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特許7467420排気ガス流を処理するための四元変換触媒
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-05
(45)【発行日】2024-04-15
(54)【発明の名称】排気ガス流を処理するための四元変換触媒
(51)【国際特許分類】
   B01J 23/63 20060101AFI20240408BHJP
   B01D 53/94 20060101ALI20240408BHJP
   B01J 35/57 20240101ALI20240408BHJP
   B01J 37/02 20060101ALI20240408BHJP
   B01J 37/08 20060101ALI20240408BHJP
【FI】
B01J23/63 A
B01D53/94 ZAB
B01D53/94 222
B01D53/94 245
B01D53/94 280
B01J35/57 E
B01J35/57 L
B01J35/57 Z
B01J37/02 301C
B01J37/02 301L
B01J37/08
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2021511578
(86)(22)【出願日】2019-08-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-27
(86)【国際出願番号】 EP2019073226
(87)【国際公開番号】W WO2020043885
(87)【国際公開日】2020-03-05
【審査請求日】2022-08-29
(31)【優先権主張番号】18191953.1
(32)【優先日】2018-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】505470786
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【弁理士】
【氏名又は名称】江藤 聡明
(72)【発明者】
【氏名】シュレレート,ダフィト
(72)【発明者】
【氏名】リー,ハオ
(72)【発明者】
【氏名】ジームント,シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】シュミッツ,トマス
(72)【発明者】
【氏名】シアニ,アッティリオ
(72)【発明者】
【氏名】ヴァルツ,フロリアン
【審査官】森坂 英昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-140844(JP,A)
【文献】特開2003-265964(JP,A)
【文献】特表2013-534463(JP,A)
【文献】特表2014-509244(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 21/00 - 38/74
B01D 53/94
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガソリンエンジンの排気ガス流を処理するための四元変換触媒であって、
入口端部と、出口端部と、前記入口端部と前記出口端部の間に延在する基材軸長さと、多孔質ウォールフローフィルタ基材の多孔質内壁により画定される複数の通路とを含む多孔質ウォールフローフィルタ基材を含み、前記複数の通路が、開放入口端部および閉鎖出口端部を有する入口通路と、閉鎖入口端部および開放出口端部を有する出口通路とを含み、前記通路と前記多孔質内壁との間の界面が前記内壁の前記表面により画定されており、
前記多孔質内壁が、第1の耐火金属酸化物を含む酸化物成分を含む細孔を含み、前記第1の耐火金属酸化物がアルミニウムを含み、前記酸化物成分が、前記酸化物成分の総重量を基準として0~0.001重量%の範囲の白金族金属含有量を有し、
前記触媒が、第1の三元変換触媒コーティングをさらに含み、その少なくとも10重量%が、前記内壁の前記細孔内に含まれ、前記第1の三元変換触媒コーティングが、酸素貯蔵化合物と、第2の耐火金属酸化物に担持された白金族金属とを含む、四元変換触媒。
【請求項2】
前記第1の耐火金属酸化物の98~100重量%、好ましくは99~100重量%、より好ましくは99.5~100重量%、より好ましくは99.9~100重量%が、アルミニウムおよび酸素、好ましくはアルミナからなる、請求項1に記載の四元変換触媒。
【請求項3】
前記酸化物成分が、Mg、Ca、Sr、およびBaのうちの1つ以上を含む酸化物、好ましくはバリウムを含む酸化物、より好ましくはバリアをさらに含み、および/または
前記酸化物成分が、La、Y、Nd、Ti、およびZrのうちの1つ以上を含む酸化物、好ましくはジルコニアを含む酸化物をさらに含む、請求項1または2に記載の四元変換触媒。
【請求項4】
前記酸化物成分の98~100重量%、好ましくは99~100重量%、より好ましくは99.5~100重量%、より好ましくは99.9~100重量%が、前記第1の耐火金属酸化物からなる、請求項1または2に記載の四元変換触媒。
【請求項5】
前記触媒が、前記酸化物成分を、7~75g/lの範囲、好ましくは8~60g/lの範囲、より好ましくは10~60g/lの範囲、より好ましくは12~32g/lの範囲、より好ましくは12~18g/lの範囲、または20~32g/lの範囲の充填量で含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の四元変換触媒。
【請求項6】
前記第1の三元変換触媒コーティングが、1つ以上の白金族金属、好ましくは、ルテニウム、パラジウム、ロジウム、白金、およびイリジウムのうちの1つ以上、より好ましくは、パラジウム、ロジウム、および白金のうちの1つ以上、より好ましくは、パラジウムおよびロジウムのうちの1つ以上を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の四元変換触媒。
【請求項7】
前記第1の三元変換触媒コーティングに含まれる前記酸素貯蔵化合物が、セリウム、ジルコニウム、イットリウム、ネオジム、およびランタンを含む混合酸化物、またはセリウム、ジルコニウム、イットリウム、およびランタンを含む混合酸化物を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の四元変換触媒。
【請求項8】
前記第1の三元変換触媒コーティングが、酸素貯蔵成分に担持された白金族金属、好ましくはパラジウムを含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の四元変換触媒。
【請求項9】
前記第1の三元変換触媒コーティングに含まれる前記第2の耐火金属酸化物が、アルミニウムを含み、好ましくは、酸化アルミニウム、アルミニウムを含む酸化物の混合物、アルミニウムを含む混合酸化物のうちの1つ以上を含み、アルミニウムを含む前記混合酸化物が、好ましくは、ジルコニウム、セリウム、ランタン、バリウム、およびネオジムのうちの1つ以上をさらに含み、
より好ましくは、前記第2の耐火金属酸化物が、酸化アルミニウム、より好ましくはガンマ酸化アルミニウムを含み、より好ましくはこれである、請求項1~8のいずれか1項に記載の四元変換触媒。
【請求項10】
前記第1の三元変換触媒コーティングの30~100重量%、好ましくは50~100重量%、より好ましくは70~100重量%が、前記内壁の前記細孔内に含まれる、請求項1~9のいずれか1項に記載の四元変換触媒。
【請求項11】
前記触媒が、前記第1の三元変換触媒コーティングを、30~250g/lの範囲、好ましくは40~200g/lの範囲、より好ましくは50~170g/lの範囲の充填量で含む、請求項1~10のいずれか1項に記載の四元変換触媒。
【請求項12】
前記酸化物成分を含む前記細孔が、前記入口端部から前記入口通路の前記出口端部に向かって前記基材軸長さのx%(xは、95~100の範囲にある)にわたり延在する、または
前記酸化物成分を含む前記細孔が、前記出口端部から前記出口通路の前記入口端部に向かって前記基材軸長さのx%(xは、95~100の範囲にある)にわたり延在する、請求項1~11のいずれか1項に記載の四元変換触媒。
【請求項13】
前記第1の三元変換触媒コーティングが、前記入口端部から前記入口通路の前記出口端部に向かって前記基材軸長さのy%(yは、20~xの範囲にある)にわたり延在する、請求項12に記載の四元変換触媒。
【請求項14】
前記第1の三元変換触媒コーティングが、前記入口端部から前記入口通路の前記出口端部に向かって前記基材軸長さのy%(yは、20~70の範囲、好ましくは40~60の範囲、より好ましくは45~55の範囲にある)にわたり延在する、請求項12または13に記載の四元変換触媒。
【請求項15】
前記触媒が、第2の三元変換触媒コーティングをさらに含み、その少なくとも10重量%が、前記内壁の前記細孔内に含まれ、前記第2の三元変換触媒コーティングが、酸素貯蔵化合物と、耐火金属酸化物に担持された白金族金属とを含み、
前記第2の三元変換触媒コーティングが、前記出口端部から前記出口通路の前記入口端部に向かって前記基材軸長さのz%(zは、20~xの範囲、好ましくは20~70の範囲、より好ましくは40~60の範囲、より好ましくは45~55の範囲にある)にわたり延在する、請求項12~14のいずれか1項に記載の四元変換触媒。
【請求項16】
請求項1~15のいずれか1項に記載の四元変換触媒を調製するためのプロセスであって、
(i)入口端部と、出口端部と、前記入口端部と前記出口端部の間に延在する基材軸長さと、多孔質ウォールフローフィルタ基材の多孔質内壁により画定される複数の通路とを含む多孔質ウォールフローフィルタ基材であって、前記複数の通路が、開放入口端部および閉鎖出口端部を有する入口通路と、閉鎖入口端部および開放出口端部を有する出口通路とを含み、前記通路と前記多孔質内壁との間の界面が、前記内壁の前記表面により画定されており、前記内壁が10~30マイクロメートルの範囲の平均細孔径を有し、前記内壁の平均多孔率が25~75%の範囲にある、多孔質ウォールフローフィルタ基材を提供することと、
(ii)前記酸化物成分の供給源の粒子を含むスラリーであって、前記粒子が0.005~20マイクロメートルの範囲のDv90値を有する、スラリーを提供し、(i)で提供された前記多孔質ウォールフローフィルタ基材の前記多孔質内壁を前記スラリーの前記粒子でコーティングし、得られたコーティングされたフィルタ基材をか焼し、前記酸化物成分を含む前記フィルタ基材を得ることと、
(iii)前記第1の三元変換触媒コーティングの供給源の粒子を含むスラリーであって、前記粒子が2~25マイクロメートルの範囲のDv90値を有する、スラリーを提供し、(ii)で得られた前記多孔質ウォールフローフィルタ基材の前記多孔質内壁を前記スラリーの前記粒子でコーティングし、前記得られたコーティングされたフィルタ基材をか焼し、前記酸化物成分および前記第1の三元変換触媒コーティングを含む前記フィルタ基材を得ることと、を含む、プロセス。
【請求項17】
ガソリンエンジンの下流にあり、かつこれと流体連通している排気ガス処理システムであって、請求項1~15のいずれか1項に記載の四元変換触媒を含む、排気ガス処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガソリンエンジンの排気ガス流を処理するための四元変換触媒および該触媒を調製するためのプロセスに関する。本発明は、該プロセスによって得られるまたは入手可能な四元変換触媒、本発明の四元変換触媒を含む排気ガス処理システム、および該四元変換触媒を使用してガソリンエンジンからの排気ガス流を処理する方法にさらに関する。
【0002】
排気ガス粒子の濾過は、ガソリン粒子フィルタの重要な機能である。フィルタ基材を触媒活性スラリーでコーティングすることにより、三元変換触媒(さらには四元変換(FWC)触媒とも称される)の特徴をフィルタに追加することが可能である。FWCの触媒活性は、通常、乗り物の耐用期間にわたり劣化する。主な劣化メカニズムのうちの1つは、通常の運転条件で生じる高い排気ガス温度による触媒の熱劣化である。
【0003】
現技術水準の三元変換触媒(TWC)と比較すると、FWCの活性低下の深刻度は、TWCのそれよりも高い。より強い熱劣化の影響を補償するために、現在は、より多くの触媒量および/またはより多くの白金族金属(PGM)が使用される。したがって、熱安定性を大幅に改善することによりFWC触媒をTWC触媒と比較して競争力のあるものにする必要がある。
【0004】
US8815189B2には、ガソリンエンジンでの使用に好適な排気システムおよび構成要素が開示されており微粒子フィルタ上に配置された三元変換(TWC)触媒が提供される。TWC触媒は、白金族金属と酸素貯蔵成分とを含むコーティングを含み、このコーティングは、好ましくはアルミナを含まない。
【0005】
WO2018/024546A1には、フロースルー基材上に堆積された第1の三元変換触媒材料を含み、続いて、微粒子フィルタの壁に浸透する第2の三元変換触媒材料を含む触媒化微粒子フィルタを含む、ガソリンエンジンの下流の排出処理システムが開示されている。第2の三元変換触媒材料は、唯一の白金族金属としてロジウムを含む。
【0006】
WO2018/024547A1には、微粒子フィルタの壁に浸透する三元変換触媒材料を含む、ガソリンエンジンの下流の排出処理システムが開示されている。
【0007】
劣化メカニズムを調べたところ、コーディエライト基材から触媒活性層へとケイ素が移動することが、三元変換触媒で見られるようなより強い劣化の1つの潜在的な根本原因として示された。ケイ素の移動は、同様にコーディエライトからなる三元変換触媒基材からも生じる。しかしながら、TWC触媒の触媒コーティングは、コーティングと基材との間の接触がより密接であるフィルタ基材上よりもはるかに厚い。したがって、ケイ素の移動は、触媒機能をより効果的に損なう場合がある。
【0008】
したがって、本発明の課題は、改善されたHC酸化、CO酸化およびNOx変換、改善された濾過効率、ならびに改善された熱安定性などの改善された触媒活性を呈する、ガソリンエンジンの排気ガス流を処理するための四元変換触媒を提供することであった。驚くべきことに、本発明の四元変換触媒は、改善されたHC酸化、CO酸化およびNOx変換、改善された濾過効率、ならびに改善された熱安定性などの改善された触媒活性を達成することを可能にすることが見出された。
【0009】
したがって、本発明は、ガソリンエンジンの排気ガス流を処理するための四元変換触媒であって、
入口端部と、出口端部と、入口端部と出口端部の間に延在する基材軸長さと、多孔質ウォールフローフィルタ基材の多孔質内壁により画定される複数の通路とを含む多孔質ウォールフローフィルタ基材を含み、複数の通路が、開放入口端部および閉鎖出口端部を有する入口通路と、閉鎖入口端部および開放出口端部を有する出口通路とを含み、通路と多孔質内壁との間の界面が、内壁の表面により画定されており、
多孔質内壁が、第1の耐火金属酸化物を含む酸化物成分を含む細孔を含み、該第1の耐火金属酸化物がアルミニウムを含み、該酸化物成分が、酸化物成分の総重量を基準として0~0.001重量%の範囲の白金族金属含有量を有し、
この触媒が、第1の三元変換触媒コーティングをさらに含み、その少なくとも10重量%が、内壁の細孔内に含まれ、該第1の三元変換触媒コーティングが、酸素貯蔵化合物と、第2の耐火金属酸化物に担持された白金族金属とを含む、四元変換触媒に関する。
【0010】
好ましくは、第1の耐火金属酸化物の98~100重量%、より好ましくは99~100重量%、より好ましくは99.5~100重量%、より好ましくは99.9~100重量%が、アルミニウムおよび酸素、より好ましくはアルミナからなる。
【0011】
第1の耐火金属酸化物は、50~500m/gの範囲、より好ましくは70~300m/gの範囲のBET比表面積を有することが好ましく、BET比表面積は参照例2に従って決定される。
【0012】
好ましくは、酸化物成分の50~99重量%、より好ましくは60~99重量%、より好ましくは70~99重量%、より好ましくは80~99重量%、より好ましくは85~95重量%が、第1の耐火金属酸化物からなる。
【0013】
酸化物成分に関して、これは、Mg、Ca、Sr、およびBaのうちの1つ以上を含む酸化物、より好ましくは、Mg、Ca、およびBaのうちの1つ以上を含む酸化物、より好ましくは、MgおよびBaのうちの1つ以上を含む酸化物、より好ましくは、バリウムを含む酸化物、より好ましくはバリアをさらに含むことが好ましい。酸化物成分は、バリアをさらに含むことがより好ましい。
【0014】
酸化物成分に関して、これは、La、Y、Nd、Ti、およびZrのうちの1つ以上を含む酸化物、より好ましくは、TiおよびZrのうちの1つ以上を含む酸化物、より好ましくは、ジルコニウムを含む酸化物、より好ましくはジルコニアをさらに含むことが好ましい。酸化物成分は、ジルコニアをさらに含むことがより好ましい。より好ましくは、酸化物成分は、バリアおよびジルコニアをさらに含む。
【0015】
酸化物材料は、金属酸化物結合剤をさらに含むことが好ましく、金属酸化物結合剤は、より好ましくは、ジルコニウム、アルミニウム、およびチタンのうちの1つ以上を含む酸化物を含み、より好ましくは、アルミニウムおよびジルコニウムのうちの1つ以上を含む酸化物を含み、より好ましくは、アルミニウムを含む酸化物を含む。
【0016】
好ましくは、酸化物成分の98~100重量%、より好ましくは99~100重量%、より好ましくは99.5~100重量%、より好ましくは99.9~100重量%は、第1の耐火金属酸化物、Mg、Ca、Sr、およびBaのうちの1つ以上を含む酸化物、La、Y、Nd、Ti、およびZrのうちの1つ以上を含む酸化物、より好ましくは、先に定義したように金属酸化物結合剤からなる。
【0017】
あるいは、酸化物成分の98~100重量%、より好ましくは99~100重量%、より好ましくは99.5~100重量%、より好ましくは99.9~100重量%は、第1の耐火金属酸化物からなることが好ましい。
【0018】
本発明によると、触媒は、酸化物成分を、7~75g/lの範囲、より好ましくは8~60g/lの範囲、より好ましくは10~60g/lの範囲、より好ましくは12~32g/lの範囲の充填量で含むことが好ましい。触媒は、酸化物成分を12~18g/lの範囲の充填量で含むことがより好ましい。あるいは、触媒は、酸化物成分を20~32g/lの範囲の充填量で含むことがより好ましい。
【0019】
触媒に含まれる酸化物成分の少なくとも90重量%、より好ましくは90~100重量%、より好ましくは95~100重量%、より好ましくは98~100重量%、より好ましくは99~100重量%、より好ましくは99.5~100重量%、より好ましくは99.9~100重量%は、多孔質内壁の細孔内にあることが好ましい。
【0020】
したがって、本発明は、好ましくは、ガソリンエンジンの排気ガス流を処理するための四元変換触媒であって、
入口端部と、出口端部と、入口端部と出口端部の間に延在する基材軸長さと、多孔質ウォールフローフィルタ基材の多孔質内壁により画定される複数の通路とを含む多孔質ウォールフローフィルタ基材を含み、複数の通路が、開放入口端部および閉鎖出口端部を有する入口通路と、閉鎖入口端部および開放出口端部を有する出口通路とを含み、通路と多孔質内壁との間の界面が、内壁の表面により画定されており、
多孔質内壁が、第1の耐火金属酸化物を含む酸化物成分を含む細孔を含み、該第1の耐火金属酸化物がアルミニウムを含み、該酸化物成分が、酸化物成分の総重量を基準として0~0.001重量%の範囲の白金族金属含有量を有し、触媒に含まれる酸化物成分の少なくとも90重量%、より好ましくは90~100重量%、より好ましくは95~100重量%が、多孔質内壁の細孔内にあり、
この触媒が、第1の三元変換触媒コーティングをさらに含み、その少なくとも10重量%が、内壁の細孔内に含まれ、該第1の三元変換触媒コーティングが、酸素貯蔵化合物と、第2の耐火金属酸化物に担持された白金族金属とを含み、
酸化物成分の98~100重量%、より好ましくは99~100重量%が、第1の耐火金属酸化物、先に定義したようにMg、Ca、Sr、およびBaのうちの1つ以上を含む酸化物、先に定義したようにLa、Y、Nd、Ti、およびZrのうちの1つ以上を含む酸化物、より好ましくは、先に定義したように金属酸化物結合剤からなるか、または
酸化物成分の98~100重量%、より好ましくは99~100重量%が、第1の耐火金属酸化物からなる、四元変換触媒に関する。
【0021】
本発明によると、酸化物成分の0~0.001重量%、より好ましくは0~0.0001重量%、より好ましくは0~0.00001重量%は、セリウムからなることが好ましい。
【0022】
酸化物成分の0~0.001重量%、より好ましくは0~0.0001重量%、より好ましくは0~0.00001重量%は、ケイ素からなることが好ましい。
【0023】
酸化物化合物は、酸化物成分の総重量を基準として、0~0.0001重量%の範囲、より好ましくは0~0.00001重量%の範囲の白金族金属含有量を有することが好ましい。
【0024】
第1の三元変換触媒コーティングに関して、特別な制限はない。しかしながら、第1の三元変換触媒コーティングは、1つ以上の白金族金属、より好ましくは、ルテニウム、パラジウム、ロジウム、白金、およびイリジウムのうちの1つ以上、より好ましくは、パラジウム、ロジウム、および白金のうちの1つ以上、より好ましくは、パラジウムおよびロジウムのうちの1つ以上を含むことが好ましい。
【0025】
第1の三元変換触媒コーティングに含まれる酸素貯蔵化合物は、セリウムを含むこと、より好ましくは、酸化セリウム、酸化セリウムを含む酸化物の混合物、およびセリウムを含む混合酸化物のうちの1つ以上を含むことが好ましく、セリウムを含む混合酸化物は、より好ましくは、ジルコニウム、イットリウム、ネオジム、ランタン、ハフニウム、サマリウム、およびプラセオジムのうちの1つ以上、より好ましくは、ジルコニウム、イットリウム、ネオジム、およびランタンのうちの1つ以上をさらに含む。
【0026】
第1の三元変換触媒コーティングに含まれる酸素貯蔵化合物は、セリウム、ジルコニウム、イットリウム、ネオジム、およびランタンを含む混合酸化物を含むことが好ましい。酸素貯蔵化合物の98~100重量%、より好ましくは99~100重量%、より好ましくは99.5~100重量%、より好ましくは99.9~100重量%は、セリウム、ジルコニウム、イットリウム、ネオジム、およびランタンを含む混合酸化物からなることがより好ましい。酸素貯蔵化合物の20~60重量%、より好ましくは35~45重量%は、CeOとして計算されるセリウムからなることがより好ましく、酸素貯蔵化合物の30~60重量%、より好ましくは40~50重量%は、ZrOとして計算されるジルコニウムからなることがより好ましい。
【0027】
あるいは、第1の三元変換触媒コーティングに含まれる酸素貯蔵化合物に関して、これは、セリウム、ジルコニウム、イットリウム、およびランタンを含む混合酸化物を含むことが好ましい。酸素貯蔵化合物の98~100重量%、より好ましくは99~100重量%、より好ましくは99.5~100重量%、より好ましくは99.9~100重量%は、セリウム、ジルコニウム、イットリウム、およびランタンを含む混合酸化物からなることがより好ましい。酸素貯蔵化合物の20~60重量%、より好ましくは35~45重量%は、CeOとして計算されるセリウムからなることがより好ましく、酸素貯蔵化合物の35~60重量%、より好ましくは45~55重量%は、ZrOとして計算されるジルコニウムからなることがより好ましい。
【0028】
本発明によると、第1の三元変換触媒コーティングに含まれる酸素貯蔵化合物は、0.05~1.5ml/gの範囲、より好ましくは0.1~1.0ml/gの範囲、より好ましくは0.15~0.8ml/gの範囲の多孔率を有することが好ましく、多孔率は、参照例1に従って決定される。
【0029】
第1の三元変換触媒コーティングは、酸素貯蔵成分に担持された白金族金属、より好ましくはパラジウムを含むことが好ましい。
【0030】
第1の三元変換触媒コーティングに含まれる第2の耐火金属酸化物に関して、これは、アルミニウムを含むこと、より好ましくは、酸化アルミニウム、アルミニウムを含む酸化物の混合物、アルミニウムを含む混合酸化物のうちの1つ以上を含むことが好ましく、アルミニウムを含む混合酸化物は、より好ましくは、ジルコニウム、セリウム、ランタン、バリウム、およびネオジムのうちの1つ以上をさらに含む。第2の耐火金属酸化物は、酸化アルミニウム、より好ましくはガンマ酸化アルミニウムを含み、より好ましくはこれであることがより好ましい。
【0031】
第2の耐火金属酸化物は、好ましくは、0.05~1.5ml/gの範囲、より好ましくは0.1~1.0ml/gの範囲、より好ましくは0.15~0.8ml/gの範囲の多孔率を有し、多孔率は、参照例1に従って決定される。
【0032】
第1の三元変換触媒コーティングが促進剤をさらに含むことが好ましく、促進剤は、より好ましくは、ジルコニウム、バリウム、ストロンチウム、ランタン、ネオジム、イットリウム、およびプラセオジムのうちの1つ以上を含み、促進剤は、より好ましくは、ジルコニウムおよびバリウムのうちの1つ以上を含み、促進剤は、より好ましくは、酸化バリウムと酸化ジルコニウムとの混合物およびバリウムとジルコニウムとの混合酸化物のうちの1つ以上を含む。
【0033】
第1の三元変換触媒コーティングは、第2の耐火金属酸化物に担持された白金族金属、より好ましくはロジウムと、酸素貯蔵成分に担持された白金族金属、より好ましくはパラジウムと、先に定義したように促進剤とを含み、より好ましくはこれらからなることが好ましい。
【0034】
第1の三元変換触媒コーティングの98~100重量%、より好ましくは99~100重量%、より好ましくは99.5~100重量%、より好ましくは99.9~100重量%は、第2の耐火金属酸化物に担持された白金族金属、好ましくはロジウムと、酸素貯蔵成分に担持された白金族金属、好ましくはパラジウムと、先に定義したように促進剤とからなることが好ましい。
【0035】
したがって、本発明は、好ましくは、ガソリンエンジンの排気ガス流を処理するための四元変換触媒であって、
入口端部と、出口端部と、入口端部と出口端部の間に延在する基材軸長さと、多孔質ウォールフローフィルタ基材の多孔質内壁により画定される複数の通路とを含む多孔質ウォールフローフィルタ基材を含み、複数の通路が、開放入口端部および閉鎖出口端部を有する入口通路と、閉鎖入口端部および開放出口端部を有する出口通路とを含み、通路と多孔質内壁との間の界面が、内壁の表面により画定されており、
多孔質内壁が、第1の耐火金属酸化物を含む酸化物成分を含む細孔を含み、該第1の耐火金属酸化物がアルミニウムを含み、該酸化物成分が、酸化物成分の総重量を基準として0~0.001重量%の範囲の白金族金属含有量を有し、触媒に含まれる酸化物成分の少なくとも90重量%、より好ましくは90~100重量%、より好ましくは95~100重量%が、多孔質内壁の細孔内にあり、
この触媒が、第1の三元変換触媒コーティングをさらに含み、その少なくとも10重量%が、内壁の細孔内に含まれ、該第1の三元変換触媒コーティングが、酸素貯蔵化合物と、第2の耐火金属酸化物に担持された白金族金属とを含み、
第1の三元変換触媒コーティングが、第2の耐火金属酸化物に担持された白金族金属、より好ましくはロジウムと、酸素貯蔵成分に担持された白金族金属、より好ましくはパラジウムと、先に定義したように促進剤とを含み、より好ましくはこれらからなり、
より好ましくは、酸化物成分の98~100重量%、より好ましくは99~100重量%が、第1の耐火金属酸化物、先に定義した通りのMg、Ca、Sr、およびBaのうちの1つ以上を含む酸化物、先に定義した通りのLa、Y、Nd、Ti、およびZrのうちの1つ以上を含む酸化物、より好ましくは、先に定義したように金属酸化物結合剤からなるか、または
より好ましくは、酸化物成分の98~100重量%、より好ましくは99~100重量%が、第1の耐火金属酸化物からなる、四元変換触媒に関する。
【0036】
本発明によると、触媒中、第1の三元変換触媒コーティングは、第2の耐火金属酸化物を充填量(l1)で含み、かつ酸素貯蔵化合物を充填量(l2)で含み、充填量(l1)対充填量(l2)の比は、3:1~1:6の範囲、より好ましくは2:1~1:5の範囲、より好ましくは1.5:1~1:4の範囲、より好ましくは1:1~1:3の範囲にあることが好ましい。
【0037】
触媒中、第1の三元変換触媒コーティングは、第2の耐火金属酸化物に担持された白金族金属を、0.035~7.063g/l(1~200g/ft)の範囲、より好ましくは0.106~6.357g/l(3~180g/ft)の範囲、より好ましくは0.141~5.297g/l(4~150g/ft)の範囲の充填量で含み、かつ第2の耐火金属酸化物を、6.10~183.07g/l(0.1~3g/in)の範囲、より好ましくは9.15~152.56g/l(0.15~2.5g/in)の範囲、より好ましくは12.20~122.05g/l(0.2~2g/in)の範囲の充填量で含むことが好ましい。
【0038】
触媒中、第1の三元変換触媒コーティングは、酸素貯蔵化合物に担持された白金族金属を、0.035~7.063g/l(1~200g/ft)の範囲、より好ましくは0.106~6.357g/l(3~180g/ft)の範囲、より好ましくは0.141~5.297g/l(4~150g/ft)の範囲の充填量で含み、かつ酸素貯蔵化合物を、6.10~183.07g/l(0.1~3g/in)の範囲、より好ましくは9.15~152.56g/l(0.15~2.5g/in)の範囲、より好ましくは12.20~122.05g/l(0.2~2g/in)の範囲の充填量で含むことが好ましい。
【0039】
触媒中、第1の三元変換触媒コーティングは、促進剤を、0.061~61.024g/l(0.001~1.0g/in)の範囲、より好ましくは0.305~30.512g/l(0.005~0.5g/in)、より好ましくは0.305~12.20g/l(0.005~0.2g/in)の範囲の充填量で含むことが好ましい。
【0040】
好ましくは、第1の三元変換触媒コーティングの10~100重量%は、内壁の細孔内に含まれる。
【0041】
好ましくは、第1の三元変換触媒コーティングの30~100重量%、より好ましくは50~100重量%、より好ましくは70~100重量%は、内壁の細孔内に含まれる。
【0042】
触媒は、第1の三元変換触媒コーティングを、30~250g/lの範囲、より好ましくは40~200g/lの範囲、より好ましくは50~170g/lの範囲の充填量で含むことが好ましい。
【0043】
本発明の第1の態様によると、酸化物成分を含む細孔は、入口端部から入口通路の出口端部に向かって基材軸長さのx%(xは、95~100の範囲にある)にわたり延在することが好ましい。あるいは、酸化物成分を含む細孔は、出口端部から出口通路の入口端部に向かって基材軸長さのx%(xは、95~100の範囲にある)にわたり延在することが好ましい。
【0044】
本発明の第1の態様によると、第1の三元変換触媒コーティングは、入口端部から入口通路の出口端部に向かって基材軸長さのy%(yは、20~xの範囲にある)にわたり延在することがより好ましい。
【0045】
本発明の第1の態様によると、第1の三元変換触媒コーティングは、入口端部から入口通路の出口端部に向かって基材軸長さのy%(yは、80~xの範囲、より好ましくは90~xの範囲にあり、より好ましくはyはxである)にわたり延在することがより好ましい。酸化物成分を含む細孔は、入口端部から入口通路の出口端部に向かって基材軸長さのx%(xは、95~100の範囲にある)にわたり延在し、第1の三元変換触媒コーティングは、入口端部から入口通路の出口端部に向かって基材軸長さのy%(yは、80~xの範囲、より好ましくは90~xの範囲にあり、より好ましくはyはxである)にわたり延在することがより好ましい。
【0046】
本発明の第1の態様によると、第1の三元変換触媒コーティングは、入口端部から入口通路の出口端部に向かって基材軸長さのy%(yは、20~70の範囲、より好ましくは40~60の範囲、より好ましくは45~55の範囲にある)にわたり延在することがより好ましい。
【0047】
あるいは、本発明の第1の態様によると、第1の三元変換触媒コーティングは、出口端部から出口通路の入口端部に向かって基材軸長さのy%(yは、20~xの範囲にある)にわたり延在することがより好ましい。第1の三元変換触媒コーティングは、出口端部から出口通路の入口端部に向かって基材軸長さのy%(yは、80~xの範囲、より好ましくは90~xの範囲にあり、より好ましくはyはxである)にわたり延在することがより好ましい。酸化物成分を含む細孔は、出口端部から出口通路の入口端部に向かって基材軸長さのx%(xは、95~100の範囲にある)にわたり延在し、第1の三元変換触媒コーティングは、出口端部から出口通路の入口端部に向かって基材軸長さのy%(yは、80~xの範囲、より好ましくは90~xの範囲にあり、より好ましくはyはxである)にわたり延在することがより好ましい。
【0048】
本発明の第1の態様によると、四元変換触媒の95~100重量%、より好ましくは98~100重量%、より好ましくは99~100重量%、より好ましくは99.5~100重量%、より好ましくは99.9~100重量%は、多孔質ウォールフローフィルタ基材、酸化物成分、および第1の三元変換触媒コーティングからなることが好ましい。
【0049】
本発明の第2の態様によると、酸化物成分を含む細孔は、入口端部から入口通路の出口端部に向かって基材軸長さのx%(xは、95~100の範囲にある)にわたり延在することが好ましい。あるいは、酸化物成分を含む細孔は、出口端部から出口通路の入口端部に向かって基材軸長さのx%(xは、95~100の範囲にある)にわたり延在することが好ましい。
【0050】
本発明の第2の態様によると、触媒は、第2の三元変換触媒コーティングをさらに含み、その少なくとも10重量%は、内壁の細孔内に含まれ、第2の三元変換触媒コーティングは、酸素貯蔵化合物と、耐火金属酸化物に担持された白金族金属とを含み、第2の三元変換触媒コーティングは、出口端部から出口通路の入口端部に向かって基材軸長さのz%(zは、20~xの範囲、より好ましくは20~70の範囲、より好ましくは40~60の範囲、より好ましくは45~55の範囲にある)にわたり延在することがより好ましい。
【0051】
本発明の第2の態様によると、第1の三元変換コーティングは、入口端部から入口通路の出口端部に向かって基材軸長さのy%(yは、20~70の範囲、より好ましくは40~60の範囲、より好ましくは45~55の範囲にある)にわたり延在し、第2の三元変換触媒コーティングは、出端部口から入口端部に向かって基材軸長さのz%(zは、20~70の範囲、より好ましくは40~60の範囲、より好ましくは45~55の範囲にある)にわたり延在することがより好ましい。
【0052】
第2の三元変換触媒コーティングに関して、これは、1つ以上の白金族金属、より好ましくは、ルテニウム、パラジウム、ロジウム、白金、およびイリジウムのうちの1つ以上、より好ましくは、パラジウム、ロジウム、および白金のうちの1つ以上、より好ましくは、パラジウムおよびロジウムのうちの1つ以上を含むことが好ましい。
【0053】
第2の三元変換触媒コーティングに含まれる酸素貯蔵化合物に関して、これは、セリウムを含むこと、より好ましくは、酸化セリウム、酸化セリウムを含む酸化物の混合物、およびセリウムを含む混合酸化物のうちの1つ以上を含むことが好ましく、セリウムを含む酸化物は、より好ましくは、ジルコニウム、イットリウム、ネオジム、ランタン、ハフニウム、サマリウム、およびプラセオジムのうちの1つ以上、より好ましくは、ジルコニウム、イットリウム、ネオジム、およびランタンのうちの1つ以上をさらに含む。
【0054】
第2の三元変換触媒コーティングに含まれる酸素貯蔵化合物に関して、これは、0.05~1.5ml/gの範囲、より好ましくは0.1~1.0ml/gの範囲、より好ましくは0.15~0.8ml/gの範囲の多孔率を有することが好ましく、多孔率は、参照例1に従って決定される。
【0055】
第2の三元変換触媒コーティングに含まれる酸素貯蔵化合物は、セリウム、ジルコニウム、イットリウム、ネオジム、およびランタンを含む混合酸化物を含むことが好ましい。より好ましくは、酸素貯蔵化合物の98~100重量%、より好ましくは99~100重量%、より好ましくは99.5~100重量%、より好ましくは99.9~100重量%は、セリウム、ジルコニウム、イットリウム、ネオジム、およびランタンを含む混合酸化物からなる。より好ましくは、酸素貯蔵化合物の20~60重量%、より好ましくは35~45重量%は、CeOとして計算されるセリウムからなり、より好ましくは、酸素貯蔵化合物の30~60重量%、より好ましくは40~50重量%は、ZrOとして計算されるジルコニウムからなる。あるいは、第2の三元変換触媒コーティングに含まれる酸素貯蔵化合物は、セリウム、ジルコニウム、イットリウム、およびランタンを含む混合酸化物を含むことが好ましい。より好ましくは、酸素貯蔵化合物の98~100重量%、より好ましくは99~100重量%、より好ましくは99.5~100重量%、より好ましくは99.9~100重量%は、セリウム、ジルコニウム、イットリウム、およびランタンを含む混合酸化物からなる。より好ましくは、酸素貯蔵化合物の20~60重量%、より好ましくは35~45重量%は、CeOとして計算されるセリウムからなり、より好ましくは、酸素貯蔵化合物の35~60重量%、より好ましくは45~55重量%は、ZrOとして計算されるジルコニウムからなる。
【0056】
第2の三元変換触媒コーティングは、酸素貯蔵成分に担持された白金族金属、より好ましくはパラジウムを含むことが好ましい。
【0057】
第2の三元変換触媒コーティングに含まれる耐火金属酸化物に関して、これは、アルミニウムを含むこと、より好ましくは、酸化アルミニウム、アルミニウムを含む酸化物の混合物、アルミニウムを含む混合酸化物のうちの1つ以上を含むことが好ましく、アルミニウムを含む混合酸化物は、より好ましくは、ジルコニウム、セリウム、ランタン、バリウム、およびネオジムのうちの1つ以上をさらに含む。第2の三元変換触媒コーティングに含まれる耐火金属酸化物は、酸化アルミニウム、より好ましくはガンマ酸化アルミニウムを含み、より好ましくはこれであることがより好ましい。
【0058】
第2の三元変換触媒コーティングに含まれる耐火金属酸化物は、0.05~1.5ml/gの範囲、より好ましくは0.1~1.0ml/gの範囲、より好ましくは0.15~0.8ml/gの範囲の多孔率を有することが好ましく、多孔率は、参照例1に従って決定される。
【0059】
第2の三元変換触媒コーティングに関して、これは、促進剤をさらに含むことが好ましく、促進剤は、より好ましくは、ジルコニウム、バリウム、ストロンチウム、ランタン、ネオジム、イットリウム、およびプラセオジムのうちの1つ以上を含み、促進剤は、より好ましくは、酸化バリウムと酸化ジルコニウムとの混合物およびバリウムとジルコニウムとの混合酸化物のうちの1つ以上を含む。
【0060】
本発明によると、第2の三元変換触媒コーティングは、耐火金属酸化物に担持された白金族金属、より好ましくはロジウムと、酸素貯蔵成分に担持された白金族金属、より好ましくはパラジウムと、先に定義したように促進剤とを含み、より好ましくはこれらからなることが好ましい。
【0061】
好ましくは、第2の三元変換触媒コーティングの98~100重量%、より好ましくは99~100重量%、より好ましくは99.5~100重量%、より好ましくは99.9~100重量%は、耐火金属酸化物に担持された白金族金属、より好ましくはロジウムと、酸素貯蔵成分に担持された白金族金属、より好ましくはパラジウムと、先に定義したように促進剤とからなる。
【0062】
したがって、本発明は、好ましくは、ガソリンエンジンの排気ガス流を処理するための四元変換触媒であって、
入口端部と、出口端部と、入口端部と出口端部の間に延在する基材軸長さと、多孔質ウォールフローフィルタ基材の多孔質内壁により画定される複数の通路とを含む多孔質ウォールフローフィルタ基材を含み、複数の通路が、開放入口端部および閉鎖出口端部を有する入口通路と、閉鎖入口端部および開放出口端部を有する出口通路とを含み、通路と多孔質内壁との間の界面が、内壁の表面により画定されており、
多孔質内壁が、第1の耐火金属酸化物を含む酸化物成分を含む細孔を含み、該第1の耐火金属酸化物がアルミニウムを含み、該酸化物成分が、酸化物成分の総重量を基準として0~0.001重量%の範囲の白金族金属含有量を有し、触媒に含まれる酸化物成分の少なくとも90重量%が、多孔質内壁の細孔内にあり、酸化物成分を含む細孔が、入口端部から入口通路の出口端部に向かってまたは出口端部から出口通路の入口端部に向かって基材軸長さのx%(xは、95~100の範囲にある)にわたり延在し、
この触媒が、第1の三元変換触媒コーティングをさらに含み、その少なくとも10重量%が、内壁の細孔内に含まれ、該第1の三元変換触媒コーティングが、酸素貯蔵化合物と、第2の耐火金属酸化物に担持された白金族金属とを含み、
第1の三元変換触媒コーティングが、第2の耐火金属酸化物に担持された白金族金属、より好ましくはロジウムと、酸素貯蔵成分に担持された白金族金属、より好ましくはパラジウムと、先に定義したように促進剤とを含み、より好ましくはこれらからなり、第1の三元変換コーティングが、入口端部から入口通路の出口端部に向かって基材軸長さのy%(yは、45~55の範囲にある)にわたり延在し、
この触媒が、第2の三元変換触媒コーティングをさらに含み、その少なくとも10重量%が、内壁の細孔内に含まれ、第2の三元変換触媒コーティングが、酸素貯蔵化合物と、耐火金属酸化物に担持された白金族金属とを含み、第2の三元変換触媒コーティングが、出口端部から出口通路の入口端部に向かって基材軸長さのz%(zは、20~xの範囲、より好ましくは45~55の範囲にある)にわたり延在し、
第2の三元変換触媒コーティングが、耐火金属酸化物に担持された白金族金属、より好ましくはロジウムと、酸素貯蔵成分に担持された白金族金属、より好ましくはパラジウムと、先に定義したように促進剤とを含み、より好ましくはこれらからなる、四元変換触媒に関する。
【0063】
本発明によると、触媒中、第2の三元変換触媒コーティングは、耐火金属酸化物を充填量(l1’)で含み、かつ酸素貯蔵化合物を充填量(l2’)で含み、充填量(l1’)対充填量(l2’)の比は、3:1~1:6の範囲、より好ましくは2:1~1:5の範囲、より好ましくは1.5:1~1:4の範囲、より好ましくは1:1~1:3の範囲にあることが好ましい。
【0064】
触媒中、第2の三元変換触媒コーティングは、耐火金属酸化物に担持された白金族金属を、0.035~7.063g/l(1~200g/ft)の範囲、より好ましくは0.106~6.357g/l(3~180g/ft)の範囲、より好ましくは0.141~5.297g/l(4~150g/ft)の範囲の充填量で含み、かつ耐火金属酸化物を、6.10~183.07g/l(0.1~3g/in)の範囲、より好ましくは9.15~152.56g/l(0.15~2.5g/in)の範囲、より好ましくは12.20~122.05g/l(0.2~2g/in)の範囲の充填量で含むことが好ましい。
【0065】
触媒中、第2の三元変換触媒コーティングは、酸素貯蔵化合物に担持された白金族金属を、0.035~7.063g/l(1~200g/ft)の範囲、より好ましくは0.106~6.357g/l(3~180g/ft)の範囲、より好ましくは0.141~5.297g/l(4~150g/ft)の範囲の充填量で含み、かつ酸素貯蔵化合物を、6.10~183.07g/l(0.1~3g/in)の範囲、より好ましくは9.15~152.56g/l(0.15~2.5g/in)の範囲、より好ましくは12.20~122.05g/l(0.2~2g/in)の範囲の充填量で含むことが好ましい。
【0066】
触媒中、第2の三元変換触媒コーティングは、促進剤を、0.061~61.024g/l(0.001~1.0g/in)の範囲、より好ましくは0.305~30.512g/l(0.005~0.5g/in)、より好ましくは0.305~12.20g/l(0.005~0.2g/in)の範囲の充填量で含むことが好ましい。
【0067】
第2の三元変換触媒コーティングの10~100重量%は、内壁の細孔内に含まれることが好ましい。
【0068】
より好ましくは、第2の三元変換触媒コーティングの30~100重量%、より好ましくは50~100重量%、より好ましくは70~100重量%は、内壁の細孔内に含まれる。
【0069】
触媒は、第2の三元変換触媒コーティングを、30~250g/lの範囲、より好ましくは40~200g/lの範囲、より好ましくは50~170g/lの範囲の充填量で含むことが好ましい。
【0070】
触媒は、第1の三元変換触媒コーティングを充填量(L1)で含み、かつ第2の三元変換触媒コーティングを充填量(L2)で含み、(L1):(L2)の比は、1:3~3:1の範囲、より好ましくは1:2~2:1の範囲、より好ましくは1:1.1~1.1:1の範囲にあることが好ましい。
【0071】
好ましくは、四元変換触媒の95~100重量%、より好ましくは98~100重量%、より好ましくは99~100重量%、より好ましくは99.5~100重量%、より好ましくは99.9~100重量%は、多孔質ウォールフローフィルタ基材、酸化物成分、第1の三元変換触媒コーティング、および第2の三元変換触媒コーティングからなる。
【0072】
本発明によると、第1の三元変換触媒コーティングおよび第2の三元変換触媒コーティングは、同じ化学組成を有することが好ましい。
【0073】
多孔質ウォールフローフィルタ基材に関して、これは、セラミック物質を含み、より好ましくはこれからなることが好ましく、セラミック物質は、シリカ、ケイ酸塩、アルミノケイ酸塩のうちの1つ以上、より好ましくは、コーディエライトまたはムライト、チタン酸アルミニウム、および炭化ケイ素のうちの1つ以上、より好ましくは、炭化ケイ素およびコーディエライトのうちの1つ以上、より好ましくはコーディエライトを含み、より好ましくはこれからなる。
【0074】
先に定義したように、酸化物成分と、少なくとも10重量%の第1の三元変換触媒コーティングと、任意選択的に少なくとも10重量%の第2の三元変換触媒コーティングとを含む多孔質内壁は、20~75%の範囲、より好ましくは50~75%の範囲、より好ましくは55~70%の範囲、より好ましくは60~65%の範囲の相対平均多孔率を有することが好ましく、相対平均多孔率は、酸化物成分と該三元触媒コーティングとを含まない多孔質内壁の平均多孔率に対する、先に定義したように、酸化物成分と、少なくとも10重量%の第1の三元変換触媒コーティングと、任意選択的に少なくとも10重量%の第2の三元変換触媒コーティングとを含む多孔質内壁の平均多孔率として定義され、平均多孔率は、参照例3に従って決定される。
【0075】
本発明は、本発明による四元変換触媒を調製するためのプロセスであって、
(i)入口端部と、出口端部と、入口端部と出口端部の間に延在する基材軸長さと、多孔質ウォールフローフィルタ基材の多孔質内壁により画定される複数の通路とを含む多孔質ウォールフローフィルタ基材であって、複数の通路が、開放入口端部および閉鎖出口端部を有する入口通路と、閉鎖入口端部および開放出口端部を有する出口通路とを含み、通路と多孔質内壁との間の界面が、内壁の表面により画定されており、内壁が、10~30マイクロメートルの範囲の平均細孔径を有し、平均細孔径が、参照例3に従って決定され、かつ内壁の平均多孔率が、25~75%の範囲にあり、平均多孔率が、参照例3に従って決定される、多孔質ウォールフローフィルタ基材を提供することと、
(ii)酸化物成分の供給源の粒子を含むスラリーであって、該粒子が0.005~20マイクロメートルの範囲のDv90値を有し、Dv90値が参照例4に従って決定される、スラリーを提供し、(i)で提供された多孔質ウォールフローフィルタ基材の多孔質内壁をスラリーの粒子でコーティングし、得られたコーティングされたフィルタ基材をか焼し、酸化物成分を含むフィルタ基材を得ることと、
(iii)第1の三元変換触媒コーティングの供給源の粒子を含むスラリーであって、該粒子が2~25マイクロメートルの範囲のDv90値を有し、Dv90値が参照例4に従って決定される、スラリーを提供し、(ii)で得られた多孔質ウォールフローフィルタ基材の多孔質内壁をスラリーの粒子でコーティングし、得られたコーティングされたフィルタ基材をか焼し、酸化物成分および第1の三元変換触媒コーティングを含むフィルタ基材を得ることと、を含む、プロセスにさらに関する。
【0076】
(i)に関して、内壁は、好ましくは、10~25マイクロメートルの範囲、より好ましくは16~21マイクロメートルの範囲の平均細孔径を有し、平均細孔径は、参照例3に従って決定される。
【0077】
(i)に関して、内壁の平均多孔率は、好ましくは、50~75%の範囲、より好ましくは55~70%の範囲、より好ましくは60~70%の範囲にあり、平均多孔率は、参照例3に従って決定される。
【0078】
(i)に関して、粒子は、好ましくは、0.005~19マイクロメートルの範囲、より好ましくは0.005~1マイクロメートルの範囲、またはより好ましくは2~6マイクロメートルの範囲、またはより好ましくは17~19マイクロメートルの範囲のDv90値を有し、Dv90値は、参照例4に従って決定される。(i)に関して、粒子は、0.005~0.5マイクロメートルの範囲または2.5~5マイクロメートルの範囲のDv90値を有することがより好ましく、Dv90値は、参照例4に従って決定される。
【0079】
(ii)で提供されたスラリーは、10~50重量%の範囲、より好ましくは14~45重量%の範囲の固形分を有することが好ましい。
【0080】
(iii)に関して、粒子は、好ましくは、3~20マイクロメートルの範囲、より好ましくは4~18マイクロメートルの範囲のDv90値を有し、Dv90値は、参照例4に従って決定される。
【0081】
(iii)で提供されたスラリーは、参照例5に記載されるように300s-1のせん断速度で、5~35mPa・sの範囲、より好ましくは10~30mPa・sの範囲、より好ましくは12~28mPa・sの範囲の粘度を有することが好ましい。
【0082】
(ii)に関して、これは、以下のことを含むことが好ましい:
(ii.1)アルミニウムを含む第1の耐火金属酸化物の供給源の粒子、水を、より好ましくは、Mg、Ca、Sr、およびBaのうちの1つ以上を含む酸化物の供給源、ならびにLa、Y、Nd、Ti、およびZrのうちの1つ以上を含む酸化物の供給源のうちの1つ以上とともに提供し、より好ましくは、アルコール、酸、および金属酸化物結合剤のうちの1つ以上をさらに提供し、スラリーを形成すること、
(ii.2)(ii.1)で得られたスラリーの水相のpHを、2~5の範囲、より好ましくは3~4の範囲の値に調整すること、
(ii.3)(ii.2)で得られたスラリーを粉砕して、参照例4に従って決定される2~6マイクロメートルの範囲または17~19マイクロメートルの範囲のDv90値を有する粒子を得て、酸化物成分の供給源の粒子を含むスラリーを得ること、
(ii.4)(i)で提供された多孔質ウォールフローフィルタ基材の多孔質内壁を、(ii.3)で得られたスラリーの粒子で、入口端部から入口通路の出口端部へとまたは出口端部から出口通路の入口端部へと基材軸長さのx%(xは、95~100の範囲にある)にわたりコーティングして、スラリー処理されたウォールフローフィルタ基材を得ること、
(ii.5)任意選択的に、(ii.4)で得られたスラリー処理されたウォールフローフィルタ基材を乾燥させ、乾燥したスラリー処理されたウォールフローフィルタ基材を得ること、
(ii.6)(ii.4)で得られたスラリー処理されたウォールフローフィルタ基材または(ii.5)で得られた乾燥したスラリー処理されたウォールフローフィルタ基材をか焼すること。
【0083】
(ii.1)によると、第1の耐火金属酸化物は、アルミナ、より好ましくはガンマアルミナを好ましくは含み、より好ましくはこれからなる。
【0084】
(ii.1)によると、Mg、Ca、Sr、およびBaのうちの1つ以上を含む酸化物の供給源は、好ましくは、Mg、Ca、Sr、およびBaのうちの1つ以上の塩、より好ましくは、Mg、Ca、およびBaのうちの1つ以上の塩、より好ましくは、MgおよびBaのうちの1つ以上の塩を含み、Mg、Ca、Sr、およびBaのうちの1つ以上を含む酸化物の供給源は、より好ましくはBaの塩を含み、より好ましくはこれである。Mg、Ca、Sr、およびBaのうちの1つ以上を含む酸化物の供給源は、硝酸バリウムを含み、より好ましくはこれであることがより好ましい。
【0085】
(ii.1)によると、La、Y、Nd、Ti、およびZrのうちの1つ以上を含む酸化物の供給源は、好ましくは、La、Y、Nd、Ti、およびZrのうちの1つ以上の塩、より好ましくは、TiおよびZrの塩を含み、La、Y、Nd、Ti、およびZrのうちの1つ以上を含む酸化物の供給源は、より好ましくはZrの塩を含み、より好ましくはこれである。La、Y、Nd、Ti、およびZrのうちの1つ以上を含む酸化物の供給源は、硝酸ジルコニウムを含み、より好ましくはこれであることがより好ましい。
【0086】
あるいは、(ii)に関して、これは、以下のことを含むことが好ましい:
(ii.1’)アルミニウム、より好ましくはベーマイトを含む第1の耐火金属酸化物の供給源の粒子と、水と、より好ましくはアルコールおよび酸のうちの1つ以上とを提供し、スラリーを形成すること、該粒子は、より好ましくは、0.005~5マイクロメートルの範囲、より好ましくは0.005~0.5マイクロメートルの範囲のDv90値を有し、Dv90値は、参照例4に従って決定される、
(ii.2’)(ii.1’)で得られたスラリーの水相のpHを、2~5の範囲、より好ましくは3~4の範囲の値に調整すること、
(ii.3’)(ii.2’)で得られたスラリーを粉砕してスラリーを均質化し、酸化物成分の供給源の粒子を含むスラリーを得ること、
(ii.4’)(i)で提供された多孔質ウォールフローフィルタ基材の多孔質内壁を、(ii.3)で得られたスラリーの粒子で、入口端部から入口通路の出口端部へとまたは出口端部から出口通路の入口端部へと基材軸長さのx%(xは、95~100の範囲にある)にわたりコーティングして、スラリー処理されたウォールフローフィルタ基材を得ること、
(ii.5’)任意選択的に、(ii.4’)で得られたスラリー処理されたウォールフローフィルタ基材を乾燥させ、乾燥したスラリー処理されたウォールフローフィルタ基材を得ること、
(ii.6’)(ii.4’)で得られたスラリー処理されたウォールフローフィルタ基材または(ii.5’)で得られた乾燥したスラリー処理されたウォールフローフィルタ基材をか焼すること。
【0087】
(ii.4)または(ii.4’)によるコーティングを、真空でスラリーを塗布することによりまたは基材を浸漬することにより、より好ましくは基材を浸漬することにより実施することが好ましい。
【0088】
(ii.5)または(ii.5’)による乾燥に関して、これを、より好ましくは酸素を含む、90~200℃の範囲、より好ましくは100~180℃の範囲の温度を有するガス雰囲気で実施することが好ましい。
【0089】
(ii.5)または(ii.5’)による乾燥に関して、これを、より好ましくは酸素を含むガス雰囲気で、10分~1時間の範囲、より好ましくは10分~30分の範囲の期間にわたり実施することが好ましい。(ii.5)または(ii.5’)による乾燥に関して、これを、100~180℃の範囲の温度を有するガス雰囲気で、10~30分の範囲の期間にわたり実施することがより好ましい。
【0090】
(ii.6)または(ii.6’)によるか焼に関して、これを、より好ましくは酸素を含む、300~600℃の範囲、より好ましくは400~500℃の範囲の温度を有するガス雰囲気で実施することが好ましい。
【0091】
(ii.6)または(ii.6’)によるか焼に関して、これを、より好ましくは酸素を含むガス雰囲気で、10分~6時間の範囲、より好ましくは1~6時間の範囲、より好ましくは2~4時間の範囲の期間にわたり実施することが好ましい。(ii.6)または(ii.6’)によるか焼に関して、これを、400~500℃の範囲の温度を有するガス雰囲気で、2~4時間の範囲の期間にわたり実施することがより好ましい。
【0092】
(iii)に関して、これは、以下のことを含むことが好ましい:
(iii.1)白金族金属の供給源を耐火金属酸化物に含浸させること、
耐火金属酸化物に担持された白金族金属と補助剤および促進剤供給源のうちの1つ以上とを混合して、スラリーを得ること、
得られたスラリーを粉砕して、スラリーを得ること、該スラリーに含まれる粒子は、3~20マイクロメートルの範囲、より好ましくは4~18マイクロメートルの範囲のDv90値を有し、Dv90値は、参照例4に従って決定される、
(iii.2)白金族金属の供給源を酸素貯蔵化合物に含浸させること、
酸素貯蔵化合物に担持された白金族金属と補助剤および促進剤供給源のうちの1つ以上とを混合して、スラリーを得ること、
得られたスラリーを粉砕して、スラリーを得ること、該スラリーに含まれる粒子は、3~20マイクロメートルの範囲、より好ましくは4~18マイクロメートルの範囲のDv90値を有し、Dv90値は、参照例4に従って決定される、
(iii.3)(iii.1)で得られたスラリーと(iii.2)で得られたスラリーとを混合し、第1の三元変換触媒コーティングの供給源の粒子を含むスラリーを得ること、
(iii.4)(ii)で得られた多孔質ウォールフローフィルタ基材の多孔質内壁を、(iii.3)で得られたスラリーの粒子で、入口端部から入口通路の出口端部へとまたは出口端部から出口通路の入口端部へと基材軸長さのy%(yは、20~xの範囲にある)にわたりコーティングして、スラリー処理されたウォールフローフィルタ基材を得ること、
(iii.5)任意選択的に、(iii.4)で得られたスラリー処理されたウォールフローフィルタ基材を乾燥させ、乾燥したスラリー処理されたウォールフローフィルタ基材を得ること、
(iii.6)(iii.4)で得られたスラリー処理されたウォールフローフィルタ基材または(iii.5)で得られた乾燥したスラリー処理されたウォールフローフィルタ基材をか焼すること。
【0093】
(iii.1)によると、白金族金属は、ルテニウム、パラジウム、ロジウム、白金、およびイリジウムのうちの1つ以上、より好ましくは、パラジウム、ロジウム、および白金のうちの1つ以上、より好ましくは、パラジウムおよびロジウムのうちの1つ以上、より好ましくはロジウムであることが好ましい。白金族金属の供給源は、白金族金属の塩を含むこと、より好ましくは白金族金属の硝酸塩を含むことがより好ましい。
【0094】
(iii.1)によると、耐火金属酸化物は、アルミニウムを含むこと、より好ましくは、酸化アルミニウム、酸化アルミニウムを含む酸化物の混合物、およびアルミニウムを含む混合酸化物のうちの1つ以上を含むことが好ましい。アルミニウムを含む混合酸化物は、ジルコニウム、セリウム、ランタン、バリウム、およびネオジムのうちの1つ以上をさらに含むことがより好ましい。(iii.1)によると、耐火金属酸化物担体は、酸化アルミニウム、より好ましくはガンマ酸化アルミニウムを含み、より好ましくはこれであることがより好ましい。
【0095】
(iii.1)によると、耐火金属酸化物に担持された白金族金属と補助剤および促進剤供給源のうちの1つ以上とを混合する前に、白金族金属の供給源を含浸させた耐火金属酸化物を、より好ましくは酸素を含む、250~600℃の範囲、より好ましくは300~450℃の範囲の温度を有することがより好ましいガス雰囲気でか焼することが好ましい。
【0096】
(iii.1)によると、補助剤は、水、ポリアクリレート、メチルセルロース、およびアルコールのうちの1つ以上、より好ましくは、水およびアルコールのうちの1つ以上、より好ましくは水およびアルコールであることが好ましい。
【0097】
(iii.1)によると、促進剤の供給源は、ジルコニウムを含む促進剤、バリウムを含む促進剤、ストロンチウムを含む促進剤、ランタンを含む促進剤、ネオジムを含む促進剤、イットリウムを含む促進剤、プラセオジムを含む促進剤のうちの1つ以上、より好ましくは、ジルコニウムを含む促進剤およびバリウムを含む促進剤のうちの1つ以上の供給源であることが好ましい。促進剤の供給源は、ジルコニウムを含む促進剤およびバリウムを含む促進剤の供給源であることがより好ましい。
【0098】
(iii.1)によると、促進剤の供給源は、各促進剤元素の塩、より好ましくは硝酸塩、より好ましくは硝酸ジルコニウムおよび硝酸バリウムを含むことが好ましい。
【0099】
(iii.2)によると、白金族金属は、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、白金、およびイリジウムのうちの1つ以上、より好ましくは、パラジウム、ロジウム、および白金のうちの1つ以上、より好ましくは、パラジウムおよびロジウムのうちの1つ以上、より好ましくはパラジウムであることが好ましい。白金族金属の供給源は、白金族金属の塩を含むこと、より好ましくは白金族金属の硝酸塩を含むことがより好ましい。
【0100】
(iii.2)によると、酸素貯蔵化合物は、セリウムを含むこと、より好ましくは、酸化セリウム、酸化セリウムを含む酸化物の混合物、およびセリウムを含む混合酸化物のうちの1つ以上を含むことが好ましい。セリウムを含む混合酸化物は、ジルコニウム、イットリウム、ネオジム、ランタン、ハフニウム、サマリウム、およびプラセオジムのうちの1つ以上をさらに含むこと、より好ましくは、ジルコニウム、イットリウム、ネオジム、およびランタンのうちの1つ以上をさらに含むか、またはより好ましくは、ジルコニウム、イットリウム、およびランタンをさらに含むことがより好ましい。(iii.2)によると、酸素貯蔵化合物は、セリウム、ジルコニウム、イットリウム、ネオジム、およびランタンの混合酸化物、またはセリウム、ジルコニウム、イットリウム、およびランタンの混合酸化物を含むことがより好ましい。
【0101】
(iii.2)によると、酸素貯蔵化合物に担持された白金族金属と補助剤および促進剤供給源のうちの1つ以上とを混合する前に、白金族金属の供給源を含浸させた酸素貯蔵化合物を、好ましくは酸素を含む、250~600℃の範囲、より好ましくは300~450℃の範囲の温度を有することがより好ましいガス雰囲気でか焼することが好ましい。
【0102】
(iii.2)によると、補助剤は、水、ポリアクリレート、メチルセルロース、およびアルコールのうちの1つ以上、より好ましくは、水およびアルコールのうちの1つ以上、より好ましくは水およびアルコールであることが好ましい。
【0103】
(iii.2)によると、促進剤の供給源は、ジルコニウムを含む促進剤、バリウムを含む促進剤、ストロンチウムを含む促進剤、ランタンを含む促進剤、ネオジムを含む促進剤、イットリウムを含む促進剤、プラセオジムを含む促進剤のうちの1つ以上、より好ましくは、ジルコニウムを含む促進剤およびバリウムを含む促進剤のうちの1つ以上の供給源であることが好ましい。促進剤の供給源は、ジルコニウムを含む促進剤およびバリウムを含む促進剤の供給源であることがより好ましい。
【0104】
(iii.2)によると、促進剤の供給源は、各促進剤元素の塩、より好ましくは硝酸塩、より好ましくは硝酸ジルコニウムおよび硝酸バリウムを含むことがより好ましい。
【0105】
(iii.4)によるコーティングを、真空でスラリーを塗布することによりまたは基材を浸漬することにより、より好ましくは基材を浸漬することにより実施することが好ましい。
【0106】
(iii.5)による乾燥に関して、これを、より好ましくは酸素を含む、90~200℃の範囲、より好ましくは100~180℃の範囲の温度を有するガス雰囲気で実施することが好ましい。
【0107】
(iii.5)による乾燥に関して、これを、より好ましくは酸素を含むガス雰囲気で、10分~1時間の範囲、より好ましくは10分~30分の範囲の期間にわたり実施することが好ましい。(iii.5)による乾燥に関して、これを、100~180℃の範囲の温度を有するガス雰囲気で、10~30分の範囲の期間にわたり実施することがより好ましい。
【0108】
(iii.6)によるか焼に関して、これを、より好ましくは酸素を含む、300~600℃の範囲、より好ましくは400~500℃の範囲の温度を有するガス雰囲気で実施することが好ましい。
【0109】
(iii.6)によるか焼に関して、これを、より好ましくは酸素を含むガス雰囲気で、10分~6時間の範囲、より好ましくは1~6時間の範囲、より好ましくは2~4時間の範囲の期間にわたり実施することが好ましい。(iii.6)によるか焼に関して、これを、400~500℃の範囲の温度を有するガス雰囲気で、2~4時間の範囲の期間にわたり実施することがより好ましい。
【0110】
(ii.4)または(ii.4’)によると、(i)で提供された多孔質ウォールフローフィルタ基材の多孔質内壁のコーティングは、入口端部から入口通路の出口端部へと基材軸長さのx%(xは、95~100の範囲にある)にわたり存在することが好ましく、また(iii.4)によると、(ii)で得られた多孔質ウォールフローフィルタ基材の多孔質内壁のコーティングは、入口端部から入口通路の出口端部へと基材軸長さのy%(yは、20~xの範囲、より好ましくは80~xの範囲、より好ましくは90~xの範囲にある)にわたり存在するか、あるいは、yが、入口端部から入口通路の出口端部へと、20~70の範囲、より好ましくは40~60の範囲、より好ましくは45~55の範囲にあることが好ましい。
【0111】
(ii.4)または(ii.4’)によると、(i)で提供された多孔質ウォールフローフィルタ基材の多孔質内壁のコーティングは、出口端部から出口通路の入口端部へと基材軸長さのx%(xは、95~100の範囲にある)にわたり存在することが好ましく、また(iii.4)によると、(ii)で得られた多孔質ウォールフローフィルタ基材の多孔質内壁のコーティングは、出口端部から出口通路の入口端部へと基材軸長さのy%(yは、20~xの範囲、より好ましくは80~xの範囲、より好ましくは90~xの範囲にある)にわたり存在することが好ましい。
【0112】
本発明の第1の態様によると、四元変換触媒を調製するためのプロセスは、(i)、(ii)、および(iii)からなることが好ましい。
【0113】
本発明の第2の態様によると、このプロセスは、好ましくは、以下のことをさらに含む:
(iv)第2の三元変換触媒コーティングの供給源の粒子を含むスラリーであって、該粒子が2~25マイクロメートルの範囲のDv90値を有し、Dv90値が参照例4に従って決定される、スラリーを提供し、(iii)で得られた多孔質ウォールフローフィルタ基材の多孔質内壁を、スラリーの粒子で、出口端部から出口通路の入口端部へと基材軸長さのz%(zは、20~xの範囲、より好ましくは20~70の範囲、より好ましくは40~60の範囲、より好ましくは45~55の範囲にある)にわたりコーティングし、得られたコーティングされたフィルタ基材をか焼し、酸化物成分と、第1の三元変換触媒コーティングと、第2の三元変換触媒コーティングとを含むフィルタ基材を得ること。
【0114】
(ii.4)または(ii.4’)によると、(i)で提供された多孔質ウォールフローフィルタ基材の多孔質内壁のコーティングは、入口端部から入口通路の出口端部へとまたは出口端部から出口通路の入口端部へと基材軸長さのx%(xは、95~100の範囲にある)にわたり存在し、スラリー処理されたウォールフローフィルタ基材を得ることがより好ましい。
【0115】
(iii.4)によると、(ii)で得られた多孔質ウォールフローフィルタ基材の多孔質内壁のコーティングは、入口端部から入口通路の出口端部へと基材軸長さのy%(yは、20~70の範囲、より好ましくは40~60の範囲、より好ましくは45~55の範囲にある)にわたり存在することがより好ましい。
【0116】
(iv)に関して、これは、以下のことを含むことが好ましい:
(iv.1)白金族金属の供給源を耐火金属酸化物に含浸させること、
耐火金属酸化物担体に担持された白金族金属と補助剤および促進剤供給源のうちの1つ以上とを混合して、スラリーを得ること、
得られたスラリーを粉砕して、スラリーを得ること、該スラリーに含まれる粒子は、3~20マイクロメートルの範囲、より好ましくは4~18マイクロメートルの範囲のDv90値を有し、Dv90値は、参照例4に従って決定される、
(iv.2)白金族金属の供給源を酸素貯蔵化合物に含浸させること、
酸素貯蔵化合物に担持された白金族金属と補助剤および促進剤供給源のうちの1つ以上とを混合して、スラリーを得ること、
得られたスラリーを粉砕して、スラリーを得ること、該スラリーに含まれる粒子は、3~20マイクロメートルの範囲、より好ましくは4~18マイクロメートルの範囲のDv90値を有し、Dv90値は、参照例4に従って決定される、
(iv.3)(iv.1)で得られたスラリーと(iv.2)で得られたスラリーとを混合し、第2の三元変換触媒コーティングの供給源を含むスラリーを得ること、
(iv.4)(iii)で得られた多孔質ウォールフローフィルタ基材の多孔質内壁を、(iv.3)で得られたスラリーの粒子で、出口端部から出口通路の入口端部へと基材軸長さのz%(zは、20~70の範囲、より好ましくは40~60の範囲、より好ましくは45~55の範囲にある)にわたりコーティングし、スラリー処理されたウォールフローフィルタ基材を得ること、
(iv.5)任意選択的に、(iv.4)で得られたスラリー処理されたウォールフローフィルタ基材を乾燥させ、乾燥したスラリー処理されたウォールフローフィルタ基材を得ること、
(iv.6)(iv.4)で得られたスラリー処理されたウォールフローフィルタ基材または(iv.5)で得られた乾燥したスラリー処理されたウォールフローフィルタ基材をか焼すること。
【0117】
(iv.1)によると、白金族金属は、ルテニウム、パラジウム、ロジウム、白金、およびイリジウムのうちの1つ以上、より好ましくは、パラジウム、ロジウム、および白金のうちの1つ以上、より好ましくは、パラジウムおよびロジウムのうちの1つ以上、より好ましくはロジウムであることが好ましい。白金族金属の供給源は、白金族金属の塩を含むこと、より好ましくは白金族金属の硝酸塩を含むことがより好ましい。
【0118】
(iv.1)によると、耐火金属酸化物は、アルミニウムを含むこと、より好ましくは、酸化アルミニウム、酸化アルミニウムを含む酸化物の混合物、およびアルミニウムを含む混合酸化物のうちの1つ以上を含むことが好ましい。アルミニウムを含む混合酸化物は、ジルコニウム、セリウム、ランタン、バリウム、およびネオジムのうちの1つ以上をさらに含むことがより好ましい。(iv.1)によると、耐火金属酸化物担体は、酸化アルミニウム、より好ましくはガンマ酸化アルミニウムを含み、より好ましくはこれであることが好ましい。
【0119】
(iv.1)によると、耐火金属酸化物に担持された白金族金属と補助剤および促進剤供給源のうちの1つ以上とを混合する前に、白金族金属の供給源を含浸させた耐火金属酸化物を、より好ましくは酸素を含む、250~600℃の範囲、より好ましくは300~450℃の範囲の温度を有することがより好ましいガス雰囲気でか焼することが好ましい。
【0120】
(iv.1)によると、補助剤は、水、ポリアクリレート、メチルセルロース、およびアルコールのうちの1つ以上、より好ましくは、水およびアルコールのうちの1つ以上、より好ましくは水およびアルコールであることが好ましい。
【0121】
(iv.1)によると、促進剤の供給源は、ジルコニウムを含む促進剤、バリウムを含む促進剤、ストロンチウムを含む促進剤、ランタンを含む促進剤、ネオジムを含む促進剤、イットリウムを含む促進剤、プラセオジムを含む促進剤のうちの1つ以上、より好ましくは、ジルコニウムを含む促進剤およびバリウムを含む促進剤のうちの1つ以上の供給源であることが好ましい。促進剤の供給源は、ジルコニウムを含む促進剤およびバリウムを含む促進剤の供給源であることがより好ましい。
【0122】
(iv.1)によると、促進剤の供給源は、各促進剤元素の塩、より好ましくは硝酸塩、より好ましくは硝酸ジルコニウムおよび硝酸バリウムを含むことがより好ましい。
【0123】
(iv.2)によると、白金族金属は、ルテニウム、パラジウム、ロジウム、白金、およびイリジウムのうちの1つ以上、より好ましくは、パラジウム、ロジウム、および白金のうちの1つ以上、より好ましくは、パラジウムおよびロジウムのうちの1つ以上、より好ましくはパラジウムであることが好ましい。白金族金属の供給源は、好ましくは白金族金属の塩を含むこと、より好ましくは白金族金属の硝酸塩を含むことがより好ましい。
【0124】
(iv.2)によると、酸素貯蔵化合物は、セリウムを含むこと、より好ましくは、酸化セリウム、酸化セリウムを含む酸化物の混合物、およびセリウムを含む混合酸化物のうちの1つ以上を含むことが好ましい。セリウムを含む混合酸化物は、ジルコニウム、イットリウム、ネオジム、ランタン、ハフニウム、サマリウム、およびプラセオジムのうちの1つ以上をさらに含むこと、より好ましくは、ジルコニウム、イットリウム、ネオジム、およびランタンのうちの1つ以上をさらに含むか、またはより好ましくは、ジルコニウム、イットリウム、およびランタンをさらに含むことがより好ましい。(iv.2)によると、酸素貯蔵化合物は、セリウム、ジルコニウム、イットリウム、ネオジム、およびランタンの混合酸化物、またはセリウム、ジルコニウム、イットリウム、およびランタンの混合酸化物を含むことが好ましい。
【0125】
(iv.2)によると、酸素貯蔵化合物に担持された白金族金属と補助剤および促進剤供給源のうちの1つ以上とを混合する前に、白金族金属の供給源を含浸させた酸素貯蔵化合物を、より好ましくは酸素を含む、250~600℃の範囲、より好ましくは300~450℃の範囲の温度を有することがより好ましいガス雰囲気でか焼することが好ましい。
【0126】
(iv.2)によると、補助剤は、水、ポリアクリレート、メチルセルロース、およびアルコールのうちの1つ以上、より好ましくは、水およびアルコールのうちの1つ以上、より好ましくは水およびアルコールであることが好ましい。
【0127】
(iv.2)によると、促進剤の供給源は、ジルコニウムを含む促進剤、バリウムを含む促進剤、ストロンチウムを含む促進剤、ランタンを含む促進剤、ネオジムを含む促進剤、イットリウムを含む促進剤、プラセオジムを含む促進剤のうちの1つ以上、より好ましくは、ジルコニウムを含む促進剤およびバリウムを含む促進剤のうちの1つ以上、より好ましくは、ジルコニウムを含む促進剤およびバリウムを含む促進剤の供給源であることが好ましい。
【0128】
(iv.2)によると、促進剤の供給源は、各促進剤元素の塩、より好ましくは硝酸塩、より好ましくは硝酸ジルコニウムおよび硝酸バリウムを含むことが好ましい。
【0129】
(iv.4)によるコーティングを、真空でスラリーを塗布することによりまたは基材を浸漬することにより、より好ましくは基材を浸漬することにより実施することが好ましい。
【0130】
(iv.5)による乾燥に関して、これを、より好ましくは酸素を含む、90~200℃の範囲、より好ましくは100~180℃の範囲の温度を有するガス雰囲気で実施することが好ましい。
【0131】
(iv.5)による乾燥に関して、これを、より好ましくは酸素を含むガス雰囲気で、10分~1時間の範囲、より好ましくは10分~30分の範囲の期間にわたり実施することが好ましい。(iv.5)による乾燥に関して、これを、100~180℃の範囲の温度を有するガス雰囲気で、10~30分の範囲の期間にわたり実施することがより好ましい。
【0132】
(iv.6)によるか焼に関して、これを、より好ましくは酸素を含む、300~600℃の範囲、より好ましくは400~500℃の範囲の温度を有するガス雰囲気で実施することが好ましい。
【0133】
(iv.6)によるか焼に関して、これを、より好ましくは酸素を含むガス雰囲気で、10分~6時間の範囲、より好ましくは1~6時間の範囲、より好ましくは2~4時間の範囲の期間にわたり実施することが好ましい。(iv.6)によるか焼に関して、これを、400~500℃の範囲の温度を有するガス雰囲気で、2~4時間の範囲の期間にわたり実施することがより好ましい。
【0134】
本発明の第2の態様によると、四元変換触媒を調製するためのプロセスは、(i)、(ii)、(iii)、および(iv)からなることが好ましい。
【0135】
本発明によると、(i)による多孔質ウォールフローフィルタは、セラミック物質を含み、より好ましくはこれからなることが好ましい。セラミック物質は、シリカ、ケイ酸塩、アルミノケイ酸塩のうちの1つ以上、より好ましくは、コーディエライトまたはムライト、チタン酸アルミニウム、および炭化ケイ素のうちの1つ以上、より好ましくは、炭化ケイ素およびコーディエライトのうちの1つ以上、より好ましくはコーディエライトを含み、より好ましくはこれからなることが好ましい。
【0136】
本発明は、四元変換触媒、好ましくは、本発明によるプロセスにより入手可能または得られるまたは調製可能または調製される、本発明による先に定義したように四元変換触媒にさらに関する。
【0137】
本発明は、ガソリンエンジンの下流にあり、かつこれと流体連通している排気ガス処理システムであって、本発明による四元変換触媒を含むシステムにさらに関する。該ガソリンエンジンは、火花点火エンジン、より好ましくはガソリン直噴エンジンであることが好ましい。ガソリンエンジンの排気ガス流は、炭化水素(HC)、一酸化炭素(CO)、窒素酸化物(NOx)、および微粒子を含むことが好ましい。
【0138】
本発明は、ガソリンエンジンからの排気ガス流を処理するための本発明による四元変換触媒の使用にさらに関する。該ガソリンエンジンは、火花点火エンジン、より好ましくはガソリン直噴エンジンであることが好ましい。ガソリンエンジンの排気ガス流は、炭化水素(HC)、一酸化炭素(CO)、窒素酸化物(NOx)、および微粒子を含むことが好ましい。
【0139】
本発明は、ガソリンエンジンからの排気ガス流を処理する方法であって、該排気ガス流を本発明による四元変換触媒に通すことを含む方法にさらに関する。該ガソリンエンジンは、火花点火エンジン、より好ましくはガソリン直噴エンジンであることが好ましい。ガソリンエンジンの排気ガス流は、炭化水素(HC)、一酸化炭素(CO)、窒素酸化物(NOx)、および微粒子を含むことが好ましい。
【0140】
本発明は、以下の一連の実施形態、ならびに示されるような従属性および後方参照から生じる実施形態の組み合わせによりさらに説明される。特に、実施形態の範囲が述べられている各場合において、例えば、「実施形態1~4のいずれか1つに記載の四元変換触媒」などの用語の文脈において、この範囲のあらゆる実施形態は、当業者のために明示的に開示されることを意味し、すなわち、この用語の表現は、「実施形態1、2、3、および4のいずれか1つに記載の四元変換触媒」と同義であると当業者により理解されるべきである。
【0141】
1.ガソリンエンジンの排気ガス流を処理するための四元変換触媒であって、
入口端部と、出口端部と、入口端部と出口端部の間に延在する基材軸長さと、多孔質ウォールフローフィルタ基材の多孔質内壁により画定される複数の通路とを含む多孔質ウォールフローフィルタ基材を含み、複数の通路が、開放入口端部および閉鎖出口端部を有する入口通路と、閉鎖入口端部および開放出口端部を有する出口通路とを含み、通路と多孔質内壁との間の界面が、内壁の表面により画定されており、
多孔質内壁が、第1の耐火金属酸化物を含む酸化物成分を含む細孔を含み、該第1の耐火金属酸化物がアルミニウムを含み、該酸化物成分が、酸化物成分の総重量を基準として0~0.001重量%の範囲の白金族金属含有量を有し、
この触媒が、第1の三元変換触媒コーティングをさらに含み、その少なくとも10重量%が、内壁の細孔内に含まれ、該第1の三元変換触媒コーティングが、酸素貯蔵化合物と、第2の耐火金属酸化物に担持された白金族金属とを含む、四元変換触媒。
【0142】
2.第1の耐火金属の98~100重量%、好ましくは99~100重量%、より好ましくは99.5~100重量%、より好ましくは99.9~100重量%が、アルミニウムおよび酸素、好ましくはアルミナからなる、実施形態1に記載の四元変換触媒。
【0143】
3.第1の耐火金属酸化物が、50~500m/gの範囲、好ましくは70~300m/gの範囲のBET比表面積を有し、BET比表面積が、参照例2に従って決定される、実施形態1または2に記載の四元変換触媒。
【0144】
4.酸化物成分の50~99重量%、好ましくは60~99重量%、より好ましくは70~99重量%、より好ましくは80~99重量%、より好ましくは85~95重量%が、第1の耐火金属酸化物からなる、実施形態1~3のいずれか1つに記載の四元変換触媒。
【0145】
5.酸化物成分が、Mg、Ca、Sr、およびBaのうちの1つ以上を含む酸化物、好ましくは、Mg、Ca、およびBaのうちの1つ以上を含む酸化物、より好ましくは、MgおよびBaのうちの1つ以上を含む酸化物、より好ましくは、バリウムを含む酸化物、より好ましくはバリアをさらに含む、実施形態1~4のいずれか1つに記載の四元変換触媒。
【0146】
6.酸化物成分が、La、Y、Nd、Ti、およびZrのうちの1つ以上を含む酸化物、好ましくは、TiおよびZrのうちの1つ以上を含む酸化物、より好ましくは、ジルコニウムを含む酸化物、より好ましくはジルコニアをさらに含む、実施形態1~5のいずれか1つに記載の四元変換触媒。
【0147】
7.酸化物材料が、金属酸化物結合剤をさらに含み、金属酸化物結合剤が、好ましくは、ジルコニウム、アルミニウム、およびチタンのうちの1つ以上を含む酸化物を含み、より好ましくは、アルミニウムおよびジルコニウムのうちの1つ以上を含む酸化物を含み、より好ましくは、アルミニウムを含む酸化物を含む、実施形態1~6のいずれか1つに記載の四元変換触媒。
【0148】
8.酸化物成分の98~100重量%、好ましくは99~100重量%、より好ましくは99.5~100重量%、より好ましくは99.9~100重量%が、第1の耐火金属酸化物、Mg、Ca、Sr、およびBaのうちの1つ以上を含む酸化物、La、Y、Nd、Ti、およびZrのうちの1つ以上を含む酸化物、好ましくは、実施形態7に定義した通りの金属酸化物結合剤からなる、実施形態1~7のいずれか1つに記載の四元変換触媒。
【0149】
9.酸化物成分の98~100重量%、好ましくは99~100重量%、より好ましくは99.5~100重量%、より好ましくは99.9~100重量%が、第1の耐火金属酸化物からなる、実施形態1~3のいずれか1つに記載の四元変換触媒。
【0150】
10.触媒が、酸化物成分を、7~75g/lの範囲、好ましくは8~60g/lの範囲、より好ましくは10~60g/lの範囲、より好ましくは12~32g/lの範囲、より好ましくは12~18g/lの範囲、または20~32g/lの範囲の充填量で含む、実施形態1~9のいずれか1つに記載の四元変換触媒。
【0151】
11.触媒に含まれる酸化物成分の少なくとも90重量%、好ましくは90~100重量%、より好ましくは95~100重量%、より好ましくは98~100重量%、より好ましくは99~100重量%、より好ましくは99.5~100重量%、より好ましくは99.9~100重量%が、多孔質内壁の細孔内にある、実施形態1~10のいずれか1つに記載の四元変換触媒。
【0152】
12.酸化物成分の0~0.001重量%、好ましくは0~0.0001重量%、より好ましくは0~0.00001重量%が、セリウムからなる、実施形態1~11のいずれか1つに記載の四元変換触媒。
【0153】
13.酸化物成分の0~0.001重量%、好ましくは0~0.0001重量%、より好ましくは0~0.00001重量%が、ケイ素からなる、実施形態1~12のいずれか1つに記載の四元変換触媒。
【0154】
14.第1の三元変換触媒コーティングが、1つ以上の白金族金属、好ましくは、ルテニウム、パラジウム、ロジウム、白金、およびイリジウムのうちの1つ以上、より好ましくは、パラジウム、ロジウム、および白金のうちの1つ以上、より好ましくは、パラジウムおよびロジウムのうちの1つ以上を含む、実施形態1~13のいずれか1つに記載の四元変換触媒。
【0155】
15.第1の三元変換触媒コーティングに含まれる酸素貯蔵化合物が、セリウムを含み、好ましくは、酸化セリウム、酸化セリウムを含む酸化物の混合物、およびセリウムを含む混合酸化物のうちの1つ以上を含み、セリウムを含む混合酸化物が、好ましくは、ジルコニウム、イットリウム、ネオジム、ランタン、ハフニウム、サマリウム、およびプラセオジムのうちの1つ以上、より好ましくは、ジルコニウム、イットリウム、ネオジム、およびランタンのうちの1つ以上をさらに含む、実施形態1~14のいずれか1つに記載の四元変換触媒。
【0156】
16.第1の三元変換触媒コーティングに含まれる酸素貯蔵化合物が、セリウム、ジルコニウム、イットリウム、ネオジム、およびランタンを含む混合酸化物を含み、
好ましくは、酸素貯蔵化合物の98~100重量%、より好ましくは99~100重量%、より好ましくは99.5~100重量%、より好ましくは99.9~100重量%が、セリウム、ジルコニウム、イットリウム、ネオジム、およびランタンを含む混合酸化物からなり、
より好ましくは、酸素貯蔵化合物の20~60重量%、より好ましくは35~45重量%が、CeOとして計算されるセリウムからなり、より好ましくは、酸素貯蔵化合物の30~60重量%、より好ましくは40~50重量%が、ZrOとして計算されるジルコニウムからなる、実施形態1~15のいずれか1つに記載の四元変換触媒。
【0157】
17.第1の三元変換触媒コーティングに含まれる酸素貯蔵化合物が、セリウム、ジルコニウム、イットリウム、およびランタンを含む混合酸化物を含み、
好ましくは、酸素貯蔵化合物の98~100重量%、より好ましくは99~100重量%、より好ましくは99.5~100重量%、より好ましくは99.9~100重量%が、セリウム、ジルコニウム、イットリウム、およびランタンを含む混合酸化物からなり、
より好ましくは、酸素貯蔵化合物の20~60重量%、より好ましくは35~45重量%が、CeOとして計算されるセリウムからなり、より好ましくは、酸素貯蔵化合物の35~60重量%、より好ましくは45~55重量%が、ZrOとして計算されるジルコニウムからなる、実施形態1~15のいずれか1つに記載の四元変換触媒。
【0158】
18.第1の三元変換触媒コーティングに含まれる酸素貯蔵化合物が、0.05~1.5ml/gの範囲、好ましくは0.1~1.0ml/gの範囲、より好ましくは0.15~0.8ml/gの範囲の多孔率を有し、多孔率が、参照例1に従って決定される、実施形態1~17のいずれか1つに記載の四元変換触媒。
【0159】
19.第1の三元変換触媒コーティングが、酸素貯蔵成分に担持された白金族金属、好ましくはパラジウムを含む、実施形態1~18のいずれか1つに記載の四元変換触媒。
【0160】
20.第1の三元変換触媒コーティングに含まれる第2の耐火金属酸化物が、アルミニウムを含み、好ましくは、酸化アルミニウム、アルミニウムを含む酸化物の混合物、アルミニウムを含む混合酸化物のうちの1つ以上を含み、アルミニウムを含む混合酸化物が、好ましくは、ジルコニウム、セリウム、ランタン、バリウム、およびネオジムのうちの1つ以上をさらに含み、
より好ましくは、第2の耐火金属酸化物が、酸化アルミニウム、より好ましくはガンマ酸化アルミニウムを含み、より好ましくはこれである、実施形態1~19のいずれか1つに記載の四元変換触媒。
【0161】
21.第2の耐火金属酸化物が、0.05~1.5ml/gの範囲、好ましくは0.1~1.0ml/gの範囲、より好ましくは0.15~0.8ml/gの範囲の多孔率を有し、多孔率が、参照例1に従って決定される、実施形態1~20のいずれか1つに記載の四元変換触媒。
【0162】
22.第1の三元変換触媒コーティングが、促進剤をさらに含み、促進剤が、好ましくは、ジルコニウム、バリウム、ストロンチウム、ランタン、ネオジム、イットリウム、およびプラセオジムのうちの1つ以上を含み、より好ましくは、促進剤が、ジルコニウムおよびバリウムのうちの1つ以上を含み、より好ましくは、促進剤が、酸化バリウムと酸化ジルコニウムとの混合物およびバリウムとジルコニウムとの混合酸化物のうちの1つ以上を含む、実施形態1~21のいずれか1つに記載の四元変換触媒。
【0163】
23.第1の三元変換触媒コーティングが、第2の耐火金属酸化物に担持された白金族金属、好ましくはロジウムと、酸素貯蔵成分に担持された白金族金属、好ましくはパラジウムと、実施形態22に定義した通りの促進剤とを含み、好ましくはこれらからなる、実施形態1~22のいずれか1つに記載の四元変換触媒。
【0164】
24.第1の三元変換触媒コーティングの98~100重量%、好ましくは99~100重量%、より好ましくは99.5~100重量%、より好ましくは99.9~100重量%が、第2の耐火金属酸化物に担持された白金族金属、好ましくはロジウムと、酸素貯蔵成分に担持された白金族金属、好ましくはパラジウムと、実施形態22に定義した通りの促進剤とからなる、実施形態1~23のいずれか1つに記載の四元変換触媒。
【0165】
25.触媒中、第1の三元変換触媒コーティングが、第2の耐火金属酸化物を充填量(l1)で含み、かつ酸素貯蔵化合物を充填量(l2)で含み、充填量(l1)対充填量(l2)の比が、3:1~1:6の範囲、好ましくは2:1~1:5の範囲、より好ましくは1.5:1~1:4の範囲、より好ましくは1:1~1:3の範囲にある、実施形態1~24のいずれか1つに記載の四元変換触媒。
【0166】
26.触媒中、第1の三元変換触媒コーティングが、第2の耐火金属酸化物に担持された白金族金属を、0.035~7.063g/l(1~200g/ft)の範囲、好ましくは0.106~6.357g/l(3~180g/ft)の範囲、より好ましくは0.141~5.297g/l(4~150g/ft)の範囲の充填量で含み、かつ第2の耐火金属酸化物を、6.10~183.07g/l(0.1~3g/in)の範囲、好ましくは9.15~152.56g/l(0.15~2.5g/in)の範囲、より好ましくは12.20~122.05g/l(0.2~2g/in)の範囲の充填量で含む、実施形態1~25のいずれか1つに記載の四元変換触媒。
【0167】
27.触媒中、第1の三元変換触媒コーティングが、酸素貯蔵化合物に担持された白金族金属を、0.035~7.063g/l(1~200g/ft)の範囲、好ましくは0.106~6.357g/l(3~180g/ft)の範囲、より好ましくは0.141~5.297g/l(4~150g/ft)の範囲の充填量で含み、かつ酸素貯蔵化合物を、6.10~183.07g/l(0.1~3g/in)の範囲、好ましくは9.15~152.56g/l(0.15~2.5g/in)の範囲、より好ましくは12.20~122.05g/l(0.2~2g/in)の範囲の充填量で含む、実施形態1~26のいずれか1つに記載の四元変換触媒。
【0168】
28.触媒中、第1の三元変換触媒コーティングが、促進剤を、0.061~61.024g/l(0.001~1.0g/in)の範囲、好ましくは0.305~30.512g/l(0.005~0.5g/in)、より好ましくは0.305~12.205g/l(0.005~0.2g/in)の範囲の充填量で含む、実施形態1~27のいずれか1つに記載の四元変換触媒。
【0169】
29.第1の三元変換触媒コーティングの10~100重量%が、内壁の細孔内に含まれる、実施形態1~28のいずれか1つに記載の四元変換触媒。
【0170】
30.第1の三元変換触媒コーティングの30~100重量%、好ましくは50~100重量%、より好ましくは70~100重量%が、内壁の細孔内に含まれる、実施形態1~29のいずれか1つに記載の四元変換触媒。
【0171】
31.触媒が、第1の三元変換触媒コーティングを、30~250g/lの範囲、好ましくは40~200g/lの範囲、より好ましくは50~170g/lの範囲の充填量で含む、実施形態1~30のいずれか1つに記載の四元変換触媒。
【0172】
32.酸化物成分を含む細孔が、入口端部から入口通路の出口端部に向かって基材軸長さのx%(xは、95~100の範囲にある)にわたり延在する、または
酸化物成分を含む細孔が、出口端部から出口通路の入口端部に向かって基材軸長さのx%(xは、95~100の範囲にある)にわたり延在する、実施形態1~31のいずれか1つに記載の四元変換触媒。
【0173】
33.第1の三元変換触媒コーティングが、入口端部から入口通路の出口端部に向かって基材軸長さのy%(yは、20~xの範囲にある)にわたり延在する、実施形態32に記載の四元変換触媒。
【0174】
34.第1の三元変換触媒コーティングが、入口端部から入口通路の出口端部に向かって基材軸長さのy%(yは、80~xの範囲、より好ましくは90~xの範囲にあり、より好ましくはyはxである)にわたり延在し、
酸化物成分を含む細孔が、より好ましくは、入口端部から入口通路の出口端部に向かって基材軸長さのx%(xは、95~100の範囲にある)にわたり延在し、また第1の三元変換触媒コーティングが、入口端部から入口通路の出口端部に向かって基材軸長さのy%(yは、80~xの範囲、より好ましくは90~xの範囲にあり、より好ましくはyはxである)にわたり延在する、実施形態32または33に記載の四元変換触媒。
【0175】
35.第1の三元変換触媒コーティングが、入口端部から入口通路の出口端部に向かって基材軸長さのy%(yは、20~70の範囲、好ましくは40~60の範囲、より好ましくは45~55の範囲にある)にわたり延在する、実施形態32~34のいずれか1つに記載の四元変換触媒。
【0176】
36.第1の三元変換触媒コーティングが、出口端部から出口通路の入口端部に向かって基材軸長さのy%(yは、20~xの範囲にある)にわたり延在する、実施形態32に記載の四元変換触媒。
【0177】
37.第1の三元変換触媒コーティングが、出口端部から出口通路の入口端部に向かって基材軸長さのy%(yは、80~xの範囲、より好ましくは90~xの範囲にあり、より好ましくはyはxである)にわたり延在し、
より好ましくは、酸化物成分を含む細孔が、出口端部から出口通路の入口端部に向かって基材軸長さのx%(xは95~100の範囲にある)にわたり延在する、実施形態32または36に記載の四元変換触媒。
【0178】
38.四元変換触媒の95~100重量%、好ましくは98~100重量%、より好ましくは99~100重量%、より好ましくは99.5~100重量%、より好ましくは99.9~100重量%が、多孔質ウォールフローフィルタ基材、酸化物成分、および第1の三元変換触媒コーティングからなる、実施形態1~37のいずれか1つに記載の四元変換触媒。
【0179】
39.触媒が、第2の三元変換触媒コーティングをさらに含み、その少なくとも10重量%が、内壁の細孔内に含まれ、第2の三元変換触媒コーティングが、酸素貯蔵化合物と、耐火金属酸化物に担持された白金族金属とを含み、
第2の三元変換触媒コーティングが、出口端部から出口通路の入口端部に向かって基材軸長さのz%(zは、20~xの範囲、好ましくは20~70の範囲、より好ましくは40~60の範囲、より好ましくは45~55の範囲にある)にわたり延在する、実施形態32~35のいずれか1つに記載の四元変換触媒。
【0180】
40.第1の三元変換コーティングが、入口端部から入口通路の出口端部に向かって基材軸長さのy%(yは、20~70の範囲、好ましくは40~60の範囲、より好ましくは45~55の範囲にある)にわたり延在し、
第2の三元変換触媒コーティングが、出口端部から入口端部に向かって基材軸長さのz%(zは、20~70の範囲、好ましくは40~60の範囲、より好ましくは45~55の範囲にある)にわたり延在する、実施形態39に記載の四元変換触媒。
【0181】
41.第2の三元変換触媒コーティングが、1つ以上の白金族金属、好ましくは、ルテニウム、パラジウム、ロジウム、白金、およびイリジウムのうちの1つ以上、より好ましくは、パラジウム、ロジウム、および白金のうちの1つ以上、より好ましくは、パラジウムおよびロジウムのうちの1つ以上を含む、実施形態39または40に記載の四元変換触媒。
【0182】
42.第2の三元変換触媒コーティングに含まれる酸素貯蔵化合物が、セリウムを含み、より好ましくは、酸化セリウム、酸化セリウムを含む酸化物の混合物、およびセリウムを含む混合酸化物のうちの1つ以上を含み、セリウムを含む混合酸化物が、好ましくは、ジルコニウム、イットリウム、ネオジム、ランタン、ハフニウム、サマリウム、およびプラセオジムのうちの1つ以上、より好ましくは、ジルコニウム、イットリウム、ネオジム、およびランタンのうちの1つ以上をさらに含む、実施形態39~41のいずれか1つに記載の四元変換触媒。
【0183】
43.第2の三元変換触媒コーティングに含まれる酸素貯蔵化合物が、0.05~1.5ml/gの範囲、好ましくは0.1~1.0ml/gの範囲、より好ましくは0.15~0.8ml/gの範囲の多孔率を有し、多孔率が、参照例1に従って決定される、実施形態39~42のいずれか1つに記載の四元変換触媒。
【0184】
44.第2の三元変換触媒コーティングに含まれる酸素貯蔵化合物が、セリウム、ジルコニウム、イットリウム、ネオジム、およびランタンを含む混合酸化物を含み、
好ましくは、酸素貯蔵化合物の98~100重量%、より好ましくは99~100重量%、より好ましくは99.5~100重量%、より好ましくは99.9~100重量%が、セリウム、ジルコニウム、イットリウム、ネオジム、およびランタンを含む混合酸化物からなり、
より好ましくは、酸素貯蔵化合物の20~60重量%、より好ましくは35~45重量%が、CeOとして計算されるセリウムからなり、より好ましくは、酸素貯蔵化合物の30~60重量%、より好ましくは40~50重量%が、ZrOとして計算されるジルコニウムからなる、実施形態39~43のいずれか1つに記載の四元変換触媒。
【0185】
45.第2の三元変換触媒コーティングに含まれる酸素貯蔵化合物が、セリウム、ジルコニウム、イットリウム、およびランタンを含む混合酸化物を含み、
好ましくは、酸素貯蔵化合物の98~100重量%、より好ましくは99~100重量%、より好ましくは99.5~100重量%、より好ましくは99.9~100重量%が、セリウム、ジルコニウム、イットリウム、およびランタンを含む混合酸化物からなり、
より好ましくは、酸素貯蔵化合物の20~60重量%、より好ましくは35~45重量%が、CeOとして計算されるセリウムからなり、より好ましくは、酸素貯蔵化合物の35~60重量%、より好ましくは45~55重量%が、ZrOとして計算されるジルコニウムからなる、実施形態39~43のいずれか1つに記載の四元変換触媒。
【0186】
46.第2の三元変換触媒コーティングが、酸素貯蔵成分に担持された白金族金属、好ましくはパラジウムを含む、実施形態39~45のいずれか1つに記載の四元変換触媒。
【0187】
47.第2の三元変換触媒コーティングに含まれる耐火金属酸化物が、アルミニウムを含み、好ましくは、酸化アルミニウム、アルミニウムを含む酸化物の混合物、アルミニウムを含む混合酸化物のうちの1つ以上を含み、アルミニウムを含む混合酸化物が、好ましくは、ジルコニウム、セリウム、ランタン、バリウム、およびネオジムのうちの1つ以上をさらに含み、
より好ましくは、第2の三元変換触媒コーティングに含まれる耐火金属酸化物が、酸化アルミニウム、より好ましくはガンマ酸化アルミニウムを含み、より好ましくはこれである、実施形態39~46のいずれか1つに記載の四元変換触媒。
【0188】
48.第2の三元変換触媒コーティングに含まれる耐火金属酸化物が、0.05~1.5ml/gの範囲、好ましくは0.1~1.0ml/gの範囲、より好ましくは0.15~0.8ml/gの範囲の多孔率を有し、多孔率が、参照例1に従って決定される、実施形態39~47のいずれか1つに記載の四元変換触媒。
【0189】
49.第2の三元変換触媒コーティングが、促進剤をさらに含み、促進剤が、好ましくは、ジルコニウム、バリウム、ストロンチウム、ランタン、ネオジム、イットリウム、およびプラセオジムのうちの1つ以上を含み、より好ましくは、促進剤が、ジルコニウムおよびバリウムのうちの1つ以上を含み、より好ましくは、促進剤が、酸化バリウムと酸化ジルコニウムとの混合物およびバリウムとジルコニウムとの混合酸化物のうちの1つ以上を含む、実施形態39~48のいずれか1つに記載の四元変換触媒。
【0190】
50.第2の三元変換触媒コーティングが、耐火金属酸化物に担持された白金族金属、好ましくはロジウムと、酸素貯蔵成分に担持された白金族金属、好ましくはパラジウムと、実施形態49に定義した通りの促進剤とを含み、好ましくはこれらからなる、実施形態39~49のいずれか1つに記載の四元変換触媒。
【0191】
51.第2の三元変換触媒コーティングの98~100重量%、好ましくは99~100重量%、より好ましくは99.5~100重量%、より好ましくは99.9~100重量%が、耐火金属酸化物に担持された白金族金属、好ましくはロジウムと、酸素貯蔵成分に担持された白金族金属、好ましくはパラジウムと、実施形態49に定義した通りの促進剤とからなる、実施形態39~50のいずれか1つに記載の四元変換触媒。
【0192】
52.触媒中、第2の三元変換触媒コーティングが、耐火金属酸化物を充填量(l1’)で含み、かつ酸素貯蔵化合物を充填量(l2’)で含み、充填量(l1’)対充填量(l2’)の比が、3:1~1:6の範囲、好ましくは2:1~1:5の範囲、より好ましくは1.5:1~1:4の範囲、より好ましくは1:1~1:3の範囲にある、実施形態39~51のいずれか1つに記載の四元変換触媒。
【0193】
53.触媒中、第2の三元変換触媒コーティングが、耐火金属酸化物に担持された白金族金属を、0.035~7.063g/l(1~200g/ft)の範囲、好ましくは0.106~6.357g/l(3~180g/ft)の範囲、より好ましくは0.141~5.297g/l(4~150g/ft)の範囲の充填量で含み、かつ耐火金属酸化物を、6.10~183.07g/l(0.1~3g/in)の範囲、好ましくは9.15~152.56g/l(0.15~2.5g/in)の範囲、より好ましくは12.20~122.05g/l(0.2~2g/in)の範囲の充填量で含む、実施形態39~52のいずれか1つに記載の四元変換触媒。
【0194】
54.触媒中、第2の三元変換触媒コーティングが、酸素貯蔵化合物に担持された白金族金属を、0.035~7.063g/l(1~200g/ft)の範囲、好ましくは0.106~6.357g/l(3~180g/ft)の範囲、より好ましくは0.141~5.297g/l(4~150g/ft)の範囲の充填量で含み、かつ酸素貯蔵化合物を、6.10~183.07g/l(0.1~3g/in)の範囲、好ましくは9.15~152.56g/l(0.15~2.5g/in)の範囲、より好ましくは12.20~122.05g/l(0.2~2g/in)の範囲の充填量で含む、実施形態39~53のいずれか1つに記載の四元変換触媒。
【0195】
55.触媒中、第2の三元変換触媒コーティングが、促進剤を、0.061~61.024g/l(0.001~1.0g/in)の範囲、好ましくは0.305~30.512g/l(0.005~0.5g/in)、より好ましくは0.305~12.20g/l(0.005~0.2g/in)の範囲の充填量で含む、実施形態39~54のいずれか1つに記載の四元変換触媒。
【0196】
56.第2の三元変換触媒コーティングの10~100重量%が、内壁の細孔内に含まれる、実施形態39~55のいずれか1つに記載の四元変換触媒。
【0197】
57.第2の三元変換触媒コーティングの30~100重量%、好ましくは50~100重量%、より好ましくは70~100重量%が、内壁の細孔内に含まれる、実施形態39~56のいずれか1つに記載の四元変換触媒。
【0198】
58.触媒が、第2の三元変換触媒コーティングを、30~250g/lの範囲、好ましくは40~200g/lの範囲、より好ましくは50~170g/lの範囲の充填量で含む、実施形態39~57のいずれか1つに記載の四元変換触媒。
【0199】
59.触媒が、第1の三元変換触媒コーティングを充填量(L1)で含み、かつ第2の三元変換触媒コーティングを充填量(L2)で含み、(L1):(L2)の比が、1:3~3:1の範囲、好ましくは1:2~2:1の範囲、より好ましくは1:1.1~1.1:1の範囲にある、実施形態39~58のいずれか1つに記載の四元変換触媒。
【0200】
60.四元変換触媒の95~100重量%、好ましくは98~100重量%、より好ましくは99~100重量%、より好ましくは99.5~100重量%、より好ましくは99.9~100重量%が、多孔質ウォールフローフィルタ基材、酸化物成分、第1の三元変換触媒コーティング、および第2の三元変換触媒コーティングからなる、実施形態39~59のいずれか1つに記載の四元変換触媒。
【0201】
61.第1の三元変換触媒コーティングおよび第2の三元変換触媒コーティングが、同じ化学組成を有する、実施形態39~60のいずれか1つに記載の四元変換触媒。
【0202】
62.多孔質ウォールフローフィルタ基材が、セラミック物質を含み、好ましくはこれからなり、セラミック物質が、シリカ、ケイ酸塩、アルミノケイ酸塩のうちの1つ以上、より好ましくは、コーディエライトまたはムライト、チタン酸アルミニウム、および炭化ケイ素のうちの1つ以上、より好ましくは、炭化ケイ素およびコーディエライトのうちの1つ以上、より好ましくはコーディエライトを含み、好ましくはこれからなる、実施形態1~61のいずれか1つに記載の四元変換触媒。
【0203】
63.実施形態39~59のいずれか1つに定義した通りの、酸化物成分と、少なくとも10重量%の第1の三元変換触媒コーティングと、任意選択的に少なくとも10重量%の第2の三元変換触媒コーティングとを含む多孔質内壁が、20~75%の範囲、好ましくは50~75%の範囲、より好ましくは55~70%の範囲、より好ましくは60~65%の範囲の相対平均多孔率を有し、
相対平均多孔率が、酸化物成分と該三元触媒コーティングとを含まない多孔質内壁の平均多孔率に対する、実施形態39~59のいずれか1つに定義した通りの、酸化物成分と、少なくとも10重量%の第1の三元変換触媒コーティングと、任意選択的に少なくとも10重量%の第2の三元変換触媒コーティングとを含む多孔質内壁の平均多孔率として定義され、平均多孔率が、参照例3に従って決定される、実施形態1~62のいずれか1つに記載の四元変換触媒。
【0204】
64.実施形態1~63のいずれか1つに記載の四元変換触媒を調製するためのプロセスであって、
(i)入口端部と、出口端部と、入口端部と出口端部の間に延在する基材軸長さと、多孔質ウォールフローフィルタ基材の多孔質内壁により画定される複数の通路とを含む多孔質ウォールフローフィルタ基材であって、複数の通路が、開放入口端部および閉鎖出口端部を有する入口通路と、閉鎖入口端部および開放出口端部を有する出口通路とを含み、通路と多孔質内壁との間の界面が、内壁の表面により画定されており、内壁が、10~30マイクロメートルの範囲の平均細孔径を有し、平均細孔径が、参照例3に従って決定され、かつ内壁の平均多孔率が、25~75%の範囲にあり、平均多孔率が、参照例3に従って決定される、多孔質ウォールフローフィルタ基材を提供することと、
(ii)酸化物成分の供給源の粒子を含むスラリーであって、該粒子が0.005~20マイクロメートルの範囲のDv90値を有し、Dv90値が参照例4に従って決定される、スラリーを提供し、(i)で提供された多孔質ウォールフローフィルタ基材の多孔質内壁をスラリーの粒子でコーティングし、得られたコーティングされたフィルタ基材をか焼し、酸化物成分を含むフィルタ基材を得ることと、
(iii)第1の三元変換触媒コーティングの供給源の粒子を含むスラリーであって、該粒子が2~25マイクロメートルの範囲のDv90値を有し、Dv90値が参照例4に従って決定される、スラリーを提供し、(ii)で得られた多孔質ウォールフローフィルタ基材の多孔質内壁をスラリーの粒子でコーティングし、得られたコーティングされたフィルタ基材をか焼し、酸化物成分および第1の三元変換触媒コーティングを含むフィルタ基材を得ることと、を含む、プロセス。
【0205】
65.(i)による内壁が、10~25マイクロメートルの範囲、より好ましくは16~21マイクロメートルの範囲の平均細孔径を有し、平均細孔径が、参照例3に従って決定される、実施形態64に記載のプロセス。
【0206】
66.(i)による内壁の平均多孔率が、50~75%の範囲、より好ましくは55~70%の範囲、より好ましくは60~70%の範囲にあり、平均多孔率が、参照例3に従って決定される、実施形態64または65に記載のプロセス。
【0207】
67.(ii)による粒子が、0.005~19マイクロメートルの範囲、好ましくは0.005~1マイクロメートルの範囲、または好ましくは2~6マイクロメートル、または好ましくは17~19マイクロメートルの範囲のDv90値を有し、Dv90値が、参照例4に従って決定される、実施形態64~66のいずれか1つに記載のプロセス。
【0208】
68.(ii)による粒子が、0.005~0.5マイクロメートルの範囲または2.5~5マイクロメートルの範囲のDv90値を有し、Dv90値が、参照例4に従って決定される、実施形態67に記載のプロセス。
【0209】
69.(ii)で提供されたスラリーが、10~50重量%の範囲、より好ましくは14~45重量%の範囲の固形分を有する、実施形態64~68のいずれか1つに記載のプロセス。
【0210】
70.(iii)による粒子が、3~20マイクロメートルの範囲、好ましくは4~18マイクロメートルの範囲のDv90値を有し、Dv90値が、参照例4に従って決定される、実施形態64~69のいずれか1つに記載のプロセス。
【0211】
71.(iii)で提供されたスラリーが、参照例5に記載されるように300s-1のせん断速度で、5~35mPa・sの範囲、好ましくは10~30mPa・sの範囲、より好ましくは12~28mPa・sの範囲の粘度を有する、実施形態64~70のいずれか1つに記載のプロセス。
【0212】
72.(ii)が、
(ii.1)アルミニウムを含む第1の耐火金属酸化物の供給源の粒子、水を、好ましくは、Mg、Ca、Sr、およびBaのうちの1つ以上を含む酸化物の供給源、ならびにLa、Y、Nd、Ti、およびZrのうちの1つ以上を含む酸化物の供給源のうちの1つ以上とともに提供し、より好ましくは、アルコール、酸、および金属酸化物結合剤のうちの1つ以上をさらに提供し、スラリーを形成すること、
(ii.2)(ii.1)で得られたスラリーの水相のpHを、2~5の範囲、好ましくは3~4の範囲の値に調整すること、
(ii.3)(ii.2)で得られたスラリーを粉砕して、参照例4に従って決定される2~6マイクロメートルの範囲または17~19マイクロメートルの範囲のDv90値を有する粒子を得て、酸化物成分の供給源の粒子を含むスラリーを得ること、
(ii.4)(i)で提供された多孔質ウォールフローフィルタ基材の多孔質内壁を、(ii.3)で得られたスラリーの粒子で、入口端部から入口通路の出口端部へとまたは出口端部から出口通路の入口端部へと基材軸長さのx%(xは、95~100の範囲にある)にわたりコーティングして、スラリー処理されたウォールフローフィルタ基材を得ること、
(ii.5)任意選択的に、(ii.4)で得られたスラリー処理されたウォールフローフィルタ基材を乾燥させ、乾燥したスラリー処理されたウォールフローフィルタ基材を得ること、
(ii.6)(ii.4)で得られたスラリー処理されたウォールフローフィルタ基材または(ii.5)で得られた乾燥したスラリー処理されたウォールフローフィルタ基材をか焼すること、を含む、実施形態64~71のいずれか1つに記載のプロセス。
【0213】
73.(ii.1)によると、第1の耐火金属酸化物が、アルミナ、好ましくはガンマアルミナを含み、好ましくはこれからなる、実施形態72に記載のプロセス。
【0214】
74.(ii.1)によると、Mg、Ca、Sr、およびBaのうちの1つ以上を含む酸化物の供給源が、Mg、Ca、Sr、およびBaのうちの1つ以上の塩、好ましくは、Mg、Ca、およびBaのうちの1つ以上の塩、より好ましくは、MgおよびBaのうちの1つ以上の塩を含み、Mg、Ca、Sr、およびBaのうちの1つ以上を含む酸化物の供給源が、より好ましくは、Baの塩、より好ましくは硝酸バリウムを含み、より好ましくはこれである、実施形態72または73に記載のプロセス。
【0215】
75.(ii.1)によると、La、Y、Nd、Ti、およびZrのうちの1つ以上を含む酸化物の供給源が、La、Y、Nd、Ti、およびZrのうちの1つ以上の塩、好ましくは、TiおよびZrの塩を含み、La、Y、Nd、Ti、およびZrのうちの1つ以上を含む酸化物の供給源が、より好ましくは、Zrの塩、より好ましくは硝酸ジルコニウムを含み、より好ましくはこれである、実施形態72~74のいずれか1つに記載のプロセス。
【0216】
76.(ii)が、
(ii.1’)アルミニウム、好ましくはベーマイトを含む第1の耐火金属酸化物の供給源の粒子と、水と、好ましくはアルコールおよび酸のうちの1つ以上とを提供し、スラリーを形成すること、該粒子は、より好ましくは、0.005~5マイクロメートルの範囲、より好ましくは0.005~0.5マイクロメートルの範囲のDv90値を有し、Dv90値は、参照例4に従って決定される、
(ii.2’)(ii.1’)で得られたスラリーの水相のpHを、2~5の範囲、好ましくは3~4の範囲の値に調整すること、
(ii.3’)(ii.2’)で得られたスラリーを粉砕してスラリーを均質化し、酸化物成分の供給源の粒子を含むスラリーを得ること、
(ii.4’)(i)で提供された多孔質ウォールフローフィルタ基材の多孔質内壁を、(ii.3’)で得られたスラリーの粒子で、入口端部から入口通路の出口端部へとまたは出口端部から出口通路の入口端部へと基材軸長さのx%(xは、95~100の範囲にある)にわたりコーティングして、スラリー処理されたウォールフローフィルタ基材を得ること、
(ii.5’)任意選択的に、(ii.4’)で得られたスラリー処理されたウォールフローフィルタ基材を乾燥させ、乾燥したスラリー処理されたウォールフローフィルタ基材を得ること、
(ii.6’)(ii.4’)で得られたスラリー処理されたウォールフローフィルタ基材または(ii.5’)で得られた乾燥したスラリー処理されたウォールフローフィルタ基材をか焼すること、を含む、実施形態64~71のいずれか1つに記載のプロセス。
【0217】
77.(ii.4)または(ii.4’)によるコーティングを、真空でスラリーを塗布することによりまたは基材を浸漬することにより、好ましくは基材を浸漬することにより実施する、実施形態72~76のいずれか1つに記載のプロセス。
【0218】
78.(ii.5)または(ii.5’)による乾燥を、好ましくは酸素を含む、90~200℃の範囲、好ましくは100~180℃の範囲の温度を有するガス雰囲気で実施する、実施形態72~77のいずれか1つに記載のプロセス。
【0219】
79.(ii.5)または(ii.5’)による乾燥を、好ましくは酸素を含むガス雰囲気中で、10分~1時間の範囲、10分~30分の範囲の期間にわたり実施する、実施形態72~78のいずれか1つに記載のプロセス。
【0220】
80.(ii.6)または(ii.6’)によるか焼を、好ましくは酸素を含む、300~600℃の範囲、好ましくは400~500℃の範囲の温度を有するガス雰囲気で実施する、実施形態72~79のいずれか1つに記載のプロセス。
【0221】
81.(ii.6)または(ii.6’)によるか焼を、好ましくは酸素を含むガス雰囲気中で、10分~6時間の範囲、好ましくは1~6時間の範囲、より好ましくは2~4時間の範囲の期間にわたり実施する、実施形態72~80のいずれか1つに記載のプロセス。
【0222】
82.(iii)が、
(iii.1)白金族金属の供給源を耐火金属酸化物に含浸させること、
耐火金属酸化物に担持された白金族金属と補助剤および促進剤供給源のうちの1つ以上とを混合して、スラリーを得ること、
得られたスラリーを粉砕して、スラリーを得ること、該スラリーに含まれる粒子は、3~20マイクロメートルの範囲、好ましくは4~18マイクロメートルの範囲のDv90値を有し、Dv90値は、参照例4に従って決定される、
(iii.2)白金族金属の供給源を酸素貯蔵化合物に含浸させること、
酸素貯蔵化合物に担持された白金族金属と補助剤および促進剤供給源のうちの1つ以上とを混合して、スラリーを得ること、
得られたスラリーを粉砕して、スラリーを得ること、該スラリーに含まれる粒子は、3~20マイクロメートルの範囲、好ましくは4~18マイクロメートルの範囲のDv90値を有し、Dv90値は、参照例4に従って決定される、
(iii.3)(iii.1)で得られたスラリーと(iii.2)で得られたスラリーとを混合し、第1の三元変換触媒コーティングの供給源の粒子を含むスラリーを得ること、
(iii.4)(ii)で得られた多孔質ウォールフローフィルタ基材の多孔質内壁を、(iii.3)で得られたスラリーの粒子で、入口端部から入口通路の出口端部へとまたは出口端部から出口通路の入口端部へと基材軸長さのy%(yは、20~xの範囲にある)にわたりコーティングして、スラリー処理されたウォールフローフィルタ基材を得ること、
(iii.5)任意選択的に、(iii.4)で得られたスラリー処理されたウォールフローフィルタ基材を乾燥させ、乾燥したスラリー処理されたウォールフローフィルタ基材を得ること、
(iii.6)(iii.4)で得られたスラリー処理されたウォールフローフィルタ基材または(iii.5)で得られた乾燥したスラリー処理されたウォールフローフィルタ基材をか焼すること、を含む、実施形態72~81のいずれか1つに記載のプロセス。
【0223】
83.(iii.1)によると、白金族金属が、ルテニウム、パラジウム、ロジウム、白金、およびイリジウムのうちの1つ以上、好ましくは、パラジウム、ロジウム、および白金のうちの1つ以上、より好ましくは、パラジウムおよびロジウムのうちの1つ以上、より好ましくはロジウムであり、
白金族金属の供給源が、好ましくは白金族金属の塩を含み、より好ましくは白金族金属の硝酸塩を含む、実施形態82に記載のプロセス。
【0224】
84.(iii.1)によると、耐火金属酸化物が、アルミニウムを含み、好ましくは、酸化アルミニウム、酸化アルミニウムを含む酸化物の混合物、およびアルミニウムを含む混合酸化物のうちの1つ以上を含み、アルミニウムを含む混合酸化物が、好ましくは、ジルコニウム、セリウム、ランタン、バリウム、およびネオジムのうちの1つ以上をさらに含み、より好ましくは、耐火金属酸化物担体が、酸化アルミニウム、より好ましくはガンマ酸化アルミニウムを含み、より好ましくはこれである、実施形態82または83に記載のプロセス。
【0225】
85.(iii.1)によると、耐火金属酸化物に担持された白金族金属と補助剤および促進剤供給源のうちの1つ以上とを混合する前に、白金族金属の供給源を含浸させた耐火金属酸化物を、好ましくは酸素を含む、250~600℃の範囲、より好ましくは300~450℃の範囲の温度を有することが好ましいガス雰囲気でか焼する、実施形態82~84のいずれか1つに記載のプロセス。
【0226】
86.(iii.1)によると、補助剤が、水、ポリアクリレート、メチルセルロース、およびアルコールのうちの1つ以上、好ましくは、水およびアルコールのうちの1つ以上、より好ましくは水およびアルコールである、実施形態82~85のいずれか1つに記載のプロセス。
【0227】
87.(iii.1)によると、促進剤の供給源が、ジルコニウムを含む促進剤、バリウムを含む促進剤、ストロンチウムを含む促進剤、ランタンを含む促進剤、ネオジムを含む促進剤、イットリウムを含む促進剤、プラセオジムを含む促進剤のうちの1つ以上、好ましくは、ジルコニウムを含む促進剤およびバリウムを含む促進剤のうちの1つ以上、より好ましくは、ジルコニウムを含む促進剤およびバリウムを含む促進剤の供給源である、実施形態82~86のいずれか1つに記載のプロセス。
【0228】
88.(iii.1)によると、促進剤の供給源が、各促進剤元素の塩、好ましくは硝酸塩、より好ましくは硝酸ジルコニウムおよび硝酸バリウムを含む、実施形態87に記載のプロセス。
【0229】
89.(iii.2)によると、白金族金属が、ルテニウム、パラジウム、ロジウム、白金、およびイリジウムのうちの1つ以上、好ましくは、パラジウム、ロジウム、および白金のうちの1つ以上、より好ましくは、パラジウムおよびロジウムのうちの1つ以上、より好ましくはパラジウムであり、
白金族金属の供給源が、好ましくは白金族金属の塩を含み、より好ましくは白金族金属の硝酸塩を含む、実施形態82~88のいずれか1つに記載のプロセス。
【0230】
90.(iii.2)によると、酸素貯蔵化合物が、セリウムを含み、好ましくは、酸化セリウム、酸化セリウムを含む酸化物の混合物、およびセリウムを含む混合酸化物のうちの1つ以上を含み、セリウムを含む混合酸化物が、好ましくは、ジルコニウム、イットリウム、ネオジム、ランタン、ハフニウム、サマリウム、およびプラセオジムのうちの1つ以上、より好ましくは、ジルコニウム、イットリウム、ネオジム、およびランタンのうちの1つ以上をさらに含み、またはより好ましくは、ジルコニウム、イットリウム、およびランタンをさらに含み、
酸素貯蔵化合物が、より好ましくは、セリウム、ジルコニウム、イットリウム、ネオジム、およびランタンの混合酸化物、またはセリウム、ジルコニウム、イットリウム、およびランタンの混合酸化物を含む、実施形態82~89のいずれか1つに記載のプロセス。
【0231】
91.(iii.2)によると、酸素貯蔵化合物に担持された白金族金属と補助剤および促進剤供給源のうちの1つ以上とを混合する前に、白金族金属の供給源を含浸させた酸素貯蔵化合物を、好ましくは酸素を含む、250~600℃の範囲、より好ましくは300~450℃の範囲の温度を有することが好ましいガス雰囲気でか焼する、実施形態82~90のいずれか1つに記載のプロセス。
【0232】
92.(iii.2)によると、補助剤が、水、ポリアクリレート、メチルセルロース、およびアルコールのうちの1つ以上、好ましくは、水およびアルコールのうちの1つ以上、より好ましくは水およびアルコールである、実施形態82~91のいずれか1つに記載のプロセス。
【0233】
93.(iii.2)によると、促進剤の供給源が、ジルコニウムを含む促進剤、バリウムを含む促進剤、ストロンチウムを含む促進剤、ランタンを含む促進剤、ネオジムを含む促進剤、イットリウムを含む促進剤、プラセオジムを含む促進剤のうちの1つ以上、好ましくは、ジルコニウムを含む促進剤およびバリウムを含む促進剤のうちの1つ以上、より好ましくは、ジルコニウムを含む促進剤およびバリウムを含む促進剤の供給源である、実施形態82~92のいずれか1つに記載のプロセス。
【0234】
94.(iii.2)によると、促進剤の供給源が、各促進剤元素の塩、好ましくは硝酸塩、より好ましくは硝酸ジルコニウムおよび硝酸バリウムを含む、実施形態93に記載のプロセス。
【0235】
95.(iii.4)によるコーティングを、真空でスラリーを塗布することによりまたは基材を浸漬することにより、好ましくは基材を浸漬することにより実施する、実施形態82~94のいずれか1つに記載のプロセス。
【0236】
96.(iii.5)による乾燥を、好ましくは酸素を含む、90~200℃の範囲、好ましくは100~180℃の範囲の温度を有するガス雰囲気で実施する、実施形態82~95のいずれか1つに記載のプロセス。
【0237】
97.(iii.5)による乾燥を、好ましくは酸素を含むガス雰囲気中で、10分~1時間の範囲、10分~30分の範囲の期間にわたり実施する、実施形態82~96のいずれか1つに記載のプロセス。
【0238】
98.(iii.6)によるか焼を、好ましくは酸素を含む、300~600℃の範囲、好ましくは400~500℃の範囲の温度を有するガス雰囲気で実施する、実施形態82~97のいずれか1つに記載のプロセス。
【0239】
99.(iii.6)によるか焼を、好ましくは酸素を含むガス雰囲気中で、10分~6時間の範囲、好ましくは1~6時間の範囲、より好ましくは2~4時間の範囲の期間にわたり実施する、実施形態82~98のいずれか1つに記載のプロセス。
【0240】
100.(ii.4)または(ii.4’)によると、(i)で提供された多孔質ウォールフローフィルタ基材の多孔質内壁のコーティングが、入口端部から入口通路の出口端部へと基材軸長さのx%(xは、95~100の範囲にある)にわたり存在し、また
(iii.4)によると、(ii)で得られた多孔質ウォールフローフィルタ基材の多孔質内壁のコーティングが、入口端部から入口通路の出口端部へと基材軸長さのy%(yは、20~xの範囲、好ましくは80~xの範囲、より好ましくは90~xの範囲にあるか、またはyは、20~70の範囲、好ましくは40~60の範囲、より好ましくは45~55の範囲にある)にわたり存在する、実施形態82~99のいずれか1つに記載のプロセス。
【0241】
101.(ii.4)または(ii.4’)によると、(i)で提供された多孔質ウォールフローフィルタ基材の多孔質内壁のコーティングが、出口端部から出口通路の入口端部へと基材軸長さのx%(xは、95~100の範囲にある)にわたり存在し、また(iii.4)によると、(ii)で得られた多孔質ウォールフローフィルタ基材の多孔質内壁のコーティングが、出口端部から出口通路の入口端部へと基材軸長さのy%(yは、20~xの範囲、好ましくは80~xの範囲、より好ましくは90~xの範囲にある)にわたり存在する、実施形態82~100のいずれか1つに記載の方法。
【0242】
102.(i)、(ii)、および(iii)からなる、実施形態64~101のいずれか1つに記載のプロセス。
【0243】
103.さらに、
(iv)第2の三元変換触媒コーティングの供給源の粒子を含むスラリーであって、該粒子が2~25マイクロメートルの範囲のDv90値を有し、Dv90値が参照例4に従って決定される、スラリーを提供し、(iii)で得られた多孔質ウォールフローフィルタ基材の多孔質内壁を、スラリーの粒子で、出口端部から出口通路の入口端部へと基材軸長さのz%(zは、20~xの範囲、好ましくは20~70の範囲、より好ましくは40~60の範囲、より好ましくは45~55の範囲にある)にわたりコーティングし、得られたコーティングされたフィルタ基材をか焼し、酸化物成分と、第1の三元変換触媒コーティングと、第2の三元変換触媒コーティングとを含むフィルタ基材を得ること、を含む、実施形態72~100のいずれか1つに記載のプロセス。
【0244】
104.(iii.4)によると、(ii)で得られた多孔質ウォールフローフィルタ基材の多孔質内壁のコーティングが、入口端部から入口通路の出口端部へと基材軸長さのy%(yは、20~70の範囲、より好ましくは40~60の範囲、より好ましくは45~55の範囲にある)にわたり存在する、実施形態103に記載のプロセス。
【0245】
105.(iv)が、
(iv.1)白金族金属の供給源を耐火金属酸化物に含浸させること、
耐火金属酸化物担体に担持された白金族金属と補助剤および促進剤供給源のうちの1つ以上とを混合して、スラリーを得ること、
得られたスラリーを粉砕して、スラリーを得ること、該スラリーに含まれる粒子は、3~20マイクロメートルの範囲、好ましくは4~18マイクロメートルの範囲のDv90値を有し、Dv90値は、参照例4に従って決定される、
(iv.2)白金族金属の供給源を酸素貯蔵化合物に含浸させること、
酸素貯蔵化合物に担持された白金族金属と補助剤および促進剤供給源のうちの1つ以上とを混合して、スラリーを得ること、
得られたスラリーを粉砕して、スラリーを得ること、該スラリーに含まれる粒子は、3~20マイクロメートルの範囲、好ましくは4~18マイクロメートルの範囲のDv90値を有し、Dv90値は、参照例4に従って決定される、
(iv.3)(iv.1)で得られたスラリーと(iv.2)で得られたスラリーとを混合し、第2の三元変換触媒コーティングの供給源を含むスラリーを得ること、
(iv.4)(iii)で得られた多孔質ウォールフローフィルタ基材の多孔質内壁を、(iv.3)で得られたスラリーの粒子で、出口端部から出口通路の入口端部へと基材軸長さのz%(zは、20~70の範囲、好ましくは40~60の範囲、より好ましくは45~55の範囲にある)にわたりコーティングし、スラリー処理されたウォールフローフィルタ基材を得ること、
(iv.5)任意選択的に、(iv.4)で得られたスラリー処理されたウォールフローフィルタ基材を乾燥させ、乾燥したスラリー処理されたウォールフローフィルタ基材を得ること、
(iv.6)(iv.4)で得られたスラリー処理されたウォールフローフィルタ基材または(iv.5)で得られた乾燥したスラリー処理されたウォールフローフィルタ基材をか焼すること、を含む、実施形態103または104に記載のプロセス。
【0246】
106.(iv.1)によると、白金族金属が、ルテニウム、パラジウム、ロジウム、白金、およびイリジウムのうちの1つ以上、好ましくは、パラジウム、ロジウム、および白金のうちの1つ以上、より好ましくは、パラジウムおよびロジウムのうちの1つ以上、より好ましくはロジウムであり、
白金族金属の供給源が、好ましくは白金族金属の塩を含み、より好ましくは白金族金属の硝酸塩を含む、実施形態105に記載のプロセス。
【0247】
107.(iv.1)によると、耐火金属酸化物が、アルミニウムを含み、好ましくは、酸化アルミニウム、酸化アルミニウムを含む酸化物の混合物、およびアルミニウムを含む混合酸化物のうちの1つ以上を含み、アルミニウムを含む混合酸化物が、好ましくは、ジルコニウム、セリウム、ランタン、バリウム、およびネオジムのうちの1つ以上をさらに含み、より好ましくは、耐火金属酸化物担体が、酸化アルミニウム、より好ましくはガンマ酸化アルミニウムを含み、より好ましくはこれである、実施形態105または106に記載のプロセス。
【0248】
108.(iv.1)によると、耐火金属酸化物に担持された白金族金属と補助剤および促進剤供給源のうちの1つ以上とを混合する前に、白金族金属の供給源を含浸させた耐火金属酸化物を、好ましくは酸素を含む、250~600℃の範囲、より好ましくは300~450℃の範囲の温度を有することが好ましいガス雰囲気でか焼する、実施形態105~107のいずれか1つに記載のプロセス。
【0249】
109.(iv.1)によると、補助剤が、水、ポリアクリレート、メチルセルロース、およびアルコールのうちの1つ以上、好ましくは、水およびアルコールのうちの1つ以上、より好ましくは水およびアルコールである、実施形態105~108のいずれか1つに記載のプロセス。
【0250】
110.(iv.1)によると、促進剤の供給源が、ジルコニウムを含む促進剤、バリウムを含む促進剤、ストロンチウムを含む促進剤、ランタンを含む促進剤、ネオジムを含む促進剤、イットリウムを含む促進剤、プラセオジムを含む促進剤のうちの1つ以上、好ましくは、ジルコニウムを含む促進剤およびバリウムを含む促進剤のうちの1つ以上、より好ましくは、ジルコニウムを含む促進剤およびバリウムを含む促進剤の供給源である、実施形態105~109のいずれか1つに記載のプロセス。
【0251】
111.(iv.1)によると、促進剤の供給源が、各促進剤元素の塩、好ましくは硝酸塩、より好ましくは硝酸ジルコニウムおよび硝酸バリウムを含む、実施形態110に記載のプロセス。
【0252】
112.(iv.2)によると、白金族金属が、ルテニウム、パラジウム、ロジウム、白金、およびイリジウムのうちの1つ以上、好ましくは、パラジウム、ロジウム、および白金のうちの1つ以上、より好ましくは、パラジウムおよびロジウムのうちの1つ以上、より好ましくはパラジウムであり、
白金族金属の供給源が、好ましくは白金族金属の塩を含み、より好ましくは白金族金属の硝酸塩を含む、実施形態105~111のいずれか1つに記載のプロセス。
【0253】
113.(iv.2)によると、酸素貯蔵化合物が、セリウムを含み、好ましくは、酸化セリウム、酸化セリウムを含む酸化物の混合物、およびセリウムを含む混合酸化物のうちの1つ以上を含み、セリウムを含む混合酸化物が、好ましくは、ジルコニウム、イットリウム、ネオジム、ランタン、ハフニウム、サマリウム、およびプラセオジムのうちの1つ以上、より好ましくは、ジルコニウム、イットリウム、ネオジム、およびランタンのうちの1つ以上をさらに含み、またはより好ましくは、ジルコニウム、イットリウム、およびランタンをさらに含み、
酸素貯蔵化合物が、より好ましくは、セリウム、ジルコニウム、イットリウム、ネオジム、およびランタンの混合酸化物、またはセリウム、ジルコニウム、イットリウム、およびランタンの混合酸化物を含む、実施形態105~112のいずれか1つに記載のプロセス。
【0254】
114.(iv.2)によると、酸素貯蔵化合物に担持された白金族金属と補助剤および促進剤供給源のうちの1つ以上とを混合する前に、白金族金属の供給源を含浸させた酸素貯蔵化合物を、好ましくは酸素を含む、250~600℃の範囲、より好ましくは300~450℃の範囲の温度を有することが好ましいガス雰囲気でか焼する、実施形態105~113のいずれか1つに記載のプロセス。
【0255】
115.(iv.2)によると、補助剤が、水、ポリアクリレート、メチルセルロース、およびアルコールのうちの1つ以上、好ましくは、水およびアルコールのうちの1つ以上、より好ましくは水およびアルコールである、実施形態105~114のいずれか1つに記載のプロセス。
【0256】
116.(iv.2)によると、促進剤の供給源が、ジルコニウムを含む促進剤、バリウムを含む促進剤、ストロンチウムを含む促進剤、ランタンを含む促進剤、ネオジムを含む促進剤、イットリウムを含む促進剤、プラセオジムを含む促進剤のうちの1つ以上、好ましくは、ジルコニウムを含む促進剤およびバリウムを含む促進剤のうちの1つ以上、より好ましくは、ジルコニウムを含む促進剤およびバリウムを含む促進剤の供給源である、実施形態105~115のいずれか1つに記載のプロセス。
【0257】
117.(iv.2)によると、促進剤の供給源が、各促進剤元素の塩、好ましくは硝酸塩、より好ましくは硝酸ジルコニウムおよび硝酸バリウムを含む、実施形態116に記載のプロセス。
【0258】
118.(iv.4)によるコーティングを、真空でスラリーを塗布することによりまたは基材を浸漬することにより、好ましくは基材を浸漬することにより実施する、実施形態105~117のいずれか1つに記載のプロセス。
【0259】
119.(iv.5)による乾燥を、好ましくは酸素を含む、90~200℃の範囲、好ましくは100~180℃の範囲の温度を有するガス雰囲気で実施する、実施形態105~118のいずれか1つに記載のプロセス。
【0260】
120.(iv.5)による乾燥を、好ましくは酸素を含むガス雰囲気中で、10分~1時間の範囲、10分~30分の範囲の期間にわたり実施する、実施形態105~119のいずれか1つに記載のプロセス。
【0261】
121.(iv.6)によるか焼を、好ましくは酸素を含む、300~600℃の範囲、好ましくは400~500℃の範囲の温度を有するガス雰囲気で実施する、実施形態105~120のいずれか1つに記載のプロセス。
【0262】
122.(iv.6)によるか焼を、好ましくは酸素を含むガス雰囲気中で、10分~6時間の範囲、好ましくは1~6時間の範囲、より好ましくは2~4時間の範囲の期間にわたり実施する、実施形態105~121のいずれか1つに記載のプロセス。
【0263】
123.(i)、(ii)、(iii)、および(iv)からなる、実施形態105~122のいずれか1つに記載のプロセス。
【0264】
124.(i)による多孔質ウォールフローフィルタが、セラミック物質を含み、好ましくはこれからなり、セラミック物質が、シリカ、ケイ酸塩、アルミノケイ酸塩のうちの1つ以上、より好ましくは、コーディエライトまたはムライト、チタン酸アルミニウム、および炭化ケイ素のうちの1つ以上、より好ましくは、炭化ケイ素およびコーディエライトのうちの1つ以上、より好ましくはコーディエライトを含み、好ましくはこれからなる、実施形態64~123のいずれか1つに記載のプロセス。
【0265】
125.四元変換触媒、好ましくは、実施形態64~124のいずれか1つに記載のプロセス、好ましくは実施形態102または123に記載のプロセスにより入手可能または得られるまたは調製可能または調製される、実施形態1~63のいずれか1つに記載の四元変換触媒。
【0266】
126.ガソリンエンジンの下流にあり、かつこれと流体連通している排気ガス処理システムであって、実施形態1~63および実施形態125のいずれか1つに記載の四元変換触媒を含む、排気ガス処理システム。
【0267】
127.ガソリンエンジンが、火花点火エンジン、好ましくはガソリン直噴エンジンである、実施形態126に記載の排気ガス処理システム。
【0268】
128.ガソリンエンジンの排気ガス流が、炭化水素(HC)、一酸化炭素(CO)、窒素酸化物(NOx)、および微粒子を含む、実施形態126または127に記載の排気ガス処理システム。
【0269】
129.ガソリンエンジンからの排気ガス流を処理するための、実施形態1~63および実施形態125のいずれか1つに記載の四元変換触媒の使用。
【0270】
130.ガソリンエンジンが、火花点火エンジン、好ましくはガソリン直噴エンジンである、実施形態129に記載の使用。
【0271】
131.ガソリンエンジンの排気ガス流が、炭化水素(HC)、一酸化炭素(CO)、窒素酸化物(NOx)、および微粒子を含む、実施形態129または130に記載の使用。
【0272】
132.ガソリンエンジンからの排気ガス流を処理する方法であって、該排気ガス流を実施形態1~63および実施形態125のいずれか1つに記載の四元変換触媒に通すことを含む、方法。
【0273】
133.ガソリンエンジンが、火花点火エンジン、好ましくはガソリン直噴エンジンである、実施形態132に記載の方法。
【0274】
134.ガソリンエンジンの排気ガス流が、炭化水素(HC)、一酸化炭素(CO)、窒素酸化物(NOx)、および微粒子を含む、実施形態132または133に記載の方法。
【0275】
本発明の文脈において、「Xは、A、B、およびCの1つ以上である」という用語(Xは所与の特徴であり、A、B、およびCは各々、具体的に実現された該特徴を表す)は、Xが、A、またはB、またはC、またはAとB、またはAとC、またはBとC、またはAとBとCのいずれかであることを開示するものとして理解されるべきである。この点に関して、当業者であれば、上記の抽象的な用語を具体的な例に移し替えることができること、例えば、Xが化学元素であるなら、A、B、およびCは、Li、Na、およびKなどの具体的な元素であり、またはXが温度であるなら、A、B、およびCは、10℃、20℃、および30℃などの具体的な温度であることに留意されたい。これに関して、当業者であれば、上記の用語を、より具体的には実現されていない該特徴に拡張すること、例えば、Xが、A、またはB、またはAとBであることを開示する「Xは、AまたはBのいずれかである」に拡張することができるか、あるいはより具体的に実現された該特徴に拡張すること、例えば、Xが、A、またはB、またはC、またはD、またはAとB、またはAとC、またはAとD、またはBとC、またはBとD、またはCとD、またはAとBとC、またはAとBとD、またはBとCとD、またはAとBとCとDのいずれかであることを開示する「Xは、A、B、C、およびDのうちの1つ以上である」に拡張することができることにさらに留意されたい。
【0276】
さらに、本発明の文脈において、本発明の第1の態様に関連する特徴および本発明の第2の態様に関連する特徴は、任意の様式において、当業者により一緒に組み合わせることができる。
【0277】
本発明を、以下の参照例、実施例、および比較例によりさらに説明する。
【実施例
【0278】
参照例1:多孔質酸化物化合物の多孔率の測定
多孔質酸化物化合物、例えば、酸化アルミニウムまたはセリウム-ジルコニウム混合酸化物の多孔率は、Nを物理吸着させ、DIN66134に準拠したBJH(Barett,Joyner,Halenda)分析により物理吸着等温線を分析することで決定した。
【0279】
参照例2:アルミナのBET比表面積の測定
アルミナのBET比表面積は、液体窒素を使用してDIN66131またはDIN-ISO9277に準拠して決定した。
【0280】
参照例3:多孔質ウォールフロー基材の平均多孔率および平均細孔径の測定
多孔質ウォールフロー基材の平均多孔率は、DIN66133およびISO15901-1に準拠して、水銀圧入法を使用する水銀侵入により決定した。
【0281】
参照例4:体積ベースの粒径分布の決定
粒径分布は、Sympatec HELOS(3200)&QUIXEL装置を使用して、静的光散乱法により決定し、サンプルの光学濃度は、6~10%の範囲にあった。
【0282】
参照例5:ウォッシュコートスラリーの粘度の決定
スラリーの動粘度は、Thermo Fisher Scientific製のHAAKE Rheostress 6000を用いて測定した。ここで報告される値は、300 1/秒のせん断速度で測定される。粘度は20℃で測定した。
【0283】
参照例6:一般的なコーティング法
本発明による三元変換コーティングで多孔質ウォールフロー基材をコーティングするために、ウォールフロー基材を、塗布すべきコーティングの目標長さに等しい基材の特定の長さにわたり、ウォッシュコートの一部分に垂直に浸漬した。このようにして、ウォッシュコートは、基材の多孔質壁に接触した。サンプルを、特定の時間、通常は1~10秒にわたり、ウォッシュコート中に残した。次に、基材をウォッシュコートから取り出し、過剰なスラリーを、基材から排出することにより、次に(ウォッシュコートの浸透方向に対して)圧縮空気を吹き付けることにより基材から除去した。次に、コーティングされた基材を450℃で3時間にわたりか焼した。
【0284】
比較例1:本発明によるものでないFWC触媒(75g/l)
三元変換(TWC)触媒が基材壁に浸透した多孔質ウォールフロー基材を、300CPSI(セル毎平方インチ)、8ミルの壁厚、65%の平均多孔率、および20マイクロメートルの平均細孔径を有する4.665インチのサイズのコーディエライト基材において1.242g/in(75g/l)のウォッシュコート充填量で、以下の方法により調製した:
(1)高表面積ガンマアルミナ(BET比表面積=144m/g;総細孔容積=0.843ml/g;平均細孔半径=109オングストローム)1371gに、9.06重量%の硝酸ロジウム(Rh(NO)水溶液136.8gを含浸させ、脱イオン水949gを添加した。Rhを含浸させたアルミナを、空気中で590℃の温度で3時間にわたりか焼して、各金属酸化物を形成した。か焼された材料を、n-オクタノール8gと、58.6重量%の硝酸バリウム(Ba(NO)124gと、21.5重量%の硝酸ジルコニウム(Zr(NO)139gとを含有する脱イオン水2136gに添加した。得られた混合物を、粒子のDv90値が4.8マイクロメートルになるように、連続粉砕装置を使用して粉砕した。
(2)3756gの酸素貯蔵化合物(OSC)に、すなわち、Ce(CeOとして計算して40重量%)とZr(ZrOとして計算して45重量%)とを含み、さらにNd、La、およびY(各々Xとして計算して合計15重量%)を含み、かつ31マイクロメートルのDv90値を有する混合酸化物に、18.53重量%の硝酸パラジウム(Pd(NO))水溶液227.5gを含浸させ、一緒に脱イオン水1155gを添加した。Pdを含浸させたOSCを、590℃の温度でか焼して、各金属酸化物を形成した。か焼された材料を、n-オクタノール8gと、58.6重量%の硝酸バリウム(Ba(NO)290gと、21.5重量%の硝酸ジルコニウム(Zr(NO)208gとを含有する脱イオン水5006gに添加した。得られた混合物を、粒子のDv90値が4.43マイクロメートルになるように、上記の装置を使用して粉砕した。
(3)(1)および(2)から得られた材料を組み合わせて、最終的なTWCスラリーを形成した。スラリーのpHを硝酸で3.8に調整した。最終的なスラリーは、参照例5に記載されるように測定して15.2mPa・sの粘度を有していた。
(4)多孔質ウォールフロー基材を、上記の参照例6に記載されるように、(3)から得られたウォッシュコートで、入口端部から基材軸長さの100%にわたりコーティングした。
【0285】
実施例1:FWC触媒(75g/lのTWC触媒コーティング+30g/lの酸化物成分-18.89マイクロメートルのDv90)
比較例1に記載されるように多孔質ウォールフロー基材を、比較例1に記載されるように、TWC触媒コーティングを塗布する前に、0.501g/in(30g/l)の充填量の酸化物成分でコーティングした。触媒は、以下の方法により調製した:
(1)高表面積ガンマアルミナ(BET比表面積=149m/g;総細孔容積=0.535ml/g)2664gを、脱イオン水12819gと、n-オクタノール29gと、酢酸170gと、21.5重量%の硝酸ジルコニウム(Zr(NO)433gと、59.88重量%の酢酸バリウム218gと、78.4重量%のベーマイト667gとを含有する水溶液に添加した。得られたスラリーの水相のpHを酢酸で3.5に調整した。次に、スラリーの粒子を、含有粒子のDv90値が18.89マイクロメートルになるように粉砕した。スラリーの固形分は19.04重量%であった。
(2)多孔質ウォールフロー基材を、参照例6に記載されるように、(1)から得られたスラリーで、入口端部から基材軸長さの100%にわたりコーティングした。
(3)比較例1に記載されるように調製したTWCスラリーを、参照例6に記載されるように、(2)で得られたコーティングされた多孔質ウォールフローフィルタに、入口端部から基材軸長さの100%にわたり塗布し、触媒において75g/lのTWC充填量を得た。
【0286】
実施例2:FWC触媒(75g/lのTWC触媒コーティング+15g/lの酸化物成分-18.89マイクロメートルのDv90)
比較例1に記載の多孔質ウォールフロー基材を、比較例1に記載のTWC触媒コーティングを塗布する前に、0.25g/in(15g/l)の充填量の酸化物成分でコーティングした。触媒は、以下の方法により調製した:
(1)酸化物成分を実施例1の(1)に記載されるように調製した。
(2)多孔質ウォールフロー基材を、参照例6に記載されるように、(1)から得られたスラリーで、入口端部から基材軸長さの100%にわたりコーティングした。
(3)比較例1に記載されるように調製したTWCスラリーを、参照例6に記載されるように、(2)で得られたコーティングされた多孔質ウォールフローフィルタに、入口端部から基材軸長さの100%にわたり塗布し、触媒において75g/lのTWC充填量を得た。
【0287】
実施例3:FWC触媒(75g/lのTWC触媒コーティング+30g/lの酸化物成分-2.97マイクロメートルのDv90)
比較例1に記載の多孔質ウォールフロー基材を、比較例1に記載のTWC触媒コーティングを塗布する前に、0.501g/in(30g/l)の充填量の酸化物成分でコーティングした。触媒は、以下の方法により調製した:
(1)高表面積ガンマアルミナ(BET比表面積=149m/g;総細孔容積=0.535ml/g)4700gを、脱イオン水22622gと、n-オクタノール50gと、酢酸300gと、30.2重量%の硝酸ジルコニウム(Zr(NO)764gと、59.88重量%の酢酸バリウム386gと、78.4重量%のベーマイト1177gとを含有する水溶液に添加した。得られたスラリーの水相のpHを酢酸で3.7に調整した。次に、スラリーの粒子を、含有粒子のDv90値が2.97マイクロメートルになるように粉砕した。スラリーの固形分は18.12重量%であった。
(2)多孔質ウォールフロー基材を、参照例6に記載されるように、(1)から得られたスラリーで、入口端部から基材軸長さの100%にわたりコーティングした。
(3)比較例1に記載されるように調製したTWCスラリーを、参照例6に記載されるように、(2)で得られたコーティングされた多孔質ウォールフローフィルタに、入口端部から基材軸長さの100%にわたり塗布し、触媒において75g/lのTWC充填量を得た。
【0288】
実施例4:コールドフロー背圧の評価
比較例1および実施例1~3で得られた触媒の背圧を、Super FlowのコールドフローベンチSF-1020 Superbenchにおいて周囲条件で測定した。700m/時の体積流量で記録された背圧のデータを表1に報告した。
【表1】
【0289】
表1から、TWC触媒コーティングに加えて酸化物化合物の存在の明らかな影響が見られ、すなわち、比較例1と比較して、より多い量およびより大きな粒径によって背圧が増加する。
【0290】
実施例5
比較例1および実施例1~3の触媒を缶に詰め、2.0L直接噴射ターボエンジンを備えたダイナミックエンジンベンチにおいて、密結合(CC)位置にて、世界軽量試験サイクル(World Light Duty Test Cycle:WLTC)のもと測定した。粒子測定プログラム(PMP)プロトコルに従った微粒子数排出量をシステム全体について測定し、濾過効率の計算のためにエンジンの粗排出量と比較した。これらの結果を表2に示す。
【表2】
【0291】
実施例1、実施例2、および実施例3は、比較例1と比較して改善された濾過効率を示す。
【0292】
実施例6
実施例5からの缶に詰められた触媒を、950℃の入口温度で、密結合位置にて、100時間にわたり燃料カットエージングした。エージングされた触媒の性能を、2.0Lエンジンベンチにおいて、密結合(CC)位置にて、新欧州ドライブサイクル(NEDC)のもと測定した。各触媒の後に測定された排出量の結果を表3に示す。
【表3】
【0293】
実施例1、実施例2、および実施例3は、比較例1と比較して改善されたガス変換性能を示す。
【0294】
実施例7
実施例6で得られた比較例1および実施例3からのエージングされた触媒を開缶した。これらのサンプルを、電子マイクロプローブ分析(EMPA)により元素分布について調査した。ケイ素マッピングの結果を図1および2に示す。実施例3の結果を図1に示し、比較例1の結果を図2に示す。
【0295】
図1において、矢印a)は、触媒ウォッシュコート(TWC)を示し、矢印b)は、アルミナベースの酸化物成分中に存在するケイ素を示し、これは、図から分かり得るように、アンダーコートとして機能する。しかしながら、図1によると、実施例3の触媒の触媒ウォッシュコート中にはケイ素がない。反対に、図2に見られるように、矢印c)は、比較例1の触媒ウォッシュコート中に存在するケイ素を示す。したがって、この実施例は、本発明の触媒、すなわち、触媒コーティング(複数可)に加えて特定の酸化物成分を含む触媒を使用することにより、触媒ウォッシュコートへのケイ素の移動が妨げられることを証明する。
【0296】
比較例2:本発明によるものではないFWC触媒(100g/l)
三元変換(TWC)触媒が基材壁に浸透した多孔質ウォールフロー基材を、300CPSI(セル毎平方インチ)、8ミルの壁厚、65%の平均多孔率、および20マイクロメートルの平均細孔径を有する4.665インチのサイズのコーディエライト基材において1.651g/in(100g/l)のウォッシュコート充填量で、以下の方法により調製した:
(1)高表面積ガンマアルミナ(BET比表面積=144m/g;総細孔容積=0.843ml/g;平均細孔半径=109オングストローム)1880gに、7.98重量%の硝酸ロジウム(Rh(NO)水溶液158.2gを含浸させ、脱イオン水1286gを添加した。Rhを含浸させたアルミナを、空気中で590℃の温度で3時間にわたりか焼して、各金属酸化物を形成した。か焼された材料を、n-オクタノール11gと、58.4重量%の硝酸バリウム(Ba(NO)169gと、21.0重量%の硝酸ジルコニウム(Zr(NO)192gとを含有する脱イオン水2887gに添加した。得られた混合物を、粒子のDv90値が5.40マイクロメートルになるように、連続粉砕装置を使用して粉砕した。
(2)5090gの酸素貯蔵化合物(OSC)に、すなわち、Ce(CeOとして計算して40重量%)とZr(ZrOとして計算して45重量%)とを含み、さらにNd、La、およびY(各々Xとして計算して合計15重量%)を含み、かつ31マイクロメートルのDv90値を有する混合酸化物に、17.20重量%の硝酸パラジウム(Pd(NO))水溶液249.4gを含浸させ、一緒に脱イオン水1603gを添加した。Pdを含浸させたOSCを、590℃の温度でか焼して、各金属酸化物を形成した。か焼された材料を、n-オクタノール11gと、58.4重量%の硝酸バリウム(Ba(NO)395gと、21.0重量%の硝酸ジルコニウム(Zr(NO)289gとを含有する脱イオン水6767gに添加した。得られた混合物を、粒子のDv90値が5.79マイクロメートルになるように、上記の装置を使用して粉砕した。
(3)(1)および(2)から得られた材料を組み合わせて、最終的なTWCスラリーを形成した。スラリーの水相のpHを硝酸で3.8に調整した。最終的なスラリーは、参照例5に記載されるように測定して24mPa・sの粘度を有していた。
(4)多孔質ウォールフロー基材を、参照例6に記載されるように、入口側から基材軸長さの50%+3mmを浸漬し、続いて乾燥させ、450℃で3時間にわたりか焼し、次に、出口側から基材軸長さの50%+3mmを浸漬し、続いて乾燥させることにより、(3)から得られたウォッシュコートでコーティングした。次に、コーティングされた基材を450℃で3時間にわたりか焼した。
【0297】
実施例8:コールドフロー背圧の評価
比較例1および2ならびに実施例1および3に記載されるように得られた微粒子フィルタの背圧を、SuperFlowのコールドフローベンチSF-1020 Superbenchにおいて周囲条件で測定した。700m/時の体積流量で記録された背圧のデータを表4に報告する。
【表4】
【0298】
同等のウォッシュコート充填量を有する一方で、実施例1および3で得られた背圧は、比較例2で得られる背圧よりも高い。これは、ウォッシュコートの一部分が基材の入口通路の壁上に位置していることを示す。
【0299】
実施例9
比較例1および2ならびに実施例1および3からの触媒を缶に詰めた。さらに、該触媒を、880℃の床温度で、密結合位置にて200時間にわたり燃料カットエージングした。エージングされた触媒の性能を、2.0Lエンジンベンチにおいて、密結合(CC)位置にて、新欧州ドライブサイクル(NEDC)のもと測定した。各触媒の後に測定された排出量の結果を表5に示す。
【表5】
【0300】
75g/lのTWC充填量を有する比較例1の触媒は、同様に同じTWC触媒充填量を有する実施例1および3の触媒と比較して、より多いHC、CO、およびNOxの排出量を呈する。これは、酸化物成分が触媒の性能を改善することを可能にすることを証明する。さらに、表5は、100g/lのTWC充填量を有する比較例2の触媒が、比較例1の触媒と比較して、より少ないHC、CO、およびNOxの排出量を呈することを示し、このことは、TWC触媒充填量を増加させることにより、HC、CO、およびNOxの排出量を削減され得ることを示す。しかしながら、比較例2の触媒はまた、より低いTWC充填量を有する実施例1および実施例3の触媒と比較して、NOx排出量について、より低い性能を示す。
【0301】
比較例3:本発明によるものではないFWC触媒(壁内コーティング(in-wall coating)-150g/l)
三元変換(TWC)触媒が基材壁に浸透した多孔質ウォールフロー基材を、300CPSI(セル毎平方インチ)、8ミルの壁厚、65%の平均多孔率、および17マイクロメートルの平均細孔径を有する4.664.65インチのサイズのコーディエライト基材において2.494g/in(150g/l)のウォッシュコート充填量で、以下の方法により調製した:
(1)高表面積ガンマアルミナ(BET比表面積=144m/g;総細孔容積=0.843ml/g;平均細孔半径=109オングストローム)2461gに、8.60重量%の硝酸ロジウム(Rh(NO)水溶液142.5gを含浸させ、脱イオン水1581gを添加した。Rhを含浸させたアルミナを、空気中で590℃の温度で3時間にわたりか焼して、各金属酸化物を形成した。か焼された材料を、n-オクタノール14gと、58.5重量%の硝酸バリウム(Ba(NO)223gと、21.4重量%の硝酸ジルコニウム(Zr(NO)251gとを含有する脱イオン水3821gに添加した。得られた混合物を、粒子のDv90値が5.54マイクロメートルになるように、連続粉砕装置を使用して粉砕した。
(2)6673gの酸素貯蔵化合物(OSC)に、すなわち、Ce(CeOとして計算して40重量%)とZr(ZrOとして計算して50重量%)とを含み、さらにLaおよびY(各々Xとして計算して合計10重量%)を含み、かつ12.7マイクロメートルのDv90値を有する混合酸化物に、18.74重量%の硝酸パラジウム(Pd(NO))水溶液671.6gを含浸させ、一緒に脱イオン水1383gを添加した。Pdを含浸させたOSCを、590℃の温度でか焼して、各金属酸化物を形成した。か焼された材料を、n-オクタノール14gと、58.5重量%の硝酸バリウム(Ba(NO)521gと、21.4重量%の硝酸ジルコニウム(Zr(NO)376gとを含有する脱イオン水9063gに添加した。得られた混合物を、粒子のDv90値が5.60マイクロメートルになるように、上記の装置を使用して粉砕した。
(3)(1)および(2)から得られた材料を組み合わせて、最終的なTWCスラリーを形成した。スラリーの水相のpHを硝酸で3.7に調整した。最終的なスラリーは、参照例5に記載されるように測定して22.3mPa・sの粘度を有していた。
(4)多孔質ウォールフロー基材を、参照例6に記載されるように、入口側から基材軸長さの50%+3mmを浸漬し、続いて乾燥させ、450℃で3時間にわたりか焼し、次に、出口側から基材軸長さの50%+3mmを浸漬し、続いて乾燥させることにより、(3)から得られたウォッシュコートでコーティングした。次に、コーティングされた基材を450℃で3時間にわたりか焼した。
【0302】
実施例10:FWC触媒(120g/lのTWC触媒コーティング+30g/lの酸化物成分-3.38マイクロメートルのDv90)
多孔質ウォールフロー基材、すなわち、300CPSI(セル毎平方インチ)、8ミルの壁厚、65%の平均多孔率、および17マイクロメートルの平均細孔径を有する4.664.65インチのサイズのコーディエライト基材を、2.002g/in(120g/l)の充填量のTWC触媒コーティングを塗布する前に、30g/lの充填量の酸化物成分で、以下の方法によりコーティングした:
(1)高表面積ガンマアルミナ(BET比表面積=149m/g;総細孔容積=0.535ml/g)3734gを、脱イオン水24460gと、n-オクタノール38gと、酢酸225gと、29.7重量%の酢酸ジルコニウム583gと、59.56重量%の酢酸バリウム291gと、79.00重量%のベーマイト876gとを含有する水溶液に添加した。得られたスラリーの水相のpHを酢酸で3.5に調整した。次に、スラリーの粒子を、含有粒子のDv90値が3.38マイクロメートルになるように粉砕した。スラリーの固形分は15.12重量%であった。
(2)多孔質ウォールフロー基材を、参照例6に記載されるように、(1)から得られたスラリーで、入口端部から基材軸長さの100%にわたりコーティングした。
(3)高表面積ガンマアルミナ(BET比表面積=144m/g;総細孔容積=0.843ml/g;平均細孔半径=109オングストローム)1532gに、8.60重量%の硝酸ロジウム(Rh(NO)水溶液110.9gを含浸させ、脱イオン水850gを添加した。Rhを含浸させたアルミナを、空気中で590℃の温度で3時間にわたりか焼して、各金属酸化物を形成した。か焼された材料を、n-オクタノール9gと、58.5重量%の硝酸バリウム(Ba(NO)139gと、21.4重量%の硝酸ジルコニウム(Zr(NO)156gとを含有する脱イオン水2382gに添加した。得られた混合物を、粒子のDv90値が5.02マイクロメートルになるように、連続粉砕装置を使用して粉砕した。
(4)4221gの酸素貯蔵化合物(OSC)に、すなわち、Ce(CeOとして計算して40重量%)とZr(ZrOとして計算して45重量%)とを含み、さらにNd、La、およびY(各々Xとして計算して合計15重量%)を含み、かつ31マイクロメートルのDv90値を有する混合酸化物に、18.74重量%の硝酸パラジウム(Pd(NO))水溶液522.8gを含浸させ、一緒に脱イオン水1125gを添加した。Pdを含浸させたOSCを、590℃の温度でか焼して、各金属酸化物を形成した。か焼された材料を、n-オクタノール9gと、58.5重量%の硝酸バリウム(Ba(NO)325gと、21.4重量%の硝酸ジルコニウム(Zr(NO)234gとを含有する脱イオン水5671gに添加した。得られた混合物を、粒子のDv90値が5.94マイクロメートルになるように、上記の装置を使用して粉砕した。
(5)(3)および(4)から得られた材料を組み合わせて、最終的なTWCスラリーを形成した。スラリーのpHを酢酸で3.7に調整した。最終的なスラリーは、参照例5に記載されるように測定して18.5mPa・sの粘度を有していた。
(6)(2)から得られたコーティングされた多孔質ウォールフロー基材を、参照例6に記載されるように、入口から基材軸長さの50%+3mmを浸漬し、続いて乾燥させ、450℃で3時間にわたりか焼することにより、(5)から得られたスラリーでコーティングし(TWC触媒コーティング)、次に、出口側から基材軸長さの50%+3mmを浸漬し、続いて乾燥させることにより、(5)から得られたスラリーでコーティングした(第2のTWC触媒コーティング)。次に、コーティングされた基材を450℃で3時間にわたりか焼した。
【0303】
実施例11:FWC触媒(90g/lのTWC触媒コーティング+30g/lの酸化物成分-3.38マイクロメートルのDv90)
多孔質ウォールフロー基材、すなわち、300CPSI(セル毎平方インチ)、8ミルの壁厚、65%の平均多孔率、および17マイクロメートルの平均細孔径を有する4.664.65インチのサイズのコーディエライト基材を、1.511g/in(90g/l)の充填量のTWC触媒を塗布する前に、30g/lの充填量の酸化物成分で、以下の方法によりコーティングした:
(1)酸化物成分を、実施例10の(1)および(2)に記載されるように調製し、基材上に配置した。
(2)高表面積ガンマアルミナ(BET比表面積=144m/g;総細孔容積=0.843ml/g;平均細孔半径=109オングストローム)1447gに、8.60重量%の硝酸ロジウム(Rh(NO)水溶液139.7gを含浸させ、脱イオン水776gを添加した。Rhを含浸させたアルミナを、空気中で590℃の温度で3時間にわたりか焼して、各金属酸化物を形成した。か焼された材料を、n-オクタノール9gと、58.5重量%の硝酸バリウム(Ba(NO)131gと、21.4重量%の硝酸ジルコニウム(Zr(NO)147gとを含有する脱イオン水2255gに添加した。得られた混合物を、粒子のDv90値が4.79マイクロメートルになるように、連続粉砕装置を使用して粉砕した。
(3)3986gの酸素貯蔵化合物(OSC)に、すなわち、Ce(CeOとして計算して40重量%)とZr(ZrOとして計算して45重量%)とを含み、さらにNd、La、およびY(各々Xとして計算して合計15重量%)を含み、かつ31マイクロメートルのDv90値を有する混合酸化物に、18.74重量%の硝酸パラジウム(Pd(NO))水溶液658.3gを含浸させ、一緒に脱イオン水957gを添加した。Pdを含浸させたOSCを、590℃の温度でか焼して、各金属酸化物を形成した。か焼された材料を、n-オクタノール9gと、58.5重量%の硝酸バリウム(Ba(NO)307gと、21.4重量%の硝酸ジルコニウム(Zr(NO)221gとを含有する脱イオン水5397gに添加した。得られた混合物を、粒子のDv90値が4.72マイクロメートルになるように、上記の装置を使用して粉砕した。
(4)(2)および(3)から得られた材料を組み合わせて、最終的なTWCスラリーを形成した。スラリーの水相のpHを硝酸で3.9に調整した。最終的なスラリーは、参照例5に記載されるように測定して15.8mPa・sの粘度を有していた。
(5)(1)の後に得られた多孔質ウォールフロー基材を、上記の参照例6に記載されるように、(4)から得られたスラリーで、入口端部から基材軸長さの100%にわたりコーティングした。
【0304】
実施例12:FWC触媒(75g/lのTWC触媒コーティング+30g/lの酸化物成分-3.38マイクロメートルのDv90)
多孔質ウォールフロー基材、すなわち、300CPSI(セル毎平方インチ)、8ミルの壁厚、65%の平均多孔率、および17マイクロメートルの平均細孔径を有する4.664.65インチのサイズのコーディエライト基材を、1.265g/in(75g/l)の充填量のTWC触媒コーティングを塗布する前に、30g/lの充填量の酸化物成分で、以下の方法によりコーティングした:
(1)酸化物成分を、実施例10の(1)および(2)に記載されるように調製し、基材上に配置した。
(2)高表面積ガンマアルミナ(BET比表面積=144m/g;総細孔容積=0.843ml/g;平均細孔半径=109オングストローム)1344gに、8.60重量%の硝酸ロジウム(Rh(NO)水溶液155.7gを含浸させ、脱イオン水701gを添加した。Rhを含浸させたアルミナを、空気中で590℃の温度で3時間にわたりか焼して、各金属酸化物を形成した。か焼された材料を、n-オクタノール8gと、58.5重量%の硝酸バリウム(Ba(NO)122gと、21.4重量%の硝酸ジルコニウム(Zr(NO)137gとを含有する脱イオン水2098gに添加した。得られた混合物を、粒子のDv90値が4.83マイクロメートルになるように、連続粉砕装置を使用して粉砕した。
(3)3703gの酸素貯蔵化合物(OSC)に、すなわち、Ce(CeOとして計算して40重量%)とZr(ZrOとして計算して45重量%)とを含み、さらにNd、La、およびY(各々Xとして計算して合計15重量%)を含み、かつ31マイクロメートルのDv90値を有する混合酸化物に、18.74重量%の硝酸パラジウム(Pd(NO))水溶液733.8gを含浸させ、一緒に脱イオン水810gを添加した。Pdを含浸させたOSCを、590℃の温度でか焼して、各金属酸化物を形成した。か焼された材料を、n-オクタノール8gと、58.5重量%の硝酸バリウム(Ba(NO)285gと、21.4重量%の硝酸ジルコニウム(Zr(NO)205gとを含有する脱イオン水5045gに添加した。得られた混合物を、粒子のDv90値が4.91マイクロメートルになるように、上記の装置を使用して粉砕した。
(4)(2)および(3)から得られた材料を組み合わせて、最終的なTWCスラリーを形成した。スラリーの水相のpHを硝酸で3.6に調整した。最終的なスラリーは、参照例5に記載されるように測定して15.8mPa・sの粘度を有していた。
(5)(1)から得られたコーティングされた多孔質ウォールフロー基材を、上記の参照例6に記載されるように、(4)から得られたウォッシュコートで、入口端部から基材軸長さの100%にわたりコーティングした。
【0305】
実施例13:コールドフロー背圧の評価
比較例1および2ならびに実施例1および3に記載されるように得られた微粒子フィルタの背圧を、SuperFlowのコールドフローベンチSF-1020 Superbenchにおいて周囲条件で測定した。700m/時の体積流量で記録された背圧のデータを表6に報告する。
【表6】
【0306】
比較例3と比較して同じまたは低い総充填量を有する実施例10~12により得られたより高い背圧は、基材の壁にウォッシュコートが部分的に塗布されていることを示す。
【0307】
実施例14
比較例3および実施例9~11からの触媒を缶に詰めた。さらに、これらを、960℃の床温度で、密結合位置にて200時間にわたり燃料カットエージングした。エージングされた触媒を、2.0Lエンジンベンチにおいて、密結合(CC)位置にて、連邦試験手順(FTP75)のもと測定した。各触媒の後に測定された排出量の結果を表7に示す。
【表7】
【0308】
実施例10~12の触媒は、比較例3の触媒と比較して改善されたガス変換性能を示す。この実施例は、エージングされた条件下でさえ、本発明による触媒が、削減されたHC、CO、およびNOxの排出量を得ることができることを示し、このことは、本発明の触媒が、改善された熱安定性を有することを証明する。
【0309】
比較例4:本発明によるものではないFWC触媒(壁内コーティング-150g/l)
三元変換(TWC)触媒が基材壁に浸透した多孔質ウォールフロー基材を、300CPSI(セル毎平方インチ)、8ミルの壁厚、65%の平均多孔率、および17マイクロメートルの平均細孔径を有する4.666インチのサイズのコーディエライト基材において2.501g/in(150g/l)のウォッシュコート充填量で、以下の方法により調製した:
(1)高表面積ガンマアルミナ(BET比表面積=144m/g;総細孔容積=0.843ml/g;平均細孔半径=109オングストローム)2807gに、8.98重量%の硝酸ロジウム(Rh(NO)水溶液288.7gを含浸させ、脱イオン水1592gを添加した。Rhを含浸させたアルミナを、空気中で590℃の温度で3時間にわたりか焼して、各金属酸化物を形成した。か焼された材料を、n-オクタノール17gと、58.6重量%の硝酸バリウム(Ba(NO)260gと、21.0重量%の硝酸ジルコニウム(Zr(NO)297gとを含有する脱イオン水4459gに添加した。得られた混合物を、粒子のDv90値が5.86マイクロメートルになるように、連続粉砕装置を使用して粉砕した。
(2)7809gの酸素貯蔵化合物(OSC)に、すなわち、Ce(CeOとして計算して40重量%)とZr(ZrOとして計算して45重量%)とを含み、さらにNd、La、およびY(各々Xとして計算して合計15重量%)を含み、かつマイクロメートルのDv90値を有する混合酸化物に、19.23重量%の硝酸パラジウム(Pd(NO))水溶液862.3gを含浸させ、一緒に脱イオン水2149gを添加した。Pdを含浸させたOSCを、590℃の温度でか焼して、各金属酸化物を形成した。か焼された材料を、n-オクタノール17gと、58.6重量%の硝酸バリウム(Ba(NO)606gと、21.0重量%の硝酸ジルコニウム(Zr(NO)445gとを含有する脱イオン水10564gに添加した。得られた混合物を、粒子のDv90値が4.77マイクロメートルになるように、上記の装置を使用して粉砕した。
(3)(1)および(2)から得られた材料を組み合わせて、最終的なTWCスラリーを形成した。スラリーの水相のpHを硝酸で3.7に調整した。最終的なスラリーは、参照例5に記載されるように測定して20.9mPa・sの粘度を有していた。
(4)多孔質ウォールフロー基材を、参照例6に記載されるように、入口側から基材軸長さの50%+3mmを浸漬し、続いて乾燥させ、450℃で3時間にわたりか焼し、次に、出口側から基材軸長さの50%+3mmを浸漬し、続いて乾燥させることにより、(3)から得られたウォッシュコートでコーティングした。次に、コーティングされた基材を450℃で3時間にわたりか焼した。
【0310】
実施例15:FWC触媒(120g/lのTWC触媒コーティング+30g/lの酸化物成分-3.18マイクロメートルのDv90)
多孔質ウォールフロー基材、すなわち、300CPSI(セル毎平方インチ)、8ミルの壁厚、65%の平均多孔率、および17マイクロメートルの平均細孔径を有する4.666インチのサイズのコーディエライト基材を、2.009g/in(120g/l)の充填量のTWC触媒コーティングを塗布する前に、30g/lの充填量の酸化物成分で、以下の方法によりコーティングした:
(1)高表面積ガンマアルミナ(BET比表面積=149m/g;総細孔容積=0.535ml/g)5291gを、脱イオン水36706gと、n-オクタノール57gと、酢酸338gと、29.7重量%の酢酸ジルコニウム861gと、59.88重量%の酢酸バリウム434gと、79.00重量%のベーマイト1315gとを含有する水溶液に添加した。得られたスラリーのpHを酢酸で3.6に調整した。次に、スラリーを、含有粒子のDv90値が3.18マイクロメートルになるように粉砕した。スラリーの固形分は14.47重量%であった。
(2)多孔質ウォールフロー基材を、参照例6に記載されるように、(1)から得られたスラリーでコーティングした。
(3)高表面積ガンマアルミナ(BET比表面積=144m/g;総細孔容積=0.843ml/g;平均細孔半径=109オングストローム)2196gに、8.98重量%の硝酸ロジウム(Rh(NO)水溶液282.3gを含浸させ、脱イオン水1134gを添加した。Rhを含浸させたアルミナを、空気中で590℃の温度で3時間にわたりか焼して、各金属酸化物を形成した。か焼された材料を、n-オクタノール13gと、58.6重量%の硝酸バリウム(Ba(NO)203gと、21.0重量%の硝酸ジルコニウム(Zr(NO)232gとを含有する脱イオン水3497gに添加した。得られた混合物を、粒子のDv90値が5.23マイクロメートルになるように、連続粉砕装置を使用して粉砕した。
(4)6109gの酸素貯蔵化合物(OSC)に、すなわち、Ce(CeOとして計算して40重量%)とZr(ZrOとして計算して45重量%)とを含み、さらにNd、La、およびY(各々Xとして計算して合計15重量%)を含み、かつ31マイクロメートルのDv90値を有する混合酸化物に、18.74重量%の硝酸パラジウム(Pd(NO))水溶液843.3gを含浸させ、一緒に脱イオン水1573gを添加した。Pdを含浸させたOSCを、590℃の温度でか焼して、各金属酸化物を形成した。か焼された材料を、n-オクタノール13gと、58.6重量%の硝酸バリウム(Ba(NO)474gと、21.0重量%の硝酸ジルコニウム(Zr(NO)348gとを含有する脱イオン水8309gに添加した。得られた混合物を、粒子のDv90値が5.56マイクロメートルになるように、上記の装置を使用して粉砕した。
(5)(3)および(4)から得られた材料を組み合わせて、最終的なTWCスラリーを形成した。スラリーの水相のpHを硝酸で3.4に調整した。最終的なスラリーは、参照例5に記載されるように測定して15.3mPa・sの粘度を有していた。
(6)コーティングされた多孔質ウォールフロー基材を、参照例6に記載されるように、入口から基材軸長さの50%+3mmを浸漬し、続いて乾燥させ、450℃で3時間にわたりか焼することにより、(5)から得られたスラリーでコーティングし(TWC触媒コーティング)、次に、出口側から基材軸長さの50%+3mmを、(5)から得られたスラリー中に浸漬し、続いて乾燥させることにより、コーティングした(第2のTWC触媒コーティング)。次に、コーティングされた基材を450℃で3時間にわたりか焼した。
【0311】
実施例16:FWC触媒(150g/lのTWC触媒コーティング+15g/lの酸化物成分)
多孔質ウォールフロー基材、すなわち、300CPSI(セル毎平方インチ)、8ミルの壁厚、65%の平均多孔率、および17マイクロメートルの平均細孔径を有する4.666インチのサイズのコーディエライト基材を、2.501g/in(150g/l)の充填量のTWC触媒コーティングを塗布する前に、15g/lの充填量の酸化物成分で、以下の方法によりコーティングした:
(1)79.00重量%の高分散ベーマイト相水酸化アルミニウム(Dv50<0.5マイクロメートル)6670gを、脱イオン水16296gと、酢酸6gと、n-オクタノール132gとを含有する水溶液に添加した。得られた混合物を粉砕して、スラリーを均質化した。スラリーの水相のpHを硝酸で3.2に調整した。光散乱による粒径測定は、このスラリーには適用できなかった。スラリーの固形分は19.29重量%であった。
(2)多孔質ウォールフロー基材を、参照例6に記載されるように、(1)から得られたスラリーで、入口端部から出口端部へと基材軸長さの100%にわたりコーティングした。
(3)高表面積ガンマアルミナ(BET比表面積=144m/g;総細孔容積=0.843ml/g;平均細孔半径=109オングストローム)2005gに、8.98重量%の硝酸ロジウム(Rh(NO)水溶液206.2gを含浸させ、脱イオン水1219gを添加した。Rhを含浸させたアルミナを、空気中で590℃の温度で3時間にわたりか焼して、各金属酸化物を形成した。か焼された材料を、n-オクタノール12gと、58.6重量%の硝酸バリウム(Ba(NO)185gと、21.0重量%の硝酸ジルコニウム(Zr(NO)212gとを含有する脱イオン水3185gに添加した。得られた混合物を、粒子のDv90値が5.14マイクロメートルになるように、連続粉砕装置を使用して粉砕した。
(4)5525gの酸素貯蔵化合物(OSC)に、すなわち、Ce(CeOとして計算して40重量%)とZr(ZrOとして計算して50重量%)とを含み、さらにLaおよびY(各々Xとして計算して合計10重量%)を含み、かつ12.7マイクロメートルのDv90値を有する混合酸化物に、19.23重量%の硝酸パラジウム(Pd(NO))水溶液616.0gを含浸させ、一緒に脱イオン水1477gを添加した。Pdを含浸させたOSCを、590℃の温度でか焼して、各金属酸化物を形成した。か焼された材料を、n-オクタノール12gと、58.6重量%の硝酸バリウム(Ba(NO)433gと、21.0重量%の硝酸ジルコニウム(Zr(NO)318gとを含有する脱イオン水7546gに添加した。得られた混合物を、粒子のDv90値が5.51マイクロメートルになるように、上記の装置を使用して粉砕した。
(5)(3)および(4)から得られた材料を組み合わせて、最終的なTWCスラリーを形成した。スラリーの水相のpHを硝酸で3.2に調整した。最終的なスラリーは、参照例5に記載されるように測定して17.0mPa・sの粘度を有していた。
(6)(2)から得られたコーティングされた多孔質ウォールフロー基材を、参照例6に記載されるように、入口から基材軸長さの50%+3mmを浸漬し、続いて乾燥させ、450℃で3時間にわたりか焼することにより、(5)から得られたスラリーでコーティングし(TWC触媒コーティング)、次に、出口側から基材軸長さの50%+3mmを、(5)から得られたスラリー中に浸漬し、続いて乾燥させることにより、コーティングした(第2のTWC触媒コーティング)。次に、コーティングされた基材を450℃で3時間にわたりか焼した。
【0312】
実施例17:コールドフロー背圧の評価
比較例4ならびに実施例15および16に記載されるように得られた触媒の背圧を、Super FlowのコールドフローベンチSF-1020 Superbenchにおいて周囲条件で測定した。500m/時の体積流量で記録された背圧のデータを表8に報告する。
【表8】
【0313】
実施例15で得られた、比較例4と比較してより高い背圧は、基材の壁にウォッシュコートが部分的に塗布されていることを示す。
【0314】
実施例18
比較例4ならびに実施例15および16の触媒を缶に詰め、2.0L直接噴射ターボエンジンを備えたダイナミックエンジンベンチにおいて、密結合(CC)位置にて、世界軽量試験サイクル(WLTC)のもと測定した。PMPプロトコルに従った微粒子数排出量をシステム全体について測定し、濾過効率の計算のためにエンジンの粗排出量と比較した。結果を表9に示す。
【表9】
【0315】
実施例15の触媒は、比較例4と比較して改善された濾過効率を示す。実施例15で得られたより高い濾過効率は、基材の壁にウォッシュコートが部分的に塗布されていることを示す。
【0316】
実施例19
比較例4ならびに実施例15および16からの缶に詰められた触媒を、950℃の入口温度で、密結合位置にて、100時間にわたり燃料カットエージングした。エージングされた触媒を、2.0Lエンジンベンチにおいて、密結合(CC)位置にて、世界統一軽量試験サイクル(World Harmonized Light Duty Test Cycle:WLTC)のもと測定した。各触媒の後に測定された排出量の結果を表10に示す。
【表10】
【0317】
実施例15および16の触媒は、比較例4の触媒と比較して改善されたガス変換性能を示す。この実施例は、エージングされた条件下でさえ、本発明による触媒が、削減されたHC、CO、およびNOxの排出量を得ることができることを示す。これは、本発明の触媒が、改善された熱安定性を有することを証明する。
【0318】
比較例5:本発明によるものではないFWC触媒(150g/l)
三元変換(TWC)触媒が基材壁に浸透した多孔質ウォールフロー基材を、300CPSI(セル毎平方インチ)、8ミルの壁厚、63%の平均多孔率、および20マイクロメートルの平均細孔径を有する4.666インチのサイズのコーディエライト基材において2.494g/in(150g/l)のウォッシュコート充填量で、以下の方法により調製した:
(1)高表面積ガンマアルミナ(BET比表面積=144m/g;総細孔容積=0.843ml/g;平均細孔半径=109オングストローム)1629gに、8.50重量%の硝酸ロジウム(Rh(NO)水溶液174.2gを含浸させ、脱イオン水968gを添加した。Rhを含浸させたアルミナを、空気中で590℃の温度で3時間にわたりか焼して、各金属酸化物を形成した。か焼された材料を、n-オクタノール10gと、58.6重量%の硝酸バリウム(Ba(NO)148gと、21.0重量%の硝酸ジルコニウム(Zr(NO)170gとを含有する脱イオン水2548gに添加した。得られた混合物を、粒子のDv90値が5.51マイクロメートルになるように、連続粉砕装置を使用して粉砕した。
(2)4419gの酸素貯蔵化合物(OSC)に、すなわち、Ce(CeOとして計算して40重量%)とZr(ZrOとして計算して50重量%)とを含み、さらにLaおよびY(各々Xとして計算して合計10重量%)を含み、かつ12.7マイクロメートルのDv90値を有する混合酸化物に、18.48重量%の硝酸パラジウム(Pd(NO))水溶液513.0gを含浸させ、一緒に脱イオン水1168gを添加した。Pdを含浸させたOSCを、590℃の温度でか焼して、各金属酸化物を形成した。か焼された材料を、n-オクタノール10gと、58.6重量%の硝酸バリウム(Ba(NO)346gと、21.0重量%の硝酸ジルコニウム(Zr(NO)255gとを含有する脱イオン水6036gに添加した。得られた混合物を、粒子のDv90値が5.98マイクロメートルになるように、上記の装置を使用して粉砕した。
(3)(1)および(2)から得られた材料を組み合わせて、最終的なTWCスラリーを形成した。スラリーのpHを硝酸で3.2に調整した。最終的なスラリーは、参照例5に記載されるように測定して18.5mPa・sの粘度を有していた。
(4)多孔質ウォールフロー基材を、参照例6に記載されるように、入口側から基材軸長さの50%+3mmを浸漬し、続いて乾燥させ、450℃で3時間にわたりか焼し、次に、出口側から基材軸長さの50%+3mmを浸漬し、続いて乾燥させることにより、(3)から得られたウォッシュコートでコーティングした。次に、コーティングされた基材を450℃で3時間にわたりか焼した。
【0319】
実施例20:FWC触媒(120g/lのTWC触媒コーティング+30g/lの酸化物成分)
多孔質ウォールフロー基材、すなわち、300CPSI(セル毎平方インチ)、8ミルの壁厚、63%の平均多孔率、および20マイクロメートルの平均細孔径を有する4.666インチのサイズのコーディエライト基材を、2.009g/in(120g/l)の充填量のTWC触媒コーティングを塗布する前に、30g/lの充填量の酸化物成分で、以下の方法によりコーティングした:
(1)79.40重量%の高分散ベーマイト相水酸化アルミニウム(Dv50<0.5マイクロメートル)6367gを、脱イオン水13553gと、n-オクタノール150gとを含有する水溶液に添加した。得られた混合物を粉砕して、スラリーを均質化して得た。スラリーの水相のpHを硝酸で3.8に調整した。光散乱による粒径測定は、この溶液には適用できなかった。スラリーの固形分は23.88重量%であった。(2)多孔質ウォールフロー基材を、参照例6に記載されるように、(1)から得られたスラリーで、入口端部から基材軸長さの100%にわたりコーティングした。
(3)高表面積ガンマアルミナ(BET比表面積=144m/g;総細孔容積=0.843ml/g;平均細孔半径=109オングストローム)3546gに、8.50重量%の硝酸ロジウム(Rh(NO)水溶液474.2gを含浸させ、脱イオン水2072gを添加した。Rhを含浸させたアルミナを、空気中で590℃の温度で3時間にわたりか焼して、各金属酸化物を形成した。か焼された材料を、n-オクタノール21gと、58.6重量%の硝酸バリウム(Ba(NO)323gと、21.0重量%の硝酸ジルコニウム(Zr(NO)370gとを含有する脱イオン水5562gに添加した。得られた混合物を、粒子のDv90値が5.62マイクロメートルになるように、連続粉砕装置を使用して粉砕した。
(4)9625gの酸素貯蔵化合物(OSC)に、すなわち、Ce(CeOとして計算して40重量%)とZr(ZrOとして計算して50重量%)とを含み、さらにLaおよびY(各々Xとして計算して合計10重量%)を含み、かつ12.7マイクロメートルのDv90値を有する混合酸化物に、18.48重量%の硝酸パラジウム(Pd(NO))水溶液1396.6gを含浸させ、一緒に脱イオン水2365gを添加した。Pdを含浸させたOSCを、590℃の温度でか焼して、各金属酸化物を形成した。か焼された材料を、n-オクタノール21gと、58.6重量%の硝酸バリウム(Ba(NO)754gと、21.0重量%の硝酸ジルコニウム(Zr(NO)555gとを含有する脱イオン水13217gに添加した。得られた混合物を、粒子のDv90値が5.32マイクロメートルになるように、上記の装置を使用して粉砕した。
(5)(3)および(4)から得られた材料を組み合わせて、最終的なTWCスラリーを形成した。スラリーの水相のpHを硝酸で3.6に調整した。最終的なスラリーは、参照例5に記載されるように測定して26.3mPa・sの粘度を有していた。
(6)(2)から得られたコーティングされた多孔質ウォールフロー基材を、参照例6に記載されるように、入口から基材軸長さの50%+3mmを浸漬し、続いて乾燥させ、450℃で3時間にわたりか焼することにより、(5)から得られたスラリーでコーティングし(TWC触媒コーティング)、次に、出口側から基材軸長さの50%+3mmを、(5)から得られたスラリー中に浸漬し、続いて乾燥させることにより、コーティングした(第2のTWC触媒コーティング)。次に、コーティングされた基材を450℃で3時間にわたりか焼した。
【0320】
実施例21:FWC触媒(120g/lのTWC触媒コーティング+30g/lの酸化物成分-4.51マイクロメートルのDv90)
多孔質ウォールフロー基材、すなわち、300CPSI(セル毎平方インチ)、8ミルの壁厚、63%の平均多孔率、および20マイクロメートルの平均細孔径を有する4.666インチのサイズのコーディエライト基材を、2.009g/in(150g/l)の充填量のTWC触媒コーティングを塗布する前に、30g/lの充填量の酸化物成分で、以下の方法によりコーティングした:
(1)高表面積ガンマアルミナ(BET比表面積=149m/g;総細孔容積=0.535ml/g)4516gを、脱イオン水10527gと、n-オクタノール40gと、酢酸288gと、30.34重量%の酢酸ジルコニウム608gと、59.84重量%の酢酸バリウム309gとを含有する水溶液に添加した。得られたスラリーの水相のpHを硝酸で3.4に調整した。次に、スラリーを、含有粒子のDv90値が4.51マイクロメートルになるように粉砕した。スラリーの固形分は19.65重量%であった。(2)(1)から得られたスラリーを、参照例6に記載されるように、入口端部から基材軸長さの100%にわたりコーティングした。
(3)(2)から得られた多孔質ウォールフロー基材を、実施例20の(6)に記載されるように、実施例20の(3)~(5)から得られたTWCスラリーでコーティングした。
【0321】
実施例22:FWC触媒(120g/lのTWC触媒コーティング+30g/lの酸化物成分-4.83マイクロメートルのDv90)
多孔質ウォールフロー基材、すなわち、300CPSI(セル毎平方インチ)、8ミルの壁厚、63%の平均多孔率、および20マイクロメートルの平均細孔径を有する4.666インチのサイズのコーディエライト基材を、2.009g/in(150g/l)の充填量のTWC触媒コーティングを塗布する前に、30g/lの充填量の酸化物成分で、以下の方法によりコーティングした:
(1)高表面積ガンマアルミナ(BET比表面積=80m/g;総細孔容積=0.42ml/g)4765gを、脱イオン水10905gと、n-オクタノール42gと、酢酸114gと、30.34重量%の酢酸ジルコニウム634gと、59.84重量%の酢酸バリウム321gとを含有する水溶液に添加した。得られたスラリーの水相のpHを硝酸で3.8に調整した。次に、スラリーを、含有粒子のDv90値が4.83マイクロメートルになるように粉砕した。スラリーの固形分は19.20重量%であった。(2)多孔質ウォールフロー基材を、参照例6に記載されるように、(1)から得られたスラリーで、入口側から基材軸長さの100%にわたりコーティングした。
(3)(2)から得られた多孔質ウォールフロー基材を、実施例20の(6)に記載されるように、実施例20の(3)~(5)から得られたTWCスラリーでコーティングした。
【0322】
実施例23:コールドフロー背圧の評価
比較例5ならびに実施例20~22に記載されるように得られた触媒の背圧を、SuperFlowのコールドフローベンチSF-1020 Superbenchにおいて周囲条件で測定した。600m/時の体積流量で記録された背圧のデータを表11に報告する。
【表11】
【0323】
実施例20~22で得られた、比較例5と比較してより高い濾過効率は、基材の壁にウォッシュコートが部分的に塗布されていることを示す。
【0324】
実施例24
比較例5および実施例20~22からの缶に詰められた触媒を、950℃の入口温度で、密結合位置にて、100時間にわたり燃料カットエージングした。エージングされた缶を、2.0Lエンジンベンチにおいて、密結合(CC)位置にて、世界軽量試験サイクル(WLTC)のもと測定した。各触媒の後に測定された排出量の結果を表12に示す。
【表12】
【0325】
実施例20~22の触媒は、比較例5の触媒と比較して改善されたガス変換性能を示す。この実施例は、エージングされた条件下でさえ、本発明による触媒が、削減されたHC、CO、およびNOxの排出量を得ることができることを示す。これは、本発明の触媒が、改善された熱安定性を有することを証明している。
【0326】
実施例25
比較例5および実施例20~22の触媒を缶に詰め、2.0L直接噴射ターボエンジンを備えたダイナミックエンジンベンチにおいて、密結合(CC)位置にて、世界軽量試験サイクル(WLTC)のもと測定した。PMPプロトコルに従った微粒子数排出量をシステム全体について測定し、濾過効率の計算のためにエンジンの粗排出量と比較した。結果を表13に示す。
【表13】
【0327】
実施例20および21の触媒は、比較例5の触媒と比較して改善された濾過効率を示す。
【0328】
比較例6:本発明によるものではないFWC触媒(100g/l)
三元変換(TWC)触媒が基材壁に浸透した多孔質ウォールフロー基材を、300CPSI(セル毎平方インチ)、8ミルの壁厚、65%の平均多孔率、および17マイクロメートルの平均細孔径を有する4.664インチのサイズのコーディエライト基材において1.639g/in(100g/l)のウォッシュコート充填量で、以下の方法により調製した:
(1)高表面積ガンマアルミナ(BET比表面積=144m/g;総細孔容積=0.843ml/g;平均細孔半径=109オングストローム)1598gに、7.27重量%の硝酸ロジウム(Rh(NO)水溶液243.6gを含浸させ、脱イオン水891gを添加した。Rhを含浸させたアルミナを、空気中で590℃の温度で3時間にわたりか焼して、各金属酸化物を形成した。か焼された材料を、n-オクタノール10gと、58.6重量%の硝酸バリウム(Ba(NO)148gと、21.0重量%の硝酸ジルコニウム(Zr(NO)169gとを含有する脱イオン水2543gに添加した。得られた混合物を、粒子のDv90値が5.76マイクロメートルになるように、連続粉砕装置を使用して粉砕した。
(2)4433gの酸素貯蔵化合物(OSC)に、すなわち、Ce(CeOとして計算して40重量%)とZr(ZrOとして計算して50重量%)とを含み、さらにLaおよびY各々(Xとして計算して合計10重量%)を含む混合酸化物に、17.99重量%の硝酸パラジウム(Pd(NO))水溶液639gを含浸させ、一緒に脱イオン水1123gを添加した。Pdを含浸させたOSCを、590℃の温度でか焼して、各金属酸化物を形成した。か焼された材料を、n-オクタノール10gと、58.6重量%の硝酸バリウム(Ba(NO)345gと、21.0重量%の硝酸ジルコニウム(Zr(NO)254gとを含有する脱イオン水6042gに添加した。得られた混合物を、粒子のDv90値が5.27マイクロメートルになるように、上記の装置を使用して粉砕した。
(3)(1)および(2)から得られた材料を組み合わせて、最終的なTWCスラリーを形成した。スラリーのpHを硝酸で3.2に調整した。最終的なスラリーは、参照例5に記載されるように測定して28.6mPa・sの粘度を有していた。
(4)多孔質ウォールフロー基材を、参照例6に記載されるように、入口側から基材軸長さの50%+3mmを浸漬し、続いて乾燥させ、450℃で3時間にわたりか焼し、次に、出口側から基材軸長さの50%+3mmを浸漬し、続いて乾燥させることにより、(3)から得られたウォッシュコートでコーティングした。次に、コーティングされた基材を450℃で3時間にわたりか焼した。
【0329】
実施例26:FWC触媒(70g/lのTWC触媒コーティング+30g/lの酸化物成分-4.85マイクロメートルのDv90)
多孔質ウォールフロー基材、すなわち、300CPSI(セル毎平方インチ)、8ミルの壁厚、65%の平均多孔率、および17マイクロメートルの平均細孔径を有する4.664インチのサイズのコーディエライト基材を、1.148g/in(70g/l)の充填量のTWC触媒コーティングを塗布する前に、30g/lの充填量の酸化物成分で、以下の方法によりコーティングした:
(1)高表面積ガンマアルミナ(BET比表面積=149m/g;総細孔容積=0.535ml/g)4233gを、脱イオン水9867gと、n-オクタノール38gと、59.93重量%の酢酸バリウム289gとを含有する水溶液に添加した。得られたスラリーの水相のpHを硝酸で3.3に調整した。次に、スラリーを、含有粒子のDv90値が4.85マイクロメートルになるように粉砕した。スラリーの固形分は28.89重量%であった。
(2)多孔質ウォールフロー基材を、参照例6に記載されるように、(1)から得られたスラリーで、入口端部から基材軸長さの100%にわたりコーティングした。
(3)高表面積ガンマアルミナ(BET比表面積=144m/g;総細孔容積=0.843ml/g;平均細孔半径=109オングストローム)1287gに、7.27重量%の硝酸ロジウム(Rh(NO)水溶液280.2gを含浸させ、脱イオン水669gを添加した。Rhを含浸させたアルミナを、空気中で590℃の温度で3時間にわたりか焼して、各金属酸化物を形成した。か焼された材料を、n-オクタノール8gと、58.6重量%の硝酸バリウム(Ba(NO)119gと、21.0重量%の硝酸ジルコニウム(Zr(NO)136gとを含有する脱イオン水2058gに添加した。得られた混合物を、粒子のDv90値が4.98マイクロメートルになるように、連続粉砕装置を使用して粉砕した。
(4)3558gの酸素貯蔵化合物(OSC)に、すなわち、Ce(CeOとして計算して40重量%)とZr(ZrOとして計算して50重量%)とを含み、さらにLaおよびY(各々Xとして計算して合計10重量%)を含み、かつ12.7マイクロメートルのDv90値を有する混合酸化物に、17.99重量%の硝酸パラジウム(Pd(NO))水溶液735.8gを含浸させ、一緒に脱イオン水733gを添加した。Pdを含浸させたOSCを、590℃の温度でか焼して、各金属酸化物を形成した。か焼された材料を、n-オクタノール8gと、58.6重量%の硝酸バリウム(Ba(NO)278gと、21.0重量%の硝酸ジルコニウム(Zr(NO)204gとを含有する脱イオン水4920gに添加した。得られた混合物を、粒子のDv90値が5.25マイクロメートルになるように、上記の装置を使用して粉砕した。
(5)(3)および(4)から得られた材料を組み合わせて、最終的なTWCスラリーを形成した。スラリーの水相のpHを硝酸で3.5に調整した。最終的なスラリーは、参照例5に記載されるように測定して10.3mPa・sの粘度を有していた。
(6)(2)から得られたコーティングされた多孔質ウォールフロー基材を、参照例6に記載されるように、入口から基材軸長さの100%を浸漬し、続いて乾燥させ、450℃で3時間にわたりか焼することにより、(5)から得られたスラリーでコーティングした(TWC触媒コーティング)。次に、コーティングされた基材を450℃で3時間にわたりか焼した。
【0330】
実施例27:FWC触媒(70g/lのTWC触媒コーティング+30g/lの酸化物成分-4.85マイクロメートルのDv90)
多孔質ウォールフロー基材、すなわち、300CPSI(セル毎平方インチ)、8ミルの壁厚、65%の平均多孔率、および17マイクロメートルの平均細孔径を有する4.664インチのサイズのコーディエライト基材を、1.148g/in(70g/l)の充填量のTWC触媒コーティングを塗布する前に、30g/lの充填量の酸化物成分で、以下の方法によりコーティングした:
(1)多孔質ウォールフロー基材を、参照例6に記載されるように、実施例26の(1)から得られたスラリーで、入口端部から基材軸長さの100%にわたりコーティングした。
(2)高表面積ガンマアルミナ(BET比表面積=144m/g;総細孔容積=0.843ml/g;平均細孔半径=109オングストローム)1287gに、7.27重量%の硝酸ロジウム(Rh(NO)水溶液280.2gを含浸させ、脱イオン水669gを添加した。Rhを含浸させたアルミナを、空気中で590℃の温度で3時間にわたりか焼して、各金属酸化物を形成した。か焼された材料を、n-オクタノール8gと、58.6重量%の硝酸バリウム(Ba(NO)119gと、21.0重量%の硝酸ジルコニウム(Zr(NO)136gとを含有する脱イオン水2058gに添加した。得られた混合物を、粒子のDv90値が13.15マイクロメートルになるように、連続粉砕装置を使用して粉砕した。
(3)3558gの酸素貯蔵化合物(OSC)に、すなわち、Ce(CeOとして計算して40重量%)とZr(ZrOとして計算して50重量%)とを含み、さらにLaおよびY(各々Xとして計算して合計10重量%)を含み、かつ12.7マイクロメートルのDv90値を有する混合酸化物に、17.99重量%の硝酸パラジウム(Pd(NO))水溶液735.8gを含浸させ、一緒に脱イオン水733gを添加した。Pdを含浸させたOSCを、590℃の温度でか焼して、各金属酸化物を形成した。か焼された材料を、n-オクタノール8gと、58.6重量%の硝酸バリウム(Ba(NO)278gと、21.0重量%の硝酸ジルコニウム(Zr(NO)204gとを含有する脱イオン水4920gに添加した。得られた混合物を、粒子のDv90値が13.13マイクロメートルになるように、上記の装置を使用して粉砕した。
(4)(3)および(4)から得られた材料を組み合わせて、最終的なTWCスラリーを形成した。スラリーの水相のpHを硝酸で3.7に調整した。最終的なスラリーは、参照例5に記載されるように測定して8.82mPa・sの粘度を有していた。
(5)(2)から得られたコーティングされた多孔質ウォールフロー基材を、参照例5に記載されるように、入口から基材軸長さの100%を浸漬し、続いて乾燥させ、450℃で3時間にわたりか焼することにより、(5)から得られたスラリーでコーティングした(TWC触媒コーティング)。次に、コーティングされた基材を450℃で3時間にわたりか焼した。
【0331】
実施例28
比較例6ならびに実施例26および27の触媒を缶に詰め、2.0L直接噴射ターボエンジンを備えたダイナミックエンジンベンチにおいて、密結合(CC)位置にて、世界軽量試験サイクル(WLTC)のもと測定した。PMPプロトコルに従った微粒子数排出量をシステム全体について測定し、濾過効率の計算のためにエンジンの粗排出量と比較した。結果を表14に示す。
【表14】
【0332】
実施例27の触媒は、比較例6の触媒と比較して改善された濾過効率を示す。これは、基材の入口通路の壁にウォッシュコートが部分的に塗布されていることを示す。
【0333】
実施例29:コールドフロー背圧の評価
比較例6ならびに実施例26および27に記載されるように得られた触媒の背圧を、SuperFlowのコールドフローベンチSF-1020 Superbenchにおいて周囲条件で測定した。500m/時の体積流量で記録された背圧のデータを表15に報告する。
【表15】
【0334】
実施例27から得られた、比較例6と比較してより高い背圧は、基材の壁にウォッシュコートが部分的に塗布されていることを示す。実施例26で得られた背圧は、比較例6で得られた背圧に類似しており、これは、主に壁内コーティングを示す。
【0335】
実施例30
実施例21からの新しい触媒を走査型電子顕微鏡法(SEM)により調べた。実施例30の結果を図3に示す。図3において、矢印a)およびb)は、触媒ウォッシュコート(TWC)を示し、矢印c)は、細孔内の酸化物成分を示す。ウォッシュコートが主にフィルタ壁の上に位置しており、その一方で、酸化物成分がフィルタ壁内に分布していることがはっきりと分かる。
【図面の簡単な説明】
【0336】
図1】実施例3の四元変換触媒の電子マイクロプローブ分析(EMPA)を示す。
図2】比較例1の四元変換触媒の電子マイクロプローブ分析(EMPA)を示す。
図3】実施例21の四元変換触媒の走査型電子顕微鏡写真(SEM)を示す。
【0337】
引用文献
-US8815189B2
-WO2018/024546A1
-WO2018/024547A1
図1
図2
図3