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特許7467477四肢サポートを備えた訓練器具および訓練器具の四肢サポートに作用する力を求めるための方法
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  • 特許-四肢サポートを備えた訓練器具および訓練器具の四肢サポートに作用する力を求めるための方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-05
(45)【発行日】2024-04-15
(54)【発明の名称】四肢サポートを備えた訓練器具および訓練器具の四肢サポートに作用する力を求めるための方法
(51)【国際特許分類】
   A63B 22/06 20060101AFI20240408BHJP
   A61H 1/02 20060101ALI20240408BHJP
【FI】
A63B22/06 H
A61H1/02 G
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021539602
(86)(22)【出願日】2020-01-03
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-25
(86)【国際出願番号】 DE2020100001
(87)【国際公開番号】W WO2020143874
(87)【国際公開日】2020-07-16
【審査請求日】2022-12-16
(31)【優先権主張番号】102019100291.5
(32)【優先日】2019-01-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】517078345
【氏名又は名称】メディカ メディツィーンテヒニク ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】MEDICA MEDIZINTECHNIK GMBH
【住所又は居所原語表記】Blumenweg 8, 88454 Hochdorf, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】オットー ヘーベル
【審査官】槙 俊秋
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2009/0211395(US,A1)
【文献】特開平11-262542(JP,A)
【文献】特開昭61-154579(JP,A)
【文献】実開昭56-106714(JP,U)
【文献】特開2006-345904(JP,A)
【文献】特開2014-044176(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 22/06
A63B 23/035
A61H 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
四肢のうちの少なくとも1つを訓練するための訓練器具であって、
支持フレーム(2)と、
前記支持フレーム(2)に割り当てられた回転軸(5)に配置された少なくとも1つのクランク(4)と、
前記回転軸(5)からそれぞれ異なる半径方向間隔(9)を置いて前記少なくとも1つのクランク(4)に取付け可能である少なくとも1つの四肢サポート(7)と、
を備える訓練器具において、
前記回転軸(5)からの前記少なくとも1つの四肢サポート(7)の前記半径方向間隔(9)を検出するための手段が設けられており、
前記手段は、ホールセンサ(13)によって形成されており、該ホールセンサ(13)は、前記回転軸(5)に対して不動に配置されたボード(14)上に位置決めされており、前記ボード(14)の傍らを通過する前記クランク(4)に、前記四肢サポート(7)の、磁石(15)を有するピン(11)を差し込むことができる収容部(10)および/または長孔が形成されていることを特徴とする、訓練器具。
【請求項2】
前記手段は、前記回転軸(5)からの前記四肢サポート(7)の前記半径方向間隔(9)を自動的に検出するように設計されており、前記手段によって検出された前記半径方向間隔(9)は、前記四肢サポート(7)に加えられた力を算出するために、測定値として評価ユニット(12)へ供給可能であることを特徴とする、請求項1記載の訓練器具。
【請求項3】
前記ピン(11)は、ピン軸線に対して同軸的に位置するN極とS極との極配向を伴う棒磁石を有することを特徴とする、請求項1または2記載の訓練器具。
【請求項4】
前記ボード(14)上に複数のホールセンサ(13)が配置されていることを特徴とする、請求項1~3までのいずれか1項記載の訓練器具。
【請求項5】
前記ボード(14)上に配置された前記複数のホールセンサ(13)は、前記回転軸(5)を通らない直線上に配置されていることを特徴とする、請求項記載の訓練器具。
【請求項6】
請求項1~までのいずれか1項記載の訓練器具(1)に装着されている四肢サポートであって、
前記ピン(11)が設けられており、該ピン(11)は、ピン軸線に対して同軸的に位置するN極とS極との極配向を伴う棒磁石を有することを特徴とする、四肢サポート。
【請求項7】
前記極配向の向きは、1つのアクセサリ群への対応を識別するために利用可能であることを特徴とする、請求項記載の四肢サポート。
【請求項8】
請求項2記載の訓練器具(1)の四肢サポート(7)に作用する力を求めるための、コンピュータによって実行される方法であって、
前記四肢サポート(7)の前記半径方向間隔(9)を少なくとも1つの前記ホールセンサ(13)によって検出するステップと、
前記ホールセンサ(13)によって検出された測定値を、前記回転軸(5)に作用するトルクに関連させて前記評価ユニット(12)で評価するステップと、
を含む、コンピュータによって実行される方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、四肢のうちの少なくとも1つを訓練するための訓練器具であって、支持フレームと、支持フレームに割り当てられた回転軸に配置された少なくとも1つのクランクと、回転軸からそれぞれ異なる半径方向間隔を置いて少なくとも1つのクランクに取付け可能である少なくとも1つの四肢サポートと、を備える、訓練器具に関する。本発明は、さらに、四肢サポートと、訓練器具の四肢サポートに作用する力を求めるための方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
冒頭に記載した形態の訓練器具は、例えば独国特許発明第102011055200号明細書に基づき公知である。この公知の訓練器具は、特に患者のリハビリテーションの際に必要となるような、四肢の個々の筋肉部位を的確に訓練するために適している。しかしながら、この種の訓練器具は、余暇の分野でスポーツ器具、例えばエルゴメータとしても使用され、また、トップアスリートの意図的なトレーニングにも使用される。ここで留意すべきは、特に患者のリハビリテーションの際には、負荷、特に四肢サポートに作用する力を正確にコントロールすることが必要となるということである。一例として、人工股関節を使用しているケースを挙げることができる。この場合には、リハビリテーションにあたり、人工股関節を有する脚にかかる負荷が、予め設定された値、例えば付加的な力を含めて20kgを越えてはならないという主治医の指示がある。冒頭に記載した形態の訓練器具は、回転軸からの四肢サポートの半径方向間隔を変更することによって、リハビリテーション分野におけるそれぞれ異なる使用者に個別に適合可能となるため、トルク=力×てこ腕長さという単純な関係に基づき、作用するトルクから一義的に負荷を推定することはできないことになる。代替的には、訓練器具にモータを設け、受動的な訓練のために、このモータが特定のトルクを回転軸に提供することも可能である。しかしながら、この場合にもやはり、前述した関係により、半径方向間隔の把握なしには、このトルクから、患者に作用する力を一義的に推定することはできないため、リハビリテーションの成果がリスクに曝されてしまうか、または患者の健康被害すら生じてしまう恐れがある。これらの欠点を回避するために、四肢サポート、例えば脚用のフットシェルに、作用する力を検出するためのセンサ、つまり、ひずみゲージ式センサを割り当てることが知られている。しかしながら、このことには、訓練器具が著しく高価になり、ひいては、リハビリテーションに必要な予算に負担がかかってしまうという欠点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、本発明の根底にある課題は、冒頭に記載した形態の訓練器具を改良して、訓練器具の使用者に作用する力に関するコントロールが、より簡単かつ廉価に可能となるようにすることである。
【0004】
本発明の課題は、さらに、改善された四肢サポートと、訓練器具の四肢サポートに作用する力を求めるための改善された方法とを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題の、訓練器具に該当する部分は、冒頭に記載した形態の訓練器具において、回転軸からの少なくとも1つの四肢サポートの半径方向間隔を検出するための手段が設けられていることによって解決される。
【0006】
本発明は、力を四肢サポートにおいて直接測定することができるだけでなく、作用するトルクのほかに、回転軸からの四肢サポートの半径方向間隔が判っていれば、力を、導き出された量として求めることができるという知見から出発する。したがって、本発明によれば、回転軸からの四肢サポートの半径方向間隔を検出するための手段が設けられており、この場合、この半径方向間隔の把握によって、患者により発生させられたトルクまたは患者に加えられたトルクに関連させて、作用する力を求めることができる。健常なアスリートの場合、右側の肢部と左側の肢部とで対称的な力の発現があるものと仮定することができるが、この仮定は、リハビリテーションの分野では常に妥当であるとは限らないため、有利には、それぞれの四肢サポートに相応の手段が割り当てられている。
【0007】
さらに好ましくは、手段は、回転軸からの四肢サポートの半径方向間隔を自動的に検出するように設計されており、手段によって検出された半径方向間隔は、四肢サポートに加えられた力を算出するために、測定値として評価ユニットへ供給可能である。評価ユニットによって提供される評価によって、的確な訓練をコントロールする、特に場合によっては、発生させた駆動トルクを低減するためにモータに作用するか、またはバイオフィードバックの意味で患者に対して、発生させた力が超過している旨を信号で知らせることができる。評価ユニットは、表示ユニットによって補填されていてもよい。この表示ユニットによって、算出された力が数値として表示されるので、患者または患者をケアする理学療法士への情報提供は、閾値に達したかまたは閾値を下回っているかということに限定されていない。
【0008】
極めて特に好ましくは、手段は、ホールセンサ、超音波センサ、レーザセンサおよびフォトインタラプタの一部としての光電セルを含む群から選択される少なくとも1つのセンサによって形成されている。
【0009】
ホールセンサによって形成されたセンサを備えた訓練器具は、ホールセンサが、回転軸に対して不動に配置されたボード上に位置決めされており、このボードの傍らを通過するクランクに、四肢サポートの、磁石を有するピンを差し込むことができる収容部および/または長孔が形成されていることによって優れている。これによって、クランクが傍らを通過する際に、選択されたクランク半径、すなわち、回転軸からの四肢サポートの距離を把握することができるという利点が得られる。この場合、ホールセンサによって、磁石のN極が傍らを通過したのかまたはS極が傍らを通過したのかを検出することもできるため、有利には、ピンは、ピン軸線に対して同軸的に位置するN極とS極との極配向を伴う棒磁石を有している。これによって、収容部内または長孔内に差込み可能な四肢サポートを、明確に区別可能な2つの群、例えば脚の訓練用と腕の訓練用とに分類することができる。すなわち、これは、例えば脚の訓練用には、磁石のN極が、クランクに向けられた側に配置されており、腕の訓練用には、磁石のS極がクランクに向けられている、すなわち、棒磁石が180°回動させられている場合である。
【0010】
さらに好ましくは、ボード上に複数のホールセンサが配置されている。このことは、特に離散的に互いに間隔を置いて配置された複数の収容部が設けられているのではなく、1つの長孔または1つの相応するスライダガイドが使用される場合に利点を提供する。なぜならば、複数のセンサの使用によって、複数の信号を合算することにより、長孔内の四肢サポートの位置を無段階に算出することができるからである。
【0011】
別の利点は、ボード上に配置された複数のホールセンサが、回転軸を通らない直線上に配置されている場合、すなわち、複数のホールセンサによって規定される直線が、厳密に半径方向に向けられているのではなく、半径方向の向きに対して所定の傾きが与えられている場合に生じる。なぜならば、これによって、磁石がボードの傍らを通過するとき、ボードに対するクランク位置が常に同一であり、したがって、ボードがインデックスピックアップとしても機能することができるからである。
【0012】
上記課題の、四肢サポートに該当する部分は、四肢サポートであって、ピンが設けられており、このピンが、ピン収容部に対して同軸的に位置するN極とS極との極配向を伴う棒磁石を有する、四肢サポートによって解決される。この形態の四肢サポートでは、これを訓練で使用する際に磁石が傍らを通過することを検出することができるだけでなく、磁石の向きも検出できるので、極配向の向きが、1つのアクセサリ群への対応(Zugehoerigkeit)を識別するために利用可能であるという更なる可能性が与えられている。
【0013】
上記課題の、方法に該当する部分は、訓練器具の四肢サポートに作用する力を求めるための方法であって、四肢サポートをクランクの回転軸から半径方向間隔を置いてクランクに位置決めするステップと、半径方向間隔を少なくとも1つのセンサによって検出するステップと、センサによって検出された測定値を、回転軸に作用するトルクに関連させて評価ユニットで評価するステップと、を含む方法によって解決される。
【0014】
以下に、図面に示された実施例に基づき本発明を詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】訓練器具を概略的に示す側面図である。
図2】訓練器具の、本発明の説明に必要な部分を拡大して示す斜視図である。
図3図2とは異なる視角からの斜視図である。
図4図2に示す対象物を、四肢サポートなしで示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1には、一対の肢部、つまり、2本の脚の訓練に適した訓練器具1が示されている。この実施例は、本発明の説明のためにのみ用いられるものであり、本発明は、別の一対の肢部、すなわち、両腕の訓練にも使用することができる。訓練器具1は支持フレーム2を有している。支持フレーム2は、図示の実施例では、好ましくは制動可能なローラ3上に配置されている。本実施例は2つのクランク4を有している。クランク4は、支持フレーム2に割り当てられた回転軸5に配置されている。訓練器具1は、さらに、回転軸5を駆動するためのモータ6と、2つの四肢サポート7、すなわち、2つのフットシェル8を有している。フットシェル8は、回転軸5からそれぞれ異なる半径方向間隔9を置いて、それぞれ対応するクランク4に取付け可能であり、つまり、図示の実施例では、各クランク4に2つの収容部10が形成されており、この2つの収容部10内に、フットシェル8に割り当てられたピン11が差込み可能であることによって取付け可能となっている。
【0017】
回転軸からの四肢サポートの半径方向間隔9を検出するための手段が設けられており、この手段は、自動的な検出のために設計されている。この手段によって検出された半径方向間隔9は、四肢サポート7に加えられた力を算出するために、測定値として評価ユニット12へ供給可能である。この力は、力=トルク/てこ腕長さという式によって算出される。ここで、てこ腕長さは、回転軸5からの四肢サポート7の半径方向間隔9によって与えられる。トルクは、モータ6によって発生されて既知であるかまたは患者によって加えられるため、検出されたトルクと、半径方向間隔9の把握とに基づき、そこから導き出された力を、患者の訓練が効果的であって、その際、過負荷が回避されているかどうかという点でコントロールすることができる。
【0018】
半径方向間隔を検出するためには、超音波センサ、レーザセンサおよびフォトインタラプタの一部としての光電セルが適している。図示した実施例では、ホールセンサ13の使用が示されており、つまり、2つのホールセンサが、回転軸5に対して不動に配置されたボード14上に位置決めされている。ボード14の傍らを通過するクランク4に複数の収容部10が形成されており、これらの収容部10内に、四肢サポート7の、磁石15を有するピン11を差込み可能である。これらの収容部10は、1つの長孔にまとめられていてもよい。3つ以上の収容部10がクランク4に存在してもよい。ピン11は、ピン軸線に対して同軸的に位置するN極とS極との極配向を伴う棒磁石を有しており、これによって、棒磁石の向きによって特徴づけられた2つのアクセサリ群、例えば脚の訓練用のアクセサリ群と腕の訓練用のアクセサリ群とを区別する可能性が提供されている。
【0019】
特に図2および図4から判るように、ボード14上に複数のホールセンサ13が配置されており、これらのホールセンサ13によって1つの直線が規定されている。この直線は、磁石15が傍らを通過する場合、クランク位置が、使用可能なセンサに対して相対的に常に同一であるようにするために、回転軸5を通らずに延びている、すなわち、半径方向の向きと共に所定の角度を成している。
【0020】
以下に、訓練器具1の使用と、そのために必要な、四肢サポート7に作用する力を求めるための方法とを説明する。このために、まず、磁石15を有するピン11が、図示の両収容部10のうちの一方の収容部内に差し込まれることにより、四肢サポート7、すなわち、図2に示したフットシェル8が、回転軸5から半径方向間隔9を置いて位置決めされる。棒磁石を、例えばN極がクランクの収容部10に向けられるように配向することによって、例えばS極が収容部10に向けられた腕の訓練用のサポートと区別するために、四肢サポート7をフットシェル8として識別することができる。
【0021】
ボード14上に配置された両ホールセンサ13によって、回転軸5からのフットシェル8の半径方向間隔9を特定することができ、これにより、回転軸5に作用するトルクに関連させて、評価ユニット12において力を求めることができる。この力は、場合によっては表示ユニット16に数値として出力される。
【符号の説明】
【0022】
1 訓練器具
2 支持フレーム
3 ローラ
4 クランク
5 回転軸
6 モータ
7 四肢サポート
8 フットシェル
9 半径方向間隔
10 収容部
11 ピン
12 評価ユニット
13 ホールセンサ
14 ボード
15 磁石
16 表示ユニット
図1
図2
図3
図4