(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-05
(45)【発行日】2024-04-15
(54)【発明の名称】改善された暗視のためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
G02B 23/12 20060101AFI20240408BHJP
G02B 23/16 20060101ALI20240408BHJP
G02B 7/02 20210101ALI20240408BHJP
G02B 7/04 20210101ALI20240408BHJP
【FI】
G02B23/12
G02B23/16
G02B7/02 J
G02B7/04 B
(21)【出願番号】P 2021521942
(86)(22)【出願日】2019-07-03
(86)【国際出願番号】 US2019040636
(87)【国際公開番号】W WO2020010274
(87)【国際公開日】2020-01-09
【審査請求日】2022-06-24
(32)【優先日】2018-07-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521006303
【氏名又は名称】マラノン インコーポレイテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】521006314
【氏名又は名称】トーマス、ニルス
(73)【特許権者】
【識別番号】521006325
【氏名又は名称】エストレラ、ジョセフ
(73)【特許権者】
【識別番号】521006336
【氏名又は名称】トーマス、ジェイムズ
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】トーマス、ニルス
(72)【発明者】
【氏名】エストレラ、ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】トーマス、ジェイムズ
【審査官】瀬戸 息吹
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2001/0022685(US,A1)
【文献】米国特許第05703354(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0083391(US,A1)
【文献】米国特許第04449787(US,A)
【文献】米国特許第04924080(US,A)
【文献】米国特許第05644425(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 23/00 - 23/22
G02B 7/02 - 7/16
H01J 40/00 - 49/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
暗視装置用の単眼鏡装置であって、前記単眼鏡装置が、
単眼鏡ハウジングと、
接眼光学要素と、
対物光学要素と、
管モジュールと、
管電源と、
絶縁材と
を備え、
前記単眼鏡ハウジングが、導電材料で構成されており、
前記単眼鏡ハウジングが、前記単眼鏡ハウジングの外部表面に沿って延在している少なくとも1つの取付構成を有し、
前記単眼鏡ハウジングの光軸が、前記少なくとも1つの取付構成の機械軸と平行に整列し、
前記接眼光学要素は、少なくとも1つのフォーカス機構により、前記単眼鏡ハウジングに摺動可能に接続された接眼フォーカスリングを有し、
前記対物光学要素は、少なくとも1つのフォーカス機構により、前記単眼鏡ハウジングに、摺動可能に接続された対物フォーカスリングを有し、
前記管モジュールが、前記単眼鏡ハウジングの内側に設けられる画像増強管モジュールであり、
前記管モジュールの光軸が、前記少なくとも1つの取付構成の前記機械軸と平行に整列しており、
前記絶縁材は、前記単眼鏡ハウジングの内面と前記管モジュールの外面との間に設けられ、
前記絶縁材は、前記管モジュールの高電圧破壊を防止するために、前記単眼鏡ハウジングから前記管モジュールを電気的に絶縁する、
暗視装置用の単眼鏡装置。
【請求項2】
前記単眼鏡ハウジングに導電接続された電磁干渉(EMI)フィルタをさらに備える、請求項1に記載の単眼鏡装置。
【請求項3】
前記接眼フォーカスリングが、前記少なくとも1つのフォーカス機構および前記単眼鏡ハウジングに導電接続された導電性外部被覆を有する、請求項1に記載の単眼鏡装置。
【請求項4】
前記接眼フォーカスリングが、前記接眼フォーカスリングの第1の端に配置された第1の円形ばねと、前記接眼フォーカスリングの第2の端に配置された第2の円形ばねとを有し、前記第1の円形ばねおよび前記第2の円形ばねは、前記単眼鏡ハウジング内において前記接眼フォーカスリングを中心に置く、請求項1に記載の単眼鏡装置。
【請求項5】
前記接眼光学要素は、接眼フォーカス調整リングであって、使用者の視線から前記接眼フォーカス調整リングを隠すテーパ状のプロファイルを有する接眼フォーカス調整リングをさらに備える、請求項1に記載の単眼鏡装置。
【請求項6】
前記対物フォーカスリングは、前記少なくとも1つのフォーカス機構、および前記単眼鏡ハウジングに導電接続された導電性外部被覆を有する、請求項1に記載の単眼鏡装置。
【請求項7】
前記対物フォーカスリングは、前記対物フォーカスリングの第1の端に配置された第1の円形ばねと、前記対物フォーカスリングの第2の端に配置された第2の円形ばねとを有し、前記第1の円形ばねおよび前記第2の円形ばねは、前記単眼鏡ハウジング内において前記対物フォーカスリングを中心に置く、請求項1に記載の単眼鏡装置。
【請求項8】
前記絶縁材は、前記単眼鏡ハウジングと前記管モジュールとの間の高電圧絶縁材のシートである、請求項1に記載の単眼鏡装置。
【請求項9】
前記絶縁材は、前記単眼鏡ハウジングと前記管モジュールとの間の高電圧絶縁材の被覆である、請求項1に記載の単眼鏡装置。
【請求項10】
入射光信号の低減により、管光電特性を調整するための信号低減手段をさらに備え、前記信号低減手段が、前記管モジュールのガラス入力窓の手前に配置されたガラスディスクと、増強された暗視のスペクトル帯内の入ってくる光エネルギを吸収するガラスディスク上に設けられたフィルタと、前記管モジュールから取り外し可能でないように糊付けされたディスクとからなる群から選択される、請求項1に記載の単眼鏡装置。
【請求項11】
前記単眼鏡ハウジングを通って延在している少なくとも2つの一体化しているパージ機構をさらに備え、前記少なくとも2つの一体化しているパージ機構それぞれが、前記管モジュールの両端に配置されている、請求項1に記載の単眼鏡装置。
【請求項12】
前記単眼鏡ハウジング内において前記管モジュールを保持する少なくとも1つの管整列ねじをさらに備える、請求項1に記載の単眼鏡装置。
【請求項13】
前記対物光学要素の外端上に配置された、取り付けられた対物シュラウドをさらに備える、請求項1に記載の単眼鏡装置。
【請求項14】
前記単眼鏡装置は、前記少なくとも1つの取付構成の前記機械軸中心に回転させ得る、請求項1に記載の単眼鏡装置。
【請求項15】
暗視装置であって、
2つの単眼鏡装置を備え、
前記2つの単眼鏡装置がそれぞれ、
単眼鏡ハウジングと、
接眼光学要素と、
対物光学要素と、
管モジュールと、
管電源と、
絶縁材と
単眼鏡取付システムと
を備え、
前記単眼鏡ハウジングが、導電材料で構成されており、
前記単眼鏡ハウジングが、前記単眼鏡ハウジングの外部表面に沿って延在している少なくとも1つの取付構成を有し、
前記単眼鏡ハウジングの光軸が、前記少なくとも1つの取付構成の機械軸と平行に整列しており、
前記接眼光学要素は、少なくとも1つのフォーカス機構により、前記単眼鏡ハウジングに摺動可能に接続された接眼フォーカスリングを有し、
前記対物光学要素は、少なくとも1つのフォーカス機構により、前記単眼鏡ハウジングに摺動可能に接続された対物フォーカスリングを有し、
前記管モジュールが、前記単眼鏡ハウジングの内側に設けられる画像増強管モジュールであり、
前記管モジュールの光軸が、前記少なくとも1つの取付構成の前記機械軸と平行に整列しており、
前記絶縁材は、前記単眼鏡ハウジングの内面と前記前記管モジュールの外面との間に設けられ、
前記絶縁材は、前記管モジュールの高電圧破壊を防止するために、前記単眼鏡ハウジングから前記管モジュールを電気的に絶縁し、
前記単眼鏡取付システムは、横ばりを使用して前記2つの単眼鏡を相互接続し、
前記横ばりは、第1の端における第1の単眼鏡ブリッジと、第2の端における第2の単眼鏡ブリッジとを有するマウントブリッジであり、
前記2つの単眼鏡はそれぞれ、前記2つの単眼鏡が、互いに対して第1の固定角をなして、および、前記装置の手前の空間内の固定点に対して前記2つの単眼鏡の両方が光学的に整列しているように、観察者の眼に対して第2の固定角をなして延在するように、前記第1の単眼鏡ブリッジまたは前記第2の単眼鏡ブリッジに取り付けられている、暗視装置。
【請求項16】
前記暗視装置のコリメーションは、各接眼フォーカスリング、各管モジュール、および各対物フォーカスリングに対する各単眼鏡ハウジングの光学的整列により、および、前記横ばりによる前記2つの単眼鏡装置の整列により、固定される、請求項15に記載の暗視装置。
【請求項17】
マウントアタッチメントにより、ヘルメットに、回転可能に接続されたマウントスライドをさらに備える、請求項15に記載の暗視装置。
【請求項18】
前記マウントスライド内のスライドキャビティ内に、摺動可能に配置されたダブテール板をさらに備える、請求項17に記載の暗視装置。
【請求項19】
前記ダブテール板が、前記マウントスライド内に取り付けられた相補的電気トレースおよび/または接点と相互作用する電気トレースおよび/または接点の組を含む電気的スラインディングインタフェースを備える、請求項18に記載の暗視装置。
【請求項20】
前記マウントスライド内に配置されたカムピンをさらに備え、前記カムピンは前記マウントスライドから突出するレバーに接続され、前記レバーを第1の位置へ回転させると、前記カムピンは前記ダブテール板と接触せず、および、前記レバーを第2の位置へ回転させると、前記カムピンは、前記ダブテール板と接触して回転し、および、前記カムピンと前記ダブテール板との間の摩擦界面は前記ダブテール板の前後移動を妨げる、請求項19に記載の暗視装置。
【請求項21】
前記ダブテール板に前記マウントブリッジを接続する少なくとも1つのブリッジクランプをさらに備える、請求項18に記載の暗視装置。
【請求項22】
前記暗視装置の電気部品すべてを取り囲む完全な電気遮蔽をさらに備え、前記電気遮蔽は、前記単眼鏡ハウジングに導電接続された前記接眼光学要素
、取付機構に導電接続された前記単眼鏡ハウジング、前記横ばりに導電接続された前記取付機構、前記ダブテール板に導電接続された前記横ばり、前記マウントスライドに導電接続された前記ダブテール板を備える、請求項18に記載の暗視装置。
【請求項23】
前記横ばりが各単眼鏡ハウジングに導電接続された、請求項15に記載の暗視装置。
【請求項24】
前記横ばりは、中空の構成であって、それを通って延在しているいずれの部品に対してもEMI遮蔽を設ける中空の構成を有する、請求項15に記載の暗視装置。
【請求項25】
単眼ブリッジと前記2つの単眼鏡との間を延在し、および相互接続する2つの単眼鏡ブリッジピンをさらに備える、請求項15に記載の暗視装置。
【請求項26】
2つの前部ピン端ブッシュおよび2つの後部ピン端ブッシュをさらに備え、前記2つの前部ピン端ブッシュはそれぞれ、1つの単眼鏡ハウジングと、1つの単眼鏡ブリッジピンの第1の端との間で摩擦嵌合を有し、および、前記2つの後部ピン端ブッシュはそれぞれ、前記2つの単眼鏡のコリメーションを固定するために、前記1つの単眼鏡ハウジングと、前記1つの単眼鏡ブリッジピンの第2の端との間で摩擦嵌合を有する、請求項25に記載の暗視装置。
【請求項27】
1つの単眼鏡ハウジングと1つの単眼鏡ブリッジピンとの間に介在させた少なくとも1つの前部ピン端ブッシュおよび少なくとも1つの後部ピン端ブッシュをさらに備え、前記少なくとも1つの前部ピン端ブッシュまたは前記少なくとも1つの後部ピン端ブッシュは、前記2つの単眼鏡のコリメーションを調整するように回転可能であり、および、前記2つの単眼鏡のコリメーションを固定するために所定の位置に固定された回転可能なカムである、請求項25に記載の暗視装置。
【請求項28】
暗視装置を作る方法であって、前記暗視装置が、既存の部分を改造することにより、作られ、前記暗視装置を作る方法が、
少なくとも1つの接眼光学要素を取り外す工程と、前記少なくとも1つの接眼光学要素から機械ハウジングを取り外す工程と、請求項14に記載のフォーカス機構により、前記少なくとも1つの接眼光学要素を再構築する工程と、
少なくとも1つの対物光学要素を取り外す工程と、前記少なくとも1つの対物光学要素から機械ハウジングを取り外す工程と、請求項14に記載のフォーカス機構により、前記少なくとも1つの対物光学要素を再構築する工程と、
少なくとも1つの管を取り外す工程と、画像増強管モジュールである管モジュールおよび電源になるまで、前記少なくとも1つの管の部品を取り外す工程と、前記管モジュールの外側に前記管モジュールの高電圧破壊を防止するための絶縁材を設ける工程と、導電材料で構成された請求項14に記載の少なくとも1つの単眼鏡ハウジング内に、前記単眼鏡ハウジングの内面と前記管モジュールの外面との間に前記絶縁材が位置するように前記管モジュールを再配置する工程と、
前記少なくとも1つの単眼鏡ハウジングに、前記少なくとも1つの接眼光学要素および前記少なくとも1つの対物光学要素を再配置する工程と、
既存の単眼鏡取付システムを取り外し、および、請求項14に記載の単眼鏡取付システムに前記少なくとも1つの単眼鏡ハウジングを取り付ける工程とを備える、暗視装置を作る方法。
【請求項29】
既存のパージが破損している場合に、真空で前記管モジュールをパージする工程をさらに備える、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記少なくとも1つの管を取り外し、前記管モジュールおよび管電源になるまで前記少なくとも1つの管の部品を取り外し、および前記管モジュールを再配置する工程が、管パッケージおよび管ポッティングを取り外して重量およびサイズを削減する工程、および、前記単眼鏡取付システムのベースに前記管電源を再配置して、使用者の頭部に対する、慣性モーメントへのその寄与を低減する工程をさらに備える、請求項28に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、先願の、同時係属中の、2018年7月5日付で出願された米国仮特許出願第62/694,326号に対する優先権の利益を主張するものであり、上記米国仮特許出願の内容全体を参照により、本明細書に援用する。
【0002】
[技術分野]
本出願はイメージングの分野に関する。より具体的には、本出願は、必要な効果を伴って実現されるために最小限のサイズおよび重量をいずれも必要とする軍用ならびに商用の暗視装置およびシステムの分野に関する。
【背景技術】
【0003】
一般に、暗視との語は、2つの非常に異なる技術を表し得る。周囲可視および/または近赤外光を増幅する第1のものは通常、「画像増強」と呼ばれる。熱源から発せられた光を検出し、撮像する第2の技術は一般に、「熱ビジョン」と呼ばれる。本明細書中に記載された当該技術分野が関係する技術は、画像増強の技術である。画像増強は、約50年間、米軍で利用可能となっており、また、一般に、約30年間、航空および安全などの商用アプリケーションで利用可能となっている。したがって、画像増強技術には、軍用および商用市場のニーズを満たすために成熟し、および進化する時間が多くあった。画像増強装置は、古い陰極線管のように、動作するために管内での真空の閉じ込めを必要とするので、通常、「管」と呼ばれる。上記管はさらに、1000VDCを超える非常に高い電圧を必要とする。この高電圧電源は通常、管内に一体化され、またはパッケージングされる。画像増強管は、そのパッケージングされた電源なしで存在する場合、「管モジュール」と呼ばれる。
【0004】
いずれの暗視システムまたは装置にも、管に対して、電力の一貫した、および安定した供給を行い、管の入力に対して画像を提示する光学系および管の出力からの画像を投影する光学系が設けられなければならない。暗視装置を形成するためには、これらの要素すべて、ならびに、耐衝撃および防水システム特性が備えられなければならない。単純化に対するこれらの障壁に鑑みて、暗視装置およびシステムのサイズおよび重量を改善することが、管技術の進化における重点領域となっている。暗視装置およびシステムによってもたらされる複雑性および占有面積を削減するために、政府および企業のいずれによっても何百万ドルもが費やされている。
【0005】
暗視装置およびシステムのサイズおよび重量の削減において、米軍、および米国の特定のシステム製造業者により、1980年代に最大限の飛躍があった。目標は、主に飛行において使用される暗視ゴーグルのサイズおよび重量を大きく削減することであった。飛行用暗視ゴーグルの全局面、すなわち、管、双眼鏡および光学系、取付装置、ならびに電力システムを再設計しなければならなかった。主な再設計の結果は、単にANVIS設計と呼ばれる、飛行士暗視(「ANVIS」)管および飛行用ゴーグルの設計であった。この設計は当初から、非常にうまくいっており、および、本出願時点で、飛行用暗視における標準となっている。これには、軍用および商用の顧客が現在利用可能な多くの複製およびクローンがある。
【0006】
ANVIS設計および他の暗視装置の改善における、従来の試みには、異なるポリマーを使用して製造された軽量の暗視装置が含まれるが、それは、単眼鏡のハウジング内の画像増強管モジュールのポッティングを教示するものでなく、暗視ゴーグルのコリメーションを教示するものでもない。そうした超軽量の、および新たに一体化された暗視装置は、軍用または商用の地上、海洋、もしくは空中の暗視製品の設計および製造の分野において使用されていない。ANVISおよび同様の暗視装置は、世界中で製造され、使用されているが、既存の暗視装置は、コリメートされ、およびヘルメットマウントに取り外し可能に取り付けられ得る画像増強管モジュールを備えた、一体化された/ポッティングされた単眼鏡ハウジングを有することが知られている訳でない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
コリメートされ、および画像増強管電源を含んでいるヘルメットマウントに取り外し可能に取り付けられ得る画像増強管モジュールを備えた一体化された/ポッティングされた単眼鏡ハウジングの技術分野において、満たされていないニーズが存在している。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施例は、暗視装置用の単眼鏡装置である。単眼鏡装置は、単眼鏡ハウジング、接眼光学要素、対物光学要素、および管モジュールを備える。単眼鏡ハウジングは、導電材料で構成されており、単眼鏡ハウジングの外部表面に沿って延在している少なくとも1つの取付構成を有する。単眼鏡ハウジングの光軸は、少なくとも1つの取付構成の機械軸と平行に整列している。接眼光学要素は、少なくとも1つのフォーカス機構により、単眼鏡ハウジングに、摺動可能に接続された接眼フォーカスリングを有する。対物光学要素は、少なくとも1つのフォーカス機構により、単眼鏡ハウジングに、摺動可能に接続された対物フォーカスリングを有する。管モジュールは、管電源と、単眼鏡の他の部位から管モジュールを遮蔽する絶縁材とを有する。管モジュールの光軸は、少なくとも1つの取付構成の機械軸と平行に整列している。
【0009】
本発明の別の実施形態は、暗視装置である。装置は、横ばりを使用して上記単眼鏡のうちの2つを相互接続する単眼鏡取付システムを有する。横ばりは、第1の端における第1の単眼鏡ブリッジおよび第2の端における第2の単眼鏡ブリッジを有するマウントブリッジである。単眼鏡はそれぞれ、2つの単眼鏡が、互いに対して第1の固定角をなして、および、装置の手前の空間内の固定点に対して両方の単眼鏡が光学的に整列しているように、観察者の眼に対して第2の固定角をなして延在するように、第1の単眼鏡ブリッジまたは第2の単眼鏡ブリッジに取り付けられる。
【0010】
本発明の代替的な実施形態は、既存の部分を改造することにより、上記暗視装置を作る方法である。上記方法は、少なくとも1つの接眼光学要素を取り外し、少なくとも1つの接眼光学要素から機械ハウジングを取り外し、および、上記フォーカス機構により、少なくとも1つの接眼光学要素を再構築する。上記方法は、少なくとも1つの対物光学要素を取り外し、少なくとも1つの対物光学要素から機械ハウジングを取り外し、および、上記フォーカス機構により、少なくとも1つの対物光学要素を再構築する。上記方法は、少なくとも1つの管を取り外し、管モジュールおよび電源になるまで、少なくとも1つの管の部品を取り外し、および上記少なくとも1つの単眼鏡ハウジング内に管モジュールを再配置する。上記方法は、少なくとも1つの単眼鏡ハウジングに、少なくとも1つの接眼光学要素および少なくとも1つの対物光学要素を再配置する。上記方法は、既存の単眼鏡取付システムを取り外し、および、上記単眼鏡取付システムに少なくとも1つの単眼鏡ハウジングを取り付ける。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図2a】改善された暗視装置の単眼鏡の部分分解図である。
【
図2b】改善された暗視装置の単眼鏡の側面断面図である。
【
図2c】改善された暗視装置の単眼鏡の斜視断面図である。
【
図3a】改善された暗視装置の単眼鏡取付システムの平面図である。
【
図3b】改善された暗視装置の単眼鏡取付システムの分解図である。
【
図3c】改善された暗視装置の単眼鏡取付システムの断面図である。
【
図3d】改善された暗視装置の単眼鏡取付システムの断面図である。
【
図3e】改善された暗視装置の単眼鏡取付システムの底面図である。
【
図3f】改善された暗視装置の単眼鏡取付システムの斜視断面図である。
【
図4a】改善された暗視装置を既存の暗視装置から構築する方法のフローチャートである。
【
図4b】改善された暗視装置を既存の暗視装置から構築する方法のフローチャートである。
【
図4c】改善された暗視装置を既存の暗視装置から構築する方法のフローチャートである。
【
図4d】改善された暗視装置を既存の暗視装置から構築する方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
明確性のために、すべての図面中のすべての部分について符号が付けられている訳でないと理解されるべきである。符号が付けられていないことは、開示がないと解されるべきでない。
【0013】
本明細書中、特定の語は簡潔性、明確性、および理解のために使用されている。そうした語は、説明目的でのみ使用され、および広く解釈されることが意図されているので、不必要な限定をそこから、従来技術の要件を超えて適用すべきでない。本明細書中に記載された異なるシステムおよび方法は単独で、または他のシステムおよび方法との組み合わせで使用され得る。図面および出願書類において明確にされた寸法および材料は、例示に過ぎず、請求項に記載の本発明の範囲を限定することを意図するものでない。本出願の目的と整合しない他のいずれの寸法および材料も、使用され得る。種々の均等物、代替、および変更が、添付された請求項の範囲内で可能である。添付された請求項中の各限定は、「means for」または「step for」との語が、それぞれの限定において明示的に記載されている場合にのみ、米国特許法112条第6段落の下で解釈されることが意図されている。
【0014】
上記で簡潔に要約した、本発明のより特定された説明は、図面中で示され、そして以下でさらに詳細に議論される、例示的な実施形態により、利用可能である。この参照により、上記で挙げた構成と、明らかになるであろう他の構成がどのようにして得られ、そして詳細に理解することが可能であるかが明らかとなる。しかしながら、図面は、本発明の典型的な、好ましい実施形態を示しているに過ぎず、発明の範囲を限定するものではなく、本発明は、他の同等に効果的な実施形態を認め得る。
【0015】
図1a、1b、1c、1d、1e、および1fは、単眼鏡取付システム200および2つの単眼鏡300を含む改善された暗視装置100の種々の図を示す。装置100のいずれの部分も、パターン化された構成に切断された重量削減ポケットを、その部分の性能が当該ポケットによって影響を受けない限り、含み得る。パターン化された構成は、限定されるものではないが、三角形状の格子、平行四辺形状の格子、台形状の格子、通常の、「ハチの巣状の」または六角形状の格子、複数の異なる形状のいずれかの組み合わせおよび/または間隔、および/またはいずれかの他の規則的な、または不規則な形状の、および/または間隔を空けたパターンを含み得る。パターン化された構成は、材料の厚さに穿孔するのではない表面深さに限定され得、ならびに/または、材料の厚さに完全に、および/もしくは部分的に穿孔し得る。装置100のいずれかの金属表面上に、識別印が、陽極酸化処理され、または刻印され得る。装置100は、限定されるものではないが、チタン、アルミニウム、マグネシウム、高強度鋼合金、高強度ポリマー、繊維複合体、ハイブリッド複合体、ナノクリスタルおよび/またはナノ要素マトリックスを含有する複合体、メタマテリアル、およびそれらのいずれかの組み合わせなどの、高い強度重量比の材料を含有する。
【0016】
単眼鏡取付システム200の主要部品は、マウントスライド201、マウントアタッチメント202、スライドキャビティ203、ダブテール板204、ダブテール端板205、単眼鏡ブリッジ206およびマウントブリッジ207を組み入れた横ばり208、2つのブリッジピン209、単眼鏡ブリッジピン209毎のピン端ブッシュ210の対(前部/後部)、およびブリッジクランプ211である。
図3a~3fに示すように、少なくとも1つのレバー212が非円柱状のカムピン213に接続される。電気シュラウド214は、各単眼鏡300とシステム200との間の接続を覆い、およびさらなる電磁干渉(EMI)遮蔽を設ける。
【0017】
各単眼鏡300の主要部品は、単眼鏡ハウジング301、EMIフィルタ302、絶縁材303、画像増強管モジュールまたは管モジュール304、接眼光学要素305、対物光学要素306、管電源308、接眼フォーカス調整リング309、任意の対物シュラウ310、信号低減手段311、少なくとも1つの管パージ機構312、フォーカス機構313、対物フォーカスリング314、接眼フォーカスリング315、対物フォーカス調整リング316、および任意の管整列ねじ317である。図示された実施形態は右単眼鏡ハウジング301を含んでいるが、改善された暗視装置の設計には、右眼、左眼、または左および右の同時の構成および動作を有する実施形態に対する備えがなされている。
【0018】
マウントスライド201は、スライドキャビティ203周りのシェルであり、それは、摺動ダブテール板204を前後方向に順に取り囲む。少なくとも1つのダブテール端板205が、スライドキャビティ203からのダブテール板204の紛失を防止するためにマウントスライド201に取り付けられる。ダブテール板204とカムピン213との間の摩擦嵌合が、前後方向における単眼鏡300の位置決めを維持する。特定の実施形態では、管電源は、高電圧線が横ばり208を単眼鏡300まで走って、マウントスライド201内に配置され得る。特定の実施形態では、ダブテール板204は、電気トレースおよび/または接点の組を含む電気的スライディングインタフェース319を含む。そのような電気トレースおよび/または接点は、マウントスライド201内に取り付けられた相補的な電気トレースおよび/または接点と相互作用する。電気的スライディングインタフェース319が、任意の管電源および高電圧線とは別個のものであることに留意すべきである。特定の実施形態では、いずれも併せて使用し得る。
【0019】
マウントアタッチメント202は、ボールプランジャリードに接続された4つの遮蔽された電圧線を含む中空のボールプランジャである。これらの電圧線は、ダブテール板204内の少なくとも1つの開口を通って延在している。マウントアタッチメント202は、使用者のヘルメット(図示せず)との回転接続を可能にし、単眼鏡300が、必要でない場合の位置を外れて傾斜し、または回転することを可能にする。マウントアタッチメント202と、使用者のヘルメットとの間の摩擦嵌合が、単眼鏡300の傾斜位置決めを維持する。
【0020】
システム200は、2つの構成、すなわちマウントブリッジ207および単眼鏡ブリッジ206を維持する横ばり208を介して1つまたは複数の単眼鏡300を固定する。単眼鏡ブリッジ206およびマウントブリッジ207は、単一の要素、すなわち、単一の要素内にいくつかの機能が存在することを可能にする横ばり208の物理的および機能的構成である。この独特な配置は、単眼鏡の前後方向の調整、高度/方位調整、瞳孔間距離調整、および重量削減を提供しながら、管モジュール304の支持および遮蔽配線ならびに他の部品の先進的な構成を可能にする。単眼鏡ブリッジ206およびマウントブリッジ207が、
図1bおよび3bに示す実施形態において円筒状の、またはテーパ状の中空の構造である一方、単眼鏡ブリッジ206およびマウントブリッジ207は、横ばり208への別の部品の、または逆の接続を可能にするいずれの構成でもあり得る。横ばり208は、各単眼鏡ハウジング301にも導電接続される。
【0021】
マウントブリッジ207は、単眼鏡300を互いに固定距離だけ隔てさせ、および、使用者に対して単眼鏡300の最大360度の傾斜調整を行うためのピボットとしてふるまい得る。特定の実施形態では、許容される傾斜は360度未満である。単眼鏡ブリッジ206は、マウントブリッジ207の両端に配置され、および、互いに対して第1の固定角をなして、および観察者の眼に対して第2の固定角をなして単眼鏡300を設定する方向を指し示す。単眼鏡ブリッジ206は、増加した遠近感をもたらすために装置100の手前において固定距離で示すように、および光発散による眼精疲労を防止するために、あえて角度を付けている。いずれの単眼鏡300も、装置100の手前の空間内の固定点に対して光学的に整列している。
【0022】
例示的な実施形態の横ばり208は、2つの単眼鏡ブリッジ206をマウントブリッジ207と相互接続する略IまたはU字状の構成を有する。単眼鏡ブリッジ206およびマウントブリッジ207はいずれも、重量を削減するための、テーパ状の、中空の、内部トラス、および/または、パターン化された構成を有し得る。横ばり208は、限定されるものではないが、チタンなどの軽量の剛性材料で構成されている。中空の構造は、重量を削減するとともに、EMI遮蔽を設けながらそれを通る電圧線の通過を可能にする。特定の他の実施形態では、横ばり208は、はりの長手方向軸に対して約90度で延在する2つの端ではりを支持するいずれかの構成を有する。
【0023】
単眼鏡取付システム200は、2つのピン端ブッシュ210によって前部および後部を留められた、単眼鏡ブリッジ206および単眼鏡ハウジング301を通って延在している単眼鏡ブリッジピン209を介して単眼鏡300に接続する。単眼鏡ブリッジピン209は、フルスイング瞳孔間距離(IPD)調整を可能にする独特な構成で、単眼鏡300に単眼鏡取付システム200を連結する。単眼鏡ハウジング301、単眼鏡ブリッジピン209、およびピン端ブッシュ210間の摩擦嵌合が、単眼鏡300のIPD位置決めを維持する。さらに、単眼鏡ブリッジ206は、遠近感を増加させるために、装置100の手前の視野内に収束するように設計されたコリメーション角を含む。特定の実施形態では、コリメーションおよびIPDの調整は、ピン端ブッシュ210を取り外し、および単眼鏡300の位置を調整することによって行い得る。単眼鏡300の一方または両方は、使用者の視野からそれらを取り除くために、取付構成307の機械軸を中心に回転させることができる。その結果、装置は、双眼鏡として、単眼鏡として、または増強されたいかなる画像もなしで(いずれの単眼鏡300も、使用者の視野から取り除かれて)使用され得る。
【0024】
単眼鏡ブリッジ206は、ブリッジクランプ211および/またはねじ付きアタッチメント部材を使用してダブテール板204に接続される。単眼鏡ブリッジ206は、2つのマウントブリッジ207を相互接続し、および、電線の通過を可能にするための、それを通る少なくとも1つの開口を特徴として備えている。ブリッジクランプ211は、ダブテール板204に接続された単眼鏡ブリッジ206およびサイドフランジを受容するU字状の構成を有する。特定の実施形態は、単一のブリッジクランプ211の代わりに、複数のブリッジクランプ211を使用し得る。特定の実施形態は、回転範囲を固定するためにスロットおよびピンを利用してもよい。
【0025】
各マウントブリッジ207は、単眼鏡ブリッジピン209を介して、単眼鏡取付システム200に単眼鏡300を、回転可能に接続する役割を果たす。マウントブリッジ207は単眼鏡ハウジング301から突出する取付構成307間を延在し、単眼鏡ブリッジピン209はマウントブリッジ207および取付構成307をいずれも通過する。
図1bに示す実施形態は、単眼鏡ハウジング301の外部表面に沿って延在する2つの取付構成307を有しているが、他の実施形態は、より多くの、またはより少ない取付構成307を有し得る。単眼鏡ハウジング301の光軸(M
OA)は、取付構成307の機械軸(F
MA)と平行に整列している。単眼鏡300は、取付構成307の機械軸中心に回転し得る。単眼鏡ブリッジピン209は、マウントブリッジ207の長さよりも大きな長さを有する中空の円筒である。
【0026】
特定の実施形態では、単眼鏡ブリッジピン209毎の前部および後部ピン端ブッシュ210の対は、各単眼鏡ブリッジピン209の前部および後部端それぞれにわたって延在する。各ピン端ブッシュ210は、一方の側部から延在しているC字状のステムを備えた丸いスラブである。C字状のステムは、2つの単眼鏡300のコリメーションを固定するために、単眼鏡ブリッジピン209と、単眼鏡ハウジング301の取付構成307との間の環状空間内に挿入された場合に摩擦嵌合を形成する。特定の他の実施形態では、少なくとも1つのピン端ブッシュ210は、摩擦嵌合を形成するものでない不規則の、または規則的な形状のカムであり得る。そうしたピン端ブッシュ210は、2つの単眼鏡300をコリメートし、および、次に、所定の位置に固定するために回転される。ピン端ブッシュ210は、ポリマー、または、当該技術分野において知られており、および、干渉嵌合を介してマウントブリッジ207に接続することができるいずれかの同様の軽量の材料で製造される。
【0027】
単眼鏡ハウジング301は、高電圧管エンベロープとしての役割を果たすための導電材料でできている。そうした材料は、限定されるものではないが金属を含み得る。単眼鏡ハウジング301は、単眼鏡ハウジング301に接地し、よって、単眼鏡300全体に対するEMI遮蔽を設ける、管電源308との、および、フォーカス機構313を介した、レンズ機構との電気接点を含む。
図1bに示す実施形態では、フォーカス機構313がピンである一方、限定されるものではないが、ねじなどの他の機構が想定される。特定の実施形態では、単眼鏡ハウジング301上の領域は、EMIフィルタ302との適切な接地および接続を確実にするために導電材料でめっきすることが可能である。少なくとも1つのEMIフィルタ302が、単眼鏡ハウジング301に取り付けられ、および、導電接続される。
【0028】
特定の実施形態は、導電材料で構成されたピン端ブッシュ210を介した導電により、または、電線を介した、EMIフィルタ302および横ばり208の直接相互接続により、単眼鏡300に横ばり208を接地し得る。結果として生じるEMI遮蔽は、横ばり208から、EMIフィルタ302へ、単眼鏡ハウジング301へ、対物フォーカスリング314および接眼フォーカスリング315へ、フォーカス機構313を介して延在する。この遮蔽は、暗視装置100に対する、電気部品の完全なファラデー電気遮蔽を設ける。さらなるフィルタリングが必要な場合、さらなるEMIフィルタ302を横ばり208内に挿入し得ることにも留意すべきである。
【0029】
完全な電気遮蔽は装置100の電気部品すべてを取り囲む。接眼光学要素305は単眼鏡ハウジング301に導電接続される。単眼鏡ハウジング301は取付機構307に導電接続される。取付機構307は横ばり208に導電接続される。横ばり208はダブテール板204に導電接続される。ダブテール板204はマウントスライド201に導電接続される。
【0030】
単眼鏡ハウジング301は、電磁干渉(EMI)を防止するために、電気絶縁/導電目的のための、すなわち、管電源308から絶縁するが、導電性を有する、特定の領域内で陽極酸化処理し、および/またはアロジン処理され得る。単眼鏡300内に配置された絶縁材303は、高電圧破壊を防止するために単眼鏡300の他の部位から管モジュール304を電気的に絶縁する。実施形態は、管モジュール304周りの、管モジュール304と単眼鏡ハウジング301との間の高電圧絶縁材303のシートまたは塗布された被覆を組み入れ、管モジュール304をカプセル化し得る。管電源308が管モジュール304内に配置されている場合、管電源308もカプセル化し得る。他の実施形態は、管モジュール304または管電源308を具体的にカプセル化するものでないが、単に、管モジュール304(および、該当する場合、管電源308)と、単眼鏡300の他の部分との間に絶縁材303を配置する。特定の実施形態では、単眼鏡300は、単眼鏡300の組み立て中に管モジュール304を任意の位置に保持するために使用される管整列ねじ317も含む。
【0031】
各管モジュール304は、管モジュール304と一体化された管電源308を含み得る。各管モジュール304の光軸(TOA)はさらに、少なくとも1つの取付構成307の機械軸(FMA)と平行に、光学的に整列している。管電源308の電源は、使用者の頭部に対する慣性モーメントへの寄与を低減するために単眼鏡取付システム200のベースにおいて配置され得る。特定の実施形態では、管モジュール304は、管モジュール304が適切に機能するのに必要な真空を確保するために、管モジュール304の各側部から気体をパージするための少なくとも2つの管パージ機構312を含む。管パージ機構312は、単眼鏡ハウジング301を通って延在し、および、一般に、管モジュール304の両端において配置される。
【0032】
特定の実施形態では、管モジュール304は、入射光信号の低減により、管光電特性を調整するための信号低減手段311も含む。信号低減手段311は、管モジュール304のガラス入力窓の手前に配置されたガラスディスク、増強された暗視のスペクトル帯内の入ってくる光エネルギを吸収するガラスディスク上に設けられたフィルタ、および、管モジュール304から取り外し可能でないように糊付けされたディスクを含み得る。
【0033】
接眼光学要素305も対物光学要素306も、フォーカス機構およびEMI遮蔽のいずれとしても機能するフォーカス機構を含み、およびコリメーション調整をなくしている。対物フォーカスリング314および接眼フォーカスリング315は、接眼フォーカス調整リング309および対物フォーカス調整リング316それぞれを使用して回転させられるにつれてフォーカス機構313に沿って摺動し、単眼鏡300内を移動して光学的フォーカスを行う。対物フォーカスリング314および接眼フォーカスリング315は、単眼鏡ハウジング301内に中心が置かれ、および、円形ばね318により、管モジュール304と整列した状態に保持される。特定の実施形態では、円形ばね318はOリングシールである。
【0034】
対物フォーカスリング314および接眼フォーカスリング315の外部表面は、フォーカス機構313との電気接続を行うために、少なくとも部分的に導電材料で被覆され得る。二重Oリングシール318は、対物フォーカスリング314および接眼フォーカスリング315を単眼鏡ハウジング301に嵌合させ、いずれも、単眼鏡ハウジング301に対物フォーカスリング314および接眼フォーカスリング315を封止し、単眼鏡ハウジング301に対してレンズ軸を平行に保つので、これは、実質上、唯一の導電経路になる。これは、接眼光学要素305および対物光学要素306が、単眼鏡ハウジング301との、およびそこからEMIフィルタ302までの導電接続を形成することを可能にする。これは、接地を設け、および、装置100のロバストなEMI遮蔽を設ける。
【0035】
接眼フォーカス調整リング309および対物フォーカス調整リング316は、より容易な調整のための指輪郭を含み得る。接眼フォーカス調整リング309は、使用者の視線からそれを隠すテーパ状のプロファイルを有し得る。対物光学要素306は、得られた画像を使用不能にする可能性のある周囲光から管モジュール304を保護するために、対物光学要素306の外端上に配置された、取り付けられた対物シュラウド310も含み得る。
【0036】
図3a~3fは、単眼鏡取付システム200を示す。レバー212は、非円筒状のカムピン213の周りを、およびマウントスライド201を通って延在し、使用者による把持の容易性のための隆起付きの拡大されたタブで終端する。レバー212は、調整後、任意の位置にダブテール板204を係止する、指で作動するカム機構である。非円筒状カムピン213が、非中心軸中心に回転するので、カムピン213の一部は、ダブテール板204と接触して回転し、カムピン213とダブテール板204との間の摩擦界面がダブテール板204の前後移動を妨げる。単眼鏡300の前後位置決めを調整するために、使用者は、カムピン213およびダブテール板204がもう接触していない状態になるまでレバー212を回転させ、次に、ダブテール板204を移動させ得る。
【0037】
図4a~4dは、改善された暗視装置を既存の暗視装置から構築する方法のフローチャートである。というのは、上記単眼鏡の設計は、直接製造することが可能であるか、または、それぞれ約米3千ドルで、非常に高価である既存のANVIS管を使用して実現することが可能であるからである。したがって、既存の暗視ゴーグルシステムは、約6千米ドル相当のANVIS管を含んでいる。標準的なANVISパッケージングされた画像増強管は、管モジュール、電源、パッケージング、および管要素すべてを安定化させるためのポッティング材料から構成される。以下の方法は、ANVISパッケージングされた画像増強管をその構成要素まで分解することにより、改善された暗視装置内のこれらの高価な画像増強管の維持を可能にする。電源は、異なるシステム内で販売され、または再使用され得る。管モジュールおよび光学系は、改善された暗視装置において再使用され得る。パッケージング、およびポッティングの大半は廃棄することが可能である。
【0038】
既存の暗視ゴーグルシステムは、
図1aに示す単眼鏡取付システム200および単眼鏡300の構成に一致させるように改造し得る。以下の工程の順序を修正することができ、および、工程を部分的に行い、または全部省略することができることを理解すべきである。
【0039】
工程401では、マウントアタッチメント、マウントスライド、対物光学要素、画像増強管、接眼光学要素、電源、および電力ケーブルが既存の暗視ゴーグルから取り外され、および残りの部品が廃棄される。
【0040】
工程402では、対物光学要素が旋盤内に取付られ、および、対物ハウジングが分離ツールを使用して第1の位置で切断される。
【0041】
工程403では、対物光学要素が、分離ツールにより、第2の位置で対物ハウジングを切断するために、取り外され、回転させられ、および再取付される。
【0042】
工程404では、対物ハウジングが廃棄され、および、陽極酸化処理のパッチが取り外される。
【0043】
工程405では、新たなフォーカスリングが、圧入により、対物レンズに取り付けられる。
【0044】
工程406では、接眼光学要素が旋盤内に取り付けられ、および接眼ハウジングが、プラスチック要素を露出させるために分離ツールを使用して第1の位置で切断される。
【0045】
工程407では、接眼光学要素が、分離ツールにより、第2の位置で接眼ハウジングを切断するために、取り外され、回転させられ、および再取付される。
【0046】
工程408では、接眼ハウジングが取り外され、および、プラスチックレンズがレンズセルから分離される。
【0047】
工程409では、プラスチックレンズおよびレンズセルが洗浄される。
【0048】
工程410では、限定されるものではないが、室温加硫シリコーン(RTVシリコーン)などの封止接着剤が、封止のためにフォーカスリング上に設けられ、およびレンズセルがフォーカスリング内に圧入される。
【0049】
工程411では、さらなる封止接着剤がフォーカスリング上に蒸着され、およびプラスチックレンズがフォーカスリング内に圧入される。
【0050】
工程412では、管ハウジングおよび電源が管モジュールから取り外され、管ハウジングが廃棄される。約2~3mmのガラスが、外景を見る、管モジュールのフロント光電陰極窓部から取り外され、および廃棄される。眼によって見られる、管モジュールの光ファイバ部のアクセスガラスの外側1mmの円筒が、取り外され、および廃棄される。
【0051】
工程413では、電源および管モジュールは、洗浄され、および絶縁材が嵌められる。
【0052】
工程414では、電源および管モジュールが単眼鏡ハウジング内に再配置される。
【0053】
工程415では、マウントベースおよびマウントアタッチメントが、マウントスライドから取り外される。
【0054】
工程416では、ボールプランジャ、板、ねじ付きシャフト、および親指ホイールが取り外され、および廃棄される。
【0055】
工程417では、セラミックボールを含む別のボールプランジャが、マウントアタッチメントに再組立される。
【0056】
工程418では、電気接点カードまたは他の電気接続要素が、ダブテール板に挿入される。
【0057】
工程419では、対物光学要素および接眼光学要素が、単眼鏡内に再組立てされる。
【0058】
工程420では、単眼鏡およびレバーが、ブリッジピン、およびピン端カムの設置により、マウントブリッジに接続される。
【0059】
工程421では、マウントブリッジが、ブリッジクランプにより、ダブテール板に接続される。
【0060】
工程422では、ダブテール板がマウントベースキャビティ内に挿入される。
【0061】
工程423では、パワーパックがゴーグルに取り付けられる。
【0062】
工程424では、新たなダブテール端板を取り付けることにより、ゴーグル組立体が完成する。
【0063】
本暗視装置100内では、コリメーション、放射電磁エネルギのビームの発散および/または収束の最小化が、メイン部品とサブ部品との間の種々の配置によって実現される。暗視装置100内では、2つの単眼鏡300が、横ばり208の固定された寸法により、配置されている。各単眼鏡300内では、レンズは、設計により、対物フォーカスリング314および接眼フォーカスリング315と整列しており、管モジュール304は、ポッティングにより、単眼鏡ハウジング301と整列しており、対物フォーカスリング314および接眼フォーカスリング315は、円形ばねとしてのOリングシール318の動作により、管モジュール304と整列した状態に保持される。したがって、装置100のコリメーションは、各単眼鏡ハウジング301の、それぞれの接眼フォーカスリング315、管モジュール304、および対物フォーカスリング315に対する光学的整列により、および、横ばり208を使用して2つの単眼鏡300を整列させることにより、固定される。
【0064】
元のANVIS設計におけるように、本設計は、本明細書中、暗視飛行用ゴーグルとして規定されているが、飛行用ゴーグル以外のさらなる暗視装置およびシステムに適用することが可能であることが理解されるべきである。
【0065】
本記述が、ベストモードを含め、本発明を開示し、およびさらに、いずれの当業者も本発明を新しく実施することを可能にするために実施例を使用していることが理解されるものとする。寸法または他のサイズの記述はいずれも、例証の目的で提供しており、および、請求項に記載された本発明の範囲を限定することを意図するものでない。さらなる態様は、わずかな変形、および業界内で使用するために必要な、寸法におけるより大きな変形を含み得る。本発明の特許可能な範囲は、当業者が思いつく他の実施例を含み得る。