されるが、変位の大きさが異なる場合があることを理解されたい。
【0023】
図6を参照すると、第2の過渡モードでのプラットフォームの垂直方向および/または長手方向運動によって引き起こされる前方推進ユニットおよび後方推進ユニットの車軸の振動運動は、速度センサ信号94を前方推進ユニットのモータの平均速度96に対して振動させ、速度センサ信号98を後方推進ユニットのモータの平均速度100に対して振動させる。また、前方推進ユニットおよび後方推進ユニットの車軸の振動運動は、前方推進ユニットのモータのトルク102を前方推進ユニットのモータの平均トルク104に対して振動させ、後方推進ユニットのモータのトルク106を後方推進ユニットのモータの平均トルク108に対して振動させる。トルク変動はさらに、振動を増幅し得、および/または持続的な振動を引き起こし得る。
【0024】
図7を参照すると、車両は、プラットフォームならびに前方推進ユニットおよび後方推進ユニットの複数の過渡モードを経験し得る。プラットフォームの後方は、プラットフォームの前方の変位と異相である変位を有し得る。後方推進ユニットは、前方推進ユニットの変位と異相である変位を有し得る。以下でより詳細に説明するように、プラットフォームの前方および後方、ならびに前方推進ユニットおよび後方推進ユニットの過渡モードは、減少され得る。
【0025】
図8を参照すると、プラットフォームおよび推進ユニットの過渡モードを能動的に制動するように構成されたシステム52は、車両の第1の推進ユニットの第1の車軸からの第1の速度56と、第2の推進ユニットの第2の車軸からの第2の速度58との間の速度差を決定する減算器54を含む。第1の推進ユニットおよび第2の推進ユニットは、車両の異なる推進ユニットである。用語「第1」および「第2」は、単なる名称であり、入力、車軸、または推進ユニットの任意の順序を暗示しない。減算器は、第1の速度と第2の速度との間の速度差60を決定する。バンドパスフィルタ62は、プラットフォームの予想される共振周波数に近い速度差の信号を、通過速度信号64が基準値を超えないように構成されたクランプ66に通過させることを可能にする。通過速度信号は、増幅器68によって補償トルク70に増幅される。トルクコマンド72は、補償トルク70を伴って加算器74に入力され、修正されたトルクコマンド76は、プラットフォームの過渡モードを制動するために前方推進ユニットのトラクションモータに適用される。修正されたトルクコマンドは、プラットフォームに制動を提供する大きさおよび位相シフトを有する。
【0026】
速度差信号は、他の入力から決定され得ることを理解されたい。例えば、速度差信号は、1つの推進ユニットの1つの車軸の速度と車両の速度との差として決定されてもよい。別の例として、速度差信号は、前方推進ユニットの平均速度と後方推進ユニットの平均速度との差として決定されてもよい。さらに別の例として、速度差信号は、推進ユニットの平均速度と車両速度との差として決定されてもよい。
【0027】
また、他のフィルタが、バンドパスフィルタに加えておよび/または代えて使用されてもよいことを理解されたい。例えば、速度差信号は、一実施形態による
図1および
図4の車両の過渡モードを能動的に制動させるためのシステム53を概略的に示す
図9に示されるように、バンドパスフィルタの前にリードフィルタ63を最初に通過させてもよい。別の例として、速度差信号は、単一のフィルタ、複数のカスケードフィルタ、複数の並列フィルタ、またはそれらの任意の組み合わせを通過してもよい。
【0028】
修正されたトルクコマンドは、前方推進ユニット以外の推進ユニットに適用され得ることをさらに理解されたい。修正されたトルクコマンドは、プラットフォームの過渡モードを能動的に制動させるために、任意の推進ユニットの任意のモータ、あるいはトラクションモータおよび/または推進ユニットの組み合わせに適用され得る。修正されたトルクコマンドはまた、推進ユニットの総オペレータコマンド上の推進ユニットレベルで適用されてもよい。
【0029】
図8または
図9に示され、開示されるようなシステムは、それぞれ、コントローラまたはプロセッサまたはコンピュータの回路として提供されてもよい。システムは、車両上に提供されてもよく、または車両システムの一部として車両に接続された別の車両上に提供されてもよい。
【0030】
図10を参照すると、一実施形態による車両は、プラットフォームと推進ユニットとの間の垂直ダンパー105を含み得る。車両はまた、プラットフォームと推進ユニットとの間の横方向のダンパー107を含み得る。垂直および横方向のダンパーは、車両の両側に設けられてもよく、ダンパーの数は、制動要件に応じて変化してもよい。垂直および横方向のダンパーは、プラットフォームと推進ユニットとの間の垂直および横方向の相対運動を制動するために使用される。垂直および横方向のダンパーは、本明細書に記載される能動的な制動システムを用いてまたは用いずに使用され得る。垂直および/または横方向のダンパーのうちの1つ以上が劣化するか、または故障すると、車両の乗り心地の質が低下する可能性がある。
【0031】
図11を参照すると、一実施形態によるダンパー劣化を検出するシステム109は、機械的制動のみが使用される車両において使用されてもよい。システムは、車両の第1の推進ユニットの第1の車軸からの第1の速度またはトルク112と、第2の推進ユニットの第2の車軸からの第2の速度またはトルク114との間の速度またはトルク差を決定する減算器110を含み得る。第1の推進ユニットおよび第2の推進ユニットは、車両の異なる推進ユニットである。用語「第1」および「第2」は、単なる名称であり、入力、車軸、または推進ユニットの任意の順序を暗示しない。減算器は、第1の速度またはトルクと第2の速度またはトルクとの間の速度またはトルク差116を決定する。バンドパスフィルタ118は、プラットフォームの予想される共振周波数に近い周波数を有する速度またはトルク差の信号120を比較器124に渡すことを可能にする。一実施形態によれば、プラットフォームの予想される共振周波数に対して+/-10%以内の周波数を有する速度またはトルク差の信号は、比較器を通過する。比較器は、バンドパスフィルタを通過した速度またはトルク差を、速度またはトルク差閾値122と比較する。比較器は、バンドパスフィルタを通過した速度またはトルク差と、速度またはトルク差閾値のうち大きい方の観察された速度またはトルク差値126を出力する。比較器がバンドパスフィルタを通過した速度またはトルク差が閾値速度またはトルク差より大きいと判定した場合、ダンパーの劣化を確認することができる。より高い大きさが検出されるモータ位置に応じて、劣化したダンパーを識別することができる。速度またはトルクフィードバック差の周波数もまた、ダンパー劣化を検出するために使用されてもよい。
【0032】
図12を参照すると、一実施形態によるダンパー劣化を検出するシステム128は、機械的制動および能動的制動が使用される車両において使用されてもよい。システムは、オペレータトルクコマンド134と補償(すなわち、制動)トルク136との間の差を判定する減算器130を含んでもよい。オペレータトルクコマンドと補償トルクとの間の差は、例えば、前方推進ユニットのモータに、修正されたトルクコマンド138を提供する。修正されたトルクコマンドは、
図8に関して説明したものと類似の様式で、他の推進ユニットの他のモータに適用され得る。
【0033】
補償トルクはまた、比較器140によって閾値トルク132と比較されてもよい。比較器は、補償トルクおよび閾値トルクのうち大きい方の観察されたトルク差値142を出力する。比較器140が、補償トルクがトルク閾値よりも大きいと判定する場合、ダンパー劣化を確認することができる。より高い大きさが検出されるトラクターモータ位置に応じて、劣化したダンパーを識別することができる。
【0034】
図13を参照すると、一実施形態によるダンパー劣化を検出するシステム144は、機械的制動が使用される車両において使用されてもよい。システムはまた、機械的制動および能動的制動が使用される車両で使用され得る。車両推進ユニットの1つ以上のモータであり得る噴射トルク生成器146は、基準トルク値166にわたって既知の周波数および大きさのダンパーを励起するための噴射トルク148を提供する。噴射トルクは、周波数および大きさ、インパルスまたはチャープ信号、または異なる周波数および大きさ範囲を有するパルス列の範囲内であり得る。既知の周波数および大きさのトルクパルスは、推進ユニットの1つ以上の軸から同時に生成されてもよい。
【0035】
加算器150は、噴射トルクおよび基準トルク値を加算し、レギュレータ158は、加算されたトルク値を1つ以上の推進ユニットのモータ162に適用するインバータ160に合計を適用する。速度フィードバック信号164は、速度フィードバック信号の周波数および大きさを抽出する抽出器152に送信される。抽出された大きさおよび周波数の値168が、コントローラまたはプロセッサまたはコンピュータ156によって判定されるように他のモータから判定された値および/または閾値154と一致する場合、ダンパーの健全性およびその場所を判定することができる。コントローラまたはプロセッサまたはコンピュータは、車軸ごとに、または複数の車軸の監視制御によって、ダンパーの健全性および場所を判定することができる。
【0036】
図14を参照すると、一実施形態による方法1400は、車両の車両プラットフォームと、車両プラットフォーム1410に取り付けられた2つ以上の推進ユニットとの間の異相状態を検出することを含む。方法はまた、車両の車両プラットフォームと車両プラットフォーム1420に取り付けられた2つ以上の推進ユニットとの間の同相状態を検出することと、2つ以上の推進ユニットの第1の推進ユニットからの第1の速度を第2の速度1430と比較することとを含む。方法は、第1の速度と第2の速度との間の差が閾値1440より大きいときに、異相状態または同相状態のうちの1つ以上を減少させるために、2つ以上の推進ユニットのうちの1つ以上のモータのトルクを制御することをさらに含む。
【0037】
図15を参照すると、方法1500は、車両の車両プラットフォームと、車両プラットフォーム1510に取り付けられた2つ以上の推進ユニットとの間の公称位相からの位相変化を検出することと、第1の推進ユニットの第1の車軸からの第1の車軸速度および第2の推進ユニットの第2の車軸からの第2の車軸速度の比較、または第1の推進ユニットの第1のモータの第1のトルクおよび第2の推進ユニット1520の第2のモータの第2のトルクの比較、のうちの1つ以上を行うこととを含む。方法は、第1の車軸速度と第2の車軸速度との間の第1の差が第1の閾値差よりも大きい、または第1のトルクと第2のトルクとの間の第2の差が第2の閾値差1530よりも大きい、のうちの1つ以上であるとき、車両プラットフォームと2つ以上の推進ユニットとの間に接続された1つ以上のダンパーが劣化してと判定することをさらに含む。
【0038】
方法は、車両プラットフォームに取り付けられた車両推進ユニットの車両プラットフォーム間の異相状態を検出することと、車両の車両プラットフォームと、車両プラットフォームに取り付けられた2つ以上の推進ユニットとの間の同相状態を検出することとを含み得る。方法は、推進ユニットの第1の推進ユニットからの第1の速度を第2の速度と比較することと、第1の速度と第2の速度との間の差が閾値より大きいことに応答して、推進ユニットのうちの1つ以上のトルクを制御することによって、異相状態または同相状態のうちの1つ以上を減少させることとをさらに含み得る。
【0039】
任意選択で、第1の推進ユニットからの第1の速度は、第1の予備練習ユニットの第1の車軸速度または第1の推進ユニットの平均速度であり、第2の速度は、第2の推進ユニットの第2の車軸速度または第2の推進ユニットの平均速度または車両の速度である。
【0040】
任意選択で、第1の速度および第2の速度は、プラットフォームおよび取り付けられた2つ以上の推進ユニットの共振周波数で比較され、方法は、共振周波数の範囲内にない第1の速度および第2の速度の比較を除外することをさらに含み得る。
【0041】
任意選択で、第1の推進ユニットは、車両の前方にあってもよく、第2の推進ユニットは、車両の後方にあってもよい。異相状態を検出することは、第1のモータの平均速度フィードバックに関して、車両速度に関して、または第1の推進ユニットの平均速度に関して、第1の推進ユニットの第1のモータ速度振動フィードバックを検出することと、第2のモータの平均速度フィードバックに関して、または車両速度に関して、または第2の推進ユニットの平均速度に関して、第2の推進ユニットの第2のモータの第2のモータ速度振動フィードバックを検出することとを含み得る。
【0042】
任意選択で、第1の推進ユニットは、車両の前方にあり、第2の推進ユニットは、車両の後方にある。同相状態を検出することは、第1のモータの平均速度フィードバックに関して、車両速度に関して、または第1の推進ユニットの平均速度に関して、第1の推進ユニットの第1のモータ速度振動フィードバックを検出することを含み得る。第2のモータの平均速度フィードバックに関して、または車両速度に関して、または第2の推進ユニットの平均速度に関して、第2の推進ユニットの第2のモータ速度振動フィードバックを検出すること。
【0043】
方法は、車両の車両プラットフォームと、車両プラットフォームに取り付けられた2つ以上の推進ユニットとの間の公称位相からの位相変化を検出することと、第1の推進ユニットの第1の車軸からの第1の車軸速度および第2の推進ユニットの第2の車軸からの第2の車軸速度の比較、または第1の推進ユニットの第1のモータの第1のトルクおよび第2の推進ユニットの第2のモータの第2のトルクの比較、のうちの1つ以上を行うこととを含み得る。方法は、第1の車軸速度と第2の車軸速度との間の第1の差が第1の閾値差よりも大きい、または第1のトルクと第2のトルクとの間の第2の差が第2の閾値差よりも大きい、のうちの1つ以上であるときに、車両プラットフォームと2つ以上の推進ユニットとの間で接続された1つ以上のダンパーが劣化していると判定することをさらに含み得る。
【0044】
任意選択で、第1の推進ユニットの第1の車軸速度および第2の推進ユニットからの第2の車軸速度が、プラットフォームおよび取り付けられた2つ以上の推進ユニットの共振周波数で比較される、または第1の推進ユニットの第1のモータの第1のトルクおよび第2の推進ユニットの第2のモータの第2のトルクが、プラットフォームおよび取り付けられた2つ以上の推進ユニットの共振周波数で比較される、のうちの1つ以上が行われる。
【0045】
任意選択で、方法は、共振周波数の範囲内にない第1の車軸速度および第2の車軸速度の比較を除外すること、および/または共振周波数の範囲内にない第1のトルクおよび第2のトルクの比較を除外することをさらに含み得る。
【0046】
任意選択で、方法は、1つ以上のモータによる制動トルクを2つ以上の推進ユニットの1つ以上の軸に印加して、異相状態または同相状態のうちの1つ以上を減少させることをさらに含み得る。
【0047】
任意選択で、方法は、制動トルクが閾値制動トルクを超える場合、ダンパーのうちの1つ以上が劣化していると判定することをさらに含み得る。
【0048】
任意選択で、位相変化を検出することは、第1のモータの平均速度フィードバックに関して、第1の推進ユニットの第1のモータ速度振動フィードバックを検出することと、第2のモータの平均速度フィードバックに関して、第2の推進ユニットの第2のモータの第2のモータ速度振動フィードバックを検出することとを含む。第1の推進ユニットは、車両の前方にあってもよく、第2の推進ユニットは、車両の後方にあってもよい。
【0049】
車両システムは、プラットフォーム、プラットフォームに取り付けられた2つ以上の推進ユニット、およびプロセッサを含んでもよい。プロセッサは、2つ以上の推進ユニットの第1の推進ユニットからの第1の速度を第2の速度と比較し、第1の速度と第2の速度との比較から、プラットフォームと車両プラットフォームに取り付けられた2つ以上の推進ユニットとの間の異相状態を検出し得る。プロセッサは、第1の速度および第2の速度の比較から、プラットフォームと車両プラットフォームに取り付けられた2つ以上の推進ユニットとの間の同相状態をさらに検出し得る。
【0050】
任意選択で、プロセッサは、第1の速度と第2の速度との間の差が閾値差よりも大きいときに、異相状態または同相状態のうちの1つ以上を減少させるために2つ以上の推進ユニットの1つ以上のモータのトルクをさらに制御してもよい。
【0051】
任意選択で、第1の推進ユニットからの第1の速度は、第1の予備練習ユニットの第1の車軸速度または第1の推進ユニットの平均速度であり、第2の速度は、第2の推進ユニットの第2の車軸速度または第2の推進ユニットの平均速度または車両の速度である。
【0052】
任意選択で、第1の速度および第2の速度は、プラットフォームおよび取り付けられた2つ以上の推進ユニットの共振周波数で比較され、プロセッサは、共振周波数の範囲内にない第1の車軸速度および第2の車軸速度の比較をさらに除外し得る。
【0053】
任意選択で、異相状態または同相状態のうちの1つ以上を検出することは、第1のモータの平均速度フィードバックに関して、第1の推進ユニットの第1のモータ速度振動フィードバックを検出することと、第2のモータの平均速度フィードバックに関して、第2の推進ユニットの第2のモータの第2のモータ速度振動フィードバックを検出することとを含む。第1の推進ユニットは、車両の前方にあってもよく、第2の推進ユニットは、車両の後方にあってもよい。
【0054】
任意選択で、プロセッサは、第1の推進ユニットの第1の車軸からの第1の車軸速度および第2の推進ユニットの第2の車軸からの第2の車軸速度の比較、または第1の推進ユニットの第1のモータの第1のトルクおよび第2の推進ユニットの第2のモータの第2のトルクの比較のうちの1つ以上をさらに行い得る。プロセッサは、第1の車軸速度と第2の車軸速度との間の第1の差が第1の閾値差よりも大きい、または第1のトルクと第2のトルクとの間の第2の差が第2の閾値差よりも大きい、のうちの1つ以上であるとき、車両プラットフォームと2つ以上の推進ユニットとの間で接続された1つ以上のダンパーが劣化しているとさらに判定し得る。
【0055】
任意選択で、第1の推進ユニットの第1の車軸速度および第2の推進ユニットの第2の車軸速度の、プラットフォームおよび取り付けられた2つ以上の推進ユニットの共振周波数での比較、または第1の推進ユニットの第1のモータの第1のトルクおよび第2の推進ユニットの第2のモータの第2のトルクの、プラットフォームおよび取り付けられた2つ以上の推進ユニットの共振周波数での比較、のうちの1つ以上が行われる。プロセッサは、共振周波数の範囲内にない第1の車軸速度および第2の車軸速度の比較の除外、または共振周波数の範囲内にない第1のトルクおよび第2のトルクの比較の除外のうちの1つ以上をさらに行い得る。
【0056】
任意選択で、プロセッサはさらに、1つ以上のモータによる制動トルクを、2つ以上の推進ユニットの1つ以上の車軸に印加して、異相状態または同相状態のうちの1つ以上を減少させてもよい。
【0057】
任意選択で、プロセッサはさらに、制動トルクが閾値制動トルクを超える場合、ダンパーのうちの1つ以上が劣化していると判定してもよい。
【0058】
本明細書で使用される場合、用語「プロセッサ」および「コンピュータ」、ならびに関連する用語、例えば、「処理デバイス」、「コンピューティングデバイス」、および「コントローラ」は、コンピュータとして当該技術分野で言及されるそれらの集積回路だけに限定されない場合があるが、マイクロコントローラ、マイクロコンピュータ、プログラマブル論理コントローラ(PLC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ、および特定用途向け集積回路、ならびに他のプログラマブル回路を指し得る。好適なメモリは、例えば、コンピュータ可読媒体を含み得る。コンピュータ可読媒体は、例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)、フラッシュメモリなどのコンピュータ可読不揮発性媒体であり得る。「非一時的コンピュータ可読媒体」という用語は、コンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュールおよびサブモジュール、または任意のデバイス内の他のデータなどの情報の短期および長期記憶のために実装される有形のコンピュータベースのデバイスを表す。したがって、本明細書に記載される方法は、記憶デバイスおよび/またはメモリデバイスを含むが、これらに限定されない、有形の非一時的なコンピュータ可読媒体に具現化される実行可能命令として符号化され得る。そのような命令は、プロセッサによって実行されると、プロセッサに、本明細書に記載される方法の少なくとも一部分を実行させる。このように、この用語は、揮発性および不揮発性媒体と、ファームウェア、物理的および仮想記憶装置、CD-ROM、DVD、ならびにネットワークまたはインターネットなどの他のデジタルソースなどの取り外し可能および取り外し不可能な媒体とを非限定的に含む、非一時的なコンピュータ記憶デバイスを非限定的に含む、有形のコンピュータ可読媒体を含む。
【0059】
単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が明示的に別様に示さない限り、複数の言及を含む。「任意選択の」または「任意選択で」は、続いて記載される事象または状況が生じ得るか、または生じ得ず、その記載は、その事象が生じる場合と生じない場合とを含み得ることを意味する。本明細書および特許請求の範囲全体を通して本明細書で使用される近似の言い回しは、それが関連し得る基本機能の変化をもたらすことなく許容可能に変化し得る任意の定量的表現を修飾するために適用され得る。したがって、「約」、「実質的に」、および「およそ」などの用語または複数の用語によって修飾される値は、指定された正確な値に限定されない場合がある。少なくともいくつかの場合では、近似の言い回しは、その値を測定するための器具の精度に対応し得る。ここで、本明細書および特許請求の範囲全体を通して、範囲制限を組み合わせおよび/または交換してもよく、そのような範囲は識別されてもよく、文脈または言い回しが別途指示しない限り、そこに含まれるすべてのサブ範囲を含んでもよい。
【0060】
この書面による説明は、実施例を使用して、最良のモードを含む実施形態を開示し、任意のデバイスまたはシステムを作製および使用することと、任意の組み込まれた方法を実行することとを含む実施形態を当業者が実践することを可能にする。特許請求の範囲は、本開示の特許可能な範囲を定義し、当業者が思い浮かぶ他の例を含む。そのような他の例は、それらが特許請求の範囲の文字通りの言い回しとは異なる構造要素を有する場合、またはそれらが特許請求の範囲の文字通りの言い回しとは実質的に異なる等価な構造要素を含む場合、特許請求の範囲内であることが意図される。