(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-05
(45)【発行日】2024-04-15
(54)【発明の名称】固定部材、アセンブリ、並びに関連するシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
A61B 17/04 20060101AFI20240408BHJP
【FI】
A61B17/04
(21)【出願番号】P 2021532016
(86)(22)【出願日】2019-12-04
(86)【国際出願番号】 IB2019060446
(87)【国際公開番号】W WO2020115681
(87)【国際公開日】2020-06-11
【審査請求日】2022-11-28
(32)【優先日】2018-12-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514046806
【氏名又は名称】メドス・インターナショナル・エスエイアールエル
【氏名又は名称原語表記】Medos International SARL
【住所又は居所原語表記】Chemin-Blanc 38, CH-2400 Le Locle, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ガマシュ・ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ジョンソン・サマンサ
(72)【発明者】
【氏名】アルジェリ・ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】スペンシナー・デビッド
(72)【発明者】
【氏名】コネリー・デニス
(72)【発明者】
【氏名】タイス・レーガン
【審査官】鈴木 敏史
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0123810(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0250471(US,A1)
【文献】特開2010-240415(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
解剖学的構造内に固定するための縫合糸アンカーであって、前記縫合糸アンカーは、
伸長方向に沿って伸びるアンカー本体であって、前記アンカー本体は中心軸を画定し、前記アンカー本体は、中立構成において、前記アンカー本体が横断方向に沿った厚さと横方向に沿った幅を画定するように、前記中立構成において平坦な形状を有し、前記横断方向は前記中心軸に対して垂直であり、前記横方向が前記横断方向に対して垂直であり、前記幅が前記中立構成における前記厚さよりも大きい、アンカー本体と、
前記アンカー本体の第1の位置において前記アンカー本体に接触している作動部材であって、前記アンカー本体は、前記第1の位置から離れて延在する第1のアンカー本体尾部及び第2のアンカー本体尾部を有し、前記第1のアンカー本体尾部及び前記第2のアンカー本体尾部は、前記第1の位置から、前記第1の位置から離間した前記アンカー本体の第2の位置まで前記作動部材の一部分に沿って共に編組され、編組縫合糸アンカー構造体を画定する、作動部材と、を含み、
前記作動部材が、前記アンカー本体に力を加えて、前記アンカー本体が前記伸長方向から角度を付けてオフセットされた第2の方向に沿って第1の最大厚さを画定する第1の構成から、前記アンカー本体が前記第2の方向に沿って第2の最大厚さを画定する拡張構成まで、前記アンカー本体を作動させるように構成されており、前記第2の最大厚さが前記第1の最大厚さよりも大き
く、
前記第1の位置及び前記第2の位置が前記編組縫合糸アンカー構造体の第1の端部及び第2の端部を画定するように、前記第1のアンカー本体尾部及び前記第2のアンカー本体尾部が前記第2の位置において互いに接触し、前記編組縫合糸アンカー構造体が、構造体長手方向に沿って前記第1の端部と前記第2の端部との間に延在する長さを画定し、
前記作動部材が、
前記第1の位置から延在し、前記作動部材の前記一部分から離れている、第1の作動部材尾部と、
前記第2の位置から延在し、前記作動部材の前記一部分から離れている、第2の作動部材尾部と、を含み、
前記作動部材が、前記第2の位置において前記第1のアンカー本体尾部及び前記第2のアンカー本体尾部のうちの少なくとも1つを貫通し、
前記アンカー本体の一部分が、前記第1の位置から延在するループを画定するように折り畳まれ、前記編組縫合糸アンカー構造体は、1)前記第1の作動部材尾部及び前記第2の作動部材尾部が、それぞれ前記ループを通って延在し、かつ、2)前記ループが、前記編組縫合糸アンカー構造体の前記第1の端部及び前記第2の端部のうちの少なくとも1つの周囲に延在するように屈曲される、縫合糸アンカー。
【請求項2】
前記作動部材が、前記第1の位置で前記アンカー本体を貫通しない、請求項
1に記載の縫合糸アンカー。
【請求項3】
前記作動部材が、内部に埋め込まれ、かつ前記伸長方向に沿って延在する軸方向コアを含み、前記軸方向コアが、水性環境への曝露に応答して前記第2の方向に沿って膨潤するように構成されている、請求項1に記載の縫合糸アンカー。
【請求項4】
前記アンカー本体が、前記第1の構成から前記拡張構成に移行する際にひとかたまりになる、請求項1に記載の縫合糸アンカー。
【請求項5】
前記アンカー本体が、前記第1の構成から前記拡張構成に移行する前及び後に、前記作動部材に沿って並進するように構成されている、請求項1に記載の縫合糸アンカー。
【請求項6】
前記第1のアンカー本体尾部及び前記第2のアンカー本体尾部が、3ストランド交互編組で前記作動部材の前記一部分と共に編組される、請求項1に記載の縫合糸アンカー。
【請求項7】
前記3ストランド交互編組が、単純な三つ編みである、請求項6に記載の縫合糸アンカー。
【請求項8】
前記縫合糸アンカーは、解剖学的固定のためのシステムで使用されるものであり、前記システムは、
細長い本体部分を有する挿入器具であって、前記挿入器具は、前記細長い本体部分の遠位部分にアンカーキャリアを備える、挿入器具、
を備え、
前記縫合糸アンカーは、前記アンカーキャリアによって運ばれるように構成されており、前記アンカーキャリアが前記ループを通って延在する、請求項1に記載の縫合糸アンカー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、Johnsonらの名義で2018年12月5日に出願された米国特許仮出願第62/775,902号、及びJohnsonらの名義で2018年12月6日に出願された米国特許仮出願第62/775,937号の利益を主張するものであり、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、概して、損傷した組織を修復及び固定するための装置、システム、及び方法に関し、より具体的には、縫合糸を組織に固定するための装置、システム、及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
軟骨、皮膚、筋肉、骨、腱及び靱帯などの組織への損傷は、損傷を修復し、治癒を促進するために外科的介入を必要とすることが多い。組織損傷を修復するための外科的処置は、損傷した組織内又はそこに隣接して埋め込まれた1つ以上の固定装置に接続された縫合糸を使用して行われる。縫合糸はまた、修復部を固定するために、様々な外科的技術により、組織を通過させるか、又はその周囲に通すこともできる。縫合糸はまた、修復を行うために使用される2つ以上のアンカーを相互接続することができる。縫合糸アンカーは、金属及び耐久性ポリマーなどの非吸収性材料、並びに吸収性ポリマー、バイオセラミック、吸収性複合材、及び加工骨などの生体吸収性材料を含む様々な材料から形成された本体を用いて製造されている。縫合糸材料だけで又は少なくとも実質的に縫合糸材料で構築されたもの自体であるアンカーは、本明細書では、「全縫合糸アンカー」又は単純に「縫合糸アンカー」と呼ばれ、そのようなアンカーは、特定の種類の組織修復に関して特に有利であり得る。例えば、縫合糸アンカーは、織物の縫合糸材料の比較的柔らかく柔軟な性質により、他の種類の骨アンカーに比べて骨内のより小さな予設したドリル穴内に縫合糸アンカーが概ね適合することによって、アンカー挿入前に除去されるべき骨の量が低減するため、骨材料内の固定に対して利点を呈する。
【0004】
更に、縫合糸は、例えば、アンカー本体内の穴又は他の通路を使用して、固定的又は摺動的に縫合糸アンカーを介して、又はその周囲に接続でき、固定又は摺動ノット、アンカー構成要素間の干渉、アンカーと周囲の組織との間の干渉、又は他の手段を使用して固定できる。いくつかの縫合糸アンカーは、縫合糸がアンカーを通って又はアンカーの周りを一方向に摺動するように設計され、縫合糸の一部をアンカーに対して引っ張ることによって、外科的修復部位の締め付けを可能にする。それらの多くの外科用途の中でも、縫合糸アンカーを縫合糸と共に使用して、損傷した腱又は靱帯を骨に再付着させ、関節接合部を取り囲む欠陥のある組織を締め付け、かつ、膝内の半月板損傷などの軟骨内の裂傷を修復する。いくつかの用途では、調節可能な長さの縫合糸によって接合された2つ以上のアンカーは、組織の裂傷の緊締、又は欠陥のある組織の安定化を可能にする。
【0005】
縫合糸アンカー設計において非常に重要であるのは、取り付けられた縫合糸がアンカーに対して張力をかけられたときに、アンカーの破損又は抜け(骨からなど)のリスクを最小限にするために、保持強度(骨内のアンカーの保持強度など)を最大化することである。縫合糸アンカーのいくつかの欠点としては、関連状況に応じて、いくつかの種類の縫合糸アンカーの設定が困難であるため、固定強度が他のアンカータイプよりも低くなり得ること、及び皮質骨などの硬骨材料中の縫合糸アンカーの拡張が達成されることが挙げられ得る。縫合糸アンカーで観察される他の問題としては、経時的な弛緩(すなわち緩み)及びクリープ、並びにアンカー境界面における長期の微細な運動が挙げられる。これらの問題は、修復部に適用される圧縮量を減少させ得る。加えて、経時的に、治癒には適していない間隙が、修復部に導入される場合がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施形態では、解剖学的構造内に固定するための縫合糸アンカーは、その第1の位置においてアンカー本体と接触する作動部材を含む。アンカー本体は、伸長方向に沿って伸び、中心軸を画定する。中立構成では、アンカー本体は平坦であり、横断方向に沿った厚さ及び横方向に沿った幅を画定し、幅は厚さよりも大きい。アンカー本体は、作動部材の一部に沿って第1の位置からアンカー本体の第2の位置に共に編組された第1及び第2の尾部を有する。作動部材は、編組アンカー本体に力を加え、伸長方向から角度を付けてオフセットされた第2の方向に沿ってその最大厚さを増加させる方法で、アンカー本体を作動させるように構成されている。
【0007】
本開示の別の実施形態では、解剖学的固定のためのシステムは、伸長方向に沿って伸びる、細長い本体部分を有する挿入器具を含む。挿入器具は、細長い本体部分の遠位部分にアンカーキャリアと、アンカーキャリアによって運ばれるように構成された縫合糸アンカーと、を含む。縫合糸アンカーは、解剖学的構造の標的位置内で固定するように構成されている。縫合糸アンカーは、その第1の位置においてアンカー本体と接触する作動部材を含む。アンカー本体は、伸長方向に沿って伸び、中心軸を画定する。中立構成では、アンカー本体は平坦であり、横断方向に沿った厚さ及び横方向に沿った幅を画定し、幅は厚さよりも大きい。アンカー本体は、作動部材の一部に沿って第1の位置からアンカー本体の第2の位置に共に編組された第1及び第2の尾部を有する。作動部材は、編組アンカー本体に力を加え、伸長方向から角度を付けてオフセットされた第2の方向に沿ってその最大厚さを増加させる方法で、アンカー本体を作動させるように構成されている。
【0008】
本開示の別の実施形態では、縫合糸アンカーは、解剖学的構造内に固定するためのアンカーを含み、アンカー本体は、伸長方向に沿って伸び、水性環境への曝露に応答して伸長方向に対して横断する方向に沿って膨潤するように構成されている。アンカーはまた、アンカー本体に張力を加えて、アンカー本体を第1の構成から拡張構成に作動させるように構成された作動部材を含む。第1の構成では、アンカー本体は、伸長方向から角度を付けてオフセットされた第2の方向に沿った第1の最大厚さを画定する。拡張構成では、アンカー本体は、第2の方向に沿って第2の最大厚さを画定し、第2の最大厚さは、第1の最大厚さよりも大きい。
【0009】
本開示の別の実施形態では、縫合糸アンカーは、解剖学的構造内に固定するためのアンカーを含む。縫合糸アンカーは、アンカー本体が長手方向に沿って伸び、長手方向から角度を付けてオフセットされた第2の方向に沿って第1の最大厚さを画定する第1の構成から、拡張可能な部分が、第1の最大厚さよりも大きい第2の方向に沿った第2の最大厚さを画定する拡張構成に、作動させるように構成された拡張可能なアンカー本体を含む。縫合糸アンカーはまた、アンカー本体に張力を加えて、アンカー本体を第1の構成から拡張構成に作動させるように構成された作動部材を含む。作動部材は、第2の長手方向に沿って伸び、水性環境への曝露に応答して、第2の長手方向に対して横断する方向に沿って膨潤可能である。
【0010】
本開示の更に別の実施形態では、解剖学的構造内に固定するためのアンカーは、アンカー長手方向に沿って伸び、アンカー長手方向に垂直なアンカー横断方向に沿った総厚さを画定する、アンカー本体を含む。アンカー本体は、水性環境への曝露に応答して総厚さを増加させるため、アンカー横断方向に沿って膨潤するように構成されている。アンカーはまた、アンカー本体に取り付けられた縫合糸を含む。縫合糸は、縫合糸長手方向を画定し、水性環境への曝露に応答して縫合糸長手方向に沿って収縮するように構成されている。縫合糸は更に、縫合糸に加えられた張力に応答して、アンカー本体を第1の構成から第2の構成に移行させるように更に構成され、移行により、アンカー横断方向に沿って総厚さが増加する。
【0011】
本開示の更なる実施形態では、解剖学的構造内に固定するためのアンカーを作製する方法は、複数の繊維及び少なくとも1つの軸方向コアを共に編み組み、長手方向に沿って伸びる編組構造体を形成することを含む。少なくとも1つの軸方向コアは、長手方向に沿って収縮し、水性環境への曝露に応答して長手方向に対して横断する方向に沿って膨潤するように構成されている。
【0012】
本開示の更に追加の実施形態では、固定要素は、中心軸に沿って伸び、複数の細長いコアを画定する本体を含む。細長いコアのそれぞれは、中心軸と平行に延在する中心コア軸を画定する。編組繊維は、各隣接するコアの間を延在する。更に、コアのそれぞれは、水性環境に応答して、その中心コア軸に沿って向けられた方向に沿って収縮するように構成されている。本体は、第1の解剖学的構造を第2の解剖学的構造に接続して、第1の解剖学的構造と第2の解剖学的構造との間の距離を縮める。
【0013】
本開示の更なる実施形態では、解剖学的構造を修復する方法は、本明細書に記載されるアンカー及び/又は固定要素のいずれかを展開することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0014】
上記の概要及び本出願の縫合糸アンカー構造体の例示的な実施形態の以下の詳細な説明を添付の図面と併せて読むことで、それらのより深い理解が得られるであろう。本出願の縫合糸アンカー構造体を例示する目的で、図面にて例示的な実施形態を示す。しかしながら、本出願が示される正確な配置及び手段に限定されないことを、理解しなければならない。図面は、以下のとおりである。
【
図1A】本開示の実施形態による、少なくとも1つの縫合糸アンカーと、解剖学的構造の標的位置にアンカーを位置付けるための挿入器具とを含む、固定キットの斜視図である。
【
図1B】
図1Aに示される挿入器具の遠位端における縫合糸アンカーの拡大斜視図である。
【
図1C】
図1Aに示される挿入器具のフォーク状遠位先端部の側面立面図である。
【
図1D】
図1Aに示される挿入器具のフォーク状遠位先端部の正面立面図である。
【
図1E】第1の構成にあるアンカーを示している、解剖学的構造内に展開されたアンカーの側面立面図である。
【
図1F】解剖学的構造内に展開され、作動部材によって拡張構成に作動されたアンカーの側面立面図である。
【
図1G】解剖学的構造内に展開され、更なる拡張構成に膨潤したアンカーの側面立面図である。
【
図2A】2次元織物構造体として構成されたアンカー本体の平面図である。
【
図2C】本開示の実施形態によるアンカー本体の一部の拡大平面図である。
【
図2D】
図2Cに示される切断線2D-2Dに沿って取られたアンカー本体の断面図である。
【
図2E】
図2Bに示される切断線2C-2Cに沿って取られたアンカー本体の軸方向コアの拡大断面図である。
【
図2G】本開示の更に追加の実施形態によるアンカー本体を構築するために使用され得る織物パターンの平面図である。
【
図3A】
図1Bに示されるアンカーを作製するための方法工程を示す。
【
図3B】
図1Bに示されるアンカーを作製するための方法工程を示す。
【
図3C】
図1Bに示されるアンカーを作製するための方法工程を示す。
【
図3D】
図1Bに示されるアンカーを作製するための方法工程を示す。
【
図3E】
図1Bに示されるアンカーを作製するための方法工程を示す。
【
図4A】本開示の別の実施形態による縫合糸アンカーを作製するための方法工程を示す。
【
図4B】本開示の別の実施形態による縫合糸アンカーを作製するための方法工程を示す。
【
図4C】本開示の別の実施形態による縫合糸アンカーを作製するための方法工程を示す。
【
図4D】本開示の別の実施形態による縫合糸アンカーを作製するための方法工程を示す。
【
図4E】本開示の別の実施形態による縫合糸アンカーを作製するための方法工程を示す。
【
図4F】本開示の別の実施形態による縫合糸アンカーを作製するための方法工程を示す。
【
図4G】本開示の別の実施形態による縫合糸アンカーを作製するための方法工程を示す。
【
図4H】本開示の別の実施形態による縫合糸アンカーを作製するための方法工程を示す。
【
図4I】本開示の別の実施形態による縫合糸アンカーを作製するための方法工程を示す。
【
図4J】本開示の別の実施形態による縫合糸アンカーを作製するための方法工程を示す。
【
図4K】挿入器具上に装着された
図4A~
図4Jに示される工程に従って構築されたアンカーの側面立面図である。
【
図4L】本開示の実施形態による、アンカーの折り畳まれた端部を相互接続するバンドを有する、
図4Kに示されるアンカーの反対側の側面立面図である。
【
図4M】本開示の実施形態による、アンカーの折り畳まれた端部を相互接続するバンドを有する、
図4Kに示されるアンカーの反対側の側面立面図である。
【
図4N】本開示の別の実施形態による、アンカーの端部を相互接続するための接続部材を有する、アンカーを構築する中間工程の正面立面図である。
【
図4O】挿入器具上に装着された
図4Mに示されるアンカーの側面立面図である。
【
図5A】本開示の別の実施形態による、アンカーの折り畳まれた端部を相互接続する近位ループを画定する縫合糸アンカーを作製するための方法工程を示す。
【
図5B】本開示の別の実施形態による、アンカーの折り畳まれた端部を相互接続する近位ループを画定する縫合糸アンカーを作製するための方法工程を示す。
【
図5C】本開示の別の実施形態による、アンカーの折り畳まれた端部を相互接続する近位ループを画定する縫合糸アンカーを作製するための方法工程を示す。
【
図5D】本開示の別の実施形態による、アンカーの折り畳まれた端部を相互接続する近位ループを画定する縫合糸アンカーを作製するための方法工程を示す。
【
図5E】本開示の別の実施形態による、アンカーの折り畳まれた端部を相互接続する近位ループを画定する縫合糸アンカーを作製するための方法工程を示す。
【
図5F】本開示の別の実施形態による、アンカーの折り畳まれた端部を相互接続する近位ループを画定する縫合糸アンカーを作製するための方法工程を示す。
【
図5G】本開示の別の実施形態による、アンカーの折り畳まれた端部を相互接続する近位ループを画定する縫合糸アンカーを作製するための方法工程を示す。
【
図5H】本開示の別の実施形態による、アンカーの折り畳まれた端部を相互接続する近位ループを画定する縫合糸アンカーを作製するための方法工程を示す。
【
図5I】本開示の別の実施形態による、アンカーの折り畳まれた端部を相互接続する近位ループを画定する縫合糸アンカーを作製するための方法工程を示す。
【
図5J】本開示の別の実施形態による、アンカーの折り畳まれた端部を相互接続する近位ループを画定する縫合糸アンカーを作製するための方法工程を示す。
【
図5K】本開示の別の実施形態による、アンカーの折り畳まれた端部を相互接続する近位ループを画定する縫合糸アンカーを作製するための方法工程を示す。
【
図5L】挿入器具上に装着された
図5Kに示されるアンカーの反対側の側面立面図である。
【
図5M】挿入器具上に装着された
図5Kに示されるアンカーの反対側の側面立面図である。
【
図6A】本開示の別の実施形態による、
図4Kに示される縫合糸アンカーと同様であるが、代替の第1の端部構造を有する縫合糸アンカーの平面図である。
【
図6B】
図6Aに示される縫合糸アンカーの第1の端部の拡大平面図である。
【
図7A】本開示の別の実施形態による、作動部材の周囲にらせん状に巻き付けられたアンカー本体を有する縫合糸アンカーを作製するための方法工程を示す。
【
図7B】本開示の別の実施形態による、作動部材の周囲にらせん状に巻き付けられたアンカー本体を有する縫合糸アンカーを作製するための方法工程を示す。
【
図7C】本開示の別の実施形態による、作動部材の周囲にらせん状に巻き付けられたアンカー本体を有する縫合糸アンカーを作製するための方法工程を示す。
【
図7D】本開示の別の実施形態による、作動部材の周囲にらせん状に巻き付けられたアンカー本体を有する縫合糸アンカーを作製するための方法工程を示す。
【
図7E】本開示の別の実施形態による、作動部材の周囲にらせん状に巻き付けられたアンカー本体を有する縫合糸アンカーを作製するための方法工程を示す。
【
図7F】挿入器具上に装着された
図7Eに示される縫合糸アンカーの側面立面図である。
【
図8A】本開示の別の実施形態による、継ぎ合わせた構造を有する縫合糸アンカーの平面図である。
【
図8B】本開示の別の実施形態による、継ぎ合わせた構造を有する縫合糸アンカーの平面図である。
【
図8C】本開示の別の実施形態による、継ぎ合わせた構造を有する縫合糸アンカーの平面図である。
【
図9】本開示の更に別の実施形態による、互いに連結された2つのアンカー本体を含む縫合糸アンカーの平面図である。
【
図10A】本開示の更なる実施形態による、分岐したアンカー本体を含む縫合糸アンカーの平面図である。
【
図10B】本開示のなお更なる実施形態による、分枝しかつ継ぎ合わされたアンカー本体を含む縫合糸アンカーの平面図である。
【
図11】本開示の追加の実施形態による、一対のアンカー本体を含む縫合糸アンカーの平面図である。
【
図12A】本開示の別の実施形態による、解剖学的構造の標的位置に縫合糸アンカーを位置付けるための挿入器具の斜視図である。
【
図12D】
図12Aに示される、それぞれ切断線12D-12D及び12E-12Eに沿って取られた遠位先端部の断面端面図である。
【
図12E】
図12Aに示される、それぞれ切断線12D-12D及び12E-12Eに沿って取られた遠位先端部の断面端面図である。
【
図12G】本開示の実施形態による、
図12Aに示す挿入器具と、ガイド部材とを含む、器具アセンブリの部分分解斜視図である。
【
図12H】完全着座構成にある、
図12Gに例示される器具アセンブリの断面側面図である。
【
図12L】標的位置内にアンカーを展開するための、
図12G~
図12Kに示される器具アセンブリを使用するための方法工程を示す。
【
図12M】標的位置内にアンカーを展開するための、
図12G~
図12Kに示される器具アセンブリを使用するための方法工程を示す。
【
図12N】標的位置内にアンカーを展開するための、
図12G~
図12Kに示される器具アセンブリを使用するための方法工程を示す。
【
図12O】標的位置内にアンカーを展開するための、
図12G~
図12Kに示される器具アセンブリを使用するための方法工程を示す。
【
図12P】標的位置内にアンカーを展開するための、
図12G~
図12Kに示される器具アセンブリを使用するための方法工程を示す。
【
図13A】本開示の別の実施形態による、解剖学的構造の標的位置に縫合糸アンカーを位置付けるための挿入器具アセンブリの平面図を示す。
【
図13B】本開示の別の実施形態による、解剖学的構造の標的位置に縫合糸アンカーを位置付けるための挿入器具アセンブリの平面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本開示は、第1の構成にあり、解剖学的構造(例えば、骨に予設したドリル穴など)内に挿入可能であり、かつ、その後、アンカー固定強度の増大をもたらす1つ以上の拡張様式に従って拡張可能である構造を有する、縫合糸アンカーに関する。更に、以下に記載される縫合糸アンカーは、縫合による解剖学的修復部における弛緩を低減し、更に間隙(存在する場合)を減少させることができるため、より安定した治癒環境を作り出すことができる。更に、以下に記載される縫合糸アンカーは、修復部全体の圧縮の損失を回避し、軽減し、更に積極的に低減することによって、治癒の可能性を高めるように構成されている。
【0016】
ここで
図1A~
図1Gを参照すると、固定キット100は、前述の目的を達成するように構成され、解剖学的構造1内にアンカー10を挿入するように構成された挿入器具102に装着されている、少なくとも1つの縫合糸アンカー10を含むことができる。縫合糸アンカー10は、アンカー本体50及び作動部材20を含むことができる。以下の説明から理解されるように、アンカー本体50は、第1の、つまり初期構成から拡張構成へと繰り返されるように構成され得る。作動部材20は、アンカー本体50に作動力を加えて、アンカー本体50を第1の構成から拡張構成に拡張させることができる。したがって、作動部材20はまた、「操作用縫合糸」と呼ばれる場合もある。更に、作動部材20及びアンカー本体50の一方又は両方は、以下により詳細に記載されるように、水性環境への曝露に応答して膨潤可能であり得る。
【0017】
挿入器具102は、アンカー10の挿入方向Xを画定する器具長手方向Lに沿って互いに離間した、近位端104及び遠位端106を含むことができる。遠位端106は、器具長手方向器具方向Lに沿って遠位方向Dに、近位端104から離間されている。1つの例では、挿入方向Xは、遠位方向Dによって画定され得る。近位端104は、器具長手方向Lに沿い、かつ遠位方向Dに対向する近位方向Pに、遠位端106から離間されている。器具長手方向Lは双方向であり、遠位方向D及び近位方向Pはそれぞれ、器具長手方向Lの単方向成分であることを理解されたい。
【0018】
器具102は、器具長手方向Lに沿って伸びる細長い本体部分114と、本体部分114から延在する遠位先端部108とを画定する。遠位先端部108は、挿入器具102の遠位端106を画定することができる。器具102は、解剖学的部位への挿入中にアンカー10を運ぶように構成され得る。例えば、遠位先端部108は、アンカー本体50が初期、つまり第1の構成にある間に、アンカー10のアンカー本体50を運ぶように構成され得る。したがって、遠位先端部108は、「アンカーキャリア」と呼ぶことができ、本体部分114の遠位部分に位置することを特徴とすることができる。
【0019】
1つの例では、遠位先端部108は、本体部分114から遠位方向Dに沿って延在する一対の歯112を含むフォーク構造110を画定することができる。歯112は、これらが遠位方向Dに延在するとき、互いに概ね対向し、互いから広がっている、それぞれの内側表面113を画定することができる。遠位先端部108は、歯112間、特に内面113間にアンカー10の少なくとも一部を受容するように構成されている。したがって、遠位先端部108がアンカー10を支持するとき、歯112はアンカー10の両側に配設され得る。したがって、器具102は、挿入中に遠位先端部108に対してアンカー10の位置を保持するように構成され得る。歯112は、内側表面の反対側にあり、器具102の本体部分114のそれぞれの外側表面と一致するそれぞれの外側表面を画定することができる。操作中、アンカー本体50は、遠位先端部108によって支持され得、遠位先端部108は、アンカー本体50を標的位置に打ち込むように、解剖学的構造1の標的位置内に挿入され得る。標的位置は、解剖学的構造1内に延在する穴によって画定され得る。以下で理解されるように、作動部材20は、作動部材20の一部もまた遠位先端部108によって支持され、標的位置内に打ち込まれ得るように、アンカー本体50に取り付けることができる。器具102は、1つの例に従って説明されており、他の器具遠位先端部構造及び幾何学形状は、本開示の範囲内であることを理解されたい。
【0020】
挿入器具102は、細長い本体部分114から近位方向Pに延在するハンドル116を含むことができる。ハンドル116は、挿入器具102の近位端104を画定することができる。したがって、細長い本体部分114は、遠位先端部108とハンドル116との間に延在し得る。挿入器具102は、ハンドル116内に延在し、器具長手方向Lに沿ってハンドル116を通って延在する、少なくとも1つのチャネル118を更に含むことができる。1つの例では、挿入器具102は、互いに反対側にある一対のチャネル118を含むことができる。例えば、チャネル118は、器具横断方向Tに沿って互いに反対側であってよく、歯112は、器具横断方向Tに対して角度を付けてオフセットされた器具横方向Aに沿って互いに反対側であってよい。1つの例では、器具横方向A及び器具横断方向Tは、互いに垂直であり得る。更に、器具横方向A及び器具横断方向Tはそれぞれ、器具長手方向Lに対して垂直であり得る。細長い本体部分114は、器具横断方向Tに沿って互いに反対側にある平坦な表面を画定することができる。平坦な表面は、器具長手方向L及び器具横方向Aによって画定されるそれぞれの平面に沿って延在することができる。
【0021】
少なくとも1つのチャネル118は、アンカー挿入操作中にアンカー10が解剖学的構造1の標的位置内に打ち込まれる際に、アンカー10の作動部材20を受容するように構成され得る。ハンドル部分116は、遠位先端部108、ひいてはアンカー10を解剖学的構造内に打ち込む嵌入力などの挿入力(例えば、マレットから)を受けるように構成され得る。
【0022】
図1Bに示されるように、アンカー本体50は、伸長方向D1に沿って伸び得る。アンカー本体50が第1の構成にあるとき、伸長方向D1は、挿入方向Xと一致し得る。作動部材20は、アンカー本体50が第1の構成にある間にアンカー本体50に接続され得る。本開示の実施形態では、アンカー本体50及び作動部材20は両方とも縫合糸材料から作製され得る。アンカー本体50の縫合糸材料は、作動部材20と同じ縫合糸材料であってもよい。あるいは、アンカー本体及び作動部材20は、異なる縫合糸材料から作製され得る。1つの例では、縫合糸材料は、織物の縫合糸材料であってよい。作動部材20はまた、アンカー本体50(したがって、アンカー本体50が固定される解剖学的構造1についても)を、別の固定装置に直接的又は間接的に接続又は接合するように構成されているという点で、「接合」要素とも称され得る。固定装置は、別の縫合糸アンカー又は任意の好適な代替構造体(縫合糸アンカーである必要はない)、並びに/又は、非限定的例として、軟骨、筋肉、骨、腱、及び/若しくは靭帯などの別の解剖学的構造1であり得る。作動部材20は、作動部材20のそれぞれの長手縫合糸方向LSに沿って延在する中心長手方向軸25を画定する。作動部材20の長手方向軸25及び長手縫合糸方向LSは直線である必要はなく、両方共、作動部材20が沿って延在する本経路によって決定されることを理解されたい。アンカー本体50の縫合糸材料構成は、U字形又はV字形など、アンカー本体50を挿入器具102の遠位先端部108の上に折り畳むか、ないしは別の方法で折り重ねられることを可能でき、これにより、解剖学的構造1の標的位置の小さいドリル穴内へのアンカー本体50の挿入を補助し、挿入中にアンカー本体50の形状を保持するのにも役立つ。そのような実施形態では、折り畳まれた、ないしは別の方法で曲げられた縫合糸アンカー10は、屈曲部又は折り目の頂点に遠位端15と、遠位端15から近位方向Pに離間している近位端17とを画定する。一例では、ドリル穴は、約2.0mm(約0.079インチ)以下の範囲の直径を有し得る。更なる実施形態では、ドリル穴は、1.0mm未満(約0.039インチ未満)~約5.0mm(約0.236インチ)の範囲の直径を有し得る。
【0023】
上述のように、アンカー10の少なくとも一部、例えば作動部材20及びアンカー本体50の一方又は両方は、生体内で生じるような水性環境に曝露されたときに膨潤するように構成され得る。例えば、作動部材20及びアンカー本体50の一方又は両方は、水性環境に曝露されたときに膨潤する、少なくとも1つの軸方向に延在する弾性コアを含み得る。作動部材20は、DePuy Synthes Mitek Sports Medicine(Raynham,MA)から入手可能なDYNACORD(商標)又はDynaTapeであり得ることを理解されたい。更に、作動部材20は、開示全体が参照することによって本明細書に組み込まれる、Mayerらの名義で2014年10月28日に発行された米国特許第8,8701,915号に、より完全に記載されている実施形態のいずれかに従って構成することができる。したがって、作動部材20は、好ましくは、水性環境への曝露に応答して、径方向に(すなわち、中心軸に垂直な径方向に)膨潤し、軸方向に(すなわち、中心軸に沿って向いた方向に沿って)収縮する、軸方向コアを含む。軸方向コアの径方向の膨張及び軸方向の収縮は、同様に、アンカー本体自体を径方向に膨潤させ、軸方向に収縮させる。したがって、作動部材20は、系内の弛緩を回避又は低減するように構成することができ、間隙が形成される場合、作動部材20によって接続された解剖学的構造内のそのような間隙を「引っ張る」ことができるため、より安定した治癒環境を作り出す。加えて、アンカー本体50の膨潤性(並びに作動部材20の膨張性)は、装置の全体的な径方向拡張度を増大させる。したがって、アンカー本体50の膨張性は、解剖学的構造の標的位置におけるアンカー本体50の更なる固定をもたらすことができる。更に、作動部材20及び/又はアンカー本体50のコア内にリン酸三カルシウム(TCP)などの特定の物質を含めることにより、アンカー本体への骨成長(bonny ingrowth)も促進し、固定強度を高め、微細な運動が生じる可能性を低減する。したがって、本開示の縫合糸アンカー10は、骨内への複数の固定様式が可能であることが分かる。
【0024】
他の実施形態では、作動部材20は、患者体内などの水性環境内で少なくとも部分的に吸収可能であり得る。このような実施形態では、作動部材20は、両方ともDePuy Synthes Mitek Sports Medicineから入手可能な、ポリジオキサノン(PDS)コアを有するORTHOCORD(商標)ブランドの縫合糸及び/又はPERMACORD(商標)ブランドの縫合糸であり得る。
【0025】
ここで
図1E~
図1Gを参照すると、アンカー10は、挿入器具102(アンカー10が装着された状態)の遠位先端部108を解剖学的構造1内に打ち込むか、ないしは別の方法で前進させることによって、解剖学的構造1内に予め形成された穴(非限定的な例としてドリル又は錐によるもの)として構成され得る、解剖学的構造1の標的位置内に挿入することができる。他の実施形態では、アンカー10は、アンカー10が装着されている間に解剖学的構造1を標的位置に穿刺することができる挿入器具上及び/又は挿入器具内に装着され得る。アンカー本体50が解剖学的構造1の標的位置に所望の深さで挿入されると、挿入器具102を引き抜くことができる。1つの例では、挿入器具102は、器具が後退する際にアンカー本体50を押すために、プッシャなどの追加の部材を必要とせずに引き抜くことができる。具体的には、アンカー本体50は、アンカー本体50と解剖学的構造1との間の摩擦保持力が、器具102が引き抜かれる際にアンカー本体50を標的位置に維持するように、解剖学的構造1に当接するように寸法決めされ得る。他の実施形態では、挿入器具102は、アンカー10をガイド部材を通して解剖学的構造1の標的位置まで前進させるように、ガイド部材内に延在するように構成され得ることを理解されたい。代替的に又は追加的に、プッシャ部材は、器具102が引き抜かれる際に、アンカー本体50に対して固定することができることを理解されたい。アンカー本体50は、解剖学的構造1内に展開されると、アンカー本体50が解剖学的構造1内で拡張可能であり得るように構成されている。具体的には、アンカー本体50は、少なくとも第1及び第2の拡張様式を含む、複数の拡張様式に従って拡張可能であり得る。例えば、第1の拡張様式は、第1の構成から拡張構成へと繰り返すことによって定義され得る。第2の拡張様式は、水性環境への曝露に応答してアンカー本体50の膨潤によって定義され得る。
【0026】
ここで
図1E及び
図1Fを参照すると、作動部材20は、第1の構成C1(
図1E)から拡張構成C2(
図1F)へと第1の拡張様式でアンカー本体50を作動させるのに十分な作動力、特に張力FTをアンカー本体50に加えるように構成されている。具体的には、第1の構成C1では、アンカー本体50は、アンカー本体50のそれぞれの伸長方向D1に対して角度を付けてオフセットされたそれぞれの第2の方向D2に沿った第1の最大厚さT1を画定する。アンカー本体50が拡張構成C2にあるとき、アンカー本体50は、第2の方向D2に沿って第2の最大厚さT2を画定し、第2の最大厚さT2は、第1の最大厚さT1よりも大きい。第1の最大厚さT1及び第2の最大厚さT2はそれぞれ、対応する第2の方向D2に対するアンカー本体50の総厚さを指し、第2の方向D2に沿って方向付けられた単一の直線軸と交差するアンカー本体50上の2つの対向する点間で測定される厚さに限定されないことを理解されたい。例えば、最大厚さを画定するアンカー本体50の位置は、アンカー本体50の伸長方向D1に沿って互いに離間している場合がある。第1の拡張様式は、例えば作動部材20からの張力FTの適用に応答して生じ得ることを理解されたい。
【0027】
第1の拡張様式では、アンカー本体50の様々な領域は、第2の最大厚さT2を達成するために「ひとかたまり」(「かたまり」)と呼ばれることもある)になり得る。第1の拡張様式はまた、解剖学的構造1の標的位置におけるアンカー本体50の一次固定を提供するため、「一次」拡張様式と呼ぶこともできる。本明細書で使用するとき、用語「かたまる」、「かたまり」、「束になる」、「ひとかたまりになる」、及びそれらの派生語は、アンカー本体50の少なくとも一部が、伸長方向D1から角度を付けてオフセットされた第2の方向D2に沿ってそれ自体に重ね合わせられる動きを指すことを理解されたい。
【0028】
ここで
図1F及び
図1Gを参照すると、作動部材20及びアンカー本体50の一方又は両方は、拡張構成C2(
図1F)から更なる拡張構成C3(
図1G)へとアンカー10を移行させる様式で膨潤するように構成され得る。更なる拡張位置はまた、第2の方向D2に沿った第2の拡張構成C3と呼ばれることもある。アンカー10は、作動部材20及びアンカー本体50の一方又は両方の、生体内環境などの水性環境への曝露に応答して、第2の拡張構成C3に膨潤するように構成され得る。更なる拡張構成C3では、アンカー本体50は、第2の方向D2に沿って測定される第3の最大厚さT3を画定し、第3の最大厚さT3は第2の最大厚さT2よりも大きい。更に、本発明の発明者らは、本開示の作動部材20及び/又はアンカー本体50は、アンカー10が拡張構成C2から更なる拡張構成C3へと膨潤するとき、アンカー本体50の幾何学的中心から延在する全ての方向に実質的に外向きに拡張することを観察している。第2の拡張様式は、第1の拡張様式よりも、より緩徐にかつより長時間にわたって起こり、したがって、解剖学的構造1の標的位置におけるアンカー10の二次固定を提供できることを理解されたい。
【0029】
ここで
図2A及び
図2Bを参照すると、アンカー本体50は、縫合糸材料、特に織物の縫合糸材料を含む。アンカー本体50は、実質的に平坦なテープ様形状を画定するように構成され得る。このような実施形態では、アンカー本体50は、平坦な縫合糸編組などの平坦な編組から作製することができ、これにより、アンカー本体50を、中立構成にあるときに実質的に平坦にし、更に、張力FTが作動部材20によって適用されるときに、アンカー本体50がボール様構造などにひとかたまりになることを可能にする。アンカー本体50は、アンカー本体50の中心軸55に沿って方向付けられる長手アンカー長手方向LAに沿って測定された長さL1を画定することができる。アンカー本体50はまた、アンカー横断方向TAに沿って測定された厚さtと、アンカー横方向AAに沿って測定された幅Wとを画定することができ、アンカー長手方向LA、アンカー横断方向TA、及びアンカー横方向AAは互いに垂直である。アンカー本体50が中立構成にあるとき、長さL1は、好ましくは幅Wよりも大きく、幅Wは好ましくは厚さtよりも大きい。例えば、幅Wを、中立構成における厚さtよりも数倍大きくすることができる。このような実施形態では、アンカー本体50は、平坦で実質的に平面の構造を有することを特徴とすることができ、これを単独で又は作動部材20と組み合わせて、三次元アンカー構造体を形成するために必要に応じて折り畳むか、ないしは別の方法で操作することができる。アンカー本体50(テープ65とも称され得る)は、約5.0mm~約100.0mmの範囲であり得る長さL1を画定するように互いに離間した、第1の端部51と第2の端部52とを含む。アンカー本体50はまた、幅Wを画定するように互いに離間した第1の側方縁部53及び第2の側方縁部54から延在し得る。テープ65はまた、厚さtを画定するように、アンカー横断方向TAに沿って互いに離間した第1の側面57及び第2の側面58(本実施形態では、テープ65が中立構成にあるとき概ね平坦である)を有する。
【0030】
中心軸55及びアンカー長手方向LAは直線である必要はなく、両方共、アンカー本体50が延在する本経路によって決定されることを理解されたい。アンカー本体50を、非中立構成に折り畳む、ないしは別の方法で操作する(例えば、中心軸55及びアンカー長手方向LAを直線ではないようにする)とき、アンカー本体50は、厚さtよりも大きい総厚さ(例えば、T1~T3)を画定することができる。更に、上述のように、アンカー本体50は、作動部材20に加えられた張力に応答して、第1の構成C1から拡張構成C2に移行する(例えば、作動部材20を介して作動することによって)ように更に構成され、これにより、アンカー本体50の総厚さが横断アンカー横断方向TAに沿って大きくなる。テープ65の構造は、アンカーの製造可能性に関連して非常に大きな利点を持つことを理解されたい。例えば、平坦な形状により、作動部材20を、テープ65によってより容易に縫い合わせたり、継ぎ合わせたりすることが可能である。テープ65は、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)の平坦な編組(例えば、DePuy Synthes Mitek Sports Medicineから入手可能なPERMATAPE(商標)などの100%UHMWPEの平坦な編組)、又は別のテープ様柔軟性材料を含む、柔軟な平坦な編組の縫合糸材料であってよい。
【0031】
ここで
図2C~
図2Gを参照し、アンカー本体50が水性環境において膨潤するようにも構成されている、アンカー本体50の実施形態について説明する。このような実施形態では、アンカー本体50は、アンカー横断方向TAに沿って膨潤することができる。アンカー本体50が膨潤可能なテープ65として構成されるとき、テープ65は、膨張機能を提供する材料を包囲し封入する織物、編物、又は編組構造とすることができる。例えば、
図2B~
図2Dに示されるように、膨潤可能なテープ65は、中心軸55と平行に延在する少なくとも1つのコア構造80を含み得る。各コア構造80は、膨潤可能なテープ65の中心軸55と実質的に平行に延在し得る中心コア軸82を画定する。したがって、少なくとも1つのコア構造80は、「軸方向コア」80又は単に「コア」80と称され得る。
【0032】
図2Eに示されるように、少なくとも1つのコア80は、少なくとも1つのコア80の水性環境への曝露に応答して、コア軸82に垂直な径方向Rに沿って膨潤するように構成することができる。コア80は、好ましくは、コア80を膨潤させる、1つ以上の浸透圧活性物質(すなわち、水を取り込む物質)と共に組み込まれた、高弾性ポリマー糸84を含む。ポリマー糸84は、フィラメント状ポリマー材料(非分解性、部分分解性、又は完全分解性の種類)であり得る。例えば、ポリマー糸84は、熱可塑性エラストマー(ポリウレタン、ポリエステル)、架橋エラストマー(シリコーン、ポリウレタン、エラスチン、コラーゲン)、又はゲル(ポリエチレングリコール、アルギン酸、キトサン)として構成することができる。浸透圧活性成分は、塩(NaCl)及びリン酸三カルシウム(TCP、更にコア内の骨成長を有利に促進する)の一方又は両方を含むことができるが、他の生体適合性無機塩及びその水溶液、塩化カルシウム、炭酸カルシウムなどの他の浸透圧材料を用いることができ、又は、例えばデキストランなどの低分子多糖類など、有機浸透圧活性分子を使用することができる。1つの例では、コア80は、微細な塩結晶86及びTCPと組み込まれたシリコーン糸を含む。コア80内に含まれる塩及びTCPの量は、約2重量%~約40重量%の範囲であり得る。ポリマー糸84は、溶融物又は溶液から押し出されてもよく、塩(NaCl)粒子は、好ましくは共押出、つまり押出前にポリマー物質に混合されることを理解されたい。コア80は、非限定的な例として、成形などの他の方法によって形成できることを理解されたい。
【0033】
浸透圧活性物質はまた、又は代替的に、生体適合性ゲル又はヒドロゲル(例えば、アルギン酸、キトサン又はこれらのコポリマー、ポリアクリレート、ポリエチレングリコールなどの群のもの)内に埋め込まれ得ることを理解されたい。作用が原則的に浸透圧活性物質と同等である効果についても、ヒドロゲルの単独使用によって達成することができる。フィックの法則によると、膨張システムを包囲する膜が特に重要であり、この膜は、H2Oの透過及び拡散特性によって、またその厚さによって、浸透速度に大きく影響する。もちろん、膜を複数の層で構成することができ、あるいは安定した、又は溶解拡散を抑制する層で構成することができる。ヒドロゲルを使用すると、そのような膜状の特性を、外に向かって大きくなる架橋密度によって得ることができる。浸透性に影響する濃度の違いは、糸のコアとその周囲の血液との間、あるいは糸のコアと間質性及び/又は間質液との間で得ることができる。ヒドロゲルが上記の方法で使用される実施形態では、このようなヒドロゲル膜構造はまた、軸方向コア80と称され得ることを理解されたい。
【0034】
膨潤可能なテープ65は、単一のコア80、又は、
図2C及び
図2Dに示されるように、2つ以上のコア80、例えば2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、若しくは8つを超える軸方向コア80を含むことができることを理解されたい。膨潤可能なテープ65が単一のコア80を含む実施形態では、コア80は、好ましくは、中心軸55に沿って延在するか、又は中心軸55と1つ以上の位置で交差する巻き付けパターンに少なくとも沿って延在する。他の単一コアの実施形態では、コア80は、中心軸55からオフセットされてもよく、中心軸55に平行に延在することができる。膨潤可能なテープ65が、少なくとも第1のコア80を含む2つ以上のコア80を含む実施形態では、第2のコア80は、中央軸55から離れるように、膨潤可能なテープ65の側方縁部53、54に沿って延在し得る。あるいは、マルチコア80の実施形態のコア80のうちの1つ(又は単一コア80の実施形態のコア80)は、中心長手方向軸55に沿って延在することができる。
図2Dに示されるように、各コア80は、コア軸82に直交する平面に円形の断面形状を有することができるが、非限定例として、非円形、楕円形、正方形、矩形、又は不規則な形状などの他の断面形状は、本開示の範囲内である。円形断面形状を有するコア80を含む実施形態では、そのようなコア80はそれぞれ、好ましくは約0.004インチ(約0.102mm)~約0.040インチ(約1.016mm)の範囲内の初期(すなわち、中立又は非膨潤)直径D4を好ましくは有する。更に、各コア80(形状にかかわらず)は、好ましくは約20A~約90Aの範囲のデュロメータ(すなわち、硬度)を有する。
【0035】
図2C及び
図2Dに示されるように、膨潤可能なテープ65は、1つ以上のコア80を複数の繊維90と一緒に織る、編む、又は編組することによって構築される。これらの繊維90は、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)、ポリジオキサノン(PDS)、ポリプロピレン(PP)、及びナイロンを含む材料組成を有することができ、モノフィラメント又はマルチフィラメント繊維であってよく、所望に応じて着色剤を用いて又は用いずに使用することができる。膨潤性テープ65は、
図2Fに概略的に示される「平坦編組機」300などの編組機構によって構築することができる。膨潤性テープ65は、好ましくは、
図2Dに示されるように、コア80(又は、マルチコアの実施形態では個々に各コア80)を編組繊維90aを用いて取り囲むような様式で第1の複数の繊維90aを編み組むように、構築される。このようにして、第1の複数の繊維90aは、
図2D~
図2Eに示されるように、1つ以上のコア80のそれぞれを取り囲むジャケット又はシースを効率よく画定することができる。第1の複数の繊維90aは、好ましくは、1つ以上のコア80のそれぞれの周囲に予め編組されている。続いて、
図2Fを参照すると、予め編組されたジャケット90aを有するコア80のうちの1つ以上は、キャリアフレーム302を通って(例えば、フレーム302内のそれぞれのチューブ又はチャネル304を通って)、編組機構300の集合ゾーン306に向かって、1つ以上のそれぞれの「軸方向」糸として前進させることができる。キャリアフレーム302は、例えば、ボビン経路を集合的に画定する、例えばホーンギアなどの複数のキャリア308を支持するように構成されている。第2の複数の繊維90bは、キャリア308上に装着される複数のボビン310によって運ばれる。したがって、第2の複数の繊維90bは、キャリア繊維90bと称され得る。起動されると、キャリア308は、機構の編組パターンを画定するように集合的に構成されたボビン経路に沿ってボビン310を移動させる。このようにして、1つ以上の軸方向コア80をチャネルを通して前進させてフレーム302を迂回することができ、その後、ボビンからほどかれている第2の複数の繊維90bを介して相互接続するように共に編組される。
図2Dに示されるように、マルチコアの実施形態の編組プロセスが完了すると、コア80は、好ましくは、テープ構造50内で相互接続されて互いに横方向に整列され、各コア80は、膨潤可能なテープ65が中立構成にあるとき、中心コア軸82及び/又は中心テープ軸55のいずれかに対して垂直に延在する単一の直線軸88によって交差され得る。各コア80を取り囲む繊維ジャケット90bは任意であり、膨潤可能なテープ65が有利に機能するために含まれる必要はないことを理解されたい。
【0036】
編組機構300は、平坦な編組機構であってもよく、市販されているタイプのものであってよく、4~50個のキャリアと2~50個のボビンとを用いることができ、その量は、特定の所望の編組パターンに応じて選択することができることを理解されたい。追加的に又は代替的に、1つ以上のコア80は、繊維のキャリア糸として編組機構を通過することができ(すなわち、一部のボビンにコア80を装填され得る)、1つ以上の膨潤性コア80が、膨潤可能なテープ65内の相互接続繊維として含まれる。ここで
図2Gを参照すると、更に他の実施形態では、膨張可能なテープ65は、縦糸及び横糸(この用語は繊維業では既知である)を利用するタイプなど、編物又は織物パターンで形成することができる。そのような実施形態では、コア80は、縦繊維つまり糸85として、横繊維つまり糸87として、又は縦繊維及び横繊維つまり糸85、87として、織られるか、編まれ得る。任意選択的に、縦糸及び横糸つまり繊維85、87の全ては、コア80の糸を含むことができる。
【0037】
上記のように構成された膨潤性テープ65は、従来技術の縫合糸アンカー本体よりも多くの利点を提供する。径方向の膨張能力(すなわち、上述の第2の拡張様式)は、例えば、予設したドリル穴内の骨表面の下など、解剖学的構造1内でのアンカー本体50の拡張を増大し、それによってアンカー固定強度を高める。更に、コア80内にTCPを含む実施形態では、TCPは、アンカー本体50内への骨成長を促進し、固定強度を更に高め、アンカー本体50とアンカー本体が固定される解剖学的構造との間の微細な運動の可能性を低減する。テープ65の構造もまた、アンカーの製造可能性に関連して非常に大きな利点を持つことを理解されたい。例えば、上述したように、平坦な形状により、作動部材20を、テープ65によってより容易に縫い合わせたり、継ぎ合わせたりすることが可能である。更に、テープ65の側方縁部53、54に沿って延在するコア80を使用する実施形態では、テープ65の中央部分(すなわち、中心長手方向軸55に沿って)は、テープ65を作動部材20を用いて縫い合わせる、穿孔する、ないしは別の方法で貫通するのに更に役立つ顕著な形状を有することができる。例えば、テープ65の側方縁部53、54に沿って延在するコア80を用い、中心軸55に沿ったコア80を用いないことで、有利には、中心軸55に沿って長手方向に延在する「窪み部」又は「谷部」を有するテープ65を提供することができ、例えば、作動部材20を保持する針でテープ65を穿孔することを必要とするプロセスなどで、テープ65の中心をより迅速かつ正確に位置させることができる。このようなプロセスでは、テープ65の中心の窪み部又は谷部は、針の滑り又は他の望ましくない結果を防止することができる。窪み部又は谷部は、テープ65に対する良好な視覚的誘導及び機械的位置決めの両方を提供できることを理解されたい。更に、テープ65の側方縁部53、54に沿って延在するコア80を用いることにより、作動部材20が、アンカー本体50の構造的一体性を切断、摩耗、ないしは別の方法で損傷又は縮小させることを防止することができる。
【0038】
上記のような少なくとも1つの膨潤性コア80を有するテープ65は、先行技術のアンカー本体、並びに先行技術の縫合糸よりも多くの追加の利点を提供することを更に理解されたい。例えば、このような膨潤性テープ65は、例えば、患者の特定の必要性によって所望されるように、固定をもたらすアンカー本体として、構造間に張力をもたらす接続縫合糸として、又は固定をもたらすアンカー本体と張力をもたらす連結縫合糸の両方として、修復術中に使用され得る。したがって、いくつかの実施形態では、膨潤性テープ65は、解剖学的構造を任意の他のタイプのアンカー、例えば、非限定的な例として、DePuy Synthes Mitek Sports Medicineから入手可能な、HEALIX(商標)又はHEALIX ADVANCE(商標)アンカーと相互接続する縫合糸として使用することができる。このような実施形態では、水性環境への曝露に応答して、膨潤可能なテープ65が経時的に軸方向に収縮する能力は、従来技術の縫合糸において観察される弛緩を有利に回避又は低減することができ、また、修復において強化され持続的な解剖学的整復を提供することができ、したがって、より安定した治癒環境を作り出すことができる。膨潤性テープ65の固有の設計及び機能により、多種多様な外科用途にわたって有用になる。
【0039】
次に、
図3A~
図3Eを参照して、テープ65を用いてアンカー10を構築する例示的な方法を説明する。本実施形態によるテープ65は、任意選択的に、水性環境に曝露されたときに膨潤可能であり得るが、テープ65はそのような膨張性を有する必要はないことを理解されたい。一例の方法によるアンカー10を形成するために、アンカー本体50は、
図3Aに示されるように、例えば、作動部材20が通される穴62を有する針60で穿孔することによって、テープ65内に第1の貫通部56を画定するように貫通することができる。本明細書で使用するとき、用語「穿孔する」及び「貫通する」及びそれらのそれぞれの派生語は、物体(例えば針)が、1)端部51、52、縁部53、54、側面57、58のうちの1つ(51、52、53、54、57、57のいずれかの間の境界面を含む)からテープ65自体に入る、2)テープ65自体を通って前進する、及び、3)端部51、52、縁部53、54、又は側面57、58のうちの1つ(51、52、53、54、57、57のいずれかの間の境界面を含む)からテープ65自体を出る、のうち、それぞれを行う動きを明示的に指すことを強調したい。用語「穿孔する」及び「貫通する」及びそれらのそれぞれの派生語は、物体が、1)アンカー本体50の折り畳まれた若しくは類似的に操作された部分によって画定されたループ若しくは穴又は他のそのような構造、又は、2)分岐部、開口部、穴、又は他のそのような構造などのアンカー本体50によって画定される既存の構造、を通って単に延在する動きを指すものではない。
【0040】
貫通又は穿孔工程の後又はそれと同時に、作動部材20が側面57、58のうちの一方から側面57、58の他方までテープ65を通って延在するように、作動部材20を第1の貫通部56を通して前進させることができる。好ましくは、第1の貫通部56は、端部51と52との間の長手方向中点に位置する。第1の貫通部56はまた、好ましくは、縁部53と54との間の幅中点に、又は実質的にその近くに位置する。テープ65が、縁部53、54の一方若しくは両方に沿って、若しくはその付近で長手方向に延在する、ないしは別の方法で中心軸55から離間した、1つ以上の膨潤可能な部材(例えば、コア80)を含む実施形態では、第1の貫通部を幅中点又はその近くに位置付けることは、膨潤可能な部材の穿孔を回避する利点を有する。テープ65は、例えば、第1の貫通部56と一致する作動部材20の長手方向軸25に実質的に垂直な折り目軸59に沿って、第1の貫通部56で折り畳まれてもよい。第1の貫通部56の両側のアンカー本体50の自由長手方向部分は、第1及び第2のアンカー本体「肢部」又は「尾部」64、66と称され得ることを理解されたい。
【0041】
図3Bに示されるように、アンカー本体50は、編組縫合糸アンカー10を形成するように、作動部材20と共に編組され得る。具体的には、アンカー尾部64、66は、単純な3部材交互編組(「単純な三つ編み」とも称され得る)で、作動部材20と共に編組され得る。
図3Cに示されるように、第2のアンカー尾部66は、任意選択的に、作動部材20の上に折り畳まれ、第1のアンカー尾部64に対して支持点又は挟持点で圧迫することができ、第1のアンカー尾部64及び第2のアンカー尾部66のうち一方又は両方は、任意選択的に、追加の、つまり第2の貫通部68で針60によって穿孔されてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、第1のアンカー尾部64及び第2のアンカー尾部66の両方は、挟持点で第2の貫通部68(継手貫通部68として特徴付けることができる)で穿孔され得る。このような実施形態では、
図3D~
図3Eに示されるように、穴62に通された作動部材20を有する針60を、作動部材20が第2の貫通部68を通ってきれいに引っ張られるまで、継手貫通部68を通って作動部材20と共に前進させることができる。第2の貫通部68(第2の貫通部68が継手貫通部68である実施形態を含む)は、編組縫合糸アンカー10がほどけるのを防ぐ、抑制する、又は少なくとも低減するように構成されている。アンカー本体50は、第1の貫通部56のみを利用して、又は任意に、アンカー本体50全体にわたって作動部材20のあらゆる貫通がない状態で、作動部材20と共に編組されて、編組縫合糸アンカー10を形成することができることを理解されたい。
【0042】
更に、アンカー尾部64、66の残りの部分(すなわち、編組縫合糸アンカー10から延在する部分)は、
図3Eに示される完成した編組縫合糸アンカー10が邪魔にならないように、切断されるか、ないしは別の方法で切り取られ得る。アンカー本体尾部64、66の切断された又は切り取られた端部を更に、端部がほつれたり、ないしは別の方法で弱くなったりするのを防止するために、縫い合わせ、捲縮、融合又は溶融(例えば、ヒートチッパー(heat-tipper)使用)、接着(例えば、硬化性接着剤使用)、ないしは別の方法の仕上げプロセスに供してもよい。アンカー本体50の1つ、2つ、又は3つの貫通部56、68のみを通過する(すなわち、第2の貫通部68が尾部64、66の両方を共に貫通すると考えられる場合は3つ)、又は任意選択的にアンカー本体50に貫通部がない、本実施形態の縫合糸アンカー10並びに作動部材20の編組構造により、アンカー本体50が拡張構成C2に作動された後でも、作動部材20がアンカー本体50を通って実質的に自由に摺動する(すなわち、最低限か、無視できる程度か、又はわずかな抵抗で)ことを可能にする。したがって、本実施形態のアンカー本体50は、作動部材20に沿って自由に摺動可能であると言うこともできる。更に、アンカー10の編組構造により、アンカーが第1の構成C1から拡張構成C2へと作動されるとき、アンカー本体50が、先行技術の編組縫合糸アンカーと比較して、アンカー本体50全体にわたって、より均一な様式でひとかたまりになる。特定の理論に束縛されるものではないが、本発明の発明者らは、前述のより均一なかたまりは、アンカー本体50及び作動部材20の均質な絡み合い(すなわち、本実施形態では「編組」)から主に生じると考えている。再び
図1Fを参照すると、本実施形態の編組縫合糸アンカー10は、他の縫合糸アンカーよりも、展開後により円筒状のかたまり構成(すなわち、拡張構成C2)を呈することが観察されている。
【0043】
次に、
図4A~
図4Kを参照して、テープ65及び作動部材20を用いて編組縫合糸アンカー10を構築する別の例示的な方法について説明する。上記の例と同様に、本実施形態の縫合糸アンカー10は、アンカー本体50が拡張構成C2に移行する前及び後に作動部材20に沿って実質的に自由に摺動可能であるように構成されている。したがって、本実施形態の作動部材20は、拡張構成C2に移行する前及び後に、アンカー本体を通って実質的に自由に摺動可能であると言うこともできる。本実施形態によるテープ65は、任意選択的に、水性環境に曝露されたときに膨潤可能であり得るが、テープ65はそのような膨張性機能を有する必要はないことを理解されたい。
【0044】
ここで
図4Aを参照すると、アンカー本体50は、所定であってよく、約20mm~約120mmの範囲、より具体的には約40mm~約100mmの範囲、好ましくは約50mm~約70mmの範囲であり得る長さL1(
図2A参照)を有するテープ65であってよい。アンカー10の構築は、任意選択的に、スプール又は他の保管構成から巻き出されていない長さなどのアンカー本体50の連続的な切断されていない長さで開始し得ることを理解されたい。テープ65の幅Wは、約0.5mm~約5.0mmの範囲、より具体的には約1.0mm~約3.0mmの範囲、好ましくは約1.3mm~約2.7mmの範囲であり得る。作動部材20は、好ましくは、上記のように膨潤性コア80を有する。作動部材20は、その長手方向軸25に沿って測定するとき、約18インチ~約48インチの範囲、好ましくは約36インチであり得る全長を画定する。
【0045】
アンカー本体50及び作動部材20の一方又は両方は、長さなどの1つ以上の指定されたパラメータに従って縫合糸アンカー10の構築に使用するための、1つ以上の基準点を提供するようにマークされ得る。例えば、操作者は、第1の位置31で、好ましくは中心軸55に沿ったアンカー本体50の長手方向中点31aで、アンカー本体50をマークすることができる。第1の位置31はまた、アンカー本体50の縁部53、54間の幅中点にあってもよい。
【0046】
操作者はまた、一対の第2の位置32でアンカー本体50をマークすることができ、図示される例では、中心軸55に沿って測定するとき、第1の位置31から距離L3だけ等距離に離間されている。距離L3は、この例に従って構築されているアンカー10の目標設計長さを表す。操作者は、作動部材20の長手方向軸25に沿って測定するとき、距離L4だけ互いから離間した第1の位置41及び第2の位置42に作動部材を更にマークすることができる。この例では、距離L4は、距離L3と実質的に同じであり、したがって、これもアンカー10の目標設計長さを表す。距離L3及び距離L4は、この例に従って形成された完成した縫合糸アンカー10の長さL5を事実上決定する(
図4J参照)。距離L3及び距離L4は、約10mm~約68mmの範囲、より具体的には約20mm~約45mmの範囲、好ましくは約26mm~約30mmの範囲であり得る。
【0047】
ここで
図4Bを参照すると、操作者は、第1の位置31においてアンカー本体50を通して作動部材20を貫通させ、それによって第1の位置31で第1の貫通部56を形成することができる。好ましくは、操作者は、作動部材20の第1の位置42がアンカー本体50の第1の位置31と整列するまで、作動部材20を第1の貫通部56を通して前進させる。操作者は、例えば、貫通部56(すなわち、第1の位置31)と一致する作動部材20の長手方向軸25に実質的に垂直な折り目軸59に沿って、第1の貫通部56においてアンカー本体50を折り畳むことができる。操作者は、クランプ44などを用いて第1の位置31においてアンカー本体50及び作動部材20を共にクランプし、それによって、アンカー本体50及び作動部材20の相対位置を第1の位置31に維持することができる。クランプ44は、好ましくは、第1の貫通部56において正確にアンカー本体50及び作動部材20をクランプするように構成され、好ましくは、クランプ44に隣接する編組を乱さないように、作動部材20の長手方向軸25に沿って(及び/又はアンカー本体50の中心軸55に沿って)測定されるとき、約2.0mm以下のクランプ幅を画定する。第1の位置31は、この例の後続の工程に従って形成される編組縫合糸アンカー構造体30の第1の端部31bを画定することを理解されたい。本明細書で使用するとき、用語「縫合糸アンカー構造体」は、完成前の、ないしは別の構築、形成、作製、又は製造の中間相にある、アンカー本体50及び作動部材20を含むアンカー10を指す。編組縫合糸アンカー構造体30の第1の端部31bはまた、完成したアンカー10の第1の端部11を画定することができる。
【0048】
以下で論じられる編組工程は、「交差」又は「取り出し」を指しており、各交差又は取り出しは、縫合糸アンカー構造体30の編組要素のうちの1つ(すなわち、作動部材20又はアンカー本体50)が編組要素の別の1つと交差する場合を意味することを更に理解されたい。より具体的には、この例では、各交差又は取り出しは、第1のアンカー本体尾部64、第2のアンカー本体尾部66、及び作動部材20のうちの1つが、第1のアンカー本体尾部64、第2のアンカー本体尾部66、及び作動部材20のうちの別の1つと交差する場合を指す。アンカー本体50及び作動部材20のクランプされた部分は、この場所から交差又は取り出しが形成され得る編組縫合糸アンカー構造体30の「開始部」を事実上画定する。示されるように、縫合糸アンカー構造体30の編組要素(すなわち、アンカー本体尾部64、66及び作動部材20)は、第1の位置31から左側位置PL、中心位置PC、及び右側位置PRのうちの1つに向かって互いに対して延在することを特徴とすることができる。開始時の図示される例では、第1のアンカー本体尾部64は左側位置PLまで延在し、作動部材20は中心位置PCまで延在し、第2のアンカー本体尾部66は右側位置PRまで延在する。後続の交差又は取り出しは、左側位置PL、中心位置PC、及び右側位置PRに関して特徴付けることができる。具体的には、この例の取り出しのそれぞれの説明は、中心位置PCから開始し、左側位置PL又は右側位置PRのいずれかの上を交差するとき、「中心から外側」に取り出す説明として特徴付けることができる。他の実施形態では、取り出しのそれぞれの説明は、左側位置PL又は右側位置PRのいずれかから開始し、中心位置PCの上を交差するとき、「外側から中心」に取り出す説明として特徴付けることができることを理解されたい。この例では、単純な三つ編みパターンに従って、アンカー本体尾部64、66及び作動部材20に取り出しが施される。更に、
図4A~
図5Kに示されるこの例は、19個の取り出し部がある(P1~P19)設計であるが、編組縫合糸アンカー構造体30は、19個の取り出し部P19よりも多く又は少なくてよい。また、上記のマーク付け工程のうちの1つ以上は、クランプ44を第1の位置31に適用した後に実行され得ることも理解されたい。例えば、操作者は、第1の位置31をクランプした後に、アンカー本体尾部64、66及び作動部材20の第2の位置32、42をそれぞれマークすることができる。
【0049】
図4Cに示されるように、編組プロセスを開始するために、操作者は、作動部材20を第2のアンカー本体尾部66の上に中心位置PCから右側位置PRへと交差させ、それによって第1の取り出し部P1を画定することができる。
図4Dに示されるように、操作者は、第2のアンカー本体尾部66を第1のアンカー本体尾部64の上に中心位置PCから右側位置PRへと交差させ、それによって第2の取り出し部P2を画定することができる。
図4Eに示されるように、操作者は、第1のアンカー本体尾部64を作動部材20の上に中心位置PCから右側位置PRへと交差させ、それによって第3の取り出し部P3を画定することができる。
図4Fに示されるように、操作者は、作動部材20を第2のアンカー本体尾部66の上に中心位置PCから左側位置PLへと交差させ、それによって第4の取り出し部P4を画定することができる。
図4Gに示されるように、操作者は、第2のアンカー本体尾部66を第1のアンカー本体尾部64の上に中心位置PCから右側位置PRへと交差させ、それによって第5の取り出し部P5を画定することができる。
【0050】
ここで
図4Hを参照すると、操作者は、以下の交差を順次実施することによって、同様に編組縫合糸アンカー構造体30を同様の様式で構築し続けることができる(各々中心位置PCから開始)。第1のアンカー本体尾部64を作動部材20の上に交差させ(左側位置PLに)、第6の取り出し部P6を画定し、作動部材20を第2のアンカー本体尾部66の上に交差させ(右側位置PRに)、第7の取り出し部P7を画定し、第2のアンカー本体尾部66を第1のアンカー本体尾部64の上に交差させ(左側位置PLに)、第8の取り出し部P8を画定し、第1のアンカー本体尾部64を作動部材20の上に交差させ(右側位置PRに)、第9の取り出し部P9を画定し、作動部材20を第2のアンカー本体尾部66の上に交差させ(左側位置PLに)、第10の取り出し部P10を画定し、第2のアンカー本体尾部66を第1のアンカー本体尾部64の上に交差させ(右側位置PRに)、第11の取り出し部P11を画定し、第1のアンカー本体尾部64を作動部材20の上に交差させ(左側位置PLに)、第12の取り出し部P12を画定し、作動部材20を第2のアンカー本体尾部66の上に交差させ(右側位置PRに)、第13の取り出し部P13を画定し、第2のアンカー本体尾部66を第1のアンカー本体尾部64の上に交差させ(左側位置PLに)、第14の取り出し部P14を画定し、第1のアンカー本体尾部64を作動部材20の上に交差させ(右側位置PRに)、第15の取り出し部P15を画定し、作動部材20を第2のアンカー本体尾部66の上に交差させ(左側位置PLに)、第16の取り出し部P16を画定し、第2のアンカー本体尾部66を第1のアンカー本体尾部64の上に交差させ(右側位置PRに)、第17の取り出し部P17を画定し、第1のアンカー本体尾部64を作動部材20の上に交差させ(左側位置PLに)、第18の取り出し部P18を画定し、及び、作動部材20を第2のアンカー本体尾部66の上に交差させ(右側位置PRに)、第19の取り出し部P19を画定する。
【0051】
ここで
図4Iを参照すると、形成された第19の取り出し部P19を用いて、操作者は、作動部材20を第2の位置32において第1のアンカー本体尾部64及び第2のアンカー本体尾部66に取り付けて、編組アンカー本体構造体30の第2の端部32b(完成したアンカー10の第2の端部12も画定し得る)を形成する準備をすることができる。この例では、操作者はまた、作動部材20の第2の位置42をアンカー本体尾部64、66の第2の位置32と実質的に一致させるように準備を行う。このような取り付けの準備のため、操作者は、アンカー本体尾部64、66の第2の位置32を互いに整列させるように、第2のアンカー本体尾部66を第1のアンカー本体尾部64の上に位置付けることができる。操作者はまた、針60の穴62に作動部材20を通し、第2の位置32において第1及び第2のアンカー本体尾部64、66を通して針60を貫通させ、それによって第2の位置32に第2の貫通部68を形成することができる。操作者は、作動部材20が継手貫通部68を通ってきれいに引っ張られるまで、針60を第2の貫通部68を通して前進させる。上述したように、本実施形態の第2の貫通部68は、第1のアンカー本体尾部64及び第2のアンカー本体尾部66の両方を通って延在するため、第2の貫通部68は、継手貫通部として特徴付けることができる。第1の縫合糸尾部21は、編組縫合糸アンカー構造体30のその第1の端部31bから離れる方向に延在すると言うことができ、第2の縫合糸尾部22は、編組縫合糸アンカー構造体30のその第2の端部32bから(すなわち、第2の貫通部68から)離れる方向に延在すると言うことができる。
【0052】
ここで
図4Jを参照すると、第2の貫通部68(すなわち、第2の位置32)において、作動部材20が第19の取り出し部P19を交差する側面57、58から、その反対側の57、58まで、かつそれを通って、作動部材20は、好ましくは、第1のアンカー本体尾部64及び第2のアンカー本体尾部66を貫通する。第2の位置32は、編組縫合糸アンカー構造体30の第2の端部32bを画定する。編組縫合糸アンカー構造体30は、編組縫合糸アンカー構造体30の中心軸35に沿ってその第1の端部31bと第2の端部32bとの間で測定される長さL5を有する。長さL5は、約10mm~約60mmの範囲、より具体的には約20mm~約30mmの範囲、好ましくは約23mm~約27mmの範囲であり得る。編組縫合糸アンカー構造体30の第1及び第2の端部31b、32bは、完成した縫合糸アンカー10の第1及び第2の端部11、12に対応することを理解されたい。同様に、編組縫合糸アンカー構造体30の中心軸35もまた、完成した縫合糸アンカー10の中心軸を画定する。したがって、中心軸35はまた、アンカー10の中心軸と呼ばれることもある。
【0053】
図3Eに示される実施形態を参照して上述したように、第2の位置32からそれぞれの端部51、52まで延在するアンカー尾部64、66の残りの部分は、完成した編組縫合糸アンカー構造体30が邪魔にならないように、切断されるか、ないしは別の方法で切り取られ得る。切り取られたアンカー本体尾部64、66は、貫通部68からそれぞれの端部51、52まで測定される切り取られた長さL6を有し得る。切り取られた長さL6は、好ましくは約0.5mm~約4mmの範囲であるが、0mm~0.5mmの長さを含む、0.5mmより短い、4mmより長い長さなどの他の切り取られた長さL6は、本明細書に記載される実施形態の範囲内である。アンカー本体尾部64、66の切断された又は切り取られた端部を更に、端部がほつれたり、ないしは別の方法で弱くなったりするのを防止するために、縫い合わせ、捲縮、融合又は溶融(例えば、ヒートチッパー使用)、接着(例えば、硬化性接着剤使用)、ないしは別の方法の仕上げプロセスに供してもよい。更に、前述の仕上げプロセスのいずれかを用いて、切り取られた端部51、52を共に取り付けることにより、編組縫合糸アンカー構造体30の第2の端部32bにおける構造的一体性を向上させ、使用中に構造体30が更に邪魔にならないようにできる。
【0054】
第1の位置31においてアンカー本体50を通して作動部材20を貫通させる代わりに、アンカー本体50を、第1の位置31で作動部材の周囲に折り畳むか、又は巻き付けることができ、アンカー本体尾部64、66を、別の方法で、作動部材20と共に第1の位置31から第2の位置32へと編み込むことができると理解されるべきである。
【0055】
ここで
図4Kを参照すると、アンカー10を、U字形又はV字形などに折り畳むか又は曲げることができ、これにより、挿入器具上及び/又は挿入器具内、例えば上記の挿入器具102の遠位先端部108上にアンカー10を装着することを容易にすることができる。図示されるように、アンカー10は、器具102の遠位端106が、アンカー10の軸方向中点に実質的に位置する(すなわち、中心軸35に沿ってアンカー10の第1の端部11と第2の端部12との間の実質的に中間)折り目の頂点においてアンカー10と係合するように屈曲されてもよい。
【0056】
ここで
図4L及び
図4Mを参照すると、接続部材38を、第1の端部11及び第2の端部12で、又はその近くでアンカー10に取り付けることができ、それによって、伸長方向D1に対して角度を付けてオフセットされた第2の方向D2に対して、アンカー10の第1の端部11及び第2の端部12を、相互接続するか、ないしは別の方法で連結することができる。示されるように、第2の方向D2は、伸長方向D1に対して実質的に垂直であり得る。接続部材38は、アンカー本体50、例えば、アンカー10の第1の端部11及び第2の端部12のそれぞれの場所又はその付近で、第1のアンカー本体尾部64及び第2のアンカー本体尾部66の一方又は両方を貫通することができるバンドであり得る。連結バンド38は、例えばアンカー10を実質的に第2の方向D2に沿って巻き付けることによって、アンカー10の周囲に実質的に完全に延在し得る。連結バンド38は、互いに結び付けられるか、ないしは別の方法でそれ自体と相互接続され得る。連結バンド38は、非吸収性であり得る可撓性生体適合性材料などの任意の種類の埋め込み可能な縫合糸材料で構成することができる。そのようなバンド材料としては、非限定的な例として、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)、ナイロン、ポリプロピレン、ポリジオキサノン(PDS)(ORTHOCORD(商標)など)、ポリエステル縫合糸材料、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、特に、Ethicon US,LLC(本社Bridgewater,New Jersey)製の4-0号縫合糸サイズのETHIBOND(登録商標)ブランドのポリエチレンテレフタレートが挙げられる。本発明の発明者らは、アンカー10の近位端17における連結バンド38の存在が、解剖学的構造1の標的位置内で展開する前に、挿入器具102上のアンカー10の保持性を良好に向上することを観察している。連結バンド38の特性は、器具102上の保持性及び/又は標的位置内の固定を向上するために必要に応じて調整され得ることを理解されたい。
【0057】
ここで
図4N及び
図4Oを参照し、アンカー10の第1の端部11及び第2の端部12を接続するための代替的な接続部材38aについて説明する。
図4Nに示されるように、縫合糸アンカー10は、アンカー本体尾部64、66のうちの1つが接続部材38aを画定し、他方のアンカー本体尾部66、64の切り取られた長さL6よりも大きい第2の位置32を越えて(したがって、第2の貫通部68も越えて)距離L7だけ延在すること以外は、
図4A~
図4Jを参照して上述された工程に従って構築することができる。図示される例は、接続部材38aを画定する第2のアンカー本体尾部66を示すが、他の実施形態では、第1のアンカー本体尾部64が接続部材38aを画定できることを理解されたい。アンカー本体50は、第1の位置31に隣接して位置する第3の貫通部67で貫通され得る。
【0058】
図4Oに示されるように、編組縫合糸アンカー構造体30は、アンカー10の第2の端部12がアンカー10の第1の端部11に向かって延在するように、挿入器具の遠位先端部108上に装着するために折り畳まれるか又は屈曲され得る。接続部材38aは、第2の端部12から第3の貫通部67を通って延在することができ、それによってアンカー10の第1及び第2の端部11、12を接続することができる。上記のように、接続部材38aは、アンカー10が装着される器具の伸長方向D1に対して角度を付けてオフセットされた(例えば、実質的に垂直な)第2の方向D2に対して、アンカー10の第1の端部11と第2の端部12とを相互接続するか、ないしは別の方法で共に連結する。本実施形態では、接続部材38aは、器具102の遠位先端部108の単一の側を横切って延在する。本実施形態のアンカー10を挿入器具上及び/又は挿入器具内に装着する前又は後に、接続部材38aを締め付けて、必要に応じて、アンカー10の第1の端部11と第2の端部12との間の距離を第2の方向D2に沿って短くすることができる。加えて、アンカー10を挿入器具上及び/又は挿入器具内に装着する前又は後に、接続部材38aの自由端52を切断するか、ないしは別の方法で切り取ることができる。上記の連結バンド38と同様に、本発明の発明者らは、本実施形態の接続部材38aを形成するアンカー本体尾部66の存在が、解剖学的構造1の標的位置内に展開する前に、挿入器具102上のアンカー10の保持性を良好に向上することを観察している。接続部材38aの特性は、器具102上の保持性及び/又は標的位置内の固定を向上するために必要に応じて調整され得ることを理解されたい。
【0059】
ここで、
図5A~
図5Kを参照し、アンカー本体50がアンカー10の第1の端部11と第2の端部12とを接続する接続部材を画定するように、編組縫合糸アンカー10を作動部材20及びアンカー本体50から構築する例示的な方法について説明する。上記の例示的な実施形態と同様に、本実施形態の縫合糸アンカー10は、アンカー本体50が拡張構成C2に移行する前及び後に作動部材20に沿って実質的に自由に摺動可能であるように構成されている。したがって、本実施形態の作動部材20は、拡張構成C2に移行する前及び後に、アンカー本体を通って実質的に自由に摺動可能であると言うこともできる。本実施形態によるテープ65は、任意選択的に、水性環境に曝露されたときに膨潤可能であり得るが、テープ65はそのような膨張性機能を有する必要はないことを理解されたい。
【0060】
ここで
図5Aを参照すると、アンカー本体50は、所定であってよく、約20mm~約130mmの範囲、より具体的には約40mm~約105mmの範囲、好ましくは約50mm~約70mmの範囲であり得る長さL1を有するテープ65であってよい。上述したように、アンカー10の構築は、任意選択的に、アンカー本体50の連続的な切断されていない長さで開始することができる。テープ65の幅Wは、約0.5mm~5.0mmの範囲、より具体的には約1.0mm~約3.0mmの範囲、好ましくは約1.3mm~約2.7mmの範囲であり得る。作動部材20は、好ましくは膨潤可能なコア80を有し、その長手方向軸25に沿って測定するとき、約18インチ~約48インチの範囲、好ましくは約36インチである全長を有する。
【0061】
アンカー本体50及び作動部材20の一方又は両方は、長さなどの1つ以上の指定されたパラメータに従って縫合糸アンカー10の構築に使用するための、1つ以上の基準点を提供するようにマークされ得る。例えば、操作者は、個々に又は集合的に第1の位置31と呼ぶことができる、一対の長手方向に離間した位置31でアンカー本体50にマークすることができる。図示される例では、一対の第1の位置31は、アンカー本体50の中心軸55に沿って測定される距離L2で互いに離間されている。一対の第1の位置31は、任意選択的に、中心軸55に沿ってアンカー本体50の長手方向中点31aから等距離に離間配置され得ることを理解されたい。したがって、このような実施形態では、第1の位置31のうちの1つが第1のアンカー本体尾部64上に位置し、第1の位置31の他方は、第2のアンカー本体尾部66上に位置する。更に、かかる実施形態では、一対の第1の位置31は、第1のアンカー本体尾部64及び第2のアンカー本体尾部66の第1の端部51及び第2の端部52から等距離に離間される。アンカー本体50の長手方向中点31aはまた、一対の第1の位置31が長手方向中点31aから等距離であるかどうかにかかわらず、縫合糸アンカー10を構築する際の参照のためにマークされ得る。
【0062】
操作者はまた、一対の第2の位置32でアンカー本体50をマークすることができ、図示される例では、中心軸55に沿って測定するとき、それぞれの第1の位置31から距離L3だけ等距離に離間されている。したがって、第1のアンカー本体尾部64上の第1の位置31及び第2の位置32は、距離L3だけ互いから離間され、第2のアンカー本体尾部64上の第1の位置31及び第2の位置32もまた、距離L3だけ互いから離間され、これらは、本例に従って構築されているアンカー10の目標設計長さを表している。操作者は、作動部材20の長手方向軸25に沿って測定するとき、距離L4だけ互いから離間した第1の位置41及び第2の位置42に作動部材を更にマークすることができる。この例では、距離L4は、距離L3と実質的に同じであり、したがって、これもアンカー10の目標設計長さを表す。距離L3及び距離L4は、この例に従って形成された完成した縫合糸アンカー10の長さL5を事実上決定する(
図5J参照)。上述の例と同様に、距離L3及び距離L4は、約10mm~約68mmの範囲、より具体的には約20mm~約45mmの範囲、好ましくは約26mm~約30mmの範囲であり得る。
【0063】
ここで
図5Bを参照すると、アンカー本体50の一部を、第1及び第2の側面57、58のうち選択した一方(
図5Aに示される第1の側面57)を一対の第1の位置31でそれ自体と接触するように、好ましくは、アンカー本体50をそれ自体の上に二つ折りにすることによって折り畳むことによって、一対の第1の位置31が、そこからループ40が延在するアンカー本体50の単一の第1の位置31を集合的かつ事実上画定する、挟持点を形成できる。したがって、形成されると、ループ40は、中心軸55に沿ったアンカー本体50の長手方向中点31aに頂点を画定することができる。ループ40は、距離L2によって画定される中心軸55に沿った長さを有する。操作者は、具体的には、作動部材20がアンカー本体50の選択した側面57、58と挟持点31との間に位置付けられるように、作動部材20をアンカー本体50の挟持された部分の間に位置付けることができる。好ましくは、作動部材の第1の位置41がアンカー本体50の第1の位置31と実質的に一致するように、作動部材20を位置付ける。操作者は、クランプ44などを用いて第1の位置31において挟持されたアンカー本体50及び作動部材20を共にクランプし、それによって、ループ40の構造並びにアンカー本体50及び作動部材20の相対位置を第1の位置31に維持することができる。第1の位置31は、この例に従って形成される編組縫合糸アンカー構造体30の第1の端部31bを画定することを理解されたい。編組縫合糸アンカー構造体30の第1の端部31bはまた、完成したアンカー10の第1の端部11を画定することができる。
【0064】
この例では、取り出しの説明は、左側位置PL又は右側位置PRのいずれかから開始し、中心位置PCの上を交差するとき、上述のように「外側から中心」に取り出す説明として特徴付けることができることを理解されたい。第1の位置31において、第2のアンカー本体尾部66上を交差する作動部材20は、第1の取り出し部P1と見なすことができ、第1のアンカー本体尾部64が第1の位置31で作動部材20上を交差するように折り畳まれるアンカー本体50は、この例に従って形成された編組縫合糸アンカー構造体30の第2の取り出し部P2と見なすことができる。第1及び第2の取り出し部P1、P2は、作動部材20が左側位置PLまで延在し、第1のアンカー本体尾部が中心位置PCまで延在し、第2のアンカー本体尾部66が右側位置PRまで延在するように、第1及び第2のアンカー本体尾部64及び作動部材20を第1の位置31から離れる方向に延在させる。これらの相対位置から、単純な三つ編みパターンに従って、アンカー本体尾部64、66及び作動部材20に後続する取り出しが施される。
図5A~
図5Kに示されるこの例は、19個の取り出し部がある設計(P1~P19)であるが、編組縫合糸アンカー構造体は、19個の取り出し部P19よりも多く又は少なくてよい。
【0065】
また、上記のマーク付け工程のうちの1つ以上をループ40が形成された後に、また作動部材20が挟持点に位置付けられた後に実行され得ることも理解されたい。例えば、アンカー本体50は、所望の長さを有するループ40を画定するように折り畳まれてもよく、第1のアンカー本体尾部64及び第2のアンカー本体尾部66は、共に挟持されてもよく、作動部材20は、上述のように、挟持点でアンカー本体尾部64と66との間に配置され得る。この構成から、操作者は、アンカー本体50の第2の側面58(すなわち、外向き側)などの、構造体上の第1の位置31をマークすることができる。マークされた第1の位置31により、操作者は、アンカー本体尾部64、66及び作動部材20上の所望の長さL3、L4を測定し、それに応じて第2の位置32、42をマークすることができる。編組縫合糸アンカー構造体30の形成の補助における構造体をマーク付けするための他の選択肢は、本明細書に記載される実施形態の範囲内である。
【0066】
図5Cに示されるように、第2のアンカー本体尾部66を第1のアンカー本体尾部64の上に右側位置PRから中心位置PCへと折り畳み、それによって第3の取り出し部P3を画定することができる。この場合、第2のアンカー本体尾部66を第1のアンカー本体尾部64の上に「折り畳む」とは、第2のアンカー本体尾部66の第1の側面57が、第3の取り出し部P3において第1のアンカー本体尾部64の第2の側面58に接触することを意味する。したがって、示されるように、第1及び第2のアンカー本体尾部64、66の両方の第2の側面58は、第3の取り出し部P3の下流に視認可能である。
図5Dに示されるように、作動部材20を第2のアンカー本体尾部66の上に(左側位置PLから中心位置PCに)交差させ、それによって第4の取り出し部P4を画定することができる。
図5Eに示されるように、第1のアンカー本体尾部64を作動部材20の上に(右側位置PRから中心位置PCに)交差させ、それによって第5の取り出し部P5を画定することができる。この例では、第1のアンカー本体尾部64は、折り畳みを伴わずに作動部材20の上を交差することができ、すなわち、第1のアンカー本体尾部64の同じ側面(第2の側面58)が、
図5Eにおいて第5の取り出し部P5のすぐ上流及び下流で視認可能であるように、第1のアンカー本体尾部64は作動部材20の上を交差する。
図5A~
図5Jに示される例は、第3の取り出し部P3においてのみ折り畳まれ、後続のアンカー本体尾部の取り出し部P5~6、P8~9、P11~12、P14~15、及びP17~18は折り畳みを伴わずに交差している、アンカー本体尾部64、66のうちの1つを含むことができる。しかしながら、後続するアンカー本体尾部の取り出し部のうちの1つ以上かつ最大で全てにおいて、対応するアンカー本体尾部64、66を折り畳むことを含み得ることを理解されたい。
図5Fに示されるように、第2のアンカー本体尾部66を第1のアンカー本体尾部64の上に(右側位置PRから中心位置PCに)交差させ、それによって第6の取り出し部P6を画定することができる。
図5Gに示されるように、作動部材20を第2のアンカー本体尾部66の上に(右側位置PRから中心位置PCに)交差させ、それによって第7の取り出し部P7を画定することができる。
【0067】
ここで
図5Hを参照すると、操作者は、以下を順次実施することによって、同様に編組縫合糸アンカー構造体30を同様の様式で構築し続けることができる。第1のアンカー本体尾部64を作動部材20の上に交差させ、第8の取り出し部P8を画定し、第2のアンカー本体尾部66を第1のアンカー本体尾部64の上に交差させ、第9の取り出し部P9を画定し、作動部材20を第2のアンカー本体尾部66の上に交差させ、第10の取り出し部P10を画定し、第1のアンカー本体尾部64を作動部材20の上に交差させ、第11の取り出し部P11を画定し、第2のアンカー本体尾部66を第1のアンカー本体尾部64の上に交差させ、第12の取り出し部P12を画定し、及び、作動部材20を第2のアンカー本体尾部66の上に交差させ、第13の取り出し部P13を画定する。
図5Iに示されるように、操作者は更に、以下を順次実施することによって、同様に編組縫合糸アンカー構造体30を同様の様式で構築し続けることができる。第1のアンカー本体尾部64を作動部材20の上に交差させ、第14の取り出し部P14を画定し、第2のアンカー本体尾部66を第1のアンカー本体尾部64の上に交差させ、第15の取り出し部P15を画定し、作動部材20を第2のアンカー本体尾部66の上に交差させ、第16の取り出し部P16を画定し、第1のアンカー本体尾部64を作動部材20の上に交差させ、第17の取り出し部P17を画定し、第2のアンカー本体尾部66を第1のアンカー本体尾部64の上に交差させ、第18の取り出し部P18を画定し、及び、作動部材20を第2のアンカー本体尾部66の上に交差させ、第19の取り出し部P19を画定する。
【0068】
引き続き
図5Iを参照すると、形成された第19の取り出し部P19を用いて、操作者は、作動部材20を第2の位置32において第1のアンカー本体尾部64及び第2のアンカー本体尾部66に取り付けて、編組アンカー本体構造体30の第2の端部32b(完成したアンカー10の第2の端部12も画定し得る)を形成する準備をすることができる。この例では、操作者はまた、作動部材20の第2の位置42をアンカー本体尾部64、66の第2の位置32と実質的に一致させるように準備を行う。このような取り付けの準備のため、操作者は、第2のアンカー本体尾部66を第1のアンカー本体尾部64の上に位置付け、更に、アンカー本体尾部64、66の第2の位置32を互いに整列させることができる。操作者はまた、針60の穴62に作動部材20を通し、第2の位置32において第1及び第2のアンカー本体尾部64、66を通して針60を貫通させ、それによって第2の位置32に第2の貫通部68を形成することができる。操作者は、作動部材20が、継手貫通部として特徴付けられ得る第2の貫通部68を通ってきれいに引っ張られるまで、針60を第2の貫通部68を通して前進させる。第1の縫合糸尾部21は、編組縫合糸アンカー構造体30のその第1の端部31bから離れる方向に延在すると言うことができ、第2の縫合糸尾部22は、編組縫合糸アンカー構造体30のその第2の端部32bから(すなわち、第2の貫通部68から)離れる方向に延在すると言うことができる。
【0069】
ここで
図5Jを参照すると、第2の貫通部68において、作動部材20は、好ましくは、第2のアンカー本体尾部66を貫通する前に、第1のアンカー本体尾部64を貫通する。
図5Jを参照して異なる言い方をすれば、作動部材20は、アンカー本体尾部64、66を、
図5Jにおいて見えない側面57、58(すなわち、側面57)から、
図5Jにおいて見えている反対側の側面58、57(すなわち、側面58)まで、かつそれを通って貫通する。編組縫合糸アンカー構造体30は、編組縫合糸アンカー構造体30の中心軸35に沿ってその第1の端部31bと第2の端部32bとの間で測定される長さL5を有する。長さL5は、上記例の
図4Jを参照して上述した範囲内であり得る。上述のように、編組縫合糸アンカー構造体30の第1及び第2の端部31b、32bは、完成した縫合糸アンカー10の第1及び第2の端部11、12に対応する。同様に、編組縫合糸アンカー構造体30の中心軸35もまた、完成した縫合糸アンカー10の中心軸を画定する。
【0070】
上述のように、第2の位置32からそれぞれの端部51、52まで延在するアンカー尾部64、66の残りの部分は、完成した編組縫合糸アンカー構造体30が邪魔にならないように、切断されるか、ないしは別の方法で切り取られ得る。切り取られたアンカー本体尾部64、66は、貫通部68からそれぞれの端部51、52まで測定される切り取られた長さL6を有し得る。切り取られた長さL6は、好ましくは約0.5mm~約4mmの範囲であるが、0.5mmより短い、4mmより長い長さなどの他の切り取られた長さL6は、本明細書に記載される実施形態の範囲内である。アンカー本体尾部64、66の切断された又は切り取られた端部を更に、端部がほつれたり、ないしは別の方法で弱くなったりするのを防止するために、縫い合わせ、捲縮、融合又は溶融(例えば、ヒートチッパー使用)、接着(例えば、硬化性接着剤使用)、ないしは別の方法の仕上げプロセスに供してもよい。更に、前述の仕上げプロセスのいずれかを用いて、切り取られた端部51、52を共に取り付けることにより、編組縫合糸アンカー構造体30の第2の端部32bにおける構造的一体性を向上させ、使用中に構造体30が更に邪魔にならないようにできる。第1の縫合糸尾部21は、編組縫合糸アンカー構造体30のその第1の端部31bから離れる方向に延在すると言うことができ、第2の縫合糸尾部22は、編組縫合糸アンカー構造体30のその第2の端部32bから離れる方向に延在すると言うことができる。第2の縫合糸尾部22は、第1及び第2の縫合糸尾部21、22の両方がループ40を通って延在するように、ループ40を通って方向付けられ得る。
【0071】
ここで
図5Kを参照すると、縫合糸アンカー10を完成させるために、アンカー10の第2の端部12がループ40内に、又は少なくともループ40に近接して位置付けられるまで、第2の縫合糸尾部22をループ40を通して引っ張ることができる(及び/又は、ループ40を第2の縫合糸尾部22に沿って前進させることができる)。したがって、ループ40は、好ましくは、アンカー10の第1の端部11及び第2の端部12を囲み、それによって、アンカー10の第1の端部11及び第2の端部12を、伸長方向D1に対して角度を付けてオフセットされた第2の方向D2に対して相互接続、ないしは別の方法で連結する。示されるように、第2の方向D2は、伸長方向Dに対して実質的に垂直であり得る。ループ40は、「閉じた」ループとして特徴付けることができ、また、この例に従って構築されたアンカー10の近位端17も画定することができる。アンカー10の第2の端部12をループ40に接触させる行為はまた、アンカー10を挿入器具102上に装着することを容易にし得る、U字形又はV字形などにアンカー10を曲げる又は折り畳むことを含むことを理解されたい。
図5L及び
図5Mに示されるように、本実施形態のアンカー10は、器具110の遠位先端部108をループ40を通して前進させ、編組されたアンカー本体50と係合させることによって、器具102上に装着され得る。示されるように、ループ40は、遠位先端部108の周囲に完全に延在し得る。本発明の発明者らは、アンカー10の近位端17における閉じたループ40の存在が、解剖学的構造1の標的位置内で展開する前に、挿入器具102上のアンカー10の保持性を良好に向上することを観察している。ループ40の特性は、器具102上の保持性及び/又は標的位置内の固定を向上するために必要に応じて調整され得ることを理解されたい。
【0072】
次に、
図6A及び
図6Bを参照して、テープ65及び作動部材20を用いて編組縫合糸アンカー10を構築する別の例示的な方法について説明する。この例は、
図4A~
図4Kを参照して上述した実施例と同様であり、主な違いは、第1の位置31と一致する第1の貫通部56の代わりに、アンカー本体50を第1の位置31で共に挟持することができ、作動部材20は、第1の位置31に隣接するが下流にある挟持された第1のアンカー本体尾部64及び第2のアンカー本体尾部66の両方を貫通することができることである。したがって、この例では、第1の貫通部56は、継手貫通部として特徴付けることができる。第1の貫通部56から、作動部材20は、第2のアンカー本体尾部66の挟持部分を交差して、第1の取り出し部P1を画定することができる。次いで、第2のアンカー本体尾部66は、第1の貫通部56から延在し、第1のアンカー本体尾部64の挟持部分を交差して、第2の取り出し部P2を画定することができる。次に、第1のアンカー本体尾部64は、作動部材20を横断して、第3の取り出し部P3を画定することができ、そこから、縫合糸アンカー本体構造体30の残部を、
図4F~
図4Jを参照して上述したのと同様に編組できる。上記の例と同様に、本実施形態の縫合糸アンカー10は、アンカー本体50及び作動部材20が拡張構成C2に移行する前及び後の両方で、互いに対して実質的に自由に摺動可能であるように構成されている。上記のように、本実施形態によるテープ65は、任意選択的に、水性環境に曝露されたときに膨潤可能であり得るが、テープ65はそのような膨張性機能を有する必要はない。
【0073】
次に、
図7A~
図7Fを参照して、テープ65及び作動部材20を用いて、具体的には作動部材20の周りにテープ65を巻き付けることによって、編組縫合糸アンカー10を構築する別の例示的な方法について説明する。上記の例と同様に、本実施形態の縫合糸アンカー10は、作動部材20及びアンカー本体50が拡張構成C2に移行する前及び後に、互いに対して実質的に自由に摺動可能であるように構成されている。本実施形態によるテープ65は、任意選択的に、水性環境に曝露されたときに膨潤可能であり得るが、テープ65はそのような膨張性機能を有する必要はないことを理解されたい。
【0074】
ここで
図7Aを参照すると、作動部材20は、本実施形態に従って形成される編組縫合糸アンカー構造体30の開始を画定する第1の位置31において、アンカー本体50と接触するように配置され得る。上記の例と同様に、第1の位置31はまた、編組縫合糸アンカー構造体30の第1の端部31bを画定することができる。少なくとも網組縫合糸アンカー構造体30の形成プロセスの開始時において、作動部材20及びアンカー本体50は、第1の位置31にて、作動部材20の長手方向軸25がアンカー本体50の中心軸55から角度を付けてオフセットされる(例えば、実質的に垂直である)ように、互いに対して方向付けることができる。示されるように、第1及び第2のアンカー本体尾部64、66は、第1の位置31で互いに離れて延在する。
【0075】
ここで
図7B~
図7Eを参照すると、第1のアンカー本体尾部64及び第2のアンカー本体尾部66のうちの一方(
図7Bでは第2のアンカー本体尾部を示す)から始め、アンカー本体尾部64、66はそれぞれ、長手方向軸線25を中心にして反対のらせん方向に作動部材20の周りにらせん状に巻き付けられ得る。長手方向軸25を中心にしてそれぞれを完全にらせん状に回転させると、アンカー本体尾部64、66は、互いに2回交差する。それぞれの連続する交差点において、アンカー本体尾部64、66を交互に絡み合わせることができ、それによって編組縫合糸アンカー構造体30の第1の端部31bから第2の端部32bへのらせん状編組パターンを画定する。図示された例では、アンカー本体尾部64、66のそれぞれは、長手方向軸25を中心として約5.5回らせん状に回転して延在し、その時点でアンカー本体尾部64、66は作動部材20によって貫通され、それによって、第2の位置32において第1の貫通部56(継手貫通部である)を画定し、編組縫合糸アンカー構造体30の第2の端部32bを画定することができる。アンカー本体尾部64、66の一方又は両方は、長手方向軸25を中心として5.5回未満又は5.5回超、例えば約2.5回転~約30回転の範囲で、らせん状に回転して延在できることを理解されたい。編組縫合糸アンカー構造体30は、作動部材20の長手方向軸25に沿って第1の端部31bから第2の端部32bまで測定された長さL5を画定する。長さL5は、
図4Jに示される例を参照して上述した範囲内であり得る。上記のように、編組縫合糸アンカー構造体30の第1及び第2の端部31b、32b及び長さL5はまた、対応する縫合糸アンカー10の第1及び第2の端部11、12及び長さL5を画定することを理解されたい。加えて、第2の位置32からそれぞれの端部51、52まで延在するアンカー尾部64、66の残りの部分は、完成した編組縫合糸アンカー10が邪魔にならないように、切断されるか、ないしは別の方法で切り取られ得る。
【0076】
ここで
図7Fを参照すると、アンカー10を、U字形又はV字形などに折り畳むか又は曲げることができ、これにより、挿入器具上及び/又は挿入器具内、例えば上記の挿入器具102の遠位先端部108上にアンカー10を装着することを容易にすることができる。上記の実施形態と同様に、アンカー10は、器具102の遠位端106が、好ましくはアンカー10の軸方向中点に実質的に位置する折り目の頂点においてアンカー10に係合するように、器具102の遠位端106上で屈曲又は折り畳まれてもよい。そのような実施形態では、折り畳まれたないしは別の方法で曲げられた縫合糸アンカー10は、屈曲部又は折り目の頂点に遠位端15と、アンカー10の第1及び第2の端部11、12と実質的に整列する近位端17とを画定する。
【0077】
また、上述の編組縫合糸アンカー10の実施形態のいずれも、代替的に、テープ65構造をそれぞれ有する2つの別個のアンカー本体50を用いることができることも理解されたい。そのような実施形態では、編組縫合糸アンカー構造体30の第1の端部31bは、別個のアンカー本体50を通る第1の継手貫通部56を含むことができ、これは次に、第2の端部32bにおける第2の継手貫通部58まで、作動部材20と共に網組され得る(又は、
図7A~
図7Eに示されるように作動部材20に沿って網組され得る)。更なる実施形態では、テープ65構造をそれぞれ有する2つ以上の別個のアンカー本体50は、例えば、結合され、連結ストランド(連結縫合糸など)で穿孔され、融合及び/又は溶融されることによって、互いに共に取り付けられてもよく、次いで、第1の位置31で作動部材20の周囲で折り畳まれるか又は巻き付けることができ、アンカー本体50は、別の方法で、作動部材20と共に第1の位置31から第2の位置32へと網組されて、編組縫合糸アンカー構造体30を形成することができる。
【0078】
上述の編組縫合糸アンカーの実施形態では、作動部材20は、好ましくはサイズ2の縫合糸(直径5.0mm)であり、好ましくはサイズ2のDYNACORD(商標)などの膨潤性コア80を有するが、作動部材20には他のサイズ及び種類の縫合糸を使用することができる。
【0079】
ここで、
図8A~
図8Cを参照して、作動部材20及びアンカー本体50を有する縫合糸アンカー10を構築する別の方法について説明する。
図8Aに示されるように、アンカー本体50は、正弦波状の縫い目パターンを形成する方法で、アンカー本体50の長さに沿って複数の貫通部70a~nにおいて、作動部材20を運ぶ針60などによって穿孔され得る。換言すれば、作動部材20は、テープ65の第1の側面57から第2の側面57への第1の貫通部70a、第2の側面58から第1の側面57への第2の貫通部70b、第1の側面57から第2の側面58への第3の貫通部70c、及び第2の側面58から第1の側面57への第4の貫通部70dを次々に通って、延在することができる。作動部材20は、必要に応じて、追加の又はより少ない貫通部を通って同様に延在できることを理解されたい。上述したように、テープ65の構成は、作動部材20を縫い合わせたり、貫通したりするのにより容易に適するようにする。
図8Bに示されるように、縫合糸アンカー10は、とりわけ、
図1A~
図1Bを参照して上述したのと同様に、挿入器具102のフォーク状端部110上に装着され得る。
図8Cに示されるように、アンカー本体50は、作動部材20がアンカー本体50に十分な張力FTを加えることに応答して拡張構成C2に作動され得る。
【0080】
ここで
図9を参照すると、縫合糸アンカー10は、上記のテープアンカー本体50のうちの2つ以上を用いることができる。具体的には、作動部材20は、その両方が上記のテープ構造を有する、第1のアンカー本体50a及び第2のアンカー本体50bに接続されてもよい。この実施形態では、作動部材20は、アンカー本体50a~bの側面57、58を通って、その第1の端部51の近くを共に貫通する。次いで、アンカー本体50a~bは、作動部材20の周囲で「サンダルの紐」状に編組されるか又は織られてもよい(すなわち、第1及び第2のアンカー本体50a~bが、二重らせん構成で作動部材20の周囲に巻かれるか、又はより具体的に説明すると、第1のアンカー本体50aは、時計回りのらせん方向にアンカー部材20の周囲に巻き付けられ、第2のアンカー本体50bは、同時に、反時計回りのらせん方向にアンカー部材20の周囲に巻き付けられる)。作動部材20は、続いて、アンカー本体50a~bの側面57、58を通って、その第2の端部52の近くを共に貫通する。このアンカーの実施形態は、楕円形に近い形状でひとかたまりになるように示されているが(本明細書に開示される他の実施形態に対して固定強度が低い傾向がある)、作動部材20とアンカー本体50a~bとの間の間隔を大きくすると、この実施形態の摺動性が増し、この実施形態が、摺動性が重要であり、かつ/又は固定強度が低くても十分な修復に適するようになる。
【0081】
ここで
図10A~
図10Bを参照すると、縫合糸アンカー10は、分岐したテープアンカー本体50を使用することができる。このような実施形態では、作動部材20は、分岐部75を通って編まれ得る。
図10Bに示されるように、作動部材20はまた、分岐部75の対向する長手方向側の貫通部74、76などを介して、アンカー本体50と継ぎ合わされ得る。この実施形態の利点として製造の容易さが挙げられ、また、歯が分岐部75を通って延在し、作動部材20のみを把持できるため、アンカー本体50の幅Wに広がる必要はないことにより、より狭い挿入フォークが使用されることである。ここで
図10Aを参照すると、分岐したアンカー本体50を使用する更に別の実施形態では、作動部材20は、アンカー本体50を編組、継ぎ合わせ、縫い合わせ、又は穿孔することなく、単に分岐部75を通して前進させることができる。
【0082】
ここで
図11を参照すると、縫合糸アンカー10は、テープ構造をそれぞれ有する一対のアンカー本体50a~bを用いることができる。この特定の実施形態では、作動部材20は、アンカー10が第1の構成C1にあるときにアンカー本体50a~b間の距離を維持するように、各アンカー本体50a~bを別々に継ぎ合わせできる。この実施形態では、歯112が、アンカー本体50a~bのいずれかに広がる、又は把持する必要なく、作動部材20を把持することができるため、アンカー10を、上記実施形態よりも小さい挿入フォーク(
図6A~
図6Bを参照して上述された実施形態とほぼ同じサイズ)上に装着することができる。しかしながら、本実施形態では、アンカー本体50a~bの一方又は両方をフォーク歯112の一方又は両方に連結することが望ましい場合があることを理解されたい。これを達成することができる1つの方法は、歯112のうちの一方が穴内に延在し、対応するアンカー本体50を把持することができるように、アンカー本体50a~bの一方又は両方の、例えば第2の端部52付近に予め形成された穴又は開口部を利用することである。代替的に又は追加的に、アンカー本体50a~bの一方又は両方は、歯112の一方に接続するために、それぞれのアンカー本体50a~bから延在するストランドを含み得る。
【0083】
膨潤性アンカー本体50を利用する実施形態では、作動部材20(又は他のタイプの縫合糸)が少なくとも一対の軸方向コア80間でアンカー本体50を貫通している編組縫合糸アンカー10を提供することの顕著で予想外の1つの利点は、コア80が膨潤すると、コア80が、貫通部又はその付近で作動部材20をより緊密に圧縮することができ、これにより、関与する修復部の強度を更に増大させる傾向があることである。このような機構は、結んだ後の結び目(すなわち、アンカー10)を効率よく締め付けることを特徴とすることができる。
【0084】
ここで
図12A~
図12Fを参照し、アンカー102を解剖学的構造1、例えば骨の予設したドリル穴内の標的位置に挿入するための挿入器具1202の別の実施形態を説明する。本実施形態の挿入器具1202は、上記の器具102と実質的に同様であり得る。したがって、器具1202は、器具長手方向Lに沿って伸びる細長い本体部分1214と、本体部分1214から遠位方向D(すなわち、挿入方向X)に延在し、挿入器具1202の遠位端1206を画定する遠位先端部1208(本明細書では「アンカーキャリア」とも呼ばれる)とを含む。細長い本体部分1214は、円形の断面形状を有し得る外側表面1215を画定する。挿入器具102は、細長い本体部分1214から近位方向Pに延在し、挿入器具1202の近位端1204を画定するハンドル1216を含むことができる。
【0085】
上記の実施形態と同様に、遠位先端部1208は、細長い本体部分1214から遠位方向に延在し、かつ器具横方向Aに沿って互いに離間した一対の歯1212を含むフォーク構造1210を画定することができる。歯1212は、それによって、アンカー10の少なくとも一部を受容するように構成され得る遠位端1206に凹部1213を画定する。遠位先端部1208はまた、器具横断方向Tに沿って互いに反対側に位置する1つ以上の表面、つまり「ランド部」1220、1222を画定することができる。示されるように、ランド部は、細長い本体部分1214の外側表面1215から段階的に下がって遠位に延在する第1の、又は近位のランド部1220の対を含むことができる。ランド部はまた、第1の対のランド部1220から更に段階的に下がって遠位に延在する第2の、又は遠位のランド部1222の対を含むことができる。遠位先端部1208は、アンカー10が上記のように遠位先端部1208の上に折り畳まれるか、ないしは別の方法で屈曲され得るように構成され得、これは、小さいドリル穴内へのアンカー10の挿入を補助し、挿入中にアンカー10の形状を保存するのにも役立つ。具体的には、アンカー10は、屈曲したアンカー10の頂点が、フォーク構造1210の歯1212間の凹部1213内に少なくとも部分的に延在することができ、近位端17に延在するアンカー10の残部が、遠位ランド部1222と、任意選択的に近位ランド部1220と相互作用できるように、初期構成C1にある間、遠位先端部1208の上に折り重ねられるか、又は屈曲され得る。他の歯1212及び凹部1213の構成を遠位先端部1208上に用いることができることを理解されたい。非限定的な例として、歯1212は、
図12Cに示されるように、より長く又はより短く遠位に突出している場合もある。追加的に又は代替的に、凹部1213は、より深い又はより浅い輪郭、例えば、長手方向L及び横方向Aに沿って方向付けられた平面内で実質的に単一の半径を画定するより浅い輪郭を、画定することができる。
図12Dに示されるように、遠位ランド部1222の一方又は両方は凹状であってよく、それによって、挿入中にアンカー10が遠位ランド部1222内で少なくとも部分的に入れ子になることを可能にする。
図12Eに示されるように、近位ランド部1220の一方又は両方もまた凹状であってもよく、それによって、挿入中に作動部材尾部21、22の少なくともそれぞれの部分が入れ子になることを可能にする。
【0086】
ハンドル1216は、好ましくは、挿入中に遠位先端部1208に対するアンカー10の位置を維持するように、作動部材20の近位部分を保持するように構成された保持構造を含む。
図12Aに示されるように、保持構造は、例えば、ハンドル1216の本体1217によって画定され、作動部材20の近位部分、例えばその尾部21、22の一方又は両方を受容するように構成されたチャネル1224を含み得る。チャネル1224は、ハンドル1216の遠位端1226から近位端1204まで器具長手方向Lに沿って延在し得る。ここで
図12Fを参照すると、チャネル1224はまた、近位端1204においてハンドル1216の近位表面1227を横切って延在し得る。ハンドル本体1217は、チャネル1224内に延在し、チャネル1224の反対側の側壁1230と、これらの間にピンチスロット1232を画定するように相互作用する突出部1228を含むことができる。突出部1228及び反対側の側壁1230の一方又は両方は、作動部材尾部21、22の一方又は両方をピンチスロット1232内に方向付けることを容易にするように構成されたテーパ状誘導面を画定することができる。他の保持構造の構成が本開示の範囲内であることを理解されたい。ハンドル1216の近位表面1227は、遠位先端部1208及びその上部に装着されたアンカー10を解剖学的構造1の標的部位内に打ち込む嵌入力などの挿入力(例えば、マレットから)を受けるように構成され得る。
【0087】
ここで
図12Gを参照すると、挿入器具1202は、ガイド部材1240と共に使用するように構成され得る。したがって、挿入器具1202及びガイド部材1240を集合的に器具アセンブリ1242と呼ぶことができる。ガイド部材1240は、ガイド部材1240の近位端1248を画定する近位表面1246を有するハンドル1244を含むことができる。ガイド部材1240は、ハンドル1244から遠位に延在し、遠位端1252を画定する細長いガイドチューブ1250を含む。
【0088】
図12H~
図12Jに示されるように、ガイドチューブ1250は、挿入器具1202の細長い本体部分1214を内部に受容し、細長い本体部分1214を標的部位に導くように構成された中央カニューレ挿入部1254を画定する。ガイド部材1240及び挿入器具1202は、器具ハンドル1216の遠位表面1226がガイド部材ハンドル1244の近位表面1246に当接するとき、挿入器具1202の遠位先端部1208がガイドチューブ1250の遠位端1252を越えて遠位に延在するように協働して寸法決め、このとき、ガイド部材1240に対する器具1202の「完全着座」位置と呼ぶことができる。具体的には、遠位先端部1208に装着されたアンカー10全体は、挿入器具1202がガイド部材1240に対して完全に着座されているとき、ガイドチューブ1250の遠位端1252の遠位に位置付けられ得る。器具ハンドル1216の遠位表面1226とガイド部材ハンドル1244の近位表面1246との間の長手方向Lに沿った距離は、アンカー10(器具の遠位先端部1208に装着されている)が標的位置に対して延在する深さの視覚的指標を外科医に提供することができることを理解されたい。ガイドチューブ1250は、カニューレ挿入部1254内の外部可視化を可能にする1つ以上の開口部1256を画定することができる。ガイドチューブ1250はまた、カニューレ挿入部1254内に細長い本体部分1214を挿入する前に、ドリル又は錐などの開口装置の移動を、カニューレ挿入部1254を通って標的部位まで案内するように構成され得る。
図12I及び
図12Jに示されるように、ガイドチューブ1250の遠位端1252は、標的部位で骨を引っかけるための鋸歯形状などの形状を有することができる。非限定的な例として、「魚口」形状などの骨を引っかけるための他の遠位端幾何形状は、本実施形態内にあることを理解されたい。
図12H及び
図12Kに示されるように、ガイドチューブ1250のカニューレ挿入部1254は、ガイド部材ハンドル1244の中央ボア1258と開放連通することができる。中央ボア1258は、近位方向Pに外向きにフレア状になっている近位部分を有することができ、また、近位方向Pに器具ハンドル1216のチャネル1224と整列されている。したがって、作動部材20は、カニューレ挿入部1254を通って、中央ボア1258内へ、更にチャネル1224を通って近位方向に延在することができる。
【0089】
ここで、
図12L~
図12Pを参照して、器具アセンブリ1242を使用して、特に骨1の標的位置内に縫合糸アンカー10を展開することについて説明する。
図12Lに示されるように、ガイドチューブ1250は、ガイドチューブ1250の遠位端1252が骨1に接触するまで、骨1の標的位置と交差する挿入軸1260に沿って患者内に挿入され得る。示されるように、遠位端1252は、骨1の中に「食い込む」、ないしは別の方法で引っかけることができる。
図12Mに示されるように、遠位端1252が骨1と接触している状態で、ドリルなどの穴開け器1262をガイドチューブ1250を通して前進させることができ、標的位置において骨1内に穴3を形成することができる。穴3が形成されると、穴開け器1262をガイド管1250から引き出すことができる。
図12Nに示されるように、その遠位先端部1208に装着されたアンカー10を有する挿入器具1202は、アンカー10が遠位から出て穴3の中へと延在するまで、ガイドチューブ1250を通して前進させることができる。挿入器具1202がガイド部材1240に対して完全に着座するか、又は別の方法でアンカー10が穴3内の十分な深さまで前進するまで、必要に応じて器具ハンドル1216の近位表面1227に、マレットなどで嵌入力を加えられることを理解されたい。アンカー10が穴3内の十分な深さに達した後、
図12Oに示されるように、作動部材20、例えばその尾部21、22を、器具ハンドル1216の保持構造から分離することができ、器具1202及びガイド部材1240を患者から引き抜いて、穴3内にアンカー10を実質的に初期構成C1で残すことができる。
図12Pに示されるように、外科医は次に、作動力(すなわち、張力)を作動部材尾部21、22に加え、それによってアンカー10を拡張構成C2に移行させることができる。
【0090】
ここで
図13A及び
図13Bを参照すると、他の実施形態では、挿入器具アセンブリは、上述のガイドチューブ1250と同様であり得る外側チューブ1350と、アンカー10を、骨内に予め形成された穴3などの標的位置内に押し込むように構成された内側押しチューブ1355を含む挿入器具とを用いることができる。内側押しチューブ1355は、作動部材20を内部に受容するように寸法決めされているが、アンカー10が内部に存在するのを防止するには十分に狭い内径を有する中央ボア1357を画定する。本実施形態の器具アセンブリは、例えば、アセンブリが標的位置まで前進するときに、ガイドチューブ1350に対する内側チューブ1355の長手方向位置を選択的に維持し、かつ、内側チューブ1355がガイドチューブ1350に沿って前進してアンカー10を骨穴内に押し込むことを選択的に可能にするための、1つ以上の取り外し可能な保持機構を用いることができる。このような押し込み機構はまた、アンカー10の拡張構成C2への移行を支援することができる。
【0091】
本明細書に記載の縫合糸アンカーの実施形態では、作動部材20は、アンカー本体50を通って延在する任意の長手方向開口部(例えば、中空コア、トンネル、チャネル、又はカニューレ挿入部)を通過する必要はないことを理解されたい。したがって、本明細書に記載される縫合糸アンカー10のいずれも、アンカー本体50を通って延在する任意の長手方向開口部(例えば、中空コア、トンネル、チャネル、又はカニューレ挿入部)を通過しない作動部材20を含んでもよい。
【0092】
更に、
図1A~
図1B、
図1E~
図1F、
図3A~
図3E、及び
図8A~
図8Cを参照して上述した縫合糸アンカー10は、55デュロメータの外科用媒体中の直径2.0mm(約0.079インチ)の穴において、毎分10インチの速度で試験されており、良好な固定特性を示した。
図4A~
図7Fを参照して上述した縫合糸アンカー10は、55デュロメータの外科用媒体中の直径1.85mm(約0.073インチ)の穴において、毎分10インチの速度で試験されており、約157.5Nの平均固定強度を示した。個々のアンカー10の固定強度は、非限定的な例として、アンカー設計、編組構造体内の取り出し数、及びアンカー長さL5などの要因に基づいて変化することが見出された。
【0093】
また、テープアンカー本体50、50a~b及び上記で提供された作動部材20のサイズ及び寸法は、例示目的のために提供されており、テープ65は、必要に応じてサイズを拡大及び縮小するのに適していることも理解されたい。
【0094】
更に、本明細書に記載される縫合糸アンカー10は、上記の器具以外の様々なタイプ及び構成の挿入装置及び器具によって、注入、挿入、ないしは別の方法で展開され得ることを更に理解されたい。例えば、縫合糸尾部21、22は、アンカー本体の機械的拡張を含む固定目的のために縫合糸尾部の動き及び/又は操作を制御するための他の機構を有する縫合糸止め具、テンショナーを使用する様々な種類の器具と接続可能であるように構成されている。例えば、作動部材20(その縫合糸尾部21、22の一方又は両方など)は、ハンドルとアクチュエータとを有する張力装置、例えば、非限定的な例として、スライダ、ダイヤル、ノブ(例えば、引張型若しくは回転型ノブ)、及び/又はトリガ(例えば、はさみ様のハンドル)、又は医師による操作のための他の機構に動作可能に連結され得る。かかる張力装置はまた、張力リミッター、例えば剪断ピン又は、張力FTが所定の限界に達すると、張力FTを縫合糸尾部に伝達できなくなるか、ないしは別の方法で伝達しなくなるように構成されたその他脆弱部材又は機構を含むことができ、これによりまた、医師に対してアンカー10が拡張構成C2に遷移したことの触覚及び/又は聴覚表示を提供することもできる。
【0095】
更に、本明細書に記載される縫合糸アンカー10は、アンカー10がその最大限度未満まで機械的に拡張する場合であっても、機械的総拡張量に満たないことを補足する拡張の膨張様式を利用して、解剖学的構造内で展開可能であり、十分なアンカー固定強度を提供すると考えられることを理解されたい。そのような例では、膨張により、アンカー10による経時的な手術後の固定の維持を更に可能にできることを理解されたい。更に、本明細書に記載される縫合糸アンカー10は、拡張の膨張様式を伴わなくても、解剖学的構造内で展開可能であり、機械的拡張のみにより十分なアンカー固定強度を提供する。
【0096】
上記の膨潤可能なテープアンカー本体50はまた、少なくとも1つの解剖学的構造を、別の解剖学的構造、複数の他の解剖学的構造、アンカー部材、及び/又は複数のアンカー部材(従来技術のアンカー部材など、更に非織物アンカーを含む)のうちの少なくとも1つと接続する連結装置として使用され得ることを理解されたい。このようにして、解剖学的構造間の間隙を修復又は復元するように、テープアンカー本体50を解剖学的整復のために使用することができる。非限定的な例として、本明細書に記載されるアンカー本体50のいずれも、解剖学的構造を別の種類のアンカー、例えば、上記で参照したHEALIX(商標)又はHEALIX ADVANCE(商標)アンカーと連結する方法で使用され得る。本発明の発明者らは、彼らによる試験によって、膨潤性コアを含む本明細書に記載されるテープ50が、縫合(すなわち、張力及び/又は解剖学的整復)機能に使用されるとき、効果的かつ有利に動作し得ることを発見した。更に、上記のテープ50は、固定及び縫合機能を同時に提供するように構築され、埋め込まれ得ることを理解されたい。
【0097】
また、上記のアンカー本体50のそれぞれは、非限定的な例として、二重又は三重装着アンカーを含む実施形態など、2つ以上の作動部材20と共に使用され得ることも理解されたい。
【0098】
上記で開示された作動部材20はまた、上記で開示されたテープ65以外のアンカー本体を利用する結び目アンカーを拡張させることを含む、他の種類のアンカーと共に使用され得ることが更に理解されよう。1つのこのような実施例では、作動部材20は、作動部材20の1つ以上の「尾部」に加えられる張力に応答して機械的に拡張可能なアンカー本体を更に画定するような様式(例えば、予め結ばれる、編まれる、及び/又は編組される)などで構成され得る。本明細書に開示される作動部材20はまた、他の種類の結び目アンカーと共に使用され得る。これらの実施形態では、作動部材20の膨張性は、アンカーに追加の拡張性を提供することができる。更に、本明細書に開示される作動部材20はまた、所望により、剛性アンカーを含む他の種類のアンカーと共に使用され得ることが更に理解されよう。これらの実施形態のそれぞれにおいて、作動部材20の膨張性は、接続部材間の長さの少なくとも一部に沿って収縮する利点を提供することができ、これにより、接続部材間の距離を短くし、修復部全体の圧縮を維持し、任意の間隙(存在する場合)を減少させることができる。
【0099】
更にまた、解剖学的修復において上述したアンカー部材50及び/又は作動部材20のいずれかを使用する方法は、本開示の範囲内であることを理解されたい。
【0100】
本開示を詳細に説明してきたが、添付の特許請求の範囲により定義される本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、本明細書において様々な変更、代用、及び改変を行い得る点を理解されたい。更に、本開示の範囲は、明細書に記載される特定の実施形態に限定されるものではない。当業者がそのプロセスから容易に理解するように、本明細書において説明される対応する実施形態と実質的に同じ機能を実施する、又は実質的に同じ結果を達成する、現在存在する又は後に開発される機械、製造法、組成物、手段、方法、又は工程は、本開示に従って利用され得る。
【0101】
〔実施の態様〕
(1) 解剖学的構造内に固定するための縫合糸アンカーであって、前記縫合糸アンカーは、
伸長方向に沿って伸びるアンカー本体であって、前記アンカー本体は中心軸を画定し、前記アンカー本体は、中立構成において、前記アンカー本体が横断方向に沿った厚さと横方向に沿った幅を画定するように、前記中立構成において平坦な形状を有し、前記横断方向は前記中心軸に対して垂直であり、前記横方向が前記横断方向に対して垂直であり、前記幅が前記中立構成における前記厚さよりも大きい、アンカー本体と、
前記アンカー本体の第1の位置において前記アンカー本体に接触している作動部材であって、前記アンカー本体は、前記第1の位置から離れて延在する第1のアンカー本体尾部及び第2のアンカー本体尾部を有し、前記第1のアンカー本体尾部及び前記第2のアンカー本体尾部は、前記第1の位置から、前記第1の位置から離間した前記アンカー本体の第2の位置まで前記作動部材の一部分に沿って共に編組され、編組縫合糸アンカー構造体を画定する、作動部材と、を含み、
前記作動部材が、前記アンカー本体に力を加えて、前記アンカー本体が前記伸長方向から角度を付けてオフセットされた第2の方向に沿って第1の最大厚さを画定する第1の構成から、前記アンカー本体が前記第2の方向に沿って第2の最大厚さを画定する拡張構成まで、前記アンカー本体を作動させるように構成されており、前記第2の最大厚さが前記第1の最大厚さよりも大きい、縫合糸アンカー。
(2) 前記第1の位置及び前記第2の位置が前記編組縫合糸アンカー構造体の第1の端部及び第2の端部を画定するように、前記第1のアンカー本体尾部及び前記第2のアンカー本体尾部が前記第2の位置において互いに接触し、前記編組縫合糸アンカー構造体が、構造体長手方向に沿って前記第1の端部と前記第2の端部との間に延在する長さを画定する、実施態様1に記載の縫合糸アンカー。
(3) 前記作動部材が、
前記第1の位置から延在し、前記作動部材の前記一部分から離れている、第1の作動部材尾部と、
前記第2の位置から延在し、前記作動部材の前記一部分から離れている、第2の作動部材尾部と、を含む、実施態様2に記載の縫合糸アンカー。
(4) 前記作動部材が、前記第2の位置において前記第1のアンカー本体尾部及び前記第2のアンカー本体尾部のうちの少なくとも1つを貫通する、実施態様3に記載の縫合糸アンカー。
(5) 前記アンカー本体の一部分が、前記第1の位置から延在するループを画定するように折り畳まれ、前記編組縫合糸アンカー構造体は、1)前記第1の作動部材尾部及び前記第2の作動部材尾部が、それぞれ前記ループを通って延在し、かつ、2)前記ループが、前記編組縫合糸アンカー構造体の前記第1の端部及び前記第2の端部のうちの少なくとも1つの周囲に延在するように屈曲される、実施態様4に記載の縫合糸アンカー。
【0102】
(6) 前記作動部材が、前記第1の位置で前記アンカー本体を貫通しない、実施態様5に記載の縫合糸アンカー。
(7) 前記作動部材が前記第1の位置で前記アンカー本体を貫通し、前記第1のアンカー本体尾部及び前記第2のアンカー本体尾部のうちの一方が、前記第2の位置に隣接して切断され、前記第1のアンカー本体尾部及び前記第2のアンカー本体尾部のうちの他方が、前記第2の位置から延在し、前記第1の位置に隣接する第3の位置で前記アンカー本体を貫通し、前記編組縫合糸アンカー構造体は、前記編組縫合糸アンカー構造体の前記第2の端部が前記第1の端部に向かって延在するように屈曲し、前記第1のアンカー本体尾部及び前記第2のアンカー本体尾部のうちの他方が、前記編組縫合糸アンカー構造体の前記第1の端部及び前記第2の端部を互いに接続する接続部材を画定する、実施態様4に記載の縫合糸アンカー。
(8) 前記編組縫合糸アンカー構造体は、1)前記縫合糸アンカーが屈曲部の頂点に遠位端を画定し、かつ、2)前記編組縫合糸アンカー構造体の前記第1の端部及び前記第2の端部が、前記伸長方向に沿って前記遠位端から実質的に等距離に延在するように屈曲し、
前記縫合糸アンカーは、前記伸長方向に対して実質的に垂直な方向に対して、前記編組縫合糸アンカー構造体の前記第1の端部及び前記第2の端部を相互接続する接続部材を更に含む、実施態様4に記載の縫合糸アンカー。
(9) 前記接続部材が、前記編組縫合糸アンカー構造体の前記第1の端部及び前記第2の端部の周囲に巻かれたバンドであり、前記バンドが、前記第1のアンカー本体尾部及び前記第2のアンカー本体尾部のうちの少なくとも1つを貫通する、実施態様8に記載の縫合糸アンカー。
(10) 前記アンカー本体が、前記第1の位置において互いに挟持された第1の連続端部分及び第2の連続端部分を有し、前記作動部材が、前記第1の位置において前記第1の連続端部分及び前記第2の連続端部分のそれぞれを貫通する、実施態様4に記載の縫合糸アンカー。
【0103】
(11) 前記アンカー本体が、前記第1の位置で前記作動部材の周囲に巻き付けられ、前記第1のアンカー本体尾部及び前記第2のアンカー本体尾部が、前記作動部材の前記一部分の周囲を、前記第1の位置から前記第2の位置まで二重らせん様式で編組される、実施態様4に記載の縫合糸アンカー。
(12) 前記作動部材が、内部に埋め込まれ、かつ前記伸長方向に沿って延在する軸方向コアを含み、前記軸方向コアが、水性環境への曝露に応答して前記第2の方向に沿って膨潤するように構成されている、実施態様1に記載の縫合糸アンカー。
(13) 前記アンカー本体が、前記第1の構成から前記拡張構成に移行する際にひとかたまりになる、実施態様1に記載の縫合糸アンカー。
(14) 前記アンカー本体が、前記第1の構成から前記拡張構成に移行する前及び後に、前記作動部材に沿って並進するように構成されている、実施態様1に記載の縫合糸アンカー。
(15) 前記第1のアンカー本体尾部及び前記第2のアンカー本体尾部が、3ストランド交互編組で前記作動部材の前記一部分と共に編組される、実施態様1に記載の縫合糸アンカー。
【0104】
(16) 解剖学的固定のためのシステムであって、
伸長方向に沿って伸びる細長い本体部分を有する挿入器具であって、前記挿入器具は、前記細長い本体部分の遠位部分にアンカーキャリアを備える、挿入器具と、
解剖学的構造の標的位置内に固定するための縫合糸アンカーであって、前記縫合糸アンカーは、前記アンカーキャリアによって運ばれるように構成されており、前記縫合糸アンカーは、
中心軸に沿って伸びるアンカー本体であって、前記アンカー本体の中立構成において、前記アンカー本体は前記中心軸に沿った長さと、厚さと、幅とを画定する平坦な形状を有し、前記長さが前記幅より大きく、前記幅が前記中立構成における前記厚さよりも大きい、アンカー本体と、
前記アンカー本体の少なくとも第1の位置及び第2の位置において前記アンカー本体に接触する作動部材であって、前記アンカー本体は、前記第1の位置から離れる方向に延在し、かつ前記作動部材の一部分に沿って前記第2の位置まで共に編組される、第1のアンカー本体尾部及び第2のアンカー本体尾部を有して、編組縫合糸アンカー構造体を画定し、前記第1の位置及び前記第2の位置が、前記編組縫合糸アンカー構造体の第1の端部及び第2の端部を画定する、作動部材と、を含む、縫合糸アンカーと、を含み、
前記作動部材が、前記アンカー本体に力を加えて、前記アンカー本体を第1の構成から拡張構成へと作動させるように構成されており、それによって、前記アンカー本体が前記第1の構成から前記拡張構成に移行するにつれて、第2の方向に沿った前記アンカー本体の最大厚さが増加し、前記第2の方向は前記伸長方向から角度を付けてオフセットされている、システム。
(17) 前記アンカーキャリアが、前記伸長方向に沿って遠位方向に延在する歯を有するフォーク構造を含み、
前記第1の構成において、前記縫合糸アンカーは、前記伸長方向に対して垂直な器具横方向に対して少なくとも部分的に前記歯の間に配置され、前記編組縫合糸アンカー構造体は、
前記縫合糸アンカーが、屈曲部の頂点に遠位端を画定し、かつ、
前記編組縫合糸アンカー構造体が、前記遠位端から前記遠位方向と反対の近位方向に互いに実質的に平行に延在する第1の部分及び第2の部分を画定するように屈曲し、前記作動部材は、前記アンカー本体の前記第1の位置及び前記第2の位置から前記近位方向に前記挿入器具の前記細長い本体部分に沿ってそれぞれ延在する第1の作動部材尾部及び第2の作動部材尾部を有する、実施態様16に記載のシステム。
(18) 前記アンカー本体の一部分が、前記第1の位置においてループを画定するように折り畳まれ、少なくとも前記アンカー本体が前記第1の構成にあるとき、前記ループが前記編組縫合糸アンカー構造体の前記第1の端部及び前記第2の端部の周囲に延在するように、前記第1の作動部材尾部及び前記第2の作動部材尾部はそれぞれ前記ループを通って延在し、
前記アンカーキャリアが前記ループを通って延在し、前記フォーク構造が前記縫合糸アンカーの前記遠位端と係合する、実施態様17に記載のシステム。
(19) 前記作動部材が前記第1の位置で前記アンカー本体を貫通し、前記第1のアンカー本体尾部及び前記第2のアンカー本体尾部のうちの一方が前記第2の位置に隣接して切断され、前記第1のアンカー本体尾部及び前記第2のアンカー本体尾部のうちの他方が、前記第2の位置から延在して、前記第1の位置に隣接する第3の位置で前記アンカー本体を貫通し、それによって、前記第1のアンカー本体尾部及び前記第2のアンカー本体尾部のうちの他方が、前記編組縫合糸アンカー構造体の前記第1の端部及び前記第2の端部を互いに接続する接続部材を画定し、
前記アンカーキャリアが前記接続部材に沿って延在し、前記フォーク構造が前記縫合糸アンカーの前記遠位端と係合する、実施態様17に記載のシステム。
(20) 前記縫合糸アンカーが、前記第1の端部及び前記第2の端部を相互接続する様式で、前記伸長方向に対して実質的に垂直な方向に対して、前記編組縫合糸アンカー構造体の前記第1の端部及び前記第2の端部の周囲に巻き付けられた接続部材を含み、
前記アンカーキャリアが前記巻き付けられた接続部材を通って延在し、前記フォーク構造が前記縫合糸アンカーの前記遠位端と係合する、実施態様17に記載のシステム。
【0105】
(21) 前記挿入器具と、カニューレ挿入部を画定する外側チューブと、を含む器具アセンブリを更に備え、前記カニューレ挿入部は、前記縫合糸アンカーを運んでいる前記挿入器具の前記細長い本体部分が、前記カニューレ挿入部を通って前記解剖学的構造の前記標的位置まで並進可能であるようにサイズ決めされている、実施態様17に記載のシステム。
(22) 前記挿入器具と、カニューレ挿入部を画定する外側チューブと、を含む器具アセンブリを更に備え、前記カニューレ挿入部は、前記縫合糸アンカーを運んでいる前記挿入器具の前記細長い本体部分が、前記カニューレ挿入部を通って前記解剖学的構造の前記標的位置まで並進可能であるようにサイズ決めされており、
前記挿入器具の前記細長い本体部分が管状であり、第2のカニューレ挿入部を画定し、前記第2のカニューレ挿入部は、前記アンカー本体の前記第1の最大厚さよりも小さい内径を画定し、それによって、
前記縫合糸アンカーが、前記細長い本体部分の遠位端から前記伸長方向に沿って遠位方向に延在し、
前記細長い本体部分の前記遠位端が、前記第1のカニューレ挿入部を通って前記標的位置まで前記縫合糸アンカーを押すように構成されており、
前記作動部材が、前記アンカー本体の前記第1の位置及び前記第2の位置から、前記第2のカニューレ挿入部を通って前記遠位方向と反対の近位方向にそれぞれ延在する第1の作動部材尾部及び第2の作動部材尾部を有する、実施態様16に記載のシステム。