(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-05
(45)【発行日】2024-04-15
(54)【発明の名称】医療機器用のパッチセンサ
(51)【国際特許分類】
A61B 8/00 20060101AFI20240408BHJP
A61B 8/14 20060101ALI20240408BHJP
【FI】
A61B8/00
A61B8/14
(21)【出願番号】P 2021557160
(86)(22)【出願日】2020-03-20
(86)【国際出願番号】 EP2020057802
(87)【国際公開番号】W WO2020193414
(87)【国際公開日】2020-10-01
【審査請求日】2023-03-15
(32)【優先日】2019-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-04-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】弁理士法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ファン ヒーシュ フランシスクス ヘンドリクス
(72)【発明者】
【氏名】ポーランド マッキー ダン
【審査官】冨永 昌彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-051105(JP,A)
【文献】特開2001-127691(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第01143686(EP,A1)
【文献】特開2014-136002(JP,A)
【文献】特開2010-233966(JP,A)
【文献】特開2016-146890(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0007853(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00 - 8/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療機器に1つ又は複数の信号を送信するパッチセンサであって、前記パッチセンサは、
超音波を送信して、エコー情報を受信し、それによって受信エコー信号を生成する、トランスデューサアレイと、
前記受信エコー信号を処理して、前記受信エコー信号から抽出された第1のタイプの医療データを搬送する、第1の信号を生成する、第1の処理経路、及び、前記受信エコー信号を処理して、前記受信エコー信号から抽出された、異なる第2のタイプの医療データを搬送する第2の信号であって、前記第1の信号よりも大きい帯域幅を占有する前記第2の信号を生成する、第2の処理経路を規定する、
単一の処理システムと、
前記医療機器へ1つ又は複数の信号を送信する、
単一の通信モジュール
とを備え、
前記通信モジュールが前記医療機器に前記第1の信号だけを送信する、第1の通信モード、及び、前記医療機器に少なくとも前記第2の信号を送信する、第2の通信モードにおいて動作可能であり、
前記第1のタイプの医療データは生理学的データであり、前記第2のタイプの医療データは超音波イメージングデータである、パッチセンサ。
【請求項2】
前記通信モジュールは、
前記第1の通信モードで動作しているとき、前記医療機器としての機能を果たす生理学的データモニタに、前記第1の信号を送信し、
前記第2の通信モードで動作しているとき、前記医療機器としての機能を果たす超音波モニタリングシステムに、少なくとも前記第2の信号を送信する、
請求項1に記載のパッチセンサ。
【請求項3】
前記通信モジュールが無線送信機を備えるとともに、前記通信モジュールは、前記第1の通信モードで動作しているとき、前記無線送信機を使用して前記医療機器へ前記第1の信号を無線で送信する、請求項1又は2に記載のパッチセンサ。
【請求項4】
前記通信モジュールが、前記医療機器に接続されたワイヤに接続するための有線端子を備えるとともに、前記通信モジュールは、前記第2の通信モードで動作しているとき、かつ前記ワイヤが前記有線端子に接続されている場合には、前記有線端子に接続された前記ワイヤを介して前記医療機器へ、少なくとも前記第2の信号を送信する、請求項1から3のいずれか一項に記載のパッチセンサ。
【請求項5】
前記パッチセンサに利用可能な1つ又は複数のリソースについての情報に基づいて前記通信モジュールの通信モードを制御する、通信モードコントローラをさらに備える、請求項1から4のいずれか一項に記載のパッチセンサ。
【請求項6】
前記1つ又は複数のリソースについての前記情報は、前記パッチセンサによって使用される電源のタイプ、前記医療機器のタイプ、前記パッチセンサによって使用される電源の電力レベル、及び前記医療機器と通信するために利用可能な帯域幅についての情報を含む、請求項5に記載のパッチセンサ。
【請求項7】
前記通信モードコントローラは、
前記通信モジュールが前記医療機器と通信することのできる1つまたは複数の利用可能な通信チャネルを識別し、
識別された前記通信チャネルのいずれかが、前記医療機器への前記第2の信号の転送を促進するのに十分な帯域幅を有するかどうかを判定し、
識別された前記通信チャネルの少なくとも1つが前記医療機器に前記第2の信号を転送するのに十分な帯域幅を有するとの判定に応じて、前記通信モジュールを前記第2の通信モードに置き、
識別された前記通信チャネルのいずれもが前記医療機器に前記第2の信号を転送するのに十分な帯域幅を有さないとの判定に応じて、前記通信モジュールを前記第1の通信モードに置く、請求項5又は6に記載のパッチセンサ。
【請求項8】
前記通信モジュールは、有線端子に接続されたワイヤを介して1つ又は複数の信号を送信するための、当該有線端子を備え、
前記通信モードコントローラは、
前記有線端子と前記医療機器との間に前記ワイヤが接続されているかどうかを判定し、それによって前記医療機器への有線通信チャネルが利用可能かどうかを識別し、
前記有線通信チャネルが利用可能であるとの判定に応答して、前記通信モジュールを前記第2の通信モードに置く、請求項7に記載のパッチセンサ。
【請求項9】
前記通信モジュールは、前記医療機器に信号を送信するための無線送信機を備え、
前記通信モードコントローラは、
前記無線送信機が前記医療機器に信号を送信することのできる、1つ又は複数の利用可能な無線通信チャネルを識別するとともに、それぞれの利用可能な無線通信チャネルの利用可能な帯域幅を判定し、
識別された前記利用可能な無線通信チャネルのいずれかが、前記医療機器への前記第2の信号の転送を促進するのに十分な利用可能な帯域幅を有するか否かを判定し、
少なくとも1つの前記無線通信チャネルが前記医療機器への前記第2の信号の転送を促進するのに十分な帯域幅を有するとの判定に応答して、前記通信モジュールを前記第2の通信モードに置く、請求項5から8のいずれか一項に記載のパッチセンサ。
【請求項10】
前記通信モジュールが、前記第2の通信モードで動作しているとき、前記医療機器に前記第1の信号及び前記第2の信号の両方を送信する、請求項1から9のいずれか一項に記載のパッチセンサ。
【請求項11】
パッチセンサを対象者上の位置に固定する、対象者固定機構をさらに備え、前記通信モジュールは、前記第1の通信モードと第2の通信モードとの間で切換え可能である一方で、パッチセンサは前記対象者上の同一位置に留まる、請求項1から10のいずれか一項に記載のパッチセンサ。
【請求項12】
1つ又は複数の請求項1から11のいずれか一項に記載のパッチセンサと、
各パッチセンサから少なくとも1つの信号を受信する、医療機器と
を備える、モニタリングシステム。
【請求項13】
請求項1から11のいずれか一項に記載のパッチセンサの通信モードを制御する方法であって、
前記通信モジュールが前記医療機器と通信できる1つ又は複数の利用可能な通信チャネルを識別するステップと、
識別された前記通信チャネルのいずれかが、前記医療機器への前記第2の信号の転送を促進するのに十分な帯域幅を有するか否かを判定するステップと、
識別された前記通信チャネルの少なくとも1つが、前記医療機器に前記第2の信号を送信するのに十分な帯域幅を有するとの判定に応答して、前記通信モジュールを前記第2の通信モードに置くステップと、
識別された前記通信チャネルのいずれも、前記医療機器に前記第2の信号を送信するのに十分な帯域幅を有していないとの判定に応答して、前記通信モジュールを前記第1の通信モードに置くステップと
を有する、方法。
【請求項14】
処理システム上で実行されるとき、請求項13に記載の方法を実施するコード手段を備える、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療機器の分野に関し、特に、医療機器用のパッチセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
超音波イメージングは、特にその比較的使いやすさ、診断上の有用性、及び優れた安全実績のために、医療分野のイメージング技術として広く採用されている。超音波イメージング分野における最近の傾向の1つは、超音波デバイスの小型化であり、特に無線ハンドヘルドデバイスとパッチセンサの開発である。
【0003】
特に、パッチセンサは、(モニタリングしようとする)対象者に設置して長期間、例えば、1時間超、そのままにしておくことができるため、長期間のモニタリングに有用である。パッチセンサは、そのように長期間、対象者につけたままにすることができるため、バイタルサインを含む生理学的データなどの、対象者のその他のパラメータのモニタリングを可能にするために、パッチセンサを流用すること、又は適合させることへの関心が高まっている。
【0004】
したがって、超音波イメージングシステム用の「ハイブリッド」パッチセンサは、生理学的データをモニタリングすることと、及び超音波イメージングデータ、例えば、超音波イメージを構築するための生データを取得することの両方に作用することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
超音波システムに適したパッチセンサの使用の適合性と柔軟性を改善したいという継続的な要望がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、特許請求の範囲によって定義される。
【0007】
本発明の一態様に係る実施例によれば、医療機器に1つ又は複数の信号を送信するパッチセンサが提供される。パッチセンサは、超音波を送信して、エコー情報を受信し、受信エコー信号を生成するように適合されたトランスデューサアレイと、受信エコー信号を処理して、受信エコー信号から抽出される第1のタイプの医療データを搬送し、第1のデータを生成する第1の処理経路、及び、受信エコー信号を処理して、エコー信号から抽出された第2の異なるタイプの医療データを搬送する、第2の信号であって、第1の信号よりも大きい帯域幅を占有する前記第2の信号を生成する第2の処理経路を規定する、前記処理システムとを備える。このパッチセンサはまた、医療機器に1つ又は複数の信号を送信する通信モジュールであって、医療機器に第1の信号だけを送信する第1の通信モードと、医療機器に少なくとも第2の信号を送信する第2の通信モードとにおいて動作可能である通信モジュールを備える。
【0008】
したがって、(超音波イメージングシステムに適する)パッチセンサは、第1のタイプの医療データ(すなわち、「第1のデータ」)だけが医療機器に搬送される第1の通信モードと、第1のデータよりも大きい第2のタイプのデータ(すなわち、「第2のデータ」)が医療機器に搬送される第2の通信モードとの2つのモードにおいて動作可能である。したがって、パッチセンサの通信モードに応じて、異なるデータのセットが医療機器に送られる。
【0009】
2つのタイプの医療データのサイズが異なることは明白である。特に、2つのタイプのデータは、送信又は通信のためにデータにフォーマッティング又はモディフィケーションが行われる前、例えば、通信メタデータが追加される前、通信のための符号化が行われる前、その他において、サイズが異なる場合がある。
【0010】
したがって、本開示のコンテキストにおいて、「医療データ」という用語は、医療機器に送信されるデータであって、例えば、暗号化、変調、又はその他の通信ベースのスキームの一部として送信されるデータを除き、医療目的で対象者から得られるデータに直接相関するデータを指して使用される。言い換えると、医療データとは、通信ベースの追加データ(圧縮、メタデータ、パディング、暗号化、フォーマッティングなど)ではなく、対象者のモニタリングパラメータに直接関係する情報を指す。
【0011】
特に、パッチセンサは、(少なくとも)2つの異なる通信モードで動作可能であり、パッチセンサによって送られる通信は、少なくとも2つの異なる帯域幅サイズを占める。一般的に、第2の信号は、第1の信号よりも1秒当りより多くのデータ又はより複雑なデータを転送する。したがって、第2の信号を転送するために必要な帯域幅は、第1の信号を転送するために必要な帯域幅よりも大きい。
【0012】
本発明は、異なる量の医療データが、送信されるときに異なる量の帯域幅を占有するという理解に依拠し、パッチセンサによって通信される医療データの量を制御することによって、使用される帯域幅の量を制御することを提案する。
【0013】
通信に使用される帯域幅を大きいほど、より大きい電力消費及び処理複雑性が要求される。
【0014】
したがって、パッチセンサは、医療機器にデータを送信するために使用するリソースの量(例えば、帯域幅又は電力消費)を調整するように適合させてもよい。特に、パッチセンサは、例えば、パッチセンサの電力消費を低減するために、又は医療機器からパッチセンサが利用可能な帯域幅に従うために、それが使用する帯域幅を調整するように適合される。
【0015】
パッチセンサに利用可能な帯域幅は、例えば、パッチセンサに利用可能な通信チャネル、プロトコル、又は方法論に基づいて変化する。例示のためだけとして、医療機器への有線接続は、医療機器への無線接続(例えば、<100kビット/秒)よりも高い帯域幅の可用性(例えば、>1Mビット/秒)を有することがある。同様に、一部の無線接続は、他の接続よりも高い帯域幅の可用性を有することがある(例えば、輻輳のため、又はプロトコルの限定のため、例えば5GHz対2.4GHzのWiFi、又はWiFi対Bluetoothリンクの可用性)。
【0016】
2つの異なる通信モードを使用するために提案された概念により、パッチセンサが使用する帯域幅(に加えて、消費電力又は処理複雑性などの、他のリソース)の選択と制御が可能になる。この選択は、例えば、後述するように、自動的に実行してもよく、又は、例えば、ユーザ入力に応じて手動で実行される。
【0017】
特に、医療機器に送る2つの異なるタイプのデータから選択するのに、同じパッチセンサを使用することができる。このことは、2つの異なるタイプのデータを取得する、患者医療機器に対して、例えば、生理学的データモニタ又は(超音波イメージを構築及び/又は表示するための)超音波イメージシステムなどの2つの異なるタイプの医療機器に対して、(モニタリング対象者上の)位置からパッチセンサを移動する必要がないことを意味する。
【0018】
第1の信号は、例えば、リアルタイム又は準リアルタイムで送信される必要のない低帯域幅情報、例えば、低帯域幅の超音波データ、又は生命兆候測定値などの生理学的データである。
【0019】
第2の信号は、例えば、(準)リアルタイム超音波イメージを、医療機器によって表示用に構築することを可能にするための生データのような、好ましくはリアルタイム又は準リアルタイムで医療機器に送信される、高帯域幅情報である。
【0020】
第1の信号の帯域幅は、<100kビット/秒(すなわち、「低帯域幅」)であるのに対し、第2の信号の帯域幅は、>1Mビット/秒(すなわち、「高帯域幅」)である。特に、いくつかの実施形態では、第1の信号は、第2の信号の下限よりも小さい帯域幅、例えば、第2の信号の下限の10分の1以下の帯域幅を有する。これらは単なる例示の値であり、当業者は、「低」及び「高」(すなわち、それぞれ第1及び第2の信号)に対して、その他の帯域幅制限に容易に拡張することができるであろう。
【0021】
いくつかの実施形態では、処理システムの処理経路が、通信モードに基づいて停止される。例えば、通信モジュールが第1の通信モードにある場合には、第2の処理経路が停止される。その他の例では、通信モジュールが第2の通信モードにある場合には、第1の処理経路が停止される。そのような実施形態は、パッチセンサによる電力消費を低減する。
【0022】
さらに他の実施形態では、処理経路の起動又は停止は、通信モジュールがどの通信モードにあるかを規定する。例えば、第2の処理経路が(例えば、ユーザによって)停止される場合には、通信モジュールは、第1の通信モードに切り換えられる(また、その逆でもよい)。
【0023】
したがって、通信モジュールが第1の通信モードにある場合には、第2の処理経路が停止され、通信モジュールが第2の通信モードにある場合には、第1の処理経路が停止される。
【0024】
ここで、「停止される」という用語は、バイパスされる、使用されない、又はその他の方法で(すなわち、どの経路が停止されているかに応じて、第1/第2の信号が処理システムによって生成又は出力されないように)非機能状態にされることを意味する。停止された経路は、電力をほとんど消費しないか、無視できる程度か、又はまったく消費しないように構成するのが好ましい。
【0025】
好ましくは、第1のタイプの医療データ(すなわち、「第1のデータ」)は、生理学的データであり、第2のタイプの医療データ(すなわち、「第2のデータ」)は、超音波イメージングデータである。識別された生命兆候情報、測定された心拍数、血圧(すなわち、収縮期及び/又は拡張期の圧力)、血管のサイズ及び/又は伸展性などの、生理学的データは、当業者にはよく知られているように、超音波イメージング技術を使用して取得することができる。超音波イメージングデータは、例えば、超音波イメージの従来式(2D又は3D)の表現を含み、例えば、超音波イメージ/ビデオを、ユーザに表示するために(再)構築できるようにするための生データを含む。
【0026】
それに応じて、通信モジュールは、以下のように適合される。第1の通信モードで動作しているとき、第1の信号を生理学的データモニタに送信し、それによって生理学的データモニタは医療機器としての機能を果たし、第2の通信モードで動作しているとき、少なくとも第2の信号を超音波モニタリングシステムに送信し、それによって超音波モニタリングシステムは医療機器としての機能を果たす。
【0027】
通信モジュールは無線送信機を備えてもよく、また通信モジュールは、第1の通信モードで動作しているときに、無線送信機を使用して医療機器に第1の信号を無線で送信するように適合させてもよい。
【0028】
したがって、第1の通信モードは、無線送信機が利用可能であるときに動作可能としてもよい。特に、第1の通信モードには、無線通信チャネルを介して医療機器に第1の信号を送ることを含めてもよい。
【0029】
通常、無線通信は比較的低い帯域幅を有し、それ故、無線通信を使用しているときには、比較的低い帯域幅の信号(ここでは、第1の信号)だけを送ることが好ましい。同様に、低帯域幅の信号は、より高い帯域幅の通信チャネル(ワイヤなど)を使用する必要がないため、例えば、対象者の快適さのために好ましい場合がある、無線チャネルなどのより低い帯域幅の通信チャネルを使用することが可能である。
【0030】
さらに、無線で動作しているとき、パッチセンサは電力リソースが制限されている場合、例えばバッテリ又は太陽電池から給電されている場合がある。したがって、パッチセンサの消費電力を低減することが好ましい。本発明は、無線で通信しているとき、第1の通信モードで動作させて、すなわち、より低い帯域幅の信号を使用して通信することによって、パッチセンサの電力消費を最小化してもよい。
【0031】
いくつかの実施形態では、通信モジュールは、医療機器に接続されたワイヤに接続するための有線端子を備え、また通信モジュールは、第2の通信モードで動作しているとき、ワイヤが有線端子に接続されている場合には、有線端子に接続されたワイヤを介して医療機器に少なくとも第2の信号を送信するように適合される。
【0032】
したがって、第2の通信モードは、医療機器への有線接続が利用可能であるときに、動作状態にしてもよい。ワイヤは、(例えば、少なくとも、低いノイズ、又はワイヤによって搬送される他の信号の不在/その数の減少の故に)比較的高い帯域幅の信号を搬送するか、又はその転送を促進することができる。したがって、医療機器への有線接続が利用可能である場合には、医療機器に送信される情報を最大化するために、比較的高い帯域幅の信号を送信するのが好ましい。
【0033】
さらに、ワイヤを介して医療機器に接続されている場合、パッチセンサにはリソース制限がなく、例えば、ワイヤを使用して、主電源により給電される場合がある。したがって、パッチセンサによって消費される電力に制限がない場合がある。それ故に、パッチセンサは、(パッチセンサが使用できる電力に制限がないため)ワイヤを介して通信するときに第2の通信モードで動作して、医療機器に送信される情報を最大化してもよい。
【0034】
パッチセンサは、通信モジュールの通信モードを制御するように適合された、通信モードコントローラをさらに備えてもよい。通信モードは、パッチセンサが利用可能な1つ又は複数のリソースについての情報に基づいて制御される。
【0035】
1つ又は複数のリソースについての情報には、以下についての情報、パッチセンサによって使用される電源のタイプ、医療機器のタイプ、パッチセンサによって使用される電源の電力レベル、及び医療機器と通信するために利用可能な帯域幅を含む。
【0036】
したがって、選択された通信モードは、パッチセンサに対して利用可能な電源のタイプ、電源の電力レベル(例えば、残りのバッテリレベル)、及び/又は医療機器と通信するために利用可能な帯域幅に依存することがある。その他の適切なリソースレベルは、当業者には明らかであろう。
【0037】
好ましくは、通信モードコントローラは、医療機器と通信するために利用可能な帯域幅についての情報を判定し、それを使用して、通信モジュール用の通信モードを選択するように適合される。したがって、医療機器と通信するために利用可能な帯域幅に基づいて、第1及び第2の通信モードのどちらを使用すべきかについての自動判定を行うことができる。
【0038】
特に、通信モードコントローラは、医療機器に第2の信号を送信するのに十分な帯域幅がない場合には、通信モジュールを第1の通信モードに置いてもよい。同様に、通信モードコントローラは、医療機器に少なくとも第2の信号を送信するのに十分な帯域幅がある場合には、通信モジュールを第1の通信モードに置いてもよい。
【0039】
一例において、通信モードコントローラは、通信モジュールがそれを介して医療機器と通信することができる、1つ又は複数の利用可能な通信チャネルを識別し、識別された通信チャネルのいずれかが、医療機器への第2の信号の転送を促進するのに十分な帯域幅を有するかどうかを判定し、識別された通信チャネルの少なくとも1つが、医療機器に第2の信号を送信するのに十分な帯域幅を有するとの判定に応答して、通信モジュールを第2の通信モードに置くように、適合されている。
【0040】
したがって、(パッチセンサと医療機器との間の)チャネルが少なくとも第2の信号を送信/搬送する(つまり、その転送を促進する)のに十分な帯域幅を有する場合、(医療機器に第2の信号を送信するように)パッチセンサを第2の通信モードに置いてもよい。もちろん、医療機器に第2の信号を送信するために使用されるチャネルは、第2の信号の転送を促進する(又は別の方法で搬送する)のに十分な帯域幅を有するとして通信モードコントローラによって識別される、チャネルを備えてもよい。
【0041】
ここで、「十分な帯域幅」という用語は、パッチセンサから医療機器に対して利用可能な、又は既存の通信チャネルが、例えば、第2の信号を送信するのに十分な帯域幅を有する、(他の信号によって)占有されていないチャネルが少なくとも1つある場合に、最小の信頼性で第2の信号を搬送することができる状態を指す。
【0042】
このことは、医療機器にそれが搬送されるのに十分な帯域幅があるときに、(より広い帯域幅を有し、それによってより多くの情報を搬送する)第2の信号が医療機器に送信されることを保証する結果をもたらす。
【0043】
通信モードコントローラは、識別された通信チャネルのいずれもが、第2の信号を医療機器に送信するのに十分な帯域幅を持たないとの判定に応答して、通信モジュールを第1の通信モードに置くように適合させてもよい。したがって、パッチセンサは第1の通信モードをデフォルトとしてもよく、その結果、医療機器に第2の信号を通信するのに十分な帯域幅がない場合に、少なくともいくらかの情報が医療機器に送信される。
【0044】
いくつかの実施形態において、通信モジュールは、有線端子に接続されたワイヤを介して1つ又は複数の信号を送信するための当該有線端子を備え、通信モジュールコントローラは、有線端子と医療機器との間にワイヤが接続されているかどうかを判定し、それによって医療機器への有線通信チャネルが利用可能かどうかを識別し、有線通信チャネルが利用可能であるとの判定に応答して、通信モジュールを第2の通信モードに置くように適合されている。
【0045】
パッチセンサと医療機器との間の有線接続は、医療機器への第2の信号の転送を促進するのに十分な帯域幅を提供することが認識されている。したがって、利用可能な通信チャネルを識別するステップ、及び十分な帯域幅があるかどうかを判定するステップを、有線接続が利用可能かどうかを識別する単一のステップに結合することができる。
【0046】
ワイヤが有線端子と医療機器との間に接続されているかどうかの判定は、例えば、ワイヤが有線端子に接続されているかどうかを検出する既知の任意の方法を使用することによって(例えば、有線端子のインピーダンスをモニタリングすることによって、又は近接センサを使用することによって)実行してもよい。
【0047】
通信モジュールは、第2の通信モードで動作しているとき、ワイヤが有線端子に接続されている場合に、有線通信チャネルが利用可能であるという判定に応答して、有線端子に接続されたワイヤを介して、医療機器に少なくとも第2の信号を送信するように適合させてもよい。
【0048】
好ましくは、有線端子は、ユニバーサルシリアルバス(USB)端子であり、その結果、通信モジュールと医療機器との間に形成される有線接続は、USB接続である。USB接続により、約50Mビット/秒での通信が可能になる。したがって、いくつかの実施形態では、第2の信号は、最大50Mビット/秒、例えば50Mビット/秒以下の帯域幅を使用してもよい。したがって、いくつかの実施形態では、第2の信号は、1Mビット/秒から50Mビット/秒まで、例えば、5Mビット/秒から50Mビット/秒までの帯域幅を有する。第1の信号の帯域幅が、第2の信号の下限未満である、例えば第2の信号の下限の10分の1以下である必要があることは明らかである。
【0049】
通信モジュールと医療機器との間のUSB接続により、医療機器によってパッチセンサに電力を供給することがさらに可能になる。
【0050】
通信モジュールと医療機器との間のその他の有線接続も可能であり、USB接続は一例にすぎない。その他の有線接続としては、例えば、IEEE1394規格(FireWire)、Thunderbolt、I2Cテクノロジなどに準拠した、インターフェースを挙げることができる。有線端子は相応に適合される。これらの他の有線接続により、医療機器が通信モジュールに電力供給することも可能になる。
【0051】
いくつかの実施形態においては、通信モジュールは、医療機器に信号を送信するための無線送信機を備え、通信モードコントローラは、無線送信機が医療機器に信号を送信することができる1つ又は複数の利用可能な無線通信チャネルを識別し、利用可能な各無線通信チャネルの利用可能な帯域幅を判定し、識別された利用可能な無線通信チャネルのいずれかが、医療機器への第2の信号の転送を促進するのに十分な利用可能な帯域幅を有するかどうかを判定し、少なくとも1つの無線通信チャネルが、医療機器への第2の信号の転送を促進するのに十分な帯域幅を有するとの判定に応答して、通信モジュールを第2の通信モードに置くように適合される。
【0052】
好ましくは、そのような通信モジュールは、第2の通信モードにおいて動作しているとき、有線通信チャネルが利用できない場合には、無線送信機を使用して医療機器に少なくとも第2の信号を無線で送信するように適合される。
【0053】
好ましい実施形態では、有線通信チャネルが利用可能である場合には、第2の信号は、有線通信チャネルを使用して送信される。これにより、医療機器への第2の信号の送信の信頼性が向上する。
【0054】
しかしながら、他のいくつかの実施形態では、無線通信チャネルが第2の信号を転送するのに十分な帯域幅を有する場合には、第2の信号は無線通信チャネルによって送信してもよい。 無線送信チャネルを使用すると、例えば、不快なワイヤを使用する必要がないため、モニタリング対象者の快適性を向上させる。
【0055】
通信モジュールのための通信モードを選択する、その他の方法が想定される。
【0056】
例えば、通信モードコントローラは、パッチセンサによって使用される電源のタイプを判定してもよい。電源がリソース制限タイプ(例えば、電池又は太陽電池)であることに応答して、通信モードコントローラは、通信モジュールを第1の通信モードに置いてもよい。電源がリソース制限タイプではない(例えば、主電源から給電される)ことに応答して、通信モードコントローラは、通信モジュールを第2の通信モードに置いてもよい。
【0057】
別の例では、通信モードコントローラは、パッチセンサによって使用される電源の(残りの)電力レベルを判定してもよい。
【0058】
例えば、パッチセンサによって使用される電源がバッテリである場合には、通信モードコントローラは、残りの電力レベルが所定の値未満に(例えば、50%未満又は25%未満に)低下するのに応答して、通信モジュールを第1の通信モードに置いてもよい。所定の電力レベルは、最大の利用可能電力レベルの10%から60%の範囲の任意の値、例えば、10%から40%、15%から30%、又は、20%としてもよい。
【0059】
もちろん、第1の通信モードと第2の通信モードのどちらを使用するかを規定するのに、要因の組合せを使用することもできる。一例では、通信モードコントローラは、電源がリソース制限タイプではなく、医療機器に第2の信号を送信するのに十分な帯域幅がある場合にのみ、通信モジュールを第2の通信モードに置く。そうでない場合には、通信モードコントローラは、通信モジュールを第1の通信モードに置く。
【0060】
いくつかの実施形態では、通信モジュールは、第2の通信モードで動作しているときに、第1の信号と第2の信号の両方を医療機器に送信するように適合される。
【0061】
もちろん、そのような実施形態では、第1の処理経路は、第2の通信モードにあるときには、停止させることはできない。しかしながら、いくつかの実施形態では、通信モジュールが第1の通信モードにあるときには、第2の処理経路を、それでも停止させてもよい。
【0062】
さらに、通信モジュールは、医療機器に第2の信号だけが送信される、第3の通信モードにおいて動作可能としてもよい。通信モードコントローラは、パッチセンサの利用可能なリソースについての情報に基づいて、通信モジュールを第3の通信モードに置いてもよい。例えば、通信モードコントローラは、医療機器に、第2の信号を送信するのに十分な帯域幅があるが、第1及び第2の信号の両方を送信するのには帯域幅が不十分である場合には、通信モジュールを第3の通信モードに置いてもよい。
【0063】
いくつかの実施形態では、通信モジュールは、医療機器に信号が送信されない、非通信モードにおいて動作可能としてもよい。通信モジュールは、例えば、第1の信号を送信するのには帯域幅が不十分である場合に、非通信モードに入ってもよい。
【0064】
パッチセンサは、パッチセンサを対象者上の位置に固定するように適合された、対象者固定機構をさらに備えてもよく、この場合に、通信モジュールは、パッチセンサが対象者上の同じ位置に留まっている間、(少なくとも)第1の通信モードと第2の通信モードとの間で切換え可能に適合化される。
【0065】
本発明の根底にある利点は、パッチセンサが、その通信モードを単に切り換えることによって、対象者上の位置を変更する必要なしに、2つの異なるタイプの情報を送ることができることにある。この切換えは、前述のように、例えば、ワイヤがセンサに接続されるのに応答して、又は十分な帯域幅を有する無線通信チャネルが利用可能になった場合に、自動的に実行してもよい。
【0066】
この利点が実現されるのは、特に、対象者固定機構がパッチセンサを対象者に固定することができて、その結果、パッチセンサの位置が対象者上に固定化される場合である。対象者固定機構は、例示としてのみ、(柔らかい)接着剤、(例えば、フック・アンド・ループ締結機構を含む)1つ又は複数のストラップ又はバンド、皮膚移植機構などを備える。
【0067】
いくつかの例では、通信モジュールの通信モードは、ユーザ入力又はユーザオーバライドによって規定してもよい。したがって、ユーザは、第1の信号又は第2の信号のどちらが通信モジュールによって医療機器に送信されるかを選択できる。それ故に、パッチセンサは、ユーザが通信モジュールの通信モードを制御できるようにするためのユーザインターフェース(図示せず)を備えてもよい。このユーザインターフェースは、通信モードコントローラ(存在する場合)の自動モード選択をオーバライドするように適合される。
【0068】
他のいくつかの例では、通信モジュールの通信モードは、通信モジュールが通信している医療機器のタイプに基づいてもよい。それ故に、通信モジュールは、医療機器のタイプの指示を受信し、この指示に基づいて通信モードを設定することができる。この指示は、医療機器によって送信され(通信モジュールで受信され)るか、又はユーザ入力から受信されてもよい。
【0069】
例えば、第1の信号が生理学的データを搬送し、第2の信号が超音波イメージングデータを搬送する場合には、通信モジュールは、医療機器が生理学的モニタであれば、第1の通信モードで動作し、医療機器が超音波イメージングデバイスであれば、第2の通信モードで動作してもよい。
【0070】
本発明の一態様に係る例によれば、1つ又は複数の先述のパッチセンサと、各パッチセンサから少なくとも1つの信号を受信するように適合された医療機器とを備える、モニタリングシステムも提供される。
【0071】
医療機器は、例えば、(例えば、第2の信号が超音波イメージングデータを搬送する場合には)超音波画像を表示するように適合された、超音波イメージングモニタを備えてもよい。医療機器は、例えば、生の超音波データから(2D又は3D)超音波イメージを構築又は再構築するために、少なくとも1つのパッチセンサから生の超音波データを受信するように適合されてもよい。生の超音波データから超音波イメージを構築又は再構築する方法は、当業者には容易に明らかになるであろう。
【0072】
別の例では、医療機器は、患者の生理学的パラメータをモニタリングし、且つ保存するように適合された生理学的データモニタを備えてもよい。
【0073】
本発明の一態様に係る例によれば、記載のパッチセンサのいずれかの通信モードを制御する方法も提供される。この方法は、通信モジュールがそれを介して医療機器と通信できる、1つ又は複数の利用可能な通信チャネルを識別するステップと、識別された通信チャネルのいずれかが、医療機器への第2の信号の転送を促進するのに十分な帯域幅を有するか否かを判定するステップと、識別された通信チャネルの少なくとも1つが医療機器に第2の信号を送信するのに十分な帯域幅を有するとの判定に応答して、通信モジュールを、第2の通信モードに置くステップと、識別された通信チャネルのいずれも、医療機器に第2の信号を送信するのに十分な帯域幅を有さないとの判定に応答して、通信モジュールを第1の通信モードに置くステップとを有する。
【0074】
本発明の一態様に係る例によれば、コンピュータプログラムであって、前記コンピュータプログラムが処理システム上で実行されるときに、任意の記載された方法を実施するためのコード手段を含む、コンピュータプログラムも提供される。
【0075】
本発明のこれら及びその他の態様は、以下に記載される実施形態から明白であり、またそれらを参照して解明されるであろう。
【0076】
2019年4月11日付けの米国特許出願公開第2019/104992(A1)号(MAGAR SURENDAR[US]ら)は、無線の生理学的パッチセンサを開示している。一実施形態では、パッチセンサは、超広帯域無線及び狭帯域無線のいずれかを使用して送信する。
【0077】
2017年6月22日付けの米国特許出願公開第2017/0179774(A1)号(JIN GIL-JU[KR]ら)は、無線超音波プローブ及び無線超音波プローブ内のバッテリの充電方法を開示している。
【0078】
2015年6月18日付けの米国特許出願公開第2015/164322(A1)号(DERCHAK P ALEXANDER[US])は、対象者についての情報を送信するためのマルチモーダルな方法及びシステムを開示している。このシステムは、それぞれが対象者の生理学的特徴を表わす、第1の信号及び第2の信号を生成するように構成された、データ取得サブシステムを含む。
【0079】
2018年12月14日付けのCN108992091(SUZHOU BEILAIFU MEDICAL TECH CO LTD)は、胎児モニタリング・テレメータリング装置を開示している。この装置は、胎児のモニタリング中に有線通信モードと無線通信モードを切り換える。
【0080】
2014年5月8日付けの米国特許出願公開第2014/128735(A1)号(NEWELL TODD[US]ら)は、異なる無線プロトコルを利用して、高解像度データと低遅延同期データの両方を送信するために、別個のデータ信号を利用するシステムを開示している。
【0081】
本発明をさらによく理解するために、かつそれを実施する方法をより明白に示すために、ここで、例示のためだけに、添付の図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【
図1】本発明のコンテキストを理解するためのモニタリングシステムを示す図である。
【
図2】一実施形態によるパッチセンサを示す、ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0083】
本発明を、図を参照して説明する。
【0084】
詳細な説明及び特定の例は、装置、システム、及び方法の例示的な実施形態を示しているが、例証だけを目的としており、本発明の範囲を限定することを意図していないことを理解されたい。本発明の装置、システム及び方法の、これら及びその他の特徴、態様、及び利点は、以下の説明、添付の特許請求の範囲、及び添付の図面からよりよく理解されるようになるであろう。図は単なる概略図であり、原寸通りに描かれていないことを理解されたい。また、同一又は類似の部分を示すために、図全体を通して同一の参照番号が使用されていることも理解されたい。
【0085】
本発明の概念によれば、エコー情報を処理して、それぞれの処理経路を使用して、第1のタイプの医療データ(「第1のデータ」)及び/又は第2の、異なるタイプの医療データ(「第2のデータ」)を生成するように適合された、パッチセンサが提案される。パッチセンサの通信モジュールは、第1のデータだけが医療機器に送信される第1のモードと、少なくとも第2のデータが医療機器に送信される第2のモードとの間で切換え可能となるように適合されている。第1のデータは、第2のデータよりも(送信中)狭い帯域幅を占有する。
【0086】
実施形態は、超音波機能を備えたパッチセンサが、異なる帯域幅を有する少なくとも2つの異なるタイプの信号を生成するように適合させることができるという認識に少なくとも部分的に基づいており、この異なるタイプの信号は、異なる帯域幅、電力又は処理複雑性の要件に適応するために、又は異なる患者モニタリング又は診断システムで使用するのに利用可能である。
【0087】
例証用の実施形態は、例えば、病院などの臨床施設における患者モニタリングシステムに採用してもよい。特に、記載のパッチセンサは、モニタリング対象者に対して移動させる(取り外す)必要なしに、超音波イメージングシステム及び生理学的モニタリングシステムなどの、異なるモニタリングシステムに使用してもよい。
【0088】
「パッチセンサ」は、通常、それを取り付ける対象者の輪郭に成形することのできる、ウェアラブルでフレキシブルなセンサである。
【0089】
例えば、超音波イメージ/ビデオを構築するのに適した生データを生成することによって、超音波イメージングシステムに適したパッチセンサは、当業者にはよく知られている。パッチセンサが超音波イメージングシステムとの使用に適しているという理由だけで、パッチセンサが、生理学的データモニタ(例えば、心拍数モニタリングシステム又は血圧モニタリングシステム)などの他の患者モニタリングシステムでの使用にも適していることを妨げるものではないことに留意されたい。
【0090】
図1は、本発明のコンテキストを理解するために、超音波イメージングシステムのような、モニタリングシステム1を示す。
【0091】
このモニタリングシステムは、1つ又は複数のパッチセンサ20を備え、その実施形態については後で説明する。パッチセンサ20は、対象者10上に配置され、その対象者についてのデータを例えば、超音波送信を使用してモニタリング又は取得する。パッチセンサ20は、弱い接着剤又はゴム状の接着剤などの、適切な接着剤を使用して対象者に連結可能としてもよい。例えば、1つ又は複数の弾性ベルト又はフック・アンド・ループベルト(図を参照)を使用する、パッチセンサを接続する他の方法が知られている。
【0092】
各パッチセンサ20は、モニタリングシステム1の医療機器13と通信するように適合されている。特に、各パッチセンサは、少なくとも1つの信号を医療機器に送信するように適合されている。各パッチセンサは、モニタリングシステムと少なくとも無線で通信できるように適合されており、好ましくは、(例えば、パッチセンサにプラグ挿入、又はプラグ抜去してもよい)ワイヤを介してモニタリングシステムと通信できるようにさらに適合されている。医療機器13は、各パッチセンサ20からの通信を受信する。
【0093】
各パッチセンサ20は、超音波画イメージングシステムとの使用に適している。したがって、各パッチセンサは、超音波情報を取得して医療機器に送信するように適合させることができ、医療機器が超音波画像を構築又は再構築することを可能にするのに適している。
【0094】
1つ又は複数のパッチセンサ20と医療機器13との間の通信経路15は、有線及び/又は無線とすることができる。各パッチセンサは、少なくとも無線で医療機器と通信するように動作可能に適合されている。
【0095】
使用してもよい適切な無線通信プロトコルとしては、赤外線リンク、ZigBee(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、IEEE802.11規格準拠などの無線ローカルエリアネットワークプロトコル、2G、3G、又は4G電気通信プロトコルなどが挙げられる。その他のフォーマットも、当業者には容易に明らかになるであろう。
【0096】
一実施形態では、パッチセンサは防水性であり、それにより、水中、例えば、浴槽内又はシャワー下で使用可能である。したがって、パッチセンサは、水中での無線伝達の減衰が比較的低い周波数を使用するように構成される。特に、パッチセンサは、ZigBee(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、IEEE802.11などで使用される、2.4GHzISM帯を使用しないように構成される。代わりに、パッチセンサはサブGHz範囲の周波数帯域を使用するように構成される。一実施形態では、パッチセンサは、ヨーロッパ及び他のいくつかの地域では433MHzのISM帯、米国では608MHzのWMTS帯、又は日本では920MHzのT108帯を使用するように構成される。
【0097】
使用できる適切な有線通信プロトコルには、ユニバーサルシリアルバス(USB)、IEEE1394規格(FireWire)、Thunderbolt、I2Cなどが挙げられる。他のフォーマットも、当業者には容易に明らかになるであろう。
【0098】
医療機器13は、例えば、長期モニタリング用のパッチセンサによって取得された測定値を印刷するために、例えば、(超音波イメージを表示するための)ディスプレイ13A及び/又はプリンタ13Bを備えてもよい。好ましくは、医療機器13は、例えば、医療機器処理システム(図示せず)を使用する、ディスプレイ13A上への表示のために、生の超音波データから超音波イメージ/ビデオを構築又は再構築することができる。
【0099】
特に、医療機器13は、各センサから信号を受信し、その信号を処理して、例えば、心拍数などの生理学的パラメータを識別するか、又は超音波イメージを構築するように適合されている。処理の出力は、ディスプレイに提示されるか、又は印刷される。
【0100】
各パッチセンサは、バッテリ駆動とし、さらに/又は主電源から電力供給可能にしてもよい。例示としてのみ、パッチセンサが1つ又は複数のワイヤを介して医療機器に接続されている場合には、医療機器は、ワイヤを介してパッチセンサーに電力供給してもよい。
【0101】
図1は2つのパッチセンサ20を示しているが、医療機器13は、3つ以上のセンサ20、又は単一のセンサ20のみ、と通信することもできることに留意されたい。
【0102】
図2は、本発明の一実施形態によるパッチセンサ20を示す、ブロック図である
【0103】
パッチセンサ20は、超音波を送信し、エコー情報を受信して、それによって受信エコー信号を生成するように適合されたトランスデューサアレイ21を備える。トランスデューサアレイ21は、例えば、1つ又は複数の個々のトランスデューサ要素、例えば、2つのトランスデューサ要素、4つのトランスデューサ要素及び/又は8つのトランスデューサ要素を備える。
【0104】
パッチセンサ20は、トランスデューサアレイからの受信エコー信号を処理するように適合された、処理システム22をさらに備える。
【0105】
処理システム22は、例えば、第1のタイプの医療データ(「第1のデータ」)を搬送する第1の信号を生成する、少なくとも第1の処理要素22Aを備える、第1の処理経路を規定する。処理システム22は、第2のタイプの医療データ(「第2のデータ」)を搬送する第2の信号を生成する、少なくとも第2の処理要素22Bを備える、第2の処理経路をさらに規定する。第1の処理経路が第2の処理要素22Bを含まず、第2の処理経路が第1の処理要素22Aを含まないことは明らかであろう。したがって、第1及び第2の処理経路は、その経路に固有の(又は、少なくとも、第1及び第2の処理経路の他方と共有されない)1つ又は複数の要素を備えてもよい。
【0106】
いくつかの実施形態では、第2の処理経路は、少なくとも1つの追加の固有の要素と共に、第1の処理経路全体を備えるか、又はその逆も同様である。したがって、第1及び第2の処理経路の少なくとも一方は、第1及び第2の処理経路の他方には見られない処理要素を含む場合がある。
【0107】
第1及び第2のデータ、したがって第1及び第2の信号は、互いに異なる。特に、第2の信号の帯域幅は、第1の信号の帯域幅よりも大きい。言い換えると、第2の信号は、第1の信号よりも(例えば、Kbpsで)1秒当りより多くのデータを送信しようと試みる。したがって、第1のデータのサイズ(設定された期間における)は、第2のデータのサイズ(同じ期間における)よりも小さくてもよい。
【0108】
第1及び/又は第2の信号を送信するのに必要な帯域幅は、容易に計算することができる。
【0109】
パッチセンサ20は、第1及び第2の異なる通信モードにおいて動作可能な通信モジュール23をさらに備える。この通信モジュールは、超音波モニタリングシステム又は生理学的データモニタなどの医療機器へ1つ又は複数の信号を送信するように適合されている。
【0110】
通信モジュール23は、無線及び、任意選択で有線の通信チャネル又は手段を使用して通信するように適合されている。したがって、通信モジュールは、医療機器と無線で通信するための無線送信機又はトランシーバ23Aを備え、また任意選択で、医療機器に接続されたワイヤ又はケーブルを受信するための、有線端子23Bを備えてもよい。
【0111】
有線端子23Bは、存在する場合、(医療機器に接続するための)ワイヤを選択的に受け入れるように適合され、それによって、医療機器に接続されたワイヤと係合可能である。したがって、ワイヤを、有線端子23Bにプラグ挿入したり、それからプラグ抜去したりできる。
【0112】
好ましくは、有線端子23Bは、パッチセンサが対象者に(例えば、接着剤によって)固定されるときに、ユーザに露出されるように、パッチセンサ上に配置される。これは、医療機器へのワイヤ又はケーブルを、被験者上のパッチセンサの位置を再配置又は移動する必要なしに、パッチセンサに接続できることを意味する。
【0113】
無線トランシーバは、前述の1つ又は複数の無線通信プロトコル、例えば、ZigBee(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、IEEE802.11規格に準拠した無線プロトコル、2G、3G、又は4G通信プロトコル、433MHzのISM帯、608MHzのWMTS帯、及び/又は920MHzのT108帯を使用して通信するように適合される。
【0114】
第1の通信モードで動作しているとき、通信モジュール23は、第1の信号だけを医療機器に送信する。したがって、第1の通信モードは、より低い帯域幅を有する信号だけが医療機器に送信されるという点で、事実上「低帯域幅」送信モードである。
【0115】
第2の通信モードで動作するとき、通信モジュールは、少なくとも第2の信号を医療機器に送信する。したがって、第2の通信モードは、より高い帯域幅を有する信号が医療機器に送信されるという点で、事実上「高帯域幅」送信モードである。
【0116】
いくつかの実施形態では、第2の通信モードで動作しているとき、通信モジュールは、第1の信号と第2の信号との両方を医療機器に送信する。これにより、医療機器で利用できる情報の量が最大化される。
【0117】
このようにして、パッチセンサ20の通信モジュール23は、対象者上のその位置から移動させる必要なしに、医療機器に送信される信号の総帯域幅を調整することができる。これにより、パッチセンサが必要とする電力量及び/又は帯域幅(つまり、リソース)の制御が可能となる。
【0118】
パッチセンサと医療機器との間の通信経路は、(例えば、どの通信チャネルが利用可能であるか、例えば、無線チャネルの数又は有線接続の可用性に応じて)その利用可能な帯域幅が変わることがある。提案の発明は、(例えば、対象者に対して位置を移動する必要なしに、このような変化する通信パスの帯域幅を考慮に入れるために)パッチセンサが、医療機器と通信しているときに占める帯域幅を調整することを可能にする。
【0119】
言い換えれば、パッチセンサは、対象者上のその位置から移動させる必要なしに、異なる帯域幅要求で動作するように適合される。
【0120】
さらに、より高い帯域幅を使用して通信するには、比較的低い帯域幅を使用して通信するよりも、多くの電力及び/又は処理複雑性が必要になるため、パッチセンサは、対象上の位置から移動させる必要なしに、さまざまな電力/処理要求で動作するように適合させることもできる。
【0121】
図示されるように、処理システム22は、2つの処理経路22A、22B間で共有することのできる他のいくつかのモジュールを備えてもよい。例えば、処理システムは、トランスデューサアレイの動作を制御するためのトランスデューサアレイフロントエンド24、及び/又はトランスデューサ要素によって放出される超音波のパターンを制御するためのトランスデューサビーム形成モジュール25を備えてもよい。
【0122】
したがって、処理システム22はまた、トランスデューサアレイ21の動作を制御するように適合される。第1及び第2の処理経路は、トランスデューサアレイの動作を適切に制御して、第1及び第2の信号の両方が第1及び第2の処理経路によって生成されるように、協働させてもよい。
【0123】
第1のタイプの医療データは、例えば、生命兆候情報などの生理学的データを含む。したがって、第1の処理経路は、受信したエコー信号を処理して、生理学的データを搬送する第1の信号を生成する。生理学的データ(例えば、測定された心拍数又は血圧)は、低帯域幅、例えば低データ転送速度だけを占有する信号によって搬送することができる。生理学的データは、例えば、対象者の生理学的パラメータ(心拍数など)を識別するために使用することができる、生の情報を含む。
【0124】
受信したエコー信号に基づいて生理学的データを生成する方法は、当業者には容易に明らかになるであろう。例えば、受信されたエコー信号は、対象者の心拍数又は心拍を識別するために処理される。特に、トランスデューサアレイは、(例えば、胎児の)心臓活動を示すドップラー超音波信号を感知するためのドップラー超音波センサとして動作することができる、トランスデューサ要素を備えてもよい。ドップラー超音波センサは、(例えば、以下に説明する第2のタイプの医療データを取得するために)超音波イメージングのためのセンサとしても作用するように、又は血流量を検出するために、再利用してもよい。
【0125】
第2のタイプの医療データは、例えば、超音波イメージングデータを含む。超音波イメージングデータは、医療機器によって実行される超音波イメージ/ビデオの構築又は再構築に適したデータを形成する。超音波イメージングデータを取得するのに適切な超音波トランスデューサ及び制御スキームは、当業者には容易に明らかになるであろう。
【0126】
これらは、好ましくはあるが、第1及び第2のデータのタイプの例としてのみ可能であることが理解されるであろう。
【0127】
別の例では、第1のタイプの医療データは、第1の解像度の超音波イメージ/ビデオ用の超音波イメージデータを含み、第2のデータは、(第2の信号に第1の信号よりも広い帯域幅を必要とさせる)第2の、より高い解像度の超音波イメージ/ビデオ用の超音波画像データを含む。
【0128】
別の例では、第1のタイプの医療データは、第1の周波数で取り込まれた超音波イメージデータを含み、第2のデータは、第2の、より高い周波数で取り込まれた超音波イメージデータを含む。そのような実施形態では、第1の処理経路は、(例えば、超音波イメージングストリームの特定のフレームに対応して)第2の信号からデータの一部を除去し、それによって、より少ない帯域幅を占める第1の信号を生成する、間引き要素を備えてもよい。
【0129】
さらに別の例では、第1のタイプの医療データは、第1の生理学的データ(例えば、第1の周波数で測定された胎児心拍数)を含み、第2のデータは、生理学的データ(例えば、第2の、より高い周波数で測定された胎児心拍数)を含む。そのような実施形態では、第1の処理経路は、(例えば、超音波イメージングストリームの特定のフレームに対応して)第2の信号からのデータの一部を除去し、それによって、より少ない帯域幅を占める第1の信号を生成する、間引き要素を備えてもよい。
【0130】
さらに別の例では、第1のタイプの医療データは、生理学的データの第1のセットを含み、第2のデータは、生理学的データの第2のセットを含み、第2のセットは、第1のセットよりも大きい(例えば、より多くの生理学的情報を搬送する)。
【0131】
一般的に言えば、第2の信号は、第1の信号よりも1秒当りより多くの(医療)データ、又はより複雑な(医療)データを搬送する。したがって、第2の信号を転送するために必要な帯域幅は、第1の信号を転送するために必要な帯域幅よりも大きい。
【0132】
好ましくは、第2の通信モードで動作しているとき、第2の信号は、最小の遅延で、例えば、実質的に「リアルタイム」送信で、医療機器に送られる。この要件は、第1の通信モードで動作しているときには必要ではなく、第1の信号及び/又は第1のデータは、「優先度の低い」情報であると見なすことができる。これにより、パッチセンサの使用に対する柔軟性が向上する。
【0133】
第1及び/又は第2の処理経路22A、22Bは、選択的に起動及び停止させてもよい。起動された経路は機能可能であるため、起動された経路は、それに関連する信号を生成する。停止された経路は機能不可のため、停止された経路は、それに関連する信号を生成しない。このことは、各処理経路に固有の要素の適切な(停止)起動によって、例えば、前記要素への電源を切断するか、又は第1及び/又は第2の処理要素22A、22Bなどの、要素をスタンバイモードに置くことによって、達成される。特定の経路が停止される場合には、異なる経路間で共有される要素は、停止されないことが理解されるであろう。
【0134】
第2の信号を生成する、第2の処理経路は、第1の通信モードで動作する通信モジュール23に応答して停止させてもよい。代替的に、通信モジュール23は、第2の処理経路が停止されることに応答して、第1の通信モードで動作するように制御してもよい。したがって、第2の処理経路の起動と通信モジュールの第1の通信モードとの間に相互依存性がある。
【0135】
同様に、実施形態に応じて、第1の信号を生成する第1の処理経路は、通信モジュール23が第2の通信モードで動作するのに応答して、停止させてもよい。代替的に、通信モジュール23は、第1の処理経路が停止されることに応答して、第2の通信モードで動作するように制御されてもよい。したがって、第1の処理経路の起動と通信モジュールの第2の通信モードとの間に相互依存性がある。この特徴は、第2の通信モードで動作するときに、通信モジュール23が第1の信号と第2の信号の両方を送信する実施形態では、実施できないことが理解されよう。
【0136】
いくつかの実施形態では、処理システム22の共有コンポーネントは、通信モードに応じて修正してもよい。例えば、トランスデューサフロントエンド配設24は、通信モードに応じて、トランスデューサ要素の動作の制御が異なる場合がある。したがって、受信エコー信号は、パッチセンサが使用する通信モードによって変わることがある。
【0137】
例として、通信モジュールが第1の通信モードで動作している場合には、例えば、第1の信号が、第2の信号よりも少ないトランスデューサに基づいて生成できる場合には、トランスデューサアレイのより少ないトランスデューサを使用してもよい。このことは、例えば、第1のタイプの医療データが、1つ又は2つのトランスデューサのみの応答に基づいて生成される、生命徴候情報などの生理学的データを含み、これに対して、第2のタイプの医療データが、3つ以上のトランスデューサを必要とすることのある超音波イメージデータを含む場合に(例えば、超音波イメージデータが3D超音波イメージ/ビデオ用である場合に)、当てはまる。その他の理由及び実施形態は、当業者には明らかであろう。
【0138】
通信モードコントローラ26は、通信モジュール23の通信モードを制御するように適合される。したがって、通信モード制御は、パッチセンサが第1又は第2の通信モードを使用するかどうかを選択することができる。
【0139】
一実施形態では、通信モードコントローラ26は、通信モジュール23の通信モードを制御するようにユーザ入力に応答する。したがって、ユーザは、第1又は第2の信号が通信モジュールによって医療機器に送信されるかどうかを選択することができる。それ故に、パッチセンサ20は、ユーザが通信モジュールの通信モードを制御することを可能にするための、ユーザインターフェース(図示せず)を備えてもよい。
【0140】
しかしながら、好ましい実施形態では、通信モードコントローラ26は、(また)通信モジュール23の通信モードを自動的に選択するように適合される。
【0141】
一例では、通信モードコントローラは、処理経路の起動又は停止に応答して、通信モジュールの通信モードを選択する。例えば、第2の処理経路(第2の処理要素22Bを含む)が停止される場合には、通信モードコントローラは、第1の通信モードに入るように通信モジュールを制御してもよい。処理経路の選択は、例えば、ユーザ入力に応答して実行してもよい。
【0142】
別の実施形態では、通信モードコントローラは、通信モジュール23がそれと通信することのできる、医療機器の指示されたタイプに応答する。第1のタイプの医療データが生理学的データを含み、第2のタイプの医療データが超音波イメージデータを含む、一例において、通信モードコントローラは次のように適合される。医療機器が、超音波イメージを構築又は表示することのできるタイプ(例えば、超音波モニタリングデバイス)である場合には、通信モジュールを第2のモードに置き、又は医療機器が生理学的パラメータモニタリングデバイス、例えば、心拍数モニタである場合には、通信モジュールを第1のモードに置く。
【0143】
好ましい例において、パッチセンサが第1又は第2の通信モードを使用するかどうかの選択は、パッチセンサが利用可能な1つ又は複数のリソースについての情報に依存する。
【0144】
好ましい実施形態では、パッチセンサが第1又は第2の通信モードを使用するかどうかの選択は、パッチセンサと医療機器との間の通信経路の特性に依存する。特に、この選択は、パッチセンサが利用可能な帯域幅、すなわち通信経路の利用可能な帯域幅についての情報に基づいてもよい。
【0145】
例えば、通信モードコントローラ26は、第2の信号を医療機器に送信させるのに十分な帯域幅が通信経路内にあるかどうかを判定するように適合される。十分な帯域幅があることに応答して、通信モードコントローラは、通信モジュールを、第2の通信モードに入るように制御する。
【0146】
そのような実施形態の1つの実現において、通信モードコントローラは、通信モジュールと医療機器との間に有線接続があるかどうかを判定するように適合される。有線接続があることに応答して、通信モードコントローラは、第2の信号の転送を促進するのに十分な帯域幅があると結論して、通信モジュールを制御して第2の通信モードで動作させることができる。
【0147】
別の実現において、通信モードコントローラは、通信モジュールと医療機器との間の無線接続が、医療機器への第2の信号の転送を促進することができるかどうかを(例えば、適切なレベルの信頼性で)判定するように適合される。
【0148】
帯域幅の可用性に基づいて、どの通信モードをコントローラが使用すべきかを識別する方法の一例について以下に説明する。
【0149】
パッチセンサ20は、電池又はセルなどの、電源29を備える。電源29は、パッチセンサの他の構成要素に、例えば、1つ又は複数の電力線(図示せず)を介して、給電するための電力を提供する。いくつかの例では、この電源は、主電源(又は医療機器によって提供される電源など、その他の電源)への接続を含む。主電源へのこの接続は、例えば、通信モジュールと医療機器の間に有線通信チャネルを提供する、USB(又は他の有線通信プロトコル)接続を介して、通信モジュールに接続された1つ又は複数のワイヤによって提供されてもよい。したがって、電源29は、主電源から引き出すことができる。
【0150】
そのような実施形態では、通信モードコントローラは、パッチセンサによる使用に利用可能な電源のタイプ又は電力レベルについての情報に基づいて、パッチセンサが第1又は第2の通信モードを使用するかどうかを選択する。
【0151】
例示としてのみであるが、電源がバッテリ又はセルだけを含む場合には、通信モードコントローラは、通信モジュールを第1の通信モードに置いてもよい。電源が主電源から電力を引き出す場合には、通信モードコントローラは、通信モジュールを第2の通信モードに置いてもよい。
【0152】
別の例として、通信モードコントローラは、電源が、電源の所定の電力レベル以下である場合には、通信モジュールを第1の通信モードに置いてもよい。この所定の電力レベルは、電源の最大電力レベルの10%から60%の間の任意の値である。同様に、通信モードコントローラは、電源が、電源の所定の電力レベルを超える場合、通信モジュールを第2の通信モードに置いてもよい。したがって、利用可能な電力が少ないとき、通信モジュールの通信モードは、より低消費の動作モードに切り換わる。
【0153】
いくつかの実施形態では、通信モードコントローラは、帯域幅の可用性と、パッチセンサの電源のタイプ又は電力レベルについての情報との組合せに基づいて、通信モジュールの通信モードを設定する。例えば、通信モードコントローラは、電源が主電源から電力を引き出すとともに、第2の信号を医療機器に送信するのに十分な帯域幅がある場合にだけ、通信モジュールを第2の通信モードに置いてもよい。他の適切な組み合わせは、当業者には容易に明らかになるであろう。それは例えば、電源の残留電力レベルが所定の値を下回った場合、又は第2の信号を送信するのに十分な帯域幅がない場合には、通信モジュールを第1の通信モードに置くことである。
【0154】
図3は、本発明の実施形態に従って、コントローラがどの通信モードを使用すべきかを識別する方法30を示す。このような動作は、通信モードコントローラによって実行してもよい。
【0155】
方法30は、パッチセンサが利用可能な帯域幅を実質的に判定し、利用可能な帯域幅に基づいて通信モードを選択する。
【0156】
方法30は、通信モジュールがそれを介して医療機器と通信することができる1つ又は複数の利用可能な通信チャネルを識別するステップ31を有する。
【0157】
したがって、ステップ31は、通信モジュールがどのように、またどのチャネルを介して、医療機器と通信することができるかを識別することを含む。これには、医療機器との通信に利用可能な無線チャネルを識別すること、及び/又は医療機器との通信に有線チャネルが利用可能であるかどうかを識別することを含めてもよい。
【0158】
実施形態では、無線チャネルは、それが近傍において別のデバイスによって占有されていない場合、例えば、その無線チャネルのノイズレベルが所定の値を下回っている場合、又は無線チャネルの受信信号強度インジケータが所定の閾値を超えている場合(すなわち、チャネルが「利用可能」である場合)には、「利用可能」であると見なされる。無線チャネルが通信に利用可能であるかどうかを識別する他の方法は、例えば、通信モジュールによって使用される無線通信プロトコルを識別し、そのプロトコルに関連付けられた利用可能な無線チャネルを識別することによって、当業者には明らかになるであろう。
【0159】
医療機器への有線チャネルがあるかどうかを識別するための方法又はプロセスは、当業者には明らかであろう。一実施形態では、通信モジュール又は通信モードコントローラは、通信モジュールと医療機器との間に有線チャネルがあることを示す信号を、通信モジュールの有線端子に接続された医療機器から受信する。別の実施形態では、有線端子におけるインピーダンスがモニタリングされて、インピーダンスの減少が、ワイヤが有線端子を医療機器に接続することを示す。
【0160】
方法30は、識別された通信チャネルのいずれかが、医療機器への第2の信号の転送を促進するのに十分な帯域幅を有するかどうかを判定する、ステップ32をさらに有する。
【0161】
単純な実施形態では、ステップ32は、有線チャネルが利用可能である場合(例えば、反対の状態でなければ)、第2の信号の転送を促進するのに十分な帯域幅があると判定することを含む。これは、有線チャネルは一般に、高帯域幅の信号を転送するのに十分な高帯域幅を有するためである。したがって、ステップ31及び32は、いくつかの実施形態では、有線チャネルが医療機器との通信に利用可能であるかどうかを判定する、単一のステップに組み合わせてもよい。
【0162】
いくつかの実施形態では、ステップ32は、無線チャネルのいずれかが、第2の信号の転送を促進するのに十分な(例えば、kビット/秒での)帯域幅を有するかどうかを判定することを含む。これは、第2の信号によって必要とされる帯域幅を、識別された各無線チャネルの利用可能な帯域幅と比較することを含む。第2の信号によって必要とされる帯域幅は、異なる実施形態において、例えば、第2の信号によって搬送される第2のタイプの医療データの特有の実装に基づいて、変化するであろう。
【0163】
したがって、実施形態では、ステップ32は、無線チャネルのいずれかが、所定の帯域幅以上の帯域幅を有するかどうかを判定することを含む。この所定の帯域幅は、第2の信号を転送するために必要な帯域幅以上の値である。いくつかの実施形態では、所定の帯域幅は、100kビット/秒以上、例えば、500kビット/秒以上、又は1Mビット/秒以上である。
【0164】
すでに別のデバイスによって占有されている場合には、無線チャネルは、例えば、チャネルが時分割多重システムを使用している場合には、その最大利用可能帯域幅と比較して利用可能帯域幅が減少している場合がある。したがって、ステップ32は、利用可能な帯域幅を判定するために、識別された利用可能な各無線チャネルをモニタリングする、サブステップを含む。
【0165】
方法30は、識別された通信チャネルの少なくとも1つが第2の信号を医療機器に送信するのに十分な帯域幅を有すると判定することに応答して、通信モジュールを第2の通信モードに置くステップ33をさらに有する。
【0166】
方法30は、識別された通信チャネルのいずれも第2の信号を医療機器に送信するのに十分な帯域幅を持たないと判定することに応答して、通信モジュールを第1の通信モードに置くステップ34をさらに有する。
【0167】
したがって、通信モジュールは、通信モジュールと医療機器との間の(通信モジュールが利用可能な)通信経路が、第2の信号を伝送するのに十分な利用可能な帯域幅を有するのに応答して、第2の信号を医療機器に送信するように制御される。
【0168】
有線チャネルが利用可能である場合、第2の通信モードは、好ましくは、第2の通信モードで動作するときに通信し、有線チャネルを介して医療機器に(少なくとも)第2の信号を送信することを含む。
【0169】
有線チャネルが利用できないが、少なくとも1つの無線チャネルが第2の信号の転送を促進するのに十分な帯域幅を有する場合には、第2の通信モードは、少なくとも1つの無線チャネルを介して少なくとも第2の信号を医療機器に送信することを含む。
【0170】
いくつかの実施形態では、パッチセンサは、第1及び第2の通信モードで動作するときに、異なる通信チャネル(及び/又は異なる数のチャネル)を使用するように適合される。例えば、第2の通信モードで動作しているとき、有線チャネルが使用され、これに対して、第1の通信モードで動作しているとき、無線チャネルが使用される。別の例として、第1の通信モードで動作しているとき、(第1の通信プロトコルによる)第1の無線チャネルが使用され、第2の通信モードで動作しているとき、(例えば、第2の、異なる通信プロトコルによる)第2の無線チャネルが使用される。
【0171】
上記のパッチセンサは、異なる医療機器での使用に適している。特に、通信モジュールが第2の通信モードで動作しているとき、パッチセンサは、超音波モニタリングデバイス、例えば、超音波イメージディスプレイを備える、超音波モニタリングデバイスとの通信に適している。通信モジュールが第1の制御モードで動作しているとき、パッチセンサは、生理学的モニタリングデバイス(例えば、心拍数モニタ)との通信に適している。
【0172】
したがって、パッチセンサは、患者又は対象者上の位置を移動させる必要なしに、異なるタイプの患者モニタリングシステムのための異なるタイプのセンサとして作用する。
【0173】
記述されたパッチセンサの各要素は、医療機器に1つ又は複数の信号を送信するための方法の適切なステップとして作用するように適切に適合される。
【0174】
したがって、医療機器に1つ又は複数の信号を送信する方法が提案されている。この方法は、超音波を送信するステップ、及びエコー情報を受信して、それによって受信エコー信号を生成するステップを有する。この方法はまた、処理システムの第1の処理経路を使用して受信エコー信号を処理して、受信エコー信号から導出された第1のタイプの医療データを搬送する第1の信号を生成するステップを有する。この方法はまた、処理システムの第2の処理経路を使用して受信エコー信号を処理して、受信エコー信号から導出された第2の、異なるデータを搬送する第2の信号を生成するステップを有し、ここで第2の信号は第1の信号よりも広い帯域幅を占める。この方法はまた、医療機器に1つ又は複数の信号を送信するように適合された通信モジュールを、以下のいずれかのモードで動作させることを含む。すなわち、通信モジュールが医療機器に第1の信号だけを送信する第1の通信モード、及び通信モジュールが医療機器に少なくとも第2の信号を送信する第2の通信モードである。
【0175】
第1及び第2のタイプの医療データ(すなわち、第1及び第2のデータ)、信号、及び通信モードだけが想定されているが、その他の実施形態では、3つ以上のそのような特徴を採用してもよいことを、当業者は理解するであろう。
【0176】
例えば、処理システムは、N個の処理経路(ここで、Nは少なくとも2つ)を備えてもよく、処理経路のそれぞれは、N番目のデータを運ぶ、それぞれのN番目の信号を生成するように適合されて、N個の信号のそれぞれは異なる帯域幅を占める。通信モジュールは、N個の異なる通信モードで動作可能であり、これらの通信モードにおいて、少なくともN番目の信号又はN番目の信号だけが医療機器に送信される。
【0177】
さらに、通信モジュールは、第2の信号だけが医療機器に送信される第3の通信モードにおいて動作可能としてもよい。通信モードコントローラは、パッチセンサの利用可能なリソースについての情報に基づいて、通信モジュールを第3の通信モードに置く。例えば、通信モードコントローラは、医療機器に、第2の信号を送信するのに十分な帯域幅があるが、第1及び第2の信号の両方を送信するのには帯域幅が不十分である場合には、通信モジュールを第3の通信モードに置く。
【0178】
別の例では、通信モードコントローラは、電源の残留電力レベルが、第1の所定の電力レベルと第2の所定の電力レベルとの間(例えば、20から60%の間)にある場合には、通信モジュールを第3の通信モードに置く。そのような実施形態では、通信モジュールは、残留電力レベルが第2の所定の電力レベルを上回る場合には、第1及び第2の信号の両方が医療機器に送信される第2の通信モードに置かれ、残留電力レベルが第1の所定の電力レベルを下回る場合には、第1の信号だけが医療機器に送信される第1の通信モードに置かれる。
【0179】
いくつかの実施形態では、通信モジュールは、医療機器に信号が送信されない、非通信モードで動作可能である。通信モードコントローラは、例えば、第1の信号を送信するのに帯域幅が不十分である場合には、通信モジュールを非通信モードに置く。
【0180】
当業者は、本明細書に記載の任意の方法を実施するために、センサ、処理システム、及び/又は通信モードコントローラを容易に適合させることができるであろう。したがって、フローチャートの各ステップは、通信モードコントローラによって実行される異なる行為を表わし、通信モードコントローラのそれぞれのモジュールによって実行される。
【0181】
したがって、実施形態は、処理システムを利用することができる。処理システム及び/又は通信モードコントローラは、ソフトウェア及び/又はハードウェアを用いて、多くのやり方で実装して、必要な様々な機能を実行することができる。プロセッサは、必要な機能を実行するためにソフトウェア(例えば、組込みファームウェア)を使用してプログラムされる、1つ又は複数のマイクロプロセッサを採用する、処理システムの一例である。しかしながら、処理システム及び/又は通信モードコントローラは、プロセッサを使用して又は使用せずに実装してもよく、また、いくつかの機能を実行するための専用ハードウェア、及びその他の機能を実行するプロセッサ(例えば、1つ又は複数のプログラムされたマイクロプロセッサ及び関連する回路)の組合せとして実装してもよい。
【0182】
本開示の様々な実施形態において採用される、処理システム及び/又は通信モードコントローラコンポーネントの例としては、それに限定はされないが、従来式のマイクロプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)が挙げられる。
【0183】
様々な実装において、プロセッサ、処理システム、及び/又は通信モードコントローラは、RAM、フラッシュ、PROM、EPROM、及びEEPROMなどの揮発性及び不揮発性のコンピュータメモリのような1つ又は複数の記憶媒体に関連付けられる。記憶媒体は、1つ又は複数のプロセッサ及び/又は処理システム上で実行されると、必要な機能を実行する1つ又は複数のプログラムで符号化してもよい。様々な記憶媒体は、プロセッサ又は処理システム内に固定化されるか、又はその上に記憶された1つ又は複数のプログラムがプロセッサ又は処理システムにロードできるように、移植可能にしてもよい。
【0184】
開示された方法は、好ましくはコンピュータで実施される方法であることが理解されよう。したがって、プログラムがコンピュータなどの処理システム上で実行されるときに、記述された任意の方法を実施するためのコード手段を含む、コンピュータプログラムの概念も提案される。したがって、一実施形態によるコンピュータプログラムのコードの異なる部分、行、又はブロックが、本明細書に記載のいずれかの方法を実行するために、処理システム又はコンピュータによって実行されてもよい。いくつかの代替的な実装においては、ブロックに示されている機能は、図に示されている順序と外れて、発生することがある。たとえば、連続して表示される2つのブロックは、実際には実質的に同時に実行される場合があり、又は、関連する機能に応じて、ブロックが逆の順序で実行される場合がある。
【0185】
図4は、本発明の一実施形態によるパッチセンサ40を示す。パッチセンサ40は、1つ又は複数のストラップを使用して、対象者の一部、ここでは腕に取り付けることができる。パッチセンサ40は、トランスデューサアレイ41を備える。パッチセンサはまた、ここでは単一ユニット42で形成される処理システム及び通信モジュールを備える。トランスデューサアレイ41及び単一ユニット42は、ワイヤ43によって接続される。パッチセンサ40は、前述のいずれかの実施形態に従って形成される。
【0186】
開示された実施形態の変形は、図面、開示及び添付の特許請求の範囲の学習から、特許請求の範囲の発明を実施する際に、当業者は、理解して実施することができる。特許請求の範囲において、「含む」という用語は、他の要素又はステップを除外するものではなく、単数形は、複数を除外するものではない。単一のプロセッサ又は他のユニットが、特許請求の範囲に記載された、いくつかの項目の機能を果たしてもよい。特定の方策が相互に異なる従属請求項に記載されているという単なる事実は、これらの方策の組み合わせを有利に使用することができないことを示すものではない。コンピュータプログラムについて上記で考察される場合には、それは、他のハードウェアと一緒に又はその一部として供給される光記憶媒体又はソリッドステート媒体などの、適切な媒体上に記憶/配信してもよいが、インターネットやその他の有線又は無線の通信システムを介するなど、その他の形態で配信してもよい。特許請求の範囲又は説明において「ように適合された」という用語が使用される場合、「ように構成された」という用語と等価であることを意図していることに留意されたい。特許請求の範囲内のいかなる参照記号も、範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。