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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-05
(45)【発行日】2024-04-15
(54)【発明の名称】多孔質インレット
(51)【国際特許分類】
   C23C 16/455 20060101AFI20240408BHJP
   C23C 16/44 20060101ALI20240408BHJP
   H01L 21/205 20060101ALI20240408BHJP
【FI】
C23C16/455
C23C16/44 J
H01L21/205
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2021571500
(86)(22)【出願日】2019-06-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-26
(86)【国際出願番号】 FI2019050433
(87)【国際公開番号】W WO2020245492
(87)【国際公開日】2020-12-10
【審査請求日】2022-05-20
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】510275024
【氏名又は名称】ピコサン オーワイ
【氏名又は名称原語表記】PICOSUN OY
【住所又は居所原語表記】Tietotie 3, FI-02150 Espoo, Finland
(74)【代理人】
【識別番号】100127188
【弁理士】
【氏名又は名称】川守田 光紀
(72)【発明者】
【氏名】プダス マルコ
(72)【発明者】
【氏名】コスタモ ユハナ
【審査官】大西 美和
(56)【参考文献】
【文献】特開昭62-221108(JP,A)
【文献】特開2010-280945(JP,A)
【文献】特開2015-209355(JP,A)
【文献】国際公開第2018/234611(WO,A1)
【文献】特開2011-124424(JP,A)
【文献】特開2009-033000(JP,A)
【文献】特表2007-514306(JP,A)
【文献】特開2003-347227(JP,A)
【文献】特開2005-243979(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 16/00-16/56
H01L 21/205
H01L 21/31
H01L 21/365
H01L 21/469
H01L 21/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板処理装置であって、
インレット口を有する反応室と;
前記インレット口を通じて前記反応室に反応性化学物質を供給する引き込みラインと;
前記引き込みライン内の流入ガス流量制御手段と;
を備え、
前記引き込みラインは前記流量制御手段から前記反応室へと延びており、前記流量制御手段と前記反応室との間の前記引き込みラインの部分はガス透過壁を有するインレットパイプの形態を有しており、前記ガス透過壁を有する前記インレットパイプは、前記インレットパイプを少なくとも部分的に囲む空間を通じて前記インレット口の方へ延びており、
前記装置は前記インレットパイプの前記部分を囲み該部分に侵入する流体を供給するように構成され、
前記装置は更に、前記インレットパイプの周囲のアウターチューブであって、前記少なくとも部分的に囲む空間を提供するアウターチューブを備え
前記流入ガス流量制御手段は三方弁である、
装置。
【請求項2】
前記インレットパイプと前記アウターチューブとの間に不活性ガスを通すように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
基板処理装置であって、
インレット口を有する反応室と;
前記インレット口を通じて前記反応室に反応性化学物質を供給する引き込みラインと;
前記引き込みライン内の流入ガス流量制御手段と;
を備え、
前記引き込みラインは前記流量制御手段から前記反応室へと延びており、前記流量制御手段と前記反応室との間の前記引き込みラインの部分はガス透過壁を有するインレットパイプの形態を有しており、前記ガス透過壁を有する前記インレットパイプは、前記インレットパイプを少なくとも部分的に囲む空間を通じて前記インレット口の方へ延びており、
前記装置は前記インレットパイプの前記部分を囲み該部分に侵入する流体を供給するように構成され、
前記装置は更に、前記インレットパイプの周囲のアウターチューブであって、前記少なくとも部分的に囲む空間を提供するアウターチューブを備え、
前記装置は更に、前記インレットパイプと前記アウターチューブとの間に反応性流体を通し、それによって前記インレットパイプ内で前記反応性化学物質と前記反応性流体との間に反応を生じさせるように構成される装置。
【請求項4】
前記インレットパイプと前記アウターチューブとの間の空間内に少なくとも1つのヒーター要素を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
基板処理装置であって、
インレット口を有する反応室と;
前記インレット口を通じて前記反応室に反応性化学物質を供給する引き込みラインと;
前記引き込みライン内の流入ガス流量制御手段と;
を備え、
前記引き込みラインは前記流量制御手段から前記反応室へと延びており、前記流量制御手段と前記反応室との間の前記引き込みラインの部分はガス透過壁を有するインレットパイプの形態を有しており、前記ガス透過壁を有する前記インレットパイプは、前記インレットパイプを少なくとも部分的に囲む空間を通じて前記インレット口の方へ延びており、
前記装置は前記インレットパイプの前記部分を囲み該部分に侵入する流体を供給するように構成され、
前記装置は更に、前記インレットパイプの周囲のアウターチューブであって、前記少なくとも部分的に囲む空間を提供するアウターチューブを備え、
前記装置は更に、前記アウターチューブから前記反応室へ直接開口する開口部を有する
装置。
【請求項6】
前記アウターチューブが断熱層を備えるか、又は、前記アウターチューブの周りに断熱層が設けられる、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
基板処理装置であって、
インレット口を有する反応室と;
前記インレット口を通じて前記反応室に反応性化学物質を供給する引き込みラインと;
前記引き込みライン内の流入ガス流量制御手段と;
を備え、
前記引き込みラインは前記流量制御手段から前記反応室へと延びており、前記流量制御手段と前記反応室との間の前記引き込みラインの部分はガス透過壁を有するインレットパイプの形態を有しており、前記ガス透過壁を有する前記インレットパイプは、前記インレットパイプを少なくとも部分的に囲む空間を通じて前記インレット口の方へ延びており、
前記装置は前記インレットパイプの前記部分を囲み該部分に侵入する流体を供給するように構成され、
前記装置は更に、前記インレットパイプの周囲のアウターチューブであって、前記少なくとも部分的に囲む空間を提供するアウターチューブを備え、
前記装置は更に、前記インレットパイプと前記アウターチューブとの間の空間からポンプへの出口路を備える
装置。
【請求項8】
基板処理装置であって、
インレット口を有する反応室と;
前記インレット口を通じて前記反応室に反応性化学物質を供給する引き込みラインと;
前記引き込みライン内の流入ガス流量制御手段と;
を備え、
前記引き込みラインは前記流量制御手段から前記反応室へと延びており、前記流量制御手段と前記反応室との間の前記引き込みラインの部分はガス透過壁を有するインレットパイプの形態を有しており、前記ガス透過壁を有する前記インレットパイプは、前記インレットパイプを少なくとも部分的に囲む空間を通じて前記インレット口の方へ延びており、
前記装置は前記インレットパイプの前記部分を囲み該部分に侵入する流体を供給するように構成され、
前記装置は更に、前記インレットパイプの周囲のアウターチューブであって、前記少なくとも部分的に囲む空間を提供するアウターチューブを備え、
前記装置は更に、前記反応室と外室の壁との間に中間領域を有し、前記中間領域は、前記引き込みラインを少なくとも部分的に囲む空間を提供し、
前記外室に、不活性ガスを前記中間領域へと通すためのフィードスルーを有する
装置。
【請求項9】
前記少なくとも部分的に囲む空間内にヒーターを備える、請求項1からのいずれかに記載の装置。
【請求項10】
基板処理装置であって、
インレット口を有する反応室と;
前記インレット口を通じて前記反応室に反応性化学物質を供給する引き込みラインと;
前記引き込みライン内の流入ガス流量制御手段と;
を備え、
前記引き込みラインは前記流量制御手段から前記反応室へと延びており、前記流量制御手段と前記反応室との間の前記引き込みラインの部分はガス透過壁を有するインレットパイプの形態を有しており、前記ガス透過壁を有する前記インレットパイプは、前記インレットパイプを少なくとも部分的に囲む空間を通じて前記インレット口の方へ延びており、
前記装置は前記インレットパイプの前記部分を囲み該部分に侵入する流体を供給するように構成され、
前記装置は更に、前記インレットパイプの周囲のアウターチューブであって、前記少なくとも部分的に囲む空間を提供するアウターチューブを備え、
前記装置は更に、前記流体によって、前記インレットパイプ内の前記反応性化学物質の加熱又は冷却を行うように構成される、請求項1からのいずれかに記載の装置。
【請求項11】
前記インレットパイプは、ガス透過性パイプ、多孔性パイプ、孔あきパイプ、複数のガス透過性ギャップを有する1つ又は複数の部分、の少なくともいずれかを有する、請求項1からのいずれかに記載の装置。
【請求項12】
基板処理装置であって、
インレット口を有する反応室と;
前記インレット口を通じて前記反応室に反応性化学物質を供給する引き込みラインと;
前記引き込みライン内の流入ガス流量制御手段と;
を備え、
前記引き込みラインは前記流量制御手段から前記反応室へと延びており、前記流量制御手段と前記反応室との間の前記引き込みラインの部分はガス透過壁を有するインレットパイプの形態を有しており、前記ガス透過壁を有する前記インレットパイプは、前記インレットパイプを少なくとも部分的に囲む空間を通じて前記インレット口の方へ延びており、
前記装置は前記インレットパイプの前記部分を囲み該部分に侵入する流体を供給するように構成され、
前記装置は更に、前記インレットパイプの周囲のアウターチューブであって、前記少なくとも部分的に囲む空間を提供するアウターチューブを備え、
前記装置は更に、前記流入ガス流量制御手段の上流に第2のインレットパイプを備え、前記第2のインレットパイプはガス透過壁を備え、第2のアウターチューブによって囲まれる
装置。
【請求項13】
基板処理装置であって、
インレット口を有する反応室と;
前記インレット口を通じて前記反応室に反応性化学物質を供給する引き込みラインと;
前記引き込みライン内の流入ガス流量制御手段と;
を備え、
前記引き込みラインは前記流量制御手段から前記反応室へと延びており、前記流量制御手段と前記反応室との間の前記引き込みラインの部分はガス透過壁を有するインレットパイプの形態を有しており、前記ガス透過壁を有する前記インレットパイプは、前記インレットパイプを少なくとも部分的に囲む空間を通じて前記インレット口の方へ延びており、
前記装置は前記インレットパイプの前記部分を囲み該部分に侵入する流体を供給するように構成され、
前記装置は更に、前記インレットパイプの周囲のアウターチューブであって、前記少なくとも部分的に囲む空間を提供するアウターチューブを備え、
前記装置は更に、前記インレットパイプの前記ガス透過壁を囲む、連続し且つ互いに分離される複数のガス空間を、前記インレットパイプの流れ方向に沿って有する
装置。
【請求項14】
前記インレットパイプの前記反応室側の端部に粒子フィルタを備える、請求項1からのいずれかに記載の装置。
【請求項15】
頂部から前記反応室に近づいていく縦方向の引き込みラインを有する、請求項1からのいずれかに記載の装置。
【請求項16】
前記反応室内で基板表面に連続自己飽和表面反応を遂行する、請求項1からのいずれかに記載の装置。
【請求項17】
前記反応室はガス透過壁を有する、及び/又は前記反応室は多孔性材料から形成される、請求項1からのいずれかに記載の装置。
【請求項18】
少なくとも1つのガス透過壁を有する基板ホルダを備える、請求項1からのいずれかに記載の装置。
【請求項19】
前記反応室の下流にポンプフォアラインを有し、前記ポンプフォアラインはガス透過壁を有するパイプの形状を有する、請求項1からのいずれかに記載の装置。
【請求項20】
請求項1からのいずれかに記載の装置の動作方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
一般的にいうと本発明は基板処理方法及び装置に関し、詳細には、化学蒸着法及びエッチング法並びに堆積反応装置及びエッチング装置に関する。より詳細には、本発明は原子層堆積(Atmic Layer Deposition, ALD)装置に関する。ただしそれに限られない。
【発明の背景】
【0002】
このセクションは、有用な背景情報を説明するが、ここで説明されている技術が技術水準を示していることを認めている訳ではないことに注意されたい。ここに開示される反応装置の構造は、例えば、米国特許第8,211,235号明細書を参照することにより理解することができる。
【0003】
化学蒸着法において化学物質は、少なくとも1つの引き込みライン(in-feed line)によって反応室に供給される。引き込みラインは通常、反応室に入る前に温められた空間を通過する。しかしこれは、引き込みラインの壁面に化学物質が固着したり、引き込みラインの壁面と化学物質が反応したりするリスクを増やす。
【摘要】
【0004】
そこで本発明のある実施形態の目的は、引き込みラインに化学物質やプラズマが付着することを低減する方法及び当該付着が低減した装置を提供することである。
【0005】
より一般的には、ある実施形態の目的は、真空部品の壁面に化学物質やプラズマが付着することを低減する方法及び当該付着が低減した装置を提供することである。ここで真空部品の例には、引き込みラインや反応室、基板ホルダ(サセプタ)、ポンプフォアラインなどがある。なおポンプフォアラインとは、反応生成物や残留ガスを反応室から排出するための経路であり、反応生成物や残留ガスは、ポンプに向かって反応室から出て行く。「付着(sticking)」とは、厚みにおいて、一分子層への物理的吸着を表すことができる。
【0006】
本発明の第1の例示的態様によれば、次のような基板処理装置が提供される。この装置は、
インレット口を有する反応室と;
前記インレット口を通じて前記反応室に反応性化学物質を供給する引き込みラインと;
前記引き込みライン内の流入ガス流量制御手段と;
を備え、
前記引き込みラインは前記流量制御手段から前記反応室へと延びており、前記流量制御手段と前記反応室との間の前記引き込みラインの部分はガス透過壁を有するインレットパイプの形態を有しており、前記ガス透過壁を有する前記インレットパイプは、前記インレットパイプを少なくとも部分的に囲む空間を通じて前記インレット口の方へ延びており、
前記装置は前記インレットパイプの前記部分を囲み該部分に侵入する流体を供給するように構成される。
【0007】
実施形態によっては、前記ガス透過壁はガス通路により形成される壁である。前記ガス通路は複数の孔を含んでもよい。多数のガス通路が設けられてもよく、それによってインレットパイプの内表面全体に亘って保護流が提供されてもよい。実施形態によっては、前記ガス透過壁は多孔性である。実施形態によっては、前記壁自体がガス透過性である。実施形態によっては、前記壁は少なくとも100個のガス通路を有する。実施形態によっては、前記壁は少なくとも1000個のガス通路を有する。実施形態によっては、前記壁は、前記インレットパイプの全周に亘って長手方向に分散分布する複数のガス通路を有する部分を備える。
【0008】
実施形態によっては、前記ガス透過壁は、開口部又は特殊な噴射チャネルが設けられる壁を有するパイプとは対照的に、それ自身がガス透過性である。実施形態によっては、前記ガス透過壁は貫通孔を有する。実施形態によっては、前記ガス透過壁は、ガス透過壁部分又はガス透過壁領域の全体に亘って開口部又はガス通路を備える。実施形態によっては、前記開口部又はガス通路は一様な形態に設けられる。実施形態によっては、前記ガス透過壁のガス透過性は、前記インレットパイプに一体化された特徴又は性質である。
【0009】
実施形態によっては、前記ガス透過壁は前記インレット口へと延びている。実施形態によっては、前記ガス透過壁は前記インレット口に直接繋がっておらず、前記インレット口への経路の一部のみに存在する。そのような実施形態においては、前記インレット口に近い前記反応室の端部又は前記インレット口における前記反応室の端部は、化学物質の付着を低減するために、熱い端部又は加熱された端部になっていてもよい。
【0010】
実施形態によっては、前記流入ガス流量制御手段は弁である。実施形態によっては、前記流入ガス流量制御手段はパルス弁である。実施形態によっては、前記流入ガス流量制御手段は三方弁(若しくはALD弁)又は四方弁である。そのような弁の例がWO2018/202935A1やWO2018/202949A1に開示されている。実施形態によっては、前記流入ガス流量制御手段は、上記手段に加えて又は代えて別の流量制御手段を有する。
【0011】
実施形態によっては、少なくとも部分的に前記引き込みラインを囲む前記空間は前記反応室の外側の空間である。実施形態によっては、少なくとも部分的に前記引き込みラインを囲む前記空間は少なくとも部分的に前記反応室を囲む空間であり、例えば、前記反応室の壁と外室(又は真空室)との間の中間領域である。
【0012】
実施形態によっては、前記インレットパイプを囲み該インレットパイプに入り込む流体は高圧流体である。実施形態によっては、"高圧流体"との語句は、前記インレットパイプを囲む流体の圧力が、前記インレットパイプ内を流れるガス又は流体(前記インレットパイプを囲む流体と混じり合う前のガス又は流体)の圧力よりも高いことを表している。
【0013】
実施形態によっては、前記装置は前記高圧流体を供給する手段を備える。
【0014】
実施形態によっては、前記装置は、前記反応室が前記インレットパイプの内面に付着することを防止する。
【0015】
実施形態によっては、前記装置は、前記インレットパイプの周囲のアウターチューブであって、前記少なくとも部分的に囲む空間を提供するアウターチューブを備える。
【0016】
実施形態によっては、前記アウターチューブはガス透過壁から形成される。
【0017】
実施形態によっては、前記装置は、前記インレットパイプの周囲に位置するアウターチューブ(又はパイプ)であって、前記インレットパイプを囲み該インレットパイプに入り込む流体を提供するように構成されるアウターチューブ(又はパイプ)を備える。
【0018】
実施形態によっては、前記インレットパイプを囲む流体はガスである。実施形態によっては、前記インレットパイプを囲む流体は不活性ガスである。
【0019】
実施形態によっては、前記装置は、前記インレットパイプと前記アウターチューブとの間に不活性ガスを通すように構成される。
【0020】
実施形態によっては、前記装置は前記インレットパイプと前記アウターチューブとの間に反応性流体を通し、それによって前記インレットパイプ内で前記反応性化学物質と前記反応性流体との間に反応を生じさせるように構成される。実施形態によっては、そのような反応によりパウダーが形成される。
【0021】
実施形態によっては、前記装置は前記インレットパイプと前記アウターチューブとの間に反応性流体を通し、それによって前記インレットパイプ内で前記反応性化学物質と前記反応性流体との間に反応を生じさせ、別の化学物質やイオン、ラジカル又は同様の形態、種を形成するように構成される。このように形成された種は、続いて反応室内で別の前駆体と反応し、基板上で表面反応を生じる。従って、実施形態によっては、最初は他の化学物質と反応しない化学物質が、前記ガス透過壁を通じて流れる物質によって活性化され、当該他の化学物質と反応できるようにされる。
【0022】
実施形態によっては、前記装置は、前記反応室の周囲に配される外室であって、前記反応室を囲む空間を形成する外室を備える。
【0023】
実施形態によっては、前記装置は前記外室に、不活性ガスを前記中間領域へと通すためのフィードスルーを有する。
【0024】
実施形態によっては、前記装置は、前記反応室と前記外室の壁との間に中間領域を有し、前記中間領域は、前記引き込みラインを少なくとも部分的に囲む空間を提供する。
【0025】
実施形態によっては、前記装置は前記反応室及び前記外室の両方を真空排気するように構成される。前記ポンプ又はそれとは異なるポンプが使用されてもよい。
【0026】
実施形態によっては、前記装置は、前記引き込みラインを少なくとも部分的に囲む空間内にヒーターを有する。
【0027】
実施形態によっては、前記装置は、前記インレットパイプ内で前記化学物質を加熱又は冷却する手段を提供するように構成される。この手段は熱放射であってもよい。または、前記インレットパイプを囲む流体又は前記高圧流体であってもよい。そのような流体は、前記化学物質よりも高温又は低温である。
【0028】
実施形態によっては、反応性化学物質(又は前駆体)は、前記インレットパイプ内へ、弁(例えばパルス弁や三方弁)を通じてパルスされる。実施形態によっては、前記弁は四方弁である。
【0029】
実施形態によっては、前記装置は、前記高圧流体によって前記インレットパイプ内で前記化学物質を加熱又は冷却するように構成され、ここで前記アウターチューブ内の流体は、前記インナーパイプ内の流体とは異なる方法で加熱又は冷却される。
【0030】
実施形態によっては、前記インレットパイプは該インレットパイプを暖める手段を有する。
【0031】
実施形態によっては、前記アウターチューブは該アウターチューブを暖める手段を有する。
【0032】
実施形態によっては、前記装置は、前記インレットパイプと前記アウターチューブとの間の空間に少なくとも1つのヒーター要素を備える。実施形態によっては、前記少なくとも1つのヒーター要素は前記インレットパイプの表面に統合される。
【0033】
実施形態によっては、前記装置は、前記少なくとも1つのヒーター要素に加えて又は代えて少なくとも1つのクーラー要素を、前記インレットパイプと前記アウターチューブとの間の空間に備える。実施形態によっては、前記クーラー要素は、冷却のために、外務の熱交換要素と共に液体循環を使用する。
【0034】
実施形態によっては、前記ガス透過壁を通じて前記インレットパイプに流れ込むガス又は流体は、前記インレットパイプ内に既に存在するガス又は流体よりも冷たい。又は、前記ガス透過壁を通じて前記インレットパイプに流れ込む際の膨張により冷やされる。
【0035】
前記ガス透過壁を有する前記インレットパイプは、例えば多孔性材料によって実装されてもよい。多孔性材料としては、焼結ポリマー、焼結金属、(金属やセラミック、セラミック材の可能な焼結ステップを伴う)3Dプリントされた材料であってもよい。多孔性材料の例の一つとして、酸化アルミニウムと酸化ケイ素から成り立っている物質(Pormulitとして知られている)がある。多孔性材料のソリューションによって、様々な多孔率を有するだろう。例えば様々な流体チャネル(流路)を有するだろう。そのようなチャネルは、例えば3Dプリント技術によって容易に形成することができる。そのようなチャネルの利点は、例えば、材料表面のいろいろな場所で、流体の流出と流入のバランスを図ること、又は、流体を流出させることであってもよい。
【0036】
実施形態によっては、前記インレットパイプは、少なくとも、ガス透過性パイプ、多孔性パイプ、孔あきパイプの少なくとも1つを含んでもよく、1つ又は複数のガス透過性ギャップを有する1つ又は複数の部分を含んでもよい。実施形態によっては、このようなギャップや孔は、ガス排出部や、チョーク流れ効果を生成する構造を形成する。ガス透過性又は多孔性領域の開口部の密度は様々であってよい。又は、ガス透過性又は多孔性領域は、液体に壁を通過させるための前述の構造や手段を様々なに組み合わせて形成されてもよい。
【0037】
実施形態によっては、前記装置は、前記インレットパイプの外部に追加の通路を有する。この通路は前記反応室の外部から前記反応室内への流路を提供する。これは、引き込みライン(又はインレットパイプ)により提供される流路に追加される流路となる。前記装置がインレットパイプを囲むアウターチューブを有する場合は、この追加的通路は前記インレットパイプの外側且つ前記アウターチューブの内側に位置してもよい。実施形態によっては、前記装置は、前記アウターチューブから前記反応室へ直接繋がる追加の通路を備える。実施形態によっては、前記アウターチューブ内の流体は2つの経路を辿って前記反応室へ入る。一つは上に述べた、インレットパイプの外側の通路を通る経路であり、もう一つはインレットパイプ及びインレット口を通る経路である。前記追加の通路は反応室壁内に設けられてもよい。実施形態によっては前記通路は調整可能である。例えばサイズが調整可能である。
【0038】
実施形態によっては、前記装置は、前記アウターチューブを低圧とすると共に、前記アウターチューブが、前記インレットパイプの外側且つ前記アウターチューブの内側に位置する前記追加の通路を通じて前記反応室に開口するように構成される。実施形態によっては、このような構成は、前記インレットパイプと、前記アウターチューブを囲む前記中間領域との間の温度を分離する。
【0039】
実施形態によっては、前記装置は前記インレットパイプ内に1つ又は複数の独立した流路を有する。ここで「独立した」とは、流路内を流れる物質が、インレットパイプ内を流れる反応性化学物質と、流体的な接続がないことを意味している。例えば、前記流路は3Dプリントされた物質で作られていてもよい。実施形態によっては、前記流路は溶接されたパイプであってもよい。実施形態によっては、前記流路はらせん状であってもよい。前記流路は気体経路であってもよい。前記流路は前記インレットパイプの内面上に位置してもよい。前記インレットパイプ内を流れる反応性化学物質の温度とは異なる温度の流体が前記流路内に流れることで、前記流路は、前記インレットパイプに加熱効果又は冷却効果を提供してもよい。
【0040】
実施形態によっては、前記流入ガス流量制御手段は三方弁若しくは四方弁を備える。(又は三方弁若しくは四方弁である。)
【0041】
実施形態によっては、前記装置は、前記流入ガス流量制御手段の上流に第2のインレットパイプを備える。前記第2のインレットパイプもガス透過壁を備え、第2のアウターチューブによって囲まれる。実施形態によっては、前記インレットパイプと前記アウターチューブとの間の空間は、前記第2のインレットパイプと前記第2のアウターチューブとの間の空間とは流体的に直接繋がっていない。
【0042】
実施形態によっては、前記アウターチューブは断熱層を有する。又は前記装置は前記アウターチューブの周囲に断熱層を有する。
【0043】
実施形態によっては、前記装置は、前記インレットパイプの前記ガス透過壁を囲む、連続し且つ互いに分離される複数のガス空間を、前記インレットパイプの流れ方向に沿って有する。
【0044】
実施形態によっては、前記インレットパイプはガス透過壁を有する。又は前記インレットパイプは多孔性である。そして前記アウターチューブは省略される。実施形態によっては、反応室壁と外(室)壁との間の中間領域からのガスは、前記インレットパイプを通じて(直接)流れる。真空室は前記外室として設けられてもよい。
【0045】
実施形態によっては、前記中間領域は省略される。しかし前記インレットパイプと前記アウターチューブが前記反応室の外側に設けられる。ヒーターは、前記反応室の外表面に立体化されてもよい。又はヒーターは、流入するガスのみに提供されてもよい。
【0046】
実施形態によっては、前記装置は前記インレットパイプの前記反応室側の端部に粒子フィルタを備える。
【0047】
実施形態によっては、前記装置は前記インレットパイプと前記アウターチューブとの間の空間からポンプまでの(排気のための)出口路を有する。実施形態によっては、前記出口路は前記インレットパイプの外面と前記アウターチューブの内面によって画定される空間の前記反応室側の端部に発する。
【0048】
実施形態によっては、前記装置は頂部から前記反応室に近づいていく縦方向の引き込みラインを有する。
【0049】
実施形態によっては、PCT/FI2017/050465に記載されるように、前記アウターチューブは、少なくともその長さ方向において柔軟性を有し、それによって前記反応室へ取り付けられることが可能になっており、及び/又は、真空室の外側において柔軟性を有する取付部を実現する。
【0050】
実施形態によっては、前記インレットパイプは複数の領域区分を有し、前記インレットパイプの内部を流れるガス流に、複数の異なるガス又は複数の異なるガスの混合物が導入される。
【0051】
実施形態によっては、前記ガス透過壁の表面材及び前記ガス透過壁を通って前記インレットパイプの内部へ流れ込む流体に対して、触媒反応を生成するための、適切な温度及び丈夫な材料表面が選択される。
【0052】
実施形態によっては、前記ガス透過壁の表面材及び前記ガス透過壁を通って前記インレットパイプの内部へ流れ込むガスに対して、触媒反応を生成するための、適切な温度が選択される。
【0053】
実施形態によっては、前記触媒反応に影響させるために電磁放射が前記インレット内に導入される。
【0054】
実施形態によっては、前記装置は、前記反応室内の基板表面に連続自己飽和表面反応を遂行する。従って前記装置は原子層堆積(ALD)を適用するように構成される。前記基板はウェーハであってもよい。
【0055】
実施形態によっては、前記装置はパウダーを生成するように構成される。
【0056】
実施形態によっては、前記装置は、前記反応室内の基板表面にエッチング反応を遂行する。
【0057】
実施形態によっては、前記ガス透過壁を通過するガスは、前記三方弁(又は流入ガス流量制御手段)の上流で、前記引き込みラインを流れるガスと混合する。
【0058】
実施形態によっては、前記インレットパイプの前記ガス透過壁は前記パルス弁又は前記流入ガス流量制御手段の上流に延在し、それによって前記ガス透過壁を通って流入するガスは、前記パルス弁又は前記流入ガス流量制御手段の前で、前記インレットパイプ内を流れるガスと混合できる。
【0059】
実施形態によっては、前記弁又は前記流入ガス流量制御手段は前記中間領域に配される。
【0060】
実施形態によっては、前記インレットパイプは少なくとも1つのカーブ形状を有し、それによって流体の流れの方向を変え、又は(例えば螺旋のような、)粒子の分離力を有する。
【0061】
実施形態によっては、前記インレットパイプに取り付けられる前記弁は、少なくとも2つのガスのいずれかを選択するための複数の弁又は手段からなる。
【0062】
実施形態によっては、弁の後の選択は、ミキサー(又は流れ方向ガイド)を含む。又は、ミキサー(又は流れ方向ガイド)からなる。実施形態によっては、前記ミキサーは、2つ以上の異なるガスラインに接続される。これらガスラインはそれぞれ異なる圧力のガス又は異なる温度のガスであってもよい。実施形態によっては、このような構造は、ガス透過管壁のエッジの周りに更なる保護流を形成する。実施形態によっては、このような構造は、排出流効果又はチョークフロー効果を高める。
【0063】
実施形態によっては、前記ガス透過管壁は、その長さ方向に亘って幅が変化するようにされる。
【0064】
実施形態によっては、前記ガス透過管は少なくとも2つの流入枝の混合を形成するようにされる。実施形態によっては、前記ガス透過管は少なくとも2つの流出枝に広がっていくようにされる。従って、実施形態によっては、ガス透過管(インレットパイプ)から少なくとも2つの出口が反応室へと繋がっている。このような構造は、必要であれば反応室の前で化学物質管の所望の化学反応を生じさせるために役立つ。このような化学反応の後にクリーニングがなされてもよい。例えば、インレットパイプの反応室端の前記粒子フィルタが適用され、これを通過する流れから粒子を除去してもよい。
【0065】
実施形態によっては、前記インレットパイプは前記基板に指向するようにされてもよい。
【0066】
実施形態によっては、プラズマ形成が、少なくとも部分的に前記インレットパイプ内で生じるようにされてもよい。これは例えば、前記インレットパイプの外部に設置されるRFプラズマ生成器を用いてなされてもよい。国際公開公報WO2012/136875に、RFプラズマ生成器の設置の例が記載されている。実施形態によっては、前記インレットパイプに入り込む周囲ガスの流れが、前記インレットパイプの壁からプラズマを離間している。実施形態によっては、前記流れはプラズマを前記基板の方へ推し進めるようにされる。更に別の実施形態では、前記流れは小さな非一様性を可能にする。実施形態によっては、前記非一様性は、例えば、前記インレットパイプの構造内で前記ガス流内に変化が生じるように前記流れを変化させることにより得られる。
【0067】
別の実施形態では、インレットパイプに周囲ガスが入り込むことに変えて、インレットパイプ内からガス透過壁を通って前記インレットパイプ外へと流れの方向が生じるように圧力が制御されてもよい。
【0068】
実施形態によっては、前記反応室はガス透過壁を有する。実施形態によっては、前記反応室壁はガス通路により構成される。前記ガス通路は複数の孔を含んでもよい。多数のガス通路が設けられてもよく、それによって前記反応室の内表面全体に亘って保護流が提供されてもよい。実施形態によっては、前記反応室は多孔性材料により構成される。
【0069】
実施形態によっては、ガス透過壁を有する前記反応室は、少なくとも部分的に、空間によって囲まれている。実施形態によっては、前記空間は、前記反応室のガス透過壁と前記外室の壁との間に形成される中間領域であってもよい。実施形態によっては、前記空間は、前記反応室のガス透過壁と外側中間壁とによって画定される。前記外側中間壁は前記反応室のガス透過壁と前記外室の壁との間に位置する。実施形態によっては、前記装置は、前記反応室を囲むと共に、前記反応室の周囲の閉空間から前記反応室のガス透過壁を通じて前記反応室に入り込む流体を供給するように構成される。
【0070】
実施形態によっては、前記装置は多孔性材料から形成される基板ホルダを有する。実施形態によっては、前記装置は少なくとも1つのガス透過壁を有する基板ホルダを備える。
【0071】
実施形態によっては、前記装置は基板ホルダを有する。前記基板ホルダの面のうち基板に面する面は少なくともガス通路によって構成される。前記ガス通路は複数の孔を含んでもよい。実施形態によっては、前記基板ホルダの面のうち基板に面する面は多孔性である。
【0072】
実施形態によっては、前記装置は、前記反応室の下流にポンプフォアラインを有する。前記ポンプフォアラインはガス透過壁を有するパイプの形状を有する。
【0073】
実施形態によっては、前記ポンプフォアラインのガス透過壁を有するパイプは、ガス透過壁を有するアウターチューブで囲まれる。
【0074】
本発明の第2の例示的側面によれば、上記の第1の側面及びその変形例に従う基板処理装置を動作させる方法が提供される。
【0075】
従って、前記第2の例示的側面は、
引き込みライン及び反応室インレット口を通じて前記装置の反応室に反応性化学物質を供給することと;
流入ガス流量制御手段により前記引き込みラインを制御することと;
を含み、
前記引き込みラインは前記流量制御手段から前記反応室へと延びており、前記流量制御手段と前記反応室との間の前記引き込みラインの部分はガス透過壁を有するインレットパイプの形態を有しており、前記ガス透過壁を有する前記インレットパイプは、前記インレットパイプを少なくとも部分的に囲む空間を通じて前記インレット口の方へ延びており、
前記方法は更に、前記インレットパイプの前記部分を囲み該部分に侵入する流体を供給することを含む、方法である。
【0076】
実施形態によっては、前記方法は、前記インレットパイプの周囲のアウターチューブであって、前記少なくとも部分的に囲む空間を提供することを含む。
【0077】
実施形態によっては、前記方法は、前記アウターチューブに不活性ガスを通すことを含む。
【0078】
実施形態によっては、前記方法は、前記インレットパイプと前記アウターチューブとの間に反応性流体を通すことにより、前記反応性化学物質と前記インレットパイプ内の前記反応性流体との反応を生じさせることを含む。
【0079】
実施形態によっては、前記方法は、前記反応室と前記外室の壁との間に中間領域を有し、前記中間領域は、前記引き込みラインを少なくとも部分的に囲む空間を提供することを含む。
【0080】
実施形態によっては、前記方法は、前記アウターチューブの壁のフィードスルーを通じて前記中間領域に不活性ガスを通すことを含む。
【0081】
実施形態によっては、前記方法は、ヒーターによって前記少なくとも部分的に囲む空間を暖めることを含む。
【0082】
実施形態によっては、前記方法は、前記インレットパイプと前記アウターチューブとの間の空間設置された少なくとも1つのヒーター要素により前記装置を暖めることを含む。
【0083】
実施形態によっては、前記方法は、前記インレットパイプ内の前記反応性化学物質を、該インレットパイプを囲む流体で暖めるか冷やすことを含む。
【0084】
実施形態によっては、前記方法は、前記アウターチューブから直接前記反応室に入り込む流体を供給することを含む。
【0085】
実施形態によっては、前記方法は、前記反応室の壁の開口部を通じて、前記アウターチューブから前記反応室に直接進入するガス流を形成することを含む。
【0086】
実施形態によっては、前記方法は、前記引き込みライン内のガス流を三方弁によって制御することを含む。
【0087】
実施形態によっては、前記方法は、前記流入ガス流量制御手段の上流に第2のインレットパイプを提供することを含む。前記第2のインレットパイプもガス透過壁を備え、第2のアウターチューブによって囲まれる。
【0088】
前記第2のインレットパイプを囲み該第2のインレットパイプに侵入する流体を供給することを含む。
【0089】
実施形態によっては、前記方法は、前記アウターチューブを断熱層で覆うことを含む。
【0090】
実施形態によっては、前記方法は、前記インレットパイプの前記ガス透過壁を囲む、連続し且つ互いに分離される複数のガス空間を、前記インレットパイプの流れ方向に沿って設けることを含む。
【0091】
実施形態によっては、前記方法は、前記インレットパイプの前記反応室側の端部の粒子フィルタで粒子を除去することを含む。
【0092】
実施形態によっては、前記方法は、前記インレットパイプと前記アウターチューブとの間の空間から、前記反応室をバイパスする出口路に物質を排出することを含む。
【0093】
実施形態によっては、前記方法は、縦方向の引き込みラインを通じて頂部から前記反応室に近づくことを含む。
【0094】
実施形態によっては、前記方法は、前記反応室内の基板表面に連続自己飽和表面反応を遂行することを含む。
【0095】
実施形態によっては、前記反応室はガス透過壁を備え、前記方法は、前記反応室を囲み前記ガス透過壁を通じて前記反応室に侵入する流体を供給することを含む。
【0096】
実施形態によっては、前記反応室は多孔性材料により形成される。
【0097】
実施形態によっては、基板ホルダは少なくとも1つのガス透過壁を含む。前記基板ホルダは前記反応室内で1つ又は複数の基板を支持してもよい。
【0098】
実施形態によっては、前記方法は、前記基板ホルダの内部に流体を供給することを含む。この流体は前記基板ホルダの内部から前記少なくとも1つのガス透過壁を通って前記反応室に侵入する。
【0099】
実施形態によっては、前記方法は、前記反応室及び前記外室の両方を真空排気することを含む。
【0100】
本発明の更なる側面によれば、更なる方法及び装置が提供される。これらの更なる側面においては、前記第1及び第2の側面に関連して紹介された実施形態が一般的に適用される。しかしこれらの更なる側面においては、前記第1及び第2の側面が含む全ての構成要素を有していない。
【0101】
このため、更なる例示的側面によれば、次のような基板処理装置が提供される。この装置は、
インレット口を有する反応室と;
前記インレット口を通じて前記反応室に反応性化学物質を供給する引き込みラインと;
前記引き込みラインの部分であって、前記インレット口の上流に位置し、ガス透過壁を有するインレットパイプの形態を有する部分と;
を備える。
【0102】
本発明の更なる例示的側面によれば、次の方法が提供される。この方法は、
基板処理装置の反応室に、引き込みライン及び反応室のインレット口を通じて反応性化学物質を供給することを含み、ここで前記引き込みラインは前記インレット口の上流に位置し、ガス透過壁を有するインレットパイプの形態を有し、前記方法は更に、
前記インレットパイプの外側から前記ガス透過壁を通じて前記インレットパイプの内部に入る流体を供給することを含む。
【0103】
更に別の例示的側面によれば、次のような基板処理装置が提供される。この装置は、
反応室と;
前記反応室に反応性化学物質を供給する引き込みラインと;
前記反応室を少なくとも部分的に囲む真空室と;
前記反応室の壁と前記真空室の壁との間の中間領域と;
を備え、前記引き込みラインは前記中間領域においてガス透過壁を有する。
【0104】
本発明の更に別の例示的側面によれば、次の方法が提供される。この方法は、
基板処理装置の反応室に引き込みラインを通じて反応性化学物質を供給することと;
前記反応室を囲む真空室を設けること、及び、前記反応室の壁と前記真空室の壁との間に中間領域を設けることと;
前記引き込みラインのガス透過壁を通じて前記中間領域から前記引き込みラインへと流体を流すことと;
を含む。
【0105】
更に別の例示的側面によれば、次のような基板処理装置が提供される。この装置は、
反応室と;
前記反応室に反応性化学物質を供給する引き込みラインと;
を備え、前記引き込みラインは、ガス透過壁を有するインナーパイプと該インナーパイプを囲むアウターチューブの形態を有する。
【0106】
実施形態によっては、前記アウターチューブは周囲から熱を遮断する。
【0107】
更に別の例示的側面によれば、ガス透過壁を有する反応室を備える基板処理装置が提供される。。
【0108】
更に別の例示的側面によれば、ガス透過壁を有する基板ホルダを備える基板処理装置が提供される。。
【0109】
本発明の更に別の例示的側面によれば、ガス透過壁を備える基板ホルダが提供される。
【0110】
従って、反応室及び/又は基板ホルダの内部はそれぞれガス透過壁を備える。
【0111】
本発明の更に別の例示的側面によれば、反応室に出口を有するパイプであって、ガス透過壁を備えるパイプが提供される。
【0112】
前記インレットパイプのガス透過壁に関して説明した事項は、同じ又は異なる実施形態又は側面における、ガス透過壁を有する他の部分にも適用される。ここで「他の部分」とは、例えばガス透過壁を有する反応室、ガス透過壁を有する基板ホルダ、反応室からポンプへと繋がるフォアライン(ポンプフォアライン)であってガス透過壁を有するフォアラインである。従って、これら「他の部分」のガス透過壁は多孔性であってもよい。また、インナーパイプに関して説明した特徴やソリューションは、上記「他の部分」に関する側面や実施形態に適用可能である。
【0113】
様々な捉え方や実施形態を紹介してきたが、これらは発明の範囲を限定するために提示されたものではない。これらの実施形態や後述の実施形態は、本発明の実施にあたり使用され得る特定の態様やステップを説明するために用いられるにすぎない。いくつかの実施形態は他の実施形態にも適用可能であることが理解されるべきである。紹介する実施形態は適宜組み合わせ可能でありうる。
【図面の簡単な説明】
【0114】
本発明を、単なる例示を用いて、かつ添付図面を参照して、以下に説明する。
図1】ある実施形態に従う装置を示す。
図2】別の実施形態に従う装置を示す。
図3】別の実施形態に従う装置を示す。この装置は外管が省略される。
図4】別の実施形態の装置を示す。この装置は外チャンバが省略される。
図5】ある実施形態に従う装置を示す。この装置は三方弁を有する。
図6】ある実施形態に従う装置を示す。この装置は、インレットパイプを取り囲むガス空間を複数有し、これらのガス空間は互いに区切られている。
図7】ある実施形態に従う装置を示す。この装置は粒子フィルタを有する。
図8】更に別の実施形態に従う装置を示す。
図9】更に別の実施形態に従う装置を示す。この装置はガス透過壁を有する反応室を有する。
図10】別の実施形態に従う装置を示す。この装置は多孔質基板ホルダを有する。
図11】別の実施形態に従うインレットパイプ内の流路を示す。
図12】更に別の実施形態に従う装置を示す。
図13】ある実施形態に従う更に別の詳細を示す。
【詳細説明】
【0115】
以下の説明において、一例として、原子層堆積(ALD)技術が用いられる。しかし、本発明はALD技術に限定されない。本発明は広く様々な基板処理装置に生かすことができ、例えば、化学蒸着(CVD)反応装置や、原子層エッチング(ALE)反応装置のようなエッチング装置に利用することもできる。
【0116】
ALD成長メカニズムの基本は当業者の知るところである。ALDは、少なくとも2種類の反応性前駆体種を少なくとも1つの基板に連続的に導入することに基づく、特殊な化学的堆積法である。しかし、これらの反応性前駆体の1つは、エネルギーによって代替できることが知られている。
【0117】
例えば光改良型ALD(photon-enhanced ALD)や、例えばPEALDのようなプラズマアシスト型ALD(plasma-assisted ALD)は、単一の前駆体によるALDプロセスを生んでいる。例えば、純元素の体積には1つの前駆体しか必要としない。二元化合物、例えば酸化物については、堆積されるべき二元化合物の両方の元素を前駆体化学物質が含んでいる場合は、1つの前駆体化学物質で形成されることができる。ALDによって成長した薄膜は緻密でピンホールがなく、かつ均一の厚さを有する。
【0118】
基板処理工程に関して述べると、通常少なくとも1枚の基板が、時間的に離間した複数の前駆体パルスに反応器内で曝される。それによって、連続自己飽和表面反応で材料が基板表面に堆積される。本出願の記述において、ALDという用語は、全ての適用可能はALDベース技術や、例えば次のALDの亜類型のような、等価又は密接に関連したあらゆる技術を含むものとする。
【0119】
MLD(Molecular Layer Deposition,分子層堆積)、例えばPEALD(Plasma Enhanced Atomic Layer Deposition,プラズマALD)のようなプラズマアシスト型ALD(plasma-assisted ALD)、光ALD(photo-ALD)やフラッシュ改良型ALD(flash enhanced ALD)として知られる光改良型ALD(photon-enhanced ALD)。
【0120】
代替的に又は追加的に、このような処理は、例えば反応室をターゲットにすることができる。例えば反応室を保護したりクリーンにしたりすることを目的にすることができる。
【0121】
基本的なALD堆積サイクルは4つの逐次的工程、すなわち、パルスA、パージA、パルスB、及びパージB、から構成される。パルスAは第1の前駆体蒸気から構成され、パルスBは別の前駆体蒸気から構成される。パージAおよびパージBでは、反応空間から気体の反応副産物や残留反応物分子をパージ(除去)するために、不活性ガスと真空ポンプが用いられる。堆積シーケンスは少なくとも1回の堆積サイクルにより構成される。所望の厚さの薄膜またはコーティングが生成されるまで堆積サイクルが繰り返されるように、堆積シーケンスが組まれる。堆積サイクルは、簡単にすることも、さらに複雑にすることもできる。例えば、堆積サイクルは、パージステップによって区切られた3回以上の反応物蒸気パルスを含むことができる。また、パージステップのいくつかは省略することもできる。一方、光改良型ALDは様々なオプションを有する。例えば、たった一つのアクティブな前駆体と、様々なパージオプションを有することができる。これらの堆積サイクルは全て、論理演算装置またはマイクロプロセッサによって制御される、時間的な堆積シーケンスを形成するものである。
【0122】
反応空間は、反応室内の定められた空間である。堆積やエッチング、クリーニング、アクティブ化や交換といった、要求される化学反応は、通常、反応空間内の基板の表面に生じる。
【0123】
図1は、ある実施形態に従う装置を示す。装置100は基板処理装置であり、例えばALDリアクター、ALEリアクター、CVDリアクターであることができる。装置100の基本的構成は、例えば、フィンランド国エスポーのピコサンから入手可能なALDシステムR-200に準拠して実装されてもよい。装置100は反応室130及び引き込みライン101を有する。引き込みライン101は、反応化学物質(実施形態によっては、反応化学物質とキャリアガスの混合物)を反応室130に供給する。装置100は引き込みライン101内にパルス弁105を有する。パルス弁の状態(開状態や閉状態)は制御システム180によって制御される。
【0124】
装置100は、反応室130の外側の空間を有する。この空間は、少なくとも部分的に引き込みライン101を囲んでいる。図1の実施形態においては、反応室130と外室140(これは真空室であってもよい)との間の中間領域が、反応室130と引き込みライン101の両方を囲んでいる。引き込みライン101の周囲にアウターチューブ120が配される。アウターチューブ120はガス不透過性壁を有する。引き込みライン101はパルス弁105に接続されると共に、パルス弁105から反応室130内へと延伸する。パルス弁105から反応室130までの部分において、引き込みライン101は、ガス透過壁を有するインレットパイプ111の形態を取る。これを多孔性インレットと称する。反応室130はインレット口121及びインレットパイプ111を有する。インレットパイプ111はガス透過壁を有し、ガス透過壁はインレット口121に繋がっている。実施形態によっては、ガス透過壁はインレット口121に直接繋がっておらず、インレット口121への経路の一部のみに存在する。そのような実施形態においては、インレット口121に近い反応室130の端部は、化学物質の付着を低減するために、熱い端部又は加熱された端部になっていてもよい。実施形態によって、インレット口121は、反応室130の底部や頂部、側部や角部に配されてもよい。
【0125】
実施形態によっては、インレットパイプ111は多孔性パイプ又は穴が空いたパイプである。実施形態によっては、インレットパイプ111の壁部は複数の穴又は隙間を有する。実施形態によっては、方向性を有する穴である。実施形態によっては、インレットパイプ111の壁部は隙間やスリットが設けられる部分を有する。インレットパイプ11の材質は、例えば金属やセラミックである。アウターチューブ120及び中間領域190はインレットパイプ111を囲む。
【0126】
引き込みライン101を囲む空間の少なくとの一部は、熱せられた空間である。実施形態によっては、反応室130(及び中間領域190)は、中間領域199に設置されるヒーター160によって暖められる。アウターチューブ120内の空間(及びインレットパイプ111内の空間)は、インレットパイプ111とアウターチューブ120との間に設置されたヒーター122によって暖められる。ヒーター122は制御システムによって制御される。実施形態によっては、アウターチューブ120には断熱材が使われる。この断熱材は、例えば熱反射材層であることができる。実施形態によっては、インレットパイプ111及び/又はアウターチューブ120を冷却するための、1つ又は複数のクーラー要素が設けられる。
【0127】
インレットパイプ111を囲むように高圧流体(又は高圧ガス)を供給することにより、インレットパイプ111内を流れる反応性化学物質が、インレットパイプ111の内壁に接触したり付着したりすることを防ぐ。(又は、接触したり付着したりすることを減少させる。)インレットパイプ111を囲む高圧ガスは、フィードスルーやバルブ等を通じてアウターチューブ120に流入する。例えば高圧ガスは、ガスソース170からバルブ106を通じてアウターチューブ120内に流入する。高圧ガスは、ガス透過壁を通じてインレットパイプ111内に入る。高圧ガスの圧力と反応ガスの圧力の差が、反応ガスがインレットパイプ111の壁に付着することを防ぐ。実施形態によっては、アウターチューブ120は省略され、中間領域190内の、インレットパイプ111を囲むガスが、上記の高圧ガスの役割を果たす。このような実施形態は、図3を参照して後述される。いずれの実施形態においても、高圧ガスはインレットパイプの壁を通じて内部に入り込み、反応ガスと混ざる。この混合物はインレットパイプ111を通じて反応室130へと流入する。そこでは基板110が、制御システム180によって制御される連続自己飽和表面反応に晒される。
【0128】
残留する反応物質や反応副生成物が存在する場合、それらはフォアライン145を通じて真空ポンプ150の方へ送り出される。
【0129】
実施形態によっては、装置100は、反応室130及び外室140の両方を真空排気するように構成される。従って、装置は真空条件で動作する。
【0130】
前述のように、バルス弁105は制御システム180によって制御される。同様に、制御システム180は装置の動作全体を制御する。制御システム180は少なくとも一つのプロセッサ及び少なくとも一つのメモリを備える。このメモリにはコンピュータプログラム又はソフトウェアが格納されている。このソフトウェアは、装置100を制御すべく前記少なくとも1つのプロセッサに実行されるプログラム命令を備える。典型的にはソフトウェアはオペレーティングシステムとそれ以外のアプリケーションを含む。
【0131】
前記少なくとも1つのメモリは装置の一部を形成してもよい。また、取付可能なモジュールを備えていてもよい。制御システム180は更に、少なくとも1つの通信ユニットを備える。この通信ユニットは、装置100の内部通信のためのインターフェースを提供する。実施形態によっては、制御システム180は、共起通信ユニットを使って、装置100の様々な部分に命令を送信し、またこれらの部分からデータを受信する。ここで前記部分とは、例えば、測定及び制御デバイス、バルブ(弁)、ポンプ、ヒーター等である。
【0132】
制御システム180は更に、ユーザと協働するためのユーザインタフェースを備えてもよい。それによって例えば、処理パラメータ等の入力後ユーザから受け取ってもよい。実施形態によっては、制御システム180は、少なくとも部分的にポータブルデバイスによって実装されてもよい。実施形態によっては、ファクトリー・オートメーションのような外部システムによって実装されてもよい。
【0133】
装置100の動作に関して制御システム180は、例えばALDに従って、装置の処理タイミングを制御する。実施形態によっては、処理システム100は例えば、プログラムされることによって、高圧のガスを中間領域やアウターチューブ120に通す。実施形態によっては、中間領域やアウターチューブ120へ高圧ガスを通すことは、バルブ106を制御することを含む。図1には、この事情が破線の一つで示されている。
【0134】
実施形態によっては、装置100は、高圧の(インレットパイプ111内の圧力よりも高圧の)流体によって、インレットパイプ111内の反応化学物質の加熱や冷却を行うように構成される。このような実施形態においては、インレットパイプ111を取り囲む流体の温度は制御システム180によって制御され、所望の加熱効果や冷却効果が提供される。ある例示的実施形態では、暖められた流体(これはガスでありうる)が、インレットパイプ全体を暖められた状態に保つ。実施形態によっては、加熱された流体が、流入する反応化学物質を反応室130の温度又はそれ以上の温度まで昇温するために用いられる。実施形態によっては、そのような昇温が、流入する反応化学物質と加熱された流体との反応を可能にする。実施形態によっては、そのような反応は、インレットパイプ111のガス透過壁の領域に限られる。又は、インレットパイプ111内に限られる。実施形態によっては、加熱することは、ガス透過壁を通じてインレットパイプ111に入り込む不活性ガスによって達成される。それによって、バルブ105を通じて流入する反応化学物質が、例えばラジカルやイオンに壊れることが発生する。
【0135】
ヒーター122に代えて、又はヒーター122に加えて、アウターチューブ120の内部空間の加熱及びインレットパイプ111の内部空間の加熱は、別のヒーターによって行われてもよい。このようなヒーターの例には次のようなものがある。
・ 赤外線(IR)ヒーター。インレットパイプ111とアウターチューブ120の間に設置される。赤外線ヒーターの赤外線は、インレットパイプ111とアウターチューブ120の少なくともいずれかに当たるか、これらの少なくともいずれかの内部の流体に当たる。
・ ガス透過壁の表面に作られるヒーター素子。例えば、ガス透過壁の表面にプリントされた厚いフィルム状のワイヤであって、例えば銀のインクや銀のペーストで作られるワイヤ。
・ アウターチューブ120の外面と内面との間に製造される(例えば成形される)ヒーター。
【0136】
実施形態によっては、インレットパイプ111内を流れる化学物質と反応する流体(これはガスでありうる)が、インレットパイプ111を囲む流体として用いられる。このような実施形態においては、当該流体がインレットパイプ壁を通じて内部に入り、インレットパイプ111内を流れる化学物質と混合し反応する。実施形態によっては、このようにして生成された短寿命の化学物質が、基板上の反応に効果的に用いられる。
【0137】
実施形態によっては、インレットパイプ壁への反応化学物質の接触は妨げられず、むしろ促進される。これは、ガス透過壁を通る流れの方向を調節することによって行われる。そのような接触を促すのは、クリーニングのためや、触媒反応のためである。実施形態によっては、壁部の穴の細かい構造が、流れを調節するために用いられる。付着することを妨げるためには、流れは反応室130へと向けられてもよい。反応化学物質とインレットパイプ111を囲む流体とがよく混合するようにするためには、流れは反応室130から遠ざかる方に方向づけられてもよい。ある実装形態及び実装条件においては、インレットパイプのガス透過面の温度は、これを通じて流れるガスの温度とは異なる。これは、インレットパイプ壁に化学物質が付着することを妨げるためである。実施形態によっては、ガス中及びインレットパイプ壁の中に電気的バイアスが印加されてもよい。これは、特定の種が付着することを減少させるか又は妨げたるためである。かかるバイアスは、インレットパイプ内の化学物質をイオン化させるために用いられることができる。また、バイアスをかける手段によって、バルブ105のバイアス電圧は、インレット壁やインレット11の内部電極のバイアス電圧とは異なるようにされる。
【0138】
代替的には、イオン化は化学分解によってなされてもよい。化学分解の非限定的な例として、UVプロセスとして知られる光励起がある。更にバルブ105は、プラズマが生成される場所に配されることができる。このためプラズマは荷電ガスとなり、荷電面によって案内される。荷電面は、磁場の存在を示してもよい。
【0139】
図1に示される実施形態において、及び他の実施形態においても、(ソース170又は対応するソースからの)高圧流体を供給するラインは、ガス圧制御部及び/又は流量制御部を有してもよい(これらは図示されていない)。バルブ106(又は対応するバルブ)はオプションである。
【0140】
図2は、別の実施形態に従う装置を示す。図2の装置は、反応室130の壁に追加的に開口部123を有する点が、図1に記載の装置と異なる。その他の構成や動作は図1の装置と同じである。開口部123は、アウターチューブ120を直接反応室130に繋いでいる。図2には断熱層124が描かれていないが、図2の実施形態にも断熱層124は存在していてもよい。
【0141】
開口部123は、アウターチューブ120からのガス流が介在要素を通過することなく反応室130に入ることを可能にする。実施形態によっては、そのようなガス流は制御システム180によって規制されたり調節されたりする。実施形態によっては、反応室130へのこのようなガス流及び/又は当該ガス流についての可能な調節は、ガス透過壁又はガス透過管111にかかる圧力(例えば強すぎる高圧)を制限するために使用される。これに加えて又はこれに代えて、反応室130への上述の流れは、弁105及びインレットパイプ111を通って基板110へ向かう化学物質の流れを案内することを助ける。実施形態によっては、開口部123を通じた上述のガス流は、反応室130を流入する化学物質をパージするために使用され、パルス中(又はパルス期間中)であっても常にパージするために使用される。実施形態によっては、この流れは、基板へというよりは、ポンプへと案内される。
【0142】
図3は、別の実施形態に従う装置を示す。図3の装置は、アウターチューブ120が省略されている点が、図1に記載の装置と異なる。その他の構成や動作は図1の装置と同じである。インレットパイプ111は直接中間領域190に囲まれている。高圧ガスは、矢印301で描かれるように、弁106及び外室140のフィードスルー(又は同様の要素)を通じてガス源170から中間領域190に入る。高圧ガスは次に、ガス透過壁を通じてインレットパイプ111内に入る。高圧ガスの圧力と反応ガスの圧力の差が、反応ガスがインレットパイプ111の壁に付着することを防ぐ。
【0143】
図4は、更に別の実施形態に従う装置を示す。図4の装置の構成や動作は図1-3の装置とおよそ同じであるが、外室140が省略されている点が異なる。アウターチューブ120は、反応室130の外側の空間を形成する。そして、パルス弁105から当該空間を通って引き込みライン101が反応室130内へと到達する。高圧ガスは、矢印401で描かれるように、弁106及びフィードスルー(又は同様の要素)を通じてガス源170からアウターチューブ120に入る。高圧ガスは、ガス透過壁を通じてインレットパイプ111内に入る。高圧ガスの圧力と反応ガスの圧力の差が、反応ガスがインレットパイプ111の壁に付着することを防ぐ。実施形態によっては、反応室130の壁にヒーターが160が組み込まれる。図4に示される装置の実施形態によっては、開口部123を有してもよい。開口部123は、アウターチューブ120からのガス流が介在要素を通過することなく反応室130に入ることを可能にする。
【0144】
実施形態によっては、インレットパイプ111のガス透過壁に印加される圧力が、制御システム180を通じて、パルスシーケンスや処理に関係する。
【0145】
図5は、ある実施形態に従う装置を示す。この装置は三方弁を有する。図5の装置の構成上の特徴や動作は図1-4の装置とおよそ同じであるが、三方弁505として実装される弁105を有する点が異なる。この弁は、ALDバルブとしても知られる。更に図5には、その一部が中間領域190の外部に存在するガス透過壁を有するインレットパイプ111延長部というオプションが図示されている。更に図5には、弁505の上流に位置するガス透過壁を有する延長部というオプションが図示されている。更に図5には、引き込みライン101の複数の部分がそれぞれ異なる流体で囲まれるというオプションが図示されている。
【0146】
弁505の下流でアウターチューブ120がインレットパイプ111を囲んでいるが、それに加えて引き込みライン101は第2のインレットパイプ112を有する。第2のインレットパイプ112もガス透過壁を有し、第2のアウターチューブ520で囲まれている。これらは弁505の下流に位置する。前に説明した実施形態と同様に、高圧ガスは弁106を通じてガス源170からアウターチューブ120に入る(その様子が矢印501で描かれている)。高圧ガスは、ガス透過壁を通じてインレットパイプ111内に入る。高圧ガスの圧力と反応ガスの圧力の差が、例えば、インレットパイプ111内を流れる反応ガスがインレットパイプ111の壁に付着することを防ぐ。加えて第2の高圧ガスが、弁506を通じてガス源170から第2のアウターチューブ520に入る。その様子が矢印502で描かれている。第2の高圧ガスは、ガス源170からのガスと同じガスであってもよいが、それとは異なるガスであってもよい。高圧ガスは、ガス透過壁を通じて第2のインレットパイプ112内に入る。三方弁505は2つの入口と、反応室130に向かう1つの出口を有する。矢印551で示されるように、反応性化学物質は、第2のインレットパイプ112を通って弁505の第1の入口へと導かれる。また矢印552で示されるように、第2の化学物質が、弁505の第2の入口へと導かれる。制御システム180は、どちらの入口(又は両方の入口)が出口を通じてインレットパイプ111に接続されるかを制御する。
【0147】
実施形態によっては、届けられる化学物質はパイプの中で分解されることがあり、フロー552とフロー551の役割が逆転することがある。
【0148】
さらに別の実施形態では、フロー551は反応性化学物質を運ぶが、502の箇所へのガス流入は、排出に置き換えられる。すなわち、アウターチューブ520は排出ガスラインに接続される。ここで排出ガスラインはポンプに繋がっていてもよく、また廃棄用や回収用であってもよい。インレットパイプ112からのガスは、弁505へと入っていかない場合は、ガス透過壁を通ってアウターチューブ520へと流出して廃棄される。
【0149】
他の実施形態と同様に、インレットパイプやアウターチューブを加熱してもよい。
【0150】
図6は、ある実施形態に従う装置を示す。この装置は、インレットパイプを取り囲むガス空間を複数有し、これらのガス空間は互いに区切られている。図6の装置の構成上の特徴や動作は図1-5の装置とおよそ同じである。しかし、アウターチューブ120がインレットパイプ111を取り囲む単一の空間を提供するのではなく、連続した複数のガス空間が設けられる。これらのガス空間は互いに区切られている。実施形態によっては、各ガス空間は固有のガス入口を有する。例えば図6に描かれた例では、インレットパイプ111を囲む空間は、インレットパイプ111の流れ方向に2つの別々のガス空間661,662に区切られる。これらは例えば間仕切り615で区切られる。
【0151】
第1の流体(これは不活性ガスでありうる)は、ガス源170からバルブ106を通じて空間661に導かれる。インレットパイプ111は2つのセクションに分割される。第1のセクション111aは空間661の領域にあり、第2のセクション111bは空間662の領域にある。第1の流体は、セクション111aのガス透過壁を通じて空間661からインレットパイプ111の内部に入る。
【0152】
第2の流体(これは第1の流体と同じかもしれず、違うかもしれない)は、ガス源670からバルブ606を通じて空間662に導かれる。第2の流体は、セクション111bのガス透過壁を通じて空間662からインレットパイプ111の内部に入る。
【0153】
図6に描かれる例では、インレットパイプ111を囲む空間の数は2である。しかし実施形態によっては、そのような空間の数は2より多くてもよい。実施形態によっては、これらの空間は、当該空間に行き渡る圧力に関連して制御される。実施形態によっては、これらの空間は、当該空間に行き渡る温度に関連して制御される。実施形態によっては、これらの空間は流れ方向に関連して制御される。実施形態によっては、これらの空間に導かれるガスは、それぞれ異なっている。ある時間及び/又は処理ステップの間、各ガス透過壁を通じた流体の流れ方向は、逆になってもよく、またそれぞれ反対になってもよい。このような制御は制御手段180によって遂行される。実施形態によっては、各空間がそれぞれ固有の制御手段を有する。
【0154】
実施形態によっては、インレットパイプ111を囲む複数の空間のそれぞれが、固有の暖め手段を有する。前述のように、ガス入口及び暖め手段は制御システム180によって制御される。実施形態によっては、各空間が固有の制御手段を有する。
【0155】
図7は、別の実施形態に従う装置を示す。図7の装置の構成上の特徴や動作は図1-6の装置とおよそ同じであるが、オプションの粒子フィルタ714を有する点が異なる。粒子フィルタ714は反応室130の横側でインレットパイプ111の終端部に追加され、反応室130に粒子が侵入することを防止する。
【0156】
図7はまた、オプションの出口路715(廃棄経路又は回収経路)が描かれている。出口路715は、排気のために、インレットパイプ111とアウターチューブ120との間の空間をポンプ(ポンプ150又は同様の要素)へと繋げる。図7に描かれた例では、出口路は、反応室の、インレットパイプ111を囲む空間の端部に発する。排出チャネル715内の圧力は制御されてもよい。例えば、サイクロン分離流のような、方向性を有するガス流を生じるような形状又は手段によって、制御されてもよい。実施形態によっては、この圧力制御は、フィルタ714の必要性を減少させるか又は取り除く。このような実施形態や他の実施形態における流れ方向は、一般的に、インレットパイプ111の形状や、ガス透過壁材の穴の方向、プラズマ、インレットパイプ111の表面構造のいずれかによって制御されてもよい。
【0157】
図8は更に別の実施形態に従う装置を示す。この装置は、オプションとしてプラズマが含まれる。図8の装置800の構成上の特徴や動作は図1-7の装置100とおよそ同じである。そこで、これまでの説明も参照されたい。しかし装置800は、例えばプラズマアシスト型ALD(plasma-assisted ALD)やそれに似た技術のような、プラズマアシスト型堆積のために特にデザインされている。
【0158】
装置800は反応室130及び引き込みライン101を有する。引き込みライン101はプラズマ又はラジカルを反応室130へ供給する。装置800はまた、引き込みライン101内に、制御システム180に制御される弁805を有する。弁805は複数の弁であってもよく、また流入する1又は複数のガス流を制御する手段であってもよい。これら複数のガス流は、全て同じ圧力である場合や互いに異なる圧力である場合、全て同じ温度である場合や互いに異なる温度である場合、全て同じガスである場合や互いに異なるガスである場合、複数のガスの混合物である場合がある。更に装置800は、オプションでフローガイドユニット816を有する。フローガイドユニット816は、ガスミキサー、排出装置、多孔性媒体、又はこれらの組み合わせであってよく、ガスを、基板110へ向かう垂直下方の流れへと適切に案内する。更に、固定的なガスストリームになるように、流れがデザインされてもよい。例えば符号817で示されるように、フローガイドユニット816へ向かうようなガス流になるように流れがデザインされてもよい。実施形態によっては、弁805はフローガイドユニット816に直接接続される。
【0159】
装置800は、反応室130の外側の空間を有する。この空間は、少なくとも部分的に引き込みライン101を囲んでいる。図8の実施形態においては、反応室130と外室140との間の中間領域が、反応室130と引き込みライン101の両方を囲んでいる。引き込みライン101の周りにアウターチューブ820が設置される。引き込みライン101はパルス弁805から反応室130内へと侵入する。弁805から反応室130までの部分において、引き込みライン101は、ガス透過壁を有するインレットパイプ811の形態を取る。反応室130はその最上部にインレット口121を有する。反応室130はまた、インレットパイプ811を有する。インレットパイプ811はガス透過壁を有し、ガス透過壁はインレット口121に繋がっている。実施形態によっては、ガス透過壁はインレット口821に直接繋がっておらず、インレット口821への経路の一部のみに存在する。そのような実施形態においては、インレット口821に近い反応室130の端部は、化学物質の付着を低減するために、熱い端部又は加熱された端部になっていてもよい。
【0160】
実施形態によっては、インレットパイプ811は多孔性パイプ又は穴が空いたパイプである。実施形態によっては、インレットパイプ811の壁部は複数の穴又は隙間を有する。実施形態によっては、方向性を有する穴である。実施形態によっては、インレットパイプ811の壁部は隙間やスリットが設けられる部分を有する。インレットパイプの材質は、例えば金属やセラミックである。アウターチューブ820及び中間領域190はインレットパイプ811を囲む。しかし、図8に示される実施例においては、インレットパイプ811は中間領域190に位置する部分の一部のみにガス透過壁を有する。
【0161】
引き込みライン101を囲む空間の少なくとの一部は、熱せられた空間である。実施形態によっては、反応室130(及び中間領域190)は、中間領域190に設置されるヒーター160によって暖められる。同時に、外室820(及びインレットパイプ811)が、図1に関連して前に説明したように、暖められてもよい。実施形態によっては、外室820に断熱材が使用される。
【0162】
(図示されない)リモートのプラズマ生成器によりプラズマが生成され、それがインレットパイプ811内を直接流れ、インレット口821を通じて基板110へと達する。ALDツールに使われるプラズマ生成器アセンブリの例が、例えばWO2012/136875A1に開示される。
【0163】
インレットパイプ811を囲むように高圧流体(又は高圧ガス)を供給することにより、インレットパイプ811内を流れる反応性化学物質やプラズマが、インレットパイプ811の内壁に接触したり付着したりすることを防ぐ。(又は、接触したり付着したりすることを減少させる。)インレットパイプ811を囲む高圧ガスは、矢印801で示されるように、フィードスルーやバルブ等を通じてアウターチューブ820に流入する。高圧ガスは、ガス透過壁を通じてインレットパイプ811内に入る。高圧ガスの圧力と、反応ガスやプラズマの圧力の差が、反応ガスがインレットパイプ811の壁に付着することを防ぐ。高圧ガスはインレットパイプ811の壁を通じて内部に入り込み、反応ガスと混ざる。この混合物はインレットパイプ821を通り、インレット口821を通じて反応室130へと流入する。そこでは基板110が、制御システム180によって制御される連続自己飽和表面反応に晒される。基板130は、処理が始まる前に反応室130に装填されてもよい。また、処理が終わってから反応室から取り出されてもよい。基板の装填及び取り出しは、PCT/FI2017/050071に記載されているような形で反応室130を下降させることによって行われてもよく、又は開口部を通じて横に移動させることによって行われてもよい。高圧ガスは他の不活性ガスとは異なる不活性ガスであってもよい。又は、プラズマ生成で使われるガストは異なるガスであってもよい。プラズマ生成を指定された領域に限定することは、圧力やガスを選択することによって、達成されうる。
【0164】
残留する反応物質や反応副生成物が存在する場合、それらはフォアライン145を通じて真空ポンプ150の方へ送り出される。
【0165】
前述のように、アウターチューブ820からのガスは、(図4に示されるように、)直接反応室130に入ってもよい。及び/又は、(図7に示されるように)廃棄ライン又は回収ラインに入ってもよく、及び/又は、中間領域190に入ってもよい。
【0166】
追加的に又は代替的に、弁805から流入するガスを受け取るインレットパイプ811及び/又はミキサー816は、排出流を排出するための、少なくとも部分的にパターン形成された領域を有してもよい。実施形態によっては、この排出流は、上部から、横から、又は選択された角度から、方向付けされてもよい。それは、生成されたプラズマや、内部を流れるガス、本願でいう多孔性パイプ(又は多孔性室)を流れるガスが、周囲面の硬い部分に接触することを防止するためである。
【0167】
実施形態によっては、装置100又は800は、例えばガス透過型インレットパイプ111/811に行き渡る圧力を調節するために、調節手段や、実施形態によっては圧力及び/又は流量測定手段を備えてもよい。このような手段は、弁や質量流コントローラ、ガス圧力センサを備えてもよい。ガス圧力センサは、インレットパイプ111/811に入る前の圧力や、反応室130と真空室(外室140)との間の中間領域190の圧力のためのセンサであってもよく、排出される流量や排出圧力を測定してもよい。また、インレットパイプ111/811、アウターチューブ120/820、中間領域190のいずれかの圧力を測定してもよい。
【0168】
制御システム180は、アウターチューブ120/820の周りの圧力を調整できるようにされてもよい。実施形態によっては、中間領域190の温度やアウターチューブ120/820内部の温度、真空室140の外部の温度も制御できるように構成されてもよい。同一の制御システムがこれら全ての制御を行うように構成されてもよいし、各制御のために個別に制御システムが設けられてもよい。流量や真空レベルは、制御システムによってフォアライン145又は真空ポンプ150を制御することにより調節することができる。実際には、圧力制御は、例えば自動圧力制御(Automatic Pressure Control, APC)として一般的に知られるようなシステムによって行われてもよい。
【0169】
実施形態によっては、1つ又は複数の反応ガスが、ガス透過型インレットパイプ111/811に導入されてもよい。しかし、インレットパイプ111/811の壁に流入するフローの助けによって、これら1つ又は複数の反応ガスがインレットパイプ111/811の壁に吸収されることは妨げられる。または、インレットパイプ111/811の壁に流入するガスの(低下された)温度の助けによって、インレットパイプ111/811の壁に吸収されることが阻止される。
【0170】
更に別の実施形態では、ガス透過型インレットパイプ111/811の外側のアウターチューブ120/820内の空間や、中間領域190へ、電磁放射を誘起する手段が設けられてもよい。電磁放射はインレットパイプ111/811内を流れるガスと相互作用する。この電磁放射はUV光やマイクロ波であってもよく、符号160及び/又は122で示される要素や同様の要素により誘起されてもよく、外室(真空室)140の外部で生成されたのであれば、符号160及び/又は122で示される位置から放射されたものでもよい。
【0171】
全ての実施形態に対して繰り返して説明されていなくとも、ある実施形態について紹介された特徴は、一般的に、他の実施形態にも適用されることが可能でありうる。例えば、三方弁は図5等にしか描かれていないが、他の実施形態の弁も三方弁であってもよい。
【0172】
図9は、別の実施形態に従う装置を示す。この実施形態において、反応室130はガス透過壁を有する。反応室の壁はガス通路によって形成される。ガス通路は孔であってもよい。従って、反応室130は多孔性である。多数のガス通路が設けられてもよく、それによって反応室130の内表面全体に亘って保護流が提供されてもよい。
【0173】
反応室130は、少なくとも部分的に、閉空間によって囲まれている。反応室130を取り囲む空間は、反応室130のガス透過壁と外室140の壁との間に形成される中間領域190であってもよい。図9に示されるような実施形態においては、反応室130を取り囲む空間は、反応室130のガス透過壁と、(オプションの)外側中間壁920とによって画定される。外側中間壁920は反応室130のガス透過壁と外室140の壁との間に位置する。実施形態によっては、壁920の形状は、反応室130の壁と同じような形状である。
【0174】
実施形態によっては、図9に似たシステムが、外室140なしで実装される。(特に中間壁920が外壁として用いられる場合、)中間壁920に関連してヒーターが設けられることが便利でありうる。及び/又は、装置は、他のいずれかの場所にガスを温める手段を有してもよい。高純度のウェーハコーティングのためには、サンプル又は基板の装填は、外気中・外気圧下で行うよりは、外室内で行うことが好ましい。装填のための開口部が反応室130の様々な場所に設けられることができる。図9には、開口部の高さ位置の例960が示されている。反応室130の上部がこの位置に持ち上げられることができる。又は、反応室130の下部がこの位置で下げられることができる。
【0175】
装置は、反応室130を囲むと共に、反応室130周囲の閉空間から反応室130のガス透過壁を通じて反応室130に入り込む流体を供給するように構成される。図9に示されるような実施形態においては、装置は、アウターチューブ120で囲まれたインレットパイプ111を有する。インレットパイプ111はガス透過壁を有する。アウターチューブ120を介して、高圧流体が、反応室130の壁と壁920の間に流れてもよい(または供給されてもよい)。ここで高圧流体とは、反応室130の内部より高圧の流体を意味する。別の例では、高圧流体は、(アウターチューブ120を通らない)固有の引き込みラインによって上記閉空間に供給されてもよい。このような構成は、アウターチューブ120を有しない実施形態や、アウターチューブ120から上記閉空間への経路が(符号950で示される領域で)壁920によってブロックされている実施形態にも適用できる。このような実施形態において、インレットパイプ111はガス透過壁を有しなくてもいい。その他は、図9に示される実施形態は、以前に説明した実施形態と同様に動作する。
【0176】
図10は、基板110の下の基板ホルダ(又はチャンク)1115が、少なくとも1つのガス透過壁を有する実施形態を示している。基板ホルダ1115は内部に空洞を有する。この空洞に不活性ガスが、例えばチャネル10を通じて供給される。チャネル10は制御システム180によって制御される。チャネル10の経路は実施形態に依存する。チャネル10は、例えばフォアライン145を通じて延びている。基板ホルダ1115は基板110を保持できるようなどのような形状であってもよいが、例えばペトリ皿のような形状であって、その端部で基板110を保持してもよい。基板ホルダ115は、選択された面において、少なくとも部分的にガスを利用した堆積を妨げるように構成されてもよい。
【0177】
実施形態によっては、基板ホルダ1115の面のうち少なくとも上を向いている面又は基板110を向いている面は、ガス透過性である。実施形態によっては、基板ホルダ1115はガス透過性を有する側面を有する。実施形態によっては、基板ホルダ1115の全体が、すなわち全ての外面が、ガス透過性である。
【0178】
実施形態によっては、ガス透過性である基板ホルダ壁は、複数の孔を有しうるガス通路で形成されてもよい。従って、そのような基板ホルダ壁は多孔性である。ガス透過性の基板ホルダ壁のそれぞれには、多数のガス通路が設けられてもよい。
【0179】
基板ホルダ1115の周囲圧力よりも高い圧力の不活性ガスは、基板ホルダ内部の空洞からガス透過壁を通じて基板ホルダ1115の外部へと流れていく。基板ホルダ1115のガス透過壁を通じた流れは、基板ホルダ1115の外面に物質が成長することを防ぐか減少させる、保護流を形成する。基板110に向いた面を通じた流れは、基板の裏面に物質が成長することを防ぐか減少させる、保護流を形成する。
【0180】
基板ホルダ1115はガス透過性であるとき、システムの他の壁(例えば反応室の壁やインレットパイプの壁)がガス透過性である必要は必ずしもない。
【0181】
独立した基板ホルダを設ける代わりに、基板ホルダは反応室の一部を形成してもよく、また反応室の構造の一部を形成してもよい。
【0182】
図11は、別の実施形態に従うインレットパイプ内の流路を示す。この実施形態では、インレットパイプ111(又はアウターチューブ120等の囲まれた空間)は、内部に1つ又は複数の独立した流路11を有する。ここで「独立した」とは、流路11内を流れる物質が、インレットパイプ111内を流れる化学物質と、流体的な接続がないことを意味している。例えば、流路11は三次元プリントされた物質で作られていてもよい。実施形態によっては、流路11は溶接されたパイプであってもよい。実施形態によっては、流路11はらせん状であってもよい。流路11は気体経路であってもよい。流路11はインレットパイプ111の内面上に位置してもよい。又は、囲まれた空間の境界をなす構造の内面上に位置してもよい。実施形態によっては、インレットパイプ111内を流れる化学物質又は反応性化学物質の温度とは異なる温度の流体が流路11内に流れ、それによって流路11は、インレットパイプ111に加熱効果又は冷却効果を提供する。
【0183】
図12は、更に別の実施形態に従う装置を示す。図12の装置は、前述の装置、特に図9や10に示した装置の構成上の特徴や動作と一致する。加えて図12の装置は、アウターチューブ1120によって囲まれるインナーパイプ1121を有するフォアライン構成を有する。フォアライン145は反応室130からポンプ150へと延伸する。その部分において、インナーパイプ1121はガス透過壁を有するパイプの形をしている。ガス透過壁を有する部分は反応室130からポンプ150への全経路に亘っていてもよいし、その一部のみであってもよい。フォアライン構成は通常、反応室とポンプとの間に少なくとも1つの弁を有するが、図12では描画から省略されている。
【0184】
インナーパイプ1121を囲むように高圧流体(又は高圧ガス)を供給することにより、フォアライン145内を流れる化学物質が、インナーパイプ1121の内壁に接触したり付着したりすることを防ぐ。(又は、接触したり付着したりすることを減少させる。)多孔性パイプ1121又は流入ガスの温度を制御することによって、流れる流体の温度を上昇又は低下させることで、特にパイプ1121内において化学反応が生じることを防止することは、好ましいことであろう。インナーパイプ1121を囲む高圧ガスは、前に説明した実施形態の同様の形態で、フィードスルーやバルブ等を通じてアウターチューブ1120に流入する。例えば、高圧ガスは、ガス源から弁を通って、(ガス透過壁で形成された)アウターチューブ1120内に流入する。高圧ガスは、ガス透過壁を通じてインナーパイプ1121内に入る。高圧ガスの圧力と、インナーパイプ1121内を流れる化学物質の圧力の差が、当該化学物質がインレットパイプ1121の壁に付着することを防ぐ。
【0185】
実施形態によっては、ポンプ150の前に少なくとも1つの弁が存在する。この少なくとも1つの弁は、フォアライン145におけるガス透過壁部分にあってもよく、その部分の下流にあってもよい。可能なオプションとして、図6の空間661と662のように、インナーパイプ1121の流れ方向にインナーパイプ1121を囲む空間を2つの独立したガス区間に分割することができる。例えば、図6で符号615で示した要素のような、分離壁で分割することができる。追加的に又は代替的に、インレットパイプの実施形態に関連して前に説明した他の特徴や動作を適用することもできる。図12には、典型的なALDリアクターのいくつかの部品は、明確さを向上させるために敢えて図示していない。
【0186】
前述のように、反応室130からポンプ150へと延びるフォアライン145は、1つ又は複数の中間要素を備えていてもよい。図13は、ポンプ150への経路の途中に位置する粒子トラップ1155を示している。図13のポンプフォアライン145は、図12で示されたものと同様の構成を有している。従って、インナーパイプ1121はアウターチューブ1120に囲まれている。フォアライン145は反応室130からポンプ150へと延伸する。反応室130とトラップ1155との間の部分において、インナーパイプ1121はガス透過壁を有するパイプの形をしている。
【0187】
通常トラップは、トラップ内で化学物質の固形生成物を生じさせるために、反応室130からの経路と異なる経路から届けられる第2の化学物質を有する。反応性化学物質が例えばトリメチルアミン(TMA)である場合、この第2の化学物質は例えば水や水蒸気であってもよい。図13に示される実施形態では、第2の化学物質は、制御システム180に制御されて、前駆体コンテナ1132からバルブ1106を通じてトラップ1155に供給される。
【0188】
実施形態によっては、トラップ1130は内壁1131を有してもよい。内壁1131は、反応室130からフォアライン145を通じて流入するフローを受け取る空間を、内壁1131を囲む空間であって弁1106を通じて流入するフローを受け取る空間から分離する。内壁1131を囲む空間は、トラップの(ガス透過性の)外壁で境界が定められてもよい。
【0189】
実施形態によっては、内壁1131の全体又は少なくともその一部はガス透過性であってもよい。基板処理プロセスの全体を通して、又は堆積若しくは処理サイクルの一部において、コンテナ132からのフローはオンオフできてもよい。また、基板処理プロセスの様々なステージにおいて異なる状態をとるように制御されてもよい。例えば水蒸気は、TMAパルスの最中及び直後に多孔性壁(内壁)1131を通じて供給されてもよい。しかしその他の時間においては、少ない流量の不活性ガスが流入するようにされてもよい。
【0190】
これら以外の事項については、図13に示される装置は、構成上の特徴や動作が図12の装置と同じである。
【0191】
次に、開示された装置又はリアクターの動作条件の例を示す。
・ 流入するガス流量は0.001-20000sccmであり、又は1-1000sccmであり、例えば200sccmである。流入するガスはキャリアガスを含んでもよい。このキャリアガスは、インレットパイプのガス透過壁を通じて流入するガスと同じものであってもよい。
・ 流入するガスの温度は-60℃から1500℃、又は20から300℃、例えば100℃である。所望の温度を得るために、例えば酸化アルミニウム上のタングステンヒータを利用してもよい。
・ 中間領域におけるガス温度は0℃-900℃、又は50-500℃、又は80-450℃、例えば100℃である。
・ 中間領域におけるガス流量は、0.001-10000sccm、又は10-2000sccm、又は50-500sccm、又は100-200sccmである。(ガスが例えばポンプ150へと漏れることがあるかもしれない。また、図示されていないが、中間領域からガスを流出させる独立の経路が存在するかもしれない。)
・ アウターチューブとインナーパイプ(インレットパイプ)との間のガス流量は、0.001-1000sccm、又は0.1-100sccm、又は1-10sccmである。これは、アウターチューブとインナーパイプ(インレットパイプ)との間に圧力差が存在するように調整される。それは、インレットパイプを跨いで及び/又はガス透過壁を通ってガスが所望の方向に流れることを可能にするためである。
・ 反応室の内部と反応室の外部(これは中間領域190であるか、反応室側壁920で画成される空間である)との間のガス流量は、0.001-1000sccm、又は0.1-100sccm、又は1-10sccmである。これは、アウターチューブとインナーパイプ(インレットパイプ)との間に圧力差が存在するように調整される。それは、ガス透過壁を跨いで及び/又は通ってガスが所望の方向に流れることを可能にするためである。
・ アウターチューブとインレットパイプとの間のガスの温度は、使用される化学物質に応じて、60℃-1000℃、又は80-800℃、又は10-300℃である。
【0192】
プロセスの例によっては、Cu(acac) (第二銅アセチルアセトナート | C1016CuO)のような化学物質が、反応温度100℃未満で(例えば90℃で)反応室130で処理される。前駆体は、前駆体ソースにある間はより高い温度、例えば100℃を超える温度(例えば110℃)に保たれるが、インレットパイプ111/811のガス透過壁を通じて流入するガスが、流入するガス全体の温度を下げ、反応室130の温度を上記の例の90℃へと調節する。前述のALDプロセスにおいてCuOを堆積させるための化学物質は、例えば水又はOであることができる。紹介されている実施例を用いて、反応ガスの1つの温度は上昇させられうる。又は、反応を容易とするための反応イオンが生成されうる。
【0193】
別のプロセスの例では、引き込みライン2内のRuCp前駆体流の温度は例えば85℃である。これは例えば、前駆体ソースタンクや弁101/105内で前駆体が分解することを防ぐためである。前駆体は、インレットパイプ111/811のガス透過壁を通じて流入する周囲ガスにより、約300℃へと熱せられる。すなわち、反応室130の温度まで熱せられる。このプロセスには、例えばOやOが一緒に用いられる。これらもインレットパイプ111/811内で300℃又はそれ以上の温度に熱せられ、RuCpの温度を下げることを可能にする。別の例示的構成では、RuCpはソースでの温度は140℃であるが、反応室までのパイプは徐々に温度が上昇するようにされており、最終的には350℃、すなわち反応室の温度まで上昇する。基板に接触する反応ガスが、異なる、熱せられた温度パルスで入室する場合、反応室における反応は、100℃以上低い温度で実行されることができる。
【0194】
実施形態によっては、基板110の表面の温度は、反応室130に入室するガスの温度により制御される。このガスは、ガス透過壁を通じてインレットパイプ111/811に入る周囲ガスである。このような装置又はリアクターは、上述のガス透過壁構成を有する第1の引き込みラインと、上述のガス透過壁構成を有する第2の引き込みラインを有する。第1の引き込みラインの上記構成は反応室130に、第1の温度(例えば100℃)のガスを供給し、第2の引き込みラインの上記構成は反応室に、第2の温度(例えば150℃)のガスを供給する。基板110表面の温度は、
【0195】
処理の様々な時点において、又は処理若しくは堆積シーケンスの様々な時点において、第1の引き込みライン又は第2の引き込みライン(又はそれぞれのガスソース)から流入するガスの量によって制御される。このように、基板110の表面の温度を、様々な時点において変化させることができる。そのようにする理由は、前駆体によって異なる反応温度が必要とされるからでありうる。ここで紹介された温度制御方法は、とりわけ、複数の異なる反応温度が必要となる場合に基板を別の反応室に移送する必要性をなくす。
【0196】
実施形態によっては、インレットパイプ111/811内にガス透過壁を有する開示された装置は、反応室130の内面のパッシベーションやエッチングを可能にする。パッシベーション又はエッチングの最中は、反応室内にウェーハは存在しないかもしれない。例えば除去すべき物質やその物質の下にある物質に応じて、化学の分野で知られている様々な手法、例えばRIE(反応性イオンエッチング)やALE(原子層エッチング)を適用することができる。例えばガス透過壁を有するインレットパイプ111/811内で熱で形成される化学物質や、化学反応、プラズマによって、エッチングプロセスを改良することができる。
【0197】
実施形態によっては、原子層エッチングは、シリコン表面からSiClを除去するために実行される。紹介した実施形態では、表面からSiClを除去するために反応室へ流入するガスが励起(excited)される。流入するガスは適切なエネルギーレベルまで励起されることができる。例えば、従来からエッチングプロセスで用いられてきたArイオンのエネルギーレベルに対応するエネルギーレベルまで励起されることができる。
【0198】
実施形態によっては、インレットパイプ111/811、反応室130、基板ホルダ1115のいずれかのガス透過壁は、壁材内に1つ又は複数のガスチャネルを有しており、所望の部分の表面への保護ガスの拡散を改善している。
【0199】
開示された装置においては、熱力学的に安定な1つの物質でも、又は複数の物質でも、インレットパイプ内部のガスに対して触媒作用を奏する触媒面の助けを借りて、広い範囲の反応を有することができる。前記触媒面は、他の化学物質、例えば、ガス透過壁を通過した化学物質に対して触媒作用を奏してもよい。
【0200】
ガスによっては、プラズマや電磁放射に影響を受けてもよい。寿命の短い生成物が作られてもよい。一般的に述べると、ガスAのパルスがインレットパイプに生成される。ガス透過壁を通じてガスBがインレットパイプへ入り、ガスAと出会う。ガスAとガスBは基板100上で反応しないように選択されるが、インレットパイプの中という条件の下でガスCを生成する。(すなわちA+B→Cである。)ガスCは基板110表面上で所望の反応を生じる。さらに、触媒反応によって、ガスAとガスBは、インレットパイプの中という条件の下でDを生成する。(すなわちA+B→D)である。この反応は、例えば触媒なしには生じない。適切な場合、粒子フィルタ(図7のフィルタ714参照)が、上記の反応に関連する化学物質の少なくとも1つを少なくとも部分的に除去するように選択される。
【0201】
パルス弁が反応室のすぐ隣にない場合、及び/又はパルス弁がホット弁ではない場合、様々な化学物質(例えば水)の吸着が自発的に生じる。特に金属表面に生じる。実施形態によっては、このような吸着面は、化学物質が流れるパイプの壁から当該化学物質を隔てる適切なガス流によってカバーされることができる。更に、例えば乱流のために生じうる接触部は、例えば暖かい流体によって頻繁にパージされることができる。
【0202】
本件において開示される1つ又は複数の実施例の技術的効果のあるものを以下に示す。ただし、これらの効果は特許請求の範囲および解釈を制限するものではない。技術的効果の一つは、引き込みラインに化学物質が付着することを最小限に抑えることができることである。周囲ガスがインレットパイプ壁を通じて周囲ガスが押してくるため、反応性化学物質とインレットパイプ壁のガス接触は最低限に抑えられる。別の技術的効果の一つは、インレットパイプ内で反応性化学物質を望み通りに加熱又は冷却することである。更に別の技術的効果は、インレットパイプないで反応ガスを不活性ガスに混合することである。更に別の技術的効果は、周囲の反応ガスとインレットパイプ内を流れる化学物質との間の反応を生じさせ、反応室内で必要な複合物又は化合物を作ることである。技術的効果の一つは、弁(特に引き込みライン内のパルス弁)の直後の引き込みライン内を流れるガスを温めることである。実施形態によっては、弁の直前を流れるガスを温めることである。技術的効果の一つは、反応室の前のインレットパイプ内の自発的化学反応の助けを得て、反応室へと流入する物質の反応を可能にすることである。
【0203】
以上の説明により、本発明の特定の実装および実施形態の非限定例を用いて、発明者によって現在考えられている、本発明を実施するための最良の形態の完全かつ有益な説明を提供した。しかしながら、当業者には明らかであるように、上述の実施形態の詳細は本発明を限定するものではなく、本発明の特徴から逸脱することなく同等の手段を用いて、他の実施形態に実装することができる。
【0204】
さらに、以上に開示した本発明の実施形態の特徴は、対応する他の特徴を用いることなく用いられてもよい。然るに、以上の説明は、本発明の原理を説明するための例に過ぎず、それを限定するものではないと捉えるべきである。よって、本発明の範囲は添付の特許請求のみによって制限されるものである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13