(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-05
(45)【発行日】2024-04-15
(54)【発明の名称】アスコルビン酸を含有する注入可能な水性インプラント製剤
(51)【国際特許分類】
A61L 27/12 20060101AFI20240408BHJP
A61L 27/24 20060101ALI20240408BHJP
A61L 27/50 20060101ALI20240408BHJP
A61L 27/40 20060101ALI20240408BHJP
【FI】
A61L27/12
A61L27/24
A61L27/50 200
A61L27/40
(21)【出願番号】P 2021573815
(86)(22)【出願日】2020-06-12
(86)【国際出願番号】 EP2020066267
(87)【国際公開番号】W WO2020249711
(87)【国際公開日】2020-12-17
【審査請求日】2023-03-24
(32)【優先日】2019-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】508326459
【氏名又は名称】ガイストリッヒ ファーマ アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】ズッピガー,ダニエーレ
(72)【発明者】
【氏名】ボクストン,ポール
(72)【発明者】
【氏名】キュルツ,ニーノ
【審査官】参鍋 祐子
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-537193(JP,A)
【文献】特表2012-515035(JP,A)
【文献】特開2002-248119(JP,A)
【文献】特開平07-088174(JP,A)
【文献】特開平11-199209(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0193477(US,A1)
【文献】特開2018-114267(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 27/12
A61L 27/24
A61L 27/40
A61L 27/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ふるい分けによって決定されるとき50~200μmのサイズを有する天然骨由来のナノ結晶ヒドロキシアパタイト粒子と、0.5mmのふるいを通過する天然架橋繊維状コラーゲン材料の断片と
の混合物(ここで、コラーゲンに対するナノ結晶ヒドロキシアパタイトのw/w比は1.8~4.5である)
25~45w/w%を含む、
ガンマ線又はX線照射によって滅菌された注入可能な水性インプラント製剤であって、0.1~1%(w/w)アスコルビン酸を含有することを特徴とする、前記製剤。
【請求項2】
ナノ結晶ヒドロキシアパタイト粒子
と天然架橋繊維状コラーゲン材料の断片との
混合物30~4
0%(w/w)を含む、請求項1に記載の注入可能な水性インプラント製剤。
【請求項3】
ナノ結晶ヒドロキシアパタイト粒子
と天然架橋繊維状コラーゲン材料の断片との
混合物29.50~30.5
0%(w/w)を含む、請求項1に記載の注入可能な水性インプラント製剤。
【請求項4】
0.2~0.5%(w/w)アスコルビン酸を含有する、請求項1~3のいずれかに記載の注入可能な水性インプラント製剤。
【請求項5】
コラーゲンに対するナノ結晶ヒドロキシアパタイトのw/w比が、2.5~4.2である、請求項1~4のいずれかに記載の注入可能な水性インプラント製剤。
【請求項6】
コラーゲンに対するナノ結晶ヒドロキシアパタイトのw/w比が、2.5~4.0である、請求項1~5のいずれかに記載の注入可能な水性インプラント製剤。
【請求項7】
コラーゲンに対するナノ結晶ヒドロキシアパタイトのw/w比が、3.9~4.1である、請求項1~5のいずれかに記載の注入可能な水性インプラント製剤。
【請求項8】
ナノ結晶ヒドロキシアパタイト粒子が、ふるい分けによって決定されるとき100~180μmのサイズを有する、請求項1~7のいずれかに記載の注入可能な水性インプラント製剤。
【請求項9】
ナノ結晶ヒドロキシアパタイト粒子が、ふるい分けによって決定されるとき125~180μmのサイズを有する、請求項1~8のいずれかに記載の注入可能な水性インプラント製剤。
【請求項10】
天然架橋繊維状コラーゲン材料が、ブタの真皮及びブタの腹膜又は心膜からなる群より選択される、請求項1~9のいずれかに記載の注入可能な水性インプラント製剤。
【請求項11】
請求項1~10のいずれかに記載の注入可能な水性インプラント製剤を含有する、すぐに使えるシリンジ。
【請求項12】
請求項1~11のいずれかに記載の注入可能な水性インプラント製剤を調製するための方法であって、0.5mmのふるいを通過する天然架橋繊維状コラーゲン材料の断片を滅菌水又は等張液に加え、コラーゲンスラリーを生成するように、60℃を超える温度で酸性pHで均一混合し、コラーゲンスラリーに天然骨由来のナノ結晶ヒドロキシアパタイト粒子を、コラーゲンに対するナノ結晶ヒドロキシアパタイトのw/w比が1.8~4.5になるように加えて、均一混合し、0.15~
1%(w/w)のアスコルビン酸を加えて均一混合し、そしてガンマ線又はX線照射により滅菌することを含む方法。
【請求項13】
ガンマ線又はX線照射による滅菌が、25~33Gyで行われる、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アスコルビン酸を含有する新しい注入可能な水性インプラント製剤、及びその新しい注入可能な水性インプラント製剤を調製するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
歯周病には、口腔衛生状態の悪さ、喫煙、糖尿病、肥満、遺伝的素因、年齢及び社会経済的地位などの、細菌の蓄積、バイオフィルムの形成及び歯肉溝の感染、ひいては歯肉の炎症又は歯肉炎の形成を促進する、多数の危険因子が存在する。処置せずに放置すると、炎症は歯根に沿って進行し、PDL及び周囲の歯槽骨の破壊を引き起こす、これは歯周炎と呼ばれる。歯周病が進行すると、歯と軟部組織の間にポケットが生じ、歯の安定性が失われて脱落するまで増大し続ける。歯周病の臨床的兆候は、軟部組織の炎症、化膿を伴う可能性がある(組織)プロービングでの出血、及び歯槽骨のX線写真上の喪失である。歯科医は、歯周ポケットの深さ、即ち、軟組織又は骨と歯の間の深さを測定するためのプローブを使用して歯周病の存在と程度を判断することができ、これは、臨床上(歯の)付着の喪失と呼ばれる。
【0003】
組織再生誘導法(GTR)は、歯周構造の喪失を処置するために広く使用されている外科的手法である。この手法において、歯周病専門医は、皮弁を挙上するために軟組織を切開することにより、病変歯根及び周囲の骨にアクセスできるようになる。次の段階は、適切な手動器具、超音波又はレーザー装置による病変骨、軟組織及び歯根の表面の創面切除であり、そこで病変組織が除去され、歯根表面がスケーリングされ、平らにされる。創面切除後、より大きな骨欠損には骨再生材料が充填される。EP-B1-1676592に記載され、Geistlich Pharma AGから市販されているGeistlich Bio-Gide(登録商標)などの組織再生誘導バリアは、より深い骨欠損部の骨再生材料の上に配置される。歯周病専門医は適切な縫合によって皮弁を閉じる。次に、歯肉、上皮付着、骨及び骨と歯の間の歯周付着が再形成される。この手法は効果的であるが、歯肉の切開は、患者の不快感、痛み、腫れ、歯肉退縮、歯の知覚過敏、長い治癒時間をもたらし、再感染の可能性を高める。
【0004】
骨欠損部位の骨再生材料として、数多くの天然及び合成の材料及び組成物が使用されてきた。
【0005】
歯周骨欠損部の骨成長を促進する周知の天然骨伝導性骨代替材料は、Geistlich Pharma AGから市販されているGeistlich Bio-Oss(登録商標)である。その材料は、米国特許第5,167,961号及び第5,417,975号に記載されている方法によって天然骨から製造され、天然骨の骨小柱構造及びナノ結晶構造の保存を可能にし、吸収されないか又は非常にゆっくりと吸収される優れた骨伝導性マトリックスが得られる。
【0006】
歯肉の切開に関連する上記の欠点を軽減するために、注入可能なインプラント製剤が必要である。
【0007】
歯周ポケットに注入したときに患者が容易に受け入れるため、及びシリンジを使用して便利な用手注入を行うために、その注入可能な水性インプラント製剤は、ゲージ18(内径0.838mm)のカニューレ又は針よりも直径が大きくないカニューレを介して、好ましくは60Nを超えない力で押し出し可能であるべきである。
【0008】
最適な口腔組織再生のために、歯槽骨、歯根セメント質又は歯根膜の再生のために、注入されたインプラント製剤は、そのような再生が行われる自然のインビボ環境に近いヒドロキシアパタイトとコラーゲンとのマトリックスを提供することが望ましい。
【0009】
天然骨由来のヒドロキシアパタイトは、合成(非生物学的)ヒドロキシアパタイト又はセラミックよりも、再生が行われる自然のインビボ環境に近い。
【0010】
天然骨由来のヒドロキシアパタイトを粉砕することによって得られる粒子は、合成ヒドロキシアパタイト又はセラミックを粉砕することによって得られる丸い粒子よりも不規則で縦方向の形状を有する。よって、それらはゲージ18カニューレを詰まらせるリスクが高い。左側に天然骨由来のナノ結晶ヒドロキシアパタイト粒子の走査型電子顕微鏡写真(SEM)を表し、右側に合成β-TCP粒子のSEMを表す
図5を参照のこと。よって、合成ヒドロキシアパタイト又はセラミック粒子を含有する製剤のカニューレを介した押し出しの結果は、天然骨由来のヒドロキシアパタイト粒子を含有する同様の製剤の押し出しを部分的にしか予測しない。
【0011】
ヒトの天然骨の重要な特徴の1つは、ヒドロキシアパタイト結晶の形態及び非常に小さいサイズ(ナノサイズ)であり、これは、ヒトの骨塩では長さ約30~50nm(c軸:[0,0,1])及び長さ14~25nm(a軸及びb軸:[1,0,0]及び[0,1,0])の六方晶系空間群P63/mである。Weiner, S. et al., 1992, FASEB, 6:879-885を参照のこと。よって再生が行われる自然環境により近づけるためには、天然骨由来の、好ましくはヒト天然骨のものに近い結晶の形態及びサイズを有する、天然骨由来のナノ結晶ヒドロキシアパタイト粒子を使用することが望ましい。
【0012】
US 2012/0107401は、合成ヒドロキシアパタイト及びβ-TCPなどのセラミック又は天然骨由来のヒドロキシアパタイトのいずれかの0.1~2mmのミネラル粒子、ヒト又は動物由来の可溶性コラーゲン又は不溶性コラーゲンのいずれかであってよいコラーゲン、及びスタチンを包含する治療剤の混合物を含む、流動性の移植可能な骨伝導性マトリックスを記載している。これらの流動性の移植可能な骨伝導性マトリックスは、パテとして、又は標的組織部位に注入、噴霧又は滴下注入することができるゲルとして適切であると教示されている。コラーゲンに対するセラミックのw/w比は、0.15~22.5(請求項4)又は1.5~11.5(請求項5)であると教示されているが、開示されたコラーゲンに対するセラミックの具体的な比は5及び4.83(請求項2及び[0089]、[0090])のみである。
【0013】
米国特許第7,322,825号は、50~400μmのサイズを有する微結晶性ヒドロキシアパタイトの微粉砕骨粒子と直径1mm未満の「遊離コラーゲン」粒子との混合物である組成物を歯周ポケットに注入することによって歯周病を処置する方法を開示しており、これらの「遊離コラーゲン」粒子は、非架橋コラーゲンの小繊維であるか、又は小繊維状コラーゲン及び必要に応じて生理学的に適合性の増粘剤を含有するゲルであると教示されている。その混合物は、例えば、マイクロ波放射を介しての熱の適用による追加のエネルギー注入後にのみ、18ゲージ(内径0.838mm)の針を通過するのに十分に低い粘度を有する。その特許によると、Avitene又はCollastatなどの架橋コラーゲンは、18ゲージの針を通過するのに十分なほど小さく切ることはできない。具体的に記載されている組成物の場合、ヒドロキシアパタイト対コラーゲンのw/w比は0.5~1.5である。
【0014】
米国特許第7,322,825号の歯周病を処置する方法は、広範な使用に至っていない。「遊離コラーゲン」などの非架橋コラーゲンは、口腔組織の再生、歯槽骨、歯根セメント質又は歯根膜の再生に望ましい自然のインビボ環境からはほど遠い。
【0015】
米国特許第5,352,715号は、薬学的に許容し得る流体担体中にコラーゲン及びリン酸カルシウムセラミック粒子を含む軟組織及び硬組織の修復及び増強のための注入可能なセラミック製剤を開示しており、ここで、リン酸カルシウムセラミック粒子は、50~250μmのサイズを有しており、コラーゲンに対するリン酸セラミック粒子のw/w比は、1/19~1/1、好ましくは1/4~1/2である。その特許の教示によれば、リン酸カルシウムセラミック粒子は、好ましくは非生物学的(合成)起源の焼結セラミック粒子であり、コラーゲンは実質的に架橋を含まない、即ち、テロペプチドを失っており、好ましいコラーゲンは精製されたアテロペプチド再構成コラーゲンである。その注入可能なセラミック製剤は、20ゲージ(内径0.603mm)の針を通過することができる。
【0016】
テロペプチドを失ったコラーゲンと合成リン酸カルシウム粒子の組合せは、再生が行われる自然のインビボ環境からはほど遠い。
【0017】
EP-0270254-A2は、水分を除いた重量で、実質的に架橋を含まない2~40%の再構成小繊維状アテロペプチドコラーゲンと、60~98%のヒドロキシアパタイトなどのリン酸三カルシウムを含有する混合物とを含む、サイズ範囲100~2000μmの乾燥インプラント組成物を開示しており、アテロペプチドコラーゲンに対するリン酸三カルシウムの質量比は1.5~49である。この乾燥インプラント組成物は、生物学的特性と取り扱い特性の両方を改善するためにガンマ線で処理される。
【0018】
テロペプチドを失ったコラーゲンと合成リン酸三カルシウム粒子の組合せは、再生が行われる自然のインビボ環境からはほど遠い。
【0019】
国際PCT特許出願WO-2019/115795の発明の課題又は目的は、口腔組織再生、特に歯槽骨、歯根セメント質又はPDLの再生に使用するための注入可能な水性インプラント製剤を調製するために使用できる乾燥インプラント組成物を見い出すことであり、その注入可能な水性インプラント製剤とは、テーパーシステム及びゲージ18のカニューレを介して押し出すことができ、先行技術のインプラント製剤の欠点を有していないものである。
【0020】
天然骨に由来するナノ結晶ヒドロキシアパタイト粒子及び天然架橋繊維状コラーゲンを含む乾燥インプラント組成物の300以上のプロトタイプの調製方法、成分及び成分の割合を変化させ、乾燥インプラント組成物の再水和及び均一混合によって得られた製剤をゲージ18カニューレ(実施例9に記載)を使用する押し出し試験に付すことによって、その発明者らは、再水和され均一混合された水性インプラント製剤のテーパーシステム及びゲージ18のカニューレを介しての押し出し適性を予想外に提供する、これらの乾燥インプラント組成物の特徴を発見し、そして、後者の製剤は、再生が行われる自然環境に近いマトリックスを提供する。
【0021】
上記の目的は、国際PCT特許出願WO-2019/115795の特許請求の範囲に定義される発明によって達成される。
【0022】
その特許出願の発明は以下に関する:
-ふるい分けによって決定されるとき50~200μmのサイズを有する天然骨由来のナノ結晶ヒドロキシアパタイト粒子と、0.5mmのふるいを通過する天然架橋繊維状コラーゲン材料の断片との混合物から本質的になる乾燥インプラント組成物であって、コラーゲンに対するナノ結晶ヒドロキシアパタイトのw/w比が1.8~4.5である、組成物、
-25~45w/w%の上記の乾燥インプラント組成物を薬学的に許容し得る水性ビヒクルと再水和及び均一混合することによって、テーパーシステム及びゲージ18(内径0.838mm)の長さ25.4mmのカニューレを介して押し出し可能な口腔組織再生に使用するための注入可能な水性インプラント製剤を調製するための、その乾燥インプラント組成物の使用、並びに
-口腔組織再生に使用するための注入可能な水性インプラント製剤であって、テーパーシステム及び18ゲージ(内径0.838mm)の長さ25.4mmのカニューレを介して60Nを超えない力で押し出すことができ、そして滅菌水又は滅菌等張食塩水と再水和及び均一混合された25~45w/w%の上記の乾燥インプラント組成物を含む製剤。
【0023】
「本質的に…の混合物からなる」という用語は、非常に高い割合、通常、乾燥インプラントの少なくとも99重量%が、記載された混合物及び最大6%の無機塩(例えば、塩化ナトリウムなど)からなることを意味し、通常、乾燥インプラントの最大1重量%である他の成分は、天然物に由来し、注入可能な水性インプラント製剤の押し出し挙動に大きな影響を与えない。そのような成分は、脂肪、硫酸塩灰分、グルコサミン、ガラクトサミン、並びにペリオスチン、デコリン及びルミカンなどの非常に少量の残留タンパク質の一部、又は同様のタンパク質であろう。他の成分は、合成ポリマー、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、又は合成潤滑剤のいずれも包含しない。他の成分は、スタチン又は人工ヒドロキシアパタイト、即ち、非生物学的起源のヒドロキシアパタイトのいずれも包含しない。
【0024】
「天然骨由来のナノ結晶ハイドロキシアパタイト粒子」は、天然骨のナノ結晶構造の保存を可能にする方法によって天然骨から誘導された粒子である。このような方法は、天然骨のミネラル部分の再結晶が起こらないように十分に低い温度、通常は700℃を超えない温度で実行しなければならない。
【0025】
適切なそのような方法は、米国特許第5,167,961号又は第5,417,975号に開示されている。それは、アンモニアと共に加熱することによる脱脂骨中の有機物の分解、60℃未満の温度で流水で洗浄することによる可溶化分解生成物の抽出、及び250℃~600℃の間の温度で空気中での骨ミネラルの処理を伴うが、これらは天然骨の骨小柱構造及びナノ結晶構造の保存を可能にするためであり、これにより有機不純物又はタンパク質含量が非常に低いナノ結晶ヒドロキシアパタイトを与える。天然骨由来のナノ結晶ヒドロキシアパタイト粒子は、上記のナノ結晶ヒドロキシアパタイトを粉砕及びふるい分けすることによって得ることができる。
【0026】
天然骨由来のナノ結晶ヒドロキシアパタイト粒子は、Geistlich Bio-Oss(登録商標)Small Granules(Geistlich Pharma AG, CH-6110, Switzerlandから入手可能)を粉砕及びふるい分けすることによっても便利に得ることができる。
【0027】
その発明の組成物に組み込むのに適した「天然骨由来のナノ結晶ヒドロキシアパタイト粒子」は、ふるい分けによって決定されるとき50~200μmのサイズを有する。
【0028】
実際、天然骨由来のナノ結晶ヒドロキシアパタイト粒子のサイズが200μmを超える場合、再水和及び均一混合によって得られるインプラント製剤は、ゲージ18(内径0.838mm)のシリンジカニューレを詰まらせる傾向があり、そして天然骨由来のナノ結晶ヒドロキシアパタイト粒子のサイズが50μm未満である場合、これらの小粒子に起因して炎症のリスクが高くなる。
【0029】
よって50~200μmのサイズ範囲(ふるい分けによって決定、実施例1を参照のこと)が極めて重要である。
【0030】
好ましくは、それらの天然骨由来のナノ結晶ヒドロキシアパタイト粒子は、100~180μmのサイズを有する(ふるい分けによって決定、実施例1を参照のこと)。すると炎症又は目詰まりのリスクが最小限に抑えられる。
【0031】
「天然架橋繊維状コラーゲン材料」という用語は、そのテロペプチド構造及びその天然の架橋の大部分を保持することを可能にする方法によって天然の組織材料から誘導された繊維状コラーゲン材料を意味する。このような天然架橋繊維状コラーゲン材料は、酵素処理、化学架橋又は物理架橋(例えば、DeHydroThermal処理DHT、UV照射など)をいずれも受けていない不溶性コラーゲン材料である。実際、後者の処理のいずれかは、天然組織材料に存在するテロペプチド構造及び/又は天然架橋を著しく変化させるかもしれない。
【0032】
天然架橋繊維状コラーゲン材料は、加水分解及びRP-HPLCを含む既知の方法の修正によるデスモシン/イソデスモシン測定によって測定されるとき、50~100w/w%コラーゲン及び0~50w/w%エラスチン、好ましくは70~95w/w%コラーゲン及び5~30w/w%エラスチンを含有する、天然由来の組織から適切に誘導される(例えば、Guida E. et al. 1990 Development and validation of a high performance chromatography method for the determination of desmosines in tissues in Journal of Chromatography 又は Rodriguqe P 2008 Quantification of Mouse Lung Elastin During Prenatal Development in The Open Respiratory Medicine Journalを参照のこと)。そのような組織の例は、脊椎動物、特に哺乳動物(例えば、ブタ、ウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ウサギ)の腹膜又は心膜、胎盤膜、小腸粘膜下組織(SIS)及び真皮を包含する。そのような組織は、好ましくは、ブタ、ウシ又はウマである。興味深い組織は、ブタ、ウシ又はウマの腹膜及び真皮である。
【0033】
好ましくは、天然架橋繊維状コラーゲン材料は、ブタの真皮及びブタの腹膜又は心膜からなる群より選択される。
【0034】
通常、コラーゲンは主にI型コラーゲン、III型コラーゲン又はそれらの混合物である。コラーゲンはまた、特にII型、IV型、VI型又はVIII型コラーゲンの一部、あるいはそれらの任意の組合せ又は任意のコラーゲン型の任意の組合せを包含してもよい。
【0035】
通常、天然架橋繊維状コラーゲン材料は、50~100w/w%コラーゲン及び0~50w/w%エラスチン、好ましくは70~95w/w%コラーゲン及び5~30w/w%エラスチンを含有する。
【0036】
天然組織に由来する適切な天然架橋繊維状コラーゲン材料は、アルカリ処理、酸処理及び有機溶媒による処理を含み、次に0.5mmのふるいを通過する断片に細かく刻む、EP-B1-1676592の「実施例」に記載されたものと同様の方法によって調製された、ブタ、ウシ又はウマの腹膜又は心膜からのコラーゲン膜である。
【0037】
天然組織に由来する別の適切な天然架橋繊維状コラーゲン材料は、0.5mmのふるいを通過する断片に細かく刻まれたGeistlich Bio-Gide(登録商標)(Geistlich Pharma AGから市販されている)である。
【0038】
天然組織に由来する別の適切な天然架橋繊維状コラーゲン材料は、アルカリ処理、酸処理、凍結乾燥及び有機溶媒による洗浄を含み、次に0.5mmのふるいを通過する断片に細かく刻む、EP-B1-2654816の実施例7に記載されたものと同様の方法によって調製されたブタ真皮である。
【0039】
天然架橋繊維状コラーゲン材料が、円二色性分光法によって示されるとき、三重らせん構造を示す成熟コラーゲン繊維を包含することは興味深い。そのような繊維は確かに、口腔組織再生細胞、特に骨の再生のための細胞及びPDLの再生のための細胞によるコロニー形成に有利な足場を形成する。
【0040】
天然架橋繊維状コラーゲン材料は、0.5mmのふるいを通過する断片に存在する必要がある。そのような断片は、一般に、遠心ミルを含む手順によって天然架橋繊維状コラーゲンを粉砕し、コラーゲン断片をふるい分けすることによって得られる。
【0041】
0.5mmのふるいを通過する断片に存在するという天然架橋繊維状コラーゲン材料の特徴は、テーパーシステム及びゲージ18(内径0.838mm)のカニューレを介した押し出しにとって重要である。実際、多数のプロトタイプで実行された実験によって示されるように、天然架橋材料のより大きな断片、例えば、0.6又は0.7mmのふるいを通過する断片が乾燥インプラント組成物に使用される場合、乾燥インプラント組成物の再水和及び均一混合によって得られるインプラント製剤にはゲージ18カニューレを詰まらせる実質的なリスクが存在する。
【0042】
コラーゲンに対するナノ結晶ヒドロキシアパタイトのw/w比は、テーパーシステム及びゲージ18(内径0.838mm)のカニューレを介した押し出しの別の重要なパラメーターである。
【0043】
実際、多数のプロトタイプで実行された実験によって示されるように、コラーゲンに対するナノ結晶ヒドロキシアパタイトのw/w比が1.8未満であるか、又は4.5を超える場合、再水和及び均一混合によって得られるインプラント製剤は容易に注入できず、テーパーシステム及びゲージ18(内径0.838mm)のカニューレを介した押し出しに必要な力が大きすぎる。これは予想外の結果であり、明快な説明はないようである。押し出しに必要な力は、1.8から1.5では急激に増加するが、4.5から6では適度に増加する。ただし、多数のプロトタイプで実行された実験によって示されるように、比が4.5を超える場合(例えば、5)、インプラント製剤を押し出すために必要な力の再現性は十分ではない。市販のインプラント製品に必要とされる高い再現性は、コラーゲンに対するナノ結晶ヒドロキシアパタイトの比が1.8~4.5の場合にのみ達成される。
【0044】
よって1.8~4.5のコラーゲンに対するナノ結晶ヒドロキシアパタイトのw/w比の範囲が重要である。
【0045】
好ましくは、コラーゲンに対するナノ結晶ヒドロキシアパタイトのw/w比は、2.5~4.2である。その範囲内では、押し出しに必要な力は通常はより小さい。
【0046】
最も好ましくは、コラーゲンに対するナノ結晶ヒドロキシアパタイトのw/w比は、2.5~4.0である。小さな力での押し出し結果の最高の再現性は、コラーゲンに対するナノ結晶ヒドロキシアパタイトのそのw/w比を有する注入可能な水性インプラント製剤で実際に見い出された。
【0047】
注入可能な水性インプラント製剤の押し出し適性を高めるために、乾燥インプラント組成物は、滅菌のための通常の放射線量、典型的には27~33kGyを使用して、ガンマ線又はX線照射によって滅菌されていることが適切である。このような処理は、天然架橋繊維状コラーゲンの特定の結合を実際に壊し、ひいてはそれの流動性及び押し出し適性に有利に働く。
【0048】
「注入可能な水性インプラント製剤」という用語は、25~45w/w%の乾燥インプラント組成物を薬学的に許容し得る水性ビヒクルと再水和及び均一混合することによって調製されるインプラント製剤であって、特に歯周ポケット内の口腔組織再生のためにヒト又は動物体に便利に注入することができ、テーパーシステム及びゲージ18(内径0.838mm)の長さ25.4mmのカニューレを介して押し出すことができるインプラント製剤のことをいう。
【0049】
通常、注入可能な水性インプラント製剤は、テーパーシステム及びゲージ18(内径0.838mm)の長さ25.4mmのカニューレを介して60Nを超えない力で押し出すことができる。
【0050】
一般に、その薬学的に許容し得る水性ビヒクルは、滅菌水、滅菌等張食塩水、血液又はその画分、通常は患者自身の血液である。
【0051】
注入可能な水性インプラント製剤は、好ましくは、25~45w/w%の乾燥インプラント組成物、より好ましくは30~40w/w%の乾燥インプラント組成物を、滅菌水、滅菌等張食塩水又は血液と再水和及び均一混合することによって得られる。その量の乾燥インプラント組成物を使用する場合、注入可能な水性インプラント製剤は、シリンジからテーパーシステム及び18ゲージ(内径0.838mm)の長さ25.4mmのカニューレを介して60Nを超えない力で押し出すことができる新しい製剤である。
【0052】
注入可能な水性インプラント製剤が、30~40w/w%の上記の乾燥インプラント組成物を滅菌水又は滅菌等張食塩水と再水和及び均一混合することによって得られる場合、テーパーシステム及び18ゲージ(内径0.838mm)の長さ25.4mmのカニューレを介して注入可能な水性インプラント製剤を押し出すのに必要な力は、40N未満、好ましくは20N未満である。
【0053】
注入可能な水性インプラント製剤が、30~40w/w%の上記の乾燥インプラント組成物を血液と再水和及び均一混合することによって得られる場合、薬学的に許容し得るビヒクル中に30~40w/w%の乾燥インプラント組成物を含有する注入可能な水性インプラント製剤を押し出すのに必要な力は、45N未満、好ましくは25N未満である。
【0054】
国際PCT特許出願WO-2019/115795の発明で使用される乾燥インプラント組成物は、以下の工程を含む方法によって調製することができる:
(a)ふるい分けによって決定されるとき50~200μmのサイズを有する天然骨由来のナノ結晶ヒドロキシアパタイト粒子を提供すること、
(b)アルカリ処理、酸処理及び有機溶媒による処理を含み、0.5mmのふるいを通過する断片に細かく刻む方法によって、粉砕された天然架橋繊維状コラーゲン材料を調製すること、
(c)(b)で得られた粉砕された天然架橋繊維状コラーゲン混合物を水溶液に加え、コラーゲンスラリーが得られるように激しく混合し、(a)で調製されたふるい分けによって決定されるとき50~200μmのサイズを有するナノ結晶ヒドロキシアパタイト粒子を加えて激しく混合すること(pHを4.2~7.5に維持して)、
(d)(c)で得られたナノ結晶ヒドロキシアパタイト粒子及びコラーゲンを含有する混合組成物を乾燥すること、並びに
(e)(d)で得られた乾燥インプラント組成物をガンマ線又はX線照射により滅菌すること。
【0055】
天然骨由来のセラミックのナノ結晶ヒドロキシアパタイト粒子は、上記のとおり、天然骨のナノ結晶構造の保存を可能にする方法によって天然骨から誘導された粒子である。
【0056】
上記の方法で得られた高純度の骨ミネラルは、必要なサイズになるように粉砕及びふるい分けすることができる。
【0057】
あるいは、必要なサイズを有する天然骨由来のセラミックの粒子は、粉砕及びふるい分け工程を用いて、Geistlich Bio-Oss(登録商標)(Geistlich Pharma AGから市販されている)から製造することができる。
【0058】
工程(b)の粉砕された天然架橋繊維状コラーゲンは、EP-B1-2654815の実施例7に記載されたものと同様の方法であって、水中でブタ、ウシ、ウマ、ヤギ又はウサギの皮を0.5~30mmの欠片に粉砕し、アルコール又はケトンなどの水溶性溶媒を使用して水を除去し、ジクロロエタン若しくは塩化メチレンなどの塩素化炭化水素又はヘキサン若しくはトルエンなどの非塩素化炭化水素を使用して脱脂し、コラーゲンを12.0を超えるpHの強力な無機塩基及び0~1のpHの強力な無機酸で処理し、アルコール、エーテル、ケトン及び塩素化炭化水素などの有機溶媒によって得られたスポンジの乾燥コラーゲン繊維を凍結乾燥及び洗浄し、真空下で溶媒を除去し、そして更に遠心ミル及びコラーゲン断片のふるい分けを伴う手順により洗浄されたコラーゲンスポンジを0.5mmのふるいを通過する断片に細かく刻むことを含む方法によって調製することができる。
【0059】
工程(b)の粉砕された天然架橋繊維状コラーゲンはまた、EP-B1-1676592に記載されたものと同様の方法であって、ブタ、ウシ、ウマの腹膜又は心筋膜を機械的処理により肉及び獣脂から離し、水で洗浄し、1~5%水酸化ナトリウム溶液で処理し、水で洗浄し、0.2~0.8%塩酸で酸性化し、pH 3.5まで水で洗浄し、NaHCO3溶液で中和し、水で洗浄し、アルコール又はケトンなどの水溶性溶媒で脱水し、ヘキサンなどの炭化水素で脱脂し、そして更に遠心ミル及びコラーゲン断片のふるい分けを伴う手順により洗浄されたコラーゲン膜を0.5mmのふるいを通過する断片に細かく刻むことを含む方法によって調製することができる。
【0060】
工程(c)において、工程(b)で調製された粉砕された天然架橋繊維状コラーゲンが水溶液に加えられ、コラーゲンスラリーが得られるように激しく混合され、次に工程(a)で調製された、ふるい分けによって決定されるとき50~200μmのサイズを有するナノ結晶ヒドロキシアパタイト粒子がコラーゲンスラリーに加えられ、スラリーと激しく混合される。
【0061】
通常、工程(c)で測定されるpHは、4.2~7.5、好ましくは4.5~7.5である。
【0062】
工程(d)は一般に、ナノ結晶ヒドロキシアパタイト粒子と、(c)で得られたコラーゲンとを含有する混合組成物を、凍結乾燥又は好ましくは減圧下で風乾することによって乾燥させることを含む。
【0063】
工程(b)で得られた乾燥インプラント組成物の含水量は、カールフィッシャー滴定によって測定されるとき、一般に3~7%である。
【0064】
工程(d)の後には、一般には滅菌用の通常の放射線量、典型的には27~33kGyを使用するガンマ線又はX線照射による滅菌の工程(e)が、必要に応じて続く。
【0065】
その発明の国際PCT特許出願WO-2019/115795は更に、テーパーシステム及び18ゲージ(内径0.838mm)の長さ25.4mmのカニューレを介して60Nを超えない力で押し出すことができ、滅菌水又は滅菌等張食塩水と再水和及び均一混合された25~45w/w%の上記の乾燥インプラント組成物を含む、口腔組織再生に使用するための新しい注入可能な水性インプラント製剤に関する。
【0066】
注入可能な水性インプラント製剤が、滅菌水又は滅菌等張食塩水と再水和及び均一混合された30~40w/w%の上記の乾燥インプラント組成物を含む場合、テーパーシステム及び18ゲージ(内径0.838mm)の長さ25.4mmのカニューレを介して注入可能な水性インプラント製剤を押し出すのに必要な力は、40N未満、多くの場合20N未満である。
【0067】
骨形成細胞は、その発明の注入可能な水性インプラント製剤においてインビトロで増殖できることが観察されている。これは、移植時に、再生が行われる自然のインビボ環境に非常に近いマトリックスを提供する、その注入可能な水性インプラント製剤の高い生体適合性を示している。
【0068】
上記の注入可能な水性インプラント製剤は、その押し出し特性を維持しながら、ガンマ線又はX線照射によって滅菌することはできない。実際、その製剤がガンマ線又はX線照射を受けると、フリーラジカルが放出され、これがコラーゲンの制御されない架橋を引き起こし、そのため、製剤は18ゲージ(内径0.838mm)のカニューレを介して押し出せないか、又は手作業で加えるには大きすぎる力を用いる場合のみ、そのようなカニューレを介して押し出せるかである。
【発明の概要】
【0069】
コラーゲンを含有する上記の注入可能な水性インプラント製剤に十分な量のアスコルビン酸を添加すると、その押し出し特性を維持しながら、ガンマ線又はX線照射によって滅菌できることがわかった。アスコルビン酸は、ガンマ線又はX線照射による滅菌中に放出されたラジカルを捕捉するために消費され、そしてコラーゲンの制御されない架橋を回避する。アスコルビン酸は、そのような滅菌中に消費されると予想される量と比較して過剰に追加する必要がある。
【0070】
よって残留アスコルビン酸をいくらか(一般に少なくとも0.05%(w/w))含有する滅菌された注入可能な水性インプラント製剤は、滅菌前の注入可能な水性インプラント製剤と同じ力でテーパーシステム及び18ゲージ(内径0.838mm)の長さ25.4mmのカニューレを介して押し出すことができる。滅菌された注入可能な水性インプラント製剤は、室温で少なくとも9か月間保存された場合、それらの押し出し特性を保持する。
【0071】
よって本発明は、少なくとも0.05%(w/w)アスコルビン酸を含有することを特徴とする、ガンマ線又はX線照射によって滅菌され、ふるい分けによって決定されるとき50~200μmのサイズを有する天然骨由来のナノ結晶ヒドロキシアパタイト粒子と、0.5mmのふるいを通過する天然架橋繊維状コラーゲン材料の断片との25~45w/w%の混合物(ここで、コラーゲンに対するナノ結晶ヒドロキシアパタイトのw/w比は1.8~4.5である)を含む、注入可能な水性インプラント製剤に関する。
【0072】
上記の滅菌された注入可能な水性インプラント製剤は、室温で少なくとも9か月間保存された場合、それらの押し出し特性を保持する。
【0073】
その注入可能な水性インプラント製剤は、室温で少なくとも9か月間保存した後、特にその押し出し挙動に関しては安定したままである。
【0074】
注入可能な水性インプラント製剤は、0.1~1%(w/w)のアスコルビン酸を含有し得る。1つの実施態様によれば、それは0.2~0.5%(w/w)のアスコルビン酸を含有する。
【0075】
コラーゲンに対するナノ結晶ヒドロキシアパタイトのw/w比は1.8~4.5である。2.5~4.2の場合もある。1つの実施態様によれば、2.5~4.0である。1つの実施態様によれば、3.9~4.1である。
【0076】
「ふるい分けによって決定されるときx~yμmのサイズを有する粒子」という表現は、「yμm」のふるいを通過するが、「xμm」のふるいによって保持される粒子を意味する。「天然骨由来のナノ結晶ヒドロキシアパタイト粒子は、ふるい分けによって決定されるとき50~200μmである」という表現は、「200μmのふるいを通過するが、50μmのふるいによって保持される天然骨由来のナノ結晶ヒドロキシアパタイト粒子」を意味する。ふるい分けによって決定されるとき100~150μmのサイズ及び125~180μmのサイズを有するそのような粒子の選択は、実施例1の1)に示されている。
【0077】
天然骨由来のナノ結晶ヒドロキシアパタイト粒子のサイズを決定するために、M. Konert et al., 1997, Sedimentology 44: 523-535に記載されているような光散乱に基づくレーザー法を使用する場合、球形から遠く離れた、そのような粒子の楕円形/縦長形状に起因して、実質的により大きなサイズが測定される(
図5、左側を参照のこと)。例えば、ふるい分けによって決定されるとき125~180μmのサイズを有するそのような粒子のサイズを決定するためにその方法を使用する場合、結果は、粒子の10%が281.87μmを超える189.94μmの平均値を示した。
【0078】
天然骨由来のナノ結晶ヒドロキシアパタイト粒子のサイズは、ふるい分けによって決定されるとき好ましくは100~180μmである。
【0079】
1つの実施態様によれば、天然骨由来のナノ結晶ヒドロキシアパタイト粒子のサイズは、ふるい分けによって決定されるとき125~180μmである。
【0080】
「天然架橋繊維状コラーゲン材料」という用語は、そのテロペプチド構造及びその天然の架橋の大部分を保持することを可能にする方法によって天然の組織材料から誘導された繊維状コラーゲン材料を意味する。このような天然架橋繊維状コラーゲン材料は、酵素処理、化学架橋又は物理架橋(例えば、DeHydroThermal処理DHT、UV照射など)をいずれも受けていない不溶性コラーゲン材料である。実際、後者の処理のいずれかは、天然組織材料に存在するテロペプチド構造及び/又は天然架橋を著しく変化させるかもしれない。
【0081】
天然架橋繊維状コラーゲン材料は、加水分解及びRP-HPLCを含む既知の方法の修正によるデスモシン/イソデスモシン測定によって測定されるとき、50~100w/w%コラーゲン及び0~50w/w%エラスチン、好ましくは70~95w/w%コラーゲン及び5~30w/w%エラスチンを含有する天然由来の組織から適切に誘導される(例えば、Guida E. et al. 1990 Development and validation of a high performance chromatography method for the determination of desmosines in tissues in Journal of Chromatography 又は Rodriguqe P 2008 Quantification of Mouse Lung Elastin During Prenatal Development in The Open Respiratory Medicine Journalを参照のこと)。そのような組織の例は、脊椎動物、特に哺乳動物(例えば、ブタ、ウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ウサギ)の腹膜又は心膜、胎盤膜、小腸粘膜下組織(SIS)及び真皮を包含する。そのような組織は、好ましくは、ブタ、ウシ又はウマである。興味深い組織は、ブタ、ウシ又はウマの腹膜及び真皮である。
【0082】
好ましくは、天然架橋繊維状コラーゲン材料は、ブタの真皮及びブタの腹膜又は心膜からなる群より選択される。
【0083】
通常、天然架橋繊維状コラーゲン材料は、50~100w/w%コラーゲン及び0~50w/w%エラスチン、好ましくは70~95w/w%コラーゲン及び5~30w/w%エラスチンを含有する。
【0084】
天然組織に由来する適切な天然架橋繊維状コラーゲン材料は、アルカリ処理、酸処理及び有機溶媒による処理を含み、次に0.5mmのふるいを通過する断片に細かく刻む、EP-B1-1676592の「実施例」に記載されたものと同様の方法によって調製された、ブタ、ウシ又はウマの腹膜又は心膜からのコラーゲン膜である。
【0085】
天然組織に由来する別の適切な天然架橋繊維状コラーゲン材料は、0.5mmのふるいを通過する断片に細かく刻まれたGeistlich Bio-Gide(登録商標)(Geistlich Pharma AGから市販されている)である。
【0086】
天然組織に由来する別の適切な天然架橋繊維状コラーゲン材料は、アルカリ処理、酸処理、凍結乾燥及び有機溶媒による洗浄を含み、次に0.5mmのふるいを通過する断片に細かく刻む、EP-B1-2654816の実施例7に記載されたものと同様の方法によって調製されたブタ真皮である。
【0087】
ガンマ線又はX線照射によって滅菌された上記の注入可能な水性インプラント製剤は、例えば、実施例9の3)に詳細に記載されている押し出し試験を使用して、テーパーシステム及び18ゲージ(内径0.838mm)の長さ25.4mmのカニューレを介して60Nを超えない力で押し出すことができる。このような力は、シリンジに手作業で加えることができる。同じ押し出し特性が、滅菌前の注入可能な水性インプラント製剤で見られた。
【0088】
好ましくは、注入可能な水性インプラント製剤は、ふるい分けによって決定されるとき50~200μmのサイズを有する天然骨由来のナノ結晶ヒドロキシアパタイト粒子と、0.5mmのふるいを通過する天然架橋繊維状コラーゲン材料の断片との30~40w/w%の混合物(ここで、コラーゲンに対するナノ結晶ヒドロキシアパタイトのw/w比は1.8~4.5である)を含む。
【0089】
注入可能な水性インプラント製剤は次に、テーパーシステム及び18ゲージ(内径0.838mm)の長さ25.4mmのカニューレを介して30Nを超えない力で押し出すことができる。そのような力は、シリンジに手作業で容易に加えることができる。
【0090】
1つの実施態様によれば、注入可能な水性インプラント製剤は、ふるい分けによって決定されるとき125~180μmのサイズを有する天然骨由来のナノ結晶ヒドロキシアパタイト粒子と、0.5mmのふるいを通過する天然架橋繊維性コラーゲン材料の断片との29.5~30.5w/w%の混合物(ここで、コラーゲンに対するナノ結晶ヒドロキシアパタイトのw/w比は1.8~4.5である)を含む。
【0091】
注入可能な水性インプラント製剤は次に、テーパーシステム及び18ゲージ(内径0.838mm)の長さ25.4mmのカニューレを介して10Nを超えない力で押し出すことができる。このような力は、シリンジ(小さいサイズのものであっても)に手作業で加えるのに便利である。
【0092】
本発明はまた、注入可能な水性インプラント製剤を含有する、すぐに使えるシリンジに関する。このようなシリンジは、口腔組織再生に使用するための上記の注入可能な水性インプラント製剤を18ゲージのカニューレを介して注入するために顎顔面手術で使用するのに便利である。
【0093】
本発明はまた、上記の注入可能な水性インプラント製剤を調製するための方法であって、0.5mmのふるいを通過する天然架橋繊維状コラーゲン材料の断片を滅菌水又は等張液に加え、コラーゲンスラリーを生成するように、60℃を超える温度で酸性pHで均一混合し、コラーゲンスラリーに天然骨由来のナノ結晶ヒドロキシアパタイト粒子を、コラーゲンに対するナノ結晶ヒドロキシアパタイトのw/w比が1.8~4.5になるように加えて、均一混合し、0.15~0.5%w/wのアスコルビン酸を加えて均一混合し、そしてガンマ線又はX線照射により滅菌することを含む方法に関する。
【0094】
上記の注入可能な水性インプラント製剤はまた、国際PCT特許出願WO-2019/115795に記載されている方法であって、滅菌水又は滅菌等張食塩水中で、ふるい分けによって決定されるとき50~200μmのサイズを有する天然骨由来のナノ結晶ヒドロキシアパタイト粒子と、0.5mmのふるいを通過する天然架橋繊維状コラーゲン材料の断片との混合物(ここで、コラーゲンに対するナノ結晶ヒドロキシアパタイトのw/w比は1.8~4.5である)から本質的になる25~45w/w%の乾燥インプラント組成物を再水和及び均一混合し、次に0.15~0.5w/w%のアスコルビン酸を加えて均一混合し、そしてガンマ線又はX線照射で滅菌することを含む方法によって得ることができる。
【0095】
一般に、ガンマ線又はX線照射による滅菌は25~33Gyで行われる。
【0096】
注入可能な水性インプラント製剤を含有する上記のすぐに使えるシリンジは、一般にシリンジに上記の注入可能な水性製剤を導入し、充填されたシリンジへのガンマ線又はX線照射により滅菌を行うことによって調製される。すぐに使えるシリンジは、少なくとも9か月間使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0097】
本発明は、本発明の好ましい実施態様の説明例及び添付の図面を参照して更に詳細に説明される:
【
図1】
図1は、Medmixシリンジ混合システム(MEDMIX、SP 003-00M-02 /B、カタログ番号507211)を表し、(1)は乾燥生体材料を含有するシリンジであり、(2)は開口ルアー出口を備えたシリンジキャップであって、任意のルアーカニューレと適合性があるキャップであり、(3)は混合プロセス中にシリンジを閉じるための開口キャップであり、(4)は、プランジャーが取り外されると柔軟なミキサーである混合装置であり、(5)はプランジャーであって、取り外されてシリンジ内の材料を混合することができ、後でリセットされて材料を押し出すことができるプランジャーである。
【
図2】
図2は、Medmixシリンジ混合システムに添付されている操作説明書に提示されているMedmix混合手順のコピーである。
【
図3A】
図3Aは、実施例における乾燥インプラント組成物2を、等張食塩水(曲線(1))又は新鮮ヒト血液(曲線(2))と再水和及び均一混合することによって得られた注入可能な水性インプラント製剤の押し出し曲線を表す。
【
図3B】
図3Bは、実施例における乾燥インプラント組成物4を、等張食塩水(曲線(3))又は新鮮ヒト血液(曲線(4))と再水和及び均一混合することによって得られた注入可能な水性インプラント製剤の押し出し曲線を表す。
【
図4】
図4は、乾燥インプラント組成物4(実施例6で調製)をヒト血液と再水和及び均一混合することによって得られた注入可能な水性インプラント製剤4の、561nmレーザー照射による励起を伴うCV1000共焦点スピニングディスク顕微鏡を使用する顕微鏡画像であり、増殖したMC3T3 CytoLightRed細胞は明るく可視化される。
【
図5】
図5は、左側に天然骨由来のナノ結晶ヒドロキシアパタイト粒子の走査型電子顕微鏡写真(SEM)を、そして右側に合成β-TCP粒子のSEMを表す。
【発明を実施するための形態】
【0098】
以下の実施例は、発明の範囲を限定することなく本発明を説明している。
【実施例1】
【0099】
原材料の調製
1)ふるい分けによって決定されるとき100~150μm又は125~180μmのサイズを有するナノ結晶ヒドロキシアパタイト微粒子の調製
ナノ結晶ヒドロキシアパタイト骨ミネラル微粒子は、US-A-5417975の実施例1~4に記載されているように、それぞれ100~150μm又は125~180μmの追加のふるい分け工程を使用して、即ち、それぞれ150μmのふるいを通過するが100μmのふるいを通過しない粒子、又は180μmのふるいを通過するが125μmのふるいを通過しない粒子を選択して、皮質骨又は海綿骨から生成された。
あるいは、ナノ結晶ヒドロキシアパタイト骨ミネラル微粒子は、Geistlich Bio-Oss(登録商標)Small Granules(Geistlich Pharma AG, CH-6110, Switzerlandから入手可能)を粉砕し、ピストルを使用して注意深く衝突させ、それぞれ100~150μm(150μmのふるいを通過するが100μmのふるいを通過しない粒子)又は125~180μm(180μmのふるいを通過するが125μmのふるいを通過しない粒子)の追加のふるい分け工程によって生成された。
上で調製された、ふるい分けによって決定されるとき100~150μm又は125~180μmのサイズを有するナノ結晶ヒドロキシアパタイト骨ミネラル微粒子を、使用するまでガラス瓶に保存した。
2)コラーゲンAの調製
ブタの皮を肉挽き器で1~20mmの小片に砕いた。アルコール又はケトンなどの水溶性溶媒を使用して水を除去した。コラーゲン繊維は、ジクロロエタン若しくは塩化メチレンなどの塩素化炭化水素、又はヘキサン若しくはトルエンなどの非塩素化炭化水素を使用して脱脂した。溶媒を除去した後、コラーゲンを、12を超えるpHの強力な無機塩基で6~24時間処理し、pH 0~1の強力な無機酸で1~12時間処理した。水で濯ぐことにより過剰の酸を除去し、懸濁液を、無機塩などの膨潤調節剤の存在下でコラーゲン繊維の0.5~2%の均質な懸濁液にホモジナイズした。懸濁液を凍結乾燥により乾燥させ、得られたスポンジの乾燥コラーゲン繊維を、アルコール、エーテル、ケトン及び塩素化炭化水素などの異なる有機溶媒で連続的に洗浄し、次に溶媒を真空下で蒸発させて1%未満の溶媒残留物にした。
洗浄したコラーゲンスポンジ1×1cmを、はさみを使って手で切った。切断片は、最初に0.5~4.0mmのふるいを包含するカッティングミルを使用し、次に台形の穴を包含する0.5mmのふるいを備えた遠心ミル(Retsch、ZM200)を使用することによって更に細かく刻まれた。あるいは、はさみで切った小片は遠心ミルで直接砕かれた。
こうして0.5mmのふるいを通過する天然架橋繊維状コラーゲン断片からなるコラーゲンAが得られた。
3)コラーゲンBの調製
若いブタの腹膜は、機械的手段によって肉及び獣脂を完全に取り除き、流水下で洗浄し、2% NaOH溶液で12時間処理した。次に膜を流水下で洗浄し、0.5% HClで酸性化した。材料がその厚さ全体にわたって酸性化された後(約15分)、pH 3.5が得られるまで材料を洗浄した。次に材料を7%食塩水で縮め、1% NaHCO3溶液で中和し、流水下で洗浄した。次に材料をアセトンで脱水し、n-ヘキサンで脱脂した。
材料をエタノールエーテルを使用して乾燥させ、カッティングミル(例えば、Fritsch製のPulverisette 25:www.fritsch.de./produkte/mahlen/schneidmuehlen/pulverisette-25又はRetsch製のSM300:www.retsch.de/de/produkte/zerkleinern/schneidmuehlen.htlmを参照のこと)であって、0.5~1.0mmの台形ふるいを包含するミルで粉砕した。
台形の穴を含有する0.5mmのふるいを備えた遠心ミル(Retsch、ZM200)を使用することにより、切断されたコラーゲン繊維セグメントを更に細かく刻んだ。
こうして0.5mmのふるいを通過する天然架橋繊維状コラーゲン断片からなるコラーゲンBが得られた。
【実施例2】
【0100】
ナノ結晶ヒドロキシアパタイト粒子とコラーゲンとを含有する混合組成物の乾燥及び滅菌
ナノ結晶ヒドロキシアパタイト粒子とコラーゲン(下記の実施例3~8に記載されるとおり得られる)とを含有する混合組成物を、凍結乾燥又は減圧下で風乾することにより乾燥させ、ガンマ線又はX線照射により滅菌した。
1)凍結乾燥
50mlシリンジから、裏側から1ml環状オレフィンコポリマー(Cyclic Olefin Copolymer)(COC)シリンジにその塊を充填した。1mlシリンジあたり約0.5mlの容量が充填された。シリンジは、4℃の冷蔵庫で5時間、両側から閉じて保存した。次にシリンジは両側を開いて、凍結乾燥機の金属板に、各シリンジが金属板との大きな接触面がとれるように横になる位置に置いた。次に以下の凍結乾燥プログラムが開始された。
1.7時間で-40℃まで凍結
2.-40℃で4時間保持
3.-10℃、850μbarで20時間の一次乾燥
4.+20℃、100μbarで6時間の二次乾燥
あるいは、粘性コラーゲン-ナノ結晶ヒドロキシアパタイトの塊は、シリンジ内ではなく、ステンレス鋼板上又は直径25mm未満及び深さ10mm未満の小さなステンレス鋼の形状内で凍結乾燥された。凍結乾燥後に得られた乾燥材料を、1.5mm~10mmのふるいを備えた遠心ミル(Retsch、ZM200)を使用することにより、0.1~2mmのサイズの粒子に粉砕した。ミルでの粉砕によって、再構成された最終生成物に更に小さなナノ結晶ヒドロキシアパタイト粒子が得られた。
あるいは、粉砕するために粘性コラーゲン-ナノ結晶ヒドロキシアパタイトの塊を、シリンジの標準的なルアー出口から押し出し、ステンレス鋼板上に直線として形成した。次に材料をそのまま凍結乾燥した。
2)風乾
粘性コラーゲン-ナノ結晶ヒドロキシアパタイトの塊、例えば、直線として形成されたものを、別法として、30℃及び10mbarの真空オーブン内で24時間風乾した。
乾燥した直線を手で5~10mmの長さの棒に分けた。
次に造粒された材料又は小さな棒を、開口ルアーを備えたシリンジキャップ及び開口キャップ(MEDMIX, CP 000-76M/D、カタログ番号506964)を有する3mlシリンジ混合システム(MEDMIX、SP 003-00M-02 /B、カタログ番号507211)に充填した。
3)滅菌
凍結乾燥又は減圧下での風乾によって得られた乾燥インプラント組成物を、27~33kGyのガンマ線又はX線照射によってシリンジ内で滅菌した。
カールフィッシャー滴定により測定したとき、滅菌直後の乾燥製品の含水量は3~7%であった。
凍結乾燥、風乾及び乾燥インプラント溶液へのガンマ線又はX線照射による滅菌の上記の工程は、実施例3~8に記載されるとおり調製された乾燥インプラント組成物1~6に対して実施された。
【実施例3】
【0101】
ふるい分けによって決定されるとき100~150μm又は125~180μmのサイズを有するナノ結晶ヒドロキシアパタイト粒子と、コラーゲンに対するナノ結晶ヒドロキシアパタイトのw/w比が4.0であるコラーゲンAとを含有する乾燥インプラント組成物1の調製
コラーゲン-ナノ結晶ヒドロキシアパタイト組成物の調製
水及び塩酸(2M)をスパチュラを用いてビーカー内で混合した。実施例1で得られた粉砕コラーゲンAを加え、注意深く液体に押し込んで、全てのコラーゲンを湿らせた。ビーカーをねじ蓋で閉じ、水-コラーゲンスラリーをSpeedmixer(CosSearch GmbH、Speedmixer DAC400.1FVZ)により2500rpmで4分間均一混合した。コラーゲンスラリーを、混合手順中にわずかに加熱した。次にコラーゲンスラリーを4℃の冷蔵庫で30分間冷却した。
コラーゲンスラリーをSpeedmixerにより2500rpmで2分間再度混合した。次に実施例1で調製されたふるい分けによって決定されるとき100~150μm、又は125~180μmの間のサイズを有するナノ結晶ヒドロキシアパタイト骨ミネラル微粒子を、コラーゲンスラリーと共にビーカーに加え、塊をSpeedmixerにより2000rpmで2分間混合した。得られたpHは約4.5であった。
上記の実験で使用された材料の量は、次の表に明記される:
【0102】
【0103】
コラーゲン-ナノ結晶ヒドロキシアパタイト組成物の乾燥
凍結乾燥又は減圧下での風乾による乾燥及び滅菌は、実施例2に記載されたとおり実施された。
ふるい分けによって決定されるとき100~150μm又は125~180μmのサイズを有するナノ結晶ヒドロキシアパタイト粒子と、コラーゲンに対するナノ結晶ヒドロキシアパタイトのw/w比が4.0であるコラーゲンAとを含有し、実施例9に記載されたとおり実施された脱塩水での再水和後にpH 4.5を与える、乾燥インプラント組成物1は、こうして得られた。
【実施例4】
【0104】
ふるい分けによって決定されるとき125~180μmのサイズを有するナノ結晶ヒドロキシアパタイト粒子と、コラーゲンに対するナノ結晶ヒドロキシアパタイトのw/w比が4.0であるコラーゲンBとを含有する乾燥インプラント組成物2の調製。
コラーゲン-ナノ結晶ヒドロキシアパタイト組成物の調製
実施例1で得られた粉砕コラーゲンBを注意深く脱塩水に押し込み、全てのコラーゲンを湿らせた。ビーカーをねじ蓋で閉じ、水-コラーゲンスラリーをSpeedmixerにより2500rpmで1分間均一混合した。次にコラーゲンスラリーを水浴中で70℃まで4時間加熱した。次にコラーゲンスラリーを周囲温度で又は冷蔵庫内又は水浴中で30分間冷却した。
コラーゲンスラリーをSpeedmixerにより2500rpmで2分間再度混合した。次に実施例1で調製されたふるい分けによって決定されるとき125~180μmの間のサイズを有するナノ結晶ヒドロキシアパタイト骨ミネラル微粒子をコラーゲンスラリーと共にビーカーに加え、塊をSpeedmixerにより2000rpmで2分間混合した。得られたpHは6.2であった。
上記の実験で使用された材料の量は、次の表に明記される:
【0105】
【0106】
コラーゲン-ナノ結晶ヒドロキシアパタイト組成物の乾燥
凍結乾燥又は減圧下での風乾による乾燥及び滅菌は、実施例2に記載されたとおり実施された。
ふるい分けによって決定されるとき125~180μmのサイズを有するナノ結晶ヒドロキシアパタイト粒子と、コラーゲンに対するナノ結晶ヒドロキシアパタイトのw/w比が4.0であるコラーゲンBとを含有し、実施例9に記載されたとおり実施された脱塩水での再水和後にpH 6.2を与える、乾燥インプラント組成物2は、こうして得られた。
【実施例5】
【0107】
ふるい分けによって決定されるとき125~180μmのサイズを有するナノ結晶ヒドロキシアパタイト粒子と、コラーゲンに対するナノ結晶ヒドロキシアパタイトの(w/w)比が2.67である、コラーゲンB 1部に対してコラーゲンA 2部の混合物とを含有する、乾燥インプラント組成物3の調製
コラーゲン-ナノ結晶ヒドロキシアパタイト組成物の調製
水及び塩酸(2M)をスパチュラを用いてビーカー内で混合した。実施例1で得られた粉砕コラーゲンBを注意深く液体に押し込み、全てのコラーゲンを湿らせた。ビーカーをねじ蓋で閉じ、水-コラーゲンスラリーをSpeedmixerにより2500rpmで2分間均一混合し、得られるpHを0.9~1とした。次にコラーゲンスラリーを水浴中で70℃まで20分間加熱した。次にコラーゲンスラリーを25℃の水浴中で30分間冷却した。
実施例1で得られた粉砕コラーゲンAを加え、コラーゲンスラリーに注意深く押し込んで、全てのコラーゲンを湿らせた。次にスラリーをSpeedmixerにより2500rpmで4分間混合した。
最後に、実施例1で調製されたふるい分けによって決定されるとき125~180μmの間のサイズを有するナノ結晶ヒドロキシアパタイト骨ミネラル微粒子をコラーゲンスラリーと共にビーカーに加え、塊をSpeedmixerにより2000rpmで2分間混合した。得られたpHは約4.5であった。
上記の実験で使用された材料の量は、次の表に明記される:
【0108】
【0109】
ナノ結晶ヒドロキシアパタイト-コラーゲン組成物の乾燥
凍結乾燥又は減圧下での風乾による乾燥及び滅菌は、実施例2に記載されたとおり実施された。
ふるい分けによって決定されるとき125~180μmのサイズを有するナノ結晶ヒドロキシアパタイト粒子と、コラーゲンに対するナノ結晶ヒドロキシアパタイトの(w/w)比が2.67である、コラーゲンB 1部に対してコラーゲンA 2部の混合物とを含有し、実施例9に記載されたとおり実施された脱塩水での再水和後にpH 4.5を与える、乾燥インプラント組成物3は、こうして得られた。
【実施例6】
【0110】
ふるい分けによって決定されるとき125~180μmのサイズを有するナノ結晶ヒドロキシアパタイト粒子と、コラーゲンに対するナノ結晶ヒドロキシアパタイトの(w/w)比が2.67である、コラーゲンB 1部に対してコラーゲンA 2部の混合物とを含有する乾燥インプラント組成物4の調製。
コラーゲン-ナノ結晶ヒドロキシアパタイト組成物の調製
実施例1で得られた粉砕コラーゲンBを注意深く脱塩水に押し込み、全てのコラーゲンを湿らせた。ビーカーをねじ蓋で閉じ、水-コラーゲンスラリーをSpeedmixerにより2500rpmで1分間均一混合した。次にコラーゲンスラリーを水浴中で70℃まで20分間加熱した。次にコラーゲンスラリーを25℃の水浴中で30分間冷却した。
実施例1で得られた粉砕コラーゲンAを加え、コラーゲンスラリーに注意深く押し込んで、全てのコラーゲンを湿らせた。次にスラリーをSpeedmixerにより2500rpmで4分間混合した。
最後に、実施例1で調製されたふるい分けによって決定されるとき125~180μmの間のサイズを有するナノ結晶ヒドロキシアパタイト骨ミネラル微粒子をコラーゲンスラリーと共にビーカーに加え、塊をSpeedmixerにより2000rpmで2分間混合した。得られたpHは6.0であった。
上記の実験で使用された材料の量は、次の表に明記される:
【0111】
【0112】
ナノ結晶ヒドロキシアパタイト-コラーゲン組成物の乾燥
凍結乾燥又は減圧下での風乾による乾燥及び滅菌は、実施例2に記載されたとおり実施された。
ふるい分けによって決定されるとき125~180μmのサイズを有するナノ結晶ヒドロキシアパタイト粒子と、コラーゲンに対するナノ結晶ヒドロキシアパタイトのw/w比が2.67である、コラーゲンB 1部に対してコラーゲンA 2部の混合物とを含有し、実施例9に記載されたとおり実施された脱塩水での再水和後にpH 6.0を与える、乾燥インプラント組成物4は、こうして得られた。
【実施例7】
【0113】
ふるい分けによって決定されるとき125~180μmのサイズを有するナノ結晶ヒドロキシアパタイト粒子と、コラーゲンに対するナノ結晶ヒドロキシアパタイトのw/w比が4.0であるコラーゲンAとを含有する乾燥インプラント組成物5の調製。
コラーゲン-ナノ結晶ヒドロキシアパタイト組成物の調製
粉砕コラーゲンAを注意深く脱塩水に押し込み、全てのコラーゲンを湿らせた。実施例1で調製されたふるい分けによって決定されるとき125~180μmの間のサイズを有するナノ結晶ヒドロキシアパタイト骨ミネラル微粒子を加え、ビーカーをねじ蓋で閉じた。水-コラーゲン-ナノ結晶ヒドロキシアパタイトスラリーを、ボルテックスミキサーにより1分間、スクープにより1分間均一混合した。
得られたpHは6.1であった。
使用された材料の量は、次の表に記載される:
【0114】
【0115】
ナノ結晶ヒドロキシアパタイト-コラーゲン組成物の乾燥
凍結乾燥又は減圧下での風乾による乾燥及び滅菌は、実施例2に記載されたとおり実施された。
ふるい分けによって決定されるとき125~180μmのサイズを有するナノ結晶ヒドロキシアパタイト粒子と、コラーゲンに対するナノ結晶ヒドロキシアパタイトのw/w比が4.0であるコラーゲンAとを含有し、実施例9に記載されたとおり実施された脱塩水での再水和後にpH 6.1を与える、乾燥インプラント組成物5は、こうして得られた。
【実施例8】
【0116】
ふるい分けによって決定されるとき125~180μmのサイズを有するナノ結晶ヒドロキシアパタイト粒子と、コラーゲンに対するナノ結晶ヒドロキシアパタイトAの(w/w)比が2.0であるコラーゲンAとを含有する乾燥インプラント組成物6の調製。
コラーゲン-ナノ結晶ヒドロキシアパタイト組成物の調製
粉砕コラーゲンAを注意深く脱塩水に押し込み、全てのコラーゲンを湿らせた。実施例1で調製されたふるい分けによって決定されるとき125~180μmの間のサイズを有するナノ結晶ヒドロキシアパタイト骨ミネラル微粒子を加え、ビーカーをねじ蓋で閉じた。水-コラーゲン-ナノ結晶ヒドロキシアパタイトスラリーを、ボルテックスミキサーにより1分間、スクープにより1分間均一混合した。
得られたpHは5.8であった。
使用された材料の量は、次の表に記載される:
【0117】
【0118】
ナノ結晶ヒドロキシアパタイト-コラーゲン組成物の乾燥
凍結乾燥又は減圧下での風乾による乾燥及び滅菌は、実施例2に記載されたとおり実施された。
ふるい分けによって決定されるとき125~180μmのサイズを有するナノ結晶ヒドロキシアパタイト粒子と、コラーゲンに対するナノ結晶ヒドロキシアパタイトの(w/w)比が2.0であるコラーゲンAとを含有し、実施例9に記載されたとおり実施された脱塩水での再水和後にpH 5.8を与える、乾燥インプラント組成物6は、こうして得られた。
【実施例9】
【0119】
シリンジ内の乾燥インプラント組成物の再水和による注入可能な水性インプラント製剤を含有する、すぐに使えるシリンジの調製。
1)乾燥インプラント組成物の再水和及び均一混合によって得られた注入可能な水性インプラント製剤を含有する、すぐに使えるシリンジの調製
a)三方活栓バルブLuer-Lokアダプター及び1mlシリンジを使用
2)1mlシリンジ製品内の乾燥した滅菌ナノ結晶ヒドロキシアパタイト-コラーゲン組成物を、三方活栓バルブLuer(Luer-Lok)アダプター(BD Connecta、三方活栓、カタログ番号394600)、Vaclokシリンジ(Qosina、Vaclokシリンジ、カタログ番号C1097)及び通常の単回使用補助シリンジ1ml(Luer-Lok)を使用して再水和した。
コラーゲンを再水和するための液体は、脱塩水、等張食塩水、150mMリン酸ナトリウム緩衝液(NaH
2PO
4を脱塩水に溶解し、水酸化ナトリウムでpHを調整することによって調製)を含有するpH 7.4のPBS溶液、又は血液であった。
シリンジ内の乾燥生体材料(実施例3~8の1つで得られた乾燥インプラント組成物)の重量は、既知であるか、又は測定された。ある量の再水和用液体を、38重量%の乾燥生体材料を含有する注入可能なペーストを得るためなどに、補助シリンジに充填した。
次に製品シリンジを三方活栓バルブに接続し、三方活栓バルブの180°側バルブを閉鎖キャップで閉じた。三方活栓バルブの3番目の位置(製品シリンジから90°)で、60ml Vaclokシリンジをシステムに接続した。Vaclokシリンジのプランジャーを引き、50mlの容量でロックすることにより、製品シリンジから空気を抜いた。次に三方バルブを180°回転させて製品シリンジ内の真空を保持し、一方液体を満たした補助シリンジによりVaclokシリンジを交換した。次に三方バルブを180°回転させた。真空のせいで、液体は自動的に製品シリンジに流れ込み、製品を湿らせた。製品シリンジへの完全な液体移動を保証するために、製品シリンジのプランジャーを引き戻した。材料を製品シリンジから補助シリンジに押し込んで戻す前に、材料を30秒間静置して再水和を可能にし、この一連の操作を40回繰り返して、均一混合された材料を得た。混合手順の後、三方活栓バルブは、テーパーシステム及び長さ25.4mmの鈍端18ゲージ(内径0.838mm)のカニューレであるアプリケーターにより置き換えられた。
乾燥インプラント組成物1~6のそれぞれと脱塩水との再水和及び均一混合によって得られた再構成された注入可能な水性インプラント製剤は、凍結乾燥前に測定されたpHに近いpH、即ちそれぞれ約4.5、6.2、4.5、6.0、6.1及び5.8を有していた。
b)3ml Medmixシリンジ混合システムを使用する
あるいは、乾燥材料の粒子を、Medmixシリンジ混合システム(MEDMIX、SP 003-00M-02/B、カタログ番号507211)(開口ルアーを備えたシリンジキャップ及び開口キャップ(MEDMIX, CP 000-76M/D、カタログ番号506964)を有する)で、脱塩水、等張食塩水、150mMリン酸ナトリウム緩衝液を含有するpH7.4のPBS溶液又は血液で再水和し、これは、
図1に表されており、ここで(1)は乾燥生体材料を含有するシリンジであり、(2)は開口ルアー出口を備えたシリンジキャップであって、任意のルアーカニューレと適合性があるキャップであり、(3)は混合プロセス中にシリンジを閉じるための開口キャップであり、(4)は、プランジャーが取り外されると柔軟なミキサーである混合装置であり、(5)はプランジャーであって、取り外されてシリンジ内の材料を混合することができ、後でリセットされて材料を押し出すことができるプランジャーである。
図2に提示されたMedmixの混合手順に従った。最適な結果を得るために、工程4の後、プランジャーを3回押して液体を材料に押し込み、材料を湿らせて、混合工程(工程6)を60秒間実行する。工程8で全ての空気が除去される。
3)押し出し試験
得られた再構成された注入可能な水性インプラント製剤の押し出し適性を、張力及び圧力試験装置(Zwick&Roell、BT1-FR2.5TS.D14)で試験した。上で調製されたすぐに使えるシリンジをシリンジ保持器に垂直に置き、プランジャーを機械から押し下げると同時に、テーパーシステム及び鈍端18ゲージ(内径0.838mm)の長さ25.4mmのカニューレ(Nordson EFD、Precision Tip 18GA 1”、カタログ番号7018110)を含むアプリケーターを介して製品をシリンジから押し出す力を、以下のプログラムで測定した:
o抵抗までの力:0.1N
o抵抗までの速度:100mm/分
o試験速度:1mm/s、位置制御
o試験の終了:力の限度、150N
o力センサー:200N
脱塩水、等張食塩水又はPBS溶液との再水和及び均一混合によって得られた全ての試験された注入可能なインプラント製剤、特に乾燥インプラント組成物1~6から調製された注入可能なインプラント製剤について、測定された力は40Nを超えなかった。
血液との再水和及び均一混合によって得られた全ての試験された注入可能なインプラント製剤、特に乾燥インプラント組成物1~6から調製された注入可能なインプラント製剤について、測定された力は45Nを超えなかった。
乾燥インプラント組成物1、2、3、4、5及び6から調製された、脱塩水、等張食塩水又はPBS溶液との再水和及び均一混合によって得られた注入可能なインプラント製剤について、測定された力は20Nを超えなかった。
乾燥インプラント組成物1(ふるい分けによって決定されるとき100~150μm又は125~180μmのサイズを有するナノ結晶ヒドロキシアパタイト粒子と、コラーゲンに対するナノ結晶ヒドロキシアパタイトのw/w比が4.0であるコラーゲンAとを含有する)及び乾燥インプラント組成物2(ふるい分けによって決定されるとき125~180μmのサイズを有するナノ結晶ヒドロキシアパタイト粒子と、コラーゲンに対するナノ結晶ヒドロキシアパタイトのw/w比が4.0であるコラーゲンBとを含有する)から調製された、血液との再水和及び均一混合によって得られた注入可能なインプラント製剤について、測定された力は25Nを超えなかった。
図3A及び3Bを参照のこと(これらは、乾燥インプラント組成物2及び4をそれぞれ等張食塩水又は新鮮ヒト血液と再水和及び均一混合することによって得られた注入可能なインプラント製剤の押し出し曲線を表す)。
-
図3Aにおいて、(1)及び(2)は、それぞれ等張食塩水及び新鮮ヒト血液で再水和された、乾燥インプラント組成物2(ふるい分けによって決定されるとき125~180μmのサイズを有するナノ結晶ヒドロキシアパタイト粒子と、コラーゲンに対するナノ結晶ヒドロキシアパタイトのw/w比が4.0であるコラーゲンBとを含有する)の押し出し曲線である。
-
図3Bにおいて、(3)及び(4)は、それぞれ等張食塩水及び新鮮ヒト血液で再水和された、乾燥インプラント組成物4(ふるい分けによって決定されるとき125~180μmのサイズを有するナノ結晶ヒドロキシアパタイト粒子と、コラーゲンに対するナノ結晶ヒドロキシアパタイトの(w/w)比が2.67である、コラーゲンB 1部に対してコラーゲンA 2部の混合物とを含有する)の押し出し曲線である。
【実施例10】
【0120】
アスコルビン酸を含有する、ふるい分けによって決定されるとき125~180μmのサイズを有する天然骨由来のナノ結晶ヒドロキシアパタイト粒子と、コラーゲンに対するセラミックのw/w比が4.0であるコラーゲンBとの38%の混合物を含有する、注入可能な水性インプラント製剤の調製
-実施例1で得られた粉砕コラーゲンBを注意深く脱塩水に押し込み、全てのコラーゲンを湿らせた。ビーカーをねじ蓋で閉じ、水-コラーゲンスラリーをSpeedmixer(FlackTech Inc., USA)によって2500rpmで2分間均一混合した。2M 塩酸 5滴を使用してpHを下げた。Speedmixerによる2500rpmで2分間の追加の混合工程の後、pHを3.5に調整する目的でpHを測定した。次にコラーゲンスラリーを水浴中で70℃まで4時間加熱した。次にコラーゲンスラリーを25℃の水浴に入れた。
-コラーゲンスラリーをSpeedmixerにより2500rpmで2分間再度混合した。次に実施例1で調製された、ふるい分けによって決定されるとき125~180μmの間のサイズを有するセラミック骨ミネラル微粒子をコラーゲンスラリーと共にビーカーに加え、塊をSpeedmixerにより2000rpmで3分間混合した。
塊1gあたり2.76mgのアスコルビン酸(実験1)、塊1gあたり1.76mgのアスコルビン酸(実験2)又は塊1gあたり1.33mgのアスコルビン酸(実験3)を0.1mlの水に溶解し、塊に加えて、Speedmixerにより2000rpmで1分間混合すると、pH 6.0を有する注入可能な水性インプラント製剤を与えた。
-上記の実験で使用された材料の量は、次の表に明記される:
【0121】
【0122】
-上記の3種の注入可能な水性インプラント製剤のそれぞれ(上記の実施例9、3)に記載された試験において)は、テーパーシステム及び18ゲージ(内径0.838mm)の長さ25.4mmのカニューレを介して30Nを超えない力で押し出すことができた。このような小さな力は、小さなシリンジに手作業で簡単に加えることができる。
-得られた塊は、スパチュラを使用して裏側から50mlシリンジに詰め込まれ、更に小さな0.5ml及び1.0mlシリンジに充填された。次に充填されたシリンジを冷蔵庫で4℃で一晩保存し、次に3日以内に25~33GyのX線照射により周囲温度で保存及び滅菌した。
-滅菌後すぐに、実験1又は実験2の注入可能な水溶液を、テーパーシステム及び18ゲージ(内径0.838mm)の長さ25.4mmのカニューレを介して25Nを超えない力で押し出すことができた。ただし、実験3の注入可能な水溶液は、40~45Nの力でしか押し出すことができなかった。
-実験1の滅菌した注入可能な水溶液中の残留アスコルビン酸は、約1.20mg/gであると測定され、滅菌中に最初の2.64mg/gの約1.44mg/gの量が消費されたことが示された。よって実験3の注入可能な水溶液の初期量1.33mg/gは、滅菌中に放出されたフリーラジカルを除去するのに十分ではなかった可能性があり、コラーゲンのわずかな架橋につながり、そしてこれが、テーパーシステム及び18ゲージ(内径0.838mm)の長さ25.4mmのカニューレを介した押し出しに必要とされる、より大きな力を説明する。
-室温でシリンジに9か月間保存後、上記の滅菌した注入可能な水性インプラント製剤のそれぞれの押し出し特性は、滅菌直後に報告されたものと同じ、即ち、実験1又は2の滅菌した注入可能な水性インプラント製剤では25Nを超えない力での押し出し適性であるが、実験3の滅菌した注入可能な水性インプラント製剤では40~45Nの力でのそれであった。
【実施例11】
【0123】
アスコルビン酸を含有する、ふるい分けによって決定されるとき125~180μmのサイズを有する天然骨由来のナノ結晶ヒドロキシアパタイト粒子と、コラーゲンに対するセラミックのw/w比が4.0であるコラーゲンBとの30%の混合物を含有する、注入可能な水性インプラント製剤の調製
-実施例1で得られた粉砕コラーゲンBを注意深く脱塩水に押し込み、全てのコラーゲンを湿らせた。ビーカーをねじ蓋で閉じ、水-コラーゲンスラリーをSpeedmixer(FlackTech Inc., USA)によって2500rpmで2分間均一混合した。2M 塩酸 5滴を使用してpHを下げた。Speedmixerによる2500rpmで2分間の追加の混合工程の後、pHを3.5に調整する目的でpHを測定した。次にコラーゲンスラリーを水浴中で70℃まで3時間加熱した。次にコラーゲンスラリーを25℃の水浴に入れた。
-コラーゲンスラリーをSpeedmixerにより2500rpmで2分間再度混合した。次に実施例1で調製された、ふるい分けによって決定されるとき125~180μmの間のサイズを有するセラミック骨ミネラル微粒子をコラーゲンスラリーと共にビーカーに加え、塊をSpeedmixerにより2000rpmで3分間混合した。塊1gあたり1.76mgのアスコルビン酸を0.1mlの水に溶解し、塊に加えて、Speedmixerにより2000rpmで1分間混合すると、pH 6.0を有する注入可能な水性インプラント製剤を与えた。
-上記の実験で使用された材料の量は、次の表に明記される:
【0124】
【0125】
注入可能な水性インプラント製剤(上記の実施例9、3)に記載された試験において)は、テーパーシステム及び18ゲージ(内径0.838mm)の長さ25.4mmのカニューレを介して10Nを超えない力で押し出すことができた。このような小さな力は、小さなシリンジに手作業で簡単に加えることができる。
-得られた塊は、スパチュラを使用して裏側から50mlシリンジに詰め込まれ、更に小さな0.5ml及び1.0mlシリンジに充填された。次に充填されたシリンジを冷蔵庫で4℃で一晩保存し、次に3日以内に25~33GyのX線照射により周囲温度で保存及び滅菌した。
-滅菌後すぐに、注入可能な水溶液を、テーパーシステム及び18ゲージ(内径0.838mm)の長さ25.4mmのカニューレを介して10Nを超えない力で押し出すことができた。
-室温でシリンジに9か月間保存後、上記の滅菌した注入可能な水性インプラント製剤の押し出し特性は、上に報告されたもの、即ち、滅菌直後に報告されたものと同じであった。