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特許7467487ロッド状要素を製造するための方法及び装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-05
(45)【発行日】2024-04-15
(54)【発明の名称】ロッド状要素を製造するための方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   B21C 37/04 20060101AFI20240408BHJP
   B21C 37/06 20060101ALI20240408BHJP
【FI】
B21C37/04
B21C37/04 C
B21C37/06 G
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021544722
(86)(22)【出願日】2020-01-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-18
(86)【国際出願番号】 EP2020052339
(87)【国際公開番号】W WO2020157226
(87)【国際公開日】2020-08-06
【審査請求日】2022-11-30
(31)【優先権主張番号】102019102600.8
(32)【優先日】2019-02-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】515157459
【氏名又は名称】アレイマ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】フロボース, トマス
(72)【発明者】
【氏名】ヘッドバール, クリストファー
【審査官】中西 哲也
(56)【参考文献】
【文献】特開平01-192437(JP,A)
【文献】特開昭61-007506(JP,A)
【文献】特開昭61-169114(JP,A)
【文献】特開2007-152398(JP,A)
【文献】特開平01-211813(JP,A)
【文献】特開2017-201090(JP,A)
【文献】特開2014-037639(JP,A)
【文献】特開2003-290814(JP,A)
【文献】米国特許第06497029(US,B1)
【文献】中国特許出願公開第104384212(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21C 1/00-19/00
B21C 37/00-37/30
F16L 9/04
F16L 9/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロッド状要素(20)を製造する方法であって、以下の工程:
金属から、外径及び長手方向を有する管(3)を用意する工程(100)、
複数のヤーンを有する少なくとも1つのストランド(5)を用意する工程(101)であって、当該ヤーンのうち少なくとも1つが炭素繊維を有する、用意する工程(101)、
前記少なくとも1つのストランド(5)が、前記管(3)内で長手方向に延在するように、前記少なくとも1つのストランド(5)を前記管(3)内に導入する工程(102)、及び
冷間成形(103)前の前記管(3)の外径が、冷間成形後の前記管(3)の外径よりも大きくなるように、前記管(3)を、当該管内に導入されたストランド(5)とともに、変形工具によって冷間成形する工程(103)、
を含み、
前記管(3)を用意する工程(100)が、以下の工程:
金属板から、長手方向及び短手方向を有するストリップ(9)を用意する工程、
円筒形の断面を有する管状中空体(13)が生じるように、前記ストリップ(9)を短手方向に曲げる工程(105)、
長手方向で溶接された管(3)が生じるように、長手方向に延在する長い継ぎ目(19)で前記管状中空体(13)を溶接する工程(106)、
を含み、
前記少なくとも1つのストランド(5)を前記管(3)内に導入する工程(102)が、溶接(106)の前に、前記ストリップ(9)上に前記ストランド(5)を設けることによって行われる、方法。
【請求項2】
前記ストリップ(9)を短手方向に曲げる工程(105)が、以下の工程:
長手方向に延在する開口部を有するトレンチ状の中空体(16)が生じるように、前記ストリップ(9)を短手方向に事前に曲げる工程(107)、及び
円筒形の断面を有する管状中空体(13)が生じるように、前記ストリップ(9)を短手方向に曲げて仕上げる工程(108)
を含み、
前記少なくとも1つのストランド(5)を前記管(3)内に導入する工程(102)を、前記ストリップ(9)を曲げて仕上げる工程(108)の前に、前記トレンチ状の中空体(16)への前記開口部を通じて行う、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも1つのストランド(5)を前記管(3)内に導入する工程(102)、及び前記管(3)を前記少なくとも1つのストランド(5)とともに冷間成形する工程(103)を、1つの製造ラインで行う、請求項1又は2のいずれか一項に記載の方法。
【請求項4】
溶接(106)及び冷間成形(103)を、2mから4mの範囲の距離(d)で行う、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記管(3)がステンレス鋼から成る、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも1つのストランド(5)が、ロープ、織物、編組、ニット、及び多軸配向性スクリム又はこれらいずれかの組み合わせから選択されている、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記少なくとも1つのストランド(5)における炭素繊維の割合が少なくとも50%である、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
冷間成形(103)が、前記管(3)を前記少なくとも1つのストランド(5)とともに長手方向に引抜ダイ(7)で冷間引抜きすることによって行われ、前記引抜ダイ(7)の内径、及び冷間引抜き前における前記管(3)の外径は、冷間引抜き後に、前記管(3)及び前記少なくとも1つのストランド(5)が、摩擦結合により結合されているように選択される、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
引抜ダイ(7)の内径、及び冷間引抜き前における前記管(3)の外径は、冷間引抜き前における前記管(3)の肉厚(w)が、冷間引抜き後の肉厚よりも薄くなるように選択される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
ロッド状要素(20)を製造するための装置(1)であって、該装置(1)は、
金属製の管(3)のための送り装置(2)、
複数のヤーンを有する少なくとも1つのストランド(5)のための送り装置(4)、
変形工具を備える変形装置、
を有し、
前記管(3)のための前記送り装置(2)、及び前記少なくとも1つのストランド(5)のための前記送り装置(4)は、前記装置(1)の稼働時に、前記ストランド(5)が、前記管(3)内で材料の流れ方向において前記変形工具より前に延在するように、かつ前記金属製の管(3)が、当該管内に延在する前記少なくとも1つのストランド(5)とともに、前記変形工具によって変形可能なように構成されており、かつ配置されている、装置(1)。
【請求項11】
前記金属製の管(3)のための前記送り装置(2)が、
長手方向及び短手方向を有する、金属板製のストリップ(9)のための送り装置(8)、
円筒形の断面を有する管状中空体(13)が生じるように、前記ストリップ(9)を短手方向に曲げるための曲げ装置(10)、及び
長手方向で溶接された管(3)が生じるように、長手方向に延在する長い継ぎ目(19)で前記管状中空体(13)を溶接するための溶接装置(14)
を有し、
前記管(3)のための前記送り装置(2)、及び前記少なくとも1つのストランド(5)のための前記送り装置(4)が、前記ストランド(5)を、前記溶接装置(14)の前で、前記金属板製のストリップ(9)上に設けることができるように構成されており、かつ配置されている、請求項10に記載の装置(1)。
【請求項12】
前記装置(1)が制御装置(15)を備え、該制御装置(15)は、ストリップ(9)のための前記送り装置(8)、前記少なくとも1つのストランド(5)のための前記送り装置(4)、及び溶接装置(14)と作動可能に接続されており、前記制御装置(15)は、前記装置(1)の稼働中に、前記ストリップ(9)のための前記送り装置(8)の送り速度、前記少なくとも1つのストランド(5)のための前記送り装置(4)の送り速度、及び前記溶接装置(14)の溶接速度を制御する、請求項11に記載の装置(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロッド状要素を製造するための方法及び装置、並びに当該ロッド状要素に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術より、金属から中実ロッド状要素(例えば金属棒又は金属ロッド)を製造するための技術及び方法が知られている。このためには、金属から事前に作成した中実の円筒形ビレットを中実のロッド状要素へと変形させる、すなわち、特に圧延又は引抜き加工する。
【0003】
このようにして製造したロッド状要素は例えば、建築物の構築、強化及び外装補強のために使用される。高い引張負荷を受容可能にするため、各ロッド状要素の直径は、受容すべき引張負荷に適合される。しかしながら直径の増大は、ロッド状要素の自重増大につながる。よってこのようなロッド状要素を、特に建築物の強化及び外装補強のために使用することについては、限界がある。
【0004】
発明の概要
よって、前述の欠点のうち少なくとも1つを克服したロッド状要素、並びに当該ロッド状要素の製造方法及び製造装置が求められている。さらに、高い引張強度を有するとともに自重が軽いロッド状要素が求められている。
【0005】
よって本開示の第1の態様によれば、以下の工程を含むロッド状要素の製造方法が提案される:
金属から、外径及び長手方向を有する管を用意する工程、
複数のヤーンを有する少なくとも1つのストランドを用意する工程であって、当該ヤーンのうち少なくとも1つが炭素繊維を有する、用意する工程、
少なくとも1つのストランドが管内で長手方向に延在するように、少なくとも1つのストランドを管内に導入する工程、及び
冷間成形前の管の外径が、冷間成形後の管の外径よりも大きくなるように、管を、当該管内に導入されたストランドとともに、変形工具によって冷間成形する工程。
【0006】
この方法の基礎となる思想は、少なくとも1つのストランドを金属製の管内に導入することにより、高い引張強度を有する構造(すなわちロッド状要素)を提供するということである。別の表現で言い換えると、少なくとも1つのストランドが、ロッド状要素の芯材を形成するということであり、ここでこの管は、外被のように芯材を取り囲んで延びている。
【0007】
炭素繊維材料の密度は、金属材料よりも小さいため、同等の引張強度の場合、ロッド状要素の自重は、外径が同じ金属製の中実ロッド状要素と比較して減少する。
【0008】
管が外被という配置構成を形成することには、内部に存在する芯材、すなわち少なくとも1つのストランドが、周囲環境から保護されるという利点があり、例えば、設置された状態で周囲に存在するコンクリートによる摩耗から保護される。さもなくば、このような周囲からの影響は、ストランドの破壊又は損傷につながり得る。
【0009】
1つの実施形態において、管の伸びは、少なくとも1つのストランドの伸びよりも大きく、また同時に少なくとも1つのストランドの引張強度は、管の引張強度よりも大きい。
【0010】
金属から管を製造することは、原則的に知られている。基本的には、既知の方法で、シームレス管、すなわち長手方向に溶接の継ぎ目が無い管、及び長手方向で溶接された管、いわゆる長手方向溶接管が製造される。
【0011】
シームレス管を使用する場合、少なくとも1つのストランドを、用意した管の開口部へと軸方向に導く。長手方向溶接管については、ストランドを別の箇所に導入する工程を後に詳述する。
【0012】
1つの実施形態において、少なくとも1つのストランドの導入には、重量の削減に加えて、導入された炭素繊維により、中実の金属製ロッド状要素又は外径が同じ金属製の管と比較して、引張強度を向上させることができるという利点がある。よって少なくとも1つのストランドの導入によってまた、芯材が無い同等の金属製の管に比して利点が得られる。
【0013】
また1つの実施形態では、内部に少なくとも1つのストランドが配置された管を冷間成形することにより、ロッド状要素の引張強度全体に対して肯定的な影響がもたらされる。冷間成形法は例えば、中空の金属体を変形して完成品の管にするために使用される。冷間成形により、管の内径と外径が変化し、極めて正確に寸法決めすることができる。冷間成形はさらに、管の表面特性を改善させるために適している。
【0014】
加えて、冷間成形がひずみ硬化を引き起こすことによって、冷間成形で製造される管の特性は、狙い通りに変えることができる。ひずみ硬化によって、変形された管の材料強度、ひいては引張強度も向上させることができる。
【0015】
本開示の意味合いにおいて「冷間成形」とは、金属の再結晶温度よりも低い温度での変形と理解される。
【0016】
冷間成形と、冷間成形により引き起こされるひずみ硬化により、管の特性を変えることができるだけでなく、管を少なくとも1つのストランドに「焼き嵌め」することにより、また焼き嵌めによって少なくとも1つのストランドと管との間に形状結合及び/又は摩擦結合が生じることにより、ロッド状要素全体の特性を改善することができる。
【0017】
1つの実施形態では、管を管内に延在するストランドとともに冷間成形することにより、管と、管内に延在する少なくとも1つのストランドとの間に軸方向で緊密な形状結合がもたらされ、これによって少なくとも1つのストランドが、管に対して軸方向で動かなくなる。
【0018】
1つの実施形態では冷間成形により、管と管内に延在する少なくとも1つのストランドとの間に摩擦結合がもたらされ、これによって管と少なくとも1つのストランドとの摩擦力が、管と少なくとも1つのストランドとの間での軸方向の相対的な移動を防止する。こうして摩擦結合により、1つの実施形態では、中実の金属製ロッド状要素、又は外径が同じ金属製の管よりも、引張強度が高いロッド状要素が製造される。
【0019】
よって本開示の1つの実施形態では、冷間成形のための変形工具及び管が、冷間成形後に管と少なくとも1つのストランドとが相互に結合されているように構成されており、かつ配置されている。
【0020】
本開示の1つの実施形態では、冷間成形後に管及び少なくとも1つのストランドが、管の長手方向でストランドの延伸部全体にわたり、相互に摩擦結合されている。
【0021】
管は変形工具により、当該変形工具の調整に応じて、管が少なくとも1つのストランドに押し付けられるように変形させることができる。このようにして押しつけた結果、摩擦結合が生じる。少なくとも1つのストランドと管とが摩擦結合することにより、少なくとも1つのストランドが冷間成形後には、管に対して軸方向にずれなくなることが保証される。この際に半径方向には、少なくとも1つのストランドについて等方性の形状結合が働いている。
【0022】
炭素繊維を有する複数のヤーンが相互に、又は複数の炭素繊維が相互に摩擦されると、少なくともそれぞれの炭素繊維の脆弱化又は破壊につながり得る。これによって、ヤーンから形成されたストランドの特性も継続的に変化し、例えばストランドの引張強度が低下する。従って、冷間成形により管と少なくとも1つのストランドとの間に摩擦結合がもたらされる1つの実施形態では、各ヤーン同士の、及び/又は各炭素繊維同士の摩擦又は影響が減少する。1つの実施形態では冷間成形により、ヤーンが、及び/又は複数のストランドを有する実施形態では各ストランドが、全く、又は極めてわずかにしか相互にずれない。よってヤーンやストランドは、冷間成形によって管の内部で保護される。
【0023】
1つの実施形態では冷間成形工程を、管を管内に延在する少なくとも1つのストランドとともに長手方向で冷間ピルガー圧延装置において冷間圧延又は冷間ピルガー圧延することによって行う。この実施形態では、変形工具が圧延ローラ又はローラであると理解される。
【0024】
冷間ピルガー圧延は、管の内径及び外径を調整するために広く行われている変形法である。この際に管は、管の外径を規定するよう較正された2つのローラ又は圧延ローラに巻き込まれ、ローラ又は圧延ローラが、入ってくる管の外径をロッド状要素の外径へと減少させるように圧延される。
【0025】
さらなる実施形態では、管を管内に延在する少なくとも1つのストランドとともに長手方向において引抜ダイで冷間引抜きすることによって、冷間成形を行う。この実施形態では変形工具が、引抜ダイである。
【0026】
管の冷間引抜きは基本的に、内部工具を用いない方法(いわゆる空引き)と、内部工具を用いる方法(すなわち特に、浮きプラグ引き及び心金引き)とに区分される。本開示による方法の実施形態で冷間引抜きにより冷間成形を行う場合、冷間成形は基本的に、管の内部に内部工具が無い状態で行われる。ただし、1つの実施形態において、管を管内に延在する少なくとも1つのストランドとともに引抜ダイにより引抜くプロセスを、管を少なくとも1つのストランド上に引き延ばすものと理解することができる。この際に少なくとも1つのストランドは、内部工具と理解される。この際に1つの実施形態では、管、少なくとも1つのストランド及び引抜ダイについて適切に寸法決めすることにより、管と少なくとも1つのストランドとが緊密に接触するようにすることも有用であるが、ストランドが半径方向での力の作用により損傷を受けないように、又は全く損なわれることがないように留意する必要がある。
【0027】
本開示の1つの実施形態では、管を少なくとも1つのストランドとともに、長手方向で引抜ダイにより冷間引抜きすることによって、冷間成形を行う。この実施形態において引抜ダイは、本願の意味合いにおける変形工具である。その際に1つの実施形態では、冷間引抜き後に管と少なくとも1つのストランドとが摩擦結合しているように、引抜ダイの内径、及び冷間引抜き前の管の外径を選択する。
【0028】
本開示の1つの実施形態では、冷間成形後に、管及び少なくとも1つのストランドが、管の長手方向でストランドの延伸部全体にわたって摩擦結合している。
【0029】
本開示の意味合いにおける炭素繊維は、カーボンファイバー又はカーボン繊維とも呼ばれる。これらは工業的に製造され、原料に適合させた化学反応により、黒鉛のように配置された炭素に変換される。炭素繊維は強度及び剛性が高く、また軸方向での破断点伸びが比較的小さい。
【0030】
複数の炭素繊維はさらなる加工のため、1つのヤーンにまとめられる。炭素繊維を有するこのようなヤーンは、マルチフィラメントヤーン又はロービングとも呼ばれる。本開示によればヤーンという用語は、長くて薄い構造物と理解される。1つの実施形態において、本開示の意味合いにおけるヤーンは、炭素繊維に加えて、1つ又は複数の別の材料製の繊維を有することもできる。ヤーンは、本開示の意味合いにおけるストランドを製造するための中間生成物として用いられる。
【0031】
本開示の1つの実施形態において、少なくとも1つのストランドは、ロープ、織物、編組、ニット、束、及び多軸配向性スクリム、又はこれらいずれかの組み合わせから選択される。
【0032】
1つの実施形態において、複数のヤーンを有する少なくとも1つのストランドはさらに、炭素繊維以外の1つ若しくは複数の材料から成る1つ若しくは複数のヤーン、又は炭素繊維以外の1つ若しくは複数の材料を有する1つ若しくは複数のヤーンも備える。
【0033】
1つの実施形態においてストランドは例えば、炭素繊維の特性とは異なる少なくとも1つの特性を備える材料製の繊維を、さらに備える。このようなさらなる特性は、ロッド状要素の特性決定に肯定的な影響をもたらすことができる。例えば1つの実施形態では、例えば、このようにして製造されたロッド状要素の直線的な伸び限界を向上させるために、アラミド繊維及び/又はガラス繊維を備える少なくとも1つのさらなるヤーンを有するハイブリッドストランドを導入することができる。
【0034】
本開示の1つの実施形態において、少なくとも1つのストランドは、炭素繊維の割合が、少なくとも50%である。
【0035】
本開示の1つの実施形態において、少なくとも1つのストランドは、炭素繊維の割合が、少なくとも90%である。
【0036】
本開示の1つの実施形態では少なくとも1つのストランドが、完全に炭素繊維から成る。
【0037】
本開示の1つの実施形態では、冷間成形工程の後、ロッド状要素を短くして、所望の長さにする。
【0038】
本開示の1つの実施形態では、管を用意する工程は、以下の工程:
金属板から、長手方向及び短手方向を有するストリップを用意する工程、
円筒形の断面を有する管状中空体が生じるように、ストリップを短手方向に曲げる工程、
長手方向で溶接された管が生じるように、長手方向に延在する長い継ぎ目で管状中空体を溶接する工程、
を含み、
少なくとも1つのストランドを管内に導入する工程が、溶接の前に、ストリップ上にストランドを設けることによって行われる。
【0039】
この実施形態では、長手方向に溶接された管が、少なくとも1つのストランドにとっての外被として使用される。少なくとも1つのストランドは、管の溶接前、すなわち管自体を完成させる前に、管に導入され、かつ/又は管を形成することになる金属板製のストリップ上に設けられる。従ってこの実施形態により、少なくとも1つのストランドを管に容易に導入することができる。シームレス管の場合とは異なり、少なくとも1つのストランドを管に軸方向に導く必要はない。
【0040】
基本的には、いつストランドを金属板製のストリップ上に設けるか、すなわち金属板と介在させるかは、溶接前に設ける限り、たいして問題にならない。
【0041】
ただし、本開示の1つの実施形態では、ストリップを短手方向に曲げる工程が、以下の工程:
長手方向に延在する開口部を有するトレンチ状の中空体が生じるように、ストリップを短手方向に事前に曲げる工程、及び
円筒形の断面を有する管状中空体が生じるように、ストリップを短手方向に曲げて仕上げる工程
を含み、
少なくとも1つのストランドを管内に導入する工程を、ストリップを曲げて仕上げる工程の前に、トレンチ状の中空体への開口部を通じて行う。
【0042】
ストリップが短手方向に事前に曲げられ、トレンチ状の中空体が生じることによって、少なくとも1つのストランドは、少なくとも1つのストランドの導入に際して、事前に曲げることによって生じたトレンチに導かれる。こうして少なくとも1つのストランドの導入に際し、少なくとも1つのストランドが、ストリップ上に導入された位置からずれないことが保証される。
【0043】
本開示の1つの実施形態では、少なくとも1つのストランドを管内に導入すること、及び管を少なくとも1つのストランドとともに冷間成形することが、1つの製造ラインで行われる。
【0044】
「1つの製造ラインで」という用語は、本開示で使用される限り、少なくとも1つのストランドを管内に導入することと冷間成形が、同じ製造ラインで行われることを意味する。この際、1つの実施形態では、管のその他の部分が既に冷間成形されながら、当該管の一部でストランドを管に導入する。1つの実施形態ではさらに、少なくとも1つのストランドを導入する箇所と、管を冷間成形する箇所との間で、管の溶接も行う。
【0045】
本開示の1つの実施形態では、溶接及び冷間成形を2mから4mの範囲の距離で行う。
【0046】
意外なことに、溶接工程を行う箇所と、冷間成形工程を行う箇所との間の空間的な距離が2mから4mであることは、製造されたロッド状要素の特性に対して肯定的な影響をもたらすことが判明した。溶接と冷間成形をこの範囲より相互に狭い距離、又はこの範囲より相互に広い距離で行うと、管を管内に延在する少なくとも1つのストランドとともに冷間成形する際に、問題が生じ得る。
【0047】
本開示の1つの実施形態では、管がステンレス鋼から成る。ステンレス鋼には、その他の金属に比して引張強度が高く、また例えば環境による影響に対して耐性が高いという利点がある。
【0048】
本開示による方法の1つの実施形態では、冷間成形前、例えば冷間引抜き前の管の外径が、冷間成形後の外径よりも大きい。
【0049】
本開示の1つの実施形態では、冷間成形前の管の肉厚が、冷間成形後の肉厚よりも薄くなるように、変形工具及び冷間成形前の管の外径を選択する。本開示の1つの実施形態では、冷間引抜き前の管の肉厚が、冷間引抜き後の肉厚よりも薄くなるように、引抜きダイの内径、及び冷間引抜き前の管の外径を選択する。
【0050】
冷間成形、特に冷間引抜きによって、管の材料が変形工具、例えば引抜きダイにより、圧迫される。この際に、引抜きダイ及び管は、管の材料が内側に向かって同心状に圧迫されて、管の肉厚が冷間引抜後に冷間引抜き前よりも厚くなるように、目的に応じて選択する。
【0051】
本開示の第二の態様によれば、本開示による方法のいずれかの実施形態によって得られるロッド状要素が提案される。
【0052】
本方法について前述した実施形態のいずれかによって、又は本方法について前述した実施形態のあらゆる組み合わせによって、引張強度が高く、また引張強度が同じ金属製の中実ロッド状要素に比して自重が軽いロッド状要素が製造される。冷間成形、及び冷間成形により引き起こされる管のひずみ硬化、ひいては管と少なくとも1つのストランドとの間での緊密な形状接続によって管の特性が変わることにより、管の引張強度が向上する。
【0053】
このように製造されたロッド状要素はその内部に、複数のヤーンから成る少なくとも1つのストランド(ここで複数のヤーンのうち少なくとも1つは、炭素繊維を有するものである)と、当該ストランドを取り囲む金属製の管(当該管は、少なくとも1つのストランドを取り囲むものである)とを有する。
【0054】
本開示の1つの実施形態においてロッド状要素は、冷間成形によって少なくとも1つのストランドと管との間に摩擦結合がもたらされる本方法の実施形態により得られる。この実施形態において、管と少なくとも1つのストランドとの摩擦結合は、冷間成形の間に、管を少なくとも1つのストランドに押し付けることによってもたらされると理解される。この押し付けとひずみ硬化との組み合わせによって、外径が同じ金属製の中実ロッド要素の引張強度、また外径が同じ冷間成形された管の引張強度をも超える引張強度を有する、ロッド状要素が生じる。
【0055】
本開示のさらなる態様によれば、以下のようなロッド状要素が提案される:
長手方向を有する金属製の管と、
長手方向で管内に延在する少なくとも1つのストランドと、
を有するロッド状要素であって、ここで少なくとも1つのストランドは、炭素繊維を有する複数のヤーンを備えるものであり、管と少なくとも1つのストランドとが、摩擦結合されている、ロッド状要素。
【0056】
本開示の1つの実施形態では、管と少なくとも1つのストランドとが、管の長手方向でストランドの延伸部全体にわたって、相互に摩擦結合している。
【0057】
本開示は、第3の態様によれば、ロッド状要素を製造するための以下のような装置に関する:
金属製の管のための送り装置、
複数のヤーンを有する少なくとも1つのストランドのための送り装置、
変形工具を備える変形装置、
を有する、ロッド状要素を製造するための装置であって、
管のための送り装置、及び少なくとも1つのストランドのための送り装置は、装置の稼働時に、ストランドが、管内で材料の流れ方向において変形工具より前に延在するように、かつ金属製の管が、当該管内に延在する少なくとも1つのストランドとともに、変形工具によって変形可能なように構成されており、かつ配置されている、装置。
【0058】
本開示の以下の態様は、ロッド状要素を製造するための装置という観点で記載する限りにおいて、ロッド状要素を製造するための対応する前述の方法にも当てはまり、またその逆も成り立つ。本開示による装置によって本方法を実施する限り、本装置は、そのための対応する設備及び機器を備える。本装置の実施形態は特に、本方法について前述した実施形態を実施するために適している。
【0059】
本開示の1つの実施形態では、送り装置と変形装置とが、別個の、空間的に相互に分離された製造装置で実現されている。さらなる実施形態では、管のための送り装置、及び少なくとも1つのストランドのための送り装置、並びに変形装置が、1つの製造装置で実現され、この製造装置が、特許請求の対象とする装置である。
【0060】
本開示の1つの実施形態では変形装置が、金属製の管を冷間成形するための装置である。
【0061】
本開示の1つの実施形態では変形工具が、DIN 8580に準拠して管の変形を実施するための工具である。
【0062】
本開示の1つの実施形態では、変形装置が、変形工具として引抜きダイを備える引抜き台であり、ここでは装置の稼働時にストランドが、管内で材料の流れ方向において変形ダイより前に延在することによって、金属製の管及び少なくとも1つのストランドがともに、引抜きダイによって引抜き加工できるようになっている。
【0063】
本開示の1つの実施形態では、引抜き台が、連続的な引抜き台である。
【0064】
本開示の1つの実施形態では、金属製の管のための送り装置が、
長手方向及び短手方向を有する、金属板製のストリップのための送り装置、
円筒形の断面を有する管状中空体が生じるように、ストリップを短手方向に曲げるための曲げ装置、及び
長手方向で溶接された管が生じるように、長手方向に延在する長い継ぎ目で管状中空体を溶接するための溶接装置、
を有し、
管のための送り装置、及び少なくとも1つのストランドのための送り装置が、ストランドを、材料の流れ方向で溶接装置の前で、金属板製のストリップ上に設けることができるように構成されており、かつ配置されている。
【0065】
本開示の1つの実施形態では、金属板製のストリップを短手方向に曲げるための曲げ装置が、事前に曲げる装置、及び曲げて仕上げる装置を備え、
事前に曲げる装置は、事前に曲げる装置が、ストリップを短手方向に事前に曲げて、長手方向に延在する開口部を有するトレンチ状の中空体にするように調整及び配置されており、
曲げて仕上げる装置は、ストリップを短手方向に曲げて仕上げ、円筒形の断面を有する管状中空体にするように調整及び配置されており、
少なくとも1つのストランドのための送り装置は、送り装置が少なくとも1つのストランドを、材料の流れ方向で、事前に曲げる装置と曲げて仕上げる装置との間で、金属板製のトレンチ状の中空体上に設けるように調整及び配置されている。
【0066】
本開示の1つの実施形態では、本装置が制御装置を備え、当該制御装置は、ストリップのための送り装置、少なくとも1つのストランドのための送り装置、及び溶接装置と作動可能に接続されており、制御装置は、装置の稼働中に、ストリップのための送り装置の送り速度、少なくとも1つのストランドのための送り装置の送り速度、及び溶接装置の溶接速度を制御する。
【0067】
1つの実施形態では、この制御装置によって送り速度と溶接速度を、管と少なくとも1つのストランドとの摩擦結合に影響を与えるように制御する。1つの実施形態では、対応する速度の制御に応じて管と少なくとも1つのストランドとの摩擦結合が調整され、これによって例えば、管と少なくとも1つのストランドとが、管の長手方向においてストランドの延伸部全体にわたって均一に、相互に摩擦結合されている。
【0068】
1つの実施形態では、制御装置がさらに、変形装置の作業速度を制御する。
【0069】
1つの実施形態では、作業速度を制御することにより、管と少なくとも1つのストランドとの摩擦結合に影響を与えることもできる。
【0070】
1つの実施形態では制御装置が、コンピュータ又はプロセッサ、またこれらで実行可能なコンピュータプログラムを包含すると理解される。
【0071】
本開示の1つの実施形態では本装置が、溶接装置と、変形装置の変形工具、例えば引抜き台の引抜きダイとの間に、2mから4mの距離が存在するように構成されている。このような実施形態では、溶接装置と変形工具が、1つの製造装置の構成要素である。
【0072】
本開示についてさらなる利点、特徴、及び利用可能性は、以下の実施形態の説明、及び添付図面により明らかである。本開示の実施態様について、前述の一般的な説明及び後続の詳細な説明は、添付図面との関連で考察することによって、より良好に理解できる。ここに示した実施態様は、詳述した実施の構成形態に限られることはない。図面において、類似した要素については、同一の符号が付されている。
【図面の簡単な説明】
【0073】
図1】本開示の1つの実施形態に従ってロッド状要素を製造するための、本開示による方法の実施態様を示すフロー図である。
図2】本開示の別の実施態様に従ってロッド状要素を製造するための、本開示による方法のさらなる実施態様を示すフロー図である。
図3図2による方法を実現するための、ロッド状要素を製造する装置についての実施態様を示す概略的な平面図である。
図4図2による方法から、及び/又は図3による装置から得られたロッド状要素の実施態様についての、概略的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0074】
図1は、本開示に従ってロッド状要素を製造するための方法の実施態様を示すフロー図である。第1の工程100では、長手方向を有するステンレス鋼管を用意する。さらなる工程101では、第1の工程100と同時に、炭素繊維製の複数のヤーンから形成される編み物を用意する。こうして形成されたストランドは、ここに示した実施態様では、100%、炭素繊維から成る。
【0075】
ここに示した実施態様では、ステンレス鋼管がシームレス管、すなわち長手方向で溶接継ぎ目が無い管であり、ストランドがさらなる工程102で、ステンレス鋼管内に軸方向に差し込まれることにより、ストランドが管内で長手方向に延在する。ストランドをステンレス鋼管内に導入した後、工程103において、管を管内で長手方向に延在するストランドとともに、変形工具で冷間成形する。ここに示した実施態様では冷間成形が、冷間ピルガー圧延装置における冷間圧延によって行われる。冷間ピルガー圧延103の後、ステンレス鋼管及びストランドは、管の長手方向でストランドの延伸部全体にわたって、相互に摩擦結合している。
【0076】
図2は、ロッド状要素を製造するための方法のさらなる実施態様のフロー図を示す。ここで、この実施態様に従った方法の各工程は、1つの製造装置で進行し、この製造装置には、出発材料として、ステンレス鋼板製のストリップとストランドが供給される。
【0077】
よって図2に記載された方法との関連では、特殊管を用意する工程100が、ステンレス鋼管を独自に完成させる工程も含む。このために、管を用意する工程100は、まず工程104において、ステンレス鋼板製のストリップを用意する工程を含む。ここでこのストリップは、長手方向と短手方向を有するものである。工程105において、ストリップを短手方向に曲げて管にする。
【0078】
管を曲げるために、ストリップをまず工程107で、長手方向に延在する開口部を有するトレンチ状の中空体が生じるように、事前に曲げる。同時に工程101において、炭素繊維を有する複数のヤーンを有するストランド用意する。ここに示した実施態様ではストランドが、炭素繊維を60%の割合で有する編み物から成る。ステンレス鋼板を事前に曲げる工程107の後、工程102において、ストランドを長手方向でトレンチ状の中空体に導入する。トレンチ形状によりストランドはステンレス鋼板に導かれ、これによってストランドは、ステンレス鋼板から下にずれなくなる。ストランドをトレンチに導入した後、ステンレス鋼板を工程108において、短手方向に曲げて仕上げ、これにより円筒形の断面を有するとともにストランドの周囲に存在する、管状中空体が生じる。工程106では、ステンレス鋼板から成る管状中空体を長い継ぎ目で溶接して、長手方向で溶接されたステンレス鋼管にする。こうして管を用意する工程100は、終了する。
【0079】
溶接106の後、工程103において、管を冷間成形する。図2に従った本方法の実施態様では、冷間成形を冷間引抜きによって行う。このためには、管をストランドとともに、長手方向で変形工具としての引抜きダイによって引抜き加工する。冷間引抜き103の後、ステンレス鋼管及びストランドは、管の長手方向でストランドの延伸部全体にわたって、相互に摩擦結合されている。
【0080】
図3は、本開示の1つの実施態様においてロッド状要素20を製造するための装置についての、概略的な平面図を示す。ここで、ロッド状要素20を製造するための装置1は、図2との関連で先に記載したのと同様に、ロッド状要素20を製造するための方法を実施するものである。
【0081】
図4は補完的に、図3による装置1で製造したロッド状要素20の長手方向に対して垂直な平面で見た場合の断面図を示す。
【0082】
装置1は、ステンレス鋼管3のための送り装置2を有し、ここで送り装置2は、複数の装置から構成される。
【0083】
ステンレス鋼管3のための送り装置2はまず、ステンレス鋼板製のストリップ9のための送り装置を備える。ストリップ9は、長手方向と短手方向を有し、ここで長手方向における広がりは、短手方向における広がりよりも、明らかに大きい。
【0084】
ステンレス鋼管3のための送り装置2はさらに、ストリップ9を曲げるための曲げ装置10を有する。ここで曲げ装置10は、事前に曲げる装置11と、曲げて仕上げる装置12とから成る。事前に曲げる装置11によってまず、ストリップ9を事前に曲げて、トレンチ状の中空体16を生じさせる。このトレンチ状の中空体16の中へと、送り装置4によってストランド5が、トレンチ状の中空体内に導入される。トレンチ状の中空体16のトレンチによって、ストランド5がストリップ9の中心に配置され、また導かれ、これによってストランド5は、ストリップ9から下にずれなくなる。
【0085】
曲げて仕上げる装置12により、ストランド5を金属板ストリップ16上に設けた後、トレンチ状の中空体16を曲げて、円形の断面を有する管状中空体13にし、ここでストランド5は、管状中空体13内部で長手方向に延在する。続いて、溶接装置14(これもまた、管3のための送り装置2の一部である)により、管状中空体13を長い継ぎ目19で溶接し、これによって、長い継ぎ目19が長手方向に延在し、長手方向に溶接されたステンレス鋼管3が生じる。
【0086】
溶接装置14の後ろには、3mの距離dに、引抜き台6の引抜きダイ7が備えられている。引抜きプロセスを実施するため、引抜き台6は引抜きダイ7に加えて、モータで駆動する引抜きキャリッジ17を備え、その上には、引抜きダイの後ろで管3を把持するためのクランプシリンダ18が設置されている。
【0087】
管3を、その中に配置されたストランド5とともに引抜ダイ7によって引抜き加工することにより、ロッド状要素20が生じる。引抜きダイ7の内径、及び引抜き前のステンレス鋼管3の外径は、冷間成形後にステンレス鋼管が、図4に示した肉厚wを有するように選択する。冷間引抜き後には管の外径が減少している一方で、肉厚wは冷間引抜き後に、冷間引抜き前よりも厚くなっている。冷間引抜きにより、引抜きダイ7の後ろでは、管3及びストランド5が、管内において長手方向でストランド5の延伸部全体にわたって、摩擦結合により相互に結合されている。ストランド5は、管3の内部で軸方向にずれることがない。冷間引抜きされた管の引張強度を上回る引張強度を有するロッド状要素20が生じている。
【0088】
中心制御装置15は、金属板ストリップ9のための送り装置8と、ストランド5のための送り装置4と、溶接装置14と、また引抜き台6と、電気的に接続されている。制御装置15は、装置1が稼働する間、ストリップ9の送り速度、ストランド5の送り速度、並びに溶接装置14の溶接速度、及び引抜き台6について引抜き速度を制御する。前述の速度を制御することにより、引抜きダイ7の後ろでは、管3及びストランド5が、管3内において長手方向でストランド5の延伸部全体にわたって、相互に均一に摩擦結合されている。
【0089】
根源的な開示を目的として、本明細書及び図面、並びに特許請求の範囲から当業者に把握されるあらゆる特徴は、具体的には別の特徴との関連でのみ記載されていたとしても、明示的に排除されていない限り、また特徴の組み合わせが技術的な原因により不可能であるか、又は無意味にならない限りにおいて、単独で、又は任意の構成でここに開示された他の特徴又は特徴群と組み合わせ可能であることを指摘しておく。考えられる特徴のあらゆる組み合わせについて包括的、明示的に述べると説明が長くなり、また分かりづらくなるので割愛する。
【0090】
本開示は図面及び上述の説明により、詳細に提示、記載されているものの、これらの図面及び説明は単に例示的なものに過ぎず、権利範囲を制限するものとして考慮してはならず、権利範囲は、特許請求の範囲に規定される通りである。本開示が、開示された実施形態に限られることはない。
【0091】
開示された実施形態の変形例は、図面、明細書、及び添付した特許請求の範囲から、当業者には明らかである。特許請求の範囲において、「有する」という単語は、他の要素又は工程を排除するものではなく、不定冠詞「1つの(eine)」又は「1つの(ein)」は、複数を排除するものではない。特定の特徴が別の請求項で特許請求されているという事実のみをもって、これらの特徴の組み合わせが排除されるわけではない。請求項における参照符号は、特許請求の範囲を制限するものとして考慮してはならない。
【符号の説明】
【0092】
1 ロッド状要素の製造装置
2 ステンレス鋼管のための送り装置
3 ステンレス鋼管
4 ストランドのための送り装置
5 ストランド
6 引抜き台
7 引抜ダイ
8 ストリップのための送り装置
9 ストリップ
10 曲げ装置
11 事前に曲げる装置
12 曲げて仕上げる装置
13 管状中空体
14 溶接装置
15 制御装置
16 トレンチ状の中空体
17 引抜カート
18 クランプシリンダ
19 長い継ぎ目
20 ロッド状要素
d 距離
w 肉厚
100 管を用意
101 ストランドを用意
102 ストランドを導入
103 冷間成形
104 ストリップを用意
105 ストリップを曲げる
106 溶接
107 ストリップを事前に曲げる
108 ストリップを曲げて仕上げる
図1
図2
図3
図4