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特許7467407手持ち式医療スキャニングデバイスにおける獲得ワークフロー及びステータスインジケーター
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-05
(45)【発行日】2024-04-15
(54)【発明の名称】手持ち式医療スキャニングデバイスにおける獲得ワークフロー及びステータスインジケーター
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/00 20060101AFI20240408BHJP
【FI】
A61B8/00
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2021502599
(86)(22)【出願日】2019-07-10
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-11-11
(86)【国際出願番号】 EP2019068466
(87)【国際公開番号】W WO2020016069
(87)【国際公開日】2020-01-23
【審査請求日】2022-07-07
(31)【優先権主張番号】62/699,928
(32)【優先日】2018-07-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】弁理士法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ポーランド マッキー ダン
【審査官】佐々木 創太郎
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/035392(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/091337(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0000453(US,A1)
【文献】特開2013-063253(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00-8/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
手持ち使用のために構成されたハウジングと、前記ハウジング内に少なくとも部分的に配置され、超音波データを取得する超音波アセンブリと、前記ハウジング内に少なくとも部分的に配置され、ディスプレイを備えるディスプレイユニットと、前記ハウジング内に配置されたプロセッサとを備える、手持ち式超音波スキャニングデバイスであって、
前記プロセッサは、前記超音波アセンブリ及び前記ディスプレイユニットと通信し、
前記プロセッサは、前記超音波アセンブリを使用してスキャンされるべき解剖学的構造の選択を受信することと、前記超音波アセンブリから超音波データを受信することと、受信された超音波データが前記スキャンされるべき解剖学的構造を表すデータを含むか否かを判定することと、前記判定することに応答して、前記ディスプレイユニットに、前記ディスプレイに超音波画像が表示されていない状態で表示される標示を出力することとをするように動作可能であ
前記標示は、前記スキャンされるべき解剖学的構造を表すデータを前記超音波アセンブリが取得し得る位置に前記手持ち式超音波スキャニングデバイスが配置されるように前記手持ち式超音波スキャニングデバイスの動きを示す、
手持ち式超音波スキャニングデバイス。
【請求項2】
前記超音波アセンブリから受信された超音波データが前記スキャンされるべき解剖学的構造を表すデータを含んでいない場合に、前記標示は、前記手持ち式超音波スキャニングデバイスを再配置するための警報を含む、請求項1に記載の手持ち式超音波スキャニングデバイス。
【請求項3】
前記プロセッサは、前記判定することに応答して、可聴トーンを出力するように更に動作可能である、請求項1に記載の手持ち式超音波スキャニングデバイス。
【請求項4】
前記プロセッサは、受信された超音波データをリモート医療処理システムに通信するように更に動作可能である、請求項1に記載の手持ち式超音波スキャニングデバイス。
【請求項5】
超音波画像が前記ディスプレイユニットに出力されていない状態で、受信された超音波データが前記リモート医療処理システムに通信される、請求項4に記載の手持ち式超音波スキャニングデバイス。
【請求項6】
前記プロセッサは、評価結果を前記リモート医療処理システムから受信することと、前記ディスプレイユニットに前記評価結果を出力することとをするように更に動作可能である、請求項4に記載の手持ち式超音波スキャニングデバイス。
【請求項7】
前記プロセッサは、前記超音波アセンブリから受信された超音波データに基づいて評価結果を生成することと、前記ディスプレイユニットに前記評価結果を出力することとをするように更に動作可能である、請求項1に記載の手持ち式超音波スキャニングデバイス。
【請求項8】
前記プロセッサは、スキャニング手順が完了したか否かを判定することと、前記スキャニング手順が完了したと判定したことに応答して、前記ディスプレイユニットに第2の標示を出力することとをするように更に動作可能である、請求項1に記載の手持ち式超音波スキャニングデバイス。
【請求項9】
前記プロセッサは、前記スキャンされるべき解剖学的構造の評価が完了したか否かを判定することと、前記スキャンされるべき解剖学的構造の評価が完了したと判定したことに応答して、前記ディスプレイユニットに第3の標示を出力することとをするように更に動作可能である、請求項8に記載の手持ち式超音波スキャニングデバイス。
【請求項10】
前記スキャンされるべき解剖学的構造の評価は、前記スキャンされるべき解剖学的構造の測定結果を含む、請求項9に記載の手持ち式超音波スキャニングデバイス。
【請求項11】
前記超音波アセンブリは、マイクロビーム形成器を備える小型化超音波アセンブリを備える、請求項1に記載の手持ち式超音波スキャニングデバイス。
【請求項12】
超音波スキャニングの方法であって、前記方法は、
ハウジング内に少なくとも部分的に配置される超音波アセンブリを使用してスキャンされるべき解剖学的構造の選択を、手持ち式超音波スキャニングデバイスのハウジング内に配置されるプロセッサが受信するステップと、
前記超音波アセンブリから超音波データを前記プロセッサが受信するステップと、
前記超音波アセンブリから受信された超音波データが前記スキャンされるべき解剖学的構造を表すデータを含むか否かを前記プロセッサが判定するステップと、
前記判定するステップに応答して、前記ハウジング内に少なくとも部分的に配置され、及びディスプレイを備えるディスプレイユニットに、前記プロセッサが、前記ディスプレイに超音波画像が表示されていない状態で表示される標示を出力するステップと、を有し、
前記標示は、前記スキャンされるべき解剖学的構造を表すデータを前記超音波アセンブリが取得し得る位置に前記手持ち式超音波スキャニングデバイスが配置されるように前記手持ち式超音波スキャニングデバイスの動きを示す、
方法。
【請求項13】
前記プロセッサが、受信された超音波データをリモート医療処理システムに通信するステップを更に有する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
超音波画像が前記ディスプレイユニットに出力されていない状態で前記リモート医療処理システムに通信される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
スキャニング手順が完了したか否かを前記プロセッサが判定するステップと、
前記スキャニング手順が完了したと判定したことに応答して、前記プロセッサが、第2の標示を前記ディスプレイユニットに出力するステップと
を更に有する、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記スキャンされるべき解剖学的構造の評価が完了したか否かを前記プロセッサが判定するステップと、
前記スキャンされるべき解剖学的構造の評価が完了したと判定したことに応答して、前記プロセッサが、第3の標示を前記ディスプレイユニットに出力するステップと
を更に有する、請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 本開示は、概して手持ち式医療スキャニングデバイスに関し、特に、関連するイメージングデータを選択的に記憶し、関連しないイメージングデータを破棄し、イメージング中にユーザーにガイダンスを提供するように構成された手持ち式医療スキャニングデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
[0002] 医療技術は長年にわたり進歩してくるのに伴い、医師が患者を手術により切開することを必要とせずに患者の体内における解剖学的構造を見ることを可能にするために、幾つかの異なるイメージングモダリティ、例えば、磁気共鳴イメージング(MRI)、コンピュータ断層撮影(CT)、X線、蛍光透視法、脈管造影、超音波などが発展してきた。超音波の場合、超音波は、超音波トランスデューサーから患者の体内に出射される。超音波は、組織構造、赤血球、及び患者内の他の特徴から生じる不連続部により部分的に反射される。反射波からのエコーは、超音波トランスデューサーにより受信され、超音波画像を生成するために処理される。超音波画像は、概して、医師による視認のためにディスプレイに出力される。表示された画像の確認は、多くの場合、医師の診断及び処置計画において統合的な役割を果たす。
【発明の概要】
【0003】
[0003] 本開示の態様は、実際に超音波画像を生成すること、及び超音波スキャニングデバイスのユーザーに表示することなく、又は、より少ない、選択された、及び/又は、より大きく関連した超音波画像のみを表示して、超音波データ獲得フィードバック及び/又はデータ評価フィードバックを提供する。有益には、超音波画像表示を省略すること、及び/又は最小化することは、例えば、未熟な超音波オペレーター又は患者に、依然として役立つ指示及び/又は評価出力を提供しながら、超音波スキャニングデバイスのための処理及び/又はメモリハードウェアの要求を低くする。
【0004】
[0004] 例えば、本開示の実施形態は、手持ち式医療スキャニングデバイスにおいてイメージングデータを記憶するための改善されたシステム及び方法を提供する。その点について、本開示は、選択されたイメージング手順、例えば嚢ボリューム測定手順に基づいて、関連しないイメージングデータから関連するイメージングデータを自動的に分離するように構成された手持ち式医療スキャニングデバイスを提供する。手持ち式医療スキャニングデバイスは、ローカル不揮発性メモリに選択されたイメージング手順に関連したイメージングデータを記憶することと、選択されたイメージング手順に関連しないイメージングデータを破棄することとをするように構成される。関連するイメージングデータのみを記憶することが、有益にメモリリソースを節約し、イメージングデータファイルのサイズを小さくする。したがって、本開示の教示は、手持ち式医療スキャニングデバイスが記憶することが可能なイメージングデータファイルの数を有益に増やす。
【0005】
[0005] 本開示の実施形態は、解剖学的構造のイメージングを円滑化するために、ユーザーにガイダンスを出力するための改善されたシステム及び方法を更に提供する。その点について、本開示は、手持ち式医療スキャニングデバイスが解剖学的構造をイメージングするための適切な位置に配置されているか否かを判定するために、手持ち式医療スキャニングデバイスにより取得されたイメージングデータを分析するように構成された手持ち式医療スキャニングデバイスを提供する。分析に基づいて、手持ち式医療スキャニングデバイスは、手持ち式医療スキャニングデバイスが適切に配置されているという確証を与える、又は、手持ち式医療スキャニングデバイスを再配置するようにユーザーに警報を出す標示を出力するように構成されている。手持ち式医療スキャニングデバイスは、イメージングが完了した時点の標示を更に提供する。これらの様々な標示は、有用なイメージングデータが取得される可能性を有益に高め、及び、イメージングが完了する前にユーザーが手持ち式医療スキャニングデバイスを除去する可能性を減らす。
【0006】
[0006] 本開示の実施形態は、解剖学的構造を評価するための改善されたシステム及び方法を更に提供する。その点について、本開示は、解剖学的構造に関連したイメージングデータを取得することと、ディスプレイに解剖学的構造の画像を出力せずに手持ち式医療スキャニングデバイスのディスプレイに評価結果を出力することとをするように構成された手持ち式医療スキャニングデバイスを提供する。解剖学的構造の画像は、医療的に訓練されていないユーザー、例えば患者にとって理解することが困難である。このようなユーザーは、評価結果、例えば測定結果及び診断結果の形態により提示された医療情報を理解することが、より簡単だと感じる。したがって、解剖学的画像を出力せずに評価結果を出力することは、医療的に訓練されていないユーザーが手持ち式医療スキャニングデバイスを使用しているときにフラストレーションを感じるようになる可能性を有益に減らし、及び、このようなユーザーが表示された医療情報を理解する可能性を高める。
【0007】
[0007] 一実施形態において、手持ち式超音波スキャニングデバイスが開示される。手持ち式超音波スキャニングデバイスは、手持ち使用のために構成されたハウジングと、ハウジング内に少なくとも部分的に配置され、及び、超音波データを取得するように構成された超音波アセンブリと、ハウジング内に少なくとも部分的に配置され、及びディスプレイを備えるディスプレイユニットと、ハウジング内に配置されたプロセッサとを備え、プロセッサが超音波アセンブリ及びディスプレイユニットと通信する。プロセッサは、超音波アセンブリを使用してスキャンされるべき解剖学的構造の選択を受信することと、超音波アセンブリから超音波データを受信することと、受信された超音波データが解剖学的構造を表すデータを含むか否かを判定することと、判定することに応答して、ディスプレイユニットに標示を出力することとをするように動作可能である。
【0008】
[0008] 幾つかの実施形態において、超音波アセンブリから受信された超音波データが解剖学的構造を表すデータを含んでいない場合に、標示は手持ち式超音波スキャニングデバイスを再配置するための警報を含む。幾つかの実施形態において、プロセッサは、判定することに応答して、可聴トーンを出力するように更に動作可能である。幾つかの実施形態において、プロセッサは、受信された超音波データをリモート医療処理システムに通信するように更に動作可能である。幾つかの実施形態において、超音波画像がディスプレイユニットに出力されていない状態で、受信された超音波データがリモート医療処理システムに通信される。幾つかの実施形態において、プロセッサは、評価結果をリモート医療処理システムから受信することと、ディスプレイユニットに評価結果を出力することとをするように更に動作可能である。幾つかの実施形態において、プロセッサは超音波アセンブリから受信された超音波データに基づいて評価結果を生成することと、ディスプレイユニットに評価結果を出力することとをするように更に動作可能である。幾つかの実施形態において、プロセッサは、スキャニング手順が完了したか否かを判定することと、スキャニング手順が完了したと判定したことに応答して、ディスプレイユニットに第2の標示を出力することとをするように更に動作可能である。幾つかの実施形態において、プロセッサは、解剖学的構造の評価が完了したか否かを判定することと、解剖学的構造の評価が完了したと判定したことに応答して、ディスプレイユニットに第3の標示を出力することとをするように更に動作可能である。幾つかの実施形態において、解剖学的構造の評価は、解剖学的構造の測定結果を含む。幾つかの実施形態において、超音波アセンブリは、マイクロビーム形成器を備える小型化超音波アセンブリを備える。
【0009】
[0009] 一実施形態において、超音波スキャニングの方法が開示される。超音波スキャニングの方法は、ハウジング内に少なくとも部分的に配置された超音波アセンブリを使用してスキャンされるべき解剖学的構造の選択を、手持ち式超音波スキャニングデバイスのハウジング内に配置されたプロセッサにより受信するステップと、超音波アセンブリから超音波データをプロセッサにより受信するステップと、超音波アセンブリから受信された超音波データが解剖学的構造を表すデータを含むか否かをプロセッサにより判定するステップとを有する。超音波スキャニングの方法は、判定したことに応答して、プロセッサにより、ハウジング内に少なくとも部分的に配置され、及びディスプレイを備えるディスプレイユニットに、標示を出力するステップを更に有する。
【0010】
[0010] 幾つかの実施形態において、超音波スキャニングの方法は、受信された超音波データをリモート医療処理システムにプロセッサにより通信するステップを更に有する。幾つかの実施形態において、受信された超音波データは、超音波画像がディスプレイユニットに出力されていない状態でリモート医療処理システムに通信される。幾つかの実施形態において、超音波スキャニングの方法は、スキャニング手順が完了したか否かをプロセッサにより判定するステップと、スキャニング手順が完了したと判定したことに応答して、第2の標示をディスプレイユニットにプロセッサにより出力するステップとを更に有する。幾つかの実施形態において、超音波スキャニングの方法は、解剖学的構造の評価が完了したか否かをプロセッサにより判定するステップと、解剖学的構造の評価が完了したと判定したことに応答して、第3の標示をディスプレイユニットにプロセッサにより出力するステップとを更に有する。
【0011】
[0011] 本開示の追加的な態様、特徴、及び利点が以下の詳細な説明から明らかとなる。
【0012】
[0012] 本開示の例示的な実施形態が添付図面を参照しながら説明される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1A】[0013] 本開示の態様による手持ち式医療スキャニングデバイスの概略平面図である。
図1B】[0014] 本開示の態様による手持ち式医療スキャニングデバイスの概略側面図である。
図2】[0015] 本開示の態様による手持ち式医療スキャニングデバイスの図式的な概略図である。
図3】[0016] 本開示の態様による分散型医療処理システムの図式的な概略図である。
図4】[0017] 本開示の態様による、複数の直交したイメージング面にわたってイメージングされる解剖学的構造の図式的な概略図である。
図5A】[0018] 本開示の態様による、標示を表示した手持ち式医療スキャニングデバイスの概略平面図である。
図5B】[0019] 本開示の態様による、標示を表示した手持ち式医療スキャニングデバイスの概略平面図である。
図5C】[0020] 本開示の態様による、標示を表示した手持ち式医療スキャニングデバイスの概略平面図である。
図6A】[0021] 本開示の態様による、スキャニング位置において患者の体に装着された手持ち式医療スキャニングデバイスの概略平面図である。
図6B】[0022] 本開示の態様による、スキャニング位置において患者の体に触れて手動で保持された手持ち式医療スキャニングデバイスの概略平面図である。
図7A】[0023] 本開示の態様による、医療情報を表示した手持ち式医療スキャニングデバイスの概略平面図である。
図7B】[0024] 本開示の態様による、医療情報を表示した手持ち式医療スキャニングデバイスの概略平面図である。
図8】[0025] 本開示の態様による、方法のフローチャートである。
図9】[0026] 本開示の態様による、方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[0027] 本開示の原理の理解を深めることを目的として、以下で、図面に例示された実施形態が参照され、その実施形態について説明するために特定の表現が使用される。それにもかかわらず、本開示の範囲を限定することは意図されていないことが理解される。説明されるデバイス、システム、及び方法に対する任意の代替例及び更なる変形例、及び本開示の原理の任意の更なる用途が、本開示に関連した当業者が通常想起するように十分に想定され、及び本開示に含まれる。特に、一実施形態に関連して説明される特徴、コンポーネント、及び/又はステップが、本開示の他の実施形態に関連して説明される特徴、コンポーネント、及び/又はステップと組み合わされてもよいことが十分に想定される。しかし、簡潔であるように、これらの組み合わせに関する多くの繰り返しとなる事項は個々に説明されない。
【0015】
[0028] ここで図1A及び図1Bを参照すると、図1A及び図1Bには、本開示の態様による手持ち式医療スキャニングデバイス102の様々な概略図が示されている。図示されるように、手持ち式医療スキャニングデバイス102は、イメージング要素110、ディスプレイ112、基準マーク116、及びハウジング118を含む。ハウジング118は、長さ120、幅121、及び深さ122をもつ。ディスプレイ112及びイメージング要素110は、それぞれ、手持ち式医療スキャニングデバイス102の上面及び底面に配置され、ハウジング118内に全体的に、又は部分的に配置される。手持ち式医療スキャニングデバイス102の更なる態様、及び、手持ち式医療スキャニングデバイス102の様々な特徴が以下で更に詳細に説明される。
【0016】
[0029] 手持ち式医療スキャニングデバイス102は、手持ち使用のために寸法決めされ、形作られる。正方形又は丸みを帯びた正方形の外縁をもつものとして様々に図示されるが、手持ち式医療スキャニングデバイス102は、幾つかの例において、円形の外縁、三角形の外縁、長方形の外縁、五角形の外縁、六角形の外縁、又は、何らかの他の形状の外縁をもつ。ハウジング118は、イメージング及び/又は他の機能が実施されている間、ユーザーが手持ち式医療スキャニングデバイス102を片手で、又は両手で固く把持することを可能にすることに適した長さ120、幅121、及び深さ122をもつ。特定の例によると、限定されないが、ハウジング118は、7センチメートルの長さ120、7センチメートルの幅121、及び2センチメートルの厚さをもつ。このような寸法は、手持ち式医療スキャニングデバイス102が実質的にすべてのユーザーにより片手での把持により使用されることを有益に可能にする。ユーザーは、場合に応じて、医師、患者、又は第三者である。
【0017】
[0030] ユーザーは、ハウジング118の1つの側面におけるユーザーの親指とハウジング118の反対側の側面におけるユーザーの人差し指とにより手持ち式医療スキャニングデバイス102を把持することにより、手持ち式医療スキャニングデバイス102の片手による把持を維持する。手持ち式医療スキャニングデバイス102を保持する最も自然な手法が手持ち式医療スキャニングデバイス102の側面によるものであるように、側面が十分に厚く、他の寸法が十分小さいものである。ユーザーの親指、指間水かき、及び人差し指が手持ち式医療スキャニングデバイスの4つの側部のうちの3つに触れて快適な把持を実現するように、ユーザーの手が手持ち式医療スキャニングデバイスを部分的に囲う。手持ち式医療スキャニングデバイス102がこの手法により保持されているとき、イメージング要素110が患者の体に押し付けられている間、ディスプレイ112がユーザーにより視認可能にされる。
【0018】
[0031] 基準マーク116は、ハウジング118に位置される。基準マーク116は、ユーザーが、例えばディスプレイ112に示された情報の簡便な確認を可能にする把持手法といった、手持ち式医療スキャニングデバイス102の把持手法を選択することに役立つ。例えば、ユーザーは、基準マーク116から、ディスプレイ112の底部がディスプレイ112の反対側にあることを知り、相応に把持手法を選択する。基準マーク116は、ディスプレイ112が電源オフであるか又は無表示であるとき、把持についてのユーザーの選択をガイドすることに特に有用である。基準マーク116を含むことは、ユーザーが手持ち式医療スキャニングデバイス102を最初に把持した後に把持のし直しを望む可能性を減らすことにより、ユーザーのフラストレーションを有益に低減する。基準マーク116は、イメージングのために患者の皮膚に触れて、又は近接して配置されたときに視認可能ではない場合があるイメージング要素110に対する基準としても機能する。その点について、基準マーク116は、イメージングのために手持ち式医療スキャニングデバイス102を配置することについてユーザーを有益に支援する。基準マーク116は、基準としての目的のために目立つ大きさにされる。基準マーク116は、画像、ロゴ、ブランド、シンボル、機能要素、スピーカー、数、文字、英数字テキスト、サイン、又はそれらの組み合わせを包含する。幾つかの例において、基準マーク116は、視覚障害のあるユーザーによるその位置特定を円滑化するために触覚により感知されるものであってもよい。
【0019】
[0032] ディスプレイ112は、容量型タッチスクリーン又は抵抗型タッチスクリーンを備える、及び、グラフィカルユーザーインターフェース(GUI)として機能するスクリーン又はモニターを備える。他の例において、ディスプレイ112は、1つ又は複数のインジケーターライト、例えば赤色ライト及び緑色ライトを備える。ディスプレイ112は、手持ち式医療スキャニングデバイス102の表面を部分的に、又は全体的に形成する。いずれの場合においても、ディスプレイ112は、ディスプレイユニットの一部である。ディスプレイユニットは、ディスプレイ112と、ディスプレイ112を手持ち式医療スキャニングデバイス102のプロセッサに接続する回路とを備える。ディスプレイユニットは、ハウジング118内に全体的に、又は部分的に配置される。
【0020】
[0033] 手持ち式医療スキャニングデバイス102は電池駆動式であり、1つ又は複数の電池を備える。電池は、手持ち式医療スキャニングデバイス102内に配置され、取り外し可能である。幾つかの場合において、手持ち式医療スキャニングデバイス102に給電する電池は充電可能である。例えば、手持ち式医療スキャニングデバイス102の電池は、手持ち式医療スキャニングデバイス102を電源コンセントなどに差し込まれた電源コードに嵌め合わせることにより、手持ち式医療スキャニングデバイス102をドッキングステーションに嵌め合わせることにより再充電される。幾つかの例において、手持ち式医療スキャニングデバイス102は、電源コンセントに差し込まれた電源コードにより給電される。電源コードは、例えば、電池寿命を保つなどのために、電池が切れているか、又は存在していないときに使用される。電源コードは、手持ち式医療スキャニングデバイス102が電池駆動をサポートするように構成されていない場合にも使用される。
【0021】
[0034] 手持ち式医療スキャニングデバイス102は、イメージング要素110を介して患者の解剖学的構造を表すデータ、例えば超音波データを取得するように動作可能である。その点について、手持ち式医療スキャニングデバイス102は、イメージング要素を介して患者の解剖学的構造をイメージングするように動作可能である。例えば、イメージング要素110は、イメージングされるエリアに重なりながら患者の皮膚に接触するように、又は患者の皮膚の近くに配置される。イメージング要素110は、次に、1つ又は複数の種類のエネルギーを出射し、患者の身体構造物により反射されたエネルギーの戻りを受信する。この反射されたエネルギーは、患者の解剖学的構造の画像を形成するために、及び/又は1つ又は複数の解剖学的構造の評価を円滑化するために使用される。
【0022】
[0035] 本明細書において使用されるとき、イメージングは、反射されたエネルギーが画像を形成するために使用されるか否かにかかわらず、1つ又は複数の種類のエネルギー、例えば超音波を使用したスキャニングの処理を表す。例えば、患者の解剖学的構造を表すデータ、例えば解剖学的構造の評価に使用されるデータを取得するために、超音波を使用して患者の解剖学的構造をスキャンすることは、超音波画像が取得されたデータに基づいて生成されない場合でもイメージングと呼ばれる。その点について、「イメージング」の活用形は「スキャニング」の対応する活用形として参照され、「イメージングデータ」は「スキャニングデータ」として参照され、「イメージングプリセット」は「スキャニングプリセット」として参照され、「イメージング手順」は「スキャニング手順」として参照され、「イメージングモダリティ」は「スキャニングモダリティ」として参照され、「画像収集」は「データ収集」として参照され、「イメージング角度」は「スキャニング角度」として参照され、「イメージング深さ」は「スキャニング深さ」として参照され、「イメージング対象物」は「スキャニング対象物」として参照され、「イメージング面」は「スキャニング面」として参照され、「イメージング位置」は「スキャニング位置」として参照されるなどし得る。
【0023】
[0036] イメージング要素110は、赤外線スキャナ、超音波アセンブリ、例えば超音波スキャナ、光学イメージング要素、光コヒーレンス断層撮影(OCT)スキャナ、コンピュータ断層撮影(CT)スキャナ、X線スキャナ、又はそれらの組み合わせを備える。したがって、手持ち式医療スキャニングデバイス102は、熱画像、三次元(3D)超音波画像を包含する超音波画像、光学的画像、OCT画像、CT画像、及びX線画像の任意の組み合わせを取得する。特に、イメージング要素110が超音波スキャナを備える場合、イメージング要素110は、患者の身体組織内に超音波を出射するように構成された1つ又は複数の超音波トランスデューサーを備える。幾つかの例において、超音波トランスデューサーは、音響要素と呼ばれる。超音波は、組織構造、赤血球、及び患者内の他の特徴から生じる不連続部により部分的に反射される。反射された超音波からのエコーは、音響要素により受信され、超音波画像を生成するために手持ち式医療スキャニングデバイス102により処理される。その点について、手持ち式医療スキャニングデバイス102は、超音波イメージングデバイスと呼ばれ得る。幾つかの例において、反射された超音波からのエコーは、音響要素により受信され、超音波画像が生成されずに解剖学的構造の評価を円滑化するために手持ち式医療スキャニングデバイス102により処理される。その点について、手持ち式医療スキャニングデバイス102は超音波スキャニングデバイスと呼ばれ得、イメージング要素110は超音波トランスデューサーアレイ又は単にアレイと呼ばれる。
【0024】
[0037] イメージング要素110は、1つ又は複数の音響要素を含み得る。例えば、複数の音響要素は、アレイ、例えば超音波トランスデューサーアレイに配置され得る。例えば、超音波トランスデューサーアレイは、例えば、2つの音響要素、4つの音響要素、36個の音響要素、64個の音響要素、128個の音響要素、500個の音響要素、812個の音響要素、及び/又は、より大きい他の数及びより小さい他の数といった数を包含する、2つの音響要素から1000個の音響要素の間の任意の適切な数の個々の音響要素を含み得る。超音波トランスデューサーアレイは、例えば平面アレイ、湾曲したアレイなどを包含するフェーズドアレイといった任意の適切な構成であり得る。例えば、超音波トランスデューサーアレイは、幾つかの場合において、一次元アレイ、1.X次元アレイ、例えば1.5次元アレイ、又は二次元アレイであり得る。その点について、超音波トランスデューサー又は超音波トランスデューサーアレイは、患者の解剖学的構造の一次元、二次元、及び/又は三次元画像を取得するように構成され得る。超音波トランスデューサーアレイは、一様に、又は独立して制御され得る、及び有効化され得る超音波要素の1つ又は複数のセグメント(例えば、1つ又は複数の行、1つ又は複数の列、及び/又は1つ又は複数の配向)を包含するマトリックスアレイであり得る。イメージング要素110は、圧電微細加工超音波トランスデューサー(PMUT)、容量性微細加工超音波トランスデューサー(CMUT)、単結晶、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、PZT複合材料、他の適切なトランスデューサータイプ、及び/又はそれらの組み合わせを包含する任意の適切なトランスデューサータイプを含み得る。
【0025】
[0038] 幾つかの例において、イメージング要素110は、小型化超音波アセンブリを備える。小型化超音波アセンブリは、より大きい超音波アセンブリの場合に比べて、より少ない動力を消費し、より少ない熱を生成し、及び手持ち式医療スキャニングデバイス102内のより小さい空間を占有する。この、空間及びリソースの節約、及び、熱の低減は、画像処理が手持ち式医療スキャニングデバイス102により独立して実施されるように、画像処理ハードウェアが手持ち式医療スキャニングデバイス102内に収容されることを有益に可能にする。
【0026】
[0039] 小型化超音波アセンブリは、マイクロビーム形成器を備える。マイクロビーム形成器は、特定用途向け集積回路(ASIC)に対する個々の音響要素の直接的で物理的な接続を可能にするように構成された特定用途向け集積回路(ASIC)を備える。接続部は、例えば、プリント回路基板におけるボールグリッドアレイピンフィールドを通して、又はASIC自体の表面に直接的に作られる。個々の音響要素の各々に対して、送信信号と受信信号との両方をシーケンスするASIC内の時間遅延回路が存在する。受信信号の割合は、マイクロビーム形成器からの出力が多くの信号線にわたって送信され得る部分的に焦点を結んだアナログ信号となるように組み合わされる。受信信号の組み合わせは、信号線の数が総音響要素数から実質的に減らされることを有益に可能にする。個々の音響要素への信号及び個々の音響要素からの信号は、トランスデューサーアレイ全体内における個々の音響要素の時間及び位置に関連して順序付けられる。送信機能及び受信機能のシーケンシングに加えて、マイクロビーム形成器は受信信号を加算するように更に機能する。この信号の取り扱い方法は、最終的に主ビーム形成信号経路に接続するはるかに少ない数の制御ラインにより(ビーム形成回路を介して)トランスデューサーアレイ全体がアドレスされることを可能にする。信号の加算は、音響要素のグループが1つのトランスデューサーとして機能することをもたらす。言い方を変えると、信号の加算は、小さい音響要素のグループが1つの大きい音響要素として機能することをもたらす。この効果的な1つのトランスデューサー又はパッチは、既に部分的にビーム形成された音響データを含む。パッチの数は、主ビーム形成信号経路に接続している信号線の数に直接影響を与える。マイクロビーム形成器は、他の機能、例えば送信パルスの生成及び利得制御を更に実施する。幾つかの例において、時間遅延制御は、マイクロビーム形成器により形成されたビームを操縦するために、及び/又は集束させるために使用される。ビームが集束され、又は操縦され得る程度は、トランスデューサーアレイの直交する軸のいずれかにおける音響要素の総数に依存する。トランスデューサーアレイの以下の態様、すなわち、複数の方向に音響要素が超音波を受信及び送信することを可能にする小さい個々の音響要素であって、より小さい音響要素がより大きい許容角度を利用可能にする、小さい個々の音響要素、集束を円滑化するアレイアパチャーの最大化、及び、格子ローブアーティファクトを低減する互いに近くに配置された音響要素が効果的なビーム形成を促進する。
【0027】
[0040] 手持ち式医療スキャニングデバイス102のユーザーは、1つ又は複数のボタンを介して、及び/又は、ディスプレイ112を介して手持ち式医療スキャニングデバイス102の動作を制御するための命令を入力する。その点について、ディスプレイ112は、容量型タッチスクリーン又は抵抗型タッチスクリーンを備え、グラフィカルユーザーインターフェース(GUI)として機能する。ユーザーは、3D超音波画像を包含する例えば超音波画像といった画像の1つ又は複数の領域を拡大するために、1つ又は複数の好み、例えば明度の好みを入力するために、患者情報、例えば、患者の年齢、体重、性別、病状などを入力するために、医療データにアクセスするために、イメージング要素110を使用したスキャニングを有効化又は無効化するために、イメージングプリセットを選択するために、又はそれらの組み合わせのために、様々なスクリーンとホームスクリーンとの間においてスイッチングするようにディスプレイ112にタッチベースの命令を出す。
【0028】
[0041] イメージング要素110を使用したイメージング前、ユーザーは1つ又は複数のイメージングプリセットを選択する。手持ち式医療デバイスのプロセッサは、医療施設内に配置された医療データベース、又は離れたサーバーから提示されたイメージングプリセットを入手するように動作可能である。データベースはリモート医療処理システム例えば、病院記録システムにより代表され得る。代替的に、(例えば、より小さい医療データベースの形態の)イメージングプレゼントは、デバイスのハウジング内に配置するメモリユニットに記憶される。イメージングプリセットを選択することは、イメージングされる解剖学的構造、例えば、患者の脳、心臓、肺、胃、脾臓、腸、嚢、腎臓、骨、歯、肝臓、子宮、患者内の腫瘍、患者内のできものなどを選択すること、イメージングされる領域、例えば、患者の頭部、首、胸、腹部、鼠径部、上肢、下肢、四肢など、又は、その一部、例えば患者の腹部の四半部を選択すること、イメージングされる何らかの他の対象物を選択すること、イメージング深さを選択すること、実施される評価、例えば、診断評価、長さ測定、幅測定、厚さ又は深度測定、面積測定、ボリューム測定、心拍数測定、効率測定、流量測定、駆出率測定、密度測定、経時的な変化の測定、体重測定、角度測定などを選択すること、イメージングモダリティ、例えば、熱イメージング、超音波、光学イメージング、OCT、CT、X線などを選択すること、イメージング角度を選択すること、所望のビューを選択すること、又はそれらの任意の組み合わせを有する。
【0029】
[0042] 選択されたイメージングプリセットの組み合わせは、選択されたイメージング手順と呼ばれる。例えば、ユーザーは、イメージングされる解剖学的構造として患者の嚢を特定するイメージングプリセットと、実施される評価としてボリューム測定とを選択することにより、嚢ボリューム測定のためのイメージング手順を選択する。更なる例に対して、ユーザーは、イメージングされる解剖学的構造として患者の心臓を特定するイメージングプリセットと、所望のビューとして左心室短軸(SAX)とを選択することにより、心臓の左心室短軸をイメージングするためのイメージング手順を選択する。ユーザーがどのイメージングプリセットも選択しない場合、ユーザーはイメージング手順として一般的なイメージングを有効に選択したこととなる。
【0030】
[0043] イメージングプリセットは、ディスプレイ112に選択のために提示される。ユーザーは、所望の選択に占有された、及び/又は所望の選択に近いディスプレイ112上の位置に触れることにより、選択を行う。イメージングプリセットは、部分的な、又は包括的なリストに現れ、及び/又は例えば、イメージング対象物、評価などのカテゴリに分けられる。イメージングプリセットがカテゴリに分けられた場合、カテゴリの部分的な、又は包括的なリストが表示され、カテゴリの選択がイメージングプリセットのドロップダウンリストを開く。より高頻度で選択されたイメージングプリセットは、より低頻度で選択されたものより目立たせられる。例えば、頻繁に選択されたイメージングプリセットは、強調表示され、太字にされ、事前選択され、最初に表示され、最後に表示され、中心に表示され、又はそれらの任意の組み合わせをされる。幾つかの例において、ユーザーは、手持ち式医療スキャニングデバイス102における1つ又は複数の設定を変更することにより、イメージングプリセットがどのように現れるかを選択する。
【0031】
[0044] イメージングプリセットは、同様に上述のようにカテゴリに分けられるイメージング手順に提示され事前グループ化される。イメージングプリセットのこのような事前グループ化は、手持ち式医療スキャニングデバイス102により自動的に実施され、及び/又は、ユーザーにより実施される。その点について、手持ち式医療スキャニングデバイス102は、1つ又は複数のイメージング手順のリストを使用して事前にプログラムされるか、将来の提示のためにメモリに過去のイメージング手順の選択を記憶するか、イメージング手順、又は、過去のイメージング手順の選択及び/又は患者医療データに基づいてイメージング手順、又は修正されたイメージング手順を提案するか、リモート医療処理システムから1つ又は複数のイメージング手順のリストを受信するか、又は、それらの任意の組み合わせを行う。ここまでに説明されているのと同様に、より高頻度で選択されたイメージング手順は、より低頻度で選択されたものより目立たせられる。
【0032】
[0045] ユーザーは、イメージング手順の選択の後にイメージングを始める。幾つかの例において、手持ち式医療スキャニングデバイス102は、イメージング手順の選択に応答して自動的にイメージングを始める。他の場合において、ユーザーは、イメージング手順の選択とは無関係にイメージングを手動で有効化する。イメージングが始まった後、手持ち式医療スキャニングデバイス102は、イメージング要素110を介してイメージングデータ、例えば超音波イメージングデータを受信する。
【0033】
[0046] 手持ち式医療スキャニングデバイス102は、受信されたイメージングデータが選択されたイメージング手順に関連しているか否かを判定するために、受信されたイメージングデータを分析する。イメージングデータが選択されたイメージング手順を規定するイメージングプリセットのうちの1つ又は複数に関連したイメージングデータを含む場合、イメージングデータは選択されたイメージング手順に関連する。幾つかの例において、受信されたイメージングデータが選択されたイメージング手順を規定するイメージングプリセットの各々に関連している場合、又は、他のイメージングプリセットに対する受信されたイメージングデータの関連性にかかわらず特定のイメージングプリセットに関連している場合にのみ、受信されたイメージングデータが選択されたイメージング手順に関連していると考えられる。イメージングデータが、選択されたイメージング対象物、例えば解剖学的構造、領域、又はサブ領域を表すイメージングデータを含む場合、イメージングデータが、選択されたイメージング深さにおけるイメージングデータを含む場合、イメージングデータが、選択された評価を実施することに有用なイメージングデータ、例えば、そのイメージングデータから診断が行われる、又は測定結果が取得される、そのイメージングデータを含む場合、イメージングデータが、選択されたイメージング角度からのイメージングデータを含む場合、イメージングデータが、所望のビューのイメージングデータを含む場合、イメージングデータが、選択されたイメージングモダリティからのイメージングデータを含む場合などに、イメージングデータは関連する。一般的なイメージングが選択されたイメージング手順である場合、例えば、イメージングプリセットが選択されていない場合、すべてのイメージングデータが関連していると考えられる。選択されたイメージング手順に関連しないイメージングデータは、関連しないと考えられ、例えば、空気、空の空間、又は、患者の体の外部の無生物の物体を表すイメージングデータを含む。
【0034】
[0047] 手持ち式医療スキャニングデバイス102は、関連しないイメージングデータから関連するイメージングデータを分離するために、受信されたイメージングデータをフィルタ処理する。手持ち式医療スキャニングデバイス102は、ヒューリスティック、例えば、組織境界のヒューリスティック検出、及び/又は、受信されたイメージングデータをフィルタ処理することに機械学習技術を使用する推論エンジンを実施する。推論エンジンは、手持ち式医療スキャニングデバイス102のフィールドプログラマブルゲートアレイ(FGPA)において動作する。推論エンジンのための機械学習係数は、ローカルで、及び/又はリモートで演算され、FGPAにアクセス可能な、例えばフラッシュメモリといった、ローカルメモリ及び/又はリモートメモリに記憶される。ヒューリスティック及び機械学習の実施態様は、例えば、2018年1月24日に出願された米国仮特許出願第62/621,175号、2018年3月12日に出願された米国仮特許出願第62/641,493号、2018年3月12日に出願された米国仮特許出願第62/641,508号、2018年3月12日に出願された米国仮特許出願第62/641,540号、2017年3月28日に出願された米国仮特許出願第62/477,536号、及び国際特許出願PCT/EP2018/058030に更に詳細に説明されており、すべての出願が全体として参照により本明細書に組み込まれる。
【0035】
[0048] 手持ち式医療スキャニングデバイス102は、手持ち式医療スキャニングデバイス102の例えば読み出し専用メモリ(ROM)といった不揮発性メモリに、関連しないイメージングデータを記憶せずに、選択されたイメージング手順に関連しないイメージングデータを破棄する。手持ち式医療スキャニングデバイス102は、デフォルト設定により選択されたイメージング手順に関連しないイメージングデータを破棄してもよいが、選択されたイメージング手順に関連しないイメージングデータが手持ち式医療スキャニングデバイス102の不揮発性メモリに維持されるように、及び記憶されるように、ユーザーが、手持ち式医療スキャニングデバイス102の設定を調節してもよい。このようなセッティング調節は、ユーザーにより特定された1つ又は複数のイメージング手順に適用され、又は、全般的にすべてのイメージング手順に適用される。
【0036】
[0049] 選択されたイメージング手順に関連しないイメージングデータは、場合によっては、手持ち式医療スキャニングデバイス102の例えばランダムアクセスメモリ(RAM)といった揮発性メモリに一時的に記憶されてもよく、このことは、ユーザーが、関連しないと分類されたイメージングデータが手持ち式医療スキャニングデバイス102により破棄される前に、関連しないと分類されたイメージングデータを見直すことを可能にする。その点について、ユーザーは、通常であれば破棄されるイメージングデータが、破棄されずに不揮発性メモリ、例えばローカル及び/又はリモート不揮発性メモリに記憶されるように任意選択的に指示する。
【0037】
[0050] 幾つかの例において、選択されたイメージング手順に関連しないイメージングデータは更なる処理を一切伴わずに、例えば関連しないイメージングデータに基づいて画像が生成されることなく、破棄される。他の場合において、画像が、このような関連しないイメージングデータに基づいて生成されてもよく、破棄される前に見直しのためにディスプレイ112に出力されてもよい。表示された画像を見直した後、ユーザーは、画像が生成される元となった関連しないイメージングデータが、破棄されずに、例えばローカル及び/又はリモート不揮発性メモリといった不揮発性メモリに記憶されるように任意選択的に指示する。
【0038】
[0051] 手持ち式医療スキャニングデバイス102は、例えば電池寿命といった1つ又は複数のデバイス尺度を追跡し、現在の尺度に基づいて手持ち式医療スキャニングデバイス102の挙動を変更する。例えば、通常であれば手持ち式医療スキャニングデバイス102が関連しないイメージングデータを破棄する前に画像を表示するとしても、手持ち式医療スキャニングデバイス102が電池残量の低い状態である場合、電池寿命を保つために、手持ち式医療スキャニングデバイス102は、関連しないイメージングデータに基づいて画像をまず生成すること及び表示することをせずに、関連しないイメージングデータを破棄する。電池寿命が、選択されたイメージング手順のために消費される平均量の50%未満、40%未満、30%未満、25%未満、20%未満、15%未満、10%未満、5%未満、5%内に低下した場合、1回の使用中に消費される平均量の5%内に低下した場合、又は、それらの組み合わせの場合、電池寿命が短いとされる。
【0039】
[0052] 手持ち式医療スキャニングデバイス102は、患者の解剖学的構造をスキャンするための1つ又は複数のイメージング面を選択する。1つ又は複数のイメージング面は、イメージング面にわたるスキャンが選択されたイメージング手順に関連したイメージングデータ、例えばイメージングされる解剖学的構造のイメージングデータを生成する条件に基づいて選択される。1つ又は複数のイメージング面が選択された後、手持ち式医療スキャニングデバイス102は、選択されたイメージング面のみにわたって患者の解剖学的構造をスキャンする。例えば、デバイス102は、関連するイメージング面を判定するために、及び/又は、ボリューム内における関心領域/解剖学的構造を特定するために、初期超音波スキャンをまず実施する。例えば、初期スキャンは、比較的少ない超音波データ(例えば、関連するイメージング面を判定するために、及び/又は、関心領域/解剖学的構造を特定するために十分な超音波データのみ)が取得されるという点で、まばらなスキャンであり得る。関連するイメージング面が判定された後、及び/又は、関心領域/解剖学的構造が特定された後、デバイス102は更なるスキャンを実施し、そのスキャン中、超音波ビームがイメージング又はデータ収集のために、リアルタイムの獲得のために関連するイメージング面に向けて集束させられる。関連する解剖学的構造/関心領域が既に特定されているので、第2のスキャンは、初期のまばらなスキャンより比較的多くの超音波データを取得し得る。したがって、デバイス102は、関連しないデータを取得することを有益に回避しながら、関連する画像平面において改善された高品質なデータを取得する。選択されたイメージング面のみにわたってスキャンすることは、関連しないイメージングデータの獲得を有益に低減し、電力消費を低減し、及び電池寿命を保ち、及び、獲得されたイメージングデータの質を改善する。
【0040】
[0053] 手持ち式医療スキャニングデバイス102は、手持ち式医療スキャニングデバイス102の不揮発性メモリに、イメージングプリセット及び/又は選択されたイメージング手順に関連するイメージングデータを記憶する。手持ち式医療スキャニングデバイス102が電源をオフにしてからオンにした後でも、ローカルの不揮発性ローカルメモリに記憶されたイメージングデータは見直し、分析、送信などに利用可能なまま留まる。ローカル不揮発性メモリにおける記憶は、例えば無線接続又は有線接続といったリンクが利用可能となる時点まで、リモート医療処理システムへの送信を遅延させる能力を含む幾つかの利点を提供する。手持ち式医療スキャニングデバイス102の不揮発性メモリに記憶されたイメージングデータがリモート不揮発性メモリ、例えば病院記録システムなどのリモート医療処理システムのリモート不揮発性メモリに送信された場合、手持ち式医療スキャニングデバイス102は、手持ち式医療スキャニングデバイス102のローカル不揮発性メモリからイメージングデータを削除する。幾つかの例において、手持ち式医療スキャニングデバイス102は、製造業者により予め決定された、又はユーザーにより選択された設定された時間長の後に、手持ち式医療スキャニングデバイス102のローカル不揮発性メモリに記憶されたイメージングデータを削除する。
【0041】
[0054] イメージングデータは、イメージングデータファイルに記憶される。関連するイメージングデータのみを記憶することは、イメージングデータファイルのサイズを有益に小さくし、このことがメモリスペースを節約し、手持ち式医療スキャニングデバイス102が、そうでない場合より多くのイメージングデータファイルを記憶することを可能にする。より小さいイメージングデータファイルは、更に、より迅速に、より信頼性高くリモート医療処理システム、例えば病院システムに送信され、送信されるときに、より少ない帯域幅を消費する。関連するイメージングデータのみを収容したイメージングデータファイルは、関連しない入力が事前フィルタ処理され、以て処理負荷を低減した場合に、例えば解剖学的評価のパフォーマンスにおいて、より効率的な処理を更に提供する。
【0042】
[0055] 選択されたイメージング手順に関連したイメージングデータは、ディスプレイ112における表示のために、3D超音波画像を包含する画像、例えば超音波画像を生成するために処理される。選択されたイメージング手順に関連したイメージングデータは、評価結果、例えば診断又は測定を生成するために分析される。分析は、手持ち式医療スキャニングデバイス102によること、手持ち式医療スキャニングデバイス102のユーザーによること、リモート医療処理システムによること、又は、リモート医療処理システムのユーザーによることのうちの1つ又は複数により実施される。評価結果は、手持ち式医療スキャニングデバイス102の不揮発性メモリに、及び/又は、リモート不揮発性メモリに記憶され、及び、ディスプレイ112に表示される。評価結果は、評価結果が導出される元となったイメージングデータに関連した3D超音波画像を包含する例えば超音波画像といった画像と同時に表示される。その点について、手持ち式医療スキャニングデバイス102は画像内における関心エリアを強調表示し、画像内における解剖学的構造の測定結果を表示し、評価結果が関連する画像に評価結果を重ね合わせ、又は、それらの組み合わせを実施する。
【0043】
[0056] 幾つかの例において、手持ち式医療スキャニングデバイス102は、受信されたイメージングデータを分類することができない場合がある。手持ち式医療スキャニングデバイス102が処理リソースの不足に陥った場合、又は、手持ち式医療スキャニングデバイス102が受信されたイメージングデータをどのように解釈するか不確かな場合、これが発生する。分類されていないイメージングデータは、関連しないとして処置され、又は、関連するとして処置される。分類されていないイメージングデータの処置は、選択されたユーザーの好み、選択されたイメージング手順、1つ又は複数のデバイス尺度、例えばローカル不揮発性メモリにおける利用可能な記憶スペース、利用可能な処理リソースなどのうちの1つ又は複数の観点から少なくとも部分的に判定される。
【0044】
[0057] 手持ち式医療スキャニングデバイス102は、イメージング中にユーザーにガイダンスを提供する。このようなガイダンスは、例えば手持ち式医療スキャニングデバイスがイメージングデータを取得するときに、リアルタイムで提供される。その点について、手持ち式医療スキャニングデバイス102は、適切なイメージング位置に手持ち式医療スキャニングデバイス102を配置することにおいてユーザーを補助するために、1つ又は複数の標示を出力する。適切なイメージング位置は、選択されたイメージング手順、及び/又は、イメージング手順を規定する選択されたイメージングプリセットに基づいて判定される。例えば、患者の心臓がイメージングされる解剖学的構造として選択された場合、適切なイメージング位置は、手持ち式医療スキャニングデバイス102が患者の心臓を表すイメージングデータを取得し得るイメージング位置である。幾つかの場合、例えば、複数のイメージングプリセットが選択された場合、選択された解剖学的構造を表すイメージングデータを取得するための手持ち式医療スキャニングデバイス102の能力は、イメージング位置を適切なイメージング位置として適格と認めるのに十分ではない場合がある。例えば、患者の嚢がイメージングされる解剖学的構造として選択され、及び、ボリューム測定が実施される評価として選択された場合、適切なイメージング位置は、手持ち式医療スキャニングデバイス102が患者の嚢を表す、及び患者の嚢のボリュームを計算するために使用可能なイメージングデータを取得し得るイメージング位置である。
【0045】
[0058] 手持ち式医療スキャニングデバイス102は、例えば、受信されたイメージングデータがイメージングされる選択された解剖学的構造を表すイメージングデータを含むか否かを判定することにより、手持ち式医療スキャニングデバイス102が適切なイメージング位置に配置されたか否かを判定するために、受信されたイメージングデータを分析する。手持ち式医療スキャニングデバイス102が適切なイメージング位置に配置されていないと手持ち式医療スキャニングデバイス102が判定した場合、手持ち式医療スキャニングデバイス102は、手持ち式医療スキャニングデバイス102を再配置するようにユーザーに警報を出すために標示を出力する。標示は、幾つかの例においてディスプレイ112に表示される例えば、写真、矢印、テキスト、色、サイン、シンボル、「X」、ライトなどの視覚的標示、例えば、トーン、チャイム、ビープ、ブザー、ベル音、周波数などの可聴標示、又は例えば、ブザー、振動、電気パルスなどの触覚標示のうちの1つ又は複数を包含する。
【0046】
[0059] 手持ち式医療スキャニングデバイス102を再配置するようにユーザーに警報を出すための標示は、提案された配置の調節を包含する。その点について、手持ち式医療スキャニングデバイス102は、選択されたイメージング手順及び/又はイメージング手順を規定する選択されたイメージングプリセットの観点から受信されたイメージングデータに基づいて提案するために、受信されたイメージングデータを分析し、及び配置の調節を判定する。提案された調節を含む標示は、提案された調節の程度に関する情報を伝達する。例えば、このような標示は、例えば1cm、2cmなどの数値測定結果、カラーコーディング、例えば、ユーザーが「目標に近い」こと、すなわち、適切なイメージング位置に到達するのに非常に近く、小さい調節のみしか必要としないことを示唆するための赤色、又は、ユーザーが「目標から遠い」こと、すなわち、適切なイメージング位置に到達するには遠く、より大きい調節をしなければならないことを示唆するための青色など、のうちの1つ又は複数を包含し、例えば、このような標示はサイズが可変であってもよく、例えば、大きい矢印が大きい調節を提案するのに対し、小さい矢印は小さい調節を提案する。
【0047】
[0060] 配置の調節の提案を判定することは、受信されたイメージングデータにおける1つ又は複数の解剖学的構造を表すイメージングデータの存在及び/又は不在を判定することを有する。例えば、手持ち式医療スキャニングデバイス102は、患者の心臓の一部が手持ち式医療スキャニングデバイス102の一方側に面して視野内にあることを判定する。心臓全体を視野内に移動させるために、例えば、患者の心臓がイメージングされる解剖学的構造として選択された場合、手持ち式医療スキャニングデバイス102は、手持ち式医療スキャニングデバイス102がそちら側に動かされることを提案する標示、例えば矢印又はテキスト命令による標示を出力する。
【0048】
[0061] 手持ち式医療スキャニングデバイス102は、プログラムされ、及び/又は、例えば人間及び/又は動物の解剖学的構造といった解剖学的構造に関する情報を学習し、及び、例えば不揮発性メモリといったメモリにこのような情報を記憶する。その点について、手持ち式医療スキャニングデバイス102は、受信されたイメージングデータ及び記憶された解剖学的情報に基づいて手持ち式医療スキャニングデバイス102の位置を判定することが可能である。例えば、手持ち式医療スキャニングデバイス102は、患者の胃が手持ち式医療スキャニングデバイス102の第1の側に面して視野内にあるのに対し、患者の大腸が手持ち式医療スキャニングデバイス102の第2の側に面して視野内にあると判定する。患者の嚢を視野内に移動させるために、例えば、患者の嚢がイメージングされる解剖学的構造として選択された場合、手持ち式医療スキャニングデバイス102は、例えば記憶された解剖学的情報を参照することにより、手持ち式医療スキャニングデバイス102が第2の側に向かって動かされなければならないことを判定し、手持ち式医療スキャニングデバイス102が第2の側に向かって動かされることを提案する標示を出力する。
【0049】
[0062] 幾つかの例において、手持ち式医療スキャニングデバイス102は、例えばイメージングされる解剖学的構造に対する手持ち式医療スキャニングデバイス102の位置に基づいて、スキャンの角度を自動的に調節する。例えば、手持ち式医療スキャニングデバイス102は、スキャニング角度が調節されるように、超音波の出射を調節する。手持ち式医療スキャニングデバイス102が静止している間に、このような調節が行われる。これは、適切なイメージング位置と考えられるエリアを有益に拡張し、ユーザーにより実施される手動調節の量を小さくし、以てフラストレーションを減らす。スキャンの角度の自動調節は、例えばイメージングされる解剖学的構造を含まないイメージングデータといった関連しないイメージングデータに基づき、例えばイメージングされる解剖学的構造を含むイメージングデータといった関連するイメージングデータの獲得を円滑化する。例えば、スキャンの角度の自動調節は、イメージングされる解剖学的構造を視野内に移動させる。
【0050】
[0063] 手持ち式医療スキャニングデバイス102が適切なイメージング位置に達していると手持ち式医療スキャニングデバイス102が判定した後、手持ち式医療スキャニングデバイス102はその効果に対する標示を出力する。標示は、手持ち式医療スキャニングデバイスの現在位置を維持するようにユーザーに警報を出す。標示は、幾つかの例においてディスプレイ112に表示される例えば、写真、矢印、テキスト、色、サイン、シンボル、「X」、ライトなどの視覚的標示、例えば、トーン、チャイム、ビープ、ブザー、ベル音、周波数などの可聴標示、又は、例えば、ブザー、振動、電気パルスなどの触覚標示のうちの1つ又は複数を包含する。手持ち式医療スキャニングデバイス102は、適切なイメージング位置に手で保持され、又は、例えば、吸引、接着剤、磁気、弾性、ストラップ、凝集を介して、何らかの他の技術を介して、又は、それらの組み合わせを介して適切なイメージング位置において患者の体に装着される。
【0051】
[0064] 画像収集が完了したとき、手持ち式医療スキャニングデバイス102が標示を更に出力し、このことが、手持ち式医療スキャニングデバイス102が適切なイメージング位置から動かされている可能性があること、例えば患者の体と接触しなくなったことをユーザーに警報を出す。手持ち式医療スキャニングデバイス102が、例えば、受信されたイメージングデータを分析することにより、選択された評価を実施するために十分なイメージングデータが収集されたこと、選択されたビューが取得されたこと、選択されたイメージング角度が達成されたこと、選択された深さがイメージングされたこと、選択された解剖学的構造がイメージングされたこと、又は、それらの任意の組み合わせを判定したことに応答して、画像収集が自動的に終了する。画像収集は、異なる時点において、及び/又は、選択されたイメージング手順、及び/又は、選択されたイメージング手順を規定するイメージングプリセットに応じた異なる判定に応答して、終了する。例えば、患者の嚢がイメージングされる解剖学的構造として選択され、及び、ボリューム測定が実施される評価として選択された場合、収集されたイメージングデータに基づいて患者の嚢のボリュームを判定するための十分なイメージングデータが収集されたと判定したことに応答して、イメージングが自動的に終了する。更なる例に対して、一般的なイメージングがイメージング手順として選択された場合、例えばイメージングプリセットが選択されていない場合、手動で無効化されるまでイメージングが継続する。
【0052】
[0065] 選択されたイメージング手順が実施される評価の選択を含む場合、受信されたイメージングデータは、評価結果を生成するためにリアルタイムで分析される。本明細書において使用されるとき、イメージングデータをリアルタイムで分析することは、受信と同時に、受信後すぐに、受信の1秒未満に、助けを借りていない人間に知覚不能な受信期間内に、受信の1秒内に、受信の2秒内に、受信の3秒内に、又は、受信の5秒内にイメージングデータを分析すること、又は、そのイメージング手順が継続したままである間にイメージング手順の一部として受信されたイメージングデータを分析することを有する。幾つかの例において、手持ち式医療スキャニングデバイス102は、イメージングが終了する時点までに評価結果を判定する。評価結果の判定は、イメージングを終了するように手持ち式医療スキャニングデバイス102をトリガーする。その点について、イメージングは、評価結果の判定と同時に、評価結果の判定後すぐに、評価結果の判定の1秒未満に、助けを借りていない人間に知覚不能な評価結果の判定の期間内に、評価結果の判定の1秒内に、評価結果の判定の2秒内に、評価結果の判定の3秒内に、評価結果の判定の5秒内に、又は、評価結果の判定の何らかの他の時間フレーム内に終了する。
【0053】
[0066] イメージングが終了する時点と評価結果の判定との間に待ち時間が存在する場合、手持ち式医療スキャニングデバイス102は、イメージングデータが処理されていることについてユーザーに警報を出す標示を出力する。標示は、幾つかの例においてディスプレイ112に表示される例えば、写真、矢印、テキスト、色、サイン、シンボル、「X」、ライトなどの視覚的標示、例えば、トーン、チャイム、ビープ、ブザー、ベル音、周波数などの可聴標示、又は、例えば、ブザー、振動、電気パルスなどの触覚標示のうちの1つ又は複数を包含する。例えば、標示は、砂時計、回転するアイコン、テキスト、又はそれらの組み合わせを包含する。例えば評価結果の判定が手持ち式医療スキャニングデバイス102ではなくリモート医療処理システムにより行われる場合、待ち時間が発生する。
【0054】
[0067] 上述の様々な標示は、イメージング中にユーザーにガイダンスを提供し、有用なイメージングデータが取得される可能性を有益に高め、例えばイメージングが完了する前に手持ち式医療スキャニングデバイス102を除去することといったユーザーの誤りの可能性を減らす。このようなガイダンスは、経験不足のユーザーに特に有用である。ユーザーは、標示のうちの1つ又は複数が無効化されるように手持ち式医療スキャニングデバイス102の設定を調節する選択肢をもつ。標示を無効化する能力は、標示により提供されるガイダンスを受けずに支障なく作業する経験者ユーザーに有益である。
【0055】
[0068] 手持ち式医療スキャニングデバイス102は、ディスプレイ112に、イメージング要素110から受信されたイメージングデータに基づいて生成された、3D超音波画像を包含する例えば超音波画像といった画像を出力する。このような画像は、イメージング中に、及び/又は、イメージングが終了した後にディスプレイ112に出力される。幾つかの例において、選択されたイメージング手順に関連したイメージングデータから生成された画像のみが、ディスプレイ112に出力される。これは、ユーザーが例えば選択されたイメージング手順に関連しないイメージングデータに基づいて生成された画像といった関連しない画像を見直すことにユーザーの時間を浪費することを、有益に防ぎ得る。幾つかの例において、イメージングセッションの特定の部分中に受信されたイメージングデータから生成された画像のみが、ディスプレイ112に出力される。例えば、手持ち式医療スキャニングデバイス102は、手持ち式医療スキャニングデバイス102が適切なイメージング位置に配置された後に受信されたイメージングデータに基づいて生成された画像のみをディスプレイ112に出力する。
【0056】
[0069] 幾つかの例において、手持ち式医療スキャニングデバイス102は、3D超音波画像を包含する例えば超音波画像といった解剖学的画像をまったく出力しない。代替的に、手持ち式医療スキャニングデバイス102は、イメージング中に1つ又は複数の標示、例えば上述の標示のうちの1つ又は複数を出力し、及び、十分なイメージングデータが取得された後に1つ又は複数の評価結果を出力する。手持ち式医療スキャニングデバイス102がディスプレイ112に解剖学的画像を出力するか否かは、手持ち式医療スキャニングデバイス102のデフォルトプログラムにより、及び/又は、ユーザーにより選択された設定の好みにより判定される。
【0057】
[0070] 解剖学的構造の画像は、例えば患者といった医療的に訓練されていないユーザーにとって理解することが困難である。このようなユーザーは、解剖学的画像を理解することより、例えば測定結果及び診断結果といった評価結果の形態により提示された医療情報を理解することがより簡単だと感じる。したがって、解剖学的画像を出力せずに評価結果を出力することは、医療的に訓練されていないユーザーが手持ち式医療スキャニングデバイスを使用している間にフラストレーションを感じる可能性を有益に減らし、及び、このようなユーザーが表示された医療情報を理解する可能性を高める。
【0058】
[0071] ここで図2を参照すると、本開示の態様による手持ち式医療スキャニングデバイス202の図式的な概略図が図2に示されている。手持ち式医療スキャニングデバイス202は、データ207と中に記憶された複数の命令209とを含むメモリ208、超音波アセンブリ210、ディスプレイ212、及び、各々がプロセッサ206と通信するラジオ周波トランシーバ214を含む。
【0059】
[0072] メモリ208は、不揮発性メモリ及び/又は揮発性メモリを備える。データ207は、例えば、イメージングデータ、例えば、イメージングデータファイル、評価結果、診断、測定結果、処置計画、投薬スケジュール、試験結果、予約スケジュール、推移の報告、患者病歴などの医療データを包含する任意の種類のデータを包含する。複数の命令209は、プロセッサ206により実行されたとき、本明細書において説明されている技術のうちの1つ又は複数を実施することをプロセッサにさせる命令を含む。例えば、複数の命令209は、ヒューリスティックアルゴリズム、機械学習アルゴリズム、デバイス配置アルゴリズム、イメージングデータを処理するためのアルゴリズム、関連しないイメージングデータから関連するイメージングデータを分離するためのアルゴリズムなどのうちの1つ又は複数を包含する。
【0060】
[0073] プロセッサ206は、小型化される超音波アセンブリ210であって、イメージングデータを取得するために幾つかの場合において超音波トランスデューサーアレイを備える超音波アセンブリ210を操作し、及び、超音波アセンブリ210からこのようなイメージングデータを受信する。プロセッサ206は、受信されたイメージングデータに基づいて画像を生成し、ディスプレイ212に、3D超音波画像を包含する例えば超音波画像といった、このような画像を出力する。プロセッサ206は、ディスプレイ212を介してユーザー入力を更に受信する。例えば、プロセッサ206は、イメージングプリセットの選択を入手し、及び、ディスプレイ212を介してユーザー入力に応じて選択されたイメージングプリセットを受信する。プロセッサ206は、例えば病院記録システム又は他の病院システムといったリモート医療処理システムと通信するために、ラジオ周波トランシーバ214を操作する。代替的に、プロセッサとリモート医療処理システムとの間の通信は、有線通信を介して実現される。ラジオ周波トランシーバ214は、電気電子技術者協会(IEEE)802.11(Wi-Fi)リンク、Bluetoothリンク、ZigBeeリンク、超広帯域(UWB)リンクを介して、又は、それらの任意の組み合わせを介して通信するように構成される。幾つかの例において、手持ち式医療スキャニングデバイス202は複数のラジオ周波トランシーバ214を備え、異なるラジオ周波トランシーバ214は異なるリンクを介して通信するように構成される。その点について、異なるラジオ周波トランシーバ214は、異なる周波数、異なる時間スロットなどにわたって通信するように構成される。
【0061】
[0074] ここで図3を参照してシステム300が説明される。システム300は、手持ち式医療スキャニングデバイス302とリモート医療処理システム303とを備える。手持ち式医療スキャニングデバイス302はディスプレイ312を備え、リモート医療処理システム303は、ディスプレイ332及びメモリ328と通信する。ディスプレイ332及び/又はメモリ328は、有線リンクを介して、及び/又は無線リンクを介して医療処理システム303と通信する。幾つかの例において、メモリ328は、写真アーカイブシステム(PAC)を備える。手持ち式医療スキャニングデバイス302は、リモート医療処理システム303と任意選択的に通信するが、手持ち式医療スキャニングデバイス302は自律的に動作するように構成されてもよい。例えば、手持ち式医療スキャニングデバイス302は、リモート医療処理システム303から補助を受けずに、イメージングデータを分析すること、ユーザーに配置ガイダンスを提供すること、画像を生成及び表示すること、イメージングデータを選択的に記憶し、及び削除することなどを自律的にする。
【0062】
[0075] 手持ち式医療スキャニングデバイス302は、リモート医療処理システム303に、例えばイメージングデータ、患者の病歴の1つ又は複数の態様、評価結果などの医療データを送信し、及び受信する。このような医療データは、有線接続を介して、及び/又は無線接続を介して送信される。リモート医療処理システム303は、手持ち式医療スキャニングデバイス302から受信された、例えばイメージングデータといった医療データを分析し、例えば評価結果といった、その発見したことを手持ち式医療スキャニングデバイス302に戻すように通信する。幾つかの例において、リモート医療処理システム303のユーザーは、手持ち式医療スキャニングデバイス302から受信された医療データを分析する。例えば、リモート医療処理システム303は、手持ち式医療スキャニングデバイス302から受信されたイメージングデータに基づいて画像を生成し、及び、見直しのためにディスプレイ332に画像を出力する。ユーザーは、表示された画像に注釈付けし、診断を書き上げ、画像において測定を実施し、順守される処置計画を立案し、又はそれらの任意の組み合わせを行い、それが、そのデバイスのユーザーによる見直しのために手持ち式医療スキャニングデバイス302に戻すように通信される。幾つかの例において、患者は、手持ち式医療スキャニングデバイス302のユーザーである。その点について、患者は、病院環境外にいる間、例えば患者が家にいる間に手持ち式医療スキャニングデバイス302を介して、診断及び処置の推奨案を包含する医学的な注意を受けることが可能である。
【0063】
[0076] ここで図4を参照すると、イメージング面450及び475を含む複数のイメージング面にわたってスキャンされる組織ボリューム425が図4に示される。組織ボリューム425は、例えば、患者の脳、心臓、肺、胃、脾臓、腸、嚢、腎臓、骨、歯、肝臓、子宮、患者内の腫瘍、患者内のできものなどの患者内の任意の解剖学的構造を表す。組織ボリューム425は、三次元空間における任意のイメージング面にわたって、例えば手持ち式医療スキャニングデバイスによりスキャンされる。明確であることを目的として、すべての可能なイメージング面の集合の部分集合のみが図4に示される。組織ボリューム425は、3D超音波イメージング手順を包含する例えば超音波といったイメージング手順の一部としてスキャンされる。ここまでに説明されているのと同様に、手持ち式医療スキャニングデバイスは、複数のイメージング面にわたるスキャニングから取得されたイメージングデータを分析すること、及び、関連しないイメージングデータから関連するイメージングデータを分離するために、イメージングデータをフィルタ処理すること、例えば配置ガイダンスを提供する標示といった1つ又は複数の標示を出力すること、1つ又は複数の評価結果を生成し、及び出力することなどをする。
【0064】
[0077] 特定の例によると、限定されないが、組織ボリューム425は患者の嚢を包含し、患者の嚢ボリュームを測定するために、イメージング手順の一部として超音波を使用してスキャンされる。その点について、手持ち式医療スキャニングデバイスは、患者の嚢ボリュームを計算することに使用される超音波データを取得するために、適切なイメージング位置に配置される。手持ち式医療スキャニングデバイスが適切なイメージング位置に配置されたとき、手持ち式医療スキャニングデバイスの超音波アセンブリが、様々な高さ位置及び回転にわたって複数のイメージング面にわたって患者の嚢をスキャンする。手持ち式医療スキャニングデバイスは、直交した、又は実質的に直交した患者の嚢の完全なビューを表す2つのイメージング面、例えば図4におけるイメージング面450及び475を特定する。これらの2つのイメージング面は、患者の嚢のボリュームを計算するための十分なイメージングデータを提供する。したがって、イメージング面450及び475からの超音波データは、選択されたイメージング手順に関連した超音波データとして分類される。すべての他のイメージング面からのイメージングデータは、選択されたイメージング手順に関連しないとして分類され、及び破棄される。嚢ボリュームは、各ビューにおいて嚢空洞におけるヒューリスティックエッジ検出を実施すること、各ビューにおいて嚢空洞の面積を計算すること、各ビューに対して計算された嚢空洞面積を平均化すること及び、その中心軸の周りで計算された平均を回転させることにより、イメージング面450及び475から取得されたイメージングデータから計算される。患者の嚢の超音波画像及び/又は嚢ボリューム測定結果は、手持ち式医療スキャニングデバイスのディスプレイに出力される。
【0065】
[0078] 更に特定の例によると、限定されないが、組織ボリューム425は患者の心臓を包含し、左心室短軸に沿って患者の心臓をイメージングするために、イメージング手順の一部として超音波を使用してスキャンされる。その点について、手持ち式医療スキャニングデバイスは、左心室短軸に沿って患者の心臓をイメージングするために適切なイメージング位置に、例えば患者の左上胸部に配置される。手持ち式医療スキャニングデバイスが適切なイメージング位置に配置された場合、手持ち式医療スキャニングデバイスの超音波アセンブリは、様々な高さ位置及び回転にわたって複数のイメージング面にわたって患者の心臓をスキャンする。手持ち式医療スキャニングデバイスは、左心室短軸に沿ったビューを表すイメージング面、例えば図4におけるイメージング面450を特定する。イメージング面450からのイメージングデータは、選択されたイメージング手順に関連したイメージングデータとして分類される。すべての他のイメージング面からのイメージングデータは、選択されたイメージング手順に関連しないとして分類され、及び破棄される。イメージング面450が左心室短軸に沿ったビューを提供することが特定された後、手持ち式医療スキャニングデバイスは、完全なフレームレートで一連の画像を取得するためにイメージング面450に沿ってスキャンし、以て、手持ち式医療スキャニングデバイスの不揮発性メモリに記憶される1つ又は複数の心臓サイクルの画像ループを生成する。すべての他のビューが破棄された場合でも、画像ループの画像データファイルは1ループ当たり2メガバイト(MB)以上を消費する-本明細書において説明されているデータ削減技術の有用性を強調する事実である。患者の心臓の超音波画像、例えば左心室短軸に沿った画像は、手持ち式医療スキャニングデバイスのディスプレイに出力される。
【0066】
[0079] ここで図5A図5Cを参照すると、患者の体に触れて、又は近接して手で保持されている間、様々な標示を表示する手持ち式医療スキャニングデバイス502が図5A図5Cに示されている。ディスプレイ512は、幾つかの場合において超音波画像を含まない、グラフィカルな、視覚的な、テキストの、数の、及び/又は別の適切な表現を含み得る。手持ち式医療スキャニングデバイス502は、患者の左上胸部に、又は患者の左上胸部付近に配置されていることが示される。手持ち式医療スキャニングデバイス502は、例えば左心室短軸に沿って患者の心臓をイメージングするために、このような位置に配置される。図5Aは、ディスプレイ512に標示501を表示している手持ち式医療スキャニングデバイス502を示す。医療スキャニングデバイス502が適切なイメージング位置に配置されていないと医療スキャニングデバイス502が判定したことに応答して、標示501が表示される。その点について、標示501は、医療スキャニングデバイス502を再配置するようにユーザーに警報を出す。幾つかの例において、標示501は、医療スキャニングデバイス502により判定された調節の提案を含む。例えば、図5Aに示される標示501は、例えば図5B及び図5Cに示される位置まで、患者の胸において下げるように手持ち式医療スキャニングデバイス502を再配置するようにユーザーに警報を出す矢印を含む。図5Bは、ディスプレイ512に表示された標示503を示す。手持ち式医療スキャニングデバイス502は、手持ち式医療スキャニングデバイス502が適切なイメージング位置に配置されたと判定したことに応答して、ディスプレイ512に標示503を出力する。標示503は、手持ち式医療スキャニングデバイス502を動かさないようにユーザーに警報を出し、及び/又は、関連するイメージングデータが取得されていることについてユーザーに警報を出す。図5Cは、ディスプレイ512に表示された標示505を示す。手持ち式医療スキャニングデバイス502は、イメージング手順が終了したと判定したことに応答して、選択された評価を実施するために十分なイメージングデータが取得されたと判定したことに応答して、などにより、ディスプレイ512に標示505を出力する。標示505は、手持ち式医療スキャニングデバイス502が動かされ得ること、例えば患者の体から除去されること、及び/又は、別のイメージング手順を実施するために再配置されることについてユーザーに警報を出す。
【0067】
[0080] ここで図6A及び図6Bを参照すると、適切なイメージング位置に配置された手持ち式医療スキャニングデバイスが図6A及び図6Bに示される。手持ち式医療スキャニングデバイス602は患者の左上胸部に、又は患者の左上胸部付近に配置されて示されている。手持ち式医療スキャニングデバイス602は、例えば左心室短軸に沿って患者の心臓をイメージングするためにこのような位置に配置される。図6Aは、装着具660を使用して適切なイメージング位置において患者の体に接着された手持ち式医療スキャニングデバイス602を示す。その点について、装着具660は、例えば、粘着性の物質、ロジン、粘着物、テープなどの接着剤を備えること、吸引をもたらすように構成されること、電磁的に帯電されること、弾性をもつこと、ストラップを備えることなどを有する。装着具660は、手持ち式医療スキャニングデバイス602に統合され、又は、取り外し可能である。図6Bは装着具660を使用して適切なイメージング位置に手で保持された手持ち式医療スキャニングデバイス602を示す。手持ち式医療スキャニングデバイス602のユーザーは、適切なイメージング位置に手持ち式医療スキャニングデバイス602を手で維持するか、又は装着具660を介して維持するかを選択する。
【0068】
[0081] ここで図7A及び図7Bを参照すると、様々な種類の医療データを表示する手持ち式医療スキャニングデバイス702が図7A及び図7Bに示される。図7Aにおいて、超音波画像770が手持ち式医療スキャニングデバイス702のディスプレイ712に示されている。図7Aにおいて、超音波画像770は左心室短軸に沿って取得された患者の心臓のビューを表すが、任意の超音波画像がディスプレイ712に同様に表示されることが理解されなければならない。ゲージ771が更に、超音波画像770と同時に、又は超音波画像770から独立してディスプレイ712に表示される。ゲージ771は、イメージング角度、イメージング深さなどのうちの1つ又は複数に関する情報を提供する。幾つかの例において、解剖学的画像、例えば超音波画像770は、ユーザー、特に医療的に訓練されていないユーザーにとって理解することが困難である。したがって、手持ち式医療スキャニングデバイス702は、追加的に、又は代替的に、図7Bに示されるようにディスプレイ712に評価結果を表示する。図7Bのディスプレイ712は、幾つかの場合において超音波画像を含まず、グラフィカルな、視覚的な、テキストの、数の、及び/又は別の適切な表現を含み得る。その点について、図7Bは、ディスプレイに表示された評価結果772を示す。図7Bに示されるように、評価結果772は、駆出率、患者の左心室のボリューム測定結果、及び、例えば、大動脈長、心尖長、頂点位置、軸方向長さ、面積長さ計算、心房長、アレイ長、例えば、上述のイメージング要素110のアレイの長さ、前外側測定結果、例えば前外側直径又は前外側-後内側直径などのうちの1つを含むA.L.測定結果を包含する。図7Bに示される評価結果772は、左心室短軸に沿って取得された患者の心臓のビューからのイメージングデータに基づいて生成されたものである。幾つかの評価結果のみが図7Bに示されるが、任意の評価結果がディスプレイ712に同様に表示されることが理解されなければならない。
【0069】
[0082] ここで図8を参照すると、方法800が説明される。方法800は、本明細書において説明されている手持ち式医療スキャニングデバイス、例えば手持ち式医療スキャニングデバイス102、202、302、402、502、602、及び702のうちの任意のものにより、又は、これらのうちの任意のものを使用して実施される。本方法は、スキャニング手順の選択が手持ち式超音波スキャニングデバイスのハウジング内に配置されたプロセッサによりユーザーから受信されるステップ802において始まる。ステップ804において、プロセッサは、手持ち式超音波スキャニングデバイスのハウジング内に少なくとも部分的に配置された超音波アセンブリにより取得された超音波データを受信する。ステップ806において、プロセッサは、スキャニング手順に関連しない超音波データからスキャニング手順に関連した超音波データを分離するために、スキャニング手順に基づいて、受信された超音波データをフィルタ処理する。ステップ808において、プロセッサは、関連しない超音波データを破棄する。ステップ810において、プロセッサは、関連する超音波データを記憶する。関連する超音波データを記憶することは、記憶のためにリモートメモリに、関連する超音波データを無線により通信することを有する。関連する超音波データを記憶することは、手持ち式超音波スキャニングデバイスのローカルメモリに、関連する超音波データを記憶することを有する。ステップ812において、プロセッサは、ハウジングに結合されたディスプレイに、関連する超音波データに関連したグラフィカル表示を出力する。本方法は、関連する超音波データに関連したグラフィカル表示をプロセッサにより生成することを更に有する。本方法は、関連しない超音波データに関連したグラフィカル表示をプロセッサにより生成することと、関連しない超音波データを破棄する前に、手持ち式超音波スキャニングデバイスのディスプレイに、関連しない超音波データに関連したグラフィカル表示をプロセッサにより出力することとを更に有する。本方法は、関連する超音波データをプロセッサにより分析することと、分析結果を表すグラフィカル表示を手持ち式超音波スキャニングデバイスのディスプレイに、プロセッサにより出力することとを更に有する。
【0070】
[0083] ここで図9を参照すると、方法900が説明される。方法900は、本明細書において説明されている手持ち式医療スキャニングデバイス、例えば手持ち式医療スキャニングデバイス102、202、302、402、502、602、及び702のうちの任意のものにより、又は、これらのうちの任意のものを使用して実施される。本方法は手持ち式超音波スキャニングデバイスのハウジング内に少なくとも部分的に配置された超音波アセンブリを使用してイメージングされる解剖学的構造の選択が、ハウジング内に配置されたプロセッサにより受信されるステップ902において始まる。このステップは、プロセッサがユーザーの選択前に(例えばイメージングプリセットから)選択される解剖学的構造の情報を入手することを更に有する。ステップ904において、プロセッサは超音波アセンブリから超音波データを受信する。ステップ906において、プロセッサは、超音波アセンブリから受信された超音波データが解剖学的構造を表すデータを含むか否かを判定する。ステップ908において、プロセッサは、判定することに応答して、手持ち式超音波スキャニングデバイスのハウジングに結合されたディスプレイに標示を出力する。本方法は、受信された超音波データをリモート医療処理システムにプロセッサにより通信することを更に有する。超音波画像がディスプレイに出力されずに、受信された超音波データがリモート医療処理システムに通信される。本方法は、スキャニング手順が完了したか否かをプロセッサにより判定することと、スキャニング手順が完了したと判定したことに応答して、ディスプレイに第2の標示をプロセッサにより出力することとを更に有する。本方法は、解剖学的構造の評価が完了したか否かをプロセッサにより判定することと、解剖学的構造の評価が完了したと判定したことに応答して、ディスプレイに第3の標示をプロセッサにより出力することとを更に有する。
【0071】
[0084] 本開示の態様は、デバイスのユーザーに超音波画像を実際に表示せずに、超音波データ獲得中のフィードバック、及び/又は、超音波データ評価に関連したフィードバックを有益に提供する。幾つかの場合において、フィードバックは、例えばデバイスの統合されたディスプレイに提示された、グラフィカルな、視覚的な、テキストの、数の、及び/又は別の適切な表現であり得る。幾つかの場合において、表現及び/又は超音波画像は、(例えば超音波スキャニングデバイスから離隔した)リモートディスプレイに表示され得る。本開示の他の態様は最も関連した超音波イメージングデータのみを有益に選択し、及び処理する。例えば、超音波スキャニングデバイスのプロセッサは、最も関連した超音波イメージングデータを使用して臨床測定を行い得る。幾つかの場合において、グラフィカルな、視覚的な、テキストの、数の、及び/又は別の適切な表現は、処理に基づいて表示され得る。幾つかの場合において、最も関連した超音波画像が、取得された他の超音波画像を表示せずに表示され得る。例えば未熟な超音波オペレーター又は患者といったユーザーに、超音波画像を一切提供せずに、又は、幾つかの選択された超音波画像のみしか提供せずに、超音波データ獲得中に役立つ指示、及び/又は、取得された超音波データの出力された評価を提供することは、データ獲得/評価ワークフローを依然として円滑化しながら、超音波スキャニングデバイスのための処理及びメモリハードウェア要求を有益に最小化する。
【0072】
[0085] 当業者は、上述の装置、システム、及び方法が様々な手法により変更され得ることを認識する。したがって、当業者は、本開示により包含される実施形態が上述の特定の例示的な実施形態に限定されないことを理解する。その点について、例示的な実施形態が示されて説明されるが、上述の開示における様々な変更、変形、及び置換が想定される。上述の事項に対するこのような変形例が本開示の範囲から逸脱することなく作られてもよいことが理解される。したがって、添付の特許請求の範囲が、広く本開示に沿った手法で解釈されることが適切である。

図1A
図1B
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図7A
図7B
図8
図9