(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-05
(45)【発行日】2024-04-15
(54)【発明の名称】タービン翼形部のためのハイブリッド楕円-円形後縁
(51)【国際特許分類】
F01D 5/14 20060101AFI20240408BHJP
F01D 25/00 20060101ALI20240408BHJP
F02C 7/00 20060101ALI20240408BHJP
【FI】
F01D5/14
F01D25/00 L
F01D25/00 X
F02C7/00 C
F02C7/00 D
(21)【出願番号】P 2021509171
(86)(22)【出願日】2018-09-12
(86)【国際出願番号】 US2018050537
(87)【国際公開番号】W WO2020055387
(87)【国際公開日】2020-03-19
【審査請求日】2021-09-02
(73)【特許権者】
【識別番号】515322297
【氏名又は名称】ゼネラル エレクトリック テクノロジー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】General Electric Technology GmbH
【住所又は居所原語表記】Brown Boveri Strasse 8, 5400 Baden, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【氏名又は名称】黒川 俊久
(72)【発明者】
【氏名】ヴァンデプッテ、トーマス、ウィリアム
【審査官】松浦 久夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-017290(JP,A)
【文献】特開2007-015913(JP,A)
【文献】国際公開第2015/191041(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0292528(US,A1)
【文献】特開2014-088858(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102016222789(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01D 5/14
F01D 25/00
F02C 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
翼形部であって、当該翼形部が、
半径方向内側根元部分(48)から半径方向外側先端部分(42)まで延在する翼形部本体(36)であって、正圧側(50)から負圧側(52)まで延在し、前縁(44)から後縁部分(46)まで延在する翼形部本体(36)
を含んでおり、前記後縁部分(46)が、
線形正圧側部分(50a)、
線形負圧側部分(52a)、
後縁先端部分、
前記後縁先端部分と前記線形正圧側部分(50a)との間の前記正圧側(50)に配置された第1の楕円部分(98)、及び
前記後縁先端部分と前記線形負圧側部分(52a)との間の前記負圧側(52)に配置された第2の楕円部分(100)
を含んでおり、当該翼形部が、
前記正圧側(50)に配置された第1の遷移点(84)であって、前記線形正圧側部分(50a)と第1の楕円部分(98)との間の第1の遷移を規定する第1の遷移点(84)と、
前記負圧側(52)に配置された第2の遷移点(86)であって、前記線形負圧側部分(52a)と第2の楕円部分(100)との間の第2の遷移を規定する第2の遷移点(86)と、
前記後縁先端部分の下流部分に配置された後縁先端(78)と
をさらに含んでおり、当該翼形部のキャンバ線(124)の方向における前記後縁先端(78)と第1の遷移点(84)との間の第1の距離が、当該翼形部のキャンバ線(124)の方向における前記後縁先端(78)と第2の遷移点(86)との間の第2の距離の半分未満であ
り、前記後縁先端部分が円形後縁先端部分(128)をさらに含む、翼形部。
【請求項2】
第1及び第2の楕円部分(98,100)が、-10度~10度の間のスキュー角(126)を有する楕円(72)によって規定され、前記スキュー角(126)が、前記楕円(72)の長軸(58)と当該翼形部のキャンバ線(124)との間の角度として定義される、請求項1に記載の翼形部。
【請求項3】
前記スキュー角(126)が3~6度の間である、請求項2に記載の翼形部。
【請求項4】
前記楕円(72)が、1.1~5.0の間のa/b比を有し、「a」は前記楕円(72)の長軸(58)の長さを表し、「b」は前記楕円(72)の短軸(60)の長さを表す、請求項2又は請求項3に記載の翼形部。
【請求項5】
前記円形後縁先端部分(128)の直径(74)が、前記線形正圧側部分(50a)の延長線と、前記線形負圧側部分(52a)と、前記後縁先端(78)とによって規定される公称半円(80)の直径(76)の10%~90%の間である、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の翼形部。
【請求項6】
前記円形後縁先端部分(128)の直径(74)が、前記公称半円(80)の直径(76)の55%~85%の間である、請求項5に記載の翼形部。
【請求項7】
当該翼形部が、
前記正圧側(50)に沿って配置された第1の先端遷移点(136)であって、前記第1の楕円部分(98)と前記円形後縁先端部分(128)との間の遷移を規定する第1の先端遷移点(136)と、
前記負圧側(52)に沿って配置された第2の先端遷移点(134)であって、前記第2の楕円部分(100)と前記円形後縁先端部分(128)との間の遷移を規定する第2の先端遷移点(134)と
をさらに含む、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の翼形部。
【請求項8】
前記翼形部本体(36)が、少なくとも1つのコーティング(138)をさらに含み、前記少なくとも1つのコーティング(138)が、熱バリアコーティング、環境バリアコーティング、及びボンドコートのうちの少なくとも1つを含み、
前記少なくとも1つのコーティング(138)の厚さが、前記少なくとも1つの楕円部分(98,100)を形成するように変化する、請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の翼形部。
【請求項9】
少なくとも1つの冷却孔をさらに含み、前記少なくとも1つの冷却孔が前記後縁部分(46)内に配置されている、請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の翼形部。
【請求項10】
圧縮機セクション(12)と、
燃焼器セクション(18)と、
タービンセクション(22)であって、請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載の少なくとも1つの翼形部(36)を含むタービンセクション(22)と
を備えるガスタービンエンジン(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示する実施形態は、タービン翼形部、より具体的には翼形部後縁に関する。
【背景技術】
【0002】
有限の厚さの翼形部は伴流を生成する。この伴流に関連する損失は、後縁の直径に比例する。より薄い後縁直径に設計することは空気力学的に望ましいが、内部冷却流空洞および後縁冷却孔の存在は、実際に達成できる厚さの低減を制限する。流れの付着、翼形部後縁の有限の厚さは、翼形部の負圧面と正圧面に形成される境界層と組み合わされて、速度の不足と損失の発生を特徴とする伴流領域を形成する。この欠陥領域の幅が大きくなると、翼形部の全損失が大きくなる。冷却されたタービン翼形部は、翼形部に沿った様々な場所に冷却流を供給するための内部チャンバを必要とする。典型的な冷却スキームの一部として、後縁の端部を通って内部チャンバまで孔が開けられ、後縁に局所的な冷却を提供する。内部チャンバを後縁の近くに配置したいという願望、および後縁の孔の直径は、冷却された翼形部の大きな後縁の直径、したがって広くて高損失の伴流につながる重要な要因である。
【0003】
損失を最小限に抑えるために、小さい後縁の直径が採用される場合がある。従来の設計の円形後縁を使用して、後縁の直径を小さくすると、後縁のはるか上流の翼形部の厚さが大幅に減少するが、これは、冷却流の内部マッハ数が増加(効果が低下)し、内部チャンバから後縁までの距離が長くなるので、冷却システムの設計能力に影響を与える可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許出願公開第2017/0292528号明細書
【発明の概要】
【0005】
本明細書に開示する実施形態の一態様によれば、翼形部は、半径方向内側根元部分(48)から半径方向外側先端部分(42)まで延在し、正圧側(50)から負圧側(52)まで、かつ前縁(44)から後縁部分(46)まで延在する翼形部本体(36)を含み、後縁部分(46)は、線形正圧側部分(50a)と、線形負圧側部分(52a)と、後縁先端部分(78)と、後縁先端部分(78)と、線形正圧側部分(50a)および線形負圧側部分(52a)の少なくとも一方と、の間に配置された少なくとも1つの楕円部分(98、100)と、を含む。
【0006】
本明細書に開示する実施形態の別の態様によれば、翼形部36を形成する方法1000は、翼形部後縁46の少なくとも1つの楕円部分(98、100)の楕円曲率を決定するステップ1002であって、少なくとも1つの楕円部分(98、100)は、翼形部正圧側(50)および翼形部負圧側(52)の少なくとも一方に沿って配置され、楕円曲率は、約1.1から約5.0の間のa/b比を有する楕円(72)によって規定され、「a」は楕円(72)の長軸の長さを表し、「b」は楕円(72)の短軸の長さを表す、ステップと、楕円部分のスキュー角(126)を決定するステップ(1006)であって、スキュー角(126)は、楕円(72)の長軸と翼形部(36)のキャンバ線(124)との間の角度として定義される、ステップと、円形先端部分(128)の直径を決定するステップ(1008)と、翼形部(36)を形成するステップ(1010)と、を含む。
【0007】
本明細書に開示する実施形態の別の態様によれば、ガスタービンエンジン(10)は、圧縮機セクション(12)と、燃焼器セクション(18)と、タービンセクション(22)と、を含み、タービンセクションは少なくとも1つの翼形部(36)を含み、少なくとも1つの翼形部(36)は、半径方向内側根元部分(48)から半径方向外側先端部分(42)まで延在し、正圧側(50)から負圧側(52)まで、かつ前縁(44)から後縁部分(46)まで延在する翼形部本体を含み、後縁部分(46)は、線形正圧側部分(50a)と、線形負圧側部分(52a)と、円形後縁先端部分(128)と、円形後縁先端部分(128)と、線形正圧側部分(50a)および線形負圧側部分(52a)の少なくとも一方と、の間に配置された少なくとも1つの楕円部分(98、100)と、を含む。
【0008】
本明細書で開示する実施形態のこれらの、ならびに他の特徴、態様、および利点は、添付の図面を参照しつつ以下の詳細な説明を読めば、よりよく理解されよう。添付の図面では、図面の全体にわたって、類似する符号は類似する部分を表す。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】産業用用途におけるガスタービンエンジンの概略図である。
【
図3】タービン翼形部の半径方向内側を見る上面図である。
【
図4】翼形部の後縁部分の拡大された半径方向内側を見る図である。
【
図5】翼形部の後縁部分の拡大された半径方向内側を見る図である。
【
図6】翼形部の後縁部分の拡大された半径方向内側を見る図である。
【
図7】翼形部の後縁部分の拡大された半径方向内側を見る図である。
【
図8】翼形部の後縁部分の拡大された半径方向内側を見る図である。
【
図9】翼形部の後縁部分の拡大された半径方向内側を見る図である。
【
図11】本開示の一態様による、翼形部の後縁部分の拡大された半径方向内側を見る図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
特に明記しない限り、本明細書において提供される図面は、本開示の実施形態の特徴を図示するものである。これらの特徴は、本開示の1つまたは複数の実施形態を含む多種多様なシステムで適用可能であると考えられる。したがって、図面は、本明細書に開示する実施形態の実施のために必要とされる当業者に知られているすべての従来の特徴を含むことを意図しない。
【0011】
以下の明細書および特許請求の範囲において、いくつかの用語が参照されるが、これらの用語は以下の意味を有すると定義されるものとする。
【0012】
単数形「1つの(a、an)」、および「この(the)」は、文脈が特に明確に指示しない限り、複数の言及を含む。
【0013】
「任意選択の」または「任意選択で」は、後で述べられる事象または状況が、起こる場合も起こらない場合もあることを意味し、この記述は、その事象が起こる事例と、起こらない事例とを含むことを意味する。
【0014】
本明細書および特許請求の範囲を通してここで使用される、近似を表す文言は、関連する基本的機能に変化をもたらすことなく、差し支えない程度に変動し得る任意の量的表現を修飾するために適用することができる。したがって、「約」および「実質的に」などの用語で修飾された値は、明記された厳密な値に限定されるものではない。少なくともいくつかの例では、近似を表す文言は、値を測定するための機器の精度に対応することができる。ここで、ならびに本明細書および特許請求の範囲を通して、範囲の限定は組み合わせおよび/または置き換えが可能であり、文脈および文言が特に指示しない限り、このような範囲は識別され、それに包含されるすべての部分範囲を含む。
【0015】
本明細書で使用される場合、「軸方向」という用語は、ガスタービンエンジンの中心軸またはシャフト、あるいは推進エンジンおよび/または内燃機関の中心軸と整列した方向を指す。ガスタービンエンジンの軸方向前端部は、空気がガスタービンエンジンに入るファンおよび/または圧縮機入口に近接する端部である。ガスタービンエンジンの軸方向後端部は、低圧燃焼ガスが低圧(LP)タービンを介してエンジンから出るエンジン排気に近接するガスタービンの端部である。非タービンエンジンでは、軸方向後方は排気に向かって、軸方向前方は入口に向かっている。
【0016】
本明細書で使用される場合、「円周方向」という用語は、燃焼器の環状部の円周の周りの(および接線方向の)方向、または例えばタービンブレードの掃引領域によって定義される円を指す。本明細書で使用する場合、「円周方向の」および「接線方向の」という用語は、同義語である。
【0017】
本明細書で使用される場合、「半径方向」という用語は、ガスタービンの中心軸、あるいは推進エンジンの中心軸から外向きに移動する方向を指す。「半径方向内向き」の方向は、中心軸に向かって整列し、半径が減少する方向に向かって移動する。「半径方向外向き」の方向は、中心軸から離れて整列し、半径が増加する方向に向かって移動する。
【0018】
ここで図面を参照すると、同様の参照符号は同様の構成要素を指し、
図1は、本明細書に開示する実施形態の様々な態様を組み込むことができるガスタービン10の例を示している。示すように、ガスタービン10は、一般に、圧縮機セクション12を含み、圧縮機セクション12は、ガスタービン10の上流端に配置された入口14と、圧縮機セクション12を少なくとも部分的に囲むケーシング16とを有する。ガスタービン10は、圧縮機セクション12から下流に少なくとも1つの燃焼器20を有する燃焼セクション18と、燃焼セクション18から下流のタービンセクション22とをさらに含む。示すように、燃焼セクション18は、複数の燃焼器20を含むことができる。シャフト24は、ガスタービン10を軸方向に貫通して延在する。
図1は、半径方向94、軸方向92および円周方向90を示している。
【0019】
動作中、空気26は、圧縮機セクション12の入口14に引き込まれ、次第に圧縮されて圧縮空気28を燃焼セクション18に提供する。圧縮空気28は、燃焼セクション18に流入し、燃焼器20の燃料と混合されて可燃性混合物を形成する。可燃性混合物は、燃焼器20で燃焼され、それにより燃焼器20からタービンノズル34の第1段32を横切ってタービンセクション22に流れる高温ガス30を生成する。タービンセクションは、一般に、タービンノズル34の隣接する列によって軸方向に分離されたロータブレード36の1つまたは複数の列を含む。ロータブレード36は、ロータディスクを介してロータシャフト24に結合される。ロータシャフト24は、エンジン中心線CLを中心に回転する。タービンケーシング38は、ロータブレード36およびタービンノズル34を少なくとも部分的に包囲する。ロータブレード36の列の各々または一部は、タービンケーシング38内に配置されるシュラウドブロックアセンブリ40によって同心状に囲まれてもよい。高温ガス30は、タービンセクション22を通って流れる際に急速に膨張する。熱および/または運動エネルギーが高温ガス30からロータブレード36の各段に伝達され、それによりシャフト24が回転して機械的仕事が生じる。シャフト24は、発電機(図示せず)などの負荷に結合されて電気を発生することができる。さらに、または代わりに、シャフト24を使用して、ガスタービンの圧縮機セクション12を駆動することができる。
【0020】
図2は、軸方向前方の前縁44から軸方向後方の後縁46まで、かつ半径方向内側の根元48から半径方向外側の先端42まで延在する例示的なタービンロータブレードまたは翼形部36の拡大断面側面図を提供している。翼形部36は、高温ガス経路の半径方向内側境界を画定するプラットフォーム50を含む。
【0021】
ニッケル基超合金および他の金属超合金などの超合金材料から構成される翼形部は、インベストメント鋳造、積層造形法および他の技術を使用して形成することができ、ガスタービンエンジン10のタービンセクション22内で動作するための所望の材料特性をもたらす。しかし、超合金材料を使用した場合でも、タービン翼形部は冷却する必要があることがよくある。内部の空冷通路は、多くの場合、翼形部に十分な冷却を提供するために翼形部で形成される。例えば、翼形部36の内部冷却チャネルおよび流れ回路は、インベストメント鋳造、積層造形法を使用して、および/または放電加工(EDM)などの機械加工プロセスを介して形成され得る。
【0022】
図3は、
図2に示す線A-Aに沿って切断された翼形部36の断面の上面図(半径方向内側を見る図)を示している。翼形部は、前縁44から後縁46まで、および正圧側50から負圧側52まで延在し、また翼形部本体部分37を通って半径方向に延在する少なくとも1つの中央空洞64を含むことができる。前縁供給空洞62は、翼形部36を通って半径方向に延在し、翼形部根元部分48(図示せず)から冷却空気を受け取る。冷却空気は、少なくとも1つの交差孔66を通って、前縁供給空洞62から前縁シャワーヘッド68に進み、前縁シャワーヘッド68は、複数の冷却通路(図示せず)を介して前縁44において翼形部36の外部に冷却空気を分配する。翼形部36はまた、少なくとも1つの後縁供給空洞70も含む。翼形部はまた、翼形部36の負圧側52に沿って整列された複数の大きな周囲半径方向冷却通路54、ならびに翼形部36の負圧側52に沿って整列された複数のより小さな周囲半径方向冷却通路56を含むことができる。翼形部はまた、異なる形状の断面を有し、軸方向および円周方向を含む異なる方向に整列された冷却通路を含む、他の数の冷却通路および配置を含んでもよい。翼形部36はまた、
図3に示すもの以外の翼形部冷却、熱管理、および/または構造的アーキテクチャを含んでもよい。膜冷却孔(図示せず)は、多くの場合、翼形部の外周の周りに配置される。例えば、膜冷却孔(図示せず)は、多くの場合、前縁、後縁、負圧側および正圧側に沿って配置される。冷却空気は、1つまたは複数の内部翼形部通路54、56、62、64、66、68、70から翼形部36の外部へ膜冷却孔(図示せず)を通って流れる。
【0023】
図4は、円B内の
図3の翼形部36の後縁部分の拡大された半径方向内側を見る図を示す。
図4の翼形部後縁46の拡大部分は、翼形部正圧側50および負圧側52を示す。正圧側50と負圧側52は後縁46に接近し、徐々に互いに向かって収束する。正圧側50および負圧側52の各々は、後縁46に近づくにつれて、曲率がゼロまたはほぼゼロで実質的に線形である線形部分(それぞれ50aおよび52a)を含む。線形または実質的に線形の正圧側線形部分50aおよび負圧側線形部分52aのほぼゼロの曲率は、翼形部の設計によって規定され、翼形部の設計ごとに異なってもよい。従来の翼形部では、正圧側50および負圧側52の各々は、第1および第2の公称遷移88、96で公称半円80に遷移する。公称半円は、直径76によって規定され、公称半円80を横切って延在し、正圧側50から負圧側52まで延在する。従来の翼形部では、正圧側50および負圧側52の線形部分は、第1および第2の公称遷移88、96で公称半円80に直接遷移する。
【0024】
さらに
図4を参照すると、本明細書に開示する実施形態の翼形部36は、正圧側50および負圧側52の線形部分から後縁先端78への楕円遷移を含む。第1の楕円部分98は、正圧側50の第1の遷移点84から後縁46の先端78まで延在する。第2の楕円部分100は、負圧側52の第2の遷移点86から後縁46の先端78まで延在する。第1および第2の遷移点84、86は、正圧側50および負圧側52の線形部分(50a、52a)がそれぞれの第1および第2の楕円部分98、100に遷移する点を定義する。第1および第2の楕円部分98、100の各々の曲率は、それ自体が長軸58および短軸60によって規定される楕円72によって規定される。長軸58は変数「a」によっても表すことができ、短軸は変数「b」によって表すこともできる。楕円72の「先鋭性」または伸長性は、長軸58の長さを短軸60の長さで割った比を使用して特徴付けることができ、これは、a/b比としても知られている。長軸58は、楕円72の長軸58が翼形部36のキャンバ線と整列するように、軸方向92に関して定義される第1の角度62に向けることができ、キャンバ線は、前縁44(図示せず)と後縁46との間の任意の点における、翼形部正圧側50と翼形部負圧側52との間の中間点である。別の言い方をすれば、翼形部のキャンバ線は、正圧側50と負圧側52との間で等距離にある点のセットとして定義することができる。第1および第2の遷移点84、86の各々は、第1および第2の公称遷移88、96の上流(または後縁先端78よりも遠く)に発生する。
【0025】
引き続き
図4を参照すると、翼形部36は、後縁先端78の近くで第1および第2の楕円部分98、100の各々と接線方向に重なる円82によって定義される円形後縁部分を含む。円82は、公称後縁の半円直径76よりも小さい円直径74を有してもよい。円82は、後縁先端78における後縁46の曲率を規定する。別の言い方をすれば、後縁先端78での翼形部36の曲率は、楕円ではなく円形であり、これにより、後縁先端78は、楕円曲率の場合よりも丸みを帯びるようになる。後縁46に近づく正圧側50および負圧側52に沿った翼形部36の楕円の輪郭は、後縁圧力損失を低減し、その結果、翼形部36を通過する流れがより効率的になり、タービン効率が向上する。別の言い方をすれば、後縁46に近づく正圧側50および負圧側52に沿って翼形部36を楕円に先細りにすることにより、「薄くなる」またはこれにより翼形部がより空気力学的になる。後縁先端78の円形の湾曲は、2つの理由で、後縁冷却孔の孔開け(すなわち、例えば、放電加工(EDM)を介して)などの機械加工操作を実行することを容易にする。第1に、円の曲率は一定であるため、(曲率が常に変化する楕円と比較して)円形の曲率に沿って孔開け操作が発生する場所に関係なく、正確に制御できる孔開け操作が得られる。第2に、先端78における後縁46の全体的な曲率は、楕円に対して円形の形状で減少させることができ、これもまた、単純化された機械加工をもたらす。
【0026】
図5は、円B内の
図3の翼形部36の後縁部分の拡大された半径方向内側を見る図を示す。
図5の翼形部後縁46の拡大部分は、様々な楕円a/b比を仮定して、後縁46における翼形部36の後縁部分の楕円の輪郭を示している。
図5は、第1および第2の遷移点84、86で、正圧側50および負圧側52の各々から接線方向に発散する第1の楕円曲率102を示している。第1の楕円曲率102のa/bは3.0である。
図5はまた、正圧側50に配置された第3の遷移点110および負圧側52に配置された第4の遷移点112において、正圧側50および負圧側52の各々から接線方向に発散する第2の楕円曲率104を示す。第2の楕円曲率104のa/bは2.0である。
図5はまた、正圧側50に配置された第5の遷移点114および負圧側52に配置された第6の遷移点116において、正圧側50および負圧側52の各々から接線方向に発散する第3の楕円曲率106を示す。第3の楕円曲率106のa/bは1.5である。
図5はまた、「ベースライン」構成と見なすことができる円形曲率106を有する翼形部後縁46を示す。
【0027】
引き続き
図5を参照すると、曲率後縁46のa/b比として、遷移点は、後縁先端78からさらに離れて移動する。別の言い方をすれば、より高いa/b比では、後縁46での翼形部36の楕円の先細りは、後縁先端78からより早くそしてより遠くに起こり、その結果、後縁46でより狭い翼形部36をもたらす。後縁46が狭いほど、翼形部36はより空気力学的である(すなわち、後縁損失はより低い)。しかしながら、後縁46でより狭い翼形部では、機械的応力が増加する可能性がある。さらに、冷却チャネル、孔、およびそれらの間の通路を配置するために利用できる面積および/または体積が少なくなる。さらに、サイズに関連する製造プロセスの制限により、許容可能な再現性および許容要件内で様々な冷却機構を作ることができるため、より狭い後縁46に対応するために、冷却機構を必ずしもより小さなサイズに単純に縮小することができない。したがって、製造、冷却、および/または応力関連の制約により、a/b比の設計が高いほど効率の高いタービン翼形部が得られる場合でも、使用できるa/b比には上限がある可能性がある。
【0028】
図6は、円B内の
図3の翼形部36の後縁部分の拡大された半径方向内側を見る図を示す。
図6の翼形部後縁46の拡大部分は、様々な楕円a/b比を仮定して、後縁46での翼形部36の負圧側52でのみ楕円の輪郭を示している。a/b比が3.0の第1の楕円曲率102aは、第2の遷移点86から翼形部後縁先端78まで負圧側52を先細にする。a/b比が2.0の第2の楕円曲率104aは、第4の遷移点112から翼形部後縁先端78まで負圧側52を先細にする。a/b比が1.5の第3の楕円曲率106aは、第6の遷移点116から翼形部後縁先端78まで負圧側52を先細にする。
図6はまた、後縁先端78におけるベースライン円形曲率108を示している。様々な楕円曲率について、a/b比が減少するにつれて、線形から楕円への遷移点は、後縁先端78に近づく。
【0029】
図7は、円B内の
図3の翼形部36の後縁部分の拡大された半径方向内側を見る図を示す。
図6の翼形部後縁46の拡大部分は、様々な楕円a/b比を仮定して、後縁46での翼形部36の正圧側50でのみ楕円の輪郭を示している。a/b比が3.0の第1の楕円曲率102bは、第1の遷移点84から翼形部後縁先端78まで正圧側50を先細にする。a/b比が2.0の第2の楕円曲率104bは、第3の遷移点110から翼形部後縁先端78まで正圧側50を先細にする。1.5のa/b比を有する第3の楕円曲率106bは、第5の遷移点114から翼形部後縁先端78まで正圧側50を先細にする。
図7はまた、後縁先端78におけるベースライン円形曲率108を示している。様々な楕円曲率について、a/b比が減少するにつれて、線形から楕円への遷移点は、後縁先端78に近づく。
図6および7の実施形態の各々について、楕円の先細は、翼形部の片側(正圧側50または負圧側52)にのみ配置されている。正圧側50と負圧側52の両方を先細にするのに十分なスペースがない翼形部の設計では、片側だけを先細にするという空気力学的利点が残っている可能性がある。負圧側52のみを先細にするのに対する、正圧側50のみを先細にすることの空気力学的利点の大きさのために、ならびに、後縁46において、正圧側50および負圧側52の各々に必要な冷却を提供する能力のために、一方の側を先細にすることは、他方の側を先細にするよりも利点があることが明らかになり得る。他方では、代わりに、例えば、より低いa/b比で(すなわち、より高いa/b比で片側だけを先細にする代わりに)、より少ない程度ではあるが、両方の側を先細にすることが有益であり得る。
【0030】
図8は、円B内の
図3の翼形部36の後縁部分の拡大された半径方向内側を見る図を示す。
図8の翼形部後縁46の拡大部分は、様々な楕円スキュー角を仮定して、後縁46における楕円の輪郭を示している。スキュー角126は、翼形部キャンバ線124と、楕円の輪郭を規定する楕円72(図示せず)の長軸58(図示せず)との間のオフセットとして定義される。(
図3も参照)。
図8に示す楕円の輪郭の各々は、特定のスキュー角126で翼形部正圧側50に向かって回転または傾斜されている。第1の楕円輪郭118は、キャンバ線124に対して1度のスキュー角で回転された楕円72を表す。第2の楕円輪郭120は、キャンバ線124に対して3度のスキュー角度で回転された楕円72(図示せず)を表す。第3の楕円輪郭122は、キャンバ線124に対して6度のスキュー角で回転された楕円72(図示せず)を表す。
図8に示されている3つの楕円曲率はすべて、3.0のa/b比に対応する。キャンバ線124に対して楕円72を傾けることは、楕円輪郭を正圧側50または負圧側52に向けてバイアスすることが望ましい場合に有益であり得る。傾斜アプローチを使用して(冷却、機械的応力、空気力学的、および他の要因のために)正圧側50または負圧側52のみの輪郭を描くことができることに直面した場合、実行可能な代替オプションとしても考慮され得る。
図8に示すように、キャンバ線124に対して6度の角度で傾斜している第3の楕円輪郭122は、正圧側50に沿った第1の遷移点84と、負圧側に沿った第2の遷移点86と、を含む。正圧側に向かう6度のスキュー角126のために、第1の遷移点84は、第2の遷移点86よりも後縁先端78にはるかに近い。
図8の実施形態では、第1の遷移点84は、第2の遷移点86と同様に、後縁先端78からの上流距離(すなわち、キャンバ線124の方向に対して)の半分未満である。第1および第2の遷移点84、86の各々は、翼形部36の正圧側および負圧側50、52の線形部分と楕円部分との間の遷移を表す。翼形部後縁46でのベースライン円形曲率108も
図8に示されている。
【0031】
図9は、円B内の
図3の翼形部36の後縁部分の拡大された半径方向内側を見る図を示す。
図9の翼形部後縁46の拡大部分は、正圧側50および負圧側52に沿った楕円の輪郭、および後縁先端78における円形曲率を有するハイブリッド実施形態を示している。
図9に示すように、翼形部正圧側50の第1の楕円部分98は、後縁46を第1の遷移点84から翼形部後縁先端78に向かって先細りにしている。翼形部負圧側52の第2の楕円部分100は、後縁46を第2の遷移点86から翼形部後縁先端78に向かって先細りにしている。第1および第2の遷移点84、86の各々は、翼形部36の正圧側および負圧側50、52の線形部分と楕円部分との間の遷移を表す。第1および第2の楕円部分98、100の各々は、3.0のa/b比を有する楕円72(図示せず)に対応する。
図9に示す翼形部後縁46でのベースライン円形曲率108は、ベースライン直径を規定する。第1の先端円128は、第1の楕円部分98と第2の楕円部分100の両方と接線方向に交差する。第1の先端円128は、ベースライン直径の80%である直径を有する。第2の先端円130は、第1の楕円部分98と第2の楕円部分100の両方と接線方向に交差する。第2の先端円130は、ベースライン直径の60%である直径を有する。第1および第2の先端円128、130のうちの1つを使用することにより、楕円先端部分132は、翼形部後縁先端78で切り詰められ、および/または除去されるであろう。上述したように、第1および第2の先端円128、130は、他の後縁特徴と同様に、冷却孔の機械加工および/または孔開けを容易にすることを可能にする。第1および第2の先端円128、130の直径が増加するにつれて、製造の容易さは増加し得るが、翼形部36の効率は低下し得る。したがって、許容可能な製造可能性を依然として許容するよりも、最小の直径に対応する先端円の直径を選択することが有利である。したがって、より小さな翼形部と比較して、より大きな翼形部でより大きなa/b比およびより小さな先端円直径の両方を達成することが可能であり得る。
【0032】
図10は、本明細書に開示した実施形態による翼形部36を製造する方法1000を示している。ステップ1002において、本方法は、使用される第1および第2の楕円曲率、ならびに後縁46での冷却要件を決定するステップを含む。ステップ1004において、本方法は、輪郭形成および/または楕円の先細りを適用するための位置を選択するステップを含み、その位置は、翼形部正圧側50または負圧側52、あるいはその両方を含むことができる。ステップ1006において、方法1000は、使用するスキュー角126を決定することを含み、正のスキュー角126は、楕円72を正圧側50に向けてバイアスすることに対応することができ、負のスキュー角126は、楕円72を負圧側52に向けてバイアスすることに対応することができる。ステップ1008において、方法1000は、使用される先端円128、130の直径を決定するステップを含む。ステップ1010で、方法1000は、翼形部36を形成するステップを含む。翼形部36の形成は、インベストメント鋳造、鍛造、積層造形法、他のプロセスおよび/またはハイブリッド方法の使用を含んでもよい。翼形部36を形成するステップはまた、後縁46に楕円および/または円形の輪郭を形成するステップ、ならびに冷却孔、他の冷却通路、および/または他の後縁特徴を形成するステップを含んでもよい。あるいは、冷却孔、他の冷却機構、および後縁46での楕円および円形の輪郭を形成するステップが、孔開け、放電加工(EDM)、レーザーアブレーション、フライス加工、ならびに他のプロセスなどの、成形後の機械加工プロセスを介してステップ1012に含まれてもよい。ステップ1014において、翼形部36は、熱バリアコーティング(TBC)、環境バリアコーティング(EBC)、ボンドコートおよび他のタイプのコーティングなどのコーティングでコーティングされ得る。ステップ1016において、方法1000は、バリ取り、ポリシング、表面平滑化、研磨、熱処理、ならびに他のプロセスなどの後処理および/または仕上げステップを含んでもよい。本明細書に開示する実施形態による態様は、方法1000の1つまたは複数のステップのうちの1つを省略してもよい。同様に、方法1000の本明細書に開示する実施形態は、他のステップを含んでもよく、異なる順序でステップを実行することを含んでもよい。
【0033】
図11は、円B内の
図3の翼形部36の後縁部分の拡大された半径方向内側を見る図を示す。
図11の翼形部後縁46の拡大部分は、正圧側50および負圧側52に沿った楕円の輪郭、および後縁先端78における円形曲率を有するハイブリッド実施形態を示している。
図11に示すように、正圧側50は、第1の遷移点84において、正圧側の線形部分50aから第1の楕円部分98に遷移する。負圧側52は、第2の遷移点86で、負圧側線形部分52aから第2の楕円部分100に遷移する。第1の楕円部分98は、第1の先端遷移点136で円形先端部分128に遷移し、第2の楕円部分100は、第2の先端遷移点134で円形先端部分128に遷移する。
図11の実施形態では、第1および第2の遷移点の各々は、スキュー角が0度であるため、キャンバ線126(図示せず)と整列している後縁78から等距離にある。第1および第2の楕円部分98、100は、約1.1から約5までのa/b比を有する楕円72(図示せず)によって規定され得る。他の実施形態では、第1および第2の楕円部分98、100は、約1.3から約4のa/b比を有する楕円72(図示せず)によって規定され得る。他の実施形態では、第1および第2の楕円部分98、100は、約1.5から約3.5のa/b比を有する楕円72(図示せず)によって規定され得る。他の実施形態では、第1および第2の楕円部分98、100は、約2.0から約3.0のa/b比を有する楕円72(図示せず)によって規定され得る。他の実施形態では、第1および第2の楕円部分98、100は、上述したものと同様に、他の範囲および部分範囲におけるa/b比を有する楕円72によって規定されてもよく、第1の楕円部分98が、第2の楕円部分100のそれとは異なるa/b比を有する楕円によって規定される実施形態を含む。
【0034】
さらに
図11を参照すると、後縁部分46はまた、翼形部36の他の場所と同じように、円形先端部分128上の第1および第2の楕円部分98、100に配置された少なくとも1つのコーティング138(TBC、EBC、ボンドコートなど)を含むことができる。コーティング138の厚さは、第1および/または第2の楕円部分98、100の曲率、ならびに円形先端部分128の曲率を形成するように変化し得る。例えば、翼形部36上に配置されたコーティング138は、後縁部分46が正圧側および負圧側の線形部分50a、52aから第1および第2の楕円部分98、100から円形先端部分128に遷移するにつれて、厚さが増加または減少し得る。翼形部36を形成することができる金属および/または超合金材料は、同様に、完成した翼形部36のプロファイルが、翼形部36が形成された材料とその上に配置されたコーティング138の両方を含み、線形部分から1つまたは複数の楕円部分、そして後縁先端78で少なくとも1つの円形部分に遷移するように、コーティング138の厚さに合わせて輪郭を描くことができる。別の言い方をすれば、本明細書で説明する空気力学的利点は、最も外側の表面が、翼形部36が形成される材料またはその上に配置されるコーティング138を含むかどうかに関係なく、翼形部36の最も外側の表面およびプロファイルに基づく。したがって、いくつかの実施形態では、翼形部36が正圧側および負圧側の線形部分50a、52aから第1および第2の楕円部分98、100まで円形先端部分128に遷移するにつれてコーティング138の厚さを変えることによって、所望の翼形部プロファイルを形成することが有益であり得る。翼形部36はまた、セラミックおよび/またはセラミックマトリックス複合材料(CMC)材料から本明細書に記載の幾何学的形状および/または形状で形成することができ、コーティングされていてもコーティングされていなくてもよい。本実施形態に従って成形されたCMC翼形部36は、同様に成形された金属翼形部と同様の空気力学的利点を有するであろう。
【0035】
本明細書に開示する実施形態は、
図5~
図9に示すベースライン円形先端108の直径の約5%、10%、20%、40%、60%、80%、90%、および95%、ならびに他のパーセンテージである直径を有する円形先端部分128を含むことができる。例えば、本実施形態は、ベースライン円形先端108の約55%から約85%の間である直径を有する円形先端部分128を含むことができる。同様に、本明細書に開示する実施形態は、ベースライン円形先端108の約60%から約80%の間である直径を有する円形先端部分128を含むことができる。同様に、本明細書に開示する実施形態は、ベースライン円形先端108の約60%から約95%の間である直径を有する円形先端部分128を含むことができる。本明細書に開示する実施形態は、約-10度から約10度、約-8度から約8度、約-6度から約6度、約-4度から約4度、約-3度から約3度、約-1度から約1度、および他の範囲と部分範囲のスキュー角を含んでもよく、正のスキュー角は楕円の先細りを正圧側50にバイアスし、負のスキュー角は楕円の先細りを負圧側52にバイアスする。例えば、本明細書に開示する実施形態は、約-6度から約-3度または約3度から約6度、または約1度から約8度または約-8度から約-1度のスキュー角を含むことができる。本明細書に開示する実施形態は、正圧側50および負圧側52の両方に沿って等量で、負圧側52のみに沿って、正圧側50のみに沿って、および正圧側50および負圧側52の両方に沿って異なる量で楕円の先細りを含むことができる。
【0036】
本明細書に提示される実施形態は、上流の翼形部の厚さまたは後縁46の冷却孔を開ける能力に実質的に影響を与えることなく、翼形部36の後縁46での閉塞を局所的に減少させることによって、より小さく、より低い損失の伴流を生成する。公称円形後縁は、元の翼形部表面をより小さな後縁円に融合する楕円の遷移に置き換えられる。正圧側および負圧側50、52での楕円遷移を含むハイブリッド後縁を円形先端と共に使用することにより、効果的な後縁の閉塞を小さくし、翼形部のベース圧力を改善することにより、プロファイル損失を改善することができる。本明細書に開示する実施形態の後縁によって生成されるより小さな伴流はまた、非定常損失の低減を介して下流翼形部に利益をもたらす。楕円の遷移を使用することにより、内部空洞と冷却機構が存在する翼形部の厚さへの影響は最小限に抑えられる。楕円を円形端部に融合して戻すと、排出孔の孔開けの問題が最小限に抑えられる。本明細書に開示する実施形態の利点はまた、同じ最終的な後縁円直径に設計された従来の翼形部と比較して、機械的設計への影響を最小限に抑えた空気力学的損失の低減を含むことができる。
【0037】
すべての冷却翼形部、特に後縁排出冷却流を実現する翼形部は、このハイブリッド楕円-円形手法の適用から恩恵を受けることが期待される。新しい後縁が適用される翼形部のプロファイル損失を低減することに加えて、ハイブリッド楕円-円形後縁によって生成されるより小さな速度欠陥(伴流)のために、下流の翼形部の非定常損失も改善される可能性がある。線形先細り、区分的線形先細り(すなわち、複数の線形セグメント)、双曲線先細り、二次先細り、および/または後縁46における他の形態の幾何学的先細りもまた、プロファイル損失の低減などにより翼形部の空気力学を改善することができる。しかしながら、楕円の先細りは、翼形部36の曲率を、正圧側および負圧側50、52の線形部分から後縁先端78に向かって増加させるための強化された漸進的遷移を表す。
【0038】
本発明の特定の特徴だけを本明細書において例示および説明してきたが、多くの修正および変更が当業者に想到されるであろう。したがって、添付の特許請求の範囲が、そのようなすべての修正および変更を本発明の真の趣旨の範囲に包含されるものとして含むように意図されていることを理解すべきである。
【0039】
本明細書は、ここで開示された実施形態を開示するために実施例を用いており、最良の形態を含んでいる。また、いかなる当業者もここで開示された実施形態を実施することができるように実施例を用いており、任意のデバイスまたはシステムを製作し使用し、任意の組み込まれた方法を実行することを含んでいる。本開示の特許可能な範囲は、特許請求の範囲によって定義され、当業者が想到する他の実施例を含むことができる。そのような他の例は、それらが特許請求の範囲の文言から相違しない構造要素を含むか、または特許請求の範囲の文言から実質的には相違しない同等の構造要素を含む場合、特許請求の範囲の範囲内にあることが意図される。
【符号の説明】
【0040】
10 ガスタービン/ガスタービンエンジン
12 圧縮機セクション
14 入口
16 ケーシング
18 燃焼セクション
20 燃焼器
22 タービンセクション
24 ロータシャフト
26 空気
28 圧縮空気
30 高温ガス
32 第1段
34 タービンノズル
36 翼形部/ロータブレード
37 翼形部本体部分
38 タービンケーシング
40 シュラウドブロックアセンブリ
42 半径方向外側先端部分
44 前縁
46 後縁
48 半径方向内側根元部分
50 翼形部正圧側/プラットフォーム
50a 正圧側線形部分
52 翼形部負圧側
52a 負圧側線形部分
54 周囲半径方向冷却通路/内部翼形部通路
56 周囲半径方向冷却通路/内部翼形部通路
58 長軸
60 短軸
62 前縁供給空洞/内部翼形部通路
64 中央空洞/内部翼形部通路
66 交差孔/内部翼形部通路
68 前縁シャワーヘッド/内部翼形部通路
70 後縁供給空洞/内部翼形部通路
72 楕円
74 円直径
76 半円直径
78 翼形部後縁先端
80 公称半円
82 円
84 第1の遷移点
86 第2の遷移点
88 第1の公称遷移
90 円周方向
92 軸方向
94 半径方向
96 第2の公称遷移
98 第1の楕円部分
100 第2の楕円部分
102 第1の楕円曲率
102a 第1の楕円曲率
102b 第1の楕円曲率
104 第2の楕円曲率
104a 第2の楕円曲率
104b 第2の楕円曲率
106 第3の楕円曲率
106a 第3の楕円曲率
106b 第3の楕円曲率
108 ベースライン円形曲率
110 第3の遷移点
112 第4の遷移点
114 第5の遷移点
116 第6の遷移点
118 第1の楕円輪郭
120 第2の楕円輪郭
122 第3の楕円輪郭
124 キャンバ線
126 スキュー角
128 第1の先端円
130 第2の先端円
132 楕円先端部分
134 第2の先端遷移点
136 第1の先端遷移点
138 コーティング
1000 方法
1002 ステップ
1004 ステップ
1006 ステップ
1008 ステップ
1010 ステップ
1012 ステップ
1014 ステップ
1016 ステップ