(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-05
(45)【発行日】2024-04-15
(54)【発明の名称】トグル切り替えする遠位先端部を有する外科用ステープラ
(51)【国際特許分類】
A61B 17/072 20060101AFI20240408BHJP
【FI】
A61B17/072
(21)【出願番号】P 2021544370
(86)(22)【出願日】2020-01-29
(86)【国際出願番号】 IB2020050703
(87)【国際公開番号】W WO2020157676
(87)【国際公開日】2020-08-06
【審査請求日】2023-01-20
(32)【優先日】2019-01-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506157570
【氏名又は名称】シラグ・ゲーエムベーハー・インターナショナル
【氏名又は名称原語表記】Cilag GMBH International
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ブランズ・ジェフリー・ディー
(72)【発明者】
【氏名】ファネッリ・ニコラス
(72)【発明者】
【氏名】シムズ・ロバート・ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ジェンキンス・スコット・エイ
【審査官】石川 薫
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-072791(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0235609(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0000481(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 13/00-18/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科用器具エンドエフェクタであって、
(a)ステープルカートリッジを受容するように構成された第1のジョーと、
(b)複数のステープル成形ポケットを有するアンビル
本体を備える第2のジョーであって、
前記アンビル本体が長手方向軸を画定し、前記第1のジョー及び前記第2のジョーが、前記第1のジョーと前記第2のジョーとの間に位置決めされた組織をクランプ及びステープル留めするように動作可能である、第2のジョーと、
(c)前記アンビル
本体の遠位端に移動可能に配設された先端部部材であって、前記アンビル
本体に対して第1の別個の位置と第2の別個の位置との間でトグル切り替えするように構成されている、先端部部材と、を備え、
前記第1の別個の位置にある前記先端部部材が、前記第1のジョーに向かって角度の付いた状態で配向され、
前記第2の別個の位置にある前記先端部部材が、前記第1の別個の位置から離れる方向に角度の付いた状態で配向さ
れ、
前記外科用器具エンドエフェクタは、前記先端部部材を前記第1の別個の位置及び前記第2の別個の位置の各々に向かって付勢するように構成された弾性部材を更に備える、外科用器具エンドエフェクタ。
【請求項2】
前記先端部部材が、前記第2の別個の位置において前記長手方向軸と平行に延在するように構成されている、請求項1に記載の外科用器具エンドエフェクタ。
【請求項3】
前記先端部部材が、前記第1の別個の位置と前記第2の別個の位置との間で
、前記長手方向軸に垂直な横軸を中心として前記アンビル
本体に対して移動可能である、請求項1に記載の外科用器具エンドエフェクタ。
【請求項4】
前記先端部部材が、外部入力力とは無関係に、前記第1の別個の位置及び前記第2の別個の位置の各々を維持するように構成されている、請求項1に記載の外科用器具エンドエフェクタ。
【請求項5】
前記先端部部材の近位端が、先細突出部を含み、前記先細突出部が、前記第1の別個の位置と前記第2の別個の位置との間で前記アンビル
本体に対して移動可能である、請求項1に記載の外科用器具エンドエフェクタ。
【請求項6】
前記弾性部材が、前記先端部部材を前記アンビル
本体に対して長手方向に拘束する一方、前記先端部部材が前記第1の別個の位置と前記第2の別個の位置との間で前記アンビル
本体に対して移動することを可能にするように構成されている、請求項
1に記載の外科用器具エンドエフェクタ。
【請求項7】
前記先端部部材が、前記弾性部材の遠位端と枢動可能に連結され、前記先端部部材が、前記第1の別個の位置と前記第2の別個の位置との間で前記弾性部材に対して枢動可能である、請求項
1に記載の外科用器具エンドエフェクタ。
【請求項8】
前記先端部部材が、空洞を含み、前記弾性部材の遠位端が、前記空洞内に受容されている、請求項
1に記載の外科用器具エンドエフェクタ。
【請求項9】
前記弾性部材が、スプリングアームを含み、前記先端部部材の近位端が、前記第1の別個の位置で前記スプリングアームの第1の部分と係合し、前記第2の別個の位置で前記スプリングアームの第2の部分と係合するように構成されている、請求項
1に記載の外科用器具エンドエフェクタ。
【請求項10】
前記弾性部材の近位端が、前記アンビル本体に対して長手方向に固定されている、請求項
1に記載の外科用器具エンドエフェクタ。
【請求項11】
前記先端部部材を前記アンビル本体と連結する接続部材を更に備え、前記弾性部材が、前記接続部材内に少なくとも部分的に格納されている、請求項
1に記載の外科用器具エンドエフェクタ。
【請求項12】
前記接続部材が、内側チャネルを含み、前記先端部部材の近位端が、前記内側チャネル内に移動可能に受容されている、請求項
11に記載の外科用器具エンドエフェクタ。
【請求項13】
前記先端部部材を前記アンビル本体と連結する接続部材を更に備え、前記接続部材が、中に前記先端部部材の近位端を移動可能に受容する内側チャネルを含む、請求項1に記載の外科用器具エンドエフェクタ。
【請求項14】
外科用器具であって、
(a)本体と、
(b)前記本体から遠位方向に延在するシャフトと、
(c)請求項1に記載の
外科用器具エンドエフェクタと、を備え、前記
外科用器具エンドエフェクタが、前記シャフトの遠位端に配設されている、外科用器具。
【請求項15】
外科用器具エンドエフェクタであって、
(a)ステープルカートリッジを受容するように構成された第1のジョーと、
(b)複数のステープル成形ポケットを有するアンビル
本体を備える第2のジョーであって、
前記アンビル本体が長手方向軸を画定し、前記第1のジョー及び前記第2のジョーが、前記第1のジョーと前記第2のジョーとの間に位置決めされた組織をクランプ及びステープル留めするように動作可能である、第2のジョーと、
(c)前記アンビル
本体の遠位端に移動可能に配設された先端部部材であって、第1の別個の位置と第2の別個の位置との間で
、前記長手方向軸に垂直な横軸を中心として前記アンビル
本体に対して移動可能である、先端部部材と、を備え、
前記第1の別個の位置にある前記先端部部材が、外部入力力によって作用されるまで前記第1の別個の位置を維持するように構成され、
前記第2の別個の位置にある前記先端部部材が、外部入力力によって作用されるまで前記第2の別個の位置を維持するように構成さ
れ、
前記先端部部材を前記第1の別個の位置及び前記第2の別個の位置の各々に向かって付勢するように構成された弾性部材を更に備える、外科用器具エンドエフェクタ。
【請求項16】
前記先端部部材の近位端が、突出部を含み、前記突出部が、前記第1の別個の位置と前記第2の別個の位置との間で前記アンビル
本体に対して移動可能である、請求項
15に記載の外科用器具エンドエフェクタ。
【請求項17】
外科用器具エンドエフェクタと共に使用するように構成されたアンビルであって、
(a)アンビル本体と、
(b)前記アンビル本体上に提供された複数のステープル成形ポケットと、
(c)前記アンビル本体の遠位端に移動可能に連結された先端部部材であって、第1の別個の位置と第2の別個の位置との間で前記アンビル本体に対して移動可能である、先端部部材と、
(d)弾性部材であって、前記先端部部材が前記第1の別個の位置にあるときには前記第1の別個の位置で、前記先端部部材が前記第2の別個の位置にあるときには前記第2の別個の位置で、前記先端部部材を解放可能に維持するように構成されている、弾性部材と、を備える、アンビル。
【請求項18】
前記弾性部材が、前記先端部部材を前記アンビル本体に対して長手方向に少なくとも部分的に拘束する一方、前記先端部部材が前記アンビル本体に対して枢動することを可能にするように構成されている、請求項
17に記載のアンビル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(優先権)
本出願は、2019年1月30日に出願された「Surgical Stapler with Adjustable Tip Angulation」と題する米国特許仮出願第62/798,651号、及び2019年4月30日に出願された「Surgical Stapler with Adjustable Tip Angulation」と題する米国特許仮出願第62/840,602号に対する優先権を主張するものであり、これらの開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
いくつかの状況では、切開創をより小さくすることにより、術後の回復時間及び合併症を低減させ得ることから、従来の開腹外科用デバイスよりも内視鏡外科用器具が好ましい場合がある。このため、内視鏡外科用器具の中には、トロカールのカニューレを通して所望の手術部位に遠位エンドエフェクタを配置するのに適したものがある。これらの遠位エンドエフェクタは、様々な方法で組織と係合して、診断又は治療効果を達成し得る(例えば、エンドカッター、把持具、カッター、ステープラ、クリップアプライヤ、アクセスデバイス、薬物/遺伝子治療送達デバイス、及び、超音波、RF、レーザーなどを使用するエネルギー送達デバイスなど)。内視鏡外科用器具は、エンドエフェクタとハンドル部分との間に、臨床医によって操作されるシャフトを含み得る。かかるシャフトは、所望の深さへの挿入及びシャフトの長手方向軸を中心とした回転を可能にし、それにより患者の体内でエンドエフェクタの位置決めを行うことを容易にし得る。エンドエフェクタの位置決めは、エンドエフェクタをシャフトの長手方向軸に対して選択的に関節動作させるか又は別様に偏向させることを可能にする、1つ又は2つ以上の関節動作ジョイント又は特徴部を含めることによって更に容易に行うことができる。
【0003】
内視鏡外科用器具の例として、外科用ステープラが挙げられる。いくつかのかかるステープラは、組織層をクランプし、クランプされた組織層を切断し、組織層を通してステープルを打ち込むことによって、組織層の切断された端部の近くで、切断された組織層同士を互いに実質的にシールするように動作可能である。例示的に過ぎない外科用ステープラが、1989年2月21日発行の「Pocket Configuration for Internal Organ Staplers」と題する米国特許第4,805,823号、1995年5月16日発行の「Surgical Stapler and Staple Cartridge」と題する米国特許第5,415,334号、1995年11月14日発行の「Surgical Stapler Instrument」と題する米国特許第5,465,895号、1997年1月28日発行の「Surgical Stapler Instrument」と題する米国特許第5,597,107号、1997年5月27日発行の「Surgical Instrument」と題する米国特許第5,632,432号、1997年10月7日発行の「Surgical Instrument」と題する米国特許第5,673,840号、1998年1月6日発行の「Articulation Assembly for Surgical Instruments」と題する米国特許第5,704,534号、1998年9月29日発行の「Surgical Clamping Mechanism」と題する米国特許第5,814,055号、2005年12月27日発行の「Surgical Stapling Instrument Incorporating an E-Beam Firing Mechanism」と題する米国特許第6,978,921号、2006年2月21日発行の「Surgical Stapling Instrument Having Separate Distinct Closing and Firing Systems」と題する米国特許第7,000,818号、2006年12月5日発行の「Surgical Stapling Instrument Having a Firing Lockout for an Unclosed Anvil」と題する米国特許第7,143,923号、2007年12月4日発行の「Surgical Stapling Instrument Incorporating a Multi-Stroke Firing Mechanism with a Flexible Rack」と題する米国特許第7,303,108号、2008年5月6日発行の「Surgical Stapling Instrument Incorporating a Multistroke Firing Mechanism Having a Rotary Transmission」と題する米国特許第7,367,485号、2008年6月3日発行の「Surgical Stapling Instrument Having a Single Lockout Mechanism for Prevention of Firing」と題する米国特許第7,380,695号、2008年6月3日発行の「Articulating Surgical Stapling Instrument Incorporating a Two-Piece E-Beam Firing Mechanism」と題する米国特許第7,380,696号、2008年7月29日発行の「Surgical Stapling and Cutting Device」と題する米国特許第7,404,508号、2008年10月14日発行の「Surgical Stapling Instrument Having Multistroke Firing with Opening Lockout」と題する米国特許第7,434,715号、2010年5月25日発行の「Disposable Cartridge with Adhesive for Use with a Stapling Device」と題する米国特許第7,721,930号、2013年4月2日に発行された米国特許第8,408,439号、名称「Surgical Stapling Instrument with An Articulatable End Effector」、及び2013年6月4日に発行された米国特許第8,453,914号、名称「Motor-Driven Surgical Cutting Instrument with Electric Actuator Directional Control Assembly」に開示されている。上に引用した米国特許、米国特許出願公開、及び、米国特許出願それぞれの開示内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0004】
上述した外科用ステープラは、内視鏡処置において使用されるものとして記載されているが、かかる外科用ステープラは、開腹処置及び/又は他の非内視鏡処置でも使用することができることを理解されたい。単に一例として、トロカールをステープラの導管として使用しない胸部外科処置では、外科用ステープラを開胸術によって患者の肋骨の間に挿入し、1つ又は2つ以上の臓器に到達させることもできる。かかる処置では、肺につながる血管を切断及び閉鎖するためにステープラが使用される場合もある。例えば、臓器につながる血管を、胸腔から臓器を切除する前にステープラによって切断して閉鎖することができる。当然のことながら、外科用ステープラは、様々な他の状況及び処置において使用され得る。
【0005】
様々な種類の外科用ステープル留め器具及び関連構成要素が作製され使用されてきたが、本発明者ら以前には、添付の特許請求の範囲に記載されている発明を誰も作製又は使用したことがないものと考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
本明細書に組み込まれ、かつその一部をなす添付の図面は、本発明の実施形態を例示するものであり、上記の本発明の一般的な説明、及び以下の実施形態の詳細な説明と共に、本発明の原理を説明する役割を果たすものである。
【
図1】例示的な関節動作する外科用ステープル留め器具の斜視図を示す。
【
図3】
図1の器具の開放されたエンドエフェクタの斜視図を示す。
【
図4A】発射ビームが近位位置にある、
図3の線4-4に沿ってとられた、
図3のエンドエフェクタの側面断面図を示す。
【
図4B】発射ビームが遠位位置にある、
図3の線4-4に沿ってとられた、
図3のエンドエフェクタの側面断面図を示す。
【
図5】
図3の線5-5に沿ってとられた、
図3のエンドエフェクタの端面断面図を示す。
【
図6】
図3のエンドエフェクタの分解斜視図を示す。
【
図7】組織に位置決めされ、かつ組織内で1回作動された後の、
図3のエンドエフェクタの斜視図を示す。
【
図8】角度付けされたアンビル及び角度付けされたカートリッジを有する、エンドエフェクタの代替的変形例の斜視図を示す。
【
図9】
図8のエンドエフェクタの拡大側面図を示す。
【
図10】
図8のエンドエフェクタの拡大上面図を示す。
【
図11】湾曲した弾性変形可能な先端部セクションを備えたエンドエフェクタを有する例示的な外科用ステープル留め器具の斜視図を示す。
【
図12B】
図11のものと類似する代替的なエンドエフェクタの遠位部分の拡大側面図を示す。
【
図13】本明細書に記載の外科用器具と共に使用するためのエンドエフェクタの代替のアンビルの部分上面図を示す。
【
図14A】
図13の線14-14に沿ってとられた、
図13のアンビルの側断面図を示しており、第1の位置にあるアンビルの先端部を示す。
【
図14B】アンビルの一部分が仮想線で示されている、
図14Aのアンビルの拡大斜視図を示す。
【
図15】アンビルの先端部が第2の位置に回転していることを示す、
図13のアンビルの側面図を示す。
【
図16】
図14のアンビルと同様であるが、複数の回転可能な先端部分を有する、本明細書に記載の外科用器具と共に使用するためのエンドエフェクタの代替のアンビルの側断面図を示す。
【
図17】本明細書に記載の外科用器具と共に使用するためのエンドエフェクタの代替のアンビルの斜視図を示す。
【
図18】エラストマーオーバーモールドが仮想線で示される、
図17のアンビルの側断面図を示しており、支点特徴部を中心として枢動可能な枢動部材を示す。
【
図19】先端部が第1の位置にある状態で示されている、本明細書に記載の外科用器具と共に使用するためのエンドエフェクタのアンビルの代替の先端部の斜視図を示す。
【
図20】先端部が第2の位置にある状態で示されている、
図19の先端部の斜視図を示す。
【
図21】第1の位置にあるアンビルの先端部を示す、本明細書に記載の外科用器具と共に使用するための例示的な代替のエンドエフェクタの斜視図を示す。
【
図23】第2の位置にあるアンビルの先端部を示す、
図21のエンドエフェクタの拡大側面図を示す。
【
図24】内部クリップを露呈するためにエラストマーオーバーモールドが仮想線で示され、第1の位置にあるアンビルの先端部を示す、
図21のエンドエフェクタの拡大斜視図を示す。
【
図25】第2の位置にあるアンビルの先端部を示す、
図24のエンドエフェクタの側面図を示す。
【
図26】
図24のエンドエフェクタの内部クリップの斜視図を示す。
【
図27】内部クリップの一対のアームの遠位端が接合される前の状態で示される、
図26の内部クリップの斜視図を示す。
【
図28】代替の第2の位置にあるアンビルの先端部を示す、
図21のエンドエフェクタの拡大側面図を示す。
【
図29】内部クリップを露呈するためにエラストマーオーバーモールドが仮想線で示されている、
図28のエンドエフェクタの側面図を示す。
【
図30】第1の位置にあるアンビルの先端部を示す、本明細書に記載の外科用器具と共に使用するための例示的な代替のエンドエフェクタの斜視図を示す。
【
図31】内部クリップを露呈するためにエラストマーオーバーモールドが仮想線で示されている、
図30のエンドエフェクタのアンビルの先端部の拡大斜視図を示す。
【
図32】
図31のエンドエフェクタのアンビルの先端部の上面図を示す。
【
図33】本明細書に記載の外科用器具と共に使用するためのエンドエフェクタの代替のアンビルの底面図を示す。
【
図34】第1の位置にある先端部を示す、
図33のアンビルの先端部の拡大斜視図を示す。
【
図35】第2の位置にある先端部を示す、
図33のアンビルの先端部の拡大斜視図を示す。
【
図36】複数の代替の内部クリップを示しており、各内部クリップは、本明細書に記載の外科用器具と共に使用するためのエンドエフェクタのアンビルの先端部内で使用可能である。
【
図37】アンビル本体に対して第1の別個の位置にある遠位先端部を示す、選択的に回転可能な遠位先端部を備えたアンビルを有する別の例示的なエンドエフェクタの遠位部分の斜視図を示す。
【
図38】第1の別個の位置と第2の別個の位置との間で本体に対して回転する遠位先端部を示す、
図37のアンビルの本体及び遠位先端部の斜視図を示す。
【
図39A】本体に対して第1の別個の位置にある遠位先端部を示す、
図37のエンドエフェクタの遠位部分の側立面図を示す。
【
図39B】本体に対して第2の別個の位置にある遠位先端部を示す、
図37のエンドエフェクタの遠位部分の側立面図を示す。
【
図40】組立体の完成前の状態にあり、本体に対して第2の別個の位置にある遠位先端部を示す、本体と、選択的に回転可能な遠位先端部と、先端部ロック機構と、を有する、別の例示的なアンビルの遠位部分の斜視図を示す。
【
図41】組立体の完成後の状態にあり、本体に対して第1の別個の位置にある遠位先端部を示す、
図40のアンビルの遠位部分の側断面図を示す。
【
図42】本体に対して第1の別個の位置にある遠位先端部を示す、本体と、選択的に回転可能な遠位先端部と、先端部ロック機構と、を有する、別の例示的なアンビルの遠位部分の上平面図を示す。
【
図43A】本体から部分的に連結解除された状態で、本体に対して第2の別個の位置にある遠位先端部を示す、本体と、回転可能な遠位先端部と、先端部ロック機構と、を有する、別の例示的なアンビルの遠位部分の視点を示す。
【
図43B】第1の別個の位置と第2の別個の位置との間で本体に対して回転する遠位先端部を示す、
図43Aのアンビルの遠位部分の拡大斜視図を示す。
【
図44A】第2の別個の位置にあり、先端部ロック機構の特徴部を露呈するために仮想線で示されている遠位先端部を示す、選択的に回転可能な遠位と、先端部ロック機構と、を有する、別の例示的なアンビルの遠位部分の斜視図を示す。
【
図44B】第2の別個の位置と第1の別個の位置との間で接続部材に対して回転する遠位先端部を示す、
図44Aのアンビルの遠位部分の端面図を示す。
【
図45】内部の特徴部を露呈するために仮想線で示されている遠位先端部を示す、選択的に回転可能な遠位先端部と、先端部ロック機構と、を有する、別の例示的なアンビルの遠位部分の部分断面斜視図を示す。
【
図46】
図45のアンビルの遠位先端部の回転を可能にする例示的なシャフトの斜視図を示す。
【
図47】
図46のシャフトを遠位先端部及び
図45の接続部材に対して軸方向に固設するように構成された例示的なクリップの斜視図を示す。
【
図48】アンビルの先端部ロック機構の例示的な戻り止め特徴部を示す、
図46のシャフトの遠位部分の拡大斜視図を示す。
【
図49】アンビルの本体に対して第1の別個の位置にある遠位先端部を示す、横軸を中心として枢動可能なトグル切り替えする遠位先端部を備えたアンビルを有する例示的なエンドエフェクタの斜視図を示す。
【
図50】アンビル本体、遠位先端部、接続部材、スプリングプレート、及び保持ピンを示す、
図49のアンビルの遠位部分の分解斜視図を示す。
【
図51】アンビル本体に対して第2の別個の位置で解放可能に保持されている遠位先端部を示す、
図49のエンドエフェクタの側断面図を示す。
【
図52A】アンビル本体に対して第2の別個の位置にある遠位先端部を示す、
図49のエンドエフェクタの遠位部分の斜視図を示す。
【
図52B】アンビル本体に対して第1の別個の位置にある遠位先端部を示す、
図49のエンドエフェクタの遠位部分の斜視図を示す。
【
図53】アンビルの本体に対して第1の別個の位置にある遠位先端部を示す、横軸を中心として枢動可能なトグル切り替えする遠位先端部を有するアンビルの遠位部分の斜視図を示す。
【
図54】アンビル本体、遠位先端部、接続部材、スプリングプレート、及び保持ピンを示す、
図53のアンビルの遠位部分の分解斜視図を示す。
【
図55】
図53のアンビルの遠位先端部の上面の近位斜視図を示す。
【
図56】
図53のアンビルの遠位先端部の下面の近位斜視図を示す。
【
図59】
図53のアンビルのスプリングプレートの斜視図を示す。
【
図60A】遠位先端部がアンビル本体に対して平行である第1の別個の位置にある遠位先端部を示す、
図53のアンビルの側断面図を示す。
【
図60B】遠位先端部が
図60Aの第1の別個の位置から第2の別個の位置に向かって移行している中間位置にある遠位先端部を示す、
図53のアンビルの側断面図を示す。
【
図60C】遠位先端部がアンビル本体に平行である第1の別個の位置にある遠位先端部を示す、
図53のアンビルの側断面図を示す。
【
図61】
図53のアンビルと共に使用するように構成された別の例示的なスプリングプレートの概略的な視点を示す。
【
図62】
図53のアンビルと共に使用するように構成された別の例示的なスプリングプレートの概略的な視点を示す。
【
図63】
図53のアンビルと共に使用するように構成された別の例示的なスプリングプレートの概略的な視点を示す。
【
図64】
図53のアンビルと共に使用するように構成された別の例示的なスプリングプレートの概略的な視点を示す。
【
図65】
図53のアンビルと共に使用するように構成された別の例示的なスプリングプレートの概略的な視点を示す。
【
図66】
図53の遠位先端部がスプリングプレートの近位スプリングアームに及ぼす力を、近位スプリングアームが遠位先端部に及ぼす反力と組み合わせて表す、結果として生じる力ベクトルを示す、
図65のスプリングプレートの概略側面図を示す。
【
図67】アンビル本体に対して枢動可能にトグル切り替えするように構成された別の例示的な遠位先端部の斜視図を示す。
【
図68】アンビル本体に対して枢動可能にトグル切り替えするように構成された別の例示的な遠位先端部の斜視図を示す。
【
図69】組み立てられた状態の遠位先端部ユニットを示す、アンビル本体の遠位端に連結するように構成された例示的な遠位先端部ユニットの斜視図を示す。
【
図70A】遠位先端部ユニットの一体化されたリビングヒンジを示す、組み立てられる前の状態の
図69の遠位先端部ユニットの斜視図を示す。
【
図70B】一体化されたリビングヒンジも示す、組み立てられた状態の
図69の遠位先端部の側断面図を示す。
【0007】
図面は、いかなる方式でも限定することを意図しておらず、本発明の様々な実施形態は、図面に必ずしも描写されていないものを含め、他の様々な方式で実施し得ることが企図される。本明細書に組み込まれ、かつその一部をなす添付図面は、本発明のいくつかの態様を例示するものであり、説明と共に本発明の原理を説明する役割を果たすものである。しかしながら、本発明が、示される正確な配置に限定されない点は理解される。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の特定の実施例の以下の説明文は、本発明の範囲を限定する目的で用いられるべきではない。本発明の他の実施例、特徴部、態様、実施形態、及び利点は、本発明を実施するために想到される最良の形態の1つを実例として示す以下の説明文より、当業者には明らかとなろう。理解されるように、本発明は、いずれも本発明から逸脱することなく、他の異なるかつ明白な態様が可能である。したがって、図面及び説明は、限定的な性質のものではなく、例示的な性質のものとみなされるべきである。
【0009】
I.例示的な外科用ステープラ
図1~
図7は、外科的処置を行うために、
図1に描写されるような非関節動作状態で、トロカールカニューレを通って患者内の手術部位まで挿入するように寸法決めされている、例示の外科用ステープル留め及び切断器具(10)を示している。単に一例として、患者の腹部内に、患者の2本の肋骨の間に、又は他の部位に、かかるトロカールを挿入してもよい。いくつかの状況では、器具(10)は、トロカールなしで使用される。例えば、開胸又は他の種類の切開によって、器具(10)を直接挿入してもよい。本実施例の器具(10)は、シャフト(22)に接続されたハンドル部分(20)を含む。シャフト(22)は、関節動作ジョイント(11)内で遠位方向に終端し、関節動作ジョイント(11)は、エンドエフェクタ(12)と更に連結されている。本明細書では、「近位」及び「遠位」といった用語は、器具(10)のハンドル部分(20)を握っている臨床医を基準として使用されていることを理解されたい。したがって、エンドエフェクタ(12)は、より近位にあるハンドル部分(20)に対して遠位にある。便宜上、また説明を明確にするため、本明細書では「垂直」及び「水平」などの空間的用語が、図面に対して使用されている点も更に理解されるであろう。しかしながら、手術用器具は、多くの向き及び位置で使用されるものであり、これらの用語は、限定的かつ絶対的なものであることを意図するものではない。
【0010】
いくつかの変形例では、シャフト(22)は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる2017年10月24日発行の「Surgical Instrument with Multi-Diameter Shaft」と題する米国特許第9,795,379号の教示のうちの少なくともいくつかに従って構成される。シャフト(22)の他の好適な構成は、本明細書の教示を鑑みれば当業者には明らかになるであろう。
【0011】
関節動作ジョイント(11)及びエンドエフェクタ(12)が、トロカールのカニューレ通路を通って一旦挿入されると、関節動作ジョイント(11)は、エンドエフェクタ(12)を、シャフト(22)の長手方向軸(LA)から所望の角度(α)に偏向させることができるように、
図1に仮想線で描写されるように、関節動作制御部(13)によって遠隔的に関節動作させられてもよい。それにより、エンドエフェクタ(12)は、所望の角度から又は他の理由のために、臓器の背後に到達するか又は組織に近づくことができる。いくつかの変形例では、関節動作ジョイント(11)は、単一の平面に沿ってエンドエフェクタ(12)を偏向させることができる。いくつかの他の変形例では、関節動作ジョイント(11)は、2つ以上の平面に沿ってエンドエフェクタを偏向させることができる。関節動作ジョイント(11)及び関節動作制御部(13)は、本明細書で引用される多数の引用文献のうちのいずれかの教示に従って構成されてもよい。代替的に、関節動作ジョイント(11)及び/又は関節動作制御部(13)は、任意の他の好適な構成を有していてもよい。単に一例示として、関節動作制御部(13)は、代わりに、シャフト(22)の長手方向軸(LA)に直交する軸を中心に回転するノブとして構成されてもよい。
【0012】
いくつかの変形例では、関節動作ジョイント(11)及び/又は関節動作制御部(13)は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる2015年11月17日発行の「Surgical Instrument End Effector Articulation Drive with Pinion and Opposing Racks」と題する米国特許第9,186,142号の教示のうちの少なくとも一部に従って構築され、かつ動作可能である。関節動作ジョイント(11)はまた、その開示が参照により本明細書に組み込まれる2017年10月24日発行の「Surgical Instrument with Multi-Diameter Shaft」と題する米国特許第9,795,379号の教示のうちの少なくともいくつかに従って構成され動作可能であり得る。関節動作ジョイント(11)及び関節動作制御部(13)が取り得る他の好適な形態は、本明細書の教示を鑑みれば当業者には明らかになるであろう。
【0013】
本実施例のエンドエフェクタ(12)は、下部ジョー(16)及び枢動可能なアンビル(18)の形態の上部ジョーを含む。いくつかの変形例では、その開示が参照により本明細書に組み込まれる2017年11月7日発行の「Installation Features for Surgical Instrument End Effector Cartridge」と題する米国特許第9,808,248号の教示の少なくともいくつかに従って、下部ジョー(16)が構築されている。アンビル(18)は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる2016年12月13日発行の米国特許第9,517,065号、名称「Integrated Tissue Positioning and Jaw Alignment Features for Surgical Stapler」、その開示が参照により本明細書に組み込まれる2017年12月12日発行の「Jaw Closure Feature for End Effector of Surgical Instrument」と題する米国特許第9,839,421号の教示のうちの少なくともいくつか、及び/又は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる2018年10月9日発行の「Staple Forming Features for Surgical Stapling Instrument」と題する米国特許第10,092,292号の教示のうちの少なくともいくつかに従って構築され得る。下部ジョー(16)及びアンビル(18)が取り得る他の好適な形態は、本明細書の教示を鑑みれば当業者には明らかになるであろう。
【0014】
ハンドル部分(20)は、ピストルグリップ(24)及び閉鎖トリガ(26)を含む。閉鎖トリガ(26)は、ピストルグリップ(24)に向かって枢動可能であり、エンドエフェクタ(12)の下部ジョー(16)に向かってアンビル(18)のクランプ又は閉鎖を行うことができる。かかるアンビル(18)の閉鎖は、閉鎖管(32)及び閉鎖用リング(33)を介してもたらされ、その両方とも、ピストルグリップ(24)に対する閉鎖トリガ(26)の枢動に応答して、ハンドル部分(20)に対して長手方向に並進する。閉鎖管(32)はシャフト(22)の長さに沿って延在し、閉鎖用リング(33)は関節動作ジョイント(11)の遠位に位置決めされる。関節動作ジョイント(11)は、閉鎖管(32)から閉鎖用リング(33)まで長手方向の移動を伝達/伝動するように動作可能である。
【0015】
ハンドル部分(20)はまた、発射トリガ(28)を含む。細長部材(図示せず)は、シャフト(22)を通って長手方向に延在し、発射トリガ(28)の作動に応答してハンドル部分(20)から発射ビーム(14)まで長手方向の発射運動を伝達する。以下で更に詳細に説明されるように、発射ビーム(14)のこの遠位並進により、エンドエフェクタ(12)内でクランプされた組織のステープル留め及び切断が行われる。その後、トリガ(26、28)を解放し、エンドエフェクタ(12)から組織を解放することができる。
【0016】
図3~
図6は、数多くの機能を実行するためにEビーム形態の発射ビーム(14)を取り入れているエンドエフェクタ(12)を示す。Eビーム形態は、単なる例示としての一例であることを理解されたい。発射ビーム(14)は、非Eビーム形態が挙げられるがこれに限定されない、任意の他の好適な形態を取り得る。
図4A~
図4Bに最もよく見られるように、発射ビーム(14)は、横断方向に配向された上部ピン(38)と、発射ビームキャップ(44)と、横断方向に配向された中間ピン(46)と、遠位方向に提示された切断縁部(48)と、を含む。上部ピン(38)は、アンビル(18)の長手方向アンビルスロット(42)内に位置決めされ、長手方向アンビルスロット(42)内を並進可能である。発射ビームキャップ(44)は、下部ジョー(16)を通って形成された下部ジョースロット(45)(
図4Bに示す)を通って延在する発射ビーム(14)を有することによって、下部ジョー(16)の下面に摺動可能に係合する。中間ピン(46)は、発射ビームキャップ(44)と協働する下部ジョー(16)の上面に摺動可能に係合する。これにより、発射ビーム(14)は、発射中に、エンドエフェクタ(12)の間隔を確信的にとる。
【0017】
いくつかの非Eビーム形態の発射ビーム(14)は、上部ピン(38)、中間ピン(46)、及び/又は発射ビームキャップ(44)が欠けていてもよい。器具(10)のいくつかのかかる変形例は、閉鎖用リング(33)、又はアンビル(18)を閉鎖位置まで枢動させ、発射ビーム(14)が遠位位置へと前進する間はアンビル(18)を閉鎖位置に保持つ、いくつかの他の特徴部に単に依存してもよい。あくまで一例として、発射ビーム(14)及び/又は関連するロックアウト特徴部は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる2017年8月1日発行の「Lockout Feature for Movable Cutting Member of Surgical Instrument」と題する米国特許第9,717,497号の教示の少なくともいくつかに従って構成され、動作可能であり得る。発射ビーム(14)が取り得る他の好適な形態は、本明細書の教示を鑑みれば当業者には明らかになるであろう。
【0018】
図3は、近位に位置決めされている本実施例の発射ビーム(14)と、開放位置まで枢動されて、未使用のステープルカートリッジ(37)を下部ジョー(16)のチャネル内に着脱可能に装着できるようにするアンビル(18)と、を示す。
図5~
図6に最もよく見られるように、この実施例のステープルカートリッジ(37)は、上部デッキ(72)を提示し、下部カートリッジトレイ(74)と連結されている、カートリッジ本体(70)を含む。
図3に最もよく見られるように、垂直スロット(49)が、ステープルカートリッジ(37)の一部を貫いて形成されている。これも
図3に最もよく見られるように、3列のステープル開口部(51)が、垂直スロット(49)の一方の側部上の上部デッキ(72)を貫いて形成され、別の3列のステープル開口部(51)の組が、垂直スロット(49)の他方の側部上の上部デッキ(72)を貫いて形成されている。勿論、任意の他の好適なステープルの列数(例えば、2列、4列、その他の列数)が提供されてもよい。再び
図4A~
図6を参照すると、楔形スレッド(41)及び複数のステープルドライバ(43)がカートリッジ本体(70)とトレイ(74)との間に捕捉され、ステープルドライバ(43)の近位に楔形スレッド(41)が位置している。楔形スレッド(41)は、ステープルカートリッジ(37)内で長手方向に移動可能であり、一方でステープルドライバ(43)は、ステープルカートリッジ(37)内で垂直方向に移動可能である。ステープル(47)も、カートリッジ本体(70)内部で、対応するステープルドライバ(43)の上方に位置決めされている。具体的には、各ステープル(47)は、ステープルドライバ(43)によってカートリッジ本体(70)内部で垂直方向に駆動されて、ステープル(47)を、関連するステープル開口部(51)から外へと駆動する。
図4A~
図4B、及び
図6に最もよく見られるように、楔形スレッド(41)は、楔形スレッド(41)がステープルカートリッジ(37)を通って遠位方向に駆動されるとステープルドライバ(43)を上方に付勢する、傾斜したカム面を提示する。
【0019】
いくつかの変形例では、ステープルカートリッジ(37)は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる2016年12月13日発行の「Integrated Tissue Positioning and Jaw Alignment Features for Surgical Stapler」と題する米国特許第9,517,065号の教示の少なくとも一部に従って構成され、動作可能である。加えて、又は代替的に、ステープルカートリッジ(37)は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる2017年11月7日発行の「Installation Features for Surgical Instrument End Effector Cartridge」と題する米国特許第9,808,248号の教示の少なくともいくつかに従って構成され、動作可能であり得る。ステープルカートリッジ(37)が取り得る他の好適な形態は、本明細書の教示を鑑みれば当業者には明らかになるであろう。
【0020】
図4A~
図4Bに示されるように、閉鎖管(32)及び閉鎖用リング(33)を遠位方向に前進させることによってエンドエフェクタ(12)が閉鎖された状態では、次いで発射ビーム(14)は、上部ピン(38)を長手方向アンビルスロット(42)に入れることによって、アンビル(18)と係合して前進する。プッシャブロック(80)(
図5に示す)は、発射ビーム(14)の遠位端に位置し、発射トリガ(28)が作動されたとき、発射ビーム(14)がステープルカートリッジ(37)を通って遠位方向に前進すると、楔形スレッド(41)がプッシャブロック(80)によって遠位方向に押されるように、楔形スレッド(41)と係合するように構成されている。かかる発射中に、発射ビーム(14)の切断縁部(48)は、ステープルカートリッジ(37)の垂直スロット(49)に入り、ステープルカートリッジ(37)とアンビル(18)との間にクランプされている組織を切断する。
図4A~
図4Bに示されるように、中間ピン(46)及びプッシャブロック(80)は共に、ステープルカートリッジ(37)内の垂直スロット(49)内に入ることによってステープルカートリッジ(37)を作動させ、楔形スレッド(41)を駆動してステープルドライバ(43)と上向きでカム接触させると、ステープル(47)がステープル開口部(51)から外に押し出されて、アンビル(18)の内面上のステープル成形ポケット(53)(
図3に示す)と成形接触する。
図4Bは、組織の切断及びステープル留めが完了した後で、遠位方向に完全に並進した発射ビーム(14)を示す。ステープル成形ポケット(53)は、
図4A~
図4Bの図から意図的に省略されているが、ステープル成形ポケット(53)は
図3に示されていることを理解されたい。また、アンビル(18)は、
図5の図から意図的に省略されていることも理解されたい。
【0021】
図7は、組織(90)を通した1回のストロークによって作動されたエンドエフェクタ(12)を示す。示されるように、切断縁部(48)(
図7では隠されている)は、組織(90)を切断しており、一方、ステープルドライバ(43)は、切断縁部(48)が作り出した切断線の各側部で、ステープル(47)の3つの交互になる列を組織(90)を通して駆動している。この実施例では、全てのステープル(47)が切断線と実質的に平行に配向されているが、ステープル(47)は、任意の好適な配向で位置決めされ得る点を理解されたい。本実施例では、第1のストロークが完了した後にエンドエフェクタ(12)をトロカールから引き抜き、使用済みのステープルカートリッジ(37)を新しいステープルカートリッジと交換し、次いでエンドエフェクタ(12)を再びトロカールを通して挿入して、ステープル留めする部位に到達させて更なる切断及びステープル留めを行う。所望の量の切断及びステープル(47)が与えられるまで、このプロセスを繰り返すことができる。トロカールを通した挿入及び抜脱を容易にするにはアンビル(18)を閉鎖する必要があり得、ステープルカートリッジ(37)の交換を容易にするためにはアンビル(18)を開放する必要があり得る。
【0022】
各作動ストロークの間に、ステープル(47)が組織を通して駆動されるのと実質的に同時に、切断縁部(48)が組織を切断することができる点を理解されたい。本実施例では、切断縁部(48)は、ステープル(47)の駆動よりもごくわずかに遅れて進むため、ステープル(47)は、切断縁部(48)が組織の同じ領域を通過する直前に組織を通して駆動されるが、この順序を逆にしてもよい点、又は切断縁部(48)が、隣接するステープルと直接的に同期してもよい点を理解されたい。
図7は、2層(92、94)の組織(90)内で作動されるエンドエフェクタ(12)を示しているが、エンドエフェクタ(12)は、単一層の組織(90)、又は2層(92、94)を超える組織を通して作動されてもよい点を理解されたい。また、切断縁部(48)によって形成される切断線に隣接するステープル(47)の成形及び位置決めにより、切断線において組織を実質的にシールすることができ、これにより、切断線における出血及び/又は他の体液の漏出を低減又は防止することができる点も理解されたい。更にまた、
図7は、2つの実質的に平坦で並置した組織の平面層(92、94)において作動されているエンドエフェクタ(12)を示すが、エンドエフェクタ(12)は、管状構造、例えば血管、消化管のセクションなどにわたって作動され得ることを理解されたい。
図7は、したがって、エンドエフェクタ(12)についての意図された使用におけるいかなる制限を示すものとしてもみなされるべきではない。器具(10)を使用することができる様々な適当な状況及び処置は、本明細書の教示を鑑みれば当業者には明らかになるであろう。
【0023】
一変形例では、器具(10)は、発射ビーム(14)の電動制御を提供する。発射ビーム(14)の電動制御を提供するために用いられ得る例示的な構成要素は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる2017年4月18日発行の「Distal Tip Features for End Effector of Surgical Instrument」と題する米国特許第9,622,746号に示され記載されている。上記に加えて、又はその代わりに、電動制御の少なくとも一部が、その開示が参照により本明細書に組み込まれる2012年7月3日発行の「Motor-Driven Surgical Instrument」と題する米国特許第8,210,411号の教示のうちの少なくとも一部に従って構成されてもよい。上記に加えて、又はその代わりに、発射ビーム(14)を駆動させるように動作可能な特徴部は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第8,453,914号の教示のうちの少なくともいくつかに従って、及び/又はその開示も参照により本明細書に組み込まれる米国特許第8,453,914号の教示の少なくともいくつかに従って構成され得る。発射ビーム(14)の電動化を提供するための他の好適な構成要素、特徴部、及び構成は、本明細書の教示を鑑みれば当業者には明らかになるであろう。いくつかの他の変形例では、モータが省略され得るように発射ビーム(14)の手動駆動が提供されてもよいことも理解されたい。単に一例として、発射ビーム(14)は、本明細書で引用される任意の他の特許/特許公報の引用文献の教示のうちの少なくとも一部に従って作動されてもよい。
【0024】
器具(10)はまた、その開示が参照により本明細書に組み込まれる2017年4月18日発行の「Distal Tip Features for End Effector of Surgical Instrument」と題する米国特許第9,622,746号に示され記載されるように、ロックアウトスイッチ及びロックアウトインジケータを含み得る。加えて、ロックアウトスイッチ及び/又はロックアウト指示(lockout indication)、並びに付随する構成要素/機能性は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる2010年1月12日発行の「Electronic Lockouts and Surgical Instrument Including Same」と題する米国特許第7,644,848号の教示のうちの少なくとも一部に従って構成されてもよい。
【0025】
また、器具(10)は、「緊急救済(bailout)」特徴部としての機能を果たし、操作者が、発射ストローク中に、発射ビーム(14)の近位方向への後退を即座に開始することを可能にするように構成された、手動戻りスイッチ(116)を含む。つまり、手動戻りスイッチ(116)は、発射ビーム(14)が部分的にのみ遠位方向に前進した場合、手動で作動できる。手動戻りスイッチ(116)は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる2017年4月18日発行の「Distal Tip Features for End Effector of Surgical Instrument」と題する米国特許第9,622,746号の教示のうちの少なくともいくつかに従って更なる機能性を提供し得る。
【0026】
器具(10)の動作を説明する際、「枢動する」という用語(及び「枢動する」を基体とした類義語)の使用は、必ずしも固定軸を中心とした枢動移動を必要とするものと解釈されるべきではない。いくつかの変形例では、アンビル(18)は、アンビル(18)が下部ジョー(16)に向かって移動すると、細長スロット又はチャネルに沿って摺動するピン(又は同様の特徴部)によって画定される軸を中心として枢動する。かかる変形例では、枢動軸がスロット又はチャネルによって画定される経路に沿って並進し、一方で、アンビル(18)は、同時にその軸を中心に枢動する。加えて、又は代替的に、まず枢軸がスロット/チャネルに沿って摺動し、次いで枢軸がスロット/チャネルに沿ってある一定の距離を摺動した後に、アンビル(18)が枢軸を中心に枢動してもよい。かかる摺動/並進枢動移動は、「枢動」、「枢動する」、「枢動の」、「枢動可能な」、「枢動している」などの用語内に包含されることを理解されたい。当然のことながら、いくつかの変形例は、固定された状態を維持して、スロット又はチャネルなどの内部を並進しない軸を中心としたアンビル(18)の枢動移動を提供してもよい。
【0027】
器具(10)は、米国特許第4,805,823号、同第5,415,334号、同第5,465,895号、同第5,597,107号、同第5,632,432号、同第5,673,840号、同第5,704,534号、同第5,814,055号、同第6,978,921号、同第7,000,818号、同第7,143,923号、同第7,303,108号、同第7,367,485号、同第7,380,695号、同第7,380,696号、同第7,404,508号、同第7,434,715号、同第7,721,930号、同第8,408,439号、及び/又は同第8,453,914号の教示のいずれかに従って構成され、動作可能であってもよいことを理解されたい。上述のように、それらの特許及び公報のそれぞれの開示は、参照により本明細書に組み込まれている。器具(10)に提供され得る更なる例示的な改変を、以下でより詳細に述べる。以下の教示を器具(10)に組み込むことができる様々な好適な方法が、当業者には明らかになるであろう。同様に、以下の教示を本明細書で引用される特許/公報の様々な教示と組み合わせることができる様々な好適な方法は、当業者には明らかであろう。また、以下の教示は、本明細書で引用される特許で教示される器具(10)又はデバイスに限定されない点も理解されたい。以下の教示は、外科用ステープラとして分類されない器具を含む他の様々な種類の器具にも容易に応用可能である。以下の教示を適用することができる他の様々な好適な装置及び状況は、本明細書の教示を鑑みれば当業者には明らかになるであろう。
【0028】
II.可視化、引込、及び収集特徴部を備える例示的エンドエフェクタ
いくつかの例では、ユーザにエンドエフェクタ(12)のより良好な可視化を提供することが望ましい場合がある。具体的には、エンドエフェクタ(12)が手術部位に挿入される際、ユーザは、処置中に器具(10)のシャフト(22)を回転させる場合がある。その結果、エンドエフェクタ(12)もまた回転する。エンドエフェクタ(12)が回転する際、ユーザが手術部位に対する視覚的アクセスを有することが望ましい場合がある。例えば、ユーザは、組織(90)とエンドエフェクタ(12)との間の境界面又は接触面を見ることを望む場合がある。エンドエフェクタ(12)がハンドル部分(20)に対して長手方向軸(LA)を中心に回転できるため、ユーザは、アンビル(18)ではなくエンドエフェクタの下部ジョー(16)が可視となるように、手術部位を見ることができる。代替的に、ユーザがエンドエフェクタ(12)を見るときに、アンビル(18)がユーザに見えるように、エンドエフェクタ(12)が回転されてもよい。
図1の器具(10)で可能であるものを超えた手術部位の視認性をユーザに提供することが望ましい場合がある。例えば、流体を輸送している血管が切開されてステープル留めされるいくつかの外科的処置の場合、アンビル(18)及び下部ジョー(16)が横切されるべき血管を完全に覆っており、その結果、1回の作動で血管を完全に切開してステープル留めできることを視覚的に確認できることが望ましい場合がある。つまり、ユーザは、血管の一部分のみを切断及びステープル留めすることを回避したいと希望し得る。したがって、アンビル(18)及び下部ジョー(16)が血管を完全にクランプするように、エンドエフェクタ(12)が手術部位内に適切に位置決めされたことがユーザに分かるような、なんらかの視覚的な監視及び/又はフィードバック手段が望ましい場合がある。手術部位を監視する1つの考えられる方法として、下部ジョー(16)及びアンビル(18)の遠位先端部に隣接する区域の可視化を改善することが挙げられ得る。更に、エンドエフェクタ(12)の遠位端の可視化が望ましいだけでなく、アンビル(18)が下部ジョー(16)に向かって閉鎖すると、アンビル(18)の遠位端がアンビル(18)と下部ジョー(16)との間の空間内へと近位方向に組織(例えば、大血管)を付勢するように構成されるように、エンドエフェクタ(12)を構成することが望ましい場合がある。
【0029】
図8は、アンビル(218)及び下部ジョー(216)を備える例示的エンドエフェクタ(212)を示す。エンドエフェクタ(212)は、器具(10)のエンドエフェクタ(12)の代わりに使用されてもよいことが理解されよう。エンドエフェクタ(212)は、器具(10)と一体形成されてもよく、又は代替形態では、器具(10)のエンドエフェクタ(12)と互換可能であってもよい。
【0030】
アンビル(218)は、下部ジョー(216)に対して枢動するように動作可能である。アンビル(218)及び下部ジョー(216)は、
図1に示すアンビル(18)及び下部ジョー(16)によって実施されるクランプと同様に組織(90)をクランプすることができる。エンドエフェクタ(212)は、
図3に示すカートリッジ(37)と同様に、下部ジョー(216)内に定置されるように動作可能なカートリッジ(237)を更に備える。
【0031】
図8~
図10に見ることができるように、アンビル(218)は細長い形状を有し、アンビル(218)の遠位部分はカートリッジ(237)に向かって角度付けされている。アンビル(218)の遠位部分は、アンビル(218)の最遠位先端部(219)がカートリッジ(237)よりも更に遠位の長手方向に延在するように、カートリッジ(237)に向かって角度をなす。しかし、いくつかの変形例では、遠位先端部(219)は、長手方向にカートリッジ(237)と等しい距離まで延在してもよく、又はカートリッジ(237)上の最遠位点に対して近位に延在してもよい。更に、アンビル(218)は、緩斜面を通ってカートリッジ(237)に向かって角度をなしている。
図10に最もよく見られるように、アンビル(218)は、アンビル(218)の最遠位先端部(219)に近づくにつれて先細になる側部(241)を含む。例として、アンビル(218)は、
図8では、反転したスキー先端部と同様に成形されている。アンビル(218)の角度付けされた形状により、エンドエフェクタ(212)を手術部位へより容易に挿入することができる。例えば、アンビル(218)の緩斜面又は反転スキー先端部形状は、アンビル(218)が組織に接触する際、若しくは組織を通って移動する際に非外傷性の組織偏向面を提供することができる。かかる非外傷性の組織偏向は、アンビル(218)が下部ジョー(216)に向かって閉じると、組織(例えば大血管)をアンビル(218)と下部ジョー(216)との間の空間内へと近位方向に付勢することを含み得る。一旦手術部位内に配置されると、アンビル(218)の角度付けされた形状は、エンドエフェクタ(212)のより良好な操縦性、及び手術部位における解剖学的構造と関連したエンドエフェクタ(212)の遠位端のより良好な視認性も提供し得る。アンビル(218)の他の好適な変形例は、本明細書の教示を鑑みれば当業者には明らかになるであろう。
【0032】
カートリッジ(237)は、組織内に駆動するために、
図4Aに示すステープル(47)と同様のステープルを保つように動作可能である。
図9に示されるように、カートリッジ(237)の遠位端は、三角形の外形を有する。具体的には、カートリッジ(237)の遠位端は、先細上面(239)及び先細下面(238)を備える。加えて、カートリッジ(237)の遠位端は、各側に先細側面(243)を備える。本実施例では、カートリッジ(237)の各先細側面(243)は、アンビル(218)の側部(241)によって提示される先細形状と概ね位置合わせする。したがって、
図10に示されるように、カートリッジ(237)の側面(243)は、アンビル(218)の側面(241)を越えてエンドエフェクタ(212)の長手方向軸(LA)から外向きに延在しない。先細上面(239)及び先細下面(238)は、カートリッジ(237)の最遠位端に至る。先細下面(238)は視線(240)を画定し、その結果、エンドエフェクタ(212)が手術部位に一旦挿入されると、ユーザは、視線(240)に沿って見ることができる。視線(240)は、先細下面(238)の縁部に沿って延在する。先細下面(238)の平面形状は、ユーザがアンビル(218)の遠位先端部(219)を可視化する、かつ/又はほぼ可視化するように動作可能であってもよいことが理解されよう。具体的には、視線(240)は、エンドエフェクタ(212)を通って長手方向に延在する長手方向軸(LA)と交差し、視野角(θ)を形成する。
【0033】
視野角(θ)は、ユーザが遠位先端部(219)に対して有する相対的視認性を確立することができる。具体的には、ユーザは、視野角(θ)の範囲内で、視線(240)と長手方向軸(LA)との交点を通過する任意の視線に沿って、遠位先端部(219)を正面から見ることができる。例えば、視野角(θ)が増加すると、ユーザは、近位の観点からの遠位先端部(219)のすぐ前方の領域の視認性が高まり、視野角(θ)が減少すると、ユーザは、近位の観点からの遠位先端部(219)前方の領域の視認性が低下する。いくつかの変形例においては、視野角(θ)は、90度を超える角度を画定する。加えて、いくつかの変形例では、視野角(θ)は、135度を超える角度を画定する。視野角(θ)の他の好適な角度は、本明細書の教示を鑑みれば当業者には明らかになるであろう。例示された変形例では、ユーザは、一般に、視線(240)に沿って又は視野角(θ)内のいくつかの他の視線に沿って見るため、ユーザは、視線、及び視野角(θ)内の任意の領域に沿った視認性を有する。遠位先端部(219)の下側面は、長手方向軸(LA)と視線(240)との交点の視認性を補助するために更にわずかに丸みを帯びている。
【0034】
組織(90)が、閉鎖されたカートリッジ(237)とアンビル(218)との間にクランプされると、ユーザは、視線(240)に沿って又は視野角(θ)内の他の位置から見て、例えば、アンビル(218)がどこで組織(90)をクランプしたかを正確に確認することができる。更に、ユーザは、組織がエンドエフェクタ(212)の端部を越えてはみ出さないように、組織がアンビル(218)とカートリッジ(237)との間で完全にクランプされているかどうかを判定することができるようになる。更にユーザは、組織(90)に対するアンビル(218)とカートリッジ(237)との間のクランプの質も可視化することができる。いくつかの例では、組織(90)をクランプする前、その最中、又はその後に、エンドエフェクタ(212)を回転させてもよいことが理解されよう。その結果、アンビル(218)の先細形状はまた、遠位先端部(219)の、又は実質的に隣接する遠位先端部(219)の、より見やすい視界をもたらすことができる。カートリッジ(237)の先細下面(238)に沿ったアンビル(218)の先細りにより、エンドエフェクタ(212)を組織内へと更に容易に非外傷的に挿入することができる。更に、エンドエフェクタ(212)の先細端部によって、トロカール、又はエンドエフェクタ(212)を手術部位に導入するように動作可能な他のデバイスにエンドエフェクタ(212)を嵌合させることがより容易となり得る。例えば、一旦遠位先端部(219)がトロカールに嵌合されると、先細下面(238)及びアンビル(218)の先細形状は、引込部を提供し、エンドエフェクタ(212)の残りの部分をトロカール内に案内することができる。本明細書の教示を鑑みれば、当業者は、アンビル(218)の両側部(241)及びカートリッジ(237)の各側部(243)の先細設計によって視認性及び操縦性を向上させ得ることを更に理解するであろう。
【0035】
上記に加えて、エンドエフェクタ(212)及びエンドエフェクタ(212)を組み込んだ器具(10)の変形例は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる2015年11月17日発行の「Surgical Instrument End Effector Articulation Drive with Pinion and Opposing Racks」と題する米国特許第9,186,142号、その開示が参照により本明細書に組み込まれる2017年8月1日発行の「Lockout Feature for Movable Cutting Member of Surgical Instrument」と題する米国特許第9,717,497号、その開示が参照により本明細書に組み込まれる2016年12月13日発行の「Integrated Tissue Positioning and Jaw Alignment Features for Surgical Stapler」と題する米国特許第9,517,065号、その開示が参照により本明細書に組み込まれる2017年12月12日発行の「Jaw Closure Feature for End Effector of Surgical Instrument」と題する米国特許第9,839,421号、その開示が参照により本明細書に組み込まれる2017年4月18日発行の「Distal Tip Features for End Effector of Surgical Instrument」と題する米国特許第9,622,746号、その開示が参照により本明細書に組み込まれる2018年10月9日の「Staple Forming Features for Surgical Stapling Instrument」と題する米国特許第10,092,292号、その開示が参照により本明細書に組み込まれる2017年10月24日発行の「Surgical Instrument with Multi-Diameter Shaft」と題する米国特許第9,795,379号、及び/又はその開示が参照により本明細書に組み込まれる2017年11月7日発行の「Installation Features for Surgical Instrument End Effector Cartridge」と題する米国特許第9,808,248号、の教示のうちの少なくともいくつかに従って構成され、動作可能であり得る。エンドエフェクタ(212)に組み込まれ得る更なる修正について、下記でより詳細に説明する。
【0036】
III.角度付けされた弾性変形可能なアンビル先端部を有するエンドエフェクタ
いくつかの手順では、組織に沿って、又は組織を通して切断することが必要であり得、その場合、処置を完了するには2つ以上の切断シーケンス、換言すると、連続経路に沿って連続的な切断を行うことが必要である。かかる処置では、この連続的な切断技術は、「マーチング」として定義することができる。マーチングを伴う処置の場合、器具(10)が手術部位に配置され、作動されて切断及びステープル留めを行い、次いで新しいカートリッジ(37)を装着するために手術部位から除去され、次いで前回の切断及びステープル留めサイクルが発生した同じ経路に沿った次回の切断及びステープル留めのために再び手術部位に戻されてもよい。このプロセスは、切断及びステープル処置が完了するまで繰り返される。
図4A~
図4B、及び
図7に見ることができるように、エンドエフェクタ(12)の遠位端構成は、アンビル(18)の遠位端とカートリッジ(37)の遠位端との間に間隙を提供する。この間隙は、各マーチング工程の開始時に組織がエンドエフェクタ(12)の遠位端に侵入するための非外傷性空間を提供することによってマーチングを促進することができる。
【0037】
上述したように、エンドエフェクタ(212)の遠位端構成は、エンドエフェクタ(12)の遠位端構成とは異なり、エンドエフェクタ(212)の異なる構成は、異なる潜在的利点を提供する。具体的には、エンドエフェクタ(212)の遠位端構成は、改善された操縦性、及びエンドエフェクタ(212)の遠位端と、隣接する解剖学的構造との間の関係の改善された視認性を提供することができる。加えて、エンドエフェクタ(212)の遠位端構成は、アンビル(218)が下部ジョー(216)に向かって閉鎖されると、アンビル(218)と下部ジョー(216)との間の空間内に組織を近位方向へ付勢することによって組織収集効果を提供することができる。しかしながら、エンドエフェクタ(212)の全ての構造が剛性である変形例では、アンビル(218)が下部ジョー(216)に向かって閉鎖されているとき、アンビル(218)と下部ジョー(216)との間の空間内に収集されない組織に対して遠位先端部(219)が外傷を与える場合があるため、アンビル(218)の遠位先端部(219)の屈曲構成はマーチング動作にあまり適さない場合がある。したがって、エンドエフェクタ(212)の全ての構造が剛性である変形例では、エンドエフェクタ(212)は、切断及びステープル留め動作(例えば、血管横切開)に最も適することができ、ここでは切断及びステープル留めされる組織の全てが遠位先端部(219)の近位に収集される。
【0038】
上記の内容を考慮すると、別の場合ではエンドエフェクタ(212)の完全に剛性の変形例に付随する場合のある外傷のリスクを増大させることなく、エンドエフェクタ(12)のマーチング能力、エンドエフェクタ(212)に関連する改善された視認性、及びエンドエフェクタ(212)の組織収集能力を提供するエンドエフェクタ(12、212)の変形例を提供することが望ましい場合がある。以下では、エンドエフェクタ(12、212)のかかる変形例のいくつかの単なる例示的な実施例を説明する。以下の実施例では、アンビルは、遠位先端部(219)のような屈曲又は角度付けされた構成をとるように弾性的に付勢された遠位先端部を有し、更に、弾性的に付勢された遠位先端部は、遠位先端部上の十分な荷重に応答して下部ジョーから離れて偏向可能である。弾性変形可能な角度付けされた遠位先端部分を有するアンビルを提供することは、組織を通って手術部位までナビゲートすることに関して、更なるレベルの操縦性の利益を提供することができることが、本明細書の教示を鑑みれば理解されるであろう。このようにして、変形可能な遠位先端部分は、特にマーチング動作中に、組織を通るエンドエフェクタの滑らかで非外傷的な移動を促進するために、偏向又は変形してもよい。加えて、装填状態にないとき、又は周辺組織と接触していないときの角度付けされた位置への付勢を有するアンビルは、直線状又は角度付けされていないアンビルを有するエンドエフェクタを使用することと比較して、組織捕捉及び切断中の強化された可視化を達成することができる。更に、角度付けされた位置に付勢された遠位先端部を有するアンビルは、比較的小さい組織構造をアンビルと下部ジョーとの間に単に寄せ集めることに関連するのではなく、マーチングに関連することになる負荷点に達するまで、ある程度の組織収集効果を提供することができる。
【0039】
図11は、外科用ステープラとして構成された別の例示的な器具(310)を示す。器具(310)は、ハンドル部分(320)とシャフト(322)とを備える。器具(310)は、シャフト(322)がハンドル部分(320)から選択的に取り外し可能であり、かつそのハンドル部分に対して取り付け可能であるように、モジュール式構成を有する。器具(310)は器具(10)と同様に構成されており、器具(310)の操作性及び使用法は、モジュール式構成である器具(310)の追加的特徴を除いて器具(10)について上述したものと同じである。そのモジュール式構成により、器具(310)は、エンドエフェクタを変更する方法を提供する。エンドエフェクタにおけるかかる変更は、別の方法で装着されたエンドエフェクタを交換するように、又は処置又はユーザの好みに基づいて異なるエンドエフェクタ構成を提供するように作られてもよい。上記に加えて、又はその代わりに、器具(310)のモジュール式構成を提供するように動作可能な特徴部は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる2019年1月22日発行の「Surgical Stapling Instrument with Shaft Release,Powered Firing,and Powered Articulation」と題する米国特許出願第10,182,813号の教示のうちの少なくとも一部に従って構成され得る。モジュール式構成を備える器具(310)を提供するための他の好適な構成要素、特徴部、及び構成は、本明細書の教示を鑑みれば当業者には明らかになるであろう。更に、器具(10)が、器具(310)又は参照により本明細書に組み込まれるその他の器具に関して示されかつ説明されたモジュール式構成を組み込むように修正されてもよいことが、本明細書の教示を鑑みれば当業者には理解されるであろう。
【0040】
図11の例示的な実施例では、器具(310)は、角度付けされた遠位先端部(319)を有するアンビル(318)を有するエンドエフェクタ(312)を備える。更に、アンビル(318)の遠位先端部(319)は弾性変形可能である。このようにして、
図12A及び
図12Bに最もよく示されるように、角度付けされた遠位先端部(319)は、第1の角度付けされた位置から第2の位置へと弾性的に変形するように動作可能である。角度付けされた遠位先端部(319)の第2の位置は、いくつかの変形例では実質的に真っ直ぐであってもよいが、他の変形例では、ある程度角度付けされてもよい(例えば、長手方向軸(A1)のわずかに上方又はわずかに下方に)。角度付けされた遠位先端部(319)の第2の位置は、アンビル(318)と下部ジョー(16)との間に捕捉される組織の特性(例えば、厚さ、密度など)によって画定され得ることを理解されたい。本実施例では、エンドエフェクタ(312)は、ハンドル部分(320)から取り外し可能なシャフト(322)上に提供される。単に一例として、シャフト(322)は、その開示が参照により本明細書に組み込まれる2018年3月13日発行の「Surgical Instrument Comprising a Sensor System」と題する米国特許第9,913,642号の教示のうちの少なくともいくつかに従ってハンドル部分(320)から取り外し可能であってもよい。いくつかの他の変形例では、シャフト(322)はハンドル部分(320)から取り外し可能ではない。
【0041】
エンドエフェクタ(312)は、
図1に示すエンドエフェクタ(12)の代わりに使用されてもよいことが理解されよう。いくつかの変形例では、エンドエフェクタ(312)は、シャフト(22)と一体的に形成され得るか、又は代替的に、別々に形成されて、次いで組み合わされ得る。いくつかの変形例では、エンドエフェクタ(312)は、ロボットシステムで使用するために提供されてもよい。かかるロボットシステムでは、エンドエフェクタ(312)を有するモジュール式シャフト(322)は、ハンドル部分(320)がロボットシステムの構成要素によって交換されるような使用のためにロボットシステムの一部に取り付け可能であり得る。更に他の実施例では、エンドエフェクタ(312)は、モジュール式シャフト(322)全体を必ずしも接続することなく、エンドエフェクタ(312)がロボットシステムと接続する様式で、ロボットシステムと共に使用するように適合されてもよい。本明細書の教示を鑑みれば、角度付けされた弾性変形可能なアンビル先端部を有するエンドエフェクタを、ユーザ操作又はロボット操作式器具に組み込むためのその他の方法が当業者には明らかになるであろう。
【0042】
図12Aは、エンドエフェクタ(312)の遠位端の拡大側面図を示す。エンドエフェクタ(312)は、器具(10)に関して上述したように、アンビル(318)、及びカートリッジ(37)を受け入れる下部ジョー(16)を備える。アンビル(318)は、器具(10)に関して上述したアンビル(18)と同様に、下部ジョー(16)に向かって枢動可能に回転する。この構成では、エンドエフェクタ(312)はエンドエフェクタ(12)と同様であるが、アンビル(318)は、弾性変形可能な角度付けされた遠位先端部(319)を備える。
図12Aに示されるように、先端部(319)には、
図11に示され、
図12Aに仮想線で示される角度付けされた位置への付勢が付与される。
図11に示されるように、エンドエフェクタ(312)が組織をクランプせずに開いているか、又は
図12Aに仮想線で示されるように、組織をクランプせずに閉じているとき、先端部(319)はこの角度付けされた位置をとる。エンドエフェクタ(312)がこの角度付けされた状態又は位置にある場合、エンドエフェクタ(312)は、装填されていない、又は非装填の状態若しくは位置にあると見なされ得る。逆に、エンドエフェクタ(312)が組織をクランプしているときは、エンドエフェクタ(312)は、装填されている、又は装填状態若しくは位置にあると見なされ得る。
【0043】
閉鎖され、アンビル(318)と下部ジョー(16)との間に組織をクランプしていないとき、先端部(319)はカートリッジ(37)と接触する。この位置では、先端部(319)の下側面(324)は、シャフト(322)によって画定される長手方向軸(A1)と交差して角度(θ1)を形成する平面を画定する。閉鎖されて組織(90)をアンビル(318)と下部ジョー(16)との間でクランプすると、先端部(319)の下側面(324)は組織(90)と接触する。この位置では、先端部(319)の下側面(324)は、長手方向軸(A1)と交差して角度(θ2)を形成する平面を画定する。
図12Aの例示された実施例では、角度(θ1、θ2)は長手方向軸(A1)と相対的であり、角度(θ1、θ2)の和は、遠位先端部(319)が受ける可動域を表す。単に例として、限定するものではないが、いくつかの実施例では、角度(θ1)は、長手方向軸(A1)からカートリッジ(37)に向かって下向きの方向に、約20~約70度、又はより具体的には約30度~約50度である。単に例として、限定するものではないが、いくつかの実施例では、角度(θ2)は、カートリッジ(37)から遠ざかる長手方向軸(A1)から上向きの方向に約0~約90度である。単に例として、限定するものではないが、いくつかの実施例では、先端部(319)が受ける可動域は約20度~約110度である。角度(θ1、θ2)について記載される角度は、単なる例であり、限定するものではない。本明細書の教示を考慮することで、他の好適な角度が、当業者に明らかになるであろう。
【0044】
加えて、いくつかの例では、長手方向軸(A1)は、ゼロ度基準を表し、それに対する角度は正又は負であり得る。例えば、角度が長手方向軸(A1)からカートリッジ(37)に向かって下向きの方向にある場合、角度は負の角度として特徴付けられてもよい。同様に、角度が長手方向軸(A1)からカートリッジ(37)から遠ざかるように上向きの方向にある場合、角度は正の角度として特徴付けられてもよい。これらの慣例を使用するとき、変形による遠位先端部(319)の可動域は、遠位先端部(319)がカートリッジ(37)と接触する位置にあるときの角度と、遠位先端部(319)が組織をクランプするときの変形状態にあるときの角度と、の絶対値の和として理解することができる。
【0045】
図12Bは、
図12Aのエンドエフェクタ(312)と同様の代替的エンドエフェクタ(412)の別の側面図を示す。エンドエフェクタ(312)の場合、アンビル(318)がその角度付けされたかつ非変形状態にあるとき(
図12Aの図の仮想線に見られるように)、アンビル(318)は、カートリッジ(37)の最遠位端部と同等又は近位の点まで延在する。アンビル(318)が上方に偏向されるように変形されると、遠位先端部(319)の端部は、カートリッジ(37)の最遠位端部のすぐ遠位の点まで延在する。エンドエフェクタ(412)の場合、
図12Bに示されるように、アンビル(318)がその角度付けされたかつ非変形状態にあるとき(
図12Bの図の仮想線に見られるように)、アンビル(318)は、カートリッジ(37)の最遠位端部と同等又は近位の点まで延在する。アンビル(318)が上方に偏向されるように変形されると、アンビル(318)の遠位先端部(319)の端部は、カートリッジ(37)の最遠位端部と同じ又は近位の点まで延在する。このように、アンビル(318)がその角度付けされた状態又は変形状態にあるとき、エンドエフェクタ(412)のアンビル(318)は、カートリッジ(37)の最遠位端と同等又はその近位の位置にあり続け、そのため、アンビル(318)がその角度付けされた非変形状態にあろうと、又はその変形状態にあろうと、アンビル(318)はカートリッジ(37)の最遠位端部を越えて延在しない。いくつかの例では、これは、アンビルの遠位先端部(319)の長さが短くなるようにアンビル(318)を変更することによって達成することができる。他の例では、器具(10、310)は、クランプ時にアンビル(318)がわずかに近位に後退するように修正されてもよい。本明細書の教示を鑑みれば、アンビル(318)の位置の制御に関連するときのエンドエフェクタ(412)を修正する他の方法が、当業者には明らかになるであろう。
【0046】
IV.別個の位置の枢動先端部を有する例示的なエンドエフェクタ
いくつかの例では、異なる用途のために異なる構成をとることができる先端部を有する多目的なエンドエフェクタをユーザに提供することが望ましい場合がある。例えば、上述したような可視化及び配置の効果のために、角度付けされた(又は「屈曲した」)先端部を有するエンドエフェクタを使用することがユーザにとって望ましいか、又は有益な場合がある。更に、エンドエフェクタの遠位端の可視化が望ましい場合があるだけではなく、アンビルが下部ジョーに向かって閉じるときに、アンビルの遠位端がアンビルと下部ジョーとの間の空間内へと近位方向に組織(例えば、大血管)を付勢するように構成されるように、エンドエフェクタを構築することが望ましい場合もある。それでもなお、他の状況では、エンドエフェクタが、上述のように、マーチングを伴う処置に良好に適応するように、真っ直ぐな又はフレア状の先端部を有するエンドエフェクタを使用することがユーザにとって望ましいか、又は有益な場合がある。更に、ユーザが使用中に先端部の下の組織への圧力について心配する際に邪魔にならないように、ユーザがエンドエフェクタの先端部をトグル切り替えすることができることが望ましいか、又は有益な場合がある。
【0047】
開示される様々な例示的なアンビル先端部と関連して本明細書で使用される場合、「角度付けされた」及び「屈曲した」という用語は、先端部が、アンビル本体の遠位端から遠位方向に角度の付いた状態で延在する平坦な平面の外側表面を画定する先端部構成、及びまた、先端部が、アンビル本体の遠位端から遠位方向に弓状に延在する湾曲した外側表面を画定する先端部構成(例えば、先端部が「湾曲した」構成にあると言われる場合)を包含することが理解されよう。かかる両方のタイプの構成では、アンビル先端部の遠位端は、長手方向軸に対して横断方向に、対応するステープルカートリッジを通って延在する軸に沿ってアンビル本体の長手方向軸から垂直方向にオフセットされており、それにより、全体として、先端部は、アンビル本体に対して「角度付けされている」か、又は「屈曲している」。
【0048】
A.戻り止めを備えた例示的なエンドエフェクタのピン留めされた枢動先端部
図13~
図16は、本明細書に記載のエンドエフェクタ及び他のものと共に使用可能な例示的なアンビル(518、118)を示す。例えば、アンビル(518、118)は、上述のそれぞれのエンドエフェクタ(12、212、312、412)のアンビル(18、218、318)と相互交換することができるか、又は当該アンビルの代わりに使用することができる。アンビル(518、118)のいずれかを組み込んだエンドエフェクタ(12、212、312、412)は、器具(10、310)及び本明細書に記載される他の外科用器具と共に使用され得ることが理解されよう。この範囲で、アンビル(518、118)のいずれかを組み込んだエンドエフェクタ(12、212、312、412)は、器具(10、310)及び本明細書に記載される他の外科用器具と一体的に形成され得るか、又は代替的に、器具(10、310)及び本明細書に記載される他の外科用器具の互換可能なエンドエフェクタであってもよい。
【0049】
エンドエフェクタ(12、212、312、412)のいずれかの一部として、アンビル(518、118)は、下部ジョー(16、216)に対して枢動するように動作可能である。アンビル(518、118)及び下部ジョー(16、216)は、
図7に示すアンビル(18)及び下部ジョー(16)によって実施されるクランプと同様に組織(90)をクランプすることができる。アンビル(518、118)及び下部ジョー(16、216)は更に、
図7に示すアンビル(18)及び下部ジョー(16)によって実施される切断及びステープル留めと同様に、クランプされた組織(90)を切断及びステープル留めすることができる。上述のように、切断及びステープル留めを実現するために、アンビル(518、118)のいずれかを組み込んだエンドエフェクタ(12、212、312、412)は、ステープルを収容するカートリッジ(37、237)を更に備え、カートリッジ(37、237)は、下部ジョー(16、216)内に配置されるように動作可能である。
【0050】
1.単一のセクションのピン留めされた枢動先端部
アンビル(518)は、本体(520)、及び本体(520)から遠位方向に延在する先端部(519)を備える。先端部(519)の近位にあるアンビル(518)は、本体(520)上にエクステンション(502)を備える。アンビル(518)は、一対の離間した戻り止め(504)を更に備える。エクステンション(502)上に位置する戻り止め(504)の一部分は、例示の変形例に示されるように、隆起部分又は突出部(510)として構成されている。戻り止め(504)の他の部分は、先端部(519)上に位置し、以下で更に論じるように、凹部(523)として構成されている。アンビル(518)はまた、アンビル(518)の本体(520)の側面を通って延在する穴(506)を備え、穴(506)は、ピン(508)を受容するように構成されている。以下で更に論じるように、ピン(508)は、中心として先端部(519)が回転可能である回転軸を画定する。
【0051】
先端部(519)は、先端部(519)の側面を通って延在する穴(521)を含み、穴(521)は、ピン(508)も受容するように構成されている。このようにして、先端部(519)は、ピン(508)を中心として回転し、ひいては、アンビル(518)の長手方向軸(A2)に対して回転するように動作可能である。穴(506、521)は円形形状を有するが、他の実施例では、細長い形状を有する。いくつかの例では、穴(506、521)の細長い形状は、以下で更に論じるように、先端部(519)が異なる別個の位置をとることをもたらすか、又は先端部(519)が異なる別個の位置をとることに寄与する。上述のように、先端部(519)は、戻り止め(504)の隆起部分又は突出部(510)と選択的に係合可能であるように構成された一対の凹部(523)を備える。先端部(519)の近位部品において、先端部(519)は、長手方向に延在し、弾性部分(527)を画定する、一対のスロット(525)を備える。本実施例では、弾性部分(527)は、弾性部分(527)の下側面に沿って凹部(523)を備える。
【0052】
ここで
図14A及び
図15を参照すると、アンビル(518)は、別個の位置に移動され得る先端部(519)を有するように構成されている。戻り止め(504)は、戻り止め(504)の隆起部分(510)と戻り止め(504)の凹部(523)との間の選択的な係合を提供し、これにより、先端部(519)が異なる別個の位置へと移動することを可能にする。
図14Aは、先端部(519)の長手方向軸がアンビル(518)の長手方向軸(A2)と概ね平行であるか又は一致するように、真っ直ぐな向きにある先端部(519)を有する第1の位置である先端部(519)を示す。
図15は、先端部(519)の長手方向軸がアンビル(518)の長手方向軸(A2)と、約180度未満である角度を形成するように、角度付けされた向きにある先端部(519)を有する第2の位置にある先端部(519)を示す。
【0053】
上述のように、かつ
図13~
図15に示されるように、スロット(525)は、弾性部分(527)がスプリングとして作用し、それによって、先端部(519)が、異なる方法で隆起部分(510)と係合する凹部(523)によって位置を変化させることができるように、弾性部分(527)を画定する。例えば、
図14Aに示されるように真っ直ぐな向きにあるとき、最近位凹部(523)は、最近位隆起部分(510)に係合する。同様に、この真っ直ぐな向きでは、最遠位凹部(523)は、最遠位隆起部分(510)に係合する。
図15に示されるように角度付けされた向きにあるとき、最近位凹部(523)は、最遠位隆起部分(510)に係合する。更に、この角度付けされた向きでは、最遠位凹部(523)は、隆起部分(510)のいずれにも係合しない。しかしながら、アンビル(518)は、先端部(519)の近位端に接触し、先端部(519)がなおも更なる角度付けされた位置に移動するのを防止するように構成された停止特徴部(500)を備える。1つ又は2つ以上の凹部(523)と1つ又は2つ以上の隆起部分(510)との間の係合により、真っ直ぐな向きの各々では、先端部(519)は、連続した向きを有するのではなく、別個の位置で調節可能又は位置決め可能である。したがって、先端部(519)は、先端部(519)が、戻り止め(504)の凹部(523)と隆起部分(510)との間に確立された干渉接続を克服するのに十分な力によって作用されるまで、別個の位置のうちの1つに留まる、別個の位置を採用するように構成されている。
【0054】
図15を参照すると、先端部(519)が例示の角度付けされた向きに回転又は枢動すると、いくつかの変形例では、間隙(529)が存在する場合がある。任意選択のスリーブ(図示せず)をアンビル(518)に加えて、間隙(529)を覆うか、又は間隙(529)の上に延在して、間隙(529)が周囲の組織のピン留め点を提示し得る可能性を除去することができる。いくつかの実施例では、かかるスリーブは、先端部(519)の端部に到達するまで延在し、アンビル(518)のステープル留め線にまで遡ることができるが、これは、全ての変形例で必要なわけではない。
【0055】
アンビル(518)の1つの変形例では、アンビル(518)は、ステンレス鋼などの単一の材料で構築されているが、ステンレス鋼の代わりに他の材料を他の変形例で使用することができる。更に、本明細書の教示を考慮することで当業者には明らかとなるように、いくつかの他の変形例では、アンビル(518)を別の材料でオーバーコートして、可視化、摺動、又は他の材料特性若しくは属性を提供することができる。
【0056】
アンビル(518)の他の実施例では、3つの戻り止め(504)を使用することができ、それにより、先端部(519)のための3つの別個の位置を画定することができる。3つの戻り止め(504)を有するかかる変形例では、先端部(519)は、真っ直ぐな向き、角度付けされた向き(湾曲した構成を形成し得る)、又は先端部(519)が下部ジョー(16、216)から離れる方向に上方に屈曲するフレア状の若しくは開いた向きのいずれかを採用するように構成され得る。また、アンビル(518)の他の実施例では、戻り止め(504)は、頂部の代わりに、アンビル(518)の先端部(519)側及び本体(520)側に位置し得る。更にまた、いくつかの他の実施例では、戻り止め(504)の特徴部の位置は、反対であってもよい。例えば、隆起部分(510)がアンビル(518)の本体(520)上に位置する代わりに、隆起部分が先端部(519)上に位置する。かかる実施例では、スロット(525)及び凹部(523)を有する弾性部分(527)が先端部(519)上に位置する代わりに、スロット(525)及び凹部(523)を有する弾性部分(527)がアンビル(518)の本体(520)上に位置する。かかる実施例では、これらの特徴部は、依然として、先端部(519)の別個の位置決めを提供するために、上述の方法と同じ方法で協働する。本明細書の教示を鑑みれば、先端部(519)の複数の別個の位置を達成するように、アンビル(518)及び戻り止め(504)を構成する他の方法が、当業者には明らかになるであろう。
【0057】
2.複数のセクションのピン留めされた枢動先端部
図16は、本明細書に記載のエンドエフェクタ及び他のものと共に使用可能な別の例示的なアンビル(118)を示す。器具(118)は、以下に記す相違点を除いて上述のアンビル(518)と同様である。したがって、アンビル(518)に関する上述の説明は、アンビル(118)に等しく適用される。
【0058】
アンビル(118)は、本体(520)、及び本体(520)から遠位方向に延在する先端部(119)を備える。アンビル(518)の特徴部及び機能は、先端部(119)に等しく適用される、先端部(519)の特徴部及び機能を含むアンビル(118)に等しく適用される。しかしながら、先端部(119)は、追加の特徴部及び機能を含む。具体的には、先端部(119)は、遠位部分(131)及び近位部分(133)を備える。更に、先端部(119)は、アンビル(118)に関して上述したように、近位部分(133)がアンビル(118)の本体(520)に対して別個の位置に回転可能であるだけでなく、遠位部分(131)が先端部(119)の近位部分(133)に対して別個の位置に回転可能であるように構成されている。
【0059】
更に、例示の変形例では、近位部分(133)に対する遠位部分(131)の回転可能性は、アンビル(118)の本体(520)に対する近位部分(133)の回転可能性と同じ方法で生じる。
図16に示されるように、ピン(135)は、遠位部分(131)及び近位部分(133)を通って延在し、遠位部分(131)と近位部分(133)を接続する。また更に、ピン(135)は、中心として遠位部分(131)が回転し得る回転軸を提供し、画定する。このようにして、先端部(119)は、複数のピン留めされた部品又はセクションから構成される。この構成により、より大きな角度、及びまたいくつかの変形例では、全体的に曲率のような形状を、先端部(119)の別様に真っ直ぐであるが、角度付けされたセクションで達成することができる。
【0060】
上述のように、戻り止め(504)の同じ又は類似の構成を、先端部(119)の遠位部分(131)及び近位部分(133)と共に使用して、別個の位置への回転を達成することができる。例えば、1つの変形例では、遠位部分(131)の第1の別個の位置は、
図16に示されるように、近位部分(133)に対して真っ直ぐな向きである。遠位部分(131)の第2の別個の位置は、近位部分(133)に対して角度付けされた又は湾曲した向きであり、遠位部分(131)は、関連付けられたエンドエフェクタの下部ジョー(16、216)に向かって下方に屈曲しているか又は角度付けされている。当然ながら、いくつかの他の変形例では、遠位部分(131)の第2の別個の位置は、近位部分(133)に対して上方にフレア状であっても、屈曲していてもよい。本明細書の教示を鑑みれば、複数の回転可能なピン留めされたセクションを有する先端部(119)のかかる構成を達成するための他の構成及び方法が、当業者には明らかになるであろう。
【0061】
B.支点特徴部を有する例示的なエンドエフェクタ枢動先端部
図17及び
図18は、本明細書に記載のエンドエフェクタ及び他のものと共に使用可能な例示的なアンビル(618)のある部分を示す。例えば、アンビル(618)は、上述のそれぞれのエンドエフェクタ(12、212、312、412)のアンビル(18、218、318)と相互交換することができるか、又は当該アンビルの代わりに使用することができる。アンビル(618)を組み込んだエンドエフェクタ(12、212、312、412)は、器具(10、310)及び本明細書に記載される他の外科用器具と共に使用され得ることが理解されよう。この範囲で、アンビル(618)を組み込んだエンドエフェクタ(12、212、312、412)は、器具(10、310)及び本明細書に記載される他の外科用器具と一体的に形成され得るか、又は代替的に、器具(10、310)及び本明細書に記載される他の外科用器具の互換可能なエンドエフェクタであってもよい。
【0062】
エンドエフェクタ(12、212、312、412)のいずれかの一部として、アンビル(618)は、下部ジョー(16、216)に対して枢動するように動作可能である。アンビル(618)及び下部ジョー(16、216)は、
図7に示すアンビル(18)及び下部ジョー(16)によって実施されるクランプと同様に組織(90)をクランプすることができる。アンビル(618)及び下部ジョー(16、216)は更に、
図7に示すアンビル(18)及び下部ジョー(16)によって実施される切断及びステープル留めと同様に、クランプされた組織(90)を切断及びステープル留めすることができる。上述のように、切断及びステープル留めを実現するために、アンビル(618)を組み込んだエンドエフェクタ(12、212、312、412)は、ステープルを収容するカートリッジ(37、237)を更に備え、カートリッジ(37、237)は、下部ジョー(16、216)内に配置されるように動作可能である。
【0063】
アンビル(618)は、本体(620)、先端部(619)、及び接続部材(621)を備える。先端部(619)は、
図18に最もよく見られるように、ポリマー又は金属被覆(エラストマーオーバーモールド(623)として示される)及び枢動部材(625)を備える。接続部材(621)は、本体(620)に取り付けられるように構成されている。1つの変形例では、接続部材(621)は、アンビル(618)の本体(620)に溶接されるように構成された金属スタンピングを含む。別の変形例では、接続部材(621)は、本体(620)にプレス嵌め又はクリックされるように構成されている。かかる変形例では、接続部材(621)は、本体(620)のスロット(627)に係合する特徴部を含み得る。本明細書の教示を鑑みれば、接続部材(621)をアンビル(618)の本体(620)に取り付ける他の方法が、当業者には明らかになるであろう。
【0064】
接続部材(621)は、遠位方向に延在するアーム(629)を備える。アーム(629)は各々、枢動部材(625)の突起部(633)を受容するように構成された穴(631)を備える。このようにして、穴(631)は、先端部(619)の枢動軸又は回転軸を提供する。接続部材(621)は、支点特徴部のように作用する湾曲したリップ(635)を更に備える。湾曲したリップ(635)は遠位方向に突出し、先端部(619)の枢動部材(625)の近位端(637)と相互作用するように構成されている。
【0065】
枢動部材(625)は、上述したように接続部材(621)と接続可能であり、突起部(633)は接続部材(621)の穴(631)内に受容されている。この構成により、枢動部材(625)は、接続部材(621)及びアンビル(618)の本体(620)に対して回転可能に調節可能である。突起部(633)が穴(631)内にあるとき、枢動部材(625)の近位端(637)は、湾曲したリップ(635)に対してわずかに重なり合う向きに位置する。枢動部材(625)の残りの部分は、接続部材(621)から遠位方向に延在する。
図18に示されるように、内部構成要素を露呈するために仮想線で示されるエラストマーオーバーモールド(623)は、枢動部材(625)及び接続部材(621)を覆う。
【0066】
上記のアンビル(618)の構成では、先端部(619)は、穴(631)によって画定される枢動軸を中心として回転又は枢動するように構成されており、それによって、枢動部材(625)の近位端(637)は、先端部(619)が本体(620)に対して別個の位置を採用するように、湾曲したリップ(635)に対して別個の位置を採用することができる。例えば、枢動部材(625)を示す実線によって
図18に示されるように、第1の位置では、枢動部材(625)は角度付けされた向きを有し得る。例示の変形例では、これは、枢動部材(625)の近位端(637)が、湾曲したリップ(635)の上にあるときに対応する。枢動部材(625)を示す破線によって
図18に示されるように、第2の位置では、枢動部材(625)は、真っ直ぐな向き又はわずかにフレア状の向きを有し得る。例示の変形例では、これは、枢動部材(625)の近位端(637)が、湾曲したリップ(635)の下にあるときに対応する。
【0067】
本実施例では、エラストマーオーバーモールド(623)は、エラストマーオーバーモールド(623)、並びに近位端(637)と湾曲したリップ(635)との間の接触によってもたらされる付勢を克服するために十分な力が先端部(619)に加えられるまで、湾曲したリップ(635)のいずれかの側の所定の位置に枢動部材(625)を保つスプリングとして作用する。例えば、角度付けされた向き又は湾曲した向きにあるときに、十分な上方への力が先端部(619)に加えられると、枢動部材(625)の近位端(637)は下方に回転し、湾曲したリップ(635)を越えてクリックし、先端部(619)が他の別個の位置を採用することを可能にする。同様に、真っ直ぐな向き又はフレア状の向きにあるときに、十分な下方への力が先端部(619)に加えられると、枢動部材(625)の近位端(637)は上方に回転し、湾曲したリップ(635)を越えてクリックし、先端部(619)が他の別個の位置を採用することを可能にする。
【0068】
本実施例では、近位端(637)は、支点特徴部として作用する湾曲したリップ(635)を越えてクリックするように、丸みを帯びており、公差決めされている。いくつかの他の変形例では、湾曲したリップ(635)は、湾曲したリップ(635)の一方の側から、湾曲したリップ(635)のもう一方の側への近位端(637)の移動を容易にするように、丸みを帯びており、公差決めされている遠位端を組み込むことができる。更に、上述のように、湾曲したリップ(635)又は他の支点特徴部のいずれかの側の上になると、先端部(619)は、エラストマーオーバーモールド(623)が枢動部材(625)を所定の位置に保つためにスプリングとして作用するため、所定の位置に留まる。
【0069】
アンビル(618)の1つの変形例では、力又は音フィードバックの調整は、支点特徴部を、別個の位置に変更するときに近位端(637)が通過する変形可能なドーム型の幾何学形状で構成することによって実現することができる。換言すれば、先端部(619)の位置が変化したことを確認する触覚及び/又は可聴フィードバックをユーザが得るように、支点特徴部でより大きな又はより小さな変形を使用することができる。本明細書の教示を鑑みれば、アンビル(618)、接続部材(621)、及び先端部(619)を修正して、別個の位置を採用する枢動先端部を達成する他の方法が、当業者には明らかになるであろう。
【0070】
C.三角形の枢動部材を有する例示的なエンドエフェクタ枢動先端部
図19及び
図20は、本明細書に記載のエンドエフェクタ及び他のものと共に使用可能な例示的なアンビル(718)のある部分を示す。例えば、アンビル(718)は、上述のそれぞれのエンドエフェクタ(12、212、312、412)のアンビル(18、218、318)と相互交換することができるか、又は当該アンビルの代わりに使用することができる。アンビル(718)を組み込んだエンドエフェクタ(12、212、312、412)は、器具(10、310)及び本明細書に記載される他の外科用器具と共に使用され得ることが理解されよう。この範囲で、アンビル(718)を組み込んだエンドエフェクタ(12、212、312、412)は、器具(10、310)及び本明細書に記載される他の外科用器具と一体的に形成され得るか、又は代替的に、器具(10、310)及び本明細書に記載される他の外科用器具の互換可能なエンドエフェクタであってもよい。
【0071】
エンドエフェクタ(12、212、312、412)のいずれかの一部として、アンビル(718)は、下部ジョー(16、216)に対して枢動するように動作可能である。アンビル(718)及び下部ジョー(16、216)は、
図7に示すアンビル(18)及び下部ジョー(16)によって実施されるクランプと同様に組織(90)をクランプすることができる。アンビル(718)及び下部ジョー(16、216)は更に、
図7に示すアンビル(18)及び下部ジョー(16)によって実施される切断及びステープル留めと同様に、クランプされた組織(90)を切断及びステープル留めすることができる。上述のように、切断及びステープル留めを実現するために、アンビル(718)を組み込んだエンドエフェクタ(12、212、312、412)は、ステープルを収容するカートリッジ(37、237)を更に備え、カートリッジ(37、237)は、下部ジョー(16、216)内に配置されるように動作可能である。
【0072】
アンビル(718)は、本体(720)、先端部(719)、及び接続部材(721)を備える。先端部(719)は、ポリマー又は金属被覆(エラストマーオーバーモールド(723)として示される)及び枢動部材(725)を備える。接続部材(721)は、本体(720)に取り付けられるように構成されている。1つの変形例では、接続部材(721)は、アンビル(718)の本体(720)に溶接されるように構成された金属スタンピングを含む。別の変形例では、接続部材(721)は、本体(720)にプレス嵌め又はクリックされるように構成されている。かかる変形例では、接続部材(721)は、本体(620)のスロット(627)と同様、本体(720)のスロットに係合する特徴部を含み得る。本明細書の教示を鑑みれば、接続部材(721)をアンビル(718)の本体(720)に取り付ける他の方法が、当業者には明らかになるであろう。
【0073】
接続部材(721)は、遠位方向に延在する二重バンプ特徴部(735)を備える。例示の変形例に示されるように、接続部材(721)は、二重バンプ特徴部(735)のバンプ間の空間又は間隙(739)を更に備える。本実施例では、二重バンプ特徴部(735)は剛性であるが、全ての変形例で必要なわけではない。枢動部材(725)は、三角形の本体(741)と、三角形の本体(741)に接続され、三角形の本体(741)から遠位方向に延在する、細長い部材(743)と、を備える。本実施例では、枢動部材(725)は金属構造を含むが、全ての変形例で必要なわけではない。
【0074】
本実施例では、二重バンプ特徴部(735)は、枢動部材(725)の三角形の本体(741)と相互作用するように寸法決め及び公差決めされている。例えば、二重バンプ特徴部(735)は、基体角部(745、747)を画定し、三角形の本体(741)は、頂点(749、751)を画定する。
図19に示されるように、先端部(719)が第1の別個の位置にあるときに、先端部(719)が下方に角度付けされた向きを有する場合、頂点(749)は、基体角部(745)へと付勢される。同時に、頂点(751)は、基体角部(747)から離れる方向に枢動され、代わりに、二重バンプ特徴部(735)の遠位端の近くにある。
図20に示されるように、先端部(719)が第2の別個の位置にあるときに、先端部(719)が真っ直ぐな向き又は上方に角度付けされた向きを有する場合、頂点(751)は、基体角部(747)へと付勢される。同時に、頂点(749)は、基体角部(745)から離れる方向に枢動し、二重バンプ特徴部(735)の遠位端の近くにある。
【0075】
本実施例では、エラストマーオーバーモールド(723)は、三角形の本体(741)を近位方向に付勢する。したがって、エラストマーオーバーモールド(723)は、二重バンプ特徴部(735)に対して、枢動部材(725)の三角形の本体(741)を所定の位置に保つスプリングとして作用する。しかしながら、エラストマーオーバーモールド(723)によって課される近位方向の付勢を克服するのに十分な力が先端部(719)に加えられると、三角形の本体(741)は、
図19及び
図20の三角形の本体(741)の位置の変化によって示されるように、二重バンプ特徴部(735)間で枢動する。例えば、
図19に示される角度付けされた向き又は湾曲した向きにあるときに、十分な上方への力及び/又は遠位方向に向けられた力が先端部(719)に加えられると、三角形の本体(741)の頂点(749)は、二重バンプ特徴部(735)の下部バンプに沿って遠位方向に進む。一方、枢動部材(725)の三角形の本体(741)の頂点(751)は、基体角部(747)に係止されるまで、二重バンプ特徴部(735)の上部バンプに沿って近位方向に進む。同様に、
図20に示される真っ直ぐな向き又は上方に屈曲した向きにあるときに、十分な下方への力及び/又は遠位方向に向けられた力が先端部(719)に加えられると、三角形の本体(741)の頂点(749)は、基体角部(745)に係止されるまで、二重バンプ特徴部(735)の下部バンプに沿って近位方向に進む。一方、枢動部材(725)の三角形の本体(741)の頂点(751)は、二重バンプ特徴部(735)の上部バンプに沿って遠位方向に進む。1つの変形例では、先端部(719)の位置をトグル切り替えすることは、ユーザが、先端部(719)を再配置するときに、先端部(719)上でピン留めし、遠位方向に引っ張り、それによって、エラストマーオーバーモールド(723)を一時的に変形させることを伴う場合がある。更に他の変形例では、先端部(719)の位置をトグル切り替えすることは、力がアンビル(718)の長手方向軸にほぼ直交して加えられるように、ユーザが上方又は下方に押すことを伴う場合がある。
【0076】
D.内部スナップクリップを有する例示的なエンドエフェクタのエラストマー先端部
図21~
図29及び
図30~
図32は、それぞれのアンビル(818、918)を有する例示的なエンドエフェクタ(812、912)を示す。エンドエフェクタ(812、912)は、上述のエンドエフェクタ(12、212、312、412)と相互交換することができるか、又は当該エンドエフェクタの代わりに使用することができる。エンドエフェクタ(812、912)は、器具(10、310)及び本明細書に記載される他の外科用器具と共に使用され得ることが理解されよう。この範囲で、それぞれのアンビル(818、918)を有するエンドエフェクタ(812、912)は、器具(10、310)及び本明細書に記載される他の外科用器具と一体的に形成され得るか、又は代替的に、器具(10、310)及び本明細書に記載される他の外科用器具の互換可能なエンドエフェクタであってもよい。
【0077】
エンドエフェクタ(812、912)は、
図7に示すエンドエフェクタ(12)によって実施されるクランプと同様に組織(90)をクランプするように動作可能である。エンドエフェクタ(812、912)は更に、
図7に示すエンドエフェクタ(12)によって実施される切断及びステープル留めと同様に、クランプされた組織(90)を切断及びステープル留めするように動作可能である。
【0078】
1.遠位リベット接続による内部スナップクリップ
図21~
図23は、アンビル(818)、下部ジョー(16)、及び下部ジョー(16)内に位置決めされたステープルカートリッジ(37)を備える、例示的なエンドエフェクタ(812)を示す。下部ジョー(16)及びカートリッジ(37)は、他のエンドエフェクタに関して上述されており、これらの説明は、ここではエンドエフェクタ(812)に等しく適用される。アンビル(818)は、先端部(819)を備える。先端部(819)は、可撓性の変形可能な部材を含み、それにより、先端部(819)は、変形可能な部材を使用して、第1の別個の位置と第2の別個の位置との間でアンビル(818)に対して移動可能である。例えば、第1の別個の位置は、
図21及び
図22に示されており、先端部(819)は、変形可能な部材が外部入力力によって作用されるまで、アンビル(818)の長手方向軸(A3)に対して、角度付けされた向き又は湾曲した向きを有する。第2の別個の位置は、
図23に示されており、先端部(819)は、変形可能な部材が外部入力力によって作用されるまで、長手方向軸(A3)に対して真っ直ぐな向きを有する。真っ直ぐな向きでは、先端部(819)は、アンビル(818)の残りの部分と概ね整列しており、先端部(819)は、長手方向軸(A3)に平行に延在する。角度付けされた向きでは、先端部(819)は、先端部(819)が下部ジョー(16)及びカートリッジ(37)に向かって延在するように、長手方向軸(A3)に対して角度付けされている。いくつかの実施形態では、角度付けされた向きは、湾曲した向きを形成し得る。
【0079】
エンドエフェクタ(812)を使用するとき、ユーザは、先端部(819)のための所望の別個の位置を選択することができる。これは、例えば、新しいカートリッジ(37)をエンドエフェクタ(812)に再装填するときに行うことができる。ユーザは、ユーザが、血管及び他の管状構造などの組織の周りにアンビル(818)を位置決め、及びナビゲートしようとするときに、先端部(819)の角度付けされた向きを選択することができる。ユーザは、先端部(819)の真っ直ぐな向きが、先端部(819)の角度付けされた向きと比較して、より大きな開口部をもたらすので、ユーザが組織を乗り越えようとするときに、先端部(819)の真っ直ぐな向きを選択することができる。ユーザはまた、上述のようなマーチングを伴う処置をユーザが実施しているときに、先端部(819)の真っ直ぐな向きを選択することができる。
【0080】
変形可能な部材は、ポリマー又は金属被覆、及び内部支持構造を含み得る。
図24は、エンドエフェクタ(812)の遠位端の拡大斜視図を示しており、先端部(819)のポリマー又は金属被覆(エラストマーオーバーモールド(823)として示される)は、先端部(819)の内部構成要素を露呈するために透過で示されている。先端部(819)の変形可能な部材は、外部入力力によって作用されるまで先端部(819)が所望の別個の位置に留まるように、内部支持構造(
図24では内部クリップ(821)として示される)を含み得る。内部クリップ(821)は、1つの好適なかかる支持構造を示しているが、様々な形状及びサイズを有する他の支持構造も想定される。例示の変形例では、内部クリップ(821)は、アンビル(818)の本体(820)に接続し、そこから遠位方向に延在する。内部クリップ(821)は、基体(825)、及び基体(825)から遠位方向に延在する一対のアーム(827)を備える。アーム(827)は、遠位方向に延在するにつれて収束し、本実施例に示されるように、アーム(827)は、それらのそれぞれの遠位端でリベット(829)によって接合される。内部クリップ(821)は、アーム(827)の間に空間(831)を更に備え、本実施例では、空間(831)は三角形の形状を有する。
【0081】
内部クリップ(821)は、上述のように、先端部(819)の角度付けされた向き及び真っ直ぐな向きに対応する2つの別個の位置を有する、オーバーセンタースナップクリップとして構成されている。更に、内部クリップ(821)は、上述のように、先端部(819)がエラストマーオーバーモールド(823)を含むように、エラストマー材料でオーバーモールドされ得る。更にいくつかの他の変形例では、内部クリップ(821)は、内部クリップ(821)がエラストマー材料によって取り囲まれるようにオーバーモールドされる必要がないように、別様に形成された可撓性の先端部内に挿入され得る。
【0082】
アンビル(818)及び先端部(819)を有するエンドエフェクタ(812)を使用して、先端部(819)の別個の位置をトグル切り替え又はスイッチ切り替えするとき、ユーザは、ユーザが先端部(819)を移動させたい方向に先端部(819)に力を加えることになる。例えば、先端部(819)の変形可能な部材が、エンドエフェクタ(812)を開放し、先端部(819)の下側面から上方への力を加えることによって、
図24に示されるような角度付けされた向きを有する第1の別個の位置にある場合、内部クリップ(821)は、上述のように、第2の別個の位置に関連付けられた、先端部(819)の真っ直ぐな向きにスナップ嵌めされる。
図25は、真っ直ぐな向きにある先端部(819)を示しており、この状態又は位置にある内部クリップ(821)を露呈するために、エラストマーオーバーモールド(823)を透明なものとして示す。同様に、先端部(819)の変形可能な部材が、先端部(819)の上面から十分な下方への力を加えるときに、
図25に示されるような真っ直ぐな向きを有する第2の別個の位置にある場合、内部クリップ(821)は、上述のように、第1の別個の位置に関連付けられた、先端部(819)の角度付けされた(例えば、屈曲又は湾曲した)向きにスナップ嵌めされる。このようにして、内部クリップ(821)は偏向可能であり、先端部(819)の角度付けされた向きに関連付けられた第1の位置、又は先端部(819)の真っ直ぐな向きに関連付けられた第2の別個の位置のいずれかをとるための付勢部を含む。
【0083】
図26及び
図27は、内部クリップ(821)及びその更なる特徴部を示す。示されるように、リベット(829)は、
図26及び
図27から省略されており、各アーム(827)が、それらの遠位端に穴(833)を備えることを明らかにしている。各穴(833)は、リベット(829)を受容し、それによって、アーム(827)と接合するように構成され、サイズ決めされている。
図26は、組み立てられた又は成形された形態の内部クリップ(821)を示しており、アーム(827)は、最終的にリベット(829)を受容するために、各々の穴(833)を整列させるように互いに向かって押しやられている。
図27は、組み立てられていない又はスタンピングされた形態の内部クリップ(821)を示しており、アーム(827)は収束しておらず、穴(833)は整列していない。
図26及び
図27の例示の変形例では、内部クリップ(821)は、スタンピングされた金属構造を含む。しかしながら、他の実施例では、金属以外の他の材料を使用して、内部クリップ(821)を構築することができる。
【0084】
図26を参照すると、内部クリップ(821)の近位エクステンション(835)は、アンビル(818)の本体(820)によって受容され、アンビル(818)の本体(820)に接続されるように構成されている。このようにして、内部クリップ(821)は、アンビル(818)に固設される。いくつかの変形例では、内部クリップ(821)を、アンビル(818)の本体(820)に溶接すること、例えば、近位エクステンション(835)を本体(820)に溶接することができる。本明細書の教示を鑑みれば、内部クリップ(821)をアンビル(818)に接続する他の様々な方法が、当業者には明らかになるであろう。
【0085】
図28及び
図29は、エンドエフェクタ(812)の別の変形例を示しており、内部クリップ(821)は、
図21、
図22、及び
図24に関して示され、上述されるような、先端部(819)の湾曲した向きに関連付けられた第1の別個の位置、又は
図28及び
図29に示されるような、先端部(819)のフレア状の向きに関連付けられた第2の別個の位置のいずれかをとるための付勢部と共に構成されている。いくつかの実施例では、フレア状の向きは、クラウン状の向きとも称され得る。フレア状の向きでは、先端部(819)は、アンビル(818)の長手方向軸(A3)に対して上方に角度付けされる。上に示し、説明した先端部(819)の真っ直ぐな向きと比較して、フレア状の向きは、組織を乗り越えようとするとき、及び/又はマーチングを伴う処置を行うときに有用な場合がある、更に大きな開口部を提供する。第2の別個の位置を真っ直ぐからフレア状に変更する以外、
図28及び
図29に示されるエンドエフェクタ(812)の残りの特徴部及び機能は、
図21~
図27に関して示し、上述したものと同じである。
【0086】
いくつかの実施例では、エラストマーオーバーモールド(823)及び/又は内部クリップ(821)の両方の幾何学形状及び材料は、先端部(819)の別個の位置に寄与し得る。例えば、1つの実施例では、エラストマーオーバーモールド(823)のためのより可撓性のあるエラストマーへの変更により、内部クリップ(821)が位置をより大きな程度まで変更することを可能にし得る。1つの変形例では、これは、先端部(819)の構成を、角度付けされた向き及び真っ直ぐな向きを有するものから、代わりに角度付けされた向き及びフレア状の向きを有するものに変化させる方法である。別の実施例では、内部クリップ(821)は、その質量を増加させること、材料を変更すること、又は内部クリップ(821)の幾何学形状を変更することによって、より堅く作製することができる。かかる硬さの増加により、エラストマーオーバーモールド(823)によって先端部(819)に付与される反力又は付勢を克服することができる。これは、先端部(819)の構成を、角度付けされた向き及び真っ直ぐな向きを有するものから、代わりに角度付けされた向き及びフレア状の向きを有するものに変化させる別の方法であってもよい。また更に、アンビル(818)を有するエンドエフェクタ(812)のいくつかの変形例では、先端部(819)は、角度付けされた向き、真っ直ぐな向き、及びフレア状の向きを提供するように構成することができ、ひいては、先端部(819)は、ユーザに対して利用可能な3つの別個の位置を有し得る。本明細書の教示を鑑みれば、先端部(819)の所望の別個の位置を達成するように、先端部(819)の構成要素を構成する他の様々な方法が、当業者には明らかになるであろう。
【0087】
2.近位方向にピン留めされた内部スナップクリップ
図30~
図32は、アンビル(918)、下部ジョー(16)、及び下部ジョー(16)内に位置決めされたステープルカートリッジ(37)を備える、例示的なエンドエフェクタ(912)を示す。下部ジョー(16)及びカートリッジ(37)は、他のエンドエフェクタに関して上述されており、これらの説明は、ここではエンドエフェクタ(912)に等しく適用される。アンビル(918)は、先端部(919)を備える。先端部(919)は、可撓性の変形可能な部材を含み、それにより、先端部(919)は、変形可能な部材を使用して、第1の別個の位置と第2の別個の位置との間でアンビル(918)に対して移動可能である。例えば、第1の別個の位置は、
図30及び
図22に示されており、先端部(919)は、変形可能な部材が外部入力力によって作用されるまで、アンビル(918)の長手方向軸(A3)に対して、角度付けされた(例えば、湾曲した)向き又は屈曲した向きを有する。第2の別個の位置は、
図23に示されており、先端部(919)は、変形可能な部材が外部入力力によって作用されるまで、長手方向軸(A3)に対して真っ直ぐな向きを有する。真っ直ぐな向きでは、先端部(919)は、アンビル(918)の残りの部分と概ね整列しており、先端部(919)は、長手方向軸(A3)に平行に延在する。角度付けされた向きでは、先端部(919)は、先端部(919)が下部ジョー(16)及びカートリッジ(37)に向かって延在するように、長手方向軸(A3)に対して角度付けされている。いくつかの実施形態では、角度付けされた向きは、上述のように、湾曲した向きを形成し得る。
【0088】
エンドエフェクタ(912)を使用するとき、ユーザは、先端部(919)のための所望の別個の位置を選択することができる。これは、例えば、新しいカートリッジ(37)をエンドエフェクタ(912)に再装填するときに行うことができる。ユーザは、ユーザが、血管及び他の管状構造などの組織の周りにアンビル(918)を位置決め、及びナビゲートしようとするときに、先端部(919)の角度付けされた向きを選択することができる。ユーザは、先端部(919)の真っ直ぐな向きが、先端部(919)の角度付けされた向きと比較して、より大きな開口部をもたらすので、ユーザが組織を乗り越えようとするときに、先端部(919)の真っ直ぐな向きを選択することができる。ユーザはまた、上述のようなマーチングを伴う処置をユーザが実施しているときに、先端部(919)の真っ直ぐな向きを選択することができる。
【0089】
変形可能な部材は、ポリマー又は金属被覆、及び内部支持構造を含み得る。
図31は、エンドエフェクタ(912)のアンビル(918)の遠位端の拡大斜視図を示しており、先端部(919)のポリマー又は金属被覆(エラストマーオーバーモールド(923)として示される)及びアンビル(918)の本体(920)は、内部構成要素を露呈するために透過で示されている。先端部(919)の変形可能な部材は、アンビル(918)の本体(920)と接続し、かつアンビル(918)の本体(920)から遠位方向に延在する、内部支持構造(内部クリップ(921)として示される)を備え得る。内部クリップ(921)は、頂端部分(925)と、頂端部分(925)から近位方向に延在する一対のアーム(927)と、を備える。アーム(927)は、最初に、近位方向に延在するにつれて分岐し、次いで、アーム(927)のそれぞれの近位端に近づくにつれて収束する。本実施例に示されるように、アーム(927)は、これらのそれぞれの近位端において、アーム(927)のそれぞれの整列した穴(933)を通って延在する、アンビル(918)の本体(920)内のピン(929)によって接合されている。いくつかの変形例では、ピン(929)は、リベット又はスパイラルスピンによって置き換えられ得る。内部クリップ(921)は、アーム(927)の間に空間(931)を更に備え、本実施例では、空間(931)は三角形の形状を有する。
【0090】
内部クリップ(921)は、上述のように、先端部(919)の角度付けされた向き及び真っ直ぐな向きに対応する2つの別個の位置を有する、オーバーセンタースナップクリップとして構成されている。更に、内部クリップ(921)は、上述のように、先端部(919)がエラストマーオーバーモールド(923)を含むように、エラストマー材料でオーバーモールドされ得る。更にいくつかの他の変形例では、内部クリップ(921)は、内部クリップ(921)がエラストマー材料によって取り囲まれるようにオーバーモールドされる必要がないように、別様に形成された可撓性の先端部内に挿入され得る。
【0091】
アンビル(918)及び先端部(919)を有するエンドエフェクタ(912)を使用して、先端部(919)の別個の位置をトグル切り替え又はスイッチ切り替えするとき、ユーザは、ユーザが先端部(919)を移動させたい方向に先端部(919)に力を加えることになる。例えば、先端部(919)が、エンドエフェクタ(912)を開放し、先端部(919)の下側面から上方への力を加えることによって、
図30に示されるような角度付けされた向きを有する第1の別個の位置にある場合、内部クリップ(921)は、上述のように、第2の別個の位置に関連付けられた、先端部(919)の真っ直ぐな向きにスナップ嵌めされる。同様に、先端部(919)が、先端部(919)の上面から十分な下方への力を加えるときに、
図23に示されるような真っ直ぐな向きを有する第2の別個の位置にある場合、内部クリップ(921)は、上述のように、第1の別個の位置に関連付けられた、先端部(919)の屈曲又は湾曲した向きにスナップ嵌めされる。このようにして、内部クリップ(921)は偏向可能であり、先端部(919)の角度付けされた向きに関連付けられた第1の位置、又は先端部(919)の真っ直ぐな向きに関連付けられた第2の別個の位置のいずれかをとるための付勢部を含む。
【0092】
図32は、内部クリップ(921)及びその更なる特徴部の上面図を示す。示されるように、ピン(929)は、アンビル(918)の本体(920)の長手方向軸に対して直交して延在する。アーム(927)は、穴(933)を整列させるように位置決めされるため、穴(933)は各々、それぞれのピン(929)を受容し、それによって、アーム(927)を接合するように、構成及びサイズ決めされている。
図32に示されるように、内部クリップ(921)は、組み立てられた又は成形された形態であり、アーム(927)は、最終的にピン(929)を受容するために、各々の穴(933)を整列させるように互いに向かって押しやられている。上述の内部クリップ(821)と同様に、内部クリップ(921)もまた、組み立てられていない又はスタンピングされた形態を有し、アーム(927)は収束しておらず、穴(933)は最初、整列していない。1つの変形例では、内部クリップ(921)は、スタンピングされた金属構造を含む。しかしながら、他の実施例では、金属以外の他の材料を使用して、内部クリップ(921)を構築することができる。本明細書の教示を鑑みれば、内部クリップ(921)をアンビル(918)に接続する他の様々な方法が、当業者には明らかになるであろう。
【0093】
図28は、エンドエフェクタ(912)の別の変形例を示しており、内部クリップ(921)は、
図30に関して示され、上述されるような、先端部(919)の湾曲した向きに関連付けられた第1の別個の位置、又は
図28に示されるような、先端部(919)のフレア状の向きに関連付けられた第2の別個の位置のいずれかをとるための付勢部と共に構成されている。いくつかの実施例では、フレア状の向きは、クラウン状の向きとも称され得る。フレア状の向きでは、先端部(919)は、アンビル(918)の長手方向軸(A3)に対して上方に角度付けされる。上に示し、説明した先端部(919)の真っ直ぐな向きと比較して、フレア状の向きは、組織を乗り越えようとするとき、及び/又はマーチングを伴う処置を行うときに有用な場合がある、更に大きな開口部を提供する。第2の別個の位置を真っ直ぐからフレア状に変更する以外、
図28に示されるエンドエフェクタ(912)の残りの特徴部及び機能は、
図30~
図32に関して示し、上述したものと同じである。
【0094】
内部クリップ(921)が取り得る別個の位置を変更するために、いくつかの実施例では、エラストマーオーバーモールド(923)及び/又は内部クリップ(921)の幾何学形状及び材料の両方は、先端部(919)が採用する別個の位置に寄与し得る。例えば、1つの実施例では、エラストマーオーバーモールド(923)のためのより可撓性のあるエラストマーへの変更により、内部クリップ(921)が位置をより大きな程度まで変更することを可能にし得る。1つの変形例では、これは、先端部(919)の構成を、湾曲した向き及び真っ直ぐな向きを有するものから、代わりに湾曲した向き及びフレア状の向きを有するものに変化させる方法である。別の実施例では、内部クリップ(921)は、その質量を増加させること、材料を変更すること、及び/又は幾何学形状を変更することによって、より堅く作製することができる。かかる硬さの増加により、エラストマーオーバーモールド(923)によって先端部(919)に付与される反力又は付勢を克服することができる。これは、先端部(919)の構成を、湾曲した向き及び真っ直ぐな向きを有するものから、代わりに湾曲した向き及びフレア状の向きを有するものに変化させる別の方法であってもよい。また更に、アンビル(918)を有するエンドエフェクタ(912)のいくつかの変形例では、先端部(919)は、湾曲した向き、真っ直ぐな向き、及びフレア状の向きを提供するように構成することができ、ひいては、先端部(919)は、ユーザに対して利用可能な3つの別個の位置を有し得る。本明細書の教示を鑑みれば、先端部(919)の所望の別個の位置を達成するように、先端部(919)の構成要素を構成する他の様々な方法が、当業者には明らかになるであろう。
【0095】
別個の位置を構成することに関する先端部(919)の別の考慮事項は、最終的にピン(929)に係合するアーム(927)の近位部分に関する。より具体的には、ピン(929)に対するアーム(927)の近位部分の移動の自由度は、第1の別個の位置から第2の別個の位置に変化するときに、内部クリップ(921)が採用する位置に影響を及ぼす。例えば、内部クリップ(921)が1つの別個の位置から別の別個の位置にスナップ嵌めされると、アーム(927)の穴(933)は、ピン(929)に沿ってある程度進むことができる。1つの実施例では、ピン(929)に沿ってアーム(927)の穴(933)がより大きく進む長さは、内部クリップ(921)が一方からもう一方にスナップ嵌めされるときの、第1の別個の位置から第2の別個の位置への位置のより大きな差に等しい。更に、ピン(929)がアンビル(918)の本体(920)内にある状態で、本体(920)は、穴(933)がピン(929)に沿って進むのに利用可能な空間に依存して、ピン(929)に沿った穴(933)の移動のより大きな又はより小さな自由度を可能にするように構成され得る。同様に、エラストマーオーバーモールド(923)内の代わりに、アンビル(918)の本体(920)内のアーム(927)の接続を有することにより、ピン(929)に沿ったアーム(927)の移動のより大きな自由度を促進することができる。また、ピン(929)の直径は、ピン(929)と穴(933)との間の摩擦に影響し、ひいては、ピン(929)に対するアーム(927)の移動の自由度に影響し得る。
【0096】
図32を参照すると、アーム(927)の横方向の移動、ひいては、先端部(919)によって採用される別個の位置を制御することに寄与する別の特徴部は、アンビル(918)の本体(920)内のスロットの幾何学形状である。例えば、例示の変形例では、アンビル(918)は、本体(920)内にスロット(935)を備え、スロット(935)は、本体(920)内に延在する2つの壁(937)の間の空間として画定される。示されるように、アーム(927)の近位部分は、互いに十分に近接して移動して、スロット(935)内に嵌合し、最終的にピン(929)と接続する。この構成により、壁(937)によって画定されるスロット(935)の寸法は、アーム(927)の横方向の移動能力を限定するように作用する。この限定された横方向の移動は、内部クリップ(921)が第1の別個の位置から第2の別個の位置にスナップ嵌めされるときの位置の変化の程度に影響する。したがって、スロット(935)の幅を変更することにより、内部クリップ(921)の運動範囲を制御する別の方法を提供することができる。加えて、スロット(935)の高さは、アーム(927)がピン(929)に沿って進まなければならない運動の範囲に影響し得る。例えば、高さが小さいと制限が厳しくなり、それによって、先端部(919)が第1の別個の位置から第2の別個の位置へ移動するときに、アーム(927)がピン(929)に沿って進むことを妨げる場合がある。同様に、高さが大きいほど制限が少なくなり、これにより、先端部(919)がトグル切り替えされるときに、アーム(927)がピン(929)に沿って更に進むことを可能にする。
【0097】
3.切り欠き窓を組み込んだエラストマー先端部
図33~
図35は、本明細書に記載のエンドエフェクタ及び他のものと共に使用可能な例示的なアンビル(1018)を示す。例えば、アンビル(1018)は、上述のそれぞれのエンドエフェクタ(12、212、312、412)のアンビル(18、218、318)と相互交換することができるか、又は当該アンビルの代わりに使用することができる。アンビル(1018)を組み込んだエンドエフェクタ(12、212、312、412)は、器具(10、310)及び本明細書に記載される他の外科用器具と共に使用され得ることが理解されよう。この範囲で、アンビル(1018)を組み込んだエンドエフェクタ(12、212、312、412)は、器具(10、310)及び本明細書に記載される他の外科用器具と一体的に形成され得るか、又は代替的に、器具(10、310)及び本明細書に記載される他の外科用器具の互換可能なエンドエフェクタであってもよい。
【0098】
エンドエフェクタ(12、212、312、412)のいずれかの一部として、アンビル(1018)は、下部ジョー(16、216)に対して枢動するように動作可能である。アンビル(618)及び下部ジョー(16、216)は、
図7に示すアンビル(18)及び下部ジョー(16)によって実施されるクランプと同様に組織(90)をクランプすることができる。アンビル(1018)及び下部ジョー(16、216)は更に、
図7に示すアンビル(18)及び下部ジョー(16)によって実施される切断及びステープル留めと同様に、クランプされた組織(90)を切断及びステープル留めすることができる。上述のように、切断及びステープル留めを実現するために、アンビル(1018)を組み込んだエンドエフェクタ(12、212、312、412)は、ステープルを収容するカートリッジ(37、237)を更に備え、カートリッジ(37、237)は、下部ジョー(16、216)内に配置されるように動作可能である。
【0099】
図33~
図35を更に参照すると、アンビル(1018)は、本体(1020)及び先端部(1019)を備える。先端部(1019)は、本体(1020)と接続し、本体(1020)から遠位方向に延在する。先端部(1019)は、支持構造(内部クリップ(1021)として仮想線で示される)と、ポリマー又は金属被覆(エラストマーオーバーモールド(1023)として示される)と、を備える。前のアンビル先端部と同様に、先端部(1019)は、内部クリップ(1021)が、外部入力力を加えることによって、
図34に示されるような角度付けされた向きを有する第1の別個の位置から、
図35に示されるような真っ直ぐな向きを有する第2の別個の位置にトグル切り替えされ得るように構成されている。
【0100】
内部クリップ(1021)は、アーム(1027)と、アーム(1027)間の空間(1031)と、を備える。更に、エラストマーオーバーモールド(1023)は、先端部(1019)を通って延在する隙間(1033)を備える。隙間(1033)は、内部クリップ(1021)の空間(1031)と整列する。隙間(1033)のサイズ及び形状、並びに空間(1031)を変更することによって、先端部(1019)の別個の位置への偏向を、所望の湾曲した向き及び真っ直ぐな向き又はフレア状の向きを達成するように制御することができる。本明細書の教示を鑑みれば、内部クリップ(1021)の別個の位置を制御する他の方法が、当業者には明らかになるであろう。
【0101】
4.中央の偏向リブを有する内部クリップ
図36は、複数の代替の内部クリップ(1121)を示しており、各内部クリップ(1121)は、本明細書に記載の外科用器具と共に使用するためのエンドエフェクタのアンビルの先端部内で使用可能である。例えば、内部クリップ(1121)は、内部クリップ(821、921、1021)の代わりに使用されてもよい。内部クリップ(1121)は、内部クリップ(1121)の一対のアーム(1127)の間で長手方向に延在する弾性中間リブ(1122)を備える。中間リブ(1122)は、偏向可能であり、別個の位置を採用するための付勢部を備える。本実施例では、内部クリップ(1121)は、バレッタスタイルのクリップとして構成されている。上述のように、内部クリップ(1121)が内部クリップ(821、921、1021)に代わる場合、内部クリップ(1121)は、上述のように、エラストマーオーバーモールドでオーバーモールドされ得る。加えて、本明細書の教示を考慮すれば、内部クリップ(1121)の別個の位置を制御し、それによって、内部クリップ(1121)を使用して先端部の別個の位置を制御する様々な方法が、当業者には明らかになるであろう。
【0102】
E.例示的なエラストマーオーバーモールド構成
エラストマーオーバーモールドを組み込む上述のアンビル先端部に関して、エラストマーオーバーモールドの様々な属性は、様々な機能パラメータを提供するように構成され得る。更に、上述のように、エラストマーオーバーモールドは、複数の別個の先端部の位置を提供するために、特定の内部クリップ、枢動部材、又はシステム若しくは組立体としての他の内部特徴部と連携して作業することができる。先端部は、外力を加えることによって、すなわち、ユーザ、ユーザの手の道具、ロボットマニピュレータ、又は患者の解剖学的構造によって、これらの別個の位置の間でトグル切り替え又は調節することができる。このようにして、エラストマーオーバーモールドの様々な構成及び設計に対する修正は、先端部を1つの別個の位置から別の別個の位置に移動させるか又はトグル切り替えすることの容易さ又は難しさに影響し得る。既に上述したように、これの1つの実施例は、様々な硬さのエラストマーを使用することを伴う。この上記の別の実施例は、例えば、上述した隙間(1033)などの隙間を含むことによって、エラストマーの質量及び/又は幾何学形状を変化させることを伴う。
【0103】
更に、所望の範囲の先端部の機能を提供するために、エラストマーオーバーモールドを、内部クリップ及び/又は枢動部材と連携させるように構成する他の考慮事項及び方法が存在する。1つの変形例では、本明細書に記載の先端部は、エラストマーオーバーモールドを含み、オーバーモールドは、先端部の全ての構造を取り囲むことができ、先端部の全ての構造に結合することができる。しかしながら、エラストマーオーバーモールドを有する、本明細書に記載の先端部の他の変形例では、オーバーモールドは、先端部の全ての構造を取り囲まないように、かつ/又は結合しないように構成されている。以下は、先端部のエラストマーオーバーモールドのいくつかの更なる例示的な構成である。とりわけ、これらの構成は、少なくとも先端部(219、319、619、719、819、919、1019)及び少なくともエラストマーオーバーモールド(623、723、823、923、1023)を含む、本明細書に記載のエラストマーオーバーモールドを有する先端部のいずれかに適用することができる。
【0104】
1つの実施例では、先端部(219、319、619、719、819、919、1019)のエラストマーオーバーモールド(623、723、823、923、1023)は、先端部が変形すると、隙間又は間隙を含まない連続する滑らかな表面を形成するように、アンビル(218、318、618、718、818、918、1018)に直接結合されるか、又は接続部材(621、721)などの中間コネクタに直接結合される。かかる実施例では、特定の場所に結合することにより、エラストマーがスプリング付勢を有し、スプリングとして、ひいては、先端部に別個の位置を提供するのに役立ち得る張力の供給源として作用することを可能にする。
【0105】
別の実施例では、先端部(219、319、619、719、819、919、1019)のエラストマーオーバーモールド(623、723、823、923、1023)が、特定の場所に結合されることを明確にブロックすることができる。例としてのみであり、限定するものではないが、先端部が枢動部材(625、725)又は内部クリップ(821、921、1021、1121)を有する状態では、エラストマーオーバーモールド(623、723、823、923、1023)の結合は、枢動部材(625、725)又は内部クリップ(821、921、1021、1121)がエラストマーオーバーモールド(623、723、823、923、1023)に結合されないように、部分的又は完全にブロックされる。このようにして、トグルの動態は、枢動部材(625、725)又は内部クリップ(821、921、1021、1121)とエラストマーオーバーモールド(623、723、823、923、1023)との間の相対滑りを可能にすることによって、変化させることができる。例えば、このように結合をブロックする1つの方法は、枢動部材(625、725)又は内部クリップ(821、921、1021、1121)を、これらにエラストマーが結合しないように、ワックス又は別のコーティング中に浸漬させることにより、相対滑りを可能にすることである。
【0106】
図17及び
図26を参照すると、枢動部材(625)は、コーティング(628)を含み、内部クリップ(821)は、コーティング(828)を含む。本実施例では、コーティング(628、828)は、ワックスを含むが、他のコーティング材料が使用されてもよい。また、いくつかの変形例では、コーティング(628、828)は、枢動部材(625)及び内部クリップ(821)の全体に適用され得る。しかしながら、他の変形例では、コーティング(628、828)は、枢動部材(625)及び内部クリップ(821)の一部に適用され得る。例えば、内部クリップ(821)に関して、1つの実施例では、コーティング(828)は、対のアーム(827)のみに適用される。また更に、枢動部材(625)及び内部クリップ(821)の他の実施例では、コーティング(628、828)は完全に省略されている。本明細書の教示を鑑みれば、先端部の特定の構造へのエラストマーオーバーモールドの結合をブロックする他の方法が、当業者には明らかになるであろう。
【0107】
別の実施例では、枢動部材(625、725)又は内部クリップ(821、921、1021、1121)の一部への先端部(219、319、619、719、819、919、1019)のエラストマーオーバーモールド(623、723、823、923、1023)は、エラストマー材料で全く覆われていなくてもよい。かかる実施例では、これは、先端部を細くするか又は先端部のサイズを低減し、枢動部材(625、725)又は内部クリップ(821、921、1021、1121)がより効果的な又はより強力な戻り止めトグルを有することを可能にする機会を表す。例としてのみであり、限定するものではないが、1つの変形例では、先端部(619、719、819、919、1019)の基体又は近位部分は覆われているが、未加工若しくは部分的に未加工の枢動部材(625、725)又は内部クリップ(821、921、1021、1121)は遠位方向に延在する。本明細書で使用される場合、「未加工」又は「部分的に未加工」という用語は、枢動部材(625、725)又は内部クリップ(821、921、1021、1121)のかかる部分が、エラストマーオーバーモールドによって覆われていないか、又は別様に周囲環境に露出していないことを意味すると理解されるものとする。
【0108】
F.例示的なトグル切り替え又は戻り止め機構
内部クリップ(821、921、1021、1121)に関して、1つの実施例では、かかる内部クリップ(821、921、1021、1121)は、内部クリップ(821、921、1021、1121)がリベット留めされた後に弾性エネルギーを収容するように、バレッタ設計で構成されたものとして説明される。このようにして、内部クリップ(821、921、1021、1121)は、弾性エネルギーを貯蔵することができる。組み立てられ、アンビルの本体と接続された後、外力が加えられる。例えば、この外力は、ユーザ、ユーザの手の道具、ロボットマニピュレータ、又は患者の解剖学的構造によって加えられてもよい。この外力を加えている間、内部クリップ(821、921、1021、1121)のアームは、弾性変形を受け、状態が不安定になるまで反力が蓄積される。力が同じ方向に継続する場合、内部クリップ(821、921、1021、1121)のアームは、不安定なゾーンを越えるか又は通って、別のより低いエネルギー状態へと通過する。したがって、このようにして、内部クリップ(821、921、1021、1121)は、場合によっては双安定性、及び他の場合には多安定性で構成されている。双安定性では、内部クリップ(821、921、1021、1121)は、外力が加えられていない状態で、内部クリップ(821、921、1021、1121)がこれらの形状及び位置を維持する低いエネルギー状態を有する2つの位置を備える。多安定性では、内部クリップ(821、921、1021、1121)は、外力が加えられていない状態で、内部クリップ(821、921、1021、1121)がこれらの形状を維持する低いエネルギー状態を有する3つ以上の位置を備える。双安定性及び多安定性のいくつかの実施例では、内部クリップ(821、921、1021、1121)は、1つの状態又は位置から別の状態又は位置へと歪むか、屈曲するか、又は座屈する能力を含むものとして説明することができる。本明細書の教示を鑑みれば、内部クリップ(821、921、1021、1121)の安定性及び位置決めを修正及び制御する様々な方式が、当業者には明らかになるであろう。
【0109】
G.旋回する先端部を有する例示的なアンビル
いくつかの例では、長手方向軸を中心とした回転によって第1の別個の位置と第2の別個の位置との間で移行するように構成された選択的に調節可能な遠位先端部を有する外科用ステープラエンドエフェクタのアンビルを提供することが望ましい場合がある。かかる構成は、遠位トリップが、
図13~
図20に関連して上述したような横方向軸を中心とした上方及び下方への枢動によって、又は
図21~
図36に関連して上述したような撓みによって、第1の別個の位置と第2の別個の位置との間で移行する他の構成とは異なる利益を提供し得る。有利には、かかる変形例では、アンビル先端部は、剛性構築物、弾性変形可能な構築物、又はこれらの任意の好適な組み合わせで構成することができるが、依然として、上述の利点を呈する第1の別個の位置と第2の別個の位置との間で選択的に移行可能であってもよい。更に、いくつかの例では、アンビル先端部を、先端部がアンビル本体の長手方向軸及びエンドエフェクタの対向する下部ジョーを収容する垂直平面内に延在する軸を中心として回転可能であるように、アンビル本体と回転可能に連結することが望ましい場合がある。かかる変形例では、アンビル先端部は、第1の別個の位置と第2の別個の位置との間でアンビル本体に対して回転可能に「旋回」すると言われる。
【0110】
図37~
図45は、遠位先端部(1222、1322、1422、1522、1622、1722、1822)を有する例示的なアンビル(1218、1318、1418、1518、1618、1718、1818)を示しており、遠位先端部は、先端部(1222、1322、1422、1522、1622、1722、1822)が第1の別個の位置と第2の別個の位置との間でアンビル本体に対して旋回するように構成されるような方法で、それぞれのアンビル本体に対して選択的に回転可能である。以下に記載されるアンビル(1218、1318、1418、1518、1618、1718、1818)及びこれらのそれぞれのエンドエフェクタは、上述の例示的なアンビル(18、218、318、518、618、718、818、918、1018)及びエンドエフェクタ(12、212、312、412、812、912)のいずれかと相互交換することができ、外科用器具(10、310)及び本明細書に記載される他の例示的な外科用器具と共に使用することができる。アンビル(1218、1318、1418、1518、1618、1718、1818)は、アンビル(1218、1318、1418、1518、1618、1718、1818)が、上述の下部ジョー(16)内に支持されたステープルカートリッジ(37)などの対応するエンドエフェクタの下部ジョー内に支持されたステープルカートリッジに対して組織(90)をクランプするように動作可能であり、かつステープルカートリッジによって射出されたステープルをクランプされた組織内に形成するように更に動作可能である点において、上述のアンビル(18、218、318、518、618、718、818、918、1018)と同様であることが理解されよう。以下に説明するように、アンビル(1218、1318、1418、1518、1618、1718、1818)は、別個の位置内にアンビル先端部を解放可能に保持するように動作可能な先端部ロック機構を備え、それによって、アンビル先端部が別個の位置から不注意に回転するのを防ぐことができる。
【0111】
以下で説明する例示的なアンビル先端部(1222、1322、1422、1522、1622、1722、1822)のいずれかを、所望に応じて、剛性材料、弾性変形可能な材料、又はこれらの組み合わせを含み得る1つ又は2つ以上の材料で形成することができることが理解されよう。例えば、いくつかの変形例では、アンビル先端部(1222)は、金属などの剛性材料で形成されたコア又は近位基体部分と、剛性コア又は近位基体部分に連結されているか、又は別様に剛性コア又は近位基体部分を中心としてオーバーモールドされている、エラストマー本体部分と、を含み得る。
【0112】
1.旋回する先端部を有する例示的なアンビルの概要
図37~
図39Bは、下部ジョー(16)に枢動可能に連結されたアンビル(1218)と、下部ジョー(16)内に位置決めされたステープルカートリッジ(37)と、を含む、例示的なエンドエフェクタ(1212)を示す。アンビル(1218)は、アンビル(18)の長さに沿って配列されたポケット(53)と同様の複数のステープル成形ポケット(図示せず)を有する、細長いアンビル本体(1220)を含む。先細の遠位アンビル先端部(1222)は、アンビル本体(1220)の遠位端に回転可能に連結され、ユーザ又は隣接する解剖学的構造によって先端部(1222)に加えられる外部回転力に応答して、第1の別個の位置と第2の別個の位置との間でアンビル本体(1220)に対して選択的に回転可能である。
図37及び
図39Aに示されるように、第1の別個の位置にあるアンビル先端部(1222)は、アンビル先端部(1222)の遠位端がステープルカートリッジ(37)に向かって延在するように、アンビル本体(1220)に対して角度付けされており、アンビル(1218)が閉鎖されると、ステープルカートリッジ(37)の遠位端と接触して、間に組織をクランプするように構成されている。
図39Bに示されるように、第2の別個の位置にあるアンビル先端部(1222)は、エンドエフェクタ(1212)が閉鎖状態にあるときに、アンビル先端部(1222)が、下部ジョー(16)及びステープルカートリッジ(37)に概ね平行に延在するように、アンビル本体(1220)に対して真っ直ぐに配向され、ひいては、アンビル先端部(1222)の遠位端が、間に間隙を画定するように、ステープルカートリッジ(37)の遠位端から離れる方向に離間配置される。したがって、真っ直ぐな位置にあるアンビル先端部(1222)は、アンビル先端部(1222)が角度付けされた位置にあるときに、エンドエフェクタ(1212)によって呈される対応する開口部よりも大きい、エンドエフェクタ(1212)のクランプ範囲全体にわたって遠位方向に開放された開口部を有するエンドエフェクタ(1212)を提供するように構成されている。したがって、上述の他の例示的な変形例と同様に、角度付けされた位置にあるアンビル先端部(1222)は、アンビル(1218)とステープルカートリッジ(37)との間で近位方向に組織を引き込み、エンドエフェクタ(1212)閉鎖時の標的組織の可視化を容易にするように、好適に配向される。加えて、真っ直ぐな位置にあるアンビル先端部(1222)は、やはり上述したように、ステープル留め処置中のマーチングを容易にするように好適に配向される。したがって、ユーザは、実施される特定の処置を最も容易にするために、所望に応じてアンビル先端部(1222)の角度付けされた位置又は真っ直ぐな位置を選択し得る。
【0113】
図38に示されるように、アンビル本体(1220)は、長手方向の本体軸(A1)に沿って延在し、アンビル先端部(1222)は、本体軸(A1)と交差し、本体軸(A1)に対して斜めに角度付けされた回転軸(A2)を中心として回転しながら、依然として、概ね近位方向から遠位方向に延在するように構成されている。したがって、軸(A1、A2)は、エンドエフェクタ(1212)の長手方向中心線に沿って延在する垂直平面(P)を画定し、下部ジョー(16)の長手方向軸(図示せず)も収容するように、垂直平面(P)によって収容される。換言すれば、各軸(A1、A2)は、垂直平面(P)内に及び垂直面(P)に沿って延在する。アンビル先端部(1222)の回転軸(A2)は、
図40~
図48の例示的なアンビル(1318、1518、1618、1718)に関連して以下で説明されるシャフト(1324、1524、1634、1740)のいずれかと同様のシャフトの形態であり得る回転部材(図示せず)によって画定される。本変形例では、回転部材は、回転軸(A2)がアンビル先端部(1222)の長手方向軸に対して斜めに延在するように、好適に構成されている。
【0114】
図38~
図39Bに示されるように、アンビル(1218)は、アンビル本体(1220)の角度付けされた遠位面(1232)と、アンビル先端部(1222)の角度付けされた近位面(1234)とによって画定される、角度付けされた境界面(1230)を含む。角度付けされた面(1232、1234)は、第1の噛み合い構造及び第2の噛み合い構造において互いに係合して、アンビル先端部(1222)の第1の別個及び第2の別個の位置を画定するように構成されている。
図39A及び
図39Bに示されるように、角度付けされた面(1232、1234)は、アンビル本体(1220)及びアンビル先端部(1222)の長手方向軸に対して斜めに角度付けされている。
図39Aに示されるように、角度付けされた境界面(1230)の斜角は、アンビル先端部(1222)がアンビル本体(1220)に対して第1の回転の向きにあり、ひいては、アンビル先端部(1222)の長手方向軸がアンビル本体(1220)の長手方向軸(A1)に対して斜めに配向されている場合、アンビル先端部(1222)を角度付けされた位置に提供するように合計される。アンビル先端部(1222)は、概ね弓状であるものとして示される、対向する第1の表面及び第2の表面(1236、1238)を含む。
図23Aの第1の回転の向きでは、第1の表面(1236)は、外側表面であり、第1の表面(1238)は、ステープルカートリッジ(37)に対して内側表面である。
【0115】
第2の回転の向きは、アンビル先端部(1222)を第1の回転の向きに対して180度回転させることによって得ることができる。
図39Bに示されるように、角度付けされた境界面(1230)の斜角は、アンビル先端部(1222)がアンビル本体(1220)に対して第2の回転の向きにあるときに互いに打ち消し合い、ひいては、アンビル先端部(1222)がアンビル本体(1220)から遠位方向に真っ直ぐに延在するように、アンビル本体(1220)及びアンビル先端部(1222)の長手方向軸を同軸方向に整列させるように、構成されている。換言すれば、角度付けされた面(1232、1234)は、
図39Bに示される第2の別個の位置において互いに対して配向され、それにより、角度付けされた面(1232、1234)は、一緒になって180度の角度を画定する補助角度を画定する。他の変形例では、角度付けされた面(1232、1234)は、代替的に、アンビル先端部(1222)が第2の別個の位置にあるとき、180度超の角度を画定するように構成され得る。かかる変形例では、第2の別個の位置にあるアンビル先端部(1222)は、例えば、
図29のアンビル(818)に関連して上述した構成と同様に、ステープルカートリッジ(37)の遠位端及びアンビル本体軸(A1)から離れる方向に上方にフレア状になり得る。
図23Bの第2の回転の向きでは、第2の表面(1238)は、外側表面であり、第1の表面(1236)は、ステープルカートリッジ(37)に対して内側表面である。
【0116】
示されていないが、アンビル(1218)は、第1の別個の位置及び第2の別個の位置においてアンビル先端部(1222)を解放可能に保持し、ひいては、先端部(1222)が選択された位置から離れる方向に不注意に回転するのを防止するように動作可能な先端部ロック機構を更に含み得る。かかる先端部ロック機構は、本明細書の教示を鑑みて、当業者には容易に明らかとなる、様々なタイプの1つ又は2つ以上の戻り止め特徴部、突出部、凹部、弾性部材、干渉特徴部などを備え得る。例えば、アンビル(1218)は、戻り止め突出部(1340)及び戻り止め凹部(1342)などの、アンビル(1318、1418、1518、1618、1718、1818)に関連して以下で説明する例示的な先端部ロック機構のうちのいずれか1つ又は2つ以上を含み得る。加えて、示されていないが、アンビル(1218)は、アンビル本体(1220)の遠位端に堅固に固設された接続部材を更に含むことができ、接続部材には、アンビル先端部(1222)が回転可能に連結される。かかる接続部材は、以下で説明する例示的な接続部材(1330、1430、1530、1630、1730、1830)のいずれかと同様であってもよい。更に、アンビル先端部(1222)は、以下に説明する例示的な方法のいずれかを使用して、アンビル本体(1220)に対して軸方向に固設され得る。
【0117】
2.戻り止めバンプを備えた先端部ロック機構を有する旋回する先端部を備えるアンビル
図40及び
図41は、上述の例示的なエンドエフェクタのいずれかと共に使用するのに適した別の例示的なアンビル(1318)の遠位部分を示す。アンビル(1318)は、以下に別途記載する点を除き、上述のアンビル(1218)と同様である。アンビル(1218)と同様に、アンビル(1318)は、細長いアンビル本体(1320)であって、その下側面に沿って配列された複数のステープル成形ポケット(図示せず)を有する、細長いアンビル本体(1320)と、アンビル本体(1320)の遠位端に回転可能に配設された先細の遠位先端部(1322)と、を含む。アンビル先端部(1222)と同様に、アンビル先端部(1322)は、アンビル本体(1320)の長手方向軸、及び下部ジョー(16)を有する対応するエンドエフェクタの長手方向中心線を収容する平面内に配設された回転軸を中心としてアンビル本体(1320)に対して旋回するように構成されている。具体的には、アンビル先端部(1322)は、アンビル先端部(1322)が下部ジョー(16)に向かう方向にアンビル本体(1320)に対して角度付けされている第1の別個の位置と、アンビル先端部(1322)が、下部ジョー(16)から離れる方向に配向されるように、アンビル本体(1320)から遠位方向に真っ直ぐに延在する第2の別個の位置との間で回転軸を中心として旋回するように構成されている。
【0118】
アンビル(1318)は、アンビル本体(1320)の遠位端に堅固に固設され、アンビル先端部(1322)を回転可能に支持する、接続部材(1330)を更に含む。
図41に見られるように、接続部材(1330)は、上述のアンビル(18)の長手方向アンビルスロット(42)と同様であり得る、アンビル本体(1320)の長手方向アンビルスロット(1321)の開放遠位端内に(例えば、締まり嵌めを介して)しっかりと受容されている近位プラグ(1332)を含む。接続部材(1330)は、アンビル本体(1320)及び接続部材(1330)の長手方向軸に対して斜めに延在する内部の穴(1334)を更に含み、アンビル先端部(1322)の近位方向に延在するシャフト(1324)を回転可能に受容するように構成されている。シャフト(1324)は、アンビル先端部(1322)の本体と一体的に形成することができ、アンビル先端部(1322)の本体の長手方向軸に対して斜めに延在する。穴(1334)及びシャフト(1324)は協働して、アンビル本体(1320)及びアンビル先端部(1322)の長手方向軸に対して斜めに角度付けされている、アンビル先端部(1322)の回転軸(A2)を画定する。アンビル先端部(1322)及び接続部材(1330)は、上述のアンビル(1218)の角度付けされた境界面(1230)と同様に、第1の別個の位置及び第2の別個の位置におけるアンビル本体(1320)に対するアンビル先端部(1322)の角度付けされた向き及び真っ直ぐな向きを提供する角度付けされた境界面(1336)を画定するように互いに調節可能に噛み合う、角度付けされた端面を含む。
【0119】
本変形例のアンビル先端部(1322)のアンビル先端部のシャフト(1324)の近位端は、穴(1334)の内部ショルダと係合し、それによって、シャフト(1324)を穴(1334)内で軸方向に保持しながら、依然として、シャフト(1324)が内部で回転することを可能にして、真っ直ぐな位置と角度付けされた位置との間でアンビル先端部(1322)の回転を可能にするように構成された保持特徴部(1326)を含む。本実施例の保持特徴部(1326)は、アンビル(1318)の初期の組み立て中に穴(1334)に挿入された後のシャフト(1324)の近位端の変形(例えば、熱変形又は「ヒートステーキング」)によって形成され得る、丸みを帯びた突出部の形態で
図41に示されている。その点に関し、
図40は、丸みを帯びた突出部(1326)の形成前の組立体の完成前の状態のアンビル(1318)を示し、
図41は、丸みを帯びた突出部(1326)の変形後の組立体の完成後の状態のアンビル(1318)を示す。シャフト(1324)と一体的に又はシャフト(1324)から独立して提供され得る様々な他の好適なタイプの保持特徴部が、本明細書の教示を鑑みて、当業者には容易に明らかになるであろう。
【0120】
図41に示されるように、本実施例のアンビル先端部(1322)は、内部に埋め込まれ、シャフト(1324)を通って近位方向に延在し、アンビル先端部(1322)の本体の少なくとも一部分を通って遠位方向に延在する、任意選択の補強部材(1328)を更に含む。補強部材(1328)は、アンビル先端部(1322)の本体よりも高い剛性を有する材料で形成することができ、これにより、中を通って補強部材(1328)が延在しないアンビル先端部(1322)の最遠位部分は、シャフト(1324)を含むアンビル先端部(1322)の近位部分よりも高い可撓性を有する。いくつかの変形例では、アンビル先端部(1322)の本体は、可撓性のエラストマー材料で形成され得る一方、補強部材(1328)は、屈曲可能であってもよいより剛性のある材料で形成される。いくつかの変形例では、補強部材(1328)の材料は、磁気共鳴撮像(magnetic resonance imaging、MRI)デバイスと互換性がある場合があり、かつ/又は蛍光透視識別のためのマーカとしての役割を果たすように構成され得る。本変形例では、補強部材(1328)の近位端が、保持特徴部(1326)の内側コア要素内で接合することにより、保持特徴部(1326)が、例えば、アンビル先端部(1322)の旋回中に、軸方向の荷重がシャフト(1324)に及ぼされているときに、穴(1334)の内側ショルダとの係合を維持することを可能にする。
【0121】
図40に最もよく示されるように、アンビル(1318)は、第1の別個の位置及び第2の別個の位置においてアンビル先端部(1322)を解放可能に保持するように構成された先端部ロック機構を更に含む。本実施例の先端部ロック機構は、アンビル先端部(1322)と接続部材(1330)との角度付けされた境界面(1336)に提供された戻り止め特徴部の形態で示されている。具体的には、一対の戻り止め突出部(1340)が、アンビル先端部(1322)の角度付けされた近位面上に提供され、対応する一対の戻り止め凹部(1342)が、接続部材(1330)の角度付けされた遠位面に提供されている。戻り止め突出部(1340)は、アンビル先端部(1322)が第1の別個の位置又は第2の別個の位置のいずれかにあるときに、戻り止め凹部(1342)内に完全に据え付けられるように構成されている。戻り止め突出部(1340)及び/又はシャフト(1324)は、アンビル先端部(1322)が別個の位置の間で回転すると弾性的に変形して、戻り止め突起部(1340)が戻り止め凹部(1342)を一時的に係合解除することを可能にすることができる。アンビル先端部(1322)がアンビル本体(1320)に対して第1の別個の位置又は第2の別個の位置のうちの1つに到達すると、次いで、戻り止め突出部(1340)が、それぞれの戻り止め凹部(1342)へとはじき戻ることにより、アンビル先端部(1322)が先端部の選択された位置を完全にとったという触覚確認をユーザに提供する。戻り止め突出部(1340)及び/又は戻り止め凹部(1342)の代わりに又はこれらに加えて、アンビル(1318)は、以下で説明するものなどの様々な他の好適なタイプの先端部ロック機構を含み得る。
【0122】
3.戻り止めアームを備えた先端部ロック機構を有する旋回する先端部を備えるアンビル
図42は、上述の例示的なエンドエフェクタのいずれかと共に使用するのに適した別の例示的なアンビル(1418)の遠位部分を示す。アンビル(1418)は、以下に別途記載する点を除き、上述のアンビル(1318)と同様である。アンビル(1318)と同様に、アンビル(1418)は、細長いアンビル本体(1420)であって、その下側面に沿って配列された複数のステープル成形ポケット(図示せず)を有する、細長いアンビル本体(1420)と、アンビル本体(1420)の遠位端に固設された接続部材(1430)と、接続部材(1430)に回転可能に連結された先細の遠位先端部(1422)と、を有する。アンビル先端部(1322)と同様に、アンビル先端部(1422)は、アンビル本体(1420)の長手方向軸、及び下部ジョー(16)を有する対応するエンドエフェクタの長手方向中心線を収容する平面内に配設された回転軸を中心として、接続部材(1430)及びアンビル本体(1420)に対して旋回するように構成されている。具体的には、アンビル先端部(1422)は、アンビル先端部(1422)が下部ジョー(16)に向かう方向にアンビル本体(1420)に対して角度付けされている第1の別個の位置と、アンビル先端部(1422)が、下部ジョー(16)から離れる方向に配向されるように、アンビル本体(1420)から遠位方向に真っ直ぐに延在する第2の別個の位置との間で回転軸を中心として旋回するように構成されている。接続部材(1430)及びアンビル先端部(1422)は、これらの間に角度付けされた境界面(1432)を画定し、この角度付けされた境界面は、第1の別個の位置と第2の別個の位置との間のアンビル先端部(1422)の回転中に、アンビル本体(1420)の長手方向軸に対するアンビル先端部(1322)の角度の付いた状態の再配向を提供する。
【0123】
本実施例のアンビル(1418)は、角度付けされた境界面(1432)に配設され、アンビル本体(1420)に対して第1の別個の位置及び第2の別個の位置の各々においてアンビル先端部(1422)を解放可能に保持するように構成されている、先端部ロック機構を更に含む。本先端部ロック機構は、一対の弾性のある戻り止めアーム(1440)が、アンビル先端部(1422)の角度付けされた近位端から横方向に延在し、対応する一対の戻り止め凹部(1442)が、接続部材(1430)の角度付けされた遠位面上に配設されている形態で示されている。戻り止めアーム(1440)は、アンビル先端部(1422)が第1の別個の位置又は第2の別個の位置のいずれかにあるときに、戻り止め凹部(1442)内に据え付けられるように構成されている。アンビル先端部(1422)がアンビル本体(1420)に対して回転すると、戻り止めアーム(1440)は弾性的に遠位方向に偏向し、それによって、戻り止め凹部(1442)を係合解除する。アンビル先端部(1422)が第1の別個の位置又は第2の別個の位置のうちの1つに到達すると、戻り止めアーム(1440)が、それぞれの戻り止め凹部(1442)へとはじき戻ることにより、アンビル先端部(1422)が先端部の選択された位置を完全にとったという触覚確認をユーザに提供する。
【0124】
4.環状波特徴部を備えた先端部ロック機構を有する旋回する先端部を備えるアンビル
図43A及び
図43Bは、上述の例示的なエンドエフェクタのいずれかと共に使用するのに適した別の例示的なアンビル(1518)の遠位部分を示す。アンビル(1518)は、以下に別途記載する点を除き、上述のアンビル(1318、1418)と同様である。アンビル(1318、1418)と同様に、アンビル(1518)は、細長いアンビル本体(1520)であって、その下側面に沿って配列された複数のステープル成形ポケット(図示せず)を有する、細長いアンビル本体(1520)と、アンビル本体(1520)の遠位端に固設された接続部材(1530)と、接続部材(1530)に回転可能に連結された先細の遠位先端部(1522)と、を有する。アンビル先端部(1322、1422)と同様に、アンビル先端部(1522)は、アンビル本体(1520)の長手方向軸、及び下部ジョー(16)を有する対応するエンドエフェクタの長手方向中心線を収容する平面内に配設された回転軸を中心として、接続部材(1530)及びアンビル本体(1520)に対して旋回するように構成されている。具体的には、アンビル先端部(1522)は、アンビル先端部(1522)が下部ジョー(16)に向かう方向にアンビル本体(1520)に対して角度付けされている第1の別個の位置と、アンビル先端部(1522)が、下部ジョー(16)から離れる方向に配向されるように、アンビル本体(1520)から遠位方向に真っ直ぐに延在する第2の別個の位置との間で回転軸を中心として旋回するように構成されている。接続部材(1530)及びアンビル先端部(1522)は、これらの間に角度付けされた境界面(1432)を画定し、この角度付けされた境界面は、第1の別個の位置と第2の別個の位置との間のアンビル先端部(1522)の回転中に、アンビル本体(1520)の長手方向軸に対するアンビル先端部(1522)の角度の付いた状態の再配向を提供する。
【0125】
本実施例のアンビル(1518)は、角度付けされた境界面(1532)に配設され、アンビル本体(1520)に対して第1の別個の位置及び第2の別個の位置の各々においてアンビル先端部(1522)を解放可能に保持するように構成されている、先端部ロック機構を更に含む。
図43Aの分解図に最もよく示されるように、本先端部ロック機構は、環状波突起部(1540)が、アンビル先端部(1522)の角度付けされた近位面(1526)上のシャフト(1524)の基体に配設され、対応する環状波凹部(1542)が、接続部材(1530)の角度付けされた遠位面(1536)上の穴(1534)の隙間に形成されている形態で示されている。示されていないが、シャフト(1524)は、上述の丸みを帯びた突出部(1326)と同様の保持特徴部によって穴(1534)の中で軸方向に保持され得る。
【0126】
環状波突起部(1540)の軸方向隆起部分は、アンビル先端部(1522)が、
図43Aに示される角度付けされた位置又は
図40に示されるものと同様の真っ直ぐな位置のいずれかにおいて回転可能に配向されると、環状波凹部(1542)の対応する軸方向凹部部分によって受容されるように構成されている(逆もまた同様)。これらの間の任意の中間位置において、環状波突起部(1540)の隆起部分及び環状波凹部(1542)の隆起部分は、互いに対して軸方向に係合して駆動し、それによって、シャフト(1524)に張力を作り出す。この結果として得られるシャフト(1524)の張力は、アンビル先端部(1522)を最も近い真っ直ぐな位置又は角度付けされた位置に向かって回転方向に付勢させ、ひいては、これらの位置を別個の位置として画定する。
【0127】
5.回転干渉特徴部を備えた先端部ロック機構を有する旋回する先端部を備えるアンビル
図44A及び
図44Bは、上述の例示的なエンドエフェクタのいずれかと共に使用するのに適した別の例示的なアンビル(1618)の遠位部分を示す。アンビル(1618)は、以下に別途記載する点を除き、上述のアンビル(1318、1418、1518)と同様である。アンビル(1318、1418、1518)と同様に、アンビル(1618)は、細長いアンビル本体(図示せず)であって、その下側面に沿って配列された複数のステープル成形ポケットを有する、細長いアンビル本体と、アンビル本体の遠位端に固設された接続部材(1630)と、接続部材(1630)に回転可能に連結された先細の遠位先端部(1622)と、を有する。アンビル先端部(1322、1422、1522)と同様に、アンビル先端部(1622)は、アンビル本体の長手方向軸、及び下部ジョー(16)を有する対応するエンドエフェクタの長手方向中心線を収容する平面内に配設された回転軸を中心として接続部材(1630)に対して旋回するように構成されている。具体的には、アンビル先端部(1622)は、アンビル先端部(1622)が下部ジョー(16)に向かう方向にアンビル本体に対して角度付けされている第1の別個の位置と、アンビル先端部(1622)が、下部ジョー(16)から離れる方向に配向されるように、アンビル本体から遠位方向に真っ直ぐに延在する第2の別個の位置との間で回転軸を中心として旋回するように構成されている。接続部材(1630)及びアンビル先端部(1622)は、これらの間に角度付けされた境界面(1632)を画定し、この角度付けされた境界面は、第1の別個の位置と第2の別個の位置との間のアンビル先端部(1622)の回転中に、アンビル本体の長手方向軸に対するアンビル先端部(1622)の角度の付いた状態の再配向を提供する。
【0128】
本変形例では、接続部材(1630)は、その角度付けされた遠位面から遠位方向に延在し、アンビル先端部(1622)内に形成された対応する穴(1624)の中で回転可能に受容されている、シャフト(1634)を含む。したがって、シャフト(1634)及び穴(1624)は協働して、回転軸を画定し、この回転軸を中心として、アンビル先端部(1622)が、第1の別個の位置と第2の別個の位置との間で接続部材(1630)に対して回転する。
図44Aに最もよく示されるように、シャフト(1634)は、円筒状の近位部分と、非円形の断面形状を有する遠位キャップ(1636)と、を含む。シャフト(1634)及び穴(1624)はまた、協働して、接続部材(1630)に対して第1の別個の位置及び第2の別個の位置の各々においてアンビル先端部(1522)を解放可能に保持するように構成されている先端部ロック機構を画定する。具体的には、シャフトキャップ(1636)及び穴(1624)は、アンビル先端部(1622)が角度の付いた状態の位置と真っ直ぐな位置との間で回転すると、干渉係合により互いに接触するように好適に成形されている。この干渉係合は、シャフトキャップ(1636)及び/又はアンビル先端部(1622)の弾性偏向をもたらし、これは、アンビル先端部(1622)を最も近い真っ直ぐな位置又は角度付けされた位置に向かって付勢する。
【0129】
6.旋回する先端部及び独立した捕捉型シャフトを備えるアンビル
図45は、上述の例示的なエンドエフェクタのいずれかと共に使用するのに適した別の例示的なアンビル(1718)の遠位部分を示す。アンビル(1718)は、以下に別途記載する点を除き、上述のアンビル(1318、1418、1518、1618)と同様である。アンビル(1318、1418、1518、1618)と同様に、アンビル(1718)は、細長いアンビル本体(図示せず)であって、その下側面に沿って配列された複数のステープル成形ポケットを有する、細長いアンビル本体と、アンビル本体の遠位端に固設された接続部材(1730)と、接続部材(1730)に回転可能に連結された先細の遠位先端部(1722)と、を有する。アンビル先端部(1322、1422、1522、1622)と同様に、アンビル先端部(1722)は、アンビル本体の長手方向軸、及び下部ジョー(16)を有する対応するエンドエフェクタの長手方向中心線を収容する平面内に配設された回転軸を中心として接続部材(1730)に対して旋回するように構成されている。具体的には、アンビル先端部(1722)は、アンビル先端部(1722)が下部ジョー(16)に向かう方向にアンビル本体に対して角度付けされている第1の別個の位置と、アンビル先端部(1722)が、下部ジョー(16)から離れる方向に配向されるように、アンビル本体から遠位方向に真っ直ぐに延在する第2の別個の位置との間で回転軸を中心として旋回するように構成されている。接続部材(1730)及びアンビル先端部(1722)は、これらの間に角度付けされた境界面(1732)を画定し、この角度付けされた境界面は、第1の別個の位置と第2の別個の位置との間のアンビル先端部(1722)の回転中に、アンビル本体の長手方向軸に対するアンビル先端部(1722)の角度の付いた状態の再配向を提供する。
【0130】
図45に示されるように、接続部材は、接続部材(1730)及びアンビル本体の長手方向軸に対して斜めに延在する第1の穴(1734)を含み、アンビル先端部(1722)は、第1の穴(1734)と同軸方向に整列する第2の穴(1736)を含む。アンビル先端部(1722)及び接続部材(1730)とは独立して提供されるシャフト(1740)は、第1の穴及び第2の穴(1734、1736)の中に配設され、アンビル先端部(1722)が第1の別個の位置と第2の別個の位置との間で接続部材(1730)に対して回転することを可能にする。
図46に示されるように、シャフト(1740)の近位端は、径方向に拡大したヘッド(1742)を含み、シャフト(1740)の遠位端は、環状溝部(1744)を含む。シャフト(1740)は、第1の穴及び第2の穴(1734、1736)内に受容されるように構成されており、これにより、近位ヘッド(1742)は、第1の穴(1734)の内部停止ショルダ(図示せず)に対して据え付けられ、環状溝部(1744)は、
図47に示されるCクリップ(1746)が環状溝部(1744)に適用され得るように、第2の穴(1736)の遠位端を通って露出する。シャフト(1740)の近位部分は、プレス嵌め係合により第1の穴(1734)によって受容され得る一方、シャフト(1740)の遠位部分は、滑り嵌め係合により第2の穴(1736)内に受容され、ひいては、アンビル先端(1722)がCクリップ(1746)によってシャフト(1740)上で軸方向に保持されている間、アンビルシャフト(1740)を中心としたアンビル先端(1722)の回転を可能にする。
【0131】
アンビル(1718)は、接続部材(1730)及びアンビル本体に対して第1の別個の位置及び第2の別個の位置においてアンビル先端部(1722)を解放可能に保持するように動作可能な先端部ロック機構を更に含み得る。本変形例では、
図48に示されるように、戻り止め凹部(1748)は、環状溝部(1744)内のシャフト(1740)の遠位部分上に提供され、アンビル先端部(1722)に固設された対応する戻り止め突出部(図示せず)と係合するように構成されている。他の変形例では、シャフト(1740)がアンビル先端部(1722)に固定され、接続部材(1730)の第1の穴(1734)内に回転可能に配設される、逆の構成が提供される場合があり、シャフト(1740)の近位部分は、第1の回り止め特徴部を提供し、接続部材(1730)は、第2の戻り止め特徴部を提供する。更に、様々な他のタイプの先端部ロック機構が用いられ得ることが理解されよう。
【0132】
H.横軸を中心として枢動可能なトグル切り替えする先端部を備える例示的なアンビル
図37~
図48に関連して上述したように、いくつかの例では、先端部が、エンドエフェクタの長さに平行に延在する垂直平面内に収容された軸を中心として別個の位置の間で回転可能であるように、アンビル本体に対して調節可能なアンビル先端部を回転可能に装着することが望ましい場合がある。他の例では、代替的に、先端部が、エンドエフェクタの長さに対して横断方向に延在する横方向軸を中心として別個の位置の間で枢動可能であるように、アンビル本体に対して調節可能なアンビル先端部を装着することが望ましい場合があり、例えば、
図13~
図16に関連して上述した枢動構成と同様の方法であるが、
図53~
図71のトグル切り替えする先端部に関連して以下で説明する固有の特徴部及び機能を有する。
【0133】
図53~
図71に関連して以下で説明する例示的な特徴部を、本明細書に記載の他の例示的な特徴部のいずれかと組み合わせることができることが理解されよう。その点に関し、以下で説明する例示的な先端部及び関連する特徴部は、様々なタイプの外科用ステープル留め処置において所望の性能特性を達成するために、本明細書に記載の例示的な外科用器具のいずれかの類似の構成要素で置換され得る。
【0134】
1.戻り止め凹部を有するトグル切り替えする先端部及び接続部材
図49~
図52Bは、下部ジョー(16)に枢動可能に連結されたアンビル(1818)と、下部ジョー(16)内に位置決めされたステープルカートリッジ(37)と、を含む、例示的なエンドエフェクタ(1812)を示す。アンビル(1818)は、以下に別途記載する点を除き、上述のアンビル(1318、1418、1518、1618、1718)と同様である。アンビル(1318、1418、1518、1618、1718)と同様に、アンビル(1818)は、細長いアンビル本体(1820)であって、その下側面に沿って配列された複数のステープル成形ポケットを有する、細長いアンビル本体(1820)と、保持ピン(1850)を有するアンビル本体(1820)の遠位端に固設された接続部材(1830)と、接続部材(1730)に回転可能に連結された先細の遠位先端部(1822)と、を有する。アンビル先端部(1322、1422、1522、1622、1722)とは異なり、アンビル先端部(1822)は、アンビル本体(1820)の長手方向軸及びエンドエフェクタ(1812)の長手方向中心線に対して横断方向に延在する横方向軸を中心として接続部材(1830)に対して枢動するように構成されている。
図52A及び
図52Bに関連して以下で説明するように、アンビル先端部(1822)は、アンビル先端部(1822)が下部ジョー(16)に向かう方向にアンビル本体(1820)に対して角度付けされている第1の別個の位置(
図52Aを参照)と、アンビル先端部(1822)が、下部ジョー(16)から離れる方向に配向されるように、アンビル本体(1820)から遠位方向に真っ直ぐに延在する第2の別個の位置(
図49及び
図52Bを参照)との間で、この横軸を中心として枢動可能にトグル切り替えするように構成されている。ユーザは、実施される特定の処置を最も容易にするために、所望に応じてアンビル先端部(1822)の角度付けされた位置又は真っ直ぐな位置を選択し得る。
【0135】
図50及び
図51に示されるように、接続部材(1830)の近位端(「基体」としても知られる)は、アンビル本体(1820)の長手方向スロット(1821)内にしっかりと受容されているプラグ(1832)を含む。プラグ(1832)は、長手方向スロット(1821)のT字形のプロファイルに一致するように構成された概ねT字形のプロファイルをプラグに提供する特徴部を含む。接続部材(1830)は、接続部材(1830)の開放近位端と連通し、スプリングプレート(1840)(「ヒンジプレート」とも呼ばれる)の近位端を受容するように構成された、軸方向に延在する内側チャネル(1834)を更に含む。保持ピン(1850)は、アンビル本体(1820)の遠位端に形成された隙間、接続部材プラグ(1832)、及びスプリングプレート(1840)の近位端を通って垂直に延在し、それによって、接続部材(1830)及びスプリングプレート(1840)をアンビル本体(1820)に対して軸方向に固設する。
【0136】
アンビル先端部(1822)の近位端は、開放近位端を通って接続部材(1830)の内側チャネル(1834)内へと近位方向に延在する先細突出部(1824)を含む。先細突出部(1824)は、上部及び下部戻り止め凹部(1836、1838)、並びにこれらの間に配設され、内側チャネル(1834)内に形成された中間表面と解放可能に係合するように構成された戻り止め特徴部として機能する。先細突出部(1824)は、アンビル先端部(1822)の近位端の下側面に形成された空洞(1828)の上に重なる下部ナックル(1826)を含む。スプリングプレート(1840)の遠位リップ(1842)は、下部ナックル(1826)の上に弓状に巻き付き、先端部空洞(1828)内に上方に巻き付き、それによって、アンビル先端部(1822)の先細突出部(1824)を接続部材(1830)の開放近位端内で近位方向に保持し、戻り止め凹部(1836、1838)に係合する。遠位リップ(1842)はまた、横方向ヒンジ軸を画定し、横方向ヒンジ軸を中心として、アンビル先端部(1822)は、アンビル本体(1820)に対してヒンジ接続する。
【0137】
スプリングプレート(1840)と先細突出部(1824)との間の接触は、横方向に延在する軸を画定し、その軸を中心として、アンビル先端部(1822)は、第1の別個の位置と第2の別個の位置との間で、接続部材(1830)及びアンビル本体(1820)に対して枢動可能にトグル切り替えするように構成されている。具体的には、アンビル先端部(1822)は、先細突出部(1824)が上部戻り止め凹部(1836)内に据え付けられているとき、
図51及び
図52Aに見られる第1の角度付けされた別個の位置を呈する。反対に、アンビル先端部(1822)は、先細突出部(1824)が下部戻り止め凹部(1838)内に据え付けられているとき、
図49及び
図52Bに見られる第2の真っ直ぐな別個の位置を呈する。
図51に示されるように、本実施例では、下部回り止め凹部(1838)は、上部戻り止め凹部(1836)の近位方向に凹設されている。加えて、いくつかの実施例では、下部戻り止め凹部(1838)から上部戻り止め凹部(1836)を分離する、
図51に見られる中間表面は、わずかに遠位方向に突出し得る。
【0138】
本実施例のスプリングプレート(1840)は、弾性のある構築物であり、アンビル先端部(1822)を、中間位置から離れる方向に、第1の別個の位置及び第2の別個の位置に向かって弾性的に付勢するように構成されている。第1の別個の位置と第2の別個の位置との間で枢動する間、先端部(1822)の先細突出部(1824)は、上部戻り止め凹部(1836)と下部戻り止め凹部(1838)との間に画定された接続部材(1830)の中間内部表面と摩擦係合する。この接触は、下部ナックル(1826)を、スプリングプレート(1840)の遠位リップ(1842)に対して遠位方向に付勢し、ひいては、スプリングプレート(1840)を強制的に弾性偏向させる。次に、遠位リップ(1842)は、下部ナックル(1826)に近位方向に向けられた弾性付勢力を及ぼし、ひいては、先細突出部(1824)を戻り止め凹部(1836、1838)のうちの1つに向かって付勢する。スプリングプレート(1840)によって付与されるこの弾性付勢の結果として、アンビル先端部(1822)は、第1又は第2の別個の位置のうちの1つをとると、適所に「スナップ」することができる。
【0139】
スプリングプレート(1840)によって付与される弾性付勢は、外科的処置中にアンビル先端部(1822)の偶発的なトグル切り替えを防止するのに十分に強く、かつアンビル先端部(1822)を選択的に調節するときにユーザによって便利に克服されるのに十分に弱いことが理解されよう。いくつかの変形例では、アンビル先端部(1822)をその別個の位置の間でトグル切り替えするのに必要な入力「トグル切り替え力」は、例えば、およそ2lbfであってもよい。したがって、先細突出部(1824)と戻り止め凹部(1836、1838)との係合は、アンビル本体(1820)に対して第1の別個の位置及び第2の別個の位置においてアンビル先端部(1822)を解放可能に保持するように動作可能な先端部ロック機構として機能する。
【0140】
上述の保持ピン(1850)は中実の構築物で示されているが、保持ピン(1850)は、他の変形例では、中空のスプリングピン構築物を備え得る。アンビル先端部(1822)をトグル切り替えする間、かかるスプリングピンは、径方向に弾性的に圧縮され、それによって、スプリングプレート(1840)が接続部材(1830)に対してわずかに遠位に並進することを可能にし、ひいては、中実のスプリングピン(1850)の使用と比較した場合、スプリングプレート(1840)の遠位リップ(1842)のより小さな偏向を必要とする場合がある。かかるスプリングピンの硬さは、第1の別個の位置と第2の別個の位置との間でアンビル先端部(1822)を移行させるのに必要な入力トグル切り替え力を調整するように選択され得る。具体的には、より大きい硬さのスプリングピンは、より高い入力トグル切り替え力を生じ得る一方、より小さい硬さのスプリングピンは、より低い入力トグル切り替え力を生じ得る。
【0141】
2.トグル切り替えする先端部及びスプリングアームを有するスプリングプレート
上述したように、遠位アンビル先端部(1822)の先細の近位突出部(1824)は、先端部(1822)が第1の別個の位置と第2の別個の位置との間で移行するときに、接続部材(1830)の内側表面によって画定される剛性構造と接触するように構成されている。したがって、先端部(1822)を第1の別個の位置及び第2の別個の位置に向かって付勢するためにアンビル先端部(1822)に及ぼされる弾性付勢力は、先細突出部(1824)の遠位端にある下部ナックル(1826)を介して、スプリングプレート(1840)の遠位リップ(1842)によって付与される。いくつかの例では、弾性付勢力が先細の近位突出部(1824)の近位端に及ぼされるように、このトグル切り替えする組立体を再構成することが望ましい場合がある。以下で説明する
図53~
図60Cは、かかる構成の例示的な変形例を示す。
【0142】
図53~
図60Cは、第1の別個の位置と第2の別個の位置との間で横軸を中心として枢動可能にトグル切り替えするように構成された先細の遠位先端部(1920)を有する、別の例示的なアンビル(1900)を示す。アンビル(1900)は、以下に別途記載する点を除き、上述のアンビル(1818)と同様である。更に、アンビル(1900)は、本明細書に記載される例示的なエンドエフェクタ及び外科用器具のいずれかと共に使用するように構成されている。
図53及び
図54に示されるように、アンビル(1900)は、細長いアンビル本体(1910)と、アンビル本体(1910)の遠位端に固定的に連結された接続部材(1940)と、接続部材(1940)内に格納されたスプリングプレート(1970)と、アンビル本体(1910)に対して接続部材(1940)及びスプリングプレート(1970)を固設する保持ピン(1916)と、スプリングプレート(1970)を介して接続部材(1940)と移動可能に連結された先細の遠位先端部(1920)と、を含む。
【0143】
図55及び
図56に示されるように、本変形例のアンビル先端部(1920)は、丸みを帯びた遠位端(1922)を備えた遠位方向に先細の形状と、概ね凸状の上面(1924)と、概ね凹状の下面(1926)と、を有する。アンビル先端部(1920)の近位端は、以下に記載の方法で、先端部(1920)が接続部材(1940)及びスプリングプレート(1970)と連結することを可能にする複数の特徴部を含む。具体的には、アンビル先端部(1920)の近位端は、凸状の上面(1924)の下方に凹設されたヒンジ構造(1928)を含む。先細突出部(1930)は、凹状の下面(1926)に向かって角度の付いた状態で下方方向において、ヒンジ構造(1928)から近位方向に延在する。
図56に示されるように、アンビル先端部(1920)の下側面の近位端は、ヒンジ構造(1928)の下側面を通り、凸状の上面(1924)に向かって、角度の付いた状態で上方に延在する、空洞(1932)を含む。本変形例では、先細突出部(1930)及び空洞(1932)は、アンビル先端部(1920)の長手方向中心線に沿って配設される。
図55に示されるように、隙間(1934)は、ヒンジ構造(1928)の丸みを帯びた上面に形成され、空洞(1932)と連通する。
【0144】
図57及び
図58に示されるように、本変形例の接続部材(1940)は、アンビル本体(1910)のプロファイルと概ね一致する断面プロファイルを有する形状である。具体的には、接続部材(1940)は、凸状の上面(1942)と、概ね平坦な下面(1944)と、を含む。
図57に示されるように、プラグ(1948)は、接続部材(1940)の近位面(1946)から近位方向に突出し、アンビル本体(1910)の長手方向ナイフスロット(1912)のT字形のプロファイルと一致する概ねT字形のプロファイルをプラグ(1948)に提供する一対のサイドアーム(1950)を含む。したがって、プラグ(1948)は、例えば、摩擦嵌めを用いて、アンビル本体(1910)の長手方向スロット(1912)の開放遠位端内に受容されるように構成されている。保持ポスト(1952)は、プラグ(1948)の上側面から上方に突出し、以下に説明するように、スプリングプレート(1970)の近位タブ(1976)をプラグ(1948)にアンカー固定するように構成されている。本変形例では、保持ポスト(1952)の遠位側は、組み立て中にスプリングプレート(1970)のポスト(1952)との係合を容易にする、面取り部を含む。
【0145】
図58に示されるように、接続部材(1940)は、接続部材(1940)の遠位面(1956)に開放されている内側チャネル(1954)を含む。以下で説明する
図60A~
図60Cに示されるように、内側チャネル(1954)は、内部にスプリングプレート(1970)を受容するように構成されている。
図57に示されるように、接続部材(1940)の近位面(1946)は、内側チャネル(1954)と連通する窓(1958)を含み、近位タブ(1976)がポスト(1952)と連結することができるように、内部を通ってスプリングプレート(1970)の近位タブ(1976)を受容するように構成されている。
図58に最もよく示されるように、内側チャネル(1954)は、スプリングプレート(1970)の基体プレート部分(1972)を受容するように構成されている概ね矩形の内側空洞(1960)を含み、近位窓(1958)を通って延在し、上に基体プレート部分(1972)を支持するように構成されている平面支持面(1962)によって境界付けられている。内側チャネル(1954)は、支持表面(1962)の遠位端に形成された下部凹部(1964)と、下部凹部(1964)の直上に位置決めされた上部凹部(1966)と、を更に含む。上部及び下部凹部(1964、1966)は、アンビル先端部(1920)が第1の別個の位置と第2の別個の位置との間で接続部材(1940)に対して枢動する際に、内側チャネル(1954)内のアンビル先端部(1920)の近位先細突出部(1930)の垂直移動に関する上限及び下限を画定するように構成されている。
【0146】
図59に示されるように、本変形例のスプリングプレート(1970)は、一対の横方向両側のタブ(1974)と、隙間(1978)を有する近位タブ(1976)と、を有する、基体プレート部分(1972)を含む。隙間(1978)は、内部を通って上方に接続部材プラグ(1948)の保持ポスト(1952)を受容し、それによって、スプリングプレート(1970)を接続部材(1940)に対して長手方向に固定するように構成されている。隙間(1978)はまた、内部を通って下方に保持ピン(1916)の下部端部を受容し、それによって、接続部材(1940)及びスプリングプレート(1970)をアンビル本体(1910)に対して長手方向によりしっかりと固定するように構成され得る。スプリングプレート(1970)は、基体プレート部分(1972)の中央の隙間(1981)から離れる方向に、基体プレート部分(1972)の中央部分から上方に突出する近位スプリングアーム(1980)を更に含む。近位スプリングアーム(1980)は、基体プレート部分(1972)と平行に延在する基体アームセグメント(1982)と、基体アームセグメント(1982)から上方に角度の付いた状態で延在する中央のアームセグメント(1984)と、中央のアームセグメント(1984)から垂直方向上方に延在する上部アームセグメント(1986)と、を含む。以下で説明するように、近位スプリングアーム(1980)は、基体プレート部分(1972)に対して弾性的に偏向し、かつそれによって、アンビル(1900)先端部の近位の先細突出部(1930)を第1の別個の位置及び第2の別個の位置の各々に向かって弾性的に付勢するように構成されている。
【0147】
図59にも示されるように、スプリングプレート(1970)の遠位端は、基体プレート部分(1972)から上方に湾曲する弓状ヒンジリップ(1988)を含む。ヒンジリップ(1988)の上部端部は、スプリングプレート(1970)の中心線に沿って近位スプリングアーム(1980)と整列しているフィンガー(1990)と、フィンガー(1990)の横方向面に沿って配設された一対の枢動ガイドタブ(1992)と、を含む。
図60A~
図60Cに示されるように、ヒンジリップ(1988)は、ヒンジ構造(1928)を枢動可能に捕捉するように構成されており、その結果、フィンガー(1990)は、先端部空洞(1932)内のヒンジ構造(1928)の遠位側の周りに円周方向に巻き付き、隙間(1934)を通って上方及び近位方向に延在する。したがって、アンビル先端部(1920)は、スプリングプレート(1970)によってアンビル本体(1910)に対して長手方向に拘束されたままで、スプリングプレート(1970)に、ひいては、接続部材(1940)及びアンビル本体(1910)と枢動可能に連結されている。
【0148】
アンビル先端部(1920)のヒンジ構造(1928)及びスプリングプレート(1970)のヒンジリップ(1988)は、横方向に延在し、それによって、アンビル本体(1910)の長手方向軸を横断するヒンジ軸を画定する。アンビル先端部(1920)は、このヒンジ軸を中心として、第1の別個の位置と第2の別個の位置との間で枢動するように構成されている。加えて、ヒンジリップ(1988)は、近位方向及び遠位方向、並びに上方方向及び下方方向に弾性的に撓み、それによって、第1の別個の位置と第2の別個の位置との間を移行する間に、上述の枢動に加えて、接続部材(1940)に対するアンビル先端部(1920)の並進(又は「シフト」)の程度を最小限に抑えることを可能にするように構成されている。
【0149】
図60A~
図60Cは、例示的な第1の別個の位置と例示的な第2の別個の位置との間で横軸を中心として枢動しているアンビル先端部(1920)の例示的な進捗を示す。第1の別個の位置(
図60A)では、アンビル先端部(1920)は、「真っ直ぐ」であり、アンビル本体(1910)の長手方向軸に平行に延在する。第2の別個の位置(
図60C)では、アンビル先端部(1920)は、アンビル本体(1910)に対して「角度付けされた」又は「湾曲した」状態であり、角度の付いた状態で下方にステープラカートリッジ(図示せず)に向かって、対向するエンドエフェクタのジョー(図示せず)に延在する。上述したように、真っ直ぐな構成は、連続的なステープル留め及び切断シーケンス(又は「発射」)を伴う組織構造にわたってエンドエフェクタを「マーチング」するのに有用であり得る一方、角度付けされた構成は、エンドエフェクタの単一の発射のためにエンドエフェクタの遠位端で組織を収集するのに有用であり得る。
【0150】
図60Aに示されるように、アンビル先端部(1920)は、先細突出部(1930)の近位端が近位スプリングアーム(1980)の中央のアームセグメント(1984)の下部端部と係合するように、真っ直ぐな別個の位置にある。スプリングアーム(1980)は、先細突出部(1930)に対して角度の付いた状態で下方方向に弾性付勢力を及ぼし、それによって、真っ直ぐな別個の位置にアンビル先端部(1920)を維持する。この付勢力を克服するのに十分なほど下方方向に外部入力力をアンビル先端部(1920)に加えると、アンビル先端部(1920)は、スプリングプレート(1970)、接続部材(1940)、及びアンビル本体(1910)に対して下方に枢動し始める。この外部入力力は、アンビル(1900)が患者の外部にあるときに操作者によって、又はアンビル(1900)が外科的処置中に患者内にあるときに、操作者がアンビル先端部(1920)を位置決めする組織構造によって、付与され得る。
【0151】
図60Bは、上部アームセグメント(1986)と中央のアームセグメント(1984)との間の鋭い屈曲に到達する先細突出部(1930)を示す。この鋭い屈曲は、ジョイントの先細突出部(1930)の上を下方に通過すると、先細突出部(1930)に対して中央のアームセグメント(1984)によって及ぼされる弾性付勢力の下、
図60Cに示される位置に向かって下方に「スナップ」し、ひいては、下方の(又は「湾曲した」)別個の位置にアンビル先端部(1920)をもたらすように、「スナップ点」としての役割を果たす。このスナップ効果は、視覚的観察に加えて、アンビル先端部(1920)が下方に角度付けされた別個の位置をとっているという可聴及び/又は触覚指標をユーザに提供し得る。アンビル先端部(1920)が外部入力力によって上方に作動して、下方に角度付けされた別個の位置から真っ直ぐな別個の位置へと移行するときに、同様のスナップ効果が行われ得ることが理解されよう。
図60Cに示される下方に角度付けされた別個の位置に到達すると、スプリングアーム(1980)の上部アームセグメント(1986)は、先細突出部(1930)の下側面に対して角度の付いた状態で上方方向に弾性付勢力を及ぼし、それによって、下方に角度付けされた別個の位置にアンビル先端部(1920)を維持する。
【0152】
図60A~
図60Cに示されるように、アンビル先端部(1920)の先細突出部(1930)とスプリングプレート(1970)のスプリングアーム(1980)との間の境界面は、近位ヒンジ構造(1928)及び遠位ヒンジリップ(1988)によって画定される横枢動軸の近位にある。したがって、先細突出部(1930)を、接続部材(1940)の内側チャネル(1954)内で上方に付勢することにより、アンビル本体(1910)に対するアンビル先端部(1920)の遠位端(1922)の下方の付勢をもたらす。同様に、先細突出部(1930)を内側チャネル(1954)内で上方に付勢すると、アンビル本体(1910)に対するアンビル先端部(1920)の遠位端(1922)の上方の付勢をもたらす。
【0153】
本変形例のスプリングアーム(1980)は、単一の鋭い屈曲によって分離された2つの上方に延在するアームセグメント(1984、1986)を含み、ひいては、単一の「スナップ点」移行によって分離されたアンビル本体(1910)に対するアンビル先端部(1920)の2つの別個の位置を画定する。スプリングアーム(1980)は、スプリングアーム(1980)の垂直寸法に沿ってこの「スナップ点」移行を位置特定して、スプリングプレート(1970)内の応力を最適化し、アンビル先端部(1920)の第1の別個の位置と第2の別個の位置との間の結果として生じる移行の運動学を調整するように、好適に構築され得る。更に、スプリングアーム(1980)は、代替的に、他の変形例において、各々が、アンビル本体(1910)に対するアンビル先端部(1920)の任意の所望の量の別個の位置を達成するために、「スナップ点」移行として機能する対応する鋭い屈曲によって分離されている、様々な他の量及び構成の上方に延在するセグメントで構成することができることが理解されよう。更に、スプリングアーム(1980)の形状及び硬さは、所定の外部入力力(複数可)に応答して、隣接する別個の位置の間にアンビル先端部(1920)の「スナップ」を提供するように選択され得る。
【0154】
3.例示的な代替のスプリングプレート
いくつかの例では、スプリングプレート(1970)の様々な性能特性を調整するため、例えば、特定の用途向けに、スプリングプレートの弾性偏向中に、スプリングプレート(1970)内で固有かつ好ましい応力分布を提供するために、上述のスプリングプレート(1970)の1つ又は2つ以上の特徴部を代替的に構成することが望ましい場合がある。
図61~
図66は、複数の例示的な代替のスプリングプレート構成を示しており、これらの各々は、上述のアンビル(1818、1900)と共に使用するように構成されており、以下に別途記載する点を除き、スプリングプレート(1970)と同様である。
【0155】
図61は、一対の側面タブ(2004)及び隙間(2008)を備えた近位タブ(2006)を有する基体プレート部分(2002)と、近位スプリングアーム(2010)と、遠位ヒンジリップ(2012)と、を含む、例示的なスプリングプレート(2000)を示す。この変形例では、スプリングプレート(1970)に対して、側面タブ(2004)は、増加した表面積を備え、近位タブ(2006)は、丸みを帯びており、スプリングアーム(2010)の基体における長手方向側面切り欠き(2014)は、近位方向に長くなっており、それによって、偏向中にスプリングプレート(2000)内でより好ましい応力分布が促進される。他の変形例では、近位の隙間(2008)は省略することができ、スプリングプレート(2000)は、本明細書の教示を鑑みて当業者に明らかな様々な他の好適な方法で接続部材(1940)に固設することができる。
【0156】
図62は、一対の側面タブ(2024)及び隙間(2028)を備えた丸みを帯びた近位端部分(2026)を有する基体プレート部分(2022)と、近位スプリングアーム(2030)と、遠位ヒンジリップ(2032)と、を含む、例示的なスプリングプレート(2020)を示す。この変形例では、各側面タブ(2024)は、側面タブ(2024)にわたって横方向に延在するひだ(2034)を含む。ひだ(2034)は、スプリングプレート(2020)の長手方向に弾性的に延在し、それによって、スプリングプレート(2020)が、アンビル本体(1910)に対してアンビル先端部(1920)の作動中に弾性的に伸長する一方、スプリングアーム(2030)もまた、基体プレート部分(2022)に対して弾性的に偏向し、それによって、スプリングプレート(2020)内の応力を再分布させることを可能にするように構成されている。
【0157】
図63は、一対の側面タブ(2044)及び丸みを帯びた近位端部分(2046)を有する基体プレート部分(2042)と、近位スプリングアーム(2048)と、遠位ヒンジリップ(2050)と、を含む、別の例示的なスプリングプレート(2040)を示す。スプリングプレート(2020)と同様に、スプリングプレート(2040)の各側面タブ(2044)は、弾性ひだ(2052)を含むが、ひだ(2052)は、スプリングプレート(2020)のひだ(2034)よりも高い。
【0158】
図64は、一対の側面タブ(2064)及び丸みを帯びた近位端部分(2066)を有する基体プレート部分(2062)と、遠位ヒンジリップ(2068)と、を含む、別の例示的なスプリングプレート(2060)を示す。スプリングプレート(2040)と同様に、スプリングプレート(2060)の各側面タブ(2064)は、スプリングプレート(2020)のひだ(2034)に対して高さが増加した弾性ひだ(2070)を含む。各ひだ(2070)は、平坦な上面(2072)を更に含む。近位スプリングアームは、スプリングプレート(2060)から省略され、アンビル先端部(1920)の先細の近位突出部(1930)は、代わりに、例えば、アンビル(1818)に関連して上述した構成と同様に、接続部材(1940)の1つ又は2つ以上の内側表面と摩擦係合して、第1の別個の位置及び第2の別個の位置をとるように構成されている。
【0159】
図65は、一対の側面タブ(2084)及び隙間(2088)を備えた近位タブ(2086)を有する基体プレート部分(2082)と、近位スプリングアーム(2090)と、遠位ヒンジリップ(2092)と、を含む、別の例示的なスプリングプレート(2080)を示す。この変形例では、基体プレート部分(2080)は、スプリングプレート(1970)の基体プレート部分(1972)と比べて細長い。
図66の概略図に示されるように、基体プレート部分(2082)のこの伸長は、スプリングアーム(2090)からより遠位の距離で遠位ヒンジリップ(2092)を離間配置させる。この構成により、遠位ヒンジリップ(2092)が、基体プレート部分(2082)及びスプリングアーム(2090)の近位端に対して上方にわずかに撓むことを可能にする。その結果、スプリングアーム(2090)及びアンビル先端部(1920)の先細突出部(1930)は、スプリングプレート(1970)の対応する関係と比較して、基体プレート部分(2082)及びアンビル本体(1910)の長手方向軸に対してより平行なベクトル(V)に沿った先端部の位置移行中に互いに相互の力を及ぼす。かかる構成は、スプリングアーム(2090)内のより好ましい応力分布を促進することができる。
【0160】
4.先端部をトグル切り替えするための例示的な追加の特徴部
いくつかの例では、外科的処置中の使用の様々な態様を改善する例示的な代替特徴部を有するアンビル先端部(1920)を提供することが望ましい場合がある。
図67は、アンビル本体(1910)及び例示的な代替の遠位先端部(2100)が嵌められた接続部材(1940)を示す。アンビル先端部(2100)は、アンビル先端部(2100)が、接続部材(1940)の遠位面にごく近接して、かつ直接向かい合って位置決めされた近位角部(2102)を有することを除いて、上述のアンビル先端部(1920)と同様である。したがって、この構成は、アンビル先端部(2100)の近位端と接続部材(1940)の遠位端との間の長手方向間隙のサイズを最小化する。有利には、この間隙の最小化は、接続部材(1940)に対してアンビル先端部(2100)をトグル切り替えする間に間隙内に組織が引っ掛かり、これにより、別様に外科的処置中に組織による望ましくない外傷を引き起こし得るリスクを低減する。
【0161】
図68は、アンビル先端部(1920)の代わりにアンビル(1900)と共に使用するように構成された別の例示的な代替のアンビル先端部(2110)を示す。アンビル先端部(2110)は、アンビル先端部(2110)が、アンビル先端部(1920)と同じ一般的な形状を画定するように、内側コア部材(2112)と、内側コア部材(2112)の上にオーバーモールドされたポリマージャケット(2114)と、を含むことを除いて、アンビル先端部(1920)と同様である。ポリマージャケット(2114)は、例えば、シリコーンで形成され得、先端部(2100)の可撓性が高められ、結果として、アンビル先端部(1920)に対してより非外傷性の構築物をもたらすことができる。
【0162】
5.一体型リビングハイビング(Living Hiving)を備えたトグル切り替えする先端部ユニット
いくつかの例では、アンビル先端部(1920)及び接続部材(1940)を、アンビル本体(1910)に取り付け可能でありながら、依然としてアンビル先端部(1920)が第1の別個の位置と第2の別個の位置との間で接続部材(1940)に対して枢動することを可能にする、単一の一体型構成要素として形成することが望ましい場合がある。
図69~
図70Bは、かかる構築物を呈する例示的なトグル切り替えする先端部ユニット(2200)を示す。具体的には、先端部ユニット(2200)は、近位接続部分(2210)と、間に一体的に形成されたリビングヒンジ(2202)を介して近位接続部分(2210)に対して枢動するように構成された遠位先端部分(2220)と、を含む。
【0163】
図70Aは、接続部分(2210)の第1のセグメント(2212)が、第1のセグメント(2212)とヒンジにより連結された接続部分(2210)の第2のセグメント(2214)と同じ平面内に存在する、予め組み立てられた状態の先端部ユニット(2200)を示す。
図70A及び
図70Bに示されるように、第1のセグメント(2212)は、ヒンジ連結の上で裏返されて、第2のセグメント(2214)の上面と噛み合い、それによって、第1の接続部分セグメント(2212)と第2の接続部分セグメント(2214)との間に形成された空洞(2230)内で先端部部分(2220)の近位端に形成された上方突出部(2222)を捕捉する。次いで、先端部部分(2220)は、第1の別個の位置と第2の別個の位置との間でリビングヒンジ(2202)を中心として、接続部分(2210)に対して選択的に枢動可能である。具体的には、第1のセグメント(2212)によって画定される空洞(2230)の上壁は、近位戻り止め凹部(2232)と、中に先端部部分(2220)の上方突出部(2222)を解放可能に捕捉するように構成された遠位戻り止め凹部(2234)と、を含む。上方突出部(2222)を近位戻り止め凹部(2232)内に位置決めすることにより、先端部部分(2220)が接続部分(2210)に対して真っ直ぐな構成で提供される。上方突出部(2222)を遠位戻り止め凹部(2232)内に位置決めすることにより、
図69及び
図70Bに示されるように、先端部部分(2220)が下方に角度付けされた位置に提供される。
【0164】
V.例示的な組み合わせ
以下の実施例は、本明細書の教示を組み合わせるか又は適用することができる、様々な非網羅的な方法に関する。以下の実施例は、本出願における又は本出願の後の書類提出におけるどの時点でも提示され得る、いずれの請求項の適用範囲をも限定することを目的としたものではないと理解されよう。一切の権利放棄を意図するものではない。以下の実施例は、単なる例示の目的で与えられるものに過ぎない。本明細書の様々な教示は、他の多くの方法で構成及び適用が可能であると考えられる。また、いくつかの変形では、以下の実施例において言及される特定の特徴部を省略してよいことも考えられる。したがって、本発明者又は本発明者の利益の承継者により、後日、そうである旨が明示的に示されない限り、以下に言及される態様又は特徴部のいずれも重要なものとしてみなされるべきではない。以下に言及される特徴部以外の更なる特徴部を含む請求項が本出願において、又は本出願に関連する後の書類提出において示される場合、それらの更なる特徴部は、特許性に関連するいかなる理由によっても追加されたものとして仮定されるべきではない。
【実施例1】
【0165】
外科用器具エンドエフェクタであって、外科用器具エンドエフェクタであって、(a)ステープルカートリッジを受容するように構成された第1のジョーと、(b)複数のステープル成形ポケットを有するアンビルを備える第2のジョーであって、第1のジョー及び第2のジョーが、第1のジョーと第2のジョーとの間に位置決めされた組織をクランプ及びステープル留めするように動作可能である、第2のジョーと、(c)アンビルの遠位端に移動可能に配設された先端部部材であって、アンビルに対して第1の別個の位置と第2の別個の位置との間でトグル切り替えするように構成されている、先端部部材と、を備え、第1の別個の位置にある先端部部材が、第1のジョーに向かって角度の付いた状態で配向され、第2の別個の位置にある先端部部材が、第1の別個の位置から離れる方向に角度の付いた状態で配向される、外科用器具エンドエフェクタ。
【実施例2】
【0166】
アンビルが、長手方向軸を画定し、先端部部材が、第2の別個の位置において長手方向軸と平行に延在するように構成されている、実施例1に記載の外科用器具エンドエフェクタ。
【実施例3】
【0167】
先端部部材が、第1の別個の位置と第2の別個の位置との間で横軸を中心としてアンビルに対して移動可能である、実施例1又は2に記載の外科用器具エンドエフェクタ。
【実施例4】
【0168】
先端部部材が、外部入力力とは無関係に、第1の別個の位置及び第2の別個の位置の各々を維持するように構成されている、実施例1~3のいずれか1つに記載の外科用器具エンドエフェクタ。
【実施例5】
【0169】
先端部部材の近位端が、先細突出部を含み、先細突出部が、第1の別個の位置と第2の別個の位置との間でアンビルに対して移動可能である、実施例1~4のいずれか1つに記載の外科用器具エンドエフェクタ。
【実施例6】
【0170】
先端部部材を第1の別個の位置及び第2の別個の位置の各々に向かって付勢するように構成された弾性部材を更に備える、実施例1~5のいずれか1つに記載の外科用器具エンドエフェクタ。
【実施例7】
【0171】
弾性部材が、先端部部材をアンビルに対して長手方向に拘束する一方、先端部部材が第1の別個の位置と第2の別個の位置との間でアンビルに対して移動することを可能にするように構成されている、実施例6に記載の外科用器具エンドエフェクタ。
【実施例8】
【0172】
先端部部材が、弾性部材の遠位端と枢動可能に連結され、先端部部材が、第1の別個の位置と第2の別個の位置との間で弾性部材に対して枢動可能である、実施例6又は7に記載の外科用器具エンドエフェクタ。
【実施例9】
【0173】
先端部部材が、空洞を含み、弾性部材の遠位端が、空洞内に受容されている、実施例6~8のいずれか1つに記載の外科用器具エンドエフェクタ。
【実施例10】
【0174】
弾性部材が、スプリングアームを含み、先端部部材の近位端が、第1の別個の位置でスプリングアームの第1の部分と係合し、第2の別個の位置でスプリングアームの第2の部分と係合するように構成されている、実施例6~9のいずれか1つに記載の外科用器具エンドエフェクタ。
【実施例11】
【0175】
弾性部材の近位端が、アンビルに対して長手方向に固定されている、実施例6~10のいずれか1つに記載の外科用器具エンドエフェクタ。
【実施例12】
【0176】
先端部部材をアンビル本体と連結する接続部材を更に備え、弾性部材が、接続部材内に少なくとも部分的に格納されている、実施例6~11のいずれか1つに記載の外科用器具エンドエフェクタ。
【実施例13】
【0177】
接続部材が、内側チャネルを含み、先端部部材の近位端が、内側チャネル内に移動可能に受容されている、実施例12に記載の外科用器具エンドエフェクタ。
【実施例14】
【0178】
先端部部材をアンビル本体と連結する接続部材を更に備え、接続部材が、中に先端部部材の近位端を移動可能に受容する内側チャネルを含む、実施例1~13のいずれか1つに記載の外科用器具エンドエフェクタ。
【実施例15】
【0179】
外科用器具であって、(a)本体と、(b)本体から遠位方向に延在するシャフトと、(c)実施例1~14のいずれか1つに記載のエンドエフェクタと、を備え、エンドエフェクタが、シャフトの遠位端に配設されている、外科用器具。
【実施例16】
【0180】
外科用器具エンドエフェクタであって、(a)ステープルカートリッジを受容するように構成された第1のジョーと、(b)複数のステープル成形ポケットを有するアンビルを備える第2のジョーであって、第1のジョー及び第2のジョーが、第1のジョーと第2のジョーとの間に位置決めされた組織をクランプ及びステープル留めするように動作可能である、第2のジョーと、(c)アンビルの遠位端に移動可能に配設された先端部部材であって、第1の別個の位置と第2の別個の位置との間で横軸を中心として、アンビルに対して移動可能である、先端部部材と、を備え、第1の別個の位置にある先端部部材が、外部入力力によって作用されるまで第1の別個の位置を維持するように構成され、第2の別個の位置にある先端部部材が、外部入力力によって作用されるまで第2の別個の位置を維持するように構成されている、外科用器具エンドエフェクタ。
【実施例17】
【0181】
先端部部材の近位端が、突出部を含み、突出部が、第1の別個の位置と第2の別個の位置との間でアンビルに対して移動可能である、実施例16に記載の外科用器具エンドエフェクタ。
【実施例18】
【0182】
先端部部材を第1の別個の位置及び第2の別個の位置の各々に向かって付勢するように構成された弾性部材を更に備える、実施例16又は17に記載の外科用器具エンドエフェクタ。
【実施例19】
【0183】
外科用器具エンドエフェクタと共に使用するように構成されたアンビルであって、(a)アンビル本体と、(b)アンビル本体上に提供された複数のステープル成形ポケットと、(c)アンビル本体の遠位端に移動可能に連結された先端部部材であって、先端部部材が、第1の別個の位置と第2の別個の位置との間でアンビル本体に対して移動可能である、先端部部材と、(d)弾性部材であって、先端部部材が第1の別個の位置にあるときには第1の別個の位置で、先端部部材が第2の別個の位置にあるときには第2の別個の位置で、先端部部分を解放可能に維持するように構成されている、弾性部材と、を備える、アンビル。
【実施例20】
【0184】
弾性部材が、先端部部材をアンビル本体に対して長手方向に少なくとも部分的に拘束する一方、先端部部材がアンビル本体に対して枢動することを可能にするように構成されている、実施例19に記載のアンビル。
【0185】
VI.その他
本明細書に記載の教示、表現、実施形態、実施例などのうちのいずれか1つ又は2つ以上を、本明細書に記載の他の教示、表現、実施形態、実施例などのうちのいずれか1つ又は2つ以上と組み合わせることができる点が理解されるべきである。したがって、上記の教示、表現、実施形態、実施例などは、互いに対して独立して考慮されるべきではない。本明細書の教示に照らして、本明細書の教示を組み合わせることができる様々な好適な方法が、当業者には容易に明らかとなろう。かかる改変及び変形は、「特許請求の範囲」内に含まれるものとする。
【0186】
更に、本明細書の教示のいずれか1つ又は2つ以上は、本明細書と同日付けで出願された「Surgical Stapler with Deflectable Distal Tip」と題した米国特許出願第[代理人参照番号END9103USNP1]号、及び/又は本明細書と同日付けで出願された「Surgical Stapler with Rotatable Distal Tip」と題した第[代理人参照番号END9103USNP2]号に開示される教示のいずれか1つ又は2つ以上と組み合わせることができる。これらの米国特許出願の各々の開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0187】
本明細書の教示は、2018年12月18日発行の「Surgical Stapler End Effector with Varying Deck Height and Tissue Gripping Features」と題した米国特許第D836,198号、2018年11月6日発行の「Circular Surgical Stapler End Effector with Varying Deck Height and Tissue Gripping Features」と題した米国特許第D833,010号、2018年8月23日公開の「Surgical Stapler with Insertable Distal Anvil Tip」と題した米国特許公開第2018/0235610号、2018年8月23日公開の「Surgical Stapler with Cooperating Distal Tip Features on Anvil and Staple Cartridge」と題した米国特許公開第2018/0235611号、2018年12月18日発行の「Surgical Stapler with Bent Anvil Tip and Angled Staple Cartridge Tip」と題した米国特許第D836,199号、2018年8月23日公開の「Surgical Stapler with Bent Anvil Tip,Angled Staple Cartridge Tip,and Tissue Gripping Features」と題した米国特許公開第2018/0235619号、2019年1月3日公開の「Method of Surgical Stapling with End Effector Component Having a Curved Tip」と題した米国特許公開第2019/0000481号、2018年12月28日出願の「Method of Applying Buttresses to Surgically Cut and Stapled Sites」と題した米国特許出願第16/235,617号、2018年7月16日出願の「Permanent Attachment Means for Curved Tip of Component of Surgical Stapling Instrument」と題した米国特許出願第16/035,872号、2018年7月16日出願の「Surgical Stapling End Effector Component with Deformable Tip Having Void」と題した米国特許出願第16/035,803号、2018年7月16日出願の「Surgical Stapling End Effector Component with Deformable Tip Skewing in Multiple Planes」と題した米国特許出願第16/035,821号、2018年7月16日出願の「Surgical Stapling End Effector Component with Articulation and Asymmetric Deformable Tip」と題した米国特許出願第16/035,825号、2018年7月16日出願の「Permanent Attachment Means for Curved Tip of Component of Surgical Stapling Instrument」と題した米国特許出願第16/035,831号、2018年7月16日出願の「Buttress Applier Cartridge for Surgical Stapler Having End Effector with Deflectable Curved Tip」と題した米国特許出願第16/035,834号の様々な教示と容易に組み合わせることができることも理解されたい。本明細書の教示が上記の米国特許、米国特許公開、及び米国特許出願の教示と組み合わされ得る様々な好適な方法が当業者には明らかとなろう。上に引用した米国特許、米国特許出願公開、及び、米国特許出願の各々の開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0188】
本明細書に参照により組み込まれると言及されるあらゆる特許、公報、又はその他の開示内容は、全体的に又は部分的に、組み込まれる内容が現行の定義、見解、又は本開示に記載されるその他の開示内容とあくまで矛盾しない範囲でのみ本明細書に組み込まれると理解されるべきである。それ自体、また必要な範囲で、本明細書に明瞭に記載される開示内容は、参照により本明細書に組み込まれるあらゆる矛盾する記載に優先するものとする。参照により本明細書に組み込まれると言及されているが、現行の定義、見解、又は本明細書に記載される他の開示内容と矛盾する任意の内容、又はそれらの部分は、組み込まれた内容と現行の開示内容との間に矛盾が生じない範囲においてのみ、組み込まれるものとする。
【0189】
上記の装置の変形例は、医療専門家により行われる従来の治療及び処置における用途のみではなく、ロボット支援された治療及び処置における用途をも有することができる。単に一例として、本明細書の様々な教示は、ロボット外科用システム、例えばIntuitive Surgical,Inc.(Sunnyvale,California)によるDAVINCI(商標)システムなどに容易に組み込まれ得る。
【0190】
上述の装置の変形例は、1回の使用後に処分するように設計することができ、又はそれらは、複数回使用するように設計することができる。変形例は、いずれか又は両方の場合においても、少なくとも1回の使用後に再利用のために再調整され得る。再調整は、装置の分解工程、それに続く特定の部品の洗浄又は交換工程、及びその後の再組立工程の、任意の組み合わせを含み得る。特に、装置のいくつかの変形例は分解することができ、また、装置の任意の数の特定の部分若しくは部品を、任意の組み合わせで選択的に交換又は取り外してもよい。特定の部品の洗浄及び/又は交換後、装置のいくつかの変形例を、再調整用の施設において、又は処置の直前にユーザによってのいずれかで、その後の使用のために再組み立てすることができる。当業者であれば、装置の再調整において、分解、洗浄/交換、及び再組立のための様々な技術を利用することができることを理解するであろう。かかる技術の使用、及び結果として得られる再調整された装置は、全て本発明の範囲内にある。
【0191】
単に一例として、本明細書に記載される変形例は、処置の前及び/又は後に滅菌されてもよい。1つの滅菌技術では、装置をプラスチック製又はTYVEK製のバックなど、閉鎖及び封止された容器に入れる。次いで、容器及び装置を、γ線、X線、又は高エネルギー電子線などの、容器を透過し得る放射線場に置いてもよい。放射線は、装置上及び容器内の細菌を死滅させ得る。次いで、滅菌された装置を、後の使用のために、滅菌容器内に保管してもよい。β線若しくはγ線、エチレンオキシド、又は水蒸気が挙げられるがこれらに限定されない、当該技術分野で既知のその他の任意の技術を用いて、装置を滅菌してもよい。
【0192】
以上、本発明の様々な実施形態を示し、記載したが、当業者による適切な改変により、本発明の範囲から逸脱することなく、本明細書に記載の方法及びシステムの更なる適合化を実現することができる。かかる可能な改変のうちのいくつかについて述べたが、他の改変も当業者には明らかになるであろう。例えば、上記の実施例、実施形態、形状、材料、寸法、比率、工程などは例示的なものであって、必須のものではない。したがって、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲の観点から考慮されるべきものであり、本明細書及び図面に示され記載された構造及び動作の細部に限定されないものとして理解される。
【0193】
〔実施の態様〕
(1) 外科用器具エンドエフェクタであって、
(a)ステープルカートリッジを受容するように構成された第1のジョーと、
(b)複数のステープル成形ポケットを有するアンビルを備える第2のジョーであって、前記第1のジョー及び前記第2のジョーが、前記第1のジョーと前記第2のジョーとの間に位置決めされた組織をクランプ及びステープル留めするように動作可能である、第2のジョーと、
(c)前記アンビルの遠位端に移動可能に配設された先端部部材であって、前記アンビルに対して第1の別個の位置と第2の別個の位置との間でトグル切り替えするように構成されている、先端部部材と、を備え、
前記第1の別個の位置にある前記先端部部材が、前記第1のジョーに向かって角度の付いた状態で配向され、
前記第2の別個の位置にある前記先端部部材が、前記第1の別個の位置から離れる方向に角度の付いた状態で配向される、外科用器具エンドエフェクタ。
(2) 前記アンビルが、長手方向軸を画定し、前記先端部部材が、前記第2の別個の位置において前記長手方向軸と平行に延在するように構成されている、実施態様1に記載の外科用器具エンドエフェクタ。
(3) 前記先端部部材が、前記第1の別個の位置と前記第2の別個の位置との間で横軸を中心として前記アンビルに対して移動可能である、実施態様1に記載の外科用器具エンドエフェクタ。
(4) 前記先端部部材が、外部入力力とは無関係に、前記第1の別個の位置及び前記第2の別個の位置の各々を維持するように構成されている、実施態様1に記載の外科用器具エンドエフェクタ。
(5) 前記先端部部材の近位端が、先細突出部を含み、前記先細突出部が、前記第1の別個の位置と前記第2の別個の位置との間で前記アンビルに対して移動可能である、実施態様1に記載の外科用器具エンドエフェクタ。
【0194】
(6) 前記先端部部材を前記第1の別個の位置及び前記第2の別個の位置の各々に向かって付勢するように構成された弾性部材を更に備える、実施態様1に記載の外科用器具エンドエフェクタ。
(7) 前記弾性部材が、前記先端部部材を前記アンビルに対して長手方向に拘束する一方、前記先端部部材が前記第1の別個の位置と前記第2の別個の位置との間で前記アンビルに対して移動することを可能にするように構成されている、実施態様6に記載の外科用器具エンドエフェクタ。
(8) 前記先端部部材が、前記弾性部材の遠位端と枢動可能に連結され、前記先端部部材が、前記第1の別個の位置と前記第2の別個の位置との間で前記弾性部材に対して枢動可能である、実施態様6に記載の外科用器具エンドエフェクタ。
(9) 前記先端部部材が、空洞を含み、前記弾性部材の遠位端が、前記空洞内に受容されている、実施態様6に記載の外科用器具エンドエフェクタ。
(10) 前記弾性部材が、スプリングアームを含み、前記先端部部材の近位端が、前記第1の別個の位置で前記スプリングアームの第1の部分と係合し、前記第2の別個の位置で前記スプリングアームの第2の部分と係合するように構成されている、実施態様6に記載の外科用器具エンドエフェクタ。
【0195】
(11) 前記弾性部材の近位端が、前記アンビルに対して長手方向に固定されている、実施態様6に記載の外科用器具エンドエフェクタ。
(12) 前記先端部部材を前記アンビル本体と連結する接続部材を更に備え、前記弾性部材が、前記接続部材内に少なくとも部分的に格納されている、実施態様6に記載の外科用器具エンドエフェクタ。
(13) 前記接続部材が、内側チャネルを含み、前記先端部部材の近位端が、前記内側チャネル内に移動可能に受容されている、実施態様12に記載の外科用器具エンドエフェクタ。
(14) 前記先端部部材を前記アンビル本体と連結する接続部材を更に備え、前記接続部材が、中に前記先端部部材の近位端を移動可能に受容する内側チャネルを含む、実施態様1に記載の外科用器具エンドエフェクタ。
(15) 外科用器具であって、
(a)本体と、
(b)前記本体から遠位方向に延在するシャフトと、
(c)実施態様1に記載のエンドエフェクタと、を備え、前記エンドエフェクタが、前記シャフトの遠位端に配設されている、外科用器具。
【0196】
(16) 外科用器具エンドエフェクタであって、
(a)ステープルカートリッジを受容するように構成された第1のジョーと、
(b)複数のステープル成形ポケットを有するアンビルを備える第2のジョーであって、前記第1のジョー及び前記第2のジョーが、前記第1のジョーと前記第2のジョーとの間に位置決めされた組織をクランプ及びステープル留めするように動作可能である、第2のジョーと、
(c)前記アンビルの遠位端に移動可能に配設された先端部部材であって、第1の別個の位置と第2の別個の位置との間で横軸を中心として前記アンビルに対して移動可能である、先端部部材と、を備え、
前記第1の別個の位置にある前記先端部部材が、外部入力力によって作用されるまで前記第1の別個の位置を維持するように構成され、
前記第2の別個の位置にある前記先端部部材が、外部入力力によって作用されるまで前記第2の別個の位置を維持するように構成されている、外科用器具エンドエフェクタ。
(17) 前記先端部部材の近位端が、突出部を含み、前記突出部が、前記第1の別個の位置と前記第2の別個の位置との間で前記アンビルに対して移動可能である、実施態様16に記載の外科用器具エンドエフェクタ。
(18) 前記先端部部材を前記第1の別個の位置及び前記第2の別個の位置の各々に向かって付勢するように構成された弾性部材を更に備える、実施態様16に記載の外科用器具エンドエフェクタ。
(19) 外科用器具エンドエフェクタと共に使用するように構成されたアンビルであって、
(a)アンビル本体と、
(b)前記アンビル本体上に提供された複数のステープル成形ポケットと、
(c)前記アンビル本体の遠位端に移動可能に連結された先端部部材であって、第1の別個の位置と第2の別個の位置との間で前記アンビル本体に対して移動可能である、先端部部材と、
(d)弾性部材であって、前記先端部部材が前記第1の別個の位置にあるときには前記第1の別個の位置で、前記先端部部材が前記第2の別個の位置にあるときには前記第2の別個の位置で、前記先端部部材を解放可能に維持するように構成されている、弾性部材と、を備える、アンビル。
(20) 前記弾性部材が、前記先端部部材を前記アンビル本体に対して長手方向に少なくとも部分的に拘束する一方、前記先端部部材が前記アンビル本体に対して枢動することを可能にするように構成されている、実施態様19に記載のアンビル。