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特許7467463製品パレット、及び製品パレットの位置を把握するための方法
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  • 特許-製品パレット、及び製品パレットの位置を把握するための方法 図1
  • 特許-製品パレット、及び製品パレットの位置を把握するための方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-05
(45)【発行日】2024-04-15
(54)【発明の名称】製品パレット、及び製品パレットの位置を把握するための方法
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/137 20060101AFI20240408BHJP
   H04W 84/12 20090101ALI20240408BHJP
   H04W 4/029 20180101ALI20240408BHJP
   B65G 61/00 20060101ALI20240408BHJP
【FI】
B65G1/137 A
H04W84/12
H04W4/029
B65G61/00 524
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021531185
(86)(22)【出願日】2019-08-08
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-09
(86)【国際出願番号】 EP2019071337
(87)【国際公開番号】W WO2020030747
(87)【国際公開日】2020-02-13
【審査請求日】2022-08-02
(31)【優先権主張番号】102018119341.6
(32)【優先日】2018-08-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】521056113
【氏名又は名称】シーエイチイーピー テクノロジー ピーティーワイ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】パニック,マルコ
【審査官】加藤 三慶
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0323412(US,A1)
【文献】特表2010-537347(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第112801755(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/137
H04W 84/12
H04W 4/029
B65G 61/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
製品パレット(10)の近くのスマートフォンの存在を検出できるスマートフォン探索モジュール(24)と、データネットワークを介してデータを転送できる送信モジュール(22)とを有する自律型モジュール(20)を備える製品パレット(10)。
【請求項2】
前記スマートフォン探索モジュール(24)が、周辺エリアに存在するスマートフォンのWLANモジュール、特に、周辺エリア内のスマートフォンのWLANモジュールのMACアドレスを検出することを特徴とする、請求項1に記載の製品パレット(10)。
【請求項3】
前記送信モジュール(22)が、2Gリンクを介してデータを送信することを特徴とする、請求項1及び2のいずれか一項に記載の製品パレット(10)。
【請求項4】
前記送信モジュール(22)が、NB-IoTリンクを介してデータを送信することを特徴とする、請求項1及び2のいずれか一項に記載の製品パレット(10)。
【請求項5】
前記自律型モジュール(20)がバッテリ(26)を有することを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の製品パレット(10)。
【請求項6】
前記自律型モジュール(20)が移動センサ(28)を有することを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の製品パレット(10)。
【請求項7】
店内の製品パレット(10)の位置を把握するための方法であって、第1のステップにおいて、製品パレット(10)に搭載されたモジュール(20)が、製品パレット(10)の近くに存在するスマートフォンと対話し、第2のステップにおいて、対話があった異なるスマートフォンの数に応じて、製品パレット(10)が店の店頭にあるか又は店の倉庫にあるかについての判断が自動化された様態でなされる、方法。
【請求項8】
前記モジュール(20)が、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の製品パレットの一部であり、検出されたスマートフォンの数の生情報を送信することを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記モジュール(20)が、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の製品パレットの一部であり、判定された位置情報を送信することを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記モジュール(20)が、状況に基づいて、例えば製品パレット(10)が移動された後に、スマートフォンを検出することを特徴とする、請求項7乃至9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記モジュール(20)が、スマートフォンのアプリと対話し、前記スマートフォンが、前記アプリに記憶されたサーバにメッセージを送信することを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製品パレット、並びに、製品パレットの、特に製品の二次陳列として用いられる製品パレット及び補充に用いられる製品パレットの、位置を把握するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
二次陳列とは、製品が、棚スペースだけでなく、店内の第2の販売場所で、特に、より大きな注目を集めるために製品に特有の表示物を取り付けることができる製品パレット上で、顧客に売りに出されることを意味すると理解される。
【0003】
これらの二次陳列の数は、ドイツの食品小売業界で増加し続けている。二次陳列は、一般に2つのタイプに区別される。1つは、例えばチラシからの、週替わりの販売促進に焦点をあてている。もう1つは、常設の二次陳列である。特に第1のタイプでは、週替わりの販売促進商品は、テレビ広告で、或いはクーポンキャンペーン又はチラシを使用して宣伝されるため、店頭での適時な陳列が極めて重要である。したがって、製品供給業者は、マーケティング及び市場開発資金を通じて、製品の売り上げを伸ばすために一定の財政的支出を行っている。しかし、供給業者は、販売促進中の製品が倉庫から移動され、正しい時刻に店頭に陳列されたかどうかを確認することができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、供給業者が、該供給業者が販売促進中の製品が合意された通りに店の店頭で顧客に売りに出されているかどうかを自動化された様態で確認できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的を達成するために、本発明によれば、自律型モジュールを搭載された製品パレットが提供され、該モジュールは、製品パレットの近くのスマートフォンの存在を検出できるスマートフォン探索モジュールと、データネットワークを介してデータを転送できる送信モジュールを有する。
【0006】
この場合、「自律型モジュール」は、外部電源なしで機能する電子アセンブリであると理解される。これは、バッテリを含んでいる、すなわち能動的に送信できるタグ、又は外部信号に応答するビーコンであり得る。
【0007】
この目的を達成するために、本発明によれば、第1のステップにおいて、製品パレットに搭載されたモジュールが、製品パレットの近くに存在するスマートフォンと対話し、第2のステップにおいて、対話があった異なるスマートフォンの数に応じて、製品パレットが店の店頭にあるか又は店の倉庫にあるかについての判断が自動化された様態でなされる、方法も提供される。
【0008】
本発明に係る製品パレットと本発明に係る方法との両方は、所定の時間内に製品パレットの近くを「通過する」異なるスマートフォンの数が、製品パレットが倉庫内にあるか又は店頭にあるかについての非常に正確な結論を導き出すという発見に基づいている。スマートフォンが存在しない、ほんの少数のスマートフォンが存在する、又は常に同じスマートフォンが存在する場合、製品パレットは倉庫内にある。多くの異なるスマートフォンが存在する場合、製品パレットは店頭にある。
【0009】
1つの変形例によれば、スマートフォンとの対話は、本発明に係る製品パレットに関連して説明されるモジュールによって実行することができ、前記モジュールは、スマートフォン探索モジュールと送信モジュールを搭載している。これらのモジュールは、スマートフォンのWLANモジュールによって、特にスマートフォンのWLANモジュールのMACアドレスに基づいて、製品パレットの周辺エリアにあるスマートフォンを特に効果的に検出することができる。
【0010】
モジュールによって検出された情報は、低エネルギー消費で区別されるデータリンクを介して送信される。この目的のために、特に、GSM、例えば、2Gリンク及び/又はNB-IoTリンク(狭帯域のモノのインターネットリンク)を用いることができる。
【0011】
モジュールは、該モジュールに電気エネルギーを供給するバッテリを搭載している。すべての機能のエネルギー消費が少ないので、バッテリは、最大10年間にわたってモジュールに電気エネルギーを供給することができる。
【0012】
本発明の一構成によれば、モジュールは、移動センサを有する。前記センサは、状況に基づいて、例えば製品パレットが移動された後に、スマートフォンを検出することを可能にする。これにより、エネルギーを節約し、したがって、モジュールの耐用年数を延ばすことができる。スマートフォンの検出に基づいて店内の製品パレットの位置が一度十分に高い精度で把握されれば、製品パレットが移動しない限り位置は変わらないと考えられる。製品パレットの移動が検出されるときにのみ、新たな検出動作が開始され、この動作は、店内の製品パレットの位置が十分に高い精度で再び把握されたときに終了することができる。
【0013】
送信モジュールによって、検出されたスマートフォン(例えば、特定の時間単位で検出された異なるスマートフォン、又は所定の様態で計算された特徴数)の「生情報」を送信することができる。しかしながら、好ましくは、店内の製品パレットの位置情報(例えば、所定の時間内に比較的多数の異なるスマートフォンが検出されているときに情報「店頭にある」、又は所定の時間内に検出された異なるスマートフォンの数が所定の閾値を下回っているときに「店頭にない」)が実際に送信される。
【0014】
好ましくは、測定は、設定時刻に、例えば朝の9:00と夜の18:00に行われる。異なる位置を区別するための「閾値」は、予想される顧客の流れ、そしてまた、倉庫の大きさ(したがって、そこで予想される非顧客スマートフォンの数)に応じて設定することができる。例として、異なるスマートフォンの閾値数は、5分間に10を超える数であり得る。
【0015】
代替的な変形例によれば、本発明に係る方法に用いられるモジュールは、ビーコン、すなわち、タグであり、これは、スマートフォンのブルートゥース(登録商標)機能が起動されたときに、前記スマートフォンにインストールされたアプリ、例えば顧客が今いる店の食品小売チェーンアプリと対話することができる。アプリがこの種のビーコンと対話する場合、アプリは、前記対話が行われたことを示すメッセージをサーバに送信することができる。同じ製品パレットに関して短い時間内に複数のこのようなメッセージが受信される場合、当該製品パレットは店頭にあると結論づけることができる。
【0016】
本発明は、添付図に示されている実施形態に基づいて以下に説明されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明に係る製品パレットの概略図である。
図2】店の異なる位置に配置され、本発明に係る方法によって店での位置が把握される、本発明に係る2つの製品パレットの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、製品を載せることができる実質的に平坦な上面12を有する製品支持プレート11を有する製品パレット10の概略図である。製品支持プレート11の下側に複数の脚14が設けられる。
【0019】
製品パレット10は、流通センターで製品が積み込まれ、次いで、店(例えば、スーパーマーケット)に輸送される。製品は、製品パレット10を店頭に直接設置できるように製品パレット上に並べられ、したがって、製品をさらに棚に置く必要はない。この目的のために、製品を販売促進する様態で提示する表示物(例えば、印刷板紙)を製品パレット10に取り付けることができる。
【0020】
製品パレット10には、送信モジュール22、スマートフォン探索モジュール24、及び移動センサ26を含むモジュール20が搭載される。バッテリも組み込まれる。
【0021】
モジュール20は、好ましくは、例えば製品支持プレート11の下部に固定される、又は前記プレートがハニカム構造を有する場合、製品支持プレート11の下部を超えて突出しないように皿穴の様態のハニカム構造のキャビティのうちの1つに取り付けられる、水密に密封されたユニットである。
【0022】
スマートフォン探索モジュール24は、周辺エリアを「スキャン」し、その周辺エリアにいくつの異なるスマートフォンが存在するかを判定する。この目的のために、特に、スマートフォンのWLANモジュールのMACアドレスが検出される。このプロセスでは、(例えば倉庫作業員の)同じスマートフォンが複数回カウントされないようにするために、検出されたMACアドレスが、検出済みのMACアドレスと比較される。
【0023】
送信モジュール22は、低帯域幅の且つエネルギー消費が少ないデータリンクを介して、検出された異なるスマートフォンの数の情報を送信する。例は、2G及びNB-IoTである。
【0024】
移動センサ26は、製品パレット10が移動されるかどうかを検出する。この情報は、特に、スマートフォン探索モジュール24を起動するのに用いられる。
【0025】
図示されている製品パレットは、特に、クオーターパレットとして知られているものであり得る。しかしながら、製品パレットは、補充に用いられるパレットとすることもできる。この場合、パレットは、砂糖、小麦粉、水、キッチンロールなどの、ハーフパレット又はユーロパレットである。
【0026】
製品パレット10の機能と検出データの評価を図2に基づいて説明する。
【0027】
図2は、棚34を備える店頭32と倉庫36とを有する店30(例えば、スーパーマーケット)を概略的に示す。
【0028】
1つの製品パレット10Aが店頭32に配置されており、さらなる製品パレット10Bは倉庫36内にある。
【0029】
定期的に又は特定の因子の発現後に(例えば、製品パレットが移動された後に)、2つの製品パレット10A、10Bのスマートフォン探索モジュール24が、周辺エリアにあるスマートフォンのMACアドレスを探索する。いくつかのMACアドレスが「見つかる」と、システムは、
1)MACアドレスが実は既に見つかっている
2)以前のスキャン動作と比較してMACアドレスに大きな変化があった
3)それらのMACアドレスが同じである
かどうかを自動的に比較する。
【0030】
ケース1)では、製品パレット10は、店頭32にないが、むしろ倉庫36内にあると考えられる。
【0031】
ケース2)では、製品パレット10は店頭32にあると考えられる。
【0032】
ケース3)では、製品パレット10は倉庫36内にあり、スタッフのスマートフォンだけが検出されていると考えられる。
【0033】
モジュール20の送信モジュール22は、当該製品パレット10がどこにあるかを適切なアプリケーション、データベース、又はコンピュータプログラムが示すこと(参照番号42)ができるように、2G、NB-IoT、又は同様の電気通信技術(概略的に例示されているレシーバステーション40を参照されたい)を介して、検出された異なるスマートフォンの情報を転送し、この場合、製品パレット10Aについては、特定の時間内に検出された異なるスマートフォンの数が多いことに基づいて、店頭VPにあると判定され、一方、製品パレット10Bについては、異なるスマートフォンの数が少ないことに基づいて、倉庫L内にあると判定されている。
【0034】
この情報は、製品パレット10の小売業者と供給業者が、
・製品が正しい時刻に店頭32に陳列されているかどうか(アラートシステムの設定)、
・製品が初めから入手可能であったか及び製品パレットがいつ撤収されたかを確実に追跡できるようになるため、十分な在庫が注文されているかどうか
・販売促進がさらに数日間行われる場合であっても製品パレットが倉庫36内に戻されているどうかをリアルタイムで確認できるため、在庫を再注文する必要があるかどうか、
を確認することを可能にする。
図1
図2