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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-05
(45)【発行日】2024-04-15
(54)【発明の名称】缶胴の溶接
(51)【国際特許分類】
   B23K 37/053 20060101AFI20240408BHJP
   B23K 11/06 20060101ALI20240408BHJP
   B23K 11/25 20060101ALI20240408BHJP
【FI】
B23K37/053 C
B23K11/06 102
B23K11/25
【請求項の数】 25
(21)【出願番号】P 2021513440
(86)(22)【出願日】2019-09-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-04
(86)【国際出願番号】 GB2019052595
(87)【国際公開番号】W WO2020058683
(87)【国際公開日】2020-03-26
【審査請求日】2022-09-06
(31)【優先権主張番号】1815121.7
(32)【優先日】2018-09-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】598168106
【氏名又は名称】クラウン パッケージング テクノロジー、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】マーティンス,ジョアン フェルナンド ファニコ
(72)【発明者】
【氏名】ソリス,マーク デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】アーネル,ステファン ロバート
【審査官】岩見 勤
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0343507(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第00381312(EP,A1)
【文献】特開昭63-281711(JP,A)
【文献】特開2003-214518(JP,A)
【文献】特開2002-103045(JP,A)
【文献】特開2004-243410(JP,A)
【文献】特開平11-285840(JP,A)
【文献】特開平05-245652(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 37/053
B23K 11/06
B23K 11/25
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状の缶胴に沿って延在するシームを溶接するために用いられる溶接ステーションを制御するための装置であって、前記溶接ステーションが、一対の溶接ロールと、溶接中にシリンダの所望のーバーラップを生じさせるための較正ユニットとを含み、前記較正ユニットが、少なくとも3つの異なる調整軸に沿って調整可能であり、前記装置が、
溶接されているシームを監視して、前記シームの長さに沿った一連の所定のポイントにおける溶接厚さを示す電気信号を提供するように構成された溶接モニタと、
前記電気信号を受信し、且つ、前記信号に応答して1以上の制御電気信号を生成するように構成されたコントローラと、
前記較正ユニットに接続されるための、又は前記較正ユニットの一部を形成するための複数の調整機構と、を備え、前記調整機構が、前記制御電気信号(複数可)を受信するように構成され、且つ、前記制御電気信号(複数可)に応答して前記較正ユニットを、前記3つの調整軸のうちの1以上に対して調整して、前記シリンダの前記所望のーバーラップ及び/又は所望の溶接品質を提供するように構成されている前記装置。
【請求項2】
前記溶接厚さを示す信号が、前記溶接ロールの一方又は両方の回転軸の変位を示す信号から導出される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記溶接厚さを示す信号が、前記溶接ロールの偏心、及び/又は、前記溶接ロールと溶接されるべき前記シリンダとの間に位置する消耗ワイヤのプロファイルの変化に対する補償を含む、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記溶接厚さを示す信号が、一連の溶接された缶胴における前記一連の所定のポイントの平均又はその他の統計的に導出された溶接厚さを示す信号である、請求項1~3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
少なくとも4つの所定のポイントが連続して存在し、これらが、任意選択的に、前記シリンダのリーディング端、前記シームの長さの中央、前記シリンダのトレーリング端、及びフリップ位置を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記電気信号が、さらに、前記シームの長さ全体に沿って平均化された溶接厚さを示している、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記コントローラが決定システムを含み、前記決定システムが、前記電気信号と、前記調整機構のうちの1以上の現在位置とを含む入力を受信するように構成され、且つ、前記調整機構のうちの1以上に対する必要な調整を出力として計算するように構成されている、請求項1~6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記決定システムが、前記一連の所定のポイントの各々における溶接厚さを、そのポイントの目標溶接厚さと比較し、前記所定のポイントの1以上が前記目標溶接厚さから逸脱している場合にその逸脱を修正するために必要な調整を計算するように構成されている、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記調整機構が、御信号(複数可)に応答して、前記溶接ステーションを通る前記シリンダの移動方向に対する前記較正ユニットのローラの半径方向位置と;各溶接ロールの中心を通る線に垂直な調整軸に沿った、前記較正ユニットの長手方向位置と;前記ローラの半径方向位置及び前記較正ユニットの長手方向位置の組合せとを調整する、請求項1~8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記調整機構の1つが、御信号(複数可)に応答して、前記較正ユニットの鉛直方向位置を、各溶接ロールの中心を通る線に平行な調整軸に沿って調整する、請求項1~9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記調整機構の1つが、前記較正ユニットのローラの前記半径方向位置を、符号化されたモータ及びギアボックスを用いて動作可能な協働二重ねじシステムを使用して調整するように構成されている、請求項に記載の装置。
【請求項12】
前記コントローラが、閉ループコントローである、請求項1~11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載の装置を含む溶接ステーションであり、所望の溶接品質を維持するように構成された閉ループ制御システムを組み込んでいる、溶接ステーション。
【請求項14】
円筒状の缶胴に沿って延在するシームを溶接するために使用される溶接ステーションを制御する方法であって、前記溶接ステーションが、一対の溶接ロールと、溶接中にシリンダの所望のーバーラップを生じさせるための較正ユニットとを含み、前記方法が、
溶接されているシームを監視して、シームの長さに沿った一連の所定のポイントにおける溶接厚さを示す電気信号を提供するステップと、
前記溶接されているシームの溶接品質を示す前記電気信号に応答して1以上の制御電気信号を生成するステップと、
前記1以上の制御電気信号を、3つの調整軸のうちの1以上に対して前記較正ユニットを調整するように構成された複数の調整機構のうちの1以上に提供し、それにより前記シリンダの前記所望のーバーラップを生じさせるステップと、を含む、方法。
【請求項15】
前記溶接厚さを示す信号が、前記溶接ロールの一方又は両方の回転軸の変位を示す信号から導出される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記溶接厚さを示す信号が、前記溶接ロールの偏心、及び/又は、前記溶接ロールと溶接されるべき前記シリンダとの間に位置する消耗ワイヤのプロファイルの変化に対する補償を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記溶接厚さを示す信号が、一連の溶接された缶胴における前記一連の所定のポイントの平均又はその他の統計的に導出された溶接厚さを示す信号である、請求項14~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
4つの所定のポイントが連続して存在し、これらが、任意選択的に、前記シリンダのリーディング端、前記シームの中央、前記シリンダのトレーリング端、及びフリップ位置を含む、請求項14~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
電気信号が、さらに、前記シームの全体に沿って平均化された溶接厚さを示す、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記1以上の制御電気信号を生成するステップが、前記調整機構のうちの1以上の位置に関する電気信号及び入力を受信して、前記調整機構のうちの1以上に対する必要な調整を出力として計算するステップを含む、請求項14~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記1以上の制御電気信号を生成するステップが、一連の所定のポイントの各々における溶接厚さを、そのポイントの目標溶接厚さと比較し、前記所定のポイントの1以上が前記目標溶接厚さから逸脱している場合に、その逸脱を修正するために必要な調整を出力として計算するステップを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記調整機構が、御信号(複数可)に応答して、前記溶接ステーションを通る前記シリンダの移動方向に対する前記較正ユニットのローラの半径方向位置と;各溶接ロールの中心を通る線に垂直な調整軸に沿った、前記較正ユニットの長手方向位置と;前記ローラの半径方向位置及び前記較正ユニットの長手方向位置の組合せと、を調整する、請求項14~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記調整機構の1つが、御信号(複数可)に応答して、前記較正ユニットの鉛直方向位置を、各溶接ロールの中心を通る線に平行な調整軸に沿って調整する、請求項14~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記調整機構の1つが、前記較正ユニットのローラの前記半径方向位置を、符号化されたモータ及びギアボックスを用いて動作可能な協働二重ねじシステムを使用して調整する、請求項2に記載の方法。
【請求項25】
溶接厚さの閉ループ制御を提供する、請求項14~24のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、缶胴の溶接に関するものであり、具体的には、溶接されているシームの品質を、溶接プロセスの閉ループフィードバック及び調整を提供することにより監視及び制御するための方法及び装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
典型的な3ピース缶は、円筒形の缶胴(can body)を含み、上端及び下端が缶胴に継ぎ合わせ(シーム)されている。缶胴は、平坦な矩形のブランクを、ブランクの縁が重なり合うように丸めてシリンダ(円筒体)にすることにより形成される。次いで、シリンダは、缶胴の長手方向シームが溶接されるように、対向する溶接ロールに通される。溶接ロールは電極として機能し、シリンダ金属に大電流を流して、シリンダの重なり合った端部を、間隔を有し且つ重なり合った(spaced yet overlapping)一連の溶接ナゲットにて互いに溶接する。一般的には、平坦化された銅線が溶接ロールの各々の周囲に配置されて、溶接ロールの表面を保護するための犠牲電極として機能する。典型的なセットアップにおいて、連続した銅線が溶接ロールの第1溶接ロールに供給され、次いで第2溶接ロールに供給される。第1溶接ロールから第2溶接ロールへの移動の過程で、シリンダに露出されている銅の側面が逆にされる。ワイヤは、第2溶接ロールを離れた後に切断されて廃棄される。
【0003】
一対の溶接ロールを含み、一般的にその一方が駆動される溶接ステーションは、また、シリンダを溶接ロールにガイドする、いわゆるZバーを含み得る。Zバーは、シリンダの端部が溶接ロールの手前で適切なオーバーラップ(重なり)構造にされるように構成されている。シリンダは、駆動チェーンに埋め込まれたプッシャのセット又は機械的なプッシュシステムにより、Zバーに沿って溶接ステーションに押し込まれる。較正ユニットが、Zバーの端部と溶接ロールとの間に配置されており、シリンダが溶接ロールに入る際に、シリンダの最終直径、そしてそれにより、シリンダ縁のオーバーラップ量を制御する。典型的な較正ユニットは、金属シリンダの移動軸を中心として配置されたローラのセット(例えば7個)を含む。これらのローラの面が一緒に、この軸を中心とした円形の通路を画成している。1以上のローラを半径方向に移動させることが可能なことにより、通路の円周を調整できる。この調整は、通常、手動で行われる。
【0004】
十分で且つ一定の溶接品質を維持することが、いかなる缶の生産ラインにおいても非常に重要であることは明らかである。品質は、通常、溶接厚さに関係する。溶接が薄過ぎると製品が漏れやすくなり、且つ/又は容易に破損する、一方、溶接が厚過ぎると材料の使用が効率的でなくなり、従って製品コストが増大する。また、溶接が薄過ぎると溶接が脆弱になり過ぎ、その他の溶接の欠陥も生じさせる。一方、溶接が厚過ぎると、シリンダが漏れやすくなる。
【0005】
溶接厚さは、シリンダ本体のオーバーラップの程度に関係している。オーバーラップが少なければ溶接厚さが減少し、オーバーラップが大きければ溶接厚さが増大する。溶接ロールにて受け入れられる材料の量が多いほど抵抗が大きくなり、従って、同一の電流及び加えられる力により達成される「マッシュ」の程度(すなわち、溶接前と溶接後との材料の厚さの変化)が減少するであろう。標準的なオーバーラップは、0.4mm~0.5mmの範囲であり得る。一般的に、結果として得られる溶接の厚さは、入ってくる金属板の厚さの約1.4倍になる。
【0006】
伝統的に、溶接厚さの検査は、製造された缶胴を手動の目視検査することにより行われていた。オーバーラップ量及び押し出し量を補正するために調整を行うことはできるが、適切な技能や溶接プロセスの明確な理解に乏しいようなユーザが不適切な調整を行うことも多い。すると、調整方法は試行錯誤のプロセスになる。また、手動での調整は機械のダウンタイムをもたらすことが多いため、生産性を低下させる。しかし、調整プロセスを制御又は補助するための数々の既知の方法がある。
【0007】
特許文献1は、溶接品質を監視するための溶接モニタを記載しており、このモニタは、溶接ロールにおける電圧、又は、各溶接ナゲットにより吸収された平均電力(溶接電力)の測定に依存する。その結果がライン作業者にグラフィカルディスプレイ上で提示され得る。作業者は、所望の溶接品質を達成するために、経験に基づいて較正ユニットの調整ができる。この技術分野に関連するその他の刊行物は、以下のものを含む、すなわち、溶接プロセス中に消費される相対的な電力を測定するための装置を記載した特許文献2、及び、電気溶接、特に3ピース缶用の管状体の長手方向シームの交流抵抗溶接に関する特許文献3である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】欧州特許出願公開第0465038号明細書
【文献】米国特許第4376884号明細書
【文献】米国特許第4449028号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、溶接モニタなどのシステムからのデータ、機械設定、データム位置を集めて処理する方法及び装置を提供することであり、この方法及び装置は、これらのデータを処理して較正ユニットのための修正調整に利用し、この修正調整により、所望の溶接品質が、手動入力をせずに又は最小限にして自動的に保証される。その結果、本発明の実施形態は、所与の溶接品質のために、必要なシャットダウンを少なくする缶の生産ラインをもたらし得る。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の態様によれば、円筒状の缶胴に沿って延在するシームを溶接するために用いられる溶接ステーションを制御するための装置が提供され、前記溶接ステーションは、一対の溶接ロールと、溶接中に所望のシリンダオーバーラップを生じさせるための較正ユニットとを含み、前記較正ユニットは、少なくとも3つの異なる調整軸に沿って調整可能である。前記装置は、溶接されているシームを監視して、前記シームの長さに沿った一連の所定のポイントにおける溶接厚さを示す電気信号を提供するように構成された溶接モニタと;前記電気信号を受信し、且つ、前記信号に応答して1以上の制御電気信号を生成するように構成されたコントローラと;前記較正ユニットに接続されるための、又は前記較正ユニットの一部を形成するための複数の調整機構と、を備え、前記調整機構は、前記制御電気信号(複数可)を受信するように構成され、且つ、前記制御電気信号(複数可)に応答して前記較正ユニットを前記3つの調整軸のうちの1以上に対して調整して、前記所望のシリンダオーバーラップ及び/又は所望の溶接品質を提供するように構成されている。
【0011】
前記溶接厚さを示す信号は、前記溶接ロールの一方又は両方の回転軸の変位を示す信号から導出され得る。前記溶接厚さを示す信号は、前記溶接ロールの偏心、及び/又は、前記溶接ロールと溶接されるべきシリンダとの間に位置する消耗ワイヤのプロファイルの変化に対する補償を含み得る。
【0012】
前記溶接厚さを示す信号は、一連の溶接された缶胴における前記一連の所定のポイントの平均又はその他の統計的に導出された溶接厚さを示す信号であり得る。
【0013】
少なくとも4つの所定のポイントが連続して存在し得る。これらは、任意選択的に、前記シリンダのリーディング端、前記シームの長さの中央、前記シリンダのトレーリング端、及びフリップ位置を含む。
【0014】
前記電気信号は、さらに、前記シームの長さ全体に沿って平均化された溶接厚さを示し得る。
【0015】
前記コントローラは決定システムを含み得、前記決定システムは、前記電気信号と、前記調整機構のうちの1以上の現在位置とを含む入力を受信するように構成され、且つ、前記調整機構のうちの1以上に対する必要な調整を出力として計算するように構成されている。前記決定システムは、前記一連の所定のポイントの各々における溶接厚さを、そのポイントの目標溶接厚さと比較し、前記所定のポイントの1以上が前記目標溶接厚さから逸脱している場合にその逸脱を修正するために必要な調整を計算するように構成され得る。
【0016】
前記調整機構は、前記制御信号(複数可)に応答して、前記溶接ステーションを通る前記シリンダの移動方向に対する前記較正ユニットのローラの半径方向位置と;各溶接ロールの中心を通る線に垂直な調整軸に沿った、前記較正ユニットの長手方向位置と;前記ローラの半径方向位置及び前記較正ユニットの長手方向位置の組合せと、を調整し得る。
【0017】
前記調整機構の1つが、前記制御信号(複数可)に応答して、前記較正ユニットの鉛直方向位置を、各溶接ロールの中心を通る線に平行な調整軸に沿って調整し得る。
【0018】
前記調整機構の1つが、前記較正ユニットのローラの前記半径方向位置を、符号化された(encoded)モータ及びギアボックスを用いて動作可能な協働二重ねじシステムを使用して調整するように構成され得る。
【0019】
前記コントローラは、閉ループコントローラ、例えば比例-積分-微分コントローラであり得る。
【0020】
本発明の第2の態様によれば、上述の第1の態様の装置を含む溶接ステーションが提供され、従って、当該ステーションは、所望の溶接品質を維持するための閉ループ制御システムを組み込んでいる。
【0021】
本発明の第3の態様によれば、円筒状の缶胴に沿って延在するシームを溶接するために使用される溶接ステーションを制御する方法が提供され、前記溶接ステーションは、一対の溶接ロールと、溶接中に所望のシリンダオーバーラップを生じさせるための較正ユニットとを含む。前記方法は、溶接されているシームを監視して、シームの長さに沿った一連の所定のポイントにおける溶接厚さを示す電気信号を提供するステップと;前記溶接されているシームの溶接品質を示す前記電気信号に応答して1以上の制御電気信号を生成するステップと;前記1以上の制御電気信号を、3つの調整軸のうちの1以上に対して前記較正ユニットを調整するように構成された複数の調整機構のうちの1以上に提供し、それにより前記所望のシリンダオーバーラップを生じさせるステップと、を含む。
【0022】
前記溶接厚さを示す信号は、前記溶接ロールの一方又は両方の回転軸の変位を示す信号から導出され得る。
【0023】
前記溶接厚さを示す信号は、前記溶接ロールの偏心、及び/又は、前記溶接ロールと溶接されるべきシリンダとの間に位置する消耗ワイヤのプロファイルの変化に対する補償を含み得る。
【0024】
前記溶接厚さを示す信号は、一連の溶接された缶胴における前記一連の所定のポイントの平均又はその他の統計的に導出された溶接厚さを示す信号であり得る。
【0025】
4つの所定のポイントが連続して存在し得る、これらは、任意選択的に、前記シリンダのリーディング端、前記シームの中央、前記シリンダのトレーリング端、及びフリップ位置を含む。
【0026】
電気信号は、さらに、前記シームの全体に沿って平均化された溶接厚さを示し得る。
【0027】
前記1以上の制御電気信号を生成するステップは、前記調整機構のうちの1以上の位置に関する電気信号及び入力を受信して、前記調整機構のうちの1以上に対する必要な調整を出力として計算するステップを含み得る。
【0028】
前記1以上の制御電気信号を生成するステップは、一連の所定のポイントの各々における溶接厚さを、そのポイントの目標溶接厚さと比較し、前記所定のポイントの1以上が前記目標溶接厚さから逸脱している場合に、その逸脱を修正するために必要な調整を出力として計算するステップを含む。
【0029】
前記調整機構は、前記制御信号(複数可)に応答して、前記溶接ステーションを通る前記シリンダの移動方向に対する前記較正ユニットのローラの半径方向位置と;各溶接ロールの中心を通る線に垂直な調整軸に沿った、前記較正ユニットの長手方向位置と;前記ローラの半径方向位置及び前記較正ユニットの長手方向位置の組合せとを調整し得る。
【0030】
前記調整機構の1つが、前記制御信号(複数可)に応答して、前記較正ユニットの鉛直方向位置を、各溶接ロールの中心を通る線に平行な調整軸に沿って調整し得る。
【0031】
前記調整機構の1つが、前記較正ユニットのローラの前記半径方向位置を、符号化されたモータ及びギアボックスを用いて動作可能な協働二重ねじシステムを使用して調整し得る。
【0032】
前記方法は、溶接厚さの閉ループ制御を提供し得る。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】缶製造ラインの溶接ステーションを概略的に示した図である。
図2図1の溶接ステーションの構成要素の、較正ユニットを含み溶接ロールが省略された側方斜視図である。
図3図2の較正ユニットの、一対の調整可能なローラを含む正面図である。
図4図3の較正ユニットの電気機械式駆動ユニットの透視図である。
図5図4の電気機械式駆動ユニットの断面側面図である。
図5a図4の電気機械式駆動ユニットの断面側面図である。
図6図1の溶接ステーションの較正ユニット及びサブアセンブリの分解透視図であり、溶接ステーションの3つの軸を示す。
図7】コンピュータのグラフィカルディスプレイに表示される溶接品質を示した図である。
図8】コンピュータのグラフィカルディスプレイに表示される溶接厚さ測定値を示した図である。
図9】溶接ステーションの決定システムを示した図である。
図10】第1の溶接厚さ調整例を示した図である。
図11】第2の溶接厚さ調整例を示した図である。
図12】第3の溶接厚さ調整例を示した図である。
図13】第4の溶接厚さ調整例を示した図である。
図14図1の溶接ステーションの動作方法を説明したフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明の実施形態は、円筒状の缶胴の十分な溶接厚さ及び/又は溶接品質を自動的に維持するために、溶接ステーションの較正ユニットの閉ループ調整を提供することを目的としている。図1は、このような閉ループ制御を実行する溶接ステーションを概略的に示している。この溶接ステーションはZバー1を含み、Zバー1に沿って、丸められた(rolled)金属シリンダ2が、一対の対向する溶接ロール3a,3bに向かって搬送される。上述したように、Zバーの役割は、シリンダがZバーの端部から離れるまでに、シリンダの対向縁をほぼ正しい重ね合わせ構成にすることである。Zバーの端部と溶接ロールとの間に較正ユニット4が配置されている。較正ユニット4の役割は、シリンダの重なりを、シリンダ2の円周を微調整することにより制御することである。図面において、溶接ステーションの様々な構成要素が、図の簡略化のため省略されている。
【0035】
図2及び図3は、較正ユニット4を、予備較正ツール6と共により詳細に示している。予備較正ツール6は、図1では省略されているが、金属シリンダを較正ユニット4及び溶接ロール3a,3bに向けてガイドすることを補助する。較正ユニットの正面図(図3)に最もよく示されているように、このユニットは、フレーム8に支持された7つのローラ7a~7gのセットを含み(しかし、較正ユニットは、図3に示されているよりも少数又は多数のローラを含み得る)、これらのローラは、金属シリンダの移動軸の周囲に分散されるように配置されている。各ローラは、軸を中心とする円に対してほぼ接線方向であり軸を中心に自由に回転可能である。ローラの面は、これらのローラが一緒にほぼ円形の面を画成し、その面で金属シリンダをガイドするように凹状である。
【0036】
図示されている構成において、ローラのうち5つのローラ7a~7eは類似の大きさであるが、2つの上部ローラ7f~7gは、十分なローラを構造体に組み込めるように、より小さくなっている。ローラ7a,ローラ7c及びローラ7e~7gは、中心軸に対する半径方向位置が固定されるようにフレームに取り付けられているが、残りの2つのローラ7b,7dは、電気機械式駆動ユニット(図の全体において参照符号9a,9bで示されている)を含む調整機構を用いて半径方向に調整可能である。
【0037】
駆動ユニット9a,9bは、各々、ほぼL字状に形成され、以下の3つの主要な構成要素を含む。すなわち、
(1)取り付けブロック、ねじ及びスリーブ(小さい増分調整を用いて必要な調整範囲を達成するための協働ねじ山を有する)を含む機械的システム19である。この機械的システムはまた、外部の電子ブレーキの必要性を排除し、生産条件及び予期せぬ負荷(例えば、破損した缶胴)下でも位置を失わずに適合するように設計されている。
(2)アンギュラギアボックス20であり、モータシャフトから機械システムへの動きを伝達し、低減し、尚且つ、システム全体のフットプリントを最小限に抑える。
(3)エンコーダを有するサーボモータを含むシステム21。
【0038】
図4及び図5は、ほぼL字形状の駆動ユニットのうちの一方である9bを、より詳細に示している。駆動ユニット9bは、較正ユニット4のローラうちの1つである7dに取り付けられている。第2駆動ユニット9aが、図4及び図5に示されている駆動ユニット9bとほぼ同一であることが理解されよう。
【0039】
図4は、較正ユニット9bの例示的な機械システム19、ギアボックス20及び符号化されたサーボモータシステム21を示し、図5はその断面側面図である。図5aは機械システム19の拡大断面図であり、この機械システム19は、内ねじを有するハウジング190、第1のねじ山付きねじ192、ディスクばね194、波状ワッシャ196、及び、ねじ山付きスリーブ198を含む。第1のねじ山付きねじ192は、ハウジング190の内部ねじ山にねじ込まれ、ねじ山付きスリーブ198は、第1のねじ山付きねじ192の内部に少なくとも部分的にねじ込まれている。第1のねじ山付きねじ192はギアボックス20に接続されており、上述したように、ねじ山付きスリーブ198に、較正ローラ7dを半径方向内向き又は半径方向外向きに調整するように作用する。一実施形態において、第1のねじ山付きねじ192とねじ山付きスリーブ198とは、異なるピッチを有する。
【0040】
この協働二重ねじ構成により、機械システム19が較正ローラ7b,7dの位置を微細調整することが可能になっている。さらに、サーボモータシステム21のエンコーダ(符号化素子)が、較正ローラ7b,7dの、デフォルト位置又はスタート位置に対する現在の位置がわかるように位置情報を提供する。例えば、予期しない負荷が発生した場合、ローラ7b,7bはコンプライアンスに従ってディスクばね194により元の位置に戻され(すなわち、ディスクばね194が過負荷コンプライアンスを提供する)、同時に、反バックラッシュ波状ワッシャ196が、ねじ山付きねじ192及びねじ山付きスリーブ198のねじ山を互いに対して維持する。この図には示されていなが、さらなる実施形態において、ローラ7b,7dのコンプライアンスを、空気圧を用いて保証してもよい。
【0041】
上述の3つの部材構成要素19,20,21を用いて、L字型駆動ユニット9a,9bの各々が、較正ユニット4の特定のローラ7b及び7dをシリンダ2の長手方向軸に対して内側又は外側に移動させ、それによりシリンダ縁の重なり程度を調整するように構成されている。
【0042】
しかし、さらに、溶接ステーションを、較正ユニット4の長手方向位置又は鉛直方向位置を調整するように構成し得る。この調整は、図1に示されている、溶接ロールを通る中心線CLに関して行われる。
【0043】
図6に示されているように、長手方向サブアセンブリ24及び鉛直方向サブアセンブリ25を含むさらなる調整機構が溶接ステーション内に配置され、これらのサブアセンブリは、それぞれ、較正ユニット4の、溶接ロール3a,3bの中心線CL(図1に示す)に対する長手方向位置及び鉛直方向位置を調整するためにある。再び図1を参照すると、較正ユニット4は、外側(上側)及び内側(下側)の溶接ロール3a,3bを含む機構16に近づけられ、若しくは機構16から遠ざけられることができ、且つ/又は、溶接ステーションの長手方向軸に対して鉛直方向に再配置され得る。
【0044】
一例において、鉛直方向サブアセンブリ25及び長手方向サブアセンブリ24は、各々、サーボモータ及びギアボックス(図示せず)を含み得、長手方向サブアセンブリ24は、さらに、1以上の空圧シリンダ28を含み得る。図6の分解図においては別々に図示されているが、鉛直方向サブアセンブリ25と長手方向サブアセンブリ24は、両方共、同じキャリッジ27に接続されている。キャリッジ27は較正ユニット4に取り付けられている(すなわち、連結されている)か、又は、較正ユニット4の一部を形成している。こうして、鉛直方向サブアセンブリ25及び長手方向サブアセンブリ24は、キャリッジ27を溶接ロール3a,3bの中心線CLに対して長手方向又は鉛直方向に移動させるように動作可能である。
【0045】
代替的な実施形態において、鉛直方向サブアセンブリ25は、溶接ステーションのフットプリントを低減するために、直角に配置されたギアボックスを組み込み得る。
【0046】
図6から、較正ユニット4が、以下のような異なる3つの調整軸に沿って調整され得ることが理解されよう。すなわち、
軸1:較正ユニット又はツール4の直径(すなわち、較正ローラ7a~7fにより形成される円の直径)に関する軸と、
軸2:較正ユニットの長手方向位置(すなわち、図1に示した溶接ロール3a,3bを通る中心線CLに対して直交する位置)に関連する軸と、
軸3:較正ユニット4の鉛直方向位置(すなわち、溶接ロール3a,3bの中心線CLに対して平行な位置)に関連する軸と、である。
【0047】
これら3つの調整軸のうちの1以上に沿って較正ユニット4を調整した結果を、以下にさらに説明する。
【0048】
較正ユニット4の調整は、コントローラ12により生成された制御信号により実施される。再び図1及び図2を参照すると、各駆動ユニット9a,9bは、コントローラ12から制御信号11を受信するための入力部10a,10bを有する。同様に、長手方向サブアセンブリ24及び鉛直方向サブアセンブリ25は、各々、コントローラ12から1以上の制御信号を受信するための1以上の入力部(図示せず)を有する。コントローラ12は、データ及びプログラムコードを記憶するための1以上のプロセッサ及びメモリ13を含むコンピュータである。そして、コントローラ12は、溶接品質を示す電気信号5を溶接モニタ15から受信するための入力部14を有する。この実施形態において、溶接品質の表示は、溶接厚さの表示である。
【0049】
溶接モニタ15は、外側(上側)及び内側(下側)の溶接ロール3a,3bを収容している機構16に接続されている。溶接モニタは、溶接厚さと同様に、欧州特許出願公開第0465038号明細書に記載されているような品質係数(QC)を監視する。しかし、このパラメータは、本明細書に記載するフィードバック制御システムにおいては用いられない。溶接モニタ15により生成されたデータは、また、図7に示されているように、コンピュータのグラフィカルディスプレイ17にも提供される。この図において、上側のトレースは溶接厚さを示し、下側のトレースは、シリンダ長さに対する溶接パワー(y軸)を示し、これらは両方共、シリンダ長さ(x軸)に関するものである。横線22はプロセスウィンドウを表し、縦線23は、シリンダ2のリーディング(先行)端(右側)LE、及び、トレーリング(後続)端(左側)TE(図1に示されている)を表す。図示されているトレースは、連続した多数の缶胴にわたって得られた平均厚さに対応し、各端部におけるディップ(急降下)は、(平均的な)缶胴のリーディング縁及びトレーリング縁を示している。
【0050】
さらに、溶接ロール3a,3bを含む機構16について考察すると、この機構内で、内側溶接ロール3bの位置は、内側溶接ロール3bの回転軸に対して固定されており、一方、外側溶接ロール3aには、ばねが取り付けられ、このばねが、外側溶接ロール3aの回転軸に対する相対移動を可能にしている。従って、外側溶接ロール3aは、溶接されている缶胴に対して上下に移動できる(ばねが、比較的大きい下向きの力を外側溶接ロール3aに加えてロールを缶胴に押し付けることに留意されたい)。また、機構16は、線形可変差動変圧器(LVDT)も含み、LVDTは、外側溶接ロールの、缶胴に近づき又は缶胴から遠ざかる動きを検出するように、すなわち、外側溶接ロール3aの位置を検出するように構成されている。LVDTは電圧信号を生成し、この電圧信号は信号18内で溶接モニタに提供される。
【0051】
LVDTにより提供される電圧信号は、それ自体に誤差が生じるであろうから、溶接厚さの正確な測定値を決定するのに十分ではないであろう。誤差の原因は、a)外側溶接ロールの偏心(すなわち、溶接ロールが完全な円形ではない)、及び、b)溶接ロールと缶胴との間を通過する銅線のプロファイルの変化である。従って、機構16は、溶接ロールの偏心及び銅線のプロファイルの変化を検出するための多数のセンサ(図示せず)を含む。検出されたデータは信号18にて溶接モニタ15に送信される。溶接モニタにより採用されるアルゴリズムは、偏心及びワイヤプロファイルデータをLVDT信号の出力から(適切なスケーリング及び/その又は他の補償も含んで)計算して、補正されたLVDT信号を得る。この信号は、一連の連続した缶胴(例えば、6個~50個)に関して平均化されて、コンピュータのグラフィカルディスプレイ17の上部トレースに表示される。
【0052】
図8に示されているように、コンピュータのグラフィカルディスプレイ17に表示された溶接厚さのトレースは、一連の異なる測定値に基づいて分析される。一実施形態において、以下のような5つの測定値がある。すなわち、
1.図7に線23で示されているような、シリンダのリーディング端(すなわち、右/前側の領域)における溶接厚さ、
2.シリンダの中央部(すなわち、溶接部に沿った約半分)における溶接厚さ、
3.図7に線23で示されているような、シリンダのトレーリング端(すなわち左側の領域)における溶接厚さ、
4.「フリップ」(“flip”)(すなわち、トレーリング端と、トレーリング縁から約17mmとの間の点、例えば、トレーリング端から12mm~20mm後退した点)における溶接厚さ、
5.総平均(すなわち、溶接部の全長にわたる平均溶接厚さ)、である。
【0053】
非限定的な一例において、シリンダのトレーリング縁は、シリンダ全長の0%(ゼロ)の位置とみなすことができ、シリンダのリーディング縁は、シリンダ全長の100%の位置とみなし得る。シリンダのリーディング縁は、シリンダの最初の部分が溶接ロールに入る部分として定義され得る。トレーリング端フリップ(上述の測定ポイント4)は、例えば、シリンダ全長の2.5%~10%の間で測定され、トレーリング端領域は、例えば、シリンダ全長の15%~30%の間で測定され、中間ポイントは、例えば、シリンダ全長の40%~60%の間で測定され、リーディング端領域は、例えば、シリンダ全長の70%~97.5%の間で測定され得る。
【0054】
上述の5つの測定値が、一連の(例えば、7個~10個の)シリンダに関する圧延平均値を表す。トレース上のこれらの4つの所定のポイント又は領域での溶接厚さに、溶接厚さの総平均を加えたものを、特定の用途のための溶接厚さ目標値(図8に横方向の点線Tで示されている)と比較する。すなわち、
溶接厚さ目標値=溶接圧力下の板厚×マッシュ目標値
マッシュ目標値=元の板厚の1.4~1.5倍。
【0055】
溶接圧力下の板厚(溶接ステーションの試運転中に特定の板材について測定され得る)が用いられるのであり、これから入って来る(incoming)板の厚さが用いられるのではない。5つの測定ポイントにおける溶接厚さのトレースの分析は、溶接板厚さ目標値から±15μmの許容差を含む。この許容差が、図8の上限線及び下限線により表されている。
【0056】
溶接厚さ目標値を計算するために、コントローラ12により実行されるフィードバック制御方法は、板厚、溶接圧力、溶接許容範囲(weld latitude)(熱溶接と冷溶接との差)、所望の重なり、及び、所望の材料マッシュ(溶接前と溶接後での材料の厚さの変化)を考慮に入れている。コントローラ12は、シームにおける上述の4つの所与のポイント(すなわち、リーディング端、中央、トレーリング端及びフリップ)のうちの1つにおける目標溶接厚さを、目標総平均溶接厚さと共に記憶する。缶胴に沿ったテーパ状の重なりの結果として、溶接厚さが溶接シームに沿って変化し得ることが理解されるであろう(これは、ゼロか、又はゼロではない値であり得る)。
【0057】
コントローラ12は、記憶された目標値データと、溶接モニタ15から受信した、上述の4つのポイントにおける溶接厚さに関するデータとの間で比較を実行し、その値に総平均値を加えるように構成されている。そして、その結果得られた差分値が、溶接ステーションの調整機構(すなわち、較正ユニット4の電気機械式駆動ユニット9a,9b、長手方向サブアセンブリ24、及び、鉛直方向サブアセンブリ25)を制御するための制御信号を生成するために、必要に応じてさらに処理される。このようにして、コントローラ12は、比例-積分-微分(PID)コントローラとして動作し得る。
【0058】
上述の調整機構9a,9b,24,25のための制御信号をコントローラ12により生成する方法が、図9に示されている決定システム26により表されている。コントローラ12の決定システム26は、以下の入力を受信する。すなわち、
-上述した溶接厚さの5つの測定値(すなわち、リーディング端、中央、トレーリング端、フリップ、及び総平均の値);これらの入力は溶接モニタ15から受信されて全体にわたり平均化され、総平均値がコントローラ12により計算される。
-上述のように計算された、特定の用途のための溶接厚さ目標値であり、許容差(すなわち上限値及び下限値)を含む;
-現在及びホームのツール直径(すなわち、較正ユニット4の直径)であり、調整可能なローラ7b、7dの現在の位置、及びそれらのそれぞれの「ホーム」位置(較正ユニット4の電気機械式駆動ユニット9a、9bにより調整される前のデフォルトのローラ7b、7dの位置)により決定される;
-現在及びホームのツールの長手方向位置、すなわち、溶接ステーションの長手方向軸上の較正ユニット4の現在の位置、及び、長手方向サブアセンブリ24による調整前の較正ユニット4のデフォルトの「ホーム」位置;
-現在及びホームのツールの鉛直方向位置、すなわち、溶接ステーションの鉛直方向軸上の較正ユニット4の現在の位置、及び、鉛直方向サブアセンブリ25による調整前の較正ユニット4のデフォルトの「ホーム」位置;
-任意選択的に、その他の機械設定(例えば、平坦化された銅線の幅を含み得る)、である。
【0059】
再び図6を参照すると、先に概説したように、ツール(すなわち較正ユニット4)の直径、ツールの長手方向位置及びツールの鉛直方向位置は、それぞれ、溶接ステーションの3つの調整軸、すなわち、第1軸、第2軸及び第3軸を表しているとみなされ得る。
【0060】
図9に示されているように、決定システム26が、上述した入力の1以上を利用して出力を生成する。出力は、溶接厚さ補正を含み、この溶接厚さ補正は、4つの測定ポイントのうちの1以上の測定ポイントにおける現在の溶接厚さ、及び/又は総平均溶接厚さを、この測定に関する目標溶接厚さに向かって、上限値及び下限値を考慮して調整するために必要である。一実施形態において、溶接厚さ補正は1以上のアルゴリズムを用いて計算される。決定システム26による出力としての溶接厚さ補正は、較正ユニット4の電気機械式駆動ユニット9a,9b及び長手方向サブアセンブリ24の1以上に関して、コントローラ12により、制御信号の生成を介して実行される。
【0061】
代替的に又は追加的に、決定システム26の出力は、押し出し不均衡補正を含み得、この押し出し不均衡補正は、コントローラ12により、鉛直方向サブアセンブリ25のための制御信号の生成を介して実行される。押し出し不均衡は、入ってくる(incoming)金属板の材料特性(異方性)の変動により生じ得る。入ってくるシリンダが溶接ロール3a,3bに完全に位置合わせされている場合、シリンダと外側溶接ロール3aとの接触面積と、シリンダと内側溶接ロール3bとの接触面積とは実質的に同一である。従って、シリンダの外面の押し出しと内面の押し出しとは実質的に同一になる。幾つかの実施形態においては、外側溶接ロール3aは、その寸法の結果としてシリンダとの接触面積が大きくなることが理解されよう。従って、較正ユニット4を溶接ロール3a,3bに対して上方に移動させることにより、シリンダの内面上での金属板の押し出しが大きくなり、一方、較正ユニット4を溶接ロール3a,3bに対して下方に移動させることにより、シリンダの外面上での金属板の押し出しが大きくなる。較正ユニット4を、上述したような調整軸3に沿って調整することにより、不均衡が生じた場所でのシリンダ外面とシリンダ内面との押し出しをリバランスさせることが可能である。
【0062】
図10図13は、3つの調整軸1,2,3(図6に示す)のうちの1以上の例示的な調整を示しており、この調整は、決定システム26の出力(複数可)に基づいてコントローラ12により実行され得る。
【0063】
軸1(すなわち較正ユニット4の直径)の調整は、溶接のリーディング端及びトレーリング端の両方の溶接厚さに影響を与える。しかし、トレーリング端への影響の方がより大きくなるであろう、これを考慮すると、ツール直径の調整はトレーリング端にのみ影響を与える(すなわち、リーディング端への影響は無視できる程度である)とみなし得る。同様に、軸2の調整(すなわち、較正ユニット4の長手方向位置)は、リーディング端及びトレーリング端の両方の溶接厚さに影響を与える。しかし、この場合、主な影響を受けるのはリーディング端であり、これを考慮すると、ツールの長手方向位置の調整はリーディング端にのみ影響を与える(すなわち、トレーリング端への影響は無視できる程度である)とみなし得る。
【0064】
換言すれば、図10図13に示した例において、軸1の調整がトレーリング端及びフリップを制御し、軸2の調整がリーディング端を制御するとみなし得る。このように考えると、簡単なブール制御システムを実現できる。
【0065】
必要な調整の決定が、PIDを組み込んだファジィ論理コントローラなど(図示せず)を使用して、代替的又は追加的に行われ得ることが理解されよう。ファジィ論理コントローラは、0~1の範囲できっかり0でも1でもないメンバーシップ度を提供するメンバーシップ関数を可能にし、例えば、一方の軸に0.85(85%)の調整を行い、他方の軸に0.15(15%)の調整を行うことを可能にするであろう。
【0066】
図10図13に示されている例において、必要な調整量は以下のように決定される。
【0067】
リーディング端及びトレーリング端の両方における決定された溶接厚さが特定の用途のための許容限界内にある場合、調整する必要は全くない。
【0068】
リーディング端及びトレーリング端の両方が、これらのポイントの目標溶接厚さよりも大きいか又は小さい場合、軸1(すなわち較正ユニット4の直径)に沿って調整が行われる。
【0069】
リーディング端のみが許容限界外にある場合、軸2(すなわち、較正ユニット4の長手方向位置)に沿って調整が行われる。
【0070】
トレーリング端のみが許容限界外にある場合、軸1に沿って調整が行われる。
【0071】
リーディング端及びトレーリング端の両方が許容限界外にあるが、その方向性が反対である(すなわち、一方が上方許容限界よりも大きく、他方が下方許容限界よりも小さい)場合、2つの調整(一方は軸1に沿った調整、他方は軸2に沿った調整)が行われる。この場合、1つの調整のみを行うと、ほとんどの場合、他方の端の誤差が増大する。例えば、トレーリング端が許容限界よりも大きく、リーディング端が許容限界よりも小さい場合、軸1のみが調整されると、トレーリング端は目標値に近づくが、リーディング端の誤差はそのままであるか、又はわずかに増大するであろう。同様に、軸2のみが調整される場合、リーディング端は目標に近づくが、トレーリング端の誤差はそのままであるか、又はわずかに増大するであろう。
【0072】
フリップのみが許容限界外にある場合、基本的に、較正ユニット4の直径がきつすぎるので、軸1の調整が行われる。
【0073】
中間ポイントのみが許容限界外にある場合、その他のツールパラメータをチェックする必要がある。
【0074】
リーディング端、中央、トレーリング端、フリップが全て許容限度内にあれば、シーム全体の長さの平均値も許容限界範囲内になることが理解されよう。
【0075】
図10に示されている例において、溶接厚さ目標値が200μmであり、一方、溶接モニタ16から受信した実際の溶接厚さ測定値、及び決定システム26への入力は以下の通りである。すなわち、
1.リーディング端(1)180μm
2.中央(2)180μm
3.トレーリング端(3)180μm
4.フリップ(4)180μm
5.総平均(5)180μm。
【0076】
さらに、較正ユニット4(軸1)、長手方向サブアセンブリ24(軸2)及び鉛直方向サブアセンブリ25(軸3)のための現在のツール位置が、「ホーム」位置、すなわちデフォルト位置として決定システム26に入力される。
【0077】
上記の入力に基づくと、測定ポイント1~4での実際の溶接厚さ及び総平均は小さ過ぎ、許容差(すなわち、上限値が215μm、下限値が185μm)の範囲内にはない。実際の溶接厚さを目標値と一致させるために、すなわち、偏差を修正するためには、ツール直径(軸1)を低減しなければならない。ツール直径を低減すると、シリンダ縁の重なりが増大するため、より多くの材料が溶接部に押し込まれて溶接厚さが増大することが理解されよう。
【0078】
直径の低減はコントローラ12により実行され、これは、較正ユニット4位置(軸1)のローラ7b,7dの位置を、電気機械式駆動ユニット9a,9bを用いて「ホーム」位置から調整することにより行われる。この例においては、現在の「ホーム」位置からの必要な調整は、以下のように計算される。すなわち、
[(溶接厚さ目標値-実際の溶接厚さ)/2]/0.2=
[(200-180)/2]/0.2=50μm。
式中、0.2は、この例において、相関係数又は転位係数を表す。上記の調整が、較正ユニット4の調整可能なローラ7b、7dの位置に関連しており、その調整が、較正ユニット4の直径(すなわち円筒状の缶胴が通過する円形の通路の直径)を増減させるように作用することが理解されよう。しかし、溶接厚さに関して、溶接モニタ16により供給される測定値は、外側溶接ロール3aの検出された鉛直方向位置に基づくものである。この例においては、相関係数0.2(±10%)が、鉛直方向の変位(すなわち溶接厚さ)の変動を円形の変位(すなわちツール直径調整)に転位又は相関させることが分かっている。
【0079】
従って、再び図3を参照すると、較正システムの2つの調整可能なローラ7b,7dのそれぞれを、5つの測定の全てに関して目標溶接厚さを達成するために、50μmだけ内側に(すなわち、シリンダの長手方向軸に向かって)移動させなければならない。図10の例においては、他の2つの軸2,3を調整する必要はない。
【0080】
図11に示されている例においても、溶接厚さ目標値は200μmであり、一方、溶接モニタ16から受信した実際の溶接厚さの測定値及び決定システム26への入力は以下の通りである。すなわち、
1.リーディング端(1)220μm
2.中央(2)220μm
3.トレーリング端(3)220μm
4.フリップ(4)220μm
5.総平均(5)220μm。
【0081】
この場合も、較正ユニット4(軸1)、長手方向サブアセンブリ24(軸2)及び鉛直方向サブアセンブリ25(軸3)のための現在のツール位置が、「ホーム」位置、すなわちデフォルト位置として決定システム26に入力される。
【0082】
上記の入力に基づくと、測定ポイント1~4での実際の溶接厚さ及び総平均は大き過ぎ、許容差(すなわち、上限値が215μm、下限値が185μm)の範囲内にはない。実際の溶接厚さを目標値と一致させるためには、ツール直径(軸1)を増大しなければならない。ツール直径を増大すると、シリンダ縁の重なり程度が低減するため、溶接部に押し込まれる材料がより少なくなり、溶接厚さが低減することが理解されよう。
【0083】
直径の増大は、コントローラ12により、電気機械式駆動ユニット9a,9bを用いて較正ユニット4位置(軸1)のローラ7b,7dの位置を「ホーム」位置から調整することにより実行される。この例においては、現在の「ホーム」位置からの必要な調整は、以下のように計算される。すなわち、
[(溶接厚さ目標値-実際の溶接厚さ)/2]/0.2=
[(200-220)/2]/0.2=-50μm。
【0084】
従って、再び図3を参照すると、較正システムの2つの調整可能なローラ7b,7dの各々を、5つの測定の全てに関して目標溶接厚さを達成するために、50μmだけ外側に(すなわち、シリンダの軸から離れるように)移動させなければならない。図11の例においては、他の2つの軸2,3に対する調整は必要ない。
【0085】
図12に示されている例においても目標溶接厚さは200μmであるが、溶接モニタ16から受信した実際の溶接厚さ測定値と決定システム26への入力は以下の通りである。すなわち、
1.リーディング端(1)180μm
2.中央(2)200μm
3.トレーリング端(3)200μm
4.フリップ(4)200μm
5.総平均(5)195μm。
【0086】
この場合も、較正ユニット4(軸1)、長手方向サブアセンブリ24(軸2)及び鉛直方向サブアセンブリ25(軸3)のための現在のツール位置が、「ホーム」位置、すなわちデフォルト位置として決定システム26に入力される。
【0087】
上記の入力に基づくと、測定ポイント1(リーディング端)での実際の溶接厚さは小さ過ぎ、従って、測定された総平均値(5)も小さすぎる。総平均値は許容範囲(すなわち、上限値が215μm、下限値が185μm)内にあるが、リーディング端測定値(ポイント1)は許容範囲内にはない。残りの測定ポイント2~3は目標厚さに適合している。
【0088】
この場合、実際の溶接厚さを目標値に一致させるためには、ツールの長手方向位置(軸2)を増大しなければならない。すなわち、較正ユニット4を、長手方向サブアセンブリ24により、溶接ロール3a,3bを垂直に通る中心線CL(図1を参照)から、さらに離れた位置に移動させなければならない。較正ユニット4と溶接ロール3a,3bとの間の長手方向の距離を増大するとオーバーラップが増大し、それにより溶接厚さが増大する。これは、シリンダがZバーにより支持されていない距離がより大きくなり、これにより、より多くの材料がオーバーラップに押し込まれるスペースが提供されるからである。これとは反対に、較正ユニット4を長手方向において中心線CLに近づけると、このスペースのより多くが削減され、従って、オーバーラップが減少する(又は少なくとも増大しない)。
【0089】
長手方向距離の増大は、コントローラ12により「ホーム」位置から長手方向サブアセンブリ24(軸2)を用いて「ホーム」位置から、較正ユニット4を調整することにより実行される。この例において、現在の「ホーム」位置からの必要な調整は、以下のように計算される。すなわち、
[(溶接厚さ目標値-実際の溶接厚さ)]/0.2=
[(200-180)]/0.2=100μm。
【0090】
従って、再び図6を参照すると、目標溶接厚さを5つの測定の全てに関して達成するためには、較正ユニット4を長手方向サブアセンブリ(軸2)により100μmだけ移動させなければならない。図11の例においては、他の2つの軸1,3に対する調整は必要ない。
【0091】
図13に示されている例においても溶接厚さ目標値は200μmであるが、溶接モニタ16から受信した実際の溶接厚さの測定値及び決定システム26への入力は以下の通りである。すなわち、
1.リーディング端(1)180μm
2.中央(2)200μm
3.トレーリング端(3)220μm
4.フリップ(4)225μm
5.総平均(5)207μm。
【0092】
この場合も、較正ユニット4(軸1)、長手方向サブアセンブリ24(軸2)及び鉛直方向サブアセンブリ25(軸3)に関する現在のツール位置が、「ホーム」位置、すなわちデフォルト位置として決定システム26に入力される。
【0093】
上記の入力に基づくと、測定ポイント1(リーディング端)での実際の溶接厚さは小さ過ぎ、一方、トレーリング端(3)及びフリップ(4)においては実際の溶接厚さが大きすぎる。従って、測定された総平均値(5)も大きすぎる。総平均値は許容範囲(すなわち、上限値が215μm、下限値が185μm)内にあるが、リーディング端(1)、トレーリング端(3)及びフリップ(4)の測定値は許容範囲内にはない。残りの測定ポイント2は目標厚さに適合している。
【0094】
この場合、様々な測定ポイントにおける実際の溶接厚さを目標値に一致させるために、複数の調整を組み合わせる必要がある。ツール直径(軸1)を増大する必要があり、且つ、ツールの長手方向位置(軸2)を増大する必要がある。
【0095】
直径の増大は、コントローラ12により、電気機械式駆動ユニット9a,9bを用いて較正ユニット4位置(軸1)のローラ7b,7dの位置を「ホーム」位置から調整することにより実行される。この例において、「ホーム」位置からの必要な調整は、-50μmと計算される。従って、再び図3を参照すると、5つの測定の全てに関して目標溶接厚さを達成するためには、較正システムの2つの調整ローラ7b,7dの各々を50μmだけ外側に(すなわちシリンダ軸から離れるように)移動させなければならない。
【0096】
較正ユニット4(軸2)の、溶接ローラ3a,3bからの長手方向距離の増大は、コントローラ12により、長手方向サブアセンブリ24(軸2)を用いて較正ユニット4を「ホーム」位置から調整することにより行われる。この例において、現在の「ホーム」位置からの必要な調整は100μmであると計算されている。
【0097】
従って、再び図6を参照すると、目標溶接厚さを5つの測定の全てに関して達成するためには、較正ユニット4を長手方向サブアセンブリ(軸2)により100μmだけ移動させなければならない。図13の例においては、他方の軸3に対する調整は必要ない。
【0098】
3つの軸(軸1,軸2,軸3)の全てに対する調整又はその任意の組合せが、特定の状況に応じて必要な場合があることが理解されるであろう。一実施形態において、軸3に対する調整が、軸1及び軸2に対する調整とは独立して実行され得る。一実施形態において、軸1,軸2,軸3うちの2つ以上に対する必要な調整が同時に行われ得る。
【0099】
図14は、上述の溶接ステーションで用いられる方法を示すフロー図である。この方法の第1ステップ(S1)において、溶接モニタ15が、シームの長さに沿った所定のポイントにおける溶接厚さを示す電気信号5をコントローラ12に提供する。上述の段落において論じたように、この電気信号5に基づいてコントローラ12は、1以上の制御電気信号11を生成する(S2)。次いで、調整機構(すなわち、電気機械式駆動ユニット9a、9b、長手方向サブアセンブリ24、鉛直方向サブアセンブリ25)の1以上に制御電気信号11が供給される(S3)。電気機械式駆動ユニット9a,9b、長手方向サブアッセンブリ24及び鉛直方向サブアセンブリ25に提供された電気信号11と、コントローラにより提供される閉ループ制御との結果として、所望のシリンダオーバーラップが溶接中に維持される(S4)。
【0100】
従って、このシステムは、較正ユニット4を3つの異なる方向に調整できる閉ループシステムである。第1に、較正ローラ7b,7dがシリンダ軸に対して内外に移動されて、シリンダ縁のオーバーラップ及びツールの直径(第1軸)を調整する。第2に、較正ユニット4自体が溶接ロール3a,3bに対して長手方向に移動され得る。第3に、較正ユニット4は鉛直方向に調整され得る。所望の溶接品質(厚さ)を達成及び維持するために、前記調整のうちの1以上が、溶接シームに沿った所定のポイントにおける溶接厚さの測定値に基づいて用いられ得る。
【0101】
当業者には、上述の実施形態に対するさらなる修正が、本発明の範囲から逸脱せずに行われ得ることが理解されよう。例として、溶接モニタが溶接厚さの測定値に依存せずに、品質係数(QC)をコントローラに提供し、コントローラが所望のQCに対する誤差を決定してもよい。もちろん、コントローラは、測定された厚さ、電力及び/又は電圧、並びに、場合により、その他のパラメータの組合せを使用し得る。
【0102】
コントローラ12と溶接モニタ15とを別々の構成要素として説明してきたが、これらを単一の構成要素に統合してもよい。同様に、コントローラ及び溶接モニタの一方又は両方を、溶接ロール及びLVDTを含む機構16に組み込んでもよい。
【0103】
溶接厚さを測定するために、上側溶接ロールの偏差の検出に依存せずに、その他の方法、例えば、レーザ走査、超音波測定などを用いてもよい。
【0104】
較正ユニット、及び/又は溶接ステーションのさらなる調整を、追加の調整機構を用いて実行してもよい。
図1
図2
図3
図4
図5-5a】
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図14